説明

胎生プログラミングに対する影響を評価するための方法

【課題】簡便かつ高速多験体を解析することができる胎生プログラミングの評価システムを提供する。
【解決手段】ES細胞からなるマイクロスフィアとサンプルとを接触させること、上記マイクロスフィアからサンプルを分離すること、上記マイクロスフィアの一部を神経誘導因子に暴露し、ニューロスフィア前駆体を形成させるとともに、残りの一部からトータルRNAを回収し、遺伝子の発現量を測定すること、得られたニューロスフィア前駆体を、神経細胞培養用容器を用いて神経誘導培地中で培養することによってニューロスフィアを構成する細胞を成熟神経細胞に分化させる、神経細胞系モデルを作成すること、得られた神経細胞系モデルの細胞形態を測定することを含む、胎生プログラミングに対する影響を測定するための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経細胞系モデルの作成方法、それに用いるES細胞に由来する細胞からなるニューロスフィア前駆体、上記神経細胞系モデルを用いる、胎生プログラミングに対する影響を測定するための方法、胎生プログラミングに対する影響を評価するための方法、病変リスクを予測するための方法及び胎生プログラミングに対する影響を有する物質をスクリーニングするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学物質の生体影響を取りまく状況には、化学物質の情報不足、アレルギー疾患や神経系障害など旧来のリスク評価では見過ごされてきた健康影響の増加、さらには、これらの影響が胎児期曝露による晩発影響(胎生プログラミング)であるとの指摘などがある。生体リスク(生物の健康リスク)の管理のうえでは、これらの指摘事項をクリアすることが必要である。そのためには、多種多様な化学物質ばかりでなく、多種多様なエンドポイントの評価が可能であり、簡便かつ高速多験体を解析することができる毒性評価システムの構築が求められている。さらに、成体の各臓器の発生・発育段階を模倣するモデル細胞系の確立も所望されている。
【0003】
神経機能障害に及ぼす影響を評価するための方法として、神経芽細胞を用いる方法も報告されているが(特許文献1)、胎生プログラミングを評価する方法は、いまだ開発されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−325551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、簡便かつ高速多験体を解析することができる胎生プログラミングの評価システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、神経細胞系モデルの作成方法、それに用いるES細胞に由来する細胞からなるニューロスフィア前駆体、上記神経細胞系モデルを用いる、胎生プログラミングに対する影響を測定するための方法、胎生プログラミングに対する影響を評価するための方法、病変リスクを予測するための方法及び胎生プログラミングに対する影響を有する物質をスクリーニングするための方法を開発し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、下記のとおりである。
[1]神経細胞系モデルを作成するための、ES細胞に由来する細胞からなるニューロスフィア前駆体。
[2]上記ES細胞が、ヒトES細胞である、[1]に記載のニューロスフィア前駆体。
[3]下記工程:
ES細胞からなるマイクロスフィアを神経誘導因子に暴露させ、ニューロスフィア前駆体を形成させること、
得られたニューロスフィア前駆体を、神経細胞培養用容器を用いて神経誘導培地中で培養することによってニューロスフィアを構成する細胞を成熟神経細胞に分化させること
を含む、神経細胞系モデルの作成方法。
[4]上記神経細胞培養用容器が、オルニチン・ラミニンコートプレートである、[3]に記載の神経細胞系モデルの作成方法。
[5]全工程が、20日間で終了する、[4]に記載の神経細胞系モデルの作成方法。
[6]下記工程:
ES細胞からなるマイクロスフィアとサンプルとを接触させること、
上記マイクロスフィアからサンプルを分離すること、
上記マイクロスフィアの一部を神経誘導因子に暴露し、ニューロスフィア前駆体を形成させるとともに、残りの一部からトータルRNAを回収し、遺伝子の発現量を測定すること、
得られたニューロスフィア前駆体を、神経細胞培養用容器を用いて神経誘導培地中で培養することによってニューロスフィアを構成する細胞を成熟神経細胞に分化させる、神経細胞系モデルを作成すること、
得られた神経細胞系モデルの細胞形態を測定すること
を含む、胎生プログラミングに対する影響を測定するための方法。
[7]上記神経細胞培養用容器が、オルニチン・ラミニンコートプレートである、[6]に記載の胎生プログラミングに対する影響を測定するための方法。
[8]上記遺伝子が、下記:
ERα、ERβ、AR、RARα及びRARβからなる群より選択される1以上の核内レセプター遺伝子と、
DTNBP1、NRG1、DAO、DAOA、RGS4、CAPON、PPP3CC、TRAR4、VCFS、COMT、PRODH、DHHC、ZDHHC8、DISC1及びGRM5からなる群より選択される1以上の統合失調症の感受性遺伝子、
Tsc1、Tsc2、Fmr1、Ube3a、Reln、Nlgn3、Foxp2、Cntnap2、Slc6a4、Gabrb3、Mecp2及びEn2からなる群より選択される1以上の自閉症関連遺伝子、
EphrinB、EphB、Sema3A、PlexinA、Sema7A、Itgb1、Netrin1、Slit1、Robo2、Cxcl12、Cxcr4、NetrinG、NGL1、Unc5からなる群より選択される1以上の軸索ガイダンス関連遺伝子、
Foxg1、Emx1、Emx2、Nkx2.1、Otx1、Otx2、En1、Gbx2、Hoxb1及びHoxa2からなる群より選択される1以上の脳セグメンテーション関連遺伝子、
Snca、Uchl1、Apoe、Park7、Apbb1、Bcl2、Ube2l1、Ubqln1、Bax、Cdk5、Ubb、Als2、Gtf2a1、Bace1、App、Psen1、Ide、Ccs、Sod1及びGpx1からなる群より選択される1以上の神経疾患関連遺伝子、
Nanog、Klf4、Zfp42、Pou5f1、Fgfr1、Nestin、Tuj1、Map2、Olig2、Gfap、Raf1、Atbf1、Pla2g6、Cdyl、Mapk3、Shc1、Hras1、Rps6ka1、Mapk1、Smarcad1、Gbx2、Sall1、Map2k1、Fos及びRif1からなる群より選択される1以上の神経発達関連遺伝子、
Th、Slc6a3、Snca、Ube1、Ubch7、Park2、Uch1、Park7、Casp9、Casp3及びCasp7からなる群より選択される1以上のパーキンソン病関連遺伝子、及び/又は
App、Bace、Psen、ApoE、Ide、Mme、Il1r1、Tnfrsf1a、Casp3及びCasp7からなる群より選択される1以上のアルツハイマー病関連遺伝子との組合わせである、[7]に記載の胎生プログラミングに対する影響を測定するための方法。
[9]上記細胞形態が、ニューロスフィアの面積、ニューロスフィアの真円率、ニューロスフィアの個数、細胞数、核の面積、ニューロスフィアの円周、神経突起の長さ、神経突起の交差点の個数及び神経突起の分岐点の個数である、[7]に記載の胎生プログラミングに対する影響を測定するための方法。
[10]上記細胞形態の測定を、マルチチャンネル細胞画像解析装置によって行う、[9]に記載の胎生プログラミングに対する影響を測定するための方法。
[11][6]に記載の方法によって得られた上記遺伝子発現量及び上記細胞形態の測定値を、サンプルで処理しない場合か又は胎生プログラミングに対する影響が知られている物質についての測定値と対比する、胎生プログラミングに対する影響を評価するための方法。
[12]上記胎生プログラミングに対する影響を、ベジアンネットワークシステムを用いて評価する、[11]に記載の胎生プログラミングに対する影響を評価するための方法。
[13][6]に記載の方法によって得られた上記遺伝子発現量及び上記細胞形態の測定値を、胎生プログラミングに対する影響が知られている物質についての測定値と対比することを含む、病変リスクを予測するための方法。
[14][6]に記載の方法によって得られた上記遺伝子発現量及び上記細胞形態の測定値を、サンプルで処理しない場合の測定値と対比する、胎生プログラミングに対する影響を有する物質をスクリーニングするための方法。
[15] 上記胎生プログラミングに対する影響を有する物質が、環境化学物質、医薬品又は農薬である、[14]に記載のスクリーニングするための方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の方法を用いることによって、胎生プログラミングに対する影響を評価することができる。また、本発明の方法を用いて胎児期曝露による晩発影響のハイスループット解析を実施したならば、多種多様な化学物質についての生体(健康)影響を予見する情報の利用が可能となる。このことによって、生体(健康)影響予測が可能となり、化学物質曝露の被害を未然に防ぐことも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の方法の模式図である。
【図2】対照群(0.1%DMSO)のマルチ情報のネットワーク図である。
【図3】PCB(10−8M)処置群のマルチ情報のネットワーク図である。
【図4】E2(10−8M)処置群のマルチ情報のネットワーク図である。
【図5】PMT(10−5M)処置群のマルチ情報のネットワーク図である。
【図6】DHT(10−8M)処置群のマルチ情報のネットワーク図である。
【図7】TMD(10−5M)処置群のマルチ情報のネットワーク図である。
【図8】BPA(10−10M)処置群のマルチ情報のネットワーク図である。
【図9】DEHP(10−4M)処置群のマルチ情報のネットワーク図である。
【図10】T3(10−8M)処置群のマルチ情報のネットワーク図である。
【図11】MPA(10−4M)処置群のマルチ情報のネットワーク図である。
【図12】DEX(10−8M)処置群のマルチ情報のネットワーク図である。
【図13】CPM(10−5M)処置群のマルチ情報のネットワーク図である。
【図14】TCDD(10−8M)処置群のマルチ情報のネットワーク図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において神経細胞系モデルとは、ニューロン(MAP2陽性面積)が占める面積比が総細胞面積の20〜50%程度であり、かつ、グリア細胞(GFAP陽性細胞の占める面積)が占める面積比が総細胞面積の50〜80%程度のであるものをいう。
【0011】
本発明においてES細胞とは、動物の発生初期段階である胚盤胞期の胚の一部に属する内部細胞塊より作られ、分化多能性及び無限増殖能を有する細胞をいう。動物は、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくは、マウス又はヒトであり、最も好ましくは、ヒトである。また、本発明では、ES細胞の代わりにiPS細胞を用いることもできる。
【0012】
本発明においてニューロスフィア前駆体とは、神経幹細胞マーカーや神経発生初期マーカーが発現するが、グリア細胞は発生していない細胞凝集体のことをいう。成熟神経細胞の分化のためには、ニューロスフィア前駆体の平均直径が640μmであることが好ましい。
【0013】
本発明においてマイクロスフィアとは、45〜200個の細胞、好ましくは、50〜150個の細胞、より好ましくは、98個の細胞が凝集した球状の塊をいう。成熟神経細胞の分化のためには、ニューロスフィア前駆体の平均直径が210μm(オルチニンラミニンコートに播く直前の直径が210μmであり、オルチニンラミニンコートで培養後の20日目はニューロスフィアの平均直径は640μmとなる)であることが好ましい。マイクロスフィアの平均直径は、好ましくは、100〜300μm、より好ましくは、200〜250μm、最も好ましくは、210μmである。
【0014】
本発明において神経誘導因子とは、未分化細胞を神経細胞に誘導する能力を有する物質をいい、例えば、レチノイン酸を挙げることができる。レチノイン酸の処理濃度は、好ましくは、高濃度(10−6M)、中濃度(10−7M)又は極めて低濃度(10−9M)であり、より好ましくは、低濃度(10−8M)である。
【0015】
本発明において神経細胞培養容器とは、神経誘導前のES細胞を大きさや分化の速度を均一にし、ニューロスフィア前躯体を形成する培養する培養器具をいい、例えば、マイクロデバイス、を挙げることができる。好ましくは、10〜60mmディッシュ、より好ましくは、24ウェルプレート、最も好ましくは、3次元パターニング(あるいは、マイクロスフィアアレイ)である。
【0016】
本発明の神経細胞培養容器は、オルニチン・ラミニンでコートされていることが、好ましい。オルニチン・ラミニンコートプレートは、プレートにオルニチン溶液を加え、37℃で一昼夜放置し、水洗後、ラミニン溶液を加え、37℃で4時間以上放置することによって作製することができる。オルニチン・ラミニンコートプレートとして、BD Bio Coat TM poly-L-Ornithine/Laminin cell ware 24-well Plateが市販されている。しかし、このプレートは、ニューロスフィア前躯体の接着性や成熟神経幹細胞への分化誘導や増殖が悪いため、自分でオルニチン・ラミニンでコートを行ったものを使用しなければならない。
【0017】
本発明において成熟神経細胞とは、下記の条件の全てを満たす細胞をいう。
1)ニューロンの一視野面積(33354547μm)当たりの分岐点が1000個〜3500個であり、一視野面積当たりの交差点が200〜600個であり、かつ、一視野面積当たり(33354547μm)のMAP2陽性ニューロンの神経突起の伸張の総計(総伸張)が10000μm〜500000μmであり、
2)グリア細胞の一視野面積当たりの分岐点が150個〜2700個であり、一視野面積当たりの交差点が20個〜500個であり、かつ、一視野面積当たり(33354547μm)のGFAP陽性グリア細胞の細胞質突起の伸張の総計(総伸張)が90000μm〜300000μmであり、
3)ニューロン及びグリア細胞が10000個〜50000個の細胞からなるニューロスフィア前駆体に由来し、この細胞が遊走して広がったものであり、
4)MAP2陽性総面積は、10000μm〜2000000μmであり、GFAP陽性面積は600μm〜4000000μmの範囲である。
【0018】
本発明においてトータルRNAは、従来公知の任意の方法を用いて回収することができる。たとえば、マイクロスフィアアレイ上で化学物質暴露48時間後のニューロスフィア前駆体からRNeasy Mini Kit (50) (QIAGEN)の手法に従ってTotal RNAを精製することができる。詳細な手法は、マイクロスフィアアレイ上で培養したニューロスフィア前駆体をPBSで洗浄後、ピペッティングして回収し、1000rpmで5分間の遠心後、PBSを取り除き5×10個のES細胞あたり350μlのRLT Bufferを加えて1mlのシリンジ23G(直径0.65mm)で10回出し入れして細胞を分散させる。この細胞を試験に供するまで−80℃に保存する。350μlの70%エタノールを添加し白濁するまでピペッティングする。さらに、700μlのサンプルを2mlのコレクションチューブの上に乗せたRNeasy spin columnに入れる。次に、12000rpmで室温で1分間遠心する。下のカラムの溶液を捨てる。さらに、RNeasy Mini Kit (50) (QIAGEN)キット内にあるRW1バッファーを700μl加え、12000rpmで室温で1分間遠心する。次に、80μlのDNaseI溶液を加えて、室温に15分間置く。次に、350μlのRW1を加え、12000rpmで室温で1分間、遠心し、500μlのRPEバッファーを添加し、12000rpmで室温で1分間遠心する。500μlのRPEバッファーを添加し、12000rpmで室温で1分間遠心し、15000rpmで室温で1分間遠心し、spin columnを新しい1.5mlのコレクションチューブに移す。次に、20μlのRNaseフリー水を加え、10000rpmで室温で1分間遠心し、Total RNAを得る。
【0019】
本発明において遺伝子の発現量は、従来公知の任意の方法を用いて測定することができる。たとえば、イルミナのBead Arrayによって遺伝子発現レベルを解析することができる。抽出したTotal RNAの吸光度を測定後、Agilent 2100 bioanalyzerとRNA LabChip Kitにより微量サンプルのTotal RNA用の電気泳動分析を行った。イルミナBead Arrayを行うためには、サンプル量は1アレイに付き500ng/10μl以上で、サンプル純度は0.1.260/0.1.280=1.7〜2.1であることが必要である。
【0020】
本発明において細胞形態とは、ニューロスフィアの面積、ニューロスフィアの真円率、ニューロスフィアの個数、細胞数、核の面積、ニューロスフィアの円周、神経突起の長さ、神経突起の交差点の個数及び神経突起の分岐点の個数である。この細胞形態は、マルチチャンネル細胞画像解析装置を用いて測定することができる。
【0021】
本発明に用いることができるマルチチャンネル画像解析装置は、たとえば、IN Cell Analyzer 1000(GEヘルスケアバイオサイエンス社)であり、細胞形態計測の方法は、20日間の培養後、画像解析装置で形態解析を行うために4%PFA(パラホルムアルデヒド)−0.2Mスクロース−0.1MPBS(pH 7.4)で約15分間の固定を行った。固定後、0.1MPBSで3回洗浄後、透過処理として0.1%TritonX 100−0.1M PBSで30分間の処理を行った。その後、0.1MPBSで3回洗浄し、1%BSA(ウシ血清アルブミン)−0.1MPBSで10分間のブロッキング操作を行った。
【0022】
本発明に使用する一次抗体として神経幹細胞の特異的なマーカーであるマウス抗ネスチンモノクローナル抗体(CHEMICON International)、グリア細胞のマーカーであるマウス抗グリア線維酸性タンパク質(GFAP)モノクローナル抗体(CHEMICON International)を選択し、4℃で一昼夜反応させる。翌日、0.1M PBSで3回洗浄を行い、2次抗体として標識ヤギ抗マウスIgG抗体(Alexa Fluor 568, Invitrogen)で1時間室温の反応を行い、0.1M PBSにて10分間で3回ずつ洗浄する。核染色として2μg/mlのヘキスト33342溶液(Dojindo)にて15分間反応後、0.1MPBSで5分間で3回ずつ洗浄する。IN Cell Analyzer 1000で解析を行うために各ウェルにPBSを80%くらいに満たし、乾燥を防ぐためにパラフィルムでカバーをしてディッシュの蓋で密閉し冷蔵庫内で保存する。マルチチャンネル細胞画像解析装置(IN Cell analyzer 1000, GE)によって画像として取得後、ニューロスフィアの面積、ニューロスフィアの真円率、ニューロスフィアの個数、細胞数、核の面積、ニューロスフィアの円周、神経突起の長さ、神経突起の交差点の個数及び神経突起の分岐点の個数をパラメーターとして選定しマルチ解析ソフトウェアの一つであるDeveloper Tool Boxによって自動的に個々の神経細胞の形態を測定し数値情報へ変換、定量的・客観的な表現型データとして化学物質の神経細胞の分化への影響の比較解析を行う。
【0023】
本発明に用いることができる遺伝子は、下記:
Raf1(GENBANK ID AK036317)、Atbf1(NM_007496)、Pla2g6(NM_016915)、Cdyl(NM_009881)、Mapk3(NM_011952)、Shc1(NM_011368)、Hras1(NM_008284)、Rps6ka1(NM_009097)、Mapk1(NM_011949)、Smarcad1(NM_007958)、Gbx2(NM_010262)、Sall1(NM_021390)、Map2k1(NM_008927)、Fos(NM_010234)、Rif1(NM_175238)、Gfap(NM_010277)、Map2(NM_008927)、ネスチン(NM_016701)、Tuj1(NM_023279)からなる群より選択される1以上の神経分化遺伝子と、
Esr1(AK054182)、Esr2(NM_010157)、AR(NM_013476)、RARa(NM_031528)、RARb(Mm.259318)、RARg(NM_011244)、Nanog(NM_028016)、Klf4(NM_010637)、Zfp42(NM_009556)、Pou5f1(NM_013633)、Fgfr1(NM_010206)、ネスチン(NM_016701)、Tuj1(NM_023279)、Map2(NM_008927)、Olig2(NM_016967)、Gfap(NM_010277)からなる群より選択される1以上の核内受容体遺伝子を含む分化段階マーカー遺伝子と、
Esr1(AK054182)、Esr2(NM_010157)、AR(NM_013476)、RARa(NM_031528)、RARb(Mm.259318)、RARg(NM_011244)、EphrinB(NW_001030882)、EphB(NM_173447)、Sema3A(NM_009152)、PlexinA(Mm.3789)、Sema7A(NM_011352)、Itgb1(NM_010578)、Netrin1(Mm.39095)、Slit1(NM_015748)、Robo2(NM_175549)、Cxcl12(NM_013655)、Cxcr4(NM_009911)、NetrinG(Mm.39262)、NGL1(Mm.241682)、Unc5(NM_153131)からなる群より選択される1以上の核内受容体遺伝子を含む軸索伸長と、
Esr1(AK054182)、Esr2(NM_010157)、AR(NM_013476)、RARa(NM_031528)、RARb(Mm.259318)、RARg(NM_011244)、Tsc1(NM_022887)、Tsc2(NM_011647)、Fmr1(NM_008031)、Ube3a(NM_011668)、Reln(NM_011261)、Nlgn3(NM_172932)、Foxp2(NM_053242)、Cntnap2(NM_001004357)、Slc6a4(NM_010484)、Gabrb3(NM_008071)、Mecp2(NM_010788)、En2(NM_010134)からなる群より選択される1以上の核内受容体遺伝子を含む自閉症関連遺伝子と、
Esr1(AK054182)、Esr2(NM_010157)、AR(NM_013476)、RARa(NM_031528)、RARb(Mm.259318)、RARg(NM_011244)、Th(NM_009377)、Slc6a3(NM_010020)、Snca(NM_009221)、Uba1(NM_001136085)、Ubch7(NM_020569)、Park2(NM_016694)、Uchl1(NM_011670)、Park7(NM_020569)、Casp9(NM_015733)、Casp3(NM_009810)、Casp7(NM_007611)からなる群より選択される1以上の核内受容体遺伝子を含むパーキンソン病関連遺伝子と、
Esr1(AK054182)、Esr2(NM_010157)、AR(NM_013476)、RARa(NM_031528)、RARb(Mm.259318)、RARg(NM_011244)、App(NM_007471)、Bace(NM_011792)、Psen(NM_008943)、ApoE(NM_009696)、Ide(NM_031156)、Mme(NM_008604)、Il1r1(NM_008362)、Tnfrsf1a(NM_011609)、Casp3(NM_009810)、Casp7(NM_007611)からなる群より選択される1以上の核内受容体遺伝子を含むアルツハイマー病関連遺伝子との組合わせである。
【0024】
【表1】

【0025】
本発明において、遺伝子発現量及び上記細胞形態の測定値を、サンプルで処理しない場合か又は胎生プログラミングに対する影響が知られている物質についての測定値と対比する方法は、たとえば、ベジアンネットワークシステムである。ベイジアンネットワークとは、不確実性を含む事象の予測や合理的な意思決定、障害診断などに利用することのできる確率モデルの一種である。ある確率分布を表現し、その確率分布を計算し、予測や最適な意思決定を行う。この確率分布の計算は、確率推論と呼ばれる。ベイジアンネットワークの特徴は、因果的な構造をネットワークとして表し、その上で確率推論を行うことで不確実な事象の起こりやすさやその可能性を予測するものである。例えば、「変数(パラメーター)Xがxという値を取るならば(親ノード)、変数Yはyとなる(子ノード)」という関係が成立するとすと、Yのとる値はXの値から独立ではない。つまり、YはXの値に依存していて共変関係があるといえる。TAOgenは、Toyoshibaら及びYamanakaらによって開発された非循環ネットワークの関係を線形回帰によってベイジアン理論に基づく計算を行い、遺伝子間のリンケージ(関係性)を明らかにするものである(Yamanaka T, Toyoshiba H, Sone H, Parham FM, Portier CJ.:「大腸菌におけるSOS修復への適用で遺伝子相互作用・ネットワークを識別するためのTAO-Genアルゴリズム」 Environ Health Perspect. 112巻16号、1614-1621頁(2004)、Toyoshiba H, Yamanaka T, Sone H, Parham FM, Walker NJ, Martinez J, Portier CJ.:「遺伝子相互作用・ネットワークは、ダイオキシンがアリール炭化水素レセプターとレチノイン酸レセプター・ベータの間の重要なつながりを誘導することを示唆する。」Environ Health Perspect. 112巻12号、1217-1224頁(2004).)。このTAOgenを元に、独自にカスタマイズしたmulti-TAOgenというソフトウエアを用いて解析を行った。
【0026】
本発明において、遺伝子発現量及び上記細胞形態の測定値を、胎生プログラミングに対する影響が知られている物質についての測定値と対比するとは、multi-TAOgenのソフトウェアによって統合化ネットワークを構築することをいう。
【0027】
胎児期曝露後の晩発影響を評価するため、ES細胞の大きさを均一に培養制御できる微粒子型溝を100−1020個有するアレイ上でES細胞から均一な胚葉体(EB、embryonic body)の形成を行い、その後に、神経誘導基底膜上で培養して、成熟神経細胞へ分化誘導する培養法を確立した。
【0028】
たとえば、神経系誘導剤であるレチノイン酸(10−8M)とともに、3次元パターニングアレイ上の培養開始から化学物質に一定時間(たとえば、48時間)曝露させ、その後、RNAを抽出し、遺伝子発現を測定する。さらに、神経誘導基底膜上で培養し、成熟神経細胞の形態を計測する。計測した遺伝子発現情報及び細胞形態情報をベイジアンアルゴリズムにより相互関係を確率的に示したネットワーク図で示し、ネットワークの構造の違いにより、影響の違いを示す。これら一連の手法が、本発明の、マルチプロファイリングによる化学物質の胎生プログラミングに及ぼす影響検出法である。
【0029】
以下、本発明について、実施例を示して具体的に説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
【実施例1】
【0030】
1.ES細胞の調製
GFP発現ベクターにCAGプロモーターを繋いで作製したGreen mouse FM131マウス由来のマウス胚性幹細胞株(mES細胞)であるB6G−2細胞系(理研)を、増殖不活性化処理済みのマウス繊維芽細胞(MEF)上で十分に増殖させた。その後、0.1%ゼラチンをコートした60mmディッシュ上でDMEM(フェノールレッド不含、Invitrogen),15%FBS(ウシ胎児血清、Invitrogen)、100μM NEAA(Non-essential amino acids、Invitrogen)、100μM 2−ME(2−メルカプトエタノール、Invitrogen)、及び1000U/ml LIF(白血病抑制因子、ESGRO、Invitrogen)を含むES培地で継代を行った。MEFの影響が最も少なく遺伝子の変異を抑えられる第2継代後、マイクロスフィアアレイ上にES細胞を播種した。
【0031】
2.ES細胞マイクロスフィアの調製
細胞を培養する環境を制御することは、細胞の挙動の理解や細胞機能を工学的に応用する際に極めて重要である。本研究では、細胞が付着する基板、その付着面の位置と形状、細胞周囲の流動場を全てマイクロメーターの精度でパターニングを行う微細加工技術である(軟性リソグラフィ)を施したデバイスのマイクロスフィアアレイ上でマウスのES細胞の大きさや分化速度の均一化を行い、成熟神経細胞を誘導する3次元的培養法を確立した。本研究で使用した枠分離型マイクロスフィアアレイ(チップ300)の構造は、基板として材質は、アクリル樹脂性であり外形寸法は、24×24mm角、枠樹脂の材質は、PDMS樹脂で出来ており、形状は額縁型の形状で内側に250μlの培地が入る容積として設計されている。この枠はピンセットで容易に取り外しが可能である。更に、枠内(10×10mm)には1020個の均一なウェルが形成されており、ウェルの直径は300μmであり、ウェル間の距離(ピッチ)は330μmであり、ウェルの深さは270μmである。
【0032】
この枠分離型マイクロスフィアアレイ(チップ300)を6ウェルプレートへ移し、ピペットマンで、枠内の滅菌水を全て吸引除去する作業後、直ちにEB培地を入れてPBS(−)と置換した。この作業を3回行った後、250μlずつのEB培地を入れて37℃のインキュベーターに静置した。第2継代のES細胞懸濁液を4×10cells/mlになるように調整した。調整後、インキュベーター内のマイクロスフィアアレイを取り出しEB培地を吸引除去し、ES細胞懸濁液を1×10cells/250μlずつアレイの枠内に、枠の端から緩やかに注ぎインキュベーター内に4時間程静置した。アレイに播種したES細胞は10分以内には全てウェル内に均一に集積することが確認された。培養6時間後に化学物質を添加したEB培地と培地交換を行い、化学物質での48時間の暴露を行った。
【0033】
3.ニューロスフィア前駆体の調製
化学物質添加48時間後に、10−8Mのレチノイン酸を含むEB培地と培地交換を行った。培養4日目に、再び、10−8Mのレチノイン酸を含むEB培地と培地交換を行った。更に、培養6日目にEB培地のみに交換した。培養8日目にマイクロスフィアアレイをピンセットで取り出し、全てのニューロスフィア前駆体を完全に回収するために非接着性の35mmディッシュ内で1mlのピペットで軽くピペッティングを行い、ニューロスフィア前駆体を1.5mlのマイクロチューブに回収した。あらかじめ自作した24ウェルのオルチニン・ラミニンコートプレートに、回収したニューロスフィア前駆体を200マイクロのチップで均一に83個/ウェルになるように200マイクロのチップで播種した。この時のニューロスフィア前駆体の直径の平均は約210μmであった。
【0034】
オルチニン・ラミニンコートの作成方法は、下記のとおりである。Poly−l−オルニチン溶液を蒸留水で2.5倍に希釈した。100μlのラミニンを、12mlのPBSで希釈した。2.5倍に希釈したPoly−l−オルニチン溶液を、24ウェルに500μlずつ分注し、37℃のインキュベーター内で一昼夜静置した。翌日、DWで3回洗浄した。希釈したラミニンを24ウェルに500μlずつ分注し、37℃のインキュベーター内で4〜6時間静置した。アスピレーターでラミニンを完全に吸い取り、1mlのEB培地を加え、37℃のインキュベーター内で静置した。
【0035】
4.神経細胞系モデルの調製
EB培地で24時間培養後、ニューロスフィア前駆体が完全にウェル内で接着し、短い神経突起の伸長を確認後、神経誘導培地(DMEM/F12(1:1)、N2、10μg/ml bFGF)へ培地交換を行った。培地交換は3日おきに行った。オルチニン・ラミニンコート上にニューロスフィア前駆体を播種後、12日間の培養を行った(培養期間の総計は20日間となった。)。培養12日目(培養期間の総計として20日間)の細胞は、下記の条件の全てを満たした。
(1)ニューロスフィア前駆体の平均真円率は、0.49、(2)ニューロスフィア前躯体の平均円周は1551.7μm、(3)ニューロスフィア前躯体の平均総面積は、6654069.2μm(4)ニューロスフィア前躯体の平均個数は、84.7個、(5)ニューロスフィア前躯体の平均直径は、492.3μm、(5)ニューロスフィア前躯体から遊走する細胞の総数は、14468.4個、(6)MAP2陽性ニューロスフィア前躯体の平均総面積は、601939.8μm、(7)ニューロスフィア前躯体から遊走するMAP2陽性ニューロンの神経突起の平均総伸張は、237214.1μm、(8)MAP2陽性ニューロンの交差点の平均総数は、1284.6個、(9)MAP2陽性ニューロンの分岐点の平均総数は、4615.6個、(10)GFAP陽性ニューロスフィア前躯体の平均総面積は、719544.9μm、(11)ニューロスフィア前躯体から遊走するGFAP陽性細胞の細胞質突起の平均総伸張は、43151.3μm(12)GFAP陽性細胞の交差点の平均総数は、227.4個、(12)GFAP陽性細胞の分岐点の平均総数は、1079.5個であった。
【0036】
5.12化学物質での実験結果
マルチチャンネル画像解析装置のIN Cell アナライザー1000により、コントロール群と12種類の選定被験化学物質(それぞれ高用量として、10nMのトリヨードチロキシン、10nMのデキサメタゾン、10nMの17β−エストラジオール、10nMの5α−ジハイドロテストステロン、10nMの2,3,7,8−テトラクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン(テトラクロロジベンゾダイオキシン)、100μMのメトプレン酸、10μMのシクロパミン、10μMのサリドマイド、10nMの4(OH)−2’,3,3’,4’,5’−ペンタクロロビフェニル(水酸化ポリクロロビフェニル107)、10μMのペルメトリン、100pMのビスフェノール−A、100μMのビス(2−エチルヘキシル)フタル酸(フタル酸ジエチルヘキシル)の曝露影響の結果を下記に示す。
【0037】
(1)ニューロスフィア前駆体の真円率は、コントロール群は0.49、10nM Dexは0.54、10μM PMTは、0.56、10nM E2は0.56、10nM TCDDは、0.50、10nM DHTは、0.53、100μM DEHPは0.57、100pM BPAは、0.58、10nM PCBは、0.51、10nMT3は、0.52、10μM TMDは0.51、10μM CPMは、0.52、100μM MPAは0.55であった。
【0038】
(2)ニューロスフィア前躯体の円周は、コントロール群は1551.7μm、10nM Dexは1436.7μm、10μM PMTは、1187.8μm、10nM E2は1250.5μm、10nM TCDDは、1429.9μm、10nM DHTは1393.0μm、100μM DEHPは1207.8μm、100pM BPAは1182.6μm、10nM PCBは、1565.8μm、10nMT3は、1362.5μm、10μM TMDは1317.0μm、10μM CPMは1353.6μm、100μM MPAは1269.2μmであった。
【0039】
(3)ニューロスフィア前躯体の面積は、コントロール群は6654069.2μm、10nM Dexは6746902.5μm、10μM PMTは5540044.2μm、10nM E2は4909425.8μm、10nM TCDDは5446502.0μm、10nM DHTは6109497.7μm、100μM DEHPは5031102.7μm、100pM BPAは2756341.9μm、10nM PCBは、4488292.4μm、10nMT3は、6088273.9μm、10μM TMDは4142275.1μm、10μM CPMは4164921.6μm、100μM MPAは4197825.1μmであった。
【0040】
(4)ニューロスフィア前躯体の個数は、コントロール群は84.7個、10nM Dexは83.2個、10μM PMTは89.6個、10nM E2は69.5個、10nM TCDDは72.9個、10nM DHTは76.3個、100μM DEHPは73.6個、100pM BPAは42.3個、10nM PCBは、50.1個、10nMT3は、81.7個、10μM TMDは59.2個、10μM CPMは54.6個、100μM MPAは58.8個であった。
【0041】
(5)ニューロスフィア前躯体の直径は、コントロール群は492.3μm、10nM Dexは459.4μm、10μM PMTは、374.8μm、10nM E2は400.9m、10nM TCDDは、455.8μm、10nM DHTは447.8μm、100μM DEHPは383.9μm、100pM BPAは365.0μm、10nM PCBは、501.3μm、10nMT3は、431.8μm、10μM TMDは418.1μm、10μM CPMは429.6μm、100μM MPAは402.4μmであった。
【0042】
(5)ニューロスフィア前躯体から遊走する細胞の個数は、コントロール群は14468.4個、10nM Dexは35288.1個、10μM PMTは33720個、10nM E2は28912.1個、10nM TCDDは13155.1個、10nM DHTは32571.9個、100μM DEHPは33674.4個、100pM BPAは10271.4個、10nM PCBは、10119.8個、10nMT3は、32269.9個、10μM TMDは22190.1個、10μM CPMは20452.1個、100μM MPAは26177.6個であった。
【0043】
(6)MAP2陽性ニューロスフィア前躯体の面積は、コントロール群は601939.8μm、10nM Dexは1077594.6μm、10μM PMTは1049239.8μm、10nM E2は732158.4μm、10nM TCDDは471940.7μm、10nM DHTは254330.6μm、100μM DEHPは570495.2μm、100pM BPAは344525.8μm、10nM PCBは、354876.3μm、10nMT3は、96074.0μm、10μM TMDは76430.1μm、10μM CPMは100555.5μm、100μM MPAは198445.2μmであった。
【0044】
(7)ニューロスフィア前躯体から遊走するMAP2陽性ニューロンの神経突起の総伸張は、コントロール群は237214.1μm、10nM Dexは380272.0μm、10μM PMTは、3629334.0μm、10nM E2は250986.2μm、10nM TCDDは、183235.9μm、10nM DHTは1414267.0μm、100μM DEHPは224278.9μm、100pM BPAは125299.8μm、10nM PCBは、137283.3μm、10nMT3は、80916.1μm、10μM TMDは25101.7μm、10μM CPMは26316.2μm、100μM MPAは42969.9μmであった。
【0045】
(8)MAP2陽性ニューロンの交差点の個数は、コントロール群は1284.6個、10nM Dexは1404.3個、10μM PMTは1482.5個、10nM E2は955.6個、10nM TCDDは987.4個、10nM DHTは543.8個、100μM DEHPは869.2個、100pM BPAは664個、10nM PCBは、725.8個、10nMT3は、303.4個、10μM TMDは130.4個、10μM CPMは141.4個、100μM MPAは245.2個であった。
【0046】
(9)MAP2陽性ニューロンの分岐点の個数は、コントロール群は4615.6個、10nM Dexは6548.9個、10μM PMTは6230.7個、10nM E2は43272.5個、10nM TCDDは3525.6個、10nM DHTは2157.3個、100μM DEHPは3630.8個、100pM BPAは2395.6個、10nM PCBは、2573.7個、10nMT3は、1127個、10μM TMDは448.1個、10μM CPMは481.4個、100μM MPAは806.6個であった。
【0047】
(10)GFAP陽性ニューロスフィア前躯体の面積は、コントロール群は719544.9μm、10nM Dexは2029240μm、10μM PMTは955109.9μm、10nM E2は831347.6μm、10nM TCDDは569219.1μm、10nM DHTは1808531.8μm、100μM DEHPは1086888.7μm、100pM BPAは1100168.1μm、10nM PCBは、1129661.4m、10nMT3は、207471.2μm、10μM TMDは213093.5μm、10μM CPMは109251.6μm、100μM MPAは252321.3μmであった。
【0048】
(11)ニューロスフィア前躯体から遊走するGFAP陽性細胞の細胞質突起の総伸張は、コントロール群は43151.3μm、10nM Dexは125382.9μm、10μM PMTは、44386.0μm、10nM E2は38771.9μm、10nM TCDDは、34419.4μm、10nM DHTは129023.1μm、100μM DEHPは57664.5μm、100pM BPAは61513.8μm、10nM PCBは、65410.1μm、10nMT3は、40538.4μm、10μM TMDは8267.9μm、10μM CPMは57194.8μm、100μM MPAは49229.4μmであった。
【0049】
(12)GFAP陽性細胞の交差点の個数は、コントロール群は227.4個、10nM Dexは407.9個、10μM PMTは136個、10nM E2は116.1個、10nM TCDDは184.3個、10nM DHTは404.7個、100μM DEHPは169.1個、100pM BPAは302.7個、10nM PCBは、322.6個、10nMT3は、123.2個、10μM TMDは24.8個、10μM CPMは256.1個、100μM MPAは247.4個であった。
【0050】
(13)GFAP陽性細胞の分岐点の個数は、コントロール群は1079.5個、10nM Dexは2616.5個、10μM PMTは886個、10nM E2は774.1個、10nM TCDDは868.2個、10nM DHTは2600.1個、100μM DEHPは1149.7個、100pM BPAは1514.1個、10nM PCBは、1607個、10nMT3は、816.4個、10μM TMDは160.3個、10μM CPMは1365.2個、100μM MPAは1211.2個であった。
【0051】
【表2】

【0052】
コントロール群(237214.07μm)と比較してMAP2陽性ニューロンの神経突起の長さ(1視野における総伸張の平均値)を促進する化学物質は、10nM Dex (380272μm)、10μM PMT(362934μm)、10nM E2(250986.2)、100μM DEHP(224279μm)、10nM T3(80916.1μm)、10μM TMD(25101.7μm)、10μM CPM(26316.2μm)、100μM MPA(42969.9μm)であった。
【0053】
一方で、GFAPグリア陽性細胞の突起の1視野における総伸長の平均値がControl群(43151.3μm)と比して促進するものは、10μMPMT(44386.1μm)、10nM DHT(129023.1μm)、100μM DEHP(57664.5μm)、100pM BPA(61513.8μm)、10nM PCB(65410.1μm)、100nM CPM(597194.8μm)、10μM CPM(57194.8μm)、100μM MPA(49229.4μm)であった。
【0054】
MAP2陽性ニューロンの交差点の1視野における総数は、Control群(1284.6個)と比して多いものは、10nM Dex(1404.3個)、10μM PMT(1404.3個)であった。MAP2陽性ニューロンの分岐点の1視野における総数の平均値に関しては、Control群(4615.6個)、10nM Dex(6548.9個)、10μM PMT(6230.7個)であった。
【0055】
同様にGFAP陽性グリア細胞の細胞質突起の交差点の1視野における総数の平均値はControl群(227.4個)に対して、10nM Dex(407.9個)、10nM DHT (404.7個)、100pM BPA(302.7個)、10nM PCB(322.6個)、10μM CPM(256.1個)、100μM MPA(247.4個)、そして、分岐点の1視野における総数の平均値は、コントロール群(1079.5個)に対して10nM Dex(2616.5個)、10nM DHT (2600.1個)、100μM DEHP(1149.7)、100pM BPA(1514.1個)、10nM PCB(1607個)、10μM CPM(1365.2個)、100μM MPA(1211.2個)であった。
【0056】
さらに、MAP2陽性ニューロンの1視野における総面積の平均値を検討したところ、コントロール群(601940.8μm)と比較して、10nM E2(732158.4μm)であった。GFAP陽性グリア細胞の1視野における総面積の平均値は、Control群(719544.9μm)と比較して、10μM PMT(955110μm)、10nM E2(831347.6μm)であった。
【0057】
次に、ニューロスフィアの形態に影響を及ぼす化学物質は、(1)ニューロスフィアの1視野における総面積の平均値がコントロール群(601939.769μm)と比較して大きい化学物質は、10nM E2(732158.4356μm)であった。(2)ニューロスフィアの1視野における総数の平均値がコントロール群(84.6666667個)と比較して多い化学物資は、10μM PMT(89.55555556個)、100nM TMD(86.0555556個)、(3)ニューロスフィアの真円率の平均値は、いずれも化学物質に暴露されるとコントロール群(0.4865)と比較して全て真円に近い値を示した(0.50〜0.57)。
【0058】
(4)ニューロスフィアから遊走する細胞総数(核の総数)の1視野における平均値をコントロール群(14468.3889個)と比較して促進する化学物質は、10nM Dex(35288.11111個)、10μM PMT(33720個)、10nM E2(28912.11111個)、10nM DHT(32571.8889個)、100μM DEHP(33674.44444個)、10nM T3 (32269.8889個)、10μM TMD(22190.0556個)、10μM CPM(20452.1111個)、100μM MAP(26177.55556個)であった。
【0059】
(5)ニューロスフィアの1視野における円周の平均値がコントロール群(1551.69333μm)と比較して大きい化学物資は、10nM PCB(1565.81417μm)のみであった。
【0060】
(6)ニューロスフィアから遊走する1視野における細胞群の総核面積の平均値がコントロール群(2129473.99μm)と比較して大きい化学物資は、
10nM Dex (4171362.276μm)、10μM PMT(5146900.196μm)、10nM E2(3973015.467μm)、10nM DHT (4485423.64μm)、100μM DEHP(4591409.92μm)、10nM T3 (4895906.56μm)、10μM TMD(3360761.74μm)、10μM CPM(3104536.89μm)、10μM MPA(3872487.964μm)であった。
【0061】
このように、マルチチャンネル画像解析装置によって得られた数値情報を元にグラフ化は可能であるため、それぞれの化学物質暴露群における比較は可能であるが、形態情報と化学物質の相関性について簡便に明確に示す事は出来ない。そこで、これらの形態情報と神経分化に関連する上記遺伝子セット(集団)の変動情報を類型化するための指標として、一元配置し、各指標間の依存関係を確率的に推定する手法TAO−Genアルゴリズムを用いて、化学物質ごとの指標間ネットワークをマトリックスに表現した。このマトリックスは、化学物質によって、異なる得意な特徴をもつものが得られた(分類ができた)。
【0062】
TAO−Gen(Theoretical Algorithm for Optimal Gene interaction networks)は、最適遺伝子相互ネットワークを作成するための数理アルゴリズムである。この手法は、ベイズの定理に基づいたもので既知であるが、形態情報と遺伝子変動情報との融合による多次元化情報を用いた相互関係への応用は、本発明が初めてである。
【0063】
6.実験結果の評価(対比方法、判断基準、分類方法等)
マルチ情報のネットワーク図として得られた個々の化学物質の特徴は、図2−図14に示すとおり、左端列の各指標が最上行頭の各指標に関係性があるとの関係である。黒セルが正の制御関係、網セルが負の制御関係で示している。例えば、DMSO群の1行目に着目すると、AR遺伝子がEsr2と正の制御関係にあることを示し、ARがNetrin1と負の制御関係にあることを示している。このように、20遺伝子と10形態パラメーターを統合した30の指標に基づいて、30×30のマトリックスで表現されるネットワーク図に、化学物質の初期曝露から晩発影響を網羅することが可能となった。このネットワーク図をさらに、サブカテゴリー(遺伝子に関する3種のカテゴリーセットと形態で合計4サブ分類)にわけて、そのなかに配置される関係の類似度の基準を90%においた場合、12種の化学物質に分けることができた。
【0064】
下記のブロックについて、ブロックごとに、各セルを1とした類似頻度を算出し、0.1%DMSOを基準に90%以下を異なるブロックとして識別した(表3参照)。
(AR、Esr1、Esr2、RARa、RARb、RARg)×(AR、Esr1、Esr2、RARa、RARb、RARg)のマトリックスからなるブロック1、
(Cxcl12、Cxcr4、Itgb1、NGL1、NetrinG、Sema7A、Netrin1)×(AR、Esr1、Esr2、RARa、RARb、RARg)のマトリックスからなるブロック2、
(EphB、EphrinB、PlexinA、Robo2、Sema3A、Slit1、Unc5)×(AR、Esr1、Esr2、RARa、RARb、RARg)のマトリックスからなるブロック3、
(EB_Area、EB_FormFactor、EB_Perimeter、EB_count、Nuc_Area、Nuc_count、Posi_Area、Branch_Point、Crossing_Point、Neurite_Length)×(AR、Esr1、Esr2、RARa、RARb、RARg)のマトリックスからなるブロック4、
(AR、Esr1、Esr2、RARa、RARb、RARg)×(Cxcl12、Cxcr4、Itgb1、NGL1、NetrinG、Sema7A、Netrin1)のマトリックスからなるブロック5、
(Cxcl12、Cxcr4、Itgb1、NGL1、NetrinG、Sema7A、Netrin1)×(Cxcl12、Cxcr4、Itgb1、NGL1、NetrinG、Sema7A、Netrin1)のマトリックスからなるブロック6、
(EphB、EphrinB、PlexinA、Robo2、Sema3A、Slit1、Unc5)×(Cxcl12、Cxcr4、Itgb1、NGL1、NetrinG、Sema7A、Netrin1)のマトリックスからなるブロック7、
(EB_Area、EB_FormFactor、EB_Perimeter、EB_count、Nuc_Area、Nuc_count、Posi_Area、Branch_Point、Crossing_Point、Neurite_Length)×(Cxcl12、Cxcr4、Itgb1、NGL1、NetrinG、Sema7A、Netrin1)のマトリックスからなるブロック8、
(AR、Esr1、Esr2、RARa、RARb、RARg)×(EphB、EphrinB、PlexinA、Robo2、Sema3A、Slit1、Unc5)のマトリックスからなるブロック9、
(Cxcl12、Cxcr4、Itgb1、NGL1、NetrinG、Sema7A、Netrin1)×(EphB、EphrinB、PlexinA、Robo2、Sema3A、Slit1、Unc5)のマトリックスからなるブロック10、
(EphB、EphrinB、PlexinA、Robo2、Sema3A、Slit1、Unc5)×(EphB、EphrinB、PlexinA、Robo2、Sema3A、Slit1、Unc5)のマトリックスからなるブロック11、
(EB_Area、EB_FormFactor、EB_Perimeter、EB_count、Nuc_Area、Nuc_count、Posi_Area、Branch_Point、Crossing_Point、Neurite_Length)×(EphB、EphrinB、PlexinA、Robo2、Sema3A、Slit1、Unc5)のマトリックスからなるブロック12、
(AR、Esr1、Esr2、RARa、RARb、RARg)×(EB_Area、EB_FormFactor、EB_Perimeter、EB_count、Nuc_Area、Nuc_count、Posi_Area、Branch_Point、Crossing_Point、Neurite_Length)のマトリックスからなるブロック13、
(Cxcl12、Cxcr4、Itgb1、NGL1、NetrinG、Sema7A、Netrin1)×(EB_Area、EB_FormFactor、EB_Perimeter、EB_count、Nuc_Area、Nuc_count、Posi_Area、Branch_Point、Crossing_Point、Neurite_Length)のマトリックスからなるブロック14、
(EphB、EphrinB、PlexinA、Robo2、Sema3A、Slit1、Unc5)×(EB_Area、EB_FormFactor、EB_Perimeter、EB_count、Nuc_Area、Nuc_count、Posi_Area、Branch_Point、Crossing_Point、Neurite_Length)のマトリックスからなるブロック15、
(EB_Area、EB_FormFactor、EB_Perimeter、EB_count、Nuc_Area、Nuc_count、Posi_Area、Branch_Point、Crossing_Point、Neurite_Length)×(EB_Area、EB_FormFactor、EB_Perimeter、EB_count、Nuc_Area、Nuc_count、Posi_Area、Branch_Point、Crossing_Point、Neurite_Length)のマトリックスからなるブロック16
【0065】
表3 ネットワーク判別手法におけるDMSO群を基準とした場合のネットワークブロックの類似度
【0066】
【表3】

【0067】
12種類の化学物質(2,3,7,8−四塩素化−パラ−ダイオキシン、4(OH)−2’,3,3’,4’,5’−ペンタ−クロロビフェニル、トリヨードチロニン、デキサメサゾン、5α−ジハイドロテストステロン、17β−エストラジオール、サリドマイド、ビス(2−エチルエキシル)、フタル酸、ペルメスリン、シクロパミン、ビスフェノールA、メソプレン酸)について、本発明の方法を適用し、12種の異なるネットワークに分類することができた。このことにより、作用機序が未知の化学物質を試験する場合、未知化学物質について、同様な曝露実験を行い、遺伝子発現データ及び細胞形態データを用いて、今回分類した既存の化学物質のネットワーク鋳型にあてはめて影響を予測することが可能となった。具体的には、未知物質のネットワークマトリックスを作成し、表3に示したネットワークブロックの類似性と同様な判別を行うことによって、未知物質の影響を予測することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の方法を用いることによって、胎生プログラミングに対する影響を評価することができる。また、本発明の方法を用いて胎児期曝露による晩発影響のハイスループット解析を実施したならば、多種多様な化学物質についての生体(健康)影響を予見する情報の利用が可能となる。このことによって、生体(健康)影響予測が可能となり、化学物質曝露の被害を未然に防ぐことも可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経細胞系モデルを作成するための、ES細胞に由来する細胞からなるニューロスフィア前駆体。
【請求項2】
上記ES細胞が、ヒトES細胞である、請求項1に記載のニューロスフィア前駆体。
【請求項3】
下記工程:
ES細胞からなるマイクロスフィアを神経誘導因子に暴露させ、ニューロスフィア前駆体を形成させること、
得られたニューロスフィア前駆体を、神経細胞培養用容器を用いて神経誘導培地中で培養することによってニューロスフィアを構成する細胞を成熟神経細胞に分化させること
を含む、神経細胞系モデルの作成方法。
【請求項4】
上記神経細胞培養用容器が、オルニチン・ラミニンコートプレートである、請求項3に記載の神経細胞系モデルの作成方法。
【請求項5】
全工程が、20日間で終了する、請求項4に記載の神経細胞系モデルの作成方法。
【請求項6】
下記工程:
ES細胞からなるマイクロスフィアとサンプルとを接触させること、
上記マイクロスフィアからサンプルを分離すること、
上記マイクロスフィアの一部を神経誘導因子に暴露し、ニューロスフィア前駆体を形成させるとともに、残りの一部からトータルRNAを回収し、遺伝子の発現量を測定すること、
得られたニューロスフィア前駆体を、神経細胞培養用容器を用いて神経誘導培地中で培養することによってニューロスフィアを構成する細胞を成熟神経細胞に分化させる、神経細胞系モデルを作成すること、
得られた神経細胞系モデルの細胞形態を測定すること
を含む、胎生プログラミングに対する影響を測定するための方法。
【請求項7】
上記神経細胞培養用容器が、オルニチン・ラミニンコートプレートである、請求項6に記載の胎生プログラミングに対する影響を測定するための方法。
【請求項8】
上記遺伝子が、下記:
ERα、ERβ、AR、RARα及びRARβからなる群より選択される1以上の核内レセプター遺伝子と、
DTNBP1、NRG1、DAO、DAOA、RGS4、CAPON、PPP3CC、TRAR4、VCFS、COMT、PRODH、DHHC、ZDHHC8、DISC1及びGRM5からなる群より選択される1以上の統合失調症の感受性遺伝子、
Tsc1、Tsc2、Fmr1、Ube3a、Reln、Nlgn3、Foxp2、Cntnap2、Slc6a4、Gabrb3、Mecp2及びEn2からなる群より選択される1以上の自閉症関連遺伝子、
EphrinB、EphB、Sema3A、PlexinA、Sema7A、Itgb1、Netrin1、Slit1、Robo2、Cxcl12、Cxcr4、NetrinG、NGL1、Unc5からなる群より選択される1以上の軸索ガイダンス関連遺伝子、
Foxg1、Emx1、Emx2、Nkx2.1、Otx1、Otx2、En1、Gbx2、Hoxb1及びHoxa2からなる群より選択される1以上の脳セグメンテーション関連遺伝子、
Snca、Uchl1、Apoe、Park7、Apbb1、Bcl2、Ube2l1、Ubqln1、Bax、Cdk5、Ubb、Als2、Gtf2a1、Bace1、App、Psen1、Ide、Ccs、Sod1及びGpx1からなる群より選択される1以上の神経疾患関連遺伝子、
Nanog、Klf4、Zfp42、Pou5f1、Fgfr1、Nestin、Tuj1、Map2、Olig2、Gfap、Raf1、Atbf1、Pla2g6、Cdyl、Mapk3、Shc1、Hras1、Rps6ka1、Mapk1、Smarcad1、Gbx2、Sall1、Map2k1、Fos及びRif1からなる群より選択される1以上の神経発達関連遺伝子、
Th、Slc6a3、Snca、Ube1、Ubch7、Park2、Uch1、Park7、Casp9、Casp3及びCasp7からなる群より選択される1以上のパーキンソン病関連遺伝子、及び/又は
App、Bace、Psen、ApoE、Ide、Mme、Il1r1、Tnfrsf1a、Casp3及びCasp7からなる群より選択される1以上のアルツハイマー病関連遺伝子との組合わせである、請求項7に記載の胎生プログラミングに対する影響を測定するための方法。
【請求項9】
上記細胞形態が、ニューロスフィアの面積、ニューロスフィアの真円率、ニューロスフィアの個数、細胞数、核の面積、ニューロスフィアの円周、神経突起の長さ、神経突起の交差点の個数及び神経突起の分岐点の個数である、請求項7に記載の胎生プログラミングに対する影響を測定するための方法。
【請求項10】
上記細胞形態の測定を、マルチチャンネル細胞画像解析装置によって行う、請求項9に記載の胎生プログラミングに対する影響を測定するための方法。
【請求項11】
請求項6に記載の方法によって得られた上記遺伝子発現量及び上記細胞形態の測定値を、サンプルで処理しない場合か又は胎生プログラミングに対する影響が知られている物質についての測定値と対比する、胎生プログラミングに対する影響を評価するための方法。
【請求項12】
上記胎生プログラミングに対する影響を、ベジアンネットワークシステムを用いて評価する、請求項11に記載の胎生プログラミングに対する影響を評価するための方法。
【請求項13】
請求項6に記載の方法によって得られた上記遺伝子発現量及び上記細胞形態の測定値を、胎生プログラミングに対する影響が知られている物質についての測定値と対比することを含む、病変リスクを予測するための方法。
【請求項14】
請求項6に記載の方法によって得られた上記遺伝子発現量及び上記細胞形態の測定値を、サンプルで処理しない場合の測定値と対比する、胎生プログラミングに対する影響を有する物質をスクリーニングするための方法。
【請求項15】
上記胎生プログラミングに対する影響を有する物質が、環境化学物質、医薬品又は農薬である、請求項14に記載のスクリーニングするための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−227079(P2010−227079A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81497(P2009−81497)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(501273886)独立行政法人国立環境研究所 (30)
【Fターム(参考)】