説明

臓器及び組織の保存方法

【課題】臓器又は組織を、有効量のカリクレイン・インヒビター及びそのような方法に有用な溶液と接触させることを含む、臓器又は組織を保存するための方法を提供する。
【解決手段】特定配列のポリペプチドを含むカリクレイン・インヒビターをおよび臓器保存液を含む、臓器又は組織を保存するための組成物。および、臓器の貯蔵及び保存溶液中に臓器を置くことを含む、術中及び/又は被験者からの臓器摘出後の臓器の再灌流障害を軽減するための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2002年8月28日に出願した米国仮出願第60/407,004号の利益を主張する。
【0002】
上記出願の全教示は本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0003】
臓器移植に関し、ドナー臓器の生存率の維持は重要な目的である。典型的には、移植される臓器は貯蔵され、将来のレシピエントへ輸送される必要がある。貯蔵及び輸送のあいだ臓器の細胞生存率を延長させるための能力は、移植手術を成功させる上で非常に重要である。保存液は臓器延命に重要な役割を果たす。臓器保存液としては、本明細書中にその内容全体が援用される、Berdyaevら、米国特許第5,432,053号;Belzerら、米国特許第4,798,824号、第4,879,283号、及び第4,873,230号;Taylor、米国特許第5,405,742号;Dohiら、米国特許第5,565,317号;Sternら、米国特許第5,370,989号及び第5,552,267号に記載されるものが挙げられる。しかしながら、臓器保存に関し、改善された方法及び溶液についての必要性が存在している。
【0004】
プロテアーゼは広範な生物学的経路に関与する。特に、カリクレイン、プラスミン、エラスターゼ、ウロキナーゼ・プラスミノーゲン・アクチベーター、トロンビン、ヒトリポタンパク質結合凝固インヒビター、並びに第VIIa因子、第IXa因子、第Xa因子、第XIa因子及び第XIIa因子などの凝固因子のようなセリンプロテアーゼは、例えば全身及び局所の虚血、腫瘍浸潤、フィブリン溶解、術中の失血、並びに炎症のような血流に影響する経路に関係がある。したがって、特定のセリンプロテアーゼのインヒビターは、さまざまな虚血性疾患に対する潜在的薬物標的として注目されている。
【0005】
そのようなインヒビターの1つである、ウシ肺から得られたアプロチニン(ウシ膵トリプシン・インヒビター又はBPTIとも呼ばれる)は、術中の失血を軽減させる上での予防的使用のため、及び例えば冠動脈バイパス移植術処置の過程でCPBを受ける患者の輸血の必要性のために米国で承認されている。アプロチニンはトラジロール(登録商標)の商品名で市販されており(バイエル社医薬部門、ウエストヘーブン、コネチカット)、膵炎の治療に用いるために以前に承認されている。アプロチニンの有効性は、血漿カリクレイン及びプラスミンを含む種々のセリンプロテアーゼを阻害する比較的非特異的な能力に関連している。これらのプロテアーゼは、接触活性化システム(CAS)の多くの経路において重要である。
【0006】
CASは、全血が外来基質表面(例えばカオリン、ガラス、硫酸デキストラン、又は損傷を受けた骨表面)と接触したとき最初に活性化される。セリンプロテアーゼであるカリクレインは、好中球、プラスミン、凝固、及び種々のキニンの活性化をもたらすCASカスケードを開始する血漿酵素である。カリクレインは、接触活性化カスケードの初期においてタンパク質分解イベントにより活性化されるまで不活性分子として循環するチモーゲン(プレ−カリクレイン)として分泌される。
【0007】
しかしながら、カリクレイン特異的インヒビターの臓器保存への使用は、成功裏に証明されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,432,053号
【特許文献2】米国特許第4,798,824号
【特許文献3】米国特許第4,879,283号
【特許文献4】米国特許第4,873,230号
【特許文献5】米国特許第5,405,742号
【特許文献6】米国特許第5,565,317号
【特許文献7】米国特許第5,370,989号
【特許文献8】米国特許第5,552,267号
【発明の概要】
【0009】
本発明は、保留臓器移植物の保存にうまく使用することができる、例えばカリクレインのようなセリンプロテアーゼを阻害するペプチドの発見に基づくものである。より詳細には、本発明は、臓器又は組織を保存するための方法におけるカリクレイン・インヒビターの使用方法、及びそのような使用のための組成物を提供する。また、本発明は、再灌流障害又は宿主から摘出されている臓器若しくは組織の損傷を軽減し、阻害し又は防止するための方法、及びそのような使用のための組成物に関するものである。好ましいカリクレインペプチドには、本明細書中にその内容全体が援用される、Marklandら、米国特許第6,333,402号及び第6,057,287号に記載されるものが挙げられる。
【0010】
特に好ましい態様において、本発明は、アミノ酸配列:
Xaa1 Xaa2 Xaa3 Xaa4 Cys Xaa6 Xaa7 Xaa8 Xaa9 Xaa10 Xaa11 Gly Xaa13 Cys Xaa15 Xaa16 Xaa17 Xaa18 Xaa19 Xaa20 Xaa21 Xaa22 Xaa23 Xaa24 Xaa25 Xaa26 Xaa27 Xaa28 Xaa29 Cys Xaa31 Xaa32 Phe Xaa34 Xaa35 Gly Gly Cys Xaa39 Xaa40 Xaa41 Xaa42 Xaa43 Xaa44 Xaa45 Xaa46 Xaa47 Xaa48 Xaa49 Xaa50 Cys Xaa52 Xaa53 Xaa54 Cys Xaa56 Xaa57 Xaa58(配列番号1)を含み、
ここで、Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa56、Xaa57又はXaa58はそれぞれ個々に1つのアミノ酸であるか又は存在せず;Xaa6、Xaa7、Xaa8、Xaa9、Xaa20、Xaa24、Xaa25、Xaa26、Xaa27、Xaa28、Xaa29、Xaa41、Xaa42、Xaa44、Xaa46、Xaa47、Xaa48、Xaa49、Xaa50、Xaa52、Xaa53及びXaa54は如何なるアミノ酸でもよく;Xaa10は:Asp及びGluから成る群より選択されるアミノ酸であり;Xaa11は:Asp、Gly、Ser、Val、Asn、Ile、Ala及びThrから成る群より選択されるアミノ酸であり;Xaa13は:Arg、His、Pro、Asn、Ser、Thr、Ala、Gly、Lys及びGlnから成る群より選択されるアミノ酸であり;Xaa15は:Arg、Lys、Ala、Ser、Gly、Met、Asn及びGlnから成る群より選択されるアミノ酸であり;Xaa16は:Ala、Gly、Ser、Asp及びAsnから成る群より選択されるアミノ酸であり;Xaa17は:Ala、Asn、Ser、Ile、Gly、Val、Gln及びThrから成る群より選択されるアミノ酸であり;Xaa18は:His、Leu、Gln及びAlaから成る群より選択されるアミノ酸であり;Xaa19は:Pro、Gln、Leu、Asn及びIleから成る群より選択されるアミノ酸であり;Xaa21は:Trp、Phe、Tyr、His及びIleから成る群より選択されるアミノ酸であり;Xaa22は:Tyr及びPheから成る群より選択されるアミノ酸であり;Xaa23は:Tyr及びPheから成る群より選択されるアミノ酸であり;Xaa31は:Glu、Asp、Gln、Asn、Ser、Ala、Val、Leu、Ile及びThrから成る群より選択されるアミノ酸であり;Xaa32は:Glu、Gln、Asp、Asn、Pro、Thr、Leu、Ser、Ala、Gly及びValから成る群より選択されるアミノ酸であり;Xaa34は:Thr、Ile、Ser、Val、Ala、Asn、Gly及びLeuから成る群より選択されるアミノ酸であり;Xaa35は:Tyr、Trp及びPheから成る群より選択されるアミノ酸であり;Xaa39は:Glu、Gly、Ala、Ser及びAspから成る群より選択されるアミノ酸であり;Xaa40は:Gly及びAlaから成る群より選択されるアミノ酸であり;Xaa43は:Asn及びGlyから成る群より選択されるアミノ酸であり;Xaa45は:Phe及びTyrから成る群より選択されるアミノ酸であり、そして、ポリペプチドはカリクレインを阻害する、ポリペプチドを含む組成物、及びそのような組成物の使用方法にかかるものである。
【0011】
特定の態様において、特定のアミノ酸位置は以下であり得る:Xaa6はAlaであり得、Xaa7はPheであり得、Xaa8はLysであり得、Xaa9はAlaであり得、Xaa10はAspであり得、Xaa11はAspであり得、Xaa13はProであり得、Xaa15はArgであり得、Xaa16はAlaであり得、Xaa17はAlaであり得、Xaa18はHisであり得、Xaa19はProであり得、Xaa20はArgであり得、Xaa24はAsnであり得、Xaa25はIleであり得、Xaa26はPheであり得、Xaa27はThrであり得、Xaa28はArgであり得、Xaa29はGlnであり得、Xaa31はGluであり得、Xaa32はGluであり得、Xaa34はIleであり得、Xaa35はTyrであり得、Xaa39はGluであり得、Xaa41はAsnであり得、Xaa42はArgであり得、Xaa44はArgであり得、Xaa46はGluであり得、Xaa47はSerであり得、Xaa48はLeuであり得、Xaa49はGluであり得、及び/又はXaa50はGluであり得る;これらの位置にあるこれら特定のアミノ酸は、個々に又は他に記載されている1以上の位置にある1以上のアミノ酸と組み合わせて起こり得る。
【0012】
特定の態様において、本発明は、2以上の下記のアミノ酸位置が下記のように定義される、配列番号1に記載されるようなポリペプチドを含む組成物、及びそのような組成物の使用方法にかかるものである:Xaa10はAspであり得;Xaa11はAspであり得;Xaa13はProであり得;Xaa15はArgであり得;Xaa16はAlaであり得;Xaa17はAlaであり得;Xaa18はHisであり得;Xaa19はProであり得;Xaa21はTrpであり得;Xaa22はPheであり得;Xaa23はPheであり得;Xaa31はGluであり得;Xaa32はGluであり得;Xaa34はIleであり得;Xaa35はTyrであり得;Xaa39はGluであり得;Xaa40はGlyであり得;Xaa43はAsnであり得;及びXaa45はPheであり得る。他の態様において、5以上の下記のアミノ酸位置が下記のように定義される:Xaa10はAspであり得;Xaa11はAspであり得;Xaa13はProであり得;Xaa15はArgであり得;Xaa16はAlaであり得;Xaa17はAlaであり得;Xaa18はHisであり得;Xaa19はProであり得;Xaa21はTrpであり得;Xaa22はPheであり得;Xaa23はPheであり得;Xaa31はGluであり得;Xaa32はGluであり得;Xaa34はIleであり得;Xaa35はTyrであり得;Xaa39はGluであり得;Xaa40はGlyであり得;Xaa43はAsnであり得;及びXaa45はPheであり得る。他の態様において、10以上のアミノ酸が下記のように定義される:Xaa10はAspであり得;Xaa11はAspであり得;Xaa13はProであり得;Xaa15はArgであり得;Xaa16はAlaであり得;Xaa17はAlaであり得;Xaa18はHisであり得;Xaa19はProであり得;Xaa21はTrpであり得;Xaa22はPheであり得;Xaa23はPheであり得;Xaa31はGluであり得;Xaa32はGluであり得;Xaa34はIleであり得;Xaa35はTyrであり得;Xaa39はGluであり得;Xaa40はGlyであり得;Xaa43はAsnであり得;そしてXaa45はPheであり得る。更に他の態様において、15以上のアミノ酸が下記のように定義される:Xaa10はAspであり得;Xaa11はAspであり得;Xaa13はProであり得;Xaa15はArgであり得;Xaa16はAlaであり得;Xaa17はAlaであり得;Xaa18はHisであり得;Xaa19はProであり得;Xaa21はTrpであり得;Xaa22はPheであり得;Xaa23はPheであり得;Xaa31はGluであり得;Xaa32はGluであり得;Xaa34はIleであり得;Xaa35はTyrであり得;Xaa39はGluであり得;Xaa40はGlyであり得;Xaa43はAsnであり得;そしてXaa45はPheであり得る。
【0013】
特定の態様において、本発明は、存在する場合は、Xaa3はSerであり、Xaa2はHisであり、Xaa1はMetであり、Xaa56はThrであり、Xaa57はArgであり、及び/又はXaa58はAspである、配列番号1により定義されるようなポリペプチドを含む組成物、及びそのような組成物の使用方法にかかるものである。
【0014】
他の態様において、本発明は、アミノ酸配列:
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Asp Gly Pro Cys Arg Ala Ala His Pro Arg Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg G1n Cys Glu Glu Phe Ile Tyr Gly Gly Cys Glu Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号2)、を含むポリペプチドを含む組成物、及びそのような組成物の使用方法にかかるものである。
【0015】
特定の態様において、本発明は、Kunitzドメインを含む53〜60アミノ酸のカリクレイン結合ポリペプチドを含む組成物にかかるものであり、ここで、Kunitzドメインは、位置5及び55;14及び38;並びに30及び51(ウシ膵トリプシン・インヒビター(BPTI)に対応するアミノ酸位置による)にシステイン間のジスルフィド結合の可能性を含み、更に:
His及びProから選択されるアミノ酸番号13;
Ala及びGlyから選択されるアミノ酸番号16;
Ala、Asn、及びSerから選択されるアミノ酸番号17;
His及びLeuから選択されるアミノ酸番号18;及び
Gln、Leu、及びProから選択されるアミノ酸番号19(配列番号23)を含む。
【0016】
特定の態様において、本発明は、Kunitzドメインを含む53〜60アミノ酸のカリクレイン結合ポリペプチドを含む組成物にかかるものであり、ここで、Kunitzドメインは、位置5及び55;14及び38;並びに30及び51(ウシ膵トリプシン・インヒビター(BPTI)に対応するアミノ酸位置による)にシステイン間のジスルフィド結合の可能性を含み、更に:
His及びProから選択されるアミノ酸番号13;
Lys及びArgから選択されるアミノ酸番号15;
Ala及びGlyから選択されるアミノ酸番号16;
Ala、Asn、及びSerから選択されるアミノ酸番号17;
His及びLeuから選択されるアミノ酸番号18;及び
Gln、Leu、及びProから選択されるアミノ酸番号19;
Gluであるアミノ酸番号31;
Glu及びGlnから選択されるアミノ酸番号32;
Ser、Thr、及びIleから選択されるアミノ酸番号34;及び
Gly、Glu、及びAlaから選択されるアミノ酸番号39(配列番号24)を含む。
【0017】
特定の態様において、本発明は、Kunitzドメインを含む53〜60アミノ酸のカリクレイン結合ポリペプチドを含む組成物にかかるものであり、ここで、Kunitzドメインは、位置5及び55;14及び38;並びに30及び51(ウシ膵トリプシン・インヒビター(BPTI)に対応するアミノ酸位置による)のそれぞれにシステインを含み、更に:
His及びProから選択されるアミノ酸番号13;
Lys及びArgから選択されるアミノ酸番号15;
Ala及びGlyから選択されるアミノ酸番号16;
Ala、Asn、及びSerから選択されるアミノ酸番号17;
His及びLeuから選択されるアミノ酸番号18;及び
Gln、Leu、及びProから選択されるアミノ酸番号19;
Gluであるアミノ酸番号31;
Glu及びGlnから選択されるアミノ酸番号32;
Ser、Thr、及びIleから選択されるアミノ酸番号34;及び
Gly、Glu、及びAlaから選択されるアミノ酸番号39(配列番号24)、を含む。
【0018】
特定の態様において、表1に記載されるように、Kunitzドメインは以下から成る群より選択される:
KKII/3 #1(配列番号24)
KKII/3 #2(配列番号25)
KKII/3 #3(配列番号26)
KKII/3 #4(配列番号27)
KKII/3 #5(配列番号28)
KKII/3 #6(配列番号29)
KKII/3 #7(配列番号30)
KKII/3 #8(配列番号31)
KKII/3 #9(配列番号32)及び
KKII/3 #10(配列番号33)。
【0019】
本明細書に記載の各組成物は、本発明の方法に用いることができる。更に、本明細書に記載の化合物は、本明細書に記載の適応又は方法のための医薬又は組成物の製造に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、冠動脈バイパス移植術(CABG)処置、特にCABG処置が心−肺バイパス(CPB;バイパス装置)などの体外血液循環を包含する場合に関連するような、軟部組織及び骨組織の外傷を受けた患者に生じ得る接触活性化システム及び全身炎症反応(SIR)に関与する主要な複数の経路及び関連イベントを単純化した図解である。矢印は、カスケードにおける1つの成分又はイベントから、他の成分又はイベントへの活性化を示す。両方向の矢印は、成分又はイベントの両方向への活性化作用を示す。破線矢印は、1つの成分又はイベントによる、他の成分又はイベントの活性化への起こり得る関与を示す。略語は以下の通りである:「tPA」=組織プラスミノーゲン・アクチベーター;「C5a」=補体系のタンパク質成分;「fXIIa」=活性カリクレインを形成するプレカリクレインのアクチベータータンパク質;「外因性」=外因性凝固系;「内因性」=内因性凝固系。
【図2】図2は、プラスミドpPIC−K503中の本発明のカリクレイン・インヒビター(「KI」)ポリペプチドのDNA及び対応の推定アミノ酸の一部を示す。挿入DNAは、囲み領域でコードされるアミノ酸配列を有するPEP−1 KIポリペプチドのアミノ末端に、インフレームで融合させたサッカロミセス・セレビジエのmatαプレプロシグナルペプチド(下線)をコードする。囲み領域に示すPEP−1 KIポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号2であり、KIポリペプチドの対応のヌクレオチドコード配列は配列番号3である。破線矢印は、配列決定用テンプレートの作製に用いられたAOX領域における2つのPCRプライマー配列の位置及び方向を示す。図の全ヌクレオチド配列に対するDNA配列は、融合タンパク質の構造コード配列を含み、配列番号35で表される。配列の2重下線部分は診断用プローブ配列を示す。BstBI及びEcoRIは、配列中のそれぞれのパリンドローム性6量体制限酵素切断部位の位置を示す。アスタリスクは翻訳終止コドンである。
【図3】図3は、本発明の好ましい態様のアミノ酸配列アラインメントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な説明
本発明の好ましい態様について以下に説明する。
本発明は、例えば移植までのあいだ臓器及び組織を保存するための改善された方法及び対応する方法における使用を可能にする、血漿カリクレインを特異的に阻害するカリクレイン・インヒビター(KI)ポリペプチドの発見に基づくものである。また、本発明は、再灌流障害又は宿主から摘出されている臓器若しくは組織の損傷を軽減し、阻害し又は防止すること、及びそのための組成物に関する。
【0022】
本発明に有用なポリペプチド
本発明に有用なKIポリペプチドはKunitzドメイン・ポリペプチドを含む。1つの態様において、これらKunitzドメインは、ヒト・リポタンパク質結合凝固インヒビター(LACI)タンパク質のKunitzドメイン1のループ構造を含む変異体型である。LACIは、内部に3つの明確なペプチドループ構造を含有し、それらは系列的Kunitzドメインである(Girard,T.ら、1989.Nature、338:518−520)。LACIの3つのKunitzドメインは、特に優れた親和性はないが、カリクレインに結合し且つ阻害する能力を付与する。本明細書に記載のLACIのKunitzドメイン1の変異体は、スクリーニングされ、単離されており、向上した親和性及び特異性でカリクレインに結合する(例えば、本明細書中に援用される米国特許第5,795,865号及び第6,057,287号を参照されたい)。本発明に有用な好ましいポリペプチドの例は、配列番号2のアミノ酸3〜60により定義されるアミノ酸配列を有する。
【0023】
カリクレイン結合ポリペプチドを用いて、治療用又は診断用分子を例えば臓器組織、細胞、又は生物全体中におけるカリクレインへ標的化することができる。治療又は診断目的のこのような標的送達の方法は当業者に公知であろう。例えば、標的化カリクレイン結合ポリペプチドは、当業者により、カリクレインの作用で損傷を受けた臓器の同定に用いられるであろうし、又はカリクレインは、本発明のカリクレイン結合ポリペプチドを用いて、特定の治療剤の作用の標的にされ得る。
【0024】
本発明に有用な全てのポリペプチドはカリクレインに結合する。好ましい態様において、ポリペプチドは、カリクレインの公知の結合アッセイ及び阻害アッセイを用いて測定されるようなカリクレイン・インヒビター(KI)である。本明細書に記載の変異体Kunitzドメイン・ポリペプチドのカリクレインに対する向上した親和性及び特異性は、CPB及び特にCABG外科的処置での使用の根拠を提供し、そのような処置を受けている患者の術中の失血及び/又はSIRを予防又は軽減させる。本発明に用いられるKIポリペプチドは、当初カリクレインへの結合能についてファージ・ディスプレイ・ライブラリーをスクリーニングして単離された変異体Kunitzドメイン・ポリペプチドのアミノ酸配列を有するか又は含むことができる。
【0025】
本発明の方法及び組成物に有用なKIポリペプチドは、アミノ酸配列:
Xaa1 Xaa2 Xaa3 Xaa4 Cys Xaa6 Xaa7 Xaa8 Xaa9 Xaa10 Xaa11 Gly Xaa13 Cys Xaa15 Xaa16 Xaa17 Xaa18 Xaa19 Xaa20 Xaa21 Xaa22 Xaa23 Xaa24 Xaa25 Xaa26 Xaa27 Xaa28 Xaa29 Cys Xaa31 Xaa32 Phe Xaa34 Xaa35 Gly Gly Cys Xaa39 Xaa40 Xaa41 Xaa42 Xaa43 Xaa44 Xaa45 Xaa46 Xaa47 Xaa48 Xaa49 Xaa50 Cys Xaa52 Xaa53 Xaa54 Cys Xaa56 Xaa57 Xaa58(配列番号1)、
を含むKunitzドメイン・ポリペプチドを含む。
【0026】
「Xaa」はペプチド鎖における位置を表し、多くのさまざまなアミノ酸のいずれでもよい。例えば、本明細書に記載のKIペプチドに関し、Xaa10はAsp又はGluであり得る;Xaa11はAsp、Gly、Ser、Val、Asn、Ile、Ala又はThrであり得る;Xaa13はPro、Arg、His、Asn、Ser、Thr、Ala、Gly、Lys又はGlnであり得る;Xaa15はArg、Lys、Ala、Ser、Gly、Met、Asn又はGlnであり得る;Xaa16はAla、Gly、Ser、Asp又はAsnであり得る;Xaa17はAla、Asn、Ser、Ile、Gly、Val、Gln又はThrであり得る;Xaa18はHis、Leu、Gln又はAlaであり得る;Xaa19はPro、Gln、Leu、Asn又はIleであり得る;Xaa21はTrp、Phe、Tyr、His又はIleであり得る;Xaa31はGlu、Asp、Gln、Asn、Ser、Ala、Val、Leu、Ile又はThrであり得る;Xaa32はGlu、Gln、Asp、Asn、Pro、Thr、Leu、Ser、Ala、Gly又はValであり得る;Xaa34はIle、Thr、Ser、Val、Ala、Asn、Gly又はLeuであり得る;Xaa35はTyr、Trp又はPheであり得る;Xaa39はGlu、Gly、Ala、Ser又はAspであり得る。アミノ酸Xaa6、Xaa7、Xaa8、Xaa9、Xaa20、Xaa24、Xaa25、Xaa26、Xaa27、Xaa28、Xaa29、Xaa41、Xaa42、Xaa44、Xaa46、Xaa47、Xaa48、Xaa49、Xaa50、Xaa52、Xaa53及びXaa54は如何なるアミノ酸でもよい。更に、配列番号1の最初の4アミノ酸及び最後の3アミノ酸はそれぞれ任意に存在してもしなくてもよく、存在する場合は如何なるアミノ酸でもよい。
【0027】
配列番号1により定義されるペプチドは、カリクレインに結合し、且つ阻害するポリペプチドのセットを形成する。KIの多様性は、ペプチド配列中の可変位置数の増加に応じて、又は可変位置において可能なアミノ酸数の増加に応じて増加する。例えば、本発明の好ましい態様において、本発明の方法及び組成物に有用なKIポリペプチドは、以下の可変位置を有する:Xaa11はAsp、Gly、Ser又はValであり得る;Xaa13はPro、Arg、His又はAsnであり得る;Xaa15はArg又はLysであり得る;Xaa16はAla又はGlyであり得る;Xaa17はAla、Asn、Ser又はIleであり得る;Xaa18はHis、Leu又はGlnであり得る;Xaa19はPro、Gln又はLeuであり得る;Xaa21はTrp又はPheであり得る;Xaa31はGluである;Xaa32はGlu又はGlnであり得る;Xaa34はIle、Thr又はSerであり得る;Xaa35はTyrである;そしてXaa39はGlu、Gly又はAlaであり得る。
【0028】
請求している発明のより特定の態様は、以下の可変位置のアミノ酸で定義される:Xaa10はAspであり;Xaa11はAspであり;Xaa13はPro又はArgであり得;Xaa15はArgであり;Xaa16はAla又はGlyであり得;Xaa17はAlaであり;Xaa18はHisであり;Xaa19はProであり;Xaa21はTrpであり;Xaa31はGluであり;Xaa32はGluであり;Xaa34はIle又はSerであり得;Xaa35はTyrであり;そしてXaa39はGlyである。
【0029】
また、本発明の範囲に包含されるのは、本明細書に記載のポリペプチドの部分を含むペプチドである。例えば、ポリペプチドは特定のカリクレイン・エピトープに対する結合ドメインを含むであろう。本明細書に記載のポリペプチドのそのような断片も包含されるであろう。
【0030】
本明細書に記載の方法及び組成物に有用なKIポリペプチドはKunitzドメインを含む。配列番号1に包含される配列のサブセットが以下に記載される(示されていない場合、「Xaa」は、配列番号1について認められるのと同一のアミノ酸セットを意味する):
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Xaa10 Xaa11 Gly Xaa13 Cys Xaa15 Xaa16 Xaa17 Xaa18 Xaa19 Arg Xaa21 Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Xaa31 Xaa32 Phe Xaa34 Xaa35 Gly Gly Cys Xaa39 Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号36)。
【0031】
本明細書に記載の本発明に有用なKIペプチドの具体的且つ特定の例は、以下の通りである:

Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Asp Gly Pro Cys Arg Ala Ala His Pro Arg Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Ile Tyr Gly Gly Cys Glu Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号2のアミノ酸3〜60)、

Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Asp Gly Pro Cys Lys Ala Asn His Leu Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号4)、

Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Asp Gly His Cys Lys Ala Asn His Gln Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Thr Tyr Gly Gly Cys Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号5)、

Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Asp Gly His Cys Lys Ala Asn His Gln Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Gln Phe Thr Tyr Gly Gly Cys Ala Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号6)、

Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Asp Gly His Cys Lys Ala Ser Leu Pro Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Ile Tyr Gly Gly Cys Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号7)、

Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Asp Gly His Cys Lys Ala Asn His Gln Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号8)、

Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Asp Gly His Cys Lys Gly Ala His Leu Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Ile Tyr Gly Gly Cys Glu Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号9)、

Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Asp Gly Arg Cys Lys Gly Ala His Leu Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Ile Tyr Gly Gly Cys Glu Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号10)、

Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Gly Gly Arg Cys Arg Gly Ala His Pro Arg Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号11)、

Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Asp Gly Pro Cys Arg Ala Ala His Pro Arg Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号12)、

Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Val Gly Arg Cys Arg Gly Ala His Pro Arg Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号13)、

Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Val Gly Arg Cys Arg Gly Ala Gln Pro Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号14)、

Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Asp Gly Ser Cys Arg Ala Ala His Leu Arg Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号15)、

Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Glu Gly Gly Ser Cys Arg Ala Ala His Gln Arg Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号16)、

Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Asp Gly Pro Cys Arg Gly Ala His Leu Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号17)、

Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Asp Gly His Cys Arg Gly Ala Leu Pro Arg Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号18)、

Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Ser Gly Asn Cys Arg Gly Asn Leu Pro Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号19)、

Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Ser Gly Arg Cys Arg Gly Asn His Gln Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号20)、

Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Gly Gly Arg Cys Arg Ala Ile Gln Pro Arg Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号21)、

Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Asp Gly Arg Cys Arg Gly Ala His Pro Arg Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号22)。

図3にこれら配列のアミノ酸配列アラインメントを提供する。
【0032】
本発明に有用な他のKIポリペプチドには以下が含まれる:
Arg Pro Asp Phe Cys Leu Glu Pro Pro Tyr Thr Gly Pro Cys Lys Ala Arg Ile Ile Arg Tyr Phe Tyr Asn Ala Lys Ala Gly Leu Cys Gln Thr Phe Val Tyr Gly Gly Cys Arg Ala Lys Arg Asn Asn Phe Lys Ser Ala Glu Asp Cys Met Arg Thr Cys Gly Gly Ala(配列番号23)、

Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Asp Gly His Cys Lys Ala Ser Leu Pro Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Ile Tyr Gly Gly Cys Glu Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号24)、

Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Asp Gly Pro Cys Lys Ala Asn His Leu Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号25)、

Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Asp Gly His Cys Lys Ala Asn His Gln Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Thr Tyr Gly Gly Cys Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号26)、

Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Asp Gly His Cys Lys Ala Asn His Gln Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Gln Phe Thr Tyr Gly Gly Cys Ala Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号27)、

Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Asp Gly His Cys Lys Ala Ser Leu Pro Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Ile Tyr Gly Gly Cys Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号28)、

Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Asp Gly His Cys Lys Ala Asn His Gln Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号29)、

Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Asp Gly His Cys Lys Ala Asn His Gln Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号30)、

Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Asp Gly His Cys Lys Ala Asn His Gln Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号31)、

Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Asp Gly His Cys Lys Ala Asn His Gln Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号32)、

Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Asp Gly His Cys Lys Gly Ala His Leu Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Ile Tyr Gly Gly Cys Glu Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号33)、

Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Asp Gly Pro Cys Lys Ala Ile Met Lys Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Ile Tyr Gly Gly Cys Glu Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号34)。
【0033】
これら配列を以下の表1にまとめる。
【0034】
【表1】

【0035】
本明細書に記載の方法及び組成物に有用なポリペプチドは、いずれの標準ポリペプチド合成プロトコール及び装置を用いて合成してもよい。例えば、本明細書に記載のKIポリペプチドの段階的合成は、アミノ(N)端保護基を開始(即ちカルボキシ端)アミノ酸から除去し、そこにポリペプチド配列中の次のアミノ酸のカルボキシ末端をカップリングさせることにより実施することができる。このアミノ酸もまた好適に保護される。カルボジイミド、対称性酸無水物、又はヒドロキシベンゾトリアゾールエステル若しくはペンタフルオロフェニルエステルなどの「活性エステル」基の形成のような反応基の形成により、次に来るアミノ酸のカルボキシル基を活性化させて、結合したアミノ酸のN端と反応させることができる。好ましい固相ペプチド合成法には、α−アミノ保護基としてtert−ブチルオキシカルボニルを用いるBOC法、及び9−フルオレニルメチルオキシカルボニルを用いてアミノ酸残基のα−アミノを保護するFMOC法が含まれる。両方法とも当業者に周知である(Stewart,J.及びYoung,J.、固相ペプチド合成(W.H.Freeman社、サンフランシスコ、1989);Merrifield,J.、1963.Am.Chem.Soc.、85:2149−2154;Bodanszky,M.及びBodanszky,A.、ペプチド合成の実践(Springer−Verlag、ニューヨーク、1984)、これら文献の全教示は本明細書中に援用される)。所望により、更なるアミノ端アミノ酸及び/又はカルボキシ端アミノ酸をアミノ酸配列にデザインし、ポリペプチド合成中に付加することができる。
【0036】
あるいは、本発明の組成物及び方法に有用なKunitzドメイン・ポリペプチド及びKIポリペプチドを、多くの細胞、及び細菌発現ベクター、酵母発現ベクター、バキュロウイルス発現ベクター、哺乳類ウイルス発現ベクター等を含むがこれらに限定されない対応する発現ベクターのいずれかを用いる組換え法により作製することができる。本発明の組成物及び方法に有用なKunitzドメイン・ポリペプチド及びKIポリペプチドは、本明細書に記載のKunitzドメイン又はKIポリペプチドのコード配列を含む核酸分子を用いて遺伝子組換えにより作製することもできる。ここで、核酸分子は、当該技術分野で利用可能な遺伝子導入法を用いて宿主動物ゲノムに統合され、そこから発現させることができる。Kunitzドメイン・ポリペプチド又はKunitzドメインを含むKIポリペプチドのコード配列を発現ベクター中の他のコード配列に融合させて、宿主細胞で容易に発現する融合ポリペプチドを形成することが必須又は有益である場合もある。そのような融合ポリペプチドを発現する宿主細胞は融合ポリペプチドもプロセシングし、所望のアミノ酸配列のみを含有する本発明に有用なKunitzドメイン又はKIポリペプチドを産生することが好ましい。いずれかの他のアミノ酸が、発現したKunitzドメイン又はKIポリペプチドに付着したままである場合、このような付加的アミノ酸は、Kunitzドメイン又はKIポリペプチドのカリクレイン結合活性及び/又はカリクレイン阻害活性を減少させて本発明の方法又は組成物におけるポリペプチドの使用を排除すべきでないことは明らかである。
【0037】
本明細書に記載の方法及び組成物に有用なKIポリペプチドを作製するのに好ましい組換え発現系は、KIポリペプチド又はKunitzドメイン・ポリペプチドのアミノ酸配列をコードする核酸配列が、同じリーディングフレームでサッカロミセス・セレビジエのmatαプレプロリーダーペプチド配列をコードするヌクレオチド配列と連結されるのを可能にする酵母発現ベクターであり、これは作動可能な酵母プロモーターの制御下にある。次に、得られる組換え酵母発現プラスミドは、標準法により、適切な適合性酵母宿主細胞へ形質転換されることができ、この細胞は組換え酵母発現ベクターから組換えタンパク質を発現することが可能である。そのような組換え発現ベクターで形質転換された宿主酵母細胞は、融合タンパク質をプロセシングして、本発明の方法及び組成物に有用な活性KIポリペプチドを提供することも可能であることが好ましい。そのようなKunitzドメインを含む組換えKunitzドメイン・ポリペプチド及びKIポリペプチドを作製するための好ましい酵母宿主はピキア・パストリスである。
【0038】
上記のように、本明細書に記載の方法及び組成物に有用なKIポリペプチドは、本明細書に記載のKunitzドメイン・ポリペプチドを含むことができる。KIポリペプチドは、付加的なフランキング配列、好ましくは長さ1〜6アミノ酸を、このような付加的アミノ酸がカリクレイン結合親和性又はカリクレイン阻害活性を顕著に減少させて本明細書に記載の方法及び組成物における使用を排除することがないことを条件として、アミノ末端及び/又はカルボキシ末端に有することができ場合もある。このような付加的アミノ酸を、KIポリペプチドを特定の組換え宿主細胞中で発現させるために意図的に付加することができ、又は更なる機能を提供するため、例えば、KIポリペプチドを他の分子へ連結させるために、若しくはポリペプチドの精製を容易にする親和性部分を提供するために付加することもできる。付加的アミノ酸は、Kunitzドメインのジスルフィド結合を妨げるシステインを含まないことが好ましい。天然Kunitzドメインの例は、ジスルフィド結合を生じ、例えばBPTIは、アミノ酸位置5及び55;14及び38;並びに30及び51のシステイン残基間にジスルフィド結合を含有する。
本発明の方法及び組成物に有用な好ましいKunitzドメイン・ポリペプチドの例は、配列番号2の残基3〜60のアミノ酸配列を有する。酵母融合タンパク質発現系で(例えば統合発現プラスミドpHIL−D2に基づいて)発現及びプロセシングさせる場合、このようなKunitzドメイン・ポリペプチドは、付加的アミノ端Glu−Alaジペプチドを、S.セレビジエのmatαプレプロリーダーペプチド配列との融合から保つ。酵母宿主細胞から分泌される場合、リーダーペプチドの多くは融合タンパク質からプロセシングされて、配列番号2のアミノ酸配列(図2の囲み領域を参照されたい)を有する機能的KIポリペプチド(「PEP−1」又は「DX88」ともいう)を生ずる。
【0039】
本明細書に記載の方法及び組成物に有用な特に好ましいKIポリペプチドは、カリクレインに対し、現在失血を軽減させるためにCAPG処置に使用することが認可されているアプロチニンよりも1000倍高いオーダーで結合親和性を有する。本明細書に記載のこのようなKIポリペプチドの驚くほど高い結合親和性は、このようなKIポリペプチドが、他の分子標的(以下の表1を参照されたい)を除外して、カリクレインに対し高度に特異性を発揮することを示している。したがって、本発明のこのようなポリペプチドの使用は、可能な治療標的に関し多くの考察を軽減させる。例えばアプロチニンによって発揮されるより低度の特異性は、起こり得る多面的副作用をもたらし、治療メカニズムに関してあいまいである。
【0040】
例えば配列番号1で定義されるポリペプチドは不変位置を含有し、例えば位置5、14、30、51及び55はCysのみであり得る。例えば位置6、7、8、9、20、24、25、26、27、28、29、41、42、44、46、47、48、49、50、52、53及び54のような他の位置は、如何なるアミノ酸でもよい(非天然アミノ酸を含む)。特に好ましい態様において、1以上のアミノ酸が天然配列に対応する(例えばLACI(配列番号32〜34))。好ましい態様において、少なくとも1つの可変位置が天然配列とは異なる。更に他の好ましい態様において、アミノ酸はそれぞれ個別に又は集団で保存的又は非保存的アミノ酸置換により置換されることができる。保存的アミノ酸置換は、1つのアミノ酸を、類似化学構造を有する他のアミノ酸に置き換え、タンパク質機能に影響を与えない。非保存的アミノ酸置換は、1つのアミノ酸を、非類似の化学構造を有する他のアミノ酸に置き換える。保存的アミノ酸置換の例には、例えば、Asn→Asp、Arg→Lys及びSer→Thrが含まれる。好ましい態様において、これらアミノ酸の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20及び/又は21は、個別に又は集団で、如何なる組合せでも、配列番号2の対応の位置に相当するよう選択されることができる。
【0041】
他の位置、例えば位置10、11、13、15、16、17、18、19、21、22、23、31、32、34、35、39、40、43及び45は、選択されるアミノ酸セットのいずれでもよい。したがって、配列番号1は可能な配列のセットを定義する。このセットの各メンバーは、例えば、位置5、14、30、51及び55にシステインを、そして位置10、11、13、15、16、17、18、19、221、22、23、31、32、34、35、39、40、43及び45にアミノ酸の特定のセットのいずれか1つを含有する。好ましい態様において、これらアミノ酸の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18及び/又は19は、個別に又は集団で、如何なる組合せでも、配列番号2の対応の位置に相当するよう選択されることができる。このペプチドは、配列番号2に対し、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%同一であることが好ましい。
【0042】
方法及び組成物
本発明は、臓器又は組織を、本明細書に記載されるようなカリクレイン・インヒビターを含む保存溶液と接触させることを含む、臓器及び組織を保存するための方法にかかるものである。また、本発明は、臓器又は組織をカリクレイン・インヒビターと接触させることを含む、再灌流障害又は宿主から摘出されている臓器若しくは組織の損傷を軽減し、阻害し又は防止することに関するものである。本発明の保存液は、臓器又は組織をこの溶液に接触させる場合、臓器組織、又は臓器全体を保存し及び/又は保護するために用いることができる。本発明の特定の態様は、ヒト心臓、又はヒト心筋組織を保存するためのものである。本発明の他の態様は、ヒト肺又はヒト肺組織を保存するためのものである。本発明により保存され得る他の臓器、又はその一部には、腎臓、肝臓、内皮組織、腸管組織、血管組織(例えば大動脈移植片)、皮膚、及び膵臓が含まれる。本発明は、哺乳動物組織、臓器又はその一部を保存するためにこの溶液を使用することを意図するものである。更に、この溶液は、例えば、移植処置中に臓器又は組織を灌流することにより、臓器移植を容易にするために用いることができる。この溶液は、心臓手術中に心停止液として用いることもできる。臓器又はその一部は、常に、特に移植処置前、適切な溶液中に維持されることが好ましい。
【0043】
本発明の溶液を用いて、貯蔵、移植又は他の外科手術のあいだ、臓器又は組織の生存率を維持することができる。本発明は、組織、臓器又はその一部を、in vivo及び/又はin vitro生存率が延長するように本発明の溶液に接触させることを含む、組織又は臓器の貯蔵方法を含む。この溶液は、心臓又は肺の組織の生存率を24時間以上まで維持することを可能にする。本発明の溶液の使用により、臓器生存率が改善される。
【0044】
あるいは又は更に、いったんドナーから切除されたら、臓器又は生組織を、インヒビターを含有する保存溶液中に置くことができる。更に、カリクレイン・インヒビターを、移植直前に又は移植中に、移植レシピエントに投与することも好ましい。全ての場合において、インヒビターは、本明細書に記載の及び/又は当該技術分野に公知の方法及び製剤を用いて、組織への注射のように、危険を冒して組織に直接投与することもでき、又は経口投与又は非経口投与により全身に提供してもよい。
【0045】
1つの態様において、市販の保存溶液を有利に用いることができる。このような溶液の例には、本明細書中に援用される米国特許第4,798,824号、第4,873,230号、第4,879,283号に記載の、VIASPANの商標で販売されるBelzerのUW溶液が含まれる。
【0046】
上記特許に記載の保存溶液及び灌流液組成物には、限定されるものではないが、以下が含まれる。
【0047】
【表2】

【0048】
この溶液を、NaOHを用いて室温でpH7.4にする。最終濃度は、Na=30.±.5mM、K=120±5mM、mOsm/リットル=320±5である。バクトリウム=トリメトプリム(16mg/mL)及びスルファメトキサゾール(80mg/mL)。ヒドロキシエチル・スターチは、約3〜約8%の範囲で存在し得る。
【0049】
この溶液は、典型的には、膵臓を72時間保存し、腎臓を48時間保存し、そして肝臓を少なくとも24時間保存する。本明細書中に援用される米国特許第5,145,771号は、「カロライナ液」として知られる臓器保存液について記載しおり、本発明にも有用である。上記特許に記載の洗浄溶液又は保存溶液組成物には、限定されるものではないが、成分がおよそ以下の表3に記載の濃度範囲で含まれる。
【0050】
【表3】

【0051】
1つの特定の態様は、以下の表4に記載の量の成分を用いて、以下に記載の指示に従い調製される。
【0052】
【表4】

【0053】
1つの態様において、この溶液は以下のように調製することができる:500mL容量フラスコを用いて10%(重量/容量)ヒドロキシエチル・スターチ溶液500mLを量り、1Lビーカーに注ぐ。再蒸留水400mLを加え、マグネチック・スターラー・バーを用いて激しく撹拌する。残りの成分を1つずつ加える。全成分を加えた後、1〜2mLの5N NaOHでpHを6.5に調製する。この溶液は、少なくとも30分間撹拌する必要がある。この溶液を1L容量フラスコに移し、最終容量を1Lにする。不溶粒子を除去するため、ろ過する。
【0054】
更に他の態様を以下の表5に例示する。
【0055】
【表5】

【0056】
上記表5の組成物は、場合により、上記表3に特定される成分の1種、数種、又は全てを含んでいてもよい。組成物は、少なくとも1つの酸化防止剤を含むことが好ましい。したがって、組成物の1つの特定の態様を以下の表6に記載する。
【0057】
【表6】

【0058】
好ましい組成物は、1種以上の医薬的に許容可能なバッファー、担体、酸化防止剤、プロテアーゼ・インヒビター、又は他の抗虚血剤を更に含んでいてもよい。
本発明の方法に有用な組成物は、Kunitzドメイン・ポリペプチドまたは本明細書に記載のこのようなKunitzドメイン・ポリペプチドを含むKIポリペプチドのいずれかを含む。特に好ましいのは、配列番号2のアミノ酸3〜60の58アミノ酸配列を有するKunitzドメイン・ポリペプチドを含むKIポリペプチドである。本発明の方法及び組成物に有用な特に好ましいKIポリペプチドの例は、配列番号2の60アミノ酸配列を有するPEP−1 KIポリペプチドである。配列番号2のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列が配列番号3に提供される(例えば図2のヌクレオチド309〜488を参照されたい)。本発明は、公知の遺伝コードに基づいて、ヌクレオチド配列によってコードされるそれぞれのアミノ酸を1種以上の公知の縮重コドンで単に置き換えることにより、配列番号3のヌクレオチド配列の縮重型も提供することが理解される。配列番号3のヌクレオチド7〜180、及びその縮重型は、配列番号2のアミノ酸3〜60の58アミノ酸配列を有する非天然Kunitzドメイン・ポリペプチドをコードする。
【0059】
KIポリペプチドの濃度の検討
本発明の方法におけるKIポリペプチドを用いた投薬に関し、いくつかの考慮すべき事項は、配列番号2(分子量7,054ダルトン)のアミノ酸配列を有する本発明の代表的PEP−1 KIポリペプチドの例により具体的に示すことができる。
【0060】
以下の表7は、カリクレイン及び他の11の公知の血漿プロテアーゼに対するPEP−1 KIポリペプチドの親和性(Ki,app)の比較を提供する。
【0061】
【表7】

【0062】
PEP−1 KIポリペプチドが、ヒト血漿カリクレインに対し高度に特異的であることは明らかである。更に、PEP−1のカリクレインに対する親和性(Ki,app)は、アプロチニンのカリクレインに対する親和性よりも1000倍高い:カリクレインに対するPEP−1のKi,appは約44pM(表1)であるが、アプロチニンのカリクレインに対するKi,appは30,000pMである。したがって、PEP−1の用量は、モル当たりの基準で、アプロチニンに対して用いられるよりもおよそ1000倍低いであろう。しかしながら、いくつかの他の因子についての検討が、実施に役立つPEP−1の用量について、より正確な評価を与えるかもしれない。このような因子には、特定の患者からの臓器摘出により活性化されるカリクレインの量が含まれ、当業者に認識されるであろう。
以下の非限定的実施例を参照して本発明を更に説明する。本明細書中に引用する全ての特許、特許出願、及び他の全ての出版物及びウェブサイトの教示は、本明細書中にその全体が援用される。
【実施例】
【0063】
実施例1:代表的KIポリペプチド
本発明の組成物及び方法に有用なKlポリペプチド(PEP−1)を、ファージ・ディスプレイ・ライブラリーの組換えファージに提示されたカリクレイン結合ポリペプチドとして同定した。PEP−1は以下のアミノ酸配列を有する:Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Asp Gly Pro Cys Arg Ala Ala His Pro Arg Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Ile Tyr Gly Gly Cys Glu Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号2)。PEP−1の分子量は7,054ダルトンである。
【0064】
PEP−1アミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸3〜60)をコードする組換えファージDNAのヌクレオチド配列(配列番号3)を単離し、組換えファージDNAから決定される標準的方法で配列決定した。PEP−1は、酵母株ピキア・パストリスのHis4表現型宿主細胞中で、更なる特徴付けに有用な量で組換えタンパク質として産生した。
【0065】
実施例2:KIポリペプチドを発現させるための組換えプラスミドの構築
開始プラスミドpHIL−D2はアンピシリン耐性であり、P.パストリスに由来する野生型アレルのHis4を含有する。組換え発現プラスミドpPIC−K503中にmatαプレプロ−PEP−1融合タンパク質のコード配列を含む最終DNA配列を図2に示す。pHIL−D2のDNA配列を以下のように改変してpPIC−K503を作製した。
【0066】
1. pHIL−D2の3’AOX1領域におけるBstBI部位は、His4遺伝子の下流に位置するが、部分的制限消化、フィルイン、及びライゲーションにより除去し、配列をTTCGAA(配列番号23)からTTCGCGAA(配列番号24)へ改変した。この改変は、発現カセットのプラスミドへのクローニングを容易にし、管理するために行った。
【0067】
2. His4の下流に位置するbla遺伝子を有するAatII部位は、制限消化、フィルイン、及びライゲーションにより除去し、配列をGACGTC(配列番号25)からGACGTACGTC(配列番号26)へ改変した。この改変は、AatII部位を有する発現カセットのプラスミドへのクローニングを容易にするために行った。オリジナルのカリクレイン結合ディスプレイ・ファージからのヌクレオチド配列に基づき、450塩基対(bp)から成る、PEP−1をコードするDNAを合成した。pHIL−D2プラスミド中の挿入物の最終DNA配列は、5’AOX1配列及び3’AOX1配列(図2に示す部分)が側面にあり、PEP−1 KIポリペプチドの構造コード配列に融合したS.セレビジエのmatαプレプロシグナルペプチドを含む融合タンパク質をコードする。酵母宿主細胞からのPEP−1の分泌を容易にするためにシグナルペプチドを付加した。挿入物を形成するためのオリゴヌクレオチドは、合成され、又は商業的に得た(Genesis Labs、ウッドランド、テキサス)。挿入物はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で作製した。次にmatαプレプロ/PEP−1融合タンパク質をコードする連結した合成DNAを、ライゲーションにより、改変pHIL−D2プラスミドのBstBI部位とEcoRI部位のあいだに導入した。
【0068】
連結産物を用いて大腸菌株XL1 Blueを形質転換した。PCRアッセイを用い、所望のプラスミド構築物について大腸菌の形質転換体をスクリーニングした。細胞抽出物由来のDNAを、5’AOX1配列及び3’AOX1配列(上記及び図2を参照されたい)を含有するプライマーを用いてPCRで増幅した。正確な塩基対数のPCR産物を配列決定した。更に、クローニング部位の両側およそ20〜50bpについて配列決定し、推定配列を得た。pHIL−D2プラスミド中の挿入物の最終DNA配列(プラスミドpPIC−K503を産生するためのもの)を、5’及び3’AOX1フランキング配列の一部、並びにPEP−1 KIポリペプチドの構造コード配列に融合したS.セレビジエのmatαプレプロシグナルペプチドを含む融合タンパク質の対応のアミノ酸配列とともに図2に示す。所望の発現プラスミド構築物による形質転換体であるプラスミドpPIC−K503を、PEP−1の日常的産生用酵母細胞株を調整するために選択した。
【0069】
実施例3:組換え酵母細胞株からのPEP−1の製造
His4表現型を有するP.パストリスGS115のスフェロプラストを、SacI部位で直線化した後の発現プラスミドpPIC−K503(上記)を用いて、このプラスミドDNAを宿主5’AOX1部位へ相同組換えすることにより、形質転換した。産生株の表現型はHis4である。全プラスミドを酵母の5’AOX1ゲノム配列へ挿入した。
【0070】
形質転換からの単離物を、単一炭素源としてメタノールを用い、外来ヒスチジン非存在下での増殖によりスクリーニングした。形質転換体の95%以上は、単一炭素源としてメタノールを用いて増殖する野生型の能力を保持しており、プラスミドがトランス置換ではなく相同組換えで宿主ゲノムに挿入されたことを示した。これらの形質転換体は増殖に外来ヒスチジンを必要とせず、プラスミドが宿主ゲノムに統合されたことを示した。選択したコロニーをクローニングした。小規模培養発現実験を行い、高レベルの活性PEP−1を培地へ分泌するクローンを同定した。精製した培養上清溶液中のPEP−1分泌レベルを、ドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)でPEP−1レベルについて定量し、カリクレイン阻害を評価した。サンプリングされた培養物間で高レベルのPEP−1発現に基づき、PEP−1産生について酵母クローンを選択した。
【0071】
PEP−1を産生するP.パストリスのマスター細胞バンク及び作業用細胞バンクを商業的に準備した(MDS Pharma Services、ボセル、ワシントン)。酵母におけるPEP−1の標準的産生は、以下の3工程を含む:(1)種培養の準備、(2)発酵、及び(3)培養物の回収。
【0072】
種培養工程は、滅菌接種材料ブロス(酵母窒素塩基、リン酸カリウム、及びグリセロール、pH=5)を含有する6つのフラスコ(それぞれ300mL)に、PEP−1産生P.パストリスの作業用細胞バンクのバイアル1本の内容物を植菌することから成る。フラスコに、オービタルシェーカー(300rpm)中、30℃±2℃でおよそ13時間植え付けた。
【0073】
滅菌ブロスを充填した100リットルの密封式ブラウン発酵槽中で発酵を行った。6つの種培養フラスコの内容物を発酵槽に移して各々の発酵を開始した。およそ24時間後に発酵槽中のグリセロールが消耗し、追加のグリセロールを更におよそ8時間加えた。
【0074】
次に、混合供給相を、これはおよそ83時間続いたが、グリセロール及びメタノール原材料の添加により開始した。この時間の終了後、発酵を停止し、発酵槽の内容物を精製水で希釈した。PEP−1の精製及び処理は以下の5工程から成る:(1)拡張ベッドクロマトグラフィ、(2)陽イオン交換クロマトグラフィ、(3)疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)、(4)限外ろ過及びダイアフィルトレーション、並びに(5)最終ろ過及び包装。
【0075】
最初の精製工程は拡張ベッドクロマトグラフィから成る。希釈した発酵培養物を、ストリームラインSP樹脂(アマシャム・ファルマシア ストリームライン200 クロマトグラフィカラム、アマシャム・ファルマシア、ピスカタウェイ、ニュージャージー)を充填した平衡化カラムにかけた。次にカラムを上向きモードで洗浄し(50mM酢酸、pH=3.0〜3.5)、拡張ベッドからの酵母細胞を水で洗い流した。拡張ベッドが洗浄を促進するところまでトップアダプターを上げた。流れを止め、ベッドを静置させた。アダプターを、静置したベッドのわずかに上になるように下げた。流れを逆向きにした。溶出液を回収した。50mM酢酸ナトリウム、pH4.0を用いて、下向きモードで洗浄を継続した。溶出液を回収した。50mM酢酸ナトリウム、pH6.0を用いてPEP−1をカラムから溶出させた。溶出液を50リットル容器に回収した。次に、溶出液を0.22μフィルターに通して精製部位に位置する清潔な容器にろ過した。PEP−1濃度を測定するために更にサンプルを回収した。次に、拡張ベッドカラムからろ過した溶出液を用いて陽イオン交換クロマトグラフィ工程を行った。15mMクエン酸三ナトリウム、pH6.2でPEP−1をカラムから溶出させた。
【0076】
付加的なタンパク質を疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)でPEP−1調整品から除去した。HICの前に、陽イオン交換カラムからの溶出液を硫酸アンモニウムで希釈した。溶出液をカラムにかけ、リン酸カリウム(100mM)中の硫酸アンモニウム(0.572M)、pH7.0でPEP−1を溶出させた。溶出液をA280値に基づきフラクションに回収した。全画分を予め秤量した滅菌PETGボトルに回収した。
【0077】
選択した画分を清潔な容器にプールした。このプールを限外ろ過で濃縮した。濃縮したPEP−1調整品を10倍量のPBS、pH7.0で直ちにダイアフィルトレーションした。
【0078】
バルクPEP−1の汚染微生物数を最小限にするため、最終ろ過工程は包装前に行った。バルク溶液を0.22μフィルターでろ過し、予め秤量した滅菌PETGボトルに回収した。ロット放出試験のためにサンプルを取り出した。バルクの残りを滅菌PETGボトルに無菌的に分注し、−20℃で保存した。
【0079】
実施例4:カリクレイン阻害アッセイ
カイネティック試験を用いてPEP−1などのKIポリペプチドの阻害活性を測定した。このカイネティック・アッセイは、基質プロリルフェニルアラニルアルギニル アミノ メチル クマリンのカリクレインによる切断後に蛍光を測定する。既知量のカリクレインを、マイクロタイタープレート上の好適な反応バッファー中で、連続的に希釈したKIポリペプチド標準リファレンス又は連続的に希釈したKIポリペプチド試験サンプルとともにインキュベートした。各サンプルについて3回実行した。基質溶液を加え、励起波長360mn及び蛍光波長460nmを用いて直ちにプレートを読んだ。標準リファレンス曲線及びサンプル曲線のそれぞれのうち少なくとも2つは、有効とみなされるR値0.95を有することが必要とされる。
【0080】
実施例5:臓器保存
コンフルエントのHUVECをPBSで洗浄し、4℃で24〜48時間、無血清培地(SFM)中で更にインキュベートした。冷蔵保存後、細胞をPBSで数回洗浄し、カリクレイン(0.125U)及びカリクレイン特異的基質S2302を細胞へ加えた。光学密度の変化を記録した。光学顕微鏡による細胞結合PEP−1の評価のために、冷蔵保存後、HUVECをPEP−1で処理し、ホルマリン固定し、ウサギ抗PEP−1で処理し、ペルオキシダーゼ結合抗ウサギIgGで処理した。HUVECのカリクレイン産生能についても37℃に維持された細胞表面及び細胞上清で評価した。37℃に維持されたHUVEC上清中のカリクレイン活性は380±19A.U.であり;同一細胞表面上では活性を測定できなかった。光学顕微鏡評価で、24時間冷蔵処理されたHUVEC表面に対するPEP−1の有意な結合がみられた。PEP−1存在下(5mg/ml)で細胞をインキュベートすることにより、最大結合を得た。細胞結合PEP−1は、外来カリクレイン阻害能を保持していた。これらの結果は、PEP−1がカリクレイン・インヒビター活性を維持しながら内皮細胞に結合することを示している。したがって、キニンが介在する血管表面上の損傷を検出し、調節するために用いることができる。
【0081】
本発明を、好ましい態様を参照して具体的に示して説明するが、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲を逸脱することなく、形態的に及び細部に種々の改変がなされ得ることが当業者には理解されるであろう。
[態様1]
臓器又は組織を有効量のカリクレイン・インヒビターと接触させることを含む、臓器又は組織の保存方法。
[態様2]
ポリペプチドがKunitzドメインを含む、態様1に記載の方法。
[態様3]
カリクレイン・インヒビターが配列番号2を含むポリペプチドである、態様2に記載の方法。
[態様4]
カリクレイン・インヒビターが配列番号2のアミノ酸3〜60を含むポリペプチドである、態様2に記載の方法。
[態様5]
臓器又は組織が、心臓、肺、腎臓、膵臓、肝臓、小腸、内皮組織、血管組織又は皮膚である、態様1に記載の方法。
[態様6]
アミノ酸配列: Xaa1 Xaa2 Xaa3 Xaa4 Cys Xaa6 Xaa7 Xaa8 Xaa9 Xaa10 Xaa11 Gly Xaa13 Cys Xaa15 Xaa16 Xaa17 Xaa18 Xaa19 Xaa20 Xaa21 Xaa22 Xaa23 Xaa24 Xaa25 Xaa26 Xaa27 Xaa28 Xaa29 Cys Xaa31 Xaa32 Phe Xaa34 Xaa35 Gly Gly Cys Xaa39 Xaa40 Xaa41 Xaa42 Xaa43 Xaa44 Xaa45 Xaa46 Xaa47 Xaa48 Xaa49 Xaa50 Cys Xaa52 Xaa53 Xaa54 Cys Xaa56 Xaa57 Xaa58(配列番号1)を含むポリペプチドを含むカリクレイン・インヒビターの有効量と臓器又は組織とを接触させることを含む、臓器又は組織の保存方法であって、
Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa56、Xaa57又はXaa58はそれぞれ個々に1つのアミノ酸であるか又は存在せず;
Xaa6、Xaa7、Xaa8、Xaa9、Xaa20、Xaa24、Xaa25、Xaa26、Xaa27、Xaa28、Xaa29、Xaa41、Xaa42、Xaa44、Xaa46、Xaa47、Xaa48、Xaa49、Xaa50、Xaa52、Xaa53及びXaa54は如何なるアミノ酸でもよく;
Xaa10は:Asp及びGluから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa11は:Asp、Gly、Ser、Val、Asn、Ile、Ala及びThrから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa13は:Arg、His、Pro、Asn、Ser、Thr、Ala、Gly、Lys及びGlnから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa15は:Arg、Lys、Ala、Ser、Gly、Met、Asn及びGlnから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa16は:Ala、Gly、Ser、Asp及びAsnから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa17は:Ala、Asn、Ser、Ile、Gly、Val、Gln及びThrから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa18は:His、Leu、Gln及びAlaから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa19は:Pro、Gln、Leu、Asn及びIleから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa21は:Trp、Phe、Tyr、His及びIleから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa22は:Tyr及びPheから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa23は:Tyr及びPheから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa31は:Glu、Asp、Gln、Asn、Ser、Ala、Val、Leu、Ile及びThrから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa32は:Glu、Gln、Asp、Asn、Pro、Thr、Leu、Ser、Ala、Gly及びValから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa34は:Thr、Ile、Ser、Val、Ala、Asn、Gly及びLeuから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa35は:Tyr、Trp及びPheから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa39は:Glu、Gly、Ala、Ser及びAspから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa40は:Gly及びAlaから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa43は:Asn及びGlyから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa45は:Phe及びTyrから成る群より選択されるアミノ酸であり;そして
該ポリペプチドはカリクレインを阻害する、前記方法。
[態様7]
Xaa6がAlaである、態様6に記載の方法。
[態様8]
Xaa7がPheである、態様6に記載の方法。
[態様9]
Xaa8がLysである、態様6に記載の方法。
[態様10]
Xaa9がAlaである、態様6に記載の方法。
[態様11]
Xaa10がAspである、態様6に記載の方法。
[態様12]
Xaa11がAspである、態様6に記載の方法。
[態様13]
Xaa13がProであり、Xaa15がArgであり、Xaa16がAlaであり、Xaa17がAlaであり、Xaa18がHisであり、そしてXaa19がProである、態様6に記載の方法。
[態様14]
Xaa20がArgである、態様6に記載の方法。
[態様15]
Xaa24がAsnである、態様6に記載の方法。
[態様16]
Xaa25がIleである、態様6に記載の方法。
[態様17]
Xaa26がPheである、態様6に記載の方法。
[態様18]
Xaa27がThrである、態様6に記載の方法。
[態様19]
Xaa28がArgである、態様6に記載の方法。
[態様20]
Xaa29がGlnである、態様6に記載の方法。
[態様21]
Xaa31がGluである、態様6に記載の方法。
[態様22]
Xaa32がGluである、態様6に記載の方法。
[態様23]
Xaa34がIleである、態様6に記載の方法。
[態様24]
Xaa35がTyrである、態様6に記載の方法。
[態様25]
Xaa39がGluである、態様6に記載の方法。
[態様26]
Xaa41がAsnである、態様6に記載の方法。
[態様27]
Xaa42がArgである、態様6に記載の方法。
[態様28]
Xaa44がArgである、態様6に記載の方法。
[態様29]
Xaa46がGluである、態様6に記載の方法。
[態様30]
Xaa47がSerである、態様6に記載の方法。
[態様31]
Xaa48がLeuである、態様6に記載の方法。
[態様32]
Xaa49がGluである、態様6に記載の方法。
[態様33]
Xaa50がGluである、態様6に記載の方法。
[態様34]
ポリペプチドが:Xaa10のAsp;Xaa11のAsp;Xaa13のPro;Xaa15のArg;Xaa16のAla;Xaa17のAla;Xaa18のHis;Xaa19のPro;Xaa21のTrp;Xaa22のPhe;Xaa23のPhe;Xaa31のGlu;Xaa32のGlu;Xaa34のIle;Xaa35のTyr;Xaa39のGlu;Xaa40のGly;Xaa43のAsn;及びXaa45のPheから成る群より選択される2以上のアミノ酸を含む、態様6に記載の方法。
[態様35]
ポリペプチドが:Xaa10のAsp;Xaa11のAsp;Xaa13のPro;Xaa15のArg;Xaa16のAla;Xaa17のAla;Xaa18のHis;Xaa19のPro;Xaa21のTrp;Xaa22のPhe;Xaa23のPhe;Xaa31のGlu;Xaa32のGlu;Xaa34のIle;Xaa35のTyr;Xaa39のGlu;Xaa40のGly;Xaa43のAsn;及びXaa45のPheから成る群より選択される5以上のアミノ酸を含む、態様6に記載の方法。
[態様36]
ポリペプチドが:Xaa10のAsp;Xaa11のAsp;Xaa13のPro;Xaa15のArg;Xaa16のAla;Xaa17のAla;Xaa18のHis;Xaa19のPro;Xaa21のTrp;Xaa22のPhe;Xaa23のPhe;Xaa31のGlu;Xaa32のGlu;Xaa34のIle;Xaa35のTyr;Xaa39のGlu;Xaa40のGly;Xaa43のAsn;及びXaa45のPheから成る群より選択される10以上のアミノ酸を含む、態様6に記載の方法。
[態様37]
ポリペプチドが:Xaa10のAsp;Xaa11のAsp;Xaa13のPro;Xaa15のArg;Xaa16のAla;Xaa17のAla;Xaa18のHis;Xaa19のPro;Xaa21のTrp;Xaa22のPhe;Xaa23のPhe;Xaa31のGlu;Xaa32のGlu;Xaa34のIle;Xaa35のTyr;Xaa39のGlu;Xaa40のGly;Xaa43のAsn;及びXaa45のPheから成る群より選択される15以上のアミノ酸を含む、態様6に記載の方法。
[態様38]
Xaa3がSerである、態様6に記載の方法。
[態様39]
Xaa2がHisである、態様6に記載の方法。
[態様40]
Xaa1がMetである、態様6に記載の方法。
[態様41]
Xaa56がThrである、態様6に記載の方法。
[態様42]
Xaa57がArgである、態様6に記載の方法。
[態様43]
Xaa58がAspである、態様6に記載の方法。
[態様44]
カリクレイン・インヒビターが、配列番号2のアミノ酸3〜60を含むポリペプチドである、態様6に記載の方法。
[態様45]
カリクレイン・インヒビターが配列番号2を含むポリペプチドである、態様6に記載の方法。
[態様46]
臓器又は組織が、心臓、肺、腎臓、膵臓、肝臓、小腸、内皮組織、血管組織又は皮膚である、態様6に記載の方法。
[態様47]
術中及び/又は被験者から臓器摘出後の臓器の再灌流障害を軽減する方法であって、臓器の貯蔵及び保存溶液中に臓器を置くことを含み、この溶液はカリクレイン・インヒビターを含む、前記方法。
[態様48]
カリクレイン インヒビターが配列番号1を含むポリペプチドであり、ここで、
Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa56、Xaa57又はXaa58はそれぞれ個々に1つのアミノ酸であるか又は存在せず;
Xaa6、Xaa7、Xaa8、Xaa9、Xaa20、Xaa24、Xaa25、Xaa26、Xaa27、Xaa28、Xaa29、Xaa41、Xaa42、Xaa44、Xaa46、Xaa47、Xaa48、Xaa49、Xaa50、Xaa52、Xaa53及びXaa54は如何なるアミノ酸でもよく;
Xaa10は:Asp及びGluから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa11は:Asp、Gly、Ser、Val、Asn、Ile、Ala及びThrから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa13は:Arg、His、Pro、Asn、Ser、Thr、Ala、Gly、Lys及びGlnから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa15は:Arg、Lys、Ala、Ser、Gly、Met、Asn及びGlnから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa16は:Ala、Gly、Ser、Asp及びAsnから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa17は:Ala、Asn、Ser、Ile、Gly、Val、Gln及びThrから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa18は:His、Leu、Gln及びAlaから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa19は:Pro、Gln、Leu、Asn及びIleから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa21は:Trp、Phe、Tyr、His及びIleから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa22は:Tyr及びPheから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa23は:Tyr及びPheから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa31は:Glu、Asp、Gln、Asn、Ser、Ala、Val、Leu、Ile及びThrから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa32は:Glu、Gln、Asp、Asn、Pro、Thr、Leu、Ser、Ala、Gly及びValから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa34は:Thr、Ile、Ser、Val、Ala、Asn、Gly及びLeuから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa35は:Tyr、Trp及びPheから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa39は:Glu、Gly、Ala、Ser及びAspから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa40は:Gly及びAlaから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa43は:Asn及びGlyから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa45は:Phe及びTyrから成る群より選択されるアミノ酸である、
態様47に記載の方法。
[態様49]
カリクレイン・インヒビターが配列番号2のアミノ酸3〜60を含むポリペプチドである、態様47に記載の方法。
[態様50]
カリクレイン・インヒビターが配列番号2を含むポリペプチドである、態様47に記載の方法。
[態様51]
臓器又は組織が、心臓、肺、腎臓、膵臓、肝臓、小腸、内皮組織、血管組織又は皮膚である、態様47に記載の方法。
[態様52]
アミノ酸配列:Xaa1 Xaa2 Xaa3 Xaa4 Cys Xaa6 Xaa7 Xaa8 Xaa9 Xaa10 Xaa11 Gly Xaa13 Cys Xaa15 Xaa16 Xaa17 Xaa18 Xaa19 Xaa20 Xaa21 Xaa22 Xaa23 Xaa24 Xaa25 Xaa26 Xaa27 Xaa28 Xaa29 Cys Xaa31 Xaa32 Phe Xaa34 Xaa35 Gly Gly Cys Xaa39 Xaa40 Xaa41 Xaa42 Xaa43 Xaa44 Xaa45 Xaa46 Xaa47 Xaa48 Xaa49 Xaa50 Cys Xaa52 Xaa53 Xaa54 Cys Xaa56 Xaa57 Xaa58(配列番号1)を含むポリペプチドを含有する生理的に許容可能なex vivo臓器保存溶液含む、臓器の保存及び/又は貯蔵のための組成物であって、
Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa56、Xaa57又はXaa58はそれぞれ個々に1つのアミノ酸であるか又は存在せず;
Xaa6、Xaa7、Xaa8、Xaa9、Xaa20、Xaa24、Xaa25、Xaa26、Xaa27、Xaa28、Xaa29、Xaa41、Xaa42、Xaa44、Xaa46、Xaa47、Xaa48、Xaa49、Xaa50、Xaa52、Xaa53及びXaa54は如何なるアミノ酸でもよく;
Xaa10は:Asp及びGluから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa11は:Asp、Gly、Ser、Val、Asn、Ile、Ala及びThrから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa13は:Arg、His、Pro、Asn、Ser、Thr、Ala、Gly、Lys及びGlnから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa15は:Arg、Lys、Ala、Ser、Gly、Met、Asn及びGlnから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa16は:Ala、Gly、Ser、Asp及びAsnから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa17は:Ala、Asn、Ser、Ile、Gly、Val、Gln及びThrから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa18は:His、Leu、Gln及びAlaから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa19は:Pro、Gln、Leu、Asn及びIleから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa21は:Trp、Phe、Tyr、His及びIleから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa22は:Tyr及びPheから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa23は:Tyr及びPheから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa31は:Glu、Asp、Gln、Asn、Ser、Ala、Val、Leu、Ile及びThrから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa32は:Glu、Gln、Asp、Asn、Pro、Thr、Leu、Ser、Ala、Gly及びValから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa34は:Thr、Ile、Ser、Val、Ala、Asn、Gly及びLeuから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa35は:Tyr、Trp及びPheから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa39は:Glu、Gly、Ala、Ser及びAspから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa40は:Gly及びAlaから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa43は:Asn及びGlyから成る群より選択されるアミノ酸であり;
Xaa45は:Phe及びTyrから成る群より選択されるアミノ酸であり;そして
該ポリペプチドはカリクレインを阻害する、前記組成物。
[態様53]
Xaa6がAlaである、態様52に記載の組成物。
[態様54]
Xaa7がPheである、態様52に記載の組成物。
[態様55]
Xaa8がLysである、態様52に記載の組成物。
[態様56]
Xaa9がAlaである、態様52に記載の組成物。
[態様57]
Xaa10がAspである、態様52に記載の組成物。
[態様58]
Xaa11がAspである、態様52に記載の組成物。
[態様59]
Xaa13がProであり、Xaa15がArgであり、Xaa16がAlaであり、Xaa17がAlaであり、Xaa18がHisであり、そしてXaa19がProである、態様52に記載の組成物。
[態様60]
Xaa20がArgである、態様52に記載の組成物。
[態様61]
Xaa24がAsnである、態様52に記載の組成物。
[態様62]
Xaa25がIleである、態様52に記載の組成物。
[態様63]
Xaa26がPheである、態様52に記載の組成物。
[態様64]
Xaa27がThrである、態様52に記載の組成物。
[態様65]
Xaa28がArgである、態様52に記載の組成物。
[態様66]
Xaa29がGlnである、態様52に記載の組成物。
[態様67]
Xaa31がGluである、態様52に記載の組成物。
[態様68]
Xaa32がGluである、態様52に記載の組成物。
[態様69]
Xaa34がIleである、態様52に記載の組成物。
[態様70]
Xaa35がTyrである、態様52に記載の組成物。
[態様71]
Xaa39がGluである、態様52に記載の組成物。
[態様72]
Xaa41がAsnである、態様52に記載の組成物。
[態様73]
Xaa42がArgである、態様52に記載の組成物。
[態様74]
Xaa44がArgである、態様52に記載の組成物。
[態様75]
Xaa46がGluである、態様52に記載の組成物。
[態様76]
Xaa47がSerである、態様52に記載の組成物。
[態様77]
Xaa48がLeuである、態様52に記載の組成物。
[態様78]
Xaa49がGluである、態様52に記載の組成物。
[態様79]
Xaa50がGluである、態様52に記載の組成物。
[態様80]
ポリペプチドが:Xaa10のAsp;Xaa11のAsp;Xaa13のPro;Xaa15のArg;Xaa16のAla;Xaa17のAla;Xaa18のHis;Xaa19のPro;Xaa21のTrp;Xaa22のPhe;Xaa23のPhe;Xaa31のGlu;Xaa32のGlu;Xaa34のIle;Xaa35のTyr;Xaa39のGlu;Xaa40のGly;Xaa43のAsn;及びXaa45のPheから成る群より選択される2以上のアミノ酸を含む、態様52に記載の組成物。
[態様81]
ポリペプチドが:Xaa10のAsp;Xaa11のAsp;Xaa13のPro;Xaa15のArg;Xaa16のAla;Xaa17のAla;Xaa18のHis;Xaa19のPro;Xaa21のTrp;Xaa22のPhe;Xaa23のPhe;Xaa31のGlu;Xaa32のGlu;Xaa34のIle;Xaa35のTyr;Xaa39のGlu;Xaa40のGly;Xaa43のAsn;及びXaa45のPheから成る群より選択される5以上のアミノ酸を含む、態様52に記載の組成物。
[態様82]
ポリペプチドが:Xaa10のAsp;Xaa11のAsp;Xaa13のPro;Xaa15のArg;Xaa16のAla;Xaa17のAla;Xaa18のHis;Xaa19のPro;Xaa21のTrp;Xaa22のPhe;Xaa23のPhe;Xaa31のGlu;Xaa32のGlu;Xaa34のIle;Xaa35のTyr;Xaa39のGlu;Xaa40のGly;Xaa43のAsn;及びXaa45のPheから成る群より選択される10以上のアミノ酸を含む、態様52に記載の組成物。
[態様83]
ポリペプチドが:Xaa10のAsp;Xaa11のAsp;Xaa13のPro;Xaa15のArg;Xaa16のAla;Xaa17のAla;Xaa18のHis;Xaa19のPro;Xaa21のTrp;Xaa22のPhe;Xaa23のPhe;Xaa31のGlu;Xaa32のGlu;Xaa34のIle;Xaa35のTyr;Xaa39のGlu;Xaa40のGly;Xaa43のAsn;及びXaa45のPheから成る群より選択される15以上のアミノ酸を含む、態様52に記載の組成物。
[態様84]
Xaa3がSerである、態様52に記載の組成物。
[態様85]
Xaa2がHisである、態様52に記載の組成物。
[態様86]
Xaa1がMetである、態様52に記載の組成物。
[態様87]
Xaa56がThrである、態様52に記載の組成物。
[態様88]
Xaa57がArgである、態様52に記載の組成物。
[態様89]
Xaa58がAspである、態様52に記載の組成物。
[態様90]
ポリペプチドが配列番号2を含む、態様52に記載の組成物。
[態様91]
カリクレイン結合ポリペプチドを含有する生理的に許容可能なex vivo臓器保存溶液に臓器又は組織を接触させることを含む、臓器又は組織を保存するための方法。
[態様92]
カリクレイン結合ポリペプチドが配列番号2を含む、態様91に記載の方法。
[態様93]
臓器又は組織が、心臓、肺、腎臓、膵臓、肝臓、小腸、内皮組織、血管組織又は皮膚である、態様91に記載の方法。
[態様94]
カリクレイン結合ポリペプチドがKunitzドメインを含む、態様91に記載の方法。
[態様95]
Kunitzドメインが、5及び55;14及び38;並びに30及び51のそれぞれの位置にシステインを含み、更に:
His及びProから選択されるアミノ酸番号13;
Ala及びGlyから選択されるアミノ酸番号16;
Ala、Asn、及びSerから選択されるアミノ酸番号17;
His及びLeuから選択されるアミノ酸番号18;そして
Gln、Leu、及びProから選択されるアミノ酸番号19(配列番号23)を含み、
ここで、アミノ酸の番号付けはウシ膵トリプシン・インヒビター(BPTI)のKunitzドメインのアミノ酸位置に対応する、態様94に記載の方法。
[態様96]
Kunitzドメインが、5及び55;14及び38;並びに30及び51のそれぞれの位置にシステインを含み、更に:
His及びProから選択されるアミノ酸番号13;
Lys及びArgから選択されるアミノ酸番号15;
Ala及びGlyから選択されるアミノ酸番号16;
Ala、Asn、及びSerから選択されるアミノ酸番号17;
His及びLeuから選択されるアミノ酸番号18;そして
Gln、Leu、及びProから選択されるアミノ酸番号19;
Gluであるアミノ酸番号31;
Glu及びGlnから選択されるアミノ酸番号32;
Ser、Thr、及びIleから選択されるアミノ酸番号34;そして
Gly、Glu、及びAlaから選択されるアミノ酸番号39(配列番号24)を含み、
ここで、アミノ酸の番号付けはウシ膵トリプシン・インヒビター(BPTI)のKunitzドメインのアミノ酸位置に対応する、態様94に記載の方法。
[態様97]
Kunitzドメインが、以下の:
KKII/3 #1(配列番号24)
KKII/3 #2(配列番号25)
KKII/3 #3(配列番号26)
KKII/3 #4(配列番号27)
KKII/3 #5(配列番号28)
KKII/3 #6(配列番号29)
KKII/3 #7(配列番号30)
KKII/3 #8(配列番号31)
KKII/3 #9(配列番号32)及び
KKII/3 #10(配列番号33)から成る群より選択される、態様94に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号2のアミノ酸3〜60又は配列番号2から成るポリペプチドを含むカリクレイン・インヒビター及び臓器保存液を含む、臓器又は組織の保存に使用するための組成物。
【請求項2】
ポリペプチドがさらに、アミノ末端及び/又はカルボキシ末端における付加的なフランキング配列であって、特定の宿主細胞中においてそのポリペプチドの発現を可能にするもの及び/又は精製を容易にする親和性部分であるものから成る、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
臓器又は組織が、心臓、肺、腎臓、膵臓、肝臓、小腸、内皮組織、血管組織、及び皮膚から成る群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
配列番号2のアミノ酸3〜60又は配列番号2から成るポリペプチドを含むカリクレイン・インヒビター及び臓器保存液を含む、術中及び/又は被験者から臓器摘出後の臓器の再灌流障害を軽減するための臓器の貯蔵及び保存溶液。
【請求項5】
ポリペプチドがさらに、アミノ末端及び/又はカルボキシ末端における付加的なフランキング配列であって、特定の宿主細胞中においてそのポリペプチドの発現を可能にするもの及び/又は精製を容易にする親和性部分であるものから成る、請求項4に記載の溶液。
【請求項6】
臓器又は組織が、心臓、肺、腎臓、膵臓、肝臓、小腸、内皮組織、血管組織、及び皮膚から成る群から選択される、請求項4に記載の溶液。
【請求項7】
配列番号2のアミノ酸3〜60又は配列番号2から成るポリペプチドを含むカリクレイン・インヒビター及び臓器保存液を含む生理的に許容可能なex vivo臓器又は組織保存溶液を含む、臓器の保存及び/又は貯蔵に使用するための組成物。
【請求項8】
ポリペプチドがさらに、アミノ末端及び/又はカルボキシ末端における付加的なフランキング配列であって、特定の宿主細胞中においてそのポリペプチドの発現を可能にするもの及び/又は精製を容易にする親和性部分であるものから成る、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
臓器又は組織が、心臓、肺、腎臓、膵臓、肝臓、小腸、内皮組織、血管組織、及び皮膚から成る群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
配列番号2のアミノ酸3〜60又は配列番号2を含むポリペプチドを含むカリクレイン・インヒビター及び臓器保存液を含む、移植のあいだの臓器又は組織の保存のための組成物。
【請求項11】
ポリペプチドがさらに、アミノ末端及び/又はカルボキシ末端における付加的なフランキング配列であって、特定の宿主細胞中においてそのポリペプチドの発現を可能にするもの及び/又は精製を容易にする親和性部分であるものから成る、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
臓器又は組織が、心臓、肺、腎臓、膵臓、肝臓、小腸、内皮組織、血管組織、及び皮膚から成る群から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
配列番号2のアミノ酸3〜60又は配列番号2を含むポリペプチド及び臓器保存液を含む、貯蔵のあいだの臓器又は組織の保存のための組成物。
【請求項14】
ポリペプチドがさらに、アミノ末端及び/又はカルボキシ末端における付加的なフランキング配列であって、特定の宿主細胞中においてそのポリペプチドの発現を可能にするもの及び/又は精製を容易にする親和性部分であるものから成る、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
臓器又は組織が、心臓、肺、腎臓、膵臓、肝臓、小腸、内皮組織、血管組織、及び皮膚から成る群から選択される、請求項13に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−78417(P2011−78417A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246452(P2010−246452)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【分割の表示】特願2004−532576(P2004−532576)の分割
【原出願日】平成15年6月6日(2003.6.6)
【出願人】(502352519)ダイアックス、コープ (16)
【氏名又は名称原語表記】DYAX CORP.
【Fターム(参考)】