説明

膜処理装置および膜モジュールの運転方法

【課題】各膜エレメントの内部の汚染の程度をできるだけ均等にすることが可能な膜処理装置を提供する。
【解決手段】容器5に内蔵された複数の膜エレメント3,4と、原水供給部6と、一方の透過水回収部7と、他方の透過水回収部8と、濃縮水排出部9とを有し、透過水回収部7,8を流れる透過水の流量を変化させることが可能な流量調整弁28,33と、透過水回収部7,8より回収される透過水の電気伝導度を測定する電気伝導度計30,35と、透過水回収部7,8より回収される透過水の流量を測定する流量計31,36とが備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆浸透膜又はナノ濾過膜を内蔵した膜モジュールを有する膜処理装置、および膜モジュールの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の膜モジュールとしては、例えば、逆浸透膜を用いた中空糸型のものがあり、図7に示すように、二個(複数個)の膜エレメント80,81と、膜エレメント80,81が収納される容器82と、容器82内に原水が供給される原水供給部83と、一方の膜エレメント80を透過した透過水が容器82の一端部から回収される一方の透過水回収部84と、他方の膜エレメント81を透過した透過水が容器82の他端部から回収される他方の透過水回収部85と、原水から透過水が除かれた後の濃縮水が容器82から排出される濃縮水排出部86とを有している。
【0003】
膜エレメント80,81はそれぞれ、逆浸透膜からなる中空糸を束ねた中空糸層87,88を有している。また、一方の中空糸層87の中心には一方の芯管89が挿通され、原水供給部83は一方の芯管89に連通している。同様に、他方の中空糸層88の中心には他方の芯管90が挿通され、濃縮水排出部86は他方の芯管90に連通している。これら芯管89,90にはそれぞれ複数の流通孔95が形成されている。
【0004】
また、容器82内には、一方の中空糸層87の中空糸内から流出する透過水を集める一方の集水部91と、他方の中空糸層88の中空糸内から流出する透過水を集める他方の集水部92とが設けられている。尚、一方の中空糸層87と一方の芯管89との奥端部は一方の閉塞板93で閉塞され、他方の中空糸層88と他方の芯管90との奥端部は他方の閉塞板94で閉塞されている。
【0005】
これによると、原水は、原水供給部83から一方の芯管89に供給され、一方の芯管89の流通孔95を通過して、一方の中空糸層87を半径方向外方に向かって流れる。この際、一方の中空糸層87の中空糸内に透過した透過水は、中空糸内を流れた後、中空糸から一方の集水部91内に集められ、一方の集水部91内から一方の透過水回収部84を通って外部へ排出される。
【0006】
また、原水供給部83から容器82内に供給された原水のうち、透過水として一方の透過水回収部84から排出されなかった残りの原水は、容器82内を流れ、他方の中空糸層88を半径方向内方に向かって流れる。この際、他方の中空糸層88の中空糸内に透過した透過水は、中空糸内を流れた後、中空糸から他方の集水部92内に集められ、他方の集水部92内から他方の透過水回収部85を通って外部へ排出される。そして、原水供給部83から容器82内に供給された原水のうち、透過水として一方および他方の透過水回収部84,85から排出されなかった残りの原水は、濃縮水として、流通孔95から他方の芯管90内へ流入し、他方の芯管90を通って濃縮水排出部86から外部へ排出される。
【0007】
尚、上記のような中空糸逆浸透膜型の膜モジュールは、例えば下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3008886号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら上記の従来形式では、図7に示す膜モジュールの構造上、各膜エレメント80,81の負荷量が均等ではなく、他方(濃縮水排出部86側)の膜エレメント81の負荷量が一方(原水供給部83側)の膜エレメント80の負荷量よりも大きくなる。このため、ろ過運転を続けていると、他方の膜エレメント81の汚染の進行度合が一方の膜エレメント80の汚染の進行度合よりも早くなり、各膜エレメント80,81の汚染度合にばらつきが生じてしまう。このように各膜エレメント80,81の汚染度合がばらつくと、膜モジュールを薬液洗浄する洗浄時期の判断が難しくなり、他方の膜エレメント81が汚染され過ぎて、薬液洗浄を行っても、十分に汚染を除去することができなかったり、或は、ほとんど汚染されておらず薬液洗浄の必要の無い一方の膜エレメント80に対して、不必要な薬液洗浄を行ってしまうといった問題がある。
【0010】
尚、本発明における負荷量とは、各膜エレメント80,81の分離膜の単位面積および単位時間当りに分離膜を透過する溶解成分量を表すものであり、溶解成分量の単位としては「g」又は「mol」のどちらでもよい。また、実際の負荷量の測定においては、膜透過水の流量と膜透過水中の溶解成分濃度との積を分離膜の面積で除して求めることができ、溶解成分が塩等のイオン性のものであれば、膜透過水の溶解成分濃度の代用として電気伝導度を用いることができる。
【0011】
本発明は、各膜エレメントの汚染度合(汚染の程度)をできるだけ均等にすることが可能な膜処理装置および膜モジュールの運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本第1発明は、逆浸透膜又はナノ濾過膜を備えた1以上の膜エレメントと、膜エレメントを収納した容器と、容器内に原水が供給される原水供給部と、膜エレメントを透過した透過水が容器の一端部から回収される一方の透過水回収部と、透過水が容器の他端部から回収される他方の透過水回収部と、原水から透過水が除かれた後の濃縮水が容器から排出される濃縮水排出部とを備えた膜モジュールの運転方法であって、
一方の透過水回収部を流れる透過水の溶解成分濃度と他方の透過水回収部を流れる透過水の溶解成分濃度との比、又は、一方の透過水回収部を流れる透過水の流量と他方の透過水回収部を流れる透過水の流量との比、或は、一方の透過水回収部を流れる透過水の溶解成分濃度と流量の積と他方の透過水回収部を流れる透過水の溶解成分濃度と流量の積との比のいずれかの比が所定値に保たれるように、両方の透過水回収部のうちの少なくとも溶解成分濃度の高い透過水が回収される片方の透過水回収部を流れる透過水の流量を変化させるものである。
【0013】
これによると、透過水回収部を流れる透過水の流量を流量変化手段で変化させて、例えば、一方の透過水回収部を流れる透過水の溶解成分濃度と流量の積Aと他方の透過水回収部を流れる透過水の溶解成分濃度と流量の積Bとの比を所定値(以下、所定積比とも言う)に保つことにより、容器内の各膜エレメントの汚染度合をほぼ均等にすることができる。
【0014】
尚、上記積Aと積Bとはそれぞれ各膜エレメントの負荷量の指標となる。ここで、積Aと積Bとの比(すなわちA/B)をある定まった所定値にした状態で膜モジュールをろ過運転したとき、実際に、各膜エレメントの膜の汚れ方が均等になることを発明者は見い出した。
【0015】
従って、予め各膜エレメントの負荷量が均等になるときの積Aと積Bとの比を所定値として求めておき、透過水回収部を流れる透過水の流量を変化させることによって、上記積Aと積Bとの比を上記所定値に保つことができる。これにより、容器内の各膜エレメントの汚染度合をほぼ均等にすることができる。
【0016】
また、上記の運転方法では、積Aと積Bとの比に着目しているが、下記のように、透過水の溶解成分濃度の比に着目してもよい。すなわち、容器内の各膜エレメントの負荷量が均等である場合、上述したように積Aと積Bとが上記所定積比となり、この状態では、一方の透過水回収部を流れる透過水の溶解成分濃度と他方の透過水回収部を流れる透過水の溶解成分濃度との比が所定値(以下、所定濃度比とも言う)になる。
【0017】
したがって、予め各膜エレメントの負荷量が均等である場合の溶解成分濃度の比を所定値として求めておき、透過水回収部を流れる透過水の流量を変化させて、一方の透過水回収部を流れる透過水の溶解成分濃度と他方の透過水回収部を流れる透過水の溶解成分濃度との比を所定値に保つ。これにより、容器内の各膜エレメントの汚染度合をほぼ均等にすることができる。
【0018】
また、上記の運転方法では、積Aと積Bとの比に着目しているが、下記のように、透過水の流量の比に着目してもよい。すなわち、容器内の各膜エレメントの負荷量が均等である場合、上述したように積Aと積Bとが上記所定積比となり、この状態では、一方の透過水回収部を流れる透過水の流量と他方の透過水回収部を流れる透過水の流量との比が所定値(以下、所定流量比とも言う)になる。
【0019】
したがって、予め各膜エレメントの負荷量が均等である場合の流量の比を所定値として求めておき、制御手段が、流量変化手段によって、透過水回収部を流れる透過水の流量を変化させ、一方の透過水回収部を流れる透過水の流量と他方の透過水回収部を流れる透過水の流量との比を所定値に保つ。これにより、容器内の各膜エレメントの汚染度合をほぼ均等にすることができる。
【0020】
本第2発明における膜モジュールの運転方法は、溶解成分濃度を電気伝導度の測定により求めるものである。
これによると、測定された透過水の電気伝導度から透過水の溶解成分濃度を求めることができる。
【0021】
本第3発明は、膜モジュールを有する膜処理装置であって、
膜モジュールは、逆浸透膜又はナノ濾過膜を備えた1以上の膜エレメントと、膜エレメントが収納される容器と、容器内に原水が供給される原水供給部と、膜エレメントを透過した透過水が容器の一端部から回収される一方の透過水回収部と、透過水が容器の他端部から回収される他方の透過水回収部と、原水から透過水が除かれた後の濃縮水が容器から排出される濃縮水排出部とを有し、
両方の透過水回収部のうちの少なくとも溶解成分濃度の高い透過水が回収される片方の透過水回収部を流れる透過水の流量を変化させることが可能な流量変化手段と、
一方および他方の透過水回収部より回収される透過水の夫々の溶解成分濃度を測定する溶解成分濃度測定手段と一方および他方の透過水回収部より回収される透過水の夫々の流量を測定する流量測定手段との、少なくともいずれかの測定手段が備えられているものである。
【0022】
これによると、例えば、溶解成分濃度測定手段と流量測定手段とが共に備えられている場合、溶解成分濃度測定手段と流量測定手段とにより測定された一方の透過水回収部を流れる透過水の溶解成分濃度と流量との積Aを求めると共に、他方の透過水回収部を流れる透過水の溶解成分濃度と流量との積Bを求める。
【0023】
尚、上記積Aと積Bとはそれぞれ各膜エレメントの負荷量の指標となる。ここで、積Aと積Bとの比(すなわちA/B)をある定まった所定値にした状態で膜モジュールをろ過運転したとき、実際に、各膜エレメントの膜の汚れ方が均等になることを発明者は見い出した。
【0024】
従って、予め各膜エレメントの負荷量が均等になるときの積Aと積Bとの比を所定値として求めておき、透過水回収部を流れる透過水の流量を流量変化手段で変化させることによって、上記積Aと積Bとの比を上記所定値に保つことができる。これにより、容器内の各膜エレメントの汚染度合をほぼ均等にすることができる。
【0025】
本第4発明における膜処理装置は、溶解成分濃度測定手段と流量測定手段とが備えられ、
溶解成分濃度測定手段と流量測定手段とにより測定された一方の透過水回収部を流れる透過水の溶解成分濃度と流量との積を積Aとし、
溶解成分濃度測定手段と流量測定手段とにより測定された他方の透過水回収部を流れる透過水の溶解成分濃度と流量との積を積Bとし、
積Aと積Bとが所定積比に保たれるように、流量変化手段によって透過水の流量を変化させる制御手段が備えられているものである。
【0026】
これによると、制御手段が、流量変化手段によって、透過水回収部を流れる透過水の流量を変化させ、積Aと積Bとを所定積比に保つ。これにより、容器内の各膜エレメントの汚染度合をほぼ均等にすることができる。
【0027】
本第5発明における膜処理装置は、溶解成分濃度測定手段が備えられ、
溶解成分濃度測定手段により測定された一方の透過水回収部を流れる透過水の溶解成分濃度と他方の透過水回収部を流れる透過水の溶解成分濃度とが所定濃度比に保たれるように、流量変化手段によって透過水の流量を変化させる制御手段が備えられているものである。
【0028】
これによると、容器内の各膜エレメントの負荷量が均等である場合、上述したように積Aと積Bとが上記所定積比となり、この状態では、一方の透過水回収部を流れる透過水の溶解成分濃度と他方の透過水回収部を流れる透過水の溶解成分濃度とが所定濃度比になる。
【0029】
したがって、予め各膜エレメントの負荷量が均等である場合の溶解成分濃度の比を所定値として求めておき、制御手段が、流量変化手段によって、透過水回収部を流れる透過水の流量を変化させ、一方の透過水回収部を流れる透過水の溶解成分濃度と他方の透過水回収部を流れる透過水の溶解成分濃度との比を所定値に保つ。これにより、容器内の各膜エレメントの汚染度合をほぼ均等にすることができる。
【0030】
本第6発明における膜処理装置は、流量測定手段が備えられ、
流量測定手段により測定された一方の透過水回収部を流れる透過水の流量と他方の透過水回収部を流れる透過水の流量とが所定流量比に保たれるように、流量変化手段によって透過水の流量を変化させる制御手段が備えられているものである。
【0031】
これによると、容器内の各膜エレメントの負荷量が均等である場合、上述したように積Aと積Bとが上記所定積比となり、この状態では、一方の透過水回収部を流れる透過水の流量と他方の透過水回収部を流れる透過水の流量とが所定流量比になる。
【0032】
したがって、予め各膜エレメントの負荷量が均等である場合の流量の比を所定値として求めておき、制御手段が、流量変化手段によって、透過水回収部を流れる透過水の流量を変化させ、一方の透過水回収部を流れる透過水の流量と他方の透過水回収部を流れる透過水の流量との比を所定値に保つ。これにより、容器内の各膜エレメントの汚染度合をほぼ均等にすることができる。
【0033】
本第7発明における膜処理装置は、溶解成分濃度測定手段は電気伝導度計であるものである。
これによると、電気伝導度計で測定された透過水の電気伝導度から透過水の溶解成分濃度を求めることができる。
【発明の効果】
【0034】
以上のように本発明によると、容器内の各膜エレメントの負荷量をほぼ均等に保つことができるため、容器内の各膜エレメントの汚染がほぼ均等に進行し、これにより、膜エレメントを薬液洗浄する際の最適な洗浄時期を容易に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の実施の形態における膜モジュールの断面図である。
【図2】同、膜モジュールの制御系のブロック図である。
【図3】同、膜モジュールの運転日数と積比との関係を示すグラフである。
【図4】同、膜モジュールの運転日数と標準化透過流量初期比との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の第2の実施の形態における膜モジュールの運転日数と電気伝導度比との関係を示すグラフである。
【図6】本発明の第3の実施の形態における膜モジュールの運転日数と流量比との関係を示すグラフである。
【図7】従来の膜モジュールの図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態では、図1,図2に示すように、1は中空糸型逆浸透膜式の膜モジュール2を有する膜処理装置である。膜モジュール2は、二個(複数個)の膜エレメント3,4と、膜エレメント3,4が収納される容器5と、容器5内に原水が供給される原水供給管6(原水供給部の一例)と、一方の膜エレメント3を透過した透過水が容器5の一端部から回収される一方の透過水回収管7(一方の透過水回収部の一例)と、他方の膜エレメント4を透過した透過水が容器5の他端部から回収される他方の透過水回収管8(他方の透過水回収部の一例)と、原水から透過水が除かれた後の濃縮水が容器5から排出される濃縮水排出管9(濃縮水排出部の一例)とを有している。
【0037】
容器5は、円筒状の本体部19と、本体部19の両端を閉じるカバー部20,21とを有している。各膜エレメント3,4はそれぞれ、逆浸透膜からなる中空糸を束ねた中空糸層11,12を有している。このうち、一方の中空糸層11の中心には一方の芯管13が挿通されている。原水供給管6は、一方のカバー部20に貫通して設けられ、一方の芯管13に連通している。同様に、他方の中空糸層12の中心には他方の芯管14が挿通されている。濃縮水排出管9は、他方のカバー部21に貫通して設けられ、他方の芯管14に連通している。これら芯管13,14にはそれぞれ複数の流通孔15が形成されている。
【0038】
また、容器5内には、一方の中空糸層11の中空糸内から流出する透過水を集める一方の集水部23と、他方の中空糸層12の中空糸内から流出する透過水を集める他方の集水部24とが設けられている。尚、一方の中空糸層11と芯管13との奥端部は一方の閉塞板25で閉塞され、他方の中空糸層12と芯管14との奥端部は他方の閉塞板26で閉塞されている。
【0039】
一方の透過水回収管7には、一方の透過水回収管7を流れる透過水の流量を変化させることが可能な一方の流量調整弁28(流量変化手段の一例)と、一方の透過水回収管7より回収される透過水の溶解成分濃度(透過水濃度)を測定する一方の電気伝導度計30(溶解成分濃度測定手段の一例)と、一方の透過水回収管7より回収される透過水の流量を測定する一方の流量計31(流量測定手段の一例)とが設けられている。
【0040】
また、他方の透過水回収管8には、他方の透過水回収管8を流れる透過水の流量を変化させることが可能な他方の流量調整弁33(流量変化手段の一例)と、他方の透過水回収管8より回収される透過水の溶解成分濃度(透過水濃度)を測定する他方の電気伝導度計35(溶解成分濃度測定手段の一例)と、他方の透過水回収管8より回収される透過水の流量を測定する他方の流量計36(流量測定手段の一例)とが設けられている。
【0041】
尚、透過水の溶解成分濃度は、予め求められた溶解成分濃度と電気伝導度の間の相関図に基いて、各々の電気伝導度計30,35で測定された透過水の電気伝導度から求めることができる。溶解成分が塩等の電気伝導性を示すものであれば、溶解成分濃度と電気伝導度とはほぼ比例する関係にあるので、相対比較の対象として溶解成分濃度を用いる場合、電気伝導度の測定値をそのまま溶解成分濃度として使用しても問題はない。電気伝導度計30,35で測定される透過水の電気伝導度の単位はμS/cmであり、流量計31,36で測定される透過水の流量の単位はm/日である。
【0042】
一方および他方の流量調整弁28,33のそれぞれの開度は、電気伝導度計30,35で測定された電気伝導度と流量計31,36で測定された流量とに基いて、制御手段37により制御される。制御手段37が一方の流量調整弁28の開度を増大させることにより、一方の透過水回収管7を流れる透過水の流量が増え、開度を減少させることにより、一方の透過水回収管7を流れる透過水の流量が減る。同様に、制御手段37が他方の流量調整弁33の開度を増大させることにより、他方の透過水回収管8を流れる透過水の流量が増え、開度を減少させることにより、他方の透過水回収管8を流れる透過水の流量が減る。
【0043】
以下、上記構成における作用を説明する。
原水は、原水供給管6から一方の芯管13に供給され、一方の芯管13の流通孔15を通過して、一方の中空糸層11を半径方向外方に向かって流れる。この際、一方の中空糸層11の中空糸内に透過した透過水は、中空糸内を流れた後、中空糸から一方の集水部23に集められ、一方の集水部23から一方の透過水回収管7を通って外部へ排出される。
【0044】
また、原水供給管6から容器5内に供給された原水のうち、透過水として一方の透過水回収管7から排出されずに濃縮された残りの原水は、容器5内を流れ、他方の中空糸層12を半径方向内方に向かって流れる。この際、他方の中空糸層12の中空糸内に透過した透過水は、中空糸内を流れた後、中空糸から他方の集水部24に集められ、他方の集水部24から他方の透過水回収管8を通って外部へ排出される。そして、原水供給管6から容器5内に供給された原水のうち、透過水として一方および他方の透過水回収管7,8から排出されなかった残りの原水は、濃縮水として、流通孔15から他方の芯管14内へ流入し、他方の芯管14を通って濃縮水排出管9から外部へ排出される。
【0045】
一方の透過水回収管7を流れる透過水の電気伝導度E1と流量F1とはそれぞれ一方の電気伝導度計30と流量計31とで測定され、他方の透過水回収管8を流れる透過水の電気伝導度E2と流量F2とはそれぞれ他方の電気伝導度計35と流量計36とで測定される。尚、上記のように直列に配置された二台の膜エレメント3,4を内蔵する構造の膜モジュール2では、その構造上、他方(すなわち濃縮水排出管9側)の透過水回収管8を流れる透過水の電気伝導度が一方(すなわち原水供給管6側)の透過水回収管7を流れる透過水の電気伝導度よりも大きくなり、この場合、他方の透過水回収管8は、一方の透過水回収管7よりも溶解成分濃度の高い透過水が回収される片方の透過水回収部に相当する。
【0046】
次に、膜モジュール2の運転方法について説明する。
制御手段37は、一方の電気伝導度計30と流量計31とで測定された透過水の電気伝導度E1(すなわち溶解成分濃度に相当)と流量F1との積A(A=E1×F1)を求めると共に、他方の電気伝導度計35と流量計36とで測定された透過水の電気伝導度E2(すなわち溶解成分濃度に相当)と流量F2との積B(B=E2×F2)を求める。
【0047】
このうち、積Aは一方の膜エレメント3の負荷量の指標となり、積Bは他方の膜エレメント4の負荷量の指標となる。ここで、一方の膜エレメント3の負荷量と他方の膜エレメント4の負荷量とが均等である場合、積Aと積Bとが等しくなり、積Aと積Bとの比R(すなわちR=A/B)が1(所定積比の一例)を示すことを発明者は見い出した。
【0048】
このように、負荷量が均等になる場合の比Rを予め所定積比(=1)として求めておき、これに基いて、制御手段37が、他方の流量調整弁33の開度を調整して、他方の透過水回収管8を流れる透過水の流量を調整することにより、積Aと積Bとの比Rを1に保つことができる。このように、電気伝導度が高い方の透過水である他方の透過水回収管8を流れる透過水の流量を調整することにより、比Rを1に保つことができる。これにより、一方の膜エレメント3の汚染度合と他方の膜エレメント4の汚染度合とをほぼ均等にすることができる。
【0049】
具体的には、比Rが1より小さくなった場合、制御手段37は、他方の流量調整弁33の開度を小さくして、他方の透過水回収管8から排出される透過水の流量F2を減らす。これにより、一方の透過水回収管7から排出される透過水の流量が増え、積Bが減少すると共に積Aが増加し、比R(R=A/B)が増大する。
【0050】
反対に、比Rが1より大きくなった場合、制御手段37は、他方の流量調整弁33の開度を大きくして、他方の透過水回収管8から排出される透過水の流量F2を増やす。これにより、一方の透過水回収管7から排出される透過水の流量が減り、積Bが増加すると共に積Aが減少し、比R(R=A/B)が減少する。
【0051】
このように制御手段37が他方の流量調整弁33の開度を変えることで、比Rを1に保つことができる。
図3は、膜モジュール2の運転日数と比Rとの関係を示すグラフであり、このうち、グラフG1は他方の流量調整弁33により他方の透過水回収管8の透過水の流量を調整した場合を示し、グラフG2は、参考例として、流量調整弁28,33を設けていない場合を示している。また、縦線Lは所定日数毎に行われる薬液洗浄を示している。
【0052】
グラフG1では、上述のように制御手段37が他方の流量調整弁33の開度を調整することにより、比Rを1に保っている。これに対してグラフG2では、比Rは、縦線Lで示される薬液洗浄時から次の薬液洗浄時までの間において、次第に増加する傾向を示しながら、約0.4〜0.7の間で変動している。これは、濃縮水排出管9側である他方の膜エレメント4の透過性能が汚れによって原水供給管6側である一方の膜エレメント3の透過性能よりも低下するため、他方の透過水回収管8から排出される透過水の流量F2が透過水の電気伝導度E2の増加率以上に減少し、その結果、積Bが減少して、比Rが増加することによるものである。そして、縦線Lに示されるように、薬液洗浄が行われた際、他方の膜エレメント4の透過性能が回復するため、積Bが増加して、比Rが減少する。
【0053】
また、図4は、図3のグラフで示した膜モジュール2の運転を行ったときの膜モジュール2の運転日数と標準化透過流量初期比との関係を示すグラフである。このうち、グラフG1は他方の流量調整弁33により他方の透過水回収管8の透過水の流量を調整して比Rを1に保った場合を示し、グラフG2は、参考例として、流量調整弁28,33を設けていない場合を示している。また、縦線Lは所定日数毎に行われる薬液洗浄を示している。
【0054】
標準化透過流量初期比とは、膜モジュール2の運転日数が0日(すなわち運転開始時)における膜モジュール2の標準化透過流量を1としたときの、各運転日数に対する膜モジュール2の標準化透過流量の値を示しており、運転日数が経過するほど、各膜エレメント3,4の膜面の汚染(目詰まり)が進行するため、標準化透過流量初期比が低下していく。
【0055】
尚、標準化透過流量とは、所定濃度の原水、所定の原水温度、所定の原水供給圧力のもとでの透過流量を示すものである。逆浸透膜の透過流量は原水の組成や供給圧力又は水温等に依存して変化するため、通常、ファウリングや劣化の度合いを評価するには、一定の条件下で透過流量を測定するか、或は、これらの因子の影響を除く補正を行う必要がある。
【0056】
図4によると、運転日数が経過するほど、膜エレメント3,4の透過性能が汚れによって低下するため、透過水回収管7,8から排出される透過水の流量F1,F2の総量が全体的に減少し、標準化透過流量初期比が次第に低下していく。そして、縦線Lに示されるように、薬液洗浄が行われた際、膜エレメント3,4の透過性能が回復するため、透過水回収管7,8から排出される透過水の流量F1,F2の総量が全体的に増加し、その結果、標準化透過流量初期比が回復する。
【0057】
図4では、グラフG1は、グラフG2に比べて、標準化透過流量初期比が高く保たれ、薬液洗浄による回復率を高く保つことができる。これは、上述したように一方の膜エレメント3の負荷量と他方の膜エレメント4の負荷量とがほぼ均等に保たれるため、最適な時期に薬液洗浄を行うことで、両膜エレメント3,4を過不足無く確実に洗浄することができるためである。
【0058】
これに対して、参考例であるグラフG2では、薬液洗浄による回復率が大幅に低下(すなわち標準化透過流量初期比=1から大幅に低下)している。これは、一方の膜エレメント3の負荷量と他方の膜エレメント4の負荷量とが不均等な状態で保たれるため、最適な時期に薬液洗浄を行うことが困難となり、他方の膜エレメント4の汚染度合が一方の膜エレメント3よりも酷くなり過ぎて、薬液洗浄によっても十分に透過性能が回復しないためである。
【0059】
上記実施の形態では、比Rを所定値の一例である1に保っているが、厳密に1のみに限定されるものではなく、各膜エレメント3,4毎の負荷量を同じにしても、原水の溶解成分濃度やクロスフロー強度等によって膜の汚染の程度が均等にならない場合もあり、このため、略1の範囲で実際の膜の汚染の程度が均等になる比Rを求める必要がある。この場合、略1とは0.8〜1.2程度の範囲が好適とされる。
【0060】
(第2の実施の形態)
一方の膜エレメント3の負荷量と他方の膜エレメント4の負荷量とが均等である場合、第1の実施の形態にて説明したように、積Aと積Bとの比Rが1となり、この状態では、一方の透過水回収管7から排出される透過水の電気伝導度E1(すなわち溶解成分濃度)と他方の透過水回収管8から排出される透過水の電気伝導度E2(すなわち溶解成分濃度)との比ER(すなわちER=E1/E2であり、濃度比に相当)が所定値になる。
【0061】
このようなことに基き、第2の実施の形態では、予め比Rが1となるときの電気伝導度の比ERを所定値として求めておき、制御手段37は、他方の流量調整弁33の開度を調整することによって、他方の透過水回収管8を流れる透過水の流量を調整し、電気伝導度の比ERを所定値に保つ。これにより、一方の膜エレメント3の汚染度合と他方の膜エレメント4の汚染度合とをほぼ均等にすることができる。
【0062】
図5は、図3のグラフで示した膜モジュール2の運転を行ったときの膜モジュール2の運転日数と電気伝導度の比ERとの関係を示すグラフである。このうち、グラフG1は、他方の流量調整弁33により他方の透過水回収管8の透過水の流量を調整して、積Aと積Bとの比Rを所定値に保った場合を示す。また、グラフG2は、参考例として、流量調整弁28,33を設けていない場合を示している。尚、縦線Lは所定日数毎に行われる薬液洗浄を示している。
【0063】
グラフG1では、電気伝導度E1と電気伝導度E2との比ERが所定値の一例である約0.9に保たれている。これに対して、参考例のグラフG2では、電気伝導度の比ERが約0.7〜約0.85の間で変動している。
【0064】
(第3の実施の形態)
一方の膜エレメント3の負荷量と他方の膜エレメント4の負荷量とが均等に保たれている場合、第1の実施の形態にて説明したように積Aと積Bとの比Rが1(所定積比の一例)に保たれ、且つ、第2の実施の形態にて説明したように電気伝導度E1と電気伝導度E2との比ERが約0.9(所定濃度比の一例)に保たれるため、一方の透過水回収管7を流れる透過水の流量F1と他方の透過水回収管8を流れる透過水の流量F2との比FR(すなわちFR=F1/F2)が所定値になる。
【0065】
このようなことに基き、第3の実施の形態では、予め比Rが1となるときの流量の比FRを所定値として求めておき、制御手段37は、他方の流量調整弁33の開度を調整することによって、他方の透過水回収管8を流れる透過水の流量を調整し、流量の比FRを所定値に保つ。これにより、一方の膜エレメント3の汚染度合と他方の膜エレメント4の汚染度合とをほぼ均等にすることができる。
【0066】
図6は、図3のグラフで示した膜モジュール2の運転を行ったときの膜モジュール2の運転日数と流量の比FRとの関係を示すグラフである。このうち、グラフG1は、他方の流量調整弁33により他方の透過水回収管8の透過水の流量を調整して、積Aと積Bとの比Rを所定値に保った場合を示す。また、グラフG2は、参考例として、流量調整弁28,33を設けていない場合を示している。尚、縦線Lは所定日数毎に行われる薬液洗浄を示している。
【0067】
グラフG1では、流量F1と流量F2との比FRが所定値の一例である約1.1に保たれている。これに対して、参考例のグラフG2では、流量の比FRが約0.5〜約0.9の間で変動している。
【0068】
上記各実施の形態では、膜モジュール2の構造上、他方の透過水回収管8を流れる透過水の電気伝導度(溶解成分濃度)が一方の透過水回収管7を流れる透過水の電気伝導度(溶解成分濃度)よりも大きくなるため、他方の流量調整弁33の開度を調整して、他方の透過水回収管8の透過水の流量を調整しているが、反対に、一方の透過水回収管7を流れる透過水の電気伝導度(溶解成分濃度)が他方の透過水回収管8を流れる透過水の電気伝導度(溶解成分濃度)よりも大きくなる場合は、一方の流量調整弁28の開度を調整して、一方の透過水回収管7の透過水の流量を調整すればよい。
【0069】
上記各実施の形態では、図1に示すように、中空糸層11,12を有する中空糸型逆浸透膜式の膜モジュール2を挙げたが、スパイラル型逆浸透膜式の膜モジュールであってもよい。
【0070】
上記各実施の形態では、図1に示すように、容器5内に一方および他方の膜エレメント3,4が収納されているダブルエレメント構造の膜モジュール2を示したが、容器5内に一本の膜エレメントが収納されているシングルエレメント構造の膜モジュールであってもよい。このようなシングルエレメント構造の膜モジュールにおいては、膜エレメントの膜面の汚染の程度にムラがある場合に本発明が有効である。
【0071】
上記各実施の形態では、容器5内に二本の膜エレメント3,4を収納しているが、三本以上収納されているものであってもよい。
上記各実施の形態では、膜エレメント3,4は逆浸透膜を備えているが、ナノ濾過膜を備えていてもよい。
【0072】
また、上記各実施の形態では、図1に示すように、透過水回収管7,8を流れる透過水の電気伝導度を電気伝導度計30,35で自動的に測定しているが、透過水回収管7,8に電気伝導度計30,35を設けず、作業者が手作業で電気伝導度を測定してもよい。また、流量測定手段の一例として流量計31,36を用いているが、予め透過水の排出圧力と流量との関係を求めておき、流量計の代わりに圧力計を用い、測定された圧力から流量を求めてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 膜処理装置
2 膜モジュール
3,4 膜エレメント
5 容器
6 原水供給管(原水供給部)
7,8 透過水回収管(透過水回収部)
9 濃縮水排出管(濃縮水排出部)
28,33 流量調整弁(流量変化手段)
30,35 電気伝導度計(溶解成分濃度測定手段)
31,36 流量計(流量測定手段)
37 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆浸透膜又はナノ濾過膜を備えた1以上の膜エレメントと、膜エレメントを収納した容器と、容器内に原水が供給される原水供給部と、膜エレメントを透過した透過水が容器の一端部から回収される一方の透過水回収部と、透過水が容器の他端部から回収される他方の透過水回収部と、原水から透過水が除かれた後の濃縮水が容器から排出される濃縮水排出部とを備えた膜モジュールの運転方法であって、
一方の透過水回収部を流れる透過水の溶解成分濃度と他方の透過水回収部を流れる透過水の溶解成分濃度との比、又は、一方の透過水回収部を流れる透過水の流量と他方の透過水回収部を流れる透過水の流量との比、或は、一方の透過水回収部を流れる透過水の溶解成分濃度と流量の積と他方の透過水回収部を流れる透過水の溶解成分濃度と流量の積との比のいずれかの比が所定値に保たれるように、両方の透過水回収部のうちの少なくとも溶解成分濃度の高い透過水が回収される片方の透過水回収部を流れる透過水の流量を変化させることを特徴とする膜モジュールの運転方法。
【請求項2】
溶解成分濃度を電気伝導度の測定により求めることを特徴とする請求項1記載の膜モジュールの運転方法。
【請求項3】
膜モジュールを有する膜処理装置であって、
膜モジュールは、逆浸透膜又はナノ濾過膜を備えた1以上の膜エレメントと、膜エレメントが収納される容器と、容器内に原水が供給される原水供給部と、膜エレメントを透過した透過水が容器の一端部から回収される一方の透過水回収部と、透過水が容器の他端部から回収される他方の透過水回収部と、原水から透過水が除かれた後の濃縮水が容器から排出される濃縮水排出部とを有し、
両方の透過水回収部のうちの少なくとも溶解成分濃度の高い透過水が回収される片方の透過水回収部を流れる透過水の流量を変化させることが可能な流量変化手段と、
一方および他方の透過水回収部より回収される透過水の夫々の溶解成分濃度を測定する溶解成分濃度測定手段と一方および他方の透過水回収部より回収される透過水の夫々の流量を測定する流量測定手段との、少なくともいずれかの測定手段が備えられていることを特徴とする膜処理装置。
【請求項4】
溶解成分濃度測定手段と流量測定手段とが備えられ、
溶解成分濃度測定手段と流量測定手段とにより測定された一方の透過水回収部を流れる透過水の溶解成分濃度と流量との積を積Aとし、
溶解成分濃度測定手段と流量測定手段とにより測定された他方の透過水回収部を流れる透過水の溶解成分濃度と流量との積を積Bとし、
積Aと積Bとが所定積比に保たれるように、流量変化手段によって透過水の流量を変化させる制御手段が備えられていることを特徴とする請求項3に記載の膜処理装置。
【請求項5】
溶解成分濃度測定手段が備えられ、
溶解成分濃度測定手段により測定された一方の透過水回収部を流れる透過水の溶解成分濃度と他方の透過水回収部を流れる透過水の溶解成分濃度とが所定濃度比に保たれるように、流量変化手段によって透過水の流量を変化させる制御手段が備えられていることを特徴とする請求項3に記載の膜処理装置。
【請求項6】
流量測定手段が備えられ、
流量測定手段により測定された一方の透過水回収部を流れる透過水の流量と他方の透過水回収部を流れる透過水の流量とが所定流量比に保たれるように、流量変化手段によって透過水の流量を変化させる制御手段が備えられていることを特徴とする請求項3に記載の膜処理装置。
【請求項7】
溶解成分濃度測定手段は電気伝導度計であることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の膜処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−22543(P2013−22543A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161481(P2011−161481)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】