説明

脱臭装置

【課題】 動物飼育施設、下水処理場施設、ごみ処理施設、魚肉類保管施設などの処理施設から発生する臭気ガスを放電極の放電によって発生するプラズマ中に通過させることで、臭気成分に直接電子を作用し臭気成分を直接分解すると共にプラズマで生成されたラジカルによっても臭気成分を直接分解して脱臭するようにした脱臭装置に於いては、比較的濃度の高い複合臭に対して十分な脱臭効果は期待できなかった。そこで本発明はこれらの要求を十分満足したものを提供しょうとしたものである。
【解決手段】 吸込み口と吹出し口を形成したハウジング内にプラズマを発生する放電極と放電極の下流側に吸着フィルタを配置して設け放電極で酸化分解されなかった残り臭気成分を吸着除去するようにすると共に放電極の汚れを洗浄して再生する洗浄ノズルを配置したことを特徴としたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動物飼育施設、下水処理場施設、ごみ処理施設、魚肉類保管施設などの処理施設などから発生するガス中の不快な臭気成分を効率よく除去できるようにした脱臭装置。
【背景技術】
【0002】
動物飼育施設、下水処理場施設、ごみ処理施設、魚肉類保管施設などの処理施設などから発生する臭気ガスは環境の高まりから、それらの施設より屋外へと排出される臭気を効率よく除去する確実な脱臭の要求が求められている。特に、臭気ガスには臭気成分としてアンモニア、モノメチルアミン、トリメチルアミンなどの塩基性成分や硫化水素、硫化メチル、メチルメルカプタンなどの硫黄系あるいはVOC、他有機系臭気成分が含まれているため、これらの臭気成分を除去する必要がある。
【0003】
これらの臭気成分を含む臭気ガスの脱臭方法としては、活性炭吸着法、薬液洗浄法、生物脱臭法、オゾン脱臭法、光触媒法など各種のものが知られており、最近では活性炭吸着法、光触媒法が多く用いられている。活性炭吸着法は臭気成分を含有した被処理ガスの流通路を横切る形で、活性炭あるいは薬品を添着した添着活性炭を充填した塔あるいは層を配置し臭気ガス中の臭気成分を吸着除去する方法である。また光触媒法はセラミック製ハニカムに光触媒薄膜をつけたハニカム体を配置し臭気ガス中の臭気成分を吸着除去する方法である。
【0004】
しかし活性炭吸着法は一般にイニシャルコストは比較的安く、臭気成分の除去は比較的確実であるが、臭気成分の濃度によっては吸着剤の交換を頻繁に行う必要があることから、ランニングコストに費用がかかり過ぎることが懸念されている。
【0005】
一方、光触媒法は反応分解速度が遅く、出口ガス濃度が高くなったり、また触媒面に水分が付着したり、硫黄などが付着したりして触媒が劣化し性能が低下してしまうという問題を有している。
【0006】
また、最近では上記脱臭とは異なる新しい方法として、放電を利用したプラズマ脱臭法が検討されている。この方法は被処理ガスがプラズマ放電極を通過した時点で、放電極から発生した活性なラジカルによって臭気成分を酸化分解し、脱臭しょうとしたものである。
【0007】
しかし、この方式では未反応の臭気成分が放電極を通過してしまったり、放電によって放電極に硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウムなどの分解困難な物質が多く付着してしまって、プラズマ放電による活性なラジカルの発生が十分でなく、このため臭気成分の酸化分解が難しくなって、脱臭が十分でないといった問題があった。
【0008】
【発明の概要】

【発明が解決しょうとする課題】
【0009】
そこで本発明はこれらの課題を解決しょうとしたもので、第1の目的は動物飼育施設、下水処理場施設、ごみ処理施設などの処理施設から発生する比較的濃度の高い複合臭を脱臭しようとしたものである。
【0010】
もう一つの本発明の目的は処理施設から発生する比較的濃度の高い複合臭に対し優れた脱臭効果を発揮すると共に運転コストの低減を図ったものである。
【0011】
もう一つの本発明の目的は処理施設から発生する複合臭に含まれたちりやほこりを除去しょうとしたものである。
【0012】
もう一つの本発明の目的は除菌効果と付着菌・カビなどの抗菌・殺菌効果をそなえることにより、カビ・他の微生物類の除去と殺菌・脱臭効果を可能にしょうとしたものである。
【0013】
もう一つの本発明の目的は長時間に亘って優れた脱臭性能を維持することができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の解決手段は、吸込み口と吹出し口を形成したハウジング内にプレフィルタとプラズマを発生する放電極と放電極の汚れを洗浄して再生する洗浄ノズルと吸着フィルタ設けて構成したことを特徴とする脱臭装置を提供しょうとしたものである。
【0015】
本発明の第2の解決手段は、プラズマを発生する放電極と吸着フィルタとの間に中性能フィルタあるいは触媒フィルタを配置したことを特徴としたものである。
【0016】
ここで放電極は、ガス中の分子や電子に極短パルスまたは高周波の高電界を印可して電子のみを加速して電子なだれを発生させることで得られるイオンや電子を豊富に含むガスの状態すなわちプラズマを発生する機能を有している。そして電極に送られた臭気ガス中で高圧放電により解離エネルギーを与えることによりラジカルを発生させる。すなわち、放電により空気中に放出された電子が酸素、水分、臭気ガス中の気体分子に衝突し分子を活性化させる。その活性分子の一部は解離してラジカルとなり、臭気ガス中の臭気成分を酸化分解したり、あるいはオゾンを発生させるものと考えられる。ラジカルにより生成されたオゾンも臭気成分の処理に貢献するものと考えられる。また、放電そのものの有するエネルギーによっても臭気成分の酸化分解が行われる。
【0017】
放電極にはパルス放電極式と沿面放電極式の2種類あり、パルス放電極式は大容量の臭気ガスに適用され、その原理は空間放電によって発生するプラズマ中に臭気ガスを通過させることで、臭気分子に直接電子が作用し臭気分子を直接分解すると共にプラズマで生成されたラジカルによっても臭気分子が直接分解される。さらに、ラジカルと同時にオゾンも生成されこのオゾンによって臭気成分が強烈に酸化分解される。
【0018】
次に、沿面放電極式は小容量の臭気ガスに適用され、その原理は誘電体に沿った沿面放電によって発生するプラズマで生成されたラジカルが臭気分子に直接作用し臭気分子を直接分解する。さらに、ラジカルと同時にオゾンも生成されこのオゾンによって臭気分子が強烈に酸化分解される。
【0019】
さらに放電極に向かって複数個の洗浄ノズルが配置され、放電極の放電により生じた活性ガスと酸化反応したときに、硫黄が析出したり塩が生じ、しかもこれらの物質はガスとして離脱せずに電極上に残留するため、電極自身の処理能力が低下し脱臭効果が落ちるのを防止するため、電極に洗浄液を噴出し電極面を洗浄するようになっている。
【0020】
次に吸着フィルタは直方形状の中空枠と中空枠の内部に気密にジグザグ状に取り付けた吸着パネルから構成されている。
【0021】
また、吸着パネルは四辺形枠の両面にパンチング板を貼着して構成したパネルケースに吸着剤を充填して構成したものである。
【0022】
そして、吸着パネルへの吸着剤の取替えはパネルケースの上方を蓋にして、上方から吸着剤を出し入れするようになっている。
【0023】
さらに吸着剤は基材にグラフト重合や薬品添着によりイオン交換基が付与された粒状あるいは微粒子状をなしている。基材としては吸着性のある物質でイオン交換基をグラフト重合できるもので良く、例えば活性炭、シリカゲル、ゼオライトといった無機質多孔性体や、バルブ、高分子多孔性体などの有機質多孔性体などが採用される。また繊維状活性炭、イオン交換不織布なども採用される。
【0024】
また、イオン交換基としては、酸性ガスや酢酸ガスなどの有機酸を化学的に吸着するアニオン交換基とアンモニアなどのアルカリ性ガスを吸着するカチオン交換基が挙げられる。そして、アニオン交換基は強塩基性の4級アンモニウム基、弱塩基性の4級アンモニウム基、弱塩基性の3級アミン、2級アミン、苛性ソーダなどが使用され、カチオン交換基はスルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸化カリウムなどが使用される。
【0025】
これらの交換基を基材にグラフト重合する方法としては、従来公知のグラフト重合法が採用でき、例えば紫外線あるいはプラズマ、電離線などを照射して基材にラジカルを発生させ、所定の交換基を重合させて形成することができる。
【0026】
さらに前記ハウジングの臭気ガス吸込み口にはプレフィルタがフィルタ保持枠に係止ツメなどを介して取り付けられている。
【0027】
そして、そのプレフィルタはガラス繊維あるいは不織布あるいはポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維、レーヨン繊維などの合成繊維を湿式抄紙法や乾式法、スパンボンド法、メルトブロー法などで形成した1枚の濾材シートをフィルタ枠に取り付けたものである。また、前記プレフィルタは平均除じん効率が重量法で60〜90%であることが望ましい。
【0028】
さらに中性能フィルタは繊維径が6μm以下(中心繊維径:3.5μm前後)で且つ繊維重量の93重量%以上のガラス繊維あるいは不織布あるいはポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維、レーヨン繊維などの合成繊維の単独あるいは適宜混合して湿式抄紙法や乾式法、スパンボンド法、メルトブロー法などで形成した1枚の濾材シートをジグザグ状に折り畳んでフィルタ濾材とし、この濾材間に適宜材質のセパレータを挟んだりジグザグ状に折り畳んだろ材間に塗布したビードでろ材同志が密着しないように剛性をもたせて固定し上下にパッキンを取り付けて気密性を持たせてセル型に形成したものである。そして前記高性能フィルタの濾材シートはシートの厚みが0.2〜2.0mmで、粒径0.3μmの粒子に対して30〜70%の捕集効率を有したものが好ましい。また重量法60〜70%のフィルタを目的に応じて使用しても良い。
【0029】
上記効率や数字は各段のフィルタ配置によって種々変更されても何ら要旨を変更するものではない。
【0030】
さらに、触媒フィルタは常温金属触媒や吸着剤を主原料に用いた無数の微細孔を有するセラミック体をハニカム状に成形・焼成したもので、セラミック体をハニカム状に成形することで、臭気成分の接触面積の10倍以上になり、これにより臭気ガスを通気するだけで効率よく脱臭することができる。さらに主原料である吸着剤が有するものでさまざまな大きさの臭気成分を補足・吸着し、臭気が高負荷のときは臭気を一担補足し、低負荷のときは徐々に分解あるいは希釈放出作用を促す。そして脱臭のしくみは、通気中に含まれる臭気成分がフィルター面に接触し微細孔に吸収されると、ラジカルあるいは材料中の触媒作用により酸化分解が行われ、無臭・低臭気成分に変化する。これらは徐々に微細孔から放出されフィルター表面は再び臭気成分の吸収・分解が行われる。
【0031】
上記課題解決手段による作用は次の通りである。まず、動物飼育施設や下水処理場施設などの施設から発生した臭気ガスは別に配置された送風機の吸気運転によりハウジングの吸込み口よりプレフィルタを経由してハウジング内へ吸入される。ここで臭気ガス中に含まれたごみやちりなどはプレフィルタにて除去される。そしてごみやちりなどが除去された臭気成分は数KVの高電圧に印可された放電極を通過する。この時、放電極からはコロナ放電が発生しプラズマ状態が作り出されているため、悪臭ガスは発生した酸素ラジカルや水酸基ラジカルによって酸化分解され清浄空気となる。しかし、それでも通り抜ける悪臭ガスは吸着フィルタに吸着され確実な清浄空気となってハウジングの吹出し口より排出される。そして、放電を繰り返すことにより放電極に汚染物が付着し放電現象が起こりにくくなってくるが、放電極の直近に洗浄ノズルを配置しているので、洗浄ノズルを駆動することにより放電極の洗浄再生が確実に行われる。以上のような操作を繰り返すことにより汚染源から発生する臭気ガスの脱臭および除じんが確実に行われる。
【0032】
下水処理場施設、ごみ処理施設などの比較的高濃度の複合臭、また臭気濃度の変動が大きい処理施設から発生する悪臭ガスの場合、放電極と吸着フィルタの間に触媒フィルタを介在して配置することにより放電部で処理しきれなかった未反応の臭気成分を触媒フィルタに吸着し、この触媒フィルタに吸着された臭気成分に前記放電で生じた活性分子を反応させて臭気成分との酸化反応を促進させることで、脱臭効率を高めるようにしている。
【0033】
動物飼育施設から発生する臭気ガスの場合は動物自体の臭気と動物のし尿にもとづくため、臭気ガス中に粘着性のごみやちりなどが多く含まれていることから放電極と吸着フィルタの間に中性能フィルタを設け、吸着フィルタの寿命を延ばすと共に臭気ガスの脱臭および除じんがより確実に行われるようにしている。
【発明の効果】
【0034】
上述したように、本発明の脱臭装置は次のような効果が得られる。
(1)本発明の脱臭装置は吸込み口と吹出し口を形成したハウジング内にプレフィルタとプラズマを発生する放電極と放電極の汚れを洗浄して再生する洗浄ノズルおよび吸着フィルタとから構成したので、構造が非常に簡単に出来ていて取り扱いが容易である上、設置スペースを小さくでき現地設置の簡素化が図れる。
(2)高濃度で且つ臭気濃度の変動が大きい処理施設の臭気ガスに対しても脱臭効果がより確実である。
(3)臭気成分を放電で発生させたプラズマ作用でのラジカル、オゾンによって酸化分解するので、脱臭多成分に有効である上、殺菌効果があることからカビ、細菌類、有害ガス対策にも好適である。
(4)放電極の汚れを洗浄再生する洗浄ノズルを設けたので、脱臭装置の放電極の脱臭性能を長期に維持させることができる。
(5)脱臭装置の運転はスイッチのオン/オフのみであり、運転操作は非常に容易である。また吸着フィルタの交換も従来に比べ何倍も持つようになり、ランニングコストも安くなる上、低運転コストで長期間安定した処理を行うことができる。
(6)脱臭装置の運転を停止している間も特性劣化がなく常に安定した性能で運転できる。
(7)放電極と吸着フィルタの間に中性能フィルタを設けたので、臭気ガス中にごみやちりなどが多く含まれていても、吸着フィルタの寿命が延びると共に脱臭および除じんが確実である。
(8)放電極と吸着フィルタの間に触媒フィルタを設けたので、複合および高濃度の臭気ガスが含まれていても吸着フィルタの寿命が延びると共に臭気ガスの脱臭および除じんが確実である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施例1を示す1部切欠いた概略図。
【図2】本発明の実施例2を示す1部切欠いた概略図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下本発明の脱臭装置について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
動物飼育施設から発生する臭気ガスの脱臭の場合について図1を参照して説明する。1はハウジングで、ハウジング1の一端に吸込み口2、他端に吹出し口3が形成されている。吹出し口3にはプレフィルタ4が取り付けられている。
【0037】
5は臭気ガス通路中に取り付けた円柱形状の放電極、放電極は数KVの高電圧を印加されることによりコロナ放電を発生させてプラズマ状態を作り出す機能をもっている。
【0038】
放電極5の前方には放電極5の汚れを洗浄する洗浄ノズル6が複数個取り付けられている。洗浄ノズル6は供給ポンプによって配管を通して水などの液体を噴出するようになっている。
【0039】
放電極5の後方には中性能フィルタ7がガスの通路を横切って取り付けられている。中性能フィルタ7はで臭気ガス中に含まれたごみやちりの種類や量によってその都度種々選定される。
【0040】
中性能フィルタ7の後方には、イオン交換基をグラフト重合して得られた吸着剤を充填した吸着パネル8をジグザグ状に枠に取り付けた吸着フィルタ9がガスの通路を横切る形で取り付けられている。3は清浄空気を排出する吹出し口である。
【0041】
実施例1の構造はこのように簡単な構造であるので、ハウジング1に連通した適宜箇所に設けた送風機の吸気運転により動物飼育施設から発生した臭気ガスはハウジング1の吸込み口2よりハウジング1内に取り入れられる。そして取り入れられた臭気ガスはまずプレフィルタ4にてちりやほこりなどの比較的大きなダストが除去される。
【0042】
次にちりやほこりなどが除去された臭気ガスは数KVの高電圧を印加された放電極5を通過するが、この時点で放電極5からはコロナ放電が発生しプラズマ状態が作り出されているため、放電によりハウジング1内に放出された電子が臭気ガス中の臭気成分に衝突し、これらの分子を活性化させる。その活性分子の一部は解離してラジカルとなり、臭気ガス中の臭気成分を酸化分解したり、あるいはオゾンを生成する。ラジカルにより生成されたオゾンも臭気成分を酸化させ動物飼育施設から発生した臭気成分はほぼ完全に脱臭除去される。
【0043】
さらに、放電極5で酸化分解されなかった残りの臭気成分やオゾンは放電極よりの下流にあるラフフィルタ7を通過して、吸着フィルタ9に送られる。
【0044】
そして、吸着フィルタ9の吸着剤のイオン交換基の化学反応および微細孔に補足された臭気成分はラジカルとの反応作用によって、残りの臭気成分やオゾンは吸着分解され、清浄空気となって吹出し口3より排出される。
【0045】
この際、ラフフィルタ7は放電極5にて酸化分解された比較的細かな粒子を除去し、吸着フィルタ9の目詰を防止すると共に排出される清浄空気をより一層清浄化する。
【実施例2】
【0046】
下水処理場施設、ごみ処理施設などから発生する比較的高濃度の複合臭を含んだ臭気ガスの場合について図2を参照して説明する。実施例1との違いは実施例1に使用したラフフィルタ7に変えて、無数の微細孔を有するセラミック体をハニカム状に成形・焼成した触媒フィルタ17を採用した点で、その他の構成要件は実施例1と同じなので、図2には同じ番号を示す。また、実施例1との違いは触媒フィルタ17だけであることから、実施例2の作動については触媒フィルタ17のみについて説明する。
【0047】
すなわち、触媒フィルタ17は放電極5で酸化分解されなかった残りの臭気成分やオゾンを触媒作用によって酸化分解を行い、比較的高濃度で複合臭の悪臭ガスに対しても対応可能にしたものである。
【0048】
次に、実施例1、2の場合も放電極5の放電を繰り返すことにより放電極に汚染物が付着し放電現象が起こりにくくなってくるが、放電極の直近に必要に応じ間欠的な作動をする洗浄ノズル6を配置しているので、洗浄ノズルを駆動することにより放電極の洗浄再生が確実に行われる。以上のような操作を繰り返すことにより汚染源から発生する臭気ガスの脱臭および除じんが確実に行われる。
【0049】
尚、本実施例では本発明の一実施例を述べたもので、これに限定することなく、種々変更しても何ら本発明の要旨を変更するものではない。また、食品化工施設やし尿処理場、飼料・肥料製造工場用の脱臭装置として採用しても何ら本発明の要旨を変更するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
放電極から発生したコロナ放電でプラズマ状態を作り出し、この時放出された電子やラジカルを動物飼育施設や下水処理場施設あるいはごみ処理施設、魚肉類保管施設などから発生する臭気ガス中の臭気成分に衝突し、これらの成分を酸化分解して臭気成分をほぼ完全に脱臭除去すると共に放電極で酸化分解されなかった残りの臭気成分やオゾンを放電極より下流にある吸着フィルタで吸着除去しようとしたもので、実用上はなはだ大なるものである。
【符号の説明】
【0051】
1・・・ハウジング 2・・・吸込み口 3・・・吹出し口
4・・・プレフィルタ 5・・・放電極 6・・・洗浄ノズル
7・・・中性能フィルタ 8・・・吸着パネル
9・・・吸着フィルタ 17・・・触媒フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込み口と吹出し口を形成したハウジング内にプレフィルタとプラズマを発生する放電極と放電極の汚れを洗浄して再生する洗浄ノズルと吸着フィルタとを設けて構成したことを特徴とする脱臭装置。
【請求項2】
プラズマを発生する放電極と吸着フィルタとの間に中性能フィルタあるいは触媒フィルタを配置したことを特徴とする請求項1の脱臭装置。
【請求項3】
吸着フィルタは直方形状の中空枠と中空枠内にジグザグ状に気密に取り付けた吸着パネルとから構成されていることを特徴とする請求項1の脱臭装置。
【請求項4】
吸着パネルはパネルケースとパネルケース内に充填された吸着剤とから構成されたことを特徴とする請求項3の脱臭装置。
【請求項5】
吸着剤は粒状、微粒子状あるいは繊維状の基材にグラフト重合や薬品添着によりイオン交換基を形成したものであることを特徴とする請求項4の脱臭装置。
【請求項6】
触媒フィルタは常温金属触媒を主原料としたセラミック体をハニカム形状に焼成して構成したことを特徴とする請求項2の脱臭装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−240630(P2010−240630A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103375(P2009−103375)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000193047)進和テック株式会社 (36)
【出願人】(390040888)日本エアー・フィルター株式会社 (45)
【Fターム(参考)】