説明

膜分離装置

【課題】枠体に収容された膜モジュールの体積が変動する場合であっても、枠体内部での膜モジュールのがたつきを回避可能な膜分離装置を提供する。
【解決手段】複数の膜エレメント21を備えた膜モジュール20と、膜モジュール20を複数段に積層して収容する枠体11と、枠体11に収容された膜モジュール20が離脱しないように前記枠体端部を閉塞するストッパ14と、枠体11端部が閉塞された状態で枠体11内に上下方向の弾性変形状態で配置され、枠体11に収容された膜モジュール20の上下方向へのがたつきを抑制する弾性部材15と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性汚泥法を採用した下水処理や廃水処理等の水処理に好適な膜分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、活性汚泥法を採用した下水処理や廃水処理では、固液分離のために浸漬型の膜分離装置が用いられている。
【0003】
特許文献1には、一対の集液部と、一対の集液部間に配置された複数の膜エレメントと、膜エレメントを透過した透過液が集液部に集液されるように構成された膜モジュールが開示されている。
【0004】
当該膜モジュールは複数段に積層され、集液部間で透過液が流通するように上下に隣接される集液部が連結されている。
【0005】
複数段に積層された膜モジュールを生物反応槽等に浸漬配置して固液分離する際に、各膜モジュールの姿勢及び連結状態を維持し、一体的に設置可能にするために、複数段に積層された膜モジュールを収容する枠体が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2009/118785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
膜モジュールは集液部を含めて軽量化等のため樹脂製で構成されていることが好ましく、上述した枠体は、生物反応槽等に浸漬配置された状態で各膜モジュールを安定姿勢で保持するとともに、各膜モジュールを収容した状態で一体的に生物反応槽等に浸漬し、或は取り出すため、十分な強度を確保する観点等から金属製で構成される場合が多い。よって、膜モジュールと枠体とでは、材質の違いにより熱膨張率が異なり、環境温度の変動を考慮して枠体のサイズを設定しておく必要がある。
【0008】
また、このような膜分離装置を生物反応槽等に浸漬すると、槽内で水分を吸収して樹脂製の膜モジュールの体積が膨張する虞があるため、予め膜モジュールの体積の膨張を考慮して金属製の枠体の容積を設定しておく必要がある。
【0009】
また、このような膜分離装置をコンテナ等に積載して輸送する場合であって、赤道直下等の熱帯地域でコンテナ輸送する場合等に、コンテナ内部の温度がかなり上昇するため、膜モジュールの集液部を構成する樹脂ケーシング等が高温で膨張した後、常温に戻ったときに元のサイズよりも収縮する現象が発生して、金属製の枠体の容積よりも小さくなる傾向がある。
【0010】
そのため、事前に膜モジュールを高温環境に晒して、樹脂ケーシング等の成形時の歪を除去するために、いわゆるアニール処理を施して上述のような収縮の影響を考慮した枠体のサイズを設定することも考えられるが、全数をそのような高温環境に晒すような製造工程を含めると、製造コストが著しく高くなるため、実用的ではない。
【0011】
このような状況で、枠体よりも枠体内に多段に積層された膜モジュールの容積が小さい膜分離装置を生物反応槽等に浸漬配置して、膜分離装置の下方に配置した散気装置によって散気しながら濾過運転を行なうと、散気による上昇流等の影響で膜モジュールが枠体内部で上下にがたついて、破損や磨耗により膜モジュールの寿命が極めて短くなるという問題があった。
【0012】
本発明の目的は、上述した問題点に鑑み、枠体に収容された膜モジュールの体積が変動する場合であっても、枠体内部での膜モジュールのがたつきを回避可能な膜分離装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的を達成するため、本発明による膜分離装置の第一特徴構成は、特許請求の範囲の請求項1に記載した通り、複数の膜エレメントを備えた膜モジュールと、前記膜モジュールを複数段に積層して収容する枠体と、前記枠体に収容された前記膜モジュールが離脱しないように前記枠体端部を閉塞する閉塞部材と、前記枠体端部が閉塞された状態で前記枠体内に上下方向の弾性変形状態で配置される弾性部材と、を備えている点にある。
【0014】
複数段に積層された膜モジュールが枠体内部に収容され、閉塞部材によって枠体端部が閉塞された状態で、弾性部材が上下方向の弾性変形状態で配置されるため、枠体のサイズよりも複数段の膜モジュールのサイズが予め小さくなるように形成され、或は製造後に膜モジュールが収縮した場合であっても、当該弾性部材によって枠体内で膜モジュールの上下方向へのがたつきが効果的に抑制され、膜モジュールを長期安定的に稼動させることができるようになる。
【0015】
尚、膜モジュールの上下方向へのがたつきを防止できる弾性部材であれば、その具体的な材料や形状が制限されるものではなく、例えば、金属製や樹脂製のばね、弾性変形可能な樹脂部材や天然ゴム部材等を適宜採用することができる。
【0016】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、前記弾性部材が各膜モジュールの間に配置されている点にある。
【0017】
上述の構成によれば、枠体内部での全膜モジュールのがたつきが抑制されるのみならず、僅かながたつきが発生する場合であっても、各膜モジュール間の磨耗が当該弾性部材によって確実に回避されるので、全ての膜モジュールを長期安定的に稼動させることができるようになる。
【0018】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第二特徴構成に加えて、上下に隣接する前記膜モジュール間を連結固定する嵌合部が設けられ、前記弾性部材の弾性変形の程度に関わらず前記嵌合部の嵌合状態が保持されるように、前記嵌合部の嵌合代と前記弾性部材の厚みが設定されている点にある。
【0019】
膜モジュール間を連結固定する嵌合部によって、枠体内部に積層された複数の膜モジュールの積層姿勢が安定的に保持される。そして、膜モジュール間に配置された弾性部材の弾性変形の程度に関わらず嵌合部の嵌合状態が保持されるように、嵌合部の嵌合代と弾性部材の厚みが設定されているので、枠体内部で嵌合部の嵌合状態が解消されて、膜モジュールの積層姿勢が崩れるような不都合な事態が確実に回避される。例えば、上述したように、各膜モジュールが収縮する現象が発生して、元のサイズよりも小さくなったとしても、がたつきが適正に抑制され、しかも積層姿勢が崩れるような不都合な事態が確実に回避される。弾性部材が弾性変形していない非圧縮状態であっても嵌合部の嵌合状態が保持されるように、嵌合部の嵌合代と弾性部材の厚みが設定されていればより好ましい。
【0020】
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第三特徴構成に加えて、前記膜モジュールは、平板状またはシート状の膜支持体の表裏両面に分離膜を配置した複数の膜エレメントが、各膜エレメントの分離膜が対向するように、一定間隔を隔てて縦姿勢で配列され、各膜エレメントの横方向側辺部に各膜エレメントからの透過液を集液する集液部が設けられており、前記嵌合部は、上下に隣接する各膜モジュールの集液部間を透過液が流通するように連通する開口部と、前記開口部内壁に液密状態で嵌挿する嵌挿部とを含み、前記液密状態を維持可能な前記嵌挿部の長さが前記嵌合代となる点にある。
【0021】
このような構成によれば、積層された各膜モジュールが上下の集液部の対向面で接合され、嵌合部を介して姿勢保持されながらも、各集液部に集液された透過液が液密状態で嵌合した嵌合部を介して通液することが可能となる。そして、液密状態を維持可能な嵌挿部の長さが嵌合代となるため、各膜モジュールが収縮する現象が発生して、元のサイズよりも小さくなったとしても、がたつきが適正に抑制され、しかも液密状態が適正に維持されるようになる。
【0022】
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第二から第四の何れかの特徴構成に加えて、前記弾性部材が、厚み方向に弾性変形するゴムシートで構成されるとともに、上下に隣接する各膜モジュールの接合面間に配置され、前記ゴムシートに、その厚さより厚肉の凸部、またはその厚さより薄肉の凹部若しくは孔部が形成されている点にある。
【0023】
隣接する膜モジュール間にシート状の弾性部材を配置し、当該弾性部材を弾性変形状態に維持するためには、ある程度大きな力で膜モジュールを押圧しなければならず、枠体及び枠体端部を閉塞する閉塞部材の強度を確保する必要がある。そのため、枠体の設計の自由度を損ねる虞があり、さらには一定厚さのゴムシートを用いるために材料費が嵩むという不都合もある。しかし、上述の構成を採用すると、厚肉の凸部、または薄肉の凹部若しくは孔部が形成されたゴムシートが、上下に隣接する各膜モジュールの接合面間で部分的に弾性変形することによってがたつきが抑制されるようになるため、枠体及び枠体端部を閉塞する閉塞部材の強度を極端に大きくしなくとも、がたつきを抑制するために必要な膜モジュールの押圧力を低減することができ、併せてゴムシートの材料費を節減することができるようになる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明した通り、本発明によれば、枠体に収容された膜モジュールの体積が変動する場合であっても、枠体内部での膜モジュールのがたつきを回避可能な膜分離装置を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】膜分離装置の説明図
【図2】膜分離装置の概略図
【図3】(a)は膜モジュールの説明図、(b)は弾性部材の概略図
【図4】膜モジュールの積層の説明図
【図5】膜モジュール間に配置された弾性部材の説明図であって、(a)は弾性変形(圧縮)状態の説明図、(b)は非圧縮状態の説明図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明による膜分離装置を説明する。
図1及び図2に示すように、膜分離装置10は、膜モジュール20が縦に8段積層設置された膜モジュール群が、横に5列並設されるように枠体11内に収容されて構成され、生物反応槽内の被処理液に浸漬配置される。
【0027】
枠体11は、生物反応槽に浸漬配置された状態で各膜モジュール20を安定姿勢で保持するとともに、各膜モジュール20を収容した状態で一体的に生物反応槽に浸漬し、或は取り出すため、十分な強度を確保する観点等から金属製の下部フレーム11a、横フレーム11b、上部フレーム11c等を備えて構成される。
【0028】
膜モジュール20は樹脂等で構成され、生物処理槽内で水分を吸収して体積が膨張するため、枠体11は、予め膜モジュール20の体積の膨張を考慮して製作されている。
【0029】
最下段の膜モジュール20の下方に散気用給気管12が設置され、当該散気用給気管12から給気された散気エアにより、各膜モジュール20に縦姿勢で水平方向に並設された複数の膜エレメント21間に生物処理槽内の被処理液の上昇流が発生し、各膜エレメント21の膜面を透過した透過液が集液管13を通じて槽外へ導出される。
【0030】
集液管13には、生物処理槽の外部に設置された処理液槽に到る処理液導出管(図示されていない)が連通され、その管路途中にポンプ装置が介装されている。散気用給気管12にはブロワやコンプレッサなどの給気源が連通されている。
【0031】
上部フレーム11cには、収容された膜モジュール群が離脱しないように、枠体11の上端部を閉塞するストッパ(閉塞部材)14が備えられている。ストッパ14は、枠体11と同様の金属が平板状に形成され、横に5列並設された各膜モジュール群の最上段の各膜モジュール20の前後に配置された上部フレーム11cにボルトで締め付けられている。
【0032】
積層された各膜モジュール20の間には、弾性部材15が配置されている。最上段の膜モジュール20は、ストッパ14により大きな力で押圧され、弾性部材15は各膜モジュール20の間内で弾性変形状態、つまりこの場合圧縮状態で配置され、散気装置12の散気による上昇流が生じて、枠体11に収容された膜モジュール20の上下方向へのがたつきは抑制される。
【0033】
膜モジュール20について説明する。
図3(a)に示すように、各膜モジュール20は、前後一対の集液部22と左右一対のカバー部材23と、複数の膜エレメント21を備え、前後一対の集液部22と左右一対のカバー部材23で区画される空間内に各膜エレメント21の膜面が対向するように、一定間隔を隔てて縦姿勢で配列されて構成されている。
【0034】
膜エレメント21は、膜支持体としての平板状のろ板21aと分離膜21bで構成され、ろ板21aの表裏両面に分離膜21bが配置されている。
【0035】
集液部22は中空状に形成され、分離膜21bを透過した処理液がろ板21aに形成された集水路を通じて集液部22の内部に導かれるように構成されている。
【0036】
ろ板21aは、ABS樹脂等で形成され、分離膜21bは、基材となる不織布に多孔性樹脂が塗布及び含浸されて構成されている。尚、ろ板21aは、ABS樹脂等の剛性を有する材質に限らず、シート状の不織布やネット等の可撓性を有する材質を使用して構成してもよい。
【0037】
集液部22とカバー部材23は、ABS樹脂やポリプロピレン等の射出成形で得られる。集液部22は、分離膜21bの破損等による汚泥の集液部22への流入を確認し易いように、透光性を有するように構成されることが好ましい。
【0038】
集液部22には、上下に隣接する膜モジュール20間を連結固定する嵌合部24が設けられている。
【0039】
嵌合部24は、上下に隣接する各膜モジュール20の集液部22間を透過液が流通するように連通する開口部26と、開口部26内壁に液密状態で嵌挿する嵌挿部25とを備えて構成されている。
【0040】
図4に示すように、嵌挿部25は、直上に積層される膜モジュール20の集液部22に形成された開口部26に液密状態で嵌挿され、上下に隣接する集液部22間が連通される。これにより、枠体11内部に積層された各膜モジュール20が上下の集液部22の対向面で接合され、嵌合部24を介して安定的に姿勢保持されながらも、各膜モジュール20の膜エレメント21から集液部22に集液された透過液が液密状態で嵌合した嵌合部24を介して通液することが可能となる。嵌合部24を介して通液された透過液は、上部フレーム11c近傍、及び、下部フレーム11a内に配設されて集液管13に導出される。
【0041】
弾性部材15について説明する。
図3(b)に示すように、弾性部材15は、集液部22の上面と同じ程度の大きさに形成された厚み方向に弾性変形するゴムシートで構成されている。
【0042】
前記ゴムシートには、その厚さより厚肉の凸部15aが表面に分散して形成され、中央には上下に隣接する各膜モジュール20の集液部22の接合面間に配置されたときに嵌挿部25が挿通できるU字形状の切欠が形成されている。
【0043】
弾性部材15は、上下に隣接する各膜モジュール20の集液部22の接合面間に配置されたときに、弾性部材15の弾性変形の程度に関わらず、例えば、図5(a)に示すように、前記ボルトの締め付けてストッパ14が最上段の膜モジュール20を大きな力で押圧して弾性部材15が弾性変形された状態であっても、または、図5(b)に示すように、膜モジュールが収縮して積層された8個の各膜モジュール20の総高さが、枠体11の収容高さに対して低くなりすぎて、前記ボルトを締め付けてもストッパ14が最上段の膜モジュール20を大きな力で押圧できずに弾性部材15が弾性変形していない非圧縮状態であっても、嵌挿部25が開口部26に液密状態で嵌挿されて嵌合部24の嵌合状態が保持されるように、嵌合部24の嵌合代と弾性部材15の厚みが設定されている。
【0044】
尚、嵌合部24の液密状態を形成するために、嵌挿部25の外周にOリング27等のパッキンが配置され、該パッキンが開口部26の内周面で圧接するように構成されている。液密状態を形成する構成はこれに限定されるものではない。
【0045】
嵌合部24の嵌合代は、弾性部材15が非圧縮状態であっても、嵌合部24の液密状態を維持可能な嵌挿部25の長さで規定され、弾性部材15の厚みは、膜モジュール20の重さ、ゴムシートの材質、寸法、及び、凸部15aの数量や大きさで規定される。
【0046】
尚、上弾性部材15を構成するゴムシートの表面に形成された凸部15aに替えて、ゴムシートにその厚さより薄肉の凹部若しくは孔部が分散して形成してもよい。また、凸部、凹部、孔部を組み合わせて形成する構成であってもよい。
【0047】
さらには、ゴムシートではなく、凸部15aに相当するゴム製の円柱部材のみが分散して配置される構成であってもよい。
【0048】
隣接する膜モジュール20間にシート状の弾性部材15を配置し、弾性部材15を弾性変形状態に維持するためには、ある程度大きな力で膜モジュール20を押圧しなければならず、枠体11及び枠体端部を閉塞するストッパ14の強度を確保する必要がある。そのため、枠体11の設計の自由度を損ねる虞があり、さらには一定厚さのゴムシートを用いるために材料費が嵩むという不都合もある。
【0049】
しかし、厚肉の凸部、または薄肉の凹部若しくは孔部が分散して形成されたゴムシートが、上下に隣接する各膜モジュール20の接合面間で部分的に弾性変形することによってがたつきが抑制されるようになるため、枠体11及び枠体端部を閉塞するストッパ14の強度を極端に大きくしなくとも、がたつきを抑制するために必要な膜モジュール20の押圧力を低減することができ、併せてゴムシートの材料費を節減することができるようになる。
【0050】
以上のように、弾性部材15は、ストッパ14により枠体11の上端部が閉塞された状態で積層された各膜モジュール20間に弾性変形状態で配置されているので、膜モジュール群の高さが、下部フレーム11aから上部フレーム11cに設けられたストッパ14までの収容高さより予め小さくなるように形成され、或は製造後に膜モジュールが収縮した場合であっても、弾性部材15によって枠体11内で膜モジュール20の上下方向へのがたつきが効果的に抑制され、膜モジュール20を長期安定的に稼動させることができるようになる。
【0051】
さらに、枠体11内部での全膜モジュール20のがたつきが抑制されるのみならず、僅かながたつきが発生する場合であっても、各膜モジュール20間の磨耗が、各膜モジュール20間に配置された弾性部材によって確実に回避されるので、全ての膜モジュール20を長期安定的に稼動させることができるようになる。
【0052】
また、膜分離装置をコンテナ等に積載して輸送する場合、特に、赤道直下等の熱帯地域でコンテナ輸送する場合等に、コンテナ内部の温度がかなり上昇するため、膜モジュールの集液部を構成する膜モジュール20等が高温で膨張した後、常温に戻ったときに元のサイズよりも収縮する現象が発生して、金属製の枠体11の容積よりも小さくなっていたとしても、膜分離装置10の運転時に、各膜モジュール20のがたつきが適正に抑制され、枠体11内部で嵌合部24の嵌合状態が解消されて膜モジュール20の積層姿勢が崩れるような不都合な事態が確実に回避される。
【0053】
以下に、本発明による膜分離装置の別実施形態について説明する。
上述した実施形態では、各膜モジュール20の間に平板状のゴムシートで構成された弾性部材15を配置する構成について説明したが、弾性部材の形状及び配置箇所はこれに限らない。最上段の膜モジュール20とストッパ14の間、または、最下段の膜モジュール20と下部フレーム11aの間にブロック状の弾性部材を配置する等、膜分離装置の稼動時に枠体11内で膜モジュール20の振動が防止できる構成であればよい。
【0054】
また、膜モジュールの上下方向へのがたつきを防止できる弾性部材であれば、その具体的な材料や形状が制限されるものではなく、例えば、金属製や樹脂製のコイルばね、板ばね等のばねで構成してもよい。その他弾性変形可能な合成ゴムや天然ゴム等を適宜採用することもできる。
【0055】
上述した実施形態は、何れも本発明の一例であり、該記載により本発明が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0056】
10:膜分離装置
11:枠体
12:散気用給気管
13:集液管
14:ストッパ(閉塞部材)
15:弾性部材
15a:凸部
20:膜モジュール
21:膜エレメント
22:集液部
23:カバー部材
24:嵌合部
25:嵌挿部
26:開口部
27:Oリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の膜エレメントを備えた膜モジュールと、
前記膜モジュールを複数段に積層して収容する枠体と、
前記枠体に収容された前記膜モジュールが離脱しないように前記枠体端部を閉塞する閉塞部材と、
前記枠体端部が閉塞された状態で前記枠体内に上下方向の弾性変形状態で配置される弾性部材と、
を備えている膜分離装置。
【請求項2】
前記弾性部材が各膜モジュールの間に配置されている請求項1記載の膜分離装置。
【請求項3】
上下に隣接する前記膜モジュール間を連結固定する嵌合部が設けられ、前記弾性部材の弾性変形の程度に関わらず前記嵌合部の嵌合状態が保持されるように、前記嵌合部の嵌合代と前記弾性部材の厚みが設定されている請求項2記載の膜分離装置。
【請求項4】
前記膜モジュールは、平板状またはシート状の膜支持体の表裏両面に分離膜を配置した複数の膜エレメントが、各膜エレメントの分離膜が対向するように、一定間隔を隔てて縦姿勢で配列され、各膜エレメントの横方向側辺部に各膜エレメントからの透過液を集液する集液部が設けられており、
前記嵌合部は、上下に隣接する各膜モジュールの集液部間を透過液が流通するように連通する開口部と、前記開口部内壁に液密状態で嵌挿する嵌挿部とを含み、前記液密状態を維持可能な前記嵌挿部の長さが前記嵌合代となる請求項3記載の膜分離装置。
【請求項5】
前記弾性部材が、厚み方向に弾性変形するゴムシートで構成されるとともに、上下に隣接する各膜モジュールの接合面間に配置され、
前記ゴムシートに、その厚さより厚肉の凸部、またはその厚さより薄肉の凹部若しくは孔部が形成されている請求項2から4の何れかに記載の膜分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−148229(P2012−148229A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8131(P2011−8131)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】