説明

脱臭処理装置及び脱臭処理方法

【課題】濃縮装置の内部の多孔物質の孔又はその端面に堆積した粒径が数μm〜数10μm程度のダストを効率よく系外に排出させて、濃縮装置のVOC除去能力を維持しながら、脱臭処理を可能とする脱臭処理装置及び脱臭処理方法を提供する。
【解決手段】本発明の脱臭処理装置は、多孔物質を有してなり、該多孔物質内にVOC含有ガスを吸着し、浄化したガスを通過させると共に、吸着されたガスを脱着できる濃縮装置と、濃縮装置から脱着されたVOC含有脱着ガスを燃焼する脱臭燃焼装置と、を具備し、濃縮装置が、前記多孔物質に堆積されたダストを除去するための、エアーブロー式又はエアー吸引式のダスト除去手段を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、VOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)含有ガスを脱臭処理する脱臭処理装置及び脱臭処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
塗装ライン等において使用される揮発性有機化合物(VOC)は大気汚染防止により排出抑制が求められている。排出抑制の方法として、VOCを含有するガス(以下、「VOC含有ガス」という)を800〜900℃程度の高温で燃焼してHOとCOに分解する方法が一般に採用されている。
【0003】
また、VOC含有ガス中にVOC濃度が低い(〜1000ppmC程度)場合、脱臭燃焼装置を小型化するため、予めVOCを吸着して濃縮し、体積を減じてから燃焼する方法が採られている。VOCを吸着濃縮するのに用いられる吸着濃縮装置には、少なくとも吸着部と脱着部を有する回転式吸着濃縮装置が一般に用いられる(例えば、特許文献1、2)。
【0004】
図2に、回転式吸着濃縮装置と脱臭燃焼装置とを組み合わせた従来のVOC含有ガスの脱臭処理装置の一例のフロー図を示す。
吸入ファン101を用いてVOC含有ガス流入管103を介して回転式吸着濃縮装置102の吸着部102aへ送られた被処理VOC含有ガスは、VOCがその吸着部102aに吸着され、浄化されたガスは外部へ放出される。吸着部102aに吸着して濃縮されたVOCは、回転により連続的に吸着部102aから脱着部102bへ移動され、熱交換器110b及び加熱手段104で加熱され吸入ファン106を用いて供給される脱着用気体によって脱着される。脱着されたVOCを含む脱着濃縮ガスは、吸入ファン108を介して脱臭燃焼装置110に通気される。この脱着濃縮ガスは脱臭燃焼装置110の熱交換器110cで予備加熱され、燃焼室110aで濃縮ガス中のVOCが酸化分解(燃焼)されることにより浄化され、熱交換器110bを経て排出される。
【0005】
回転式吸着濃縮装置としては、ハニカム式吸着濃縮装置あるいは流動式吸着濃縮装置など種々のものが提供されているが、これらの中で装置の大きさや操作性などからハニカム式吸着濃縮装置が一般に使用されている。
ハニカム式吸着濃縮装置は、図3に示すように、VOCを吸着する活性炭やゼオライトなどの吸着材をシートの波形に型付け加工したものと未加工のものとを重ねて多数の孔Pを有するハニカム状にした吸着ロータ102Aを用いる。
図3で示した回転式吸着濃縮装置において、被処理ガスであるVOC含有ガスを吸着ロータ102Aを通過させ、VOCを吸着部の多数の孔Pに吸着させ、浄化されたガスのみが外部へ排気される。再生(脱着)用ガスとして取り入れた外気を加熱手段で加熱し、供給ダクト111を介して吸着ロータ102Aの脱着部に供給し、吸着ロータ102AからVOCを分離して排気ダクト113から濃縮ガスとして排出する。
【0006】
このように、回転式吸着濃縮装置の内部には活性炭やゼオライト等の多孔物質からなる吸着ロータが組み込まれており、常温下で多孔物質にVOC含有ガスを通すと孔PにVOCが捕捉され、VOC濃度が低下した排気ガスはそのまま大気に放散される(例えば、特許文献3)。
多孔物質は150〜200℃程度の温度下にさらすと、捕捉されたVOCを放出する特性を有している。上述の通り、吸着ロータをVOC含有ガスの通過範囲(VOC捕捉範囲)である吸着部102aと150〜200℃程度の温度下にさらす範囲(VOC放出範囲)である脱着部102bとを仕切り、吸着ロータを回転させながら、VOC含有ガスを通過させることにより、VOCを吸着させ、次いで、高温の空気を通すことで吸着濃縮したVOCを脱着させて取り出すことができる。そして、VOC捕捉時間と放出時間の比と、VOC放出用気体(高温空気)の温度とを調整することでVOCの濃縮の制御を行い、大気へのVOC放出を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−248317号公報
【特許文献2】特開2001−310111号公報
【特許文献3】特開平10−244125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
VOC含有ガスは有機化合物を製造、もしくは消費する工程において発生するが、例えば塗料のように、有機化合物以外に防錆、防腐剤等のVOC以外の不純物が含まれる場合もある。この場合、これらは不純物として濃縮装置内の多孔物質の孔P又はその端面102cに堆積し又は孔Pを塞ぎ、濃縮機能(吸着効率)を低下させることがある。そのため、図4に示すように、濃縮装置の入側にプレ活性炭フィルタ113やロールフィルタ114を設けられている。これらのフィルタにより、大きな不純物を取り除くことはできるが、粒径が数μm〜数10μm程度の細かな不純物(以下「ダスト」という)についてはフィルタの目をすり抜けてしまう。長期にわたり、このような状態が続くと、ダストが多孔物質表面に堆積し、孔を塞いでしまい、濃縮機能を低下させることになる。結果として、十分なVOCの濃縮を行うことができなくなり、大気放散されるVOCの削減も不十分となる。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、濃縮装置の内部の多孔物質の孔又はその端面に堆積した粒径が数μm〜数10μm程度のダストを効率よく系外に排出させて、濃縮装置のVOC除去能力を維持し又は低下した能力を回復しつつ、脱臭処理を可能とする脱臭処理装置及び脱臭処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)多孔物質を有してなり、該多孔物質内にVOC含有ガスを吸着し、浄化したガスを通過させると共に、吸着されたガスを脱着できる濃縮装置と、前記濃縮装置から脱着されたVOC含有脱着ガスを燃焼する脱臭燃焼装置と、を具備し、前記濃縮装置が、前記多孔物質に堆積されたダストを除去するための、エアーブロー式又はエアー吸引式のダスト除去手段を備えたことを特徴とする脱臭処理装置。
(2)前記濃縮装置の入側に、大気を吸引するための大気吸引口と、前記濃縮装置へのVOC含有ガスの吸引と大気の吸引とを切り替える切替手段と、を備えたことを特徴とする(1)に記載の脱臭処理装置。
(3)前記ダスト除去手段に定期的に起動信号を出力する第1起動制御手段を備えたことを特徴とする(1)又は(2)のいずれかに記載の脱臭処理装置。
(4)前記濃縮装置の浄化したガスの出側に、ダスト回収装置を備えたことを特徴とする(1)から(3)のいずれか一つに記載の脱臭処理装置。
(5)前記濃縮装置の入側及び浄化したガスの出側のそれぞれに、ガスのVOC濃度を測定する入側濃度計と出側濃度計とを備え、前記入側濃度計で測定された入側VOC濃度と前記出側濃度計で測定された出側VOC濃度とからVOC除去効率を計算し、そのVOC除去効率の値に応じて前記ダスト除去手段に起動信号を出力する第2起動制御手段を備えたことを特徴とする(1)から(4)のいずれか一つに記載の脱臭処理装置;ここで、
【数1】

(6)多孔物質を有してなり該多孔物質内に被処理VOC含有ガスを吸着し、浄化したガスを通過させると共に吸着されたガスを脱着できる濃縮装置に、被処理VOC含有ガスを通気して吸着させた吸着ガスを脱着してその脱着されたVOCを含む脱着ガスを脱臭燃焼装置で燃焼して脱臭する脱臭処理方法において、エアーブロー式又はエアー吸引式で前記多孔物質に気体を流通させることによって前記多孔物質に堆積されたダストを除去するダスト除去工程を含むことを特徴とする脱臭処理方法。
(7)前記ダスト除去工程を、前記濃縮装置にVOC含有ガスを吸引する吸引手段の吸引力を増大することによって行うことを特徴とする(6)に記載の脱臭処理方法。
(8)前記流通をさせる気体として大気を用いることを特徴とする(6)又は(7)のいずれかに記載の脱臭処理方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の脱臭処理装置によれば、濃縮装置が、多孔物質に堆積されたダストを除去するための、エアーブロー式又はエアー吸引式のダスト除去手段を備えた構成なので、定期的に又は不定期にダスト除去手段を駆動してVOCの吸着を妨げるダストを除去することによってVOC除去能力を維持し又は低下した能力を回復することができるので、高効率の脱臭処理が可能となるとと共に、濃縮装置の長寿命化により設備コストの削減、また、メンテナンス回数の低減を図ることができる。
【0012】
本発明の脱臭処理装置によれば、濃縮装置の入側に、大気を吸引するための大気吸引口と、濃縮装置へのVOC含有ガスの吸引と大気の吸引とを切り替える切替手段とを備えた構成とすることにより、VOC含有ガスの発生工程の稼働を一時中断して、濃縮装置の入側の切替手段を大気吸引側とするだけで、未処理のVOCが系外に排出されることなく、濃縮装置内の多孔物質に堆積したダストを排出することができる。
【0013】
本発明の脱臭処理装置によれば、濃縮装置の浄化したガスの出側に、ダスト回収装置を備えた構成とすることにより、除去したダストを系外に排出する設備を設けることなく、除去したダストを回収することができる。
【0014】
本発明の脱臭処理装置によれば、ダスト除去手段に定期的に起動信号を出力する第1起動制御手段を備えた構成とすることにより、定期的に濃縮装置のVOC除去能力を回復して、高効率の脱臭処理を行うことができる。
【0015】
本発明の脱臭処理装置によれば、入側濃度計で測定された入側VOC濃度と出側濃度計で測定された出側VOC濃度とからVOC除去効率を計算し、そのVOC除去効率の値に応じてダスト除去手段に起動信号を出力する第2起動制御手段を備えた構成とすることにより、一定水準以上の濃縮装置の吸着濃縮能力で脱臭処理を行うことができる。
【0016】
本発明の脱臭処理方法によれば、高効率の脱臭処理作業が可能となるとと共に、濃縮装置の長寿命化により設備コストの削減、メンテナンスの回数の低減を図ることができる。
本発明の脱臭処理方法によれば、ダスト除去工程を、濃縮装置にVOC含有ガスを吸引する吸引手段の吸引力を増大することによって行う構成とすることにより、脱臭処理装置が有する吸引手段を利用して濃縮装置のダスト除去が可能となる。
本発明の脱臭処理方法によれば、多孔物質に流通をさせる気体として大気を用いる構成とすることにより、清浄な気体を用いた濃縮装置のダスト除去作業が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を適用した一実施形態である脱臭処理装置のフロー図である。
【図2】従来の脱臭処理装置の一例のフロー図である。
【図3】従来のハニカム式吸着ロータの概略斜視図である。
【図4】従来の回転式吸着濃縮装置の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を適用した一実施形態である脱臭処理装置及び脱臭処理方法について、図1を用いて詳細に説明する。
【0019】
本発明を適用した一実施形態である脱臭処理装置は、吸入ファン(吸引手段)1によって濃縮装置2へ送られるVOC含有ガスが流通するVOC含有ガス流入管3と、VOC含有ガスを吸着部2aに吸着して濃縮すると共にその吸着ガスを脱着できる濃縮装置2と、濃縮装置2に吸着されたVOCを脱着するために、熱交換器10b及び加熱手段4によって加熱された脱着用気体を吸入ファン6を用いて濃縮装置2の脱着部2bに供給する脱着用気体供給手段7と、濃縮装置2から脱着されたVOCを含む脱着濃縮ガスを吸入ファン8を用いて脱臭燃焼装置10へ送る脱着濃縮ガス流入管9と、燃焼室10aで脱着濃縮ガスを燃焼すると共に、脱着濃縮ガスが燃焼後のガスと熱交換する熱交換器10cを備えた脱臭燃焼装置10と、濃縮装置2の入側に設けられた大気を吸引するための大気吸引口11及び濃縮装置へのVOC含有ガスの吸引と大気の吸引とを切り替える切替手段A1と、濃縮装置2の浄化したガスの出側に設けられたダスト回収装置12及び系外への放散とダスト回収装置へとを切り替える切替手段A2と、濃縮装置2の入側及び浄化したガスの出側のそれぞれに設けられたガスのVOC濃度を測定する入側濃度計B1と出側濃度計B2と、第1起動制御手段及び第2起動制御手段を具備する制御手段13と、を備えている。
【0020】
第1起動制御手段は、定期的に吸入ファン1の回転数を上げるトリガーとなる起動信号を出力すると共に、これと同時に切替手段A1をVOC含有ガスの吸引から大気の吸引へと切り替え、さらに、切替手段A2を系外への放散からダスト回収装置へと切り替えることができる。
これによって、未処理のVOCが系外に排出されずに、濃縮装置内の多孔物質のダストを除去でき、また、除去したダストを系外に排出する設備を設けることなく、回収でき、定期的に濃縮装置のVOC除去能力を回復することができる。
【0021】
第2起動制御手段は、入側濃度計B1で測定された入側VOC濃度と出側濃度計B2で測定された出側VOC濃度とからVOC除去効率を計算し、そのVOC除去効率の値に応じて吸入ファン1の回転数を上げるトリガーとなる起動信号を出力すると共に、これと同時に切替手段A1をVOC含有ガスの吸引から大気の吸引へと切り替え、さらに、切替手段A2を系外への放散からダスト回収装置へと切り替えることができる。
これによって、所定のVOC除去能力以上で濃縮装置を用いて脱臭処理を行うことができる。
【0022】
制御手段13は第1起動制御手段と第2起動制御手段を備えており、自動又は手動で第1起動制御手段及び第2起動制御手段の一方を選択して運転を行うことができる。
【0023】
本実施形態では、吸入ファン1がダスト除去手段を兼ね、エアー吸引式のダスト除去手段となっているが、ダスト除去手段は別個に設けられてもよく、また、エアーブロー式でもよい。本実施形態では、吸入ファン1は濃縮装置2の入側にあるが、濃縮装置2の出側にあってもよい。
【0024】
本実施形態では、ダストを除去するために系外から大気を取り入れて用いているが、清浄な気体であればよいので、濃縮装置の浄化したガスを利用してもよい。
【0025】
本実施形態では、切替手段A1及びA2の切り替えを制御手段13を用いて自動で行う構成であるが、手動で行う構成であってもよい。
【0026】
入側濃度計B1で測定された入側VOC濃度と出側濃度計B2で測定された出側VOC濃度とからVOC除去効率を表示する構成となっているのが好ましい。
ダスト除去工程実施の効果を確認することができるし、また、濃縮装置のメンテナンスの目安として利用することもできるからである。
脱臭燃焼装置は、蓄熱式のものでもよく、熱交換器10bの代わりに、蓄熱体を用いてもよい。
【0027】
ダスト除去手段を定期的に起動する場合、操業条件にもよるが、例えば、塗装ラインで8時間/日の連続操業という条件で用いるときは、1〜3日毎に稼働するのが好ましい。
【0028】
ダスト除去手段をVOC除去効率に応じて起動する場合、90%以下に低下したときに起動するのが好ましい。
【0029】
ダストの除去は市販の拡大鏡等で確認することができる。
【0030】
図1に示した脱臭処理装置において、吸入ファン(吸引手段)1によって切替手段A1を介して導入された被処理ガスであるVOC含有ガスは、濃縮装置2の吸着部2aに送られ、VOCが吸着され、浄化されたガスは切替手段A2を介して放出される。
脱臭処理装置の運転中又は運転停止中に、定期的に又は不定期に、濃縮装置2の入側に設置された入側濃度計B1及び出側に設置された出側濃度計B2によって、濃縮装置2の入側及び出側のVOC濃度が測定され、測定された入側VOC濃度及び出側VOC濃度は第2起動制御手段に送られ、第2起動制御手段ではVOC除去効率が計算されて、そのVOC除去効率の値に応じてダスト除去手段に起動信号を出力する。ダスト除去手段に起動信号を出力するVOC除去効率の値は予め所定の値に設定しておくこともできるし、運転状況例えば、連続運転時間によって変更するように設定できるのが好ましい。
尚、制御手段13は、定期的に吸入ファン1の回転数を上げるトリガーとなる起動信号を出力する第1起動制御手段を備えており、VOC濃度の測定を行わずにダスト除去工程を行ってもよい。
【0031】
図1に示した脱臭処理装置においては、吸入ファン(吸引手段)1をダスト除去手段として用い、その吸入量を通常運転時よりも増大することによって濃縮装置の多孔物質に堆積したダストを導入ガスの風圧によって吹き飛ばすことによってダスト除去工程を行う。
【0032】
制御手段13が第2起動制御手段を選択して脱臭処理装置が運転されているときは、VOC除去効率が所定の値以下になると、第2起動制御手段から吸入ファン1の回転数を上げるトリガーとなる起動信号が出力されると共に、切替手段A1をVOC含有ガスの吸引から大気の吸引へと切り替え、さらに、切替手段A2を系外への放散からダスト回収装置へと切り替えられ、ダスト除去工程が行われる。
【実施例】
【0033】
表1に、図1に示した構成の脱臭処理装置を用いて、ダスト除去工程を含む脱臭処理装置の連続運転を行い、連続運転の前後のVOC除去効率〔%〕の変化を示す。
いずれも、塗装ラインにおいて脱臭処理装置を一日24時間、1ヶ月連続運転を行った場合の例であり、1ヶ月の連続運転の前後のそれぞれのVOC除去効率を示している。
ここで、本発明の実施例1及び2における「一日24時間」の運転とは、7.5時間通常運転をした後、0.5時間ダスト除去工程を行うという「8時間の運転サイクル」を3セット行う運転をいう。
尚、比較例は、ダスト除去工程を行わないで一日24時間、1ヶ月連続運転を行った従来技術の例である。
表1中で、実施例3の「連続運転前」、「連続運転後」のVOC除去効率は、比較例と同様の一日24時間、1ヶ月連続運転を行った後にエアーブロー(ダスト除去工程)を行い、そのエアーブロー前後のそれぞれのVOC除去効率である。
【0034】
実施例1は、「8時間の運転サイクル」において行う0.5時間のダスト除去工程を、吸入ファン1の吸引量(回転数)を通常運転の1.5倍として実施した例である。
実施例2は、「8時間の運転サイクル」において行う0.5時間のダスト除去工程を、吸入ファン1の吸引量(回転数)を通常運転の2倍として実施した例である。
実施例1及び2は、エアー吸引式でダスト除去工程を行った例である。
【0035】
実施例3は、比較例と同様に一日24時間、1ヶ月連続運転を行った後、比較例と異なり、0.6MPaの高圧エアーで1時間ブローイングを実施することによりダスト除去工程を実施した例である。
実施例3は、エアーブロー式でダスト除去工程を行った例である。
【0036】
【表1】

【0037】
ダスト除去工程を行わない従来の場合(比較例)では、1ヶ月の連続運転前にVOC除去効率が95%であったが、1ヶ月の連続運転後は70%となり、VOC除去効率が大幅に低下した。
【0038】
これに対して、実施例1では、1ヶ月の連続運転前に95%であったVOC除去効率が1ヶ月の連続運転後も91.5%とわずかに低下しただけであった。このように、VOC除去効率の低下が大幅に抑制されたのは、「8時間の運転サイクル」において行う0.5時間のダスト除去工程を、吸入ファン1の吸引量(回転数)を通常運転の1.5倍として実行したことにより、濃縮装置の多孔物質の孔又はその端面に堆積したダストが除去された効果である。
【0039】
また、実施例2では、1ヶ月の連続運転前に95%であったVOC除去効率が1ヶ月の連続運転後も92%を維持しており、VOC除去効率の低下の程度はさらに抑制されていた。
【0040】
さらに、実施例3は比較例と同様に一日24時間、1ヶ月連続運転を行った後に70%にまで低下したVOC除去効率はエアーブロー後は90%にまで回復した。
【符号の説明】
【0041】
1 吸入ファン
2 濃縮装置
3 VOC含有ガス流入管
4 加熱手段
6 吸入ファン
7 脱着用気体供給手段
8 吸入ファン
9 脱着濃縮ガス流入管
10 脱臭燃焼装置
10a 燃焼室
10b 熱交換器
10c 熱交換器
11 大気吸引口
12 ダスト回収装置
13 制御手段
A1 切替手段
A2 切替手段
B1 入側濃度計
B2 出側濃度計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔物質を有してなり、該多孔物質内にVOC含有ガスを吸着し、浄化したガスを通過させると共に、吸着されたガスを脱着できる濃縮装置と、
前記濃縮装置から脱着されたVOC含有脱着ガスを燃焼する脱臭燃焼装置と、を具備し、
前記濃縮装置が、前記多孔物質に堆積されたダストを除去するための、エアーブロー式又はエアー吸引式のダスト除去手段を備えたことを特徴とする脱臭処理装置。
【請求項2】
前記濃縮装置の入側に、大気を吸引するための大気吸引口と、前記濃縮装置へのVOC含有ガスの吸引と大気の吸引とを切り替える切替手段と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の脱臭処理装置。
【請求項3】
前記ダスト除去手段に定期的に起動信号を出力する第1起動制御手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の脱臭処理装置。
【請求項4】
前記濃縮装置の浄化したガスの出側に、ダスト回収装置を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の脱臭処理装置。
【請求項5】
前記濃縮装置の入側及び浄化したガスの出側のそれぞれに、ガスのVOC濃度を測定する入側濃度計と出側濃度計とを備え、
前記入側濃度計で測定された入側VOC濃度と前記出側濃度計で測定された出側VOC濃度とからVOC除去効率を計算し、そのVOC除去効率の値に応じて前記ダスト除去手段に起動信号を出力する第2起動制御手段を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の脱臭処理装置;
ここで、
【数1】

【請求項6】
多孔物質を有してなり該多孔物質内に被処理VOC含有ガスを吸着し、浄化したガスを通過させると共に吸着されたガスを脱着できる濃縮装置に、被処理VOC含有ガスを通気して吸着させた吸着ガスを脱着してその脱着されたVOCを含む脱着ガスを脱臭燃焼装置で燃焼して脱臭する脱臭処理方法において、
エアーブロー式又はエアー吸引式で前記多孔物質に気体を流通させることによって前記多孔物質に堆積されたダストを除去するダスト除去工程を含むことを特徴とする脱臭処理方法。
【請求項7】
前記ダスト除去工程を、前記濃縮装置にVOC含有ガスを吸引する吸引手段の吸引力を増大することによって行うことを特徴とする請求項6に記載の脱臭処理方法。
【請求項8】
前記流通をさせる気体として大気を用いることを特徴とする請求項6又は7のいずれかに記載の脱臭処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−45527(P2012−45527A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192602(P2010−192602)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【特許番号】特許第4694650号(P4694650)
【特許公報発行日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【出願人】(000211123)中外炉工業株式会社 (170)
【Fターム(参考)】