説明

脱着性壁面パネル

【課題】 建築物の壁面に接着剤等を用いて貼り付けることなく、壁紙と同じように壁面の意匠性を向上させることができる、脱着性を有する壁面パネルを提供すること。
【解決手段】 建築物の壁面に固定する壁面パネルであって、壁面パネルは、少なくとも、意匠材、基材及び脱着性固定装置から構成されており、意匠材は、基材の表面に具備されており、基材は、0.01〜0.9g/cmの密度であり、脱着性固定装置は、壁面パネルの裏面に具備されており、脱着性固定装置を介して、壁面と壁面パネルとが脱着可能に固定できる壁面パネルによる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱着性を有する壁面パネルに関する。詳しくは、壁紙と同じように壁面の意匠性を向上させることができる、脱着性を有する壁面パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、壁紙は、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、アクリル樹脂、パルプ、レーヨン、ポリ乳酸、麻、珪藻土および炭酸カルシウム等の原料で形成されており、住宅、マンション、店舗、オフィス等に幅広く利用されている。壁紙の意匠性を高めるために、その表面に数mm程度の凹凸模様を付けて用いることがある。しかし、壁紙では、高低差のある凹凸模様とすることが難しいため、どの壁紙も柄および色によって差別化を図っている。このように、壁は、凹凸が少ない平らな仕上がりになってしまい、デザイン性がどうしても乏しくなってしまう。壁紙の施工では、壁面に壁紙を直接接着剤で貼り付ける方法が一般的になっている。
【0003】
デザイン性を高めるために、木製集成材の表面に柄つきのシートを貼ったパネル式の壁材、セラミック製パネル式の壁材、天然石製等のパネル式の壁材等が一部に使われている。これらの壁材は、カットがしにくく、重さがある等の施工上の問題点がある。また、従来の工法では、壁紙に凹凸をつけるためには、建築物の壁面そのものを凹凸のある構造にしなければならず、この場合には、凹凸のある壁面に壁紙を貼るための施工は困難であり、施工コストのアップおよび構造計算が難しい等の問題点がある。
【0004】
このような問題を解決するために、軽い基材の表面に塗料で着色するなどの検討が行われたが、塗料のみではデザイン性を高めることができないため高級感がなく、また、カーテンのような生地で袋張りして凹凸を出す検討も行われているが、施工が難しく、施工コストが高くなるなど経済性に劣る問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−123456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなことから、本発明の課題は、建築物の壁面に接着剤等で貼り付けることなく、壁紙と同じように壁面の意匠性を向上させることができる、取り付け、取り外しが容易にできる脱着性を有する壁面パネル及びその施工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、下記構成の壁面パネル及びその施工方法を用いることで、本発明の課題を解決できることを見出し、これに基づいて本発明を完成させた。
本発明の構成は下記のとおりである。
【0008】
[1] 建築物の壁面に固定する壁面パネルであって、壁面パネルは、少なくとも、意匠材、基材及び脱着性固定装置から構成されており、意匠材は、基材の表面に具備されており、基材は、0.01〜0.9g/cmの密度であり、脱着性固定装置は、基材の裏面に具備されており、脱着性固定装置を介して、壁面と壁面パネルとが脱着可能に固定できる壁面パネル。
[2] 意匠材が、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリオレフィン、アクリル樹脂、パルプ、レーヨン、ポリ乳酸、麻、珪藻土および炭酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の原料から得られる、シートまたは織物であり、基材が、発泡スチロール、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン、発泡エチレン−酢酸ビニル共重合体、発泡ポリ塩化ビニル、発泡ウレタン、発泡フェノール樹脂および発泡アクリル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である前記[1]項記載の壁面パネル。
[3] 脱着性固定装置が、面ファスナーまたは磁石である、前記[1]項または前記[2]項記載の壁面パネル。
[4] 壁面パネルが、少なくとも5mmの厚さを有する前記[1]〜[3]のいずれか1項記載の壁面パネル。
[5] 壁面パネルが、四角柱または三角柱である前記[1]〜[4]のいずれか1項記載の壁面パネル。
[6] 建築物の壁面に固定する壁面パネルの施工方法であって、壁面パネルは、少なくとも、意匠材、基材及び脱着性固定装置から構成されており、意匠材は、基材の表面に具備されており、基材は、0.01〜0.9g/cmの密度であり、脱着性固定装置は、基材の裏面に具備されており、脱着性固定装置を介して、壁面と壁面パネルとが脱着可能に固定できる壁面パネルを建築物の壁面に固定する施工方法であり、脱着性固定装置が、面ファスナーであり、建築物の壁面に面ファスナーの一方を取り付け、壁面パネルに面ファスナーのもう一方を取り付け、面ファスナーを介して、壁面と壁面パネルとを固定する壁面パネルの施工方法。
[7] 建築物の壁面に固定する壁面パネルの施工方法であって、壁面パネルは、少なくとも、意匠材、基材及び脱着性固定装置から構成されており、意匠材は、基材の表面に具備されており、基材は、0.01〜0.9g/cmの密度であり、脱着性固定装置は、基材の裏面に具備されており、脱着性固定装置を介して、壁面と壁面パネルとが脱着可能に固定できる壁面パネルを建築物の壁面に固定する施工方法であり、脱着性固定装置が、磁石であり、建築物の壁面に鉄板を取り付け、壁面パネルに磁石を取り付け、磁石を介して、壁面と壁面パネルとを固定する壁面パネルの施工方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、密度が0.01〜0.9g/cmの基材に意匠材を貼りつけた壁面パネルであり、厚みの違う壁面パネルを組み合わせて壁に施工することで、容易に凹凸感のある外観性のよい壁とすることができる。また軽量な原料を使用しているため、得られる壁面パネルも軽量となり、壁面への荷重が軽減できる。また、壁面への施工は、面ファスナー等の脱着性固定装置により容易にできる。さらに、従来の接着剤を使う施工方法とは異なり、脱着が容易であることから、必要に応じて、取り替えることが簡単にできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の壁面パネルを壁面に固定した概略図である。
【図2】本発明の壁面パネルの裏面と脱着性固定装置の部分の拡大図である。
【図3】本発明の壁面パネルを使用した凹凸構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明において、凹凸のある壁面とは、壁面に5mm以上の凹凸差がある壁面をいう。
【0012】
(壁面パネル)
本発明の壁面パネルは、建築物の壁面に脱着可能に固定できる壁面パネルである。該壁面パネルは、少なくとも、意匠材、基材及び脱着性固定装置から構成されている。意匠材は、基材の表面に具備されている。脱着性固定装置は、基材の裏面に具備されている。壁面と壁面パネルとは、脱着性固定装置を介して、脱着可能に固定できる。本発明の壁面パネルは、外壁、内壁のどちらにも利用することができるが、特に内壁(室内の壁面)に利用することが好ましい。
【0013】
(壁面パネルの形状)
壁面パネルの形状は、特に制限はないが、四角柱または三角柱であることが好ましく、壁面を均一に埋める点から、四角柱であることが好ましい。四角柱としては、平行六面体、台形六面体が挙げられる。三角柱としては、正三角形または直角三角形を底辺とする三角柱が挙げられる。
【0014】
(壁面パネルのサイズ)
壁面パネルが、少なくとも5mmの厚さを有すれば、強度の点から好ましく、より好ましくは、5mm〜200mm、特に好ましくは、5mm〜50mmである。
壁面パネルのサイズ(厚さ×縦×横)は、ほぼ基材のサイズと同じであり、5mm×50mm×50mm〜200mm×1000mm×1000mmの範囲が好ましく、5mm×100mm×100mm〜50mm×500mm×500mmの範囲がより好ましく利用できる。
【0015】
(基材)
基材は、壁面に荷重をかけないために軽量であることが必要であることから、0.01〜0.9/cmの密度であれば特に制限なく利用できる。基材の密度は、好ましくは、0.01〜0.5g/cmであり、より好ましくは、0.05〜0.2g/cmである。基材の密度を0.1〜0.9g/cmの範囲とすることで、壁面にかかる荷重を少なくすることができるために好ましい。上記の密度の基材は、アルミ金型、スチール金型等の中で、発泡性ポリスチレン等の熱可塑性樹脂を発泡させることで製造することができる。例えば、積水化成品工業(株)製発泡性ポリスチレンビーズ(商品名「エスレンビーズ」)、(株)JSP製発泡性ポリスチレンビーズ(商品名「スチロダイヤ」)等に、アルミ金型中で蒸気等をあてて膨らませることで、発泡基材を製造することができる。特に発泡基材は、軽量であり、市販の発泡体を利用できるだけでなく、容易に製造することもできることから好ましい。発泡基材としては、発泡スチロール、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン、発泡エチレン−酢酸ビニル共重合体、発泡ウレタン、発泡フェノール樹脂または発泡アクリル樹脂等が例示できる。これら発泡基材は、単独で用いてもよいし、同種類または異種類の発泡基材を積層して用いてもよい。
基材の形状は、特に制限はないが、四角柱または三角柱であることが好ましく、壁面を均一に埋める点から、四角柱であることが好ましい。四角柱としては、平行六面体、台形六面体が挙げられる。三角柱としては、正三角形または直角三角形を底辺とする三角柱が挙げられる。
【0016】
(意匠材)
意匠材は、建築物の内装または外装における外観の意匠性を向上するための材料であり、内装の場合では、壁紙が一般に利用されている。意匠材は、基材と同様に、壁面に荷重をかけないために軽量であることが必要である。そこで、意匠材の重量をその単位面積あたりの重量(これを目付という。)で表記すると、350g/m以下の範囲であることが好ましく、100〜300g/mの範囲であることが特に好ましい。この範囲であれば、壁面に固定装置で固定を行った場合であっても、壁面に過重がかかり過ぎることがない。本発明において、意匠材として市販の壁紙を用いてもよいが、シートまたは織物の表面に印刷等を施して、様々な模様や色彩を付けて用いてもよい。意匠材に用いるシートまたは織物の原料としては、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリ乳酸等の熱可塑性樹脂、パルプ、レーヨン、麻等の天然繊維、珪藻土および炭酸カルシウム等の鉱物等が例示できる。これらの原料は、単独で利用してもよいし、混合して利用してもよい。これらの原料をシートまたは織物にして、意匠材に用いる。これらは、1種のみでもよいが、複数を組み合わせて用いてもよい。意匠材の原料として、熱可塑性樹脂を用いて、シートにする加工方法としては、Tダイ法、インフレーション、スパンボンド等が例示できる。また、意匠材の原料として、熱可塑性樹脂を用いて、織物にする加工方法としては、紡糸機により、まず繊維に加工した後、織機等で織物とする加工方法が挙げられる。
【0017】
(基材と意匠材との貼り合わせ)
基材の表面に意匠材をの貼り合わせるためには、ホットメルト剤または接着剤を利用することができる。意匠材は、脱着性固定装置を具備する裏面にまで貼り付ける必要は必ずしもない。ホットメルト剤としては、新田ゼラチン(株)製商品名「ニッタイト」、旭化学合成(株)製商品名「アサヒタックSG」等が例示できる。また、接着剤としては、(株)スリーボンド製商品名「木工用瞬間接着剤」、コニシ(株)製商品名「ボンドGP100」等が例示できる。
【0018】
(脱着性固定装置)
脱着性固定装置は、壁面と壁面パネルとを脱着可能に固定できる機能を有していれば特に限定されない。脱着性固定装置としては、例えば、面ファスナー、磁石が利用できる。
面ファスナーは、特に限定されないが、例えば、フック状に起毛されたシートと、ループ状に密集して起毛されたシートとからなる一対の面ファスナーが例示できる。このフック状に起毛されたシートと、ループ状に密集して起毛されたシートとを押し付けることで、貼り付けたり剥がしたりすることが繰り返し行える。この機能により、脱着可能となる。他には、フック状の起毛とループ状の起毛との両方が植え込まれた一対の面ファスナーや、マッシュルーム状に起毛されていて結合力が強いクリックタイプ、鋸歯状のシャークバイト(鮫歯)タイプなどが利用できる。
また、脱着性固定装置として磁石を利用する場合には、特に限定はなく、市販の磁石が利用できる。市販の磁石としては、(株)二六製作所社製商品名「ラバー磁石」、(株)キンキ製商品名「ラバーマグネット」等が例示できる。
【0019】
(施工方法)
本発明の施工方法は、壁面と壁面パネルとが脱着可能に固定できるように、脱着性固定装置を具備させ、該固定装置を介して、壁面パネルを建築物の壁面に固定する施工方法である。なお、壁面と壁面パネルとの固定の位置を合わせるために、予め、壁面に壁面パネルの固定位置がわかるように、ラインを引く等で明示しておくことが好ましい。
脱着性固定装置が、面ファスナーの場合には、建築物の壁面に面ファスナーの一方を取り付け、壁面パネルの裏面に面ファスナーのもう一方を取り付け、この面ファスナーを介して、壁面と壁面パネルとを固定することで、壁面パネルを施工することができる。
脱着性固定装置が、磁石の場合には、建築物の壁面に鉄板を取り付け、壁面パネルに磁石を取り付け、この磁石を介して、壁面と壁面パネルとを固定することで、壁面パネルを施工することができる。
【0020】
(凹凸感を出す施工方法)
本発明では、厚さの異なる壁面パネルを組み合わせて壁面に施工することで、凹凸感のある外観性のよい壁を施工することができる。例えば、15mmの厚さの壁面パネル、20mmの厚さの壁面パネル、及び25mmの厚さの壁面パネルを用意し、これらの壁面に、施工することで、凹凸感のある壁面とすることができる(図3参照。)。
【実施例】
【0021】
ここで、実際に壁面パネルの作製及び施工を行い、本発明の効果の確認を行った。
以下、実施例を用いて説明を行うが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0022】
(評価方法)
厚さ:汎用のスケールで測定した。本発明では、(株)ミツトヨ製商品名「ミクロメーター」または市販されているノギスを用いた。
基材の密度:重量(g)/体積(cm)から密度を求めた。
基材の重量は、市販の大和製衡(株)デジタル上皿自動はかりUDS−1Vで測定した。基材の体積は、基材が平行六面体の場合には、平行六面体の3辺の長さを測定し、3辺の長さの積から求めた。また、基材の体積は、基材が平行六面体ではない場合には、水槽等に基材を入れて、溢れた水量から、水の比重を1として算出した。
目付:重量(g)/面積(m)から目付を求めた。
意匠性:壁面に5cm以上の凹凸があれば、意匠性が良好と判断した。
固定性:脱着性固定装置を介して、壁面に壁面パネルを取り付けてから一ヶ月後に、壁面パネルが、壁面から脱落せずに付いたままの状態であった場合には、固定性が良好と判断した。
【0023】
実施例1
密度が0.05g/cmの発泡ポリスチレンのブロックを熱線でカットし、10mm×300mm×300mmと、30mm×300mm×300mmのブロック(平行六面体)を作製し、これらを基材とした。これらの基材の表面に旭興(株)製の壁紙「ノイエローブ」を接着剤((株)コニシ製「ボンドGP100」)で貼り付けた。基材の裏面(壁との取り付け面)には、面ファスナー(クラレファスニング(株)製「マジックテープ(登録商標)」)サイズ20mm×35mmの片面を4箇所に、両面テープで取り付け、本発明の壁面パネル2種類を製造した。
【0024】
実施例2
15mm×300mm×300mm、20mm×300mm×300mm、35mm×300mm×300mmの3種類のサイズのブロック(平行六面体)を製造するためのアルミ製発泡金型に発泡ポリスチレンの原料を入れ、熱発泡させることで、密度が0.1g/cmの発泡体を製造した。得られた発泡体を基材として用いた。これらの基材の表面に、ホットメルト(新田ゼラチン(株)製「ニッタイト」)で、旭興(株)製の壁紙「ノイエローブ」(目付 225g/m)を貼り付けた。基材の裏面(壁との取り付け面)には、面ファスナー(クラレファスニング(株)製「マジックテープ(登録商標)」);サイズ20mm×35mm)の片面を4箇所に、両面テープで取り付け、本発明の壁面パネル3種類を製造した。
【0025】
実施例3
密度が0.05g/cmの発泡ポリスチレンのブロックを熱線でカットし、10mm×400mm×400mmと、20mm×400mm×400mmのブロック(平行六面体)を作製し、これを基材とした。この基材の表面に、ホットメルト(新田ゼラチン(株)製「ニッタイト」)で、旭興(株)製の壁紙「ノイエローブ」(目付 225g/m)を貼り付けた。基材の裏面(壁との取り付け面)には、シート状磁石(1mm×20mm×50mm;(株)二六製作所社製商品名「ラバー磁石」)を両面テープで4箇所に取り付け、本発明の壁面パネル2種類を製造した。
【0026】
実施例4
実施例1で作製した壁面パネルを用いて、次のとおり、施工を行った。厚さが異なる2種類の壁面パネルを、室内の壁に縦4枚、横4枚の計16枚が固定できるように、壁面パネルの固定できる位置に、面ファスナー(クラレファスニング(株)製「マジックテープ(登録商標)」)のループ状に起毛したシート(面ファスナーの片側)を両面テープで貼り付けた。2種類とも上下・左右に極力同じ厚さの壁面パネルが来ないように位置決めをして、壁面に取り付けた。
これらの外観を観察したところ、凹凸感があり、意匠性があると判断できた。また、壁面に壁面パネルを取り付けてから一ヶ月後に、壁面パネルの状態を確認したところ、壁面パネルは、壁面から脱落せずに付いたままの状態であったことから、固定性は良好であった。
【0027】
実施例5
実施例2で作製した壁面パネルを用いて、次のとおり、施工を行った。
厚さが異なる3種類の壁面パネルを、室内の壁に縦4枚、横4枚の計16枚が固定できように、壁面パネルの固定できる位置に、面ファスナー(クラレファスニング(株)製「マジックテープ(登録商標)」)のループ状に起毛したシート(面ファスナーの片側)を、両面テープで貼り付けた。3種類の厚さの壁面パネルを図3のように壁面に取り付けた。
これらの外観を観察したところ、凹凸感があり、意匠性があると判断できた。また、壁面に壁面パネルを取り付けてから一ヶ月後に、壁面パネルの状態を確認したところ、壁面パネルは、壁面から脱落せずに付いたままの状態であったことから、固定性は良好であった。
【0028】
実施例6
実施例2で作製した壁面パネルを用いて、次のとおり、施工を行った。
厚さが異なる2種類の壁面パネルを、室内の壁に縦3枚、横3枚の計9枚の壁面パネルが固定できように、磁石の位置に鋼板を、コニシ(株)製商品名「ボンドGP100」で取り付けた。
2種類とも上下・左右に極力同じ厚さの壁面パネルが来ないように位置決めをして、壁面に取り付けた。
これらの外観を観察したところ、凹凸感があり、意匠性があると判断できた。また、壁面に壁面パネルを取り付けてから一ヶ月後に、壁面パネルの状態を確認したところ、壁面パネルは、壁面から脱落せずに付いたままの状態であったことから、固定性は良好であった。なお、脱着性固定装置として、面ファスナーおよび磁石とも、意匠性は同様であり、また、固定にも問題ないことが確認できた。
【0029】
比較例1
(施工例)
実施例4と同じ壁面(高さ2700mm×長さ約7000mm)に壁紙を貼った。実施例4と比較して、あきらかに凹凸感がなく、意匠性が低いことがわかった
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の壁面パネルは、住宅、マンション、店舗、オフィス等の壁面に幅広く使用できる。本発明の壁面パネルは、面ファスナーで簡単に施工できるため、新築のみならずリフォームにも最適に用いることができる。リフォームの場合は、現状の壁の上にも直接施工が可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 脱着性固定装置
2 壁面パネル
3 壁面パネルの裏面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の壁面に固定する壁面パネルであって、壁面パネルは、少なくとも、意匠材、基材及び脱着性固定装置から構成されており、意匠材は、基材の表面に具備されており、基材は、0.01〜0.9g/cmの密度であり、脱着性固定装置は、基材の裏面に具備されており、脱着性固定装置を介して、壁面と壁面パネルとが脱着可能に固定できる壁面パネル。
【請求項2】
意匠材が、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリオレフィン、アクリル樹脂、パルプ、レーヨン、ポリ乳酸、麻、珪藻土および炭酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の原料から得られる、シートまたは織物であり、基材が、発泡スチロール、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン、発泡エチレン−酢酸ビニル共重合体、発泡ポリ塩化ビニル、発泡ウレタン、発泡フェノール樹脂および発泡アクリル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の壁面パネル。
【請求項3】
脱着性固定装置が、面ファスナーまたは磁石である、請求項1または請求項2記載の壁面パネル。
【請求項4】
壁面パネルが、少なくとも5mmの厚さを有する請求項1〜3のいずれか1項記載の壁面パネル。
【請求項5】
壁面パネルが、四角柱または三角柱である請求項1〜4のいずれか1項記載の壁面パネル。
【請求項6】
建築物の壁面に固定する壁面パネルの施工方法であって、壁面パネルは、少なくとも、意匠材、基材及び脱着性固定装置から構成されており、意匠材は、基材の表面に具備されており、基材は、0.01〜0.9g/cmの密度であり、脱着性固定装置は、基材の裏面に具備されており、脱着性固定装置を介して、壁面と壁面パネルとが脱着可能に固定できる壁面パネルを建築物の壁面に固定する施工方法であり、
脱着性固定装置が、面ファスナーであり、建築物の壁面に面ファスナーの一方を取り付け、壁面パネルに面ファスナーのもう一方を取り付け、面ファスナーを介して、壁面と壁面パネルとを固定する壁面パネルの施工方法。
【請求項7】
建築物の壁面に固定する壁面パネルの施工方法であって、壁面パネルは、少なくとも、意匠材、基材及び脱着性固定装置から構成されており、意匠材は、基材の表面に具備されており、基材は、0.01〜0.9g/cmの密度であり、脱着性固定装置は、基材の裏面に具備されており、脱着性固定装置を介して、壁面と壁面パネルとが脱着可能に固定できる壁面パネルを建築物の壁面に固定する施工方法であり、
脱着性固定装置が、磁石であり、建築物の壁面に鉄板を取り付け、壁面パネルに磁石を取り付け、磁石を介して、壁面と壁面パネルとを固定する壁面パネルの施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−42961(P2011−42961A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−191145(P2009−191145)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【Fターム(参考)】