説明

胸郭スタビライザ

患者を支えるプラットフォームと、患者の胸壁の各側と接触して胸壁の虚脱を抑制する力を付加する一対の横断方向支持体とを含む前胸壁虚脱抑制用の胸郭スタビライザが提供される。横断方向支持体から付加される力は患者がプラットフォームに加える力によって変化する。胸郭スタビライザは胸壁虚脱を測定するリトラクトメーターを有する。1実施例では胸郭スタビライザは、リトラクトメーターによる胸壁虚脱測定値に基づき、閉ループ様式下に胸壁に付加する力を変化させるアルゴリズムを使用するコントローラーを含む。1実施例では胸郭スタビライザは横断方向支持体を移動させるモーターを含む。ある実施例では胸郭スタビライザは流体圧システムと、膨張自在の流体充填型部材を含む横断方向支持体とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前胸壁虚脱抑制用の胸郭スタビライザに関する。
【背景技術】
【0002】
胸壁が不安定化する原因は年齢層によってさまざまであるが、小児集団であれ成人集団であれ、前胸壁の安定化が必要となる。
小児集団の場合、胸壁に関する肺コンプライアンスの著しい低下は、特に未熟児の場合は肺動脈弁閉鎖不全症の発症原因となる。肺の、胸壁外方に関する内方戻りが大きくなって胸壁を横断する力のバランスが崩れると静止状態の肺気量が低下する。更には、新生児の場合は胸郭が完全には骨化しておらず呼吸筋も未発達なので胸壁は吸気時に内方に変形しやすい。呼吸努力は一回換気量の有効交換よりはむしろ胸壁変形に費やされる。呼吸時胸壁変形の特徴は、剣状突起−胸骨交叉部位置での前方−後方移動(前方虚脱)、肋間又は肋間内での内方移動(肋間虚脱)、胸郭下部の下方での内方移動(肋骨下虚脱)、胸壁及び腹腔間での非同時/異常動作、が様々な度合いで生じることである。
【0003】
小児集団に対しては、前胸壁虚脱を緩和させ、肺容積を増大させて有効呼吸を促進させる外科治療や呼吸治療が行われてきている。呼吸窮迫症候群を持つ新生児の場合、“剣状突起フック”法、胸郭外圧力(CNP)法、経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)によって前胸壁虚脱が緩和され、呼吸指数が改善することが示されたが、外科的手法には組織の易損性に関わる問題があり、CNP換気法は代表的には複雑な換気ユニット、気密シールを必要とし、しかも悪影響(例えば、胃や腸の膨張)を伴うという難点がある。鼻カニューレ又は鼻プロング(NCPAP)を用いるCPAP法は新生児の自発呼吸時の圧力を維持して肺容積や酸素化を改善し、胸壁変形を低減させる最も一般的な手法であるが、NCPAP法は、口開け又は鼻プロングのフィット不良、鼻外傷のみならず腹部膨張にって陽圧呼吸が乱れたり消失するといった合併症を伴うという主な理由から完璧に良性のものではない。終末呼気陽圧(PEEP)法では機械的換気中の肺容積及び比較的弛緩した胸壁を支持するが、高いPEEPは心拍出量を減衰させ、換気−血流比のミスマッチや人工呼吸起因性肺障害を生じる一因となる。
【0004】
成人集団の場合、肺合併症を伴う前胸壁不安定化を引き起こす神経筋系障害や筋骨格系障害のような臨床症状が数多く存在する。例えば、急性の胸壁動揺、多発肋骨骨折(flail chest)は、肺の急性原疾患に関連する障害を伴う重篤な胸部外傷の最も一般的なものの一つであるが、胸壁動揺、多発肋骨骨折は、これまでは3本又はそれ以上の肋骨が夫々2カ所又はそれ以上の部分で前側や後側に分節骨折することで生じる胸壁セグメントの奇異動作であり、この動作で肺が膨張することは無いと説明されてきた。1950年代末期以降の急性介入法には、患部を“きつく縛”って動揺性の動きを拘束し、動揺区画を下側にして患者を寝かせ、呼気時に患部が外側に奇異移動するのを防止すること、タオル鉗子を肋骨区画の周囲に牽引配置して胸郭を安定させること、挿管による陽圧換気を実施して胸郭を拡幅させること、治療の最有効化を図る上で、分節骨折した肋骨の両端を安定化させなければならない外科的アプローチを実施すること、が含まれる。しかしながら、胸壁動揺、多発肋骨骨折を煩う患者の長期傷病率は22%と高く、その63%以上が胸郭の断続的な痛み、胸郭変形、運動時呼吸困難、を含む長期傷害保持者である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前胸壁虚脱を抑制するための胸郭スタビライザを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1様相によれば、プラットフォームと、一対の横断方向支持体とを含む、前胸壁虚脱抑制用の胸郭スタビライザが提供される。プラットフォームは、患者がプラットフォームに力を加えられるように患者の少なくとも一部を支持するようになっており、横断方向支持体は、患者の胸壁の各側に接触して配置され、胸壁の前部虚脱を抑制する力を胸壁に加える。横断方向支持体が胸壁に付加する力は患者がプラットフォームに加える力に応じて変化する。
一実施例では胸郭スタビライザは、胸壁虚脱を測定するようにした虚脱測定器又はリトラクトメーター(retractometer)を含む。横断方向支持体が胸壁に付加する力の大きさは、胸壁虚脱度合いのみならず患者がプラットフォームに加える力に応じるが、ある実施例では、胸郭スタビライザはリトラクトメーターの胸壁虚脱測定値に基づいて胸壁に付加する力を閉ループ様式下に変化させるコントローラを含む。
【0007】
ある実施例では胸郭スタビライザは、横断方向支持体をプラットフォームに関して移動させるための、横断方向支持体に連結したモーターを含み、他の実施例では胸郭スタビライザが流体圧システムを含み、この流体圧システムに横断方向支持体が連結され、拡開すると胸壁に力を加える構成の拡開自在の流体充填部材を含む。
本発明のある様相では胸郭スタビライザは、プラットフォームと、左右の各横断方向支持体と、リトラクトメーターと、プラットフォーム及び各横断方向支持体に関連する各コントローラ及び各センサと、を含む。プラットフォームに関連するセンサが、患者がプラットフォームに加える力を表す信号を発生し、横断方向支持体に関連するセンサが、横断方向支持体が境壁に加える力を表す信号を発生し、そしてリトラクトメーターが胸壁の虚脱度合いを表す信号を発生する。これらの信号を受けたコントローラは、患者がプラットフォームに加える力と胸壁虚脱度合いとに応じ、横断方向支持体が胸壁に付加する力をそのアルゴリズムに基づいて設定する。
【発明の効果】
【0008】
前胸壁虚脱を抑制するための胸郭スタビライザが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
同じ参照番号は同じ構成要素を表す図面を参照するに、図1には胸壁が、フープ様式下に連続する全体に円形の構造として概略例示されている。以下に詳しく説明するように、本発明によれば、患者の体重(図で矢印Fw)を支え且つ胸壁の各側に横断方向力(矢印FL)を付加する装置が提供される。患者に横断方向力FLが加わると、胸壁の周囲に連続させたフープ構成を介して前胸壁に垂直方向の力(矢印Fv)が付加され、胸壁に付加された垂直方向力(矢印Fv)が呼気中の胸壁虚脱(矢印FR)動作を打ち消す。本発明によれば、胸壁との接触状態を維持するための特別のフィッティング又は接着材が不要で、携帯性及び自己適応性を有し、簡単に扱えてしかも安価な矯正器具によって胸郭が安定化される。
【0010】
前胸壁を安定させる横断方向力を胸壁に加えるようになっている多数の装置実施例があり、各装置は、機械式、流体圧式、流体又は電動式の各構成部品を含み得る。ある構成部品、例えば横断方向支持体は各実施例で共通とし得、パッド、クッション、弾性バンド、ゲル、粘弾性フォーム材、水充填壁、等を含み得る。虚脱の重篤度を監視する前胸壁センサ(リトラクトメーター)は本来、機械式、電動式、流体圧式、又は空気圧式とし得、ギヤシャフト/バネ負荷式ギヤアセンブリに装着したソフトパッド材を含み得る。バネ負荷式ギヤアセンブリから、胸壁変形に応答して機械的又は電気的信号を発生させ得る。例えば、胸壁が下方に虚脱するとギヤシャフトが下方に伸びてギヤアセンブリが旋回するようにし得、他の実施例ではリトラクトメーターが、剣状突起と胸骨との交叉部に配置した側方ポートでチューブ内圧力を測定するように胸壁の周囲に巻き付けたガス充填チューブを含み得る。あるいはリトラクトメーターが剣状突起と胸骨との交叉部位置に位置決めしたノズルを含み得、その場合は胸壁が内側に引き込まれるに従いチューブ又はノズル内圧力が低下する。リトラクトメーターからの出力は機械的、空気圧的、又は電気的なものであり得る。
【0011】
以下に説明するように各実施例では、部分的には患者の体重に、そして部分的には、リトラクトメーターで測定したような前胸壁の虚脱度合いに基づくアルゴリズムに従って患者の胸壁に横断方向力を付加し、虚脱度合いを好ましくはほぼゼロに低減させる。リトラクトメーターからのフィードバック信号は各実施例によって機械的、流体圧的、空気圧又は電気的なものであり得る。胸郭スタビライザで使用するアルゴリズムはリトラクトメーターからのフィードバック信号に基づいてFLを比例、積分又は微分算出する。
図2を参照するに、本発明の第1実施例に従う胸郭スタビライザが示される。胸壁1を有する患者が円で略示され、その体重FWがプラットフォーム上に支持されている。胸郭スタビライザはプラットフォーム内に位置付けた力トランスデューサー2と、マイクロプロセッサ(例えばCPU)3と、患者の前胸壁の虚脱度合いを測定するリトラクトメーター4とを含み、更には、横断方向支持体6をプラットフォームに関する内方に移動させて胸壁1に横断方向力を付加するようにしたサーボモーター5をも含む。力トランスデューサー2は患者の体重FWが加わると信号を発生し、発生した信号はマイクロプロセッサ3に送られる。
【0012】
図3の流れダイヤグラムには図2の胸郭スタビライザの作動状況が示される。マイクロプロセッサ3が力トランスデューサー2からの体重情報を比較処理し、部分的には患者の体重(例えばkFW)に、また部分的にはリトラクトメーターによる胸壁虚脱測定値に基づくアルゴリズムに従い、患者の胸壁に付加するべき横断方向力FLの設定値を決定する。
マイクロプロセッサ3からの出力によりサーボモーター5が横断方向支持体6を内方に移動させ、横断方向力FLを胸壁の側部に付加する。横断方向支持体6の付加する横断方向力FLが力センサ7によって監視され、力センサからマイクロプロセッサ3にフィードバック信号が送られる。リトラクトメーター4及び力センサ7からの各フィードバック信号に応答してマイクロプロセッサのアルゴリズムが閉ループ様式下に横断方向力FLを変調し、リトラクトメーター4の胸壁虚脱測定値をほぼゼロに低減させる。マイクロプロセッサ3で使用するアルゴリズムは、胸壁の各側に付加される横断方向力(FL)が、寝た姿勢の患者の体重から横断方向の各胸壁に付加される力よりも大きくならないように抑制することが好ましい。
【0013】
図2に示す実施例は、横断方向支持体を駆動するサーボモーターに電気信号を送る構成を有し、電気式実施例として参照される。図4を参照するに、本来機械式の、本発明の別態様の実施例としての胸郭スタビライザが例示される。この機械式実施例では、患者の体重(FW)から胸郭スタビライザのプラットフォーム101に付加される下向きの力が垂直軸102を介してギヤ駆動システム103に送られる。ギヤ駆動システム103は、各ギヤ歯が相互に歯合して、その1つのみを図示する横断方向支持体104の各々に横断方向力(FL)を加えるように回転する。図では右側の胸壁支持体がギヤ駆動システム103に取り付けられ、この胸壁支持体がFWの関数として(即ち、付加される力はギヤ直径やギヤ歯数のようなギヤシステムの特徴と関連する)横断方向支持体を内方に引き寄せる。
【0014】
図4の胸郭スタビライザは前胸壁虚脱度合いを測定するリトラクトメーター109を含み、更には、伝達機構(例えば一連のギヤ)107と、ギヤ駆動システム103とリトラクトメーター109との間に連結したマイクロプロセッサ108とを含む。マイクロプロセッサ108は、リトラクトメーター109からの信号に応答して、伝達機構107及びギヤ駆動システム103を介してFL値を患者の体重や虚脱度合いとに関連して調節(比例、積分又は微分により)するアルゴリズムを使用する。リトラクトメーター109は先に説明したようなギヤシャフト/ギヤアセンブリを含み得る。本実施例ではリトラクトメーターからのフィードバック信号は、虚脱測定値が好ましくはほぼゼロに低減する際のリトラクトメーターのギヤシャフト動作に基づく機械的力又は機械的変位の大きさを表す。先に説明した電気式実施例の場合と同様に、機械式胸郭スタビライザはFWに付加される可能性のあるFL(即ち、寝た姿勢の患者の体重から横断方向の胸壁に付加される力)を抑制するようになっていることが好ましい。
【0015】
図5には本発明に従う別態様の、本来流体圧式の胸郭スタビライザが例示される。この流体圧式実施例では患者の体重(FW)による下向きの力がプラットフォームに埋設したピストン202を介して伝達される。ピストンが流体充填型シリンダ203を圧縮し、この流体充填型シリンダが、チャンネル204を介して、膨張収縮自在の弾性壁で形成した流体充填型の横断方向支持体205内に流体を送る。横断方向支持体は摺動側壁206に装着され、この摺動側壁が、収縮状態の横断方向支持体が患者の胸壁と接触するように予め好ましく設定される。流体圧式の、ピストン及び流体充填型シリンダは、流体の排斥量によって胸壁に横断方向力が付加されるような構成とされる。横断方向力FLの大きさは、部分的にはリトラクトメーター207(例えば、胸部動作センサ)による前胸壁虚脱測定値に基づいて、また部分的には患者の体重FWに基づいて決定する。流体充填型シリンダ203及び横断方向支持体205に夫々埋設した流体センサ208、209は、これらの各構成部品内の圧力を変換するようになっている。各流体センサは本来、電子的、流体圧又は流体回路的な信号を変換し得る。マイクロプロセッサ210は、付加するFLを、リトラクトメーター207及び流体センサ208、209からのフィードバック信号に基づいて決定(比例積分又は微分により)するアルゴリズムを使用する。ある実施例ではフィードバック信号を、システム内の流体を、例えばFL=(A2/A1)FWのように患者の体重と前胸壁虚脱度合いとに比例させることで、また各側に付加される横断方向力がFWを越えないようにして排斥させることで横断方向力を調整し、それにより、寝た姿勢の患者の横断方向の胸壁に付加される正味の力を抑制するために使用する。
以上、本発明を実施例を参照して説明したが、本発明の内で種々の変更をなし得ることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に従い胸壁虚脱を抑制する力を胸壁に加える状況を例示する胸壁の概略断面図である。
【図2】本発明の第1実施例に従う胸郭スタビライザの正面図である。
【図3】図2の胸郭スタビライザの操作上の流れダイヤグラム図である。
【図4】本発明の第2実施例に従う胸郭スタビライザの正面図である。
【図5】本発明の第3実施例に従う胸郭スタビライザの正面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 胸壁
2 力トランスデューサー
3 マイクロプロセッサ
4 リトラクトメーター
5 サーボモーター
6 横断方向支持体
7 力センサ
101 プラットフォーム
102 垂直軸
103 ギヤ駆動システム
104 横断方向支持体
107 伝達機構
108 マイクロプロセッサ
109 リトラクトメーター
202 ピストン
203 流体充填型シリンダ
204 チャンネル
205 横断方向支持体
206 摺動側壁
207 リトラクトメーター
208、209 流体センサ
210 マイクロプロセッサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胸壁虚脱抑制用の胸郭スタビライザであって、
プラットフォームにして、患者が該プラットフォームに力を付加するようにして患者の少なくとも一部を支えるようになっているプラットフォームと、
患者の胸壁の各側と接触して配置され、前胸壁の虚脱を抑制する力を胸壁に付加する一対の横断方向支持体にして、該横断方向支持体が胸壁に付加する力が、患者がプラットフォームに付加する力によって変化する胸郭スタビライザ。
【請求項2】
患者の前胸壁の虚脱を測定するようになっているリトラクトメーターを更に含む請求項1の胸郭スタビライザ。
【請求項3】
横断方向支持体が胸壁に付加する力の大きさが、リトラクトメーターによる胸壁虚脱測定度合いに応じたものである請求項2の胸郭スタビライザ。
【請求項4】
横断方向支持体が胸壁に付加する力の大きさを制御するコントローラーを更に含む請求項3の胸郭スタビライザ。
【請求項5】
コントローラーが、横断方向支持体が胸壁に付加する力をリトラクトメーターによる胸壁虚脱測定に基づいて閉ループ様式下に変化させる請求項4の胸郭スタビライザ。
【請求項6】
横断方向支持体をプラットフォームに関して移動させる、横断方向支持体に連結したモーターを更に含む請求項1の胸郭スタビライザ。
【請求項7】
プラットフォームに連結した力トランスデューサーにして、患者がプラットフォームに加えた力を表す信号をコントローラーに伝達するようになっており、コントローラーが、力トランスデューサーからの信号と、リトラクトメーターによる胸郭虚脱測定とに基づいて、横断方向支持体が付加する力を設定するようになっている請求項4の胸郭スタビライザ。
【請求項8】
コントローラーがマイクロプロセッサを含み、横断方向支持体が胸壁に付加する力がマイクロプロセッサのアルゴリズムに従い制御される請求項7の胸郭スタビライザ。
【請求項9】
横断方向支持体が胸壁に付加した力を表す信号をコントローラーに伝達する、横断方向支持体に連結した力センサを更に含む請求項4の胸郭スタビライザ。
【請求項10】
モーターと横断方向支持体との間に連結した伝達機構を更に含む請求項6の胸郭スタビライザ。
【請求項11】
流体圧システムを更に含み、横断方向支持体が、該流体圧システムに連結され且つ膨張して胸壁に力を付加するようになっている膨張自在の流体充填型部材を含む請求項1の胸郭スタビライザ。
【請求項12】
流体圧システムがピストンと、プラットフォームと横断方向支持体との間に連結した流体充填型のシリンダとを含み、ピストンが、患者がプラットフォームに力を付加するのに応答して流体充填型のシリンダを圧縮して横断方向支持体の膨張自在の流体充填部材を膨張させるようになっている請求項11の胸郭スタビライザ。
【請求項13】
患者の前胸壁虚脱を抑制するための胸郭スタビライザであって、
プラットフォームにして、患者が該プラットフォームに力を付加するようにして患者の少なくとも一部を支えるようになっているプラットフォームと、
プラットフォームと関連され且つ患者がプラットフォームに力を付加したことを表す信号を発生するようになっているセンサと、
左右の各横断方向支持体にして、患者の胸壁の左右の各側と接触して前胸壁の虚脱を抑制する力を胸壁に付加する横断方向支持体と、
横断方向支持体に関連され且つ横断方向支持体が胸壁に付加する力を表す信号を発生するようになっているセンサと、
患者の前胸壁虚脱を測定するようになっており、胸壁虚脱を表す信号を発生するようになっているリトラクトメーターと、
横断方向支持体が胸壁に付加する力を制御するコントローラーにして、横断方向支持体の各センサと、プラットホームのセンサと、リトラクトメーターとに、各信号を受けるために作動上接続したコントローラーと、
を含み、
前記コントローラーが、患者がプラットホームに付加した力と、胸壁虚脱度合いとに応じて、横断方向支持体が胸壁に付加する力を該コントローラーのアルゴリズムを使用して設定するようになっている胸郭スタビライザ。
【請求項14】
コントローラーが、リトラクトメーターによる胸壁虚脱測定値の度合いの変化に基づき、横断方向支持体が胸壁に付加する力を閉ループ様式下に変化させて胸壁虚脱を実質的に排除するようになっている請求項13の胸郭スタビライザ。
【請求項15】
横断方向支持体をプラットフォームに関して移動するべく横断方向支持体に作動上連結したモーターを更に含む請求項13の胸郭スタビライザ。
【請求項16】
横断方向支持体が、流体圧システムに連結され且つ膨張すると胸壁に力を付加するようになっている、膨張自在の、流体充填型部材を更に含む請求項13の胸郭スタビライザ。
【請求項17】
患者の前胸壁の治療方法であって、
胸郭スタビライザにして、患者の少なくとも一部分を支えるためのプラットフォームを含み、該プラットフォームが、患者が該プラットフォームに力を付加するように患者を支え、患者がプラットフォームに付加した力を表す信号を発生する力トランスデューサーを含み、胸郭スタビライザが、患者の胸壁の横断方向各側と接触し且つ胸壁に力を付加するようになっている一対の横断方向支持体を含む胸郭スタビライザを提供すること、
患者の前胸壁虚脱を測定するようになっているリトラクトメーターを提供すること、
横断方向支持体を制御して該横断方向支持体が胸壁に付加する力を設定するようになっているコントローラーにして、横断方向支持体を使用して胸壁に付加する力を、患者がプラットフォームに付加する力と、胸壁虚脱の度合いとに基づいて決定するアルゴリズムを含むコントローラーを提供すること、
患者の一部がプラットフォームにより支えられるように患者を位置決めすること、
リトラクトメーターを使用して、患者の胸壁虚脱の度合いを測定すること、
力トランスデューサーを使用して患者がプラットフォームに付加する力の大きさを測定すること、
コントローラーのアルゴリズムを使用して、横断方向支持体が胸壁に付加する力を設定すること、
リトラクトメーターを使用して、低減された胸壁虚脱度合いを測定すること、
測定された低い胸壁虚脱測定値に基づき、コントローラーのアルゴリズムを使用して胸壁に付加する力を調節すること、
低減された胸壁虚脱度合いの測定と、胸壁に付加する力を調節する各段階を閉ループ様式下に反復して胸壁の虚脱を実質的に排除すること、
を含む患者の前胸壁の治療方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−513252(P2009−513252A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537795(P2008−537795)
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/040881
【国際公開番号】WO2007/050424
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(591135163)テンプル・ユニバーシティ−オブ・ザ・コモンウェルス・システム・オブ・ハイアー・エデュケイション (11)
【氏名又は名称原語表記】TEMPLE UNIVERSITY−OF THE COMMONWEALTH SYSTEM OF HIGHER EDUCATION
【Fターム(参考)】