脊椎固定ねじ
動的ねじを有する脊椎安定化システムは、受容器部材、および受容器部材に旋回可能に接続された骨係合部材を含む、少なくとも1つの骨アンカー組立体を含む。軸受が受容器部材に設けられ、この軸受は、骨係合部材の一部に係合する。細長い接続部材が受容器部材に接続されている。保持部材インサートが、細長い接続部材と軸受との間で受容器部材内部に設けられている。保持部材は、保持部材内部で軸受を固定するように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔分野〕
本出願は、脊椎安定化装置の分野に関する。詳細には、本出願は、脊椎の体節単位(segmental unit)と共に使用されるように構成された、後方安定化ユニット(posterior stabilization unit)に関する。
【0002】
〔背景〕
脊椎手術は、脊椎の機能的体節単位が適切な位置から動かされるか、または別様に損傷を受けた場合に生じる脊椎の状態を治療するために、医業において一般的に用いられる。脊椎の状態を治療するのに使用される処置の例は、椎間板置換術、椎弓切除術、および脊椎融合術を含む。
【0003】
脊椎融合術などの、ある脊椎処置の後、脊椎が治癒する間は、椎骨間の動きを防ぐことにより脊椎を安定させることが通常望ましい。治癒中に骨を所定の場所保持することで脊椎を安定させるこの行為は、脊椎融合術および他の処置の成功率を大いに改善してきている。
【0004】
脊椎安定化処置では、金属ねじおよびロッドの組み合わせにより、椎骨を所定の場所に保持するしっかりした「固定器」が作られる。これらの装置は、椎骨間で動きが生じるのを妨げるよう意図されている。これらの金属製装置は、融合部位に、さらに安定性を与え、患者が、はるかに早くベッドを離れることを可能にする。
【0005】
脊椎安定化処置中、椎弓根ねじ(pedicle screws)が、脊柱の2つ以上の椎骨の後方部分で椎弓根を貫通して設置される。これらのねじは、椎体の骨をつかみ、椎骨上での良好でしっかりした保持を椎体にもたらす。いったんねじが椎骨上に設置されると、これらのねじは、すべてのねじを共に接続する金属ロッドに取り付けられる。すべてのものがボルトで留められしっかり締められたら、この組立体は、治癒が起こりうるように椎骨を静止した状態で保持する硬い金属フレームを作る。
【0006】
後方動的安定化(PDS)は、概して、動的ロッド(dynamic rods)が椎弓根ねじ間に位置付けられる、そのような安定化処置を指す。これらの動的ロッドは、椎弓根ねじ間の、多少の制限された動きを可能にするために、一般的に、曲がるか、伸びる(extend)か、圧縮されるか、または別様に変形することができる。椎弓根ねじと、関連する椎骨との間のこの制限された動きを可能にすることにより、患者が動く間、隣接する、安定化されていない機能的体節単位に対してあまり負担(strain)がかからない。加えて、動的ロッドは、一般に、ねじシャンクに対する応力を減少させ、ねじの後退(backout)または関連するねじの破損の可能性を最小限に抑える。しかしながら、動的ロッドがあったとしても、ねじシャンクは応力を経験し、このことにより、適切な状況下でのねじの後退または関連する破損を生じる可能性がありうる。したがって、ねじと骨との界面をさらに保護し、ねじの後退の可能性を減少させることができるPDSシステムを提供することが望ましいであろう。例えば、先行技術において見られた安定化要素とは異なる運動力学および荷重要件(kinematics and loading requirements)を示す、可撓性安定化要素を備えた、PDSシステムを提供することが有利であろう。このような安定化要素は、従来のPDS安定化要素に問題があると思われる場合に、外科医に、追加の選択肢を提供するであろう。
【0007】
〔概要〕
脊椎安定化システム用の動的ねじの様々な実施形態が本明細書で開示される。一実施形態では、脊椎安定化システム用の動的ねじは、骨係合部材および受容器部材を含む、少なくとも1つの骨アンカー組立体を含む。骨係合部材は、受容器部材内部に保持されたねじ頭部、および受容器部材から延びるねじシャンクを含む、骨ねじを含むことができる。ねじ頭部は、受容器部材の内部に旋回可能に保持されてよい。細長い接続部材が、骨係合部材に旋回可能に接続される。細長い接続部材は、2つ以上の骨アンカー組立体間にまたがるロッドとして設けられることができる。細長い接続部材は、骨アンカー組立体の受容器部材に旋回可能に接続される。
【0008】
一実施形態では、細長い接続部材と受容器部材との間の旋回可能な接続は、ロッド上のボール型旋回部材によりもたらされ、ボール型旋回部材は、受容器部材の空洞部内部に設けられた軸受表面に係合する。したがって、ロッドの旋回点(pivot point)は、受容器部材の空洞部内部に設けられうる。そのような一実施形態では、ロッドは、軸を定めることができ、この軸は、ロッドが受容器部材に対して旋回すると、その軸上の旋回点の周りで旋回する。他の実施形態では、ロッドの旋回点は、ロッドにより定められた軸からオフセットしている。
【0009】
ロッドは、一定の長さであるか、または異なる体節単位および異なる大きさの患者に適応するように調節可能であることができる。調節可能な実施形態では、ロッドは、可撓性の中央部分、および少なくとも1つの調節可能端部を備えた、シャフトを含む。調節可能端部は、様々な手段により設けられうる。例えば、調節可能端部は、ロッドのシャフト内部でスライドするように構成された支柱を含むことができる。一実施形態では、調節可能端部は、シャフトにねじ係合する(threadedly engage)ように構成される。別の実施形態では、調節可能端部は、形状記憶合金で構成される。
【0010】
組み立てられると、脊椎安定化システムは、概して、少なくとも2つの骨アンカーであって、その2つの骨アンカー間に延在するロッドを備えた、骨アンカーを含む。前述のとおり、各骨アンカーは、骨ねじと、骨ねじを保持するように構成された受容器部材と、を含む。ロッドは、2つの受容器部材間に延在する。ロッドが受容器部材に対して固着される一実施形態では、ロッドは、受容器部材が互いに対して動くと曲がるように構成される。別の実施形態では、ロッドは、双方の受容器部材に旋回可能に接続され、ロッドは、受容器部材が互いに対して動くと伸びるかまたは圧縮されるように構成されている。
【0011】
代替的実施形態では、脊椎安定化システムの1つ以上の骨アンカーは、受容器部材内部で骨ねじ用の軸受をロックするように作用する、保持部材の形態のインサートを含む。この目的のため、受容器部材は、ねじ頭部空洞部、およびロッド空洞部を含み、インサートが、ねじ頭部空洞部とロッド空洞部との間に位置付けられている。ねじ頭部空洞部は、軸受を受容するように構成され、軸受は、ねじシャンクが受容器部材から延びている状態で、骨ねじの頭部に係合する。一実施形態では、骨ねじ軸受は、割り軸受である。インサートは、ロッド空洞部と軸受部材との間に位置付けられ、受容器部材内部で割り軸受を固定するように構成されている。インサートは、受容器部材の内側壁に形成された溝内部に嵌まるように設けられることができる。この実施形態では、インサートは、ねじ空洞部の内部で割り軸受を固定する、保持リングを含む。別の実施形態では、インサートは、軸受部材とロッド空洞部との間に位置付けられた圧縮性材料で構成される。ロッドがロッド空洞部に位置付けられると、インサートは、軸受部材に対して圧縮され、ゆえに、ねじ空洞部の内部で軸受部材をロックする。
【0012】
さらに別の実施形態では、骨アンカー組立体は、低い外形で構成されており、ロッドは、固着ねじを使用せずに、受容器部材の内部でロックされる。この実施形態では、骨アンカー組立体は、頭部、および頭部から延びるねじシャンクを含む。ねじシャンクは、頭部に対して旋回可能である。さらに、ロッド空洞部が、頭部の内部に形成されている。ロッドの端部は、ロッドがロッド空洞部に挿入されるとロッド空洞部の内部でロッドをロックし、ゆえにロッドを頭部に接続する、特徴部を含む。例えば、一実施形態では、ロッドの端部は、ロッド空洞部の内部でロッドをロックするように朝顔形に広げられうる、複数の指状突起を含む。ロッドは、複数の歯も含むことができ、歯は、空洞部の内部でロッドをさらに固定するためにロッド空洞部をつかむかまたはロッド空洞部と噛み合う。
【0013】
前記の特徴部および利点、ならびに他の特徴部および利点は、以下の詳細な説明および添付図面を参照することにより、当業者には、より容易に明らかになるであろう。
【0014】
〔説明〕
図1および図2を参照すると、例示的な後方動的安定化(PDS)システム22が、脊椎の2つの椎骨20、21間に配列されて示されている。PDSシステム22は、複数の骨アンカー24であって、骨アンカー24間に延びる複数の細長い接続部材26を備えた、複数の骨アンカー24を含む。複数の接続部材26は、ロッド、バー、または他の細長い接続部材を含みうる。各骨アンカー24は、椎骨20または21のうち一方の椎弓根に固定される。それぞれの細長い接続部材26は、上方椎骨20に固着された第1の骨アンカーと、下方椎骨21に固着された第2の骨アンカーとの間に延在する。
【0015】
骨アンカー24は、チタン、ステンレス鋼、または他の適切な生体適合性材料で構成される。本明細書中でさらに詳細に説明するように、各骨アンカー24は、(例えば図3に示されるような)骨ねじなどの、骨係合部材34を含む。しかしながら、当技術分野で既知のような、支柱、ピン、セメントで固めた表面、接着表面、および他の骨係合部材など、他の骨係合部材34が可能であることを、当業者は認識するであろう。
【0016】
骨係合部材34に加えて、各骨アンカー24は、受容器部材40も含む。受容器部材40は、骨係合部材34および/または細長い接続部材26を受容するように構成されている。骨係合部材34が骨ねじである場合、骨ねじ34は、ねじ頭部36、およびねじシャンク38を含む。ねじ頭部36は、受容器部材40内部に保持され、ねじシャンク38は、受容器部材40から延びる。ねじシャンク38は、骨の中にねじ込まれ、骨ねじ34を椎弓根または骨の他の部分に固定するように構成されている。受容器部材40は、ねじ34に、硬く、または旋回可能に接続されることができる。
【0017】
受容器部材40はまた、ロッド26などの細長い接続部材を受容するように構成されている。ロッド26は、2つの硬い端部30、32を含み、弾性の/弾力のある中央部分28がロッド端部間に配されている。弾性の中央部分28は、ロッドにおける多少の制限された可撓性を可能にすると共に、ロッドがその元の形状に跳ね戻ることを可能にしている。したがって、対抗する力がロッド26の端部30、32に加えられると、中央部分は屈曲し、ロッドを曲げ、かつ/または引き延ばす。対抗する力が取り除かれると、ロッドは、その元の形状に戻る。この構成では、PDSシステムは、概して、隣接する2つの椎骨を安定させると共に、椎骨20、21間の多少の制限された動きを可能にする。しかしながら、剛性ロッド、またはエラストマー材料、金属、もしくは超弾性材料で構成された他の可撓性ロッド、または当技術分野で既知のような他のタイプのPDSロッドを含む、他のタイプのロッドが可能であることを当業者は認識するであろう。
【0018】
次に図3A〜図3Dを参照すると、骨アンカー組立体24の一実施形態が示されている。この実施形態では、各骨アンカー組立体24は、受容器部材40内部に保持された骨係合部材34を含む。骨係合部材は、(本明細書中で「椎弓根ねじ」とも呼ばれる)骨ねじ34の形態で設けられている。骨ねじ34は、ねじ頭部36、およびねじシャンク38を含む。ねじ頭部36は、平坦な頂部39を備えた、概ね球体の形状である。スロット37が、ねじ頭部36の頂部に形成されている。スロット37は、ねじ34を骨の中に打ち込むのに用いられうるねじ回しの先端部を受容するように構成されている。ねじシャンク38は、ねじ頭部36から延びている。ねじシャンク38は、ねじを骨の中に打ち込むのを容易にするように、ねじ山を切られている。
【0019】
図3A〜図3Dの実施形態では、受容器部材40は、ねじ34およびロッド26の双方を保持するように構成された、概ねカップ型の構造体である。受容器部材40は、上端部44と下端部46との間に形成された円筒形側壁42を含む。骨ねじ空洞部48が、下端部46の近くで側壁42内部に形成されている。固着ねじ空洞部50が、上端部44の近くで側壁42内部に形成されている。ロッド空洞部・通路52が、固着ねじ空洞部50と骨ねじ空洞部48との間で受容器部材に形成されている。
【0020】
固着ねじ空洞部50は、(本明細書では、止めねじとも呼ばれる)固着ねじ70を受容するように設計され寸法決めされている。したがって、受容器部材の円筒形側壁42は、上端部44においてねじ山を切られている。これらのねじ山は、固着ねじ70のねじ山に係合するように構成されている。固着ねじは、頂部にスロット72を含み、スロット72は、ねじ回しの先端部を受容するように構成され、したがって、固着ねじ70が固着ねじ空洞部50の中へ打ち込まれることができる。
【0021】
ロッド通路52は、固着ねじ空洞部50の真下に設けられている。ロッド通路は、PDSシステム22の動的ロッド26のうち1つを受容するように設計され寸法決めされている。詳細には、ロッド通路52は、ロッド端部30のうち1つを受容するように設計されている。図3の実施形態では、ロッドは、受容器部材40の上端部44に形成されたU字型のくぼみ内部にロッドを置くことにより、受容器部材の頂部からロッド通路の中に入れられる。ロッド26がロッド通路52に位置付けられた後、固着ねじは、ロッドに接触するまで固着ねじ空洞部の中へ打ち込まれる。固着ねじが締められると、固着ねじは、ロッドを受容器部材40内部の所定の場所にロックする。ロッドを所定の場所に保持するために、カムロックなど、他の適切なロック特徴部が用いられうることを当業者は認識するであろう。
【0022】
骨ねじ空洞部48は、骨ねじのシャンク38が受容器部材40から延びている状態で、骨ねじ34のねじ頭部36を保持するように設計され寸法決めされている。開口部56が、受容器部材40の下端部46に形成されている。開示されたこの実施形態では、開口部56の直径は、ねじ頭部36の直径より小さいが、ねじシャンク38を開口部56に通すには十分大きい。したがって、円筒形壁42は、受容器部材40の下端部46において、わずかにより厚くなっている。
【0023】
軸受部材54が、ねじ頭部36と共に骨ねじ空洞部48内部に位置付けられる。軸受部材54は、ねじ頭部36の球形状に概ね一致する、内側軸受表面を含む。ねじ頭部36は、軸受部材54内部で回転および旋回するように構成されている。外側軸受表面が、受容器部材の円筒形側壁42の内側部分に係合するように設計され寸法決めされている。
【0024】
一実施形態では、軸受部材54は、左側部材54aおよび右側部材54bを含む、割り軸受である。割り軸受54a、54bは、球状のねじ頭部36の周りで軸受表面を組み立てるのを可能にすることにより、より容易な組み立てをもたらす。加えて、割り軸受部材54a、54bは、異なる軸受材料の使用を容易にする。適切な軸受材料は、当業者により認識されるであろう。図3Aおよび図3Bの実施形態では、軸受部材54a、54bは、セラミックで構成される。他のタイプの適切な軸受材料の例は、コバルトクロム、UHMWPE、および他の生体適合性材料を含む。
【0025】
インサート60が受容器部材に設けられている。インサート60は、受容器部材40の骨ねじ空洞部48内部の所定の場所に軸受部材54を固定するために、保持部材の役目をする。図3A〜図3Dの実施形態では、インサート60は、保持リングとして役に立つC字型プレートである。図3Cおよび図3Dに最も良く示されるように、インサート60は、半円形の壁64を含み、空隙65がこの壁に形成されている。2つの対向する端部66aおよび66bが、空隙65の縁(sides)を定めている。インサート60の外側周辺部67は、概して円形の形状であり、内側周辺部68は、インサートに強度を与えるように輪郭を付けられている。加えて、インサートは、孔69など、他の構造的特徴部を含んでよい。インサート60は、概して、コバルトクロムまたはUHMWPEなど、弾力のある生体適合性材料で構成される。インサート60の、弾力のある特徴部により、端部66a、66bが共に押されて、空隙65の大きさを縮小し、その後、それらの元の位置に跳ね戻る。
【0026】
図3Aに示されるように、インサート60は、受容器部材40の円筒形側壁42に形成された溝62の内部に設けられる。図3Bに示されるアンカー組立体24の分解組立図を参照すると、インサート60が保持器部材の頂部の孔50を通って保持器部材40の中に入るのが分かる。まず、割り軸受部材54a、54bは、ねじ38の頭部の周りに位置付けられ、ねじは、受容器部材40に挿入される。挿入されると、割り軸受部材54a、54b、およびねじ頭部36は、ねじ頭部空洞部に位置し、シャンク38は、受容器部材40の底部の孔を通って延びる。次に、インサート60は、圧縮され、受容器部材40に挿入される。適切に位置付けられると、弾力のあるインサートは、受容器部材の溝62にスナップ式に嵌まり、ゆえに、割り軸受部材54a、54bを保持器部材の内部で所定の場所にロックする。インサート60が溝62にロックされた状態で、軸受部材54は、受容器部材内部で所定の場所に固定され、骨ねじにかかる様々な応力は、アンカー組立体24内部で軸受部材を除去しなくなるであろう。インサート60の挿入後、ロッド26は、受容器部材のロッド通路53に置かれ、固着ねじ70は、ロッドに対して圧縮されるまで固着ねじ空洞部50に通され、ゆえに、ロッドを受容器部材40に固着させる。
【0027】
図4は、軸受54を受容器部材40内部で固定するためのインサートを含む、骨アンカー組立体の代替的実施形態を示す。この実施形態では、インサート60は、ロッド26と軸受54との間に位置付けられたポリエチレンディスクを含む。固着ねじが締められる前に、ポリエチレンディスク60の頂面は、ロッド空洞部52内部に位置付けられる。したがって、固着ねじ70がロッド26に対して締められると、ポリエチレンインサート60は、ロッドにより、わずかに圧縮される。この圧縮の力は、その後、軸受部材54に伝えられ、軸受部材54は、骨ねじ空洞部48の内部できつく圧縮され、ゆえに、軸受を所定の場所で固定する。図3および図4は、受容器部材40内部で所定の場所に軸受54を保持する2つの方法のみを示しているが、当業者は、開示された実施形態の変形体が容易に組み込まれうることを認識するであろう。例えば、一実施形態では、保持リングおよび圧縮ディスクの組み合わせが使用されうる。
【0028】
〔旋回点がロッドの軸からオフセットしている、受容器部材に固定されたロッド〕
図3および図4から、アンカー組立体24内部におけるロッドの中心軸とロッド26の旋回点との間にオフセットが存在していることが分かる。詳細には、図4に示されるように、ロッドの中心軸80(点線80で示されている)が、アンカー組立体24内部のロッドの旋回点(「X」82で示される)から、移されている。このオフセットにより、ロッドの、必須の運動力学および荷重要件を制御するのを助けるために用いられうる一実施形態が提供される。これらの実施形態では、ロッド26は、アンカー組立体に固着され、骨ねじ34を保持する受容器部材40に対して旋回することができない。
【0029】
ロッドの中心軸がアンカー組立体内部のロッドの旋回点からオフセットしている、骨アンカー24の代替的実施形態が、図5および図6に示されている。この実施形態では、アンカー組立体は、骨ねじ34、U字型ねじホルダ86、およびロッドホルダ88を含む。骨ねじは、ねじ山を切られたシャンク38を含むが、球状の頭部の代わりに、骨ねじの頭部36は、平坦で概ね円形であるか、またはディスク型である。この平坦なねじ頭部は、U字型ねじホルダ86の基部90に形成された円形空洞部の内部に嵌まるように設計され寸法決めされている。円形空洞部87により、頭部36は、空洞部87内部でねじの軸の周りを回転することができる。ピボットピン94が、U字型ねじホルダ86の垂直部分92を通って延びている。
【0030】
ロッドホルダ88は、ピボットピン94上に旋回可能に据え付けられている。ロッドホルダ88は、図3および図4で説明された受容器部材40に類似している。しかしながら、ねじ空洞部の代わりに、図5および図6のロッドホルダ88は、ピボットピン94を受容するように構成されたピンチャネル95を含む。ロッドホルダ88は、ピボットピン94の周りを回転することができ、ゆえに、ロッドホルダ88をU字型ねじホルダ86に対して旋回させる。ロッド通路52が、ピンチャネル95より上で、ロッドホルダ88に形成されている。固着ねじ70が、ロッドホルダ88の頂部における内側にねじ山を切られた壁(interior threaded walls)にねじ係合している。固着ねじ70がロッドに対して締められると、ロッドは、ロッドホルダ88内部で所定の場所にピン留めされる。
【0031】
図5および図6の実施形態では、ロッドは、わずかに2自由度(two degrees of freedom)だけ、許容されている。まず、ロッド26は、ねじ頭部36とU字型ねじホルダ86の円形空洞部87との間の回転可能な係合のおかげで、ねじシャンク38により定められた軸の周りでの半径方向回転により、旋回することができる。第2に、ロッド26は、ねじシャンクに垂直であるピン94の周りで旋回することができる。U字型ねじホルダ内部でのねじ頭部36およびピン94の回転を容易にするため、U字型ねじホルダは、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、コバルトクロム、チタン、ステンレス鋼、または当業者により認識されるような他の適切な生体適合性軸受材料で構成されていてよい。
【0032】
ロッドの中心軸がロッドの旋回点からオフセットしている、骨アンカー24の別の代替的実施形態が図7に示されている。図7の骨アンカー24は、骨ねじ34のシャンク38に固着されたねじ保持部材100の形態の、受容器部材を含む。ロッド26は、ロッド26を受容する空洞部を含むロッド保持部材102に固定される。ロッド保持部材102は、ロッド保持部材102をロッド26に固着させるために、ロッド上にクランプする固着ねじ70を含む。ロッド保持部材は、ボール型旋回部材(ねじ保持部材100内部の点線104で示される)をさらに含む。この実施形態では、ねじ保持部材100は、球状軸受106と、ねじシャンク38に対して固着されている軸受表面と、を備えた、空洞部を含む。球状軸受表面は、ロッド26に固着された旋回部材104を受容するように構成されている。旋回部材104の表面が軸受表面と適合しているので、旋回部材104は、ねじ保持部材100内部で旋回することができる。したがって、ロッド26は、シャンク38に対して旋回するように構成されている。ロッド26の旋回点は、ねじ保持部材100の空洞部の中央の内部に位置する旋回部材104の中央において定められている。
【0033】
〔ロッド軸上の旋回点を備えた、受容器部材に旋回可能に接続されたロッド〕
図8〜図9を参照すると、PDSシステムのための骨アンカー24の代替的実施形態が示されており、ロッド26は、骨アンカーの受容器部材40に旋回可能に接続されている。骨アンカー24は、受容器部材40内部に保持されたねじ頭部36を有する骨ねじ34を含み、ねじシャンク38が、受容器部材40から延びている。
【0034】
2つの異なる軸受が、受容器部材40内部に保持される。詳細には、第1の軸受110は、ねじ頭部用の軸受表面をもたらす。第1の軸受は、受容器部材40内部でねじ頭部36を安定させるように作用すると同時に、ある表面であって、その表面上で、ねじ頭部が受容器部材40に対して旋回することができる、表面をもたらす。一実施形態では、第1の軸受は、以下でさらに詳細に論じるように、固着ねじが締められると骨ねじ34を所定の場所にロックするよう作用する、金属製インサートで構成されることができる。
【0035】
第1の軸受110に加えて、第2の軸受112も、図8および図9に示される受容器部材40の内部に設けられている。第2の軸受112は、ロッド26用の球状軸受表面をもたらし、ロッド26を受容器部材40に対して旋回させる。したがって、ロッド26は、ロッド26の少なくとも1つの端部上に固着された球状ボールの形をした旋回部材114を含む。球状ボール114は、第2の軸受112の球状軸受表面に係合し、ゆえに、受容器部材40内部でロッド26を旋回可能に保持し、また、受容器部材に対する、ロッドの滑らかな動きを容易にする。この実施形態では、旋回部材114は、ロッド26に固着され、ロッド上に一体に形成されている。
【0036】
図8および図9に開示された実施形態では、第2の軸受112は、球状ボール114より上に設けられた上部軸受部材116と、球状ボール114より下に設けられた下部軸受部材118と、を含む、割り軸受である。別の代替的実施形態では、軸受は、図3Bに示される軸受などの左半部および右半部に分割されている。割り軸受112は、UHMWPE、セラミック、コバルトクロム、またはあらゆる他の生体適合性材料で構成される。代替的な一実施形態では、第1の軸受110、および第2の軸受112の下部軸受部材118は、単一の一体的構成要素として設けられうる。
【0037】
アンカー組立体24の構成要素はすべて、上部孔を通して、受容器部材40の中に入れられることができる。まず、骨ねじ34は、受容器部材40に挿入され、ねじ頭部36はねじ頭部空洞部に位置し、シャンク38は受容器部材40の底部の孔を通って延びる。第2に、第1の軸受110は、ねじ頭部の上に置かれる。次に、第2の軸受112の下部軸受部材118は、第1の軸受110の頂部に置かれる。ロッド26が、次に、受容器部材の中に置かれ、球状ボール114は、下部軸受部材118の軸受表面に係合し、ロッドの円筒形部分は、受容器部材の側壁に形成されたロッド通路を通過している。上部軸受部材116は、その後、球状ボール114上に置かれる。これにより、球状ボールに上部軸受表面がもたらされる。最後に、固着ねじ70が、第2の軸受部材に対して圧縮されるまで受容器部材の頂部にねじ込まれる。代わりに、軸受構成要素、ねじ、およびロッドは、予め組み立てられて、ユニットとして受容器部材に挿入されてもよい。
【0038】
図8および図9の実施形態では、アンカー24は、ねじ頭部36が所望の位置にきたら固着ねじ70により締められる金属製インサート110によってロックされうる多軸ねじの役目をする。固着ねじ70は、骨ねじ34をロックし、また、第2の軸受112をわずかに圧縮するように機能し、ゆえに、第2の軸受を受容器部材40内部で所定の場所に保つ。
【0039】
図8および図9の実施形態では、ロッド26が、受容器部材40に対して旋回するように構成されていることも分かる。したがって、図8に示されるように、ロッド26が周りを旋回する旋回点82は、ロッドにより定められ、かつロッドに沿って延びる軸、例えば中心軸80、またはロッドを通って軸方向にもしくは細長いロッド26の表面に沿って延びる軸、の上に位置する。図8の場合、軸は、ロッドの中心軸80である。このため、ロッドは、軸方向に運動せざるを得ない。言い換えれば、この実施形態では、ロッドの動的中央部分は、受容器部材40が動く際に、引き延ばされるかまたは圧縮されるが、曲がらない。こうして、2つの骨アンカー、およびロッドの、所定のPDS組立体について、椎骨が骨ねじ34を動かすと、受容器部材40も、骨ねじと共に動く。ロッド26は、旋回点82の周りで受容器部材40に対して旋回することができるので、受容器部材40の動きは、ロッド26に対して軸方向の力を与え、この力は、ロッドを圧縮するか、または引き延ばす。有利にも、この配列は、旋回点がロッドにより定められた軸からオフセットしている場合の安定化要素とは異なる運動力学および荷重要件を提供する。これらの異なる運動力学および荷重要件は、特定の材料およびデザイン、または特定の患者について、有利となりうる。
【0040】
図8および図9の実施形態に対する代替的な一実施形態は、固着ねじの中に入れ子状に重ねられた止めねじの使用を伴い、多軸ねじを、軸受表面の圧縮と切り離してロックする。さらには、軸受表面の特定の形状およびロックが図8に示されるが、これは、使用される材料、およびロッドの制約に基づいて変えられてよい。ロッドの旋回点がロッドの中心軸または他の軸に沿って位置する、図8および図9の実施形態の多くの他の改作が可能であることを、当業者は当然認識するであろう。
【0041】
図8および図9の骨アンカーの代替的実施形態の別の例が、図10に示される。図10は、多軸ねじの代わりに、固定ねじの役目をする骨アンカー24の実施形態を示している。詳細には、図10では、ねじシャンク38は、受容器部材40に固着されている。この実施形態では、ねじシャンク38は、受容器部材40が骨ねじ頭部として役立つように、受容器部材40と一体に形成されてよい。代わりに、ねじシャンク38は、何らかのロック機構または他の接続手段を用いて、別様に受容器部材40に固着されてもよい。図10の実施形態では、軸受部材112の下部部分118が、受容器部材40に形成された空洞部120に、まず置かれる。ロッド26のボール型部分が、次に、下部軸受表面の上に載せられ、上部軸受部材116が、空洞部内部でロッドの頂部に置かれる。最後に、固着ねじ70を用いて、受容器部材40の空洞部120内部で軸受112を固定する。
【0042】
図11は、図10に類似した別の実施形態を示し、ねじシャンクは、受容器部材40に固着され、ねじ頭部は、受容器部材40として形成されている。図11では、受容器部材40は、中央空洞部132を備えたブロック130として形成されている。ドーナツ型軸受表面136を備えた軸受部材134が、受容器部材40の空洞部132内部に位置付けられている。受容器部材40がねじシャンク38に対して固着されるので、軸受134も、ねじシャンク38に対して固着される。ドーナツ型軸受表面は、球状ボール114を含む図8および図9のロッド端部に類似したロッドの端部上の球状部分を受容するように構成されている。球状ボール114とドーナツ型軸受表面136との係合により、ロッド26は、骨ねじ38のシャンク38に対して旋回することができる。この実施形態では、軸受134は、UHMWPEであるものとして、また圧力ばめにより所定の場所に保持されているものとして示されている。しかしながら、他の実現可能な多くの軸受材料およびロック機構が用いられうることを、当業者は認識するであろう。図8〜図10の実施形態と同様に、図11に開示される骨アンカーは、ロッドの旋回点がロッドの中心軸に沿って位置する配列を提供している。
【0043】
図12および図13は、図11に類似した別の代替的実施形態を示す。しかしながら、図12および図13の実施形態では、軸受134は、ねじシャンク38に対して固着されていない。代わりに、骨アンカー24は、多軸ねじの役目をし、骨ねじ頭部36およびシャンク38は、旋回可能な関係で、ブロック130/受容器部材40に接続される。骨ねじ34と同様に、軸受134は、受容器部材40の頂部に入れられ、止めねじまたは他のロック部材71が、受容器部材40内部で所定の場所に軸受134を保持する。骨アンカーは多軸ねじの役目をするが、骨ねじ34は、ロック部材71がブロック内部で締められると、ブロック130に対して所定の場所でロックされることができる。よって、金属製インサート138が、軸受134の周りに設けられうる。ロック部材71が締められると、金属製インサート138は、ねじ頭部36内にロックされ、骨ねじをブロック130に対して固着させる。図11〜図13の実施形態の様々な代替的様式が可能であることを、当業者は認識するであろう。例えば、二重止めねじが用いられうること、および、軸受表面は中実部品として図示されているが、より容易な組み立てを可能にするため、かつ他の材料の使用を容易にするために軸受表面が分割されうること、が、認識されるであろう。
【0044】
ロッドの旋回点がロッドの中心軸に沿って位置する、骨アンカー24のさらに別の実施形態が、図14に示されている。図14の実施形態は、図11の実施形態に非常に類似しているが、図14では、ブロック130および軸受134は、ねじシャンク38ではなくロッド26上に設けられている。同様に、球状ボール115が、ロッド26上でなくねじシャンク138上に設けられている。球状ボール115は、軸受134に係合し、ロッド26を骨ねじ34に対して旋回させる。この実施形態では、軸受134は、UHMWPEであるものとして、また、圧力ばめにより所定の場所に保持されているものとして、図示されている。しかしながら、他の実現可能な多くの軸受材料およびロック機構が用いられうることを、当業者は認識するであろう。
【0045】
図15A〜図15Fは、ロッドの旋回点がロッドの中心軸に沿って設けられている図8〜図13のデザインと共に使用されうる、調節可能な長さのロッドの、6つの可能なデザインを示している。前述のとおり、調節可能な長さのロッドは、異なる大きさの体節単位および異なる大きさの患者のために異なる大きさのシステムが構築されうるようにPDSシステムを提供する際に、有利である。したがって、図15A〜図15Fのロッドは、複数の骨アンカーと、複数の骨アンカーに接続され、かつ複数の骨アンカー間に延在する少なくとも1つの接続部材と、を含む、調節可能なPDSシステムであって、少なくとも1つの接続部材は、長さが調節可能である、調節可能なPDSシステムを提供するのに用いられうる。一実施形態では、少なくとも1つの接続部材は、複数の骨アンカーに固着して接続される。別の実施形態では、少なくとも1つの接続部材は、複数の骨アンカーに旋回可能に接続される。他の実施形態では、調節可能な接続部材は、2つ以上の部分を備えた入れ子状シャフトとして設けられ、2つ以上の部分は、互いに対してスライドし、互いに対してロックされうる。別の実施形態では、調節可能な接続部材は、ねじ山を切られたボールを端部に備えた、シャフトを含み、ねじ山を切られたボールは、接続部材を効果的に長くするか、または短くするように回転されることができる。これらの実施形態および他の実施形態が図15A〜図15Fに示されている。図15A〜図15Fの実施形態は、ロッドであって、ロッドの中央に螺旋状動的部分が設けられた、ロッドを示している。しかしながら、本明細書に開示された実施形態は、単に螺旋状動的部分だけでなく、任意の動的要素と共に用いられうることが意図されている。
【0046】
図15Aは基本的なロッド26を示し、このロッド26は、概して、可撓性の弾性中央部分28、第1の端部30、および第2の端部32を備えた、シャフトを含む。ボール型部材114が、ロッド26の第1の端部30および第2の端部32に設けられている。ボール型部材は、開示された実施形態では実質的に球状であり、骨アンカー24内部に保持されたロッド軸受112の軸受表面に係合するように構成されている。ボール型端部を有するロッドと共に使用されるロッド軸受を保持するように構成された例示的な骨アンカー24は、図8〜図13に開示されている。図15Aでは、ボール型部材114は、図15Aのロッドと一体的に形成されている。この目的のため、ボール型部材114は、ロッドの中央動的部分28と共に、単一部品として成型されうる。代わりに、ボール型部材114は、溶接、接着、または当業者により認識されるような他の適切な方法などの他の手段により、動的部分28に固着されることができる。他の代替的実施形態では、ボール型部材114は、動的部分28に解放可能に接続されうる。例えば、ボール型部材114は、ロッド端部30、32においてロッド26上にねじで締められるか、スナップ留めされるか、または摩擦ばめ(friction fit)されうる。当業者は、ボール型部材をロッド上に固定するための、様々な他の可能性を認識するであろう。ボール型部材114が動的部分28に対して固着されている、この実施形態では、ロッド26は、異なる患者および/または脊椎の異なる体節単位の間の大きさの差に適応するように、多くの別個の長さで提供されることができる。
【0047】
代替的実施形態では、ロッドのボール型部材114は、ロッドに調節可能に接続されうる。この配列では、単一のロッドが、患者および/または体節単位の間の様々な大きさの差に適応するように用いられうる。ボール型部材114が動的部分28に対して調節可能であるロッド26の例は、図15B〜図15Fに示されている。
【0048】
図15Bでは、ボール型部材114は、支柱140上に設けられている。支柱140は、ロッドシャフト内部、詳細には、ロッド端部30、32上に形成された口142の内部に嵌まる。それぞれの口142は、上方ジョー144および下方ジョー146を含み、これらジョーは、ロッドの中心軸から外に向かって先細になる。通路が上方ジョー144と下方ジョーとの間に形成され、この通路は、支柱140のうち1つを受け入れる。ロックリング148が各ロッド端部30、32に設けられる。ロックリング148が口142の上を動くと、口の上方ジョー144および下方ジョー146が互いに押し付けられ、ゆえに、口142内部で支柱140を圧縮し、また、関連するボール部材114をロッド26の端部においてロックする。支柱140および関連するボール部材114がロッド26の中央動的部分28に対してスライド可能であるので、ロッドの大きさは、脊椎の異なる体節単位、および異なる大きさの患者に適応するために、様々な長さに調節されることができる。
【0049】
図15Cおよび図15Dでは、ボール型部材114は、キャップ部材150にテーパーロックされ(taper-locked)、キャップ部材150の位置は、所望の長さに調節されることができる。図15Cおよび図15Dの実施形態の両方において、キャップ部材150は、切頭円錐形部分(frusto-conical portion)152を含み、切頭円錐形部分152は、ボール部材114の空洞部160に挿入されて、ボール部材114をキャップ部材150にテーパーロックする。当然、図15Cおよび図15Dの実施形態では、テーパーロックとは異なる別の留め手段が、ボール部材114をキャップ部材150に取り付けるために用いられてもよい。図15Cおよび図15Dの双方の実施形態では、キャップ部材150は、止めねじを用いてロッドに固定される。図15Cの実施形態では、キャップ部材は、ロッドのシリンダの上に嵌まり、ねじ孔154がキャップ部材150に形成されている。図15Dの実施形態では、支柱156が、ロッドシリンダ内部に挿入されており、ねじ孔158がロッド26に形成されている。ここでも、図15Cおよび図15D双方について、ボール部材114はロッド26の中央動的部分28に対してスライド可能であるので、ロッドの大きさは、脊椎の異なる体節単位、および異なる大きさの患者に適応するように、様々な長さに調節されることができる。
【0050】
図15Eの実施形態では、間隔をあけた歯160が、ロッド端部30、32に設けられている。また、連動歯162が、ボール部材114の内側に設けられている。歯160、162は、わずかなテーパーを備えており、ロッドシリンダ上の歯160が、ボール部材114の内側の歯162と相互に作用する。間隔をあけた歯160、162のどの組が使用されるかによって、ロッドの長さは、単純な回転を用いて調節および確定されることができる。
【0051】
図15Fの実施形態では、ロッド端部は、(「スマートメタル(smart metals)」または「メモリーメタル(memory metals)」とも呼ばれる)形状記憶合金、例えばニッケル‐チタン(NiTi)、銅‐亜鉛‐アルミニウム、または銅‐アルミニウム‐ニッケルなど、で構成される。形状記憶合金は、ロッド26の端部30、32においてボール部材114をロックするのに有利に用いられうる、温度依存性の記憶特性を呈する。図15Fの実施形態では、ロッドの端部30、32は、形状記憶合金で構成された、入れ子状に重ねられたカップ166を含む。スリット164が、ロッドの端部に沿ってカップ166を貫通して形成されている。関連する溝が、ボール部材の内側に設けられている。ボール部材114は、室温で、ロッド端部30、32においてカップ166上を自由にスライドすることができる。しかしながら、体温では、カップ166は、外側に広がり、したがって、ボール部材の内側の溝の中にカップ166をロックし、ボール部材を所定の場所に固定する。
【0052】
〔低い外形のデザイン〕
図16〜図18は、ロッドの旋回点が、ロッドにより定められた中心軸または他の軸からオフセットしている前記のデザイン(例えば図3〜図7)のいずれかと共に用いられるように構成された、代替的実施形態を示す。図16〜図18の実施形態において扱われた利点は、低い外形の動的ねじの利点である。この実施形態では、骨アンカー24の下方部分は、図3および図4のものに類似しており、軸受部材48および骨ねじ34の頭部36を受容するよう構成された、骨ねじ空洞部48を含んでいる。インサート60が、軸受部材54の上に設けられ、インサート60は、軸受部材を空洞部48においてロックする。これも図3および図4と同様に、ロッド空洞部/通路52が、インサートの上に設けられている。しかしながら、図3および図4とは異なり、固着ねじがロッド26の上に設けられていない。代わりに、ロッド26および骨アンカー24は、固着ねじを使用せずに、ロッド26をロッド空洞部52の中にロックする、特徴部を含む。
【0053】
図16〜図18の例示的な実施形態では、ロッド26に設けられたロック特徴部は、ロッド端部に設けられた指状突起170を含み、スリット172が指状突起170間で各ロッド端部に切り込まれている。歯174もまたロッド端部に設けられている。スリット172は、ロッドの端部がロッド空洞部52の中に押し込まれるにつれて、指状突起170が互いに向かって縮むのを可能にする。ロッドがいったん空洞部52に来ると、指状突起170は、それらの元の構成に向かって、またはそれらの元の構成以上に、外側へ朝顔形に広がって戻る。指状突起が外側へ押しやられると、指状突起は、歯174を含め、インサート60に押し付けられ、したがって、ロッドをロッド空洞部内部の所定の場所にロックする。指状突起が朝顔形に広がることは、メモリーメタルを用いて、または、ロッドの端部においてスリットに押し込まれるウェッジなどの他の手段によって、達成されうる。ロッド空洞部52内部の所定の場所にロッドがある状態で、ロッドは、インサート60および受容器部材40に押し付けられ、これにより、軸受54を骨アンカー24内部で所定の場所にロックする。インサート60が比較的柔らかい材料で構成されている場合、歯174は、ロッドを骨アンカー内部で固定するのを助けるために、インサートに切り込んでいてもよい。代替的な一実施形態では、歯174は、ロッドを骨アンカー内部で固定するのを助けるために、インサート60および受容器部材40の相補的な歯と噛み合うように設計される。
【0054】
一実施形態では、キャップが、骨アンカーの上端部44の上に設けられる。これは、ロッドが組織を通過する場合に望ましいであろう。キャップは、持続的でも一時的なものでもよい。図18に最も良く示されるように、ロッド空洞部52を横切る距離は、ロッド空洞部の中央から上端部44に向かって動くにつれて、概して減少している。上端部44におけるこの減少した距離は、ロッド26の直径よりも小さく、受容器部材40の頂部をロッドが通過することを防ぐのを助ける。しかしながら、キャップが上端部44の上に設けられている場合、キャップは、ロッド26を受容器部材40の内部に保持するのをさらに助けるために用いられることができる。さらには、受容器部材40が、ロッドに適切に係合しロッドをロックするために正しい構成で確実に整列されることが、一層困難であろう、低侵襲性手術処置で、この実施形態が用いられる場合、キャップは、頭部が正確に置かれること、および受容器部材が適切に固定されることを確実にするような方法で、ねじ頭部上の特徴部と噛み合うことができる。
【0055】
本発明は、特定の好適な実施形態に関して説明されてきたが、他の実施および改作が可能であることが、当業者により認識されるであろう。例えば、本発明は、脊椎の単一の体節単位(single segmental spine unit)に関して使用するように開示されているが、マルチレベル構成(multi-level constructions)で使用するように構成されることもできる。別の例として、本明細書で開示された動的ロッドは、螺旋状の可撓性部分を含むが、他の実施形態では、異なる動的ロッドが用いられてよい。さらに別の例として、骨アンカーへのロッドの接続は、本明細書に開示された実施形態ごとに変えられてよい。さらに、前記の他の態様を組み込むことなく得ることができる、本明細書に記載された個々の進歩の利点がある。したがって、添付の請求項の趣旨および範囲は、本明細書に含まれる好適な実施形態の記載に限定されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、複数の動的ねじ、および2つの椎骨間で接続された動的ロッドを備えた、脊椎安定化システムの後面図を示す。
【図2】図2は、図1の脊椎安定化システムの側面図を示す。
【図3A】図3Aは、図1の脊椎安定化システムの一部を形成する、骨アンカーおよびロッドの断面図を示す。
【図3B】図3Bは、図3Aの骨アンカーおよびロッドの分解組立斜視図を示す。
【図3C】図3Cは、図3Bの保持器インサートの斜視図を示す。
【図3D】図3Dは、図3Cの保持器インサートの上面図を示す。
【図4】図4は、図3の骨アンカーおよびロッドの代替的実施形態の断面図を示す。
【図5】図5は、ロッドの旋回点がロッドの中心軸からオフセットしている、図3の骨アンカーおよびロッドの代替的実施形態の斜視図を示す。
【図6】図6は、図5の骨アンカーおよびロッドの断面図を示す。
【図7】図7は、図5の骨アンカーおよびロッドの代替的実施形態を示す。
【図8】図8は、ロッドの旋回点がロッドの中心軸上に設けられている、図3の骨アンカーおよびロッドの代替的実施形態の断面図を示す。
【図9】図9は、90°回転された図8の骨アンカーおよびロッドの、別の断面図を示す。
【図10】図10は、図8の骨アンカーの代替的実施形態の斜視図を示す。
【図11】図11は、図8の骨アンカーの別の代替的実施形態の斜視図を示す。
【図12】図12は、図8の骨アンカーの別の代替的実施形態の斜視図を示す。
【図13】図13は、図12の骨アンカーの断面図を示す。
【図14】図14は、図8の骨アンカーおよびロッドのさらに別の代替的実施形態の斜視図を示す。
【図15A】図15Aは、図8〜図13の骨アンカーと共に使用する動的ロッドを示し、動的ロッドは、その端部にボール型部材を含んでいる。
【図15B】図15Bは、ロッドの長さが調節可能である、図15Aの動的ロッドの代替的実施形態を示す。
【図15C】図15Cは、ロッドの長さが調節可能である、図15Aの動的ロッドの別の代替的実施形態を示す。
【図15D】図15Dは、ロッドの長さが調節可能である、図15Aの動的ロッドのさらに別の代替的実施形態を示す。
【図15E】図15Eは、ロッドの長さが調節可能である、図15Aの動的ロッドの別の代替的実施形態を示す。
【図15F】図15Fは、ロッドの長さが調節可能である、図15Aの動的ロッドのさらに別の代替的実施形態を示す。
【図16】図16は、図1の脊椎安定化システムと共に使用される骨アンカーおよびロッドの代替的実施形態の斜視図を示し、ロッドは、固着ねじを使用せずに骨アンカーの空洞部に固定されている。
【図17】図17は、図16の骨アンカーおよびロッドの断面図を示す。
【図18】図18は、90°回転された図17の骨アンカーおよびロッドの断面図を示す。
【開示の内容】
【0001】
〔分野〕
本出願は、脊椎安定化装置の分野に関する。詳細には、本出願は、脊椎の体節単位(segmental unit)と共に使用されるように構成された、後方安定化ユニット(posterior stabilization unit)に関する。
【0002】
〔背景〕
脊椎手術は、脊椎の機能的体節単位が適切な位置から動かされるか、または別様に損傷を受けた場合に生じる脊椎の状態を治療するために、医業において一般的に用いられる。脊椎の状態を治療するのに使用される処置の例は、椎間板置換術、椎弓切除術、および脊椎融合術を含む。
【0003】
脊椎融合術などの、ある脊椎処置の後、脊椎が治癒する間は、椎骨間の動きを防ぐことにより脊椎を安定させることが通常望ましい。治癒中に骨を所定の場所保持することで脊椎を安定させるこの行為は、脊椎融合術および他の処置の成功率を大いに改善してきている。
【0004】
脊椎安定化処置では、金属ねじおよびロッドの組み合わせにより、椎骨を所定の場所に保持するしっかりした「固定器」が作られる。これらの装置は、椎骨間で動きが生じるのを妨げるよう意図されている。これらの金属製装置は、融合部位に、さらに安定性を与え、患者が、はるかに早くベッドを離れることを可能にする。
【0005】
脊椎安定化処置中、椎弓根ねじ(pedicle screws)が、脊柱の2つ以上の椎骨の後方部分で椎弓根を貫通して設置される。これらのねじは、椎体の骨をつかみ、椎骨上での良好でしっかりした保持を椎体にもたらす。いったんねじが椎骨上に設置されると、これらのねじは、すべてのねじを共に接続する金属ロッドに取り付けられる。すべてのものがボルトで留められしっかり締められたら、この組立体は、治癒が起こりうるように椎骨を静止した状態で保持する硬い金属フレームを作る。
【0006】
後方動的安定化(PDS)は、概して、動的ロッド(dynamic rods)が椎弓根ねじ間に位置付けられる、そのような安定化処置を指す。これらの動的ロッドは、椎弓根ねじ間の、多少の制限された動きを可能にするために、一般的に、曲がるか、伸びる(extend)か、圧縮されるか、または別様に変形することができる。椎弓根ねじと、関連する椎骨との間のこの制限された動きを可能にすることにより、患者が動く間、隣接する、安定化されていない機能的体節単位に対してあまり負担(strain)がかからない。加えて、動的ロッドは、一般に、ねじシャンクに対する応力を減少させ、ねじの後退(backout)または関連するねじの破損の可能性を最小限に抑える。しかしながら、動的ロッドがあったとしても、ねじシャンクは応力を経験し、このことにより、適切な状況下でのねじの後退または関連する破損を生じる可能性がありうる。したがって、ねじと骨との界面をさらに保護し、ねじの後退の可能性を減少させることができるPDSシステムを提供することが望ましいであろう。例えば、先行技術において見られた安定化要素とは異なる運動力学および荷重要件(kinematics and loading requirements)を示す、可撓性安定化要素を備えた、PDSシステムを提供することが有利であろう。このような安定化要素は、従来のPDS安定化要素に問題があると思われる場合に、外科医に、追加の選択肢を提供するであろう。
【0007】
〔概要〕
脊椎安定化システム用の動的ねじの様々な実施形態が本明細書で開示される。一実施形態では、脊椎安定化システム用の動的ねじは、骨係合部材および受容器部材を含む、少なくとも1つの骨アンカー組立体を含む。骨係合部材は、受容器部材内部に保持されたねじ頭部、および受容器部材から延びるねじシャンクを含む、骨ねじを含むことができる。ねじ頭部は、受容器部材の内部に旋回可能に保持されてよい。細長い接続部材が、骨係合部材に旋回可能に接続される。細長い接続部材は、2つ以上の骨アンカー組立体間にまたがるロッドとして設けられることができる。細長い接続部材は、骨アンカー組立体の受容器部材に旋回可能に接続される。
【0008】
一実施形態では、細長い接続部材と受容器部材との間の旋回可能な接続は、ロッド上のボール型旋回部材によりもたらされ、ボール型旋回部材は、受容器部材の空洞部内部に設けられた軸受表面に係合する。したがって、ロッドの旋回点(pivot point)は、受容器部材の空洞部内部に設けられうる。そのような一実施形態では、ロッドは、軸を定めることができ、この軸は、ロッドが受容器部材に対して旋回すると、その軸上の旋回点の周りで旋回する。他の実施形態では、ロッドの旋回点は、ロッドにより定められた軸からオフセットしている。
【0009】
ロッドは、一定の長さであるか、または異なる体節単位および異なる大きさの患者に適応するように調節可能であることができる。調節可能な実施形態では、ロッドは、可撓性の中央部分、および少なくとも1つの調節可能端部を備えた、シャフトを含む。調節可能端部は、様々な手段により設けられうる。例えば、調節可能端部は、ロッドのシャフト内部でスライドするように構成された支柱を含むことができる。一実施形態では、調節可能端部は、シャフトにねじ係合する(threadedly engage)ように構成される。別の実施形態では、調節可能端部は、形状記憶合金で構成される。
【0010】
組み立てられると、脊椎安定化システムは、概して、少なくとも2つの骨アンカーであって、その2つの骨アンカー間に延在するロッドを備えた、骨アンカーを含む。前述のとおり、各骨アンカーは、骨ねじと、骨ねじを保持するように構成された受容器部材と、を含む。ロッドは、2つの受容器部材間に延在する。ロッドが受容器部材に対して固着される一実施形態では、ロッドは、受容器部材が互いに対して動くと曲がるように構成される。別の実施形態では、ロッドは、双方の受容器部材に旋回可能に接続され、ロッドは、受容器部材が互いに対して動くと伸びるかまたは圧縮されるように構成されている。
【0011】
代替的実施形態では、脊椎安定化システムの1つ以上の骨アンカーは、受容器部材内部で骨ねじ用の軸受をロックするように作用する、保持部材の形態のインサートを含む。この目的のため、受容器部材は、ねじ頭部空洞部、およびロッド空洞部を含み、インサートが、ねじ頭部空洞部とロッド空洞部との間に位置付けられている。ねじ頭部空洞部は、軸受を受容するように構成され、軸受は、ねじシャンクが受容器部材から延びている状態で、骨ねじの頭部に係合する。一実施形態では、骨ねじ軸受は、割り軸受である。インサートは、ロッド空洞部と軸受部材との間に位置付けられ、受容器部材内部で割り軸受を固定するように構成されている。インサートは、受容器部材の内側壁に形成された溝内部に嵌まるように設けられることができる。この実施形態では、インサートは、ねじ空洞部の内部で割り軸受を固定する、保持リングを含む。別の実施形態では、インサートは、軸受部材とロッド空洞部との間に位置付けられた圧縮性材料で構成される。ロッドがロッド空洞部に位置付けられると、インサートは、軸受部材に対して圧縮され、ゆえに、ねじ空洞部の内部で軸受部材をロックする。
【0012】
さらに別の実施形態では、骨アンカー組立体は、低い外形で構成されており、ロッドは、固着ねじを使用せずに、受容器部材の内部でロックされる。この実施形態では、骨アンカー組立体は、頭部、および頭部から延びるねじシャンクを含む。ねじシャンクは、頭部に対して旋回可能である。さらに、ロッド空洞部が、頭部の内部に形成されている。ロッドの端部は、ロッドがロッド空洞部に挿入されるとロッド空洞部の内部でロッドをロックし、ゆえにロッドを頭部に接続する、特徴部を含む。例えば、一実施形態では、ロッドの端部は、ロッド空洞部の内部でロッドをロックするように朝顔形に広げられうる、複数の指状突起を含む。ロッドは、複数の歯も含むことができ、歯は、空洞部の内部でロッドをさらに固定するためにロッド空洞部をつかむかまたはロッド空洞部と噛み合う。
【0013】
前記の特徴部および利点、ならびに他の特徴部および利点は、以下の詳細な説明および添付図面を参照することにより、当業者には、より容易に明らかになるであろう。
【0014】
〔説明〕
図1および図2を参照すると、例示的な後方動的安定化(PDS)システム22が、脊椎の2つの椎骨20、21間に配列されて示されている。PDSシステム22は、複数の骨アンカー24であって、骨アンカー24間に延びる複数の細長い接続部材26を備えた、複数の骨アンカー24を含む。複数の接続部材26は、ロッド、バー、または他の細長い接続部材を含みうる。各骨アンカー24は、椎骨20または21のうち一方の椎弓根に固定される。それぞれの細長い接続部材26は、上方椎骨20に固着された第1の骨アンカーと、下方椎骨21に固着された第2の骨アンカーとの間に延在する。
【0015】
骨アンカー24は、チタン、ステンレス鋼、または他の適切な生体適合性材料で構成される。本明細書中でさらに詳細に説明するように、各骨アンカー24は、(例えば図3に示されるような)骨ねじなどの、骨係合部材34を含む。しかしながら、当技術分野で既知のような、支柱、ピン、セメントで固めた表面、接着表面、および他の骨係合部材など、他の骨係合部材34が可能であることを、当業者は認識するであろう。
【0016】
骨係合部材34に加えて、各骨アンカー24は、受容器部材40も含む。受容器部材40は、骨係合部材34および/または細長い接続部材26を受容するように構成されている。骨係合部材34が骨ねじである場合、骨ねじ34は、ねじ頭部36、およびねじシャンク38を含む。ねじ頭部36は、受容器部材40内部に保持され、ねじシャンク38は、受容器部材40から延びる。ねじシャンク38は、骨の中にねじ込まれ、骨ねじ34を椎弓根または骨の他の部分に固定するように構成されている。受容器部材40は、ねじ34に、硬く、または旋回可能に接続されることができる。
【0017】
受容器部材40はまた、ロッド26などの細長い接続部材を受容するように構成されている。ロッド26は、2つの硬い端部30、32を含み、弾性の/弾力のある中央部分28がロッド端部間に配されている。弾性の中央部分28は、ロッドにおける多少の制限された可撓性を可能にすると共に、ロッドがその元の形状に跳ね戻ることを可能にしている。したがって、対抗する力がロッド26の端部30、32に加えられると、中央部分は屈曲し、ロッドを曲げ、かつ/または引き延ばす。対抗する力が取り除かれると、ロッドは、その元の形状に戻る。この構成では、PDSシステムは、概して、隣接する2つの椎骨を安定させると共に、椎骨20、21間の多少の制限された動きを可能にする。しかしながら、剛性ロッド、またはエラストマー材料、金属、もしくは超弾性材料で構成された他の可撓性ロッド、または当技術分野で既知のような他のタイプのPDSロッドを含む、他のタイプのロッドが可能であることを当業者は認識するであろう。
【0018】
次に図3A〜図3Dを参照すると、骨アンカー組立体24の一実施形態が示されている。この実施形態では、各骨アンカー組立体24は、受容器部材40内部に保持された骨係合部材34を含む。骨係合部材は、(本明細書中で「椎弓根ねじ」とも呼ばれる)骨ねじ34の形態で設けられている。骨ねじ34は、ねじ頭部36、およびねじシャンク38を含む。ねじ頭部36は、平坦な頂部39を備えた、概ね球体の形状である。スロット37が、ねじ頭部36の頂部に形成されている。スロット37は、ねじ34を骨の中に打ち込むのに用いられうるねじ回しの先端部を受容するように構成されている。ねじシャンク38は、ねじ頭部36から延びている。ねじシャンク38は、ねじを骨の中に打ち込むのを容易にするように、ねじ山を切られている。
【0019】
図3A〜図3Dの実施形態では、受容器部材40は、ねじ34およびロッド26の双方を保持するように構成された、概ねカップ型の構造体である。受容器部材40は、上端部44と下端部46との間に形成された円筒形側壁42を含む。骨ねじ空洞部48が、下端部46の近くで側壁42内部に形成されている。固着ねじ空洞部50が、上端部44の近くで側壁42内部に形成されている。ロッド空洞部・通路52が、固着ねじ空洞部50と骨ねじ空洞部48との間で受容器部材に形成されている。
【0020】
固着ねじ空洞部50は、(本明細書では、止めねじとも呼ばれる)固着ねじ70を受容するように設計され寸法決めされている。したがって、受容器部材の円筒形側壁42は、上端部44においてねじ山を切られている。これらのねじ山は、固着ねじ70のねじ山に係合するように構成されている。固着ねじは、頂部にスロット72を含み、スロット72は、ねじ回しの先端部を受容するように構成され、したがって、固着ねじ70が固着ねじ空洞部50の中へ打ち込まれることができる。
【0021】
ロッド通路52は、固着ねじ空洞部50の真下に設けられている。ロッド通路は、PDSシステム22の動的ロッド26のうち1つを受容するように設計され寸法決めされている。詳細には、ロッド通路52は、ロッド端部30のうち1つを受容するように設計されている。図3の実施形態では、ロッドは、受容器部材40の上端部44に形成されたU字型のくぼみ内部にロッドを置くことにより、受容器部材の頂部からロッド通路の中に入れられる。ロッド26がロッド通路52に位置付けられた後、固着ねじは、ロッドに接触するまで固着ねじ空洞部の中へ打ち込まれる。固着ねじが締められると、固着ねじは、ロッドを受容器部材40内部の所定の場所にロックする。ロッドを所定の場所に保持するために、カムロックなど、他の適切なロック特徴部が用いられうることを当業者は認識するであろう。
【0022】
骨ねじ空洞部48は、骨ねじのシャンク38が受容器部材40から延びている状態で、骨ねじ34のねじ頭部36を保持するように設計され寸法決めされている。開口部56が、受容器部材40の下端部46に形成されている。開示されたこの実施形態では、開口部56の直径は、ねじ頭部36の直径より小さいが、ねじシャンク38を開口部56に通すには十分大きい。したがって、円筒形壁42は、受容器部材40の下端部46において、わずかにより厚くなっている。
【0023】
軸受部材54が、ねじ頭部36と共に骨ねじ空洞部48内部に位置付けられる。軸受部材54は、ねじ頭部36の球形状に概ね一致する、内側軸受表面を含む。ねじ頭部36は、軸受部材54内部で回転および旋回するように構成されている。外側軸受表面が、受容器部材の円筒形側壁42の内側部分に係合するように設計され寸法決めされている。
【0024】
一実施形態では、軸受部材54は、左側部材54aおよび右側部材54bを含む、割り軸受である。割り軸受54a、54bは、球状のねじ頭部36の周りで軸受表面を組み立てるのを可能にすることにより、より容易な組み立てをもたらす。加えて、割り軸受部材54a、54bは、異なる軸受材料の使用を容易にする。適切な軸受材料は、当業者により認識されるであろう。図3Aおよび図3Bの実施形態では、軸受部材54a、54bは、セラミックで構成される。他のタイプの適切な軸受材料の例は、コバルトクロム、UHMWPE、および他の生体適合性材料を含む。
【0025】
インサート60が受容器部材に設けられている。インサート60は、受容器部材40の骨ねじ空洞部48内部の所定の場所に軸受部材54を固定するために、保持部材の役目をする。図3A〜図3Dの実施形態では、インサート60は、保持リングとして役に立つC字型プレートである。図3Cおよび図3Dに最も良く示されるように、インサート60は、半円形の壁64を含み、空隙65がこの壁に形成されている。2つの対向する端部66aおよび66bが、空隙65の縁(sides)を定めている。インサート60の外側周辺部67は、概して円形の形状であり、内側周辺部68は、インサートに強度を与えるように輪郭を付けられている。加えて、インサートは、孔69など、他の構造的特徴部を含んでよい。インサート60は、概して、コバルトクロムまたはUHMWPEなど、弾力のある生体適合性材料で構成される。インサート60の、弾力のある特徴部により、端部66a、66bが共に押されて、空隙65の大きさを縮小し、その後、それらの元の位置に跳ね戻る。
【0026】
図3Aに示されるように、インサート60は、受容器部材40の円筒形側壁42に形成された溝62の内部に設けられる。図3Bに示されるアンカー組立体24の分解組立図を参照すると、インサート60が保持器部材の頂部の孔50を通って保持器部材40の中に入るのが分かる。まず、割り軸受部材54a、54bは、ねじ38の頭部の周りに位置付けられ、ねじは、受容器部材40に挿入される。挿入されると、割り軸受部材54a、54b、およびねじ頭部36は、ねじ頭部空洞部に位置し、シャンク38は、受容器部材40の底部の孔を通って延びる。次に、インサート60は、圧縮され、受容器部材40に挿入される。適切に位置付けられると、弾力のあるインサートは、受容器部材の溝62にスナップ式に嵌まり、ゆえに、割り軸受部材54a、54bを保持器部材の内部で所定の場所にロックする。インサート60が溝62にロックされた状態で、軸受部材54は、受容器部材内部で所定の場所に固定され、骨ねじにかかる様々な応力は、アンカー組立体24内部で軸受部材を除去しなくなるであろう。インサート60の挿入後、ロッド26は、受容器部材のロッド通路53に置かれ、固着ねじ70は、ロッドに対して圧縮されるまで固着ねじ空洞部50に通され、ゆえに、ロッドを受容器部材40に固着させる。
【0027】
図4は、軸受54を受容器部材40内部で固定するためのインサートを含む、骨アンカー組立体の代替的実施形態を示す。この実施形態では、インサート60は、ロッド26と軸受54との間に位置付けられたポリエチレンディスクを含む。固着ねじが締められる前に、ポリエチレンディスク60の頂面は、ロッド空洞部52内部に位置付けられる。したがって、固着ねじ70がロッド26に対して締められると、ポリエチレンインサート60は、ロッドにより、わずかに圧縮される。この圧縮の力は、その後、軸受部材54に伝えられ、軸受部材54は、骨ねじ空洞部48の内部できつく圧縮され、ゆえに、軸受を所定の場所で固定する。図3および図4は、受容器部材40内部で所定の場所に軸受54を保持する2つの方法のみを示しているが、当業者は、開示された実施形態の変形体が容易に組み込まれうることを認識するであろう。例えば、一実施形態では、保持リングおよび圧縮ディスクの組み合わせが使用されうる。
【0028】
〔旋回点がロッドの軸からオフセットしている、受容器部材に固定されたロッド〕
図3および図4から、アンカー組立体24内部におけるロッドの中心軸とロッド26の旋回点との間にオフセットが存在していることが分かる。詳細には、図4に示されるように、ロッドの中心軸80(点線80で示されている)が、アンカー組立体24内部のロッドの旋回点(「X」82で示される)から、移されている。このオフセットにより、ロッドの、必須の運動力学および荷重要件を制御するのを助けるために用いられうる一実施形態が提供される。これらの実施形態では、ロッド26は、アンカー組立体に固着され、骨ねじ34を保持する受容器部材40に対して旋回することができない。
【0029】
ロッドの中心軸がアンカー組立体内部のロッドの旋回点からオフセットしている、骨アンカー24の代替的実施形態が、図5および図6に示されている。この実施形態では、アンカー組立体は、骨ねじ34、U字型ねじホルダ86、およびロッドホルダ88を含む。骨ねじは、ねじ山を切られたシャンク38を含むが、球状の頭部の代わりに、骨ねじの頭部36は、平坦で概ね円形であるか、またはディスク型である。この平坦なねじ頭部は、U字型ねじホルダ86の基部90に形成された円形空洞部の内部に嵌まるように設計され寸法決めされている。円形空洞部87により、頭部36は、空洞部87内部でねじの軸の周りを回転することができる。ピボットピン94が、U字型ねじホルダ86の垂直部分92を通って延びている。
【0030】
ロッドホルダ88は、ピボットピン94上に旋回可能に据え付けられている。ロッドホルダ88は、図3および図4で説明された受容器部材40に類似している。しかしながら、ねじ空洞部の代わりに、図5および図6のロッドホルダ88は、ピボットピン94を受容するように構成されたピンチャネル95を含む。ロッドホルダ88は、ピボットピン94の周りを回転することができ、ゆえに、ロッドホルダ88をU字型ねじホルダ86に対して旋回させる。ロッド通路52が、ピンチャネル95より上で、ロッドホルダ88に形成されている。固着ねじ70が、ロッドホルダ88の頂部における内側にねじ山を切られた壁(interior threaded walls)にねじ係合している。固着ねじ70がロッドに対して締められると、ロッドは、ロッドホルダ88内部で所定の場所にピン留めされる。
【0031】
図5および図6の実施形態では、ロッドは、わずかに2自由度(two degrees of freedom)だけ、許容されている。まず、ロッド26は、ねじ頭部36とU字型ねじホルダ86の円形空洞部87との間の回転可能な係合のおかげで、ねじシャンク38により定められた軸の周りでの半径方向回転により、旋回することができる。第2に、ロッド26は、ねじシャンクに垂直であるピン94の周りで旋回することができる。U字型ねじホルダ内部でのねじ頭部36およびピン94の回転を容易にするため、U字型ねじホルダは、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、コバルトクロム、チタン、ステンレス鋼、または当業者により認識されるような他の適切な生体適合性軸受材料で構成されていてよい。
【0032】
ロッドの中心軸がロッドの旋回点からオフセットしている、骨アンカー24の別の代替的実施形態が図7に示されている。図7の骨アンカー24は、骨ねじ34のシャンク38に固着されたねじ保持部材100の形態の、受容器部材を含む。ロッド26は、ロッド26を受容する空洞部を含むロッド保持部材102に固定される。ロッド保持部材102は、ロッド保持部材102をロッド26に固着させるために、ロッド上にクランプする固着ねじ70を含む。ロッド保持部材は、ボール型旋回部材(ねじ保持部材100内部の点線104で示される)をさらに含む。この実施形態では、ねじ保持部材100は、球状軸受106と、ねじシャンク38に対して固着されている軸受表面と、を備えた、空洞部を含む。球状軸受表面は、ロッド26に固着された旋回部材104を受容するように構成されている。旋回部材104の表面が軸受表面と適合しているので、旋回部材104は、ねじ保持部材100内部で旋回することができる。したがって、ロッド26は、シャンク38に対して旋回するように構成されている。ロッド26の旋回点は、ねじ保持部材100の空洞部の中央の内部に位置する旋回部材104の中央において定められている。
【0033】
〔ロッド軸上の旋回点を備えた、受容器部材に旋回可能に接続されたロッド〕
図8〜図9を参照すると、PDSシステムのための骨アンカー24の代替的実施形態が示されており、ロッド26は、骨アンカーの受容器部材40に旋回可能に接続されている。骨アンカー24は、受容器部材40内部に保持されたねじ頭部36を有する骨ねじ34を含み、ねじシャンク38が、受容器部材40から延びている。
【0034】
2つの異なる軸受が、受容器部材40内部に保持される。詳細には、第1の軸受110は、ねじ頭部用の軸受表面をもたらす。第1の軸受は、受容器部材40内部でねじ頭部36を安定させるように作用すると同時に、ある表面であって、その表面上で、ねじ頭部が受容器部材40に対して旋回することができる、表面をもたらす。一実施形態では、第1の軸受は、以下でさらに詳細に論じるように、固着ねじが締められると骨ねじ34を所定の場所にロックするよう作用する、金属製インサートで構成されることができる。
【0035】
第1の軸受110に加えて、第2の軸受112も、図8および図9に示される受容器部材40の内部に設けられている。第2の軸受112は、ロッド26用の球状軸受表面をもたらし、ロッド26を受容器部材40に対して旋回させる。したがって、ロッド26は、ロッド26の少なくとも1つの端部上に固着された球状ボールの形をした旋回部材114を含む。球状ボール114は、第2の軸受112の球状軸受表面に係合し、ゆえに、受容器部材40内部でロッド26を旋回可能に保持し、また、受容器部材に対する、ロッドの滑らかな動きを容易にする。この実施形態では、旋回部材114は、ロッド26に固着され、ロッド上に一体に形成されている。
【0036】
図8および図9に開示された実施形態では、第2の軸受112は、球状ボール114より上に設けられた上部軸受部材116と、球状ボール114より下に設けられた下部軸受部材118と、を含む、割り軸受である。別の代替的実施形態では、軸受は、図3Bに示される軸受などの左半部および右半部に分割されている。割り軸受112は、UHMWPE、セラミック、コバルトクロム、またはあらゆる他の生体適合性材料で構成される。代替的な一実施形態では、第1の軸受110、および第2の軸受112の下部軸受部材118は、単一の一体的構成要素として設けられうる。
【0037】
アンカー組立体24の構成要素はすべて、上部孔を通して、受容器部材40の中に入れられることができる。まず、骨ねじ34は、受容器部材40に挿入され、ねじ頭部36はねじ頭部空洞部に位置し、シャンク38は受容器部材40の底部の孔を通って延びる。第2に、第1の軸受110は、ねじ頭部の上に置かれる。次に、第2の軸受112の下部軸受部材118は、第1の軸受110の頂部に置かれる。ロッド26が、次に、受容器部材の中に置かれ、球状ボール114は、下部軸受部材118の軸受表面に係合し、ロッドの円筒形部分は、受容器部材の側壁に形成されたロッド通路を通過している。上部軸受部材116は、その後、球状ボール114上に置かれる。これにより、球状ボールに上部軸受表面がもたらされる。最後に、固着ねじ70が、第2の軸受部材に対して圧縮されるまで受容器部材の頂部にねじ込まれる。代わりに、軸受構成要素、ねじ、およびロッドは、予め組み立てられて、ユニットとして受容器部材に挿入されてもよい。
【0038】
図8および図9の実施形態では、アンカー24は、ねじ頭部36が所望の位置にきたら固着ねじ70により締められる金属製インサート110によってロックされうる多軸ねじの役目をする。固着ねじ70は、骨ねじ34をロックし、また、第2の軸受112をわずかに圧縮するように機能し、ゆえに、第2の軸受を受容器部材40内部で所定の場所に保つ。
【0039】
図8および図9の実施形態では、ロッド26が、受容器部材40に対して旋回するように構成されていることも分かる。したがって、図8に示されるように、ロッド26が周りを旋回する旋回点82は、ロッドにより定められ、かつロッドに沿って延びる軸、例えば中心軸80、またはロッドを通って軸方向にもしくは細長いロッド26の表面に沿って延びる軸、の上に位置する。図8の場合、軸は、ロッドの中心軸80である。このため、ロッドは、軸方向に運動せざるを得ない。言い換えれば、この実施形態では、ロッドの動的中央部分は、受容器部材40が動く際に、引き延ばされるかまたは圧縮されるが、曲がらない。こうして、2つの骨アンカー、およびロッドの、所定のPDS組立体について、椎骨が骨ねじ34を動かすと、受容器部材40も、骨ねじと共に動く。ロッド26は、旋回点82の周りで受容器部材40に対して旋回することができるので、受容器部材40の動きは、ロッド26に対して軸方向の力を与え、この力は、ロッドを圧縮するか、または引き延ばす。有利にも、この配列は、旋回点がロッドにより定められた軸からオフセットしている場合の安定化要素とは異なる運動力学および荷重要件を提供する。これらの異なる運動力学および荷重要件は、特定の材料およびデザイン、または特定の患者について、有利となりうる。
【0040】
図8および図9の実施形態に対する代替的な一実施形態は、固着ねじの中に入れ子状に重ねられた止めねじの使用を伴い、多軸ねじを、軸受表面の圧縮と切り離してロックする。さらには、軸受表面の特定の形状およびロックが図8に示されるが、これは、使用される材料、およびロッドの制約に基づいて変えられてよい。ロッドの旋回点がロッドの中心軸または他の軸に沿って位置する、図8および図9の実施形態の多くの他の改作が可能であることを、当業者は当然認識するであろう。
【0041】
図8および図9の骨アンカーの代替的実施形態の別の例が、図10に示される。図10は、多軸ねじの代わりに、固定ねじの役目をする骨アンカー24の実施形態を示している。詳細には、図10では、ねじシャンク38は、受容器部材40に固着されている。この実施形態では、ねじシャンク38は、受容器部材40が骨ねじ頭部として役立つように、受容器部材40と一体に形成されてよい。代わりに、ねじシャンク38は、何らかのロック機構または他の接続手段を用いて、別様に受容器部材40に固着されてもよい。図10の実施形態では、軸受部材112の下部部分118が、受容器部材40に形成された空洞部120に、まず置かれる。ロッド26のボール型部分が、次に、下部軸受表面の上に載せられ、上部軸受部材116が、空洞部内部でロッドの頂部に置かれる。最後に、固着ねじ70を用いて、受容器部材40の空洞部120内部で軸受112を固定する。
【0042】
図11は、図10に類似した別の実施形態を示し、ねじシャンクは、受容器部材40に固着され、ねじ頭部は、受容器部材40として形成されている。図11では、受容器部材40は、中央空洞部132を備えたブロック130として形成されている。ドーナツ型軸受表面136を備えた軸受部材134が、受容器部材40の空洞部132内部に位置付けられている。受容器部材40がねじシャンク38に対して固着されるので、軸受134も、ねじシャンク38に対して固着される。ドーナツ型軸受表面は、球状ボール114を含む図8および図9のロッド端部に類似したロッドの端部上の球状部分を受容するように構成されている。球状ボール114とドーナツ型軸受表面136との係合により、ロッド26は、骨ねじ38のシャンク38に対して旋回することができる。この実施形態では、軸受134は、UHMWPEであるものとして、また圧力ばめにより所定の場所に保持されているものとして示されている。しかしながら、他の実現可能な多くの軸受材料およびロック機構が用いられうることを、当業者は認識するであろう。図8〜図10の実施形態と同様に、図11に開示される骨アンカーは、ロッドの旋回点がロッドの中心軸に沿って位置する配列を提供している。
【0043】
図12および図13は、図11に類似した別の代替的実施形態を示す。しかしながら、図12および図13の実施形態では、軸受134は、ねじシャンク38に対して固着されていない。代わりに、骨アンカー24は、多軸ねじの役目をし、骨ねじ頭部36およびシャンク38は、旋回可能な関係で、ブロック130/受容器部材40に接続される。骨ねじ34と同様に、軸受134は、受容器部材40の頂部に入れられ、止めねじまたは他のロック部材71が、受容器部材40内部で所定の場所に軸受134を保持する。骨アンカーは多軸ねじの役目をするが、骨ねじ34は、ロック部材71がブロック内部で締められると、ブロック130に対して所定の場所でロックされることができる。よって、金属製インサート138が、軸受134の周りに設けられうる。ロック部材71が締められると、金属製インサート138は、ねじ頭部36内にロックされ、骨ねじをブロック130に対して固着させる。図11〜図13の実施形態の様々な代替的様式が可能であることを、当業者は認識するであろう。例えば、二重止めねじが用いられうること、および、軸受表面は中実部品として図示されているが、より容易な組み立てを可能にするため、かつ他の材料の使用を容易にするために軸受表面が分割されうること、が、認識されるであろう。
【0044】
ロッドの旋回点がロッドの中心軸に沿って位置する、骨アンカー24のさらに別の実施形態が、図14に示されている。図14の実施形態は、図11の実施形態に非常に類似しているが、図14では、ブロック130および軸受134は、ねじシャンク38ではなくロッド26上に設けられている。同様に、球状ボール115が、ロッド26上でなくねじシャンク138上に設けられている。球状ボール115は、軸受134に係合し、ロッド26を骨ねじ34に対して旋回させる。この実施形態では、軸受134は、UHMWPEであるものとして、また、圧力ばめにより所定の場所に保持されているものとして、図示されている。しかしながら、他の実現可能な多くの軸受材料およびロック機構が用いられうることを、当業者は認識するであろう。
【0045】
図15A〜図15Fは、ロッドの旋回点がロッドの中心軸に沿って設けられている図8〜図13のデザインと共に使用されうる、調節可能な長さのロッドの、6つの可能なデザインを示している。前述のとおり、調節可能な長さのロッドは、異なる大きさの体節単位および異なる大きさの患者のために異なる大きさのシステムが構築されうるようにPDSシステムを提供する際に、有利である。したがって、図15A〜図15Fのロッドは、複数の骨アンカーと、複数の骨アンカーに接続され、かつ複数の骨アンカー間に延在する少なくとも1つの接続部材と、を含む、調節可能なPDSシステムであって、少なくとも1つの接続部材は、長さが調節可能である、調節可能なPDSシステムを提供するのに用いられうる。一実施形態では、少なくとも1つの接続部材は、複数の骨アンカーに固着して接続される。別の実施形態では、少なくとも1つの接続部材は、複数の骨アンカーに旋回可能に接続される。他の実施形態では、調節可能な接続部材は、2つ以上の部分を備えた入れ子状シャフトとして設けられ、2つ以上の部分は、互いに対してスライドし、互いに対してロックされうる。別の実施形態では、調節可能な接続部材は、ねじ山を切られたボールを端部に備えた、シャフトを含み、ねじ山を切られたボールは、接続部材を効果的に長くするか、または短くするように回転されることができる。これらの実施形態および他の実施形態が図15A〜図15Fに示されている。図15A〜図15Fの実施形態は、ロッドであって、ロッドの中央に螺旋状動的部分が設けられた、ロッドを示している。しかしながら、本明細書に開示された実施形態は、単に螺旋状動的部分だけでなく、任意の動的要素と共に用いられうることが意図されている。
【0046】
図15Aは基本的なロッド26を示し、このロッド26は、概して、可撓性の弾性中央部分28、第1の端部30、および第2の端部32を備えた、シャフトを含む。ボール型部材114が、ロッド26の第1の端部30および第2の端部32に設けられている。ボール型部材は、開示された実施形態では実質的に球状であり、骨アンカー24内部に保持されたロッド軸受112の軸受表面に係合するように構成されている。ボール型端部を有するロッドと共に使用されるロッド軸受を保持するように構成された例示的な骨アンカー24は、図8〜図13に開示されている。図15Aでは、ボール型部材114は、図15Aのロッドと一体的に形成されている。この目的のため、ボール型部材114は、ロッドの中央動的部分28と共に、単一部品として成型されうる。代わりに、ボール型部材114は、溶接、接着、または当業者により認識されるような他の適切な方法などの他の手段により、動的部分28に固着されることができる。他の代替的実施形態では、ボール型部材114は、動的部分28に解放可能に接続されうる。例えば、ボール型部材114は、ロッド端部30、32においてロッド26上にねじで締められるか、スナップ留めされるか、または摩擦ばめ(friction fit)されうる。当業者は、ボール型部材をロッド上に固定するための、様々な他の可能性を認識するであろう。ボール型部材114が動的部分28に対して固着されている、この実施形態では、ロッド26は、異なる患者および/または脊椎の異なる体節単位の間の大きさの差に適応するように、多くの別個の長さで提供されることができる。
【0047】
代替的実施形態では、ロッドのボール型部材114は、ロッドに調節可能に接続されうる。この配列では、単一のロッドが、患者および/または体節単位の間の様々な大きさの差に適応するように用いられうる。ボール型部材114が動的部分28に対して調節可能であるロッド26の例は、図15B〜図15Fに示されている。
【0048】
図15Bでは、ボール型部材114は、支柱140上に設けられている。支柱140は、ロッドシャフト内部、詳細には、ロッド端部30、32上に形成された口142の内部に嵌まる。それぞれの口142は、上方ジョー144および下方ジョー146を含み、これらジョーは、ロッドの中心軸から外に向かって先細になる。通路が上方ジョー144と下方ジョーとの間に形成され、この通路は、支柱140のうち1つを受け入れる。ロックリング148が各ロッド端部30、32に設けられる。ロックリング148が口142の上を動くと、口の上方ジョー144および下方ジョー146が互いに押し付けられ、ゆえに、口142内部で支柱140を圧縮し、また、関連するボール部材114をロッド26の端部においてロックする。支柱140および関連するボール部材114がロッド26の中央動的部分28に対してスライド可能であるので、ロッドの大きさは、脊椎の異なる体節単位、および異なる大きさの患者に適応するために、様々な長さに調節されることができる。
【0049】
図15Cおよび図15Dでは、ボール型部材114は、キャップ部材150にテーパーロックされ(taper-locked)、キャップ部材150の位置は、所望の長さに調節されることができる。図15Cおよび図15Dの実施形態の両方において、キャップ部材150は、切頭円錐形部分(frusto-conical portion)152を含み、切頭円錐形部分152は、ボール部材114の空洞部160に挿入されて、ボール部材114をキャップ部材150にテーパーロックする。当然、図15Cおよび図15Dの実施形態では、テーパーロックとは異なる別の留め手段が、ボール部材114をキャップ部材150に取り付けるために用いられてもよい。図15Cおよび図15Dの双方の実施形態では、キャップ部材150は、止めねじを用いてロッドに固定される。図15Cの実施形態では、キャップ部材は、ロッドのシリンダの上に嵌まり、ねじ孔154がキャップ部材150に形成されている。図15Dの実施形態では、支柱156が、ロッドシリンダ内部に挿入されており、ねじ孔158がロッド26に形成されている。ここでも、図15Cおよび図15D双方について、ボール部材114はロッド26の中央動的部分28に対してスライド可能であるので、ロッドの大きさは、脊椎の異なる体節単位、および異なる大きさの患者に適応するように、様々な長さに調節されることができる。
【0050】
図15Eの実施形態では、間隔をあけた歯160が、ロッド端部30、32に設けられている。また、連動歯162が、ボール部材114の内側に設けられている。歯160、162は、わずかなテーパーを備えており、ロッドシリンダ上の歯160が、ボール部材114の内側の歯162と相互に作用する。間隔をあけた歯160、162のどの組が使用されるかによって、ロッドの長さは、単純な回転を用いて調節および確定されることができる。
【0051】
図15Fの実施形態では、ロッド端部は、(「スマートメタル(smart metals)」または「メモリーメタル(memory metals)」とも呼ばれる)形状記憶合金、例えばニッケル‐チタン(NiTi)、銅‐亜鉛‐アルミニウム、または銅‐アルミニウム‐ニッケルなど、で構成される。形状記憶合金は、ロッド26の端部30、32においてボール部材114をロックするのに有利に用いられうる、温度依存性の記憶特性を呈する。図15Fの実施形態では、ロッドの端部30、32は、形状記憶合金で構成された、入れ子状に重ねられたカップ166を含む。スリット164が、ロッドの端部に沿ってカップ166を貫通して形成されている。関連する溝が、ボール部材の内側に設けられている。ボール部材114は、室温で、ロッド端部30、32においてカップ166上を自由にスライドすることができる。しかしながら、体温では、カップ166は、外側に広がり、したがって、ボール部材の内側の溝の中にカップ166をロックし、ボール部材を所定の場所に固定する。
【0052】
〔低い外形のデザイン〕
図16〜図18は、ロッドの旋回点が、ロッドにより定められた中心軸または他の軸からオフセットしている前記のデザイン(例えば図3〜図7)のいずれかと共に用いられるように構成された、代替的実施形態を示す。図16〜図18の実施形態において扱われた利点は、低い外形の動的ねじの利点である。この実施形態では、骨アンカー24の下方部分は、図3および図4のものに類似しており、軸受部材48および骨ねじ34の頭部36を受容するよう構成された、骨ねじ空洞部48を含んでいる。インサート60が、軸受部材54の上に設けられ、インサート60は、軸受部材を空洞部48においてロックする。これも図3および図4と同様に、ロッド空洞部/通路52が、インサートの上に設けられている。しかしながら、図3および図4とは異なり、固着ねじがロッド26の上に設けられていない。代わりに、ロッド26および骨アンカー24は、固着ねじを使用せずに、ロッド26をロッド空洞部52の中にロックする、特徴部を含む。
【0053】
図16〜図18の例示的な実施形態では、ロッド26に設けられたロック特徴部は、ロッド端部に設けられた指状突起170を含み、スリット172が指状突起170間で各ロッド端部に切り込まれている。歯174もまたロッド端部に設けられている。スリット172は、ロッドの端部がロッド空洞部52の中に押し込まれるにつれて、指状突起170が互いに向かって縮むのを可能にする。ロッドがいったん空洞部52に来ると、指状突起170は、それらの元の構成に向かって、またはそれらの元の構成以上に、外側へ朝顔形に広がって戻る。指状突起が外側へ押しやられると、指状突起は、歯174を含め、インサート60に押し付けられ、したがって、ロッドをロッド空洞部内部の所定の場所にロックする。指状突起が朝顔形に広がることは、メモリーメタルを用いて、または、ロッドの端部においてスリットに押し込まれるウェッジなどの他の手段によって、達成されうる。ロッド空洞部52内部の所定の場所にロッドがある状態で、ロッドは、インサート60および受容器部材40に押し付けられ、これにより、軸受54を骨アンカー24内部で所定の場所にロックする。インサート60が比較的柔らかい材料で構成されている場合、歯174は、ロッドを骨アンカー内部で固定するのを助けるために、インサートに切り込んでいてもよい。代替的な一実施形態では、歯174は、ロッドを骨アンカー内部で固定するのを助けるために、インサート60および受容器部材40の相補的な歯と噛み合うように設計される。
【0054】
一実施形態では、キャップが、骨アンカーの上端部44の上に設けられる。これは、ロッドが組織を通過する場合に望ましいであろう。キャップは、持続的でも一時的なものでもよい。図18に最も良く示されるように、ロッド空洞部52を横切る距離は、ロッド空洞部の中央から上端部44に向かって動くにつれて、概して減少している。上端部44におけるこの減少した距離は、ロッド26の直径よりも小さく、受容器部材40の頂部をロッドが通過することを防ぐのを助ける。しかしながら、キャップが上端部44の上に設けられている場合、キャップは、ロッド26を受容器部材40の内部に保持するのをさらに助けるために用いられることができる。さらには、受容器部材40が、ロッドに適切に係合しロッドをロックするために正しい構成で確実に整列されることが、一層困難であろう、低侵襲性手術処置で、この実施形態が用いられる場合、キャップは、頭部が正確に置かれること、および受容器部材が適切に固定されることを確実にするような方法で、ねじ頭部上の特徴部と噛み合うことができる。
【0055】
本発明は、特定の好適な実施形態に関して説明されてきたが、他の実施および改作が可能であることが、当業者により認識されるであろう。例えば、本発明は、脊椎の単一の体節単位(single segmental spine unit)に関して使用するように開示されているが、マルチレベル構成(multi-level constructions)で使用するように構成されることもできる。別の例として、本明細書で開示された動的ロッドは、螺旋状の可撓性部分を含むが、他の実施形態では、異なる動的ロッドが用いられてよい。さらに別の例として、骨アンカーへのロッドの接続は、本明細書に開示された実施形態ごとに変えられてよい。さらに、前記の他の態様を組み込むことなく得ることができる、本明細書に記載された個々の進歩の利点がある。したがって、添付の請求項の趣旨および範囲は、本明細書に含まれる好適な実施形態の記載に限定されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、複数の動的ねじ、および2つの椎骨間で接続された動的ロッドを備えた、脊椎安定化システムの後面図を示す。
【図2】図2は、図1の脊椎安定化システムの側面図を示す。
【図3A】図3Aは、図1の脊椎安定化システムの一部を形成する、骨アンカーおよびロッドの断面図を示す。
【図3B】図3Bは、図3Aの骨アンカーおよびロッドの分解組立斜視図を示す。
【図3C】図3Cは、図3Bの保持器インサートの斜視図を示す。
【図3D】図3Dは、図3Cの保持器インサートの上面図を示す。
【図4】図4は、図3の骨アンカーおよびロッドの代替的実施形態の断面図を示す。
【図5】図5は、ロッドの旋回点がロッドの中心軸からオフセットしている、図3の骨アンカーおよびロッドの代替的実施形態の斜視図を示す。
【図6】図6は、図5の骨アンカーおよびロッドの断面図を示す。
【図7】図7は、図5の骨アンカーおよびロッドの代替的実施形態を示す。
【図8】図8は、ロッドの旋回点がロッドの中心軸上に設けられている、図3の骨アンカーおよびロッドの代替的実施形態の断面図を示す。
【図9】図9は、90°回転された図8の骨アンカーおよびロッドの、別の断面図を示す。
【図10】図10は、図8の骨アンカーの代替的実施形態の斜視図を示す。
【図11】図11は、図8の骨アンカーの別の代替的実施形態の斜視図を示す。
【図12】図12は、図8の骨アンカーの別の代替的実施形態の斜視図を示す。
【図13】図13は、図12の骨アンカーの断面図を示す。
【図14】図14は、図8の骨アンカーおよびロッドのさらに別の代替的実施形態の斜視図を示す。
【図15A】図15Aは、図8〜図13の骨アンカーと共に使用する動的ロッドを示し、動的ロッドは、その端部にボール型部材を含んでいる。
【図15B】図15Bは、ロッドの長さが調節可能である、図15Aの動的ロッドの代替的実施形態を示す。
【図15C】図15Cは、ロッドの長さが調節可能である、図15Aの動的ロッドの別の代替的実施形態を示す。
【図15D】図15Dは、ロッドの長さが調節可能である、図15Aの動的ロッドのさらに別の代替的実施形態を示す。
【図15E】図15Eは、ロッドの長さが調節可能である、図15Aの動的ロッドの別の代替的実施形態を示す。
【図15F】図15Fは、ロッドの長さが調節可能である、図15Aの動的ロッドのさらに別の代替的実施形態を示す。
【図16】図16は、図1の脊椎安定化システムと共に使用される骨アンカーおよびロッドの代替的実施形態の斜視図を示し、ロッドは、固着ねじを使用せずに骨アンカーの空洞部に固定されている。
【図17】図17は、図16の骨アンカーおよびロッドの断面図を示す。
【図18】図18は、90°回転された図17の骨アンカーおよびロッドの断面図を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊椎安定化システムにおいて、
a)骨係合部材と、
b)前記骨係合部材に旋回可能に接続された受容器部材であって、前記受容器部材は、接続部材空洞部、および前記骨係合部材と接触している軸受を含む、受容器部材と、
c)前記受容器部材の前記接続部材空洞部の中に延びる細長い接続部材と、
d)前記受容器部材内部で前記細長い接続部材と前記軸受との間に位置付けられた保持部材であって、前記保持部材は、前記軸受を前記保持部材内部の所定の場所に固定するように構成されている、保持部材と、
を含む、脊椎安定化システム。
【請求項2】
請求項1に記載の脊椎安定化システムにおいて、
前記保持部材は、前記軸受、および前記細長い接続部材の双方に係合する、脊椎安定化システム。
【請求項3】
請求項1に記載の脊椎安定化システムにおいて、
前記軸受は、割り軸受である、脊椎安定化システム。
【請求項4】
請求項1に記載の脊椎安定化システムにおいて、
前記保持部材は、C字型プレートを含む、脊椎安定化システム。
【請求項5】
請求項1に記載の脊椎安定化システムにおいて、
前記保持部材は、弾力のある材料で構成される、脊椎安定化システム。
【請求項6】
請求項1に記載の脊椎安定化システムにおいて、
前記保持部材は、圧縮性材料で構成される、脊椎安定化システム。
【請求項7】
請求項1に記載の脊椎安定化システムにおいて、
前記細長い接続部材は、前記細長い接続部材が前記接続部材空洞部の内部に位置付けられると前記保持部材に係合するように構成された、複数の歯を含む、脊椎安定化システム。
【請求項8】
請求項1に記載の脊椎安定化システムにおいて、
前記受容器部材は、溝を含み、
前記保持部材は、前記溝の内部に位置付けられる、脊椎安定化システム。
【請求項9】
請求項1に記載の脊椎安定化システムにおいて、
前記骨係合部材は、頭部、およびシャンクを含み、
前記頭部は、前記軸受の内部に位置付けられ、前記シャンクは、前記受容器部材から延びる、脊椎安定化システム。
【請求項10】
請求項1に記載の脊椎安定化システムにおいて、
前記細長い接続部材は、前記細長い接続部材の端部上に形成された、複数の指状突起を含む、脊椎安定化システム。
【請求項11】
脊椎安定化システムにおいて、
a)少なくとも1つの骨アンカー組立体であって、前記骨アンカー組立体は、骨係合部材および受容器部材を含み、前記受容器部材は、接続部材空洞部を含む、少なくとも1つの骨アンカー組立体と、
b)前記接続部材空洞部に挿入され、前記受容器部材に接続される細長い接続部材であって、前記接続部材は、前記受容器部材の頂部部分を通って延びる固着ねじを使用せずに、前記接続部材を前記受容器部材に固定するように構成された、ロック特徴部を含む、接続部材と、
を含む、脊椎安定化システム。
【請求項12】
請求項11に記載の脊椎安定化システムにおいて、
前記接続部材は、前記接続部材を前記頭部内部で固定するために、外側へ朝顔形に広がるように構成された少なくとも1つの指状突起を含む、ロッドを含む、脊椎安定化システム。
【請求項13】
請求項11に記載の脊椎安定化システムにおいて、
前記接続部材は、前記少なくとも1つの骨アンカー組立体に係合する複数の歯を含む、脊椎安定化システム。
【請求項14】
請求項11に記載の脊椎安定化システムにおいて、
前記骨係合部材は、頭部、およびシャンクを含み、
前記頭部は、前記受容器部材の内部に位置付けられ、前記シャンクは、前記受容器部材から延びる、脊椎安定化システム。
【請求項15】
骨アンカーにおいて、
a)頭部およびシャンクを含む骨係合部材と、
b)頭部空洞部および接続部材空洞部を含む受容器部材であって、前記骨係合部材の前記頭部は、前記頭部空洞部に位置付けられて、前記骨係合部材の前記シャンクが前記受容器部材から延び、前記接続部材空洞部は、接続部材を受容するように構成されている、受容器部材と、
c)前記受容器部材の中に保持されており、前記骨係合部材の前記頭部用の軸受表面を提供する、軸受部材と、
d)前記接続部材空洞部と前記軸受部材との間に位置付けられた保持部材であって、前記保持部材は、前記受容器部材において前記軸受部材を固定するように構成されている、保持部材と、
を含む、骨アンカー。
【請求項16】
請求項15に記載の骨アンカーにおいて、
前記軸受部材は、第1の軸受部材および第2の軸受部材を含む、割り軸受である、骨アンカー。
【請求項17】
請求項15に記載の骨アンカーにおいて、
前記受容器部材は、前記受容器部材の内側壁に形成された溝を含み、
前記保持部材は、前記溝の内部に位置付けられた保持リングを含む、骨アンカー。
【請求項18】
請求項15に記載の骨アンカーにおいて、
前記保持部材は、前記軸受部材と前記接続部材空洞部との間に位置付けられた圧縮性材料で構成され、
前記保持部材は、前記細長い部材が前記ロッド空洞部において固定されると前記軸受部材に対して圧縮される、骨アンカー。
【請求項19】
請求項15に記載の骨アンカーにおいて、
前記軸受部材は、超高分子量ポリエチレンで構成される、骨アンカー。
【請求項20】
請求項15に記載の骨アンカーにおいて、
前記保持部材は、C字型プレートを含む、骨アンカー。
【請求項1】
脊椎安定化システムにおいて、
a)骨係合部材と、
b)前記骨係合部材に旋回可能に接続された受容器部材であって、前記受容器部材は、接続部材空洞部、および前記骨係合部材と接触している軸受を含む、受容器部材と、
c)前記受容器部材の前記接続部材空洞部の中に延びる細長い接続部材と、
d)前記受容器部材内部で前記細長い接続部材と前記軸受との間に位置付けられた保持部材であって、前記保持部材は、前記軸受を前記保持部材内部の所定の場所に固定するように構成されている、保持部材と、
を含む、脊椎安定化システム。
【請求項2】
請求項1に記載の脊椎安定化システムにおいて、
前記保持部材は、前記軸受、および前記細長い接続部材の双方に係合する、脊椎安定化システム。
【請求項3】
請求項1に記載の脊椎安定化システムにおいて、
前記軸受は、割り軸受である、脊椎安定化システム。
【請求項4】
請求項1に記載の脊椎安定化システムにおいて、
前記保持部材は、C字型プレートを含む、脊椎安定化システム。
【請求項5】
請求項1に記載の脊椎安定化システムにおいて、
前記保持部材は、弾力のある材料で構成される、脊椎安定化システム。
【請求項6】
請求項1に記載の脊椎安定化システムにおいて、
前記保持部材は、圧縮性材料で構成される、脊椎安定化システム。
【請求項7】
請求項1に記載の脊椎安定化システムにおいて、
前記細長い接続部材は、前記細長い接続部材が前記接続部材空洞部の内部に位置付けられると前記保持部材に係合するように構成された、複数の歯を含む、脊椎安定化システム。
【請求項8】
請求項1に記載の脊椎安定化システムにおいて、
前記受容器部材は、溝を含み、
前記保持部材は、前記溝の内部に位置付けられる、脊椎安定化システム。
【請求項9】
請求項1に記載の脊椎安定化システムにおいて、
前記骨係合部材は、頭部、およびシャンクを含み、
前記頭部は、前記軸受の内部に位置付けられ、前記シャンクは、前記受容器部材から延びる、脊椎安定化システム。
【請求項10】
請求項1に記載の脊椎安定化システムにおいて、
前記細長い接続部材は、前記細長い接続部材の端部上に形成された、複数の指状突起を含む、脊椎安定化システム。
【請求項11】
脊椎安定化システムにおいて、
a)少なくとも1つの骨アンカー組立体であって、前記骨アンカー組立体は、骨係合部材および受容器部材を含み、前記受容器部材は、接続部材空洞部を含む、少なくとも1つの骨アンカー組立体と、
b)前記接続部材空洞部に挿入され、前記受容器部材に接続される細長い接続部材であって、前記接続部材は、前記受容器部材の頂部部分を通って延びる固着ねじを使用せずに、前記接続部材を前記受容器部材に固定するように構成された、ロック特徴部を含む、接続部材と、
を含む、脊椎安定化システム。
【請求項12】
請求項11に記載の脊椎安定化システムにおいて、
前記接続部材は、前記接続部材を前記頭部内部で固定するために、外側へ朝顔形に広がるように構成された少なくとも1つの指状突起を含む、ロッドを含む、脊椎安定化システム。
【請求項13】
請求項11に記載の脊椎安定化システムにおいて、
前記接続部材は、前記少なくとも1つの骨アンカー組立体に係合する複数の歯を含む、脊椎安定化システム。
【請求項14】
請求項11に記載の脊椎安定化システムにおいて、
前記骨係合部材は、頭部、およびシャンクを含み、
前記頭部は、前記受容器部材の内部に位置付けられ、前記シャンクは、前記受容器部材から延びる、脊椎安定化システム。
【請求項15】
骨アンカーにおいて、
a)頭部およびシャンクを含む骨係合部材と、
b)頭部空洞部および接続部材空洞部を含む受容器部材であって、前記骨係合部材の前記頭部は、前記頭部空洞部に位置付けられて、前記骨係合部材の前記シャンクが前記受容器部材から延び、前記接続部材空洞部は、接続部材を受容するように構成されている、受容器部材と、
c)前記受容器部材の中に保持されており、前記骨係合部材の前記頭部用の軸受表面を提供する、軸受部材と、
d)前記接続部材空洞部と前記軸受部材との間に位置付けられた保持部材であって、前記保持部材は、前記受容器部材において前記軸受部材を固定するように構成されている、保持部材と、
を含む、骨アンカー。
【請求項16】
請求項15に記載の骨アンカーにおいて、
前記軸受部材は、第1の軸受部材および第2の軸受部材を含む、割り軸受である、骨アンカー。
【請求項17】
請求項15に記載の骨アンカーにおいて、
前記受容器部材は、前記受容器部材の内側壁に形成された溝を含み、
前記保持部材は、前記溝の内部に位置付けられた保持リングを含む、骨アンカー。
【請求項18】
請求項15に記載の骨アンカーにおいて、
前記保持部材は、前記軸受部材と前記接続部材空洞部との間に位置付けられた圧縮性材料で構成され、
前記保持部材は、前記細長い部材が前記ロッド空洞部において固定されると前記軸受部材に対して圧縮される、骨アンカー。
【請求項19】
請求項15に記載の骨アンカーにおいて、
前記軸受部材は、超高分子量ポリエチレンで構成される、骨アンカー。
【請求項20】
請求項15に記載の骨アンカーにおいて、
前記保持部材は、C字型プレートを含む、骨アンカー。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図15E】
【図15F】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図15E】
【図15F】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2010−514499(P2010−514499A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544032(P2009−544032)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/025862
【国際公開番号】WO2008/085347
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(599054950)デピュイ スパイン、インコーポレイテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】DEPUY SPINE,INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/025862
【国際公開番号】WO2008/085347
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(599054950)デピュイ スパイン、インコーポレイテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】DEPUY SPINE,INC.
【Fターム(参考)】
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