説明

脂肪組織の冷却のような皮下脂質リッチ細胞の冷却の監視

【課題】皮下脂質リッチ細胞から熱を除去するための処置装置、システム及び方法を提供する。
【解決手段】皮下脂質リッチ組織から熱を除去する間に事象を監視し、制御し、及び/又は検出するためのシステム及び方法が開示される。ある実施例において、システムは、対象者の皮膚に接触する処置装置における温度上昇を検出し、その温度上昇が処置事象に関係していることを決定し、そしてその決定に基づいてアクションを遂行する。ある実施形態では、システムは、処置装置を遮断し、オペレータに警告し、又は決定された処置事象に応答して冷却を減少する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、皮下脂質リッチ細胞のような脂質リッチ細胞から熱を除去するための処置装置、システム及び方法に係る。
【0002】
共通所有出願の参考による援用
以下の共通に譲渡された米国特許出願は、参考としてここにそのまま援用される。
2007年5月18日に出願された“METHOD OF ENHANCED REMOVAL OF HEAT FROM SUBCUTANEOUS LIPID-RICH CELLS AND TREATMENT APPARATUS HAVING AN ACTUATOR”と題する米国特許出願第11/750,953号;
“FREEZING METHOD FOR CONTROLLED REMOVAL OF FATTY TISSUE BY LIPOSUCTION”と題する米国特許第6,032,675号;
“CRYOPROTECTANT FOR USE WITH A TREATMENT DEVICE FOR IMPROVED COOLING OF SUBCUTANEOUS LIPID-RICH CELLS”と題する米国特許公告第2007/0255362号;
“COOLING DEVICE FOR REMOVING HEAT FROM SUBCUTANEOUS LIPID-RICH CELLS”と題する米国特許公告第2007/0198071号;“COOLING DEVICES WITH FLEXIBLE SENSORS”と題する米国特許公告第2008/0077201号;
“COOLING DEVICE HAVING A PLURALITY OF CONTROLLABLE COOLING ELEMENTS TO PROVIDE A PREDETERMINED COOLING PROFILE”と題する米国特許公告第2008/0077211号;
2007年10月31日に出願された“METHOD AND APPARATUS FOR COOLING SUBCUTANEOUS LIPID-RICH CELLS OR TISSUE”と題する米国特許出願第11/933,066号;
2007年7月13日に出願された“LIMITING USE OF DISPOSABLE PATIENT PROTECTION DEVICES”と題する米国特許出願第11/777,995号;
2007年7月13日に出願された“SYSTEM FOR TREATING LIPID-RICH REGIONS”と題する米国特許出願第11/777,992号;
2007年7月13日に出願された“MANAGING SYSTEM TEMPERATURE TO REMOVE HEAT FROM LIPID-RICH REGIONS”と題する米国特許出願第11/777,999号;
2007年7月13日に出願された“SECURE SYSTEM FOR REMOVING HEAT FROM LIPID-RICH REGIONS”と題する米国特許出願第11/778,003号;及び
2007年7月13日に出願された“USER INTERFACES FOR A SYSTEM THAT REMOVES HEAT FROM LIPID-RICH REGIONS”と題する米国特許出願第11/750,953号;
“TISSUE TREATMENT METHODS”と題する米国特許公告第2008/0077202号。
【背景技術】
【0003】
例えば、大腿部、臀部、腹部、膝、背中、顔、腕、顎、及び他の領域を含む身体の種々の場所に、過剰な体脂肪又は脂肪組織が存在することがある。更に、過剰な脂肪組織は、皮下脂肪が真皮へと突出してくぼみを形成し皮膚がその下の構造繊維ストランドに取り付けられるときに生じるセルライトの美しからぬ見掛けを増大すると考えられる。セルライト及び過剰量の脂肪組織は、多くの場合、魅力的でないと考えられる。更に、より多量の過剰体脂肪には、著しい健康上の危険が関連することがある。
【0004】
過剰な体脂肪を有する個人の処置に使用され、多くの場合、過剰皮下脂肪組織の非侵襲的除去に使用されている種々の方法は、リポサクションのような侵襲的な手順に関連した不必要な回復時間及び不快感をなくすことができる。過剰な体脂肪を除去するための従来の非侵襲的処置は、典型的に、話題の薬品、減量薬剤、規則的運動、ダイエット、又はこれらの処置の組合せを含む。これら処置の1つの欠点は、ある環境のもとでは有効でないか又は不可能なこともある点である。例えば、個人が肉体的に怪我をしているか又は病気であるときには、規則的な運動は選択肢となり得ない。同様に、減量薬剤又は話題の薬品は、アレルギー反応や否定的反応を引き起こすときには、選択肢にならない。更に、個人の身体の選択的領域における脂肪損失は、多くの場合、一般的又は系統的減量方法を使用して達成することはできない。
【0005】
皮下脂肪組織を減少するように構成された他の方法は、レーザー支援リポサクション及びメソセラピーを含む。新規な非侵襲的方法は、例えば、米国特許公告第2006/0036300号及び米国特許第5,143,063号に説明されたような高周波及び/又は光エネルギーを経て、或いは米国特許第7,258,674号及び第7,347,855号に説明されたような高強度収束超音波(HIFU)放射を経て、皮下脂質リッチ細胞へ放射エネルギーを印加することを含む。対照的に、冷却により皮下脂肪組織を非侵襲的に減少する方法及び装置が、参考としてここに援用するアンダーソン氏等の“METHODS AND DEVICES FOR SELECTIVE DISRUPTION OF FATTY TISSUE BY CONTROLLED COOLING”と題する米国特許第7,367,341号、及びアンダーソン氏等の“METHODS AND DEVICES FOR DETECTION AND CONTROL OF SELECTIVE DISRUPTION OF FATTY TISSUE BY CONTROLLED COOLING”と題する米国特許公告第2005/0251120号に開示されている。
【発明の概要】
【0006】
添付図面において、同様の要素又は動作が同じ参照番号で示されている。図面における要素のサイズ及び相対的な位置は、必ずしも、正しいスケールで描かれていない。例えば、種々の要素の形状及び角度は、正しいスケールで描かれておらず、これら要素の幾つかは、見易さを改善するために任意に拡大され位置付けられている。更に、図示された要素の特定の形状は、その特定の要素の実際の形状に関する情報を伝えることを意図しておらず、図面中で確認を容易にするために選択されたに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】一実施形態により患者の皮下脂質リッチ領域を処置するための処置システムを概略的に示す斜視図である。
【図2】一実施形態により患者の皮下脂質リッチ領域を処置するための処置装置を示す概略図である。
【図3】一実施形態により患者の皮下脂質リッチ領域を処置するための制御装置のサブコンポーネントを示すブロック図である。
【図4】一実施形態により患者の皮下脂質リッチ領域の処置を制御するためのルーチンを示すフローチャートである。
【図5A】患者の皮下脂質リッチ領域の処置中に対象者の処置事象の検出を示すグラフである。
【図5B】患者の皮下脂質リッチ領域の処置中に対象者の処置事象の検出を示すグラフである。
【図5C】患者の皮下脂質リッチ領域の処置中に対象者の処置事象の検出を示すグラフである。
【図6】患者の皮下脂質リッチ領域の処置中に凍結事象を検出するためのルーチンを示すフローチャートである。
【図7】患者の皮下脂質リッチ領域の処置中に処置事象を検出するためのルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
概略
脂肪組織のような皮下組織の(冷却を含む)処置を監視しそして閉ループ制御するための装置、システム及び方法を説明する。以下に述べる多数の細部は、当該分野の当業者が以下の実施例及び方法を実施し、形成しそして使用できるに充分な仕方でそれらを説明するために与えられたものである。しかしながら、以下に述べる多数の細部及び効果は、この技術のある実施例及び方法を実施するのに必要ないことがある。更に、この技術は、特許請求の範囲内に含まれるが詳細に説明されない他の実施例及び方法を含んでもよい。
【0009】
本明細書全体にわたり「1つの実施例」「一実施例」「1つの実施形態」又は「一実施形態」というときは、その実施例に関連して述べた特定の特徴、構造又は特性が本技術の少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。従って、本明細書全体にわたり種々の場所に「1つの実施例」「一実施例」「1つの実施形態」又は「一実施形態」という句が現れたときは、必ずしも全てが同じ実施例を指していない。更に、特定の特徴、構造、ルーチン、ステップ又は特性は、その技術の1つ以上の実施例において適当な仕方で組み合わせることができる。ここに設けた見出しは、便宜上のものに過ぎず、請求項に述べた技術の範囲又は意味を限定し又は解釈するためのものではない。
【0010】
ここに述べるシステム及び方法は、対象者の皮下脂質リッチ細胞を処置するのに使用される処置装置に関連した監視、制御、及び/又は検出処置事象に向けられる。このようなシステム及び方法の特定の実施形態は、対象者の皮下脂質リッチ細胞から熱を除去するのに使用される処置装置に関連した監視、制御及び/又は検出処置事象に向けられる。システムのある実施例において、処置装置は、皮膚のある場所に冷却を直接適用する。適切な制御を行わないと、又は予期しない環境のために、冷却処置のような処置は、完全成功に達しないことがある。例えば、冷却処置は、皮膚の凍結を開始し又は生じさせることがあり、処置装置は、患者における望ましい位置から動くことがあり、及び/又は処置のクオリティが指定の標準又はスレッシュホールドより低いことがある。従って、対象者が、とりわけ冷却処置のような処置中に生じ得る種々の事象を検出できる装置及び関連システムから処置を受けることが望まれる。
【0011】
ある実施例において、システムは、冷却処置のような処置中に事象を検出し、その検出に基づいて1つ以上のアクションをとり、例えば、処置装置に供給される電力を遮断又は減少し、さもなければ、別の処置を可能にし又は開始し、例えば、皮膚を温め、処置装置のオペレータに事象について警告し、処置に関するデータ及び他の情報をログし、等々を行う。
【0012】
ある実施例において、システムは、皮膚又はその下の組織の温度の上昇を検出することにより処置事象の発生を決定する。システムは、皮膚に接触する処置装置の温度を監視し、そして処置装置又は装置の一部分の温度が上昇したときに皮膚における処置事象の発生を決定することができる。例えば、システムは、皮膚に直接接触する処置装置の一部分が温度上昇したときに処置事象の発生を決定することができる。
【0013】
温度上昇の大きさ及び/又は率は、処置事象の形式に関する情報を与えることができる。例えば、測定された温度上昇の第1の範囲は、凍結事象を指示し、一方、第2のそのような範囲は、処置装置の移動事象を指示する。
【0014】
ある実施例において、システムは、更に、処置装置の場所及び/又は移動を監視し、そのような監視に基づいて処置事象の偽の決定又は不正確な決定を防止することができる。例えば、装置が処置中に移動して、装置を皮膚の温かい領域に接触させたり、皮膚にもはや接触しないようにさせたり、等々のことがある。即ち、システムは、正常な処置と矛盾するような温度差を登録することができる。又、システムは、この温度上昇と、処置事象に関連した温度上昇との間を区別し、そして例えば、この温度上昇の原因をオペレータに警告するための指示又はアラームを与えるように構成できる。処置事象に関連しない温度上昇の場合、システムは、偽の指示を抑制することもできるが、凍結に関連した温度上昇の場合には、本明細書のどこかに述べるようにその検出に基づいて多数のアクションをとることができる。
【0015】
ある実施例では、システムは、冷却処置中に、例えば、装置が最初にターゲット温度に冷却されたとき、又は装置がターゲット位置との接触を失ったとき、処置事象をより正確に決定するために2つ以上の温度測定に依存する。あるケースでは、システムは、皮膚に接触する装置の一部分のような装置の接触層内の温度変化を識別することができる。更に、システムは、温度センサのような、冷却の役割を果たすコンポーネント内、又は接触層を希望温度へ冷却して皮下組織の希望の冷却を行うサーモエレクトリッククーラー付近の温度変化を識別することができる。次いで、システムは、両温度変化に基づいて処置事象を決定することができる。又、システムは、共通の層内に横方向に離間された温度センサを使用して判断を行うこともできる。
【0016】
適当な処置システム
図1及び以下の説明は、本開示の態様を具現化できる適当な処置システム100の簡単な一般的説明である。当業者であれば、本開示は、侵襲的、最小侵襲的、他の非侵襲的医療処置システム、及び/又は患者を処置する1つ以上の前記システムの組合せを含めて、他の処置システム及び処置プロトコルで実施できることが明らかであろう。一般に、ここで使用する「処置システム」という語は、医療処置及び処置形態又は医療装置用途の前記システムカテゴリーのいずれかを指す。
【0017】
処置システム100は、例えば、冷却により対象者の皮下脂肪組織を処置するのに適している。「皮下組織」という語は、真皮の下に横たわる組織で、主として脂質リッチ細胞又は脂肪細胞より成る皮下脂肪又は脂肪組織を含む。皮下組織を37°未満の温度に冷却すると、皮下脂質リッチ細胞に選択的に影響を及ぼすことができる。一般的に、患者101の表皮又は真皮は、脂肪組織を形成するその下の脂質リッチ細胞に比して、脂質リッチ細胞がない。非脂質リッチ細胞は、通常、脂質リッチ細胞より冷たい温度に良く耐えることができるので、真皮、表皮及び他の周囲組織における非脂質リッチ細胞に影響を及ぼすことなく、皮下脂質リッチ細胞に選択的に影響を及ぼすことができる。ある実施形態では、処置システム100は、約−20℃から約20℃の範囲の冷却温度を患者の皮膚に適用することができる。他の実施形態では、冷却温度は、約−20℃から約10℃、約0℃から約20℃、約−15℃から約5℃、約−5℃から約15℃、又は約−10℃から約0℃である。
【0018】
理論で縛られることなく、脂質リッチ細胞に対する冷却の選択的作用は、例えば、細胞膜の撹乱、細胞収縮、無効化、破壊、除去、殺傷、又は他の脂質リッチ細胞変更方法をもたらすと考えられる。このような変更は、単独又は組合せで作用する1つ以上のメカニズムから生じると考えられる。このようなメカニズム(1つ又は複数)は、アポトーシスカスケードをトリガーし、これは、非侵襲的冷却による脂質リッチ細胞死の優勢な形態であると考えられる。
【0019】
「プログラムされた細胞死」とも称されるアポトーシスは、周囲組織にダメージを及ぼすことなく細胞が自爆するという遺伝学的に誘起される死のメカニズムである。順序付けされた一連の生化学的事象は、細胞に形態学的変化を誘起させる。これらの変化は、細胞の泡状突起、細胞膜の非対称性及び取り付けのロス、細胞収縮、クロマチンの凝縮、及び染色体DNA分裂を含む。低温露出(cold exposure)のような外部刺激による傷は、細胞に細胞アポトーシスを誘起することのできる1つのメカニズムである。Nagle, W. A., Soloff, B. L., Moss, A. J. Jr., “Cultured Chinese Hamster Cells Undergo Apoptosis After Exposure to Cold but Nonfreezing Temperatures”Cryobiology 27, 439 - 451 (1990)。
【0020】
細胞壊死(局部的な炎症を生じる細胞死のトラウマ形態)とは対照的なアポトーシスの1つの態様は、アポトーシス細胞が細胞膜の表面に食作用マーカーを表現及び表示し、従って、食作用に対する細胞をマクロファージによってマークすることである。その結果、食細胞は、免疫応答を引き出すことなく、死につつある細胞(例えば、脂質リッチ細胞)を吸収して除去することができる。脂質リッチ細胞にこれらのアポトーシス事象を引き出す温度は、皮下脂肪組織の長期持続及び/又は永久的減少及び再整形に貢献することができる。
【0021】
冷却によるアポトーシス脂質リッチ細胞死の1つのメカニズムは、非脂質リッチ細胞に結晶化を誘起しない温度において脂肪細胞内に脂質の局部的結晶化を伴うと考えられる。結晶化された脂質は、これらの細胞を選択的に傷付け、アポトーシスを誘起することがある(又、結晶化された脂質が脂肪細胞の二脂質膜を損傷又は破壊する場合には壊死も誘起することがある)。傷付ける別のメカニズムは、細胞の二脂質膜内におけるこれら脂質の脂質相遷移を伴い、これは、膜を破壊して、アポトーシスを誘起させる。このメカニズムは、多数の細胞形式について充分文書化されており、脂肪細胞又は脂質リッチ細胞が冷却されたときにアクティブとなる。Mazur, P., “Cryobiology: the Freezing of Biological Systems”Science, 68: 939 - 949 (1970); Quinn, P. J., “A Lipid Phase Separation Model of Low Temperature Damage to Biological Membranes”Cryobiology, 22: 128 - 147 (1985); Rubinsky, B., “Principles of Low Temperature Preservation”Heart Failure Reviews, 8, 277 - 284 (2003)。非脂質リッチ細胞に比して、冷却に対する脂質リッチ細胞の相対的感度に基づき、更に理解されるべき他のアポトーシスメカニズムも存在し得る。
【0022】
脂質リッチ細胞死に関するアポトーシスメカニズムに加えて、局部的低温露出も、脂質リッチ細胞の脂質分解(即ち、脂肪代謝)を誘起すると考えられ、皮下脂質リッチ細胞の減少を更に増やすように働く既存の脂質分解を増強することが示されている。Vallerand, A. L., Zamecnik. J., Jones, P. J. H., Jacobs, I. “Cold Stress Increases Lipolysis, FFA Ra and TG/FFA Cycling in Humans”Aviation, Space and Environmental Medicine 70, 42 - 50 (1999)。
【0023】
種々の実施形態において、システム100は、コントローラ、コンピューティング装置、データ取得装置、チラー、及び1つ以上のアプリケータを備えている。又、このシステムは、種々の実施形態においてそれらのコンポーネントを使用して、処置プロフィールの選択を受け取り、そしてその選択された処置を、アプリケータを使用して施すことができる。
【0024】
図1は、本開示の一実施形態により対象患者101の皮下脂質リッチ領域から熱を非侵襲的に除去する処置システム100を示す斜視図である。このシステム100は、対象者101のターゲット領域に係合するアプリケータ105を含む処置装置104を備えている。処置装置104は、例えば、対象者101の皮下脂質リッチ細胞を冷却し又はそこから熱を除去するために対象者101の腹部エリア102又は別の適当なエリアに配置することができる。対象者101の皮下脂質リッチ領域から熱を除去するのに適したエリアを得ることができるように異なる身体領域及び身体部位に適した種々の構成、形状及びサイズを有する処置装置104及びアプリケータ105を提供できることが理解されよう。
【0025】
アプリケータ105のようなアプリケータは、人間や動物のような対象101(即ち、「患者」)の領域を冷却するシステム100のコンポーネントである。真空アプリケータ、ベルトアプリケータ(その各々は、マッサージ又は振動能力と組み合せて使用されてもよい)、等、の種々の形式のアプリケータを処置中に適用することができる。各アプリケータは、患者身体の識別された部分、例えば、顎、頬、腕、胸部、大腿部、脹脛、臀部、腹部、「腹部のぜい肉」、背中、等を処置するように設計される。例えば、真空アプリケータは、背中領域に適用することができ、ベルトアプリケータは、マッサージ又は振動を伴ったり伴わなかったりして、大腿部の周りに適用することができる。システム100に使用できるアプリケータ及びそれらの構成は、例えば、共通に譲渡された米国特許公告第2007/0198071号、第2008/0077201号、及び第2008/0077211号、並びに米国特許出願第11/750,953号に説明されている。更に別の実施形態では、システム100は、アプリケータに合体され又はアプリケータと共に使用するよう構成された患者保護装置(図示せず)を含んでもよく、これは、アプリケータが患者の皮膚に直接接触するのを防止して、患者間の交配汚染のおそれを減少し、アプリケータの清掃要求を最小限にする。又、患者保護装置は、高周波識別(RFID)コンポーネントのような種々の記憶、コンピューティング及び通信装置を含み又は合体して、例えば、使用を監視し及び/又は計測できるようにしてもよい。患者保護装置は、例えば、共通に譲渡された米国特許公告第2008/0077201号に説明されている。
【0026】
システム100は、更に、処置ユニット106、及びこの処置ユニット106と処置装置104との間の供給及び戻り流体管路108a−bを備えている。処置ユニット106は、冷却材からヒートシンクへ熱を除去し、そして流体管路108a−bを経て処置装置104へ冷えた冷却材を供給する。或いは又、チラー106は、ウオーミング周期中に暖かい冷却材を処置装置104へ循環することもできる。循環する冷却材は、例えば、水、グリコール、合成熱伝達流体、油、冷媒、及び/又は他の適当な熱伝導流体を含む。流体管路108a−bは、ポリエチレン、塩化ポリビニル、ポリウレタン、及び/又は特定の循環する冷却材を収容することのできる他の材料で構成されたホース又は他のコンジットでよい。処置ユニット106は、冷蔵ユニット、冷却塔、サーモエレクトリックチラー又はクーラー、或いは冷却材から熱を除去できる他の装置でよい。或いは又、処置ユニットに代わって、都市水源(即ち、水道水)を使用してもよい。更に、当業者であれば、処置ユニット又はチラーを、ここに述べたものに制限する必要がないように、多数の他の冷却技術を使用できることが明らかであろう。
【0027】
この実施例では、処置装置104は、少なくとも1つのアプリケータ105及び少なくとも1つの処置ユニットを備えている。アプリケータ105は、振動、マッサージ及び/又はパルス作用を生成するための機械的エネルギーを与える。又、アプリケータ105は、処置場所に振動エネルギーを与えるために、1つ以上のアクチュエータ、例えば、偏心おもり付きのモータ、又は他の振動モータ、例えば、液圧モータ、電気モータ、空気圧モータ、ソレノイド、他の機械的モータ、圧電シェーカー、等を含むことができる。更に別の実施例は、単一の処置装置104及び/又はアプリケータ105に関連して望ましい組合せで使用される複数のアクチュエータを含む。例えば、偏心おもりアクチュエータは、1つの処置装置104又はアプリケータ105に関連されてもよく、一方、空気圧モータは、同じ処置装置又はアプリケータの別の区分に関連されてもよい。これは、例えば、処置システム100のオペレータに、対象者101の単一の領域内又は複数の領域間で脂質リッチ細胞を異なる仕方で処置する選択肢を与える。処置装置104又はアプリケータ105と共に種々の組合せ及び構成で1つ以上のアクチュエータ及びアクチュエータ形式を使用することが可能である。
【0028】
処置ユニットは、ペルチェ型サーモエレクトリック要素であり、そして処置装置104は、カスタム空間的冷却プロフィール及び/又は経時変化冷却プロフィールを生成するための複数の個々に制御される処置ユニットを有する。各カスタム処置プロフィールは、1つ以上のセグメントを含むことができ、そして各セグメントは、指定の期間と、ターゲット温度と、振動やマッサージや真空や他の処置モードのような特徴に対する制御パラメータとを含むことができる。複数の個々に制御される熱交換ユニットを有する冷却装置は、共通に譲渡された米国特許公告第2008/0077211号に説明されている。
【0029】
システム100は、更に、処置装置104及びアプリケータ105に作動的に結合された電源110及び処理ユニット114を備えている。一実施例では、電源110は、対象者101から熱を除去するためにサーモエレクトリック処置装置104及び/又はアプリケータ105に直流電圧を供給する。処理ユニット114は、電源ライン116を通して処置装置104の付近に配置されたセンサ(図示せず)を経てプロセスパラメータを監視し、とりわけ、その処理パラメータに基づいて熱除去率を調整することができる。処理ユニット114は、更に、プロセスパラメータを監視して、そのプロセスパラメータに基づいてアプリケータ105を調整することもできる。
【0030】
処理ユニット114は、図1に示すように、電気的ライン112を通して処置装置104と直接電気的通信することができ、或いは処理ユニット114は、ワイヤレス又は光学的通信リンクを経て処置装置に接続されてもよい。処理ユニット114は、プロセッサ、プログラム可能なロジックコントローラ、分散型制御システム、等々でよい。電源ライン116及びライン112は、支持構造体を伴わずに図1に示されていることに注意されたい。或いは又、電源ライン116及びライン112(並びにこれに限定されないが流体管路108a−bを含む他のライン)は、このようなラインを保護し、ユーザの安全性及び人間工学的快適性を向上させ、望ましからぬ動き(従って、対象者101からの熱の除去の潜在的な非効率性)を最小にするよう確保し且つシステム100に審美的な見掛けを与えるために、コンジット等で束ねるか、さもなければ、それを付随させることができる。このようなコンジットは、例えば、柔軟なポリマー、織物、又は複合シース、調整可能なアーム、等を含む。このようなコンジット(図示せず)は、対象者101を処置するための場所にコンジットを「セット」するように(調整可能な継手、等を経て)設計されてもよい。
【0031】
別の態様において、処理ユニット114は、入力装置(タッチスクリーン118のような)、出力装置120、及び/又は制御パネル(図示せず)と電気的通信又は他の通信を行うことができる。入力装置は、キーボード、マウス、タッチスクリーン、プッシュボタン、スイッチ、ポテンショメータ、その組合せ、及びユーザ入力を受け容れるのに適した他の装置でよい。出力装置120は、ディスプレイ又はタッチスクリーン、プリンタ、媒体リーダー、オーディオ装置、その組合せ、及びユーザフィードバックを与えるのに適した他の装置を含む。図1の実施形態では、出力装置120は、入力装置118及び出力装置の両方として機能するタッチスクリーンである。制御パネルは、視覚インジケータ装置又は制御器(ライト、数字ディスプレイ、等)及び/又は音声インジケータ装置又は制御器を含む。制御パネルは、入力装置及び/又は出力装置とは個別のコンポーネントでもよいし、1つ以上の装置と一体化されてもよいし、1つ以上の装置と部分的に一体化されてもよいし、別の位置にあってもよいし、等々である。別の実施例では、制御パネル又はその一部分(ここに述べる)は、処置装置104及び/又はアプリケータ105に収容されてもよいし、取り付けられてもよいし、又は一体化されてもよい。この実施例では、処理ユニット114、電源110、制御パネル、処置ユニット106、入力装置118、及び出力装置120は、運搬のためのホイール126を伴うラック又はカート124によって支持される。別の実施例では、処理ユニット114は、処置装置104及び/又はアプリケータ105及び/又は上述した患者保護装置に収容されてもよいし、取り付けられてもよいし、又は一体化されてもよい。更に別の実施例では、種々のコンポーネントを処置場所にしっかり設置することができる。処置装置104、処置ユニット106、アプリケータ105、及び他のコンポーネントの部品及び/又は動作に関する更なる詳細は、共通に譲渡された米国特許出願第11/750,953号に見られる。
【0032】
理論で縛られることなく、運転中に、伝導を通して冷却する処置装置からの有効な冷却は、多数のファクタに依存すると考えられる。皮膚エリア及び関連組織からの熱除去に影響するファクタは、例えば、処置ユニットの表面積、界面部材の温度、及び組織に与えられる機械的エネルギーを含む。より詳細には、運転中に、処置プロトコルをスタートする入力を受け取ると、処理ユニット114は、アプリケータ105が規定の処置プランの各セグメントを繰り返すようにさせることができる。そのようにする際に、アプリケータ105は、サーモエレクトリッククーラー(例えば、TEC「ゾーン」)のような1つ以上の処置装置104に電力を印加して、冷却サイクルを開始し、そして例えば、振動、マッサージ、真空、等の特徴又はモードをアクチベートする。1つ以上の処置装置104、患者の皮膚、患者保護装置の付近、又は他の位置、或いはその組合せで温度センサ(図示せず)を使用して、処理ユニット114は、ターゲット温度又は熱束に充分に近い温度又は熱束に到達したかどうか決定する。身体の領域(例えば、脂肪組織)がターゲット温度へ又はターゲット熱束により冷却又は加熱される間に、実際上、身体のその領域は、ターゲット温度に接近するが、等しくならないことが明らかである。というのは、例えば、身体の自然加熱及び冷却変動のためである。従って、システムは、ターゲット温度へ又はターゲット熱束により加熱又は冷却を試みるが、センサは、充分に近い温度を測定する。ターゲット温度に到達しない場合には、電力を増加又は減少して、熱束を必要に応じて変化させ、ターゲット温度又は「セットポイント」を維持することができる。規定のセグメント期間が経過すると、処理ユニット114は、次の処置プロフィールセグメントに指示された温度及び期間を適用することができる。ある実施形態では、電力に加えて又は電力以外の変数を使用して温度を制御することができる。
【0033】
非侵襲的アプリケータを図示して説明するが、最小侵襲的アプリケータも使用できる。このような場合には、アプリケータ及び患者保護装置を一体化してもよい。一例として、皮下脂肪組織へ直接挿入して組織を冷却又は凍結することのできるクライオプローブは、このような最小侵襲性アプリケータの一例である。例えば、カリフォルニア州イルビンのエンドケア社により製造されたクライオプローブは、このようなアプリケータとして適している。本特許出願は、次のものを参考として援用する。“DEVICE FOR BIOPSY AND TREATMENT OF BREAST TUMORS”と題する米国特許第6,494,844号;“DEVICE FOR BIOPSY OF TUMORS”と題する米国特許第6,551,255号;“ROTATIONAL CORE BIOPSY DEVICE WITH LIQUID CRYOGEN ADHESION PROBE”と題する米国特許公告第2007−0055173号;“METHOD AND SYSTEM FOR CRYOABLATING FIBROADENOMAS”と題する米国特許第6,789,545号;“CRYOTHERAPY PROBE”と題する米国特許公告第2004−0215249号;“CRYOTHERAPY SYSTEM”と題する米国特許第7,083,612号;及び“METHODS AND SYSTEMS FOR CRYOGENIC COOLING”と題する米国特許公告第2005−0261753号。
【0034】
このシステムの実施例によれば、アプリケータ105及び処置装置104を組み合わせて、冷却された脂肪組織の破壊を増強する。更に、これら実施例は、処置時間を短縮し、患者への不快感を減少し、そして処置の効き目を高くすることができる。
【0035】
このシステムは、例えば、処置装置104及びアプリケータ105を備え、これらは、一般的に、処置領域の非脂質リッチ細胞に付帯的損傷を及ぼすことなく、皮下脂質リッチ細胞を損傷し、傷付け、破壊し、さもなければ、減少させる。一般的に、脂質リッチ細胞は、これを、非脂質リッチ細胞に影響しない低い温度に露出させることにより、影響を及ぼす(例えば、損傷させ、傷付け、又は破壊させる)ことができると考えられる。その結果、皮下脂肪組織のような脂質リッチ細胞は、損傷されるが、同じ領域内の他の細胞は、表面における非脂質リッチ細胞が低い温度を受けても、一般的に損傷されないようにすることができる。アプリケータにより与えられる機械的エネルギーは、影響を受けた脂質リッチ細胞を機械的に破壊することにより、脂質リッチ細胞への作用を更に増強することができる。
【0036】
このシステムのある実施例では、共通に譲渡された米国特許公告第2007/0255362号に説明されたように、他の効果の中でも、処置中に非脂質リッチ組織(例えば、真皮組織)の凍結を防止する上で助けとなるように、処置装置と共に低温保護剤が使用される。
【0037】
1つの動作モードにおいて、アプリケータは、処置装置に結合される。処置装置は、参考としてここに援用する2006年2月22日に出願された“TREATMENT DEVICE FOR REMOVING HEAT FROM SUBCUTANEOUS LIPID-RICH CELLS”と題する共通に譲渡された米国特許出願第11/359,092号に開示された装置のようなハンドヘルド装置として構成されてもよい。
【0038】
対象者の皮膚に圧力又は真空型の力をかけて、或いは皮膚に押し付けて処置装置を適用することは、効率的な処置を達成する上で効果的である。一般に、対象者101は、体温が約37℃であり、血液の循環は、一定体温を維持するための1つのメカニズムである。その結果、処置されるべき領域の皮膚及び皮下層を通る血液流は、真皮下の脂肪の冷却に反作用する熱源とみなすことができる。従って、当該組織を冷却するには、このような組織から熱を除去するだけでなく、この組織に循環する血液の熱を除去することも必要である。従って、例えば、圧力で処置装置を適用することにより処置領域に流れる血液を一時的に減少するか又は止めることで、組織の冷却効率を改善し、真皮及び表皮を通しての過剰熱損失を回避することができる。更に、真空は、皮膚を身体から離すように引っ張り、その下の組織を冷却する上で助けとなる。
【0039】
皮下組織を37℃より低い温度に冷却することにより、皮下脂質リッチ細胞を選択的に損傷させることができる。一般的に、対象者101の表皮及び真皮は、皮下組織を形成するその下の脂質リッチ細胞に比して不飽和脂肪酸の量が少ない。非脂質リッチ細胞は、通常、脂質リッチ細胞より、低温に良く耐えることができるので、皮下脂質リッチ細胞は、真皮及び表皮における非脂質リッチ細胞を維持しながら、選択的に傷付けることができる。例えば、その範囲は、約−10℃から約0℃である。
【0040】
図2は、皮下脂質リッチ細胞から熱を除去するための処置装置104を示す概略図である。処置装置104は、冷却プレート210のような冷却ユニット、及び界面層220を含む。界面層220は、プレート、膜、カバー、又はここに述べる他の適当な材料でよく、そしてここに述べる患者保護装置として働くことができる。界面層220は、冷却プレート210と、対象者(図示せず)の皮膚230、例えば、処置装置104を経て処置を受ける患者の皮膚との間に配置される。冷却プレート210は、ここに述べる制御装置240と通信する通信コンポーネント215、及び冷却プレート210の温度を測定する温度測定コンポーネント217を含む。又、界面層220も、同様の通信コンポーネント225、及び界面層220の温度を測定する温度測定コンポーネント227を含む。例えば、通信コンポーネント215、225及び/又はその両方は、温度測定ユニット217、227及び又はその両方により決定された温度情報のような情報を、制御装置240から受信し、又、制御装置240へ送信する。又、装置104は、電源コンポーネントや、図1及び関連出願について述べた他のコンポーネントも含む。
【0041】
あるケースでは、処置装置は、患者の皮膚に接触するのに使用されるスリーブ及び/又は界面層を有する装置を含む。例えば、処置装置は、第1スリーブ部分及び第2スリーブ部分を有するスリーブを含む。第1スリーブ部分は、処置装置を患者の皮膚に接触させ、及び/又はそれらの接触を容易にする。第2スリーブ部分は、第1スリーブ部分から延びる分離層でよい。例えば、第2スリーブ部分は、ラテックス、ゴム、ナイロン、Kevlar(登録商標)、又は他の実質的に不浸透性又は半浸透性材料で構成される。第2スリーブ部分は、とりわけ、患者の皮膚と冷却プレートとの間の接触を防止することができる。スリーブ装置に関する更なる詳細は、米国特許公告第2008/0077201号に見ることができる。
【0042】
あるケースでは、処置装置は、(例えば、界面層を経て)処置装置と患者の皮膚との間に接触を形成する上で助けとなるベルトを有する装置を含む。例えば、処置装置は、フレームに結合された保持装置を含んでもよい。保持装置は、保持装置結合素子によりフレームに回転可能に接続される。保持装置結合素子は、例えば、ピン、ボールジョイント、ベアリング、又は他の形式の回転ジョイントでよい。或いは又、保持装置は、冷却素子ハウジングの端部にしっかり固定される。ベルト装置に関する更なる詳細は、米国特許公告第2008/0077211号に見ることができる。
【0043】
あるケースでは、処置装置は、(例えば、界面層を経て)処置装置と患者の皮膚との間に接触を形成する上で助けとなる真空を有する装置を含む。例えば、処置装置は、機械的エネルギーを処置領域に与える。例えば、患者の組織への真空の付与及び解放を繰り返すことで患者の組織へ機械的振動エネルギーを与えると、処置中にマッサージ作用が生成される。真空形式装置に関する更なる詳細は、米国特許出願第11/750953号に見ることができる。
【0044】
図3は、皮下脂質リッチ細胞から熱を除去するのに使用される処置装置104と通信する制御装置240を示すブロック図である。この制御装置240は、入力コンポーネント、データベースコンポーネント、プロセスコンポーネント、出力コンポーネント及び他のコンポーネントを含むプロセッサ310を備えている。プロセッサ310は、メモリ又は他のコンポーネントのようなデータベース320にデータ及び他の情報を記憶し又はそこから検索する。又、制御装置240は、処置装置監視コンポーネント330、及び処置装置制御コンポーネント340も含む。これらコンポーネント330及び340は、各々、処置装置104の動作を監視すると共に、処置装置104の動作を制御するように働く。例えば、コンポーネント330は、処置装置104のコンポーネントに関連した温度測定を遂行するか又はそれを受け取り、又、コンポーネント340は、それら測定に基づいて処置装置を動作する。加えて、コンポーネント330は、処置装置104の動き又は位置に関連した測定を行うか又はそれを受け取り、又、コンポーネント340は、それら測定に基づいて処置装置を動作する。例えば、処置装置104の冷却動作又は他の使用中に、監視コンポーネント330は、処置事象が生じたときを識別するか、又はここに述べるシステムを使用してそれが生じるときを推定する。このような識別を受け取ると、監視コンポーネント330は、処置を変更又は休止する動作を遂行する制御コンポーネント340に警告する。プロセッサ310は、コンポーネント間のデータの流れを容易にし、そして処置事象を定義する情報、患者に関連した情報、及び他の患者情報のような情報についてデータベース320をサーチする。
【0045】
ここに述べるように、システムは、多数の異なる形式の装置を使用して患者への冷却を管理することができる。
【0046】
細胞からの熱除去中の事象の監視、制御及び検出
上述したように、システムは、冷却処置中に事象を検出し、例えば、皮下組織の超冷却中の皮膚の凍結、皮下組織の冷却中の皮膚凍結、皮膚のより暖かいエリアへの処置装置の移動、皮膚からの処置装置の持ち上げ、望ましからぬ処置のクオリティ、等を検出する。
【0047】
ある実施例において、システムは、処置装置の閉ループ制御、例えば、処置装置内の温度コンポーネント又はセンサを使用する冷却の閉ループ制御を遂行する。例えば、ここに述べるように、システムは、患者の皮膚の下の皮下組織の伝導性冷却を遂行する処置装置と、装置の温度を下げて皮下組織を冷却するために処置装置への電力を制御する制御装置とを備えている。システムは、皮下組織の冷却を監視しそして皮下組織の冷却中に皮膚の凍結を防止するようなアクションを遂行するコンポーネントを備えている。例えば、コンポーネントは、処置装置と皮膚との間の界面の温度の変化を検出する。又、コンポーネントは、温度変化を検出してその検出された温度変化に基づいてアクションを遂行することのできるルーチン、アルゴリズム、実行可能なスクリプト、又は他のデータ構造、或いはプログラムモジュールを含む。
【0048】
皮下組織の冷却又は超冷却中に、組織は、0℃より低い温度、例えば、約−10℃と約0℃との間の温度に到達する。あるケースでは、真皮組織(即ち、皮膚)も、0℃より低い温度、例えば、生物組織及び流体の氷点より低い温度、ほぼ−1.8℃に到達し得る。これらのケースでは、氷点より低く超冷却されている皮膚は、急速に凍結して結晶を形成し、皮膚の結晶化の潜熱に関連したエネルギーを解放し得る。
【0049】
この超冷却される組織の凍結又は結晶化は、溶解の潜熱に貢献できる組織温度の上昇によって表される。凍結する又は結晶化される組織に接触する処置装置104のような処置装置は、組織を更に冷却するように試み、処置装置へ供給される電力の増加を招く。このシステムは、監視コンポーネントを経て、処置装置の温度の変化(例えば、装置は、凍結中に結晶化により温められる組織を冷却しようと試みるために更に冷たくなる)、或いは処置装置へ供給される電力の変化(例えば、装置は、付加的な冷却を与えるためにシステムから更に電力を受け取る)を検出する。又、システムは、以下に詳細に述べるように、動作手順の変化に関連した変化を確認し、その変動を矯正するための修正アクションを遂行することもできる。
【0050】
図4を参照すれば、皮下脂質リッチ細胞付近の皮膚において処置事象中に皮下脂質リッチ細胞から熱を除去するのを制御するためのルーチン400を示すフローチャートが示されている。ステップ410では、システムは、皮膚のある位置で温度の変化を測定する。例えば、システムは、界面層220の温度を規定の又は所定の時間間隔で測定する。或いは又、システムは、界面層220の温度を監視し続け、及び/又はある時間ごとに温度を測定しそして温度の時間変化率を計算する。
【0051】
ステップ420では、システムは、温度の変化が正(上昇)であるか負(下降)であるか決定する。温度の変化が正である場合には、ルーチン400は、ステップ430へ進み、そうでなければ、ステップ410へ戻り、装置を監視し続けるか、又はある場合には、終了となる。あるケースでは、システムは、温度の変化が、変化のスレッシュホールド値より上であるときだけ正の温度変化を検出する。例えば、正の方向の僅かな温度変化は、特に、その後、負の変化が続くか、又は温度変化が続かない場合には、処置事象を指示しない。それ故、システムは、変化の大きさ及び/又は速度においてスレッシュホールド値を満足する温度変化だけを考慮する。従って、あるケースでは、システムは、僅かな温度変化が、偽の処置事象に関する偽の警報、及び手順に悪影響しない他の最小の手順変化を引き起こすのを防止することができる。
【0052】
ステップ430では、正の温度変化を検出すると、システムは、処置事象を識別し又はそれを阻止する予防的アクションのようなアクションを遂行する。例えば、システムは、処置装置への電力を遮断し、処置装置の温度を上昇させて、皮膚の凍結する又は凍結したエリアを温め、対象者から処置装置を除去し又は他の予防手段を遂行することを処置装置のオペレータに警告し、装置の動作データを維持するデータベース又は対象者に関係したデータベースにメッセージを送信し、等々である。又、例えば、凍結事象の検出及び処置装置を温めることをオペレータに同時に警告するような種々のアクションの組合せを使用してもよい。
【0053】
あるケースでは、ルーチン400は、処置装置により使用される電力、例えば、装置内のサーモエレクトリッククーラーにより使用される電力を監視することができる。或いは又、ルーチン400は、電流のような電力代用物、処置装置に使用されるコントローラにおけるパルス幅変調デューティサイクル、等を監視してもよい。凍結事象のために皮膚に処置事象が発生して皮膚をその後に温めるときに、処置装置への電力の供給が増加される。例えば、処置装置を指定の温度に維持するために、システムは、そのような温めが検出されたときにサーモエレクトリッククーラーへ付加的な電力を与えるように構成される。ルーチン400は、電力スパイクのような電力増加を検出し、そしてステップ430で述べられたアクションの幾つか又は全部を遂行することができる。
【0054】
例示的処置事象
図5Aから5Cは、システム100を使用して皮下脂質リッチ細胞から熱を除去する間に対象者の皮膚上の位置に発生し得る処置事象を示すグラフである。図5Aを参照すれば、処置中の横移動事象を示すように、処置装置の測定温度(例えば、界面層及び冷却プレートに対する温度)を時間に対してプロットしたものが示されている。処置中に、界面層の温度(SLV1)が上昇するが、他の温度は最小限変化するだけである。このようなフィードバックを使用して、システムは、スリーブ装置のような処置装置が患者の皮膚上の処置エリアから移動して離れたことを検出する。
【0055】
図5Bを参照すれば、持ち上がり事象を示すように、装置の測定温度を時間に対してプロットしたものが示されている。処置中に、スリーブの温度が上昇し、一方、プレートの温度が下降する。このようなフィードバックを使用して、システムは、処置装置が持ち上げられ、除去され、分離され、部分的に分離され、さもなければ、患者の皮膚上のターゲット位置から接触を失い又は部分的に接触を失ったことを検出する。
【0056】
図5Cを参照すれば、凍結事象を示すように、装置の測定温度を時間に対してプロットしたものが示されている。処置中に、スリーブ温度(SLV1)が上昇するが、プレート温度(TEC1)も、僅かな大きさまで、僅かな変化率で、上昇する。このようなフィードバックを使用して、システムは、患者の皮膚に凍結事象が発生したことを検出する。
【0057】
冷却処置中の処置事象の健全な検出
ここに述べるように、システムは、1つ以上の温度センサを使用して、処置装置の温度変化を検出し、従って、おそらく、異常事象を検出することができる。例えば、1つの温度センサが冷却プレート210又はその中に配置され、そして第2の温度センサが界面層220又はその中に配置される。この実施例では、プレート210及び界面220の両方において温度変化を測定することで、皮膚からの処置装置の持ち上がりによる凍結事象の誤った検出のおそれが減少される。1つ以上の温度センサに対する他の構成及び配置、並びに皮膚凍結事象の検出に対して各センサから受け取られたデータを処理するための対応アルゴリズムが考えられる。
【0058】
図6を参照すれば、上述したように、2つの温度センサで構成されたシステムを使用して、皮下脂質リッチ細胞からの熱の除去を制御するためのルーチン600のフローチャートが示されている。ステップ610では、システムは、冷却プレート210の温度変化率及び界面層220の温度変化率を測定する。ステップ620では、界面層220の温度変化率が正である場合に、ルーチン600は、ステップ640へ進み、さもなければ、ルーチン600は、ステップ630へ進み、終了となるか又はステップ610へ進み、そして2つの位置において温度の監視を続ける。
【0059】
ステップ640において、冷却プレート210の温度変化率が正であることをシステムが決定した場合に、ルーチン600は、ステップ660へ進み、さもなければ、ルーチン600は、ステップ650へ進み、オペレータに、異常であること、及び/又は処置装置が皮膚に接触しておらず、ターゲット位置からシフトしており、等を警告する。これらのケースでは、温め界面層220及び冷却又は安定冷却プレート210の検出(電力の増加による)が、処置装置の不整列又は移動を指示し、凍結事象ではない。このようなケースでは、処置装置は、処置を続けるために皮膚のターゲット位置に再配置されてもよい。
【0060】
界面層220の温度変化率が正であることがステップ620で検出され、そして冷却プレート210の温度変化率が正であることがステップ640で検出されると、ステップ660において、システムは、皮膚上の位置における凍結事象を決定する。従って、界面層及び冷却プレート(例えば、サーモエレクトリッククーラー)の温度変化率を測定することにより、システムは、ありそうな凍結事象と処置装置の移動との間の相違を決定することができる。
【0061】
ある実施例では、ルーチン600は、処置装置に供給される電力を測定することができる。というのは、それが冷却プレート210及び/又は界面層220の温度変化に関係しているからである。例えば、ステップ640において、システムは、電力の増加と、冷却プレート210の負の温度変化率とを決定し、そしてステップ660へ進む。
【0062】
システムは、検出された温度の信号対雑音比を高めることにより、ありそうな凍結事象の検出の精度を高めることができる。あるケースでは、界面層220における温度変化率を測定することで、一部分は検出環境を制御できることから、高い信号対雑音比が与えられる。例えば、システムは、界面層の温度を正確に制御することができ、温度測定信号に雑音を導入し得る寄生的現象を僅かに招くだけである。更に、皮膚が冷たいほど、比が高く、より過酷な凍結事象に対してより正確な測定値が与えられる。あるケースでは、システムは、温度又は電力の変化率を何秒もの時間にわたって平均化して、背景雑音の影響を減少又は除去することができる。変化率の測定の平均値に関係した所定スレッシュホールドは、凍結事象を修正又は防止するために遂行されるべきアクション又はアラームをトリガーすることができる。例えば、処置装置がスレッシュホールド値に到達すると、装置への電力を制御装置により遮断することができる。
【0063】
又、ここに述べるように、システムは、冷却処置中の温度変化の範囲を決定し、その決定された範囲に基づいて処置事象を検出し、そしてその検出された事象に適した且つそれに関連したアクションを遂行することができる。図7を参照すれば、処置事象を検出するためのルーチン700のフローチャートが示されている。
【0064】
ステップ710において、システムは、冷却処置中に使用する処置装置に対して界面層(例えば、スリーブ)の温度差及びプレートの温度差を計算する。即ち、システムは、処置装置のスリーブ及び冷却プレートの温度変化を計算する。システムは、3つの計算又はそれより多数又は少数の計算のような1組の計算を遂行する。ステップ720において、システムは、計算された温度差をスレッシュホールド値と比較する。例えば、システムは、4℃をスリーブ温度差のためのスレッシュホールド値として使用し、そして1℃をプレート温度差のためのスレッシュホールド値として使用する。ステップ730において、システムは、比較に基づいて処置事象を検出する。処置事象は、凍結事象、持ち上げ事象、又は移動事象である。
【0065】
以下の実施例は、ルーチン700を使用する冷却処置中に種々の事象をどのように検出するかを示す。
【0066】
第1の処置中に、システムは、4℃のスレッシュホールド値より高いスリーブの温度差を検出し、そして1℃より高いが2℃より低いプレートの温度差を検出する。検出された温度を使用して、システムは、凍結事象が発生することを決定する。
【0067】
第2の処置中に、システムは、4℃のスレッシュホールド値より高いスリーブの温度差を検出し、そして2℃より低いプレートの温度差を検出する。検出された温度を使用して、システムは、持ち上げ事象が発生することを決定する。
【0068】
第3の処置中に、システムは、1℃と5℃との間であるスリーブの温度差を検出し、そして適当なアクションを遂行する。異なる温度差に対して、システムは、その温度差に関連したアクションを遂行する。例えば、1℃と3℃との間の全ての温度差に対して、システムは、情報の処理ログを更新する。しかしながら、この実施例では、3℃より高い温度差の場合に、システムは、処置装置を遮断する。
【0069】
もちろん、システムは、他のスレッシュホールド範囲及び/又は値に基づき事象を検出することもできる。例えば、システムは、1つ以上のルールベースのアルゴリズム、比較又はプロセスを遂行して、測定された温度変化に基づき事象を検出することができる。
【0070】
処置事象の不正確な検出を防止するための移動の検出
ある実施例において、処置装置104は、温度センサを伴ったり伴わなかったりして、位置検出又は他の移動ベースのセンサを含む。時々、処置装置は、処置中に、故意に又は偶発的に移動することがある。このような移動は、処置事象により生じるものと同様の温度応答をトリガーする。従って、システムは、装置の移動を検出しそしてその移動を制御コンポーネントに指示し、従って、偽のアラームによる処置の早期終了を防止するコンポーネントを含む。移動を検出するのに使用できるセンサ形式は、例えば、加速度計、光学的センサ、等を含む。
【0071】
ある実施例では、システムは、処置装置の中央領域及び処置装置の縁に配置された複数のセンサであって、処置装置104の望ましからぬ移動を検出するのに使用されるセンサを含む。従って、センサアレイは、皮膚230に対する装置104の移動による望ましからぬ処置終了を容易に防止することができる。
【0072】
処置事象の他の検出
ある実施例において、システムは、温度変化により影響される測定特性を使用して処置事象を検出することができる。例えば、処置装置を希望温度へ冷却する間に、電力が最初に増加し、次いで、温度が希望温度に近づくにつれて減少し、そして希望温度においてほぼ一貫した状態に留まる。
【0073】
例えば、システムは、処置装置の温度の時間変化率、例えば、界面層の温度の時間変化率を測定し、そして装置104へ供給される電力の時間変化率を測定する。装置へ供給される電力の増加及び温度の上昇を測定する際に、システムは、対象物の皮膚における処置事象を決定する。従って、処置装置104の温度の時間変化率の増加は、電力変化の増加と相まって、処置装置104の初期冷却期間中にありそうな処置事象を指示する。
【0074】
あるケースでは、初期の冷却期間中に処置事象が生じることがあり、これは、検出が困難である。というのは、処置装置の温度及び処置装置の電力レベルが(凍結事象中に見られる変化に対して)急速に変化するからである。従って、あるケースでは、システムは、急ペースで中間温度(組織の凍結が生じず、例えば、0℃)まで下降し、次いで、ターゲット温度までゆっくり下降する。これらのケースでは、凍結事象又は他の変化による電力レベルのジャンプ又は温度のスパイクを見分け易い。というのは、冷却を与えるために電力及び温度が急速に変化しないからである。
【0075】
結論
ここに述べるシステム及び方法は、患者の皮下組織への冷却の適用を監視し制御する。システムは、患者の皮膚の凍結のような処置事象を検出し、そして検出された事象に関連したアクションを遂行する。
【0076】
以上の説明及び特許請求の範囲全体にわたり、特に明確に示さない限り、「備える」、「備えている」、等の語は、排他的又は徹底的な意味ではなく包括的な意味で解釈されるべきであり、即ち「含むが、それに限定されない」という意味で解釈されるべきである。又、単数又は複数を使用した語は、各々、複数又は単数も含む。特許請求の範囲で、2つ以上のアイテムのリストを参照して「又は」という語を使用するとき、その語は、次のような語の解釈、即ちそのリスト内のいずれかのアイテム、そのリスト内の全てのアイテム、及びそのリスト内のアイテムのいずれかの組合せ、の全てをカバーするものとする。
【0077】
上述した種々の実施例は、更に別の実施例を与えるように合成できる。本明細書で参照され及び/又は出願データシートにリストされた全ての米国特許、米国特許出願公告、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、及び非特許出版物は、参考としてここにそのまま援用する。技術の態様は、複数の処置ユニットを伴う処置装置、種々の構成をもつ熱伝導装置、並びに種々の特許、出願及び公告の概念を使用して、その技術の更に別の実施例を与えるために、必要に応じて、変更されてもよい。
【0078】
上述した説明に鑑み、技術に対するこれら及び他の変更をなすことができる。一般に、特許請求の範囲で使用される語は、技術を、明細書及び特許請求の範囲に開示した特定の実施例に限定するものと解釈されてはならず、特許請求の範囲に基づいて作用する全ての冷却を包含すると解釈されたい。従って、技術は、本開示によって限定されず、むしろ、その範囲は、特許請求の範囲によって完全に決定されるものとする。
【符号の説明】
【0079】
100:処置システム
101:対象者(患者)
102:腹部エリア
104:処置装置
105:アプリケータ
106:処置ユニット
108a−b:流体管路
110:電源
112:電気的ライン
114:処理ユニット
116:電源ライン
118:タッチスクリーン
120:出力装置
210:冷却プレート
215、225:通信コンポーネント
217、227:温度測定コンポーネント
220:界面層
230:皮膚
240:制御装置
310:プロセッサ
320:データベース
330:処置装置監視コンポーネント
340:処置装置制御コンポーネント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の皮下脂質リッチ細胞から経皮的に熱を除去する非侵襲的処置装置において、
患者の皮膚のエリアに接触するように構成され、その接触された皮膚エリアの下に位置する皮下脂質リッチ細胞から熱を除去する処置ユニットと、
前記処置ユニットと通信し、前記処置ユニットと前記皮膚エリアとの間の界面の温度を測定する検出ユニットと、
皮膚の少なくとも部分的凍結を決定する際に前記処置ユニットの動作を変更する制御ユニットであって、前記界面の温度の正の変化の指示を前記検出ユニットから受け取る際に前記処置ユニットの動作を変更する制御ユニットと、
を備えた処置装置。
【請求項2】
前記処置ユニットは、
熱を除去する冷却ユニットと、
前記冷却ユニットと前記接触された皮膚エリアとの間に少なくとも部分的に配置された界面層と、
を含み、前記制御ユニットは、前記界面層の少なくとも一部分の温度上昇を検出した際に皮膚の少なくとも部分的凍結を決定する、請求項1に記載の処置装置。
【請求項3】
前記処置ユニットは、
熱を除去する冷却ユニットと、
前記冷却ユニットと皮膚との間に少なくとも部分的に配置された界面層と、
を含み、前記制御ユニットは、前記界面層の少なくとも一部分の温度上昇を検出した際に及び前記冷却ユニットの少なくとも一部分の温度上昇を検出した際に、皮膚の少なくとも部分的凍結を決定する、請求項1に記載の処置装置。
【請求項4】
前記処置ユニットは、
0℃より低い温度に冷却されるよう構成された内部プレートと、
前記内部プレートを部分的に取り巻き且つ皮膚のエリアに接触する界面層と、
を含み、前記制御ユニットは、前記界面層の少なくとも一部分の温度上昇を検出した際に皮膚の少なくとも部分的凍結を決定する、請求項1に記載の処置装置。
【請求項5】
前記処置ユニットは、
0℃より低い温度に冷却されるよう構成された内部プレートと、
前記内部プレートを部分的に取り巻き且つ皮膚のエリアに接触する界面層と、
を含み、前記制御ユニットは、前記界面層の少なくとも一部分の温度上昇を検出した際に及び前記内部プレートの少なくとも一部分の温度上昇を検出した際に、皮膚の少なくとも部分的凍結を決定する、請求項1に記載の処置装置。
【請求項6】
前記検出ユニットは、前記界面の測定された温度差をスレッシュホールド値と比較し、その比較に基づいて前記制御ユニットへ指示を与えるように構成される、請求項1に記載の処置装置。
【請求項7】
対象者の皮膚の下の皮下脂質リッチ細胞から熱を除去する処置ユニットの動作を制御する方法であって、処置ユニットが皮膚に接触するような方法において、
所定の条件を満足する皮膚上の1つ以上の位置における温度変化の値を識別するステップと、
前記満足された条件に関連した事象を決定するステップと、
前記決定された事象に基づいてアクションを遂行するステップと、
を備えた方法。
【請求項8】
前記処置ユニットが皮膚との接触を失うことを決定するステップと、
皮膚との接触が失われたと決定されるのに応答してアクションを遂行するステップと、を更に備えた請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記処置ユニットが皮膚から少なくとも部分的に分離されたと決定するステップと、
皮膚との分離が決定されるのに応答してアクションを遂行するステップと、
を更に備えた請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記遂行されるアクションは、前記処置ユニットへの電力を遮断することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記遂行されるアクションは、皮膚へ熱を与えることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記遂行されるアクションは、皮膚から前記処置ユニットを除去することを対象者に通知することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記遂行されるアクションは、決定された事象に関連した情報を、前記処置ユニットと通信する監視コンポーネントへ送信することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
温度変化の値を識別する前記ステップは、前記処置ユニットの温度上昇を決定することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
温度変化の値を識別する前記ステップは、決定された事象に関連したスレッシュホールド値より大きい前記処置ユニットの温度上昇を決定することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項16】
患者の皮膚の下の皮下組織における脂質リッチ細胞を減少する装置において、
脂質リッチ細胞の氷点より低い温度に冷却されるよう構成されたサーモエレクトリッククーラーと、
前記サーモエレクトリッククーラーと皮膚との間に位置されて皮膚に接触し、前記サーモエレクトリッククーラーによりほぼサーモエレクトリッククーラーの温度まで冷却されるよう構成された界面層と、
前記界面層の温度の変化率、及び前記サーモエレクトリッククーラーの温度の変化率を測定するように構成された温度センサと、
測定された変化率に応答してアクションを遂行するように構成されたコントローラと、を備えた装置。
【請求項17】
前記アクションを遂行することは、前記装置に関連したオペレータに警告することを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記アクションを遂行することは、前記サーモエレクトリッククーラーを温めることを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記アクションを遂行することは、前記サーモエレクトリッククーラーへの電力を遮断することを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記アクションを遂行することは、前記装置を使用して現在処置に関連したログへデータを送信することを含む、請求項16に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−31694(P2013−31694A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−224433(P2012−224433)
【出願日】平成24年10月9日(2012.10.9)
【分割の表示】特願2010−522049(P2010−522049)の分割
【原出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(507159980)ゼルティック エステティックス インコーポレイテッド (13)
【Fターム(参考)】