膨張性ポリマーで構成される塞栓形成デバイス
血管動脈瘤の塞栓形成などのような、体腔の閉塞のためのデバイス、ならびにかかるデバイスの作製および使用方法が開示される。該デバイスは、新規の膨張性物質、新規の基礎構造、またはその両方から成り得る。提供されるデバイスは、非常に柔軟性があり、身体組織、導管、腔、などに対する損傷を軽減しつつ、または与えることなく、設置が可能である。該デバイスは、らせん搬送部材と、イオン化官能基を有するヒドロゲルであって、前記ヒドロゲルは、約48%ポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドのマクロマーと、約52%ナトリウムのpH感受性成分とを含む、ヒドロゲルと、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2009年10月26日に出願された、米国仮出願第61/254,962号(名称、Embolization Device Constructed From Expansile Polymer)への優先権を主張し、上記米国仮出願は、本明細書によって、参考として本明細書に援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、血管動脈瘤の塞栓形成のような体腔の閉塞のためのデバイス、ならびに、かかるデバイスの作製方法および使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの臨床的症状において、塞栓形成による体腔、血管、および他の内腔の閉塞が望まれる。例えば、避妊手術のための卵管の閉塞、ならびに卵円孔開存症、動脈管開存症、および左心耳、および心房中隔欠損症のような、心臓欠陥の閉塞治療がある。かかる症状における閉塞デバイスの機能は、患者の治療上の便益のために、腔、内腔、血管、空隙、もしくは欠陥の中への、またはそれらを通過する体液の流れを実質的に遮断または阻止することである。
【0004】
多くの臨床的症状において、血管の塞栓形成がまた、望まれる。例えば、血管塞栓形成は、血管からの出血を制御するために、腫瘍への血液供給を閉塞するために、および血管動脈瘤、特に頭蓋内動脈瘤を閉塞するために使用されてきた。近年、動脈瘤の治療のための血管塞栓が多くの注目を集めている。従来技術では、いくつかの異なる治療様式が示されてきた。有望な取り組みの一つが、血栓形成マイクロコイルの使用である。これらのマイクロコイルは、生体適合性金属合金(代表的には、白金またはタングステンのような放射線不透過性材料)、または好適なポリマーで作製され得る。マイクロコイルの例は、以下の特許、すなわち、特許文献1(Ritchartら)、特許文献2(Butlerら)、特許文献3(Cheeら)、特許文献4(Palermo)、特許文献5(Phelpsら)、特許文献6(Dormandy,Jr.ら)、特許文献7(Dormandy,Jr.ら)、特許文献8(Mirigian)、特許文献9(Ken)、特許文献10(Mariant)、特許文献11(Horton)、特許文献12(Snyder)および特許文献13(Berensteinら)において開示され、これらのすべてが、参考として本明細書において援用される。
【0005】
ある程度の成功を収めた特定の種類のマイクロコイルは、特許文献14(Guglielmiら)に記載される、ググリエルミ(Guglielmi)離脱型コイル(「GDC」)である。GDCは、ハンダ接続によってステンレス鋼の送達ワイヤに固定された、白金線コイルを用いる。コイルが動脈瘤の内側に設置された後に、電流が送達ワイヤに流され、ハンダ接合を電解し、それによって、コイルを送達ワイヤから離脱する。電流の通電はまた、コイル上に正の電荷を生じ、負の電荷を持つ血液細胞、血小板、およびフィブリノゲンを引き付け、それによって、コイルの血栓形成を増進する。異なる直径および長さを有するいくつかのコイルが、動脈瘤が完全に充填されるまで、動脈瘤の中に詰められ得る。かくして、コイルは、動脈瘤の中に血栓を生成して保持し、その移動および分裂を阻止する。
【0006】
マイクロコイル血管閉塞デバイスの分野における、より最近の進展は、Greene,Jr.らに属する特許文献15、Greene,Jr.らに属する特許文献16、および同時係属中の、Martinezに属する米国特許出願第10/631,981号の中で例示されており、そのすべてが主題発明の譲受人に譲渡されており、参考として本明細書において援用される。これらの特許は、コイルの外表面に配置された1つ以上の膨張性要素を有する、マイクロコイルを備える血管閉塞デバイスを開示している。膨張性要素は、任意の多数の膨張性高分子ヒドロゲルで形成され得、または代替的に、血流のような生理環境に暴露されるときに、環境パラメータ(例えば、温度またはpH)の変化に応答して膨張する、環境に敏感なポリマーで形成され得る。
【0007】
本発明は、新規の血管閉塞デバイス、新規の膨張性要素、およびそれらの組み合わせである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,994,069号明細書
【特許文献2】米国特許第5,133,731号明細書
【特許文献3】米国特許第5,226,911号明細書
【特許文献4】米国特許第5,312,415号明細書
【特許文献5】米国特許第5,382,259号明細書
【特許文献6】米国特許第5,382,260号明細書
【特許文献7】米国特許第5,476,472号明細書
【特許文献8】米国特許第5,578,074号明細書
【特許文献9】米国特許第5,582,619号明細書
【特許文献10】米国特許第5,624,461号明細書
【特許文献11】米国特許第5,645,558号明細書
【特許文献12】米国特許第5,658,308号明細書
【特許文献13】米国特許第5,718,711号明細書
【特許文献14】米国特許第5,122,136号明細書
【特許文献15】米国特許第6,299,619号明細書
【特許文献16】米国特許第6,602,261号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、搬送部材、一つまたはそれより多い新規の膨張性要素、およびそれらの組み合わせを備える、新規の血管閉塞デバイスを対象とする。一般的に、膨張性要素は膨張性ポリマーを備える。一部の実施形態においては、送達機構への連結を可能にし、また一部の実施形態においては、デバイスの放射線不透過性を増進する構造を提供することによって、搬送部材は、膨張性要素の送達を支援するために使用され得る。
【0010】
一実施形態において、膨張性ポリマーは、2005年4月12日に発行された、Cruiseらに属する米国特許第6,878,384号に記載されたもののような、環境に敏感な高分子ヒドロゲルであり、該特許は、参考として本明細書において援用される。別の実施形態において、膨張性ポリマーは、アクリル酸ナトリウムおよびポリ(エチレングリコール)誘導体から成る、新規のヒドロゲルである。別の実施形態において、膨張性ポリマーは、プルロニック(Pluronics)(登録商標)誘導体を備えるヒドロゲルである。
【0011】
一実施形態において、膨張性ポリマーは、イオン化官能基を有し、かつマクロマーから作られる、新規のヒドロゲルである。マクロマーは、非イオン性および/またはエチレン性不飽和であり得る。
【0012】
一実施形態において、マクロマーは、約400グラム/モル〜約35,000グラム/モルの分子量を有し得る。別の実施形態において、マクロマーは、約5,000グラム/モル〜約15,000グラム/モルの分子量を有し得る。さらに別の実施形態において、マクロマーは、約7,500グラム/モル〜約12,000グラム/モルの分子量を有し得る。一実施形態において、マクロマーは、8,000グラム/モルの分子量を有する。
【0013】
一実施形態において、ヒドロゲルは、ポリエーテル、ポリウレタン、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせから作られ得る。別の実施形態において、イオン化官能基は、塩基性基(例えば、アミン、その誘導体、またはそれらの組み合わせ)、または酸性基(例えば、カルボン酸、その誘導体、またはそれらの組み合わせ)を備え得る。イオン化官能基が塩基性基を備える場合には、塩基性基は、塩基性基のpKaを上回るpHで脱プロトン化され、または、塩基性基のpKa未満のpHでプロトン化され得る。イオン化官能基が酸性基を備える場合には、酸性基は、酸性基のpKa未満のpHでプロトン化され、または、酸性基のpKaを上回るpHで脱プロトン化され得る。
【0014】
一実施形態において、マクロマーは、ポリ(エチレングリコール)のビニル、アクリレート、アクリルアミド、またはメタクリレート誘導体、あるいはそれらの組み合わせを備え得る。別の実施形態において、マクロマーは、ポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドを備え得る。別の実施形態において、ヒドロゲルは、非結合アクリルアミドを実質的に含まず、より好ましくは含まない。
【0015】
一実施形態において、マクロマーは、少なくとも2つのエチレン性不飽和部分を含有する化合物に架橋され得る。エチレン性不飽和化合物の例は、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、その誘導体、またはそれらの組み合わせを含む。別の実施形態において、ヒドロゲルは、重合開始剤を使用して調製され得る。好適な重合開始剤の例は、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、過硫酸アンモニウム、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせを備える。重合開始剤は、水性または有機溶媒に溶解し得る。例えば、アゾビスイソブチロニトリルは水溶性ではない。しかしながら、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩のような、アゾビスイソブチロニトリルの水溶性誘導体が入手可能である。別の実施形態において、ヒドロゲルは、生理的条件において、実質的に再吸収されない、分解されない、またはその両方であり得る。
【0016】
一実施形態において、本発明は、動物内移植のための、環境応答性ヒドロゲルを調製するための方法を含む。本方法は、ヒドロゲルを形成するために、少なくとも1つの、好ましくは非イオン性のマクロマーを、少なくとも1つのエチレン性不飽和部分、少なくとも1つのイオン化官能基および少なくとも1つのエチレン性不飽和部分を有する、少なくとも1つのマクロマーまたはモノマー、少なくとも1つの重合開始剤、ならびに少なくとも1つの溶媒と、組み合わせるステップを含む。溶媒は、水性もしくは有機溶媒、またはそれらの組み合わせを含み得る。別の実施形態において、溶媒は水である。次に、ヒドロゲルは、環境応答性ヒドロゲル、好ましくは生理的条件に応答するヒドロゲルを調製するために、処理され得る。イオン化官能基は、酸性基(例えば、カルボン酸、その誘導体、またはそれらの組み合わせ)、または塩基性基(例えば、アミン、その誘導体、またはそれらの組み合わせ)であり得る。イオン化官能基が酸性基を備える場合には、処理するステップは、ヒドロゲルを酸性環境で培養して、酸性基をプロトン化するステップを含み得る。イオン化官能基が塩基性基を備える場合には、処理するステップは、ヒドロゲルを塩基性環境で培養して、塩基性基を脱プロトン化するステップを含み得る。特定の実施形態において、動物に移植後に、酸性基は脱プロトン化が可能であり、または逆に、塩基性基はプロトン化が可能であることが、好ましい。
【0017】
一実施形態において、エチレン性不飽和マクロマーは、ビニル、アクリレート、アクリルアミド基を有し得、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせを含む。別の実施形態において、エチレン性不飽和マクロマーは、ポリ(エチレングリコール)、その誘導体、またはそれらの組み合わせに基づく。別の実施形態において、エチレン性不飽和マクロマーは、ポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせである。別の実施形態において、エチレン性不飽和マクロマーは、ポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドである。エチレン性不飽和マクロマーは、約5重量%から約40重量%まで、より好ましくは、約20重量%から約30重量%までの濃度で使用され得る。溶媒は、約20重量%から約80重量%までの濃度で使用され得る。
【0018】
一実施形態において、組み合わせるステップはまた、エチレン性不飽和化合物を備える、少なくとも1つの架橋剤を加えるステップを含む。本発明の特定の実施形態において、架橋剤は、必要であるとは限らない。換言すれば、ヒドロゲルは、複数のエチレン性不飽和部分を有するマクロマーを使用して、調製され得る。別の実施形態において、重合開始剤は、酸化還元重合開始剤であり得る。別の実施形態において、重合開始剤は、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、過硫酸アンモニウム、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせであり得る。別の実施形態において、組み合わせるステップは、ポロシゲンを加えるステップをさらに含む。
【0019】
一実施形態において、エチレン性不飽和マクロマーは、ポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドを含み、少なくとも1つのイオン化基および少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有するマクロマーまたはモノマーまたはポリマーは、アクリル酸ナトリウムを含み、重合開始剤は、過硫酸アンモニウムおよびN,N,N’,N’テトラメチルエチレンジアミンを含み、溶媒は水を含む。
【0020】
一実施形態において、エチレン性不飽和マクロマーは、約400グラム/モル〜約35,000グラム/モルの分子量を有する。別の実施形態において、エチレン性不飽和マクロマーは、約5,000グラム/モル〜約15,000グラム/モルの分子量を有する。一実施形態において、エチレン性不飽和マクロマーは、約7,500グラム/モル〜約12,000グラム/モルの分子量を有する。別の実施形態において、環境応答性ヒドロゲルは、生理的条件において、実質的に非再吸収性、または非分解性、あるいは両方である。ある実施形態において、環境応答性ヒドロゲルは、非結合アクリルアミドを実質的に含まないことがあるか、または完全に含まないことがあり得る。
【0021】
一実施形態において、搬送部材は、金属、プラスチック、または類似の物質で作製されるコイルあるいはマイクロコイルを備える。別の実施形態において、搬送部材は、金属、プラスチック、または類似の物質で作製される編組あるいは編地を備える。別の実施形態において、搬送部材は、チューブに切り込まれた複数の切り込みまたは溝を有する、プラスチックあるいは金属のチューブを含む。
【0022】
一実施形態において、膨張性要素は、搬送部材の中に一般的に同軸的に配置される。別の実施形態において、耐延伸性部材が、膨張性要素と平行に配置される。別の実施形態において、耐延伸性部材は、膨張性要素に被されるか、結び付けられるか、または巻きつけられる。別の実施形態において、耐延伸性部材は、膨張性要素の中に配置される。別の実施形態において、耐延伸性部材は、膨張性要素内に位置するか、または膨張性要素によって部分的に囲まれる。
【0023】
一実施形態において、膨張性要素および搬送部材を備えるデバイスは、送達システムに着脱可能に連結される。別の実施形態において、本デバイスは、押込みまたは注入によって、導管を通じて体内に送達されるように構成される。
【0024】
一実施形態において、膨張性要素は環境に敏感であり、体液に暴露されると遅れ膨張を呈する。別の実施形態において、膨張性要素は、体液と接触するとすぐに膨張する。別の実施形態において、膨張性要素は、細胞増殖のための表面または足場を形成し得る、多孔性または網状の構造を備える。
【0025】
一実施形態において、膨張性要素は、病巣の充填を促進するために、搬送部材の直径を上回る寸法にまで膨張する。別の実施形態において、膨張性要素は、細胞増殖のための足場の提供、調合薬、タンパク質、遺伝子、線維素のような生体化合物、などの治療薬の放出のために、搬送部材の直径と同じか、またはそれ未満の寸法にまで膨張する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、膨張性要素の膨張前の、本発明の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図2は、膨張状態における、図1に類似のデバイスを示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の代替的な実施形態の斜視図である。
【図4】図4は、搬送部材が有窓チューブ、編組または編地を備える、代替的な実施形態の斜視図である。
【図5】図5は、膨張性要素とほぼ平行に走る耐延伸性部材を組み込んだ、代替的な実施形態の斜視図である。
【図6】図6は、膨張性要素とほぼ絡み合う耐延伸性部材を組み込んだ、代替的な実施形態の斜視図である。
【図7】図7は、膨張性要素が、搬送部材の外側にループまたは折り曲げ部を形成した、代替的な実施形態の斜視図である。
【図8】図8は、膨張性要素が搬送部材よりも大きな直径にまで膨張しない、図1および図2に示すものと類似のデバイスを示す、代替的な実施形態の斜視図である。
【図9】図9は、図1および図2に示されたデバイスと同様のデバイスを示す実施形態の側面図である。
【図10】図10は、図9のデバイスの分解斜視図である。
【図11】図11は、送達デバイスに接続された図9のデバイスの側面図である。
【図12】図12は、本発明によるインプラントの好ましい実施形態の側面図である。
【図13】図13は、本発明によるインプラントの好ましい実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書で使用されるとき、「マクロマー」の用語は、少なくとも1つの活性重合部位または結合部位を含む、巨大分子を指す。マクロマーは、モノマーよりも大きな分子量を有する。例えば、アクリルアミドモノマーは、約71.08グラム/モルの分子量を有するが、ポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドマクロマーは、約400グラム/モル以上の分子量を有し得る。好ましいマクロマーは、非イオン性、すなわち、あらゆるpHで非荷電である。
【0028】
本明細書で使用されるとき、「環境応答性」の用語は、これに限定されないが、pH、温度、および圧力を含む環境の変化に敏感な物質(例えば、ヒドロゲル)を指す。本発明における使用に好適な膨張物質の多くは、生理的条件において環境応答性である。
【0029】
本明細書で使用されるとき、「再吸収されない」の用語は、身体組織によって容易におよび/または実質的に、分解および/または吸収され得ない物質(例えば、ヒドロゲル)を指す。
【0030】
本明細書で使用されるとき、「非膨張時」の用語は、ヒドロゲルが実質的に水和しておらず、従って膨張していない状態を指す。
【0031】
本明細書で使用されるとき、「エチレン性不飽和」の用語は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む、化学物質(例えば、マクロマー、モノマー、またはポリマー)を指す。
【0032】
図1〜図8を参照すると、デバイスは、膨張性要素1および搬送部材2を備える。膨張性要素1は、好適な様々な生体適合性ポリマーで作製され得る。一実施形態において、膨張性要素1は、米国特許第7,070,607号および第6,684,884号に記載されたもののような、生体吸収性または生分解性のポリマーで作製され、それらの開示は、参考として本明細書において援用される。別の実施形態において、膨張性要素1は、柔らかな適合物質、より好ましくは、ヒドロゲルのような膨張性物質で作製される。
【0033】
一実施形態において、膨張性要素1を形成する物質は、米国特許第6,878,384号に記載のもののような、環境応答性ヒドロゲルであり、その開示は、参考として本明細書において援用される。具体的には、米国特許第6,878,384号に記載のヒドロゲルは、pHまたは温度のような環境パラメータの変化に応答して、制御された容積膨張を呈する種類のものである。これらのヒドロゲルは、(a)少なくともその一部が環境パラメータの変化に対して敏感な、少なくとも1つのモノマーおよび/またはポリマー、(b)架橋剤、および(c)重合開始剤を含有する、液体混合物を形成することによって調製される。必要な場合には、ポロシゲン(例えば、NaCl、氷晶、または蔗糖)が、混合物に加えられ得、その後、得られた固体のヒドロゲルから除去され、細胞増殖を可能にするのに十分な多孔性を有するヒドロゲルを提供する。制御された膨張率が、イオン化官能基(例えば、アミン、カルボン酸)を有するエチレン性不飽和モノマーの組み込みを通じて提供される。例えば、アクリル酸が架橋ネットワークに組み込まれる場合には、ヒドロゲルは低pH溶液中で培養され、カルボン酸基をプロトン化する。余分な低pH溶液が洗い流され、ヒドロゲルが乾燥された後に、ヒドロゲルは、生理学的pHの食塩水、または血液を充填されたマイクロカテーテルを通じて導入され得る。ヒドロゲルは、カルボン酸基が脱プロトン化するまでは、膨張できない。逆に、アミン含有モノマーが架橋ネットワークに組み込まれる場合には、ヒドロゲルは高pH溶液中で培養され、アミンを脱プロトン化する。余分な高pH溶液が洗い流され、ヒドロゲルが乾燥された後に、ヒドロゲルは、生理学的pHの食塩水、または血液を充填されたマイクロカテーテルを通じて導入され得る。ヒドロゲルは、アミン基がプロトン化するまでは、膨張できない。
【0034】
別の実施形態において、膨張性要素1を形成する物質は、米国特許第6,878,384号に記載のものと類似の、環境応答性ヒドロゲルであり得るが、しかしながら、エチレン性不飽和で、かつ好ましくは非イオン性のマクロマーが、少なくとも1つのモノマーまたはポリマーを置換または増強する。出願人は意外にも、本実施形態に従って調製されたヒドロゲルが、米国特許第6,878,384号に従って調製されたものよりも、その非膨張状態においてより柔らかく、および/またはより柔軟性を有し得ることを見出した。出願人はまた、エチレン性不飽和で、かつ非イオン性のマクロマー(例えばポリ(エチレングリコール)、およびその誘導体)が、より柔らかい非膨張時ヒドロゲルを調製するためだけではなく、イオン化基を含有するモノマーまたはポリマーと組み合わせて、また環境応答性を有するように処理され得る、ヒドロゲルを調整するためにも使用され得ることを見出した。非膨張時の柔軟性の意外な増加は、ヒドロゲルが、例えばより容易に動物に適用され、または、身体組織、導管、腔、などへの損傷を軽減あるいは与えずに適用されることを可能とする。
【0035】
イオン化官能基を有するモノマーまたはポリマーと組み合わせて、非イオン性マクロマーから調製されたヒドロゲルは、やはり、環境パラメータの変化に応答して、制御された容積膨張を呈することができる。これらのヒドロゲルは、溶媒の存在下で、(a)複数のエチレン性不飽和部分を有する、少なくとも1つの、好ましくは非イオン性の、マクロマー、(b)少なくとも1つのイオン化官能基および少なくとも1つのエチレン性不飽和部分を有する、マクロマーまたはポリマーまたはモノマー、および(c)重合開始剤を、組み合わせることによって調整され得る。特定の実施形態において、選択された成分が、ヒドロゲルを形成するのに十分であり得るので、この種のヒドロゲルについては、架橋のために架橋剤は必要ではない場合があることは、記す意義がある。以前に記載のとおり、ポロシゲンが、混合物に加えられ得、その後で得られたヒドロゲルから除去されて、細胞増殖を可能にするのに十分な多孔性を有するヒドロゲルを提供する。
【0036】
非イオン性マクロマー含有ヒドロゲルの制御された膨張率は、少なくとも1つのイオン化官能基(例えばアミン、カルボン酸)を有する、少なくとも1つのマクロマーまたはポリマーまたはモノマーの導入を通じて提供され得る。上記で論じたように、官能基が酸である場合には、ヒドロゲルは低pH溶液中で培養され、基をプロトン化する。余分な低pH溶液が洗い流され、ヒドロゲルが乾燥された後に、ヒドロゲルは、好ましくは食塩水を充填されたマイクロカテーテルを通じて導入され得る。ヒドロゲルは、酸性基が脱プロトン化するまでは、膨張できない。逆に、官能基がアミンである場合には、ヒドロゲルは高pH溶液中で培養され、基を脱プロトン化する。余分な高pH溶液が洗い流され、ヒドロゲルが乾燥された後に、ヒドロゲルは、好ましくは食塩水を充填されたマイクロカテーテルを通じて導入され得る。ヒドロゲルは、アミンがプロトン化するまでは、膨張できない。
【0037】
より具体的には、一実施形態において、ヒドロゲルは、少なくとも1つの不飽和部分を有する少なくとも1つの非イオン性マクロマー、少なくとも1つのイオン化官能基および少なくとも1つのエチレン性不飽和部分を有する、少なくとも1つのマクロマーまたはモノマーまたはポリマー、少なくとも1つの重合開始剤、および溶媒を組み合わせることによって調製される。オプションで、エチレン性不飽和架橋剤および/またはポロシゲンがまた、組み込まれ得る。一実施形態において、溶媒中の非イオン性マクロマーの濃度は、約5%(w/w)から約60%(w/w)に及ぶ。別の実施形態において、溶媒中の非イオン性マクロマーの濃度は、約20%(w/w)から約30%(w/w)に及ぶ。一実施形態において、溶媒中の非イオン性マクロマーの濃度は、約25%(w/w)である。一実施形態において、非イオン性マクロマーは、ポリ(エチレングリコール)、その誘導体、およびそれらの組み合わせである。誘導体は、ポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、およびポリ(エチレングリコール)ジメタクリレートを含むが、それらに限定されない。ポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドは、ポリ(エチレングリコール)の好ましい誘導体であり、約8,500グラム/モルから約12,000グラム/モルに及ぶ分子量を有する。マクロマーは、20未満の重合部位、より好ましくは10未満の重合部位、より好ましく約5以下の重合部位、より好ましくは約2から約4の重合部位を有してもよい。ポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドは、2つの重合部位を有する。
【0038】
少なくとも1つのイオン化官能基を有する、好ましいマクロマーまたはポリマーまたはモノマーは、カルボン酸もしくはアミノ部分を有する化合物、またはそれらの誘導体、またはそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。アクリル酸ナトリウムは、好ましいイオン化官能基含有化合物であり、94.04g/モルの分子量を有する。一実施形態において、溶媒中のイオン化マクロマーまたはポリマーまたはモノマーの濃度は、約5%(w/w)から約60%(w/w)に及ぶ。別の実施形態において、溶媒中のイオン化マクロマーまたはポリマーまたはモノマーの濃度は、約20%(w/w)から約30%(w/w)に及ぶ。一実施形態において、溶媒中のイオン化マクロマーまたはポリマーまたはモノマーの濃度は、約27%(w/w)である。いくつかの実施形態において、選択されたイオン化マクロマーまたはポリマーまたはモノマーの少なくとも約10%〜50%は、pHに敏感である。他の実施形態において、選択されたイオン化マクロマーまたはポリマーまたはモノマーの少なくとも約10%〜30%は、pHに敏感である。一実施形態において、遊離アクリルアミドは、本発明のマクロマー含有ヒドロゲルには使用されない。
【0039】
使用されるとき、架橋剤は、任意の多官能エチレン性不飽和化合物、好ましくは、N,N’−メチレンビスアクリルアミドであり得る。ヒドロゲル材料の生分解が所望される場合、生分解性架橋剤が選択され得る。溶媒中の架橋剤の濃度は、約1%w/w未満、好ましくは約0.1%(w/w)未満となるべきである。
【0040】
上記で説明されるように、溶媒が加えられる場合、溶媒は、使用されるマクロマーまたはモノマーまたはポリマー、架橋剤、および/またはポロシゲンの溶解度に基づいて選択され得る。液体マクロマーまたはモノマーまたはポリマー溶液が使用される場合、溶媒は必ずしもい必要ではない。好ましい溶媒は水であるが、種々の水性溶媒および有機溶媒が使用され得る。一実施形態において、溶媒の濃度は、約20%(w/w)から約80%(w/w)に及ぶ。別の実施形態において、溶媒の濃度は、約40%から約60%(w/)に及ぶ。
【0041】
架橋密度は、マクロマーまたはポリマーまたはモノマー濃度、マクロマー分子量、溶媒濃度、および、使用される場合には、架橋剤濃度の、変化を通じて操作され得る。上記記載のとおり、ヒドロゲルは、酸化還元、放射、および/または熱によって架橋され得る。重合開始剤の好ましい種類は、酸化還元によって作用するものである。好適な重合開始剤は、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、過硫酸アンモニウム、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。過硫酸アンモニウムとN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンとの組み合わせは、本発明の実施形態を含む、マクロマーでの使用に対して好ましい重合開始剤である。
【0042】
重合が完了した後に、本発明のヒドロゲルは、水、アルコール、または他の好適な洗浄溶液で洗浄され得、任意のポロシゲン、任意の未反応の残留マクロマー、モノマー、およびポリマーならびに任意の非組み込みオリゴマーを除去する。好ましくは、これは、最初に蒸留水の中でヒドロゲルを洗浄することによって達成される。
【0043】
多孔性は、塩化ナトリウム、氷晶、またはスクロース等のポロシゲンの使用を通して、固体ヒドロゲルに対して付与され得る。懸濁中の固体粒子の周囲でのモノマー溶液の重合と、引き続くヒドロゲルからの固体粒子の除去は、細胞内方成長を可能にするために十分な多孔性をヒドロゲルに提供し得る。好ましいポロシゲンは、直径が10ミクロン未満の粒子を伴う塩化ナトリウムである。モノマー溶液中の好ましい塩化ナトリウム濃度は、1gのモノマー溶液につき0.2g〜0.4gの塩化ナトリウムに及ぶ。
【0044】
本発明のヒドロゲルは、上記で論じたように、ヒドロゲルネットワーク上に存在するイオン化官能基をプロトン化または脱プロトン化することによって、環境応答性になされ得る。ヒドロゲルが調製され、必要な場合には洗浄されると、ヒドロゲルは、ヒドロゲルを環境応答性にするために処理され得る。イオン化官能基がカルボン酸基であるヒドロゲルネットワークについては、ヒドロゲルは低pH溶液中で培養される。溶液中の遊離プロトンが、ヒドロゲルネットワーク上のカルボン酸基をプロトン化する。培養の時間および温度ならびに溶液のpHが、膨張率に対する制御量に影響を及ぼす。一般的に、培養の時間および温度は、膨張制御量に正比例し、その一方で、培養溶液のpHは、それに反比例する。
【0045】
培養溶液の水分含有量がまた、膨張制御に影響を及ぼすことが見出された。この点に関しては、水分含有量が高いほど、大きなヒドロゲル膨張が可能となり、プロトン化に利用可能なカルボン酸基の数を増加させると考えられる。水分含有量およびpHの最適化が、膨張率を最大限に制御するために必要とされる。膨張の制御は、とりわけ、デバイスの位置決め/再位置決め時間に影響を及ぼす。一般的に、約0.1分〜約30分の位置決め/再位置決め時間が、本発明に従ったヒドロゲルデバイスに対しては好ましい。
【0046】
培養後に、余分な処理溶液が洗浄され、ヒドロゲル物質は乾燥される。低pH溶液で処理されたヒドロゲルは、非処理ヒドロゲルよりも小さな寸法にまで乾燥することが観察された。この効果は、これらのヒドロゲルを有するデバイスがマイクロカテーテルを介して送達され得るので、望ましい。
【0047】
イオン化官能基がアミン基であるヒドロゲルネットワークについては、ヒドロゲルは高pH溶液で培養される。カルボン酸官能基とは異なり、脱プロトン化は、ヒドロゲルネットワークのアミン基上で、高pHで生じる。培養溶液のpHを除いては、培養は、カルボン酸含有ヒドロゲルのものと同様に行われる。すなわち、培養の時間および温度ならびに溶液のpHは、膨張制御量に正比例する。培養が完了した後に、余分な処理溶液は洗浄され、ヒドロゲル物質は乾燥される。
【0048】
好適な実施形態において、膨張性要素1は、(a)少なくとも2つの架橋性基を有する、少なくとも1つの、好ましくは非イオン性である、エチレン性不飽和マクロマーまたはポリマーまたはモノマー、(b)少なくとも1つの架橋性基、および環境パラメータの変化に敏感な少なくとも1つの部分を有する、少なくとも1つのモノマーおよび/またはポリマー、ならびに(c)重合開始剤、から成る膨張性ヒドロゲルである。一部の実施形態において、モノマーおよびポリマーは水溶性であり得、その一方で、他の実施形態において、それらは非水溶性であり得る。構成要素(a)にとって好適なポリマーは、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)−コポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリジノン)、ポリ(アミノ酸)、デキストラン、ポリ(エチルオキサゾリン)、多糖類、タンパク質、グリコサミノグリカン、および炭水化物、ならびにそれらの誘導体を含む。好ましいポリマーは、特に構成要素(a)について、ポリ(エチレングリコール)(PEG)である。代替案として、部分的または完全に生物分解するポリマーが、利用され得る。
【0049】
一実施形態は、溶媒の存在下で、(a)約5%から約50%までの非イオン性の、エチレン性不飽和マクロマーまたはポリマーまたはモノマー、(b)少なくとも1つのイオン化官能基を有する、約5%から約60%までのエチレン性不飽和モノマーまたはポリマー、および(c)重合開始剤、を組み合わせるステップを含む。好適なイオン化エチレン性不飽和モノマーは、アクリル酸およびメタクリル酸、またそれらの誘導体を含む。少なくとも1つのイオン化官能基を有する好適なモノマーの1つは、アクリル酸ナトリウムである。2つのエチレン性不飽和部分を有する好適なマクロマーは、400グラム/モルと30,000グラム/モルとの間の分子量を有する、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレートおよびポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミド、ならびにポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドを含む。複数のエチレン性不飽和基を有するマクロマーを使用することで、多官能ポリマーによって架橋剤機能が果たされるので、架橋剤の排除が可能となる。一実施形態において、ヒドロゲルは、約5%から約60%までのアクリル酸ナトリウム、約5%から約50%までのポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドを備える。
【0050】
アクリル酸ナトリウム/ポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドヒドロゲルは、先に記載した環境応答性ヒドロゲルの、機械的性質を向上するために使用される。アクリル酸ナトリウム/ポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドヒドロゲルは、アクリル酸ナトリウム/アクリルアミドヒドロゲル(例えば、カリフォルニア州Aliso ViejoのMicroVention社製の、ヒドロゲル塞栓形成システム(HES)で使用されるもの)よりも柔らかであるために、それを組み込んだデバイスは、より柔軟であり得る。HESが比較的硬いために、MicroVention社は、インプラントを暖かい流体中に浸す、または蒸気を当てることによって、デバイスを予備軟化することを推奨している。加えて、アクリルアミドベースのヒドロゲルの硬さが、搬送部材(HESについてはマイクロコイル)が二次的構成を担うことを妨げるために、アクリルアミドで作製されるデバイスは、予備軟化される以前には比較的直線状である。アクリル酸ナトリウム/ポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドヒドロゲルで作製されるデバイスは、搬送部材2または類似の搬送部材に加熱固定された二次的構成に形成するために、食塩水または血液のような温かい流体に浸す、または蒸気に暴露する、などの予備軟化手法を必要とし得ない。従って、例えばアクリル酸ナトリウムおよびポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドを備える実施形態において、例えば図1に示す搬送部材2の内腔3の内部に配置されるか、あるいはMartinezの’981出願またはGreeneの’261に示されるもののような搬送要素の上に配置された、実質的に連続した長さのヒドロゲルが、事前処理(例えば、蒸気、流体、血液への暴露)なしに、搬送部材の形に事前形成された二次的構成を形成する。これは、事前処理ステップの排除を可能にするので、デバイスの使用をより容易にし、また、より柔らかいデバイスは病巣に損傷を与えにくいために、デバイスは患者の中に配置されたときに、より安全であり得る。
【実施例】
【0051】
3gのアクリルアミド、1.7gのアクリル酸、9mgのビスアクリルアミド、50mgのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、15mgの過硫酸アンモニウム、および15.9gの水が組み合わされ、0.020インチのチューブ内で重合された。チューブ状のポリマーがチューブから取り出され、米国特許第6,878,384号に従ったヒドロゲル1を調製した。
【0052】
4.6gのポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミド、3.3gのアクリル酸ナトリウム、100mgのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、25mgの過硫酸アンモニウム、および15.9gの水が組み合わされ、0.020インチのチューブ内で重合された。チューブ状のポリマーがチューブから取り出され、本発明のマクロマー含有ヒドロゲル実施形態に従った、ヒドロゲル2を調製した。
【0053】
上記の実施例に対する大型白金マイクロコイルは、0.014インチの外径および0.0025インチの糸線を有する。小型白金マイクロコイルは、0.010インチの外径および0.002インチの糸線を有する。
【0054】
8.3gのポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミド、9.0gのアクリル酸ナトリウム、155mgのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、20mgの過硫酸アンモニウム、および15.9gの水を組み合わせて、0.025インチのチューブの中で重合した。本発明のマクロマー含有ヒドロゲルの実施形態に従って、ヒドロゲル3を調製するために、チューブ状のポリマーをチューブから取り出した。
【0055】
ヒドロゲル3は、ヒドロゲル1および2の実施例とは明確に異なる。ヒドロゲル3は、ヒドロゲル1に対して低減した剛性を有し、さらに、ヒドロゲル3は、使用前に前処理を必要としない。そのような前処理は、所望の可撓性を達成するために、温かい流体中の浸漬または蒸気処理を必要とし得る。ヒドロゲル3はまた、ヒドロゲル2と比較して増加した膨張も可能にする。
【0056】
別の実施形態において、例えば、副腎皮質ステロイド(例えばプレドニゾンおよびデキサメタゾン)のような抗炎症薬;または亜酸化窒素またはヒドララジンのような血管拡張剤;またはアスピリンおよびヘパリンのような抗血栓剤;または他の治療用化合物、イガイ付着タンパク質(MAP)のようなタンパク質、3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−L−アラニン(DOPA)のようなアミノ酸、遺伝子、または細胞物質などの、生物活性化合物を、連結するために適した部分を膨張性要素1に与えるために、モノマーが使用される。米国特許第5,658,308号、WO99/65401号、Polymer Preprints 2001、42(2)、147「Synthesis and Characterization of Self−Assembling Block Copolymers Containing Adhesive Moieties」(Kui Hwangらによる)、およびWO00/27445号を参照されたく、これらの開示は、参考として本明細書において援用される。ヒドロゲル物質に組み込むための部分の例は、ヒドロキシル基、アミン、およびカルボン酸を含むが、これらに限定されない。
【0057】
別の実施形態において、膨張性要素1は、例えばヨウ素を含有するモノマーおよび/またはポリマーの組み込み、またはタンタルおよび白金のような放射線不透過性金属の組み込みによって、放射線不透過性を与えられ得る。
【0058】
一部の実施形態において、搬送部材2は柔軟で細長い構造である。搬送部材2の好適な構成は、螺旋状コイル、編組、およびスロット付きまたは螺旋切り込み付きチューブを含む。搬送部材2は、白金、タングステン、PET、PEEK、テフロン(登録商標)、ニチノール、ナイロン、鋼、などの、任意の好適な生体適合性金属またはポリマーで作製され得る。搬送部材は、螺旋、箱、球体、平らな輪、J字型、S字型、または当該分野において公知の他の複雑な形状のような、二次的構成に形成され得る。適切な形状の例がHortonの第5,766,219号、Schaeferの出願第10/043,947号、およびWallaceの第6,860,893号において開示されており、そのすべてが、参考として本明細書において援用される。
【0059】
先に記載の通り、本発明の一部の実施形態は、十分に柔らかで柔軟なポリマーを備え得るので、実質的に連続した長さの膨張性要素1が、デバイスを予備軟化したり、あるいはそれを血液、流体、または蒸気に暴露することなしに、もともと搬送部材2に設定された構成と類似の二次的構成を形成する。
【0060】
一部の実施形態において、搬送部材2は、少なくとも1つの空隙7を組み込み、該空隙は、膨張性要素1が該空隙を通って膨張できる寸法である(本構成の一実施形態を図1〜図2に示す)。他の実施形態において、搬送部材2は、少なくとも1つの空隙7を組み込み、該空隙は、膨張性要素1の体液への暴露を可能にするが、膨張性要素1は必ずしも該空隙を通って膨張しない(本構成の一実施形態を図8に示す)。他の実施形態においては、実質的な空隙が、搬送部材2に組み込まれない。むしろ、流体がデバイスの末端から浸透し得、あるいは内腔を通って送達システム内に注入され、膨張性要素1が膨張して、搬送部材2の内部を埋め尽くす。
【0061】
図1に示す一実施形態において、膨張性要素1は、アクリルアミドまたはポリ(エチレングリコール)ベースの膨張性ヒドロゲルを備える。搬送部材2は、コイルを備える。少なくとも1つの空隙7が、搬送部材2の中に形成される。膨張性要素1は、搬送部材2によって画定される内腔3の中に、概ね同軸構成に配置される。先端4が、例えばレーザ、ハンダ、接着剤、またはヒドロゲル物質自体を融解することによって、デバイス11の遠位端に形成される。膨張性要素1は、近位端から遠位端までに連続して存在し得、または、デバイスの一部分に存在して、遠位端または近位端、あるいはその両方に到達する手前で終了し得る。
【0062】
実施例として、一実施形態において、デバイスは、脳動脈瘤を治療するように寸法設定される。当業者であれば、本実施例で使用される寸法は、より大きな病変またはより小さな病変を治療するために再拡大縮小できることを理解する。本実施形態において、膨張性要素1は、膨張前には約0.006インチ〜0.007インチであり、膨張後には約0.02インチである。膨張性要素は、例えば、約52%アクリル酸ナトリウム、約8000グラム/モルの分子量を伴う48%ポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドである。約0.4g/g塩化ナトリウム(約10ミクロン粒径)がポロシゲンとして使用され、約0.6mg/mLの過硫酸アンモニウムおよび7mg/mLのテトラメチルエチレンジアミンが開始剤として使用される。本実施形態において、搬送部材2は、直径が約0.012インチ〜0.0125インチの範囲内のマイクロコイルであり、約0.002インチから0.00225インチの間の糸線を有する。一実施形態において、搬送部材2は、1〜3の糸線長の少なくとも1つの空隙7を備える。別の実施形態において、搬送部材2は、約2糸線長である、少なくとも1つの空隙7を備える。一実施形態において、空隙7のサイズは、長さ約0.0015インチから0.0075インチの間である。別の実施形態において、空隙7のサイズは、長さ0.00225インチから0.00750インチである。
【0063】
連結部分13が近位端付近に設置されて、インプラント11が送達システムに着脱可能に連結され、またはカテーテルを通じて押し込みまたは注入されることができるようにする。送達システムの実施例は、Fitzに属する同時係属中の出願第11/212,830号、Guglielmiに属するUS6,425,893号、Ritchartに属するUS4,994,069号、Diazに属するUS6,063,100号、およびBerensteinに属するUS5,690,666号の中に見出され、それらの開示は、参考として本明細書において援用される。
【0064】
本実施形態において、インプラント11は、膨張性要素1を形成するために先に記載した通り、ヒドロゲル物質を配合および混合することによって製作される。搬送部材2は、螺旋状または複雑な形の周りに巻きつけられ、次いで、当該分野において公知の技術によって加熱固定され、二次的な0.5mm〜30mmの範囲の直径および5mm〜100cmの範囲の長さを形成する。加工、洗浄、および任意の酸処理の後に、膨張性要素1は、搬送部材2の内腔3に通される。膨張性要素1の遠位端は、搬送部材2の遠位端に、例えば結び目を形成することによって、結び付けられる。UV硬化接着剤またはエポキシのような接着剤が使用され得、膨張性要素1と搬送部材2との間の接着をさら強化し、遠位先端4を形成する。代替案として、先端は、例えばレーザ溶接またはハンダボールによって形成され得る。
【0065】
いくつかの実施形態において、膨張性要素1が膨張するにつれて、空隙7のサイズ、膨張比、ループまたは折り曲げ部12は、図7に示されるように形成し得る。これらのループまたは折り曲げ部12が形成するのを防止することが望ましい。これは、搬送部材2内に膨張性要素1を設置する前、または膨張性要素1の遠位端が搬送部材2に固定された後のいずれかに、膨張性要素1を延伸させることによって行うことができる。例えば、いったん膨張性要素1の遠位端が搬送部材2に固定されると、膨張性要素1は、搬送部材2内に膨張性要素1を設置する前に、0.010インチの初期直径が約0.006インチから0.007インチの間に縮小されるように延伸される。延伸後、膨張性要素1は、搬送部材2の長さに合致するように切り取られ、次いで、例えば、結び目を作ること、接着剤による接着、または当技術分野で公知の他の技法によって、搬送部材2の近位端付近に接着され得る。
【0066】
インプラント11が製作されると、当該分野において公知の方法によって、それは先に記載の送達システムに取り付けられる。本デバイスはまた、膨張性要素1を架橋するため、およびその膨張を制御するために、例えば電子ビームまたはガンマ線照射に暴露され得る。これは米国特許第6,537,569号に記載されており、該特許は、本出願の譲受人に譲渡され、参考として本明細書において援用される。
【0067】
これまで、従来のデバイス(例えば、HES)の二次的寸法は、これらのデバイスが比較的硬いために、一般に治療部位の寸法(つまり、容積)よりも1〜2mm小さくサイズ設定されている。本発明のインプラント11の増加した柔軟性、およびその全体的な設計が、インプラント11の二次的形状を、治療部位とほぼ同じ寸法、またはさらに若干大きい寸法とすることを可能とする。このサイズ設定はさらに、インプラントが治療部位内で移動、またはそこから滑り出る危険を最小化する。
【0068】
HESデバイスのような従来のインプラントデバイスは、現在、使用者に約5分間の再位置決め時間を提供する。しかしながら、本発明のインプラント11は、再位置決め時間を増加させる。一部の実施形態において、処置中の再位置決め時間が約30分間にまで増加され得る。この点において、使用者は、より長い再位置決め時間を提供され、望ましいインプラント構成をより良く達成できる。
【0069】
図2は、膨張性要素1が空隙7を通って搬送部材2よりも大きな寸法にまで膨張した後の、図1に示すものと類似のインプラント11を示す。
【0070】
図3は、複数の膨張性要素1が搬送部材2の中に互いにほぼ平行に存在する、インプラント11を示す。一実施形態において、本構成は、1つの膨張性要素1をインプラント11の先端4の周りで輪にして、膨張性要素1の両端を搬送部材2の近位端に結び付けることによって、作製される。別の実施形態において、複数本の膨張性要素1が、搬送部材2の長さに沿って接着され得る。これらの実施形態の作製は、先に記載の通り、膨張性要素1を延伸すること、および/または搬送部材2の空隙を形成することを含み得る。
【0071】
図4は、インプラント11が非コイル状の搬送部材2を備える実施形態を示す。一実施形態において、搬送部材2は、膨張性要素1がそれを介して体液と接触できるような溝穴、穴、または他の有窓部を形成するために、ポリイミド、ナイロン、ポリエステル、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、PEEK、テフロン(登録商標)、炭素繊維または熱分解炭素、シリコーン、または当該分野において公知の他のポリマーのような、プラスチックのチューブまたはシートを、例えば鋸刃、レーザ、または水噴流で切断することによって形成される。本実施形態におけるプラスチックはまた、タングステン粉末、ヨウ素、または硫酸バリウムのような、放射線不透過性物質を備え得る。別の実施形態において、搬送部材2は、白金、鋼、タングステン、ニチノール、タンタル、チタニウム、クロム−コバルト合金、などのような、金属のチューブまたはシートを、例えば、酸腐食、レーザ、水噴流、または当該分野において公知の他の技術で切断することによって形成される。別の実施形態において、搬送部材2は、有窓部を形成するために、金属またはプラスチックの繊維を編組にする、編地にする、または巻き重ねることによって形成される。
【0072】
図5は、搬送部材2、膨張性要素1、および耐延伸性部材10を備えるインプラント11を示す。耐延伸性部材10は、送達および再位置決めの間に、搬送部材2が延伸したり、または巻き戻るのを防ぐために使用される。耐延伸性部材10は、鋼、ニチノール、PET、PEEK、ナイロン、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリオレフィンエラストマー、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、および当該分野において公知の他の様々な縫合物質のような、様々な金属またはプラスチックの繊維で作製され得る。インプラント11の製作は、Kenに属するUS6,013,084号およびMarksに属するUS5,217,484号(これらは共に、参考として本明細書において援用される)に記載のように、耐延伸性部材10の端部を搬送部材2の端部に取り付けることによってなされ得る。代替案として、Fitzに属する同時係属中の出願第11/212,830号に記載のように、耐延伸性部材10の遠位端は、搬送部材2の遠位端付近に、また近位端は送達システムに取り付けられた耐延伸性部材10に、取り付けられ得る。
【0073】
図6は、膨張性要素1を覆い、それに結び付けられた、またはそれに絡み合った耐延伸性部材10を備える、代替的な実施形態である。これは、膨張性要素の1全長にわたってなされ得、あるいは、一区域のみにおいて覆う、または結び付けがなされ得て、耐延伸性部材10を接着要素として使用することによって膨張性要素1の搬送要素2への接着を助長する。
【0074】
図7は、搬送要素2の外側に突出する膨張性要素1のループまたは折り曲げ部12を示す。一部の実施形態において、例えば、先に記載のとおり膨張性要素1を延伸することによって、この状態を避けることが望まれ得る。これは、例えば小さなマイクロカテーテルを通じて送達するように構成された実施形態において、インプラント11が送達中にマイクロカテーテルの中で動きが取れなくなることを防ぐために行われる。他の実施形態において、ループまたは折り曲げ部がインプラント11内に予め形成されるように、膨張性要素1に弛みが加えられ得る。これは、ループまたは折り曲げ部は膨張性要素1の全長を増すことになるので、例えば大容量の充填が必要とされる実施形態において行われる。
【0075】
図8は、膨張性要素1が、初期寸法よりも大きいが、搬送部材2の外側寸法よりも小さい寸法にまで膨張するように構成される実施形態を示す。これは、膨張性要素1がヒドロゲルを含む実施形態において、例えば、PEGジアクリルアミドのアクリル酸ナトリウムに対する比を調整することによって行われ得る。代替として、膨張性要素1を架橋するために、相対的に高い線量の放射が使用され得、その結果、膨張を制限する。図8に示されるような実施形態は、充填が必要であるときに望ましく、膨張性要素1が提供する組織の成長および増殖のための基質を有することが望ましい。脳動脈瘤を治療するために使用される実施形態において、この構成は、「充填」コイルとして使用され得る。一実施形態において、膨張性要素1は、細胞の成長および治癒を促すための網状マトリクスを提供するために、前述のようなポロシゲンを組み込むヒドロゲルを備える。前述したように、例えば、成長ホルモンまたはタンパク質を膨張性要素1に組み込むことは、インプラント11の生物学的応答を引き出す能力をさらに強化し得る。
【0076】
図9〜11は、本発明によるインプラント11の別の好ましい実施形態を図示する。このインプラントは、前述の実施形態とほぼ同様であり、搬送部材2内に配置された膨張性要素1を含む。加えて、耐延伸性部材10は、膨張性要素1の長手方向軸に沿うように位置付けられ、搬送部材2の遠位端に取り付けられる。耐延伸性部材10は、好ましくは、膨張性要素1内に位置するか、または膨張性要素1によって部分的に囲まれる。好ましくは、耐延伸性部材10は、図11に示されるように、搬送部材2の近位部分に巻き付けられ、送達デバイス20の遠位端内のヒーターコイル22の付近に取り付けられる。
【0077】
図9において最も良く見られるように、搬送部材2の近位端は、部材2の他のコイル状領域よりも小さい直径を有するコイル状領域を含み得る。このより小さい直径のコイル状領域は、部材2の他のコイル状領域の直径を通り過ぎて外向きに延在することなく、耐延伸性部材10が部材2に巻き付けられることを可能にする。加えて、耐延伸性部材10のループが露出されることなく、より小さい直径のコイル状領域を覆って、被覆材料5をさらに位置付けることができる。好ましくは、この被覆材料5は、レーザ、はんだ、接着剤、または融解ヒドロゲル材料である。
【0078】
図9において最も良く見られるように、搬送部材のらせん状のコイルの間隔は、インプラント11の長さ方向に沿って変化し得る。例えば、コイルは、相互に接近して、または近位および遠位端の付近で相互に接触して位置し得る一方で、インプラント11の中心部分は、それらの間により大きい空間を伴うコイルを有し得る。言い換えれば、コイルの間の空隙は、インプラント11の大部分に沿ってより大きく、インプラント11の端部の付近でより小さくなり得る。
【0079】
一実施形態において、このインプラント11を以下の方法に従って作製する。膨張性要素1を、本明細書における先述の技法に従ってヒドロゲルを用いて作製する。一実施形態において、膨張性要素1を、内径が約0.025インチから0.032インチの間の重合チューブの中で形成する。重合後、重合チューブを複数の区分に切断し、この複数の区分を真空下で乾燥させる。いったん全ての水をヒドロゲルから除去して、乾燥したヒドロゲルをマンドレルを使用して重合管から押し出す。次いで、ヒドロゲルを水で3回洗浄し、ヒドロゲルを膨張させ、塩化ナトリウムおよび未反応モノマーを除去する。
【0080】
次いで、この膨張したヒドロゲルは、マイクロコイル(または同様の細長いツール)を使用して、ヒドロゲルの長手方向軸に沿って(すなわち、その長さ方向の軸に沿って)串刺しにする。この串刺しにより、後で耐延伸性部材10を通すことができるように、ヒドロゲルフィラメントのほぼ中心に沿って経路を作製する。次に、串刺しにしたヒドロゲルは、塩酸溶液の中への浸浸によって酸処理され、ポリマー網目のアクリル酸ナトリウム成分のカルボン酸部分をプロトン化する。串刺しにしたヒドロゲルを、最終的に、残留酸を除去するようにアルコールで洗浄し、真空下で乾燥させる。
【0081】
空隙付き白金コイルを部材2に対して使用し、この白金コイルは、約0.012インチから約0.018インチに及ぶ外径と、約0.0015インチから約0.0030インチに及ぶ糸線と、および約0.0015インチから約0.0075インチに及ぶ空隙7とを有する。別の実施形態において、空隙7は、約0.00225インチから約0.00750インチに及ぶ。一実施形態において、この白金コイルは、約0.012インチの外径と、約0.002インチの糸線と、約0.004インチの空隙7とを有する。別の実施形態において、この白金コイルは、約0.0125インチの外径と、約0.00225インチの糸線と、約0.0045インチの空隙7とを有する。この空隙付き白金コイルを、マンドレルに対して巻き付け、二次的ならせん形状に熱設定する。白金コイルを、所望のインプラントの長さに切断し、はんだ付け、溶接、または接着剤(例えば、図9の溶接15)を介して連結マーカーバンドまたは連結器13に接着する。
【0082】
ヒドロゲルフィラメントを串刺しにするために使用したコイルを除去し、耐延伸性部材10用の約0.0022インチポリオレフィン耐延伸性ネジ山を、コイルによって残された経路に沿ってフィラメントを通して螺合する。約0.010インチから約0.018インチの間の外径を有するヒドロゲルフィラメントを、約0.006インチから約0.012インチの間の外径まで延伸させ、空隙付き白金本体コイルに挿入する。依然として張力を受けている間、ヒドロゲルフィラメントは、両端で本体コイルに接着される。
【0083】
耐延伸性糸を白金コイルの遠位端において締め付け、近位端(すなわち、連結器13を伴う端部)において開放コイル空隙に巻き付ける。インプラント11の両端を、耐延伸性部材10を固定し、膨張性要素1の端部を封入するように、接着剤4および5で覆う。最終的に、インプラント11を、インプラント11の近位端から突出する耐延伸性部材10を使用して、着脱プッシャに取り付ける。
【0084】
本実施形態のインプラント11の使用中に、インプラント11をマイクロカテーテル(図示せず)を通して、着脱プッシャ20を介して前進させる。マイクロカテーテルの遠位端が所望の標的領域に達すると、プッシャ20を前進させることにより、マイクロカテーテルからインプラント11を押し出す。ユーザがインプラント11を着脱することを希望するときに、ヒーターコイル22を耐延伸性部材10を破壊するように前進させる。血液との接触時に、pHに敏感な膨張性要素を、約0.020インチから0.035インチの間の最終直径まで膨張させ、約5〜10分の作業時間をユーザに許容する。
【0085】
本発明の別の実施形態において、図9のインプラント11は、耐延伸性部材10を含み、この耐延伸性部材10は、ポリオレフィンから構成され、約0.0022インチの外径を有する。膨張性要素1は、約48%のPEG 8000ジアクリルアミドと52%のアクリル酸ナトリウムのヒドロゲルから成る。部材2は、約0.012インチから0.020インチの間、より好ましくは、約0.012インチの外径を有する空隙付き白金コイルである。部材2は、約0.0015インチから0.005インチの間、より好ましくは約0.002インチの糸線を有する。部材2の巻線の間の空隙は、好ましくは、約0.003インチである。
【0086】
図12は、前述の実施形態と同様のインプラント11の好ましい実施形態を図示し、ここにおいて、部材2の巻線の間の空隙が、好ましくは、約0.002インチから0.020インチの間である。加えて、インプラント11は、インプラント11の近位端に、インプラントの遠位端に、インプラントの近位または遠位端に隣接して、またはこれらの場所の任意の組み合わせで位置する1つ以上の外側部材30を含む。図12の実施例において、外側部材30は、インプラント11の近位および遠位端に位置付けられる。
【0087】
一実施例において、外側部材30は、好ましくは、約0.010インチから0.120インチの間、より好ましくは、約0.040インチから0.080インチの間の長さを有する白金コイルから構成される。外側部材30の内径は、好ましくは、約0.012インチから0.017インチの間、より好ましくは、約0.012インチから0.0125インチの間である。外側部材30のワイヤは、好ましくは、約0.0015インチから約0.003インチの間、より好ましくは、約0.0015インチの糸線を有する。
【0088】
別の実施例において、外側部材30は、約0.010インチから0.120の間、より好ましくは、約0.040インチから0.080インチの間の長さを有する、スロット付き管から成る。スロット付き管の内径は、好ましくは、約0.012インチから0.017インチの間、より好ましくは、約0.012インチから0.0125インチの間である。スロット付き管の厚さは、好ましくは、約0.001インチから0.003インチの間、より好ましくは、約0.0015インチである。
【0089】
図13は、前述の実施形態とほぼ同様であるインプラント11の別の好ましい実施形態を図示する。しかしながら、このインプラント11はさらに、耐延伸性部材10を覆って配置される、閉鎖巻装白金コイル32を備える。好ましくは、耐延伸性部材10は、ポリエチレンから成り、約0.0009インチの外径を有する。閉鎖巻装白金コイル32は、好ましくは、約0.006インチの外径を有し、約0.0015インチのワイヤ糸線を有する。膨張性要素1は、好ましくは、48%のPEG 8000ジアクリルアミドおよび52%のアクリル酸ナトリウムとで構成される。部材2は、約0.012インチから0.020インチの間、より好ましくは、約0.014インチから0.015インチの間の外径を有する、空隙付き白金コイルである。部材2は、約0.0015インチから0.005インチの間、より好ましくは、約0.002インチの糸線を有する。部材2の巻線の間の空隙は、好ましくは、約0.002インチから0.020インチの間、より好ましくは、0.004インチである。
【0090】
好ましくは、図13のインプラント11は、本明細書で前述のようなヒドロゲルを用いて膨張性要素1を調製することによって作製される。酸処理前に、水和ヒドロゲルが白金コイル32で串刺しにされる。好ましくは、白金コイル32は、串刺しにする前に、規定のピッチおよび直径を伴う所定のらせん形状に熱設定される。インプラント11のさらなる処理および構築中に支持を提供するように、堅く、好ましくは、白金ベースのマンドレルが、白金コイル32に挿入される。
【0091】
ヒドロゲルの酸処理後、マンドレルを白金コイル32内から除去し、耐延伸性部材10(例えば、ポリオレフィンモノフィラメント)と交換する。オプションで、マンドレルおよび白金コイル32の両方を除去し、耐延伸性部材10に交換することもできる。部材2(例えば、空隙付き白金コイル)は、結果として生じるサブアセンブリを覆って設置され、部材2の内径内に自由空間をほとんど許容しない、または全く許容しないように適切にサイズ決定される。部材2は、オプションで、ヒドロゲルおよび白金コイル32を覆って設置する前に、規定のピッチおよび直径の予備的で好ましくはらせん形の形状に巻装および熱設定することができる。
【0092】
いったん部材2が設置されると、部材2を、近位および遠位端で、接着剤(好ましくは、UV硬化型接着剤)を使用してヒドロゲルに接着する。この時点で、外側部材30は、オプションで、インプラント11の1つ以上の端部に位置し、接着することができる。次いで、耐延伸性部材10を、インプラント11の両端で固定し、インプラント11は、本明細書の他の場所で説明されるような電気的着脱機構に連結する。
【0093】
本発明の一実施形態において、血管閉塞デバイスは、外表面を有する膨張性ポリマー要素と、膨張性ポリマー要素の外表面の少なくとも一部分を覆う搬送部材とを備え、膨張性要素の外表面の内部には搬送部材は配置されない。
【0094】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、内腔を有するコイルと、外表面を有するヒドロゲルポリマーとを備え、ヒドロゲルポリマーは、該コイルの内腔内に配置され、ヒドロゲルポリマーは、ヒドロゲルポリマーの外表面の内部にコイルを含まない。
【0095】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、二次的構成に形成された搬送部材と、膨張性要素とを備え、膨張性要素は、十分な柔らかさを有するように配合されたポリマーで作製され、膨張性要素は前処理なしに、実質的に搬送部材に形成された二次的構成の形状をとる。
【0096】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、二次的構成に形成された搬送部材と、実質的に連続した長さのヒドロゲルとを備え、本デバイスは前処理なしに、実質的に搬送部材に形成された二次的構成の形状をとる。
【0097】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、内側内腔を有するマイクロコイルと、内側内腔の中に配置された膨張性要素とを備える。本実施形態において、膨張性要素は、アクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)、プルロニック、およびポリ(プロピレンオキシド)から成る群から選択される、ヒドロゲルを含む。
【0098】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、コイルと、コイル内に少なくとも部分的に配置されたヒドロゲルポリマーとを備え、ヒドロゲルは初期長さを有し、ヒドロゲルポリマーは該初期長さよりも長い第2の長さに延伸されている。
【0099】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、膨張性要素と、内側内腔を画定する搬送部材とを備え、膨張性要素は搬送部材の内側内腔の中に配置され、膨張性要素は、膨張性要素のループが搬送部材を通って突出することを防ぐための十分な長さに延伸されている。
【0100】
本明細書において開示された本発明はまた、医療デバイスを製造する方法を含む。本方法は、内側内腔を有する搬送部材と、膨張性要素とを提供するステップと、膨張性要素を搬送部材の内側内腔の中に挿入するステップと、膨張性要素を延伸するステップとを含む。
【0101】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、搬送要素によって封入された膨張性要素を含み、膨張性要素は実質的に全体に、かつ実質的に均一に、膨張特性を有する物質から成る。
【0102】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、搬送要素と、膨張性要素とを備え、搬送要素は一次形状とは異なる二次的形状を有し、膨張性要素は、通常の未処理状態において、搬送部の二次的形状に十分適合するほどに柔軟である。
【0103】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、搬送部と膨張性要素とを含み、膨張性要素は、膨張性要素が搬送部に沿って延伸された状態で、搬送部に固定される。
【0104】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、搬送部に沿って複数の空隙を有する搬送部と、搬送部の内側包絡面に沿って配置された膨張性要素とを含み、膨張性要素は空隙の内部には膨張するが、搬送部の外側包絡面を越えては膨張しないように、膨張性要素の膨張が制御される。
【0105】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、搬送部材と、膨張性要素とを含み、膨張性要素は、搬送部に沿って延在する複数本から成る。
【0106】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、搬送部と、膨張部材とを含み、搬送部は非コイル状の円筒形状構造であり、膨張部材は搬送部の内側に配置される。
【0107】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、搬送部と、膨張部材と、耐延伸性部材とを含み、該膨張部材および該耐延伸性部材は搬送部の内部領域に配置され、耐延伸性部材は該搬送部の上で緊張された状態にある。
【0108】
本明細書において開示された本発明はまた、体内の病巣を治療する方法を含む。本方法は、搬送部材と膨張性要素とを含む血管閉塞デバイスを提供するステップであって、搬送部材が病巣とほぼ同じ直径である二次的構成に形成される、ステップと、血管閉塞デバイスを病巣に挿入するステップとを含む。
【0109】
本明細書および添付図面において、本発明の好適な実施形態が説明されたが、多くの変形形態および修正形態が当業者に対して示唆されることが認識される。従って、本発明の範囲は、本明細書に記載された特定の実施形態および実施例に制限されず、代替的な実施形態および均等物を包含するとみなされるべきである。
【0110】
他に指示されていない限り、明細書および特許請求の範囲において使用される、成分、分子量のような特性、反応条件、などの量を表す全ての数字は、全ての場合において「約」という用語によって修飾されていると理解されるべきである。従って、それに反した指示がない限り、本明細書および付属の特許請求の範囲で説明される数値パラメータは近似値であり、それは、本発明によって得られることが求められる所望の特性に応じて異なり得る。少なくとも、また特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは少なくとも、報告された有効桁数に照らして、かつ通常の丸め手法を適用することによって、解釈されるべきである。本発明の広い範囲を説明する数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例において説明される数値は、できる限り正確に報告されている。しかしながら、任意の数値は、それぞれの試験測定において得られた標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を、本質的に含む。
【0111】
本発明を説明する文脈において(特に、以下の特許請求の範囲の文脈において)使用される、不定冠詞と定冠詞(「a」、「an」、「the」という用語)、および同様の指示物は、本明細書において他に指示がないか、文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を含むと解釈されるべきである。本明細書における数値範囲の列挙は、単に、その範囲内に入るそれぞれの単独の値を、個別に指すための簡易法としての役割を果たすことが意図されている。本明細書において他に指示されていない限り、個別の値のそれぞれは、本明細書において個別に列挙されているものとして、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されたすべての方法は、本明細書において他に指示されないか、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行され得る。本明細書において提供される任意の、かつすべての実施例、または例示的な言葉遣い(例えば、「のような」)の使用は、単に本発明をより解りやすくすることを意図しており、特許請求されるもの以外に、本発明の範囲に制限を加えるものではない。本明細書における言葉遣いは、本発明の実践に必須な任意の非特許請求要素を指していると解釈されるべきではない。
【0112】
本明細書において開示された発明の代替的な要素または実施形態のグループ分けは、制限として解釈されるべきではない。各グループ構成要素は、個別に、あるいはグループの他の構成要素または本明細書に見られる他の要素との任意の組合せで、参照され、また請求特許され得る。グループの1つ以上の構成要素が、便宜上および/または特許性の理由から、グループに含まれ、またはグループから削除され得ることが予期される。任意のかかる包含または削除が生じるときには、本明細書は、修正されたグループを含むものとみなされ、従って、付属の特許請求の範囲において使用されるすべてのマーカッシュグループの書面による記載を満たす。
【0113】
本発明を実行するうえで発明者らに知られる最良の形態を含む、本発明の特定の実施形態が、本明細書において説明されている。言うまでもなく、前述の説明を読めば、これらの記載された実施形態の変形形態が、当業者には明らかとなる。本発明者は、当業者がかかる変形形態を適切に利用することを期待し、本発明者らは、本明細書に具体的に記載されたものとは別の方法で、本発明が実施されることを意図する。従って、本発明は、適用法令により許される範囲で、本明細書に付属する特許請求の範囲において列挙される主題のあらゆる修正形態および均等物を含む。また、そのすべての可能な変形形態の中の前述の要素の任意の組み合わせは、本明細書において他に指示されていないか、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、本発明によって包含される。
【0114】
なお、多数の特許および刊行物が、本明細書を通して参照された。前述の参考文献および刊行物の各々は、その全体が個別に、参考として本明細書において援用される。
【0115】
最後に、本明細書において開示された本発明の実施形態は、本発明の原理を例示するものであることが理解されるべきである。利用され得る他の修正形態は、本発明の範囲内である。かくして、制限としてではなく一例として、本発明の代替的な構成が、本明細書の教示に従って利用され得る。従って、本発明は、示され記載されたように厳密には、それに限定されない。
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2009年10月26日に出願された、米国仮出願第61/254,962号(名称、Embolization Device Constructed From Expansile Polymer)への優先権を主張し、上記米国仮出願は、本明細書によって、参考として本明細書に援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、血管動脈瘤の塞栓形成のような体腔の閉塞のためのデバイス、ならびに、かかるデバイスの作製方法および使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの臨床的症状において、塞栓形成による体腔、血管、および他の内腔の閉塞が望まれる。例えば、避妊手術のための卵管の閉塞、ならびに卵円孔開存症、動脈管開存症、および左心耳、および心房中隔欠損症のような、心臓欠陥の閉塞治療がある。かかる症状における閉塞デバイスの機能は、患者の治療上の便益のために、腔、内腔、血管、空隙、もしくは欠陥の中への、またはそれらを通過する体液の流れを実質的に遮断または阻止することである。
【0004】
多くの臨床的症状において、血管の塞栓形成がまた、望まれる。例えば、血管塞栓形成は、血管からの出血を制御するために、腫瘍への血液供給を閉塞するために、および血管動脈瘤、特に頭蓋内動脈瘤を閉塞するために使用されてきた。近年、動脈瘤の治療のための血管塞栓が多くの注目を集めている。従来技術では、いくつかの異なる治療様式が示されてきた。有望な取り組みの一つが、血栓形成マイクロコイルの使用である。これらのマイクロコイルは、生体適合性金属合金(代表的には、白金またはタングステンのような放射線不透過性材料)、または好適なポリマーで作製され得る。マイクロコイルの例は、以下の特許、すなわち、特許文献1(Ritchartら)、特許文献2(Butlerら)、特許文献3(Cheeら)、特許文献4(Palermo)、特許文献5(Phelpsら)、特許文献6(Dormandy,Jr.ら)、特許文献7(Dormandy,Jr.ら)、特許文献8(Mirigian)、特許文献9(Ken)、特許文献10(Mariant)、特許文献11(Horton)、特許文献12(Snyder)および特許文献13(Berensteinら)において開示され、これらのすべてが、参考として本明細書において援用される。
【0005】
ある程度の成功を収めた特定の種類のマイクロコイルは、特許文献14(Guglielmiら)に記載される、ググリエルミ(Guglielmi)離脱型コイル(「GDC」)である。GDCは、ハンダ接続によってステンレス鋼の送達ワイヤに固定された、白金線コイルを用いる。コイルが動脈瘤の内側に設置された後に、電流が送達ワイヤに流され、ハンダ接合を電解し、それによって、コイルを送達ワイヤから離脱する。電流の通電はまた、コイル上に正の電荷を生じ、負の電荷を持つ血液細胞、血小板、およびフィブリノゲンを引き付け、それによって、コイルの血栓形成を増進する。異なる直径および長さを有するいくつかのコイルが、動脈瘤が完全に充填されるまで、動脈瘤の中に詰められ得る。かくして、コイルは、動脈瘤の中に血栓を生成して保持し、その移動および分裂を阻止する。
【0006】
マイクロコイル血管閉塞デバイスの分野における、より最近の進展は、Greene,Jr.らに属する特許文献15、Greene,Jr.らに属する特許文献16、および同時係属中の、Martinezに属する米国特許出願第10/631,981号の中で例示されており、そのすべてが主題発明の譲受人に譲渡されており、参考として本明細書において援用される。これらの特許は、コイルの外表面に配置された1つ以上の膨張性要素を有する、マイクロコイルを備える血管閉塞デバイスを開示している。膨張性要素は、任意の多数の膨張性高分子ヒドロゲルで形成され得、または代替的に、血流のような生理環境に暴露されるときに、環境パラメータ(例えば、温度またはpH)の変化に応答して膨張する、環境に敏感なポリマーで形成され得る。
【0007】
本発明は、新規の血管閉塞デバイス、新規の膨張性要素、およびそれらの組み合わせである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,994,069号明細書
【特許文献2】米国特許第5,133,731号明細書
【特許文献3】米国特許第5,226,911号明細書
【特許文献4】米国特許第5,312,415号明細書
【特許文献5】米国特許第5,382,259号明細書
【特許文献6】米国特許第5,382,260号明細書
【特許文献7】米国特許第5,476,472号明細書
【特許文献8】米国特許第5,578,074号明細書
【特許文献9】米国特許第5,582,619号明細書
【特許文献10】米国特許第5,624,461号明細書
【特許文献11】米国特許第5,645,558号明細書
【特許文献12】米国特許第5,658,308号明細書
【特許文献13】米国特許第5,718,711号明細書
【特許文献14】米国特許第5,122,136号明細書
【特許文献15】米国特許第6,299,619号明細書
【特許文献16】米国特許第6,602,261号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、搬送部材、一つまたはそれより多い新規の膨張性要素、およびそれらの組み合わせを備える、新規の血管閉塞デバイスを対象とする。一般的に、膨張性要素は膨張性ポリマーを備える。一部の実施形態においては、送達機構への連結を可能にし、また一部の実施形態においては、デバイスの放射線不透過性を増進する構造を提供することによって、搬送部材は、膨張性要素の送達を支援するために使用され得る。
【0010】
一実施形態において、膨張性ポリマーは、2005年4月12日に発行された、Cruiseらに属する米国特許第6,878,384号に記載されたもののような、環境に敏感な高分子ヒドロゲルであり、該特許は、参考として本明細書において援用される。別の実施形態において、膨張性ポリマーは、アクリル酸ナトリウムおよびポリ(エチレングリコール)誘導体から成る、新規のヒドロゲルである。別の実施形態において、膨張性ポリマーは、プルロニック(Pluronics)(登録商標)誘導体を備えるヒドロゲルである。
【0011】
一実施形態において、膨張性ポリマーは、イオン化官能基を有し、かつマクロマーから作られる、新規のヒドロゲルである。マクロマーは、非イオン性および/またはエチレン性不飽和であり得る。
【0012】
一実施形態において、マクロマーは、約400グラム/モル〜約35,000グラム/モルの分子量を有し得る。別の実施形態において、マクロマーは、約5,000グラム/モル〜約15,000グラム/モルの分子量を有し得る。さらに別の実施形態において、マクロマーは、約7,500グラム/モル〜約12,000グラム/モルの分子量を有し得る。一実施形態において、マクロマーは、8,000グラム/モルの分子量を有する。
【0013】
一実施形態において、ヒドロゲルは、ポリエーテル、ポリウレタン、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせから作られ得る。別の実施形態において、イオン化官能基は、塩基性基(例えば、アミン、その誘導体、またはそれらの組み合わせ)、または酸性基(例えば、カルボン酸、その誘導体、またはそれらの組み合わせ)を備え得る。イオン化官能基が塩基性基を備える場合には、塩基性基は、塩基性基のpKaを上回るpHで脱プロトン化され、または、塩基性基のpKa未満のpHでプロトン化され得る。イオン化官能基が酸性基を備える場合には、酸性基は、酸性基のpKa未満のpHでプロトン化され、または、酸性基のpKaを上回るpHで脱プロトン化され得る。
【0014】
一実施形態において、マクロマーは、ポリ(エチレングリコール)のビニル、アクリレート、アクリルアミド、またはメタクリレート誘導体、あるいはそれらの組み合わせを備え得る。別の実施形態において、マクロマーは、ポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドを備え得る。別の実施形態において、ヒドロゲルは、非結合アクリルアミドを実質的に含まず、より好ましくは含まない。
【0015】
一実施形態において、マクロマーは、少なくとも2つのエチレン性不飽和部分を含有する化合物に架橋され得る。エチレン性不飽和化合物の例は、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、その誘導体、またはそれらの組み合わせを含む。別の実施形態において、ヒドロゲルは、重合開始剤を使用して調製され得る。好適な重合開始剤の例は、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、過硫酸アンモニウム、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせを備える。重合開始剤は、水性または有機溶媒に溶解し得る。例えば、アゾビスイソブチロニトリルは水溶性ではない。しかしながら、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩のような、アゾビスイソブチロニトリルの水溶性誘導体が入手可能である。別の実施形態において、ヒドロゲルは、生理的条件において、実質的に再吸収されない、分解されない、またはその両方であり得る。
【0016】
一実施形態において、本発明は、動物内移植のための、環境応答性ヒドロゲルを調製するための方法を含む。本方法は、ヒドロゲルを形成するために、少なくとも1つの、好ましくは非イオン性のマクロマーを、少なくとも1つのエチレン性不飽和部分、少なくとも1つのイオン化官能基および少なくとも1つのエチレン性不飽和部分を有する、少なくとも1つのマクロマーまたはモノマー、少なくとも1つの重合開始剤、ならびに少なくとも1つの溶媒と、組み合わせるステップを含む。溶媒は、水性もしくは有機溶媒、またはそれらの組み合わせを含み得る。別の実施形態において、溶媒は水である。次に、ヒドロゲルは、環境応答性ヒドロゲル、好ましくは生理的条件に応答するヒドロゲルを調製するために、処理され得る。イオン化官能基は、酸性基(例えば、カルボン酸、その誘導体、またはそれらの組み合わせ)、または塩基性基(例えば、アミン、その誘導体、またはそれらの組み合わせ)であり得る。イオン化官能基が酸性基を備える場合には、処理するステップは、ヒドロゲルを酸性環境で培養して、酸性基をプロトン化するステップを含み得る。イオン化官能基が塩基性基を備える場合には、処理するステップは、ヒドロゲルを塩基性環境で培養して、塩基性基を脱プロトン化するステップを含み得る。特定の実施形態において、動物に移植後に、酸性基は脱プロトン化が可能であり、または逆に、塩基性基はプロトン化が可能であることが、好ましい。
【0017】
一実施形態において、エチレン性不飽和マクロマーは、ビニル、アクリレート、アクリルアミド基を有し得、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせを含む。別の実施形態において、エチレン性不飽和マクロマーは、ポリ(エチレングリコール)、その誘導体、またはそれらの組み合わせに基づく。別の実施形態において、エチレン性不飽和マクロマーは、ポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせである。別の実施形態において、エチレン性不飽和マクロマーは、ポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドである。エチレン性不飽和マクロマーは、約5重量%から約40重量%まで、より好ましくは、約20重量%から約30重量%までの濃度で使用され得る。溶媒は、約20重量%から約80重量%までの濃度で使用され得る。
【0018】
一実施形態において、組み合わせるステップはまた、エチレン性不飽和化合物を備える、少なくとも1つの架橋剤を加えるステップを含む。本発明の特定の実施形態において、架橋剤は、必要であるとは限らない。換言すれば、ヒドロゲルは、複数のエチレン性不飽和部分を有するマクロマーを使用して、調製され得る。別の実施形態において、重合開始剤は、酸化還元重合開始剤であり得る。別の実施形態において、重合開始剤は、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、過硫酸アンモニウム、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせであり得る。別の実施形態において、組み合わせるステップは、ポロシゲンを加えるステップをさらに含む。
【0019】
一実施形態において、エチレン性不飽和マクロマーは、ポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドを含み、少なくとも1つのイオン化基および少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有するマクロマーまたはモノマーまたはポリマーは、アクリル酸ナトリウムを含み、重合開始剤は、過硫酸アンモニウムおよびN,N,N’,N’テトラメチルエチレンジアミンを含み、溶媒は水を含む。
【0020】
一実施形態において、エチレン性不飽和マクロマーは、約400グラム/モル〜約35,000グラム/モルの分子量を有する。別の実施形態において、エチレン性不飽和マクロマーは、約5,000グラム/モル〜約15,000グラム/モルの分子量を有する。一実施形態において、エチレン性不飽和マクロマーは、約7,500グラム/モル〜約12,000グラム/モルの分子量を有する。別の実施形態において、環境応答性ヒドロゲルは、生理的条件において、実質的に非再吸収性、または非分解性、あるいは両方である。ある実施形態において、環境応答性ヒドロゲルは、非結合アクリルアミドを実質的に含まないことがあるか、または完全に含まないことがあり得る。
【0021】
一実施形態において、搬送部材は、金属、プラスチック、または類似の物質で作製されるコイルあるいはマイクロコイルを備える。別の実施形態において、搬送部材は、金属、プラスチック、または類似の物質で作製される編組あるいは編地を備える。別の実施形態において、搬送部材は、チューブに切り込まれた複数の切り込みまたは溝を有する、プラスチックあるいは金属のチューブを含む。
【0022】
一実施形態において、膨張性要素は、搬送部材の中に一般的に同軸的に配置される。別の実施形態において、耐延伸性部材が、膨張性要素と平行に配置される。別の実施形態において、耐延伸性部材は、膨張性要素に被されるか、結び付けられるか、または巻きつけられる。別の実施形態において、耐延伸性部材は、膨張性要素の中に配置される。別の実施形態において、耐延伸性部材は、膨張性要素内に位置するか、または膨張性要素によって部分的に囲まれる。
【0023】
一実施形態において、膨張性要素および搬送部材を備えるデバイスは、送達システムに着脱可能に連結される。別の実施形態において、本デバイスは、押込みまたは注入によって、導管を通じて体内に送達されるように構成される。
【0024】
一実施形態において、膨張性要素は環境に敏感であり、体液に暴露されると遅れ膨張を呈する。別の実施形態において、膨張性要素は、体液と接触するとすぐに膨張する。別の実施形態において、膨張性要素は、細胞増殖のための表面または足場を形成し得る、多孔性または網状の構造を備える。
【0025】
一実施形態において、膨張性要素は、病巣の充填を促進するために、搬送部材の直径を上回る寸法にまで膨張する。別の実施形態において、膨張性要素は、細胞増殖のための足場の提供、調合薬、タンパク質、遺伝子、線維素のような生体化合物、などの治療薬の放出のために、搬送部材の直径と同じか、またはそれ未満の寸法にまで膨張する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、膨張性要素の膨張前の、本発明の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図2は、膨張状態における、図1に類似のデバイスを示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の代替的な実施形態の斜視図である。
【図4】図4は、搬送部材が有窓チューブ、編組または編地を備える、代替的な実施形態の斜視図である。
【図5】図5は、膨張性要素とほぼ平行に走る耐延伸性部材を組み込んだ、代替的な実施形態の斜視図である。
【図6】図6は、膨張性要素とほぼ絡み合う耐延伸性部材を組み込んだ、代替的な実施形態の斜視図である。
【図7】図7は、膨張性要素が、搬送部材の外側にループまたは折り曲げ部を形成した、代替的な実施形態の斜視図である。
【図8】図8は、膨張性要素が搬送部材よりも大きな直径にまで膨張しない、図1および図2に示すものと類似のデバイスを示す、代替的な実施形態の斜視図である。
【図9】図9は、図1および図2に示されたデバイスと同様のデバイスを示す実施形態の側面図である。
【図10】図10は、図9のデバイスの分解斜視図である。
【図11】図11は、送達デバイスに接続された図9のデバイスの側面図である。
【図12】図12は、本発明によるインプラントの好ましい実施形態の側面図である。
【図13】図13は、本発明によるインプラントの好ましい実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書で使用されるとき、「マクロマー」の用語は、少なくとも1つの活性重合部位または結合部位を含む、巨大分子を指す。マクロマーは、モノマーよりも大きな分子量を有する。例えば、アクリルアミドモノマーは、約71.08グラム/モルの分子量を有するが、ポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドマクロマーは、約400グラム/モル以上の分子量を有し得る。好ましいマクロマーは、非イオン性、すなわち、あらゆるpHで非荷電である。
【0028】
本明細書で使用されるとき、「環境応答性」の用語は、これに限定されないが、pH、温度、および圧力を含む環境の変化に敏感な物質(例えば、ヒドロゲル)を指す。本発明における使用に好適な膨張物質の多くは、生理的条件において環境応答性である。
【0029】
本明細書で使用されるとき、「再吸収されない」の用語は、身体組織によって容易におよび/または実質的に、分解および/または吸収され得ない物質(例えば、ヒドロゲル)を指す。
【0030】
本明細書で使用されるとき、「非膨張時」の用語は、ヒドロゲルが実質的に水和しておらず、従って膨張していない状態を指す。
【0031】
本明細書で使用されるとき、「エチレン性不飽和」の用語は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む、化学物質(例えば、マクロマー、モノマー、またはポリマー)を指す。
【0032】
図1〜図8を参照すると、デバイスは、膨張性要素1および搬送部材2を備える。膨張性要素1は、好適な様々な生体適合性ポリマーで作製され得る。一実施形態において、膨張性要素1は、米国特許第7,070,607号および第6,684,884号に記載されたもののような、生体吸収性または生分解性のポリマーで作製され、それらの開示は、参考として本明細書において援用される。別の実施形態において、膨張性要素1は、柔らかな適合物質、より好ましくは、ヒドロゲルのような膨張性物質で作製される。
【0033】
一実施形態において、膨張性要素1を形成する物質は、米国特許第6,878,384号に記載のもののような、環境応答性ヒドロゲルであり、その開示は、参考として本明細書において援用される。具体的には、米国特許第6,878,384号に記載のヒドロゲルは、pHまたは温度のような環境パラメータの変化に応答して、制御された容積膨張を呈する種類のものである。これらのヒドロゲルは、(a)少なくともその一部が環境パラメータの変化に対して敏感な、少なくとも1つのモノマーおよび/またはポリマー、(b)架橋剤、および(c)重合開始剤を含有する、液体混合物を形成することによって調製される。必要な場合には、ポロシゲン(例えば、NaCl、氷晶、または蔗糖)が、混合物に加えられ得、その後、得られた固体のヒドロゲルから除去され、細胞増殖を可能にするのに十分な多孔性を有するヒドロゲルを提供する。制御された膨張率が、イオン化官能基(例えば、アミン、カルボン酸)を有するエチレン性不飽和モノマーの組み込みを通じて提供される。例えば、アクリル酸が架橋ネットワークに組み込まれる場合には、ヒドロゲルは低pH溶液中で培養され、カルボン酸基をプロトン化する。余分な低pH溶液が洗い流され、ヒドロゲルが乾燥された後に、ヒドロゲルは、生理学的pHの食塩水、または血液を充填されたマイクロカテーテルを通じて導入され得る。ヒドロゲルは、カルボン酸基が脱プロトン化するまでは、膨張できない。逆に、アミン含有モノマーが架橋ネットワークに組み込まれる場合には、ヒドロゲルは高pH溶液中で培養され、アミンを脱プロトン化する。余分な高pH溶液が洗い流され、ヒドロゲルが乾燥された後に、ヒドロゲルは、生理学的pHの食塩水、または血液を充填されたマイクロカテーテルを通じて導入され得る。ヒドロゲルは、アミン基がプロトン化するまでは、膨張できない。
【0034】
別の実施形態において、膨張性要素1を形成する物質は、米国特許第6,878,384号に記載のものと類似の、環境応答性ヒドロゲルであり得るが、しかしながら、エチレン性不飽和で、かつ好ましくは非イオン性のマクロマーが、少なくとも1つのモノマーまたはポリマーを置換または増強する。出願人は意外にも、本実施形態に従って調製されたヒドロゲルが、米国特許第6,878,384号に従って調製されたものよりも、その非膨張状態においてより柔らかく、および/またはより柔軟性を有し得ることを見出した。出願人はまた、エチレン性不飽和で、かつ非イオン性のマクロマー(例えばポリ(エチレングリコール)、およびその誘導体)が、より柔らかい非膨張時ヒドロゲルを調製するためだけではなく、イオン化基を含有するモノマーまたはポリマーと組み合わせて、また環境応答性を有するように処理され得る、ヒドロゲルを調整するためにも使用され得ることを見出した。非膨張時の柔軟性の意外な増加は、ヒドロゲルが、例えばより容易に動物に適用され、または、身体組織、導管、腔、などへの損傷を軽減あるいは与えずに適用されることを可能とする。
【0035】
イオン化官能基を有するモノマーまたはポリマーと組み合わせて、非イオン性マクロマーから調製されたヒドロゲルは、やはり、環境パラメータの変化に応答して、制御された容積膨張を呈することができる。これらのヒドロゲルは、溶媒の存在下で、(a)複数のエチレン性不飽和部分を有する、少なくとも1つの、好ましくは非イオン性の、マクロマー、(b)少なくとも1つのイオン化官能基および少なくとも1つのエチレン性不飽和部分を有する、マクロマーまたはポリマーまたはモノマー、および(c)重合開始剤を、組み合わせることによって調整され得る。特定の実施形態において、選択された成分が、ヒドロゲルを形成するのに十分であり得るので、この種のヒドロゲルについては、架橋のために架橋剤は必要ではない場合があることは、記す意義がある。以前に記載のとおり、ポロシゲンが、混合物に加えられ得、その後で得られたヒドロゲルから除去されて、細胞増殖を可能にするのに十分な多孔性を有するヒドロゲルを提供する。
【0036】
非イオン性マクロマー含有ヒドロゲルの制御された膨張率は、少なくとも1つのイオン化官能基(例えばアミン、カルボン酸)を有する、少なくとも1つのマクロマーまたはポリマーまたはモノマーの導入を通じて提供され得る。上記で論じたように、官能基が酸である場合には、ヒドロゲルは低pH溶液中で培養され、基をプロトン化する。余分な低pH溶液が洗い流され、ヒドロゲルが乾燥された後に、ヒドロゲルは、好ましくは食塩水を充填されたマイクロカテーテルを通じて導入され得る。ヒドロゲルは、酸性基が脱プロトン化するまでは、膨張できない。逆に、官能基がアミンである場合には、ヒドロゲルは高pH溶液中で培養され、基を脱プロトン化する。余分な高pH溶液が洗い流され、ヒドロゲルが乾燥された後に、ヒドロゲルは、好ましくは食塩水を充填されたマイクロカテーテルを通じて導入され得る。ヒドロゲルは、アミンがプロトン化するまでは、膨張できない。
【0037】
より具体的には、一実施形態において、ヒドロゲルは、少なくとも1つの不飽和部分を有する少なくとも1つの非イオン性マクロマー、少なくとも1つのイオン化官能基および少なくとも1つのエチレン性不飽和部分を有する、少なくとも1つのマクロマーまたはモノマーまたはポリマー、少なくとも1つの重合開始剤、および溶媒を組み合わせることによって調製される。オプションで、エチレン性不飽和架橋剤および/またはポロシゲンがまた、組み込まれ得る。一実施形態において、溶媒中の非イオン性マクロマーの濃度は、約5%(w/w)から約60%(w/w)に及ぶ。別の実施形態において、溶媒中の非イオン性マクロマーの濃度は、約20%(w/w)から約30%(w/w)に及ぶ。一実施形態において、溶媒中の非イオン性マクロマーの濃度は、約25%(w/w)である。一実施形態において、非イオン性マクロマーは、ポリ(エチレングリコール)、その誘導体、およびそれらの組み合わせである。誘導体は、ポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、およびポリ(エチレングリコール)ジメタクリレートを含むが、それらに限定されない。ポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドは、ポリ(エチレングリコール)の好ましい誘導体であり、約8,500グラム/モルから約12,000グラム/モルに及ぶ分子量を有する。マクロマーは、20未満の重合部位、より好ましくは10未満の重合部位、より好ましく約5以下の重合部位、より好ましくは約2から約4の重合部位を有してもよい。ポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドは、2つの重合部位を有する。
【0038】
少なくとも1つのイオン化官能基を有する、好ましいマクロマーまたはポリマーまたはモノマーは、カルボン酸もしくはアミノ部分を有する化合物、またはそれらの誘導体、またはそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。アクリル酸ナトリウムは、好ましいイオン化官能基含有化合物であり、94.04g/モルの分子量を有する。一実施形態において、溶媒中のイオン化マクロマーまたはポリマーまたはモノマーの濃度は、約5%(w/w)から約60%(w/w)に及ぶ。別の実施形態において、溶媒中のイオン化マクロマーまたはポリマーまたはモノマーの濃度は、約20%(w/w)から約30%(w/w)に及ぶ。一実施形態において、溶媒中のイオン化マクロマーまたはポリマーまたはモノマーの濃度は、約27%(w/w)である。いくつかの実施形態において、選択されたイオン化マクロマーまたはポリマーまたはモノマーの少なくとも約10%〜50%は、pHに敏感である。他の実施形態において、選択されたイオン化マクロマーまたはポリマーまたはモノマーの少なくとも約10%〜30%は、pHに敏感である。一実施形態において、遊離アクリルアミドは、本発明のマクロマー含有ヒドロゲルには使用されない。
【0039】
使用されるとき、架橋剤は、任意の多官能エチレン性不飽和化合物、好ましくは、N,N’−メチレンビスアクリルアミドであり得る。ヒドロゲル材料の生分解が所望される場合、生分解性架橋剤が選択され得る。溶媒中の架橋剤の濃度は、約1%w/w未満、好ましくは約0.1%(w/w)未満となるべきである。
【0040】
上記で説明されるように、溶媒が加えられる場合、溶媒は、使用されるマクロマーまたはモノマーまたはポリマー、架橋剤、および/またはポロシゲンの溶解度に基づいて選択され得る。液体マクロマーまたはモノマーまたはポリマー溶液が使用される場合、溶媒は必ずしもい必要ではない。好ましい溶媒は水であるが、種々の水性溶媒および有機溶媒が使用され得る。一実施形態において、溶媒の濃度は、約20%(w/w)から約80%(w/w)に及ぶ。別の実施形態において、溶媒の濃度は、約40%から約60%(w/)に及ぶ。
【0041】
架橋密度は、マクロマーまたはポリマーまたはモノマー濃度、マクロマー分子量、溶媒濃度、および、使用される場合には、架橋剤濃度の、変化を通じて操作され得る。上記記載のとおり、ヒドロゲルは、酸化還元、放射、および/または熱によって架橋され得る。重合開始剤の好ましい種類は、酸化還元によって作用するものである。好適な重合開始剤は、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、過硫酸アンモニウム、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。過硫酸アンモニウムとN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンとの組み合わせは、本発明の実施形態を含む、マクロマーでの使用に対して好ましい重合開始剤である。
【0042】
重合が完了した後に、本発明のヒドロゲルは、水、アルコール、または他の好適な洗浄溶液で洗浄され得、任意のポロシゲン、任意の未反応の残留マクロマー、モノマー、およびポリマーならびに任意の非組み込みオリゴマーを除去する。好ましくは、これは、最初に蒸留水の中でヒドロゲルを洗浄することによって達成される。
【0043】
多孔性は、塩化ナトリウム、氷晶、またはスクロース等のポロシゲンの使用を通して、固体ヒドロゲルに対して付与され得る。懸濁中の固体粒子の周囲でのモノマー溶液の重合と、引き続くヒドロゲルからの固体粒子の除去は、細胞内方成長を可能にするために十分な多孔性をヒドロゲルに提供し得る。好ましいポロシゲンは、直径が10ミクロン未満の粒子を伴う塩化ナトリウムである。モノマー溶液中の好ましい塩化ナトリウム濃度は、1gのモノマー溶液につき0.2g〜0.4gの塩化ナトリウムに及ぶ。
【0044】
本発明のヒドロゲルは、上記で論じたように、ヒドロゲルネットワーク上に存在するイオン化官能基をプロトン化または脱プロトン化することによって、環境応答性になされ得る。ヒドロゲルが調製され、必要な場合には洗浄されると、ヒドロゲルは、ヒドロゲルを環境応答性にするために処理され得る。イオン化官能基がカルボン酸基であるヒドロゲルネットワークについては、ヒドロゲルは低pH溶液中で培養される。溶液中の遊離プロトンが、ヒドロゲルネットワーク上のカルボン酸基をプロトン化する。培養の時間および温度ならびに溶液のpHが、膨張率に対する制御量に影響を及ぼす。一般的に、培養の時間および温度は、膨張制御量に正比例し、その一方で、培養溶液のpHは、それに反比例する。
【0045】
培養溶液の水分含有量がまた、膨張制御に影響を及ぼすことが見出された。この点に関しては、水分含有量が高いほど、大きなヒドロゲル膨張が可能となり、プロトン化に利用可能なカルボン酸基の数を増加させると考えられる。水分含有量およびpHの最適化が、膨張率を最大限に制御するために必要とされる。膨張の制御は、とりわけ、デバイスの位置決め/再位置決め時間に影響を及ぼす。一般的に、約0.1分〜約30分の位置決め/再位置決め時間が、本発明に従ったヒドロゲルデバイスに対しては好ましい。
【0046】
培養後に、余分な処理溶液が洗浄され、ヒドロゲル物質は乾燥される。低pH溶液で処理されたヒドロゲルは、非処理ヒドロゲルよりも小さな寸法にまで乾燥することが観察された。この効果は、これらのヒドロゲルを有するデバイスがマイクロカテーテルを介して送達され得るので、望ましい。
【0047】
イオン化官能基がアミン基であるヒドロゲルネットワークについては、ヒドロゲルは高pH溶液で培養される。カルボン酸官能基とは異なり、脱プロトン化は、ヒドロゲルネットワークのアミン基上で、高pHで生じる。培養溶液のpHを除いては、培養は、カルボン酸含有ヒドロゲルのものと同様に行われる。すなわち、培養の時間および温度ならびに溶液のpHは、膨張制御量に正比例する。培養が完了した後に、余分な処理溶液は洗浄され、ヒドロゲル物質は乾燥される。
【0048】
好適な実施形態において、膨張性要素1は、(a)少なくとも2つの架橋性基を有する、少なくとも1つの、好ましくは非イオン性である、エチレン性不飽和マクロマーまたはポリマーまたはモノマー、(b)少なくとも1つの架橋性基、および環境パラメータの変化に敏感な少なくとも1つの部分を有する、少なくとも1つのモノマーおよび/またはポリマー、ならびに(c)重合開始剤、から成る膨張性ヒドロゲルである。一部の実施形態において、モノマーおよびポリマーは水溶性であり得、その一方で、他の実施形態において、それらは非水溶性であり得る。構成要素(a)にとって好適なポリマーは、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)−コポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリジノン)、ポリ(アミノ酸)、デキストラン、ポリ(エチルオキサゾリン)、多糖類、タンパク質、グリコサミノグリカン、および炭水化物、ならびにそれらの誘導体を含む。好ましいポリマーは、特に構成要素(a)について、ポリ(エチレングリコール)(PEG)である。代替案として、部分的または完全に生物分解するポリマーが、利用され得る。
【0049】
一実施形態は、溶媒の存在下で、(a)約5%から約50%までの非イオン性の、エチレン性不飽和マクロマーまたはポリマーまたはモノマー、(b)少なくとも1つのイオン化官能基を有する、約5%から約60%までのエチレン性不飽和モノマーまたはポリマー、および(c)重合開始剤、を組み合わせるステップを含む。好適なイオン化エチレン性不飽和モノマーは、アクリル酸およびメタクリル酸、またそれらの誘導体を含む。少なくとも1つのイオン化官能基を有する好適なモノマーの1つは、アクリル酸ナトリウムである。2つのエチレン性不飽和部分を有する好適なマクロマーは、400グラム/モルと30,000グラム/モルとの間の分子量を有する、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレートおよびポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミド、ならびにポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドを含む。複数のエチレン性不飽和基を有するマクロマーを使用することで、多官能ポリマーによって架橋剤機能が果たされるので、架橋剤の排除が可能となる。一実施形態において、ヒドロゲルは、約5%から約60%までのアクリル酸ナトリウム、約5%から約50%までのポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドを備える。
【0050】
アクリル酸ナトリウム/ポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドヒドロゲルは、先に記載した環境応答性ヒドロゲルの、機械的性質を向上するために使用される。アクリル酸ナトリウム/ポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドヒドロゲルは、アクリル酸ナトリウム/アクリルアミドヒドロゲル(例えば、カリフォルニア州Aliso ViejoのMicroVention社製の、ヒドロゲル塞栓形成システム(HES)で使用されるもの)よりも柔らかであるために、それを組み込んだデバイスは、より柔軟であり得る。HESが比較的硬いために、MicroVention社は、インプラントを暖かい流体中に浸す、または蒸気を当てることによって、デバイスを予備軟化することを推奨している。加えて、アクリルアミドベースのヒドロゲルの硬さが、搬送部材(HESについてはマイクロコイル)が二次的構成を担うことを妨げるために、アクリルアミドで作製されるデバイスは、予備軟化される以前には比較的直線状である。アクリル酸ナトリウム/ポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドヒドロゲルで作製されるデバイスは、搬送部材2または類似の搬送部材に加熱固定された二次的構成に形成するために、食塩水または血液のような温かい流体に浸す、または蒸気に暴露する、などの予備軟化手法を必要とし得ない。従って、例えばアクリル酸ナトリウムおよびポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドを備える実施形態において、例えば図1に示す搬送部材2の内腔3の内部に配置されるか、あるいはMartinezの’981出願またはGreeneの’261に示されるもののような搬送要素の上に配置された、実質的に連続した長さのヒドロゲルが、事前処理(例えば、蒸気、流体、血液への暴露)なしに、搬送部材の形に事前形成された二次的構成を形成する。これは、事前処理ステップの排除を可能にするので、デバイスの使用をより容易にし、また、より柔らかいデバイスは病巣に損傷を与えにくいために、デバイスは患者の中に配置されたときに、より安全であり得る。
【実施例】
【0051】
3gのアクリルアミド、1.7gのアクリル酸、9mgのビスアクリルアミド、50mgのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、15mgの過硫酸アンモニウム、および15.9gの水が組み合わされ、0.020インチのチューブ内で重合された。チューブ状のポリマーがチューブから取り出され、米国特許第6,878,384号に従ったヒドロゲル1を調製した。
【0052】
4.6gのポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミド、3.3gのアクリル酸ナトリウム、100mgのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、25mgの過硫酸アンモニウム、および15.9gの水が組み合わされ、0.020インチのチューブ内で重合された。チューブ状のポリマーがチューブから取り出され、本発明のマクロマー含有ヒドロゲル実施形態に従った、ヒドロゲル2を調製した。
【0053】
上記の実施例に対する大型白金マイクロコイルは、0.014インチの外径および0.0025インチの糸線を有する。小型白金マイクロコイルは、0.010インチの外径および0.002インチの糸線を有する。
【0054】
8.3gのポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミド、9.0gのアクリル酸ナトリウム、155mgのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、20mgの過硫酸アンモニウム、および15.9gの水を組み合わせて、0.025インチのチューブの中で重合した。本発明のマクロマー含有ヒドロゲルの実施形態に従って、ヒドロゲル3を調製するために、チューブ状のポリマーをチューブから取り出した。
【0055】
ヒドロゲル3は、ヒドロゲル1および2の実施例とは明確に異なる。ヒドロゲル3は、ヒドロゲル1に対して低減した剛性を有し、さらに、ヒドロゲル3は、使用前に前処理を必要としない。そのような前処理は、所望の可撓性を達成するために、温かい流体中の浸漬または蒸気処理を必要とし得る。ヒドロゲル3はまた、ヒドロゲル2と比較して増加した膨張も可能にする。
【0056】
別の実施形態において、例えば、副腎皮質ステロイド(例えばプレドニゾンおよびデキサメタゾン)のような抗炎症薬;または亜酸化窒素またはヒドララジンのような血管拡張剤;またはアスピリンおよびヘパリンのような抗血栓剤;または他の治療用化合物、イガイ付着タンパク質(MAP)のようなタンパク質、3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−L−アラニン(DOPA)のようなアミノ酸、遺伝子、または細胞物質などの、生物活性化合物を、連結するために適した部分を膨張性要素1に与えるために、モノマーが使用される。米国特許第5,658,308号、WO99/65401号、Polymer Preprints 2001、42(2)、147「Synthesis and Characterization of Self−Assembling Block Copolymers Containing Adhesive Moieties」(Kui Hwangらによる)、およびWO00/27445号を参照されたく、これらの開示は、参考として本明細書において援用される。ヒドロゲル物質に組み込むための部分の例は、ヒドロキシル基、アミン、およびカルボン酸を含むが、これらに限定されない。
【0057】
別の実施形態において、膨張性要素1は、例えばヨウ素を含有するモノマーおよび/またはポリマーの組み込み、またはタンタルおよび白金のような放射線不透過性金属の組み込みによって、放射線不透過性を与えられ得る。
【0058】
一部の実施形態において、搬送部材2は柔軟で細長い構造である。搬送部材2の好適な構成は、螺旋状コイル、編組、およびスロット付きまたは螺旋切り込み付きチューブを含む。搬送部材2は、白金、タングステン、PET、PEEK、テフロン(登録商標)、ニチノール、ナイロン、鋼、などの、任意の好適な生体適合性金属またはポリマーで作製され得る。搬送部材は、螺旋、箱、球体、平らな輪、J字型、S字型、または当該分野において公知の他の複雑な形状のような、二次的構成に形成され得る。適切な形状の例がHortonの第5,766,219号、Schaeferの出願第10/043,947号、およびWallaceの第6,860,893号において開示されており、そのすべてが、参考として本明細書において援用される。
【0059】
先に記載の通り、本発明の一部の実施形態は、十分に柔らかで柔軟なポリマーを備え得るので、実質的に連続した長さの膨張性要素1が、デバイスを予備軟化したり、あるいはそれを血液、流体、または蒸気に暴露することなしに、もともと搬送部材2に設定された構成と類似の二次的構成を形成する。
【0060】
一部の実施形態において、搬送部材2は、少なくとも1つの空隙7を組み込み、該空隙は、膨張性要素1が該空隙を通って膨張できる寸法である(本構成の一実施形態を図1〜図2に示す)。他の実施形態において、搬送部材2は、少なくとも1つの空隙7を組み込み、該空隙は、膨張性要素1の体液への暴露を可能にするが、膨張性要素1は必ずしも該空隙を通って膨張しない(本構成の一実施形態を図8に示す)。他の実施形態においては、実質的な空隙が、搬送部材2に組み込まれない。むしろ、流体がデバイスの末端から浸透し得、あるいは内腔を通って送達システム内に注入され、膨張性要素1が膨張して、搬送部材2の内部を埋め尽くす。
【0061】
図1に示す一実施形態において、膨張性要素1は、アクリルアミドまたはポリ(エチレングリコール)ベースの膨張性ヒドロゲルを備える。搬送部材2は、コイルを備える。少なくとも1つの空隙7が、搬送部材2の中に形成される。膨張性要素1は、搬送部材2によって画定される内腔3の中に、概ね同軸構成に配置される。先端4が、例えばレーザ、ハンダ、接着剤、またはヒドロゲル物質自体を融解することによって、デバイス11の遠位端に形成される。膨張性要素1は、近位端から遠位端までに連続して存在し得、または、デバイスの一部分に存在して、遠位端または近位端、あるいはその両方に到達する手前で終了し得る。
【0062】
実施例として、一実施形態において、デバイスは、脳動脈瘤を治療するように寸法設定される。当業者であれば、本実施例で使用される寸法は、より大きな病変またはより小さな病変を治療するために再拡大縮小できることを理解する。本実施形態において、膨張性要素1は、膨張前には約0.006インチ〜0.007インチであり、膨張後には約0.02インチである。膨張性要素は、例えば、約52%アクリル酸ナトリウム、約8000グラム/モルの分子量を伴う48%ポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドである。約0.4g/g塩化ナトリウム(約10ミクロン粒径)がポロシゲンとして使用され、約0.6mg/mLの過硫酸アンモニウムおよび7mg/mLのテトラメチルエチレンジアミンが開始剤として使用される。本実施形態において、搬送部材2は、直径が約0.012インチ〜0.0125インチの範囲内のマイクロコイルであり、約0.002インチから0.00225インチの間の糸線を有する。一実施形態において、搬送部材2は、1〜3の糸線長の少なくとも1つの空隙7を備える。別の実施形態において、搬送部材2は、約2糸線長である、少なくとも1つの空隙7を備える。一実施形態において、空隙7のサイズは、長さ約0.0015インチから0.0075インチの間である。別の実施形態において、空隙7のサイズは、長さ0.00225インチから0.00750インチである。
【0063】
連結部分13が近位端付近に設置されて、インプラント11が送達システムに着脱可能に連結され、またはカテーテルを通じて押し込みまたは注入されることができるようにする。送達システムの実施例は、Fitzに属する同時係属中の出願第11/212,830号、Guglielmiに属するUS6,425,893号、Ritchartに属するUS4,994,069号、Diazに属するUS6,063,100号、およびBerensteinに属するUS5,690,666号の中に見出され、それらの開示は、参考として本明細書において援用される。
【0064】
本実施形態において、インプラント11は、膨張性要素1を形成するために先に記載した通り、ヒドロゲル物質を配合および混合することによって製作される。搬送部材2は、螺旋状または複雑な形の周りに巻きつけられ、次いで、当該分野において公知の技術によって加熱固定され、二次的な0.5mm〜30mmの範囲の直径および5mm〜100cmの範囲の長さを形成する。加工、洗浄、および任意の酸処理の後に、膨張性要素1は、搬送部材2の内腔3に通される。膨張性要素1の遠位端は、搬送部材2の遠位端に、例えば結び目を形成することによって、結び付けられる。UV硬化接着剤またはエポキシのような接着剤が使用され得、膨張性要素1と搬送部材2との間の接着をさら強化し、遠位先端4を形成する。代替案として、先端は、例えばレーザ溶接またはハンダボールによって形成され得る。
【0065】
いくつかの実施形態において、膨張性要素1が膨張するにつれて、空隙7のサイズ、膨張比、ループまたは折り曲げ部12は、図7に示されるように形成し得る。これらのループまたは折り曲げ部12が形成するのを防止することが望ましい。これは、搬送部材2内に膨張性要素1を設置する前、または膨張性要素1の遠位端が搬送部材2に固定された後のいずれかに、膨張性要素1を延伸させることによって行うことができる。例えば、いったん膨張性要素1の遠位端が搬送部材2に固定されると、膨張性要素1は、搬送部材2内に膨張性要素1を設置する前に、0.010インチの初期直径が約0.006インチから0.007インチの間に縮小されるように延伸される。延伸後、膨張性要素1は、搬送部材2の長さに合致するように切り取られ、次いで、例えば、結び目を作ること、接着剤による接着、または当技術分野で公知の他の技法によって、搬送部材2の近位端付近に接着され得る。
【0066】
インプラント11が製作されると、当該分野において公知の方法によって、それは先に記載の送達システムに取り付けられる。本デバイスはまた、膨張性要素1を架橋するため、およびその膨張を制御するために、例えば電子ビームまたはガンマ線照射に暴露され得る。これは米国特許第6,537,569号に記載されており、該特許は、本出願の譲受人に譲渡され、参考として本明細書において援用される。
【0067】
これまで、従来のデバイス(例えば、HES)の二次的寸法は、これらのデバイスが比較的硬いために、一般に治療部位の寸法(つまり、容積)よりも1〜2mm小さくサイズ設定されている。本発明のインプラント11の増加した柔軟性、およびその全体的な設計が、インプラント11の二次的形状を、治療部位とほぼ同じ寸法、またはさらに若干大きい寸法とすることを可能とする。このサイズ設定はさらに、インプラントが治療部位内で移動、またはそこから滑り出る危険を最小化する。
【0068】
HESデバイスのような従来のインプラントデバイスは、現在、使用者に約5分間の再位置決め時間を提供する。しかしながら、本発明のインプラント11は、再位置決め時間を増加させる。一部の実施形態において、処置中の再位置決め時間が約30分間にまで増加され得る。この点において、使用者は、より長い再位置決め時間を提供され、望ましいインプラント構成をより良く達成できる。
【0069】
図2は、膨張性要素1が空隙7を通って搬送部材2よりも大きな寸法にまで膨張した後の、図1に示すものと類似のインプラント11を示す。
【0070】
図3は、複数の膨張性要素1が搬送部材2の中に互いにほぼ平行に存在する、インプラント11を示す。一実施形態において、本構成は、1つの膨張性要素1をインプラント11の先端4の周りで輪にして、膨張性要素1の両端を搬送部材2の近位端に結び付けることによって、作製される。別の実施形態において、複数本の膨張性要素1が、搬送部材2の長さに沿って接着され得る。これらの実施形態の作製は、先に記載の通り、膨張性要素1を延伸すること、および/または搬送部材2の空隙を形成することを含み得る。
【0071】
図4は、インプラント11が非コイル状の搬送部材2を備える実施形態を示す。一実施形態において、搬送部材2は、膨張性要素1がそれを介して体液と接触できるような溝穴、穴、または他の有窓部を形成するために、ポリイミド、ナイロン、ポリエステル、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、PEEK、テフロン(登録商標)、炭素繊維または熱分解炭素、シリコーン、または当該分野において公知の他のポリマーのような、プラスチックのチューブまたはシートを、例えば鋸刃、レーザ、または水噴流で切断することによって形成される。本実施形態におけるプラスチックはまた、タングステン粉末、ヨウ素、または硫酸バリウムのような、放射線不透過性物質を備え得る。別の実施形態において、搬送部材2は、白金、鋼、タングステン、ニチノール、タンタル、チタニウム、クロム−コバルト合金、などのような、金属のチューブまたはシートを、例えば、酸腐食、レーザ、水噴流、または当該分野において公知の他の技術で切断することによって形成される。別の実施形態において、搬送部材2は、有窓部を形成するために、金属またはプラスチックの繊維を編組にする、編地にする、または巻き重ねることによって形成される。
【0072】
図5は、搬送部材2、膨張性要素1、および耐延伸性部材10を備えるインプラント11を示す。耐延伸性部材10は、送達および再位置決めの間に、搬送部材2が延伸したり、または巻き戻るのを防ぐために使用される。耐延伸性部材10は、鋼、ニチノール、PET、PEEK、ナイロン、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリオレフィンエラストマー、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、および当該分野において公知の他の様々な縫合物質のような、様々な金属またはプラスチックの繊維で作製され得る。インプラント11の製作は、Kenに属するUS6,013,084号およびMarksに属するUS5,217,484号(これらは共に、参考として本明細書において援用される)に記載のように、耐延伸性部材10の端部を搬送部材2の端部に取り付けることによってなされ得る。代替案として、Fitzに属する同時係属中の出願第11/212,830号に記載のように、耐延伸性部材10の遠位端は、搬送部材2の遠位端付近に、また近位端は送達システムに取り付けられた耐延伸性部材10に、取り付けられ得る。
【0073】
図6は、膨張性要素1を覆い、それに結び付けられた、またはそれに絡み合った耐延伸性部材10を備える、代替的な実施形態である。これは、膨張性要素の1全長にわたってなされ得、あるいは、一区域のみにおいて覆う、または結び付けがなされ得て、耐延伸性部材10を接着要素として使用することによって膨張性要素1の搬送要素2への接着を助長する。
【0074】
図7は、搬送要素2の外側に突出する膨張性要素1のループまたは折り曲げ部12を示す。一部の実施形態において、例えば、先に記載のとおり膨張性要素1を延伸することによって、この状態を避けることが望まれ得る。これは、例えば小さなマイクロカテーテルを通じて送達するように構成された実施形態において、インプラント11が送達中にマイクロカテーテルの中で動きが取れなくなることを防ぐために行われる。他の実施形態において、ループまたは折り曲げ部がインプラント11内に予め形成されるように、膨張性要素1に弛みが加えられ得る。これは、ループまたは折り曲げ部は膨張性要素1の全長を増すことになるので、例えば大容量の充填が必要とされる実施形態において行われる。
【0075】
図8は、膨張性要素1が、初期寸法よりも大きいが、搬送部材2の外側寸法よりも小さい寸法にまで膨張するように構成される実施形態を示す。これは、膨張性要素1がヒドロゲルを含む実施形態において、例えば、PEGジアクリルアミドのアクリル酸ナトリウムに対する比を調整することによって行われ得る。代替として、膨張性要素1を架橋するために、相対的に高い線量の放射が使用され得、その結果、膨張を制限する。図8に示されるような実施形態は、充填が必要であるときに望ましく、膨張性要素1が提供する組織の成長および増殖のための基質を有することが望ましい。脳動脈瘤を治療するために使用される実施形態において、この構成は、「充填」コイルとして使用され得る。一実施形態において、膨張性要素1は、細胞の成長および治癒を促すための網状マトリクスを提供するために、前述のようなポロシゲンを組み込むヒドロゲルを備える。前述したように、例えば、成長ホルモンまたはタンパク質を膨張性要素1に組み込むことは、インプラント11の生物学的応答を引き出す能力をさらに強化し得る。
【0076】
図9〜11は、本発明によるインプラント11の別の好ましい実施形態を図示する。このインプラントは、前述の実施形態とほぼ同様であり、搬送部材2内に配置された膨張性要素1を含む。加えて、耐延伸性部材10は、膨張性要素1の長手方向軸に沿うように位置付けられ、搬送部材2の遠位端に取り付けられる。耐延伸性部材10は、好ましくは、膨張性要素1内に位置するか、または膨張性要素1によって部分的に囲まれる。好ましくは、耐延伸性部材10は、図11に示されるように、搬送部材2の近位部分に巻き付けられ、送達デバイス20の遠位端内のヒーターコイル22の付近に取り付けられる。
【0077】
図9において最も良く見られるように、搬送部材2の近位端は、部材2の他のコイル状領域よりも小さい直径を有するコイル状領域を含み得る。このより小さい直径のコイル状領域は、部材2の他のコイル状領域の直径を通り過ぎて外向きに延在することなく、耐延伸性部材10が部材2に巻き付けられることを可能にする。加えて、耐延伸性部材10のループが露出されることなく、より小さい直径のコイル状領域を覆って、被覆材料5をさらに位置付けることができる。好ましくは、この被覆材料5は、レーザ、はんだ、接着剤、または融解ヒドロゲル材料である。
【0078】
図9において最も良く見られるように、搬送部材のらせん状のコイルの間隔は、インプラント11の長さ方向に沿って変化し得る。例えば、コイルは、相互に接近して、または近位および遠位端の付近で相互に接触して位置し得る一方で、インプラント11の中心部分は、それらの間により大きい空間を伴うコイルを有し得る。言い換えれば、コイルの間の空隙は、インプラント11の大部分に沿ってより大きく、インプラント11の端部の付近でより小さくなり得る。
【0079】
一実施形態において、このインプラント11を以下の方法に従って作製する。膨張性要素1を、本明細書における先述の技法に従ってヒドロゲルを用いて作製する。一実施形態において、膨張性要素1を、内径が約0.025インチから0.032インチの間の重合チューブの中で形成する。重合後、重合チューブを複数の区分に切断し、この複数の区分を真空下で乾燥させる。いったん全ての水をヒドロゲルから除去して、乾燥したヒドロゲルをマンドレルを使用して重合管から押し出す。次いで、ヒドロゲルを水で3回洗浄し、ヒドロゲルを膨張させ、塩化ナトリウムおよび未反応モノマーを除去する。
【0080】
次いで、この膨張したヒドロゲルは、マイクロコイル(または同様の細長いツール)を使用して、ヒドロゲルの長手方向軸に沿って(すなわち、その長さ方向の軸に沿って)串刺しにする。この串刺しにより、後で耐延伸性部材10を通すことができるように、ヒドロゲルフィラメントのほぼ中心に沿って経路を作製する。次に、串刺しにしたヒドロゲルは、塩酸溶液の中への浸浸によって酸処理され、ポリマー網目のアクリル酸ナトリウム成分のカルボン酸部分をプロトン化する。串刺しにしたヒドロゲルを、最終的に、残留酸を除去するようにアルコールで洗浄し、真空下で乾燥させる。
【0081】
空隙付き白金コイルを部材2に対して使用し、この白金コイルは、約0.012インチから約0.018インチに及ぶ外径と、約0.0015インチから約0.0030インチに及ぶ糸線と、および約0.0015インチから約0.0075インチに及ぶ空隙7とを有する。別の実施形態において、空隙7は、約0.00225インチから約0.00750インチに及ぶ。一実施形態において、この白金コイルは、約0.012インチの外径と、約0.002インチの糸線と、約0.004インチの空隙7とを有する。別の実施形態において、この白金コイルは、約0.0125インチの外径と、約0.00225インチの糸線と、約0.0045インチの空隙7とを有する。この空隙付き白金コイルを、マンドレルに対して巻き付け、二次的ならせん形状に熱設定する。白金コイルを、所望のインプラントの長さに切断し、はんだ付け、溶接、または接着剤(例えば、図9の溶接15)を介して連結マーカーバンドまたは連結器13に接着する。
【0082】
ヒドロゲルフィラメントを串刺しにするために使用したコイルを除去し、耐延伸性部材10用の約0.0022インチポリオレフィン耐延伸性ネジ山を、コイルによって残された経路に沿ってフィラメントを通して螺合する。約0.010インチから約0.018インチの間の外径を有するヒドロゲルフィラメントを、約0.006インチから約0.012インチの間の外径まで延伸させ、空隙付き白金本体コイルに挿入する。依然として張力を受けている間、ヒドロゲルフィラメントは、両端で本体コイルに接着される。
【0083】
耐延伸性糸を白金コイルの遠位端において締め付け、近位端(すなわち、連結器13を伴う端部)において開放コイル空隙に巻き付ける。インプラント11の両端を、耐延伸性部材10を固定し、膨張性要素1の端部を封入するように、接着剤4および5で覆う。最終的に、インプラント11を、インプラント11の近位端から突出する耐延伸性部材10を使用して、着脱プッシャに取り付ける。
【0084】
本実施形態のインプラント11の使用中に、インプラント11をマイクロカテーテル(図示せず)を通して、着脱プッシャ20を介して前進させる。マイクロカテーテルの遠位端が所望の標的領域に達すると、プッシャ20を前進させることにより、マイクロカテーテルからインプラント11を押し出す。ユーザがインプラント11を着脱することを希望するときに、ヒーターコイル22を耐延伸性部材10を破壊するように前進させる。血液との接触時に、pHに敏感な膨張性要素を、約0.020インチから0.035インチの間の最終直径まで膨張させ、約5〜10分の作業時間をユーザに許容する。
【0085】
本発明の別の実施形態において、図9のインプラント11は、耐延伸性部材10を含み、この耐延伸性部材10は、ポリオレフィンから構成され、約0.0022インチの外径を有する。膨張性要素1は、約48%のPEG 8000ジアクリルアミドと52%のアクリル酸ナトリウムのヒドロゲルから成る。部材2は、約0.012インチから0.020インチの間、より好ましくは、約0.012インチの外径を有する空隙付き白金コイルである。部材2は、約0.0015インチから0.005インチの間、より好ましくは約0.002インチの糸線を有する。部材2の巻線の間の空隙は、好ましくは、約0.003インチである。
【0086】
図12は、前述の実施形態と同様のインプラント11の好ましい実施形態を図示し、ここにおいて、部材2の巻線の間の空隙が、好ましくは、約0.002インチから0.020インチの間である。加えて、インプラント11は、インプラント11の近位端に、インプラントの遠位端に、インプラントの近位または遠位端に隣接して、またはこれらの場所の任意の組み合わせで位置する1つ以上の外側部材30を含む。図12の実施例において、外側部材30は、インプラント11の近位および遠位端に位置付けられる。
【0087】
一実施例において、外側部材30は、好ましくは、約0.010インチから0.120インチの間、より好ましくは、約0.040インチから0.080インチの間の長さを有する白金コイルから構成される。外側部材30の内径は、好ましくは、約0.012インチから0.017インチの間、より好ましくは、約0.012インチから0.0125インチの間である。外側部材30のワイヤは、好ましくは、約0.0015インチから約0.003インチの間、より好ましくは、約0.0015インチの糸線を有する。
【0088】
別の実施例において、外側部材30は、約0.010インチから0.120の間、より好ましくは、約0.040インチから0.080インチの間の長さを有する、スロット付き管から成る。スロット付き管の内径は、好ましくは、約0.012インチから0.017インチの間、より好ましくは、約0.012インチから0.0125インチの間である。スロット付き管の厚さは、好ましくは、約0.001インチから0.003インチの間、より好ましくは、約0.0015インチである。
【0089】
図13は、前述の実施形態とほぼ同様であるインプラント11の別の好ましい実施形態を図示する。しかしながら、このインプラント11はさらに、耐延伸性部材10を覆って配置される、閉鎖巻装白金コイル32を備える。好ましくは、耐延伸性部材10は、ポリエチレンから成り、約0.0009インチの外径を有する。閉鎖巻装白金コイル32は、好ましくは、約0.006インチの外径を有し、約0.0015インチのワイヤ糸線を有する。膨張性要素1は、好ましくは、48%のPEG 8000ジアクリルアミドおよび52%のアクリル酸ナトリウムとで構成される。部材2は、約0.012インチから0.020インチの間、より好ましくは、約0.014インチから0.015インチの間の外径を有する、空隙付き白金コイルである。部材2は、約0.0015インチから0.005インチの間、より好ましくは、約0.002インチの糸線を有する。部材2の巻線の間の空隙は、好ましくは、約0.002インチから0.020インチの間、より好ましくは、0.004インチである。
【0090】
好ましくは、図13のインプラント11は、本明細書で前述のようなヒドロゲルを用いて膨張性要素1を調製することによって作製される。酸処理前に、水和ヒドロゲルが白金コイル32で串刺しにされる。好ましくは、白金コイル32は、串刺しにする前に、規定のピッチおよび直径を伴う所定のらせん形状に熱設定される。インプラント11のさらなる処理および構築中に支持を提供するように、堅く、好ましくは、白金ベースのマンドレルが、白金コイル32に挿入される。
【0091】
ヒドロゲルの酸処理後、マンドレルを白金コイル32内から除去し、耐延伸性部材10(例えば、ポリオレフィンモノフィラメント)と交換する。オプションで、マンドレルおよび白金コイル32の両方を除去し、耐延伸性部材10に交換することもできる。部材2(例えば、空隙付き白金コイル)は、結果として生じるサブアセンブリを覆って設置され、部材2の内径内に自由空間をほとんど許容しない、または全く許容しないように適切にサイズ決定される。部材2は、オプションで、ヒドロゲルおよび白金コイル32を覆って設置する前に、規定のピッチおよび直径の予備的で好ましくはらせん形の形状に巻装および熱設定することができる。
【0092】
いったん部材2が設置されると、部材2を、近位および遠位端で、接着剤(好ましくは、UV硬化型接着剤)を使用してヒドロゲルに接着する。この時点で、外側部材30は、オプションで、インプラント11の1つ以上の端部に位置し、接着することができる。次いで、耐延伸性部材10を、インプラント11の両端で固定し、インプラント11は、本明細書の他の場所で説明されるような電気的着脱機構に連結する。
【0093】
本発明の一実施形態において、血管閉塞デバイスは、外表面を有する膨張性ポリマー要素と、膨張性ポリマー要素の外表面の少なくとも一部分を覆う搬送部材とを備え、膨張性要素の外表面の内部には搬送部材は配置されない。
【0094】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、内腔を有するコイルと、外表面を有するヒドロゲルポリマーとを備え、ヒドロゲルポリマーは、該コイルの内腔内に配置され、ヒドロゲルポリマーは、ヒドロゲルポリマーの外表面の内部にコイルを含まない。
【0095】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、二次的構成に形成された搬送部材と、膨張性要素とを備え、膨張性要素は、十分な柔らかさを有するように配合されたポリマーで作製され、膨張性要素は前処理なしに、実質的に搬送部材に形成された二次的構成の形状をとる。
【0096】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、二次的構成に形成された搬送部材と、実質的に連続した長さのヒドロゲルとを備え、本デバイスは前処理なしに、実質的に搬送部材に形成された二次的構成の形状をとる。
【0097】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、内側内腔を有するマイクロコイルと、内側内腔の中に配置された膨張性要素とを備える。本実施形態において、膨張性要素は、アクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)、プルロニック、およびポリ(プロピレンオキシド)から成る群から選択される、ヒドロゲルを含む。
【0098】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、コイルと、コイル内に少なくとも部分的に配置されたヒドロゲルポリマーとを備え、ヒドロゲルは初期長さを有し、ヒドロゲルポリマーは該初期長さよりも長い第2の長さに延伸されている。
【0099】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、膨張性要素と、内側内腔を画定する搬送部材とを備え、膨張性要素は搬送部材の内側内腔の中に配置され、膨張性要素は、膨張性要素のループが搬送部材を通って突出することを防ぐための十分な長さに延伸されている。
【0100】
本明細書において開示された本発明はまた、医療デバイスを製造する方法を含む。本方法は、内側内腔を有する搬送部材と、膨張性要素とを提供するステップと、膨張性要素を搬送部材の内側内腔の中に挿入するステップと、膨張性要素を延伸するステップとを含む。
【0101】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、搬送要素によって封入された膨張性要素を含み、膨張性要素は実質的に全体に、かつ実質的に均一に、膨張特性を有する物質から成る。
【0102】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、搬送要素と、膨張性要素とを備え、搬送要素は一次形状とは異なる二次的形状を有し、膨張性要素は、通常の未処理状態において、搬送部の二次的形状に十分適合するほどに柔軟である。
【0103】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、搬送部と膨張性要素とを含み、膨張性要素は、膨張性要素が搬送部に沿って延伸された状態で、搬送部に固定される。
【0104】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、搬送部に沿って複数の空隙を有する搬送部と、搬送部の内側包絡面に沿って配置された膨張性要素とを含み、膨張性要素は空隙の内部には膨張するが、搬送部の外側包絡面を越えては膨張しないように、膨張性要素の膨張が制御される。
【0105】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、搬送部材と、膨張性要素とを含み、膨張性要素は、搬送部に沿って延在する複数本から成る。
【0106】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、搬送部と、膨張部材とを含み、搬送部は非コイル状の円筒形状構造であり、膨張部材は搬送部の内側に配置される。
【0107】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、搬送部と、膨張部材と、耐延伸性部材とを含み、該膨張部材および該耐延伸性部材は搬送部の内部領域に配置され、耐延伸性部材は該搬送部の上で緊張された状態にある。
【0108】
本明細書において開示された本発明はまた、体内の病巣を治療する方法を含む。本方法は、搬送部材と膨張性要素とを含む血管閉塞デバイスを提供するステップであって、搬送部材が病巣とほぼ同じ直径である二次的構成に形成される、ステップと、血管閉塞デバイスを病巣に挿入するステップとを含む。
【0109】
本明細書および添付図面において、本発明の好適な実施形態が説明されたが、多くの変形形態および修正形態が当業者に対して示唆されることが認識される。従って、本発明の範囲は、本明細書に記載された特定の実施形態および実施例に制限されず、代替的な実施形態および均等物を包含するとみなされるべきである。
【0110】
他に指示されていない限り、明細書および特許請求の範囲において使用される、成分、分子量のような特性、反応条件、などの量を表す全ての数字は、全ての場合において「約」という用語によって修飾されていると理解されるべきである。従って、それに反した指示がない限り、本明細書および付属の特許請求の範囲で説明される数値パラメータは近似値であり、それは、本発明によって得られることが求められる所望の特性に応じて異なり得る。少なくとも、また特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは少なくとも、報告された有効桁数に照らして、かつ通常の丸め手法を適用することによって、解釈されるべきである。本発明の広い範囲を説明する数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例において説明される数値は、できる限り正確に報告されている。しかしながら、任意の数値は、それぞれの試験測定において得られた標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を、本質的に含む。
【0111】
本発明を説明する文脈において(特に、以下の特許請求の範囲の文脈において)使用される、不定冠詞と定冠詞(「a」、「an」、「the」という用語)、および同様の指示物は、本明細書において他に指示がないか、文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を含むと解釈されるべきである。本明細書における数値範囲の列挙は、単に、その範囲内に入るそれぞれの単独の値を、個別に指すための簡易法としての役割を果たすことが意図されている。本明細書において他に指示されていない限り、個別の値のそれぞれは、本明細書において個別に列挙されているものとして、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されたすべての方法は、本明細書において他に指示されないか、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行され得る。本明細書において提供される任意の、かつすべての実施例、または例示的な言葉遣い(例えば、「のような」)の使用は、単に本発明をより解りやすくすることを意図しており、特許請求されるもの以外に、本発明の範囲に制限を加えるものではない。本明細書における言葉遣いは、本発明の実践に必須な任意の非特許請求要素を指していると解釈されるべきではない。
【0112】
本明細書において開示された発明の代替的な要素または実施形態のグループ分けは、制限として解釈されるべきではない。各グループ構成要素は、個別に、あるいはグループの他の構成要素または本明細書に見られる他の要素との任意の組合せで、参照され、また請求特許され得る。グループの1つ以上の構成要素が、便宜上および/または特許性の理由から、グループに含まれ、またはグループから削除され得ることが予期される。任意のかかる包含または削除が生じるときには、本明細書は、修正されたグループを含むものとみなされ、従って、付属の特許請求の範囲において使用されるすべてのマーカッシュグループの書面による記載を満たす。
【0113】
本発明を実行するうえで発明者らに知られる最良の形態を含む、本発明の特定の実施形態が、本明細書において説明されている。言うまでもなく、前述の説明を読めば、これらの記載された実施形態の変形形態が、当業者には明らかとなる。本発明者は、当業者がかかる変形形態を適切に利用することを期待し、本発明者らは、本明細書に具体的に記載されたものとは別の方法で、本発明が実施されることを意図する。従って、本発明は、適用法令により許される範囲で、本明細書に付属する特許請求の範囲において列挙される主題のあらゆる修正形態および均等物を含む。また、そのすべての可能な変形形態の中の前述の要素の任意の組み合わせは、本明細書において他に指示されていないか、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、本発明によって包含される。
【0114】
なお、多数の特許および刊行物が、本明細書を通して参照された。前述の参考文献および刊行物の各々は、その全体が個別に、参考として本明細書において援用される。
【0115】
最後に、本明細書において開示された本発明の実施形態は、本発明の原理を例示するものであることが理解されるべきである。利用され得る他の修正形態は、本発明の範囲内である。かくして、制限としてではなく一例として、本発明の代替的な構成が、本明細書の教示に従って利用され得る。従って、本発明は、示され記載されたように厳密には、それに限定されない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
らせん状の搬送部材と、
イオン化官能基を有するヒドロゲルであって、該ヒドロゲルが、約48%のポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドのマクロマーと、約52%のナトリウムのpHに敏感な成分とを含む、ヒドロゲルと
を備える、動物内での移植のためのデバイス。
【請求項2】
前記マクロマーは、少なくとも1つのエチレン性不飽和化合物で架橋される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記マクロマーは、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、その誘導体、またはそれらの組み合わせで架橋される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記ヒドロゲルは、ポロシゲンによって作製された孔を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記ポロシゲンは、約0.4g/g塩化ナトリウムである、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記塩化ナトリウムは、約10ミクロンの粒径を有する、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記らせん状のコイルは、約0.0015インチから約0.00750インチに及ぶ空隙を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記空隙は、0.003インチを含む、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記ヒドロゲル部材内に配置され、前記らせん状の搬送部材の少なくとも一部分に巻き付けられた耐延伸性部材をさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記らせん状の搬送部材は、第1の直径を有するコイル状領域と、第2の直径を有するコイル状領域とを含む、請求項1に記載のインプラントデバイス。
【請求項11】
前記ヒドロゲルは、約0.006インチ〜0.007インチの直径から、膨張後の約0.02インチの直径まで膨張する、請求項1に記載のインプラントデバイス。
【請求項12】
約0.0015インチから約0.00750インチに及ぶ空隙を有するらせん状の搬送部材と、
ヒドロゲルと
を備える、動物内での移植のためのデバイス。
【請求項13】
イオン化官能基を有するヒドロゲルを含み、該ヒドロゲルは、少なくとも、約48%のポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドのマクロマーと、約52%のナトリウムのpHに敏感な成分とを含む、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記ヒドロゲルは、ポロシゲンによって作製された孔を含む、請求項12に記載のインプラントデバイス。
【請求項15】
前記ポロシゲンは、約0.4g/g塩化ナトリウムである、請求項14に記載のインプラントデバイス。
【請求項16】
前記塩化ナトリウムは、約10ミクロンの粒径を有する、請求項15に記載のインプラントデバイス。
【請求項17】
前記空隙は、0.003インチを含む、請求項12に記載のデバイス。
【請求項18】
前記ヒドロゲル部材内に配置され、前記らせん状の搬送部材の少なくとも一部分に巻き付けられた耐延伸性部材をさらに備える、請求項12に記載のデバイス。
【請求項19】
前記らせん状の搬送部材は、第1の直径を有するコイル状領域と、第2の直径を有するコイル状領域とを備える、請求項12に記載のインプラントデバイス。
【請求項20】
前記ヒドロゲルは、約0.006インチ〜0.007インチの直径から、膨張後の約0.02インチの直径まで膨張する、請求項12に記載のインプラントデバイス。
【請求項21】
0.003インチを含む空隙を有するらせん状の搬送部材と、
該らせん状の搬送部材内に配置されたヒドロゲル部材と、
該ヒドロゲル部材内に配置され、該搬送部材の少なくとも一部分に巻き付けられた耐延伸性部材と
を備え、該ヒドロゲルは、約48%のポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドのマクロマーと、約52%のアクリル酸ナトリウムのpHに敏感な成分とを含む、インプラントデバイス。
【請求項22】
前記ヒドロゲルは、約0.006インチ〜0.007インチの直径から、膨張後の約0.02インチの直径まで膨張する、請求項21に記載のインプラントデバイス。
【請求項1】
らせん状の搬送部材と、
イオン化官能基を有するヒドロゲルであって、該ヒドロゲルが、約48%のポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドのマクロマーと、約52%のナトリウムのpHに敏感な成分とを含む、ヒドロゲルと
を備える、動物内での移植のためのデバイス。
【請求項2】
前記マクロマーは、少なくとも1つのエチレン性不飽和化合物で架橋される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記マクロマーは、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、その誘導体、またはそれらの組み合わせで架橋される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記ヒドロゲルは、ポロシゲンによって作製された孔を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記ポロシゲンは、約0.4g/g塩化ナトリウムである、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記塩化ナトリウムは、約10ミクロンの粒径を有する、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記らせん状のコイルは、約0.0015インチから約0.00750インチに及ぶ空隙を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記空隙は、0.003インチを含む、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記ヒドロゲル部材内に配置され、前記らせん状の搬送部材の少なくとも一部分に巻き付けられた耐延伸性部材をさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記らせん状の搬送部材は、第1の直径を有するコイル状領域と、第2の直径を有するコイル状領域とを含む、請求項1に記載のインプラントデバイス。
【請求項11】
前記ヒドロゲルは、約0.006インチ〜0.007インチの直径から、膨張後の約0.02インチの直径まで膨張する、請求項1に記載のインプラントデバイス。
【請求項12】
約0.0015インチから約0.00750インチに及ぶ空隙を有するらせん状の搬送部材と、
ヒドロゲルと
を備える、動物内での移植のためのデバイス。
【請求項13】
イオン化官能基を有するヒドロゲルを含み、該ヒドロゲルは、少なくとも、約48%のポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドのマクロマーと、約52%のナトリウムのpHに敏感な成分とを含む、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記ヒドロゲルは、ポロシゲンによって作製された孔を含む、請求項12に記載のインプラントデバイス。
【請求項15】
前記ポロシゲンは、約0.4g/g塩化ナトリウムである、請求項14に記載のインプラントデバイス。
【請求項16】
前記塩化ナトリウムは、約10ミクロンの粒径を有する、請求項15に記載のインプラントデバイス。
【請求項17】
前記空隙は、0.003インチを含む、請求項12に記載のデバイス。
【請求項18】
前記ヒドロゲル部材内に配置され、前記らせん状の搬送部材の少なくとも一部分に巻き付けられた耐延伸性部材をさらに備える、請求項12に記載のデバイス。
【請求項19】
前記らせん状の搬送部材は、第1の直径を有するコイル状領域と、第2の直径を有するコイル状領域とを備える、請求項12に記載のインプラントデバイス。
【請求項20】
前記ヒドロゲルは、約0.006インチ〜0.007インチの直径から、膨張後の約0.02インチの直径まで膨張する、請求項12に記載のインプラントデバイス。
【請求項21】
0.003インチを含む空隙を有するらせん状の搬送部材と、
該らせん状の搬送部材内に配置されたヒドロゲル部材と、
該ヒドロゲル部材内に配置され、該搬送部材の少なくとも一部分に巻き付けられた耐延伸性部材と
を備え、該ヒドロゲルは、約48%のポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドのマクロマーと、約52%のアクリル酸ナトリウムのpHに敏感な成分とを含む、インプラントデバイス。
【請求項22】
前記ヒドロゲルは、約0.006インチ〜0.007インチの直径から、膨張後の約0.02インチの直径まで膨張する、請求項21に記載のインプラントデバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2013−508115(P2013−508115A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536927(P2012−536927)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/053972
【国際公開番号】WO2011/053555
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(500285576)マイクロベンション インコーポレイテッド (26)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/053972
【国際公開番号】WO2011/053555
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(500285576)マイクロベンション インコーポレイテッド (26)
【Fターム(参考)】
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