脳腫瘍の外科的除去のためのシステムおよび方法
脳腫瘍を治療する方法は、内側部材および外側部材を有する外科用器具を提供することを含む。外側部材は、切断窓を形成する遠位領域を有する。内側部材は、外側部材の内部に回転的に受容されており、窓において露出される切断先端を有する。切断先端および外側部材の遠位領域は、組み合わせられて切断用具を定義する。脳腫瘍標的部位へのアクセスを提供するために、患者の頭蓋骨を通じて開口部が形成される。開口部を通じて標的部位に切断用具が送達される。切断先端は、主用途接触するように配置され、腫瘍を切断するように動作される。標的部位は、切断された腫瘍組織を除去するために、選択的に吸引される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、脳腫瘍の治療に関する。より具体的には、脳腫瘍を縮小および/または除去において有益な、外科的システム、器具、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脳外科手術は、アクセス可能な脳腫瘍の治療の選択肢である。手術の目的は、腫瘍を可能な限り除去することである。脳腫瘍の除去のために最も一般的に行われる手術は、開頭術である。一般に、腫瘍の上方の脳の領域を露出するために、神経外科医が頭皮、頭蓋、硬膜、髄膜、および皮質に切開術を行う。その後、腫瘍の位置特定および除去が行われる。この点に関して、キャビテーション外科用吸引装置(CUSA)または外科用レーザーメスなどの様々な外科用器具が、一般に使用される。
【0003】
ヒト脳解剖学に関する繊細な組織は、CUSA、レーザーメス、またはその他の脳外科手術器具を使用する際に、いくつかの問題を引き起こす。参照によれば、脳は、同様に頭蓋骨に囲まれている3つの膜すなわち髄膜によって覆われている。髄膜の3つの層は、脳硬膜(頭蓋骨の直下)、くも膜、および軟膜である。くも膜下腔としても知られる、くも膜と軟膜との間の空間を、髄液が流れる。これらの髄膜は薄く繊細であり、軟膜が脳に関する多くの血管を担持または保持している。特に軟膜のもろい性質のため、神経外科医は、脳腫瘍を外科的に除去しようとするときに細心の注意を払わなければならず、軟膜に対する意図しない損傷は、脳への主要な血液供給を減らす恐れがある。くも膜または脳組織(例えば、大脳皮質)などのその他の健康な構造への不必要な損傷はまた、患者の障害を招くおそれもある。この点を考慮して、CUSA器具は、組織および骨を除去するために、超音波作用を送達する。外科医は、破壊されるべき組織に対して超音波切断先端を配置しようとする。しかし、高周波切断も発生して、器具のシャフトによって接触されるときに標的腫瘍を包囲する組織を損傷させるかも知れない。さらに、CUSAハンドピースの比較的大きいサイズのため、超音波シャフト/先端の配置を視覚的に確認することは困難なことがある。同様に、レーザーメスの使用は、切開線の内側および周囲の局所的な熱のため、意図しない組織損傷を生じるかも知れない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願第10/854,020号
【特許文献2】米国特許出願第12/044,644号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記を鑑みて、正常組織の損傷の可能性を最小限に抑えながら脳腫瘍を縮小または除去するための外科的システムおよび方法の需要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の原理によるいくつかの態様は、患者の脳腫瘍を外科的に治療するための外科的方法に関する。方法は、内側部材および外側部材を有する外科用器具を含む、外科的システムの提供を含む。内側部材は遠位切断先端を含み、その一方で外側部材は切断窓を形成する遠位領域を有する。切断窓は、2つの弓状部によって接続される2つの半円形末端部によって定義される。この点に関して、内側部材は、切断先端が切断窓で露出されるように、外側部材の内部に回転的に受容される。さらに、切断先端および外側部材の遠位領域は、組み合わせられて切断用具を定義する。この点を考慮して、脳腫瘍が位置する標的部位への外部アクセスを提供するために、患者の頭蓋骨を通じて開口部が形成される。切断用具は、開口部を通じて標的部位に送達される。遠位切断先端は、標的部位の腫瘍および組織を除去するように位置決めされる。内側部材はその後外側部材に対して移動し、それによって切断先端に腫瘍の組織を切断させる。最後に、切断または切除された腫瘍組織を除去するために、標的部位が選択的に吸引される。腫瘍を少なくとも部分的に隔離して標的部位を選択的に吸引するために切断窓を通じて遠位切断先端を使用することによって、正常組織を損傷する可能性が最小限に抑えられる。いくつかの代替態様において、本開示の方法は、切開術に先立って印加された吸引を通じて切断先端と接触するように腫瘍を引き込んだ状態で、処置の間中、標的部位における真空レベル(または吸引速度)を変化させることを、さらに含む。
【0007】
本開示によるその他の態様は、脳腫瘍を切除するための外科的システムに関する。システムは、外科用切断器具、モータ、および負圧源を含む。切断器具は、内側部材、外側部材、ハンドピース、および吸引制御装置を含む。内側部材は遠位切断先端を含み、その一方で外側部材は切断窓を形成する遠位領域を有する。切断窓は、2つの弓状部によって接続される2つの半円形末端部によって定義される。ハンドピースは、切断先端が切断窓で露出された状態で内側部材が外側部材の内部に回転的に受容されるように、内側および外側部材を保持する。さらに、切断先端および遠位領域は、組み合わせられて切断用具を定義する。吸引制御装置はハンドピースによって保持されている。モータは、例えば切開術の一部として、外側部材に対して内側部材を移動させるために、内側部材に接続されている。最後に、負圧源は、流体通路を通じて切断用具に流体的に接続されている。この点を考慮して、吸引制御装置は、切断用具において印加される真空レベルの制御をユーザに提供するために、流体通路に流体的に接続されている。上記システムは、脳腫瘍のみの切除をより正確に実現する能力、および標的部位に印加される吸引を制御する能力を神経外科医に提供して、脳腫瘍手術の施術において非常に有益である。本開示の原理によるいくつかの代替構造を用いると、外科用器具は、内側部材に対する外側部材の選択的な回転を可能にするように構成された、制御アセンブリをさらに含む。
【0008】
本開示によるさらに別の態様は、外科用切断器具、モータ、および負圧源を含む、脳腫瘍を切除するための外科的システムに関する。切断器具は、内側部材、外側部材、ハンドピース、および吸引制御装置を含む。内側部材は遠位切断先端を含み、その一方で外側部材は切断窓を形成する遠位領域を有する。遠位切断先端は、円錐状の形状をした遠位表面を含み、遠位領域もまた円錐状の形状をした遠位表面を含む。ハンドピースは、切断先端が切断窓で露出された状態で内側部材が外側部材の内部に回転的に受容されるように、内側および外側部材を保持する。さらに、切断先端および遠位領域は、組み合わせられて切断用具を定義する。吸引制御装置はハンドピースによって保持される。モータは、例えば切開術の一部として、外側部材に対して内側部材を移動させるために、内側部材に接続されている。最後に、負圧源は、流体通路を通じて切断用具に流体的に接続されている。この点を考慮して、吸引制御装置は、流体通路に流体的に接続されており、周囲に開放されたユーザインターフェース開口部を形成する。この構造を用いると、ユーザインターフェース開口部は、切断用具において印加される真空レベルの制御をユーザに提供するようになっている。例えば、インターフェース開口部を多少なりとも遮ることによって、切断用具に印加される真空レベルがそれぞれ増加または減少する。本開示の原理によるいくつかの代替構造を用いると、システムは、負圧源が負圧を発生し、ユーザインターフェース穴が外部に対して遮られていないときに、切断用具に印加される真空レベルが実質的にゼロになるように、構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本開示の原理による、脳腫瘍を外科的に縮小または除去するためのシステムの模式図である。
【図2】図1のシステムとともに利用可能な外科用器具の斜視図である。
【図3】図2の器具のブレードアセンブリ部分の分解図である。
【図4A】図3のアセンブリの外側管状部材の遠位領域の拡大斜視図である。
【図4B】図4Aの遠位領域の前面図である。
【図4C】線4C−4Cに沿った図4Bの遠位領域の断面図である。
【図5】最終構造における、図3の外側部材アセンブリの断面図である。
【図6】図3のブレードアセンブリの内側部材部分の一部の拡大断面図である。
【図7】最終組立における図3のブレードアセンブリの斜視図である。
【図8】図2の器具の一部の断面図である。
【図9A】図8の器具の切断用具部分の動作を示す図である。
【図9B】図8の器具の切断用具部分の動作を示す図である。
【図10】図1のシステムとともに利用可能な吸引制御装置の分解図である。
【図11】図10の吸引制御装置の管部品の上面図である。
【図12A】脳腫瘍の外科的除去における図1のシステムの使用を示す図である。
【図12B】脳腫瘍の外科的除去における図1のシステムの使用を示す図である。
【図13】図1のシステムとともに使用可能な外科用器具の第二の実施形態の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
脳外科手術の一部として脳腫瘍の切除において使用するための本開示の態様による外科的システム20が、図1に示されている。システム20は、外科用切断器具22、負圧源24、および電源26を含む。様々な部品の詳細は、以下に示される。しかしながら、一般論として、外科用器具22は、切断用具30(全体的に参照される)を形成するブレードアセンブリ28、ハンドピース32、および吸引制御装置34を含む。負圧源24は、ハンドピース32を通じて延在する流体通路36を通じて切断用具30に流体的に接続されている。吸引制御装置34もまた、流体通路36に流体的に接続されている。最後に、電源26は、ハンドピース32によって保持されているモータ(図示せず)に電気的に接続されている。脳腫瘍を外科的に縮小または除去する際の使用の間、切断用具30は、脳腫瘍に対して切断用具30の所望の位置を実現するためにユーザがハンドピース32を操作している状態で、標的部位に配置される。電源26は、切断用具30において腫瘍切開術を実現するために、モータに電圧印加する。最後に、吸引制御装置34は、負圧源24によって発生する真空を通じて切断用具30において吸引を選択的に実現するために、ユーザによって手動で動作される。いくつかの構成において、吸引制御装置34は、吸引の速度またはレベル、ならびに切断用具30における切断の攻撃性を変化させる能力を、ユーザに提供する。
【0011】
システム20の上記の全体的な構造を考慮すれば、本開示の態様による外科用器具22に関連する特徴が、図2に更に詳細に示されている。外科用器具22は、上述のように、ブレードアセンブリ28、ハンドピース32、および吸引制御装置34を含む。これに加えて、いくつかの実施形態において、外科用器具22は、以下に記載されるようなブレードアセンブリ28の部品の回転的位置に対するユーザ制御を提供するように構成された、任意の制御アセンブリ40(全体的に参照される)を含む。
【0012】
ブレードアセンブリ28は、様々な形状を想定することができ、いくつかの構成においては、外側部材52を有する外側部材アセンブリ50、および内側部材56を有する内側部材アセンブリ54を含む。一般論として、内側部材56は、アセンブリ50、54の別の部品がハンドピース32との接続を実現している状態で、外側部材52の内部に回転的に設けられている。それにも関らず、外側および内側部材52、56は、ハンドピース32から遠位方向に延在し、以下に記載されるように切断用具30を形成するように組み合わされる。判断基準として、ブレードアセンブリ28は2つの部材52、56を含むように示されているが、その他の構成では、3つ以上の同軸に組み立てられた部材が設けられることが可能である。さらに、ブレードアセンブリ28、および特に部材52、56は、図示されるように線形すなわち直線状の構成を有することができ、あるいはその代わりに(外側部材52の少なくとも一部を包含する湾曲部材を含むことによってなど)湾曲構造を有することもできる。
【0013】
さらに図3を参照すると外側部材52に加えていくつかの構成があるが、外側部材アセンブリ50は、外側部材ハブ60、コレット62、および任意の洗浄ハブ64を含む。外側部材52は、コレット62がハンドピース32への取付を容易にしている状態で、外側部材ハブ60に固定されている。さらに、提供される場合には、洗浄ハブ64は、外側部材52への洗浄液の送達を容易にする。ハンドピース32への外側部材52の組み付けに適したその他の構造もまた、許容される。それにも関らず、外側部材52は、いくつかの実施形態において管状であり、遠位領域66を形成する。遠位領域66は同様に、いくつかの構成において、切断窓70を形成する。
【0014】
遠位領域66は、外側部材52の一体成形部品であってもよく、または個別に形成されてその他の部品に組み付けられてもよい(例えば、遠位領域66が形成され、その後外側部材52を完成させる際に適切なサイズの、剛性の金属管に取り付けられてもよい)。それにも関らず、本開示の原理による遠位領域66の一構造は、図4A〜4Cに、より詳細に示されている。図4Cにおいて最もわかりやすく示されるように、遠位領域66は、さもなければ切断窓70において開放する内腔74を形成する。切断窓70は、遠位領域66の最遠位部に位置している。この点を考慮して、切断窓70は、切断窓壁76によって定義されている。図4Aおよび4Bに最もわかりやすく示されるように、切断窓70は、腎臓型の形状を有している。具体的には、切断窓壁は、2つの弓状壁部76c、76dによって接続されている2つの半円形末端部76a、76bによって定義されている。図示される実施形態において、2つの弓状壁部76c、76dは、遠位領域66の中心軸78の周りに定義されている。切断窓70は、望ましければ、その他の形状を取ることもできる。例えば、窓の末端は、正方形、三角形、長方形、多角形など、その他の形状を形成することができる。これに加えて、弓状部は、その他の実施形態において、線形となること、または線形部品を含むことができる。
【0015】
切断窓壁76は、全体的に円錐形の遠位表面90から形成されている。具体的には、遠位表面90は、遠位領域66の管状表面92から先端末端94まで延在している。遠位表面90は、軸78に直交する遠位軸96からの角度αで管状表面92から延在し、管状表面92の最遠位末端に位置しているが、これは、図示される実施形態において、およそ15度である。これに加えて、切断窓壁76は、同じ角度で切断窓70を形成する。遠位表面90は、様々なその他の構成に併せて調整されることが可能である。例えば、その他の実施形態において、遠位表面90は、管状表面92に直交することができる(すなわち、軸96に対して平行であり、管状表面92に対して実質的に直交および/または様々な角度)。軸96に対する遠位表面90の角度は、その他の実施例において、0°から45°、5°から25°、または10°から20°の範囲内とすることができる。その結果、切断窓70は、同じまたは類似の角度で延在することができる。
【0016】
外側部材アセンブリ50の最終構造は、図5に示されている。外側部材52は、同様に洗浄ハブ64内に受容される外側部材ハブ60に組み付けられる。この点に関して、洗浄ハブ64と外側部材ハブ60との間の流体密封を実現するために、シール104(例えばO−リング)が提供されることが可能である。この構造を用いると、洗浄液(図示せず)は、ハブ60、64の間の封止間隙106、および外側部材52に形成された孔108を通じて、外側部材52の内腔74まで送達されることが可能である。組み立てられたハブ60、64は、図示されるように、外側部材52がコレット62の遠位に延在している状態で、コレット62と同軸に受容される。外側部材52への洗浄液の流れを実現することができるその他の構造も考えられ、さらに別の構成において、洗浄ハブ64(ならびにその他のいずれかの洗浄部品)は、省略されることが可能である。
【0017】
図3に戻ると、内側部材アセンブリ54は、内側部材56、ならびに内側部材ハブ110を含む。以下に記載されるように、内側部材ハブ110は、内側部材56を保持し、内側部材アセンブリ54からモータ(図示せず)への接続を容易にする。このため、内側部材ハブ110は、様々な形状を想定することができる。それにも関らず、いくつかの構造において、内側部材56は管状であり、遠位切断先端112を形成する。図6A〜Cに示されるように、切断先端112は、さもなければ内側部材56によって定義された内腔118に対して開放される開口116を含む。以下に記載されるように、開口116および内腔118は、さもなければ標的部位の吸引に利用される吸引流体通路36(図1)の吸引出口の役割を果たす。あるいは、切断先端112は、内腔に流体的に接続している開口を含んでも含まなくてもよい、その他の形状を想定することができる。例えば、切断先端112を閉じたバリとすることができる。
【0018】
しかしながら、図6A〜Cに示される実施形態において、開口116は、、切断窓壁76と実質的に類似の形状である、窓壁120を含み、窓壁120は、2つの弓状壁部120c、120dによって接続されている2つの半円形部120a、120bを含む。図示されるように、2つの弓状壁部120c、120dは、切断先端112の中心軸122によって定義されている。これに加えて、切断先端112は、遠位領域66の遠位表面90と類似の形状の遠位表面124を含む。具体的には、遠位表面124は、全体的に円錐形の形状であり、管状表面126から先端末端128まで延在している。遠位表面124は、中心軸122と直交して管状表面126の最遠位に位置する、遠位軸129に対して角度βで延在する。角度βを、遠位表面90に一致するように適用することができる。図示される実施形態において、角度βは16°である。別の実施形態において、遠位表面94は、管状表面126と直交、表面126と実質的に直交、またはその他の角度で位置することができる。例えば、角度βは、0°から45°、5°から25°、または10°から20°の範囲内とすることができる。
【0019】
ブレードアセンブリ28の最終構造は、図7に示されている。判断基準として、外側および内側部材52、56は線形として示されてきたが、別の構成において、1つ以上の曲がりまたは湾曲が形成されてもよく、および/または付加的な管状部材が設けられてもよい。内側部材56は、外側部材52の内腔74(図4C)の内部に受容され、内側部材ハブ110に取り付けられる。内側部材ハブ110は、同様に、外側部材ハブ60に近接して位置し、これに対して回転可能であり、その結果、内側部材ハブ110の回転が外側部材52に対する内側部材56の回転を実現する。さらに、内側部材56の切断先端112は、外側部材52の切断窓70に位置している。このため、切断先端112は、切断または切除処置を実行するために、切断窓70を通じて露出されている。最後に、外側部材52の遠位領域66(例えば、切断窓70)は、切断先端112と組み合わせられて切断用具30を形成する。(開口116が切断窓70を通じて外側に開放している状態で)内側部材56が設けられた開口116を通じて、切断用具30において吸引が実行される。あるいは、切断用具30における吸引または吸入は、外側部材52や、切断用具30によって担持される個別の管材などによって提供されることが可能である。同様に、洗浄は、外側部材52/切断窓70を通じて切断用具において提供されるが、ただし別の実施形態においては、付加的な洗浄供給管(切断用具30によって担持されるかまたはこれとは分離されたもの)が提供されることが可能である。
【0020】
図2に戻ると、ハンドピース32は、ユーザによるブレードアセンブリ28/切断用具30の操作、ならびに外側部材52に対する内側部材56の動力による移動を促す、様々な形状を想定することができる。例えば、図8は、本開示の原理によるハンドピース32の一構造を示す。判断基準として、図解しやすくするために、吸引制御装置34(図2)は、図8の図面から省略されている。さらに、ハンドピース32は、図8において、ブレードアセンブリ28の一部に組み付けられているように示されている。この点を考慮して、ハンドピース32は、筐体130、制御アセンブリ40、モータ132(図8において模式的に示される)、および駆動継ぎ手134を含む。モータ132は、筐体130の内部に固定されており、筐体130は、さもなければその内部を通じてモータ132に電力を供給する配線(図示せず)が延在することが可能な導管138を形成している。さらに、筐体130は好ましくは、以下に記載されるように、ブレードアセンブリ28を負圧源24(図1)に流体的に接続するための吸引ポート140を形成するかまたは含む。駆動継ぎ手134は、モータ132を内側部材ハブ110に、したがって内側部材56に、機械的に接続する。この目的のため、非常に多様な構造が採用され得る。しかしながら、いくつかの構成において、駆動継ぎ手134は、モータ132の駆動シャフト152に回転可能に結合された(例えば噛み合わせられた)出力シャフト150を含む。出力シャフト150は、様々な形状を想定することができ、いくつかの構造において、最終組み立て時に、吸引ポート140を、内側部材ハブ110によって形成された通路156に(したがって、ほかの方法で通路156の内部に組み付けられる内側部材56の内腔118に)流体的に接続する。通路154と吸引ポート140との間の流体密封をより確実にするために、任意の動的シール158が含まれることも可能である。
【0021】
任意の制御アセンブリ40は、以下に記載されるようにハンドピース32に対する外側部材52の回転を促し、そして様々な形状を想定することができる。いくつかの構造において、制御アセンブリ40は、アクチュエータ170および伝達機構172を含む。アクチュエータ170は、車輪と同類であってもよく、筐体130に回転可能に組み付けられる。伝達機構172は、外側部材ハブ60、したがって外側部材52に、アクチュエータ170の回転を伝達させるように構成されている。いくつかの実施形態において、伝達機構172は、アクチュエータ170に接続され、そこから延在している支柱174を含む。この点に関して、アクチュエータ170の反対側の支柱174の末端176(または支柱末端176および外側部材ハブ60を相互接続しているその他の中間体)は、外側部材ハブ60の嵌合機構178に接するようになっている。より具体的には、そして図7に最もわかりやすく示されるように、いくつかの構造において、外側部材ハブ60の嵌合機構178は、円周方向に設けられた一連の刻み目180である。図8に戻ると、支柱末端176は、ボールと戻り止めの関係のように、刻み目180と接するように構成されている。この構成を用いると、アクチュエータ70の回転は、支柱174によって外側部材ハブ60に伝達される。外側部材ハブ60の回転は、同様に、外側部材52を回転させる。外側部材ハブ60はこれ以外ではハンドピース32のその他の部品に取り付けられていないので、外側部材ハブ60の回転は、ハンドピース32に対する外側部材52の回転をもたらす。重要なことに、外側部材52の回転は、筐体130の明白な運動を伴わずに、ユーザによって実現されることが可能である。ユーザは、筐体130を手中に握持しながら、外科医は、さもなければ筐体130を保持している同じ手の指(または親指)で、アクチュエータ170を回転させるだけでよい。
【0022】
制御アセンブリ40は、例えば参照によってその教示が本願に組み込まれる、2004年9月22日出願の「外科用切断器具(Surgical Cutting Instrument)」と題される、米国特許出願第10/854,020号に記載されているような、上記の記載とは別のその他の様々な形状を想定することができる。反対に、外科用器具22のその他の構造を用いると、制御アセンブリ40は省略される(すなわち、外側部材52はハンドピース32に対して独立して回転することはできない)。しかしながら、提供される場合には、ハンドピース32に対する外側部材52の回転は、脳腫瘍切除処置の間に切断のための所望の位置を提供するように、ユーザが切断窓70の位置を選択的に調整できるようにする。例えば、(明確さのために外側部材52の一部のみが示されている)図9Aに示されるように、ハンドピース32に対する外側部材52の第一回転位置が示されている。外側部材52は、図9Bに示されるように、ハンドピース32に対して第二回転位置まで回転することができる。このため、外側部材52は、ハンドピース32を移動させることなく、切断窓70を所望の位置(例えば脳腫瘍)に位置決めまたは「対向」させるために、回転させられることが可能である(図8)。つまり、一旦切断用具30が標的部位に送達されると、切断が行われる正確な箇所(すなわち切断窓70)は、アクチュエータ170の移動によって制御されることが可能であり(図8)、外科医は、切断窓70の切断/位置決めの所望の位置を実現するために、自分の手を捻る必要がない。
【0023】
図2に戻ると、吸引制御装置34は、様々な形状を想定することができ、いくつかの実施形態においては、ハンドピース32の筐体130に組み付けられた管200を含む。本開示のいくつかの態様による吸引制御装置34のその他の部品とともに、管200が図10に示されている。管200に加えて、吸引制御装置34は、クリップ202およびコネクタアセンブリ204を含むことができる。一般論として、クリップ202は、管200をハンドピース32に接続する(図2)。コネクタアセンブリ204は、管200を、負圧源24(図1)とともに確立された流体通路36(図1)に、流体的に接続する。さらに別の実施形態において、吸引制御装置34は、ハンドピース32に直接組み込まれることが可能である。一体型吸引制御装置34の例示的な一構成は、参照によってその教示が本願に組み込まれる、2008年3月7日出願の、「組織の外科的除去のためのシステムおよび方法(Systems and Methods for Surgical Removal of Tissue)」と題される、米国特許出願第12/044,644号に記載されている。
【0024】
管200は、管200が組み付けられる筐体130(図2)の表面の輪郭に釣り合う形状を有し、このため1つ以上の曲がりを形成してもよい。それにも関らず、管200は、閉鎖された第一末端206から開放している第二末端208まで延在する内腔(図示せず)を形成する。さらに、管200は、さもなければ内腔に対して流体的に開放されている第一末端206に隣接するユーザインターフェース穴210を形成する。ユーザインターフェース穴210の一構造は、図11に示されており、一般に、ユーザの指に接する(すなわち指によって選択的に覆われる)ためのサイズおよび形状となっている。例えば、いくつかの構造において、ユーザインターフェース穴210の周囲212は、比較的線形の第一線分214、およびより大きく丸みを帯びた第二線分216を有する、涙形の形状を有する。この形状は全体的に、大人の指先の自然な形状と一致するが、その他の形状も許容可能である。以下に記載されるように、切断用具30(図1)において送達される吸引の制御は、ユーザインターフェース穴210を覆うことまたは覆いを外すことによって、選択的に実現される。
【0025】
図10に戻ると、クリップ202は、管200を筐体130に接続するようになっている(図2)、様々な形状を想定することができる。別の実施形態において、管200は、クリップ202が省略されてもよいように、ハンドピース32(図2)に恒久的に取り付けられるか、またはこれによって(例えば内部孔として)形成されることが可能である。
【0026】
コネクタアセンブリ204もまた様々な形状を想定することができ、いくつかの構造においては、T字型コネクタ220および接続ブロック222を含む。T字型コネクタ220は、ハンドピース32(図1)と負圧源24(図1)との間の管材(図示せず)で流体接続を確立するために構成されている。接続ブロック222は、同様に、管200の第二末端208、ならびにT字型コネクタ220への取付のために、構成されている。最終構造において、コネクタアセンブリ204は、管200の内腔(図示せず)を流体通路36(図1)に流体的に接続する。コネクタアセンブリ204向けの非常に多様なその他の構造が、等しく許容可能である。
【0027】
図1に戻ると、システム20の最終アセンブリは、負圧源24とコネクタアセンブリ204との間に延在し、流体的に接続している第一管材230を含む。第二管材232は、コネクタアセンブリ204をハンドピース32の吸引ポート140と流体的に接続する。結果として、負圧源24から切断用具30まで、流体通路36が確立される。より具体的には、負圧源24は、第一管材230、コネクタアセンブリ204、および第二管材232を通じて、吸引ポート140に流体的に接続されている。吸引ポート140は、同様に、出力シャフト150(図8)の通路154(図8)を通じてブレードアセンブリ28に流体的に接続されている。いくつかの実施形態において、流体通路36は、内側部材56(図6)の内腔118(図6)を通じてさらに延在し、開口116(図6)において開放されている。代替構成において、切断用具30における吸引出口が、内側部材56の開口116を含んでも含まなくてもよいその他の形状で提供されることが可能である(例えば、吸引は、外側部材52を通じて、ブレードアセンブリ28に設けられた個別の管を通じてなどで提供されることが可能である)。それにも関らず、吸引制御装置34の管200もまた、周囲に対して開放されているユーザインターフェース穴210を備えるコネクタアセンブリ204を通じて、流体通路36と流体連絡している。このため、吸引制御装置34は、例えばユーザインターフェース穴210(図11)を選択的に覆うことまたは覆いを外すことによって、切断用具30において印加される真空レベルを制御する能力を、ユーザに提供する。
【0028】
開口116(図6A〜C)またはその他の吸引出口形式部に送達されるかまたはそこで発生するレベルまたは速度または真空は、ユーザインターフェース穴210(図11)がますます覆われるのに連れて上昇し、その逆も然りである。この点を考慮して、ユーザインターフェース穴210は、いくつかの構成において、さもなければそれを通じて吸入が適用される切断用具30に設けられた吸引出口と比較して、より広い表面積を有する。例えば、いくつかの構造において、切断用具30が設けられた吸引出口は、内側部材56(図3)によって形成された開口116である。この記載と一致すると、ユーザインターフェース穴210のサイズは、開口116のサイズよりも大きくなるように選択されることが可能である。その結果、ユーザインターフェース穴210が完全に塞がれていないとき、切断用具30における(すなわち開口116における)真空レベルは、ユーザインターフェース穴210が流体通路36内の負圧に最小抵抗の通路を提供するという点において、実質的にゼロである。さらに、ユーザは、ユーザインターフェース穴210における真空または吸入を容易に「感知」することになり、したがって、切断用具30において印加される真空レベルに関する直接的な触覚フィードバックが与えられる。また、ユーザインターフェース穴210は、予め決められた指標または吸引制御装置34に沿ったその他の停止機構が存在しないため、印加された真空(負圧源24において発生するゼロと最大値との間の真空)に対する基本的に無限大の制御を提供する。
【0029】
システム20は、脳腫瘍の外科的治療(例えば除去)において(おそらくその他の外科的処置と同様に)非常に有益である。この点に関して、図12Aをさらに参照すると、本開示の態様による脳腫瘍250の治療は、患者の頭蓋骨252にアクセス用開口部を形成することを含む(例えば、従来の開頭術)。判断基準として、図12Aは、硬膜254、くも膜256、軟膜258、および皮質260を含む、その他の解剖学的構造を模式的に示す。脳腫瘍250は、軟膜258によって外側を「覆われた」、皮質260の自然な解剖学的構造から突出しているように示されている。その他の処置を用いて、脳腫瘍250は、内部にあってもよく、または皮質(またはその他の脳組織)260の内部に埋め込まれていてもよい。それにも関らず、脳腫瘍250が位置する標的部位262が一旦露出されると、脳腫瘍250の少なくとも一部、好ましくは全てを除去するために、システム20が動作される。
【0030】
切断用具30は、標的部位262に配置される。切断用具30の送達の間、内側部材56(図3)が外側部材52に対して移動しないように、電源26は停止している。さらに、切断用具30の初期配置の間、負圧源24は起動していてもいなくてもよい。つまり、負圧状態は、流体通路36に沿って確立されてもされなくてもよい。しかしながら、負圧源24が起動されている場合には、ユーザは、吸引制御装置34に関わるユーザインターフェース穴210(図11)を覆われていない状態にしておくことなどによって、切断用具30への負圧の送達の制御を手動で提供する。上述のように、この配置は、負圧源24によって発生した事実上全ての負圧をユーザインターフェース穴210に送達し、したがってさもなければ標的部位262の周囲組織に悪影響を及ぼす可能性のある方法で、切断用具の吸引出口/開口116には送達しない。
【0031】
一旦切断用具30が脳腫瘍250に隣接した位置に着くと、外科医は、切断窓70を脳腫瘍250の上方に位置決めして切断用具30を脳腫瘍250内に突き刺すように、ハンドピース32を操作する。提供される場合には、外科医の手の明白な捻れ/よじれを伴わずに、標的部位262に対する所望の空間的定位まで切断窓を回転させるために、制御アセンブリ40が外科医によって動作される。脳腫瘍250の具体的な位置に応じて、切断窓70が脳腫瘍250をこの組織から隔離している状態で、脳の解剖学的構造のその他の非腫瘍組織もまた、あるいは代わりに、関連づけられてもよい(例えば、硬膜254、くも膜256、大脳皮質260など)。さらに、切断用具における吸引を制御(最小化)することによって、軟膜258(およびその他の組織)への不必要な損傷が回避される。
【0032】
切断窓70が一旦所望の位置に着くと、切断先端112(図12Bにおいて全体的に参照される)が脳腫瘍250と接触するように配置される。さらに、いくつかの手法により、吸引制御装置34は、切断用具30への負圧の送達を実現するように手動で動作され、こうして脳腫瘍250を引き込みまたは吸入して切断先端112と接触させる。例えば、外科医は、少なくとも部分的にユーザインターフェース穴210(図11)を塞ぐことができ、負圧源24と吸引開口116との間により完全な流体接続を提供する。
【0033】
ハンドピース32の比較的小型で流線型のサイズおよび形状のため、外科医は、脳腫瘍250および周囲組織に対する切断用具30、特に切断窓70/切断先端112の所望の配置および定位を容易に、目視によって、確認することができる。一旦外科医が切断用具30の配置に満足すると、電源26が起動され、こうして内側部材56(図3)を外側部材52に対して移動させる。この動作は、同様に、切断先端112を切断窓70内で移動させ、接触された脳腫瘍250を切断または切除する。いくつかの構造において、モータ132(図8)は、切断窓70に対して切断先端112を回転的に振動させるために動作する。切除処置の一部として、吸引制御装置34は、切断用具30における真空レベルの上昇を実現するために手動で動作されることが可能であり(例えば、穴210に対する外科医の指の動き)、こうして切除された脳腫瘍組織を標的部位262から除去する。
【0034】
切除処置の間、外科医は定期的に、脳腫瘍250および周囲組織256に対する切断用具30の連続した所望の位置決めを確認することができる。例えば、脳腫瘍250に沿った切断の異なる点が望ましいと判断された場合、外側部材52は内側部材56(図3)に対して回転させられることが可能であり、これによって切断窓70の空間的位置を、したがって脳腫瘍250との切断先端112の接触点も、変更する。例えば、アクチュエータ170(図8)は、ユーザの指によって操作されることが可能であり、内側部材56に対する外側部材52の回転位置を変化させる。ここでも、そして処置全体を通じて、真空レベルまたは吸引速度は、例えば単に穴210(図11)をより多くまたは少なく覆うことによって、外科医によっていつでも手動で変化させられることが可能である。
【0035】
上記で考察されたように、ブレードアセンブリ28、ならびにしたがって外側部材52および内側部材56は、望ましければ1つ以上の曲がりを含むことができる。例えば、外科用器具300の代替実施形態が、図13に示されている。図示されるように、器具300のブレードアセンブリ302は、曲がりまたは湾曲を有する外側管状部材304を含む。具体的には、外側管状部材304は、近位線形部材306、湾曲部308、および遠位線形部材310を含む。最終アセンブリの際、遠位線形部材310は、近位線形部材306に対する角度εで位置決めされる。内部管状部材(図示せず)は、内部管状部材の回転を可能にし、ひいては器具300を使用して切断を実現するように、外側管状部材304に対して位置決めおよび成型されることが可能である。
【0036】
本開示の外科的システムおよび方法は、先の脳腫瘍外科技術に対する顕著な改善を提供する。切断窓および切断先端を含む切断用具は、選択された脳腫瘍組織を安全に除去することができるが、しかし周囲組織を損傷することはない。さらに、選択的可変吸引により、脳腫瘍組織は、その後の除去およびより攻撃的な切断のため、周囲組織から隔離されることが可能である。さらに、外側部材を回転させる能力は、繊細な脳の解剖学的構造組織(例えば、硬膜、くも膜、軟膜など)の保護に役立つ。
【0037】
本開示は好適な実施形態を参照して記載されてきたが、当業者は、本開示の精神および範囲を逸脱することなく、形状および詳細において変更がなされ得ることを認識するだろう。
【技術分野】
【0001】
本開示は、脳腫瘍の治療に関する。より具体的には、脳腫瘍を縮小および/または除去において有益な、外科的システム、器具、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脳外科手術は、アクセス可能な脳腫瘍の治療の選択肢である。手術の目的は、腫瘍を可能な限り除去することである。脳腫瘍の除去のために最も一般的に行われる手術は、開頭術である。一般に、腫瘍の上方の脳の領域を露出するために、神経外科医が頭皮、頭蓋、硬膜、髄膜、および皮質に切開術を行う。その後、腫瘍の位置特定および除去が行われる。この点に関して、キャビテーション外科用吸引装置(CUSA)または外科用レーザーメスなどの様々な外科用器具が、一般に使用される。
【0003】
ヒト脳解剖学に関する繊細な組織は、CUSA、レーザーメス、またはその他の脳外科手術器具を使用する際に、いくつかの問題を引き起こす。参照によれば、脳は、同様に頭蓋骨に囲まれている3つの膜すなわち髄膜によって覆われている。髄膜の3つの層は、脳硬膜(頭蓋骨の直下)、くも膜、および軟膜である。くも膜下腔としても知られる、くも膜と軟膜との間の空間を、髄液が流れる。これらの髄膜は薄く繊細であり、軟膜が脳に関する多くの血管を担持または保持している。特に軟膜のもろい性質のため、神経外科医は、脳腫瘍を外科的に除去しようとするときに細心の注意を払わなければならず、軟膜に対する意図しない損傷は、脳への主要な血液供給を減らす恐れがある。くも膜または脳組織(例えば、大脳皮質)などのその他の健康な構造への不必要な損傷はまた、患者の障害を招くおそれもある。この点を考慮して、CUSA器具は、組織および骨を除去するために、超音波作用を送達する。外科医は、破壊されるべき組織に対して超音波切断先端を配置しようとする。しかし、高周波切断も発生して、器具のシャフトによって接触されるときに標的腫瘍を包囲する組織を損傷させるかも知れない。さらに、CUSAハンドピースの比較的大きいサイズのため、超音波シャフト/先端の配置を視覚的に確認することは困難なことがある。同様に、レーザーメスの使用は、切開線の内側および周囲の局所的な熱のため、意図しない組織損傷を生じるかも知れない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願第10/854,020号
【特許文献2】米国特許出願第12/044,644号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記を鑑みて、正常組織の損傷の可能性を最小限に抑えながら脳腫瘍を縮小または除去するための外科的システムおよび方法の需要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の原理によるいくつかの態様は、患者の脳腫瘍を外科的に治療するための外科的方法に関する。方法は、内側部材および外側部材を有する外科用器具を含む、外科的システムの提供を含む。内側部材は遠位切断先端を含み、その一方で外側部材は切断窓を形成する遠位領域を有する。切断窓は、2つの弓状部によって接続される2つの半円形末端部によって定義される。この点に関して、内側部材は、切断先端が切断窓で露出されるように、外側部材の内部に回転的に受容される。さらに、切断先端および外側部材の遠位領域は、組み合わせられて切断用具を定義する。この点を考慮して、脳腫瘍が位置する標的部位への外部アクセスを提供するために、患者の頭蓋骨を通じて開口部が形成される。切断用具は、開口部を通じて標的部位に送達される。遠位切断先端は、標的部位の腫瘍および組織を除去するように位置決めされる。内側部材はその後外側部材に対して移動し、それによって切断先端に腫瘍の組織を切断させる。最後に、切断または切除された腫瘍組織を除去するために、標的部位が選択的に吸引される。腫瘍を少なくとも部分的に隔離して標的部位を選択的に吸引するために切断窓を通じて遠位切断先端を使用することによって、正常組織を損傷する可能性が最小限に抑えられる。いくつかの代替態様において、本開示の方法は、切開術に先立って印加された吸引を通じて切断先端と接触するように腫瘍を引き込んだ状態で、処置の間中、標的部位における真空レベル(または吸引速度)を変化させることを、さらに含む。
【0007】
本開示によるその他の態様は、脳腫瘍を切除するための外科的システムに関する。システムは、外科用切断器具、モータ、および負圧源を含む。切断器具は、内側部材、外側部材、ハンドピース、および吸引制御装置を含む。内側部材は遠位切断先端を含み、その一方で外側部材は切断窓を形成する遠位領域を有する。切断窓は、2つの弓状部によって接続される2つの半円形末端部によって定義される。ハンドピースは、切断先端が切断窓で露出された状態で内側部材が外側部材の内部に回転的に受容されるように、内側および外側部材を保持する。さらに、切断先端および遠位領域は、組み合わせられて切断用具を定義する。吸引制御装置はハンドピースによって保持されている。モータは、例えば切開術の一部として、外側部材に対して内側部材を移動させるために、内側部材に接続されている。最後に、負圧源は、流体通路を通じて切断用具に流体的に接続されている。この点を考慮して、吸引制御装置は、切断用具において印加される真空レベルの制御をユーザに提供するために、流体通路に流体的に接続されている。上記システムは、脳腫瘍のみの切除をより正確に実現する能力、および標的部位に印加される吸引を制御する能力を神経外科医に提供して、脳腫瘍手術の施術において非常に有益である。本開示の原理によるいくつかの代替構造を用いると、外科用器具は、内側部材に対する外側部材の選択的な回転を可能にするように構成された、制御アセンブリをさらに含む。
【0008】
本開示によるさらに別の態様は、外科用切断器具、モータ、および負圧源を含む、脳腫瘍を切除するための外科的システムに関する。切断器具は、内側部材、外側部材、ハンドピース、および吸引制御装置を含む。内側部材は遠位切断先端を含み、その一方で外側部材は切断窓を形成する遠位領域を有する。遠位切断先端は、円錐状の形状をした遠位表面を含み、遠位領域もまた円錐状の形状をした遠位表面を含む。ハンドピースは、切断先端が切断窓で露出された状態で内側部材が外側部材の内部に回転的に受容されるように、内側および外側部材を保持する。さらに、切断先端および遠位領域は、組み合わせられて切断用具を定義する。吸引制御装置はハンドピースによって保持される。モータは、例えば切開術の一部として、外側部材に対して内側部材を移動させるために、内側部材に接続されている。最後に、負圧源は、流体通路を通じて切断用具に流体的に接続されている。この点を考慮して、吸引制御装置は、流体通路に流体的に接続されており、周囲に開放されたユーザインターフェース開口部を形成する。この構造を用いると、ユーザインターフェース開口部は、切断用具において印加される真空レベルの制御をユーザに提供するようになっている。例えば、インターフェース開口部を多少なりとも遮ることによって、切断用具に印加される真空レベルがそれぞれ増加または減少する。本開示の原理によるいくつかの代替構造を用いると、システムは、負圧源が負圧を発生し、ユーザインターフェース穴が外部に対して遮られていないときに、切断用具に印加される真空レベルが実質的にゼロになるように、構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本開示の原理による、脳腫瘍を外科的に縮小または除去するためのシステムの模式図である。
【図2】図1のシステムとともに利用可能な外科用器具の斜視図である。
【図3】図2の器具のブレードアセンブリ部分の分解図である。
【図4A】図3のアセンブリの外側管状部材の遠位領域の拡大斜視図である。
【図4B】図4Aの遠位領域の前面図である。
【図4C】線4C−4Cに沿った図4Bの遠位領域の断面図である。
【図5】最終構造における、図3の外側部材アセンブリの断面図である。
【図6】図3のブレードアセンブリの内側部材部分の一部の拡大断面図である。
【図7】最終組立における図3のブレードアセンブリの斜視図である。
【図8】図2の器具の一部の断面図である。
【図9A】図8の器具の切断用具部分の動作を示す図である。
【図9B】図8の器具の切断用具部分の動作を示す図である。
【図10】図1のシステムとともに利用可能な吸引制御装置の分解図である。
【図11】図10の吸引制御装置の管部品の上面図である。
【図12A】脳腫瘍の外科的除去における図1のシステムの使用を示す図である。
【図12B】脳腫瘍の外科的除去における図1のシステムの使用を示す図である。
【図13】図1のシステムとともに使用可能な外科用器具の第二の実施形態の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
脳外科手術の一部として脳腫瘍の切除において使用するための本開示の態様による外科的システム20が、図1に示されている。システム20は、外科用切断器具22、負圧源24、および電源26を含む。様々な部品の詳細は、以下に示される。しかしながら、一般論として、外科用器具22は、切断用具30(全体的に参照される)を形成するブレードアセンブリ28、ハンドピース32、および吸引制御装置34を含む。負圧源24は、ハンドピース32を通じて延在する流体通路36を通じて切断用具30に流体的に接続されている。吸引制御装置34もまた、流体通路36に流体的に接続されている。最後に、電源26は、ハンドピース32によって保持されているモータ(図示せず)に電気的に接続されている。脳腫瘍を外科的に縮小または除去する際の使用の間、切断用具30は、脳腫瘍に対して切断用具30の所望の位置を実現するためにユーザがハンドピース32を操作している状態で、標的部位に配置される。電源26は、切断用具30において腫瘍切開術を実現するために、モータに電圧印加する。最後に、吸引制御装置34は、負圧源24によって発生する真空を通じて切断用具30において吸引を選択的に実現するために、ユーザによって手動で動作される。いくつかの構成において、吸引制御装置34は、吸引の速度またはレベル、ならびに切断用具30における切断の攻撃性を変化させる能力を、ユーザに提供する。
【0011】
システム20の上記の全体的な構造を考慮すれば、本開示の態様による外科用器具22に関連する特徴が、図2に更に詳細に示されている。外科用器具22は、上述のように、ブレードアセンブリ28、ハンドピース32、および吸引制御装置34を含む。これに加えて、いくつかの実施形態において、外科用器具22は、以下に記載されるようなブレードアセンブリ28の部品の回転的位置に対するユーザ制御を提供するように構成された、任意の制御アセンブリ40(全体的に参照される)を含む。
【0012】
ブレードアセンブリ28は、様々な形状を想定することができ、いくつかの構成においては、外側部材52を有する外側部材アセンブリ50、および内側部材56を有する内側部材アセンブリ54を含む。一般論として、内側部材56は、アセンブリ50、54の別の部品がハンドピース32との接続を実現している状態で、外側部材52の内部に回転的に設けられている。それにも関らず、外側および内側部材52、56は、ハンドピース32から遠位方向に延在し、以下に記載されるように切断用具30を形成するように組み合わされる。判断基準として、ブレードアセンブリ28は2つの部材52、56を含むように示されているが、その他の構成では、3つ以上の同軸に組み立てられた部材が設けられることが可能である。さらに、ブレードアセンブリ28、および特に部材52、56は、図示されるように線形すなわち直線状の構成を有することができ、あるいはその代わりに(外側部材52の少なくとも一部を包含する湾曲部材を含むことによってなど)湾曲構造を有することもできる。
【0013】
さらに図3を参照すると外側部材52に加えていくつかの構成があるが、外側部材アセンブリ50は、外側部材ハブ60、コレット62、および任意の洗浄ハブ64を含む。外側部材52は、コレット62がハンドピース32への取付を容易にしている状態で、外側部材ハブ60に固定されている。さらに、提供される場合には、洗浄ハブ64は、外側部材52への洗浄液の送達を容易にする。ハンドピース32への外側部材52の組み付けに適したその他の構造もまた、許容される。それにも関らず、外側部材52は、いくつかの実施形態において管状であり、遠位領域66を形成する。遠位領域66は同様に、いくつかの構成において、切断窓70を形成する。
【0014】
遠位領域66は、外側部材52の一体成形部品であってもよく、または個別に形成されてその他の部品に組み付けられてもよい(例えば、遠位領域66が形成され、その後外側部材52を完成させる際に適切なサイズの、剛性の金属管に取り付けられてもよい)。それにも関らず、本開示の原理による遠位領域66の一構造は、図4A〜4Cに、より詳細に示されている。図4Cにおいて最もわかりやすく示されるように、遠位領域66は、さもなければ切断窓70において開放する内腔74を形成する。切断窓70は、遠位領域66の最遠位部に位置している。この点を考慮して、切断窓70は、切断窓壁76によって定義されている。図4Aおよび4Bに最もわかりやすく示されるように、切断窓70は、腎臓型の形状を有している。具体的には、切断窓壁は、2つの弓状壁部76c、76dによって接続されている2つの半円形末端部76a、76bによって定義されている。図示される実施形態において、2つの弓状壁部76c、76dは、遠位領域66の中心軸78の周りに定義されている。切断窓70は、望ましければ、その他の形状を取ることもできる。例えば、窓の末端は、正方形、三角形、長方形、多角形など、その他の形状を形成することができる。これに加えて、弓状部は、その他の実施形態において、線形となること、または線形部品を含むことができる。
【0015】
切断窓壁76は、全体的に円錐形の遠位表面90から形成されている。具体的には、遠位表面90は、遠位領域66の管状表面92から先端末端94まで延在している。遠位表面90は、軸78に直交する遠位軸96からの角度αで管状表面92から延在し、管状表面92の最遠位末端に位置しているが、これは、図示される実施形態において、およそ15度である。これに加えて、切断窓壁76は、同じ角度で切断窓70を形成する。遠位表面90は、様々なその他の構成に併せて調整されることが可能である。例えば、その他の実施形態において、遠位表面90は、管状表面92に直交することができる(すなわち、軸96に対して平行であり、管状表面92に対して実質的に直交および/または様々な角度)。軸96に対する遠位表面90の角度は、その他の実施例において、0°から45°、5°から25°、または10°から20°の範囲内とすることができる。その結果、切断窓70は、同じまたは類似の角度で延在することができる。
【0016】
外側部材アセンブリ50の最終構造は、図5に示されている。外側部材52は、同様に洗浄ハブ64内に受容される外側部材ハブ60に組み付けられる。この点に関して、洗浄ハブ64と外側部材ハブ60との間の流体密封を実現するために、シール104(例えばO−リング)が提供されることが可能である。この構造を用いると、洗浄液(図示せず)は、ハブ60、64の間の封止間隙106、および外側部材52に形成された孔108を通じて、外側部材52の内腔74まで送達されることが可能である。組み立てられたハブ60、64は、図示されるように、外側部材52がコレット62の遠位に延在している状態で、コレット62と同軸に受容される。外側部材52への洗浄液の流れを実現することができるその他の構造も考えられ、さらに別の構成において、洗浄ハブ64(ならびにその他のいずれかの洗浄部品)は、省略されることが可能である。
【0017】
図3に戻ると、内側部材アセンブリ54は、内側部材56、ならびに内側部材ハブ110を含む。以下に記載されるように、内側部材ハブ110は、内側部材56を保持し、内側部材アセンブリ54からモータ(図示せず)への接続を容易にする。このため、内側部材ハブ110は、様々な形状を想定することができる。それにも関らず、いくつかの構造において、内側部材56は管状であり、遠位切断先端112を形成する。図6A〜Cに示されるように、切断先端112は、さもなければ内側部材56によって定義された内腔118に対して開放される開口116を含む。以下に記載されるように、開口116および内腔118は、さもなければ標的部位の吸引に利用される吸引流体通路36(図1)の吸引出口の役割を果たす。あるいは、切断先端112は、内腔に流体的に接続している開口を含んでも含まなくてもよい、その他の形状を想定することができる。例えば、切断先端112を閉じたバリとすることができる。
【0018】
しかしながら、図6A〜Cに示される実施形態において、開口116は、、切断窓壁76と実質的に類似の形状である、窓壁120を含み、窓壁120は、2つの弓状壁部120c、120dによって接続されている2つの半円形部120a、120bを含む。図示されるように、2つの弓状壁部120c、120dは、切断先端112の中心軸122によって定義されている。これに加えて、切断先端112は、遠位領域66の遠位表面90と類似の形状の遠位表面124を含む。具体的には、遠位表面124は、全体的に円錐形の形状であり、管状表面126から先端末端128まで延在している。遠位表面124は、中心軸122と直交して管状表面126の最遠位に位置する、遠位軸129に対して角度βで延在する。角度βを、遠位表面90に一致するように適用することができる。図示される実施形態において、角度βは16°である。別の実施形態において、遠位表面94は、管状表面126と直交、表面126と実質的に直交、またはその他の角度で位置することができる。例えば、角度βは、0°から45°、5°から25°、または10°から20°の範囲内とすることができる。
【0019】
ブレードアセンブリ28の最終構造は、図7に示されている。判断基準として、外側および内側部材52、56は線形として示されてきたが、別の構成において、1つ以上の曲がりまたは湾曲が形成されてもよく、および/または付加的な管状部材が設けられてもよい。内側部材56は、外側部材52の内腔74(図4C)の内部に受容され、内側部材ハブ110に取り付けられる。内側部材ハブ110は、同様に、外側部材ハブ60に近接して位置し、これに対して回転可能であり、その結果、内側部材ハブ110の回転が外側部材52に対する内側部材56の回転を実現する。さらに、内側部材56の切断先端112は、外側部材52の切断窓70に位置している。このため、切断先端112は、切断または切除処置を実行するために、切断窓70を通じて露出されている。最後に、外側部材52の遠位領域66(例えば、切断窓70)は、切断先端112と組み合わせられて切断用具30を形成する。(開口116が切断窓70を通じて外側に開放している状態で)内側部材56が設けられた開口116を通じて、切断用具30において吸引が実行される。あるいは、切断用具30における吸引または吸入は、外側部材52や、切断用具30によって担持される個別の管材などによって提供されることが可能である。同様に、洗浄は、外側部材52/切断窓70を通じて切断用具において提供されるが、ただし別の実施形態においては、付加的な洗浄供給管(切断用具30によって担持されるかまたはこれとは分離されたもの)が提供されることが可能である。
【0020】
図2に戻ると、ハンドピース32は、ユーザによるブレードアセンブリ28/切断用具30の操作、ならびに外側部材52に対する内側部材56の動力による移動を促す、様々な形状を想定することができる。例えば、図8は、本開示の原理によるハンドピース32の一構造を示す。判断基準として、図解しやすくするために、吸引制御装置34(図2)は、図8の図面から省略されている。さらに、ハンドピース32は、図8において、ブレードアセンブリ28の一部に組み付けられているように示されている。この点を考慮して、ハンドピース32は、筐体130、制御アセンブリ40、モータ132(図8において模式的に示される)、および駆動継ぎ手134を含む。モータ132は、筐体130の内部に固定されており、筐体130は、さもなければその内部を通じてモータ132に電力を供給する配線(図示せず)が延在することが可能な導管138を形成している。さらに、筐体130は好ましくは、以下に記載されるように、ブレードアセンブリ28を負圧源24(図1)に流体的に接続するための吸引ポート140を形成するかまたは含む。駆動継ぎ手134は、モータ132を内側部材ハブ110に、したがって内側部材56に、機械的に接続する。この目的のため、非常に多様な構造が採用され得る。しかしながら、いくつかの構成において、駆動継ぎ手134は、モータ132の駆動シャフト152に回転可能に結合された(例えば噛み合わせられた)出力シャフト150を含む。出力シャフト150は、様々な形状を想定することができ、いくつかの構造において、最終組み立て時に、吸引ポート140を、内側部材ハブ110によって形成された通路156に(したがって、ほかの方法で通路156の内部に組み付けられる内側部材56の内腔118に)流体的に接続する。通路154と吸引ポート140との間の流体密封をより確実にするために、任意の動的シール158が含まれることも可能である。
【0021】
任意の制御アセンブリ40は、以下に記載されるようにハンドピース32に対する外側部材52の回転を促し、そして様々な形状を想定することができる。いくつかの構造において、制御アセンブリ40は、アクチュエータ170および伝達機構172を含む。アクチュエータ170は、車輪と同類であってもよく、筐体130に回転可能に組み付けられる。伝達機構172は、外側部材ハブ60、したがって外側部材52に、アクチュエータ170の回転を伝達させるように構成されている。いくつかの実施形態において、伝達機構172は、アクチュエータ170に接続され、そこから延在している支柱174を含む。この点に関して、アクチュエータ170の反対側の支柱174の末端176(または支柱末端176および外側部材ハブ60を相互接続しているその他の中間体)は、外側部材ハブ60の嵌合機構178に接するようになっている。より具体的には、そして図7に最もわかりやすく示されるように、いくつかの構造において、外側部材ハブ60の嵌合機構178は、円周方向に設けられた一連の刻み目180である。図8に戻ると、支柱末端176は、ボールと戻り止めの関係のように、刻み目180と接するように構成されている。この構成を用いると、アクチュエータ70の回転は、支柱174によって外側部材ハブ60に伝達される。外側部材ハブ60の回転は、同様に、外側部材52を回転させる。外側部材ハブ60はこれ以外ではハンドピース32のその他の部品に取り付けられていないので、外側部材ハブ60の回転は、ハンドピース32に対する外側部材52の回転をもたらす。重要なことに、外側部材52の回転は、筐体130の明白な運動を伴わずに、ユーザによって実現されることが可能である。ユーザは、筐体130を手中に握持しながら、外科医は、さもなければ筐体130を保持している同じ手の指(または親指)で、アクチュエータ170を回転させるだけでよい。
【0022】
制御アセンブリ40は、例えば参照によってその教示が本願に組み込まれる、2004年9月22日出願の「外科用切断器具(Surgical Cutting Instrument)」と題される、米国特許出願第10/854,020号に記載されているような、上記の記載とは別のその他の様々な形状を想定することができる。反対に、外科用器具22のその他の構造を用いると、制御アセンブリ40は省略される(すなわち、外側部材52はハンドピース32に対して独立して回転することはできない)。しかしながら、提供される場合には、ハンドピース32に対する外側部材52の回転は、脳腫瘍切除処置の間に切断のための所望の位置を提供するように、ユーザが切断窓70の位置を選択的に調整できるようにする。例えば、(明確さのために外側部材52の一部のみが示されている)図9Aに示されるように、ハンドピース32に対する外側部材52の第一回転位置が示されている。外側部材52は、図9Bに示されるように、ハンドピース32に対して第二回転位置まで回転することができる。このため、外側部材52は、ハンドピース32を移動させることなく、切断窓70を所望の位置(例えば脳腫瘍)に位置決めまたは「対向」させるために、回転させられることが可能である(図8)。つまり、一旦切断用具30が標的部位に送達されると、切断が行われる正確な箇所(すなわち切断窓70)は、アクチュエータ170の移動によって制御されることが可能であり(図8)、外科医は、切断窓70の切断/位置決めの所望の位置を実現するために、自分の手を捻る必要がない。
【0023】
図2に戻ると、吸引制御装置34は、様々な形状を想定することができ、いくつかの実施形態においては、ハンドピース32の筐体130に組み付けられた管200を含む。本開示のいくつかの態様による吸引制御装置34のその他の部品とともに、管200が図10に示されている。管200に加えて、吸引制御装置34は、クリップ202およびコネクタアセンブリ204を含むことができる。一般論として、クリップ202は、管200をハンドピース32に接続する(図2)。コネクタアセンブリ204は、管200を、負圧源24(図1)とともに確立された流体通路36(図1)に、流体的に接続する。さらに別の実施形態において、吸引制御装置34は、ハンドピース32に直接組み込まれることが可能である。一体型吸引制御装置34の例示的な一構成は、参照によってその教示が本願に組み込まれる、2008年3月7日出願の、「組織の外科的除去のためのシステムおよび方法(Systems and Methods for Surgical Removal of Tissue)」と題される、米国特許出願第12/044,644号に記載されている。
【0024】
管200は、管200が組み付けられる筐体130(図2)の表面の輪郭に釣り合う形状を有し、このため1つ以上の曲がりを形成してもよい。それにも関らず、管200は、閉鎖された第一末端206から開放している第二末端208まで延在する内腔(図示せず)を形成する。さらに、管200は、さもなければ内腔に対して流体的に開放されている第一末端206に隣接するユーザインターフェース穴210を形成する。ユーザインターフェース穴210の一構造は、図11に示されており、一般に、ユーザの指に接する(すなわち指によって選択的に覆われる)ためのサイズおよび形状となっている。例えば、いくつかの構造において、ユーザインターフェース穴210の周囲212は、比較的線形の第一線分214、およびより大きく丸みを帯びた第二線分216を有する、涙形の形状を有する。この形状は全体的に、大人の指先の自然な形状と一致するが、その他の形状も許容可能である。以下に記載されるように、切断用具30(図1)において送達される吸引の制御は、ユーザインターフェース穴210を覆うことまたは覆いを外すことによって、選択的に実現される。
【0025】
図10に戻ると、クリップ202は、管200を筐体130に接続するようになっている(図2)、様々な形状を想定することができる。別の実施形態において、管200は、クリップ202が省略されてもよいように、ハンドピース32(図2)に恒久的に取り付けられるか、またはこれによって(例えば内部孔として)形成されることが可能である。
【0026】
コネクタアセンブリ204もまた様々な形状を想定することができ、いくつかの構造においては、T字型コネクタ220および接続ブロック222を含む。T字型コネクタ220は、ハンドピース32(図1)と負圧源24(図1)との間の管材(図示せず)で流体接続を確立するために構成されている。接続ブロック222は、同様に、管200の第二末端208、ならびにT字型コネクタ220への取付のために、構成されている。最終構造において、コネクタアセンブリ204は、管200の内腔(図示せず)を流体通路36(図1)に流体的に接続する。コネクタアセンブリ204向けの非常に多様なその他の構造が、等しく許容可能である。
【0027】
図1に戻ると、システム20の最終アセンブリは、負圧源24とコネクタアセンブリ204との間に延在し、流体的に接続している第一管材230を含む。第二管材232は、コネクタアセンブリ204をハンドピース32の吸引ポート140と流体的に接続する。結果として、負圧源24から切断用具30まで、流体通路36が確立される。より具体的には、負圧源24は、第一管材230、コネクタアセンブリ204、および第二管材232を通じて、吸引ポート140に流体的に接続されている。吸引ポート140は、同様に、出力シャフト150(図8)の通路154(図8)を通じてブレードアセンブリ28に流体的に接続されている。いくつかの実施形態において、流体通路36は、内側部材56(図6)の内腔118(図6)を通じてさらに延在し、開口116(図6)において開放されている。代替構成において、切断用具30における吸引出口が、内側部材56の開口116を含んでも含まなくてもよいその他の形状で提供されることが可能である(例えば、吸引は、外側部材52を通じて、ブレードアセンブリ28に設けられた個別の管を通じてなどで提供されることが可能である)。それにも関らず、吸引制御装置34の管200もまた、周囲に対して開放されているユーザインターフェース穴210を備えるコネクタアセンブリ204を通じて、流体通路36と流体連絡している。このため、吸引制御装置34は、例えばユーザインターフェース穴210(図11)を選択的に覆うことまたは覆いを外すことによって、切断用具30において印加される真空レベルを制御する能力を、ユーザに提供する。
【0028】
開口116(図6A〜C)またはその他の吸引出口形式部に送達されるかまたはそこで発生するレベルまたは速度または真空は、ユーザインターフェース穴210(図11)がますます覆われるのに連れて上昇し、その逆も然りである。この点を考慮して、ユーザインターフェース穴210は、いくつかの構成において、さもなければそれを通じて吸入が適用される切断用具30に設けられた吸引出口と比較して、より広い表面積を有する。例えば、いくつかの構造において、切断用具30が設けられた吸引出口は、内側部材56(図3)によって形成された開口116である。この記載と一致すると、ユーザインターフェース穴210のサイズは、開口116のサイズよりも大きくなるように選択されることが可能である。その結果、ユーザインターフェース穴210が完全に塞がれていないとき、切断用具30における(すなわち開口116における)真空レベルは、ユーザインターフェース穴210が流体通路36内の負圧に最小抵抗の通路を提供するという点において、実質的にゼロである。さらに、ユーザは、ユーザインターフェース穴210における真空または吸入を容易に「感知」することになり、したがって、切断用具30において印加される真空レベルに関する直接的な触覚フィードバックが与えられる。また、ユーザインターフェース穴210は、予め決められた指標または吸引制御装置34に沿ったその他の停止機構が存在しないため、印加された真空(負圧源24において発生するゼロと最大値との間の真空)に対する基本的に無限大の制御を提供する。
【0029】
システム20は、脳腫瘍の外科的治療(例えば除去)において(おそらくその他の外科的処置と同様に)非常に有益である。この点に関して、図12Aをさらに参照すると、本開示の態様による脳腫瘍250の治療は、患者の頭蓋骨252にアクセス用開口部を形成することを含む(例えば、従来の開頭術)。判断基準として、図12Aは、硬膜254、くも膜256、軟膜258、および皮質260を含む、その他の解剖学的構造を模式的に示す。脳腫瘍250は、軟膜258によって外側を「覆われた」、皮質260の自然な解剖学的構造から突出しているように示されている。その他の処置を用いて、脳腫瘍250は、内部にあってもよく、または皮質(またはその他の脳組織)260の内部に埋め込まれていてもよい。それにも関らず、脳腫瘍250が位置する標的部位262が一旦露出されると、脳腫瘍250の少なくとも一部、好ましくは全てを除去するために、システム20が動作される。
【0030】
切断用具30は、標的部位262に配置される。切断用具30の送達の間、内側部材56(図3)が外側部材52に対して移動しないように、電源26は停止している。さらに、切断用具30の初期配置の間、負圧源24は起動していてもいなくてもよい。つまり、負圧状態は、流体通路36に沿って確立されてもされなくてもよい。しかしながら、負圧源24が起動されている場合には、ユーザは、吸引制御装置34に関わるユーザインターフェース穴210(図11)を覆われていない状態にしておくことなどによって、切断用具30への負圧の送達の制御を手動で提供する。上述のように、この配置は、負圧源24によって発生した事実上全ての負圧をユーザインターフェース穴210に送達し、したがってさもなければ標的部位262の周囲組織に悪影響を及ぼす可能性のある方法で、切断用具の吸引出口/開口116には送達しない。
【0031】
一旦切断用具30が脳腫瘍250に隣接した位置に着くと、外科医は、切断窓70を脳腫瘍250の上方に位置決めして切断用具30を脳腫瘍250内に突き刺すように、ハンドピース32を操作する。提供される場合には、外科医の手の明白な捻れ/よじれを伴わずに、標的部位262に対する所望の空間的定位まで切断窓を回転させるために、制御アセンブリ40が外科医によって動作される。脳腫瘍250の具体的な位置に応じて、切断窓70が脳腫瘍250をこの組織から隔離している状態で、脳の解剖学的構造のその他の非腫瘍組織もまた、あるいは代わりに、関連づけられてもよい(例えば、硬膜254、くも膜256、大脳皮質260など)。さらに、切断用具における吸引を制御(最小化)することによって、軟膜258(およびその他の組織)への不必要な損傷が回避される。
【0032】
切断窓70が一旦所望の位置に着くと、切断先端112(図12Bにおいて全体的に参照される)が脳腫瘍250と接触するように配置される。さらに、いくつかの手法により、吸引制御装置34は、切断用具30への負圧の送達を実現するように手動で動作され、こうして脳腫瘍250を引き込みまたは吸入して切断先端112と接触させる。例えば、外科医は、少なくとも部分的にユーザインターフェース穴210(図11)を塞ぐことができ、負圧源24と吸引開口116との間により完全な流体接続を提供する。
【0033】
ハンドピース32の比較的小型で流線型のサイズおよび形状のため、外科医は、脳腫瘍250および周囲組織に対する切断用具30、特に切断窓70/切断先端112の所望の配置および定位を容易に、目視によって、確認することができる。一旦外科医が切断用具30の配置に満足すると、電源26が起動され、こうして内側部材56(図3)を外側部材52に対して移動させる。この動作は、同様に、切断先端112を切断窓70内で移動させ、接触された脳腫瘍250を切断または切除する。いくつかの構造において、モータ132(図8)は、切断窓70に対して切断先端112を回転的に振動させるために動作する。切除処置の一部として、吸引制御装置34は、切断用具30における真空レベルの上昇を実現するために手動で動作されることが可能であり(例えば、穴210に対する外科医の指の動き)、こうして切除された脳腫瘍組織を標的部位262から除去する。
【0034】
切除処置の間、外科医は定期的に、脳腫瘍250および周囲組織256に対する切断用具30の連続した所望の位置決めを確認することができる。例えば、脳腫瘍250に沿った切断の異なる点が望ましいと判断された場合、外側部材52は内側部材56(図3)に対して回転させられることが可能であり、これによって切断窓70の空間的位置を、したがって脳腫瘍250との切断先端112の接触点も、変更する。例えば、アクチュエータ170(図8)は、ユーザの指によって操作されることが可能であり、内側部材56に対する外側部材52の回転位置を変化させる。ここでも、そして処置全体を通じて、真空レベルまたは吸引速度は、例えば単に穴210(図11)をより多くまたは少なく覆うことによって、外科医によっていつでも手動で変化させられることが可能である。
【0035】
上記で考察されたように、ブレードアセンブリ28、ならびにしたがって外側部材52および内側部材56は、望ましければ1つ以上の曲がりを含むことができる。例えば、外科用器具300の代替実施形態が、図13に示されている。図示されるように、器具300のブレードアセンブリ302は、曲がりまたは湾曲を有する外側管状部材304を含む。具体的には、外側管状部材304は、近位線形部材306、湾曲部308、および遠位線形部材310を含む。最終アセンブリの際、遠位線形部材310は、近位線形部材306に対する角度εで位置決めされる。内部管状部材(図示せず)は、内部管状部材の回転を可能にし、ひいては器具300を使用して切断を実現するように、外側管状部材304に対して位置決めおよび成型されることが可能である。
【0036】
本開示の外科的システムおよび方法は、先の脳腫瘍外科技術に対する顕著な改善を提供する。切断窓および切断先端を含む切断用具は、選択された脳腫瘍組織を安全に除去することができるが、しかし周囲組織を損傷することはない。さらに、選択的可変吸引により、脳腫瘍組織は、その後の除去およびより攻撃的な切断のため、周囲組織から隔離されることが可能である。さらに、外側部材を回転させる能力は、繊細な脳の解剖学的構造組織(例えば、硬膜、くも膜、軟膜など)の保護に役立つ。
【0037】
本開示は好適な実施形態を参照して記載されてきたが、当業者は、本開示の精神および範囲を逸脱することなく、形状および詳細において変更がなされ得ることを認識するだろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の脳腫瘍を治療するための外科的方法において、
遠位切断先端を含む内側部材と、
2つの弓状部によって接続された2つの半円形末端によって定義された切断窓を形成する遠位表面を含む遠位領域を有する外側部材と、を含む外科用器具を提供する工程であって、
前記内側部材は、前記切断先端が前記切断窓において露出されるように前記外側部材の内部に回転的に受容され、当該切断先端および前記遠位領域は組み合わせられて切断用具を定義する、工程と、
前記脳腫瘍が位置する標的部位への外部アクセスを提供するために、前記患者の頭蓋骨を通じて開口部を形成する工程と、
前記開口部を通じて前記標的部位に前記切断用具を送達する工程と、
前記腫瘍の少なくとも一部が前記切断窓に侵入するように、前記外科用器具を前記標的部位に向けて突き刺す工程と、
前記切断先端を前記腫瘍と接触させるように配置する工程と、
前記切断先端に前記腫瘍の組織を切断させるために、前記外側部材に対して前記内側部材を移動させる工程と、
前記切断された腫瘍組織を除去するために、前記標的部位を選択的に吸引する工程とを含む方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
前記遠位領域が、中心軸の周りに設けられた管状表面を含み、前記遠位表面は当該管状表面から延在している方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、
前記遠位表面が円錐状の形状であり、前記中心軸に直交する遠位軸に対して定義された角度で前記管状表面から先端末端まで延在している方法。
【請求項4】
請求項3記載の方法において、
前記角度が45°である方法。
【請求項5】
請求項3記載の方法において、
前記角度が10°から20°の間である方法。
【請求項6】
請求項2記載の方法において、
前記遠位表面が、前記中心軸と実質的に直交している方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、
前記遠位切断先端が、前記遠位領域の前記切断窓と類似の形状である開口を含む方法。
【請求項8】
請求項7記載の方法において、
前記遠位切断末端が、円錐状の形状であって前記切断先端の管状表面から先端末端まで延在している遠位表面を含む方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、
前記外科用器具が、前記内側および外側部材を保持するハンドピース、ならびに当該外側部材を当該内側部材に対して回転させるようになっているアクチュエータをさらに含み、さらに、ユーザが当該ハンドピースを当該ユーザの手中に握持して、手の指で当該アクチュエータを操作することによって、前記切断窓が回転する方法。
【請求項10】
請求項1記載の方法において、
前記外側部材が曲がりを形成している方法。
【請求項11】
請求項1記載の方法において、前記切断先端に前記腫瘍の組織を切断させるために前記内側部材を移動させる工程が、前記外側部材に対して当該内側部材を振動させる工程を含む方法。
【請求項12】
外科用切断器具であって、
遠位切断先端を含む内側部材と、
2つの弓状部によって接続された2つの半円形末端によって定義された切断窓を形成する遠位領域を有する外側部材と、
前記内側部材および前記外側部材を保持し、当該内側部材が当該外側部材の内部に回転可能に受容され、前記切断先端が前記切断窓において露出された状態にする、ハンドピースであって、
前記切断先端および前記遠位領域が組み合わせられて切断用具を形成し、吸引制御装置が前記ハンドピースによって保持される、ハンドピースと、
前記内側部材を前記外側部材に対して移動させるために当該内側部材に接続されているモータと、を含む、外科用切断器具と、
流体通路によって前記切断用具に流体的に接続された、負圧源と、を備える、脳腫瘍を切除するための外科的システムにおいて、
前記吸引制御装置が、前記切断用具において印加される真空レベルのユーザ制御を提供するため、前記流体通路に流体的に接続されている、外科的システム。
【請求項13】
請求項12記載の外科的システムにおいて、前記遠位領域が、中心軸の周りに設けられた管状表面を含み、遠位表面は当該管状表面から延在している、外科的システム。
【請求項14】
請求項13記載の外科的システムにおいて、
前記遠位表面が円錐状の形状であり、前記中心軸に直交する遠位軸に対して定義された角度で前記管状表面から先端末端まで延在している、外科的システム。
【請求項15】
請求項14記載の外科的システムにおいて、
前記角度が45°である、外科的システム。
【請求項16】
請求項14記載の外科的システムにおいて、
前記角度が10°から20°の間である、外科的システム。
【請求項17】
請求項13記載の外科的システムにおいて、
前記遠位表面が前記中心軸と実質的に直交している、外科的システム。
【請求項18】
請求項12記載の外科的システムにおいて、
前記遠位切断先端が、前記遠位領域の前記切断窓と類似の形状である開口を含む、外科的システム。
【請求項19】
請求項18記載の外科的システムにおいて、
前記遠位切断先端が、円錐状の形状であって前記切断先端の管状表面から先端末端まで延在している遠位表面を含む、外科的システム。
【請求項20】
請求項12記載の外科的システムにおいて、
前記外科用器具が、前記内側部材および前記外側部材を保持するハンドピース、ならびに当該外側部材を当該内側部材に対して回転させるようになっているアクチュエータをさらに含み、さらに、ユーザが当該ハンドピースを当該ユーザの手中に握持して、手の指で当該アクチュエータを操作することによって、前記切断窓が回転する、外科的システム。
【請求項21】
請求項12記載の外科的システムにおいて、
前記外側部材が曲がりを形成している、外科的システム。
【請求項22】
外科用切断器具であって、
第一中心軸の周りの第一管状表面、および当該第一管状表面から延在している第一遠位表面を定義する遠位切断先端を含む内側部材であって、当該第一遠位表面が円錐状の形状であって当該第一中心軸に直交する第一遠位軸に対して第一角度で当該第一管状表面から延在している、内側部材と、
切断窓を形成して第二中心軸の周りに第二管状表面を定義する遠位領域と、当該第二管状表面から延在している第二遠位表面と、を有する外側部材であって、当該第二遠位表面が円錐状の形状であって前記第一中心軸に直交する第二遠位軸に対して第二角度で当該第二管状表面から延在している、外側部材と、
前記内側部材および前記外側部材を保持し、当該内側部材が当該外側部材の内部に回転可能に受容され、前記切断先端が前記切断窓において露出された状態にする、ハンドピースであって、
前記切断先端および前記遠位領域が組み合わせられて切断用具を定義する、ハンドピースと、
前記ハンドピースによって保持される吸引制御装置と、を含む、外科用切断器具と、
前記内側部材を前記外側部材に対して移動させるために当該内側部材に接続されているモータと、
流体通路によって前記切断用具に流体的に接続された負圧源と、を備える、脳腫瘍を切除するための外科的システムにおいて、
前記吸引制御装置が、前記切断用具において印加される真空レベルのユーザ制御を提供するため、前記流体通路に流体的に接続されている、外科的システム。
【請求項23】
請求項22記載の外科的システムにおいて、
前記第一角度および前記第二角度が45°未満である、外科的システム。
【請求項24】
請求項22記載の外科的システムにおいて、
前記第一角度および前記第二角度が10°から20°の間である、外科的システム。
【請求項25】
請求項22記載の外科的システムにおいて、
前記遠位切断先端が、前記遠位領域の前記切断窓と類似の形状である開口を含む、外科的システム。
【請求項26】
請求項22記載の外科的システムにおいて、
前記外科用器具が、前記内側部材および前記外側部材を保持するハンドピース、ならびに当該外側部材を当該内側部材に対して回転させるようになっているアクチュエータをさらに含み、さらに、ユーザが当該ハンドピースを当該ユーザの手中に握持して、手の指で当該アクチュエータを操作することによって、前記切断窓が回転する、外科的システム。
【請求項27】
請求項22記載の外科的システムにおいて、
前記外側部材が曲がりを形成している、外科的システム。
【請求項1】
患者の脳腫瘍を治療するための外科的方法において、
遠位切断先端を含む内側部材と、
2つの弓状部によって接続された2つの半円形末端によって定義された切断窓を形成する遠位表面を含む遠位領域を有する外側部材と、を含む外科用器具を提供する工程であって、
前記内側部材は、前記切断先端が前記切断窓において露出されるように前記外側部材の内部に回転的に受容され、当該切断先端および前記遠位領域は組み合わせられて切断用具を定義する、工程と、
前記脳腫瘍が位置する標的部位への外部アクセスを提供するために、前記患者の頭蓋骨を通じて開口部を形成する工程と、
前記開口部を通じて前記標的部位に前記切断用具を送達する工程と、
前記腫瘍の少なくとも一部が前記切断窓に侵入するように、前記外科用器具を前記標的部位に向けて突き刺す工程と、
前記切断先端を前記腫瘍と接触させるように配置する工程と、
前記切断先端に前記腫瘍の組織を切断させるために、前記外側部材に対して前記内側部材を移動させる工程と、
前記切断された腫瘍組織を除去するために、前記標的部位を選択的に吸引する工程とを含む方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
前記遠位領域が、中心軸の周りに設けられた管状表面を含み、前記遠位表面は当該管状表面から延在している方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、
前記遠位表面が円錐状の形状であり、前記中心軸に直交する遠位軸に対して定義された角度で前記管状表面から先端末端まで延在している方法。
【請求項4】
請求項3記載の方法において、
前記角度が45°である方法。
【請求項5】
請求項3記載の方法において、
前記角度が10°から20°の間である方法。
【請求項6】
請求項2記載の方法において、
前記遠位表面が、前記中心軸と実質的に直交している方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、
前記遠位切断先端が、前記遠位領域の前記切断窓と類似の形状である開口を含む方法。
【請求項8】
請求項7記載の方法において、
前記遠位切断末端が、円錐状の形状であって前記切断先端の管状表面から先端末端まで延在している遠位表面を含む方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、
前記外科用器具が、前記内側および外側部材を保持するハンドピース、ならびに当該外側部材を当該内側部材に対して回転させるようになっているアクチュエータをさらに含み、さらに、ユーザが当該ハンドピースを当該ユーザの手中に握持して、手の指で当該アクチュエータを操作することによって、前記切断窓が回転する方法。
【請求項10】
請求項1記載の方法において、
前記外側部材が曲がりを形成している方法。
【請求項11】
請求項1記載の方法において、前記切断先端に前記腫瘍の組織を切断させるために前記内側部材を移動させる工程が、前記外側部材に対して当該内側部材を振動させる工程を含む方法。
【請求項12】
外科用切断器具であって、
遠位切断先端を含む内側部材と、
2つの弓状部によって接続された2つの半円形末端によって定義された切断窓を形成する遠位領域を有する外側部材と、
前記内側部材および前記外側部材を保持し、当該内側部材が当該外側部材の内部に回転可能に受容され、前記切断先端が前記切断窓において露出された状態にする、ハンドピースであって、
前記切断先端および前記遠位領域が組み合わせられて切断用具を形成し、吸引制御装置が前記ハンドピースによって保持される、ハンドピースと、
前記内側部材を前記外側部材に対して移動させるために当該内側部材に接続されているモータと、を含む、外科用切断器具と、
流体通路によって前記切断用具に流体的に接続された、負圧源と、を備える、脳腫瘍を切除するための外科的システムにおいて、
前記吸引制御装置が、前記切断用具において印加される真空レベルのユーザ制御を提供するため、前記流体通路に流体的に接続されている、外科的システム。
【請求項13】
請求項12記載の外科的システムにおいて、前記遠位領域が、中心軸の周りに設けられた管状表面を含み、遠位表面は当該管状表面から延在している、外科的システム。
【請求項14】
請求項13記載の外科的システムにおいて、
前記遠位表面が円錐状の形状であり、前記中心軸に直交する遠位軸に対して定義された角度で前記管状表面から先端末端まで延在している、外科的システム。
【請求項15】
請求項14記載の外科的システムにおいて、
前記角度が45°である、外科的システム。
【請求項16】
請求項14記載の外科的システムにおいて、
前記角度が10°から20°の間である、外科的システム。
【請求項17】
請求項13記載の外科的システムにおいて、
前記遠位表面が前記中心軸と実質的に直交している、外科的システム。
【請求項18】
請求項12記載の外科的システムにおいて、
前記遠位切断先端が、前記遠位領域の前記切断窓と類似の形状である開口を含む、外科的システム。
【請求項19】
請求項18記載の外科的システムにおいて、
前記遠位切断先端が、円錐状の形状であって前記切断先端の管状表面から先端末端まで延在している遠位表面を含む、外科的システム。
【請求項20】
請求項12記載の外科的システムにおいて、
前記外科用器具が、前記内側部材および前記外側部材を保持するハンドピース、ならびに当該外側部材を当該内側部材に対して回転させるようになっているアクチュエータをさらに含み、さらに、ユーザが当該ハンドピースを当該ユーザの手中に握持して、手の指で当該アクチュエータを操作することによって、前記切断窓が回転する、外科的システム。
【請求項21】
請求項12記載の外科的システムにおいて、
前記外側部材が曲がりを形成している、外科的システム。
【請求項22】
外科用切断器具であって、
第一中心軸の周りの第一管状表面、および当該第一管状表面から延在している第一遠位表面を定義する遠位切断先端を含む内側部材であって、当該第一遠位表面が円錐状の形状であって当該第一中心軸に直交する第一遠位軸に対して第一角度で当該第一管状表面から延在している、内側部材と、
切断窓を形成して第二中心軸の周りに第二管状表面を定義する遠位領域と、当該第二管状表面から延在している第二遠位表面と、を有する外側部材であって、当該第二遠位表面が円錐状の形状であって前記第一中心軸に直交する第二遠位軸に対して第二角度で当該第二管状表面から延在している、外側部材と、
前記内側部材および前記外側部材を保持し、当該内側部材が当該外側部材の内部に回転可能に受容され、前記切断先端が前記切断窓において露出された状態にする、ハンドピースであって、
前記切断先端および前記遠位領域が組み合わせられて切断用具を定義する、ハンドピースと、
前記ハンドピースによって保持される吸引制御装置と、を含む、外科用切断器具と、
前記内側部材を前記外側部材に対して移動させるために当該内側部材に接続されているモータと、
流体通路によって前記切断用具に流体的に接続された負圧源と、を備える、脳腫瘍を切除するための外科的システムにおいて、
前記吸引制御装置が、前記切断用具において印加される真空レベルのユーザ制御を提供するため、前記流体通路に流体的に接続されている、外科的システム。
【請求項23】
請求項22記載の外科的システムにおいて、
前記第一角度および前記第二角度が45°未満である、外科的システム。
【請求項24】
請求項22記載の外科的システムにおいて、
前記第一角度および前記第二角度が10°から20°の間である、外科的システム。
【請求項25】
請求項22記載の外科的システムにおいて、
前記遠位切断先端が、前記遠位領域の前記切断窓と類似の形状である開口を含む、外科的システム。
【請求項26】
請求項22記載の外科的システムにおいて、
前記外科用器具が、前記内側部材および前記外側部材を保持するハンドピース、ならびに当該外側部材を当該内側部材に対して回転させるようになっているアクチュエータをさらに含み、さらに、ユーザが当該ハンドピースを当該ユーザの手中に握持して、手の指で当該アクチュエータを操作することによって、前記切断窓が回転する、外科的システム。
【請求項27】
請求項22記載の外科的システムにおいて、
前記外側部材が曲がりを形成している、外科的システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【公表番号】特表2012−516206(P2012−516206A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548073(P2011−548073)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/021513
【国際公開番号】WO2010/088115
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(504101304)メドトロニック・ゾーメド・インコーポレーテッド (28)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/021513
【国際公開番号】WO2010/088115
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(504101304)メドトロニック・ゾーメド・インコーポレーテッド (28)
【Fターム(参考)】
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