説明

脱臭機

【課題】 病院の病室での患者のおしめ交換や処置などの際に発生する臭気などを除去する為の脱臭機で、より効果的に臭気を除去し得るようにすると共に脱臭機が作業者の邪魔にならないようにする。
【解決手段】 長方形状の送気口を有する平板状の送気部材と、長方形状の吸気口を有する平板状の吸気部材とにて構成し、送気部材と吸気部材とを夫々独立して移動可能とした脱臭機で、送気部材の送気口よりの空気を臭気を発する部分に送風し、吸気部材の吸気口よりの吸引により臭気をほぼ完全に除去し得るようにした。更に、送気部材と吸気部材を移動可能によることにより、脱臭効果が最も得られしかも作業者などの邪魔にならないような配置を可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、悪臭を発する箇所や、悪臭を有する箇所(空間)での悪臭を除去するための脱臭機で、特に病院における手術後の患者のベット上での処置やおむつの交換等の際に発する悪臭を除去するために用いられる脱臭機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明のような脱臭機の従来例として、次に示す文献が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−211264号
【特許文献2】特開2000−157617
【特許文献3】特開2000−157582
【特許文献4】特開2001−204806 これら特許文献のうち、特許文献1は、病院等にて用いられる要介護者の排尿便時に発生する臭気の除去のためのもので、吸着剤2、消臭剤3を有する脱臭機1にフレキシブルホース5とその先端に吸入口6を設けた構成で、吸入口6を臭気の近くに位置せしめた上で臭気を吸引するものである。
【0004】
又他の特許文献2〜4も、特許文献1と同様にホースの先端の吸入口を臭気の発生箇所等に配置して臭気を吸引するものである。
【0005】
したがって、これら文献の脱臭機にて、例えば病院のベット上の手術後の患者のおむつ交換や、患者に対する治療の際に発生する悪臭を除去する場合、吸気用ホースの先端あるいはこの先端に取り付けられた吸気口を患者の近くに位置させなければ脱臭効果は得られない。したがって、この吸気用ホース等が作業の邪魔になり好ましくない。
【0006】
又、これら文献の脱臭機は、ホースの先端の端面積があまり大ではなく、広い範囲からの吸気を行なうことができず、十分な脱臭が得られるとは考えられない。又、ホースの径を大にし、更にその先端吸気口を広くすることも考えられるが、患者に対する処置等にとっては脱臭機本体やホース、吸気口が邪魔になり一層好ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、脱臭機を悪臭等を除去する箇所(悪臭を発するもの)に近接して配置しなくとも、少なくとも患者に対する処置等の作業を行なう際の障害にならない程度離しておいても、十分脱臭効果が得られる脱臭機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の脱臭機は、平面状の送気口を有する送気部材と、平面状の吸気口を有する吸気部材との二つの部材よりなり、両部材が各々独立して移動可能であって、送気部材の送気口と吸気部材の吸気口とを互いに対面させて配置することにより、送気部材の送気口より送り出される空気を吸気部材の吸気口より吸引することにより送気口と吸気口との間に空気流を生ずるようにしたもので、この空気流が臭気を発する箇所又は臭気の存在する箇所を通るようにして、空気流と共に臭気を吸気口より吸引して除去するようにした。
【0009】
これにより、比較的広い範囲での臭気を、送気部材や吸気部材を臭気発生部分等に近接配置することなしにほぼ完全に臭気を除去し得る。
【0010】
又、送気部材と吸気部材とを夫々独立して移動可能としたことにより、送気口と吸気口との位置関係を脱臭にとって最も好ましい位置に配置することが可能であり、又脱臭作用を損なうことなしにベット上での処置や作業を行ない易い位置に両部材を配置することも可能である。
【0011】
尚、後に述べる実施例に示すように送気口および吸気口は長方形状のほぼ同一形状で、ほぼ同一の大きさが好ましいが、使用目的に応じて、長方形以外の形状でも良い。又送気口と吸気口が異なる形状や異なる大きさでもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の脱臭機は、送気部材と吸気部材とよりなり、送気部材よりの空気を異臭を発する箇所又は異臭を有する箇所へ送り、この送気部材よりの空気を臭気と共に吸気部材にて吸引除去することにより完全に近い脱臭を行ない得るという効果を有する。
【0013】
更に、送気部材と吸気部材とを互いに独立して移動可能としたことにより、脱臭効果が得られる配置位置での運転を可能とし、又脱臭機の使用により作業の邪魔にならない位置に置いた上で運転し得るという効果も有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明脱臭機の実施例の断面図
【図2】前記実施例の平面図
【図3】前記実施例の送気部材の正面図
【図4】前記実施例の吸気部材の正面図
【図5】前記実施例の使用例
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態を図示する実施例にもとづいて説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明脱臭機の実施例は、図1乃至図4に示す通りの構成である。これら図のうち、図1は断面図、図2は平面図、図3は脱臭機を構成する送気部材の正面図、図4は脱臭機を構成する吸気部材の正面図である。
【0017】
本発明の脱臭機は、図1、図2に示すように、送気部材10と吸気部材20とよりなる。
【0018】
これら部材のうち、送気部材10は表面と裏面とその上下の上側端面と底面と左右の側面とにて囲まれた水平方向の断面が細長い長方形状の中空部分を有する平板状の本体ケース11と、平板状の本体ケース11内下部に固定された送風機12と、その上部に配置された空気中に含まれるほこり等を除去するためのメインフィルタ13とよりなり、メインフィルタ13の前面が網状の送気口14を形成する。又本体ケース11の下部の送風機12の背面には、開口15が形成され又プレフィルタ16が配置されている。又、本体ケース11の上部には図3に示すように操作盤17が配置され、送気部材10の送気量等をコントロールする。
【0019】
又、送気部材10の送気口14は図3の正面図に示すように本体ケース11の上方に設けられ長方形状であり、したがって、送気口14よりの空気流は、断面長方形状の一定幅の流れとなる。
【0020】
又、本体ケース11の底面には、図1に示すようにキャスタ18とアジャスタ19とが設けられている。このアジャスタ19により、送気部材10は移動可能とし又固定するようにしている。つまりアジャスタ19を調整してこれを上げることにより、本体ケース11はキャスタ18により支持され移動可能となる。又、アジャスタ19を下げることにより本体ケース11は、アジャスタ19にて支持され所定位置に固定される。
【0021】
この送気部材10は、送風機12の運転により、開口15からの空気を本体ケース11の中空部分を上昇させて送気口14より、図1に矢印にて示すように、送気口の面にほぼ直角方向に送風するように構成されている。
【0022】
一方、図1、図2における吸気部材20は、送気部材10と同様に、平板状の本体ケース21の下部に送風機22が固定され、その上部には吸気口23を設け、吸気口23の背後に例えば光触媒と殺菌灯が設けられた脱臭・殺菌フィルタ24を有する。又、送風機20の後方には空気を排出するための開口25が設けられている。
【0023】
この吸気部材20は、送風機22の運転により本体ケース21内の空気を開口25より排出することにより、吸気口23より外部の空気を矢印にて示すように吸引する。
【0024】
ここで、悪臭を有する汚染された空気は、吸気口23より本体ケース21内に吸引されると共に、脱臭、殺菌フィルタにて脱臭、殺菌された後に清浄な空気となり開口25より外部に排出される。
【0025】
ここで吸気部材20の本体ケース21の下部背面の開口25には、排気用カバー26を着脱可能に設けられている。このカバー26を取り付けることにより、開口25より排出される空気は、上方25aより排出される。つまり排出する空気を開口25より直接外部に排出する際、開口25付近で作業者が作業を行なう場合や、開口25付近に器具等が置かれている場合この開口25より排出される空気が直接作業者や器具等に当たり好ましくない。これを避けるために、カバー26を取り付けることにより、排出する空気を上方に向ければよい。
【0026】
又、この吸気部材20も送気部材10と同様に、本体ケース21の底面にキャスタ27とアジャスタ28とが取り付けられ、これにより吸気部材も移動又は固定の切り換えを自由に行ない得るようにしてある。
【0027】
この図1、図2、図3、図4に示す本発明の脱臭機は、送気部材10と吸気部材20とが、送気口11と吸気口23が互いに対向するように配置して用いられる。
【0028】
そして、これら送気部材10と吸気部材20とを運転することにより送気部材10の送気口11より送り出される空気は、吸気部材20の吸気口23より吸引される。これにより、送気口14と吸気口23との間に空気流を生ずる。
【0029】
つまり、この送気口11と吸気口23との間の空気流が悪臭を発する部分又は悪臭を有する部分を通るように送気部材10と吸気部材20とを配置する。
【0030】
これにより、悪臭は前記の空気流と共に流されることになり、吸気部材20の吸気口23より吸引、除去される。
【0031】
ここで、吸気口23より吸引された悪臭は、脱臭、殺菌フィルタを通り、無臭で清浄な空気となり、吸気部材20より外部に排出される。
【0032】
図5は、病院の病室のベット上での患者のおむつ交換の際に生ずる悪臭の除去に本発明の脱臭機を使用した例を示す。
【0033】
本発明は、例えばベット30を挟んで、その右に送気部材10をその左に吸気部材20を送風口11と吸気口23とをほぼ対向させて配置した上で運転される。
【0034】
これにより、送気部材10の送気口14よりの空気流は、ベット30上のおむつ交換位置およびその上部の近くを流れ、おむつ部分とその上部の悪臭を有する空気が上記空気流と共に流れるようになる。この悪臭を有する空気は、空気流にのって、相対する位置の吸気部材20の吸気口23より吸引される。
【0035】
吸引された空気流は、前述のように吸気部材の本体ケース内に配置されたフィルタを通り、フィルタにて脱臭、除菌され外部に排出される。
【0036】
このように、おむつによる悪臭を有し又汚染された空気は、前記空気流と共に除去されると共に、吸気部材20により吸引された空気は、フィルタにより脱臭および殺菌され、無臭で清浄な空気となり排出される。
【0037】
以上述べた実施例1の脱臭機は、病院の病室内の異臭を除去するためのもので、特に手術後等の歩行等のほとんどできない患者のおむつ交換等において用いられる脱臭機の例である。
【0038】
しかし、本発明の脱臭機は、前記の使用方法以外にも適用できる。その場合、本発明の脱臭機の基本的な構成を変更することなく、使用目的に合わせて部分的に変更してもよい。
【0039】
例えば、実施例1の本体ケースは、縦1メートル50センチ、横75センチであり、又送気口、吸入口縦、横はほぼ60センチであるが、脱臭対象物により、送気口、吸気口の大きさ(面積)はそれに適した値にすることが望ましい。又長方形状の送気口、吸気口の縦横比、全体形状も異なるものでもよい。又、この実施例では、送気口と吸気口が同一の形状、同一の大きさにしてあるが、送気口と吸気口とを異なる形状や異なる大きさにしてもよい。
【0040】
又、使用する場所によっては脱臭機全体の大きさ等も部屋等にあわせることが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、病院の病室等の異臭の発生する箇所や異臭を有する箇所にて用いるもので、異臭を除去して室内等が常に臭いのない正常な空気に保ち得るようにする。
【符号の説明】
【0042】
10 送気部材
11 本体ケース
12 送風機
13 メインフィルタ
14 送気口
18 キャスタ
19 アジャスタ
20 吸気部材
21 本体ケース
22 送風機
23 吸気口
24 脱臭、殺菌フィルタ
25 開口
26 カバー
27 キャスタ
28 アジャスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形(4角形)状の送気口を有し、前記送気口より外部へ空気を送り出すための送風機とを備えた移動可能な送気部材と、前記送気部材とは独立して形成された送気部材の送気口と形状大きさがほぼ同一の吸気口を有し、前記吸気口より空気を吸入するための送風機と、前記吸気口付近に配置された脱臭、殺菌作用を有する脱臭部とを備えた独立して移動可能な吸気部材とを有し、前記送気部材を送気口よりの空気が脱臭すべき箇所に送風される位置に配置し、一方前記吸気部材をその吸気口が送気口よりの空気流のほとんどが吸入されるように位置せしめ、これにより、送気部材よりの空気流が臭気が存在する位置およびその周辺を通って吸気部材に吸引されて臭気を除去するようにした脱臭機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−284181(P2010−284181A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137794(P2009−137794)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(000133467)株式会社ダルトン (15)
【Fターム(参考)】