説明

脱灰骨基質(demineralizedbonematrix)の活性化抽出

脱灰骨基質(DBM)および天然骨形成タンパク質(nBMP)は、非コラーゲン性骨タンパク質の複雑な混合物である。これらの混合物は、組換え分子として入手可能な、多くのBMPを含有する。BMPの入手可能性および活性に影響を及ぼしうる分子の、これらの物質中の存在に関する情報は、非常に限られている。アルカリ−尿素を用いるなどのDBMの化学抽出は、DBMの造骨活性を阻害する水溶性抽出物を生じる。細胞外BMPリガンド・アンタゴニストであるノギンは、DBM由来の水溶性抽出物中に見られる。示差化学抽出は、DBMおよびnBMPから、非造骨性分子または造骨阻害分子を除去する、有用な手段である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府が資金援助した研究または開発に関する言及
本研究は、復員軍人援護局によって支援された。米国政府は、本発明において、特定の権利を有しうる。
発明の分野
本発明は、一般的に、造骨因子に関し、そしてより詳細には、脱灰骨基質(demineralized bone matrix)(「DBM」)および/または天然骨形成タンパク質(「nBMP」)、造骨活性の少なくとも1つの内因性阻害剤が除去されているDBMおよび/またはnBMPを含む組成物、DBMおよび/またはnBMPを含む製品、ならびに該組成物および該製品を用いて骨形成を誘導する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
正常骨形成は、発生中に起こり、そして傷害後の修復を行い、そして成人の生活においては、骨格の完全性を保持するため、リモデリングが起こる。骨形成およびリモデリングは、一般的に、破骨細胞による骨吸収および骨芽細胞による骨形成を伴い、これらは増殖因子によって制御される。したがって、細胞分化、骨形成および骨吸収における平衡間のいかなる干渉も、骨形成、修復およびホメオスタシスに影響を及ぼしうる。
【0003】
ノギンは、前口動物門および新口動物(deuterstome)門両方に存在し、そして非常に保存されており、そして初期発生において、骨形成タンパク質(「BMP」)と相互作用して、胚配向および組織層形成に影響を及ぼすタンパク質である(Reddi, A.H.(2001)「骨および軟骨発生における骨形成タンパク質および同族(cognate)結合性タンパク質間の相互作用:ノギン、コーディンおよびDAN」Arthritis Res. 3:1−5. Zimmerman; L.B.ら(1996)「シュペーマン・オーガナイザー・シグナル、ノギンは、骨形成タンパク質4に結合し、そして該タンパク質を不活性化する」Cell 86:599−606)。ノギンは、64kDホモ二量体として分泌される33kD糖タンパク質であり、そして原腸陥入中、背側外胚葉から神経組織を誘導し、そして側部中胚葉の特異化を腹側(血管、間充織)の運命から背側(筋肉、心臓、前腎)の運命に変化させる点で、ゼノパス属(Xenopus)において、シュペーマン・オーガナイザーの活性成分の機能を実行することが示された(Smith, W.C.ら(1993)「分泌されたノギンタンパク質は、ゼノパス属中胚葉の背側化において、シュペーマン・オーガナイザーを模倣する」Nature 361:547−549. Lamb, T.M.ら(1993)「分泌されたポリペプチド・ノギンによる神経誘導」Science 262:713−718)。BMP−4が、ゼノパス属発生において、腹側化因子として作用し(Dale, L.ら(1992)「骨形成タンパク質4:初期ゼノパス属発生における腹側化因子」Development 115:573−585. Jones, C.M.ら(1992)「ゼノパス属中胚葉誘導における後部腹側化因子としてのDVR−4(骨形成タンパク質−4)」Development 115:639−647)、そして神経誘導を阻害する(Wilson, P.A.およびHemmati−Brivanlou, A.(1995)「BMP4による、上皮の誘導および神経運命の阻害」Nature 376:331−333)ことが立証されてきており、ノギンが、BMP−4と相互作用することによって機能しうることが示唆された。続く研究によって、ノギンが強力にBMP−4に結合し、そして細胞性受容体へのBMP−4の結合を遮断することによってその活性を阻害することが立証された(Zimmerman, L.B.ら(1996)「シュペーマン・オーガナイザー・シグナル、ノギンは、骨形成タンパク質4に結合し、そして該タンパク質を不活性化する」Cell 86:599−606. Groppe, J., Greenwald, J.ら(2002)「システイン・ノット・タンパク質、ノギンによる、BMPシグナル伝達阻害の構造的基礎」Nature 420:636−642)。
【0004】
ノギンは、脊椎動物骨格において、重要な制御機能を実行する(Brunet, L.J.ら(1998)「哺乳動物骨格における、ノギン、軟骨形態形成、および関節形成」Science 280:1455−1457. Devlin, R.D.ら(2003)「ノギンの骨格過剰発現は、骨減少症および骨形成減少を生じる」Endocrinology 144:1972−1978. Nakamura, Y., Wakitani, S., Nakayama, J.ら(2003)「bmp−2が誘導する異所性骨形成中の、BMP受容体およびノギンの時間的および空間的発現プロフィール」J. Bone Min. Res. 18:1854−1862. Stottmann, R.W.ら(2001)「BMPアンタゴニスト、コーディンおよびノギンは、マウス下顎成長において、必須であるが重複する役割を有する」Dev. Biol. 240:457−473)。rhBMP−2での処理後、骨芽細胞様表現型を明示することに基づいて単離されたW−20−17マウス骨髄間質細胞において、ノギンは、BMP−4が誘導するアルカリホスファターゼの発現を減少させた(Theis, R.S.ら(1992)「W−20−17間質細胞において、組換えヒト骨形成タンパク質−2は骨芽細胞性分化を誘導する」Endocrinology 130:1318−1324)。ノギンは、マウスにおいて、凝縮中の軟骨において発現されることが示されており、そしてノギンを欠くように遺伝子改変されたマウスは、より短いがより太い肢、および多数の不動結合を有することが見出された(Brunet, L.J.ら(1998)「哺乳動物骨格における、ノギン、軟骨形態形成、および関節形成」Science 280:1455−1457)。ノギン遺伝子のヒト突然変異は、進行性骨化性線維形成異常症および不動結合症候群と関連することが示されてきている(Semonin, O.ら(2001)「進行性骨化性線維形成異常症患者におけるノギン遺伝子の3つの新規突然変異の同定」Am. J. Med. Genet. 102:314−317. Gong, Y.ら(1999)「ノギンをコードする遺伝子におけるヘテロ接合性突然変異は、ヒト関節形態形成に影響を及ぼす」Nature Genet. 21:302−304)。
【0005】
骨チャンバーにおける、修飾ノギンまたは野生型ノギンの送達は、ラットにおいて、4週間の時点で、新規骨の内部増殖を減少させた(Aspenberg, P.ら(2001)「骨形成タンパク質アンタゴニスト、ノギンは、膜性骨化を阻害する」J. Bone Mineral. Res. 16:497−500)。オステオカルシン・プロモーターの調節下で、ノギンを過剰発現するトランスジェニックマウスは、骨塩密度減少、小柱(trabecular)数および体積の減少、骨形成速度の減少を示すが、破骨細胞数減少を伴う、正常な小柱破骨細胞表面を示した(Devlin, R.D.ら(2003)「ノギンの骨格過剰発現は、骨減少症および骨形成減少を生じる」Endocrinology 144:1972−1978)。レトロウイルスベクターを介して送達されたノギンは、脱灰骨基質、またはベクターが送達するBMP−4によって誘導される、異所性骨形成を阻害した(Hannallah, D.ら(2004)「ノギンのレトロウイルス送達は、動物モデルにおいて、BMP−4、脱灰骨基質、および外傷によって誘導される、異所性骨化の形成を阻害する」J. Bone Joint Surg. 86:80−91)。
【0006】
脱灰骨基質(DBM)および天然骨形成タンパク質(nBMP)は、少なくとも1つの内因性BMPを含有する、非コラーゲン性骨タンパク質の部分的に精製された抽出物である。BMPは、骨形成タンパク質/非コラーゲン性タンパク質(BMP/NCPまたはBMP)と記載される増殖因子ファミリーに属する。具体的には、BMP−2およびBMP−4が、そこから単離されてきており、そしてこれらはタンパク質のTGF−βファミリーに属する。しかし、DBMおよびnBMPはまた、BMP活性の増進剤および阻害剤も含む。
【0007】
例えば、最近、BBPは、組換えBMPによって引き起こされる骨化を増進することが開示された。さらに、in vivoでBMPとともにBBPを用いると、骨形成が、より迅速に、より高い度合いまで、そしてより少量のrhBMP−2で起こるようになる。
【0008】
DBMおよびnBMPは、造骨潜在能力を示し、そしてこれらを用いて、いくつかの臨床的状況における骨治癒を増進しうる(Urist, M.R.(1965)「骨:自己誘導による形成」Science 150:893−899;Reddi, A.H.およびHuggins, C.(1972)「青年期ラットにおける、正常線維芽細胞のトランスフォーメーションにおける生化学的順序」Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 69:1601−31605、ならびにUrist, M.R.ら(1984)「ヒドロキシアパタイト・クロマトグラフィーによる、ウシ骨形成タンパク質の精製」Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 81:371−375(Urist, M.R.「骨形成タンパク質の新たな概念」(1991):Fundamentals of Bone Growth: Methodology and Applications中, A.D. Dixon, B.G. Sarnat、およびD.A.N. Hoyte(監修), pp.189−198.(C.R.C. Press, ボストン))。DBMに見られるBMP関連タンパク質の数およびその制御機能の複雑さから、DBMおよびnBMPなどの部分的に精製された混合物は、BMPの入手可能性および活性に影響を及ぼす、いくつかの分子を含有する可能性が高い。組換えBMPが利用可能であるが、臨床的使用において、最低限有効な投薬量のBMPを用いるコストが、限定要因となっている。したがって、増加した造骨活性を有するDBMおよびnBMPが望ましい。
【0009】
例えば、骨障害(骨粗しょう症など)、骨傷害(平坦な(例えば膜性)および長い(例えば軟骨内)骨の骨折治癒、非癒合骨折、および再建手術など)、膝/臀部/関節修復の部位、または歯周炎を治療する置換手術、歯周再生、歯の移植片再構築のための歯槽堤増大を治療するには、安全で、有効であり、そして手ごろな価格の組成物、デバイスおよび方法が望ましい。
【0010】
さらに、骨形成を増進するための他の方法と組み合わせた組成物および方法の使用が望ましい。
例えば、BMP作用の動力学または全体の造骨潜在能力を改善する活性化剤および物質を添加することによるか、あるいはBMP作用の阻害剤を除去することによって、DBMおよびnBMPを改善することが望ましい可能性もある。
【0011】
さらに、DBMにおけるBMP(BMP−2、−4および−7(「オステオゲニン」として知られる)など)の造骨活性に不都合に影響を及ぼすことなく、BMPの阻害剤を除去するための方法が望ましい。やはり望ましいのは、プロセシングされていないDBMから得られた天然DBMまたはnBMPより、体積または重量あたり、より多くの骨を産生するDBMおよび/またはrBMPである。最後に、DBMの造骨潜在能力に不都合に影響を及ぼさない方法が望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
発明の概要
本発明の1つの側面において、造骨活性の阻害剤のレベルを減少させるか、または該阻害剤を除去することによって、DBMまたはnBMPの造骨活性を増加させることが望ましく、そしてより具体的には、BMP作用の阻害剤を除去することが望ましい。
【0013】
本発明の1つの側面において、アルカリ−尿素抽出を用いて、DBMまたはnBMP由来の水溶性抽出物(extractate)中、限定されるわけではないがノギンを含む阻害性タンパク質のレベルを実質的に減少させるか、または該タンパク質を除去することも可能である。
【0014】
本発明は、骨ホメオスタシスを維持し、骨形成を増進し、そして/または骨修復を増進するため、剤を用いた、全身送達法または局所治療法を含むことも可能である。本発明は、骨ホメオスタシスを維持し、骨形成を増進し、そして/または骨修復を増進するため、細胞を用いた、全身送達法または局所治療法を含むことも可能である。
【0015】
本発明の1つの適用において、骨粗しょう症などの骨関連障害において、形成、局所修復、効果的な骨ホメオスタシスを誘導する方法を適用することも可能である。
本発明はまた、骨形成を誘導するかまたは骨修復を増進するため、物質でコーティングされたか、または分化した細胞が植え付けられた、移植片などのデバイスも含むことも可能である。本発明はまた、骨形成または骨修復が望ましい部位での、物質または分化した細胞の適用も含むことも可能である。例えば、骨形成または骨修復を刺激することによって、骨折を固定するか、骨形成を増進するか、または人工装具移植片を安定化させるために用いられる、限定されるわけではないが、ピン、ねじおよびプレートを、移植片が含むことも可能である。
【0016】
本発明は、少なくとも、DBMまたはnBMPが、例えば、骨形成、およびBMP−2、BMP−4またはBMP−7などの他の造骨物質の活性を増進しうる点で、好適である。したがって、臨床適用のため、より少ない用量の造骨物質を使用することも可能である。これは、少なくとも、臨床治療がより手ごろな価格になりうる点で意味がある。さらに本発明は、少なくとも、BBPを用いて、DBMおよび/またはnBMPの造骨潜在能力をさらに増進しうる点で好適である。
【0017】
これらとともに他の目的、特徴および利点が、例示的態様の以下の詳細な説明および付随する図を再検討することから、ここで、明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0018】
詳細な説明
脱灰骨基質(DBM)およびそこから精製される天然骨形成タンパク質(nBMP)は、異所性軟骨内骨形成を誘導し、これは、いくつかの臨床的状況において、骨治癒を増進するのに使用可能である。これらの物質は、多くのタンパク質の複雑な混合物であり、そしていくつかの既知の骨形成タンパク質(BMP)、およびおそらくBMP結合性タンパク質またはBMPの阻害剤を含有する。したがって、造骨活性が増加したDBM関連物質が望ましい。
【0019】
本発明は、骨ホメオスタシスを維持し、骨形成を増進して、骨の形成を促進し、そして/または骨修復を増進するための、DBM、nBMPなどの剤、ならびに/あるいはタンパク質および方法に関する。
【0020】
1つの態様は、非造骨性タンパク質(ノギンなど)を除去するかまたはその量を減少させるように抽出されたDBMおよび/またはnBMPを作製するための方法、ならびにこうしたDBMおよび/またはnBMPを含む組成物を含むことも可能である。抽出は、例えば、約1M〜4.5Mの濃度の尿素などのカオトロピック溶媒を用いてもよい。好ましくは、DBM抽出は、その中のDBMまたはnBMPの骨誘導活性を除去しないような方式で行うべきである。
【0021】
さらに、1つの態様は、上述のように抽出されたDBMまたはnBMPから非コラーゲン性タンパク質などのタンパク質を作製する方法、および該タンパク質を含む組成物を含むことも可能である。第二の抽出は、カオトロピック溶媒(例えば約4Mクアンジジン(quandidine)HCl、6M尿素)、イオン性界面活性剤(例えば、約1%のドデシル硫酸ナトリウム)または非変性濃度の酸(例えば、約1〜約2Mのクエン酸)の1つを用いてもよい。
【0022】
より具体的には、本発明の態様は、骨ホメオスタシスを維持し、骨形成を増進し、そして/または骨修復を増進するための剤の全身適用および/または局所適用を含むことも可能である。方法または化合物が骨ホメオスタシスを維持する能力の臨床指標は、少なくともDEXAスキャニングによって評価した際、体全体の異なる部位での骨密度の改善によって証明される。治癒しつつある骨折における骨形成増進は、選択した時間間隔での骨折部位の通常のX線によってルーチンに評価される。定量的CTスキャニングなど、上記指標を決定するためのより進歩した技術を用いてもよい。
【0023】
より具体的には、本発明の態様は、骨形成を刺激する剤の使用を含むことも可能である。本発明の態様は、DBMおよび/またはnBmpなど、続いて骨細胞(骨芽細胞)に分化する前駆細胞の増殖を誘導する剤の使用を含むことも可能である。
【0024】
本発明の態様はまた、破骨細胞性骨吸収を阻害する剤の使用も含むことも可能である。破骨細胞性骨吸収を達成する、本発明において有用でありうる剤には、限定されるわけではないが:ビスホスホネート、選択的エストロゲン受容体調節剤、カルシトニン、ビタミンDおよび/またはカルシウム補給が含まれる。本発明の態様はまた、骨芽細胞性骨形成を誘導する剤の使用も含むことも可能である。本発明において有用でありうる剤には、限定されるわけではないが、PTH、フッ化ナトリウム、ならびにインスリン様増殖因子IおよびIIおよびトランスフォーミグ増殖因子ベータなどの増殖因子が含まれる。
【0025】
抽出されたDBM、nBMPまたは非コラーゲン性タンパク質の造骨効果を示すために用いられるin vivoモデルは、以前、他の造骨性化合物の類似の振る舞いを立証する際に用いられてきた。特に、in vivoモデルは、以前、BMPおよびインスリン様増殖因子(IGF)などの化合物のin vivo造骨効果を成功裡に予測することが可能であった。具体的には、in vivoモデルは、マウス後四半部アッセイにおいて、BBPがBMP−2の造骨潜在能力を増進することを立証した。これらのin vivoモデルにおける化合物の造骨効果の立証は、in vivoのヒトにおいて、その効果を立証する試験の前に、必要である。
【0026】
骨形成を達成する、本発明において有用でありうる剤には、限定されるわけではないが、抽出されたDBM、nBMPおよび/または非コラーゲン性タンパク質単独、あるいは、BMP−2、BMP−4、BMP−7などの他の造骨剤、または石灰化もしくは骨形成を達成する際に活性があることが見出されている、これらのペプチドのいずれかの一部と組み合わせたものが含まれる。さらに、例えば、BPPを添加して、BMP−2の造骨潜在能力を増進することも可能である。
【0027】
療法的有効用量。本発明において有用な剤の療法的有効用量は、上述のように、剤が石灰化または骨形成を増進する能力によって測定される際、患者に対する陽性の効果、または細胞における望ましい効果を有するものである。各剤の療法的有効用量を調節して、負の副作用を最小限にしつつ、望ましい臨床的効果を達成することも可能である。特定の患者に適した個々の措置および用量レベルを決定する場合、投与経路、疾患の重症度、患者の年齢および体重、患者が摂取している他の薬物、および主治医が通常考慮する他の要因に応じて、個々の適用に関して、剤の投薬量を選択することも可能である。少なくとも、抽出されたDBM、nBMP、または非コラーゲン性タンパク質は、同重量または同体積の天然DBMまたは天然BMP(「抽出されていない」)に比較して、より活性が高い療法物質を生じうる点で、望ましい。ノギンを実質的に含まないDBMおよびnBMPの療法的に有効な投薬量は、ノギンを含むDBMおよびnBMPのものより少ないと決定されうる。
【0028】
剤形。選択した剤の種類および投与経路を考慮することによって、剤形に含まれる剤の療法的有効用量を選択することも可能である。剤形は、薬学業の当業者に知られるように、患者への投薬を促進するため、アジュバントおよび薬学的に許容しうるキャリアーを含む他の不活性成分と組み合わせて、剤を含むことも可能である。
【0029】
望ましい純度を有する剤を、場合による生理学的に許容しうるキャリアー、賦形剤または安定化剤と混合することによって、凍結乾燥ケークまたは水溶液の形で、保管用に療法的配合物を調製することも可能である。許容しうるキャリアー、賦形剤または安定化剤は、使用する投薬量および濃度で、レシピエントに対して非毒性であり、そしてリン酸、クエン酸、および他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸を含む酸化防止剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンなどのタンパク質を含む。他の構成要素には、グリシン、ブルタミン(blutamine)、アスパラギン、アルギニン、またはリジン;単糖、二糖、およびグルコース、マンノース、またはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;マンニトールまたはソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの塩形成対イオン;および/またはTween、Pluronicsまたはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が含まれてもよい。
【0030】
剤形を、皮膚適用のための局所調製物(例えばローション、クリーム、軟膏、経皮パッチ等)中に提供してもよい。また、剤形を、例えば、皮下(徐放カプセル中など)、静脈内、腹腔内、筋内または呼吸適用のための調製物中に提供してもよい。
【0031】
1つの態様において、剤形は、摂取した際に、体内の剤のレベルの上昇を生じる、経口調製物(例えば液体、カプセル、カプレット等)であってもよい。経口調製物は、希釈剤、結合剤、徐放剤、潤滑剤および崩壊剤(disinigrants)を含むキャリアーを含んでもよい。
【0032】
いずれか1つまたは組み合わせた剤を剤形に含んでもよい。あるいは、剤の組み合わせを別個の剤形中で投与してもよい。治療のため、少なくとも2つの剤への曝露があるように、剤の組み合わせを同時に投与してもよい。
【0033】
さらなる剤。本発明は、骨形成および/または石灰化を増進するため、抽出されたDBM、nBMPおよび/またはDMPタンパク質と独立にまたは相乗的に作用するさらなる剤を用いた治療を含むことも可能である。例えば、非造骨性タンパク質またはペプチドのレベルが減少したDBMおよび/またはnBMPを、BMP、BPP、ビスホスホネート、エストロゲン受容体調節剤などのホルモン療法治療、カルシトニン、ビタミンD、カルシウム補給、PTH(Forteoまたはテリパラチド、Eli Lillyなど)、フッ化ナトリウム、ならびに/あるいはインスリン様増殖因子IおよびIIおよびトランスフォーミング増殖因子ベータなどの、骨に対する陽性効果を有する増殖因子と組み合わせることも可能である。当業者は、標準的療法投薬量パラメータを用いて、療法各々に関して許容される投薬量を決定可能であろうし、そして第二の剤の効果が相乗的である場合には、DBMおよび/またはBMPの減少した投薬量を決定可能であろう。
【0034】
図4は、本発明記載の1つの方法の流れ図を示す。方法のこの態様において、間充織幹細胞などの哺乳動物細胞を、患者または細胞ドナーから採取することも可能である(100)。骨形成または修復が望ましい場所に細胞を注入するか、あるいはまず、少なくとも1つの剤(抽出されたDBM、BMPまたはタンパク質など)で処理して、骨形成または特異的骨芽細胞性分化を誘導することも可能である(102)。次いで、全身性に、または骨形成が望ましい、選択した部位などで、細胞を患者に投与することも可能である(104)。さらに、DBMおよびnBMPなどの骨形成を達成する少なくとも1つのさらなる剤単独、あるいは例えば、BMP−2、BMP−4、BMP−7もしくは他の造骨因子、またはBMP−2の造骨活性を増進するBPPと組み合わせたもので、患者を局所的または全身性に処置することも可能である(106)。
【0035】
図5AおよびBは、本発明の2つの態様を示す。図5Aにおいて、本発明は、表面を有する支持体(201)を含む、in vivoで使用するための移植片またはグラフト(200)を含むことも可能であり、ここで、移植片表面の少なくとも一部には、抽出されたDBM、nBMPおよび/またはDBM抽出から回収された非コラーゲン性タンパク質の抽出物(203)が、周囲組織中の骨形成、軟骨形成、または石灰化を誘導するのに十分な量で含まれ、そして移植片は、BBPおよび/またはBMPを発現する造骨性細胞を含むことも可能である。移植片は、ピン、ねじ、プレートまたは人工関節の形に成形されていてもよく、この移植片を骨(202)と隣接させるかまたは接触させて配置してもよく、骨除去、骨折または他の骨傷害の部位(204)の形成または修復を刺激することによって、骨折を固定するか、骨形成を増進するか、または人工装具移植片を安定化させるために、これらを用いる。
【0036】
図5Bに示すように、本発明はまた、骨(202)に隣接するかまたは接触した、抽出されたDBMおよび/またはnBMP含有組成物(206)のin vivoまたはin vitro(コラーゲンまたは軟骨細胞の培養物上など)またはin vivo適用を含み、骨形成または石灰化が望ましい、骨除去、骨折または他の骨傷害の部位(204)で移植片(200)を含むことも可能である。抽出されたDBM、nBMP、および/またはDBM抽出から回収された非コラーゲン性タンパク質の抽出物を、BBP、BMP−2、BMP−4、BMP−7またはコラーゲン培養物などの他の剤と組み合わせて適用することも可能である。例えば:ヒトにおいて骨関連傷害を治療するため、幹細胞もまた、調べられてきている。健康な個体から病気の個体への骨芽細胞前駆体幹細胞の注入は、何人かの骨形成が不十分な患者において、骨密度を改善することが示されてきた。
【0037】
図6は、本発明記載の1つの方法の流れ図を示す。例えば、当業者に知られる方法を用いて、骨からDBMを得ることも可能である。DBMをアルカリ−尿素溶液中で抽出することも可能であり、そしてアルカリ−尿素−DBM溶液を、約10.5のpHなどに調整することも可能である。DBMをアルカリ−尿素溶液から分離することも可能であり、そして場合によって、当業者に知られる方法を用いて、生じたDBMからnBMPを産生することも可能である。DBMまたはnBMPをさらに抽出して、造骨活性を持つ非コラーゲン性タンパク質を得ることも可能である。生じたDBMまたはnBMPを、骨形成が望ましい部位でのin vivo移植などに用いることも可能である。
【実施例】
【0038】
(実施例1)
DBMからBMP活性の増進剤または阻害剤を除去する潜在能力に関して、化学抽出を試験する、一連の研究を行った。1つのこうした処理は、アルカリ尿素での一晩抽出であり、これを用いて、タンパク質の正味荷電に基づいて、DBMからタンパク質を除去した。抽出されたDBMの造骨活性を、等量の濃縮された抽出物が添加されているDBMのものに比較した。
材料および方法
脱灰骨基質の産生。脱灰骨基質(DBM)を、Urist(Urist, M.R., Huo, Y.K., Brownell, A.G., Hohl, W.M., Buyske, J., Lietze, A., Tempst, P., Hunkapiller, M.およびDeLange, R.J.(1984)「ヒドロキシアパタイト・クロマトグラフィーによる、ウシ骨形成タンパク質の精製」Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 81:371−375. Urist, M.R.「骨形成タンパク質の新たな概念」(1991):Fundamentals of Bone Growth: Methodology and Applications中, A.D. Dixon, B.G. Sarnat、およびD.A.N. Hoyte(監修), pp.189−198.(C.R.C. Press, ボストン))に先に記載されるように調製した。簡潔には、新鮮な骨を清浄にし、粉砕し、プロテアーゼ阻害剤の存在下で水で洗浄し、1:1(v/v)クロロホルム:メタノールで脱脂し、0.6M HClで脱灰し、再び洗浄し、そして凍結乾燥した。
【0039】
脱灰骨基質のアルカリ−尿素抽出。等体積の6M尿素および0.1M KOHを添加することによって調製しておいた溶液中で、DBMを抽出した。この溶液のpHをHClで10.5に調整し、そして2mM N−エチルマレイミド(NEM)、0.1mMベンズアミジンHCl、および0.02%NaNの溶液にした。この溶液中で、粉砕したDBMを攪拌しながら低温中で一晩放置した。5リットル/kgの比率を用いた。1M KOHを用いて、溶液のpHを0.5時間、1時間、および4時間の時点で10.5に調整したが、連続して調整はしなかった。翌日、デカントすることによって上清を除去し、そして次いで、残った固体物質を、プロテアーゼ阻害剤を含有する多量の水で、低温中で一晩洗浄し、そして続いて、ろ過によって収集し、そして凍結乾燥した。抽出された上清を収集し、そして20体積の水に対して、低温中、48時間の期間に渡って2回交換しつつ、透析した。6〜8kD分子量カットオフの透析チューブを使用した(Spectrum Medical Industries、カリフォルニア州ラグーナヒルのSpectropor)。透析した上清を、Sorvall GSAローター(Kendro Laboratory Products、コネチカット州ニュータウン)中、10,000rpmで30分間、4℃で遠心分離した。沈殿物および上清を別個に凍結乾燥した。続く実験には、水溶性分画を用いた。
【0040】
造骨活性のin vivoアッセイ。セプルベダ動物被験体委員会およびVAロサンゼルス郡研究および開発委員会によって認可されたin vivoアッセイを用いて、試験物質の造骨活性を試験した。5〜8週齢の雄NIHスイス−ウェブスター・ヌードマウスを用いた(Taconic Farms、ニューヨーク州ジャーマンタウン)。アッセイ前に、試験しようとするDBMを、100番および20番の針金のふるいを通して、分類した。150〜850マイクロメートルの特定のサイズを持つ物質を、#5ゼラチンカプセル中に入れ、そしてクロロホルム蒸気への曝露によって滅菌した。アッセイを行うため、小動物麻酔装置(VetEquip、カリフォルニア州プレザントン)を通じて、2l/分で、酸素中で送達される1%イソフルランを用いて、マウスを麻酔した。動物を手術台に固定し、そして後四半部上の毛皮を剃った。70%エタノールで皮膚を清浄にし、そして後四半部に隣接した脊椎上で正中切開を行った。鋏での鈍的切開を用いて、一方の側の大腿四頭筋を暴露した。鋏の先端を用いて、筋肉中に小さな袋(pouch)を作製し、そして試験物質を含有する#5カプセルをこの袋に挿入した。次いで、3つの11mm Michel外科クリップで皮膚を閉じ、そして監視するため、動物をケージに戻した。28日後、動物を屠殺し、そして後四半部を取り除いた。小部分X線キャビネット(Faxitron、イリノイ州ウィーリング)を用いて、標本の放射線検査を達成した。次いで、標本を緩衝ホルマリンにいれ、そして組織学的検査のため、ルーチンのプロセシングに提出した。移植片は、25mgの出発物質DBM、25mgの抽出されたDBM、または25mgの濃縮された水溶性抽出物を加えた25mgの抽出されたDBMからなった。
【0041】
電気泳動およびウェスタンブロッティング。標準的装置および製造者(BioRad、カリフォルニア州ハーキュルス)に提供される使用説明書を使用して、非還元条件下のSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動およびウェスタンブロッティングを行った。R&D Systems(ミネソタ州ミネアポリス)から、ノギン/Fc組換えキメラタンパク質およびヤギ抗マウス・ノギンを得た。0.075μg/mlの最終濃度で、一次抗体を用いた。二次抗体は、アルカリホスファターゼにコンジュゲート化されたロバ抗ヤギIgGであり、そしてこれを1:2500希釈で用いた(Piece、イリノイ州ロックフォード)。Pierce(イリノイ州ロックフォード)からの抑制因子試薬とともに、BCIP/NBTを用いて、発色を達成した。
【0042】
DBM出発物質、抽出されたDBM、および抽出物の相対的ノギン含量を決定するため、400μlのLaemmli試料緩衝液を50mgの各物質に添加した。試料を煮沸し、勢いよく混合し、そして遠心機中で簡単に回転させた。約2.5mgの物質に相当する、20μlのアリコットを、SDS−PAGE電気泳動によって分離した。平行してゲルを泳動し、そして等量が装填されたことを確かめるため、クーマシーブルーで染色した。
結果
DBMの造骨活性に対する抽出物の影響。図1および2は、DBMの造骨活性に対する、等量(25mg)の水溶性抽出物の影響を放射線学的に示す。図1に示す結果は、DBM出発物質(図1、左側の2標本)および抽出されたDBM(図1、右側の2標本)の造骨活性を確認し、そして比較する。DMBおよび抽出されたDMBは、石灰化の広い領域に見られうるように、どちらも、異所性骨形成を誘導した(矢印で示す)。組織学的検査によって、石灰化が、造骨性の骨形成と関連し、そして単にジストロフィー性石灰化でないことが確認された。
【0043】
図2に示す結果は、抽出されたDBMの造骨潜在能力に対する水溶性抽出物の影響を示す。抽出されたDBM(25mg)およびアルカリ−尿素抽出物の水溶性分画(25mg)の両方を含有する4つの移植片のいずれにも、異所性骨形成はまったく観察されなかった(図2、4つの標本すべて)。
【0044】
水溶性抽出物中の、BMP阻害剤、ノギンの存在の立証。図3は、抗マウス・ノギン一次抗体を用いて発色させた、DBM、抽出されたDBM、抽出物、および組換えノギン/Fcキメラタンパク質のウェスタンブロットを示す。ノギン/Fcキメラタンパク質のMは60kDであり、一方、天然(二量体)ノギンの期待されるMは64kDである(Smith, W.C.ら(1993)「分泌されたノギンタンパク質は、ゼノパス属中胚葉の背側化において、シュペーマン・オーガナイザーを模倣する」Nature 361:547−549)。本研究は、DBM出発物質(図3、レーンC)および特に抽出されたDBM(図3、レーンB)におけるよりはるかに高いレベルで、一般的に、DBMのアルカリ−尿素抽出物の水溶性分画(図3、レーンA)に、BMP活性の既知の阻害剤であるノギンが存在することを確認する。
【0045】
本明細書は本発明の特定の態様を記載するが、一般の当業者は、本発明の概念から逸脱することなく、本発明のバリエーションを考案可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、DBM(左)または抽出されたDBM(右)を25mg移植した28日後のヌードマウスの後四半部のX線写真である。標本すべてにおいて、異所性骨形成が観察される(矢印を参照されたい;大腿上部の不透明性が増加した領域に注目されたい)。
【図2】図2は、抽出されたDBM 25mgに加えてアルカリ−尿素抽出物の水溶性分画を25mg移植した28日後のヌードマウスの後四半部のX線写真である(矢印は、移植部位を示す;濃縮された抽出物中の物質が、DBMの造骨潜在能力を阻害している)。
【図3】図3は、各試験物質2.5mgに相当するタンパク質中のノギン検出のためのウェスタンブロットである。レーンA:DMBのアルカリ−尿素抽出物の水溶性分画;B:アルカリ−尿素で抽出されたDBM;C:未処理DBM;D:1μgの組換えノギン/Fcキメラタンパク質(ノギンは、抽出物および未処理DBM中に存在するが、処理されたDBM中には存在しない。矢印は、64kDの期待されるMを持つ、レーンD中の組換えノギンを指す。レーンA、B、またはC中に見られる天然ノギンは、60kDのMを有すると期待される)。
【図4】図4は、本発明の1つの方法の流れ図である。
【図5】図5AおよびBは、本発明の2つの態様の略図である。
【図6】図6は、本発明の1つの方法の流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カオトロピック溶媒で抽出されている脱灰骨基質(demineralized bone matrix)を含む組成物であって、抽出された脱灰骨基質が骨誘導活性を有し、そして抽出された脱灰骨基質が、天然の脱灰骨基質より少ない非造骨性タンパク質を有する、前記組成物。
【請求項2】
カオトロピック溶媒が、約1M〜約4.5Mの間の濃度で尿素を含む、請求項1の組成物。
【請求項3】
カオトロピック溶媒が、約6M尿素および0.1M KOHの間の濃度で尿素を含む、請求項1の組成物。
【請求項4】
脱灰骨基質のカオトロピック溶媒での第一の抽出、およびカオトロピック溶媒、イオン性界面活性剤または非変性濃度の酸での第二の抽出由来の抽出されている非コラーゲン性タンパク質を含む組成物であって、該非コラーゲン性タンパク質が造骨活性を有し、そして等量の抽出されていないタンパク質より少ない非造骨性タンパク質を有する、前記組成物。
【請求項5】
第二の抽出カオトロピック溶媒が、約4Mグアンジジン(guandidine)HClおよび約6M尿素を含む、請求項3の組成物。
【請求項6】
第二の抽出イオン性界面活性剤が約1%ドデシル硫酸ナトリウムを含む、請求項3の組成物。
【請求項7】
第二の抽出酸が約1〜2Mクエン酸を含む、請求項3の組成物。
【請求項8】
脱灰骨基質または天然BMPを含み、非造骨性タンパク質を実質的に含まない、造骨活性を有する組成物。
【請求項9】
脱灰骨基質または天然BMPを含み、天然DBMまたはBMPより少ない造骨阻害タンパク質を有する、造骨活性を有する組成物。
【請求項10】
脱灰骨基質または天然BMPを含み、等量の天然DBMまたはBMPより少ないノギンを有する、造骨活性を有する組成物。
【請求項11】
BMPノギンなどの阻害性タンパク質を、減少したレベルで有するかまたは実質的に含まない、脱灰骨基質またはBMPを含む組成物。
【請求項12】
BMP−2、BMP−4またはBMP−7の少なくとも1つをさらに含む、請求項1、2または3の組成物。
【請求項13】
(a)骨組織からDBMを得て;
(b)DBMをカオトロピック溶媒で抽出して;
(c)生じたDBMを単離する
工程を含む、減少したレベルの造骨阻害因子を有するDBMを産生するための方法。
【請求項14】
骨形成を増進する際に使用するための薬剤であって、療法的有効投薬量のDBMまたはBMPを含むか、あるいは等量の天然DBMまたはBMPに比較して減少したレベルのBMP阻害剤を有する、前記薬剤。
【請求項15】
副甲状腺ホルモン、フッ化ナトリウム、インスリン様増殖因子I、インスリン様増殖因子IIまたはトランスフォーミング増殖因子ベータ、ビスホスホネート、エストロゲン受容体調節剤、カルシトニン、ビタミンDまたはカルシウムを含む群より選択される少なくとも1つの剤をさらに含む、請求項14の薬剤。
【請求項16】
BMP−2、BMP−4またはBMP−7の少なくとも1つの療法的有効投薬量をさらに含む、請求項14の薬剤。
【請求項17】
ノギンを実質的に含まないDBMまたはnBMPで、哺乳動物細胞を処理することを含む、骨形成を誘導する方法。
【請求項18】
BMP−2、BMP−4またはBMP−7の少なくとも1つで、哺乳動物細胞を処理することをさらに含む、請求項17の方法。
【請求項19】
等量の天然DBMまたはnBMPに比較して減少したレベルのノギンを有するDBMまたはnBMPで、哺乳動物細胞を処理することを含む、骨形成を誘導する方法。
【請求項20】
BMP−2、BMP−4またはBMP−7の少なくとも1つで、哺乳動物細胞を処理することをさらに含む、請求項19の方法。
【請求項21】
療法的に有効な用量の、副甲状腺ホルモン、フッ化ナトリウム、インスリン様増殖因子I、インスリン様増殖因子IIまたはトランスフォーミング増殖因子ベータ、ビスホスホネート、選択的エストロゲン受容体調節剤、カルシトニン、ビタミンD、またはカルシウムを含む群より選択される少なくとも1つの剤で、哺乳動物細胞を処理することをさらに含む、請求項19の方法。
【請求項22】
哺乳動物細胞を刺激して、未処理細胞における生物学的マーカーのレベルより高いレベルで、骨形成の生物学的マーカーを発現させる方法であって、カオトロピック溶媒で抽出されており、そして天然DBMまたはBMPに比較し、等量の抽出されていないノギンに比較して、減少したレベルの造骨阻害タンパク質を有する、DBMまたはnBMPに、哺乳動物細胞を曝露することを含む、前記方法。
【請求項23】
BMP−2、BMP−4またはBMP−7の少なくとも1つで、哺乳動物細胞を処理することをさらに含む、請求項22の方法。
【請求項24】
生物学的マーカーが、アルカリホスファターゼ活性、カルシウム取り込み、ミネラル化またはオステオカルシンmRNAの発現の少なくとも1つの増加である、請求項22の方法。
【請求項25】
骨形成が望ましい場所に隣接した場所に、造骨性細胞を投与し;そして天然DBMまたはnBMPに比較して減少したレベルのノギンを有するDBMまたはBMPを、骨形成が望ましい場所に隣接した場所に投与することを含む、骨形成を誘導する方法。
【請求項26】
BMP−2、BMP−4またはBMP−7の少なくとも1つを投与することをさらに含む、請求項25の方法。
【請求項27】
支持体を含む製品であって、前記支持体がDBMまたはBMPを含むか、あるいは前記DBMまたはnBMPが、天然DBMまたはBMPに比較して減少したレベルのノギンを有し、そして前記DBMまたはBMPが造骨活性を有する、前記製品。
【請求項28】
固体支持体上に固定されたタンパク質をさらに含む、請求項27の製品であって、前記タンパク質が、BMP−2、BMP−4、BMP−7またはその断片の少なくとも1つを含み、前記断片が造骨活性を有する、前記製品。
【請求項29】
表面を有する支持体を含む移植片であって、移植片表面の少なくとも一部が、等量の天然DBMまたはnBMPに比較して減少したレベルのノギンを有するDBMまたはBMPを、骨形成を増進するのに十分な量で含む、前記移植片。
【請求項30】
BMP−2、BMP−4またはBMP−7の少なくとも1つをさらに含む、請求項29の移植片。
【請求項31】
支持体が、ピン、ねじ、プレート、または人工関節の形に形成されている、請求項29の移植片。
【請求項32】
移植片の少なくとも表面に、造骨性哺乳動物細胞がさらに含まれる、請求項29の移植片。
【請求項33】
増加したレベルの造骨阻害因子を有する組成物を産生する方法であって:
(a)骨組織からDBMを得て;
(b)カオトロピック溶媒でDBMを抽出し;
(c)造骨阻害因子を含む水溶性分画を単離する
工程を含む、前記方法。
【請求項34】
造骨阻害因子がノギンである、請求項33の方法。
【請求項35】
DBMの造骨活性を阻害するためのタンパク質であって、脱灰骨基質のカオトロピック溶媒での抽出由来の水溶性抽出物(extractate)から得られている、前記タンパク質を含む、組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−540328(P2008−540328A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543597(P2007−543597)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/043215
【国際公開番号】WO2006/093545
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(592130699)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【出願人】(507174983)
【Fターム(参考)】