説明

脳腫瘍の外科的除去のためのシステムおよび方法

脳腫瘍を治療する方法が、内側部材(56)と外側部材(52)とを有する外科器具(22)を提供する工程を含む。外側部材は、切除窓(70)を形成する末端領域(66)と、任意選択の末端起子先端(72)とを有する。内側部材は、外側部材内に回転自在に受容され、窓で露出された切除先端を有する。切除先端と外側部材の末端領域は結合して切除具(30)を画定する。開口は、脳腫瘍の標的部位へのアクセスを実現するために患者の頭蓋を通って作成される。切除具は、開口を通って標的部位に送達される。起子先端は腫瘍と標的部位の組織の間に部分的に挿入され、切除先端は、配置されて腫瘍と接触し、腫瘍を切除するように操作される。標的部位は、切除された腫瘍組織を除去するように選択的に吸引される。ユーザは、吸引制御装置(34)の穴(210)を指でふさぐことによって適用される真空のレベルを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、脳腫瘍の治療に関する。本開示は、より詳細には、脳腫瘍を縮小および/または除去する際に有用な外科システム、器具、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脳手術は、アクセス可能な脳腫瘍に対する最適な治療法である。手術の目的は、腫瘍組織をできる限り多く除去することである。最も一般的に実施される脳腫瘍除去手術は開頭術である。一般に、脳神経外科医は、頭皮、頭蓋、硬膜、髄膜、および皮質を切開し、腫瘍の上の脳の区域を露出させる。次に、腫瘍の位置特定および除去が行われる。これに関して、超音波外科吸引装置(CUSA)または手術用レーザメスなどのさまざまな外科器具が一般的に使用される。
【0003】
人間の脳の解剖学的構造に関連する組織は繊細であるので、CUSA、レーザメス、または他の脳手術器具を使用するときに、いくつかの懸念が生じる。参考として、脳は、3つの膜すなわち髄膜によって覆われ、髄膜は頭蓋によって囲まれる。髄膜の3層は、硬膜(頭蓋の直下)、クモ膜、および軟膜である。脳脊髄液が、クモ膜下腔と呼ばれる、クモ膜と軟膜の間の空間を流れる。これらの髄膜は薄くて繊細であり、軟膜は脳に関連する多くの血管を持つまたは維持する。特に軟膜は脆い性質を有するので、脳神経外科医は、脳腫瘍を外科的に除去しようとするときに細心の注意を払わなければならない。軟膜の不慮の損傷により、脳への主要な血液供給が減少するおそれがある。クモ膜または脳組織(たとえば、大脳皮質)などの他の健康な構造を不必要に傷害することも、患者に障害をもたらすおそれがある。これを考慮して、CUSA器具は、超音波作用を発揮して組織および骨を除去する。外科医は、破壊されるべき組織に超音波切除先端を配置しようとする。ただし、高周波切除も行われ、標的腫瘍を囲む組織に器具の軸が接触すると、組織を損傷することもある。さらに、CUSAハンドピースのサイズが比較的大きいため、超音波軸/先端の配置を視覚的に確認することが難しいこともある。同様に、レーザメスを使用すると、切開線の内部またはその周囲が局所的に加熱されるので、組織の不慮の損傷を引き起こすこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願第10/854,020号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記を考慮して、正常組織が損傷する可能性を最小限に抑えながら脳腫瘍を縮小または除去する外科システムおよび方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の原理によるいくつかの態様は、患者の脳腫瘍を外科的に治療するための外科的方法に関する。この方法は、内側部材と外側部材とを有する外科器具を含む外科システムを提供する工程を含む。内側部材は末端側の切除先端を含み、外側部材は、切除窓とこの切除窓の末端側の起子先端とを形成する末端領域を有する。これに関して、内側部材は外側部材内に回転自在に受容され、切除先端が切除窓において外部に露出されるようにする。さらに、切除先端と外側部材の末端領域は結合して切除具を画定する。これを考慮して、患者の頭蓋を通る開口が作成され、脳腫瘍がある標的部位に外部からアクセスできる。切除具は、開口を通って標的部位に送達される。起子先端は、腫瘍と(硬膜、クモ膜、軟膜、および大脳皮質の1つ以上などの)標的部位の組織との間に部分的に挿入される。切除先端は配置されて腫瘍と接触する。次に、内側部材が外側部材に対して移動され、それにより切除先端が腫瘍の組織を切除する。最後に、標的部位は、切除または創面切除された腫瘍組織を除去するように選択的に吸引される。起子先端を使用して腫瘍を少なくとも部分的に分離し、標的部位を選択的に吸引することによって、正常組織を損傷する可能性は最小限になる。いくつかの代替態様では、本開示の方法は、手技の全体を通して標的部位での真空のレベル(または吸引速度)を変化させる工程をさらに含み、腫瘍は、切除動作の前に行われた吸引により吸い出されて切除先端と接触する。
【0007】
本開示による他の態様は、脳腫瘍を創面切除するための外科システムに関する。このシステムは、外科切除器具と、モータと、負圧源とを含む。切除器具は、内側部材と、外側部材と、ハンドピースと、吸引制御装置とを含む。内側部材は末端側の切除先端を含み、外側部材は、切除窓とこの切除窓の末端側の起子先端とを形成する末端領域を有する。ハンドピースは、内側部材および外側部材を維持して、内側部材が外側部材内に回転自在に受容されるようにし、切除先端が切除窓で外部に露出される。さらに、切除先端と末端領域は結合して切除具を画定する。吸引制御装置はハンドピースによって維持される。モータは、たとえば切除動作の一部として、外側部材に対して内側部材を移動させるために内側部材に接続される。最後に、負圧源は、流体経路を介して切除具に流体接続される。これを考慮して、吸引制御装置は、切除具において適用される真空のレベルに対する制御をユーザに提供するために流体経路に流体接続される。上記のシステムは、脳腫瘍手術を実施する際に非常に有用であり、脳神経外科医は、脳腫瘍のみの切除をより正確に実行すること、ならびに標的部位において適用される吸引を制御することができる。本開示の原理によるいくつかの代替構造の場合、外科器具は、内側部材に対して外側部材が選択的に回転できるように構成された制御アセンブリをさらに含む。さらに別の代替構造では、起子先端はしゃくし状またはキューレット状の形状を有する。
【0008】
本開示によるさらに別の態様は、外科切除器具と、モータと、負圧源とを含む、脳腫瘍を創面切除するための外科システムに関する。切除器具は、内側部材と、外側部材と、ハンドピースと、吸引制御装置とを含む。内側部材は末端側の切除先端を含み、外側部材は、切除窓を形成する末端領域を有する。ハンドピースは、内側部材および外側部材を維持して、内側部材が外側部材内に回転自在に受容されるようにし、切除先端が切除窓で外部に露出される。さらに、切除先端と末端領域は結合して切除具を画定する。吸引制御装置はハンドピースによって維持される。モータは、たとえば切除動作の一部として、外側部材に対して内側部材を移動させるために内側部材に接続される。最後に、負圧源は、流体経路を介して切除具に流体接続される。これを考慮して、吸引制御装置は流体経路に流体接続され、外界に開かれているユーザインタフェース開口を形成する。この構造の場合、ユーザインタフェース開口は、切除具において適用される真空のレベルに対する制御をユーザに提供するように適合される。たとえば、インタフェース開口のふさがれる部分を増加または減少させることによって、切除具において適用される真空のレベルがそれぞれ増加または減少される。本開示の原理によるいくつかの代替構造の場合、システムは、負圧源が負圧を生じさせてユーザインタフェース穴が外面的にふさがれないとき、切除具において適用される真空のレベルは実質的にゼロであるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本開示の原理により脳腫瘍を外科的に縮小または除去するためのシステムの概略図である。
【図2】図1のシステムで有用な外科器具の斜視図である。
【図3】図2の器具の刃アセンブリ部分の分解組立図である。
【図4A】図3のアセンブリの管状外側部材の末端領域の拡大斜視図である。
【図4B】図4Aの末端領域の上面図である。
【図4C】図4Bの末端領域の、線4C−4Cに沿った横断面図である。
【図5】最終構造時の図3の外側部材アセンブリの横断面図である。
【図6】図3の刃アセンブリの内側部材部分の一部分の拡大横断面図である。
【図7】最終組み立て時の図3の刃アセンブリの斜視図である。
【図8】図2の器具の一部分の横断面図である。
【図9A】図8の器具の切除具部分の動作を示す図である。
【図9B】図8の器具の切除具部分の動作を示す図である。
【図10】図1のシステムで有用な吸引制御装置の分解組立図である。
【図11】図10の吸引制御装置のチューブ構成要素の上面図である。
【図12A】脳腫瘍を外科的に除去する際の図1のシステムの使用法を示す図である。
【図12B】脳腫瘍を外科的に除去する際の図1のシステムの使用法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
脳手術の一部として脳腫瘍を創面切除する際に使用するための、本開示の態様による外科システム20が図1に示されている。システム20は、外科切除器具22と、負圧源24と、電源26とを含む。種々の構成要素に関する詳細が以下に示される。ただし、一般に、外科器具22は、切除具30(全体的に参照される)を形成する刃アセンブリ28と、ハンドピース32と、吸引制御装置34とを含む。負圧源24は、ハンドピース32を通って延びる流体経路36を介して切除具30に流体接続される。吸引制御装置34も流体経路36に流体接続される。最後に、電源26はハンドピース32によって維持されるモータ(図示せず)に電気的に接続される。脳腫瘍を外科的に縮小または除去する際の使用中に、切除具30は標的部位に展開され、ユーザは脳腫瘍に対して切除具30の所望の位置を達成するようにハンドピース32を操作する。電源26は、切除具30において腫瘍切除動作を実行するためにモータに通電する。最後に、吸引制御装置34は、負圧源24によって生成された真空によって切除具30のところで吸引を選択的に実行するようにユーザによって手動で操作される。いくつかの構成では、吸引制御装置34によって、ユーザは吸引の速度またはレベルならびに切除具30における切除の侵襲性を変化させることができる。
【0011】
システム20の上記の一般的な構造を考慮して、本開示の態様による外科器具22に関連する特徴が図2でより詳細に示される。外科器具22は、上述のように、刃アセンブリ28と、ハンドピース32と、吸引制御装置34とを含む。加えて、いくつかの実施形態では、外科器具22は、ユーザが、以下で説明されるように刃アセンブリ28の構成要素の回転位置を制御できるように構成された任意選択の制御アセンブリ40(全体的に参照される)を含む。
【0012】
刃アセンブリ28はさまざまな形をとることができ、いくつかの構成では、外側部材52を有する外側部材アセンブリ50と、内側部材56を有する内側部材アセンブリ54とを含む。一般に、内側部材56は、外側部材52内に回転自在に配設され、アセンブリ50、54の他の構成要素はハンドピース32への接続を実行する。いずれの場合でも、外側部材および内側部材52、56は、ハンドピース32から末端方向に延び、以下で説明されるように、結合して切除具30を形成する。1つの参考として、刃アセンブリ28が部材52、56の2つを含むとして示されるが、他の構成では、3つ以上の同軸状に組み立てられた部材が設けられてよい。さらに、刃アセンブリ28、特に部材52、56は、図示のように線形のまたは直線の構成を有してもよいし、あるいは(外側部材52の少なくとも一部分を取り囲む曲線部材を含むことなどによって)曲線構造を有してもよい。
【0013】
図3をさらに参照すると、いくつかの構成の場合、外側部材アセンブリ50は外側部材52に加えて、外側部材ハブ60と、コレット62と、任意選択の洗浄ハブ64とを含む。外側部材52は外側部材ハブ60に固着され、コレット62はハンドピース32への取り付けを容易にする。さらに、洗浄ハブ64は、設けられる場合、洗浄流体の外側部材52への送達を容易にする。外側部材52をハンドピース32に組み付けるのに適した他の構造も許容できる。いずれの場合でも、外側部材52は、いくつかの実施形態では管状であり、末端領域66を形成する。次に、末端領域66は、いくつかの構成では、切除窓70と、この切除窓70の末端側の起子先端72とを形成する。
【0014】
末端領域66は、外側部材52の一体的に形成された構成要素であってもよいし、別個に形成されて他の構成要素に組み付けられてもよい(たとえば、末端領域66は形成されてから、外側部材52を完成させる際に適切なサイズの剛性金属チューブに取り付けられてよい)。いずれの場合でも、本開示の原理による末端領域66の1つの構造は、図4A〜図4Cにより詳細に示されている。図4Cに最もよく示されるように、末端領域66は、切除窓70が開いている(および、外側部材52(図3)の残りの少なくとも相当の部分を通して基端方向に続く)管腔74を形成する。この考えにより、切除窓70は切除窓壁76によって画定される。凹部部分78は、末端領域66は凹部部分78に沿って肉厚について漸減するように、末端領域66内の切除窓壁76の少なくとも基端部分の周りに形成される。図4Aおよび図4Bに最もよく示されるように、切除窓70は、長手方向の長さに涙状の形状を有し、末端区分80から基端区分82にかけて横方向の周辺部の幅が減少してよい。
【0015】
起子先端72は切除窓70の末端側に延び、尖らせた縁部または刃縁部84で終端する。これに関して、起子先端72は管腔74に対して閉鎖され、対向する第1面および第2面90、92によって画定される。1つの参考として、および図4Cの向きに対して、第1面90は上面として示されることができ、切除窓70が画定された末端領域66の面94に隣接する。逆に、第2面92は底面の役割を果たす。いずれの場合でも、第1面90は杓子状の形状を有し、切除窓70から刃縁部84への範囲において凹曲率を定める。第2面92は、基端部分100および末端部分102によって全体的に画定される。図4Cに最もよく示されるように、基端部分100は、切除窓70に対して(長手方向の横断面において)線形状に延びる。しかし、末端部分102は基端部分100から刃縁部84への範囲において凸曲率を有する。いくつかの実施形態では、連続曲率が第1面90と第2面92の末端部分102によって定められ、連続的に湾曲した複数の面は刃縁部84で合う。尖っていることに加えて、刃縁部84は、切除窓壁76によって画定される、ある角度をなす切れ目のところまたはその下にある。すなわち、図4Cは、長手方向の横断面において切除窓壁76/凹部部分78が面94に対して角度θを形成し、切除窓壁76は角度θに沿って基端区分82から末端区分80に高さについて漸減することを反映する。図4Cの向きに対して、刃縁部84は、角度θによって画定された想像線と交差するかその「下に」ある。驚くべきことに、その結果得られる構成が脳腫瘍の外科除去手技によく適していることが判明した。ただし、あるいは、他の構造が別法として用いられてもよい。
【0016】
上述の曲率に加えて、切除窓70からの起子先端72の末端範囲は、末端領域66が横幅の増加を示すことを特徴とする。より具体的には、および図4Bに最もよく示されるように、末端領域66(ならびに末端領域66の基端側にある外側部材52(図3)の少なくとも大半)は、切除窓70のすぐ基端側、およびその少なくとも相当な部分に沿った横幅(すなわち直径)Wを有する。起子先端72は、切除窓70からの末端範囲において全体的に径方向に外側に膨張し、最大の横幅(すなわち直径)Wを画定する。図示のように、起子先端72の最大幅Wは切除窓70の基端側にある末端領域66の幅Wより大きい。
【0017】
起子先端72の上記の構造(たとえば、曲面、増加された幅、および刃縁部84)は結合して起子先端72にキューレット状の形を与える。以下で説明されるように、起子先端72は、脳手術中にみられる繊細な組織と整合する(interface with)するのに非常に適している。刃縁部84は、脳および他の正常組織からの腫瘍の部分的な切り離しまたは分離を促進し、曲面90、92は、他の組織からの腫瘍の分離または切り離しを支援する。ただし、本開示による他の構成では、起子先端72は省略可能である。たとえば、末端領域66は、管腔74に軸方向かつ径方向に開かれている切除窓70で終端してよい。あるいは、切除窓70が側面(すなわち半径方向の)窓として末端領域66内に形成され、外側部材52が切除窓70の末端側に比較的均一の外径を有してもよい。
【0018】
外側部材アセンブリ50の最終構造が図5に示されている。外側部材52は外側部材ハブ60に組み付けられ、外側部材ハブ60は洗浄ハブ64内に受容される。これに関して、シール104(たとえば、Oリング)は、洗浄ハブ64と外側部材ハブ60の間に液密シールを実行するために設けられてよい。次に、この構造の場合、洗浄液(図示せず)は、ハブ60、64と外側部材52に形成された孔108との間のシールされた間隙106を介して外側部材52の管腔74に送達されうる。図示のように、組み立てられたハブ60、64はコレット62で同軸状に受容され、外側部材52はコレット62の末端側に延びる。外側部材52への洗浄液の流れを実現できる他の構造も考えられる。さらに別の構成では、洗浄ハブ64(ならびに他の任意の洗浄構成要素)が省略できる。
【0019】
図3に戻ると、内側部材アセンブリ54は、内側部材56ならびに内側部材ハブ110を含む。以下で説明されるように、内側部材ハブ110は内側部材56を維持し、内側部材アセンブリ54のモータ(図示せず)への接続を容易にする。したがって、内側部材ハブ110はさまざまな形をとることができる。いずれの場合でも、いくつかの構造では、内側部材56は管状で、末端側の切除先端112を形成する。たとえば、図6に示すように、切除先端112は一連のセレーションまたは歯114を含むことができる。1つの許容できる構成であるこの構成の場合、歯114は、内側部材56によって画定された管腔118に開いている窓孔116の周りに形成される。以下で説明されるように、窓孔116および管腔118は、標的部位の吸引に用いられる吸引流体経路36(図1)の吸引出口の役割を果たす。あるいは、切除先端112は他の形をとることができ、管腔に流体接続された窓孔を含んでも含まなくてもよい。たとえば、切除先端112は閉鎖されたバーであってよい。
【0020】
刃アセンブリ28の最終構造が図7に示される。1つの参考として、外側部材および内側部材52、56は線形として示されているが、他の構成では、1つまたは複数の曲げ部または曲線が形成されてよく、および/または追加の管状部材(複数可)が設けられてよい。内側部材56は、外側部材52の管腔74(図4C)内に受容され、内側部材ハブ110に取り付けられる。次に、内側部材ハブ110は外側部材ハブ60の基端側に設置され、それに対して回転可能であり、内側部材ハブ110の回転が、外側部材52に対して内側部材56の回転を実行するようにする。さらに、内側部材56の切除先端112は外側部材52の切除窓70に設置される。したがって、切除先端112は、切除手技または創面切除手技を実施するために切除窓70を介して外部に露出される。最後に、外側部材52の末端領域66(たとえば、切除窓70および起子先端72)が切除先端112と結合して切除具30を形成する。吸引は、内側部材56を備える窓孔116を介して切除具30において実行される(窓孔116は切除窓70を介して外部に開かれている)。あるいは、切除具30における吸引または吸い込みは、外側部材52、切除具30によって担持される別個の管などによって実現される。同様に、洗浄は、外側部材52/切除窓70を介して切除具において実現されるが、他の実施形態では、追加の洗浄供給チューブ(切除具30によって担持されるか、これとは別個である)が設けられてよい。
【0021】
図2に戻ると、ハンドピース32は、ユーザによる刃アセンブリ28/切除具30の操作ならびに外側部材52に対して内側部材56の通電された動き(powered movement)を促進するさまざまな形をとることができる。たとえば、図8は、本開示の原理によるハンドピース32の1つの構造を示す。1つの参考として、図を簡略化するため、吸引制御装置34(図2)は図8の図から省略されている。さらに、ハンドピース32は、刃アセンブリ28の一部分に組み付けられた状態として図8に示される。これを考慮して、ハンドピース32は、筐体130と、制御アセンブリ40と、モータ132(図8に概略的に示される)と、駆動継手134とを含む。モータ132は筐体130内に固着され、筐体130は管路138を形成し、それを通してモータ132に電力を供給する巻線(図示せず)が延びることができる。さらに、筐体130は好ましくは、以下で説明されるように刃アセンブリ28を負圧源24(図1)に流体接続する吸引ポート140を形成するか、またはこれを含む。駆動継手134は、モータ132を内側部材ハブ110に、したがって内側部材56に機械的に接続する。このために、多種多様の構造が用いられることができる。ただし、いくつかの構成の場合、駆動継手134は、モータ132の駆動軸152に回転自在に連結された(たとえば、連動された)出力軸150を含む。出力軸150は、種々の形をとることができ、いくつかの構造により、最終組み立て時に吸引ポート140を、内側部材ハブ110によって形成される通路156と流体接続する通路154を形成する(および、したがって内側部材56の管腔118は通路156内で組み立てられる)。任意選択の動的シール158は、通路154と吸引ポート140の間の液密シールをより一層確実にするために含まれてよい。
【0022】
任意選択の制御アセンブリ40は、以下で説明されるように内側部材56に対して外側部材52の回転を容易にし、さまざまな形をとることができる。いくつかの構造では、制御アセンブリ40はアクチュエータ170と変換機構172とを含む。アクチュエータ170は車輪に類似してよく、筐体130に回転自在に組み付けられる。変換機構172は、アクチュエータ170の回転を外側部材ハブ60に、したがって外側部材52に変換するように構成される。いくつかの実施形態では、変換機構172は、アクチュエータ170に接続されこれから延びる柱174を含む。これに関して、アクチュエータ170(または柱端部176および外側部材ハブ60を相互接続する他の1つまたは複数の中間体)と対向する柱174の端部176は、外側部材ハブ60の係合形体178と整合するように適合される。より具体的には、および図7に最もよく示されるように、いくつかの構造では、外側部材ハブ60の係合形体178は一連の、周方向に配設されたくぼみ180である。図8に戻ると、柱端部176は、球と戻り止めの関係に類似して、くぼみ180と整合するように構成される。この構成の場合、次に、アクチュエータ70の回転は、柱174によって外側部材ハブ60に変換される。次に、外側部材ハブ60が回転すると、外側部材52が回転する。外側部材ハブ60は内側部材アセンブリ54の他の構成要素に付着されていないので、外側部材ハブ60が回転すると、外側部材52が内側部材56に対して回転する。重要なことに、外側部材52の回転は、筐体130を明白に移動させなくてもユーザによって達成されうる。ユーザは、手に筐体130を握りながら、外科医は単に、筐体130を保持する同じ手の指(または親指)でアクチュエータ170を回転させる。
【0023】
制御アセンブリ40は、たとえば、その教示が参照により本明細書に組み込まれる2004年9月22日出願の「外科切除器具(Surgical Cutting Instrument)」という名称の米国特許出願第10/854,020号に記載されるように、上述の説明とは別のさまざまな他の形をとることができる。逆に、外科器具22の他の構造により、制御アセンブリ40は省略される(すなわち、外側部材52は、内側部材54に対して独立して回転可能である)。ただし、提供される場合、内側部材56に対して外側部材52を回転させると、ユーザは、脳腫瘍創面切除手技中に、選択的に切除先端112が脳および周囲の解剖学的構造の繊細な組織に意図せずに接触しない、したがって場合によっては損傷しないようにできる。たとえば、(わかりやすいように、外側部材52の一部分のみが示される)図9Aに示されるように、内側部材56に対して外側部材52の回転位置は、切除先端112が切除窓70において外部に露出されるように選択可能である。この向きの場合、切除先端112は切除具30に隣接する組織と接触して切断することができる。逆に、外側部材52は、図9Bに示されるように、切除先端112が外側部材52内にあるように内側部材56に対して回転されうる。次に、この配列の場合、外側部材52は、切除先端112が組織と接触し、場合によっては損傷しないようにする。これらの同じ線に沿って、外側部材52は制御アセンブリ40(図8)を介してハンドピース32(図8)を移動させなくても切除窓70を所望の位置(たとえば、脳腫瘍)に設置するまたはこれに「面する」ように回転されうる。すなわち、切除具30が標的部位に送達されると、切除が生じる(すなわち、切除窓70)正確な位置がアクチュエータ170(図8)の動きによって制御可能である。外科医は、手をねじ曲げて切除窓70の切除/設置の所望の場所を達成する必要はない。
【0024】
図2に戻ると、吸引制御装置34はさまざまな形をとることができ、いくつかの実施形態では、ハンドピース32の筐体130に組み付けられたチューブ200を含む。本開示のいくつかの態様による吸引制御装置34の他の構成要素と共にチューブ200が図10に示される。チューブ200に加えて、吸引制御装置34はクリップ202と、コネクタアセンブリ204とを含むことができる。一般に、クリップ202はチューブ200をハンドピース32(図2)に接続する。コネクタアセンブリ204はチューブ200を、負圧源24(図1)によって確立された流体経路36(図1)に流体接続する。
【0025】
チューブ200は、チューブ200が組み付けられた筐体130(図2)の面の輪郭に対応する形状を有し、したがって1つまたは複数の曲げ部を形成することができる。いずれの場合でも、チューブ200は、閉鎖された第1端部206から開かれた第2端部208に延びる内腔/管腔(図示せず)を形成する。さらに、チューブ200は、流体的に管腔に開いている第1端部206に隣接するユーザインタフェース穴210を形成する。ユーザインタフェース穴210の1つの構造が図11に示され、全体的にユーザの指部に整合する(すなわち、これによって選択的に覆われる)サイズおよび形状である。たとえば、いくつかの構造により、ユーザインタフェース穴210の周辺部212は涙状の形状を有し、比較的直線状の第1区分214と拡張された丸い第2区分216とを有する。この形状は、全体的に大人の指先の自然形状と一致するが、他の形状も許容できる。以下で説明されるように、切除具30(図1)において送達される吸引に対する制御は、ユーザインタフェース穴210を覆うことまたは覆いをとることによって選択的に実行される。
【0026】
図10に戻ると、クリップ202は、チューブ200を筐体130(図2)に接続するように適合されたさまざまな形をとることができる。他の実施形態では、チューブ200は、ハンドピース32(図2)によって永久的に付着されるか、または(たとえば、内部孔として)形成され、クリップ202が省略可能であるようにすることができる。
【0027】
コネクタアセンブリ204もさまざまな形をとることができ、いくつかの構造により、T型コネクタ220と接続ブロック222とを含む。T型コネクタ220は、ハンドピース32(図1)と負圧源24(図1)の間の管(図示せず)との流体接続を確立するために構成される。次に、接続ブロック222は、チューブ200の第2端部208に、ならびにT型コネクタ220に取り付けられるために構成される。最終構造時に、コネクタアセンブリ204はチューブ200の管腔(図示せず)を流体経路36(図1)と流体接続する。コネクタアセンブリ204の他の多種多様の構造も同様に許容できる。
【0028】
図1に戻ると、システム20の最終(的な)アセンブリは、負圧源24とコネクタアセンブリ204の間に延びこれらを流体接続する第1管230を含む。第2管232はコネクタアセンブリ204をハンドピース32の吸引ポート140に流体接続する。その結果、負圧源24から切除具30への流体経路36が確立される。より具体的には、負圧源24は、第1管230、コネクタアセンブリ204、および第2管232を介して吸引ポート140に流体接続される。次に、吸引ポート140は、出力軸150(図8)の通路154(図8)を介して刃アセンブリ28に流体接続される。いくつかの実施形態の場合、流体経路36は内側部材56(図6)の管腔118(図6)を通ってさらに延び、窓孔116(図6)において開いている。代替構成の場合、切除具30における吸引出口は、他の形で設けられることができ、内側部材56の窓孔116を含んでも含まなくてもよい(たとえば、吸引は外側部材52、刃アセンブリ28を備える別個のチューブなどを介して実現されてよい)。いずれの場合でも、吸引制御装置34のチューブ200もコネクタアセンブリ204を介して流体経路36と流体連通し、ユーザインタフェース穴210は外界に開かれている。したがって、吸引制御装置34によって、ユーザは、たとえばユーザインタフェース穴210(図11)を選択的に覆うまたは覆いをとることによって、切除具30において適用される真空のレベルを制御することができる。
【0029】
レベルまたは速度または窓孔116(図6)または他の吸引出口形式に送達されたまたはここでみられた真空は、ユーザインタフェース穴210(図11)で覆われる部分がますます増加するにつれて増加し、逆もまた同様である。これを考慮して、ユーザインタフェース穴210は、いくつかの構成では、それを通して吸い込みが行われた切除具30に設けられた吸引出口より大きな表面積を有する。たとえば、いくつかの構造により、切除具30を備えた吸引出口は、内側部材56(図3)によって形成された窓孔116である。次に、本明細書に対応して、ユーザインタフェース穴210のサイズは窓孔116のサイズより大きいように選択されうる。その結果、ユーザインタフェース穴210がまったくふさがれていないのとき、切除具30での(すなわち、窓孔116での)真空のレベルは、実質的にゼロである。ユーザインタフェース穴210が流体経路36内の負圧の最小抵抗経路を形成する。さらに、ユーザは、ユーザインタフェース穴210での真空または吸い込みを容易に「検知」し、したがって切除具30において適用された真空のレベルとして直接的な触覚フィードバックを得る。やはり、ユーザインタフェース穴210は、あらかじめ決められた指標または吸引制御装置34に沿った停止機構がないために、(ゼロと、負圧源24において生成される最大値の間で)適用された真空組織に対して基本的に無限の制御を提供する。
【0030】
システム20は、脳腫瘍の外科治療(たとえば、除去)(ならびに、場合によっては他の外科手技)に非常に有用である。これに関して、および図12Aをさらに参照すると、本開示の態様による脳腫瘍250の治療は、患者の頭蓋252にアクセス開口を形成する工程(たとえば、従来の開頭術)を含む。1つの参考として、図12Aは、硬膜254、クモ膜256、軟膜258、および皮質260を含む他の解剖学的構造を概略的に示す。脳腫瘍250は、軟膜258によって外面的に「覆われる」、皮質260の自然の解剖学的構造から突出するように示される。他の手技の場合、脳腫瘍250は、皮質(または他の脳組織)260の内部にあるか、またはこれに埋まっていてもよい。いずれの場合でも、脳腫瘍250がある標的部位262が露出されると、システム20は、脳腫瘍250の少なくとも一部、好ましくはすべてを除去するように操作される。
【0031】
切除具30は標的部位262に展開される。切除具30の送達中、電源26は稼動しておらず、内側部材56(図3)が外側部材52に対して移動しないようにする。さらに、負圧源24は、切除具30の初期配置中に起動されてもされなくてもよい。すなわち、負圧条件は流体経路36に沿って確立されてもされなくてもよい。ただし、負圧源24が起動される場合、ユーザは、吸引制御装置34に関連するユーザインタフェース穴210(図11)を覆われないままにしておくことなどによって、負圧の切除具30への送達に対する制御を手動で実行する。上述のように、この配列により、負圧源24によって生成される負圧のほとんどすべては、標的部位262の周囲組織に悪影響を及ぼす可能性があるように、ユーザインタフェース穴210に送達され、したがって切除具の吸引出口/窓孔116に送達されない。
【0032】
切除具30が脳腫瘍250に隣接して設置されると、外科医はハンドピース32を操作して、脳腫瘍250と標的部位262の周囲組織の間に起子先端72(設けられる場合)を部分的に設置するようにする。設けられる場合、制御アセンブリ40は、外科医の手(複数可)を明白に捻ったりねじったりしなくても標的部位262に対して所望の空間の向きに起子先端72を回転させるように、外科医によって動作可能である。たとえば、図12Bに示されるように、起子先端72は脳腫瘍250と軟膜258の一部分の間に設置される。脳腫瘍250の特定の場所に応じて、同様にまたは別法として、脳の解剖学的構造の他の腫瘍でない組織が関与してよく(たとえば、硬膜254、クモ膜256、大脳皮質260など)、起子先端72はこの組織から脳腫瘍250を部分的に分離する。いずれの場合でも、起子先端72は、周囲組織から脳腫瘍250を少なくとも部分的に切り離すか分離し、刃縁部84は場合によっては部分的に脳腫瘍250の一部分を切断して周囲組織から離す。たとえば、刃縁部84は、腫瘍250に比較的正確な場所で軟膜258を貫通するように操作可能である。さらに、切除具での吸引を制御する(最小限に抑える)ことによって、軟膜258(および他の組織)の不必要な損傷が回避される。ハンドピース32はさらに、起子先端72によって周囲組織から脳腫瘍250をはがす(pry)するように操作可能である。
【0033】
起子先端72が望ましいように設置されると、切除先端112(図12Bでは全体的に参照される)が配置されて脳腫瘍250と接触する。たとえば、外側部材52は移動され(たとえば、回転され)て、切除窓70が脳腫瘍250に「面する」ようにする。さらに、いくつかの技法では、吸引制御装置34は、負圧の切除具30への送達を実行するように手動で操作され、したがって脳腫瘍250を吸い出すかまたは吸い込んで切除先端112と接触させる。たとえば、外科医は、少なくとも部分的にユーザインタフェース穴210(図11)をふさぎ、負圧源24と吸引窓孔116の間のより完全な流体接続を実行することができる。
【0034】
ハンドピース32のサイズと形状が比較的コンパクトで流線形なので、外科医は容易に、脳腫瘍250および周囲組織に対して、切除具30、具体的には起子先端72および切除窓70/切除先端112の所望の配置および向きを視覚的に確認することができる。外科医が切除具30の配置に満足すると、電源26が起動され、したがって内側部材56(図3)が外側部材52に対して移動される。次に、この作用によって、切除先端112が切除窓70内で移動され、接触された脳腫瘍250を切除または創面切除する。いくつかの構造の場合、モータ132(図8)は、切除窓70に対して切除先端112を回転自在に振動させるように動作する。この創面切除手技の一部として、吸引制御装置34は、切除具30での真空のレベルの増加を実行するように手動で操作され(たとえば、穴210に対して外科医の指の動き)、したがって標的部位262から創面切除された脳腫瘍組織を除去することができる。
【0035】
創面切除手技中、外科医は、脳腫瘍250および周囲組織256に対して切除具30が引き続き所望するように設置されていることを定期的に確認することができる。たとえば、脳腫瘍250に沿って異なる場所で切除することが決定される場合、外側部材52は内側部材56(図3)に対して回転され、それによって切除窓70の空間的位置、したがって切除先端112と脳腫瘍250との接点を変更することができる。たとえば、アクチュエータ170(図8)は、ユーザの指によって操作可能で、内側部材56に対して外側部材52の回転位置を変更することができる。再び、および手技全体を通じて、真空のレベルまたは吸引の速度は、たとえば穴210(図11)が覆われる部分を増加または減少させるだけで、外科医によっていつでも手動で変更されうる。
【0036】
本開示の外科システムおよび方法は、以前の脳腫瘍外科技法に対する著しい改善を実現する。切除先端および任意選択の起子先端を含む切除具は、選択された脳腫瘍組織を安全に除去できるが、周囲組織を損傷しない。さらに、選択的な可変の吸引により、脳腫瘍組織は、それ以降の除去およびより侵襲性の高い切除のために、周囲組織から分離されうる。さらに、外側部材を回転できることは、繊細な脳の解剖学的構造組織(たとえば、硬膜、クモ膜、軟膜など)の保護を支援する。
【0037】
本開示を好ましい実施形態に関して説明してきたが、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、形態および細部に変更を加えることができることが当業者には理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の脳腫瘍を治療するための外科的な方法であって、
外科器具を含む外科システムを提供する工程であって、当該外科器具が、末端側の切除先端を含む内側部材と、切除窓及び当該切除窓の末端側にある起子先端とを形成する末端領域を有する外側部材とを含み、当該内側部材が当該外側部材内に回転自在に受容され、当該切除先端が当該切除窓において外部に露出されるようにし、当該切除先端と当該末端領域とが結合して切除具を画定する、工程と、
前記患者の頭蓋を通る開口を作成して、前記脳腫瘍がある標的部位への外部からのアクセスを提供する工程と、
前記開口を通って前記標的部位に前記切除具を送達する工程と、
前記腫瘍と、硬膜、クモ膜、軟膜、および大脳皮質からなる群から選択された前記標的部位の組織との間に、前記起子先端を部分的に挿入する工程と、
前記切除先端を配置して前記腫瘍と接触させる工程と、
前記外側部材に対して前記内側部材を移動させて前記切除先端に前記腫瘍の組織を切除させる工程と、
前記標的部位を選択的に吸引して前記切除された腫瘍組織を除去する工程とを含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記外科システムが、流体経路に沿って前記切除具に流体接続された負圧源をさらに含み、
さらに前記標的部位を選択的に吸引する工程が、前記切除具において前記負圧源によって適用された真空のレベルの変更を手動で実行する工程を含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
前記外科器具が、前記流体経路に流体接続された吸引制御装置をさらに含み、
さらに真空のレベルの変更を手動で実行する工程が、前記吸引制御装置に対してユーザの指の位置を変更する工程を含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
前記外科器具が、前記内側部材、前記外側部材、および前記吸引制御装置を維持するハンドピースをさらに含み、
さらに前記ユーザの指の位置を変更する工程が、前記ハンドピースを保持する、前記指部を含む、前記ユーザの手を特徴とする、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
前記システムが、前記負圧源を前記ハンドピースに流体接続する管をさらに含み、
さらに前記吸引制御装置が、前記ハンドピースに組み付けられ前記管に流体接続されたチューブであって、ユーザインタフェース穴を形成するチューブを含み、
さらに真空のレベルの変更を手動で実行する工程が、
前記ユーザの指で覆われる前記ユーザインタフェース穴の部分を増やして、前記切除具において適用される真空のレベルを増加させる工程と、
前記ユーザの指で覆われる前記ユーザインタフェース穴の部分を減らして、前記切除具において適用される真空のレベルを減少させる工程と、を含む、方法。
【請求項6】
請求項2に記載の方法において、
前記切除具を送達する前記工程および前記腫瘍と前記標的部位の組織の間に前記起子先端を挿入する前記工程が、
前記負圧源が連続的に作動して負圧を生成する工程、および、前記ユーザが前記切除具への前記負圧の送達の最小化を手動で実行する工程で特徴付けられた、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、
前記切除具を送達する前記工程および前記起子先端を挿入する前記工程が、さらに、前記標的部位の組織が吸い込まれて前記切除先端と接触することがないことを特徴とする、方法。
【請求項8】
請求項2に記載の方法において、
前記切除先端を配置して腫瘍と接触させる工程が、前記ユーザが、前記切除具において前記負圧源によって適用された真空のレベルの増加を手動で実行して前記腫瘍を吸い出して前記切除先端と接触させる工程を含む、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、
前記内側部材が管状であり、管腔を画定し、
前記切除先端が、前記管腔に流体的に開放されている吸引窓孔を形成し、
さらに前記負圧源が前記管腔に流体接続され、前記真空が前記吸引窓孔において適用されるようにする、方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法において、
前記切除先端を配置して前記腫瘍と接触させる工程が、前記切除具において適用される前記真空のレベルの増加を手動で実行する前に前記標的部位の組織に対して前記切除先端の位置決めを視覚的に確認する工程を含む、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、
前記起子先端が、刃縁部を形成し、
さらに前記腫瘍と前記標的部位の組織の間に前記起子先端を部分的に挿入する工程が、前記刃縁部を用いて前記標的部位の組織から前記腫瘍をはがす工程を含む、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法において、
前記外側部材に対して前記内側部材を移動させる前に前記切除先端に対して前記起子先端を回転させて前記標的部位に対して前記切除窓の空間的位置を変更する工程をさらに含む方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、
前記外科器具が、前記内側部材および前記外側部材を維持するハンドピースと、前記内側部材に対して前記外側部材を回転させるように適合されたアクチュエータとをさらに含み、
さらに、前記起子先端を回転させる工程が、ユーザが前記ユーザの手に前記ハンドピースをつかんで前記手の指で前記アクチュエータを操作する工程を含む、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法において、
前記内側部材を移動させて前記切除先端に前記腫瘍の組織を切除させる工程が、前記外側部材に対して前記内側部材を振動させる工程を含む、方法。
【請求項15】
外科切除器具と、モータと、負圧源とを含み、脳腫瘍を創面切除する外科システムであって、
前記外科切除器具は、
末端側の切除先端を含む内側部材と、
切除窓と、当該切除窓の末端側にある起子先端とを形成する末端領域を有する外側部材と、
前記内側部材および前記外側部材を維持して、当該内側部材が当該外側部材内に回転自在に受容されるようにし、前記切除先端が前記切除窓で露出されて、当該切除先端と前記末端領域とが結合して切除具を画定する、ハンドピースと、
前記ハンドピースによって維持される吸引制御装置と、を含み、
前記モータは、前記外側部材に対して前記内側部材を移動させるために当該内側部材に接続され、
前記負圧源は、流体経路によって前記切除具に流体接続され、
前記吸引制御装置が、前記切除具において適用される真空のレベルに対する制御をユーザに提供するために、前記流体経路に流体接続される、外科システム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記吸引制御装置は、前記ハンドピースに組み付けられ前記流体経路に流体接続されたチューブを含み、
前記チューブは、ユーザの指によって選択的に覆われるように適合されたユーザインタフェース穴を形成し、前記切除具において適用される真空のレベルを手動で制御する、システム。
【請求項17】
請求項16に記載のシステムにおいて、
前記切除具は、前記負圧源に流体接続された吸引出口を形成し、
さらに、前記ユーザインタフェース穴のサイズが前記吸引出口のサイズより大きい、システム。
【請求項18】
請求項17に記載のシステムにおいて、
前記負圧源が負圧を生成中で前記ユーザインタフェース穴がまったくふさがれていないときに、前記吸引出口で適用される真空のレベルが実質的にゼロであるように構成された、システム。
【請求項19】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記外科器具は、前記内側部材に対して前記外側部材が選択的に回転できるように構成された制御アセンブリをさらに含む、システム。
【請求項20】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記起子先端は、刃縁部内で終端する、システム。
【請求項21】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記起子先端の少なくとも一区分は、前記切除窓の末端側で増加する幅を画定する、システム。
【請求項22】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記起子先端は、前記切除窓の末端側に凹面を画定し、
前記凹面は、前記外側部材の、前記切除窓が画定され前記刃縁部で終端する面に隣接する、システム。
【請求項23】
外科切除器具と、モータと、負圧源とを含み、脳腫瘍を創面切除する外科システムであって、
前記外科切除器具は、
末端側の切除先端を含む内側部材と、
切除窓を形成する末端領域を有する外側部材と、
前記内側部材および前記外側部材を維持して、当該内側部材が当該外側部材内に回転自在に受容されるようにし、前記切除先端が前記切除窓で露出されて、当該切除先端と前記末端領域とが結合して切除具を画定する、ハンドピースと、
前記ハンドピースによって維持される吸引制御装置と、を含み、
前記モータは、前記外側部材に対して前記内側部材を移動させるために当該内側部材に接続され、
前記負圧源は、流体経路によって前記切除具に流体接続され、
前記吸引制御装置が、前記流体経路に流体接続され、外界に開かれており前記切除具において適用される真空のレベルに対する制御をユーザに提供するように適合されたユーザインタフェース開口を形成する、システム。
【請求項24】
請求項23に記載のシステムにおいて、
前記吸引制御装置が、前記ハンドピースに関連し前記ユーザインタフェース開口を形成するチューブを含む、システム。
【請求項25】
請求項23に記載のシステムにおいて、
前記負圧源が負圧を生成中で前記ユーザインタフェース穴が外面的にふさがれていないときに、前記切除具において適用される真空のレベルが実質的にゼロであるように構成された、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【公表番号】特表2011−502709(P2011−502709A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534114(P2010−534114)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/082958
【国際公開番号】WO2009/064688
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(504101304)メドトロニック・ゾーメド・インコーポレーテッド (28)
【Fターム(参考)】