説明

脱塩器

【課題】塔体の底部が下方に膨出して膨出部となっている脱塩器において、偏流が防止され、しかも塔体内にデッドスペースを生じさせることがない脱塩器を提供する。
【解決手段】塔体内にイオン交換樹脂が充填された脱塩器であって、塔体の底部が下方に膨出した形状の膨出部1bとなっており、該膨出部1bに複数の集水用のストレーナ3が配置されている脱塩器において、該膨出部の内面のうち外周部を除いた中央領域にのみ前記ストレーナを配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塔体内にイオン交換樹脂を充填した脱塩器に係り、特に該塔体の底部が下方に膨出した膨出部となっており、該膨出部の内部に複数の集水用のストレーナが配置されている脱塩器に関する。
【背景技術】
【0002】
塔体内にイオン交換樹脂を充填した脱塩器として、塔体の底部が下方に膨出した膨出部となっており、この膨出部の内面に複数のストレーナを配置したものが広く用いられている。塔体底部を膨出形状とするのは、塔体の耐圧性を高くするためである。図4及び図5,6は、このような脱塩器の従来例(特許文献1の図7〜9)である。
【0003】
図4の脱塩器では、塔体1は円筒状の直胴部1aと、塔体底部の膨出部1bとを備えている。膨出部1bの上側にストレーナ板2が設けられ、該ストレーナ板2に複数の集水用ストレーナ3が設けられている。ストレーナ板2も、下方に膨出した形状となっている。ストレーナ3は、中空円錐台形状の部材であり、側周面に多数のスリットが設けられている。ストレーナ3は、短い管状の脚管を有しており、該脚管がストレーナ板2を貫通している。脚管がナット(図示略)などによってストレーナ板2に固定されている。ストレーナ板2の上側にイオン交換樹脂Rが充填されている。被処理水はイオン交換樹脂Rに下向流にて通水され、ストレーナ3を通ってストレーナ板2の下側の集水室4から取出口5を経て取り出される。
【0004】
このタイプの脱塩器では、イオン交換樹脂Rの充填層の上面から外周側のストレーナ3までの距離Lは中央部のストレーナ3までの距離Lよりも小さい。そのため、イオン交換樹脂Rの充填層上面からの距離が短い外周側ほど水が多く流れる偏流が生じ、外周側のストレーナ3から集水室4に流入する脱塩水ほどイオン交換樹脂Rとの接触時間が短く、水質が劣ることになる。また、イオン交換樹脂Rは、外周側のものほど破過が早期に発生することになる。
【0005】
図5,6は、イオン交換樹脂Rの上面から各ストレーナまでの距離を均等化した従来例(特許文献1の図8,9)を示すものであり、図6は図5のVI−VI線断面図である。なお、図6ではイオン交換樹脂の図示は省略されている。
【0006】
この特許文献1では、下部に水平な仕切板8が設けられ、この仕切板8の上側に設置レベルを均一にしてストレーナ3が配置されている。各ストレーナ3は、集水用枝管6の下面側に取り付けられており、該枝管6は集水ヘッダ管7に連結されている。脱塩水はストレーナ3、枝管6、集水ヘッダ管7の順に流れ、取出口7aから取り出される。
【0007】
この脱塩器であれば、イオン交換樹脂Rの充填層の上面から各ストレーナ3までの距離は同一であり、偏流や被処理水の短絡は生じない。なお、ストレーナを同一高さに配置した脱塩器は、特許文献2の図3にも記載されている。
【0008】
このようにストレーナを同一高さに配置した脱塩器では、ストレーナ3の下側のスペースがデッドスペースになり、膨出部内のスペースが有効利用されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−294934
【特許文献2】特公昭61−4580
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、塔体の底部が下方に膨出して膨出部となっている脱塩器において、偏流が防止され、しかも塔体内にデッドスペースを生じさせることがない脱塩器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1発明の脱塩器は、塔体内にイオン交換樹脂が充填された脱塩器であって、塔体の底部が下方に膨出した形状の膨出部となっており、該膨出部の内部に複数の集水用のストレーナが配置されている脱塩器において、該膨出部の内部のうち外周部を除いた中央領域にのみ前記ストレーナを配置したことを特徴とするものである。
【0012】
第2発明の脱塩器は、塔体内にイオン交換樹脂が充填された脱塩器であって、塔体の底部が下方に膨出した形状の膨出部となっており、該膨出部の内部に複数の集水用のストレーナが配置されている脱塩器において、外周部に配置されたストレーナの通水量をそれよりも内側領域に配置されたストレーナの通水量よりも少なくしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
第1発明の脱塩器では、膨出部内部のうち外周部を除いた中央領域にのみストレーナを配置しているので、イオン交換樹脂充填層上面から各ストレーナまでの平均的な距離がほぼ等しくなり、各ストレーナの流量が均等化されることにより、偏流が防止される。また、この第1発明では、塔体内にデッドスペースが生じない。
【0014】
なお、この中央領域としては塔体直胴部の中心からの半径方向で、半径の0.2〜0.8倍特に0.3〜0.6倍程度の領域が好適である。
【0015】
第2発明の脱塩器では、外周部に配置されたストレーナの通水量を少なくしており、好ましくは中心部のストレーナからの集水量が最も多く、外周側のストレーナほど通水量を少なくする。これにより、偏流が防止される。また、この第2発明でもデッドスペースも生じない。外周部のストレーナの通水量を少なくするには、各ストレーナにそれぞれ連なる採水配管にオリフィスを設けるのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態に係る脱塩器の縦断面図である。
【図2】実施の形態に係る脱塩器の縦断面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】従来例の断面図である。
【図5】従来例の断面図である。
【図6】図5のVI−VI線断面図である。
【図7】実施例の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0018】
[第1発明の実施の形態]
図1(a)は第1発明の実施の形態に係る脱塩器の断面図であり、図1(b)は図1(a)に流路La,Lbを記入した説明図である。
【0019】
塔体1は直胴部1aと、底部の膨出部1bとを有している。膨出部1bの上側にストレーナ板2が設けられ、膨出部1bとストレーナ板2との間に集水室4が形成されている。このストレーナ板2に複数のストレーナ3が設置されている。ストレーナ板2及び膨出部1bは下方に膨出しており、中央側ほど下位となるように滑らかに下方に向って凸となるように湾曲している。ストレーナ3は、中空円錐台形状や中空円筒形状等の部材を使用することができる。
【0020】
この実施の形態では、ストレーナ3はストレーナ板2の外周部を除いた中央領域にのみ配置されている。この中央領域の半径rは、直胴部1aの半径rの20〜80%特に30〜60%であること、即ちr=0.2〜0.8r特にr=0.3〜0.6rであることが好ましい。なお、直胴部1aの上側の塔体トップ部は上方に膨出したドーム形状(図示略)となっている。この実施の形態のその他の構成は図4と同一であり、同一符号は同一部分を示している。
【0021】
なお、膨出部内に位置するイオン交換樹脂層高hと直胴部1a内に位置するイオン交換樹脂層高Hとの比h/Hは0.25以上程度が好ましい。また、直胴部1aの直径d(d=2r)と膨出部高さhとの比h/dは0.05以上程度が好ましい。
【0022】
このように構成された脱塩器にあっては、中心から半径位がrの中央領域周縁部に位置するストレーナ3に対しては、イオン交換樹脂充填層上面の周縁部の水は、直胴部1aの内面から膨出部1b内面に沿って流れ、その流路長は図1(b)のLbとなる。一方、塔体の軸心部(中心部)においては、水はほぼ軸心線に沿って流れ、その流路長は軸心線方向距離Laとなる。LbはLaよりも長いが、中央領域周縁部のストレーナ3にはその鉛直上方のイオン交換樹脂充填層上面からの水も流れ込むので、結果的に、半径位rに位置する中央領域周縁部のストレーナ3の通水量と中央領域中心部のストレーナ3の通水量とは略々等しいものとなる。両者の間に位置するその他のストレーナについても、これらのストレーナの通水量と略々等しいものとなる。このようにして、各ストレーナ3の通水量が等しくなり、偏流が防止される。また、図示の通り、塔体1内には集水室4を除いてイオン交換樹脂が充填されており、無駄なデッドスペースが存在しない。
【0023】
[第2発明の実施の形態]
図2は第2発明の実施の形態に係る脱塩器の模式的な断面図であり、図3は図2のIII−III線に沿う詳細な断面図である。
【0024】
上記実施の形態と同じく塔体1は直胴部1aと膨出部1bとを有している。この膨出部1bの内面に沿って複数のストレーナ13が配置されている。この実施の形態では、塔体1内の下部に水平な集水母管10と、該集水母管10から直交方向に水平に張り出す複数本の集水枝管11とが設けられている。集水母管10は直径方向に延在し、その一端は直胴部1aを貫通して塔外に延出している。
【0025】
各周水枝管11から下方に採水配管(ノズル)12が突設され、該採水配管12の下端にストレーナ13が取り付けられている。ストレーナ13は、中空の円筒形又は円錐台形状の部材であり、側周面に多数のスリットが設けられている。このスリットを通ってストレーナ13内に流れ込んだ水が採水配管12、集水枝管11、及び集水母管10を介して取り出される。図3の通り、ストレーナ13は膨出部1bの内面の全域にほぼ均等に配置されている。
【0026】
図示は省略するが、この実施の形態でも、塔体1内にイオン交換樹脂Rが図1と同様に充填されている。h/Hやh/dの好ましい範囲は図1と同様である。
【0027】
この実施の形態では、採水配管12にオリフィス(図示略)が設けられており、各オリフィスの開口面積は各採水配管12の通水量が均等となるように設定されている。これにより、脱塩器内の偏流が防止される。また、膨出部1bにまでイオン交換樹脂が充填され、デッドスペースは生じない。
【0028】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の形態とされてもよい。
【0029】
例えば、図1ではストレーナ3はストレーナ板2に取り付けられているが、図2のように集水母管及び集水枝管を用いて集水するようにしてもよい。
【0030】
また、図2においても、ストレーナ13に脚管を設け、膨出部内面に沿ってストレーナ板を設けて該ストレーナ板の下側に集水室を形成し、ストレーナ13の脚管を該ストレーナ板に貫通状態にて取り付け、各脚管にオリフィスを設けて各ストレーナの通水量を均等化するようにしてもよい。
【0031】
なお、本発明の脱塩器は、処理水量が大量で、イオン負荷が小さなケースに採用される脱塩器に適用するのに好適である。この種の脱塩器は、塔径に対する樹脂充填層高の比が低い。また、イオン交換樹脂層を水が通過するときに、圧力損失が発生するため、原水を押しこむ必要があるので、脱塩器の容器は加圧容器となる。塔径が大きい場合、樹脂層を支持する底板を平面とすると水圧に耐えるために板厚が増大し、容器製造コストの増大を招くため、一般には塔体底部は膨出形状例えば皿型や欠球型の鏡板構造が採用される。このような脱塩器では直胴部に充填される樹脂層高さに対して、皿型もしくは欠球型鏡板の深さが相対的に大きくなり、h/H比が25%を超え、ほぼ100%近くなる場合もある。本発明はこのような、樹脂充填層高/塔径の比が小さな形状を有する脱塩器に適用するのに好適である。
【0032】
本発明が適用される具体例としては、原子力発電設備におけるPWR(圧力水型)、BWR(沸騰水型)の復水脱塩器、火力発電設備の復水脱塩器などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0033】
前述の通り、直胴部の樹脂充填層高Hに対して、樹脂層を支持する底板として用いられる皿型もしくは欠球の深さhが相対的に大きくなると、集水ストレーナを底板の曲率に合わせて全面に配置した場合、樹脂表面から集水ストレーナまでの距離が外周部ほど短くなる。樹脂表面から下向流で原水を通水した場合、樹脂層表面から集水ストレーナまでの圧力損失が等しくなるように水は流れる。そのため、樹脂表面から集水ストレーナまでの距離が短い外周部ほど単位樹脂断面当たりの通水流量が大きくなる。このことによって、樹脂層単位断面積当りの通水流量は、底板の半径方向位置によって大きくことなることになり、外周部は流量が大きく、中心部で流量が少ない状態、すなわち偏流を招くことになり、樹脂の破過が早まる。
【0034】
本発明によれば、上述のようなイオン交換樹脂支持のための底板として皿型もしくは欠球型の鏡板を採用した、樹脂層高に対して塔径の大きな形状の脱塩器において、偏流が防止され、液の短絡が防止される。
【0035】
第1発明は、図1のように集水ストレーナ3の配置を、中央部分からの半径方向位置が半径の20〜80%、好ましくは、30〜60%の領域とすることで、樹脂層高の浅い外周部を流れる水は底部に向かって徐々に湾曲し、流路長さが長くなる。このため、底板全体に集水ストレーナを配置した場合に比べ、外周部における通水抵抗が大きくなり、外周部に優先的に流れる偏流を抑制することができ、樹脂層表面から流入する流体要素が集水ストレーナから流出するまでの時間が、集水ストレーナの相対位置によって大きく異なるという状態を改善できる。このことで、樹脂に対するイオン負荷が樹脂の半径方向相対位置で大きく異なることが改善され、樹脂全体のイオン負荷が均等化され、全体としての寿命が改善する。また、このように流れを改善することができれば、当初、充填する樹脂量を削減することが可能となる。
【0036】
第2発明では、図2のように、集水ストレーナ13を設置するノズルに、樹脂層の浅い外周部ほど小さな口径のオリフィスノズルを設置する。このことで、外周部における通水抵抗が大きくなり、外周部に優先的に流れる偏流を抑制することができ、樹脂層表面から流入する流体要素が集水ストレーナ13から流出するまでの時間が、集水ストレーナの相対位置によって大きく異なるという状態を改善できる。このことで、樹脂に対するイオン負荷が樹脂の半径方向相対位置で大きく異なることが改善され、樹脂全体のイオン負荷が均等化され、全体としての寿命が改善する。また、このように流れを改善することができれば、当初、充填する樹脂量を削減することが可能となる。
【実施例】
【0037】
<実施例1>
ストレーナを中央領域に配置した脱塩器について実施例により具体的に説明する。
【0038】
実施例1では、CFD(数値流体解析)ソフトを用いて効果検証を行った。設定条件は次の通りである。
塔体直径:3706mm
H:871.5mm
h:315.5mm
H+h:1187mm
膨出部の曲率半径:5600mm
膨出部と直胴部との継目部分の曲率半径:222mm
通水流量:0.35m/sec
【0039】
実施例1では、集水ストレーナの配置を、中央部分からの半径方向位置10〜100%に8分割した。解析する際、トレーサー物質を解析時間0[sec.]時点で樹脂層表面全体に均一に配置し、解析時間0〜1[sec.]の区間にのみ投入した。集水ストレーナへトレーサー物質の全量が通過するまで解析時間ステップを進め、樹脂塔の平均滞留時間に対するトレーサー全量の1%が集水ストレーナを通過するまでに要した解析時間の割合(θ)を以下の式から算出した。
【0040】
θ=t/HRT×100
ここで
HRT(水理学的滞留時間)[sec.]
=(装置下部の体積[m])/通水流量[m/sec.]
1%流出時間(t)[sec.]:トレーサーが1%流出するまでの時間
以上の式から得られるθによって集水ストレーナの相対位置による偏流の改善度合いを数値化した。結果を図7に示す。
【0041】
既存構造であるストレーナ配置領域(中央部分からの半径方向位置)100%の場合に対し、ストレーナ配置領域を40〜70%に限定して配置することでストレーナ配置領域100%の場合とストレーナ配置領域を限定した場合のΔθはおよそ15%であり、Δθ分だけ樹脂表面から各ストレーナまでの滞留時間を揃えることが出来たと考えれば、樹脂の有効利用率は15%改善されたこととなる。
【0042】
以上の結果から集水ストレーナ配置領域の限定を行ったことによる効果を確認できた。
【0043】
<実施例2>
ストレーナ集水量をオリフィスにより均等化した脱塩器の実施例を説明する。
【0044】
実施例2では、CFD(数値流体解析)ソフトを用いて効果検証を行った。設定条件は次の通りである。
塔体直径:3520mm
H:600mm
h:679mm
H+h:1279mm
膨出部の曲率半径:3520mm
膨出部と直胴部との継目部分の曲率半径:352mm
通水流量:0.35m/sec
【0045】
実施例2では、オリフィスノズルを設置しない場合をケースa、オリフィスノズルを設置した場合をケースbとした。
【0046】
ケースaおよびbでは、集水ストレーナを、イオン交換樹脂表面からノズル下端までの距離に応じて7区分(A〜G区分)に分類した(即ち、図3において、円の中心からの距離に応じて7区分に分類した。)。イオン交換樹脂表面からノズル下端までの距離に応じて、生じる圧力損失が異なることから、ケースbでは口径を変えたオリフィス設置を行った。オリフィスでの圧力損失値は一般に次式で表される樹脂層での圧力損失計算式から算出した。
【0047】
ΔP=(αu+βu)×L
ここで
u;線流速
α、β;樹脂の粒径分布によって決まる定数(ΔP、L、uから求めた計算値)
L;樹脂表面からノズル末端までの長さ
ΔP;樹脂層通水差圧
【0048】
集水ストレーナA〜Gのイオン交換樹脂表面からの距離Lと圧力損失ΔPは次の表1の通りである。
【0049】
【表1】

【0050】
以上のケースaおよびbにおいて解析する際、トレーサー物質を解析時間0[sec.]時点で樹脂表面全体に均一に配置し、解析時間0〜1[sec.]の空間にのみ投入した。集水ストレーナへトレーサー物質の全量が通過するまで解析時間ステップを進め、樹脂塔の平均滞留時間に対するトレーサー全量の1%が集水ストレーナを通過するまでに要した解析時間の割合(θ)を以下の式から算出した。
【0051】
θ=t/HRT×100
ここで
HRT(水理学的滞留時間)[sec.]
=装置下部の体積[m]/通水流量[m/sec.]
1%流出時間(t)[sec.]:トレーサーが1%流出するまでの時間
以上の式から得られるθによって集水ストレーナの相対位置による偏流の改善度合いを数値化した。その結果、HRTに対するトレーサー1%の流出時間は、ケースaで51%、ケースbで54%であった。
【0052】
このように、既存構造であるケースaでは51%であったθは、オリフィス設置を行ったケースbでは54%まで改善された。ケースaとケースbのΔθは3%であり、Δθ分だけ樹脂表面から各集水管までの滞留時間を揃えることが出来たと考えれば、樹脂の有効利用率は3%改善されたこととなる。
【0053】
以上の結果から、オリフィス設置と集水ストレーナ設置範囲の限定を行ったことによる効果を確認できた。
【符号の説明】
【0054】
1 塔体
1a 直胴部
1b 膨出部
2 ストレーナ板
3,13 ストレーナ
10 集水母管
11 集水枝管
12 採水配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塔体内にイオン交換樹脂が充填された脱塩器であって、
塔体の底部が下方に膨出した形状の膨出部となっており、
該膨出部の内部に複数の集水用のストレーナが配置されている脱塩器において、
該膨出部の内部のうち外周部を除いた中央領域にのみ前記ストレーナを配置したことを特徴とする脱塩器。
【請求項2】
請求項1において、前記塔体は、等径円筒状の直胴部と、該直胴部に連なる、前記膨出部とを有しており、
該直胴部の半径をrとした場合、前記中央領域の半径が0.2〜0.8rであることを特徴とする脱塩器。
【請求項3】
請求項2において、前記中央領域の半径が0.3〜0.6rであることを特徴とする脱塩器。
【請求項4】
塔体内にイオン交換樹脂が充填された脱塩器であって、
塔体の底部が下方に膨出した形状の膨出部となっており、
該膨出部の内部に複数の集水用のストレーナが配置されている脱塩器において、
外周部に配置されたストレーナの通水量をそれよりも内側領域に配置されたストレーナの通水量よりも少なくしたことを特徴とする脱塩器。
【請求項5】
請求項4において、各ストレーナはそれぞれ採水配管を介して集水管に接続されており、該採水配管にオリフィスを設けることにより前記外周部のストレーナの通水量を少なくしたことを特徴とする脱塩器。
【請求項6】
請求項4又は5において、前記膨出内面の中心部に位置するストレーナの通水量が最も多く、外周側に位置するストレーナほど通水量が少なくなるように構成されていることを特徴とする脱塩器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−210583(P2012−210583A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77689(P2011−77689)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】