説明

膜モジュールの吊り治具、膜モジュール、及び、膜モジュールの吊り治具の使用方法

【課題】複数段に積層された膜モジュール群を人手によらず一体的に移送可能な膜モジュールの吊り治具を提供する。
【解決手段】複数段の膜モジュール20がフレーム11内に積層設置されるように組み込まれる膜分離装置10に用いられる膜モジュール20の吊り治具40であって、長尺のベース部材41と、複数段に積層設置された各膜モジュール20に備えた係合孔に対して係脱自在な複数の係合部42とを備え、各係合部42が各膜モジュール20の積層間隔以上の間隔となるようにベース部材41に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数段の膜モジュールがフレーム内に積層設置されるように組み込まれる膜分離装置に用いられる膜モジュールの吊り治具、膜モジュール、及び、膜モジュールの吊り治具の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、膜分離活性汚泥法を採用した下水処理や廃水処理では、固液分離のために浸漬型の膜分離装置が用いられている。
【0003】
特許文献1には、膜モジュールを浸漬した生物反応槽と、膜モジュールを洗浄するための洗浄槽との間で、膜モジュールを移動させるクレーン方式の移動手段を備えた浸漬型の膜分離装置が提案されている。
【0004】
当該膜分離装置では、生物反応槽の傍の地上に膜モジュールを浸漬することができる洗浄槽が設けられ、生物反応槽と洗浄槽の上を一連に横切る門形フレームが地上に立設され、門形フレームの上部横梁に沿って電動ホイストが移動可能に設けられている。門形フレーム、電動ホイストが生物反応槽と洗浄槽との間で膜モジュールを移動させる移動手段となり、電動ホイストにフックを備えた吊下げ用のロープが取り付けられている。
【0005】
特許文献1に記載されたクレーン方式の移動手段によれば、人手に頼らずに、複数の膜モジュールが組み込まれた膜分離装置を一体的に吊下げることによって、生物反応槽と洗浄槽の間を移送することができる。
【0006】
特許文献2には、曝気槽内に、該曝気槽内の原水中に浸漬するように多数の膜ユニットを配列設置し、該各膜ユニットの濾過水配管の取出口を吸引管に接続して、該吸引管を通して濾過水を回収するようにしてある水処理設備が開示されている。
【0007】
そして、濾過水配管の取出口と吸引管との接続部に、濾過水配管の取出口を下向きにして自動着脱継手を介在させ、且つ曝気槽と該曝気槽に近接設置した洗浄槽との間の上方部に、ホイストを走行させるためのレールを配置して、ホイストに膜ユニットを吊るための自動ロック式クランプ装置を装備させ、更に、各膜ユニットに、該クランプ装置にてクランプするための吊りピースを取り付けた膜ユニット着脱搬送装置が提案されている。
【0008】
特許文献2に記載された膜ユニット着脱搬送装置によれば、曝気槽の運転中に、人手に頼らずに、膜分離装置に収容された複数枚の膜モジュールを個別に吊上げて洗浄することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平09−108548号公報
【特許文献2】特開平11−309350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載されたクレーン方式の移動手段は、膜分離装置を一体で吊上げるものであるため、膜分離装置に組み込まれた個別の膜ユニットを選択的に吊上げることができない。
【0011】
特許文献2に示された膜ユニット着脱搬送装置では、濾過膜が垂直姿勢となるように複数枚の膜ユニットがフレームに沿って横方向に配列されているため、フレームに収容された任意の膜ユニットを容易に吊上げることができるが、膜ユニットの収容姿勢によっては、個別の膜ユニットを選択的に吊上げることが困難な場合もある。
【0012】
例えば、複数の膜モジュールが収容された膜ユニットを、フレームに複数段積層した構造を採用した膜分離装置では、個別の膜モジュールのみを吊上げることが困難となる。
【0013】
このような構造を採用した膜分離装置は、多段に積層された膜モジュールを人手で一括してフレームに収容し、或は人手で一括してフレームから取り出すのは、その重量のために不可能であり、個別の膜モジュールを人手で一つずつ積層し、或は取り除くという極めて煩雑な作業が必要であった。
【0014】
仮に、上述した従来のフックを備えた吊下げ用のロープを用いて、最上段の膜モジュールを吊上げても、下段の膜モジュールと分離するため、結果として極めて作業効率が悪くなるのである。
【0015】
本発明の目的は、上述した問題点に鑑み、複数段に積層された膜モジュール群を人手によらず一体的に移送可能な膜モジュールの吊り治具、膜モジュール、及び、膜モジュールの吊り治具の使用方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の目的を達成するため、本発明による膜モジュールの吊り治具の第一特徴構成は、特許請求の範囲の請求項1に記載した通り、複数段の膜モジュールがフレーム内に積層設置されるように組み込まれる膜分離装置に用いられる膜モジュールの吊り治具であって、長尺のベース部材と、複数段に積層設置された各膜モジュールに備えた被係合部に対して係脱自在な複数の係合部とを備え、各係合部が各膜モジュールの積層間隔以上の間隔となるように前記ベース部材に取り付けられている点にある。
【0017】
上述の構成によれば、長尺のベース部材に取り付けられた各係合部を、複数段に積層設置された各膜モジュールに備えた被係合部に個別に係合させて、ベース部材の上端をクレーン装置等で吊り上げれば、積層設置された複数段の膜モジュールを一体的に吊り上げた状態で移送することができるようになる。
【0018】
このとき、各係合部が各膜モジュールの積層間隔以上の間隔となるように前記ベース部材に取り付けられているため、各膜モジュールは、各係合部によって個別に懸架されるので、各膜モジュールを安定姿勢で吊り上げることができる。更に、各係合部は単一の膜モジュールの重量に耐える強度が確保できれば十分であるため、強度の強い高価な材料を用いずに安価な材料で構成することも可能になる。
【0019】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、前記積層間隔以上の間隔が、各膜モジュールの積層間隔の自然数倍の長さに、所定の許容長さ以下の長さを加算した間隔であり、前記所定の許容長さが、隣接する膜モジュールの一方に形成された凹状部への、他方に形成された凸状部の嵌入長さに設定されている点にある。
【0020】
上下に隣接する膜モジュールの一方に凹状部を生成するとともに他方に凸状部を形成し、凹状部に凸状部を嵌入させる構成とすることによって、膜モジュールを複数段積層する場合に、隣接する膜モジュールの正確な位置決めを行なうとともに、膜モジュールの積層姿勢を安定させることができる。
【0021】
吊り治具の各係合部がベース部材に各膜モジュールの積層間隔の自然数倍の長さ、例えば、前記積層間隔の1倍の長さに所定の許容長さ以下の長さを加算した間隔で取り付けられているので、膜モジュールを吊り上げる際に、譬え吊り上げた状態で上下に隣接する膜モジュールが離隔しても、凹状部と凸状部の嵌入状態が維持できるので、位置決め状態が維持できるようになる。
【0022】
また、吊り治具の各係合部がベース部材に各膜モジュールの積層間隔の自然数倍の長さ、例えば、前記積層間隔の2倍の長さに所定の許容長さ以下の長さを加算した間隔であれば、各係合部には二段の膜モジュールを吊り下げることができる。つまり、係合部には、各係合部が取り付けられる間隔に応じて複数段の膜モジュールを吊り下げることができるので、ベース部材に備える係合部の数を減らすことができる。係合部が減ることで、係合及び係脱作業を減らすことができ作業性がよくなる。
【0023】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、前記積層間隔以上の間隔が、各膜モジュールの積層間隔の自然数倍の長さに、所定の許容長さより長い長さを加算した間隔であり、前記所定の許容長さが、隣接する膜モジュールの一方に形成された凹状部への、他方に形成された凸状部の嵌入長さに設定されている点にある。
【0024】
上下に隣接する膜モジュールの一方に凹状部を生成するとともに他方に凸状部を形成し、凹状部に凸状部を嵌入させる構成とすることによって、膜モジュールを複数段積層する場合に、隣接する膜モジュールの正確な位置決めを行なうとともに、膜モジュールの積層姿勢を安定させることができる。
【0025】
吊り治具の各係合部がベース部材に各膜モジュールの積層間隔の自然数倍の長さ、例えば、前記積層間隔の1倍の長さに所定の許容長さより長い長さを加算した間隔で取り付けられているので、膜モジュールを吊り上げる際に上下に隣接する膜モジュールの離隔とともに、凹状部と凸状部の嵌入状態を解除することができる。よって、膜モジュールが透過水を集める集水ケースを備え、上下に隣接する膜モジュールが凹状部と凸状部で嵌合することで集水ケース同士が連通する構成の場合には、膜モジュールを槽外に吊り上げた際に、膜モジュール内部にある透過水が膜モジュールから流れ出やすくなる。更に、吊り治具により吊り上げられる膜モジュールの最下段のみならず、例えば、一度に全部の膜モジュールを吊り上げて、中段に位置する膜モジュールの交換をすることが可能となる。
【0026】
また、吊り治具の各係合部がベース部材に各膜モジュールの積層間隔の自然数倍の長さ、例えば、前記積層間隔の2倍の長さに所定の許容長さより長い長さを加算した間隔であれば、各係合部には二段の膜モジュールを吊り下げることができる。つまり、係合部には、各係合部が取り付けられる間隔に応じて複数段の膜モジュールを吊り下げることができるので、ベース部材に備える係合部の数を減らすことができる。係合部が減ることで、係合及び係脱作業を減らすことができ作業性がよくなる。
【0027】
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第一から第三の何れかの特徴構成に加えて、前記ベース部材がベルトスリングで構成され、前記係合部は、係合リングと、一端に前記係合リングに嵌入するリング部が形成されるとともに他端が前記ベース部材に縫着され前記被係合部に係合するスリング片とを備えて構成され、前記係合リングが前記スリング片の前記ベース部材への縫着部に固定されている点にある。
【0028】
長尺のベース部材として、膜モジュールの硬度よりも硬い金属製のワイヤーやチェーンを用いると、吊り上げて移送する間にベース部材と膜モジュールとが擦れ合って傷等の損傷が発生する虞があるが、スリングを用いればそのような損傷が発生するリスクを大きく低減させることができる。また、通常、膜モジュールと少なくとも二箇所で係合するように少なくとも二本の吊り治具が用いられるが、各吊り治具の係合部の間隔が多少異なる場合であっても、少なくともスリングであれば膜モジュールの重量で多少の伸びが期待できるため、膜モジュールを吊り上げたときに膜モジュールを略水平姿勢で安定保持することができる。
【0029】
尚、ベルトスリングは繊維ストリングを意味し、テトロン、ナイロン、ポリエステル等の合成繊維を用いて構成されたものが好適に用いられる。
【0030】
リング部が形成されたスリング片の一端を、例えば、膜モジュールに形成された被係合部としての係合孔に挿通させた後に、当該リング部をベース部材に固定された係合リングに係合させるという極めて簡単な操作で吊り治具と各膜モジュールを確実に係合させることができるようになる。しかも、膜モジュールの係合孔にはスリング片のみが接触するため、傷等の損傷が発生するリスクが低減する。
【0031】
本発明による膜モジュールの特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第一から第四の何れかの特徴構成を備えた膜モジュールの吊り治具によって吊り下支持される膜モジュールであって、膜モジュールの吊り治具によって吊下支持される膜モジュールであって、各膜モジュールには、両端部に吊り治具の係合部と係合する被係合部としての係合孔が、各膜モジュールを積層配置した際に上下に隣接する膜モジュールの係合孔と当接するように上下にそれぞれ形成され、上下に隣接する膜モジュールの係合孔を当接させた状態で前記吊り治具の各係合部を貫通させて係合可能に構成されている点にある。
【0032】
上下に隣接する膜モジュールの係合孔が当接状態で前記吊り治具の各係合部と係合するため、吊り治具によって吊り上げられた状態で各膜モジュールが上下方向に離隔することなく、積層された姿勢を維持しながら移送することができるようになる。
【0033】
本発明による膜モジュールの吊り治具の使用方法の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述の第一から第四の何れかの特徴構成を備えた膜モジュールの吊り治具の使用方法であって、複数段に積層された膜モジュール群に対して、特定段の膜モジュールとそれよりも上方に積層配置された膜モジュールの被係合部に前記吊り治具の係合部を係合させる係合工程と、前記吊り治具の上端を吊り上げて前記特定段の膜モジュールとそれよりも上方位置に積層された膜モジュールを、前記膜モジュール群の残りの膜モジュールとは異なる基台に載置する分割工程と、前記特定段の膜モジュールを前記吊り治具から離脱させた後に、前記吊り治具の上端を吊り上げて、前記基台上の前記特定段の膜モジュールを取り出す取り出し工程と、を含む点にある。
【0034】
係合工程で吊り治具の各係合部と係合された特定段の膜モジュールとそれよりも上方に積層配置された膜モジュールが、分割工程で複数段に積層された膜モジュール群の残りの膜モジュール群と分離されて基台に載置される。この状態で吊り治具の最下段の係合部を係脱して、吊り治具を吊り上げることにより、前記特定段の膜モジュールを取り出すことができる。その後、当該特定段の膜モジュールのみのメンテナンスや交換作業を行なうことができるようになる。従って、複数段に積層された膜モジュールから特定段の膜モジュールを手作業に頼らずに容易に分離することができるようになる。
【発明の効果】
【0035】
以上説明した通り、本発明によれば、複数段に積層された膜モジュール群を人手によらず一体的に移送可能な膜モジュールの吊り治具、膜モジュール、及び、膜モジュールの吊り治具の使用方法を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】膜分離装置の説明図
【図2】膜分離装置及び膜モジュールの説明図
【図3】(a)膜モジュールの説明図、(b)連結部材の説明図
【図4】(a)膜モジュールの連結の説明図、(b)は(a)のA部拡大図であって、連結部材と下部連結部の説明図
【図5】本発明による吊り治具の説明図であって(a)は概略図、(b)は係合部の説明図
【図6】吊り治具の使用方法の説明図であって(a)は係合工程の説明図、(b)は吊上工程の説明図
【図7】吊り治具の使用方法の説明図であって(a)は分割工程の説明図、(b)は取り出し工程の説明図
【図8】(a)は別実施形態による吊り治具の係合部の説明図、(b)は別実施形態による吊り治具の使用方法の説明図
【図9】別実施形態による吊り治具の使用方法の説明図であって(a)は係合工程の説明図、(b)は吊上工程の説明図
【図10】別実施形態による吊り治具の使用方法の説明図であって(a)は分割工程の説明図、(b)は取り出し工程の説明図
【図11】(a)は別実施形態による吊り治具の使用方法の説明図、(b)は別実施形態による吊り治具の使用方法の説明図
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明による膜モジュールの吊り治具、膜モジュール、及び、膜モジュールの吊り治具の使用方法を説明する。
【0038】
図1及び図2に示すように、膜分離装置10は、膜モジュール20が縦に8段積層設置された膜モジュール群が、横に5列並設されるように本体フレーム11内に組み込まれて構成され、膜分離槽内の被処理液に浸漬配置される。
【0039】
最下段の膜モジュール20の下方に散気用給気管12が設置され、当該散気用給気管12から給気された散気エアにより、各膜モジュール20に縦姿勢で水平方向に並設された複数の膜エレメント21間に膜分離槽内の被処理液のクロスフロー流が発生し、各膜エレメント21の膜面を透過した透過水が集水管13を通じて槽外へ導出される。
【0040】
集水管13には、膜分離槽の外部に設置された処理水槽に到る透過水導出管(図示されていない)が連通され、その管路途中にポンプ装置が介装されている。散気用給気管12にはブロワやコンプレッサなどの給気源が連通されている。
【0041】
図3(a)に示すように、各膜モジュール20は、本体フレーム11の奥行き方向両端部に前後一対の集水ケース22を備え、一対の集水ケース22の間に配設された一対のサイドプレート23で区画される空間内に、複数の膜エレメント21が縦姿勢で水平方向に並設されて構成されている。
【0042】
膜エレメント21は、平板状のろ板の両面に濾過膜が配置されており、濾過膜を透過した処理水がろ板に形成された集水路を通じて各集水ケース22内に導かれるように構成されている。ろ板は、ABS樹脂等で形成され、濾過膜は、基材となる不織布に多孔性樹脂が含浸されている。集水ケース22は、ポリプロピレン等で、集水ケース22の内部を確認し易いように、透光性を有するように形成されている。
【0043】
各集水ケース22は、内部に集水空間を有する中空状に形成され、上下の夫々の面に前記集水空間に連通する連結部25,26が形成されている。
【0044】
上部連結部25には、直上に積層される膜モジュール20の集水ケース22に形成された下部連結部26に嵌入される連結部材30が取り付けられるように構成されている。
【0045】
図3(b)に示すように、連結部材30は、筒状部31の一端側に上部連結部25の嵌合爪に嵌合される基部32が形成され、他端側にOリング33が取り付けられて構成されている。
【0046】
筒状部31と基部32は、樹脂で一体形成されている。Oリング33は、ニトリルゴムやエチレンプロピレンゴム等の合成ゴムで形成されている。
【0047】
図4(a)に示すように、下方の膜モジュール20に備えた連結部材30の筒状部31が、直上に積層される膜モジュール20の集水ケース22の下部連結部26に嵌入されるように構成することにより、膜モジュール20を複数段積層する場合に、隣接する膜モジュール20の正確な位置決めを行なうとともに、膜モジュールの積層姿勢を安定させることができる。更に、連結部材30を中空である筒状部31で構成することで、膜エレメント21を透過した透過水は、隣接する集水ケース22を通って集水管13に導出される。
【0048】
連結部材30は、膜モジュール20を積層設置する際に、膜モジュール20の両集水ケース22間の距離の誤差を吸収して連結できるように、水平方向にスライド可能に集水ケース22に取り付けられているが、誤差を気にする必要がない場合には、連結部材30を集水ケース22に一体に設けても良い。
【0049】
図2に戻り、図中左側の最上段の膜モジュール20の上部連結部25、及び、図中右側の最下段の膜モジュール20の下部連結部26には、夫々集水管13が接続され、図中左側の最上段の膜モジュール20の下部連結部26、及び、図中右側の最下段の膜モジュール20の上部連結部25は、封止部材(図示されていない)で封止されている。尚、図2では、上部連結部25及び下部連結部26の記載は省略し、透過水の通流方向は破線矢印で示されている。
【0050】
図3(b)に示すように、連結部材30の筒状部31は適当な長さで形成されているので、図4(b)に示すように、下部連結部26に嵌入された連結部材30のOリング33が、下部連結部26から抜けない程度の嵌入長さd以下であれば、各膜モジュール20の隙間が多少あっても下部連結部26のシール状態を維持できるように構成されている。
【0051】
図3(a)に戻り、集水ケース22の上面と下面には夫々左右一対の被係合部としての係合孔24が形成されている。係合孔24は、各膜モジュール20を積層配置した際に上下に隣接する膜モジュール20の係合孔24と当接するように上下にそれぞれ形成され、上下に隣接する膜モジュール20の係合孔24を当接させた状態で後述する吊り治具40の各係合部42を貫通させて係合可能に構成されている。該係合孔24の縁部は、作業員が膜モジュールを把持するための取手27として機能する。つまり、当該取手27は上下に隣接する膜モジュールの取手27と当接するように構成されている。
【0052】
以上のように構成された膜モジュール20の吊り治具40について説明する。
【0053】
図5(a)に示すように、吊り治具40は、長尺のベース部材41と、複数段に積層設置された各膜モジュール20に備えた係合孔24に対して係脱自在な複数の係合部42とを備えている。本実施形態では、ベース部材41に8個の係合部42が備えられている。膜モジュール20の膜分離装置10の本体フレーム11内での積層段数と同じ数量となっている。ベース部材41の上端には、環状部47が形成され、吊り治具40は、フック等に環状部47を係合させた状態で使用される。
【0054】
図5(b)に示すように、係合部42は、係合リング43と、一端に係合リング43に嵌入するリング部44が形成され他端がベース部材41に縫着されたスリング片45とを備えて構成され、係合リング43はスリング片45のベース部材41への縫着部46に固定されている。
【0055】
ベース部材41及びスリング片45は、ベルトストリングで構成されている。ベルトストリングは繊維ストリングを意味し、テトロン(商標)、ナイロン(商標)、ポリエステル等の合成繊維を用いて構成されたものが好適に用いられる。
【0056】
長尺のベース部材41として、膜モジュール20の硬度よりも硬い金属製のワイヤーやチェーンを用いてもよいが、吊り上げて移送する間にベース部材41と膜モジュール20とが擦れ合って傷等の損傷が発生する虞がある。しかし、ベルトスリングを用いればそのような損傷が発生するリスクを大きく低減させることができるため好ましい。
【0057】
係合部42は、隣接する膜モジュール20のうち、下側の膜モジュール20の上面側に形成された取手27部分の係合孔24の下方から、上側の膜モジュール20の下面側に形成された取手27部分の係合孔24の上方に抜けるようにリング部44を挿通して、該リング部44を係合リング43に嵌入することで、スリング片45の中央部で膜モジュール20を支持することとなる。
【0058】
このように、係合部42は、上下に隣接する膜モジュールの両方の係合孔24と係合するので、吊り治具40によって吊り上げられた状態で、係合された各膜モジュール20が上下方向に離隔することなく、積層された姿勢を安定的に維持しながら移送することができるようになる。
【0059】
リング部44が形成されたスリング片45の一端を膜モジュール20の係合孔に挿通させた後に、リング部44をベース部材41に固定された係合リング43に係合させるという極めて簡単な操作で吊り治具40と各膜モジュール20を確実に係合させることができるようになる。しかも、膜モジュール20の係合孔にはスリング片45のみが接触するため、傷等の損傷が発生するリスクが低減する。
【0060】
尚、通常、膜モジュール20と少なくとも二箇所で係合するように少なくとも二本の吊り治具40が用いられるが、各吊り治具40の係合部42の間隔が多少異なる場合であっても、ベース部材41や係合部42に、ベルトスリングを用いることで膜モジュール20の重量で多少の伸びが期待できるため、膜モジュール20を吊り上げたときに膜モジュール20を略水平姿勢で安定保持することができる。
【0061】
図5(b)に戻り、各係合部42は、リング部44を係合リング43に嵌入したときに折り返されたスリング片45の下端部分が、各膜モジュールの積層間隔以上の間隔Hとなるようにベース部材41に取り付けられている。
【0062】
間隔Hは、図4(a)に示すように、各膜モジュール20の積層間隔hの自然数倍の長さ、例えば、1倍である長さhに、所定の許容長さ以下の長さを加算した間隔に設定されている。図4(b)に示すように、前記所定の許容長さは、隣接する膜モジュール20の一方に形成された凹状部への、他方に形成された凸状部の嵌入長さ、本実施形態では、下部連結部26に嵌入された連結部材30のOリング33が、下部連結部26から抜けない程度の嵌入長さdである。つまり、間隔Hは、h≦H≦h+dを満たすように設定されている。
【0063】
長尺のベース部材41に取り付けられた各係合部42を、複数段に積層設置された各膜モジュール20に備えた係合孔24に挿通して係合させて、ベース部材41の上端をクレーン装置等で吊り上げれば、積層設置された複数段の膜モジュールを一体的に吊り上げた状態で移送することができるようになる。
【0064】
このとき、各膜モジュール20は、各係合部42によって個別に懸架され安定姿勢で吊り上げられる。吊り上げた状態で上下に隣接する膜モジュール20が離隔しても、連結部の嵌入状態が維持できるので、位置決め状態が維持できるようになる。更に、各係合部42及び各係合孔24は単一の膜モジュール20の重量に耐える強度が確保できれば十分であるため、強度の強い高価な材料を用いずに安価な材料で構成したり、材料を薄肉化することも可能になる。
【0065】
次に、本発明による吊り治具40の使用方法について説明する。
【0066】
膜モジュール20の交換は、膜分離装置10を膜分離槽から取り出し、または、膜分離槽内の被処理水の水位を低下させ、膜モジュール群の上部に備えられた集水管13や、本体フレーム11を取り外し、膜モジュール群を大気中に露出させた状態で行われる。
【0067】
ここでは、図6(a)に示すように、8段に積層された膜モジュール(20a〜20h)群の上から5段目に積層された膜モジュール20eを特定段の膜モジュールとして交換する場合を説明する。まず、前記膜モジュール群の左右両側に、最上段の膜モジュール20aから特定段の膜モジュール20eまでの各膜モジュールの係合孔24に吊り治具40の各係合部42を係合させる係合工程が行われる。本実施形態では、図示しないクレーンに懸架された吊りビーム48には、膜モジュール20を四角から吊り上げできるように、4つのフック49が備えられ、夫々のフック49に吊り治具40が係合されている。尚、吊り上げ対象の膜モジュール20は5段であるため、各吊り治具40の下から5つの係合部42を使用する。
【0068】
図6(b)に示すように、4本の吊り治具40が係合された吊りビーム48を吊り上げる吊上工程を経て、図7(a)に示すように、最上段の膜モジュール20aから特定段の膜モジュール20eまでを、残りの膜モジュール20f,20g,20hとは異なる基台50に載置する分割工程が行われる。尚、基台50は、地面と別体であっても一体であってもよく、地面そのものであってもよい。
【0069】
次に、図7(b)に示すように、特定段の膜モジュール20eを吊り治具40から離脱させた後に、吊り治具40の上端を吊り上げて、基台50上の特定段の膜モジュール20eを取り出す取り出し工程が行われる。
【0070】
このように、係合工程で各係合部42と係合された複数段の膜モジュール20a〜20eが、分割工程で吊り治具40を吊り上げることにより、膜モジュール群の残りの膜モジュール20f〜20hと分離されて基台50に載置される。この状態で特定段の膜モジュール20eを吊り治具40から離脱させて、吊り治具40を吊り上げることにより、当該特定段の膜モジュール20eのみを取り出すことができる。
【0071】
膜モジュール20eを取り出した後は、膜モジュール20eの取り出しとは逆の手順で、新たな膜モジュール20を基台50に載置して、吊り治具40を吊り下げて、新たな膜モジュール20の連結部材30を膜モジュール20dの下部連結部26に嵌入させて、膜モジュール20dの係合孔24と新たな膜モジュール20の係合孔24を当接させた状態で吊り治具40の係合部42と係合させる。
【0072】
その後、最上段の膜モジュール20aから新たな膜モジュール20までを、膜分離装置10内に残った膜モジュール20fの上に積層して、本体フレーム11や集水管13aを取り付けて、膜分離装置10を膜分離槽内へと戻す、または、膜分離槽内の被処理水の水位を膜分離装置10の運転水位へと戻す。
【0073】
このように本発明による吊り治具を用いることで、複数段に積層された膜モジュールから特定段の膜モジュールを手作業に頼らずに容易に分離して、交換作業やメンテナンスを行なうことができるようになる。
【0074】
以下に、本発明による吊り治具、及び、膜モジュールの別実施形態について説明する。
【0075】
上述の実施形態では、吊り治具40の各係合部42のベース部材41への取付間隔Hが、積層間隔hに嵌入長さdより短い長さを加算した間隔に設定されている場合について説明したが、これに限らない。
【0076】
図8(a)に示すように、吊り治具40の各係合部42のベース部材41への取付間隔H’が、各膜モジュール20の積層間隔hの自然数倍の長さ、例えば、2倍である長さ2hに所定の許容長さdより短い長さを加算した間隔に設定されていてもよい。つまり、2h≦H’<2h+dを満たすように設定されている。尚、図5(a)、(b)と同一の構成については、同一の符号を付し説明を省略する。
【0077】
この構成により、図8(b)に示すように、各係合部42は、隣接する膜モジュール20のうち、下側の膜モジュール20の上面側に形成された取手27部分の係合孔24の下方から、上側の膜モジュール20の下面側に形成された取手27部分の係合孔24の上方に抜けるようにリング部44を挿通して、該リング部44を係合リング43に嵌入することで、スリング片45の中央部で二段の膜モジュール20を吊り上げることになる。
【0078】
該別実施形態による吊り治具40の使用方法について説明する。図9(a)に示すように、8段に積層された膜モジュール(20a〜20h)群の上から5段目に積層された膜モジュール20eを特定段の膜モジュールとして交換する場合を説明する。まず、前記膜モジュール群の左右両側に、最上段の膜モジュール20aから特定段の膜モジュール20eを含む膜モジュール20fまでの各膜モジュールの係合孔24に吊り治具40の各係合部42を係合させる係合工程が行われる。
【0079】
ここで、最下段の係合部42は、膜モジュール20eと膜モジュール20fの二段を係合させる場合について説明するが、膜モジュール20eのみを係合させてもよい。
【0080】
図9(b)に示すように、4本の吊り治具40が係合された吊りビーム48を吊り上げる吊上工程を経て、図10(a)に示すように、最上段の膜モジュール20aから特定段の膜モジュール20eを含む膜モジュール20fまでを、残りの膜モジュール20g,20hとは異なる基台50に載置する分割工程が行われる。尚、基台50は、地面と別体であっても一体であってもよく、地面そのものであってもよい。
【0081】
次に、図10(b)に示すように、特定段の膜モジュール20e及び膜モジュール20fを吊り治具40から離脱させた後に、吊り治具40の上端を吊り上げて、基台50上の特定段の膜モジュール20eを取り出す取り出し工程が行われる。
【0082】
このように、係合工程で各係合部42と係合された複数段の膜モジュール20aから特定段の膜モジュール20eを含む膜モジュール20fまでが、分割工程で吊り治具40を吊り上げることにより、膜モジュール群の残りの膜モジュール20g、20hと分離されて基台50に載置される。この状態で特定段の膜モジュール20e及び膜モジュール20fを吊り治具40から離脱させて、吊り治具40を吊り上げることにより、当該特定段の膜モジュール20eのみを取り出すことができる。
【0083】
膜モジュール20eを取り出した後は、膜モジュール20eの取り出しとは逆の手順で、新たな膜モジュール20を基台50に載置して、吊り治具40を吊り下げて、新たな膜モジュール20と膜モジュール20fの互いの係合孔24を当接させた状態で係合部42を係合させる。
【0084】
その後、最上段の膜モジュール20aから新たな膜モジュール20を含む膜モジュール20fまでを、膜分離装置10内に残った膜モジュール20gの上に積層する。このように吊り治具40を用いることで、複数段に積層された膜モジュールから特定段の膜モジュールを手作業に頼らずに容易に分離して、交換作業やメンテナンスを行なうことができるようになる。
【0085】
尚、上述の各膜モジュールの積層間隔hの自然数倍とは2倍に限らず3倍以上であってもよい。つまり、係合部42には、各係合部42が取り付けられる間隔に応じて複数段の膜モジュールを吊り下げることができるので、ベース部材41に備える係合部42の数を減らすことができる。係合部42が減ることで、係合及び係脱作業を減らすことができ作業性がよくなる。
【0086】
更に別実施形態による吊り治具40について説明する。吊り治具40は、各係合部42は、リング部44を係合リング43に嵌入したときに折り返されたスリング片45の下端部分が、各膜モジュールの積層間隔以上の間隔H’’となるようにベース部材41に取り付けられている。
【0087】
間隔H’’は、各膜モジュール20の積層間隔hの自然数倍の長さ、例えば、1倍である長さhに、所定の許容長さより長い長さを加算した間隔に設定されている。前記所定の許容長さは、隣接する膜モジュール20の一方に形成された凹状部への、他方に形成された凸状部の嵌入長さ、本実施形態では、下部連結部26に嵌入された連結部材30のOリング33が、下部連結部26から抜けない程度の嵌入長さdである。つまり、H’’>h+dを満たすように設定されている。
【0088】
複数の膜モジュール20の積層状態では、隣接する膜モジュールの凹状部と凸状部とが連結して、隣接する膜モジュール20の正確な位置決めと、積層姿勢を安定させることができる。
【0089】
しかし、吊り治具40の各係合部42がベース部材41に間隔H’’で取り付けられているので、図11(a)に示すように、膜モジュール20を吊り上げる際に上下に隣接する膜モジュール20の離隔とともに、凹状部と凸状部の嵌入状態を解除することができる。
【0090】
よって、膜モジュール20を槽外に吊り上げた際に、隣接する膜モジュール20の離隔状態であっても凹状部と凸状部の嵌入状態が維持される構成に比べて、膜モジュール20の内部、特に集水ケース22の内部の透過水が下部連結部26から流れ出やすくなる。これにより、膜モジュール20の吊り上げた際の重量を軽くすることができるので、交換等の作業性がよくなる。
【0091】
更に、吊り治具40により吊り上げられる膜モジュール20の最下段のみならず、例えば、一度に全部の膜モジュール20を吊り上げた状態で、中段に位置する膜モジュール20と係合する係合部42を係脱して、当該膜モジュール20を交換をすることが可能となる。
【0092】
また、吊り治具40の各係合部42がベース部材に各膜モジュール20の積層間隔の自然数倍、例えば、2倍の長さ2hに所定の許容長さd以上の長さを加算した間隔であれば、図11(b)に示すように、各係合部42には二段の膜モジュール20を吊り下げることができる。つまり、係合部42には、各係合部42が取り付けられる間隔に応じて複数段の膜モジュール20を吊り下げることができるので、ベース部材41に備える係合部42の数を減らすことができる。係合部42が減ることで、係合及び係脱作業を減らすことができ作業性がよくなる。
【0093】
尚、上述の各膜モジュールの積層間隔hの自然数倍とは2倍に限らず3倍以上であってもよい。つまり、係合部42には、各係合部42が取り付けられる間隔に応じて複数段の膜モジュールを吊り下げることができるので、ベース部材41に備える係合部42の数を減らすことができる。係合部42が減ることで、係合及び係脱作業を減らすことができ作業性がよくなる。
【0094】
上述した実施形態では、集水ケース22の上面と下面に、夫々左右一対の係合孔が形成された構成について説明したが、集水ケース22の上面側にのみ係合孔が形成され、該係合孔の縁部が取手として機能するように構成してもよい。
【0095】
この場合、各係合部42は、各膜モジュール20の集水ケースの上面側にのみ備えられた取手と係合することになる。
【0096】
上述した実施形態では、吊り治具40のベース部材41及び係合部42のスリング片45をベルトスリングで形成する場合について説明したが、ベルトスリングに替えて、ラウンドスリング、巻上用チェーンスリング、ワイヤロープスリング等で形成してもよい。
【0097】
上述した実施形態では、膜モジュールが備える被係合部が集水ケース22に形成された係合孔24で構成され、係合孔24に吊り治具に備えられた各係合部42を構成するスリング片を挿通して係合する構成について説明したが、被係合部の構成はこれに限らない。吊り治具に備えられた各係合部をフック状の部材で構成し、膜モジュールに被係合部としての凹部を備え、前記フック状の部材を前記凹部に嵌合する構成であってもよい。また、吊り治具に備えられた各係合部をリング状の部材で構成し、膜モジュールに被係合部としての柱状部材を備え、前記リング状の部材を前記柱状部材に嵌合する構成であってもよい。
【0098】
上述した実施形態では、吊りビーム48には、膜モジュール20を四角から吊り上げできるように、4つのフック49が備えられ、夫々のフック49に係合された吊り治具40により、各膜モジュール20の四角を懸架する構成について説明したが、吊り治具40を2本用いて、膜モジュール20の対向する二角または対向する二辺を懸架する構成であってもよい。
【0099】
尚、吊り治具40に、ベース部材41に対する係合部42の取付間隔を調整できる調整機構を備え、係合部42の取付間隔を調整することで、吊り治具に懸架される各膜モジュール間の距離を調整できるように構成してもよい。
【0100】
上述した実施形態は、何れも本発明の一例であり、該記載により本発明が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0101】
10:膜分離装置
11:本体フレーム
12:散気用給気管
13:集水管
20:膜モジュール
21:膜エレメント
22:集水ケース
23:サイドプレート
24:係合孔
25:上部連結部
26:下部連結部
27:取手
30:連結部材
31:筒状部
32:基部
33:Oリング
40:吊り治具
41:ベース部材
42:係合部
43:係合リング
44:リング部
45:スリング片
46:縫着部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数段の膜モジュールがフレーム内に積層設置されるように組み込まれる膜分離装置に用いられる膜モジュールの吊り治具であって、
長尺のベース部材と、複数段に積層設置された各膜モジュールに備えた被係合部に対して係脱自在な複数の係合部とを備え、各係合部が各膜モジュールの積層間隔以上の間隔となるように前記ベース部材に取り付けられている膜モジュールの吊り治具。
【請求項2】
前記積層間隔以上の間隔が、各膜モジュールの積層間隔の自然数倍の長さに、所定の許容長さ以下の長さを加算した間隔であり、前記所定の許容長さが、隣接する膜モジュールの一方に形成された凹状部への、他方に形成された凸状部の嵌入長さに設定されている請求項1記載の膜モジュールの吊り治具。
【請求項3】
前記積層間隔以上の間隔が、各膜モジュールの積層間隔の自然数倍の長さに、所定の許容長さより長い長さを加算した間隔であり、前記所定の許容長さが、隣接する膜モジュールの一方に形成された凹状部への、他方に形成された凸状部の嵌入長さに設定されている請求項1記載の膜モジュールの吊り治具。
【請求項4】
前記ベース部材がベルトスリングで構成され、前記係合部は、係合リングと、一端に前記係合リングに嵌入するリング部が形成されるとともに他端が前記ベース部材に縫着され前記被係合部に係合するスリング片とを備えて構成され、前記係合リングが前記スリング片の前記ベース部材への縫着部に固定されている請求項1から3の何れかに記載の膜モジュールの吊り治具。
【請求項5】
請求項1から4の何れかに記載の膜モジュールの吊り治具によって吊下支持される膜モジュールであって、
各膜モジュールには、両端部に吊り治具の係合部と係合する被係合部としての係合孔が、各膜モジュールを積層配置した際に上下に隣接する膜モジュールの係合孔と当接するように上下にそれぞれ形成され、上下に隣接する膜モジュールの係合孔を当接させた状態で前記吊り治具の各係合部を貫通させて係合可能に構成されている膜モジュール。
【請求項6】
請求項1から4の何れかに記載の膜モジュールの吊り治具の使用方法であって、
複数段に積層された膜モジュール群に対して、特定段の膜モジュールとそれよりも上方に積層配置された膜モジュールの被係合部に前記吊り治具の係合部を係合させる係合工程と、
前記吊り治具の上端を吊り上げて前記特定段の膜モジュールとそれよりも上方位置に積層された膜モジュールを、前記膜モジュール群の残りの膜モジュールとは異なる基台に載置する分割工程と、
前記特定段の膜モジュールを前記吊り治具から離脱させた後に、前記吊り治具の上端を吊り上げて、前記基台上の前記特定段の膜モジュールを取り出す取り出し工程と、を含む膜モジュールの吊り治具の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−183470(P2012−183470A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47834(P2011−47834)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】