説明

脊柱側弯症の危険性の決定方法

脊柱側弯症の発症危険性を決定するための方法であって、対象由来のサンプルにおけるオステオポンチン(OPN)の発現を経時で観測することを含んでなり、対象サンプル中で経時的に増加するOPNの発現は、対象が脊柱側弯症を発症する危険性の指標となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脊柱側弯症を発症する危険性を決定する方法、脊柱側弯症に罹患する対象を階層化する方法、脊柱側弯症に罹患する対象に対する支持具の有効性を評価するための方法、及びこのためのキットに関する。
【背景技術】
【0002】
他の出願への相互参照
本出願は、2007年3月30日出願の米国特許法第119条(e)の米国仮出願第60/909,408号及び2008年2月1日出願の米国仮出願第61/025,571号に対する優先権の利益を主張する。上記書類の全ては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
脊柱奇形及び特に脊柱側弯症は、幼年及び青年期に最も一般的な整形外科的奇形の一種のことを表し、青年期特発的脊柱側弯症(AIS)は、最も一般的な脊柱側弯症の状態を表す。
【0004】
青年期特発性脊柱側弯症(AIS)の病因はほとんど解明されておらず、そのためAISが遺伝的素因を伴う多要因疾患であることが従来のパラダイムとなっている(1-7)。AISに罹患した患者から手術により入手した生検体由来の細胞における、メラトニンのシグナル伝達機能不全の発生が報告されている8
【0005】
残念ながら、AIS発症の危険性のある幼児もしくは青年を確認するため、又は進行の危険性が原因で処置を必要とするのはどの個体であるかを確認するために、利用可能な、実績ある方法もしくは試験は存在しない。結果的に、現在の処置の応用、例えば支持具での、あるいは外科的な矯正は、顕著な奇形が検出されるまで又は顕著な進行が明確に実証されるまで遅れ、結果として処置が遅れるとともに最適でないものとなる29
【0006】
本記載では、多数の文献について言及し、その内容は参照により本明細書にその全体が組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
より具体的には、本発明によれば、脊柱側弯症の発症の危険性を決定するための方法であって、対象由来のサンプルにおけるオステオポンチン(OPN)の発現を経時で観測することを含んでなり、対象サンプル中で経時的に増加するOPNの発現は、対象が脊柱側弯症を発症する危険性の指標となる、方法が提供される。
【0008】
具体的な実施態様によれば、対象がおよそ3歳の時に観測を開始する。別の具体的な実施態様によれば、観測は少なくとも1月に約1回の頻度でOPN発現を測定することにより行う。別の具体的な実施態様によれば、観測は少なくとも6月に約1回の頻度でOPNの発現を測定することにより行う。別の具体的な実施態様によれば、当該方法が対象由来のサンプルにおけるsCD44発現を測定することをさらに含んでなる。別の具体的な実施態様によれば、OPNの発現の観測は、酵素結合の免疫吸着アッセイ(ELISA)又は放射免疫アッセイ(RIA)を用いて行われる。
【0009】
本発明によれば、脊柱側弯症の発症の危険性を決定するための方法であって、対象由来のサンプルにおけるオステオポンチン(OPN)の発現を測定することを含んでなり、ここで、対象サンプル中でのOPN発現がコントロールサンプル中より高いことが、対象が脊柱側弯症を発症する危険性の指標となる、方法が提供される。
【0010】
別の具体的な実施態様によれば、対象は脊柱側弯症を発症する有力な候補である。別の具体的な実施態様によれば、対象は青年期特発性脊柱側弯症を発症する有力な候補である。別の具体的な実施態様によれば、対象は脊柱側弯症に罹患すると予備診断される。
【0011】
別の具体的な実施態様によれば、対象は青年期特発性脊柱側弯症と予備診断される。
【0012】
本発明の別の態様によれば、脊柱側弯症に罹患する対象を階層化する方法であって、対象からのサンプル中でのオステオポンチン(OPN)発現を測定することを含んでなり、ここで前記測定ステップにより、対象を脊柱側弯症サブグループに階層化できる方法が提供される。
【0013】
本発明の別の態様によれば、脊柱側弯症に罹患する対象に対する支持具(brace)の効果を評価するための方法であって、対象を支持装着(bracing)前と少なくとも1回の支持装着後の、対象からのサンプルにおけるオステオポンチン(OPN)の発現を測定することを含んでなり、対象への支持装着前と比較して、支持装着後のOPNの発現の増加は、当該支持具が無効であることの指標となる、方法が提供される。
【0014】
具体的な実施態様によれば、OPN発現の決定が、支持装着後少なくとも1月で行われる。別の具体的な実施態様によれば、支持装着後のOPN発現の決定が、支持装着後少なくとも2月で行われる。別の具体的な実施態様によれば、支持装着後のOPN発現の決定が、支持装着後少なくとも3月で行われる。別の具体的な実施態様によれば、支持装着後のOPN発現の決定が、支持装着後少なくとも6月で行われる。
【0015】
別の具体的な実施態様によれば、当該方法は対象由来のサンプルにおける可溶性CD44受容体(sCD44)の発現を測定することをさらに含んでなる。
【0016】
別の具体的な実施態様によれば、対象からのサンプルは対象からの生体液である。別の具体的な実施態様によれば、前記生体液は、血液、尿、涙及び唾液からなる群から選択される。別の具体的な実施態様によれば、前記生体液は血漿である。
【0017】
別の具体的な実施態様によれば、OPN発現はOPNタンパク質である。別の具体的な実施態様によれば、OPN発現はOPNに特異的に結合する抗体と共に行われる。別の具体的な実施態様によれば、OPN発現の測定は、酵素結合の免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いて行われる。別の具体的な実施態様によれば、サンプルが血漿サンプルであり、且つ血漿1ミリリッター当たり700ナノグラム超のOPN発現は、対象が脊柱側弯症を発症する危険性の指標となる。別の具体的な実施態様によれば、サンプルが血漿サンプルであり、且つ血漿1ミリリッター当たり800ナノグラム超のOPN発現は、対象が脊柱側弯症を発症する危険性の指標となる。
【0018】
別の具体的な実施態様によれば、OPN発現はOPN RNAである。別の具体的な実施態様によれば、対象からのサンプルは傍脊椎筋生検体であり、且つOPN発現がOPN RNAである。
【0019】
本発明の別の態様によれば、脊柱側弯症の低減又は予防のための、潜在的候補としての剤を選択する方法であって、細胞が発現するオステオポンチン(OPN)と候補剤を接触させること、及びOPNの発現を検出することを含んでなり、候補剤の存在下でのOPNの発現が、不存在下のものと比較して低い場合に、候補剤が選択される方法が提供される。
【0020】
本発明の別の態様によれば、脊柱側弯症の低減又は予防のための、潜在的候補としての剤を選択する方法であって、細胞が発現するsCD44と候補剤を接触させること、及びsCD44の発現を検出することを含んでなり、候補剤の存在下でのOPNの発現が不存在下でのものより高い場合に、当該候補剤が選択される方法が提供される。
【0021】
別の具体的な実施態様によれば、細胞は脊柱側弯症の患者由来の細胞である。
【0022】
本発明の別の態様によれば、脊柱側弯症の予防又は低減のための潜在的候補としての剤を選択する方法であって、脊柱側弯症の発症前に脊柱側弯症モデル動物に候補剤を投与することを含んでなり、当該モデルにおいて、候補剤を投与されなかった対照動物と比較して、脊柱側弯症が予防又は低減される場合に、候補剤が選択される方法が提供される。
【0023】
本発明の別の態様によれば、脊柱側弯症を予防又は低減する方法であって、脊柱側弯症に罹患する対象に、治療有効量のオステオポンチン阻害剤(OPN)又はセレン豊富な食事を投与することを含んでなり、その結果脊柱側弯症が予防又は処置される、方法が提供される。
【0024】
本発明の別の態様によれば、脊柱側弯症を予防又は低減する方法であって、脊柱側弯症に罹患する対象に、治療有効量のCD44阻害剤を投与することを含んでなり、その結果脊柱側弯症が予防又は処置される、方法が提供される。
【0025】
本発明の別の態様によれば、脊柱側弯症を予防又は低減する方法であって、脊柱側弯症に罹患する対象に、治療有効量のsCD44刺激因子を投与することを含んでなり、その結果脊柱側弯症が予防又は処置される、方法が提供される。
【0026】
本発明の方法の具体的な実施態様によれば、対象は人である。本発明の方法の別の具体的な実施態様によれば、対象は女性である。本発明の方法の別の具体的な実施態様によれば、対象は男性である。
【0027】
本発明の別の態様によれば、脊柱側弯症の処置又は予防における使用のためのオステオポンチン阻害剤が提供される。
【0028】
本発明の別の態様によれば、脊柱側弯症の処置又は予防における使用のためのCD44阻害剤が提供される。
【0029】
本発明の別の態様によれば、脊柱側弯症の処置又は予防における使用のためのsCD44刺激因子が提供される。
【0030】
本発明の別の態様によれば、脊柱側弯症の処置又は予防のための医薬の製造におけるオステオポンチン阻害剤の使用が提供される。
【0031】
本発明の別の態様によれば、脊柱側弯症の処置又は予防のためのオステオポンチン阻害剤の使用が提供される。
【0032】
本発明の別の態様によれば、脊柱側弯症の処置又は予防のための医薬の製造におけるCD44阻害剤の使用が提供される。
【0033】
本発明の別の態様によれば、脊柱側弯症の処置又は予防のためのCD44阻害剤の使用が提供される。
【0034】
本発明の別の態様によれば、脊柱側弯症の処置又は予防のための医薬の製造におけるsCD44刺激因子の使用が提供される。
【0035】
本発明の別の態様によれば、脊柱側弯症の処置又は予防のためのsCD44刺激因子の使用が提供される。
【0036】
本発明の使用の具体的な実施態様によれば、脊柱側弯症は青年期特発的脊柱側弯症である。
【0037】
本発明の別の態様によれば、脊柱側弯症を発症する危険性を予測するためのキットであって、オステオポンチン(OPN)特異的なリガンド及び脊柱側弯症を発症する危険性を予測するためのキットの使用についての指示書を含んでなる、キットが提供される。具体的な実施態様によれば、当該キットは可溶性CD44(sCD44)に特異的なリガンドをさらに含んでなる。
【0038】
本発明のその他の目的、利点及び特徴は、以下の、添付の図面の参照によって単に例として提供される、その特定の実施態様の非制限的な記載を読むことにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
添付の図面においては以下の通りである。
【図1】図1は、松果体切除ニワトリにおけるOPN検出及び対応する脊柱側弯症を示す。上下のパネルは、脊柱側弯症を発症する松果体切除ニワトリの傍脊椎筋(S)と、未罹患を維持するもの(NS)において、mRNA及びタンパク質レベルそれぞれで検出するOPN発現の上方制御を示す。
【図2】図2において、左のパネルでは、手術後の脊柱側弯症の二足歩行C57BI/6Jマウス(bipedal C57BI/6J mice)におけるOPN血中濃度の動的な変動をグラフで示す。右のパネルでは、二足歩行C57BI/6Jマウスで観察される脊柱側弯的奇形の典型的なX線であり、雌(708)が雄(709)より重度に影響を受けていることを示す。
【図3】図3は、異なるマウス種における血漿メラトニン濃度の変動を示す。S=脊柱側弯症、NS=非脊柱側弯症である。
【図4】図4は、脊柱側弯症松果体切除ニワトリでのOPN転写の薬理学的阻害の影響を示す。
【図5】図5は健常対照者、AIS患者及び無症候性対象における、血漿オステオポンチンの感度及び特異性をグラフで示す。パネルAでは、33人の健常対照者、及び32人の重度のコブ角度(Cobb's Angle)(≧45°)を有するAIS患者を含む解析から、濃度曲線下面積(AUC)が、0.03の標準偏差で0.94(95%の信頼区間[CI]が0.88〜1.000)であることが判明した。パネルBでは、オステオポンチン1ml当たり700ナノグラムのカットオフ値の使用により、AISの早期検出及び脊柱側弯症進行の危険性検出のための、高い感度(90.6%)及び非常に良好な特異性(81.8%)を示した。パネルCでは、オステオポンチン1ml当たり800ナノグラムのカットオフ値の使用により、AISの早期検出及び脊柱側弯症進行の危険性検出のための、高い感度(84.9%)及びより高い特異性(90.9%)を示した。パネルDでは、全てのAIS患者を使用して、血漿オステオポンチンレベルとコブ角度との間の明らかな相関関係が実証され、ここでp値は<0.001でr2=0.26である。
【図6】図6は、異なる群における年齢の分布を示すグラフを提示し、各群は、男性と女性の組み合わせ(対照者、危険性あり、AIS<45及びAIS>45)(パネルA)、並びに性別で分けた、女性(パネルB)及び男性(パネルC)である。
【図7】図7は、所定の4人の女性患者(支持具未処置)、12歳(赤)、14歳(緑及び青)、及び17歳(黄色)の、来診時を基準とした追跡期間中の、OPNレベル、sCD44レベル、及びコブ角度の変化プロファイルを示す。
【図8】図8は、悪化性弯曲奇形のAIS患者(コブ角度の総増加が3°超;n=14)及び弯曲の顕著な変化のない者(コブ角度の増減が3°未満で、変化がない;n=36)の、追跡期間中の、OPN(左のパネル)及びsCD44(右のパネル)レベルの総変化の分布を示す。
【図9A】図9は、AIS患者におけるコブ角度の増加と相関する、OPNの増加を示すグラフを提示する。
【図9B】図9は、AIS患者におけるコブ角度の増加と相関する、OPNの増加を示すグラフを提示する。
【図9C】図9は、AIS患者におけるコブ角度の増加と相関する、OPNの増加を示すグラフを提示する。
【図10A】図10は、AIS患者におけるコブ角度の減少又は安定化と相関する、OPNの減少又は安定化を示すグラフを提示する。
【図10B】図10は、AIS患者におけるコブ角度の減少又は安定化と相関する、OPNの減少又は安定化を示すグラフを提示する。
【図10C】図10は、AIS患者におけるコブ角度の減少又は安定化と相関する、OPNの減少又は安定化を示すグラフを提示する。
【図10D】図10は、AIS患者におけるコブ角度の減少又は安定化と相関する、OPNの減少又は安定化を示すグラフを提示する。
【図10E】図10は、AIS患者におけるコブ角度の減少又は安定化と相関する、OPNの減少又は安定化を示すグラフを提示する。
【図10F】図10は、AIS患者におけるコブ角度の減少又は安定化と相関する、OPNの減少又は安定化を示すグラフを提示する。
【図10G】図10は、AIS患者におけるコブ角度の減少又は安定化と相関する、OPNの減少又は安定化を示すグラフを提示する。
【図10H】図10は、AIS患者におけるコブ角度の減少又は安定化と相関する、OPNの減少又は安定化を示すグラフを提示する。
【図11】図11は、脊柱側弯症でない所定の4人の危険性のある対象(1人の男性が3歳(緑)、3人の女性が5歳(金)、11歳(青)、及び9歳(赤))の、来診時を基準とした追跡期間中の、OPN及びsCD44レベルの変化プロファイルを示す。
【図12】図12は、非AIS脊柱側弯症患者(NAIS)におけるOPN、sCD44及びHAレベルを比較する(OPN(n=28)、sCD44(n=18)、HA(n=24)、健常対照者(n=35)及びAIS患者(n=252))。
【図13】図13は、手術前のAIS患者(n=79)と手術後のAIS患者(n=28)における、脊柱生体力学の機能におけるOPNの血中濃度変化のヒストグラム比較を提示する。
【図14】図14は、手術前AIS女性(OPN(n=10)、sCD44(n=15))と手術後AIS女性(OPN(n=10)、sCD44(n=12))における、OPN及びsCD44の血中濃度のヒストグラム比較を提示する。
【図15】図15は、手術前(パネルA)及び手術後(パネルB)の、規定のカットオフ値を超える、AIS患者分布のチャートを示す。
【図16】図16は、支持装着前(パネルA)及び支持装着後(パネルB)の、規定のカットオフ値を超える、AIS患者分布のチャートを示す。
【図17】図17は、AISにおける脊柱奇形進行の原因となる、仮説的な分子概念を説明する。
【図18】図18は、AIS患者における血清レベルとOPNレベルとの相関のグラフを示す。
【図19】図19は、対象の3つの分類、対照者、低OPN産生者、及び高OPN産生者における、血清レベルを比較するヒストグラムを示す。
【図20A】図20は、3つのヒトOPNアイソフォームのヌクレオチド配列(転写変異体1、mRNA NM−001040058(配列番号1);転写変異体2、mRNA NM−000582(配列番号2)を示す。
【図20B】転写変異体3、mRNA NM−001040060(配列番号3)を示す。
【図20C】ヒトOPNアイソフォームのアミノ酸配列(アイソフォームaNP−001035147(配列番号4);アイソフォームb NP−000573(配列番号5);及びアイソフォームcNP−001035149(配列番号6))を示す。
【図21A】ヒトCD44の6つのアイソフォームのヌクレオチド配列(mRNA)(NM−000610転写変異体1(配列番号7)。
【図21B】ヒトCD44の6つのアイソフォームのヌクレオチド配列(mRNA)(NM−000610転写変異体1(配列番号7)。
【図21C】NM−001001389転写変異体2(配列番号8)。
【図21D】NM−001001389転写変異体2(配列番号8)。
【図21E】NM−001001390転写変異体3(配列番号9)。
【図21F】NM−001001390転写変異体3(配列番号9);NM−001001391転写変異体4(配列番号10)。
【図21G】NM−001001391転写変異体4(配列番号10)。
【図21H】NM−001001392転写変異体(配列番号11)。
【図21I】NM−001001392転写変異体(配列番号11)及び腫瘍細胞で確認されたX62739アイソフォーム(配列番号12)。
【図21J】ヒトCD44の6つのアイソフォームのアミノ酸配列(NP−000601アイソフォーム1前駆体(配列番号13);NP−001001389アイソフォーム2前駆体(配列番号14);NP−001001390アイソフォーム3前駆体(配列番号15)。
【図21K】NP−001001391アイソフォーム4前駆体(配列番号16);NP−001001392アイソフォーム5前駆体(配列番号17);及び腫瘍細胞で同定されるCAA44602アイソフォーム(配列番号18))。
【図22A−B】図22は、sCD44の構造(パネルA)、様々なCD44アイソフォームの起源(パネルB)を示す。
【図22C】sCD44アイソフォームの切断部位(配列番号23)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
多機能的サイトカインである、オステオポンチン(OPN)(別名、分泌リン脂質1、骨シアロタンパク質I、初期Tリンパ球活性1)は、青年期特発性脊柱側弯症(AIS)で研究され、血漿OPN濃度は3つの群、すなわちAISの患者、脊柱側弯症について家族歴が全くない健常対照者、及び少なくとも一方の親が脊柱側弯症の親である無症候性子供(これは危険性があると考えられる(危険性ある子供))を用いて決定した。
【0041】
AISである継続患者の252人の群を、脊柱側弯症の家族歴が全くない健常対照者の35人、及び無症候性の危険性ある対象の70人と比較した。全ての対象は、コーカサス人であり、人口統計学的特徴を以下の表2に示す。血漿OPN、可溶性CD44受容体(sCD44)、及びヒアルロナン(HA)のレベルは、酵素結合の免疫吸着アッセイにより測定した。松果体切除ニワトリ、及びOPN又はCD44受容体(OPN受容体として知られる)のいずれか一方を欠損する、遺伝子改変二足歩行C57BI/6Jマウスについても調べた。
【0042】
AIS患者における平均血漿OPN濃度は、コブ角が>45°であるAIS患者においては(965±414 ng/L)、健常対照群における値(570±156 ng/L)及びコブ角が<45°であるAIS患者における値(799±284 ng/L)と比較して、有意に高かった(p値<0.001)。AISについての診断的なOPNの感受性及び特異性は、それぞれ84.4%及び90.6%であった(カットオフ値>800 ng/mL)。サブグループの分析では、危険性のある子供の47.9%が800 ng/mLより高いOPN値であり、対照群のわずか8.6%とは対照的であることが示され、脊柱側弯症形成に先行して血漿OPNレベルが上昇することが示唆された。全ての群で、平均血漿sCD44及びHAレベルに有意な差異はなかった。脊柱側弯症の病態生理学に関しては、遺伝子改変二足歩行マウスはいずれも脊柱側弯症を発症しなかったことより、脊柱側弯症の発症には、CD44受容体とのOPN相互作用が必要であることが、二足歩行C57BI/6Jマウスモデルにより実証された。本明細書に開示したOPNカットオフ値は、市販のIBL製ヒトOPNに特異的なElisaキットを用いて計算した。OPNの発現(mRNA又はタンパク質)の測定が異なると(例えば、異なる抗体を使用せずに、異なる生物サンプルにおいてOPN RNA又はOPN タンパク質を介してOPN発現を測定する場合等)これらの値も変動し得る。
【0043】
OPN(分泌リン脂質−1、ミノポンチン(minopontin)、又はEta−1とも呼ばれる)は、細胞外マトリクス等の石化組織に存在するアルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)配列を含有する、リン酸化糖タンパク質である。この多機能サイトカインは、多くの病理学的症状に関与する9,10。AIS患者はまた、姿勢制御、固有感覚及び平衡に欠陥を示すため(12,13)、小脳、骨格筋固有受容の感覚器官、及び平衡を制御する内耳構造等の姿勢制御中枢に、OPN転写及びタンパク質が存在すること(11)は注目に値する。異なる成人の癌及び炎症症状において、高レベルの血漿OPNが見出されている30-33
【0044】
OPNシグナル伝達作用:OPNが細胞表面でCD44受容体と相互作用できることは知られているが14,15、インテグリンとの相互作用以外の、OPNシグナル伝達経路は十分に理解されているわけではない。CD44はヒアルロナン(HA)の主要な受容体であるが、それはOPNの受容体としても作用し、且つ多数のRGD結合部位を有する。接着分子のCDファミリーの中の全てのヒトアイソフォームは、単一の遺伝子によってコードされている。ヒトCD44遺伝子における19個のエキソンのうちの12個の選択的スプライシングは、多数の変異体アイソフォーム生成物をもたらし16,17、かかる構造的異種接合体は、フィブロネクチン18、コンドロイチン硫酸19、オステオポンチン20、少なくとも2つのヘパリン結合増殖ホルモン及びヒアルロナン21,22等のCD44のリガンドレパートリーに関与する。sCD44の可溶性変異体アイソフォーム(sCD44var)は、複数の病理学的症状に関連する16,18,23,24。sCD44アイソフォームは、細胞表面CD44のタンパク質分解性の切断を介して作製しても、選択的スプライシングによるデノボ合成によって作製してもよい。変異エキソン使用とは無関係のCD44分子間の機能的多様性は、ある細胞型では発現するが別の型においては不活性である場合、CD44H又は任意の特定スプライス変異体が、ヒアルロナン(HA)結合を活性化できることの観察により実証される。多くのCD44アイソフォームは組織特異的であるが、多様なsCD44の(1又は複数の)可溶性変異体アイソフォームはいくつかの病理学的症状と関連していた。実際、総sCD44及び特異的な可溶性CD44アイソフォームの血中濃度は、いくつかの悪性疾患において腫瘍転移と相関を示した。かかる疾患には、非ホジキンリンパ腫並びに乳癌、胃癌及び結腸癌等が含まれる。可溶性CD44のレベルは、リウマチ様関節炎、回腸嚢炎及び大腸炎、並びに気管支炎等の特定の炎症症状を呈する対象の体液においてより高くなることも知られている。ヒアルロネート又はヒアルロン酸とも呼ばれるヒアルロナン(HA)は、体中に広く分布するムコ多糖類であり、線維芽細胞及び他の特殊化結合組織細胞等の様々な細胞により生成される。
【0045】
本明細書で使用される「対象」なる用語は、ヒト、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ブタ、サル、ウマ等を含むいずれかの哺乳類のことを言う。具体的な実施態様によれば、それはヒトのことを言う。
【0046】
本明細書で使用される「支持具(brace)」なる用語は、歯科及び整形外科的な支持具を含むことが意図されており、従って「支持装着する(bracing)」とは、対象に支持具を装着する動作のことを言う。特定の実施態様によれば、それは脊柱側弯症の対象を支持することを言うことが意図されている。
【0047】
本明細書で使用される「脊柱の障害及び脊柱側弯症を引き起こす障害」なる専門用語は、脊柱側弯症の発症に関与し得る障害のことを言う。限定するものではないが、かかる障害としては、AIS、先天性脊柱側弯症、先天性サイホース(cyphose)脊柱側弯症、神経学的脊柱側弯症、形成異常性脊柱側弯症、神経線維腫症、脳性麻痺、筋ジストロフィ、神経筋脊柱側弯症、脊椎すべり症、ヌーナン症候群がある。階層化又は予測され得る脊柱側弯症は、事故及びある先天性奇形により引き起こされるものは考慮しない。
【0048】
本明細書で使用される「青年期特発性脊柱側弯症を発症する有力な候補」なる用語には、少なくとも親の一方が特発性脊柱側弯症である子供が含まれる。他の要因の中でも、年齢(青年期)、性別及び家系(すなわち脊柱側弯症である母又は父から生まれたこと)は、脊柱側弯症を発症する危険性に寄与することが知られており、またAIS発症の危険性をある程度評価するために使用される。特定の対象において脊柱側弯症は、矯正外科手術を要する段階まで短期間で急速に進行する。AISと診断される瞬間(脊柱側弯症が明らかになる時点)から利用できる現行の措置の過程としては、観察(コブ角がおよそ10〜25°の時点)、整形外科装置(コブ角がおよそ25〜30°)、及び外科手術(45°超)がある。進行の危険性を決定し、且つ本発明による治療有効性を観測するためのより確実な方法は、1)脊柱側弯症の寄与体として確認されている特定食物を除去する、適切な食事を選択すること、2)最良の治療剤を選択すること、3)最も侵襲性の低い予防措置、及び/又は姿勢訓練、整形外科装置等の利用可能な治療、及び/又は侵襲性の低い外科手術もしくは癒合のない外科手術(椎骨を癒合せず、柱の可動性を保持する外科手術)を選択すること、により補助することができる。
【0049】
本明細書で使用される「重篤なAIS」なる用語は、コブ角が45°以上であることを特徴とする脊柱側弯症のことを言う。
【0050】
本明細書で使用される「脊柱側弯症発症の危険性」なる用語は、脊柱側弯症を発症する(すなわち、脊柱奇形)及び/又は今後より重篤な脊柱側弯症を発症する、対象の遺伝的又は代謝的素因のことを言う。例えば、対象のコブ角の増加(例えば、40°から50°、又は18°から25°等)は、脊柱側弯症の「発症」である。
【0051】
本明細書で使用される「生物サンプル」なる専門用語は、生きているものから単離した任意の固体又は液体サンプルのことを言う。具体的な実施態様によれば、それはヒトから単離した任意の固体又は液体のサンプルのことを言う。限定するものではないが、生検、血液、涙(48)、唾液、母乳、滑液、尿、耳液、羊液及び脳髄液が挙げられる。特定の実施態様によれば、それは血液サンプルのことを言う。
【0052】
本明細書で使用される「血液サンプル」なる専門用語は、血液、血漿又は血清のことを言うことが意図される。好ましい実施態様によれば、血漿を使用する。より具体的な実施態様よれば、それは血漿サンプルのことを言う。
【0053】
本明細書で使用される「対照サンプル」なる専門用語は、脊柱側弯症に罹患している又は脊柱側弯症を発症する有力な候補であるとわかっている対象から得たサンプルではないサンプルのことを言う意図である。ただし、脊柱側弯症であると予備診断される対象における脊柱側弯症発症の危険性を決定するための方法において、当該サンプルを疾患又は障害の最も早い段階で、検査された対象から得てもよい。
【0054】
脊柱側弯症に関して本明細書で使用される「治療する」又は「治療」なる用語は、既存の脊柱奇形におけるコブ角の低減、柱可動性の改善、柱可動性の保持/維持、特定の計画における平衡及びバランスの改善;特定の計画における平衡及びバランスの維持/保持、特定の計画における機能性の保持/維持、美容的改善、及び上記任意の組み合わせのうち、少なくとも1つのことを言う意図である。
【0055】
脊柱側弯症に関して本明細書で使用される「予防する」又は「予防」なる用語は、脊柱側弯症に罹患する患者又は無症候患者におけるコブ角の低減、脊柱奇形の出現の完全な予防、例えば3Dでの胸部及び骨盤への影響の変化、並びに上記任意の組み合わせのうち、少なくとも1つのことを言う意図である。
【0056】
本明細書で使用される「オステオポンチン阻害剤」なる用語は、OPN(sspMと呼ばれる遺伝子)の発現(転写又は翻訳)を低減もしくはブロックできる剤、OPNセレクションを低減もしくはブロックできる剤、又はOPNの受容体CD44への結合を低減もしくはブロックできる剤のことを言う。限定するものではないが、当該剤は天然物でも合成物でもよく、限定するものではないがOPNに特異的に結合する抗体等のタンパク質、ペプチド、小分子、限定するものではないがアンチセンス等のヌクレオチド、又はOPN特異的なsiRNAが挙げられる。
【0057】
本明細書で使用される「CD44阻害剤」なる用語は、CD44の発現(転写又は翻訳)を低減できる剤、又は細胞膜でのCD44局在を低減できる剤のことを言う。限定するものではないが、当該剤は天然物でも合成物でもよく、限定するものではないがCD44に特異的に結合する抗体等のタンパク質、ペプチド、小分子、限定するものではないがアンチセンス等のヌクレオチド、又はCD44特異的なsiRNAが挙げられる。
【0058】
本明細書で使用される「sCD44」なる用語は、sCD44の発現(転写又は翻訳)を増加できる剤、sCD44分泌を増加できる剤、又はOPNに対するsCD44親和性を増加できる剤のことを言う。限定するものではないが、当該剤としてはタンパク質、ペプチド、小分子又はヌクレオチドが挙げられる。
【0059】
本明細書において冠詞の"a"、"an"及び"the"は、その冠詞の、文法的な対象物の1つ又は複数について(すなわち少なくとも1つについて)言うために使用する。
【0060】
用語「含む(including)」及び「含んでなる(comprising)」は、本明細書において、「(それに)限定することなく含む」及び「(それに)限定することなく含んでなる」という語句意味するとともに、ほとんど同じ意味で使用される。
【0061】
本明細書で使用される「例えば(such as)」なる用語は、「限定することなく、例えば」という語句を意味するとともに、ほとんど同じ意味で使用される。
【0062】
本発明はまた、OPN、HA又はsCD44の発現(すなわち、転写又は翻訳産物)のレベルを決定するための方法に関する。従って本発明はElisa(酵素結合イムノソルベントアッセイ)、RIA(ラジオイムノアッセイ)、リアルタイムPCR及び競合的CR、ノーザンブロット法、ヌクレアーゼ保護、プラークハイブリダイゼーション法、並びにスロットブロット等の決定のための任意の既知の方法を包含する。
【0063】
本発明はまた、OPN、sCD44又はCD44を検出するプローブ及びプライマーを含む、単離核酸分子に関する。特定の実施態様によれば、単離核酸分子はヌクレオチドを300個以下、又は200個以下、又は100個以下、又は90個以下、又は80個以下、又は70個以下、又は60個以下、又は50個以下、又は40個以下、又は30個以下有する。特定の実施態様によれば、単離核酸分子はヌクレオチドを17個以上、又は18個以上、又は19個以上、又は20個以上、又は30個以上、又は40個以上有する。他の特定の実施態様によれば、単離核酸分子はヌクレオチドを20個以上且つ300個以下有する。他の特定の実施態様によれば、単離核酸分子はヌクレオチドを20個以上且つ200個以下有する。他の特定の実施態様によれば、単離核酸分子はヌクレオチドを20個以上且つ100個以下有する。他の特定の実施態様によれば、単離核酸分子はヌクレオチドを20個以上且つ90個以下有する。他の特定の実施態様によれば、単離核酸分子はヌクレオチドを20個以上且つ80個以下有する。他の特定の実施態様によれば、単離核酸分子はヌクレオチドを20個以上且つ70個以下有する。他の特定の実施態様によれば、単離核酸分子はヌクレオチドを20個以上且つ60個以下有する。他の特定の実施態様によれば、単離核酸分子はヌクレオチドを20個以上且つ50個以下有する。他の特定の実施態様によれば、単離核酸分子はヌクレオチドを20個以上且つ40個以下有する。他の特定の実施態様によれば、単離核酸分子はヌクレオチドを17個以上且つ40個以下有する。他の特定の実施態様によれば、単離核酸分子はヌクレオチドを20個以上且つ30個以下有する。他の特定の実施態様によれば、単離核酸分子はヌクレオチドを17個以上且つ30個以下有する。他の特定の実施態様によれば、単離核酸分子はヌクレオチドを30個以上且つ300個以下有する。他の特定の実施態様によれば、単離核酸分子はヌクレオチドを30個以上且つ200個以下有する。他の特定の実施態様によれば、単離核酸分子はヌクレオチドを30個以上且つ100個以下有する。他の特定の実施態様によれば、単離核酸分子はヌクレオチドを30個以上且つ90個以下有する。他の特定の実施態様によれば、単離核酸分子はヌクレオチドを30個以上且つ80個以下有する。他の特定の実施態様によれば、単離核酸分子はヌクレオチドを30個以上且つ70個以下有する。他の特定の実施態様によれば、単離核酸分子はヌクレオチドを30個以上且つ60個以下有する。他の特定の実施態様によれば、単離核酸分子はヌクレオチドを30個以上且つ50個以下有する。他の特定の実施態様によれば、単離核酸分子はヌクレオチドを30個以上且つ40個以下有する。リアルタイムPCRにおいて、プライマーは従来のこの用語の意味でないプローブも構築すると理解されるべきである。本発明の方法においてOPN、sCD44及びCD44を検出するのに適したプライマー又はプローブは、その個別のヌクレオチド配列にわたって分布する配列を用いる基地の方法で設計できる(49)
【0064】
本発明のプローブは、天然の糖−リン酸骨格、並びにホスホロチオエート、ジチオネート、ホスホン酸アルキル及びα−ヌクレオチド等の修飾骨格を利用できる。修飾糖−リン酸骨格が一般的に知られている。本発明のプローブは、リボ核酸(RNA)で構成されてもデオキシリボ核酸(DNA)で構成されてもよく、好ましくはDNAで構成できる。
【0065】
プローブを使用できる検出方法の種類としては、サザンブロット法(DNA検出)、ドット又はスロットブロット(DNA、RNA)、及びノーザンブロット(RNA検出)が挙げられる。それほど好ましくはないが、標識したタンパク質も、それに結合する具体的な核酸配列を検出するのに使用できるであろう。その他の検出方法としては、尿試験紙等のプローブ含有キットがある。
【0066】
本明細書で使用される「検出可能に標識された」なる用語は、本発明に係るOPN、HA及び/又はsCD44の検出を可能とする、本発明に係るプローブ又は抗体のマーキングのことを言う。本発明は具体的な核酸配列の検出用標識の使用に特に依存するものではないが、かかる標識は検出の感度向上という利益があるだろう。さらに、それは自動化できる。プローブは周知の方法により標識できる。標識の非限定的な例としては、3H、14C、32P、及び35Sが挙げられる。検出可能なマーカーの非限定的な例としては、リガンド、フルオロフォア、化学発光剤、酵素、及び抗体が挙げられる。プローブとの使用のための、その他の検出可能なマーカーであって、本発明の方法の感受性を向上させることができるものとしては、ビオチン及び放射性ヌクレオチドがある。具体的な標識の選択がプローブに結合する方法を決定することは当業者にとって明らかになるであろう。
【0067】
一般的に知られているように、放射性ヌクレオチドは複数の方法により本発明のプローブに組み込まれる。その非限定的な例としては、ガンマ32P ATP及びポリヌクレオチドキナーゼを用いて、プローブの5'末端をリン酸化すること、放射性dNTPの存在下でE.coliのPOlIのクレノー断片を用いること(例えば、低融点ゲル中でランダムオリゴヌクレオチドプライマーを用いる、均一標識化DNA)、1又は複数の放射性NTPの存在下でDNAセグメントを転写するSP6/T7系を用いること等が挙げられる。
【0068】
本発明はまた、化合物を選択する方法に関する。本明細書で使用される「化合物」なる用語は、限定するものではないが、例えば巨大分子、細胞もしくは組織抽出物(植物又は動物由来)、核酸分子、ペプチド、抗体及びタンパク質等の、天然、合成又は半合成の化合物を包含する。
【0069】
本発明はまた、アレイに関する。本明細書で使用される「アレイ」は、意図的に創出された分子の集合であり、合成的又は生合成的のいずれで調製してもよい。アレイにおける分子は、各々同じであっても異なっていてもよい。アレイは様々な構成(format)を想定することができ、例えば可溶性分子のライブラリー、樹脂ビーズ、シリカチップ、又はその他の固体支持体と連結された化合物のライブラリーがある。
【0070】
本明細書で使用される「核酸分子のアレイ」は、核酸の意図的に創出される集合であり、合成的にも生合成的にも調製でき、様々な異なる構成がある(例えば、可溶性分子のライブラリー;及び樹脂ビーズ、シリカチップ、又はその他の固体支持体と連結されたオリゴヌクレオチドのライブラリー)。さらに、「アレイ」なる用語は、基質に局在する、本質的に任意の長さの核酸により調製できる核酸のライブラリーが含まれることを意味する。本明細書で使用される「核酸」なる用語は、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、又はペプチド核酸(PNA)のいずれであってもよいが、任意の長さの核酸の重合状態のことを言い、プリン及びピリミジン塩基、又は他の天然の、化学的もしくは生化学的に修飾された、非天然の、又は誘導体化されたヌクレオチド塩基を含んでなる。ポリヌクレオチドの骨格は、典型的にRNAもしくはDNA中に見出されるのと同様に、糖及びリン酸基、又は修飾もしくは置換された糖及びリン酸基を含んでなることがでる。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びヌクレオチド類似体等の修飾ヌクレオチドを含んでもよい。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分により阻害され得る。すなわち、ヌクレオシド、ヌクレオチド、デオキシヌクレオシド及びデオキシヌクレオチドは一般的に、本明細書に記載されるような類似体を含む。これらの類似体は、核酸又はオリゴヌクレオチド配列に組み込まれる場合、溶液様態である天然の核酸配列とのハイブリダイゼーションを可能にさせるような、天然のヌクレオシド又はヌクレオチドに共通するいくつかの構造的特徴を有する分子である。典型的には、これらの類似体は、天然のヌクレオシド及びヌクレオチドから塩基、リボース又はホスホジエステル部分の置換及び/又は修飾により誘導される。当該変化は、個々に合わせて構成のための安定化もしくは不安定化ハイブリッドを作製でき、又は所望の通りに相補的核酸配列とのハイブリダイゼーションの特異性を向上できる。
【0071】
本明細書で使用される「固体支持体」、「支持体」、及び「基質」は、同じ意味で使用され、1又は複数の硬表面又は半硬表面を有する物質又は物質群のことを言う。多くの実施態様によれば、少なくとも1つの固体支持体の表面は実質的に平面であるが、いくつかの実施態様によれば、例えばウェル、隆起領域、ピン、エッチングされた溝等を伴う異なる化合物のための、物理的に分離した合成領域であってもよい。その他の実施態様によれば、(1又は複数の)固体支持体は、ビーズ、樹脂、ゲル、微小球の形態、又はその他の幾何的立体配置を取り得る。
【0072】
本発明に従って任意の既知の核酸アレイを使用することができる。例えば、当該アレイには、様々な鎖長のオリゴヌクレオチドプローブ及びcDNA又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)産物に基づくものが含まれる。その他の方法には、遺伝子発現の連続分析(serial analysis of gene expression (SAGE))、差次的発現(differential display)、及び差引きハイブリダイゼーション法、ディファレンシャルスクリーニング(DS)、任意のRNAプライマー(RAP)−PCR、異なる発現配列の制限エンドヌクレアーゼ解析(restriction endonucleolytic analysis of differentially expressed sequences (READS))、増幅制限酵素断片長多型(AFLP)が含まれる。
【0073】
抗体
本発明は、例えば対象のサンプル中及び本発明のキット中などの、OPN、sCD44又はCD44レベルを検出又は決定するために抗体を使用することを包含する。これらの生物的マーカーに特異的に結合する抗体は、以下さらに記載する定常的方法で作製できる。本発明はまた、市販の抗体を使用することを包含する。制限するものではないが、OPNに特異的に結合する抗体には、以下の表1に列記したものが含まれる。
【0074】
表1 市販のヒトOPNElisaキット
【表1】

【0075】
OPNを対象とするモノクローナル及びポリクローナルの両抗体は、当業者に周知の十分確立した手法で作製できるよう、本発明の範囲内に含まれる。さらに、モノクローナルでもポリクローナルでもよいが、一次抗体を対象とする任意の二次抗体も、本発明の範囲内に含まれる。
【0076】
本明細書で使用される、「抗OPN抗体」又は「免疫学的な特異的抗OPN抗体」はOPNタンパク質に特異的に結合(相互作用)し、OPNタンパク質と同じ抗原決定基を共有するもの以外の、その他の天然のタンパク質との結合が実質的にないことを示す。抗体又は免疫グロブリンなる用語は最も広い意味で使用されるとともに、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体等)、ポリクローナル抗体、多特異的抗体、及び所望の生物活性を呈するのであれば抗体断片を包含する。抗体断片は、全長抗体の一部、一般的にはその抗原結合又は可変領域を含んでなる。抗体断片の例としては、Fab、Fab'、F(ab')2、及びFv断片、二特異性抗体、直鎖抗体、単鎖抗体分子、単ドメイン抗体(例えばラクダ由来)、サメNAR単ドメイン抗体、及び抗体断片から形成される多特異性抗体がある。抗体断片はまた、CDR又は抗原結合ドメインを含んでなり、限定するものではないが、例えばVH領域(VH、VH−VH)、anticalin、PepBodies(商標)、抗体T細胞エピトープ融合体(Troybodies)又はPeptibodies等がある。さらに、モノクローナルでもポリクローナルでもよいが、一次抗体を対象とする任意の二次抗体も、本発明の範囲内に含まれる。
【0077】
一般的に、抗体調製(モノクローナル抗体及びハイブリドーマ等)及び抗体を用いる抗原検出のための技術は、当業界で周知であり(Campbell, 1984, In "Monoclonal Antibody Technology: Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology", Elsevier Science Publisher, Amsterdam, The Netherlands)、Harlow et al., 1988 (in: Antibody A Laboratory Manual, CSH Laboratories)に記載がある。抗体なる用語には、本明細書でポリクローナル、モノクローナル抗体及び抗体変異体が包含され、例えば単鎖抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体及び抗体の免疫活性断片(例えばFab及びFab'断片)であって、そのハイフンにおける個別の相互作用ドメインを阻害もしくは中性化し、及び/又はそれに特異的であるもの等がある。
【0078】
ポリクローナル抗体は、アジュバントの存在下又は不存在下で、好ましくは関連抗原の、皮下(sc)、静脈内(iv)又は腹腔内(ip)注入により動物内で倍数的に増加する。二機能性もしくは誘導化剤、例えばマレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を介して複合化)、N−ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基を介する)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、COCl2又はR1N=C=NR(R及びR1は異なるアルキル基)等を使用して、免疫化される種における免疫原であるタンパク質、例えばキーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、又はダイズトリプシン阻害剤等と、関連抗体との複合化が有用な可能性がある。
【0079】
抗原又は複合体を(例えば、ウサギの100μg、マウスの5μg)、3容量の完全フロイントアジュバントと組み合わせるとともに、多部位で当該溶液を皮内注入することにより、動物を、抗原、免疫原性複合体、又は誘導体に対して免疫化してもよい。1ヶ月後、当該動物を、完全フロイントアジュバントの存在下、多部位での皮下注入により、抗原又は複合体で(例えば、免疫化に使用された初期量の1/5〜1/10で)追加免疫する。7〜14日後、当該動物から採血し、その血清を抗体力価のアッセイに供する。この力価がプラトーになるまで動物を追加免疫する。複合体免疫化では、好ましくは、当該動物を同じ抗原の複合体で追加免疫するが、異なるタンパク質及び/又は異なる架橋試薬と複合化される。複合体は、タンパク質融合体として組み換え細胞において作製することもできる。また、ミョウバン等の凝集剤を、免疫応答の増強のために適当に使用する。
【0080】
モノクローナル抗体は、Kohler et al., Nature, 256: 495 (1975)により最初に報告されたハイブリドーマ法を用いて作製してもよいし、又は組み換えDNA法(例えば、米国特許第6,204,023号)により作製してもよい。モノクローナル抗体はまた、米国特許第6,025,155号及び第6,077,677号、並びに米国特許出願公開第2002/0160970号及び第2003/0083293号に記載の技術を用いて作製することもできる(例えば、Lindenbaum et al., 2004も参照)。
【0081】
ハイブリドーマ法において、マウス、又はラット、ハムスターもしくはサル等の他の適切な宿主動物を免疫化し、免疫化のために使用された抗原と、特異的に結合する抗体を作製するか作製できるリンパ球を取り出す。あるいは、リンパ球をインビトロで免疫化してもよい。その後リンパ球を、ポリエチレングリコール等の好適な融合剤を用いて、骨髄腫細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成させる。
【0082】
このように調製されたハイブリドーマ細胞を、好ましくは非融合の親の骨髄腫細胞の増殖又は生存を阻害する1又は複数の基質を含有する、好適な培養培地に播種し増殖させる。例えば、親の骨髄腫細胞が、ヒポキサンチングアニジンホスホリボシル転移酵素(HGPRT又はHPRT)を欠損している場合、ハイブリドーマ用の培養培地は、典型的にはヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジンを含有し(HAT培地)、その基質は、HGPRT欠損細胞の増殖を阻止する。
【0083】
本明細書で使用される、「精製抗体」なる表現中の「精製」なる用語は、動物からその自身の抗原に対して天然に作製された抗体を、人工の抗体と単純に区別する意味である。それゆえ、抗OPN抗体を含有する未処理の血清及びハイブリドーマ培養培地は、本発明の意味する範囲の「精製抗体」である。
【0084】
本発明は、OPN,HA又はsCD44の翻訳産物を検出及び/又は定量するアレイも包含する。かかるアレイにはタンパク質のマイクロ又はマクロアレイが含まれ、可能であれば例えば蛍光標識システムと組み合わせた顕微鏡検査等の細胞レベルでの質量分析画像化システムとの合わせた、抗分解能2Dゲル方法等のゲル技術もある。
【0085】
本発明はまた、転写、翻訳、翻訳後修飾又はOPNの活性に、直接もしくは間接的に影響を及ぼす、特異的な(1又は複数の)変異を同定するための方法を包含する。限定するものではないが、注目の変異には、OPNと任意の可溶性もしくは非可溶性のCD44のアイソフォームとの相互作用、又は任意の可溶性もしくは非可溶性CD44アイソフォームとのHAの結合に影響を及ぼす任意の変異が含まれる。
【0086】
本発明はまた、身体的理学療法等の、脊柱側弯症及び弯曲の進行を阻止する多数のアプローチ(例えば、姿勢訓練、理学療法、マニピュレーションによる生体力学的刺激、又は例えば振動板等の特異的な装置の使用)の有効性を評価するための、本明細書開示のバイオマーカーの観測;支持具の有効性又は新規な支持具の開発の観測;椎骨の癒合を伴う又は伴わない新規な外科的装置の観測、及び特定の食事、栄養補助的及び/又は薬理学的治療の有効性の観測を包含する。限定するものではないが、支持具を適用後の最初の測定は、例えば支持具がよく順応しているか、及び患者が治療に適合しているかを、1ヶ月後に決定するために実施し得る。その後、高レベルのOPNが検出されるか否かによって、当該観測を3〜6ヶ月ごとに実施し得る。本発明の方法は、X線の要請を有利に低減できる。X線は、例えば来診時の検出OPNレベルが高すぎる場合にのみ実施し得る。
【0087】
本発明はまた、AISに罹患する患者における、早期の支持具治療又は新規な低癒合性装置を用いる低侵襲性の外科手術、薬理学的治療、及び治療への応答を観測するために、進行の危険性がある患者を確認する、本明細書に開示のバイオマーカーの観測を包含する。低癒合性装置は、生育可能性を未だに有する患者に特に有用であり、そのため対象の一生において可能な限り早く脊柱側弯症発症の危険性を確認することが有益であることに留意すべきである。特定の実施態様によれば、脊柱側弯症の家族前例/経歴を有する対象において、対象が約5歳以下のときに観測を開始する。試験の頻度は、典型的には6ヶ月毎である。OPN値がカットオフ値超(すなわち、OPN IBL ELISAキット コード番号27158を使用する場合、>800 ng/ml)の場合、かかる頻度は有利に顕著に上昇する(例えば、1ヶ月毎、2ヶ月毎、3ヶ月毎・・・)。
【0088】
本発明はまた、細胞アッセイ全体を使用する、潜在的に有用な治療剤をスクリーニング/選択する方法を包含し、当該治療化合物は、OPNの転写及び/又は合成を抑制でき(ssp1遺伝子にコードされる)、及び/又は血中OPNを隔離するsCD44の産生を増加でき、及び/又はCD44受容体とOPNの連絡を阻止でき、及び/又はCD44受容体をブロックできる。かかる方法における使用のための細胞には、任意の供給源(例えば自家製又は市販の細胞系列)及び型(任意の組織)の細胞が含まれる。自家製細胞系列においては、例えばAIS対象由来の細胞を不死化することにより作製できる。特定の実施態様によれば、本発明のスクリーニングの方法は、OPN発現(転写及び/又は翻訳)を阻害する剤、及びsCD発現(転写及び/又は翻訳)を増加させる剤の確認を要する。かかる実施態様に有用な細胞系列には、OPNを高レベル及び/又はsCD44を低レベルで作製するものが含まれる。かかる有用な細胞系列は、参考文献43〜56に記載がある。
【0089】
特定の実施態様によれば、脊柱側弯症患者由来の任意の細胞型の細胞が(全細胞アッセイ全体)含まれる。特定の実施態様によれば、骨芽細胞、軟骨細胞、筋芽細胞又はリンパ球等の血球が含まれる。本明細書で使用される「脊柱側弯症患者由来の細胞」なる用語は、脊柱側弯症患者から直接単離される細胞、又は脊柱側弯症患者から直接単離される細胞を起源とする不死化細胞系列のことを言う。特定の実施態様によれば、細胞は傍脊椎筋細胞である。当該細胞は、例えば針生検で対象から単離されてもよい。
【0090】
医薬組成物はまた、経鼻、静脈内、筋内、皮下、舌下、髄腔内、又は皮内等の経路により投与できる。投与経路は、その環境及び治療目的等の様々な因子に依存し得る。
【0091】
投薬量
薬理的及び/又は栄養補助的及び/又は食事補助的組成物の任意の量を対象に投与できる。投薬量は投与の態様等多くの因子に依存する。典型的には、単一用量内に含有される抗脊柱側弯症組成物(例えば、オステオポンチン阻害剤又はセレン化合物)の量は、顕著な毒性をもたない、脊柱側弯症を有効に予防、遅延又は低減させる量、つまり「治療有効量」である。
【0092】
いくつかの実施態様によれば、栄養補助的な抗脊柱側弯症の組成物(例えば、セレンサプリメント)の治療有効量は、変更可能である。有用な有効量濃度としては、質量対質量基準で総食事の約0.01%〜10%、約1%〜約6%、又は約02%〜6%の範囲の量が含まれる。
【0093】
オステオポンチン阻害剤又はセレン化合物の有効量を直接測定してもよい。有効量は、毎日もしくは毎週与えてもよく、その分割量を与えてもよい。典型的には、本発明の薬理的及び/又は栄養補助的及び/又は食事補助的組成物は、約0.001 mg〜最大約500 mg/体重kg/日の量で投与できる(例えば、10 mg、50 mg、100 mg、又は250 mg)。投薬量は、単回又は数回の投薬レジメのいずれで提供してもよい。例えばいくつかの実施態様によれば、用量の有効量は、抗脊柱側弯症調製物を1日当たり、約1 mg〜約25 g、約50 mg〜約10 g、約100 mg〜約5 gを隔日、及び約1 gを隔週である。
【0094】
例として、本発明の薬理的(例えば、オステオポンチン阻害剤含有)及び/又は栄養補助的(例えば、セレン含有)及び/又は食事補助的(例えばセレン含有)組成物は、液体、溶液、懸濁物、丸薬、カプセル、錠剤、ジェルキャップ、粉末、ゲル、軟膏、クリーム、スプレー、ミスト、噴霧蒸気、エアゾール、又はフィトサム(phytosome)の形態があり得る。経口投与用としては、錠剤又はカプセルを、結合剤、充填剤、滑沢剤、崩壊剤、又は湿潤剤等の医薬的に許容可能な賦形剤を少なくとも1つ用いる、従来手法により調製できる。錠剤は当業者に既知の方法で被覆できる。経口投与用の液体調製物は、例えば溶液、シロップ、又は懸濁物の形態をとるか、又は生理食塩水もしくはその他の好適な液体と共に、使用前に組成するための乾燥製品として提示することもできる。本発明の食事補助は、必要に応じて懸濁剤、乳化剤、非水溶性ビヒクル、保存剤、緩衝塩、香料、着色料、及び甘味剤等の医薬的に許容可能な添加剤を含有できる。好適には経口投与用の調製物は、活性成分の制御放出を提供するよう処方できる。
【0095】
さらに、本発明の薬理的(例えば、オステオポンチン阻害剤含有)及び/又は栄養補助的(例えば、セレン含有)及び/又は食事補助的(例えばセレン含有)組成物は、哺乳類に対する医薬的に許容可能な担体の投与を含むことができ、限定するものではないが、滅菌水もしくは非水溶液、懸濁物、及びエマルションがある。非水性溶媒の例としては、限定するものではないが、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、及び注入可能な有機エステルがある。水性担体には、限定するものではないが、水、アルコール、食塩水、及び緩衝化溶液が含まれる。医薬的に許容可能な担体は、生理的に許容可能な水性ビヒクル(例えば、生理食塩水)又はその他の既知の投与の特異的な経路に適する担体を含むことができる。
【0096】
オステオポンチン阻害剤又はセレンは、医薬調製物において一般的に使用される任意のビヒクル、例えばタルク、アラビアゴム、ラクトース、スターチ、ステアリン酸マグネシウム、ココアバター、水性もしくは非水性溶媒、オイル、パラフィン誘導体又はグリコール等との複合体の投薬形態に組み込んでもよい。米国特許第5,434,183号に記載されるようなエマルションは、植物油(例えば、ダイズ油又はサフラワー油)、乳化剤(例えば、卵黄リン脂質)及び水が、グリコールと組み合わされた中で使用してもよい。適切な製剤を調製するための方法は、当業者に周知である(例えば、Pharmaceutical Sciences, 16th Ed., 1980, A. Oslo Ed., Easton, Pa.を参照)。
【0097】
投与経路として非経口投与が採用される場合、オステオポンチン阻害剤又はセレンを含有する調製物は、医薬的に許容可能な滅菌の水性もしくは非水性溶媒、懸濁物又はエマルションとの組み合わせで患者に提供してもよい。非水性溶媒の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、魚油、及び注入可能な有機エステルがある。水性担体には、水、水−アルコール溶液、エマルション又は懸濁物、例えば食塩、及び例えば塩化ナトリウム溶液、リンガーのデキストロース溶液、デキストロース+塩化ナトリウム溶液、ラクトース含有リンガー溶液、又は固定油等の緩衝化医療的非経口ビヒクル等が含まれる。静脈内ビヒクルには、液状及び栄養補充剤、電解質補充剤、例えばリンガーデキストロースをベースにしたもの等が含まれる。
【0098】
これらは単に指針であり、実際の用量は個々の患者に特有の臨床的因子に基づいて主治医により、又は栄養士により、慎重に選択及び漸増されるべきである。最適な一日用量は当業者に既知の方法で決定でき、また患者の年齢等の因子及びその他の臨床関連因子により影響を受ける。さらに、患者は他の疾患又は症状のための医薬品を服用している可能性もある。他の医薬品は、オステオポンチン阻害剤又はセレン化合物が患者に与えられる期間中継続してもよいが、有害事象が起きる場合は、低用量での開始を決定するのが特に賢明である。
【0099】
本発明はキットにも関する。限定するものではないが、それは脊柱側弯症の対象を階層化及び/又は対象について脊柱側弯症発症の危険性の有無を予測するための、上記の本発明による抗体等の単離核酸、タンパク質又はリガンドを含んでなるキットに関する。例えば、本発明による区分化されたキットには、試薬が別々の容器入れられた、任意のキットが含まれる。当該容器には、小ガラス容器、プラスティック容器、又はプラスティックもしくは紙片が含まれる。当該容器により、ある区分から別の区分へ試薬を有効に移動できるため、サンプルと試薬が互いに混入せず、試薬又は各容器の溶液をあるある区分から別へと定量的に添加できる。当該容器には、対象のサンプル(DNAゲノム核酸、細胞サンプル、又は血液サンプル)を受ける容器、本発明のいくつかのキット中に含有される容器、本発明の方法で使用されるプローブ、酵素を含有する容器、洗浄試薬を含有する容器、及び伸長産物を検出するために使用する試薬を含有する容器が含まれる。本発明のキットは、脊柱側弯症の対象を階層化するか、対象について脊柱側弯症発症の危険性の有無を予測するための、当該プローブ又は抗体を使用するための指示書を含んでもよい。
【0100】
本発明は、以下の非限定的な実施例により、さらに詳細に例示される。
【実施例1】
【0101】
原料及び方法
二足歩行C57BI/6J OPNヌル及びCD44ヌルマウスの作製
マウスでの実験は、Ste-Justine Hospital's Animal Health Care Review Committeeに承認されたプロトコルに従って行った。C57BI/6Jマウスにおいて、10世代超戻し交配した、OPN又はCD44受容体を欠損の(それぞれOPNヌルマウスとCD44ヌルマウス)C57BI/6の繁殖ペアを、それぞれ新たなコロニーを作製するため、Dr. Susan Rittling, (Rutger University, NJ, USA) 及び Dr. Tak Mak (University of Toronto, ON, Canada)から入手し、一方C57BI/6Jマウスは対照群とする(Charles-River, Wilmington, MA, USA)。生まれつきメラトニンを欠損し(26)、高いOPN血中濃度を示し(27)、且つ二足歩行状態にさせると脊柱側弯症を発症する(28)ために、C57BI6/6Jマウス種を使用した。これは周知の脊柱側弯症の動物モデルである。二足歩行の外科手術は、既報の方法に従い(28)、乳離れ後に、その前肢及び尾を麻酔下で切断することにより実施した。全てのマウスに、麻酔下で、Faxitron(商標)X線装置(Faxitron X-rays Corp. Wheeling, IL, USA)を用いて、6週齢で開始してから2週間毎に全体像のレントゲン撮影検査を行った。腹背のX線を撮影し、その後各デジタル画像について脊柱側弯症の存在を評価した。有意な脊柱側弯症の症状として、10°以上のコブ角閾値を用いた。
【0102】
OPNマウスの免疫検出
血清のOPNレベルを決定するために、末梢血からマウス血清を採り、シリカゲル含有の血清分離管(BD Microtainer, BD New Jersey, USA)に採集し、その後遠心分離した。生成された血清サンプルを、分割し、−80℃で凍結させておき、解凍して分析した。OPNの血清濃度を、製品(IBL, Hamburg, Germany)により提供されるプロトコルに従って、捕捉酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)で測定した。血清における、全てのリン酸化及び非リン酸化されたOPNアイソフォームの総濃度を、OPN ELISAキットで測定した。ELISA試験を二重に行われ、AsysHiTech(商標)Expert−96マイクロプレートリーダー(Biochrom, Cambridge, UK)を用いて450nmで最適密度を測定した。本明細書ではマウスにおいて血清を使用したが、本発明はマウス血漿におけるOPNを測定することも包含する。
【0103】
松果体切除ニワトリの作製
多くの松果体切除ニワトリは脊柱側弯症を発症するため、これを脊柱側弯症モデルとして使用する。この研究のために、新たに孵化した145匹のニワトリ(Mountain Hubbard)を地元の孵化場で購入し、松果体切除手術を既報の方法に従って行った(25)
【0104】
ニワトリOPNの発現解析及び免疫検出
全ての細胞RNAを、松果体切除ニワトリの傍脊椎筋から、フェノール/クロロホルム抽出により調製した。RT−PCR用に、1マイクログラムの全てのRNAを、ThermoScript(商標)逆転写酵素(Invitrogen)を用いて逆転写し、その相当する0.1マイクログラムの逆転写RNAをPCR反応に用いた。これらの反応を、200マイクロモラーのdNTP、1.5ミリモラーのMgCl2、10ピコモラーの各プライマー、及び1UのPfu DNAポリメラーゼ(Stratagene, LaJoIIa, CA, USA)を含有する50マイクロリットルの最終容量中で行った。PCR反応は以下のプライマー及び条件を使用して行った。ニワトリOPN(420bp PCR産物):5'−ACACTTTCACTCCAATCGTCC−3'(配列番号19)(順方向)、5'−TGCCCTTTCCGTTGTTGTCC−3'(配列番号20)(逆方向)35サイクル:95℃/45秒、66℃/45秒、72℃/1分。定量的解析のため、全ての増幅を、ハウスキーピング遺伝子βアクチンに対して標準化した。ニワトリ−βアクチン(460bp、PCR産物)5'−GGAAATCGTGCGTGACAT−3'(配列番号21)(順方向)、5'−TCATGATGGAGTTGAATGTAGTT−3'(配列番号22)(逆方向)32サイクル:94℃/45秒、55℃/45秒、72℃/1分。PCR増幅産物を、臭化エチジウム含有の1.5%アガロースゲルで分析した。傍脊椎筋の総タンパク質抽出物を、ニワトリOPNと交差反応する抗ヒトOPNを用いるウェスタンブロットにより、ニワトリOPNを検出するために使用した(clone 8E5, Kamiya Biomedial , WA, USA)。
【0105】
ヒト群
Sainte-Justine 病院、モントリオール子供病院、モントリオールの子供用のShriners病院、McGiII大学及びAffluent教育委員会の施設内治験審査委員会が本研究を承認した。全ての参加者の親又は法的保護者は同意書を提出し、未成年者はその承認を提出した。
【0106】
AISに罹患する全ての患者は、6人の整形外科医のうちの1人によって診察された。経歴と身体的な診察が、特発性脊柱側弯症の診断と一致するとともに、脊椎(vertebral)の回転を伴う前頭面における最小で10°の弯曲が、脊柱(spine)の立姿勢のレントゲン写真に発見された場合、その人は罹患していると考えられる。モントリオールの小学校において健常対照を募集した。各対象は、脊柱側弯計を用いるアダムの前屈試験を使用して同じ整形外科医により診察された。
【0107】
3群について調査した。AIS罹患患者、脊柱側弯症の家族前例/経歴が全くない健常対照者、及び少なくとも一方の脊柱側弯症の親から生まれ、脊柱側弯症発症の危険性があると考えられる無症候性子供である。252人のAIS継続患者、35人の健常対照者、及び70人の脊柱側弯症発症の危険性がある無症候性子供の群が集められた。全ての対象は、コーカサス人であり、人口統計的特長は以下の表2に示す。
【0108】
【表2】

* プラス−マイナスの値は、平均値±標準偏差である。†離れた胸郭及び腰椎での弯曲による、2つの脊柱側弯症の平均コブ角を表す。‡2つの胸郭及び1つの腰椎の弯曲の、3つの平均コブ角を表す。
【0109】
オステオポンチン、sCD44及びHA酵素結合免疫吸着アッセイ
AIS患者、無症候性子供及び対照者群の抹消血サンプルを、EDTA含有管に採取し、その後遠心分離した。生成された血清サンプルを、分割し、−80℃で凍結させておき、解凍して分析した。OPN及びsCD44の血清濃度を、製品(IBL, Hamburg, Germany)により提供されるプロトコルに従って、捕捉酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)で測定した。sCD44Elisaキット(sCD44std)は、標準的タンパク質配列を含んでなるが、エキソンV2とV10との間の別のスプライシングに関連するレアアイソフォームではない(50)、全ての血中(可溶性)CD44アイソフォームを測定した(図22も参照)。OPN IBL ELISAキット(コード番号27158)は、血清における、全てのリン酸化及び非リン酸化されたOPNアイソフォームの、総濃度を測定した。ELISA試験を二重に行うとともに、AsysHiTech(商標)Expert−96マイクロプレートリーダー(Biochrom, Cambridge, UK)を用いて450nmで最適密度を測定した。HAの血中濃度は、ELISAキット(HA−Elisa(K−1200))、Echelon Biosciences, Salt Lake City, UT)を用いて全血漿サンプルにおいて測定した。全てのELISA試験は、二重に行われ、AsysHiTech(商標)Expert−96マイクロプレートリーダー(Biochrom, Cambridge, UK)を用いて、450nm(OPN及びsCD44用)及び405nm(HA用)で最適密度を測定した。市販又は自家製のその他のElisaキットを、本発明の方法において使用できる。統計的に非脊柱側弯症の対象を脊柱側弯症の対象と識別するカットオフ値は、当該その他のキットで決定した脊柱側弯症進行の危険性の予測を補助するものであり、本明細書で使用されるキットで計算されたものとは異なる可能性があるだろう。ただし、本明細書で記載されたように、使用される新たな抗体ごとにそれを計算してよい。
【0110】
統計的解析
異なるAIS及び対照の群における年齢及び性別の差異を、それぞれピアソンのカイ二乗及びスチューデントのt検定を用いて評価した。群と、OPN、sCD44及びHAのレベルとの間の関連性を試験するため、多重線形回帰モデルを使用した。潜在的交絡因子が、p<0.1でバイオマーカーレベルと関連する場合、値を、年齢、性別、及び年齢−性別相互関係に合わせて調整した。群と性別との相互関係も調査した。群の効果の存在下及び不存在下でモデルを比較する広範に及ぶF検定を用いて、全体的な群の効果を試験するのは初めてであった。その後、群間の特異的な差異を試験し、多重試験のためのボンフェローニ補正を適用した。OPNの診断値を評価するため、及び最適閾値を同定するために、受信者操作特性(ROC)曲線を使用した。OPNの、感度(AISの罹患が判明した患者にアッセイを適用した場合、真陽性の結果)及び特異性(健常対照者にアッセイを適用した場合、真偽性の結果)は、曲線によりプロファイルされた。ROC曲線下面積(AUC)及び関連の95%の信頼区間を計算した。理論的AUCが0.5であるという仮定の試験は、信頼区間を基準とした。統計的解析は、ROC曲線解析についてはR用のROCRパッケージ(www.r-project.org)で行い、それ以外はSASソフトウェア、バージョン9.1で行った(51,52)。特に言及した場合を除き、全ての解析においてp値<0.05は、統計的に有意であるとみなされた。
【実施例2】
【0111】
松果体切除ニワトリのmRNA及びタンパク質OPNレベル
松果体切除ニワトリにおける、OPNの発現分析及び免疫検出分析を、上記実施例1に記載の通りに行った。松果体切除ニワトリにおいてmRNA及びタンパク質レベルで存在するOPNを測定した。図1は、脊柱側弯症を発症した松果体切除ニワトリにおいてのみ、mRNA及びタンパク質レベルでのOPNが急激に増加することを示す。
【実施例3】
【0112】
C57BI/6JマウスにおけるOPNタンパク質レベル
二足歩行C57BI/6Jマウスを作製し、このOPNレベルを上記実施例1での記載にしたがって決定した。C57BI/6Jマウスにおける8週間の二足歩行により脊柱側弯症を誘導し、その比率が雌では46%、雄では24%であり、これは雌でより高い血漿OPNレベルが観察されたことと良好な相関関係がある(以下の表3)。脊柱側弯症は、二足歩行雄(24%)と比較した場合、二足歩行C57BI/6J雌(46%)における数及び重症度が、より多く観察され、それはヒトにおいても観察されるという事実により、この動物モデルの妥当性はさらに補強される。
【0113】
表3.生まれつきメラトニン欠損のマウス種C57BI/6Jマウス及び遺伝子改変的OPN又はCD44欠損のC57BI/6Jマウスにおける、脊柱側弯症頻度。
【表3】

【0114】
図2は、脊柱側弯症のC57BI/6Jマウスにおける、二足歩行外科手術後(すなわち脊柱側弯症発症中)のOPNタンパク質レベルが急激に上昇することを示す。
【実施例4】
【0115】
OPN又はCD44不存在二足歩国C57BI/6Jマウスが脊柱側弯症に与える影響の観察
脊柱側弯症の形成及び弯曲の進行における病因カスケードの不可欠な部分としての、OPN及びCD44の寄与を、上記実施例1での記載に従って実験を行うことにより、遺伝子改変二足歩行C57BI/6Jマウスを研究することによって試験した。上記の表3で示したように、52週に及ぶ分析を行った場合、二足歩行C57BI/6JOPNヌルマウス(n=54)及びC57BI/6JCD44ヌルマウス(n=60)のいずれも、脊柱側弯症を発症しないことが判明した。脊柱側弯症の発症は、外科手術後8週で検出される。脊柱側弯症発症が、OPNヌル及びCD44ヌルマウスにおいて単に遅延しただけではないことを実証するため、より長期の追跡が実施された。
【0116】
並行して、二足歩行C57BI/6OPN−KOマウスにおける脊柱側弯症の不存在が、メラトニン産生の増加が原因である可能性を排除するために、メラトニン血中濃度を、野生及びOPN−KOマウスにおいて測定した。
【0117】
図3は、野生型(C57BI/6J, C57BI/6J 及び FVB)と比較した場合、二足歩行C57BI/6J OPN−KOマウスの血中メラトニンレベルの2倍の減少を示す。
【0118】
上に示したように、C57BI/6Jマウスはメラトニン欠損型であり、メラトニンを高レベルで産生するFVB種とは対照的に、脊柱側弯症を発症する(S)可能性がある。ゲノム背景(C57BI6/J)は同じであっても、OPN−ノックアウトマウスは脊柱側弯症を発症しないが(NS)、メラトニンは顕著に減少し、メラトニンがOPNの発現及びインビボ合成を負の方向へ制御することを示す。この仮説に拘束されることなく、遺伝子改変マウスにおけるOPNの不存在下で、結果的にOPN発現及び合成を増加させる、適応生理的応答として、メラトニンレベルはさらに低減されるであろう。
【実施例5】
【0119】
脊柱側弯症予防に対するOPN阻害の影響
OPNの転写又は合成に影響を与えると考えられる2つの化合物を、ニワトリに対して、松果体切除の24〜48時間前に、500μg/体重kg/日の投薬量で腹腔内注入を行った。
【0120】
図4で明らかなように、薬物での予備的処置を受けた松果体切除ニワトリは、未処理の松果体切除ニワトよりも脊柱側弯症発症が少なかった(50%の減少)。
【実施例6】
【0121】
2つの群に分類されたAIS患者及び健常対照者における、OPN血中濃度の比較
252人のAISに罹患する患者、及び35人の健常対照者の群を、上記の実施例1で記載の通りに試験した。AISに罹患する患者を、脊柱弯曲の重症度により、2つの群に分けた(10°〜44°と≧45°)。最も重度にAISに罹患するサブグループにおいては、試験の時点で矯正外科手術を受けたことがある者はいなかった。ティーンエイジャーの女児におけるAIS有病率が、男児の中程度の弯曲と比較して上昇した(コブ角≧30°の弯曲について10:1の比率)という文献の報告と一致して、AIS群における女児の比率(10°〜44°と≧45°のサブグループにおいてそれぞれ86%と84%)は、対照群と比較して増大することが観察された(健常及び危険性のある対照群においてそれぞれ54%及び64%、対照群と比較した場合p≦0.0001)。有意な性別の差異は、2つのAISサブグループ間(p=0.76)又は2つの対照群間(p=0.32)で存在しなかった。コブ角が≧45°のAIS患者は、10°〜44°の角である者と比較して、平均年齢が有意に高かった(15.2 ± 1.8 と 13.8 ± 2.1, p<0.0001)。両方のAIS群は共に、対照群と比較して平均年齢が高かった(健常群が10.7 ± 0.6であり、危険性ある群が9.9 ± 3.4、AIS群のいずれかと比較した場合、p<0.0001)。
【0122】
重度の奇形が発生するAISに罹患する患者(コブ角≧45°)、軽度〜中程度の弯曲(コブ角が10°〜44°)及び健常対照の血漿OPNレベルを、様々な臨床パラメータにより、以下の表4に要約する。平均血漿OPNレベルについては、健常対照群と比較した場合、両方のAIS群は共に有意に高い値であるが、最も重度の奇形を有する患者(コブ角≧45°)において、血漿OPNレベルがより上昇した(年齢、性別、及び年齢−性別の相互関係で調節後の、ボンフェローニ補正したp<0.001)。AIS患者における血漿OPNレベルは、女児及び男児の弯曲奇形の重症度と相関があった(図5D)(年齢=0.29、p<0.001、及び0.33、p=0.04でそれぞれ調整済みの部分的ピアソン相関係数)。脊柱側弯症発症の危険性のある群における平均血漿OPNレベルは(846 ± 402 ng/ml)、健常対照群のもの(570 ± 156 ng/ml)と有意に異なった(ボンフェローニ補正したp<0.001)。
【0123】
【表4】

* SDは標準偏差。
†P値は、年齢、性別、及び年齢−性別の相互関係(OPNとHA)又は年齢(sCD44)での調節、及びボンフェローニ補正後の、全ての対象における健常対照群との比較から得られる。同じ調整後、群とバイオマーカーレベルとの間に関連する、全体のF検定p値は<0.001(OPN)、0.035(sCD44)、及び0.163(HA)であった。
【0124】
より重度にAISに罹患する患者(コブ角≧45°)と健常対照とを比較する、血漿OPNの受信者操作特性(ROC)曲線解析から、0.94のAUCで標準偏差が0.03(95%信頼区間0.88から0.99)と示された(図5A参照)。1ミリリットル当たり>700ナノグラムのカットオフ値は、90.6%の感度及び81.8%の特異性となった(図5B参照)。1ミリリットル当たり>800ナノグラムのカットオフ値は、脊柱側弯症の確認のために、最も正確な、84.4%の感度及び90.6%の特異性を有した(図5B参照)(図5C参照)。
【0125】
上記に示した通り、高レベルのOPNは他の成人疾患において見られるが、脊柱側弯症の患者で見られる高レベルの血漿OPNは小児集団に特有である。すなわち、脊柱側弯症(AIS又はその他の脊柱障害及び脊柱側弯症を引き起こす障害)を発症する危険性のある無症候性の子供を確認するため、及び脊柱側弯症の対象、脊柱側弯症の進行を経験する者又はその危険性を有する者を確認するために、OPNレベルの検出を使用することができる。さらに、AIS患者に見られる血漿OPNレベルは、成人疾患で測定されるものより高いことが多い。OPNレベルは、成人における危険性を予測するためにも使用できる(例えば、成人期を通して進行する、変性脊柱側弯症及び特発性脊柱側弯症)。特定の変異は、脊柱側弯症に導く可能性のある他の障害と既に関連していた。特定の実施態様によれば、OPNレベルはこれらの変異の検出と組み合わせて使用することができた。
【実施例7】
【0126】
危険性のある無症候性子供及び健常対照におけるOPN血中濃度の比較
70人の脊柱側弯症発症の危険性のある無症候性子供と、35人の健常対照者の群を、上記の実施例1で記載された通りに試験した。脊柱側弯症発症の危険性のある群における平均血漿OPNレベル(846.30 ± 402ng/mL)は、健常対照(570 ± 156ng/mL)と有意に(p=0.001)異なったが、両群は年齢及び性別を一致させたものである。有意な性別の差異は観察されなかった(上記表4参照)。
【0127】
800ng/mLのカットオフ値を使用すると、無症候性子供の47.9%がこの血漿OPN値を超えるが、健常対照は8.6%だけがこの値を超えることが観察された。これらの結果は、少なくとも一方の脊柱側弯症に罹患した親の子は、未罹患の親から生まれた者より発症する頻度が高いことを示す、従前の報告と一致している(34,35)
【0128】
すなわち、例えばOPN用の酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)又はRIAは、AIS患者における、早期の支持装着治療又は新規な低癒合性装置を用いる低侵襲性の外科手術、薬理学的治療、及び治療への応答の観測のための、予後診断及び/又は脊柱側弯症患者の階層化の目的で、脊柱側弯症発症の危険性がある対象の早期確認のために使用できる。
【実施例8】
【0129】
2つの群に分類されたAIS患者及び健常対照者における、sCD44血中濃度の比較
上記の実施例1に記載の通りに、実験を行った。健常対照、両AIS群及び発症の危険性ある無症候性子供における、血漿sCD44及びHAレベルを、上記表4に示した。全ての群間での比較は、平均の血漿sCD44及びHA値において有意な変化は示されなかった。ただし、最も重度の脊柱奇形(≧45°)を有するAIS患者は、他の3つの群と比較した場合、最も低い平均血漿OPNレベルであった(p=0.066)。
【0130】
CD44及びsCD44は、それぞれOPNの受容体及びデコイ受容体として作用できる。試験された全ての群において有意な変化が測定されなかったにもかかわらず、最も重度に罹患したAIS患者(≧45°)は、試験された全群において最も低い平均sCD44値を示した。興味深いことに、血漿sCD44レベルの低減は、免疫欠損性及び自己免疫性疾患に見られる(35-37)が、これらの症状は通常高レベルの血漿OPNの不存在下では脊柱側弯症にならないので、sCD44は、AISにおいて、OPNの作用を緩衝することにより疾患修飾性因子としての役割を果たし得ることを示す(図17を参照)。
【実施例9】
【0131】
AIS患者の、OPNレベル、sCD44レベル、及びコブ角の経時プロファイル
バイオマーカー(OPN及びsCD44レベル)及びコブ角の経過を、AIS患者において追跡して経時的に測定した。図7は、12歳(赤)、14歳(緑及び青)、及び17歳(黄)である所定の4人のAIS女性患者(支持具治療は受けていない)における、来診時をベースラインとした経過を示す。
【0132】
図8は、弯曲奇形が悪化したAIS患者(コブ角の総増加が3°超)及び弯曲に有意な変化がなかった者(コブ角に変化なし、減少又は増加が3°未満)における総変化の分布を示し;OPNレベルにおける全ての平均変化が、悪化した弯曲奇形を有する群より有意に高いことを示す(ウィルコクソンの順位和検定、p<0.01)。有意な差異は、sCD44では検出されなかった(p>0.5)。追跡時間の長さは、2つの群間で同じであった(p>0.5)。
【0133】
図9は、AIS患者の群における、コブ角の進行と相関のあるOPNの進行を示す。一方、図10は、他のAIS患者におけるコブ角の軽減又は安定化と相関のあるOPNの低下を示す。
【0134】
OPNレベルは脊柱側弯症が進行するであろうと予備診断を受けた患者において、確認のために使用することができる。
【実施例10】
【0135】
無症候性の危険性ある患者のOPNレベル、sCD44レベル、及びコブ角の経時プロファイル
図11は、1人の13歳の男児(緑)、及び3人の女児5歳(金)、11歳(青)、及び9歳(赤)の、脊柱側弯症でない危険性のある、所定の4人の対象における、OPN及びsCD44レベル及び角における、来診時をベースラインとした変化のプロファイルを示す。有意な対象間の差異が、危険性のある対象における、バイオマーカーの基準レベル及び経時変化において観察され(特にOPNについて)、危険性のある対象における脊柱側弯症の発病を観測するためのツールとしてこのバイオマーカーを使用できる可能性を示唆する。
【0136】
以下の表5〜8は、健常対照対照(表5)、コブ角が45°未満のAIS患者(表6)、コブ角が45°以上のAIS患者(表7)、及び危険性のある無症候性子供(表8)の各々についての詳細な臨床的及び生化学的プロファイルを示す。
【0137】
【表5】

【表6】

* プラス−マイナスは、平均±標準偏差である。
†健常対照者は、脊柱側弯症の家族歴がなく、整形外科的手術によるサンプル捕集前に調べられた。
【0138】
【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

* プラス−マイナスは、平均±標準偏差である。
**全ての患者はAISと診断される。
†弯曲種類の命名 r、右/l、左/T、胸郭/L、腰部/TL、胸腰部/C、頸部。
‡特定の臨床的情報は、研究の時点で利用できなかった可能性がある、NA。
【0139】
【表15】

【表16】

【表17】

*プラス−マイナスは、平均±標準偏差である。
**全ての患者はAISと診断される。
†弯曲種類の命名 r、右/l、左/T、胸郭/L、腰部/TL、胸腰部/C、頸部。
‡特定の臨床的情報は、研究の時点で利用できなかった可能性がある、NA。
【0140】
【表18】

【表19】

【表20】

【表21】

【表22】

*プラス−マイナスは、平均±標準偏差である。
†全ての対象は、整形外科的手術によるサンプル捕集の前に試験され、可能性ある脊柱側弯症発症を観測する。
【実施例11】
【0141】
非AIS脊柱側弯症患者におけるOPN、sCD44及びHAレベル
非AIS側弯症患者(NAIS患者)におけるOPNを測定した。結果を以下の表9に要約する。図12で、健常者、AIS及びNAIS患者におけるOPN、sCD44及びHAレベルの比較も、提供する。
【表23】

†プラス−マイナスは、平均±標準偏差である。
* 他の脊柱側弯症種類には、1種の神経筋性脊柱側弯症及び1種の異形成脊柱側弯症が含まれる。
【0142】
以下の表10は、非AIS脊柱側弯症患者の詳細なバイオマーカーレベルを示す。
【表24】

【表25】

* プラス−マイナスは、平均±標準偏差である。
†弯曲種類の命名 r、右/l、左/T、胸郭/L、腰部/TL、胸腰部/C、頸部。
【実施例12】
【0143】
手術前後のAIS患者におけるOPN及びsCD44レベル
OPNレベルを、手術前(n=79)及び手術後(N=28)のAIS患者において測定した。興味深いことに、手術前対手術後におけるAIS患者の比較は、OPN血中濃度の低下を示し、これは細胞レベルでの機械感覚因子としてのOPNの役割をさらに補強した(図13)。
【0144】
OPNを、AIS女性患者において、支持具での治療の前(n=10)及び後(N=10)測定した。同様に、sCD44レベルを、AIS女性患者において、手術の前(n=15)及び後(N=12)測定した。結果を図14に示す。
【0145】
手術前及び手術後で規定のカットオフ値を超える12人のAIS患者についての分布を実施した。図15は、外科的治療をした患者の92%が、手術前のOPNレベルが赤の領域(>800ng/mLの血漿OPNレベル)であり、一方残りの8%が黄色の領域(700〜800ng/mL)であったことを示す。血漿OPNレベルが<700ng/mLを表す緑の領域である患者は一人もいなかった。これはまた、高濃度のOPNと脊柱側弯症の弯曲の進行との密接な相関を示すものである。
【0146】
図15のパネルBは、外科的に治療された赤領域の患者が、血中でOPN濃度の減少を経験することを示す。外科的に治療された患者の75%が、緑及び黄色の領域(800ng/mL以下)になった。
【実施例13】
【0147】
様々な種類の支持具を用いるAIS患者のOPNレベル
支持具で治療前(n=79)及び支持装着後(N=28)のAIS患者におけるOPNレベルも測定した。以下の表11はまた、バイオマーカーに対する支持具の影響を示す。
【表26】

* プラス−マイナスは、平均±標準偏差である。
‡支持具を有する又は有さない患者を比較するための統計解析を、等分散である両側独立スチューデントT検定により行った。差異は、p値<0.05で統計的に有意とみなした。
【0148】
支持具での処置前後、規定のカットオフ値を超えるAIS患者の分布を行った。8人の患者について、支持装着後の特定の月数、すなわち1番から8番の各患者について、それぞれ支持装着後7、7、8、22、22、22及び26ヶ月の試験を行った。図16は、支持装着での処置前は(パネルA)、患者の63%が赤及び黄領域であったことを示している。図13〜15で示すように、外科的治療をされた患者において観察される傾向と一致して、緑領域(<700ng/mL)へ有意な移行が観察された。
【実施例14】
【0149】
AIS患者対健常対照者のセレンレベルの比較
AIS患者の血漿で、セレン濃度が顕著に減少することが報告されている(42)。セレン及びより具体的には食事中にもともと存在する有機セレンである、Se−メチルセレノシステインを、OPN転写を標的とすることによる化学的予防治療として、乳癌の転移を防止するために使用する(43-45)
【0150】
このため、小児群(AIS対健常対照)において、低レベルのセレンがAISでのより高いOPN濃度と相関するか否かを決定するために、血漿セレン濃度を測定した。血漿セレン濃度は、2,3−ジアミノナフタレン(DAN)を用いて蛍光分析法により決定した(46,47)。図18及び19に示した結果は、脊柱側弯症及び危険性のある無症候性子供における、高レベルのOPNと低レベルのセレンとの相関を示す。
【0151】
本発明は、その特定の実施態様として本明細書中に記載され、添付の特許請求の範囲での定義の通り、対象の発明の精神及び性質から逸脱しない限り、それは変更可能である。
【0152】
参考文献
【表27】

【表28】

【表29】

【表30】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊柱側弯症の発症危険性を決定するための方法であって、対象由来のサンプルにおけるオステオポンチン(OPN)の発現を経時で観測することを含んでなり、対象サンプル中で経時的に増加するOPNの発現は、対象が脊柱側弯症を発症する危険性の指標となる、方法。
【請求項2】
対象がおよそ3歳の時に前記観測を開始する、請求項1の方法。
【請求項3】
前記観測が、少なくとも1月に約1回の頻度でOPNの発現を測定することにより行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記観測が、少なくとも6月に約1回の頻度でOPNの発現を測定することにより行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記OPNの発現の観測が、酵素結合の免疫吸着アッセイ(ELISA)又は放射免疫アッセイ(RIA)を用いて行われる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
脊柱側弯症の発症の危険性を決定するための方法であって、対象由来のサンプルにおけるオステオポンチン(OPN)の発現を測定することを含んでなり、ここで、対象サンプル中でのOPNの発現が対照サンプル中より高いことが、対象が脊柱側弯症を発症する危険性の指標となる、方法。
【請求項7】
前記対象が脊柱側弯症を発症する有力な候補である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記対象が青年期の特発性脊柱側弯症を発症する有力な候補である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記対象が脊柱側弯症に罹患すると予備診断される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記対象が青年期の特発性脊柱側弯症と予備診断される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
脊柱側弯症に罹患する対象を階層化する方法であって、対象からのサンプルにおけるオステオポンチン(OPN)の発現を測定することを含んでなり、当該測定ステップにより、対象を脊柱側弯症サブグループに階層化できる、方法。
【請求項12】
脊柱側弯症に罹患する対象への支持具(brace)の効果を評価するための方法であって、対象を支持装着(bracing)前と少なくとも1回の支持装着後の、対象からのサンプルにおけるオステオポンチン(OPN)の発現を測定することを含んでなり、対象への支持装着前と比較して、支持装着後のOPNの発現の増加は、当該支持具が無効であることの指標となる、方法。
【請求項13】
支持装着後のOPNの発現の決定が、支持装着後少なくとも1月で行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
対象への支持装着後のOPNの発現の決定が、支持装着後少なくとも2月で行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
対象への支持装着後のOPNの発現の決定が、支持装着後少なくとも3月で行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
対象への支持装着後のOPNの発現の決定が、支持装着後少なくとも6月で行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
対象からのサンプルにおける可溶性CD44受容体(sCD44)の発現を測定することをさらに含んでなる、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
対象由来のサンプルが、対象由来の生体液である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記生体液が、血液、尿、涙及び唾液からなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記生体液が血漿である、請求項19の方法。
【請求項21】
OPNの発現がOPNタンパク質である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
OPNの発現の決定がOPNに特異的に結合する抗体と共に行われる、請求項21の方法。
【請求項23】
OPNの発現の測定が、酵素結合の免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いて行われる、請求項22の方法。
【請求項24】
前記サンプルが血漿サンプルであり、且つ血漿1ミリリッター当たり700ナノグラム超のOPNの発現は、対象が脊柱側弯症を発症する危険性の指標となる、請求項23の方法。
【請求項25】
前記サンプルが血漿サンプルであり、且つ血漿1ミリリッター当たり800ナノグラム超のOPNの発現は、対象が脊柱側弯症を発症する危険性の指標となる、請求項23の方法。
【請求項26】
OPNの発現がOPN RNAである、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
対象由来のサンプルが、傍脊椎筋生検体であり、且つOPNの発現がOPN RNAである、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
脊柱側弯症の低減又は予防のための潜在的候補としての剤を選択する方法であって、細胞が発現するオステオポンチン(OPN)と候補剤を接触させること、及びOPNの発現を検出することを含んでなり、候補剤の存在下でのOPNの発現が、不存在下のものと比較して低い場合に候補剤が選択される、方法。
【請求項29】
脊柱側弯症の低減又は予防のための潜在的候補としての剤を選択する方法であって、細胞が発現するsCD44と候補剤を接触させること、及びsCD44の発現を検出することを含んでなり、候補剤の存在下でのOPNの発現が、不存在下のものと比較して高い場合に候補剤が選択される、方法。
【請求項30】
前記細胞が脊柱側弯症の患者由来の細胞である、請求項28及び29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
脊柱側弯症の予防又は低減のための潜在的候補としての剤を選択する方法であって、脊柱側弯症の発症前に脊柱側弯症モデル動物に候補剤を投与することを含んでなり、当該モデルにおいて、候補剤を投与されなかった対照動物と比較して、脊柱側弯症が予防又は低減される場合に候補剤が選択される、方法。
【請求項32】
脊柱側弯症を予防又は低減する方法であって、脊柱側弯症に罹患する対象に、治療有効量のオステオポンチン阻害剤(OPN)又はセレン豊富な食事を投与することを含んでなり、その結果脊柱側弯症が予防又は処置される、方法。
【請求項33】
脊柱側弯症を予防又は低減する方法であって、脊柱側弯症に罹患する対象に、治療有効量のCD44阻害剤を投与することを含んでなり、その結果脊柱側弯症が予防又は処置される、方法。
【請求項34】
脊柱側弯症を予防又は低減する方法であって、脊柱側弯症に罹患する対象に、治療有効量のsCD44刺激因子を投与することを含んでなり、その結果脊柱側弯症が予防又は処置される、方法。
【請求項35】
前記対象が人である、請求項1〜34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記対象が女性である、請求項1〜34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記対象が男性である、請求項1〜34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
脊柱側弯症の処置又は予防における使用のためのオステオポンチン阻害剤。
【請求項39】
脊柱側弯症の処置又は予防における使用のためのCD44阻害剤。
【請求項40】
脊柱側弯症の処置又は予防における使用のためのsCD44刺激因子。
【請求項41】
脊柱側弯症の処置又は予防のための医薬の製造におけるオステオポンチン阻害剤の使用。
【請求項42】
脊柱側弯症の処置又は予防のための、オステオポンチン阻害剤の使用。
【請求項43】
脊柱側弯症の処置又は予防のための医薬の製造におけるCD44阻害剤の使用。
【請求項44】
脊柱側弯症の処置又は予防のための、CD44阻害剤の使用。
【請求項45】
脊柱側弯症の処置又は予防のための医薬の製造におけるsCD44刺激因子の使用。
【請求項46】
脊柱側弯症の処置又は予防のための、sCD44刺激因子の使用。
【請求項47】
前記脊柱側弯症が青年期特発的脊柱側弯症である、請求項41〜46のいずれか1項に記載の使用。
【請求項48】
脊柱側弯症を発症する危険性を予測するためのキットであって、オステオポンチン(OPN)特異的なリガンド、及び脊柱側弯症を発症する危険性を予測するためのキットの使用についての指示書を含んでなる、キット。
【請求項49】
可溶性CD44(sCD44)に特異的なリガンドをさらに含んでなる、請求項48に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【図10G】
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【図10H】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図21A】
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【図21B】
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【図21C】
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【図21D】
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【図21E】
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【図21F】
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【図21G】
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【図21H】
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【図21I】
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【図21J】
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【図21K】
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【図22A−B】
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【図22C】
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【公表番号】特表2010−522699(P2010−522699A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500039(P2010−500039)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【国際出願番号】PCT/CA2008/000595
【国際公開番号】WO2008/119170
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(509230344)
【Fターム(参考)】