脱穀穀稈搬送装置
【課題】コンバインにおいて脱穀済排藁を排藁搬送装置に円滑に引き継ぐ。
【解決手段】脱穀部(5)のフィードチェン(20)の上側に対向させて挟扼杆(21)を配置し、フィードチェン(20)の終端部を挟扼杆(21)の終端部よりも後方へ延出させ、該フィードチェン(20)の終端部の上側に対向させて排藁根元搬送チェン(22a)及び排藁穂先搬送チェン(22b)の始端部を配置し、挟扼杆(21)の終端部に、上下方向の板体で形成した補助挟扼杆(25)を排藁搬送方向に位置調節可能に取り付け、該補助挟扼杆(25)をフィードチェン(20)の終端部に沿うように該フィードチェン(20)の上側に対向配置する。
【解決手段】脱穀部(5)のフィードチェン(20)の上側に対向させて挟扼杆(21)を配置し、フィードチェン(20)の終端部を挟扼杆(21)の終端部よりも後方へ延出させ、該フィードチェン(20)の終端部の上側に対向させて排藁根元搬送チェン(22a)及び排藁穂先搬送チェン(22b)の始端部を配置し、挟扼杆(21)の終端部に、上下方向の板体で形成した補助挟扼杆(25)を排藁搬送方向に位置調節可能に取り付け、該補助挟扼杆(25)をフィードチェン(20)の終端部に沿うように該フィードチェン(20)の上側に対向配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの脱穀装置に備える脱穀穀稈搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脱穀穀稈搬送装置において、脱穀室における穀稈移送口のフィードチェンに沿う挟扼杆の内側には、前側部を傾斜縁とした複数の揺動シールプレートを配設し、この挟扼杆の内側方の脱穀カバー部に一体のホルダプレート前側部には、前側部を傾斜縁とした固定シールプレートを設け、このシールプレートの後端部を挟扼杆側の揺動シールプレートの前端傾斜縁部にオーバーラップさせたものは、公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−309117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
背景技術のものは、フィードチェンの上方に挟扼杆を対向配設し、挟扼杆の終端側端部よりも後方へ延出しているフィードチェンの終端側部上方に排藁搬送装置の始端側部を上方から臨ませ、排藁を引継ぎ搬送する構成である。このような構成では、フィードチェンから排藁搬送装置への排藁の引継ぎが乱れるという不具合が発生していた。
【0005】
また、図6(B)に示すように、挟扼杆から後方へ調節自在に延出したピアノ線材からなる補助挟扼杆を、フィードチェンの終端側部上方に対向配置し、フィードチェンから排藁搬送装置へ排藁を円滑に搬送しようとするものがある。しかし、ピアノ線材の補助挟扼杆では、終端側の排藁の押圧力が弱く、搬送乱れを十分に防止できないという不具合があった。
【0006】
そこで、本発明はこのような不具合を解消しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、脱穀部(5)のフィードチェン(20)の上側に対向させて挟扼杆(21)を配置し、フィードチェン(20)の終端部を挟扼杆(21)の終端部よりも後方へ延出させ、該フィードチェン(20)の終端部の上側に対向させて排藁根元搬送チェン(22a)及び排藁穂先搬送チェン(22b)の始端部を配置し、前記挟扼杆(21)の終端部に、上下方向の板体で形成した補助挟扼杆(25)を排藁搬送方向に位置調節可能に取り付け、該補助挟扼杆(25)をフィードチェン(20)の終端部に沿うように該フィードチェン(20)の上側に対向配置したことを特徴とする脱穀穀稈搬送装置とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記排藁根元搬送チェン(22a)と排藁穂先搬送チェン(22b)の中間部下方に排藁根元ガイド杆(31)を搬送方向に沿うように配置し、前記排藁穂先搬送チェン(22b)の内側寄り下方に排藁穂先ガイド杆(32)を搬送方向に沿うように設けたことを特徴とする請求項1記載の脱穀穀稈搬送装置とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記排藁根元ガイド杆(31)の始端側に排藁穂先ガイド杆(32)の始端側を取り付けるにあたり、扱室(12)の穀稈排出口の後下方に空間部(33)を形成するようにして前記排藁穂先搬送チェン(22b)側に延出したことを特徴とする請求項2記載の脱穀穀稈搬送装置とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明は、挟扼杆(21)の終端部には排藁搬送方向に調節可能な上下方向の板体からなる補助挟扼杆(25)をフィードチェン(20)の終端部上側に対向配置したので、補助挟扼杆(25)の終端側でも下方への挟持力を維持し、安価な構成でありながら排藁根元搬送チェン(22a)及び排藁穂先搬送チェン(22b)への脱穀済穀稈の引継ぎ搬送性能を高めることができる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加え、排藁根元ガイド杆(31)及び排藁穂先ガイド杆(32)により排藁の根元側及び穂先側を下方から支持して、排藁根元搬送チェン(22a)及び排藁穂先搬送チェン(22b)により搬送するので、排藁を安定して搬送することができる。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、扱室(12)の穀稈排出口の後下方に空間部(33)が形成されているので、排藁が扱室(12)から容易に排出することができ、扱室(12)での藁屑の発生を抑制し脱穀負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】コンバインの平面図。
【図3】脱穀部の切断側面図。
【図4】脱穀部の切断平面図。
【図5】扱室の正面図。
【図6】(A)穀稈搬送装置の側面図。
【0014】
(B)従来の穀稈搬送装置の側面図。
【図7】脱穀部の穀稈搬送装置の側面図、平面図。
【図8】排藁搬送装置の斜視図。
【図9】扱胴の側面図、正面図。
【図10】扱胴を展開した状態の扱歯の取付状態を示す図。
【図11】扱胴を展開した状態の扱歯の取付状態を示す図。
【図12】フィードチェンの側面図、平面図、切断正面図。
【図13】ドロッパの平面図、側面図。
【図14】ドロッパの平面図、側面図。
【図15】ドロッパの平面図、側面図。
【図16】キャビンの側面図。
【図17】キャビンの平面図。
【図18】操縦部の一部の平面図。
【図19】操縦部の一部の側面図。
【図20】ラジエータにエアコンホースを配索した斜視図。
【図21】ラジエータにエアコンホースを配索した斜視図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づいてこの発明の実施例について説明する。
まず、図1及び図2に基づき本発明を備えたコンバインの全体構成について説明する。
【0016】
コンバインの走行車台1の下方には左右クローラ走行装置2,2を配設し、走行車台1上には、右側前部に座席付きの操縦部3を、その後方にはエンジン(図示省略)及び穀粒収納用のグレンタンク4を配設し、走行車台1の左側部に脱穀部5を搭載し、走行車台1の前側部には刈取搬送部7を昇降自在に設け、脱穀部5及びグレンタンク4の後方に排藁処理装置8を設けている。
【0017】
次に、図3乃至図7に基づき脱穀部5の穀稈搬送部の構成について説明する。
脱穀部5は、前後方向の軸回りに回転する扱胴11、該扱胴11を被覆する扱室12、前後方向の軸回りに回転する排塵処理胴13、該排塵処理胴13を被覆する排塵処理室14、前後方向の軸回りに回転する二番処理胴15、二番処理胴15を被覆する二番処理室16、唐箕17、揺動選別棚18、排塵ファン19、脱穀穀稈搬送用のフィードチェン20、挟扼杆21等により構成されている。そして、フィードチェン20及び挟扼杆21の終端側に排藁根元搬送装置22a,排藁穂先搬送装置22bの始端側を連設し、脱穀済の排藁を排藁処理装置8に搬送するように構成している。
【0018】
また、図4乃至図7に示すように、扱室12の上部には脱穀カバー23が前後方向の軸回りに回動自在に設けられている。そして、脱穀カバー23のフィードチェン20寄りの開閉端部には、フィードチェン20に沿った穀稈移送口24を設けると共に、挟扼台26が固定されていて、この挟扼台26にはフィードチェン20の穀稈搬送部に対向するように挟扼杆21,…が取り付けられている。
【0019】
この挟扼杆21,…は、上側閉鎖状の断面コ字で所定長さの多数の挟扼体21a,…を多数の左右方向のピン21b,…で枢支連結すると共に、挟扼台26に上下方向に摺動自在に支持されているロッド21c、…により、このピン21b,…部が支持されていて、バネ21d,…により下方のフィードチェン20側に押圧されていて、フィードチェン20との間に穀稈を挟持して搬送する構成である。
【0020】
また、図4及び図6に示すように、側面視でフィードチェン20の中途部の上側穀稈搬送部を後上り傾斜状に構成し、その終端側を後下がり傾斜状に構成している。また、フィードチェン20の後上り傾斜状の部分に対向して挟扼杆21,…を対向配置し、フィードチェン20における後上り傾斜状部の終端側、後下がり傾斜状部の上方に対向して排藁搬送装置22の排藁根元搬送チェン22a、排藁穂先搬送チェン22bの始端側を臨ませ、これらを平行状に終端側を内側寄りに傾斜状に延出し、排藁を引継ぎ排藁処理装置8に搬送するように構成している。
【0021】
また、この引継ぎ搬送部において、最終端側の挟扼台26には搬送方向に調節可能な補助挟扼杆25を取り付け、フィードチェン20の後上り傾斜状部分の終端側部及び後下がり傾斜部分に対向配置している。そして、この補助挟扼杆25を搬送方向に沿い且つ上下方向に沿った板体に構成している。
【0022】
従来装置は、図6(B)に示すように、補助挟扼杆25aがピアノ線材により構成していたので、取付部から離れた終端側になると、排藁の挟持力が弱まり、脱穀済穀稈の排藁搬送装置22への引継ぎ姿勢が乱れるという不具合があった。
【0023】
しかし、前記構成では、補助挟扼杆25を搬送方向に沿わせて上下方向の板体に構成したので、終端側での挟持力を強く維持し、安価な構成でありながら脱穀済穀稈の引継ぎ搬送性能を高めることができる。
【0024】
次に、図7及び図8に基づき排藁搬送装置22について説明する。
フィードチェン20の終端側には、排藁搬送装置22の排藁根元搬送チェン22aの始端側を臨ませ、所定間隔内側寄りに排藁穂先搬送チェン22bを平行に設けている。また、排藁根元搬送チェン22a及び排藁穂先搬送チェン22bの中間部下方に排藁根元ガイド杆31を設けている。そして、排藁穂先搬送チェン22bの内側寄り下方に排藁穂先ガイド杆32を設け、排藁根元ガイド杆31及び排藁穂先ガイド杆32により排藁根元側及び穂先側を下方から支持して、排藁根元搬送チェン22a及び排藁穂先搬送チェン22bにより排藁を搬送するように構成している。
【0025】
従来装置は、排藁根元搬送チェン22aと排藁穂先搬送チェン22bにより排藁を搬送するにあたり、排藁根元搬送チェン22a及び排藁穂先搬送チェン22bの中間部下方に排藁根元ガイド杆31を設けるだけの構成であったので、排藁穂先側の搬送姿勢が乱れるという不具合があった。
【0026】
しかし、前記構成によると、排藁根元ガイド杆31及び排藁穂先ガイド杆32により排藁の根元側及び穂先側を下方から支持して、排藁根元搬送チェン22a及び排藁穂先搬送チェン22bにより搬送するので、排藁を安定して搬送することができる。
【0027】
また、排藁根元ガイド杆31の始端側に排藁穂先ガイド杆32の始端側を取り付けるにあたり、図8に示すように、平面視で排藁穂先搬送チェン22bの始端側部の下方を通して排藁穂先搬送チェン22bの内側寄りに延長し、平面視で内側部が後側が斜め内側に傾斜状で、且つ、搬送方向視で内側部が上り傾斜状に延出している。そして、平面視で排藁穂先搬送チェン22bより内側に延出したところから、終端側を排藁穂先搬送チェン22bに沿うように後方へ延出している。
【0028】
前記構成によると、扱室12の穀稈排出口の後方下部に広い空間部33が形成されるので、扱室12から排藁穂先側部の排出が容易となり、扱室12での藁屑の発生を抑制することができる。
【0029】
次に、図12に基づきフィードチェン20の始端側部の構成について説明する。
フィードチェン20の始端側における扱室12寄りに補助フィードチェン41を平行に設けている。また、フィードチェン20の穀稈搬送部を、図12(C)に示すように、搬送方向視で内側下り傾斜状部20aに構成し、補助フィードチェン41の穀稈搬送部を同様に内側下り傾斜状部41aに構成している。
【0030】
そして、フィードチェン20の穀稈搬送部の内側下り傾斜状部20a、及び、補助フィードチェン41の穀稈搬送部の内側下り傾斜状部41aを、搬送方向視で図12(C)に示すように、連続した内側下がり傾斜とし、扱室12前側入口部の穀稈導入口38(図5に示す)の下側縁に略沿わせるように構成し、脱穀穀稈を扱室12の穀稈導入口38の傾斜方向に沿わせて挟持しながら円滑に導入できるようにしている。
【0031】
次に、図9及び図10に基づき扱胴11の扱歯36,…の配列構成について説明する。
扱胴11の始端側(図9(A)の左側)から終端側にかけて、回転軸心線に対して直交する方向の扱歯36,…を螺旋状に配置し、脱穀穀稈を扱室12終端側へ順次送るように構成している。また、扱胴11の終端側部に扱歯36,…を配列するにあたり、扱室12と排塵処理室14とを連通する排塵口37の口幅前後方向中間より後側部分は、複数個(例えば4個)の扱歯36a,…を扱胴11の軸方向に沿わせ、且つ、回転方向に例えば90度偏位する毎に扱歯36a,…を配設している。従って、扱室12から排塵処理室14への藁屑類の取り込み性能が良くなり、脱穀負荷を軽減し、排藁への刺さり粒を少なくすることができる。
【0032】
また、扱胴11の終端側部に扱歯36,…を配設するにあたり、図11に示すように、扱室12と排塵処理室14とを連通する排塵口37の口幅の前後方向中間よりも前側部分の例えば4個の扱歯36,…群を、穀稈を後側に送る順送り傾斜扱歯群36b,…に構成し、後側部分の例えば2個の扱歯36,…群を前側に穀稈を送る逆送り傾斜扱歯群36c、…に構成しても、藁屑類を排塵処理室14に良好に取り込むことができる。
【0033】
次に、図13に基づき排藁処理装置8の一形態であるドロッパ45について説明する。
ドロッパ45は、排藁搬送装置22からの排藁を受ける前側上位の前後方向に狭い前側収束板46、及び、後側下位の広い後側収束板47の2枚で構成している。そして、それらを水平状の排藁受け状態で、少し先端がオーバーラップする関係とし、収束フレーム48に前側収束板46の前側部を左右方向の上位の軸46aで、また、後側収束板47の後側部を左右方向の下位の軸47aで、それぞれ上下回動自在に支持している。そして、前側収束板46の軸46aから延出した前側アーム46bと後側収束板47の軸47aから延出した後側アーム47bとを、連動ロッド49で連動連結し、後側アーム47bに復帰スプリング50を取り付け、前側、後側収束板46,47を上方へ復帰回動させるように構成している。
【0034】
しかして、後側収束板47に所定量の排藁が溜まると、後側収束板47が排藁の自重により自動的に下方に回動し、連動ロッド49を介して前側収束板46も下方に回動し、排藁を落下排出する。次いで、復帰スプリング50により後側収束板47及び前側収束板46が上方へ復帰回動し、後続の排藁を受ける状態に復帰する。
【0035】
前記構成によると、後側収束板47及び前側収束板46が下方へ回動し排藁を排出し、次いで、上方へ復帰回動する際に、復帰回動中の前側上位の前側収束板46により後続の排藁を早く受けとめることができ、排藁の垂れ流しを抑制しながら排藁をまとめて落下排出することができる。
【0036】
次に、図14に基づきドロッパ45の他の実施例について説明する。
このドロッパ45は、前側収束板46及び後側収束板47を略等しい面積で構成し、収束フレーム48に前側収束板46の前側部、及び、後側収束板47の後側部を左右方向の略同じ高さの軸46a,47aで上下回動自在に支持し、前側収束板46及び後側収束板47を上方へ回動した排藁収束姿勢で先端が少しオーバーラップするように構成している。
【0037】
そして、前側収束板46の軸46aから延出した前側アーム46bと後側収束板47の軸47aから延出した後側アーム47bとを、連動ロッド49で連動連結し、前側収束板46及び後側収束板47を同時に排出回動するようにしている。また、後側アーム47bに復帰スプリング50を取り付け、前側、後側収束板46,47を上方へ復帰回動させるように構成している。
【0038】
前記構成によると、前側収束板46及び後側収束板47に分割し、前後中間部から排藁を落下させるので、排出回動の動きを小さくしながら排藁を排出し、また、比較的前後方向の広い前側収束板46により、後続の排藁をすぐ受けとめることができ、排藁の垂れ流しを抑制しながら排藁をまとめて排出することができる。
【0039】
次に、図15に基づきドロッパ45の他の実施例について説明する。
収束フレーム48に軸架した左右方向のドロッパ軸51には、例えば90度間隔に4枚の収束板52,…を取り付けている。ドロッパ軸51に排出ギヤ53を取り付け、排出駆動モータ54により駆動ギヤ55を駆動し、排出ギヤ53を回転させ、収束板52,…を排出回動するように構成している。しかして、垂直方向の収束板52と水平方向の収束板52により排藁を受け、例えば、所定時間毎にドロッパ軸51を90度ずつ図15(B)の反時計方向に回動し、排藁を排出する構成である。
【0040】
前記構成によると、複数の収束板52,…が一方向に回動しながら排藁を排出し、後続の排藁を次の収束板52,…が受けとめるので、排藁の垂れ流しを防止しななら断続排出することができる。
【0041】
次に、操縦部3を被覆するキャビン61のミラー62の取付構成について説明する。
キャビン61の右側部前側上部にミラー62を配設している。略L字状に屈折した支持アーム64の先端部に、弾圧保持部材(図示省略)を介してミラー62を取り付け、支持アーム64に対してミラー62を回動調節し、適宜回動位置に固定自在に構成している。キャビン61の支持部材63に支持アーム64の基部を弾圧保持部材(図示省略)を介して回動調節可能で且つ適宜回動位置で固定自在に支持している。
【0042】
しかして、支持部材63の弾圧保持部材に対して支持アーム64を回動し、また、支持アーム64に対してミラー62を弾圧保持部材に対して回動することにより、図16(A)及び図17(A)に示すように、ミラー62をキャビン61の右側斜め前方に突出し、機体の右側方を確認する作業状態に調節することができる。
【0043】
また、支持アーム64及びミラー62を同様に回動調節することにより、図16(B)及び図17(B)に示すように、キャビン61の右側面に沿わせて、支持アーム64及びミラー62を前方に突出し且つ機体幅内に収納し、前側収納状態に調節することができる。
【0044】
また、支持アーム64及びミラー62を同様に回動調節することにより、図16(C)及び図17(C)に示すように、支持アーム64及びミラー62をキャビン61の右側面に沿わせて後側に移動し、機体幅内に収納した後側収納状態に調節することができる。
【0045】
前記構成によると、刈取作業時に右側方に石垣がある場合にも、ミラー62を前側収納状態とすることにより、刈取作業を円滑に行なうことができる。また、コンバインをシートで被覆するときには、支持アーム64及びミラー62を後側収納状態にすることにより、シートをミラー62に引っ掛けるようなこともなく、楽に被覆することができる。
【0046】
次に、図18及び図19に基づきキャビン61のハンドル構成について説明する。
操縦部3をキャビン61で被覆し、操縦部3の前側部には左右方向に沿った前側操作ボックス66を設けている。前側操作ボックス66の左右中央部を後方へ膨出する膨出部66aに構成し、この膨出部66aに操作パネル67を設けている。前側操作ボックス66の膨出部66aの右側方には、前方へ凹んだ凹部66bを構成し、操縦部3の操縦席(図示省略)に座ったオペレータが右足を凹部66bに嵌まり込むように位置させ、ゆったりした姿勢で操縦できるように構成している。
【0047】
また、キャビン61の前側部の左右キャビンフレーム61aには、左右方向に沿った手持ち用のハンドル68を、前側操作ボックス66の上面よりも上方に位置させた状態で取り付けている。また、このハンドル68の右側端部を前記凹部66bよりも右側へ偏位した部位で、キャビンフレーム61aに取り付けている。
【0048】
前記構成によると、操縦部3の操縦席に座ったオペレータは、右足を凹部66bに位置させて、ハンドル68を持ちながら楽な姿勢で操縦することができる。
また、キャビン61の右側面にはドア69を設け、ドア69の前側端部を上下方向の軸69a回りに開閉自在に取り付けている。そして、ドア69の前側端部に、ドアロック装置(図示省略)操作用の表側操作具71a及び裏側操作具71bを設けている。
【0049】
また、前記ハンドル68の右側端部には右手載せ部68aを設けて、ここに右手を乗せた状態で、前記刈取搬送部7を昇降したり、左右クローラ走行装置2,2を左右に操舵するパワステレバー(図示省略)を操作できるように構成している。
【0050】
また、図19に示すように、ハンドル68の右手載せ部68aを裏側操作具71bの前側を通しながら上方へ延出して右手載せ部68aを構成し、右手載せ部68aの下方に裏側操作具71bを隠すように配設している。
【0051】
前記構成によると、ハンドル68の右手載せ部68aの下方に裏側操作具71bを隠すように配設しているので、右手載せ部68aに右手を載せて操縦していても、裏側操作具71に触れるようなこともなく、ドア69の開きを防止しながら安全に操縦することができる。
【0052】
次に、図20及び図21に基づきキャビン61における空調装置のエアコンホース66,66の配索構成について説明する。
エンジン(図示省略)の例えば前方にラジエータ81を配設し、ラジエータ81の右外側に空調装置のコンデンサ82を配設している。ラジエータフレーム81aには上下方向の軸回りに回動するコンデンサ取付板83を開閉自在に取り付け、コンデンサ取付板83の内側にコンデンサ82を取り付けている。ラジエータフレーム81aの外側縁部にラジエータシール用インシュレータ85を取り付けて、閉鎖状態のコンデンサ取付板83とラジエータ81の外側縁部とをシールするように構成している。
【0053】
また、往復エアコンホース86a,86bの一端側を並列状に配索してコンデンサ82にそれぞれ接続し、往エアコンホース86aの他端側をエキスパンションタルバルブ(図示省略)を経由してキャビン61の天井部のエバポレータ(図示省略)に接続し、また、復エアコンホース86bの他端側をコンプレッサ(図示省略)を経由してエバポレータに接続している。
【0054】
往復エアコンホース86a,86bを後側からラジエータ81及びインシュレータ85の上方を通してコンデンサ取付板83の内側面上部まで導き、往復エアコンホース86a,86bを下方から支持するホース取付板87を介してコンデンサ取付板83に取り付けている。そして、往復エアコンホース86a,86bを下方に導き、コンプレッサ82に接続している。
【0055】
前記構成によると、コンデンサ取付板83を開けることにより、ラジエータ81を点検することができる。また、コンデンサ取付板83がコンデンサ82やエアコンホース86,86の重みにより下がった場合にも、コンデンサ取付板83に取り付けられているホース取付板87により、往復エアコンホース86a,86bを下方から支持しているので、エアコンホース86a,86bを保護し、耐久性を高めることができる。
【符号の説明】
【0056】
1 走行車台
3 操縦部
4 グレンタンク
5 脱穀部
7 刈取搬送部
12 扱室
20 フィードチェン
21 挟扼杆
22a 排藁根元搬送チェン
22b 排藁穂先搬送チェン
25 補助挟扼杆
31 排藁根元ガイド杆
32 排藁穂先ガイド杆
33 空間部
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの脱穀装置に備える脱穀穀稈搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脱穀穀稈搬送装置において、脱穀室における穀稈移送口のフィードチェンに沿う挟扼杆の内側には、前側部を傾斜縁とした複数の揺動シールプレートを配設し、この挟扼杆の内側方の脱穀カバー部に一体のホルダプレート前側部には、前側部を傾斜縁とした固定シールプレートを設け、このシールプレートの後端部を挟扼杆側の揺動シールプレートの前端傾斜縁部にオーバーラップさせたものは、公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−309117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
背景技術のものは、フィードチェンの上方に挟扼杆を対向配設し、挟扼杆の終端側端部よりも後方へ延出しているフィードチェンの終端側部上方に排藁搬送装置の始端側部を上方から臨ませ、排藁を引継ぎ搬送する構成である。このような構成では、フィードチェンから排藁搬送装置への排藁の引継ぎが乱れるという不具合が発生していた。
【0005】
また、図6(B)に示すように、挟扼杆から後方へ調節自在に延出したピアノ線材からなる補助挟扼杆を、フィードチェンの終端側部上方に対向配置し、フィードチェンから排藁搬送装置へ排藁を円滑に搬送しようとするものがある。しかし、ピアノ線材の補助挟扼杆では、終端側の排藁の押圧力が弱く、搬送乱れを十分に防止できないという不具合があった。
【0006】
そこで、本発明はこのような不具合を解消しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、脱穀部(5)のフィードチェン(20)の上側に対向させて挟扼杆(21)を配置し、フィードチェン(20)の終端部を挟扼杆(21)の終端部よりも後方へ延出させ、該フィードチェン(20)の終端部の上側に対向させて排藁根元搬送チェン(22a)及び排藁穂先搬送チェン(22b)の始端部を配置し、前記挟扼杆(21)の終端部に、上下方向の板体で形成した補助挟扼杆(25)を排藁搬送方向に位置調節可能に取り付け、該補助挟扼杆(25)をフィードチェン(20)の終端部に沿うように該フィードチェン(20)の上側に対向配置したことを特徴とする脱穀穀稈搬送装置とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記排藁根元搬送チェン(22a)と排藁穂先搬送チェン(22b)の中間部下方に排藁根元ガイド杆(31)を搬送方向に沿うように配置し、前記排藁穂先搬送チェン(22b)の内側寄り下方に排藁穂先ガイド杆(32)を搬送方向に沿うように設けたことを特徴とする請求項1記載の脱穀穀稈搬送装置とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記排藁根元ガイド杆(31)の始端側に排藁穂先ガイド杆(32)の始端側を取り付けるにあたり、扱室(12)の穀稈排出口の後下方に空間部(33)を形成するようにして前記排藁穂先搬送チェン(22b)側に延出したことを特徴とする請求項2記載の脱穀穀稈搬送装置とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明は、挟扼杆(21)の終端部には排藁搬送方向に調節可能な上下方向の板体からなる補助挟扼杆(25)をフィードチェン(20)の終端部上側に対向配置したので、補助挟扼杆(25)の終端側でも下方への挟持力を維持し、安価な構成でありながら排藁根元搬送チェン(22a)及び排藁穂先搬送チェン(22b)への脱穀済穀稈の引継ぎ搬送性能を高めることができる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加え、排藁根元ガイド杆(31)及び排藁穂先ガイド杆(32)により排藁の根元側及び穂先側を下方から支持して、排藁根元搬送チェン(22a)及び排藁穂先搬送チェン(22b)により搬送するので、排藁を安定して搬送することができる。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、扱室(12)の穀稈排出口の後下方に空間部(33)が形成されているので、排藁が扱室(12)から容易に排出することができ、扱室(12)での藁屑の発生を抑制し脱穀負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】コンバインの平面図。
【図3】脱穀部の切断側面図。
【図4】脱穀部の切断平面図。
【図5】扱室の正面図。
【図6】(A)穀稈搬送装置の側面図。
【0014】
(B)従来の穀稈搬送装置の側面図。
【図7】脱穀部の穀稈搬送装置の側面図、平面図。
【図8】排藁搬送装置の斜視図。
【図9】扱胴の側面図、正面図。
【図10】扱胴を展開した状態の扱歯の取付状態を示す図。
【図11】扱胴を展開した状態の扱歯の取付状態を示す図。
【図12】フィードチェンの側面図、平面図、切断正面図。
【図13】ドロッパの平面図、側面図。
【図14】ドロッパの平面図、側面図。
【図15】ドロッパの平面図、側面図。
【図16】キャビンの側面図。
【図17】キャビンの平面図。
【図18】操縦部の一部の平面図。
【図19】操縦部の一部の側面図。
【図20】ラジエータにエアコンホースを配索した斜視図。
【図21】ラジエータにエアコンホースを配索した斜視図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づいてこの発明の実施例について説明する。
まず、図1及び図2に基づき本発明を備えたコンバインの全体構成について説明する。
【0016】
コンバインの走行車台1の下方には左右クローラ走行装置2,2を配設し、走行車台1上には、右側前部に座席付きの操縦部3を、その後方にはエンジン(図示省略)及び穀粒収納用のグレンタンク4を配設し、走行車台1の左側部に脱穀部5を搭載し、走行車台1の前側部には刈取搬送部7を昇降自在に設け、脱穀部5及びグレンタンク4の後方に排藁処理装置8を設けている。
【0017】
次に、図3乃至図7に基づき脱穀部5の穀稈搬送部の構成について説明する。
脱穀部5は、前後方向の軸回りに回転する扱胴11、該扱胴11を被覆する扱室12、前後方向の軸回りに回転する排塵処理胴13、該排塵処理胴13を被覆する排塵処理室14、前後方向の軸回りに回転する二番処理胴15、二番処理胴15を被覆する二番処理室16、唐箕17、揺動選別棚18、排塵ファン19、脱穀穀稈搬送用のフィードチェン20、挟扼杆21等により構成されている。そして、フィードチェン20及び挟扼杆21の終端側に排藁根元搬送装置22a,排藁穂先搬送装置22bの始端側を連設し、脱穀済の排藁を排藁処理装置8に搬送するように構成している。
【0018】
また、図4乃至図7に示すように、扱室12の上部には脱穀カバー23が前後方向の軸回りに回動自在に設けられている。そして、脱穀カバー23のフィードチェン20寄りの開閉端部には、フィードチェン20に沿った穀稈移送口24を設けると共に、挟扼台26が固定されていて、この挟扼台26にはフィードチェン20の穀稈搬送部に対向するように挟扼杆21,…が取り付けられている。
【0019】
この挟扼杆21,…は、上側閉鎖状の断面コ字で所定長さの多数の挟扼体21a,…を多数の左右方向のピン21b,…で枢支連結すると共に、挟扼台26に上下方向に摺動自在に支持されているロッド21c、…により、このピン21b,…部が支持されていて、バネ21d,…により下方のフィードチェン20側に押圧されていて、フィードチェン20との間に穀稈を挟持して搬送する構成である。
【0020】
また、図4及び図6に示すように、側面視でフィードチェン20の中途部の上側穀稈搬送部を後上り傾斜状に構成し、その終端側を後下がり傾斜状に構成している。また、フィードチェン20の後上り傾斜状の部分に対向して挟扼杆21,…を対向配置し、フィードチェン20における後上り傾斜状部の終端側、後下がり傾斜状部の上方に対向して排藁搬送装置22の排藁根元搬送チェン22a、排藁穂先搬送チェン22bの始端側を臨ませ、これらを平行状に終端側を内側寄りに傾斜状に延出し、排藁を引継ぎ排藁処理装置8に搬送するように構成している。
【0021】
また、この引継ぎ搬送部において、最終端側の挟扼台26には搬送方向に調節可能な補助挟扼杆25を取り付け、フィードチェン20の後上り傾斜状部分の終端側部及び後下がり傾斜部分に対向配置している。そして、この補助挟扼杆25を搬送方向に沿い且つ上下方向に沿った板体に構成している。
【0022】
従来装置は、図6(B)に示すように、補助挟扼杆25aがピアノ線材により構成していたので、取付部から離れた終端側になると、排藁の挟持力が弱まり、脱穀済穀稈の排藁搬送装置22への引継ぎ姿勢が乱れるという不具合があった。
【0023】
しかし、前記構成では、補助挟扼杆25を搬送方向に沿わせて上下方向の板体に構成したので、終端側での挟持力を強く維持し、安価な構成でありながら脱穀済穀稈の引継ぎ搬送性能を高めることができる。
【0024】
次に、図7及び図8に基づき排藁搬送装置22について説明する。
フィードチェン20の終端側には、排藁搬送装置22の排藁根元搬送チェン22aの始端側を臨ませ、所定間隔内側寄りに排藁穂先搬送チェン22bを平行に設けている。また、排藁根元搬送チェン22a及び排藁穂先搬送チェン22bの中間部下方に排藁根元ガイド杆31を設けている。そして、排藁穂先搬送チェン22bの内側寄り下方に排藁穂先ガイド杆32を設け、排藁根元ガイド杆31及び排藁穂先ガイド杆32により排藁根元側及び穂先側を下方から支持して、排藁根元搬送チェン22a及び排藁穂先搬送チェン22bにより排藁を搬送するように構成している。
【0025】
従来装置は、排藁根元搬送チェン22aと排藁穂先搬送チェン22bにより排藁を搬送するにあたり、排藁根元搬送チェン22a及び排藁穂先搬送チェン22bの中間部下方に排藁根元ガイド杆31を設けるだけの構成であったので、排藁穂先側の搬送姿勢が乱れるという不具合があった。
【0026】
しかし、前記構成によると、排藁根元ガイド杆31及び排藁穂先ガイド杆32により排藁の根元側及び穂先側を下方から支持して、排藁根元搬送チェン22a及び排藁穂先搬送チェン22bにより搬送するので、排藁を安定して搬送することができる。
【0027】
また、排藁根元ガイド杆31の始端側に排藁穂先ガイド杆32の始端側を取り付けるにあたり、図8に示すように、平面視で排藁穂先搬送チェン22bの始端側部の下方を通して排藁穂先搬送チェン22bの内側寄りに延長し、平面視で内側部が後側が斜め内側に傾斜状で、且つ、搬送方向視で内側部が上り傾斜状に延出している。そして、平面視で排藁穂先搬送チェン22bより内側に延出したところから、終端側を排藁穂先搬送チェン22bに沿うように後方へ延出している。
【0028】
前記構成によると、扱室12の穀稈排出口の後方下部に広い空間部33が形成されるので、扱室12から排藁穂先側部の排出が容易となり、扱室12での藁屑の発生を抑制することができる。
【0029】
次に、図12に基づきフィードチェン20の始端側部の構成について説明する。
フィードチェン20の始端側における扱室12寄りに補助フィードチェン41を平行に設けている。また、フィードチェン20の穀稈搬送部を、図12(C)に示すように、搬送方向視で内側下り傾斜状部20aに構成し、補助フィードチェン41の穀稈搬送部を同様に内側下り傾斜状部41aに構成している。
【0030】
そして、フィードチェン20の穀稈搬送部の内側下り傾斜状部20a、及び、補助フィードチェン41の穀稈搬送部の内側下り傾斜状部41aを、搬送方向視で図12(C)に示すように、連続した内側下がり傾斜とし、扱室12前側入口部の穀稈導入口38(図5に示す)の下側縁に略沿わせるように構成し、脱穀穀稈を扱室12の穀稈導入口38の傾斜方向に沿わせて挟持しながら円滑に導入できるようにしている。
【0031】
次に、図9及び図10に基づき扱胴11の扱歯36,…の配列構成について説明する。
扱胴11の始端側(図9(A)の左側)から終端側にかけて、回転軸心線に対して直交する方向の扱歯36,…を螺旋状に配置し、脱穀穀稈を扱室12終端側へ順次送るように構成している。また、扱胴11の終端側部に扱歯36,…を配列するにあたり、扱室12と排塵処理室14とを連通する排塵口37の口幅前後方向中間より後側部分は、複数個(例えば4個)の扱歯36a,…を扱胴11の軸方向に沿わせ、且つ、回転方向に例えば90度偏位する毎に扱歯36a,…を配設している。従って、扱室12から排塵処理室14への藁屑類の取り込み性能が良くなり、脱穀負荷を軽減し、排藁への刺さり粒を少なくすることができる。
【0032】
また、扱胴11の終端側部に扱歯36,…を配設するにあたり、図11に示すように、扱室12と排塵処理室14とを連通する排塵口37の口幅の前後方向中間よりも前側部分の例えば4個の扱歯36,…群を、穀稈を後側に送る順送り傾斜扱歯群36b,…に構成し、後側部分の例えば2個の扱歯36,…群を前側に穀稈を送る逆送り傾斜扱歯群36c、…に構成しても、藁屑類を排塵処理室14に良好に取り込むことができる。
【0033】
次に、図13に基づき排藁処理装置8の一形態であるドロッパ45について説明する。
ドロッパ45は、排藁搬送装置22からの排藁を受ける前側上位の前後方向に狭い前側収束板46、及び、後側下位の広い後側収束板47の2枚で構成している。そして、それらを水平状の排藁受け状態で、少し先端がオーバーラップする関係とし、収束フレーム48に前側収束板46の前側部を左右方向の上位の軸46aで、また、後側収束板47の後側部を左右方向の下位の軸47aで、それぞれ上下回動自在に支持している。そして、前側収束板46の軸46aから延出した前側アーム46bと後側収束板47の軸47aから延出した後側アーム47bとを、連動ロッド49で連動連結し、後側アーム47bに復帰スプリング50を取り付け、前側、後側収束板46,47を上方へ復帰回動させるように構成している。
【0034】
しかして、後側収束板47に所定量の排藁が溜まると、後側収束板47が排藁の自重により自動的に下方に回動し、連動ロッド49を介して前側収束板46も下方に回動し、排藁を落下排出する。次いで、復帰スプリング50により後側収束板47及び前側収束板46が上方へ復帰回動し、後続の排藁を受ける状態に復帰する。
【0035】
前記構成によると、後側収束板47及び前側収束板46が下方へ回動し排藁を排出し、次いで、上方へ復帰回動する際に、復帰回動中の前側上位の前側収束板46により後続の排藁を早く受けとめることができ、排藁の垂れ流しを抑制しながら排藁をまとめて落下排出することができる。
【0036】
次に、図14に基づきドロッパ45の他の実施例について説明する。
このドロッパ45は、前側収束板46及び後側収束板47を略等しい面積で構成し、収束フレーム48に前側収束板46の前側部、及び、後側収束板47の後側部を左右方向の略同じ高さの軸46a,47aで上下回動自在に支持し、前側収束板46及び後側収束板47を上方へ回動した排藁収束姿勢で先端が少しオーバーラップするように構成している。
【0037】
そして、前側収束板46の軸46aから延出した前側アーム46bと後側収束板47の軸47aから延出した後側アーム47bとを、連動ロッド49で連動連結し、前側収束板46及び後側収束板47を同時に排出回動するようにしている。また、後側アーム47bに復帰スプリング50を取り付け、前側、後側収束板46,47を上方へ復帰回動させるように構成している。
【0038】
前記構成によると、前側収束板46及び後側収束板47に分割し、前後中間部から排藁を落下させるので、排出回動の動きを小さくしながら排藁を排出し、また、比較的前後方向の広い前側収束板46により、後続の排藁をすぐ受けとめることができ、排藁の垂れ流しを抑制しながら排藁をまとめて排出することができる。
【0039】
次に、図15に基づきドロッパ45の他の実施例について説明する。
収束フレーム48に軸架した左右方向のドロッパ軸51には、例えば90度間隔に4枚の収束板52,…を取り付けている。ドロッパ軸51に排出ギヤ53を取り付け、排出駆動モータ54により駆動ギヤ55を駆動し、排出ギヤ53を回転させ、収束板52,…を排出回動するように構成している。しかして、垂直方向の収束板52と水平方向の収束板52により排藁を受け、例えば、所定時間毎にドロッパ軸51を90度ずつ図15(B)の反時計方向に回動し、排藁を排出する構成である。
【0040】
前記構成によると、複数の収束板52,…が一方向に回動しながら排藁を排出し、後続の排藁を次の収束板52,…が受けとめるので、排藁の垂れ流しを防止しななら断続排出することができる。
【0041】
次に、操縦部3を被覆するキャビン61のミラー62の取付構成について説明する。
キャビン61の右側部前側上部にミラー62を配設している。略L字状に屈折した支持アーム64の先端部に、弾圧保持部材(図示省略)を介してミラー62を取り付け、支持アーム64に対してミラー62を回動調節し、適宜回動位置に固定自在に構成している。キャビン61の支持部材63に支持アーム64の基部を弾圧保持部材(図示省略)を介して回動調節可能で且つ適宜回動位置で固定自在に支持している。
【0042】
しかして、支持部材63の弾圧保持部材に対して支持アーム64を回動し、また、支持アーム64に対してミラー62を弾圧保持部材に対して回動することにより、図16(A)及び図17(A)に示すように、ミラー62をキャビン61の右側斜め前方に突出し、機体の右側方を確認する作業状態に調節することができる。
【0043】
また、支持アーム64及びミラー62を同様に回動調節することにより、図16(B)及び図17(B)に示すように、キャビン61の右側面に沿わせて、支持アーム64及びミラー62を前方に突出し且つ機体幅内に収納し、前側収納状態に調節することができる。
【0044】
また、支持アーム64及びミラー62を同様に回動調節することにより、図16(C)及び図17(C)に示すように、支持アーム64及びミラー62をキャビン61の右側面に沿わせて後側に移動し、機体幅内に収納した後側収納状態に調節することができる。
【0045】
前記構成によると、刈取作業時に右側方に石垣がある場合にも、ミラー62を前側収納状態とすることにより、刈取作業を円滑に行なうことができる。また、コンバインをシートで被覆するときには、支持アーム64及びミラー62を後側収納状態にすることにより、シートをミラー62に引っ掛けるようなこともなく、楽に被覆することができる。
【0046】
次に、図18及び図19に基づきキャビン61のハンドル構成について説明する。
操縦部3をキャビン61で被覆し、操縦部3の前側部には左右方向に沿った前側操作ボックス66を設けている。前側操作ボックス66の左右中央部を後方へ膨出する膨出部66aに構成し、この膨出部66aに操作パネル67を設けている。前側操作ボックス66の膨出部66aの右側方には、前方へ凹んだ凹部66bを構成し、操縦部3の操縦席(図示省略)に座ったオペレータが右足を凹部66bに嵌まり込むように位置させ、ゆったりした姿勢で操縦できるように構成している。
【0047】
また、キャビン61の前側部の左右キャビンフレーム61aには、左右方向に沿った手持ち用のハンドル68を、前側操作ボックス66の上面よりも上方に位置させた状態で取り付けている。また、このハンドル68の右側端部を前記凹部66bよりも右側へ偏位した部位で、キャビンフレーム61aに取り付けている。
【0048】
前記構成によると、操縦部3の操縦席に座ったオペレータは、右足を凹部66bに位置させて、ハンドル68を持ちながら楽な姿勢で操縦することができる。
また、キャビン61の右側面にはドア69を設け、ドア69の前側端部を上下方向の軸69a回りに開閉自在に取り付けている。そして、ドア69の前側端部に、ドアロック装置(図示省略)操作用の表側操作具71a及び裏側操作具71bを設けている。
【0049】
また、前記ハンドル68の右側端部には右手載せ部68aを設けて、ここに右手を乗せた状態で、前記刈取搬送部7を昇降したり、左右クローラ走行装置2,2を左右に操舵するパワステレバー(図示省略)を操作できるように構成している。
【0050】
また、図19に示すように、ハンドル68の右手載せ部68aを裏側操作具71bの前側を通しながら上方へ延出して右手載せ部68aを構成し、右手載せ部68aの下方に裏側操作具71bを隠すように配設している。
【0051】
前記構成によると、ハンドル68の右手載せ部68aの下方に裏側操作具71bを隠すように配設しているので、右手載せ部68aに右手を載せて操縦していても、裏側操作具71に触れるようなこともなく、ドア69の開きを防止しながら安全に操縦することができる。
【0052】
次に、図20及び図21に基づきキャビン61における空調装置のエアコンホース66,66の配索構成について説明する。
エンジン(図示省略)の例えば前方にラジエータ81を配設し、ラジエータ81の右外側に空調装置のコンデンサ82を配設している。ラジエータフレーム81aには上下方向の軸回りに回動するコンデンサ取付板83を開閉自在に取り付け、コンデンサ取付板83の内側にコンデンサ82を取り付けている。ラジエータフレーム81aの外側縁部にラジエータシール用インシュレータ85を取り付けて、閉鎖状態のコンデンサ取付板83とラジエータ81の外側縁部とをシールするように構成している。
【0053】
また、往復エアコンホース86a,86bの一端側を並列状に配索してコンデンサ82にそれぞれ接続し、往エアコンホース86aの他端側をエキスパンションタルバルブ(図示省略)を経由してキャビン61の天井部のエバポレータ(図示省略)に接続し、また、復エアコンホース86bの他端側をコンプレッサ(図示省略)を経由してエバポレータに接続している。
【0054】
往復エアコンホース86a,86bを後側からラジエータ81及びインシュレータ85の上方を通してコンデンサ取付板83の内側面上部まで導き、往復エアコンホース86a,86bを下方から支持するホース取付板87を介してコンデンサ取付板83に取り付けている。そして、往復エアコンホース86a,86bを下方に導き、コンプレッサ82に接続している。
【0055】
前記構成によると、コンデンサ取付板83を開けることにより、ラジエータ81を点検することができる。また、コンデンサ取付板83がコンデンサ82やエアコンホース86,86の重みにより下がった場合にも、コンデンサ取付板83に取り付けられているホース取付板87により、往復エアコンホース86a,86bを下方から支持しているので、エアコンホース86a,86bを保護し、耐久性を高めることができる。
【符号の説明】
【0056】
1 走行車台
3 操縦部
4 グレンタンク
5 脱穀部
7 刈取搬送部
12 扱室
20 フィードチェン
21 挟扼杆
22a 排藁根元搬送チェン
22b 排藁穂先搬送チェン
25 補助挟扼杆
31 排藁根元ガイド杆
32 排藁穂先ガイド杆
33 空間部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀部(5)のフィードチェン(20)の上側に対向させて挟扼杆(21)を配置し、フィードチェン(20)の終端部を挟扼杆(21)の終端部よりも後方へ延出させ、該フィードチェン(20)の終端部の上側に対向させて排藁根元搬送チェン(22a)及び排藁穂先搬送チェン(22b)の始端部を配置し、前記挟扼杆(21)の終端部に、上下方向の板体で形成した補助挟扼杆(25)を排藁搬送方向に位置調節可能に取り付け、該補助挟扼杆(25)をフィードチェン(20)の終端部に沿うように該フィードチェン(20)の上側に対向配置したことを特徴とする脱穀穀稈搬送装置。
【請求項2】
前記排藁根元搬送チェン(22a)と排藁穂先搬送チェン(22b)の中間部下方に排藁根元ガイド杆(31)を搬送方向に沿うように配置し、前記排藁穂先搬送チェン(22b)の内側寄り下方に排藁穂先ガイド杆(32)を搬送方向に沿うように設けたことを特徴とする請求項1記載の脱穀穀稈搬送装置。
【請求項3】
前記排藁根元ガイド杆(31)の始端側に排藁穂先ガイド杆(32)の始端側を取り付けるにあたり、扱室(12)の穀稈排出口の後下方に空間部(33)を形成するようにして前記排藁穂先搬送チェン(22b)側に延出したことを特徴とする請求項2記載の脱穀穀稈搬送装置。
【請求項1】
脱穀部(5)のフィードチェン(20)の上側に対向させて挟扼杆(21)を配置し、フィードチェン(20)の終端部を挟扼杆(21)の終端部よりも後方へ延出させ、該フィードチェン(20)の終端部の上側に対向させて排藁根元搬送チェン(22a)及び排藁穂先搬送チェン(22b)の始端部を配置し、前記挟扼杆(21)の終端部に、上下方向の板体で形成した補助挟扼杆(25)を排藁搬送方向に位置調節可能に取り付け、該補助挟扼杆(25)をフィードチェン(20)の終端部に沿うように該フィードチェン(20)の上側に対向配置したことを特徴とする脱穀穀稈搬送装置。
【請求項2】
前記排藁根元搬送チェン(22a)と排藁穂先搬送チェン(22b)の中間部下方に排藁根元ガイド杆(31)を搬送方向に沿うように配置し、前記排藁穂先搬送チェン(22b)の内側寄り下方に排藁穂先ガイド杆(32)を搬送方向に沿うように設けたことを特徴とする請求項1記載の脱穀穀稈搬送装置。
【請求項3】
前記排藁根元ガイド杆(31)の始端側に排藁穂先ガイド杆(32)の始端側を取り付けるにあたり、扱室(12)の穀稈排出口の後下方に空間部(33)を形成するようにして前記排藁穂先搬送チェン(22b)側に延出したことを特徴とする請求項2記載の脱穀穀稈搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2010−193793(P2010−193793A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42665(P2009−42665)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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