説明

腺維芽細胞成長受容体−3又は−2を発現する細胞を標的化するための方法

【課題】新規なFGF−18標的化組成物の提供。
【解決手段】線維芽細胞成長因子−18(FGF−18)成分及び細胞毒素を含んで成るFGF−18標的化組成物。線維芽細胞成長因子−18(FGF−18)は、FGF受容体−2及び−3と結合する。FGF−18成分を含んで成る組成物は、それらの受容体を発現する細胞を標的化するために使用され得る。適切な標的物は、活性化された形のFGF受容体−2及び3を構成的に発現する腫瘍細胞を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、線維芽細胞成長因子−18成分を含む組成物により細胞の増殖を阻害するための方法に関する。特に、本発明は、線維芽細胞成長因子受容体−3又は線維芽細胞成長因子受容体−2を発現する細胞に細胞毒素を標的化するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多発性骨髄腫は、アメリカ合衆国において毎年、ほぼ15,000人の新規患者を伴なって、第2の最も一般的な血液学的悪性を提供する(Henrickなど., Curr. Opin. Hematol. 5: 254 (1998))。前記疾病は、骨髄の10%以上を包含する血漿細胞の悪性増殖により特徴づけられる(George and Sadovsky, Am. Fam. Physician 59: 1885 (1999))。多発性骨髄腫細胞は、血清又は尿タンパク質電気泳動により同定され得るモノクローナル免疫グロブリンを生成する。最も一般的な臨床学的明示は、骨痛、虚弱及び疲労を包含する(Kyle, Pathol. Biol. (Paris) 47: 148 (1999))。
【0003】
多発性骨髄腫に関する標準の化学療法は、30年以上前に紹介され、そしてそれ以来、全体的な生存率においては、ほとんど改良されていない(San Miguel など., Huematologica 84: 36 (1999))。広範囲の種類の化学療法及び有効な処置選択にもかかわらず、多発性骨髄腫は常に致命的である(Andersonなど., Semin. Hematol. 36 (Suppl.3): 3 (1999))。高−用量化学療法、続く幹細胞移植は、高い緩解割合を生成するが、患者は、めったに、単一の養生により治療されない(Andersonなど., Semin. Hematol. 36 (Suppl. 3): 3 (1999))。
【0004】
再発は少数の患者を除いてすべてにおいて不可避であり、そして大部分の患者に関には、処理は、最少の処理−関連の羅病率及び死亡率を有する緩解の期間を単に生成する(Smith and Newland, QJM 92: 11 (1999))。多発性骨髄腫のすべての段階についての総メジアン生存率は約3年である(Henrickなど., Curr. Opin. Hematol. 5: 254 (1998); George ando Sadovsky, Am. Fam. Physician 59: 1885 (1999))。
従って、多発性骨髄腫を処理するための改良された方法についての必要性がまだ存在する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の簡単な要約:
本発明は、線維芽細胞成長因子受容体−2又は−3を発現する細胞を標的化するための組成物を提供する。本発明はまた、そのような組成物を用いて、細胞増殖を阻害するための方法も提供する。本発明のそれらの及び他の観点は、次の詳細な記載に基づいて明白になるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0006】
1.概観:
線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーは、一般的に、広範囲の細胞型のためにマイトジェンとして作用する、少なくとも18種の異なったメンバーから成る(Basilicoなど., Adv. Cancer Res. 59: 115 (1992); Fernig など., Prog. Growth Factor Res. 5: 353 (1994))。例えば、基本的FGF(また、FGF−2としても知られている)は、内皮細胞、血管平滑筋細胞、線維芽細胞及び一般的に、中胚葉又は神経外胚葉起源の細胞、例えば心臓及び骨格筋細胞のためにインビトロでマイトジェン性である(Gospodarowiczなど., J. Cell. Biol. 70: 395 (1976); Gospodarowiczなど., J. Cell. Biol. 89: 568 (1981); Kardami, J. Mol. Cell. Biochem. 92: 124 (1990))。
【0007】
FGFファミリーの種々のメンバーはまた、非マイトジェン性効果、例えば組織プラスミノーゲン活性化因子の高められた内皮放出、細胞外マトリックス合成の刺激、内皮細胞のための走化性、心筋細胞における胎性収縮性遺伝子の誘発された発現、及び増強された下垂体ホルモン応答を刺激する(Bairdなど., J. Cellular Physiol. 5: 101 (1987); Parkerなど., J. Clin. Invest. 85: 507 (1990))。
【0008】
Deisherなど., 国際公開番号WO98/16644号は、FGF−8及びFGF−17と相同性を共有するFGF相同ポリペプチドをコードする新規ヌクレオチド配列の発現を記載する(Hoshikawaなど., Biochem. Biophys. Res. Comm. 244: 187 (1998))。“zFGF5”として呼ばれる、新規FGFをコードするcDNA分子の配列分析は、180個のアミノ酸(配列番号2の残基28〜207)の成熟ポリペプチドを含んで成る、207個のアミノ酸(配列番号2)をコードする読み取り枠を包含する配列番号1のヌクレオチドを表した。
【0009】
他の既知FGFポリペプチドとzFGF5との複数の一列整列は、配列番号2のアミノ酸残基Cys127〜Tyr138に対応する有意な%同一性のブロックを表した。この新規DNAに対応するヒトmRNAの組織分布の分析は、発現が胎児心臓組織及び成人心臓組織において最高であり、続いて、明らかであるが、しかし低められた発現レベルが、胎児肺、骨格筋、平滑筋組織、例えば小腸、結腸、及び気管に存在したことを示した。
【0010】
ネズミzFGF5 cDNAが、鋳型としてのマウス胚cDNAライブラリー及びヒトzFGF5 cDNAの5’及び3’末端から企画されたオリゴヌクレオチドプライマーにより、ポリメラーゼ鎖反応を用いてクローン化された(Deisherなど., 国際公開番号WO/1664号)。ネズミzFGF5ポリヌクレオチド配列は、配列番号3で示され、そしてその対応するアミノ酸配列は、配列番号4で示される。
【0011】
アミノ酸レベルで、ネズミ及びヒトポリペプチドは、約98%同一であり、そして次の3個のアミノ酸変化が存在する:アミノ酸残基26がヒト配列においてバリンであり、そしてネズミ配列においてアラニンであり、アミノ酸残基183がヒト配列のにいてプロリンであり、そしてネズミ配列においてアラニンであり、そしてアミノ酸残基207がヒト配列においてアラニンであり、そしてネズミ配列においてグリシンである。両配列の26個のアミノ酸残基が分泌シグナル配列に存在するので、成熟ポリペプチドにおいて、わずか2個のアミノ酸差異が存在する。
【0012】
FGFの新規形はまた、Huなど., Mol. Cell. Biol. 18: 6063 (1998); Ohbayashiなど., J. Biol. Chem. 273: 18161 (1998);及びHuなど., Oncogene 18: 2635 (1999)によっても記載されている。FGF命名コンベンションに従って、それらのグループは新規ポリペプチドを、“FGF−18”と命名した。従って、zFGF5は、本明細書においては、FGF−18として言及される。
【0013】
4種の既知の細胞外FGF受容体が存在し、そしてそれらはすべてチロシンキナーゼである。一般的に、FGFファミリーメンバーは、すべての既知FGF受容体に結合するが、しかしながら、特定のFGF形が高い程度の親和性で特定の受容体と結合する。Huなど., Oncogene 18: 2635 (1999)は、FGF−18がFGF受容体ファミリーのいずれかの既知メンバーに結合するかどうか、又はFGF−18が新規受容体と結合するかどうか、明白でないことを示した。本発明者は、FGF−18がFGF受容体−3に対して高い特異性及びFGF受容体−2に対して低い特異性を有することを発見した。
【0014】
FGF−18は、比較的高いリガンド濃度でさえ、FGF受容体ファミリーの他のメンバーと結合しない。それらの観察は、FGF−18が、FGF受容体−3及び前記よりも低い程度、FGF受容体−2を発現する細胞を標的化するために使用され得ることを示す。例えば、FGF−18は、同起源の受容体を発現する細胞の同定のために細胞バンク又は組織スライスをスクリーンするための標的化成分として使用され得る。逆に言えば、FGF−18組成物及び細胞毒素を含んで成る組成物は、連続細胞系又は一次組織調製物からの同起源の受容体を発現する細胞を除去するために使用され得る。
【0015】
本明細書に記載されるように、本発明は、FGF−18成分及び細胞毒素を含んで成る、FGF−18標的化組成物を提供する。FGF−18成分の例は、FGF−18ポリペプチド及びFGF−18機能的フラグメントを包含する。例示的なFGF−18ポリペプチドは、変異体FGF−18ポリペプチド及びFGF−18抗−イディオタイプ抗体を包含する。FGF−18ポリペプチドの特定の例は、配列番号2又は4のいずれかのアミノ酸残基28〜207を含んで成るポリペプチドである。FGF−18機能的フラグメントの例は、配列番号2又は4のいずれかのアミノ酸残基28〜175、又は配列番号2又は4のいずれかのアミノ酸残基28〜196を含んで成るポリペプチドである。
【0016】
適切な細胞毒素成分は、リボソーム−不活性化タンパク質、免疫モジュレーター、化学療法薬物、チロシンキナーゼインヒビター、キレート化剤、硼素化合物、光活性剤及び放射性同位体を包含する。
FGF−18標的化組成物は、お互い共有結合される、FGF−18成分及び細胞毒素を含むことができる。例えば、FGF−18標的化組成物は、FGF−18接合体を含むことができる。FGF−18接合体の1つの例は、FGF−18−サポリン接合体である。
【0017】
他方では、FGF−18標的化組成物は、FGF−18標的化融合タンパク質を含むことができる。例示的な融合タンパク質は、I型リボソーム−不活性化タンパク質、II型リボソーム−不活性化タンパク質、免疫モジュレーター、リボヌクレアーゼ、DNアーゼI、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、ジフテリアトキシン、ジュードモナス外毒素及びシュードモナス内毒素から成る群から選択された細胞毒素を含んで成るポリペプチドを含んで成る。
もう1つの変法においては、FGF−18標的化組成物は、FGF−18標的化リポソームを含んで成る。
【0018】
本発明はまた、線維芽細胞成長因子(FGF)受容体−3又はFGF受容体−2を発現する細胞の増殖を阻害するための方法を提供し、ここでFGF−18標的化組成物を含んで成る組成物を、前記細胞に投与することを含んで成る。例えば、前記投与される組成物は医薬組成物であり、そして前記医薬組成物が、FGF受容体−3又はFGF受容体−2を発現する細胞を含んで成る腫瘍を有する被検者に、治療的有効量で投与される。そのような方法は、インビトロ又はインビボで、細胞、例えば多発生骨髄腫細胞、膀胱癌細胞、頸部癌細胞、甲状腺癌細胞、骨肉腫細胞及び内膜平滑筋細胞を阻害するために使用され得る。
【0019】
本発明はまた、FGF−18標的化組成物及びキャリヤーを含んで成る組成物にも関する。前記キャリヤーは、従来の有機又は無機キャリヤーであり得る。キャリヤーの例は、水、緩衝溶液、アルコール、プロピレングリコール、マクロゲル、ゴマ油、トウモロコシ油、及び同様のものを包含する。1つの例示として、組成物は医薬組成物であり得、そしてキャリヤーは医薬的に許容できるキャリヤーであり得る。
本発明の追加の観点が下記に記載される。
【0020】
2.定義:
次の記載においては、多くの用語が広範囲に使用される。次の定義は、本発明の理解を促進するために提供される。
本明細書において使用される場合、“核酸”又は“核酸分子”とは、ポリヌクレオチド、例えばデオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)、オリゴヌクレオチド、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)により生成されるフラグメント、及び連結、切断、エンドヌクレアーゼ作用及びエキソヌクレアーゼ作用のいずれかにより生成されるフラグメントを言及する。核酸分子は、天然に存在するヌクレオチド(例えばDNA及びRNA)、又は天然に存在するヌクレオチドの類似体(例えば天然に存在するヌクレオチドのα−鏡像異性体形)、又は両者の組み合わせであるモノマーから構成され得る。
【0021】
修飾されたヌクレオチドは、糖成分において、及び/又はピリミジン又はプリン塩基成分において変更を有することができる。糖修飾は、ハロゲン、アルキル基、アミン及びアジド基による1又は複数のヒドロキシル基の置換を包含し、又は糖はエーテル又はエステルとして機能され得る。さらに、全糖成分は、立体的に及び電子的に類似する構造体、例えばアザ−糖及びカルボン酸糖類似体により置換さえ得る。塩基成分における修飾の例は、アルキル化されたプリン及びピリミジン、アシル化されたプリン又はピリミジン、又は他の良く知られている複素環式置換基を包含する。
【0022】
核酸モノマーは、ホスホジエステル結合又はそのような結合の類似体により結合さえ得る。ホスホジエステル結合の類似体は、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホラニリデート、ホスホラミデート、及び同様のものを包含する。用語“核酸分子”とはまた、いわゆる、ポリアミド主鎖に結合される天然に存在するか又は修飾された核酸塩基を含んで成る“ペプチド核酸”も包含する。核酸は一本鎖又は二本鎖のいずれかであり得る。
【0023】
用語“核酸分子の相補体”とは、相補的ヌクレオチド配列、及び対照ヌクレオチド配列に比較して逆の配向を有する核酸分子である。
用語“コンチグ(contig )”とは、他の核酸分子に対する一連の連続した同一の又は相補的な配列を有する核酸分子を示す。連続した配列とは、核酸分子の全体において、又はその一部に沿って、一定の長さの核酸分子を“オーバーラップ”すると言われる。例えば、ポリヌクレオチド配列5’ ATGGAGCTT 3’ に対する代表的なコンチグは、5’ AGCTTgagt 3’及び3’ tcgacTACC 5’である。
【0024】
用語“縮重ヌクレオチド配列”とは、1又は複数の縮重コドンを含むヌクレオチドの配列(ポリペプチドをコードする対照ポリヌクレオチドに比較して)を示す。縮重コドンは、ヌクレオチドの異なったトリプレットを含むが、しかし同じアミノ酸残基をコードする(すなわち、GAU及びGACトリプレットはそれぞれAspをコードする)。
【0025】
用語“構造遺伝子”とは、特定のポリペプチドの特徴のアミノ酸の配列に翻訳されるメッセンジャーRNA(mRNC)に転写される核酸分子を言及する。
“単離された核酸分子”とは、生物のゲノムDNAに組み込まれない核酸分子である。例えば、細胞のゲノムDNAから分離された成長因子をコードするDNA分子が、単離されたDNA分子である。単離された核酸分子のもう1つの例は、生物のゲノムに組み込まれない、化学的に合成された核酸分子である。特定の種から単離された核酸分子は、その種からの染色体の完全なDNA分子よりも小さい。
【0026】
“核酸分子構造体”とは、天然においては存在しない配置で組み合わされ、そして並置された核酸のセグメントを含むようヒト介在を通して修飾された−本鎖又は二本鎖の核酸分子である。
“線状DNA”とは、遊離5’及び3’及び末端を有する非環状DNA分子を示す。線状DNAは、閉環DNA分子、例えばプラスミドから、酵素消化又は物理的な破壊により調製され得る。
【0027】
“相補的DNA(cDNA)”とは、逆転写酵素によりmRNA鋳型から形成される一本鎖DNA分子である。典型的には、mRNAの一部に対して相補的なプライマーは、逆転写の開始のために使用される。当業者はまた、そのような一本鎖DNA分子及びその相補的DNA鎖から成る二本鎖DNA分子を言及するために用語“cDNA”を用いる。用語“cDNA”はまた、RNA鋳型から生成されたcDNA分子のクローンも言及する。
【0028】
“プロモーター”とは、構造遺伝子の転写を方向づけるヌクレオチド配列である。典型的には、プロモーターは、構造遺伝子の転写開始部位に最も近い、遺伝子の5’非コードに領域位置する。転写の開始において機能するプロモーター内の配列要素は、しばしば、コンセンサスヌクレオチド配列により特徴づけられる。それらのプロモーター要素は、RNAポリメラーゼ結合部位、TATA配列、CAAT配列、分化−特異的要素(DSE:McGeheeなど., Mol. Endocrinol. 7: 511 (1993))、サイクリックのAMP応答要素(CRE)、血清応答要素(SRE:Treisman, Seminars in Cancer Biol. 1: 47 (1990))、グルココルチコイド応答要素(GRE)及び他の転写因子のための結合部位、
【0029】
例えばCRE/ATF(O’Reillyなど., J. Biol. Chem. 267: 19938 (1992))、AP2 (Yeなど., J. Biol. Chem. 269: 25728 (1994)), SP1, cAMP応答要素結合タンパク質(CREB;Loeken, Gene Expr. 3: 253 (1993))、及びオクタマー因子(一般的には、Watsonなど., eds., Molecular Biology of the Gene, 4th ed. (The Benjamin Kummings Publishing Company, Inc. 1987), and Lemaigre and Rousseau, Biochem. J. 303: 1 (1994))を包含する。プロモーターが誘発プロモーターである場合、転写の速度は誘発剤に応答して上昇する。対照的に、転写の速度は、プロモーターが構成プロモーターである場合、誘発剤により調節されない。抑制できるプロモーターはまた知られている。
【0030】
“コアプロモーター”は、TATAボックス及び転写の開始を包含するプロモーター機能のための必須ヌクレオチド配列を含む。この定義によれば、コアプロモーターは、活性を増強し又は組織特異的活性を付与することができる特定の配列の不在下で検出できる活性を有しても又は有さなくても良い。
“調節要素”は、コアプロモーターの活性を調節するヌクレオチド配列である。例えば、調節要素は、特定の細胞、組織又はオルガネラにおいて独占的に又は選択的に転写を可能にする細胞因子と結合するヌクレオチド配列を含むことができる。それらのタイプの調節要素は通常、“細胞−特異的”、“組織−特異的”、又は“オルガネラ−特異的”態様で発現される遺伝子に結合されている。
“エンハンサー”は、転写の開始部位に対してエンハンサーの距離又は配向に関係なく、転写の効率を高めることができるタイプの調節要素である。
【0031】
“異種DNA”とは、所定の宿主細胞内に天然において存在しない、DNA分子又はDNA分子の集団を言及する。特定宿主細胞に対して異種であるDNA分子は、宿主DNAが非宿主DNA(すなわち、外来性DNA)と組み合わされる限り、宿主細胞種(すなわち、内因性DNA)に由来するDNAを含むことができる。例えば、転写プロモーターを含んで成る宿主DNAセグメントに操作可能的に連結されるポリペプチドをコードする非宿主DNAセグメントを含むDNA分子は、異種DNA分子であると思われる。逆に言えば、異種DNA分子は、外来プロモーターと操作可能的に連結される内因性遺伝子を含むことができる。もう1つの例として、野生型細胞に由来する遺伝子を含んで成るDNA分子は、そのDNA分子が野生型遺伝子を欠いている突然変異細胞中に導入される場合、異種DNAであると思われる。
【0032】
“ポリペプチド”とは、天然又は合成的に生成されても、ペプチド結合により連結されるアミノ酸残基のポリマーである。約10個よりも少ないアミノ酸残基のポリペプチドは通常、“ペプチド”として言及される。
“タンパク質”は、1又は複数のポリペプチド鎖を含んで成る高分子である。タンパク質はまた、非ペプチド成分、例えば炭水化物基を含むことができる。炭水化物及び他の非ペプチド置換基は、タンパク質が生成される細胞により付加され、そして細胞型により変化するであろう。タンパク質は、それらのアミノ酸主鎖により本明細書において定義され;置換基、例えば炭水化物基は一般的に、特定されないが、しかしそれにもかかわらず、存在することができる。
【0033】
非宿主DNA分子によりコードされるペプチド又はポリペプチドは“異種”ペプチド又はポリペプチドである。
“組み込まれた遺伝子要素”とは、その要素がヒト操作を通して細胞中に導入された後、宿主細胞の染色体中に組み込まれているDNAのセグメントである。本発明においては、組み込まれた遺伝子要素は通常、エレクトロポレーション又は他の技法により細胞中に導入される線状化されたプラスミドに由来する。組み込まれた遺伝子要素は、元の宿主細胞からその子孫に通過される。
【0034】
“クローニングベクター”は、宿主細胞において自律的に複製する能力を有する、核酸分子、例えばプラスミド、コスミド、又はバクテリオファージである。クローニングベクターは典型的には、ベクターの必須の生物学的機能を失わないで、決定できる態様で核酸分子の挿入を可能にする1又は少数の制限エンドヌクレアーゼ認識部位、及びクローニングベクターにより形質転換された細胞の同定及び選択への使用のために適切であるマーカー遺伝子をコードするヌクレオチド配列を含む。マーカー遺伝子は典型的には、テトラサイクリン耐性又はアンピシリン耐性を付与する遺伝子を含む。
【0035】
“発現ベクター”は、宿主細胞において発現される遺伝子をコードする核酸分子である。典型的には、発現ベクターは、転写プロモーター、遺伝子及び転写ターミネーターを含む。遺伝子発現は通常、プロモーターの制御下に配置され、そしてそのような遺伝子はプロモーターに“作用可能に結合される”と言われる。同様に、調節要素及びコアプロモーターは、調節要素がコアプロモーターの活性を調節する場合、操作可能的に連結される。
【0036】
“組換え宿主”とは、異種核酸分子、例えばクローニングベクター又は発現ベクターを含む細胞である。本明細書においては、組換え宿主の例は、発現ベクターからFGF−18を生成する細胞である。対照的に、FGF−18は、FGF−18の“天然源”であり、そして発現ベクターを欠いている細胞により生成さえ得る。
“インテグレイティブ組換え体”は、異種DNAが細胞ゲノムDNA中に組み込まれるようになる組換え宿主細胞である。
【0037】
“融合タンパク質”は、少なくとも2つの遺伝子のヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子により発現されるハイブリッドタンパク質である。例えば、融合タンパク質は、親和性マトリックスを結合するポリペプチドにより融合されるFGF−18ポリペプチドの少なくとも一部を含むことができる。そのような融合タンパク質は、親和性クロマトグラフィーを用いて、多量のFGF−18を単離するための手段を提供する。
【0038】
用語“受容体”とは、“リガンド”と称する生物活性分子に結合する、細胞結合されたタンパク質を示す。この相互作用は、細胞に対するリガンドの効果を介在する。受容体は、膜結合されたシトソール又は核;モノマー(例えば、胸腺刺激性ホルモン受容体、β−アドレナリン作用受容体)又はマルチマー(例えば、PDGF受容体、成長ホルモン受容体IL−3受容体、GM−CSF受容体、G−CSF受容体、エリトロポエチン受容体及びIL−6受容体)であり得る。膜結合された受容体は、細胞外リガンド−結合ドメイン、及び典型的には、シグナルトランスダクションに関与する細胞内エフェクタードメインを含んで成る多−ドメイン構造により特徴づけられる。一定の膜結合された受容体においては、細胞外リガンド−結合ドメイン及び細胞内エフェクタードメインは、完全な機能的受容体を含んで成る別々のポリペプチドに位置する。
【0039】
一般的に、受容体へのリガンドの結合は、細胞の代謝における変更を導く、細胞におけるエフェクタードメインと他の分子との間の相互作用を引き起こす受容体のコンホメーション変化をもたらす。受容体−リガンド相互作用にしばしば連結される代謝現象は、遺伝子転写、リン酸化、脱リン酸化、サイクリックAMPを生成の上昇、細胞カルシウムの代謝、膜脂質の代謝、細胞付着、イノシトール脂質の加水分解及びリン脂質の加水分解を包含する。
【0040】
用語“分泌シグナル配列”とは、それが合成される細胞の分泌路を通してより大きなポリペプチドを、より大きなポリペプチドの成分として方向づけるペプチド(“分泌ペプチド”)をコードするDNA配列を示す。前記のより大きなポリペプチドは、分泌路を通しての移動の間、分泌ペプチドを除去するために通常分解される。
【0041】
“単離されたポリペプチド”は、汚染性細胞成分、例えば炭水化物、脂質又は天然においてポリペプチドに関連している他のタンパク質性不純物を実質的に含まないポリペプチドである。典型的には、単離されたポリペプチドの調製物は、高く精製された形で、すなわち少なくとも約80%の純度、少なくとも約90%の純度、少なくとも約95%の純度、95%以上の純度、又は99%以上の純度でポリペプチドを含む。特定のタンパク質調製物が単離されたポリペプチドを含むことを示すための1つの手段は、タンパク質調製物のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)−ポリアクリルアミドゲル電気泳動及びゲルのクーマシーブルー染色によるシングルバンドの出現によるものである。しかしながら、用語“単離された”とは、他の物理形、例えばダイマー又は他のグリコシル化された又は誘導体化された形での同じポリペプチドの存在を排除しない。
【0042】
用語“アミノ−末端”及び“カルボキシル−末端”とは、ポリペプチド内の位置を示すために本明細書において使用される。その情況が可能である場合、それらの用語は、接近性又は相対的位置を示すためにポリペプチドの特定の配列又は一部に関して使用される。例えば、ポリペプチド内の対象配列のカルボキシル末端側に位置する一定の配列は、その対照配列のカルボキシル末端に隣接して位置するが、しかし完全なポリペプチドのカルボキシル末端では必ずしも必要ではない。
用語“発現”とは、遺伝子生成物の生合成を言及する。例えば、構造遺伝子においては、発現はmRNAへの構造遺伝子の転写及び1又は複数のポリペプチドへのmRNAの翻訳を包含する。
【0043】
用語“スプライス変異体”とは、遺伝子から転写されるRNAの二者択一の形を示すために、本明細書において使用される。スプライス変異は、転写されたRNA分子内の、又は通常低いが、別々に転写されたRNA分子間の二者択一のスプライシング部位の使用を通して天然において生じ、そして同じ遺伝子から転写されるいくつかのmRNAをもたらすことができる。スプライス変異体は、変更されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードすることができる。用語スプライス変異体はまた、遺伝子から転写されるmRNAのスプライス変異体によりコードされるポリペプチドを示すために本明細書において使用される。
【0044】
用語“相補体/抗−相補体対”とは、適切な条件下で、非共有的に会合される安定した対を形成する非同一性成分を示す。例えば、ビオチン及びアビジン(又はストレプタビジン)は、相補体/抗−相補体対の基本型メンバーである。他の典型的な相補体/抗−相補体対は、受容体/リガンド対、抗体/抗原(又はハプテン又はエピトープ)対、センス/アンチセンス ポリヌクレオチド対、及び同様のものを包含する。補体/抗−補体対の続く解離が所望される場合、その補体/抗−補体対は好ましくは、<109-1の結合親和性を有する。
【0045】
“抗−イディオタイプ抗体”とは、免疫グロブリンの可変領域ドメインと結合する抗体である。本明細書においては、抗−イディオタイプの抗体は、抗−FGF−18抗体の可変領域と結合し、そしてFGF−18のエピトープを模倣する。例えば、FGF−18抗−イディオタイプ抗体はFGF受容体−2又は3の少なくとも1つを結合する。
“抗体フラグメント”は、抗体の一部、例えばF(ab’)2, F(ab)2, Fab’, Aab及び同様のものである。構造に関係なく、抗体フラグメントは、損なわれていない抗体により認識される同じ抗原と結合する。例えば、抗−FGF−18モノクローナル抗体フラグメントは、FGF−18のエピトープと結合する。
【0046】
用語“抗体フラグメント”はまた、特定の抗原に結合する、合成の又は遺伝的に構築されたポリペプチド、例えばL鎖可変領域から成るポリペプチド、H及びL鎖の可変領域から成る“Fv”フラグメント、L及びH鎖可変領域がペプチドリンガーにより連結されている組換え一本鎖ポリペプチド分子(“svFvタンパク質”)、及び超可変領域を模倣するアミノ酸残基から成る最少認識単位を包含する。
“キメラ抗体”は、囓歯動物抗体に由来する種々のドメイン及び相補的決定領域を含む組換えタンパク質であるが、ところが抗体分子の残りはヒト抗体に由来する。
【0047】
“ヒト型化された抗体”は、モノクローナル抗体のネズミ相補的決定領域がネズミ免疫グロブリンのH及びL可変鎖からヒト可変ドメインに移行されている組換えタンパク質である。
“親和性標識”とは、第2ポリペプチドの精製又は検出を提供し、又は基質への第2ポリペプチドの結合のための部位を供給するために、第2ポリペプチドに結合され得るポリペプチドセグメントを示すために本明細書において使用される。主に、抗体又は、他の特異的結合剤が利用できるいずれかのペプチド又はタンパク質が親和性標識として使用され得る。
【0048】
親和性標識は、ポリ−ヒスチジン系、すなわちプロテインA (Nilsson など., EMBO J. 4: 1075, 1985; Nilsson など., Methods Enzymol. 198: 3, 1991), グルタチオンS トランスフェラーゼ(Smits and Johnson, Gene 67; 31, 1988), Glu-Glu親和性標識 (Grussenmeyerなど., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82: 7952-4, 1985), 物質P、すなわちFlagTM ペプチド(Hoppなど., Biotechnology 6: 1204-1210, 1988)、ストレプタビジン結合ペプチド、又は他の抗原性エピトープ又は結合ドメインを包含する。一般的に、Ford など., Protein Expression and Purification 2:95-107, 1991を参照のこと。親和性標識をコードする核酸分子は、商品供給者(例えばPharmacia Biotech, Piscataway, NJ; Eastman Kodak, New Heven, CT; New England Biolabs, Beverly, MA)から入手できる。
【0049】
“裸の抗体”は、抗体フラグメントに対立するものとして、治療剤、例えば細胞毒素により接合されない完全な抗体である。裸の抗体は、ポリクローナル及びモノクローナル抗体、並びに一定の組換え抗体、例えばキメラ性及びヒト型化された抗体を包含する。
本明細書において使用される場合、用語“抗体成分”は、完全な抗体及び抗体フラグメントの両者を包含する。
本発明において使用される場合、用語“抗体融合タンパク質”とは、抗体成分及びFGF−18ポリペプチド成分を含んで成る組換え分子を言及する。抗体融合タンパク質の例は、FGF−18ポリペプチド、及びFcドメイン又は抗原−結合領域のいずれかを含んで成るタンパク質を包含する。
【0050】
用語“変異体FGF−18遺伝子”は、配列番号2の修飾であるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸分子を言及する。そのような変異体は、天然に存在する多型現象のFGF−18遺伝子、及び配列番号2のアミノ酸配列の保存性アミノ酸置換を含む合成遺伝子を包含する。FGF−18遺伝子の追加の変異体形は、本明細書に記載されるヌクレオチド配列の挿入又は欠失を含む核酸分子である。変異体FGF−18遺伝子は、その遺伝子が配列番号1のヌクレオチド配列を有する核酸分子、又はその補体と、緊縮条件下でハイブリダイズするかどうかを決定することによって同定され得る。
【0051】
他方では、変異体FGF−18遺伝子は、配列−比較により同定さえ得る。2つのアミノ酸配列は、その2つのアミノ酸配列のアミノ酸残基が、最大の応答により整列される場合、同じである場合、“100%のアミノ酸配列同一性”を有する。配列比較は、標準のソフトウェアプログラム、例えばDNASTAR(Madison, Wisconsin)により製造されるLASERGENE生物情報コンピューターサイトに包含されるそれらのプログラムを用いて行われ得る。
【0052】
最適な整列を決定することによって、2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列を比較するための他の方法は、当業者に良く知られている(例えば、Peruski and Peruski, The Internet and the New Biology: Tools for Genomic and Molecular Research (ASM Press, Inc. 1997), Wu など. (eds.), “Information Superhighway and Computer Databases of Nucleic Acids and Proteins.” In Methods in Gene Biotechnology, Pages 123-151 (CRC Press. Inc. 1997), 及びBishop (ed.), Guide to Human Genome Computing, 2nd Edition (Academic Press, Inc. 1998) を参照のこと)。配列同一性を決定するための特定の方法は下記に記載される。
【0053】
変異体FGF−18遺伝子又は変異体FGF−18ポリペプチドを同定するために使用される特定の方法にもかかわらず、変異体遺伝子又はそれによりコードされるポリペプチドは、その抗−ウィルス又は抗−増殖活性により、又は抗−FGF−18抗体に対して特異的に結合する能力、又はFGF受容体−2又は3と結合する能力により機能的に特徴づけられる。
【0054】
用語“対立遺伝子変異体”とは、同じ染色体遺伝子座を占める遺伝子の複数の遺伝子の二者択一形のいずれかを示すために、本明細書において使用される。対立遺伝子変異は、突然変異を通して天然では生じ、そして集団内の表現型多型現象をもたらすことができる。遺伝子突然変異は、サイレントであり(コードされたポリペプチドにおける変化がない)、又は変更されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードすることができる。用語、対立遺伝子変異体はまた、遺伝子の対立遺伝子変異体によりコードされるタンパク質を示すために本明細書において使用される。
【0055】
用語“オルト体(orthology)”とは、異なった種からのポリペプチド又はタンパク質の機能的相対物である、1つの種から得られるポリペプチド又はタンパク質を示す。オルト体間の配列の差異は、特定化の結果である。
“パラ体(paralogs)”とは、生物によって製造される、異なっているが,しかし構造的に関連するタンパク質である。パラ体は、遺伝子重複を通して生じると思われる。例えば、α−グロビン、β−グロビン及びミオグロビンは、お互いパラ体である。
【0056】
“FGF−18ポリペプチド”は、配列番号2のアミノ酸配列から成るポリペプチドにより例示されるように、FGF受容体−2及び3の少なくとも1つを結合するポリペプチドである。本明細書において記載されるように、例示的なFGF−18ポリペプチドの一定の変異体が、例示的なFGF−18ポリペプチドに関して、配列同一性及び核酸分子ハイブリダイゼーションの少なくとも1つにより同定される。FGF−18ポリペプチドの追加の例はFGF−18抗−イディオタイプ抗体である。
本発明においては、“FGF−18機能的フラグメント”とは、FGF受容体−2及び3の少なくとも1つと結合するFGF−18ポリペプチドの一部を言及する。
【0057】
本明細書において使用される場合、用語“FGF−18成分”とは、FGF−18ポリペプチド及びFGF−18機能的フラグメントの両者を包含する。
本明細書において使用される場合、“細胞毒素”とは、細胞の死を引き起こすことができるか、又は細胞の増殖を阻害することができる分子又は原子である。細胞毒素の例は、薬物、リボソーム−不活性化タンパク質、免疫モジュレーター、キレート化剤、硼素化合物、光活性剤又は色素、放射性同位体及び同様のものを包含する。
【0058】
本明細書において使用される場合、用語“免疫モジュレーター”とは、サイトカイン、幹細胞成長因子、リンフォトキシン、同時刺激分子、造血因子及びそれらの分子の合成類似体を包含する。免疫モジュレーターの例は、腫瘍壊死因子、インターロイキン(例えば、インターロイキン−(IL−I)〜IL−18)、コロニー刺激因子(例えば、顆粒球−コロニー刺激因子及び顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子)、インターフェロン(例えば、インターフェロン−α、−β、−γ、−ω、−ε、及び−τ)、幹細胞増殖因子、例えば“SI因子”、エリトロポエチン及びトロンボポエチンを包含する。
【0059】
“FGF−18標的化組成物”は、FGF−18成分及び細胞毒素を含んで成り、そしてFGF受容体−2及び3の少なくとも1つと結合する。FGF−18成分と細胞毒素との間の結合は、共有又は非共有結合であり得る。例えば、FGF−18接合体及びFGF−18標的化融合タンパク質におけるFGF−18成分−細胞毒素結合は、共有結合であり、そしてFGF−18標的化リポソームは、非共有結合を示す。
“FGF−18接合”は、FGF−18成分及び細胞毒素を、直接的に又は結合剤により共有結合することによって生成されるタイプのFGF−18標的化組成物である。
【0060】
本明細書において使用される場合、“FGF−18標的化融合タンパク質”とは、FGF−18ポリペプチド成分及び細胞毒素を含んで成る組換え分子を言及する。
標準分析法の不正確さのために、ポリマーの分子量及び長さは、おおよその値であることが理解される。そのような値が“約”X又は“およそ”Xとして表される場合、Xの言及された値は、±10%で正確であると理解されるであろう。
【0061】
3.FGF−18成分の調製:
A.FGFポリペプチドの生成:
ヒトFGF−遺伝子をコードする核酸分子は、配列番号1又は上記に開示される配列に基づいてポリヌクレオチドプローブを用いて、ヒトcDNA又はゲノムライブラリーをスクリーニングすることによって得られる。それらの技法は、標準であり、そして良く確立されている。例えば、White(ed.)、Methods in Molecular Biology, Vo. 15: PCR Protocols: Current Methods and Applications (Humana Press, Inc., 1993), Ausubel など., (eds.), Short Protocols in Molecular Biology, 3rd Edition (John Wiley & Sons 1995) [“Ausubel (1995)], 及びWuなど., Methods in Gene Biotechnology (CRC Press, Inc, 1997) [“Wu (1997)”]。
【0062】
他に、FGF−18遺伝子は、お互いプライムする長いオリゴヌクレオチド、及び本明細書に記載されるヌクレオチド配列を用いて、核酸分子を合成することによって得られる(例えば、Ausubel (1995) p.8-8〜8-9を参照のこと)。ポリメラーゼ鎖反応を用いての確立された技法は、少なくとも2kbの長さのDNA分子を合成する能力を提供する(Adang など., Plant Molec. Biol. 21: 1131 (1993). Bambot など., PCR Methods and Applications 2:266 (1993), Dilfon など., “Use of the Polymerase Chain Reaction for the Rapid Constrauction of Synthetic Genes,” in Methods in Molecular Biology, Vol. 15: PCR Protocols: Current Methods and Applications. White (ed.), Pages 263-268. (Humana Press. Inc. 1993), 及びHolowachukなど., PCR Methods Appl. 4: 299 (1995)。
【0063】
本発明の核酸分子はまた、ホスホラミジット方法のようなプロトコールを用いて、“遺伝子機会”により合成され得る。化学的に合成される二本鎖DNAが遺伝子又は遺伝子フラグメントの合成のような用途のために必要とされる場合、個々の相補的鎖は別々に製造される。短い遺伝子(60〜80の塩基対)の生成は技術的に簡単であり、そして相補的鎖を合成し、そして次にそれらをアニーリングすることによって達成され得る。
【0064】
しかしながら、長い遺伝子(300以上の塩基対)の生成に関しては、化学的DNA合成の間、個々のサイクルのカップリング効率はめったに100%ではないので、特殊な手段が必要とされる。この問題を克服するために、合成遺伝子(二本鎖)が、20〜100個の長さのヌクレオチドである一本鎖フラグメントからモジュラー形でアセンブルされる。ポリヌクレオチド合成の再考のためには、例えば、Glick and Pasternak, Molecular Biotechnology, Principles and Applications of Recombinant DNA (ASM Press 1994), Itakura など., Annu. Rev. Biochem. 53: 323 (1984), などClimie など., Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 87: 633 (1990) を参照のこと。
【0065】
当業者は、配列番号1に開示される配列がヒトFGF−18の単一の対立遺伝子を表し、そして対立遺伝子変動及び交互のスプライシングが生じることが予測されることを認識するであろう。本明細書に開示されるヌクレオチド配列の対立遺伝子変異体は、標準の方法に従って、異なった個人からのcDNA又はゲノムライブラリーをプローブすることによってクローン化され得る。配列番号1に示されるヌクレオチド配列の対立遺伝子変異体、例えばサイレント突然変異を含むそれらの変異体及び突然変異がアミノ酸配列変更をもたらすそれらの変異体は、FGF−18対立遺伝子変異体であるタンパク質のように、本発明の範囲内である。
【0066】
FGF−18ポリペプチドの性質を保持する、もう1つのスプライスされたmRNAから生成されるcDNAは、そのようなcDNA及びmRNAによりコードされるポリペプチドと同じように、本発明の範囲内に包含される。それらの配列の対立遺伝子変異体及びスプライス変異体は、当業界において知られている標準の方法に従って、異なった個人又は組織からのcDNA又はゲノムライブラリーをプローブすることによってクローン化され得る。
【0067】
十分な長さのポリペプチド、機能的フラグメント及び融合タンパク質を包含するFGF−18ポリペプチドは、従来の技法に従って、組換え宿主細胞において生成され得る。FGF−18遺伝子を発現するためには、ポリペプチドをコードする核酸分子が、発現ペプチドにおいて転写発現を制御し、そして次に、宿主細胞中に導入される調節配列に操作可能的に連結されるべきである。転写調節配列、例えばプロモーター及びエンハンサーの他に、発現ベクターは、翻訳調節配列、及び発現ベクターを担持する細胞の選択のために適切なマーカー遺伝子を包含することができる。
【0068】
真核細胞において外来性タンパク質の生成のために適切である発現ベクターは、典型的には、(1)細胞宿主における発現ベクターの増殖及び選択を提供するための細菌複製起点及び抗生物質耐性マーカーをコードする真核DNA要素;(2)転写の開始を制御する真核DNA要素、例えばプロモーター;及び(3)転写体のプロセッシングを制御するDNA要素、例えば転写終結/ポリアデニル化配列を含む。上記で論じられたように、発現ベクターはまた、異種ポリペプチドを、宿主細胞の分泌経路中に方向づける分泌配列コードするヌクレオチド配列を包含する。例えば、FGF−18発現ベクターは、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、及びいずれかの分泌された遺伝子、例えばFGF−18に由来する分泌配列を含むことができる。
【0069】
本発明のFGF−18タンパク質は、原核又は真核細胞において発現され得る。例示的な原核細胞は、E.コリ及びバチラス・サブチリス(Bacillus subtilus)を包含する。例示的な真核細胞は、哺乳類細胞、菌類細胞、鳥類細胞、酵母細胞、昆虫細胞及び植物細胞を包含する。組換え宿主細胞においてタンパク質を発現するための方法は、当業者に良く知られている(例えば、Murray (ed.), Gene Transfer and Expression Protocols (Humana Press 1991), Ausubel (1995), Williams など., “Expression of foreign proteins in E. coli using plasmid vectors and purification of specific polyclonal antibodies,” in DNS Cloning 2: Expression Systems, 2nd Edition, Glover など. (eds.), page 15 (Oxford University Press 1995), Ward など., “Genetic Manipulation and Expression of Antibodies,” in Monoclonal Antibodies: Principles and Applications, page 137 (Wiley-Liss, Inc. 1995), Georgiou, “Expression of Priteins in Bacteria,” in Protein Engineering: Principles and Practice, Cleland など. (eds.), page 101 (John Wiley & Sons, Inc. 1996), 及びFernandez and Hoeffler (eds.), Gene Expression Systems: Using Nature for the Art of Expression (Academic Press, Inc. 1999) を参照のこと)。
【0070】
哺乳類細胞系により生成される外来性タンパク質を発現し、そして回収するための一般的な方法は、例えばEtcheverry, “Expression of Engineered Protein in Mammalian Cell Culture”, in Protein Engineering: Principles and Practice, Clelandなど., (ed.), p.163 (Wiley-Liss, Inc. 1996) により提供される。細胞系により生成されるタンパク質を回収するための標準技法は、例えばGrisshammer など., “Purification of over-produced proteinsfrom E. coli cells”, In DNA Cloning 2: Expression Systems, 2nd Edition, Glover など., (eds.), p.59-92 (Oxford University Press 1995) により提供される。バキュロウィルス系から組換えタンパク質を単離するための確立された方法は、Richardson (ed.), Baculovirus Expression Protocols (The Humana Press, Inc. 1995) により記載される。
【0071】
本発明のFGF−18ポリペプチドは、独占的固相合成、部分固相方法フラグメント縮重又は従来の溶液合成により合成され得る。それらの合成方法は、当業者に良く知られている。例えば、標準の固相ペプチド合成は、Merrifield, J. Am. Chem. Soc. 85: 2149 (1963), 及びLloyd-Williams など., Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins (CRC Press 1997) により記載される。全体的な化学合成方法の変法、例えば“天然の化学的連結”及び“発現されたタンパク質の連結”がまた標準である(例えば、Dawson など., Science 266: 776 (1994), Hackeng など., Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 94: 7845 (1997), Dawson, Methods Enzymol. 287: 34 (1997), Muir など., Proc. Nat’l Acad, Sci. USA 95: 6705 (1998), 及びSeverinov and Muir, J. Biol. Chem. 273: 16205 (1998)を参照のこと)。
【0072】
本発明のポリペプチドは、汚染性高分子、特に他のタンパク質及び核酸に対して、少なくとも約80%の純度、少なくとも約90%の純度、少なくとも約95%の純度、又は95%以上の純度に精製することが好ましく、そして感染性及び発熱性剤を有さない。本発明のポリペプチドはまた、99.9%以上の純度である医薬的に純粋な状態に精製され得る。特定の精製されたポリペプチド製剤は、他のポリペプチド、特に動物起源の他のポリペプチドを実質的に有さない。
【0073】
分別及び/又は従来の精製方法は、天然源(例えば、心臓組織)から精製されたFGF−18、合成FGF−18ポリペプチド、及び組換え宿主細胞から精製された組換えFGF−18ポリペプチド及び融合FGF−18ポリペプチドの調製物を得るために使用され得る。一般的に、硫酸アンモニウム沈殿及び酸又はカオトロピック剤抽出は、サンプルの分別のために使用される。典型的な精製段階は、ヒドロキシアパタイト、サイズ排除、FPLC及び逆相高性能液体クロマトグラフィーを包含する。
【0074】
適切なクロマトグラフィー用媒体は、誘導体化されたデキストラン、アガロース、セルロース、ポリアクリルアミド、特別なシリカ及び同様のものを包含する。PEI、DEAE、QAE及びQ誘導体が好ましい。典型的なクロマトグラフィー用媒体は、フェニル、ブチル又はオクチル基により誘導体化されたもの、例えばフェニル−Sepharose FF(pharmacia),Toyopearl ブチル650(Toso Haas, Montgomeryville, PA)、オクチル−Sepharrose (Pharmacia)及び同様のもの;又はポリアクリル樹脂、例えばAmberchrom CG71 (Toso Haas)及び同様のものを包含する。
【0075】
適切な固体支持体は、ガラスビーズ、シリカ基材の樹脂、セルロース樹脂、アガロースビーズ、架橋されたアガロースビーズ、ポリスチレンビーズ、架橋されたポリアクリルアミド樹脂及びそれらが使用される条件下で不溶性である同様のものを包含する。それらの支持体は、アミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、ヒドロキシル基及び/又は炭水化物成分によるタンパク質の結合を可能にする反応性基より変性され得る。
【0076】
タンパク質単離及び精製における追加の変法は、当業者により考案され得る。例えば、下記に記載のようにして得られた抗−FGF−18抗体は、免疫親和性精製により、多量のタンパク質を単離するために使用され得る。
【0077】
B.変異体FGF−18ポリペプチド:
(1)例示的FGF−18ポリペプチドの突然変異:
当業者は、遺伝子コードの縮重の観点から、相当の配列変動がそれらのポリヌクレオチド分子間で可能であることを容易に認識するであろう。例示のように、配列番号5は、配列番号2のヒトFGF−18ポリペプチドをコードするすべての核酸分子を包含する縮重ヌクレオチド配列である。当業者は、配列番号5の縮重配列がまた、Tに代わってUを置換することによって、それぞれ配列番号2をコードするすべてのRNA配列を提供することを認識するであろう。従って、本発明は、配列番号1又は3のヌクレオチド82〜621、及びそれらのRNA同等物を含んで成るFGF−18ポリペプチド−コード核酸分子の生成を企画する。
【0078】
表1は、縮重ヌクレオチド位置を示すために、配列番号5内に使用される1文字コードを示す。“解”は、コード文字により示されるヌクレオチドである。“補体”とは、相補的ヌクレオチドのためのコードを示す。例えば、コードYはC又はTのいずれかを示し、そしてその相補体RはA又はGを示し、AはTに対して相補的であり、そしてGはCに対して相補的である。
【0079】
【表1】

所定のアミノ酸についてのすべての可能なコドンを包含する、配列番号5に使用される縮重コドンが表2に示される。
【0080】
【表2】

【0081】
当業者は、いくらかのあいまいさが、個々のアミノ酸をコードするすべての可能なコドンの代表である縮重コドンの決定において導入されることを理解するであろう。例えば、セリン(WSN)のための縮重コドンは、ある環境下で、アルギニン(AGR)をコードすることができ、そしてアルギニン(MGN)のための縮重コドンは、ある環境下で、セリン(AGY)をコードすることができる。類似する関係が、フェニルアラニン及びロイシンをコードするコドン間に存在する。従って、縮重配列により包含されるいくつかのポリヌクレオチドは、変異体アミノ酸配列をコードすることができるが、しかし当業者は、配列番号2、又は4のアミノ酸配列への参照によりそのような変異体配列を容易に同定することができる。変異体配列は、本明細書に記載のようにして機能性について容易に試験され得る。
【0082】
異なった種は“選択的コドン使用法”を示すことができる。一般的には、Grantham,など., Nuc. Acids Res. 8: 1893−912, 1980; Haas, など., Curr. Biol. 6: 315−24, 1996; Wain−Hobson、など.,Gene 13:355−64,1981;Grosjean and Fiera,Gene 18:199−209、1982;Holm,Nuc.Acids Res.14:3075−87、1986;Ikemura,J.Mol.Biol.158:573−97,1982、Sharyp and Matassi, Curr. Opin. Genet. Dev. 4: 851 (1994), Kane, Curr. Opin. Biotechnol. 6: 494(1995), 及びMakrides, Microbiol. Rev. 60: 512(1996) を参照のこと。
【0083】
本明細書において使用される場合、用語、“選択的コドン使用法”又は“選択的コドン”とは、一定の種の細胞に最も頻繁に使用され、従って個々のアミノ酸をコードする可能なコドンの1又は少数の代表を好むタンパク質翻訳コドンを言及する技術的用語である(表2を参照のこと)。例えば、アミノ酸トレオニン(Thr)は、ACA、ACC、ACG、又はACTによりコードされるが、しかし哺乳類細胞においては、ACCが最も通常に使用されるコドンであり;他の種においては、例えば昆虫細胞、酵母、ウィルス又は細菌においては、異なったThrコドンが好ましい。
【0084】
特定の種のための選択的コドンは、当業界において知られている種々の方法により、本発明のポリヌクレオチド中に導入され得る。例えば、組換えDNA中への選択的コドン配列の導入は、特定の細胞型又は種内でタンパク質の翻訳により効果的にすることによって、そのタンパク質の生成を増強する。従って、配列番号3に開示される縮重コドン配列は、当業界において通常使用され、そして本明細書において開示される種々の細胞型及び種においてポリペプチドの発現を最適化するための鋳型として作用する。選択コドンを含む配列は、種々の種における発現について試験され、そして本明細書に開示される機能性について試験され得る。
【0085】
本発明はさらに、他の種(オルト体)からの相対物を表すポリペプチド及び核酸分子を供給する。それらの種は、哺乳類、鳥類、両性類、ハ虫類、魚類、昆虫及び他の脊椎及び無脊椎動物種を包含するが、但しそれらだけには限定されない。特に興味あるものは、他の哺乳類種、例えばブタ、羊、ウシ、犬、ネコ、馬及び他の霊長類リガンドからのFGF−18ポリペプチドである。ヒトFGF−18ポリペプチドのオルト体は、従来のクローニング技法と組合して、本発明により供給される情報及び組成物を用いてクローン化され得る。これは、ネズミFGF−18のクローニングにより例示される。mRNAの適切な源は、本明細書に開示される配列から企画されたプローブによりノザンブロットをプローブすることによって同定され得る。次に、ライブラリーが陽性の組織又は細胞系のmRNAから調製される。
【0086】
当業者は、配列番号1に開示される配列がヒトFGF−18の単一の対立遺伝子を表し、そして対立遺伝子変動及び交互のスプライシングが生じることが予測されることを認識するであろう。本明細書に開示されるヌクレオチド配列の対立遺伝子変異体は、標準の方法に従って、異なった個人からのcDNA又はゲノムライブラリーをプローブすることによってクローン化され得る。本明細書に開示されるヌクレオチド配列の対立遺伝子変異体、例えばサイレント突然変異を含むそれらの変異体及び突然変異がアミノ酸配列変更をもたらすそれらの変異体は、本明細書に開示されるアミノ酸配列の対立遺伝子変異体であるタンパク質のように、本発明の範囲内である。
【0087】
FGF−18ポリペプチドの性質を保持する、もう1つのスプライスされたmRNAから生成されるcDNAは、そのようなcDNA及びmRNAによりコードされるポリペプチドと同じように、本発明の範囲内に包含される。それらの配列の対立遺伝子変異体及びスプライス変異体は、当業界において知られている標準の方法に従って、異なった個人又は組織からのcDNA又はゲノムライブラリーをプローブすることによってクローン化され得る。
【0088】
本発明の好ましい態様においては、単離された核酸分子は、本明細書に開示されるヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子に対して、緊縮条件下でハイブリダイズするであろう。例えば、そのような核酸分子は、緊縮条件下で、配列番号1のヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子、配列番号1のヌクレオチド82−621のヌクレオチド配列から成る核酸分子、又は配列番号1に対して相補的なヌクレオチド配列又は配列番号1のヌクレオチド82−621を含んで成る核酸分子にハイブリダイズすることができる。一般的に、緊縮条件は、定義されたイオン強度及びpHで、特定の配列のための熱溶融点(Tm)よりも約5℃低くあるよう選択される。Tmは、標的配列の50%が好ましく適合されたプローブに対してハイブリダイズする温度(定義されたイオン強度及びpH下で)である。
【0089】
1対の核酸分子、例えばDNA-DNA, RNA-RNA及びDNA-RNAは、ヌクレオチド配列がいくらかの程度の相補性を有する場合、ハイブリダイズすることができる。ハイブリッド二重ヘリックスにおけるミスマッチ塩基対を許容できるが、しかしハイブリッドの安定性はミスマッチの程度により影響される。ミスマッチハイブリッドのTmは、1〜1.5%の塩基対ミスマッチごとに1℃低下する。ハイブリダイゼーション条件の緊縮性の変更は、ハイブリッドに存在するであろうミスマッチの程度に対する制御を可能にする。緊縮性の程度は、ハイブリダイゼーション温度が上昇し、そしてハイブリダイゼーション緩衝液のイオン強度が低下するにつれて、上昇する。
【0090】
緊縮ハイブリダイゼーション条件は、ハイブリッドの熱溶融点(Tm)よりも約5〜25℃低い温度、及び1MまでのNa+を有するハイブリダイゼーション緩衝液を包含する。より低い温度でのより高い温度の緊縮性は、緩衝溶液における個々の1%ホルムアミドについて約1℃、ハイブリッドのTmを低めるホルムアミドの添加により達成され得る。一般的に、そのような緊縮条件は、20〜70℃の温度、及び6×SSC及び0〜50%のホルムアミドを含むハイブリッド緩衝液を包含する。高い程度の緊縮性は、40〜70℃の温度で及び4×SSC及び0〜50%のホルムアミドを有するハイブリダイゼーション緩衝液により達成され得る。
【0091】
高い緊縮条件は典型的には、42〜70℃の温度、及び1×SSC及び0〜50%のホルムアミドを有するハイブリダイゼーション緩衝液を包含する。異なった程度の緊縮液が、標的配列への最大の特異的結合を達成するために、ハイブリダイゼーション、及び洗浄の間、使用され得る。典型的には、ハイブリダイゼーションに続く洗浄は、ハイブリダイズされた複合体からハイブリダイズされていないポリヌクレオチドプローブを除去するために、上昇する程度の緊縮性で行われる。
【0092】
上記条件は、ガイドとして作用することを意味し、そしてそれは特定のポリペプチドハイブリッドとの使用のためのそれらの条件を適合するために、十分に当業者の能力の範囲内である。特定の標的配列についてのTmは、標的配列の50%が完全に適合されたプローブ配列にハイブリダイズするであろう温度(定義された条件下での)である。Tmに影響を及ぼすそれらの条件は、ポリヌクレオチドプローブのサイズ及び塩基対含有率、ハイブリダイゼーション溶液のイオン温度、及びハイブリダイゼーション溶液における不安定化剤の存在を包含する。
【0093】
Tmを計算するための多くの等式は当業界において知られており、そして種々の長さのDNA、RNA及びDNA−RNAハイブリッド及びポリヌクレオチドプローブ配列に対して特異的である(例えば、Sambrook など., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition (Cold Spring Harbor Press 1988); Ausubel など., (eds.), Current Protocols in Molecular Biology (John Wiley and Sons, Inc. 1987); Berger and Kimmel (eds.), Guide to Molecular Cloning Techniques, (Academic Press, Inc. 1987); 及びWetmur, Crit. Rev. Biochem. Mol. Biol. 26:227 (1990)を参照のこと)。
【0094】
配列分析ソフトウェア、例えばOLIGO6.0(LSR; Long Lake, MN)及びPrimer Premier 4.0 (Premier Biosoft International; Palo Alto, CA), 並びにインターネット上のサイトが所定の配列を分析し、そして使用者の定義された基準に基づいてTmを計算するための手段を入手できる。そのようなプログラムはまた、定義された条件下で所定の配置を分析し、そして適切なプローブ配列を同定することができる。典型的には、50以上の塩基対の長いポリヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションは、計算されたTmよりも約20〜25℃低い温度で行われる。50以下の塩基対の小さなプローブに関しては、ハイブリダイゼーションは典型的には、Tm又はそれよりも5〜10℃以下で行われる。これは、DNA−DNA及びDNA−RNAハイブリッドに関して、最大速度のハイブリダイゼーションを可能にする。
【0095】
ヌクレオチド配列の長さは、ハイブリッド形成の速度及び安定性に影響を及ぼす。小さなプローブ配列、すなわち50個以下の塩基対は、相補的配列との平衡化にすばやく達するが、しかし安定したハイブリッドは形成されない。インキュベーション時間(およそ分〜時)が、ハイブリッド形成を達成するために使用され得る。より長いプローブ配列はよりゆっくりと平衡化するが、しかし低い温度でさえ、より安定した複合体を形成する。インキュベーションは、一晩又はそれ以上の間、進行せしめられる。一般的に、インキュベーションは、計算されたコット時間の3倍に等しい期間、行われ得る。コット時間、すなわちポリヌクレオチド配列が再会合するのにかかる時間は、当業界において知られている方法により、特定の配列について計算され得る。
【0096】
ポリヌクレオチド配列の塩基対組成が、ハイブリッド複合体の熱安定性をもたらし、それにより、ハイブリダイゼーション温度の選択及びハイブリダイゼーション緩衝液のイオン強度に影響を及ぼす。A−T対は、塩化ナトリウムを含む水溶液においてG−C対よりも低い安定性である。従って、G−C含有率が高いほど、ハイブリッドはより安定する。配列内のG及びC残基の平等な分布がまた、ハイブリッド安定性に正に寄与する。さらに、塩基対組成は、所定の配列のTmを変えるために操作され得る。例えば5−メチルデオキシシヂンは、デオキシシスチジンより置換され得、そして5−ブロモデオキシウリジンは、デオキシシチジンにより置換され得、そして5−ブロモデオキシウリジンはTmを高めるためにチミジンにより置換され、そして7−デアズ−2’−デオキシグアノシンは、Tmに対する依存性を低めるためにグアノシンにより置換され得る。
【0097】
ハイブリダイゼーション緩衝液のイオン濃度はまた、ハイブッリドの安定性に影響お及ぼす。ハイブリダイゼーション緩衝液は一般的にブロッキング剤、例えばDenhardt溶液(Sigma Chemical Co., St. Louis, Mo.)、変性されたサケ精子DNA、粉乳(BLOTTO)、ヘパリン又はSDS、及びNa+源、例えばSSC(1×SSC:0.15:NのNaCl、15mMのクエン酸ナトリウム)又はSSPE(1×SSPE:1.8MのNaCl、10mMのNaH2PO4、1mMのEDTA、pH7.7)を含む。典型的には、ハイブリダイゼーション緩衝液は、10mM〜1MのNa+を含む。
【0098】
不安定剤又は変性剤、例えば、ホルムアミド、テトラアルキルアンモニウム塩、グアニジウムカチオン又はチオシアネートカチオンのハイブリダイゼーション溶液への添加が、ハイブリッドのTmを変更するであろう。典型的には、ホルムアミドが、より便利で且つ低い温度でのインキュベーションの実施を可能にするために、50%までの濃度で使用される。ホルムアミドはまた、RNAプローブを用いる場合、非特異的バッググラウンドを低めるためにも作用する。
【0099】
例示のように、変異体FGF−18ポリペプチドをコードする核酸分子が、配列番号1のヌクレオチド配列(又はその補体)を有する核酸分子により、50%ホルムアミド、5×SSC、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×Denhardt’s 溶液(100×Denhardt’s 溶液:2%(w/v)のFicoll 400, 2% (w/v)のポリビニルピロリドン及び2%(w/v)のウシ血清アルブミン)、10%の硫酸デキストラン及び20μg/mlの変性され、剪断されたサケ精子DNAを含んで成る溶液において、42℃で一晩ハイブリダイズされ得る。当業者は、それらのハイブリダイゼーション条件の変動性を考慮することができる。
【0100】
例えば、ハイブリダイゼーション混合物は、ホルムアミドを含まない溶液において、高度で、例えば約65℃でインキュベートされ得る。さらに、予備混合されたハイブリダイゼーション溶液が入手でき(例えば、CLONTECH Laboratories, Inc. からのEXPRESSHYB Hybridization Solution),そしてハイブリダイゼーションは製造業者の説明書に従って行われ得る。
【0101】
ハイブリダイゼーションに続いて、核酸分子は、緊縮条件下で、又は高い緊縮条件下で、ハイブリダイズされなかった核酸分子を除去するために洗浄され得る。典型的な緊縮洗浄条件は、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む0.5×〜2×SSC溶液による55〜65℃での洗浄を包含する。例えば、変異体FGF−18ポリペプチドをコードする一定の核酸分子は、緊縮洗浄条件下で、配列番号1のヌクレオチド配列(又はその補体)を有する核酸分子とハイブリダイズし、ここで前記洗浄緊縮性は、55〜65℃での、0.1%SDSを含む0.5×〜2×SSC溶液、例えば55℃での、0.1%SDSを含む0.5×SSC溶液、又は65℃での0.1%SDSを含む2×SSC溶液に等しい。当業者は、例えば洗浄溶液におけるSSCをSSPEにより置換することによって同等の条件を容易に製造することができる。
【0102】
典型的な高い緊縮洗浄条件は、50〜65℃での0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む0.1×〜0.2×SSCの溶液による洗浄を包含する。例えば、変異体FGF−18ポリペプチドをコードする核酸分子は、高い緊縮洗浄条件下で、配列番号1のヌクレオチド配列(又はその補体)を有する核酸分子とハイブリダイズし、ここで前記洗浄緊縮性は、50〜65℃での、0.1%SDSを含む0.1×〜0.2×SSC溶液、例えば50℃での、0.1%SDSを含む0.1×SSC溶液、又は65℃での0.1%SDSを含む0.2×SSC溶液に等しい。
【0103】
本発明はまた、配列番号2のポリペプチド又はそれらのオルト体に対して実質的に類似する配列同一性を有するFGF−18アミノ酸配列含有ポリペプチドも提供する。用語“実質的に類似する配列同一性”とは、配列番号2で示される配列又はそれらのオルト体に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも95%以上の配列同一性を有するポリペプチドを示すために本明細書において使用される。
【0104】
本発明はまた、2種の次の基準を用いて同定され得るFGF−18変異体核酸分子を企画する:配列番号2のアミノ酸配列とコードされたポリペプチドとの間の類似性の決定、及びハイブリダイゼーションアッセイ。そのようなFGF−18変異体は、(1)55〜65℃での0.1%SDSを含む0.5×〜2×SSC溶液に等しい緊縮洗浄条件下で、配列番号1のヌクレオチド配列(又はその補体)を有する核酸分子とハイブリダイズし、そして(2)配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも70%,少なくとも80%,少なくとも90%,少なくとも95%又は95%以上の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子を包含する。
【0105】
他方では、FGF−18変異体は、(1)50〜65℃での0.1%SDSを含む0.1×〜0.2×SSC溶液に等しい、高い緊縮洗浄条件下で、配列番号1のヌクレオチド配列(又はその補体)を有する核酸分子とハイブリダイズし、そして(2)配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも70%,少なくとも80%,少なくとも90%,少なくとも95%又は95%以上の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子として特徴づけられ得る。
【0106】
%配列同一性は、従来の方法により決定される。例えば、Altschulなど., Bull. Math. Bio. 48 : 603−616, 1986及びhenikoff and Henikoff, Pruc.Natl. Acad. Sci. USA 89 :10915−10919, 1992を参照のこと。手短に言及するば、2種のアミノ酸配列が、10のギャップ開始ペナルティー、1のギャップ拡張ペナルティー、及び表3(アミノ酸は標準の1文字コードにより示される)に示されるようなHenikoff and Henikoff (前記)の“BLOSUM62”評点マトリックスを用いて、その整合評点を最適化するために整合される。次に、%同一性が次のようにして計算される:([同一の適合するものの合計数]/[より長い配列の長さ+ 2種の配列を整合するためにそのより長い配列中に導入されるギャップの数])(100)。
【0107】
【表3】

【0108】
当業者は、2種のアミノ酸配列を整列するために多くの確立されたアルゴリズムが存在することを理解している。Pearson and Lipmanの“FASTA”類似性調査アルゴリズムは、1つのアミノ酸配列及び推定上の変異体のアミノ酸配列により供給される同一性のレベルを試験するための適切なタンパク質整列方法である。前記FASTAアルゴリズムは、Pearson and Lipman, Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 85: 2444 (1988), 及びPearson, Meth. Enzymol. 183: 63 (1990) により記載される。手短には、FASTAがまず、問題の配列(例えば、配列番号2)及び保存性アミノ酸置換、挿入又は欠失を考慮しないで、最高密度の同一性(ktup変数が1である場合)又は対の同一性(ktup=2である場合)のいずれかを有する試験配列により共有される領域を同定することによって配列を特徴づける。
【0109】
次に、最高密度の同一性を有する10の領域が、アミノ酸置換マトリックスを用いて、すべての対合されたアミノ酸の類似性を比較することによって再評価され、そして前記領域の末端が、最高の評点に寄与するそれらの残基のみを含むよう“整えられる”。“カットオフ”値(配列の長さ及びktup値に基づいて予定された式により計算される)よりも高い評点を有するいくつかの領域が存在する場合、その整えられた初期領域が、その領域がギャップとのおおよその一列配列を形成するために結合され得るかどうかを決定するために試験される。
【0110】
最終的に、2種のアミノ酸配列の最高評点領域が、アミノ酸挿入及び欠失を可能にする、Needleman-Wunsch アルゴリズム(Needleman and winsch, J. Mol. Biol. 48: 444, 1970; Sellers, SIAM J. Appl. Math. 26: 787, 1974)の変法を用いて整列される。FASTA 分析のための好ましいパラメーターは次のものである:ktup=1、ギャップ開始ペナルティー=10、ギャップ拡張ペナルティー=1及び置換マトリックス=BLOSUM62。それらのパラメーターは、Appendix 2 of Pearson, 1990 (前記)に説明されるように、評点マトリックスを調節することによってFASTAプログラム中に導入され得る。
【0111】
FASTAはまた、上記に開示されるような割合を用いて、核酸分子の配列同一性を決定するためにも使用され得る。ヌクレオチド配列比較のためには、ktup値は、上記に設定される他のパラメーターを伴なって、1〜6、好ましくは3〜6、最も好ましくは3であり得る。
【0112】
本発明は、本明細書に開示されるアミノ酸配列に比較して、1又は複数の保存性アミノ酸変更を有するポリペプチドをコードする核酸分子を包含する。例えば、配列番号2の1又は複数のアミノ酸置換を含む変異体が得られ、ここでアルキルアミノ酸がFGF−18アミノ酸配列におけるアルキルアミノ酸に代わって置換され、芳香族アミノ酸がFGF−18アミノ酸における芳香族アミノ酸に代わって置換され、硫黄含有アミノ酸がFGF−18アミノ酸配列における硫黄含有アミノ酸に代わって置換され、ヒドロキシ含有アミノ酸FGF−18アミノ酸配列におけるヒドロキシ含有アミノ酸に代わって置換され、酸性アミノ酸がFGF−18アミノ酸配列における酸性アミノ酸に代わって置換され、塩基性アミノ酸がFGF−18アミノ酸配列における塩基性アミノ酸に代わって置換され、
【0113】
又は二塩基性モノカルボン酸アミノ酸FGF−18アミノ酸配列における二塩基性モノカルボン酸アミノ酸に代わって置換される。通常のアミノ酸の中で、“保存性アミノ酸置換”は、次のグループの個々内のアミノ酸間の置換により示される:(1)グリシン、アラニン、バリン、ロイシン及びイソロイシン、(2)フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファン、(3)セリン及びトレオニン、(4)アスパラギン酸及びグルタミン酸、(5)グルタミン及びアスパラギン、及び(6)リシン、アルギニン及びヒスチジン。例示のように、ニ塩基性アミノ酸残基の保存性アミノ酸置換が、配列番号2又は4のアミノ酸残基196及び197で導入され得る。
【0114】
BLOSUM62表は、関連するタンパク質の500以上のグループの高く保存された領域を表す、タンパク質配列セグメントの約2,000の局部の複数整列に由来するアミノ酸置換マトリックスである[Henikoff and Henikoff, Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 89: 10915 (1992) ]。従って、BLOSUM62置換頻度は、本発明のアミノ酸配列中に導入され得る保存性アミノ酸置換を定義するために使用され得る。単に化学的性質に基づいてのアミノ酸置換を企画することが可能であるが(上記で論じられたように)、用語“保存性アミノ酸置換”とは、−1よりも大きなBLOSUM62値により表される置換を言及する。
【0115】
例えば、アミノ酸置換は、その置換が0,1,2又は3のBLOSUM62値により特徴づけられる場合、保存性である。このシステムによれば、好ましい保存性アミノ酸置換は、少なくとも1(例えば、1,2又は3)のBLOSUM62値により特徴づけられ、ところがより好ましくは保存性置換は、少なくとも2(例えば、2又は3)のBLOSUM62値により特徴づけられる。
FGF−18の特定の変異体が、その対応するアミノ酸配列(すなわち、配列番号2)に対して、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%又は95%以上の配列同一性を有することによって特徴づけられ、ここでアミノ酸配列の変動は、1又は複数のアミノ酸置換による。
【0116】
FGF−18遺伝子における保存性アミノ酸変化が、配列番号1のいずれか1つに列挙されるヌクレオチドに代わってヌクレオチドを置換することによって導入され得る。そのような“保存性アミノ酸”変異体は、例えばオリゴヌクレオチド指図された突然変異誘発、リンカー走査突然変異誘発、ポリメラーゼ鎖反応を用いての突然変異誘発及び同様の方法により得られる(Ausubel(1995)pages8-10〜8-22; 及びMcPhrson(ed.), Directed Mutagenesis: A Practical Approach (IRL Press 1991) を参照のこと)。変異体FGF−18ポリペプチドが、抗−FGF−18抗体を特異的に結合する能力により同定され得る。
【0117】
本発明のタンパク質はまた、天然に存在しないアミノ酸残基を含んで成る。天然に存在しないアミノ酸は、トランス−3−メチルプロリン、2,4−メタプロリン、シス−4−ヒドロキシプロリン、トランス−4−ヒドロキシプロリン、N−メチルグリシン、アロ−トレオニン、メチルトレオニン、ヒドロキシエチルシステイン、ヒドロキシエチルホモシステイン、ニトログルタミン、ホモグルタミン、ピペコリン酸、チアゾリジンカルボン酸、デヒドロプロリン、3−及び4−メチルプロリン、3,3−ジメチルプロリン、tert−ロイシン、ノルバリン、2−アザフェニルアラニン、3−アザフェニルアラニン、4−アザフェニルアラニン、及び4−フルオロフェニルアラニンを包含する。
【0118】
天然に存在しないアミノ酸残基をタンパク質中に導入するためのいくつかの方法が当業界において知られている。例えばナンセンス突然変異が化学的にアミノアシル化されたサプレッサーtRNAを用いて抑制されるインビトロシステムが使用され得る。アミノ酸を合成し、そしてtRNAをアミノアシル化するための方法は、当業者において知られている。ナンセンス突然変異を含むプラスミドの転写及び翻訳は、E.コリS30抽出物及び市販の酵素及び他の試薬の含んで成る細胞フリーシステムにおいて実施される。タンパク質は、クロマトグラフィーにより精製される。例えば、Rovertsonなど., J. Am. Chem. Soc. 113:2722, 1991; Ellman など., Meth. Enzymol. 202: 301,1991; Chung など., Science 259: 806−09, 1993; 及びChungなど., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 10145−49, 1993を参照のこと。
【0119】
第2の方法においては、翻訳は、突然変異誘発されたmRNA及び化学的にアミノアミル化されたサプレッサ−tRNAのマイクロインジェクションによりアフリカツメガエル卵母細胞において行われる( Turcatti など., J. Biol. Chem. 271: 1991−98, 1996 )。 第3の方法においては、E.コリ細胞が、置換される予定である天然のアミノ酸(例えば、フェニルアラニン)の不在下で及び所望する天然に存在しないアミノ酸(例えば、2−アザフェニルアラニン、3−アザフェニルアラニン、4−アザフェニルアラニン又は4−フルオロフェニルアラニン)の存在下で培養される。
【0120】
天然に存在しないアミノ酸は、その天然の相対物の代わりにタンパク質中に導入される。Koide など., Biochem. 33: 7470−46, 1994を参照のこと。天然に存在するアミノ酸残基は、インビトロ化学的に修飾により天然に存在しない種に転換され得る。化学的修飾は、置換の範囲をさらに拡張するために特定部位の突然変異誘発と組み合わされ得る(Wynn and Richards,Protein Sci. 2: 395−403, 1993)。
【0121】
限定された数の非保存性アミノ酸、遺伝子コードによりコードされないアミノ酸、天然に存在しないアミノ酸、及び不自然なアミノ酸が、FGF−18アミノ酸により置換され得る。例えば、アラニン突然変異が、ポリペプチド中に導入され得る(例えば、Hilton など., J. Biol. Chem. 271: 4699 (1996)を参照のこと)。
【0122】
開示されるFGF−18ヌクレオチド及びポリペプチド配列の変異体は、Stemmer, Nature 370 : 389−91, 1994, Stemmer, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 10747−51, 1994及びWIPO公開WI97/20078により開示されるように、DNA シャフリングを通して生成され得る。手短に言及すれば、変異体DNA分子が、ランダムに導入された点突然変異をもたらす、親DNAのランダム断片化、続く、PCRを用いてのアセンブリーによるインビトロ相同組換えにより生成される。この技法は、前記工程中に追加の変動性を導入するために、親DNAのファミリー、例えば異なった種からの対立遺伝子変異体又はDNAを用いて改良され得る。所望する活性の選択又はスクリーニング、突然変異誘発及びアッセイの続くさらなる相互作用が、有害な変化に対して同時に選択しながら、所望する突然変異について選択することによって、配列の急速な“進化”を提供する。
【0123】
本明細書に開示されるような突然変異誘発方法は、宿主細胞におけるクローン化された突然変異誘発されたポリペプチドの活性を検出するために高処理量の自動化されたスクリーニング方法と組み合わされ得る。生物学的に活性のポリペプチド又は抗−FGF−18抗体と結合するポリペプチドをコードする突然変異誘発されたDNA分子が、宿主細胞から回収され、そしてすぐに、近代的装置を用いて配列され得る。それらの方法は、興味あるポリペプチドにおける個々のアミノ酸残基の重要性の急速な決定を可能にし、そして未知の構造のポリペプチドに適用され得る。
【0124】
(2)FGF−18抗−イディオタイプ抗体:
抗−イディオタイプ抗体は、もう1つの形のFGF−18変異体ポリペプチドを供給する。抗−イディオタイプFGF−18抗体の可変ドメインはFGF−18を模倣するので、それらのドメインはまた、FGF−18受容体結合活性を提供することができる。当業者は、抗−イディオタイプ可変ドメインを含んで成る組換え抗体が類似体として有用であることを気づいている(例えば、Monfardiniなど., Proc. Am. Physicians 108: 420 (1996) を参照のこと)。それらの抗−イディオタイプ抗体は、標準の技法を用いて、抗−FGF−18−抗体から生成される。
【0125】
FGF−18に対する抗体は、例えば、Deisherなどの国際公開WO98/16644号により記載される方法に従って得られえる。例えば、組換えFGF−18タンパク質、又は天然源から単離されたFGF−18に対するポリクローナル抗体は、当業者に良く知られている方法を用いて調製され得る。例えば、Green など., “Production of polyclonal Antisera,” in Immunochemical Protecols (Manson, ed.), pages 1-5 (Humana Press 1992), 及びWilliams など., “Expression of foreign proteins in E. coli using plasmid vectors and purification of specific polyclonal antibodies,” in DNA Cloning 2: Expression Systems, 2nd Edition, Glover など., (eds.), page 15 (Oxford University press 1995を参照のこと。
【0126】
FGF−18ポリペプチドの免疫原性は、アジュバント、例えばみょうばん(水酸化アルミニウム)又はフロイント完全又は不完全アジュバントの使用を通して高められ得る。免疫化のために有用なポリペプチドはまた、融合ポリペプチド、例えばFGF−18又はその一部と、免疫グロブリンポリペプチド又はマルトース結合タンパク質との融合体を包含する。ポリペプチド免疫原は、十分な長さの分子又はその一部であり得る。ポリペプチド部分が“ハプテン−様”である場合、そのような部分は好都合には、免疫化のために高分子キャリヤー(例えば、カサガイヘモシアニン、ウシ血清アルブミン又は破傷風トキソイド)に結合されるか又は連結され得る。
【0127】
ポリクローナル抗体は典型的には、動物、例えば馬、牛、犬、鶏、ラット、マウス、ウサギ、テンジュクネズミ、ヤギ又は羊において生ぜしめられるが、本発明の抗−FGF−18抗体はまた、ヒトに近い霊長類抗体から誘導され得る。ヒヒにおいて診断的に及び治療的に有用な抗体を生ぜしめるための一般的な技法は、例えばGoldenbergなど., 国際特許出願番号WO91/11465号及びLosmanなど., Int. J. Cancer 46: 310, 1990に見出され得る。
【0128】
他方では、モノクローナル抗−FGF−18抗体が生成され得る。特定抗原に対する囓歯動物モノクローナル抗体は、当業者に知られている方法により得られる(例えば、Kohler など., Nature 256: 495 (1975), Coliga など., (eds.), Current Protocols in Immunology, Vol. 1, page 2.5.1-2.6.7 (John Wiley & Sons 1991), Picksley など., “Production of monoclonal antibodies against proteins expressed in E. coli,” in DNA Cloning 2: Expression Systems, 2nd Edition, Glover など. (eds.), page 93 (Oxford University Press 1995を参照のこと)。
【0129】
手短には、モノクローナル抗体は、FGF−18遺伝子生成物を含んで成る組成物をマウスに注射し、血清サンプルを除去することにより抗体生成の存在を確かめ、B−リンパ球を得るために脾臓を除去し、ハイブリドーマを生成するために前記リンパ球を骨髄腫細胞により融合し、ハイブリドーマをクローニングし、抗原に対する抗体を生成する陽性クローンを選択し、抗原に対する抗体を生成するクローンを培養し、そしてハイブリドーマ培養物から抗体を単離することに得られる。
【0130】
さらに、本発明の抗−FGF−18抗体は、ヒトモノクローナル抗体から誘導され得る。ヒトモノクローナル抗体は、抗原攻撃に応答して特定のヒト抗体を生成するよう構築されたトランスジェニックマウスから得られる。この技法においては、ヒトH鎖及びL鎖遺伝子座の要素が、内因性H鎖及びL鎖遺伝子座の標的化された破壊を含む胚幹細胞系に由来するマウス株中に導入される。トランスジェニックマウスは、ヒト抗原に対して特異的なヒト抗体を合成することができ、そして前記マウスはヒト抗体−分泌性ハイブリドーマを生成するために使用され得る。トランスジェニックマウスからヒト抗体を得るための方法は、Greenなど., Nat. Genet. 7: 13, 1994, Lonberg など., Nature 368: 856, 1994, 及びTaylorなど., Inc. Immun. 6: 576, 1994により記載される。
【0131】
モノクローナル抗体は、種々の十分に確立された技法により、ハイブリドーマ培養物から単離され、そして精製され得る。そのような単離技法は、プロテイン−Aセファロースによる親和性クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー及びイオン交換クロマトグラフィーを包含する(例えば、Coligan, page 2.7.1-2.7.12及びpage 2.9.1^2.9.3; Bainesなど.,” Purification of Imunoglobulin G (IgG)”, Methods in Molecular Biology, vol, 10, p. 79-104 (The Humana Press, Inc. 1992) を参照のこと)。
【0132】
特定の用途に関しては、抗−FGF−18抗体のフラグメントを調製することが所望される。そのような抗体フラグメントは、例えば抗体のタンパク質加水分解により得られる。抗体フラグメントは、従来の方法による完全な抗体のペプシン又はパパイン消化により得られる。例示のように、抗体フラグメントは、F(ab’)2として示される5Sフラグメントを供給するためにペプシンによる抗体の酵素分解により生成され得る。このフラグメントはさらに、3.5S Fab’ 単価フラグメントを生成するためにチオール還元剤を用いて分解され得る。
【0133】
任意には、その分解反応は、ジスルフィド結合の分解に起因するスルフヒドリル基に関するブロッキング基を用いて行われ得る。他の手段としては、ペプシンを用いての酸素分解が2種の単位Fabフラグメント及びFcフラグメントを直接的に生成する。それらの方法は、例えば、Goldenberg, アメリカ特許第4,331,647号、Nisonoff など., Arcg Biochem. Biophys. 89: 230, 1960, Porter, Biochem. J. 73: 119, 1959, Edelman など., in Methods in Enzymology vol. 1, p. 422 (Academic Press 1967), 及びColigan, p. 2.8.1-2.8.10及び2.10-2.10.4により記載される。
【0134】
抗体を分解する他の方法、例えば単価L−H鎖フラグメントを形成するためへのH鎖の分解、フラグメントの追加の分解、又は他の酵素的、化学的又は遺伝的技法がまた、そのフラグメントが損なわれていない抗体により認識される抗原に結合する限り、使用され得る。
例えば、Fvフラグメントは、VH及びVL鎖の会合を含んで成る。この会合は、Inbar など., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 69: 2659, 1972により記載のように、非共有的であり得る。他方では、可変鎖は、分子間ジスルフィド結合により連結され、又は化学物質、例えばグルテルアルデヒドにより交差結合され得る(例えば、Sandhu, Crit. Rew. Biotech. 12: 437, 1992を参照のこと)。
【0135】
Fvフラグメントは、ペプチドリンカーにより連結されるVH及びVL鎖を含んで成る。それらの一本鎖抗原結合タンパク質(scFv)は、オリゴヌクレオチドにより連結されるVH及びVLドメインをコードするDNA配列を含んで成る構造遺伝子を構成することによって調製される。構造遺伝子が、続いて、宿主細胞、例えばE.コリ中に導入される発現ベクター中に挿入される。組換え宿主細胞は、2種のVドメインを架橋するリンカーペプチドを有する単鎖ポリペプチドを合成する。ScFvを生成するための方法は、例えばWhitlow など., Methods: A Companion to Metheds in Enzymology 2:97, 1991により記載される。Bird など., Science 242:423, 1988, Ladner など., アメリカ特許第4,946,778号、Packなど., Bio/Technology 11: 1271, 1993及びSandhu, 前記も参照のこと。
【0136】
例示のように、scFvは、インビトロで、FGF−18ポリペプチドにリンパ球を暴露し、そしてファージ又は類似するベクターにおける抗体表示ライブラリーを選択すること(例えば、固定された又はラベルされたFGF−18タンパク質又はペプチドの作用を通して)によって得られる。可能性あるFGF−18ポリペプチド結合ドメインを有するポリペプチドをコードする遺伝子は、ファージ(ファージ表示)又は細菌、例えばE.コリ上に表示されるランダムペプチドライブラリーをスクリーニングすることによって得られる。前記ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、多くの手段、例えばランダム突然変異誘発及びランダムポリヌクレオチド合成を通して得られる。
【0137】
それらのランダムペプチド表示ライブラリーは、タンパク質又はポリペプチドであり得る既知の標的物、例えばリガンド又は受容体、生物学的又は合成高分子、又は有機又は無機物質と相互作用するペプチドについてスクリーンするために使用され得る。そのようなランダム ペプチド表示ライブラリーを創造し、そしてスクリーニングするための技法は、当業界において知られており(Ladner など., アメリカ特許第5,223,409 号; Ladner など., アメリカ特許第4,946,778 号;Ladner など., アメリカ特許第5,403,484 号及びLadner など., アメリカ特許第5,571,698 号、及びKayなど., Phage Display of Peputides and Proteins (Academic Press, Inc. 1996))。
【0138】
そしてランダムペプチド表示ライブラリー及びそのようなライブラリーをスクリーニングするためのキットは、例えばClontech (Palo Alto, CA), Invitrogen Inc. (San Diego, CA), New England Biolabs, Inc. (Beverly, MA) 及びPharmacia LKB Biotechnology Inc. (Piccataway, MJ) から市販されている。ランダムペプチド表示ライブラリーは、FGF−18に結合するタンパク質を同定するために、本明細書に開示されるFGF−18配列を用いてスクリーンされ得る。
【0139】
抗体フラグメントのもう1つの形は、単一の相補性−決定領域(CDR)をコードするペプチドである。CDRペプチド(“最小認識単位”)は、興味ある抗体のDCRをコードする遺伝子を構成することによって得られる。そのような遺伝子は、例えば抗体−生成細胞のRNAから可変領域を合成するためにポリメラーゼ鎖反応を用いることによって調製される(例えば、Larrick など., Methods: A Companion to Methods in Enzymology 2:106, (1991), Courtenay-Luck, “Genetic Manipulation of Monoclonal Antibodies,” in Monoclonal Antibodies: Production, Engineering and Clinical Application, Ritter など., (eds.), page 166 (Cambridge University Press 1995), 及びWard など., “Genetic Manipulation and Expression of Antibodies,” in Monoclonal Antibodies: Principles and Applications, Birch など., (eds.), page 137 (Wiley-Liss, Inc. 1995)を参照のこと)。
【0140】
他方では、抗−FGF−18抗体は、“ヒト型化された”モノクローナル抗体から誘導され得る。ヒト型化されたモノクローナル抗体は、マウス免疫グロブリンH及びL可変鎖からのマウス相補的決定領域を、ヒト可変ドメイン中に移行することにより生成される。次に、ヒト抗体の典型的な残基がネズミ相対物の骨格領域において置換される。ヒト型化されたモノクローナル抗体に由来する抗体成分の使用は、ネズミ不変領域の免疫原性に関連する可能性ある問題を回避する。ネズミ免疫グロブリン可変ドメインをクローン化するための一般的な技法は、例えば、Orlandiなど., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 3833, 1989により記載される。
【0141】
ヒト型化されたモノクローナル抗体を生成するための技法は、例えば、Jones など., Nature 321:522, 1986, Carter など., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 4285, 1992, Sandhu, Crit. Rey. Biotech. 12: 437, 1992, Singer など., J. Tmmun. 150: 2844, 1993, Sudhir (ed.), Antibody Engineering Protocols (Humana Press, Inc. 1995), Kelley, “Engineering Therapeutic Antibodies,” in Protein Engineering: Principles and Practice, Cleland など. (eds.), pages 399-434 (John Wiley & Sons, Inc. 1996), 及びQueen など., アメリカ特許第5,693,762号(1997)により記載される。
【0142】
ポリクローナル抗−イディオタイプ抗体は、標準技法を用いて、抗−FGF−18抗体又は抗体フラグメントにより動物を免疫化することにより調製され得る。例えば、Greenなど., “Production of Ployclonal Antisera” in Methods in Molecular Biology: Immunochemical Protocols, Manson (ed.), P. 1-2 (Humana Press 1992) を参照のこと。また、Coligan, 前記、p.2.4.1-2.4.7も参照のこと。他方では、モノクローナル抗−イディオタイプ抗体は、上記の技法により、抗−FGF−18抗体又は抗体フラグメントを免疫原として用いて調製され得る。もう1つの方法として、ヒト型化された抗−イディオタイプ抗体又は人間に近い霊長類抗−イディオタイプ抗体が、上記技法を用いて調製され得る。抗−イディオタイプ抗体を調製するための方法は、例えばIrie, アメリカ特許第5,208,146号, Greeneなど., アメリカ特許第5,637,677号、及びVarthakovi and Minocha, J. Gen. Virol 77: 1875, 1996により記載される。
【0143】
C. FGF−18機能的フラグメント:
本発明はまた、FGF−18ポリペプチドの“機能的フラグメント”及びそのような機能的フラグメントをコードする分子を包含する。核酸分子の通常の欠失分析は、FGF−18ポリペプチドをコードする核酸分子の機能的フラグメントを得るために行われ得る。例示されるように、配列番号1のヌクレオチド配列を有するDNA分子は、一連の欠失を得るためにBal3 Tヌクレアーゼにより消化され得る。次に、フラグメントが正しい読み取り枠を整合して発現ベクター中に挿入され、そして発現されたポリペプチドが単離され、そして細胞−細胞相互作用について、又はFGF−18抗体を結合する能力について試験される。エキソヌクレアーゼ消化のための1つの方法は、欠失を導入するためにオリゴヌクレオチド−指図された突然変異誘発を使用し、又は所望するフラグメントの生成を特定するために停止コドンを使用することである。他方では、FGF−18遺伝子の特定のフラグメントは、ポリメラーゼ鎖反応を用いて合成され得る。
【0144】
この一般的アプローチの例示として、インターフェロンのいずれかの又は両末端での切断に対する研究が、Horisberger and Di Marco, pharmac. Ther. 66: 507 (1995) により要約されている。さらに、タンパク質の機能的分析のための標準技法は、例えばTreulterなど., Molec. Gen. Genet. 240: 113 (1993), Content など., “Expression and preliminary deletion analysisi of the 42 kDa 2-5A synthetase induced by human interferon”, in Biological Interferon Systems, Proceedings of ISIR-TNO Meeting on Interferon Systems, Cantell (ed.), Pages 65-72 (Nijhoff 1987), Herschman, “The EGF Enzyme”, in Cortrol of Animal Cell Proliferation, Vol. 1, Boynton など., (eds.) pages 169-199 (Academic Press 1985), Counailleau など., J. Biol. Chem. 270: 29270 (1995); Fukunaga など., J. Biol. Chem. 270: 25291 (1995); Yamaguchi など., Biochem. Pharmacol. 50: 1295 (1995); 及びMeiselなど., Plant Molec. Biol. 30: 1 (1996)により記載される。
【0145】
ヒト及びネズミFGF−18アミノ酸配列の分析は、ポリペプチドのC−末端で二塩基性部位を示した(アミノ酸残基196−197;Lys−Arg)。二塩基性アミノ酸部位、例えばLys−Argは、いくつかの酵素、例えばトロンビン及びカルボキシペプチダーゼによる分解に対して敏感である。アミノ酸残基Glu28〜Lys196の配列番号2に示されるようなアミノ酸配列を含んで成る、C−末端切断されたポリペプチドは、生物学的活性を有することが見出された。従って、FGF−18機能的フラグメントの1つの例は、配列番号2又は4のアミノ酸残基1〜196又は28〜196から成るポリペプチドである。FGFファミリーの配列分析は、追加のFGF−18機能的フラグメントが配列番号2又は4のアミノ酸残基1〜175又は28〜175から成るポリペプチドを包含することを示す。他のFGF−18機能的フラグメントは、上記方法を用いて、当業者により決定され得る。
【0146】
本発明はまた、本明細書に開示されるアミノ配列に比較して、アミノ配列変化を有するFGF−18遺伝子の機能的フラグメントも企画する。変異体FGF−18遺伝子は、上記のように、開示されるヌクレオチド及びアミノ酸配列との同一性のレベルを決定することにより、構造体に基づいて同定され得る。構造体に基づいて変異体遺伝子を同定するもう1つのアプローチは、可能性ある変異体FGF−18遺伝子をコードする核酸分子が、上記のように、配列番号1又は4のヌクレオチド配列を有する核酸分子にハイブリダイズすることができるかどうかを決定することである。
【0147】
4.FGF−18標的化組織物の調製:
A.FGF−18接合体及びFGF−18標的化融合タンパク質:
FGF−18標的化組成物は、FGF−18成分及び細胞毒素を含んで成る。適切なポリペプチド細胞毒素の例は、リボソーム不活性化タンパク質である。I型リボソーム不活性化タンパク質は一本鎖タンパク質であり、そしてII型リボソーム不活性化タンパク質は、ジスルフィド結合により連結される非同一のサブユニット(A及びB鎖)から成る(再考のためには、Soriaなど., Targeted Diagn. Ther. 7: 193 (1992) を参照のこと)。
【0148】
有用なI型リボソーム不活性化タンパク質は、次のものを包含する:サポナリア・オフィシナリス(Saponaria officinalis)(例えば、サポリン−1、サポリン−2、サポリン−3、サポリン−6)、モモルジカ・カランチア(Momordica charantia)(例えば、モモルジン)、ビロニア・ジオイカ(Byronia dioica)(例えば、ブリオジン、ブリオジン−2)、トリコサンテス・キリロウイ(Trichosanthes kirilowii)(例えば、トリコサンチン、トリコキリン)、ゲロニウム・ムルチフロラム(Gelonium multiflorum)(例えば、ゲロニン)、フィトロカ・アメリカナ(Phytolacca americana)(例えば、ヤマゴボウ抗ウィルスタンパク質、アマゴボウ抗ウィルスタンパク質−II、抗ウィルスタンパク質)、及び同様のものからのポリペプチド。リボソーム不活性化タンパク質は、例えばアメリカ特許5,635,386号(Walshなど.,)により記載される。
【0149】
適切なII型リボソーム不活性タンパク質は、リシナス・コムニス(Ricinus communis)(例えば、リシン)、アブラス・プレカトリウム(Abrus precatorius)(例えば、アブリン)、アデニア・ディジタタ(Adenia digitata)(例えば、モデシン)、及び同様のものからのポリペプチドを包含する。II型リボソーム不活性化タンパク質は、ガラクトシドを結合するB鎖、及びアデンソインを浄化する毒性A鎖を包含するので、II型リボソーム不活性化タンパク質接合体はA鎖を包含するべきである。
【0150】
追加の有用なリボソーム不活性化タンパク質は、ボウガニン(bouganin)、クラビン、トウモロコシリボソーム不活性化タンパク質、バカリア・ピラミダタ(Vaccaria pyramidata)リボソーム不活性化タンパク質、ニグリンb, 塩基性ニグリン1、エブリン、ラセモシンb、ルフィン−a、ルフィン−b、ルフィン−S及び当業者に知られている他のリボソーム不活性化タンパク質を包含する。例えば、Bolognesi and Stripeによる国際公開番号WO98/55623号、Colnaghiなどによる国際出願番号WO97/49726号、Heyなどによるアメリカ特許第5,635,384号、Bolognesi and Stripeによる国際公開番号WO95/07297号、Ariasなどによる国際公開番号WO94/20540号、Watanabeなど., J. Biochem. 106: 6977 (1989); Islam など., Agric. Biol. Chem. 55: 229 (1991), 及びGaoなど., FEBS Lett. 347: 257 (1994) を参照のこと。
【0151】
天然に存在するリボソーム不活性化タンパク質はまた、本明細書に記載される標的化組成物のためにも適切であり、そしてそのようなタンパク質は当業者に知られている。リボソーム不活性化タンパク質は、公的に入手できるアミノ酸及びヌクレオチド配列を用いて生成され得る。例示のように、サポリン−6をコードするヌクレオチド配列は、Lorenzettiなど., アメリカ特許第5,529,932号により開示され、そしてWalshなど., アメリカ特許第5,635,384号は、トウモロコシ及び大麦リボソーム不活性化タンパク質ヌクレオチド及びアミノ酸配列を記載する。さらに、リボソーム不活性化タンパク質はまた市販されている。
【0152】
有用なポリペプチド細胞毒素のもう1つのグループは、免疫モジュレーターを包含する。免疫モジュレーターを含むFGF−18標的化組成物は、標的細胞に免疫モジュレーターを供給するための手段を提供し、そして特に、腫瘍細胞に対して有用である。免疫モジュレーターの細胞毒性効果は、当業者に良く知れている。例えば、Klegerman など., “Lymphokines and Monokines”, in Biotechnology and Pharmacy, Pessutoなど. (eds.), p.53-70 (Chapman & Hall 1993) を参照のこと。例示のように、インターフェロンは、種々の細胞の表面上でのクラスI組織適合抗原の高められた発現の誘発により細胞増殖を阻害し、そして従って、細胞毒素Tリンパ球による細胞の破壊速度を速める。さらに、腫瘍壊死因子、例えば腫瘍壊死因子−αは、DNA断片化を誘発することによって細胞毒性効果を生成すると思われる。
【0153】
追加のポリペプチド細胞毒素は、リボヌクレアーゼ、DNアーゼI、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、ジフテリア毒素、シュードモナスエキソトキシン及びシュードモナスエンドトキシンを包含する。例えば、Pastanなど., Cell 47: 641 (1986), 及びGoldenberg, CA A Cancer Journal for Clinicians 44: 43 (1994) を参照のこと。他の適切なトキシンは、当業者に知られている。
【0154】
細胞毒性ポリペプチド及びFGF−18成分の接合体は、ポリペプチドを接合するための標準の技法を用いて調製され得る。例えば、FGFとサポリンとを接合するための方法は、Lappiなど., Biochem. Biophys. Res. Commun. 160: 917 (1989), Soria など., Targeted Diagn. Ther. 7: 193 (1992), Buechlerなど., Eur. J. Biochem. 234: 706 (1995), Behar-Cohenなど., Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 36: 2434 (1995), Lappi and Baird, アメリカ特許第5,191,067号、Calabresiなど.,アメリカ特許第5,478,804号、及びLappi and Baird, アメリカ特許第5,576,288号により記載される。ポリペプチドを接合する追加のアプローチは、当業者に知られている。例えば、Lam and Kelleher, アメリカ特許第5,055,291号は、ジフテリア毒素フラグメントA又はリシン毒素のいずれかにより接合される抗体の生成を記載する。
【0155】
FGF−18標的化融合タンパク質はまた、標準技法を用いて生成され得る。例示として、FGF−サポリン組換えタンパク質は、Lappiなど., J. Biol. Chem. 269: 12552 (1994), Behar-Cohenなど., Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 36: 2434 (1995), McDonald など., Protein Expr. Purif. 8: 97 (1996), 及びLappiなど., アメリカ特許第5,916,772号により記載される。類似する態様においては、Landgrafなど., Biochemistry 37: 3220 (1993) は、上皮成長因子成分及びジフテリア毒素を含んで成る融合タンパク質を調製した。細胞毒素ポリペプチド成分を含んで成る融合タンパク質を調製するための方法は、抗体−毒素融合タンパク質生成の業界において良く知られている。
【0156】
例えば、抗体−シュ−ドモナスエキソトキシンA融合タンパク質は、Chaudharyなど., Nature 339:394(1989)、Brinkmannなど., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 8616 (1991), Batraなど., proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 5867 (1992), Friedmanなど., J. Immunol. 150: 3054 (1993), Wels など., Int. J. Can. 60: 137 (1995), Fominayaなど., J. Biol. Chem. 271: 10560 (1996), Kuan など., Biochemistry 35: 2872 (1996), 及びSchmidtなど., Int. J. Can. 65: 538 (1996) により記載されている。
【0157】
ジフテリア毒素成分を含む抗体−毒素融合タンパク質は、Kreitmanなど., keukemia 7: 553 (1993), Michollsなど., J. Biol. Chem. 268: 5302 (1993), Thompsonなど., J. Biol. Chem. 270: 28038 (1995), 及びValleraなど., Blood 88: 2342 (1996) により記載されている。Deonarainなど., Tumor Targetting 1: 177 (1995) はRNアーゼ成分を有する抗体−毒素融合タンパク質を記載しており、そしてLinardouなど., Cell Biophys. 24-25: 243 (1994) は、DNアーゼI成分を含んで成る抗体−毒素融合タンパク質を生成した。
【0158】
ゲロニンは、Betterなど., J. Biol. Chem. 270: 14951 (1995) の抗体−毒素融合タンパク質における毒素成分として使用された。さらなる例として、Dohlstenなど., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 8945 (1994) は、ブドウ球菌エンテロトキシン−Aを含んで成る抗体−毒素融合タンパク質を報告している。
【0159】
さらに、インターロイキン−2成分を含んで成る抗体融合タンパク質は、Boletiなど., Ann. Oncol. 6: 945 (1995), Nicoletなど., Cancer Gene Ther. 2: 161 (1995), Beckerなど., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 7826 (1996), Hankなど., Clin. Cancer Res. 2: 1951 (1996), 及びHuなど., Cancer Res. 56: 4998 (1996) により記載されており、そしてYangなど., Hum. Antibodies Hybridomas 6: 129 (1995) は、F(ab’)2 フラグメント及び腫瘍壊死因子−α成分を含む融合タンパク質を記載する。それらのアプローチは、本明細書に記載されるFGF−18標的化融合タンパク質を調製するために使用され得る。
【0160】
ポリペプチド細胞毒性に代わるものとして、FGF−18標的化組成物は、細胞毒素成分として放射性同位体を含むことができる。例えば、FGF−18標的化組成物は、α−放射性同位体、β−放射性同位体、Auger電子エミッター、α−粒子を放射する中性子捕獲剤、及び電子保護により崩壊する放射性同位体を含むことができる。適切な放射性同位体は次のものを包含する:198Au, 199Au, 32P, 33P, 125I, 131I, 123I, 90Y, 186Re, 188Re, 67Cu, 211At, 47Sc, 103Pb, 109Pd, 212Pb, 71Ge, 77As, 105Rh, 113Ag, 119Sb, 121Sn, 131Cs, 143Pr, 161Tb, 177Lu, 191Os, 193MPt, 197Hg及び同様のもの。
【0161】
放射性同位体は、FGF−18成分に、キレート化剤を通して直接的に、又は間接的に接合され得る。例えば、その61.5時間の半減期及びβ−粒子及びγ−線の多くの供給により放射性免疫療法のための1つのより有望な放射性同位体であると思われる67Cuは、キレート化剤、すなわちp−ブロモアセトアミド−ベンジル−テトラエチルアミノ四酢酸を用いて、FGF−18成分に接合され得る。(Chase and Shapiro, “Medical Applications of Radioisotopes”, in gennaro (ed.), Remington’s Pharmaceutical Sciences, 19th Edition, p. 943-865 (Mack Publishing Company 1995))。
【0162】
他のものとして、エネルギッシュなβ−粒子を放射する90Yはジエチレントリアミン五酢酸を用いて、FGF−18成分に結合され得る。さらに、131IによるFGF−18成分の直接的な放射性ラベリングのための典型的な適切な方法は、Steinなど., Antibody Immunoconj. Radiopharm. 4: 703 (1991) により記載される。他方では、硼素添加物、例えばカルボランが、標準技法を用いて、FGF−18成分に結合され得る。
【0163】
FGF−18接合体の調製のためのもう1つの型の適切な細胞毒素は、化学療法薬物である。例示的な化学療法薬物は、窒素マスタード、アルキルスルホネート、ニトロソウレア、トリアゼン、葉酸類似体、ピリミジン類似体、プリン類似体、抗生物質、エピポドフィロトキシン、白金配位錯体、及び同様のものを包含する。化学療法薬物の特定の例は、メトトレキサート、ドキソルビシン、ダウノルビシン、シトシンアラビノシド、シス−プラチン、ビンデシン、マイトマイシン、ブレオマイシン、メルファラン、クロラムブシル及び同様のものを包含する。適切な化学療法剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 19th Ed. (Mark Publishing Co. 1995), 及びGoodman and gilman’s The Pharmacological basis of Therapeutics, 7th Ed. (MacMillan Publishing Co. 1985) に記載される。他の適切な科学治療剤は、当業者に知られている。
【0164】
もう1つのアプローチにおいては、FGF−18接合体は、FGF−18成分に光活性剤又は色素を接合することにより調製される。蛍光及び他の色原体、又は例えば可視光に対して敏感なポルフィリンは、病変に対して適切な光を向けることによって、病変を検出し、そして処理するために使用されて来た。このタイプの“光放射線”、“光治療”又は“光力学”療法は、例えばMewなど., J. Immunol. 130; 1473 (1983), Joriなど. (eds.), Photodynamic Therapy of Tumors and Other Diseases (Libreria Progetto 1985), oseroffなど., proc. Natl. Acad. Sci. USA 83: 8744 (1986), van den Bergh, Chem. Britain 22: 430 (1988), Hasanなど., prog. Clin. Biol. Res. 288: 471(1989), Tatsutaなど., Lasers Surg. Med. 9: 422 (1989), 及びPelegrinなど., Cancer 67: 2529 (1991) により記載される。
【0165】
もう1つの一般的なタイプの有用な細胞毒素は、チロシンキナーゼインヒビターである。上記のように、一定の疾病状態は、構成的に活性である変異体FGF受容体−3に関連している。この高められた表示は、過剰増殖及び転移を引き起こすことができる。チロシンキナーゼ、例えばFGF受容体チロシンキナーゼによる増殖の活性化は腫瘍の進行及び経過において役割を演じることが示されているので、この活性化は、チロシンキナーゼインヒビターを供給するFGF−18成分により阻害され得る。適切なチロシンキナーゼインヒビターは、イソフラボン、例えばゲニステイン(5,7,4’−トリヒドロキシイソフラボン)、ダイゼン(7,4’−ジヒドロキシイソフラボン)及びビオカニンA(4−メトキシゲニステイン)及び同様のものを包含する。成長因子にチロシンインヒビターを接合する方法は、例えばアメリカ特許第5,911,995号(Uckun)により記載される。
【0166】
本発明はまた、細菌毒素をコードする核酸分子を含んで成るFGF−18標的化組成物を包含する。例えば、Hogansonなど., Human Gene Ther. 9: 2565 (1998) は、サポリン遺伝子を含んで成る発現ベクターにより縮重されたFGF−2−ポリリシン接合体を生成することによる、サポリン遺伝子のFGF−2介在性供給を記載する。
【0167】
B.FGF−18標的化リポソーム:
リポソームは、治療用ポリペプチドを、患者に、静脈内、腹膜内、鞘内、筋肉内、皮下、又は経口、吸入又は鼻腔内供給するための1つの手段を提供する。リポソームは、水性区画を取り組む1又は複数の脂質二層から成る微小ビークルである(一般的には、Bakker Woudenberg など., Eur. J. Clin. Microbiol. Infect. Dis. 12 (Suppl. 1): S61 (1993), Kim Drugs 46:618 (1993), and Ranade, “Site-Specific Drug Delivery Using Liposomes as Carriers,” in Drug Delivery Systems, Ranade and組生Hollinger (eds.), pages 3-24 (CRC Press 1995)を参照のこと)。
【0168】
リポソームは、組成において細胞膜に類似し、そして結果として、リポソームは安全に投与され、そして生分解性である。調製方法に依存して、リポソームは、単層又は多層性であり得、そしてリポソームは0.02μm〜10μm以上の範囲の直径でサイズ的に変化することができる。種々の剤がリポソームに封入され得る:疎水性剤は二層に分割され、そして親水性剤は内部水性空間内に封入される(例えば、Macky など., Liposomes In Cell Biology and Pharmacology (John Libbey 1987), 及びOstroなど., American J. Hosp. Pharm. 46: 1576 (1989) を参照のこと)。さらに、リポソームサイズ、二層の数、脂質組成、及びリポソームの電荷及び表面性質を変えることにより、封入される剤の治療利用性を調節することが可能である。
【0169】
リポソームは、実質的にいずれかのタイプの細胞に吸着することができ、そして次に、封入された剤をゆっくりと開放する。他方では、吸収されたリポソームは、食細胞性である細胞によりエンドサイト−シス化され得る。エンドサイト−シスに続いて、リポソーム脂質のリソソーム内分解が伴ない、そして封入された剤が開放される(Scherphof など., Ann. N.Y. Acad. Sci. 446: 368 (1985))。静脈内投与の後、小さなリポソーム(0.1〜1.0μm)は、典型的には、肝臓及び脾臓に主として位置する網内細胞系の細胞により摂取されるが、ところが3.0μmよりも大きなリポソームは肺に沈着される。網内細胞系の細胞による小さなリポソームのこの好ましい摂取は、マクロファージ及び肝臓の腫瘍に化学治療剤を供給するために使用されて来た。
【0170】
網内細胞系は、いくつかの方法、例えば多量のリポソーム粒子による飽和、又は薬理学的手段による選択的マクロファージ不活性化により回避され得る(Claassenなど., Biochim. Biophys. Acta 802: 428 (1984))。さらに、リポソーム膜中への糖脂質−又はポリエチレングリコール−誘導されたリン脂質の組み込みは、網内細胞系による有意に低められた摂取をもたらすことが示されている(Allen など., Biochim. Biophys. Acta 1068:133 (1991); Allen など., Biochim. Biophys. Acta 1150: 9 (1993))。
【0171】
リポソームはまた、リン脂質組成を変えることによって、又はリポソーム中に受容体又はリガンドを挿入することによって、特定の細胞又は器官を標的化するためにも調製され得る。例えば、高い含有率の非イオン性界面活性剤により調製されたリポソームが、肝臓を標的化するために使用されて来た(Hayakawaなど., 日本特許04-244,018号;Katoなど., Biol. Pharm. Bull. 16:960 (1993))。
【0172】
それらの配合物は、メタノールにおいて、大豆ホスファチジルコリン、α−トコフェロール及びエトキシル化され、水素付加されたヒマシ油(HCO−60)を混合し、前記混合物を真空下で濃縮し、そして次に、前記混合物を水により再構成することによって調製された。大豆由来のステリルグルコシド混合物(SG)及びコレステロール(Ch)と共にジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)のリポソーム配列物はまた、肝臓を標的化することが示されている(Shimizuなど., Biol. Pharm. Bull. 20:881(1997))。
【0173】
他方では、種々の標的化リガンドが、リポソーム、例えば抗体、抗体フラグメント、炭水化物、ビタミン及び輸送タンパク質の表面に結合され得る。例えば、リポソームは、肝臓細胞の表面上で独占的に発現されるアシアログリコプロテイン(ガラクトース)受容体標的化するために、枝分かれ型のガラクトシル脂質誘導体により変性され得る(Kato and Sugiyama, Crit. Rev. Ther. Drug. Carrier Syst. 14: 287 (1997); Murahashiなど., Biol. Pharm. Bull. 20:259 (1997))。同様に、Wuなど., Hepatology 27: 772 (1988) は、アジアロフェチュインによるリポソームのラベリングが短くされたリポソーム結晶半減期を導き、そしてアジアロフェチュイン−ラベルされたリポソームの肝細胞による摂取を非常に高めたことを示している。
【0174】
他方では、枝分かれ型のガラクトシル脂質誘導体を含んで成るリポソームの肝臓蓄積が、アジアロフェチュインの前注入により阻害され得る(Murahashiなど., Biol. Pharm. Bull. 20: 259 (1997))。ポリアコニチル化されたヒト血清アルブミンリポソームは、肝臓細胞へのリポソームの標的化のためのもう1つのアプローチを提供する(Kamps など., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94: 11681 (1997))。さらに、Gehoなど., (アメリカ特許第4,603,044号)は、肝臓の特殊化された代謝細胞に関連する肝胆管受容体に対する特異性を有する、肝細胞−指図されたリポソーム小胞供給システムを記載する。
【0175】
FGF−18標的化組成物は、タンパク質のマイクロカプセル封入の標準技法を用いて、リポソーム内に封入され得る(例えばAndersonなど., Infect. Immun. 31: 1099 (1981), Andersonなど., Cancer Res. 50: 1853 (1990), and Cobenなど., Biochim. Biophys. Acta 1063:95 (1991), Alving など., “Preparation and Use of Liposomes in Immunological Studies,” in Liposome Technology, 2nd Edition, Vol. III, Gregoriadis (ed.), page 317 (CRC Press 1993), Wassef など., Meth. Enzymol. 149: 124 (1987)を参照のこと)。上記に示されるように、治療的に有用なリポソームは、種々の成分を含むことができる。例えば、リポソームは、ポリ(エチレングリコール)の脂質誘導体を含むことができる(Allenなど., Biochim. Biophys. Acta 1150: 9 (1993))。
【0176】
FGF−18標的化組成物を供給する手段を提供する他に、リポソームは、FGF受容体−3又はFGF受容体−2を発現する細胞を標的化するために生成され得る。上記で示されたように、リガンドは、同起源の受容体を発現する細胞を標的化するためにリポソーム表面に結合され得る。従って、本発明は、封入された細胞毒素の供給をもたらすために表面に結合されるFGF−18成分を含んで成るリポソームを包含する:
【0177】
C.アッセイ:
FGF−18ポリペプチド又はFGF−18機能的フラグメントとその同起源受容体とを結合する能力は、生物学的活性アッセイを用いて決定され得る。例えば、増殖は、培養された細胞を用いて決定され得る。一般的には、増殖効果は、細胞数の上昇として観察され、それらは、アポプトシスの阻害、及び有糸分裂誘発によりもたらされ得る。増殖アッセイのための適切な培養された細胞は、一次培養物からの心臓線維芽細胞、心筋細胞、骨格筋細胞、ヒトへそ静脈内皮細胞を包含する。例示的な確立された細胞系は、NIH 3T3線維芽細胞(ATCC No. CRL−1658)、CHH−1サケ心臓細胞(ATCC No. CRL−1680)、H9c2ラット心臓筋芽細胞(ATCC No. CRL−1446)、Shionogi乳癌細胞(Tanakaなど., Proc. Natl. Acad. Sci. 89: 8928-8932, 1992)及びLNCap. FGC腺癌細胞(ATCC No. CRL-1740)を包含する。
【0178】
細胞増殖アッセイは、当業者において良く知られている。例えば、典型的なアプローチは、中性の赤色色素に対する化学感受性の測定(Cavanaugh など., Investigational New Drugs 8: 347-354, 1990)、放射性ラベルされたヌクレオチドの組み込み(Cookなど., Analytical Biochem. 179: 1-7, 1989)、増殖細胞のDNAへの5−ブロモ−2’−デオキシウリジンの組み込み(Porstmannなど., J. Immunol. Methods 82: 169-179, 1985)、及びテトラゾリウム塩、例えばMTT微小培養テトラゾリウムアッセイの使用(Mosmann, J. Immunol. Methods 65: 55-63, 1983; Alleyなど., Cancer Res. 48: 589-601, 1988; Scudieroなど., Cancer Res. 48: 4827-4833, 1988;Marshall など., Growht Reg. 5: 69-84, 1995;Wang and Xu, Int. J. Cancer 75: 596,1998)を包含する。
【0179】
例えば、種々の組織を表す120種の細胞系が、サポリンにFGF−18を接合することによって調製された、FGF−18標的化組織物に対する感受性についてスクリーンされた。1nM以下のLD50により特徴づけられた2種の最も感受性の細胞系は、ヒト骨肉腫細胞系(ATCC, CRL1543)、及び“UMR106”(ATCC, CRL1661)と称するラット骨肉腫細胞系であった。細胞表面ラベリング研究は、ヒト細胞がFGF受容体−3cを発現し、そしてその細胞がFGF受容体−3c mRNAを含んでいることが見出されたことを示した。
【0180】
受容体リガンドとして、FGF−18成分又はFGF−18標的化組成物の活性は、受容体結合及び続く細胞応答に関連する、細胞外酸性化速度又はプロトン排泄を測定する、珪素に基づくバイオセンサーのマイクロフィジオメーターにより測定され得る。典型的な装置は、Molecular Devices, Sunnyvale, CAにより製造されるCytosensorTM マイクロフィジオメーターである。種々の細胞応答、例えば細胞増殖、イオン輸送、エネルギー生成、炎症応答、調節及び受容体活性化及び同様のものが、この方法により測定され得る(例えば、McConnell, H.M.など., Science 257:1906-1912, 1992; Pitchford, S. など., Meth. Enzymol. 228: 84-108, 1997: Arimilli, S. など., J. Immunol. Meth. 212: 49-59, 1998; Van Liefde, I. など., Eur. J. Pharmacol. 346: 87-95, 1998を参照のこと)。さらに、マイクロフィジオメーターは、付着性又は非付着性細胞をアッセイするために使用され得る。
【0181】
エネルギー代謝は細胞ATPの使用と連結されるので、細胞ATPレベルを変更するいずれかの現象、例えば受容体活性化及びシグナルトランスダクションの開始は、細胞酸性セクションの変化を引き起こすであろう。従って、時間にわたっての細胞培地における細胞外酸性化の変化を測定することによって、マイクロフィジオメーターは、種々の刺激、例えばFGF−18に対する細胞応答を直接的に測定する。マイクロフィジオメーターは、FGF−18に対して応答しない対照真核細胞に比較して、FGF−18応答性真核細胞の応答を測定するために使用され得る。
【0182】
FGF−18応答性真核細胞は、FGF−18に対する受容体が、FGF−18に対して応答性である細胞を創造するためにトランスフェクトされている細胞、又は天然において、FGF−18に対して応答性である細胞、例えば上記の種々の細胞を含んで成る。FGF−18調整された細胞応答は、FGF−18に対して暴露されていない対照細胞に比較して、FGF−18に対して暴露された細胞の応答の変化(例えば、細胞外酸性化の上昇又は低下)により測定される。
【0183】
さらに、固相システムが、FGF−18成分、又はFGF−18標的化組成物を特徴づけるために使用され得る。例えば、FGF−18成分を含んで成るポリペプチドは、市販のバイオセンサー装置の受容体チップの表面上に固定され得る(BLACORE, Biacore AB; uppsala, Sweden)。この装置の使用は、例えばkarlsson, Immunol. Methods 145:229 (1991)、及びCunningham and Wells, J. Mol. Biol. 234:554 (1993) により開示される。
【0184】
例示のように、FGF−18成分を含んで成るポリペプチドは、流動細胞内の金フィルムに結合されるデキストラン繊維に、アミン又はスルフヒドリル化学を用いて、共有結合される。次ぎに、試験サンプルが、細胞を通して通される。FGF受容体−3がサンプルに存在する場合、それは固定されたポリペプチドに結合し、培地の屈折率の変化を引き起こし、これが金フィルムの表面プラスモン共鳴の変化として検出される。このシステムは、結合親和性が計算され得るオン−及びオフ−速度の測定、及び結合の化学量論の評価を可能にする。
【0185】
さらに、FGF−18成分及びFGF−18標的化組成物の効果は、インビボで確かめられ得る。例示のように、腫瘍進行及び転位に対するFGF−18標的化組成物の活性は、インビボで測定され得る。いくつかの同系マウスモデルが、腫瘍進行に対するポリペプチド、化合物又は他の処理の影響を研究するために開発されて来た。それらのモデルにおいては、培養において継代された腫瘍細胞が、腫瘍ドナーと同じ株のマウス中に移植される。細胞は、受容体マウスにおける類似する特徴を有する腫瘍中に進行し、そして転移がまた、いくつかのモデルにおいても存在するであろう。例示のように、ネズミモデルが、多くの状態、例えば多発性骨髄腫、甲状腺発癌及び膀胱癌のために開発されて来た(例えば、Kubota, J. Cell. Biochem. 56: 4 (1994), Capen and Sagartz, Lab. Anim. Sci. 48: 580 (1998), 及びRadl, Pathol. Biol. (Paris) 47: 109 (1999) を参照のこと)。
【0186】
例えば、マウスは、FGF−18成分又はFGF−18標的化組成物の毎日の注入、又はFGF−18成分又はFGF−18標的化組成物を発現する組換えアデノウィルスの1度の注入を通して、試験組成物により処理される。この処理の3日後、105〜106個の腫瘍細胞が背部皮膚下に移植される。他方では、細胞自体が、移植の前、組換えアデノウィルス、例えばFGF−18標的化組成物を発現するウィルスにより感染され、その結果、タンパク質が全身的よりもむしろ、腫瘍部位で又は細胞内で合成される。
【0187】
もう1つの手段として、移植された腫瘍細胞は、FGF−18成分をコードする核酸分子を含んで成る発現ベクターにより一時的にトランスフェクトされ得る。マウスは通常、5日以内で目に見える腫瘍を進行するが、腫瘍は3週間までの期間、増殖される。腫瘍サイズ及び体重が実験を通して、注意してモニターされる。殺害の時点で、腫瘍が除去され、そして計算される。切除された組織が、組織病理学的試験、免疫組織化学及び現場ハイブリダイゼーションのために、当業界において知られている方法を用いて調製される。従って、脈管系を再生し、そして増殖又は転移を受ける能力に対する、問題の発現されたポリペプチド、例えばFGF−18標的化組成物の影響が評価され得る。
【0188】
5.FGF−18標的化組成物の治療使用:
本発明は、FGF受容体−3又はFGF受容体−2を発現する細胞の増殖を阻害するためへの、FGF−18標的化組成物、例えばFGF−18接合体及びFGF−18標的化融合タンパク質の使用を包含する。それらの分子は、処理の必要ないずれかの被検体に投与され得、そして本発明は家畜及びヒト治療使用を企画する。例示的な被検体は、哺乳類被検体、例えば農場動物、家畜及びヒト患者を包含する。
【0189】
Chesiなど., Nature Genet. 16: 260 (1997) は、多発性骨髄腫細胞に関連するFGF受容体−3のタンパク質キナーゼドメインにおける突然変異を記載している。FGF受容体−2遺伝子は、30〜100kbの強いIgHエンハンサー内に遺伝子を運ぶトランスロケーションのために、アップレギュレートされるように思える(Chesiなど., Nature Genet. 16: 260 (1997); Chesiなど., Blood 92: 3025 (1998))。多発性骨髄腫進行におけるFGF受容体−2遺伝子調節不全の役割にかかわらず、発現されたFGF受容体−3ポリペプチドは治療処理のためのマーカーを提供する。従って、本発明は、FGF−18標的化組成物による多発性骨髄腫の処理を包含する。
【0190】
本明細書に記載される組成物は、追加の状態を処理するために使用され得る。例えば、骨髄無形成症、すなわちヒトにおける最も共通する形の小人症は、FGF受容体−3のトランスメンブラン領域における点突然変異により引き起こされる優性遺伝子障害である(例えば、Wangなど., Proc. Nat’l Acad. Sci. USA96: 4455 (1999) を参照のこと)。点突然変異は、FGF受容体−3の構成的発現を引き起こすように思える(Colvinなど., Nature Genet. 12: 390 (1996); Dengなど., Cell 84: 911 (1996))。成長ホルモン投与は、軟骨無形成症のための1つの形の処理を提供する(Seinoなど., Acta Paediatr. (Suppl.) 88: 118 (1999))。FGF−18標的化組成物は、軟骨無形成症マウス、すなわちヒト疾病の処理の試験のためのネズミモデルにおいて試験され得る追加の治療アプローチを提供することができる(Wangなど., Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 96: 4455 (1999))。
【0191】
FGF−18標的化組成物の投与から有益である追加の状態が存在する。例えば、Cappellenなど., Nature Genetics 23: 18 (1999) は、通常の上皮癌、例えばヒト膀胱癌及び頸部癌における、構成的に活性化されたFGF受容体−3の発現を記載する。さらに、Onoseなど., Eur. J. Endocrinol. 140: 169 (1999) による研究は、ヒト甲状腺癌細胞によるFGF受容体−3の過剰発現が癌の悪性拡張に寄与することができることを示す。従って、FGF−18標的化組成物は、FGF受容体−3に関連する状態、例えば軟骨無形成症、骨肉腫及び癌を処理するために使用され得る。
【0192】
FGF−18はまた、FGF受容体−2と結合するので、本明細書に記載される組成物は、この受容体と関連する状態を処理するために使用され得る。例えば、Hughes (Cardiorasc. Res. 32: 557 (1996))は、単純な及び進行した軟骨無形成疾病の内膜平滑筋細胞、気泡細胞及びプラーク微小脈管におけるFGF受容体−1及び2の広範囲の同時発現を観察した。従って、本発明は、FGF−18標的化組成物によるアテローム硬化症についての処理を包含する。
【0193】
一般的に、投与されるFGF−18標的化組成物の用量は、患者の年齢、体重、身長、性別、一般的な医学的状態及びこれまでの医学的歴史のような要因に依存して変化するであろう。典型的には、約1pg/kg〜10mg/kg(剤の量/患者の体重)の範囲でのFGF−18標的化組成物の用量(但し、それよりも低いか又は高い用量もまた、環境が指図する場合、投与され得る)を、受容体に供給することが所望される。
FGF−18標的化組成物の対象への投与は、局部カテーテルを通しての灌流によるか又は直接的な病変内注入による、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、胸膜内、鞘内投与であり得る。注射により治療用タンパク質を投与する場合、投与は連続的注入によるか、又は一回又は複数回のボーラスによることができる。
【0194】
投与の追加経路は、経口、粘膜、肺及び経皮を包含する。経口供給は、ポリエステル微小球、ゼイン微小球、プロテイノイド微小球、ポリシアノアクリレート微小球及び脂質基剤システムのために適切である(例えば、DiBase and Morrel, “Oral Delivery of Microencapsulated Protein”, in Protein Delivery: Physical Systems, Sanders and Hendren (eds.), p.255-288 (Plenum Press 1977) を参照のこと)。鼻腔内供給の実行可能性は、インスリン投与のそのような態様により例示される(例えば、Hinchcliffe and Illum, Adv. Drug Deliv. Rev. 35: 199 (1997) を参照のこと)。
【0195】
FGF−18を含んで成る乾燥又は液体粒子は、乾燥−粉末分散機、液体エーロゾル発生器又はネブライザーの助けにより調製され、そして吸入され得る(例えば、Pettit and Gombotz, TIBTECH 16: 343 (1998); Patton など., Adv. Drug Deliv. Rev. 35: 235 (1999) を参照のこと)。このアプローチは、エーロゾル化されたインスリンを肺に供給する電動吸入器であるAERX糖尿病治療システムにより例示される。研究によれば、48,000kDaほどの大きなタンパク質が、経皮投与の実行可能性を例示する、低周波超音波の助けにより治療濃度で皮膚を通して供給されることが示された(Mitragotriなど., Science 269: 850 (1995))。エレクトロポレーションを用いての経皮供給は、FGF−18結合活性を有する分子を投与するもう1つの手段を提供する(Pottsなど., Pharm. Biotechnol. 10: 213 (1997))。
【0196】
FGF−18標的化組成物を含んで成る医薬組成物は、医薬的に有用な組成物を調製する既知の方法に従って配合され得、それによれば、治療用タンパク質が医薬的に許容できるキャリヤーと共に混合される。組成物は、その投与が受容体患者により許容され得る場合、“医薬的に許容できるキャリヤー”であると言われる。無菌リン酸緩衝溶液は、医薬的に許容できるキャリヤーの1つの例である。他の適切なキャリヤーは、当業者に良く知られている。例えば、Gennaro (ed.), Remington’s Pharmaceutical Sciences, 19th Edition (Mack Publishing Company 1995) を参照のこと。
【0197】
治療のためには、FGF−18標的化組成物及び医薬的に許容できるキャリヤーが、治療的に有効な量で患者に投与される。FGF−18標的化組成物、及び医薬的に許容できキャリヤーの組み合わせは、その投与される量が生理学的に有意である場合、“治療的に有効な量”で投与されると言われる。剤は、その存在が受容体被検体における検出できる変化をもたらす場合、生理学的に有意である。例えば、多発性骨随腫を処理するために使用される剤は、その存在が腫瘍細胞の増殖の阻害をもたらす場合、生理学的に有意である。多発性骨随腫又は骨肉腫の進行の阻害は、例えば腫瘍細胞の低下、低められた転移、固形腫瘍のサイズの低下、又は低められたアポプトシス又は腫瘍の壊死により示され得る。
【0198】
FGF−18標的化組成物を含んで成る医薬組成物は、液体形、エーロゾル、又は固体形で維持され得る。液体形は、注射用溶液及び経口懸濁液により例示される。典型的な固体形は、カプセル、錠剤及び調節された開放形を包含する。後者の形は、ミニ浸透ポンプ及び移植体により例示される(Bremer など., Pharm. Biotechnol. 10:239 (1997): Ranade. “Implants in Drug Delivery,” in Drug Delivery Systems, Ranade and Hollinger (eds.), pages 95-123 (CRC Press 1995); Bremer など., “Protein Delivery with Infusion Pum-s,” in Protein Delivery: Physical Systems, Sanders and Hendren (eds.), Pages 239-254 (Plenum Press 1997); Yewey など., “Delivery of Proteins from a Controlled Release Injectable Implant,” in Protein Delivery: Physical Systems, Sanders and Hendren (eds.), Pages 93-117 (Plenum Press 1997))。
【0199】
分解性ポリマー微小球が、治療用タンパク質の高い全身レベルを維持するため企画された。微小球は、分解性ポリマー、例えばポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLG)、ポリ無水物、ポリ(オルトエステル)、モノ生分解性エチルビニルアセテートポリマー(タンパク質がポリマー封入される)から調製されるGombotz and Pettit, Bioconugate Chem. 6:332 (1995); Ranade, “Role of Polymers in Drug Delivery.” In Drug Delivery Systems, Ranade and Hollinger (eds.), pages 51-93 (CRC Press 1995); Roskos and Maskiewicz, “Degradable Controlled Release Systems Useful for Protein Delivery,” in Protein Delivery: Physical Systems, Sanders and Hendren (eds.), pages 45-92 (Plenum Press 1997); Bartus など., Science 281:1161 (1998); Putney and Burke, Nature Biotechnology 16:153 (1998); Putney, Curr. Opin. Chem. Biol. 2:548 (1998))。ポリエチレングリコール(PEG)被覆された超微小球はまた、治療用タンパク質の静脈内投与のためのキャリヤーを提供することができる(例えば、Grefなど., Pharm. Biotechnol. 10:167 (1997) を参照のこと)。
【0200】
本発明はまた、FGF−18成分がポリマーにより連結される、化学的に修飾されたFGF−18組成物を企画する。好ましいFGF−18ポリペプチドは、可溶性ポリペプチドである。典型的には、前記ポリマーは、FGF−18結合体が水性環境、例えば生理学的環境において沈殿しないよう水溶性である。適切なポリマーの例は、単一の反応基、例えばアシル化のための活性エステル、又はアルキル化のためのアルデヒドを有する修飾されている1つのポリマーである。この場合、重合化の程度は調節され得る。反応性アルデヒドの例は、ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド、又はモノ−(C1−C10)アルコキシ、又はそれらのアリールオキシ誘導体である(例えば、Harrisなど., アメリカ特許第5,252,714号を参照のこと)。ポリマーは枝分かれ鎖であっても、又は枝分かれ鎖でなくても良い。さらに、ポリマーの混合物がFGF−18接合体を生成するために使用され得る。
【0201】
治療のために使用され得るFGF−18接合体は、医薬的に許容できる水溶性ポリマー成分を含むことができる。適切な水溶性ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)、モノメトキシ−PEG、モノ−(C1−C10)アルコキシ−PEG、アリールオキシ−PEG、ポリ−(N−ビニルピロリドン)PEG、トレシルモノメトキシPEG、PEGプロピオンアルデヒド、ビス−スクシンイミジルカーボネートPEG、プロピレングリコールホモポリマー、酸化ポリプロピレン/酸化エチレンコポリマー、ポリオキシエチル化されたポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、デキストラン、セルロース又は他の炭水化物基材のポリマーを包含する。適切なPEGは、約600〜約60,000、例えば5,000、12,000及び25,000の分子量を有することができる。FGF−18接合体はまた、そのような水溶性ポリマーの混合物も含むことができる。
【0202】
FGF−18接合体の1つの例は、FGF−18成分、及びFGF−18成分のN−末端に結合される酸化ポリアルキル成分を含んで成る。PEGは、1つの適切な酸化ポリアルキルである。例示として、FGF−1814は、PEG、すなわち“PEG化”として知られている方法により修飾され得る。FGF−18のPEG化は、当業界において知られているPEG化反応のいずれかにより行われ得る(例えば、ヨーロッパ特許第0154316号、Delgadoなど., Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems 9: 249 (1992), Duncan and Spreafico, Clin. Pharmacokinet. 27: 290 (1994) 及びFrancis など., Int, J. Hematol. 68: 1 (1998) を参照のこと)。
【0203】
例えば、PEG化は反応性ポリエチレングリコール分子によるアシル化反応又はアルキル化反応により行われ得る。他のアプローチにおいては、FGF−18接合体は、PEGの末端ヒドロキシ又はアミノ基が活性化されたリンカーにより置換されている活性化されたPEGを縮合することによって形成される(例えば、Karasiewiczなど., アメリカ特許第5,382,657号を参照のこと)。
【0204】
アシル化によるPEG化は典型的には、FGF−18ポリペプチドとPEGの活性エステル誘導体との反応を必要とする。活性化されたPEGエステルの例は、N−ヒドロキシスクシンイミドにエステル化されたPEGである。本明細書において使用される場合、用語“アシル化”とは、FGF−18と水溶性ポリマー間のタイプの結合を包含する:アミド、カルバメート、ウレタン及び同様のもの。アシル化によるPEG化されたFGF−18の調製方法は、典型的には、(a)FGF−18ポリペプチドとPEG(例えば、PEGのアルデヒド誘導体の反応性エステル)とを、1又は複数のPEG基がFGF−18に結合する条件下で反応せしめ、そして(b)その反応生成物を得る段階を含んで成る。一般的に、アシル化反応のための最適な反応条件は、既知のパラメーター及び所望する結果に基づいて決定されるであろう。例えば、PEG:FGF−18の比が高いほど、ポリPEG化されたFGF−18生成物の%が高くなる。
【0205】
アシル化によるPEG化の生成物は典型的には、リシンε−アミノ基がアシル結合を通してPEG化されるポリPEG化されたFGF−18生成物である。典型的には、その得られるFGF−18は、少なくとも95%、モノ−、ジ−又はトリ−ペルギレートされるが、但し高い程度のPEG化を有するいくつかの種は、その反応条件に依存して形成され得る。PEG化された種は、標準の精製方法、例えば透析、限外濾過、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー及び同様のものを用いて、接合されていないFGF−18ポリペプチドから分離され得る。
アルキル化によるPEG化は一般的に、還元剤の存在下で、FGF−18と、PEGの末端アルデヒド誘導体との反応を包含する。PEG基は好ましくは、−CH2−NH基を通してポリペプチドに結合される。
【0206】
モノPEG化された生成物を生成するためへの還元性アルキル化を通しての誘導体化は、誘導体化のために利用できる異なったタイプの第1アミノ基の示差反応性を利用する。典型的には、前記反応は、リシン残基のε−アミノ基とタンパク質のN−末端残基のα−アミノ基との間のpKa差異の利用を可能にするpHで行われる。そのような選択的誘導体化により、反応性基、例えばアルデヒドを含む水溶性ポリマーのタンパク質への結合が調節される。ポリマーとの接合は、他の反応性基、例えばリシン側鎖アミノ基の有意な修飾を伴なわないで、タンパク質のN−末端で優先的に生じる。本発明は、FGF−18モノポリマー接合体の実質的な調製物を提供する。
【0207】
モノポリマーFGF−18接合体分子の実質的に均質な集団を生成するための還元性アルキル化は、(a)FGF−18のアミノ末端でのα−アミノ基選択的修飾を可能にするために適切なpHでの還元性アルキル化条件下で反応性PEGとンFGF−18ポリペプチドとを反応せしめ、そして(b)反応生成物を得る段階を含んで成る。還元性アルキル化のために使用される還元剤は、水溶液において安定性であり、そして好ましくは、還元性アルキル化の初期工程において形成されるSchiff塩基のみを還元できるべきである。好ましくは還元剤は、硼水素化ナトリウム、シアノ硼水素化ナトリウム、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン及びビリジンボランを包含する。
【0208】
モノポリマーFGF−18接合体の実質的に均質な集団に関しては、還元性アルキル化反応条件は、FGF−18のN−末端への水溶性ポリマーの成分の結合を可能にするそれらの条件である。そのような反応条件に、N−末端でのα−アミノ基とリシンアミノ基との間のpKa差異を提供する。pHはまた、使用されるポリマー:タンパク質の比にも影響を及ぼす。一般的に、pHが低い場合、タンパク質よりも過剰量のポリマーが、N−末端α−基が反応性であるほど、より多くのポリマーが最適な条件を達成するために、必要とされるので、所望される。pHが高い場合、ポリマー:FGF−18は、より多くの反応性基が利用できるので、高くある必要はない。典型的には、pHは、3〜9又は3〜6の範囲内であろう。
【0209】
考慮すべきもう1つの因子は、水溶性ポリマーの分子量である。一般的に、ポリマーの分子量が高いほど、より少数のポリマー分子がタンパク質に結合され得る。PEG化反応に関しては、典型的な分量は、約2kDa〜約100kDa、約5kDa〜約50kDa又は約12kDa〜約25kDaである。水溶性ポリマー:FGF−18のモル比は、一般的に、1:1〜100:1の範囲であろう。典型的には、水溶性ポリマー:FGF−18のモル比は、ポリPEG化に関して、1:1〜20:1であり、そしてモノPEG化に関しては、1:1〜5:1であろう。
【0210】
ポリペプチド及び水溶性ポリマー成分を含んで成る接合体を生成するための一般的な方法は当業界において知られている。例えば、Karasiewiczなど., アメリカ特許第5,382,657号、Greewaldなど., アメリカ特許第5,738,846号、Nieforthなど., Clin. Pharmacol. Ther. 59: 636 (1996), Monkarsh など., Anal. Biochem. 247: 434 (1997) を参照のこと。
ポリペプチド細胞毒素はまた、FGF−18成分への接合の前又は後、上記方法を用いて、可溶性ポリマーと接合され得る。可溶性ポリマーはまた、FGF−18標的化融合タンパク質と接合され得る。
【0211】
本発明は、本明細書に記載されるペプチド又はポリペプチドを含んで成る組成物を企画する。そのような組成物はさらに、キャリヤーを含むことができる。前記キャリヤーは、従来の有機又は無機キャリヤーであり得る。キャリヤーの例は、水、緩衝液、アルコール、ポリエチレングリコール、マクロゲル、ゴマ油、トウモロコシ油及び同様のものを包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線維芽細胞成長因子−18(FGF−18)成分及び細胞毒素を含んで成るFGF−18標的化組成物。
【請求項2】
前記FGF−18成分が、FGF−18ポリペプチドである請求項1記載のFGF−18標的化組成物。
【請求項3】
前記FGF−18ポリペプチドが、配列番号2のアミノ酸残基28〜207を含んで成る請求項2記載のFGF−18標的化組成物。
【請求項4】
前記FGF−18ポリペプチドが、配列番号4のアミノ酸残基28〜207を含んで成る請求項2記載のFGF−18標的化組成物。
【請求項5】
前記FGF−18ポリペプチドが、FGF−18抗−イディオタイプ抗体である請求項2記載のFGF−18標的化組成物。
【請求項6】
前記FGF−18成分が、FGF−18機能的フラグメントである請求項1記載のFGF−18標的化組成物。
【請求項7】
前記FGF−18機能的フラグメントが、配列番号2又は4のいずれかのアミノ酸残基28〜175を含んで成る請求項6記載のFGF−18標的化組成物。
【請求項8】
前記FGF−18機能的フラグメントが、配列番号2又は4のいずれかのアミノ酸残基28〜196を含んで成る請求項7記載のFGF−18標的化組成物。
【請求項9】
前記FGF−18成分及び前記細胞毒素が、お互い共有結合されている請求項1記載のFGF−18標的化組成物。
【請求項10】
前記組成物が、FGF−18接合体を含んで成る請求項8記載のFGF−18標的化組成物。
【請求項11】
前記FGF−18接合体が、FGF−18−サポリン接合体である請求項10記載のFGF−18標的化組成物。
【請求項12】
前記組成物が、FGF−18標的化融合タンパク質を含んで成る請求項1記載のFGF−18標的化組成物。
【請求項13】
前記FGF−18標的化融合タンパク質が、I型リボソーム−不活性化タンパク質、II型リボソーム−不活性化タンパク質、免疫モジュレーター、リボヌクレアーゼ、DNアーゼI、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、ジフテリアトキシン、ジュードモナス外毒素及びシュードモナス内毒素から成る群から選択された細胞毒素を含んで成る請求項12記載のFGF−18標的化組成物。
【請求項14】
前記組成物が、FGF−18標的化リポソームを含んで成る請求項1記載のFGF−18標的化組成物。
【請求項15】
前記細胞毒素が、リボソーム−不活性化タンパク質、免疫モジュレーター、化学療法薬物、チロシンキナーゼインヒビター、キレート化剤、硼素化合物、光活性剤及び放射性同位体から成る群から選択される請求項1記載のFGF−18標的化組成物。
【請求項16】
線維芽細胞成長因子(FGF)受容体−3又はFGF受容体−2を発現する細胞の増殖を阻害するための方法であって、FGF−18標的化組成物を含んで成る組成物を、前記細胞に投与することを含んで成る方法。
【請求項17】
前記投与される組成物が医薬組成物であり、そして前記医薬組成物が、FGF受容体−3又はFGF受容体−2を発現する細胞を含んで成る腫瘍を有する被検者に、治療的有効量で投与される請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記細胞が、多発生骨髄腫細胞、膀胱癌細胞、頸部癌細胞、甲状腺癌細胞、骨肉腫細胞及び内膜平滑筋細胞から成る群から選択される請求項16記載の方法。
【請求項19】
FGF−18標的化組成物及びキャリヤーを含んで成る組成物。
【請求項20】
前記組成物が医薬組成物であり、そして前記キャリヤーが医薬的に許容できるキャリヤーである請求項19記載の組成物。

【公開番号】特開2011−140520(P2011−140520A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−87381(P2011−87381)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【分割の表示】特願2001−541520(P2001−541520)の分割
【原出願日】平成12年11月28日(2000.11.28)
【出願人】(505222646)ザイモジェネティクス, インコーポレイテッド (72)
【Fターム(参考)】