脱穀機
【課題】 選別部からコンベヤ32によって搬出される処理物を構造簡単かつコンパクトな処理装置60によって精粒化処理して揚送搬送装置34に供給することができるようにする。
【解決手段】 コンベヤ32の搬送終端部と揚送搬送装置34の搬送始端部を接続する落下経路63を設け、落下経路63に回転処理体64を駆動回転自在に設けてある。落下経路63は、コンベヤ32からの処理物を自然落下させる。回転処理体64は、落下経路63を落下する途中にある処理物に精粒化作用する。
【解決手段】 コンベヤ32の搬送終端部と揚送搬送装置34の搬送始端部を接続する落下経路63を設け、落下経路63に回転処理体64を駆動回転自在に設けてある。落下経路63は、コンベヤ32からの処理物を自然落下させる。回転処理体64は、落下経路63を落下する途中にある処理物に精粒化作用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選別部からの処理物を搬送するコンベヤ、前記コンベヤからの処理物を穀粒タンク又は還元口に揚送する揚送搬送装置を備えた脱穀機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記脱穀機において、従来、特許文献1に示されるように、2番物回収用スクリューコンベア10の送り終端部に、固定歯13、駆動回転される回転歯14を備えた処理ケース15を設け、2番物回収用スクリューコンベア10からの処理物が固定歯13と回転歯14によって再処理されて還元スクリューコンベア12(揚送搬送装置に相当)に供給されるように処理装置Sを構成したものを開発した。
【0003】
【特許文献1】特開平6−217632号公報(段落〔0007〕、図2,3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の処理技術を採用した場合、固定歯や大型の駆動回転体が必要になるなど、処理装置が大型になるとともに複雑な構造のものになっていた。
【0005】
本発明の目的は、コンパクトかつ構造簡単な処理装置によって精度よく精粒化処理することができる脱穀機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明にあっては、選別部からの処理物を搬送するコンベヤ、前記コンベヤからの処理物を穀粒タンク又は還元口に揚送する揚送搬送装置を備えた脱穀機において、
前記コンベヤの搬送終端部と前記揚送搬送装置の搬送始端部を接続するとともにコンベヤからの処理物が自然落下する落下経路を設け、前記落下経路に、落下途中の処理物に精粒化作用する回転処理体を駆動回転自在に設けてある。
【0007】
従来の処理装置にあっては、処理物が回転体によって流動されながら処理されるものであって、穀粒が固まり状態になって処理作用を受ける事態が発生しやすくなる。これに対し、本第1発明にあっては、処理物が自然落下している途中に回転処理体による処理作用を受け、穀粒が自然落下のために分散しているとともに回転処理体がシコウに作用しやすい姿勢になっているなど、処理作用を受けると精粒化しやすい状態で処理作用を受けて精粒化しやすくなる。これにより、処理回転体としてブレード形など比較的小型な回転体を採用しても、精度よく精粒化するように再処理される。
【0008】
従って、本第1発明によれば、選別部からの処理物を精度よく再処理して揚送搬送装置に供給して所定の供給先に搬送することができるものでありながら、処理装置を小型な処理回転体を備えたコンパクトで構造簡単なものにして脱穀機を小型にかつ安価に得ることができる。
【0009】
本第2発明にあっては、本第1発明の構成において、前記回転処理体が、処理物落下方向に沿う軸芯まわりで回転するブレード形の処理体である。
【0010】
すなわち、処理回転体が処理物落下方向に沿う軸芯まわりで回転するブレード形であり、落下する処理物に対して効果的に処理作用するものである。
【0011】
従って、本第2発明によれば、処理回転体が処理物に対して効果的に処理作用して精度よく処理することができるものでありながら、処理回転体としてコンパクトでかつ構造簡単なブレード形の回転体を採用して、小型かつ安価に得ることができる。
【0012】
本第3発明にあっては、本第1又は第2発明の構成において、前記落下経路の前記回転処理体よりも下方に、処理物を前記揚送搬送装置に送り込む回転羽根を駆動回転自在に設けてある。
【0013】
すなわち、回転処理体による処理作用を受けて精粒化した穀粒などが、落下経路の終端に堆積しないように回転羽根によって揚送搬送装置に送り込まれる。
【0014】
従って、本第3発明によれば、処理物の自然落下を利用した精度よく再処理するものでありながら、処理物が落下経路の終端に堆積しないように揚送搬送装置に送り込まれて処理物の詰まりが発生しなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、クローラ式走行装置1、運転座席2が装備された運転部などを備えた自走機体の機体フレーム3の前部に、刈取り前処理部4の前処理部フレーム4aの基部を回動自在に連結するとともに前処理部フレーム4aにリフトシリンダ5を連動させ、前記機体フレーム3の後側に脱穀機6及び穀粒タンク7を設けるとともに脱穀機6の後部に排ワラ処理装置8を連結して、コンバインを構成してある。
【0016】
このコンバインは、稲、麦などの穀粒を収穫するものであり、リフトシリンダ5を伸縮操作すると、このリフトシリンダ5が前処理部フレーム4aを機体フレーム3に対して上下に揺動操作して刈取り前処理部4を引起し装置4bの始端部やバリカン形の刈取装置4cが地面上近くに位置した下降作業状態と、引起し装置4bや刈取装置4cが地面上から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降操作する。刈取り前処理部4を下降作業状態にして自走機体を走行させると、刈取り前処理部4は、引起し装置4bによって植立穀稈を引き起こし処理するとともに刈取装置4cによって刈取り処理し、刈取装置4cからの刈取穀稈を搬送装置4dによって機体後方向きに搬送して脱穀機6の脱穀フィードチェーン11の始端部に供給する。脱穀機6は、刈取穀稈を脱穀フィードチェーン11によって搬送しながら脱穀処理し、穀粒タンク7は、脱穀機6からの脱穀粒を回収して貯留していく。排ワラ処理装置8は、脱穀機6からの脱穀排ワラを細断して排出する細断処理を行なうか、あるいは長ワラ状態のままで排出する長ワラ排出処理を行なう。
【0017】
脱穀機6について詳述すると、図2に示すように、脱穀機6は、前記脱穀フィードチェーン11、扱室12などを備えた脱穀部10、扱室12の下方に前端側が位置した揺動選別装置21などを備えた選別部20、揺動選別装置21の下方に設けたスクリューコンベヤで成る一番コンベヤ31及び二番コンベヤ32、脱穀機体の横外側に設けたスクリューコンベヤで成る一番揚送搬送装置33及び二番揚送搬送装置34などを備えて構成してある。
【0018】
脱穀部10は、脱穀フィードチェーン11によって刈取穀稈の株元側を挟持搬送して刈取穀稈の穂先側を扱室12に供給し、穂先側を回動する扱胴13によって脱穀処理し、脱穀排ワラを扱室12の後端部に位置する送塵口14から排出して排塵ファン22の上方を通して前記排ワラ処理装置8に供給する。
【0019】
選別部20は、扱室12の受網15から落下した脱穀処理物を偏芯カム36aが装備された駆動機構36によって駆動揺動される揺動選別装置21によって受け止めてこの揺動選別装置21によって脱穀機体後方向きに搬送しながら選別処理して、これとともに揺動選別装置21の前端部の下方に位置する唐箕23からの選別風を作用させて、精粒や未処理粒の穀粒と、ワラ屑などの塵埃とに選別処理し、精粒や未処理粒を揺動選別装置21から落下させ、塵埃を排塵ファン22によって選別風と共に吸引して脱穀機体外に排出したり、脱穀機体後部に位置する排塵口24から脱穀機体外に排出する。
【0020】
揺動選別装置21から落下した精粒などの一番処理物は、一番コンベヤ31によって脱穀機体の横外側に搬出して一番コンベヤ31の終端部から一番揚送搬送装置33によって前記穀粒タンク7の穀粒投入口に揚送して穀粒タンク7に供給する。揺動選別装置21から落下した未処理粒などの二番処理物は、二番コンベヤ32によって脱穀機体の横外側に搬出して二番コンベヤ32の終端部から二番揚送搬送装置34に送り込み、この二番揚送搬送装置34によって脱穀機体の還元口35に揚送してこの還元口35から脱穀機体内に投入して揺動選別装置21の前端部に還元するようになっている。
【0021】
図3,5に示すように、前記二番コンベヤ32の搬送終端部を覆うカバー61に連設された筒体62によって二番コンベヤ32の搬送終端部と前記二番揚送搬送装置34の搬送始端部を接続している落下経路63を形成し、この落下経路63の途中に複数の回転処理体64を、前記落下経路63の前記回転処理体64よりも下方に回転羽根65をそれぞれ駆動回転自在に設けて、選別部20からの二番処理物に対する処理装置60を構成してある。
【0022】
前記二番コンベヤ32のスクリュー軸32aにベベルギヤ利用の伝動機構66を介して上端側が連動された脱穀機体上下向きの回転軸67が前記落下経路63の中心部を落下経路63に沿って通っており、落下経路63は、二番コンベヤ32によって搬送されてその搬送終端部から排出された二番処理物を、落下経路63の上端部から前記回転軸67と前記筒体62の間を通して前記回転羽根65が位置する落下経路下端部に自然落下させるようになっている。
【0023】
複数の処理回転体64は、前記回転軸67のまわりに等間隔を隔てて位置する配置状態で回転軸67の途中に一体回転自在に支持されるとともに回転軸芯に沿う方向での厚さが約3mmのブレード形の回転体になっており、二番コンベヤ32から伝動されて駆動される回転軸67によって落下経路63の処理物落下方向に沿った回転軸67の軸芯Xまわりで、周速が約8m/secの回転速度で駆動回転され、落下経路63を落下していく未処理粒に触れて精粒化作用する。各処理回転体64の先端部は、ワラ屑などが巻き付きにくいように先端側ほど肉厚がより薄くなった先薄形状に形成してある。
【0024】
回転羽根65は、前記回転軸67の下端部に一体回転自在に支持されており、この回転軸67によって回転軸67の軸芯Xまわりで駆動回転され、落下経路63の下端部に到達した処理物を放てきして二番揚送搬送装置34の処理物導入口34aに送り込む。
【0025】
つまり、処理装置60は、選別部20から二番コンベヤ32によって搬出された二番処理物を落下経路63で自然落下させ、落下途中のために穀粒が分散しているとともに回転処理体64がシコウに作用しやすい姿勢になっているなど、精粒化しやすい状態になっている未処理粒に回動する回転処理体64を作用させて精粒化処理し、回転処理体64が位置する部位から更に落下して落下経路63の下端部に到達した処理物を回動する回転羽根65による送り込みによって二番揚送搬送装置34の搬送始端部に供給するようになっている。
【0026】
図5に示す伝動ケース36は、一番コンベヤ31の駆動力を伝動チェーンを利用して二番揚送搬送装置33に伝達するものである。
【0027】
揺動選別装置21のチャフシーブ40を構成するように揺動選別装置前後方向に並んでいる複数枚のチャフリップ板41,42のうちの揺動選別装置前端側に位置する大部分を構成している複数枚のチャフリップ板41は、図6,7に示す如く各チャフリップ板41の揺動選別装置横方向での両端部に配置した連結ピン43を介し、シーブケース25の側壁25aが有する支持枠25bに回動自在に支持させてある。
すなわち、前記複数枚の前端側のチャフリップ板41は、連結ピン43の選別装置横向き軸芯のまわりでシーブケース25に対して上下揺動して隣り合う一対のチャフリップ板41どうしの間の処理物落下通路を開閉するように可動形のチャフリップ板になっている。
【0028】
図6,7,8に示すように、前記各可動形チャフリップ板41の一端側に連結ピン52で相対回動自在に連結している一枚の連動帯板53の作用によって、複数枚の可動形チャフリップ板41が連動して揺動開閉するように構成し、複数枚の可動形チャフリップ板41のうちの一枚の可動形チャフリップ板41の前記連結ピン52がシーブケース側壁25aに設けたシーブケース長孔25cを挿通するように構成し、前記連結ピン52の端部が挿通したリンク長孔55aを有した揺動リンク55を、支点ピン54の軸芯まわりでシーブケース25に対して上下揺動するようにシーブケース側壁25aの外面側に支持させ、前記連結ピン52の端部と揺動リンク55が備えるばねホルダー55bとにわたって連結された感知ばね56が連結ピン52を引き上げ付勢して各可動形チャフリップ板41を上昇閉じ側に揺動付勢するように構成し、揺動リンク55にリターンばね57を連結し、揺動リンク55に操作ケーブル51のインナーケーブル51aを介して連動されたチャフ調節具59(図9参照)を脱穀機体の後部の横外側に設けてある。
【0029】
つまり、各可動形チャフリップ板41は感知ばね56によって上昇閉じ側に揺動付勢されており、チャフシーブ40に堆積した処理物の重量によっては、可動形チャフリップ板41が処理物重量のために自ずと下降揺動して処理物落下通路を広くし、処理物重量が大になるほどより大きく下降揺動して処理物落下通路をより広くするのであり、チャフシーブ40は、処理物重量によって処理物落下通路の大きさを調節しながら選別処理する。
チャフ調節具59を移動操作すると、操作ケーブル51が引っ張り側や緩め側に操作されて揺動リンク55を揺動操作する。すると、揺動リンク55のリンク長孔55aがシーブケース長孔25cに対して移動して、シーブケース25がシーブケース長孔25cの上端で連結ピン52に当接して可動形チャフリップ板41の上昇限界を設定する状態になったり、揺動リンク55がリンク長孔55aの上端で連結ピン52に当接して可動形チャフリップ板41の上昇限界を設定する状態になり、かつ、揺動リンク55がリンク長孔55aの下端で連結ピン52に当接して可動形チャフリップ板41の下降限界を設定する状態になったり、シーブケース25がシーブケース長孔25cの下端で連結ピン52に当接して可動形チャフリップ板41の下降限界を設定する状態になる。これにより、各可動形チャフリップ板41の上昇閉じ限界及び下降開き限界が変化するように各可動形チャフリップ板41を開閉調節し、チャフシーブ40の前端側を処理物が落下しやすくなるように開き側に、処理物が落下しにくくなるように閉じ側に調節することができる。
【0030】
図8などに示すバランスウエイト58は、取り付け板58aで前記支点ピン54に回動自在に支持されており、かつ、取り付け板58aで前記連結ピン52にウエイト荷重を掛けるようになっている。
【0031】
図9,10に示すように、前記チャフ調節具59は、脱穀機体の伝動構造(図示せず)などを覆うように脱穀機体の横外側に設けたサイドカバー70,71のうちの脱穀機体後側に設置されたサイドカバー71が備えている収容凹部72の内部に設けてある。前記サイドカバー71に帆布製の蓋体73を設け、この蓋体73によって収容凹部72をワラ屑などが入り込みにくいように閉じておくようになっている。前記サイドカバー70,71のうちの脱穀機体前側に位置するサイドカバー70は、後側のサイドカバー71よりも少ない手間で脱着することができるようにキャッチャー74を介して脱着自在に支持されている。
【0032】
図11,12に示すように、前記排塵ファン22の吸気口ガイド26に対してスライド移動自在な排気口ガイド27、この排気口ガイド27の脱穀機体横方向での端部から脱穀機体側壁の貫通孔28a,28bを通って脱穀機体外に延出された調節ロッド29a及びセットボルト29bを、排塵ファン22に備えてある。
【0033】
すなわち、調節ロッド29aを貫通孔28aに沿わせて移動調節すると、排気口ガイド27が移動して排気口の大きさBが吸気口の大きさAよりも小さくなるように、あるいは排気口の大きさBが吸気口の大きさAに等しくなるように排気口調節を行なう。排気口の大きさBを吸気口の大きさAよりも小にすると、排塵ファン22の風速が小になり、穀粒が軽い場合でも塵埃と共に脱穀機体外に排出されにくくしながら選別処理を行なわせることができ、排気口の大きさBを吸気口の大きさAに等しくすると、排塵ファン22の風速が大になり、濡れ脱穀などの場合でもスムーズに塵埃排出させながら選別処理を行なわせることができる。
【0034】
〔別実施例〕
上記実施形態に示した処理装置60は、前記一番コンベンヤ31からの処理物が精粒化処理して前記一番揚送搬送装置33に供給されるように一番コンベヤ31と一番揚送搬送装置34の間に設けた場合にも本発明の目的を達成することができるのであり、本発明は、二番コンベヤ32と二番揚送搬送装置34の間に設ける処理装置と、一番コンベヤ31と一番揚送搬送装置33の間に設ける処理装置のいずれにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】コンバイン全体の側面図
【図2】脱穀機の断面図
【図3】処理装置の縦断後面図
【図4】落下経路の横断面図
【図5】処理装置の縦断側面図
【図6】チャフリップ板の取り付け部の平面図
【図7】チャフリップ板の取り付け部の縦断面図
【図8】チャフリップ板の開閉調節部の分解状態での側面図
【図9】チャフシーブ開閉調節構造の全体側面図
【図10】チャフ調節具配設部の縦断面図
【図11】排塵ファンの断面図
【図12】排塵ファンの排気口ガイドの一部の斜視図
【符号の説明】
【0036】
7 穀粒タンク
20 選別部
32 コンベヤ
34 揚送搬送装置
35 還元口
63 落下経路
64 回転処理体
65 回転羽根
X 回転処理体の回転軸芯
【技術分野】
【0001】
本発明は、選別部からの処理物を搬送するコンベヤ、前記コンベヤからの処理物を穀粒タンク又は還元口に揚送する揚送搬送装置を備えた脱穀機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記脱穀機において、従来、特許文献1に示されるように、2番物回収用スクリューコンベア10の送り終端部に、固定歯13、駆動回転される回転歯14を備えた処理ケース15を設け、2番物回収用スクリューコンベア10からの処理物が固定歯13と回転歯14によって再処理されて還元スクリューコンベア12(揚送搬送装置に相当)に供給されるように処理装置Sを構成したものを開発した。
【0003】
【特許文献1】特開平6−217632号公報(段落〔0007〕、図2,3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の処理技術を採用した場合、固定歯や大型の駆動回転体が必要になるなど、処理装置が大型になるとともに複雑な構造のものになっていた。
【0005】
本発明の目的は、コンパクトかつ構造簡単な処理装置によって精度よく精粒化処理することができる脱穀機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明にあっては、選別部からの処理物を搬送するコンベヤ、前記コンベヤからの処理物を穀粒タンク又は還元口に揚送する揚送搬送装置を備えた脱穀機において、
前記コンベヤの搬送終端部と前記揚送搬送装置の搬送始端部を接続するとともにコンベヤからの処理物が自然落下する落下経路を設け、前記落下経路に、落下途中の処理物に精粒化作用する回転処理体を駆動回転自在に設けてある。
【0007】
従来の処理装置にあっては、処理物が回転体によって流動されながら処理されるものであって、穀粒が固まり状態になって処理作用を受ける事態が発生しやすくなる。これに対し、本第1発明にあっては、処理物が自然落下している途中に回転処理体による処理作用を受け、穀粒が自然落下のために分散しているとともに回転処理体がシコウに作用しやすい姿勢になっているなど、処理作用を受けると精粒化しやすい状態で処理作用を受けて精粒化しやすくなる。これにより、処理回転体としてブレード形など比較的小型な回転体を採用しても、精度よく精粒化するように再処理される。
【0008】
従って、本第1発明によれば、選別部からの処理物を精度よく再処理して揚送搬送装置に供給して所定の供給先に搬送することができるものでありながら、処理装置を小型な処理回転体を備えたコンパクトで構造簡単なものにして脱穀機を小型にかつ安価に得ることができる。
【0009】
本第2発明にあっては、本第1発明の構成において、前記回転処理体が、処理物落下方向に沿う軸芯まわりで回転するブレード形の処理体である。
【0010】
すなわち、処理回転体が処理物落下方向に沿う軸芯まわりで回転するブレード形であり、落下する処理物に対して効果的に処理作用するものである。
【0011】
従って、本第2発明によれば、処理回転体が処理物に対して効果的に処理作用して精度よく処理することができるものでありながら、処理回転体としてコンパクトでかつ構造簡単なブレード形の回転体を採用して、小型かつ安価に得ることができる。
【0012】
本第3発明にあっては、本第1又は第2発明の構成において、前記落下経路の前記回転処理体よりも下方に、処理物を前記揚送搬送装置に送り込む回転羽根を駆動回転自在に設けてある。
【0013】
すなわち、回転処理体による処理作用を受けて精粒化した穀粒などが、落下経路の終端に堆積しないように回転羽根によって揚送搬送装置に送り込まれる。
【0014】
従って、本第3発明によれば、処理物の自然落下を利用した精度よく再処理するものでありながら、処理物が落下経路の終端に堆積しないように揚送搬送装置に送り込まれて処理物の詰まりが発生しなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、クローラ式走行装置1、運転座席2が装備された運転部などを備えた自走機体の機体フレーム3の前部に、刈取り前処理部4の前処理部フレーム4aの基部を回動自在に連結するとともに前処理部フレーム4aにリフトシリンダ5を連動させ、前記機体フレーム3の後側に脱穀機6及び穀粒タンク7を設けるとともに脱穀機6の後部に排ワラ処理装置8を連結して、コンバインを構成してある。
【0016】
このコンバインは、稲、麦などの穀粒を収穫するものであり、リフトシリンダ5を伸縮操作すると、このリフトシリンダ5が前処理部フレーム4aを機体フレーム3に対して上下に揺動操作して刈取り前処理部4を引起し装置4bの始端部やバリカン形の刈取装置4cが地面上近くに位置した下降作業状態と、引起し装置4bや刈取装置4cが地面上から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降操作する。刈取り前処理部4を下降作業状態にして自走機体を走行させると、刈取り前処理部4は、引起し装置4bによって植立穀稈を引き起こし処理するとともに刈取装置4cによって刈取り処理し、刈取装置4cからの刈取穀稈を搬送装置4dによって機体後方向きに搬送して脱穀機6の脱穀フィードチェーン11の始端部に供給する。脱穀機6は、刈取穀稈を脱穀フィードチェーン11によって搬送しながら脱穀処理し、穀粒タンク7は、脱穀機6からの脱穀粒を回収して貯留していく。排ワラ処理装置8は、脱穀機6からの脱穀排ワラを細断して排出する細断処理を行なうか、あるいは長ワラ状態のままで排出する長ワラ排出処理を行なう。
【0017】
脱穀機6について詳述すると、図2に示すように、脱穀機6は、前記脱穀フィードチェーン11、扱室12などを備えた脱穀部10、扱室12の下方に前端側が位置した揺動選別装置21などを備えた選別部20、揺動選別装置21の下方に設けたスクリューコンベヤで成る一番コンベヤ31及び二番コンベヤ32、脱穀機体の横外側に設けたスクリューコンベヤで成る一番揚送搬送装置33及び二番揚送搬送装置34などを備えて構成してある。
【0018】
脱穀部10は、脱穀フィードチェーン11によって刈取穀稈の株元側を挟持搬送して刈取穀稈の穂先側を扱室12に供給し、穂先側を回動する扱胴13によって脱穀処理し、脱穀排ワラを扱室12の後端部に位置する送塵口14から排出して排塵ファン22の上方を通して前記排ワラ処理装置8に供給する。
【0019】
選別部20は、扱室12の受網15から落下した脱穀処理物を偏芯カム36aが装備された駆動機構36によって駆動揺動される揺動選別装置21によって受け止めてこの揺動選別装置21によって脱穀機体後方向きに搬送しながら選別処理して、これとともに揺動選別装置21の前端部の下方に位置する唐箕23からの選別風を作用させて、精粒や未処理粒の穀粒と、ワラ屑などの塵埃とに選別処理し、精粒や未処理粒を揺動選別装置21から落下させ、塵埃を排塵ファン22によって選別風と共に吸引して脱穀機体外に排出したり、脱穀機体後部に位置する排塵口24から脱穀機体外に排出する。
【0020】
揺動選別装置21から落下した精粒などの一番処理物は、一番コンベヤ31によって脱穀機体の横外側に搬出して一番コンベヤ31の終端部から一番揚送搬送装置33によって前記穀粒タンク7の穀粒投入口に揚送して穀粒タンク7に供給する。揺動選別装置21から落下した未処理粒などの二番処理物は、二番コンベヤ32によって脱穀機体の横外側に搬出して二番コンベヤ32の終端部から二番揚送搬送装置34に送り込み、この二番揚送搬送装置34によって脱穀機体の還元口35に揚送してこの還元口35から脱穀機体内に投入して揺動選別装置21の前端部に還元するようになっている。
【0021】
図3,5に示すように、前記二番コンベヤ32の搬送終端部を覆うカバー61に連設された筒体62によって二番コンベヤ32の搬送終端部と前記二番揚送搬送装置34の搬送始端部を接続している落下経路63を形成し、この落下経路63の途中に複数の回転処理体64を、前記落下経路63の前記回転処理体64よりも下方に回転羽根65をそれぞれ駆動回転自在に設けて、選別部20からの二番処理物に対する処理装置60を構成してある。
【0022】
前記二番コンベヤ32のスクリュー軸32aにベベルギヤ利用の伝動機構66を介して上端側が連動された脱穀機体上下向きの回転軸67が前記落下経路63の中心部を落下経路63に沿って通っており、落下経路63は、二番コンベヤ32によって搬送されてその搬送終端部から排出された二番処理物を、落下経路63の上端部から前記回転軸67と前記筒体62の間を通して前記回転羽根65が位置する落下経路下端部に自然落下させるようになっている。
【0023】
複数の処理回転体64は、前記回転軸67のまわりに等間隔を隔てて位置する配置状態で回転軸67の途中に一体回転自在に支持されるとともに回転軸芯に沿う方向での厚さが約3mmのブレード形の回転体になっており、二番コンベヤ32から伝動されて駆動される回転軸67によって落下経路63の処理物落下方向に沿った回転軸67の軸芯Xまわりで、周速が約8m/secの回転速度で駆動回転され、落下経路63を落下していく未処理粒に触れて精粒化作用する。各処理回転体64の先端部は、ワラ屑などが巻き付きにくいように先端側ほど肉厚がより薄くなった先薄形状に形成してある。
【0024】
回転羽根65は、前記回転軸67の下端部に一体回転自在に支持されており、この回転軸67によって回転軸67の軸芯Xまわりで駆動回転され、落下経路63の下端部に到達した処理物を放てきして二番揚送搬送装置34の処理物導入口34aに送り込む。
【0025】
つまり、処理装置60は、選別部20から二番コンベヤ32によって搬出された二番処理物を落下経路63で自然落下させ、落下途中のために穀粒が分散しているとともに回転処理体64がシコウに作用しやすい姿勢になっているなど、精粒化しやすい状態になっている未処理粒に回動する回転処理体64を作用させて精粒化処理し、回転処理体64が位置する部位から更に落下して落下経路63の下端部に到達した処理物を回動する回転羽根65による送り込みによって二番揚送搬送装置34の搬送始端部に供給するようになっている。
【0026】
図5に示す伝動ケース36は、一番コンベヤ31の駆動力を伝動チェーンを利用して二番揚送搬送装置33に伝達するものである。
【0027】
揺動選別装置21のチャフシーブ40を構成するように揺動選別装置前後方向に並んでいる複数枚のチャフリップ板41,42のうちの揺動選別装置前端側に位置する大部分を構成している複数枚のチャフリップ板41は、図6,7に示す如く各チャフリップ板41の揺動選別装置横方向での両端部に配置した連結ピン43を介し、シーブケース25の側壁25aが有する支持枠25bに回動自在に支持させてある。
すなわち、前記複数枚の前端側のチャフリップ板41は、連結ピン43の選別装置横向き軸芯のまわりでシーブケース25に対して上下揺動して隣り合う一対のチャフリップ板41どうしの間の処理物落下通路を開閉するように可動形のチャフリップ板になっている。
【0028】
図6,7,8に示すように、前記各可動形チャフリップ板41の一端側に連結ピン52で相対回動自在に連結している一枚の連動帯板53の作用によって、複数枚の可動形チャフリップ板41が連動して揺動開閉するように構成し、複数枚の可動形チャフリップ板41のうちの一枚の可動形チャフリップ板41の前記連結ピン52がシーブケース側壁25aに設けたシーブケース長孔25cを挿通するように構成し、前記連結ピン52の端部が挿通したリンク長孔55aを有した揺動リンク55を、支点ピン54の軸芯まわりでシーブケース25に対して上下揺動するようにシーブケース側壁25aの外面側に支持させ、前記連結ピン52の端部と揺動リンク55が備えるばねホルダー55bとにわたって連結された感知ばね56が連結ピン52を引き上げ付勢して各可動形チャフリップ板41を上昇閉じ側に揺動付勢するように構成し、揺動リンク55にリターンばね57を連結し、揺動リンク55に操作ケーブル51のインナーケーブル51aを介して連動されたチャフ調節具59(図9参照)を脱穀機体の後部の横外側に設けてある。
【0029】
つまり、各可動形チャフリップ板41は感知ばね56によって上昇閉じ側に揺動付勢されており、チャフシーブ40に堆積した処理物の重量によっては、可動形チャフリップ板41が処理物重量のために自ずと下降揺動して処理物落下通路を広くし、処理物重量が大になるほどより大きく下降揺動して処理物落下通路をより広くするのであり、チャフシーブ40は、処理物重量によって処理物落下通路の大きさを調節しながら選別処理する。
チャフ調節具59を移動操作すると、操作ケーブル51が引っ張り側や緩め側に操作されて揺動リンク55を揺動操作する。すると、揺動リンク55のリンク長孔55aがシーブケース長孔25cに対して移動して、シーブケース25がシーブケース長孔25cの上端で連結ピン52に当接して可動形チャフリップ板41の上昇限界を設定する状態になったり、揺動リンク55がリンク長孔55aの上端で連結ピン52に当接して可動形チャフリップ板41の上昇限界を設定する状態になり、かつ、揺動リンク55がリンク長孔55aの下端で連結ピン52に当接して可動形チャフリップ板41の下降限界を設定する状態になったり、シーブケース25がシーブケース長孔25cの下端で連結ピン52に当接して可動形チャフリップ板41の下降限界を設定する状態になる。これにより、各可動形チャフリップ板41の上昇閉じ限界及び下降開き限界が変化するように各可動形チャフリップ板41を開閉調節し、チャフシーブ40の前端側を処理物が落下しやすくなるように開き側に、処理物が落下しにくくなるように閉じ側に調節することができる。
【0030】
図8などに示すバランスウエイト58は、取り付け板58aで前記支点ピン54に回動自在に支持されており、かつ、取り付け板58aで前記連結ピン52にウエイト荷重を掛けるようになっている。
【0031】
図9,10に示すように、前記チャフ調節具59は、脱穀機体の伝動構造(図示せず)などを覆うように脱穀機体の横外側に設けたサイドカバー70,71のうちの脱穀機体後側に設置されたサイドカバー71が備えている収容凹部72の内部に設けてある。前記サイドカバー71に帆布製の蓋体73を設け、この蓋体73によって収容凹部72をワラ屑などが入り込みにくいように閉じておくようになっている。前記サイドカバー70,71のうちの脱穀機体前側に位置するサイドカバー70は、後側のサイドカバー71よりも少ない手間で脱着することができるようにキャッチャー74を介して脱着自在に支持されている。
【0032】
図11,12に示すように、前記排塵ファン22の吸気口ガイド26に対してスライド移動自在な排気口ガイド27、この排気口ガイド27の脱穀機体横方向での端部から脱穀機体側壁の貫通孔28a,28bを通って脱穀機体外に延出された調節ロッド29a及びセットボルト29bを、排塵ファン22に備えてある。
【0033】
すなわち、調節ロッド29aを貫通孔28aに沿わせて移動調節すると、排気口ガイド27が移動して排気口の大きさBが吸気口の大きさAよりも小さくなるように、あるいは排気口の大きさBが吸気口の大きさAに等しくなるように排気口調節を行なう。排気口の大きさBを吸気口の大きさAよりも小にすると、排塵ファン22の風速が小になり、穀粒が軽い場合でも塵埃と共に脱穀機体外に排出されにくくしながら選別処理を行なわせることができ、排気口の大きさBを吸気口の大きさAに等しくすると、排塵ファン22の風速が大になり、濡れ脱穀などの場合でもスムーズに塵埃排出させながら選別処理を行なわせることができる。
【0034】
〔別実施例〕
上記実施形態に示した処理装置60は、前記一番コンベンヤ31からの処理物が精粒化処理して前記一番揚送搬送装置33に供給されるように一番コンベヤ31と一番揚送搬送装置34の間に設けた場合にも本発明の目的を達成することができるのであり、本発明は、二番コンベヤ32と二番揚送搬送装置34の間に設ける処理装置と、一番コンベヤ31と一番揚送搬送装置33の間に設ける処理装置のいずれにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】コンバイン全体の側面図
【図2】脱穀機の断面図
【図3】処理装置の縦断後面図
【図4】落下経路の横断面図
【図5】処理装置の縦断側面図
【図6】チャフリップ板の取り付け部の平面図
【図7】チャフリップ板の取り付け部の縦断面図
【図8】チャフリップ板の開閉調節部の分解状態での側面図
【図9】チャフシーブ開閉調節構造の全体側面図
【図10】チャフ調節具配設部の縦断面図
【図11】排塵ファンの断面図
【図12】排塵ファンの排気口ガイドの一部の斜視図
【符号の説明】
【0036】
7 穀粒タンク
20 選別部
32 コンベヤ
34 揚送搬送装置
35 還元口
63 落下経路
64 回転処理体
65 回転羽根
X 回転処理体の回転軸芯
【特許請求の範囲】
【請求項1】
選別部からの処理物を搬送するコンベヤ、前記コンベヤからの処理物を穀粒タンク又は還元口に揚送する揚送搬送装置を備えた脱穀機であって、
前記コンベヤの搬送終端部と前記揚送搬送装置の搬送始端部を接続するとともにコンベヤからの処理物が自然落下する落下経路を設け、
前記落下経路に、落下途中の処理物に精粒化作用する回転処理体を駆動回転自在に設けてある脱穀機。
【請求項2】
前記回転処理体が、処理物落下方向に沿う軸芯まわりで回転するブレード形の処理体である請求項1記載の脱穀機。
【請求項3】
前記落下経路の前記回転処理体よりも下方に、処理物を前記揚送搬送装置に送り込む回転羽根を駆動回転自在に設けてある請求項1又は2記載の脱穀機。
【請求項1】
選別部からの処理物を搬送するコンベヤ、前記コンベヤからの処理物を穀粒タンク又は還元口に揚送する揚送搬送装置を備えた脱穀機であって、
前記コンベヤの搬送終端部と前記揚送搬送装置の搬送始端部を接続するとともにコンベヤからの処理物が自然落下する落下経路を設け、
前記落下経路に、落下途中の処理物に精粒化作用する回転処理体を駆動回転自在に設けてある脱穀機。
【請求項2】
前記回転処理体が、処理物落下方向に沿う軸芯まわりで回転するブレード形の処理体である請求項1記載の脱穀機。
【請求項3】
前記落下経路の前記回転処理体よりも下方に、処理物を前記揚送搬送装置に送り込む回転羽根を駆動回転自在に設けてある請求項1又は2記載の脱穀機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−180824(P2006−180824A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−379962(P2004−379962)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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