説明

自動フラッシュボルト

【課題】 両開扉錠において、デッド杆の先端に回動可能に装着された係合シューをストライク孔に投入して子扉を床面に係止すると共に、子扉を開放方向に押動するだけで子扉の係止を解くようにする。
【解決手段】 子扉を閉止位置に置き、親扉を閉めることによりラッチ3を作動させ、デッド杆6及び作動杆22を一体的に下降させてデッド杆6の下端の係合シュー19をストライク孔21に投入し、子扉開放時、ケース体1を紙面方向向う側に押すことにより係合シュー19をストライク孔21に弾圧して前者を後者に一時的に係留し、同時に係合シュー19の内端部に形成された傾斜端縁24により作動杆の係合ピン25を相対的に押上げ、デッド杆6と作動杆22との係合を解く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、所謂観音開き扉と称される両開扉の子扉の自動係止装置(以下単に自動フラッシュボルトという)に係り、特に、床面或いは天井面に形成されたストライク孔とデッドボルトとの間に側圧が作用する場合であっても円滑に開放することができる自動フラッシュボルトに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、先に、下記特許文献1を以て新規な自動フラッシュボルト(両開扉の子扉の自動係止装置:ラッチ装置)を提案した。
【0003】
この自動フラッシュボルトは、両開扉の子扉を床面及び/または天井に係止するラッチ装置であって、子扉の自由側端縁部の下端部及び/または上端部に装着されるケース体と、水平面に対する投影形状が略扇形で、その要の部分を、子扉の自由側端縁部とほぼ同一面となるケース体のフロント板付近に回動可能に、かつフロント板から出没可能に支承され、親扉の閉扉時親扉の自由側端縁に装着されたストライクと干渉してケース体内に押込まれるメインラッチと、このメインラッチの上方または下方においてメインラッチに連設されたサブラッチと、ケース体内において子扉の自由側端縁に平行な方向に延在してその長さ方向に移動可能に案内され、ケース体内に引き込まれる方向に付勢されたデッド杆と、このデッド杆の内端部及び上記メインラッチの間に配設され、親扉閉扉時におけるメインラッチの動きをデッド杆に伝達し、これを長さ方向に沿ってケース体から外方に押出すように駆動する第1作動力偏向機構と、デッド杆の外端において扉面に平行で水平な支軸の回りを回動自在に軸支され、先端が子扉の閉鎖方向にのみ回動可能に拘束されると共に逆方向に付勢された係合シューと、この係合シューの内端部に一体的に形成された傾斜端縁と、ケース体内において子扉の自由側端縁に平行な方向に延在し、少なくとも外端部がデッド杆に重合する態様でその長さ方向に移動可能に案内され、外端部に係合シューの傾斜端縁に弾接するように付勢された係合ピンを有する作動杆と、この作動杆の内端部及び上記サブラッチの間に配設され、親扉閉扉時におけるサブラッチの動きを作動杆に伝達し、これを長さ方向に沿ってケース体から外方に押出すように駆動する第2作動力偏向機構とを有し、親扉閉扉時、メイン及びサブラッチを同時に作動させてデッド杆及び作動杆を一体的に外方に押出し、デッド杆の係合シューを床面及びまたは天井面に設けられたストライク孔に投入し、一方、子扉を開放方向に押動するとき、係合シューとストライク孔の開口端縁との間に生じる摩擦係合によりデッド杆を一時的にストライク孔に係止し、係合シューの回動によって生じる係合ピンとの間の楔作用により、作動杆をケース体内に押込み、以て係合ピンと係合シューとの係合をといて係合シューを解放するようにしたことを特徴とするものである。
【特許文献1】特願2006−148380
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した所謂両開扉は、例えば劇場やオフィスビル等の非常口に装着され、火事や地震等によって屋外に脱出するため人が非常口に殺到すると、通常、人が子扉を押すため、自動フラッシュボルトのデッドボルトの先端が上記ストライク孔の開口端縁に強く押圧され、この接触部分に生じる摩擦抵抗により、親扉が開いても子扉が開かず、非常口が狭いままになる、という不都合を解消する目的を有するものである。
【0005】
そして、上記特許文献1に記載された発明は、親扉の開放の初期の段階において、係合シュー19の作動により作動杆22が自由になることを利用し、揺動レバー15を介してメインラッチ3及びサブラッチ27をフロント板2から待機位置に迄突出させるものである。
【0006】
しかしながら、特許文献1の図5から明らかなように、ラッチ3(27)とローラ17(特許文献1の図1参照)の接点と、ラッチ3(27)の支軸4との水平方向の距離(図5で上下方向の距離)が短いので、図5でローラ17がラッチを左方に押動しても、ラッチに充分な回転モーメントを与えることができず、ラッチが引っ掛かったような状態で待機位置に迄突出し難い、等未だ改良の余地がある。
【0007】
この場合、ラッチを図5で左方に押動する力は、第1付勢ばね14(図1参照)の弾力であるが、この弾力を大きくすれば、今度はデッド杆を作動する力が大きくならざるを得ず、閉扉時余分な力を要するので作動が円滑でなくなる。
【0008】
そこで、この発明は、子扉を開放方向に押動するだけでラッチ装置を解除でき、ラッチの復帰回動が円滑である自動フラッシュボルトを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、両開扉の子扉を床面及び/または天井に係止するラッチ装置であって、子扉の自由側端縁部の下端部及び/または上端部に装着されるケース体と、水平面に対する投影形状が略扇形で、その要の部分を、子扉の自由側端縁部とほぼ同一面となるケース体のフロント板付近に回動可能に、かつフロント板から出没可能に支承され、親扉の閉扉時親扉の自由側端縁に装着されたストライクと干渉してケース体内に押込まれるラッチと、このラッチの内側においてフロント板に垂直な方向に移動可能に案内され、外方に付勢されると共に、ケース体内に押込まれた上記ラッチの自由端部と係合して、ラッチをフロント板から突出する方向に押動する傾斜面を形成した押出しブロックと、ケース体内において子扉の自由側端縁に平行な方向に延在してその長さ方向に移動可能に案内され、ケース体内に引き込まれる方向に付勢されたデッド杆と、このデッド杆の内端部及び上記ラッチの間に配設され、親扉閉扉時におけるラッチの動きをデッド杆に伝達し、これを長さ方向に沿ってケース体から外方に押出すように駆動する作動力偏向機構と、デッド杆の外端において扉面に平行で水平な支軸の回りを回動自在に軸支され、先端が子扉の閉鎖方向にのみ回動可能に拘束されると共に逆方向に付勢された係合シューと、この係合シューの内端部に一体的に形成された傾斜端縁と、ケース体内において子扉の自由側端縁に平行な方向に延在し、少なくとも外端部がデッド杆に重合する態様でその長さ方向に移動可能に案内され、外端部に係合シューの傾斜端縁に弾接するように付勢された係合ピンを有する作動杆とを有し、親扉閉扉時、ラッチを作動させてデッド杆及び作動杆を一体的に外方に押出し、デッド杆の係合シューを床面及びまたは天井面に設けられたストライク孔に投入し、一方、子扉を開放方向に押動するとき、係合シューとストライク孔の開口端縁との間に生じる摩擦係合によりデッド杆を一時的にストライク孔に係止し、係合シューの回動によって生じる係合ピンとの間の楔作用により、作動杆をケース体内に押込み、以て係合ピンと係合シューとの係合を解いて係合シューを解放するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成された請求項1に記載の発明による自動フラッシュボルトは、両開扉の閉鎖状態においては、子扉を開放方向に押動する側圧はデッド杆の外端に装着された係合シューと一体の傾斜端縁と係合ピンとの係合、作動杆、作動力偏向機構及びラッチを介して親扉のストライクに担持される。
【0011】
係合シューに側圧が印加された状態で子扉を開放方向に押動すると、係合シューとストライク孔の開口端縁との間に生じる摩擦係合によりデッド杆が一時的にストライク孔に係止され、更なる子扉の押動により、係合シューと一体の傾斜端縁と係合ピンとの間に生じる楔作用により作動杆がケース体内に押込まれるので、係合シューと作動杆との係合が解かれ、係合シューが自由になって子扉が解放される
【0012】
そのため、係合シューが回動してストライク孔との摩擦係合が無くなり、デッド杆の付勢力によってデッド杆が床面或いは上枠のストライク孔から引抜かれる。
【0013】
このとき、押出しブロックの傾斜面とラッチの自由端部との間に生じる楔作用により、ラッチがフロント板から突出する結果、ラッチに押えられていたデッド杆の上記ストライク孔からの引抜きが容易になる、という所期の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
扉の自由側端縁部の端部から床面或いは上枠のストライク孔に投入されるデッド杆の先端に係合シューを回動自在に設け、その係合シューの拘束を子扉の開放操作の初期において解くようにしたので、子扉のデッド杆の先端に印加される側圧による不都合を解消することができ、また、押出しブロックによってラッチをフロント板から外方に突出し易くしたので、ラッチに押え付けられていたデッド杆のストライク孔からの引抜きを円滑にした。
【実施例1】
【0015】
以下、この発明の一実施例を図面を参照して説明する。
図1及び図2において符号1はケース体を示し、このケース体1は子扉の自由側端縁部の上端及び/又は下端に例えば埋設等の態様で装着される。
【0016】
なお、図1及び図2に示すケース体1は子扉の下端部に装着されるもので、後述のデッド杆は床面に設けられたストライク孔に投入されて子扉を床面に係止する。
【0017】
ちなみに、通常、このケース体1と対称的に子扉の上端部には図示しない他のケース体が装着され、一方、これら一対のケース体の間における子扉の自由側端縁にはストライク孔が設けられ、親扉側に装着された図示しない錠箱のデッドボルトがこのストライク孔に投入されて両開扉を施錠する。
【0018】
上記ケース体1の子扉の自由側端縁とほぼ同一面となるフロント板2付近には、図1及び図3に示すように、ラッチ3が設けられている。
【0019】
図示の実施例におけるラッチ3は、図3に示すように、床面(水平面)に対する投影形状が扇形のブロック体で、その要の部分を鉛直に貫通する第1支軸4により水平面内で回動可能に軸支されている。
【0020】
このラッチ3は、図3に示すように、戸当りに当てて閉鎖位置にあるケース体1に対し、親扉閉鎖時、図示しない親扉の自由側端縁に装着されたストライク板5(図4参照)が図3において相対的に子扉に近接したとき、換言すれば図3においてストライク板5が下降したとき、このストライク板に駆動されて図3で反時計方向に回動し、後述する作動力偏向機構を駆動する。
【0021】
一方、図1及び図2において符号6はデッド杆を示し、図示の実施例におけるデッド杆6は、下方を断面コ字形に折曲して剛性を増大させた細長い板状体で、ケース体1内において子扉の自由側端縁に平行な方向(上下方向)に延在している。
【0022】
また、このデッド杆6は、第2支軸7(図1参照)及び第3支軸8によって上下方向に移動可能に支持、案内されている。
【0023】
上記第2支軸7は、図1に示すように、デッド杆6の上端部にかしめつけられた短円柱体で、その一端に形成された小径部がケース体1の側面に形成された縦長の第1案内孔9(図1参照)に摺動可能に係合している。
【0024】
また、上記第3支軸8は、後述する作動杆に形成された縦長の第2案内孔11(図1参照)と摺動可能に係合しており、作動杆の案内部を兼ねている。
【0025】
更にまた、図1に示すように、ケース体1の内側底面に植設された案内杆12が、デッド杆6の側端縁に一体に形成された水平な案内板13に開口した図示しない案内孔と摺動可能に嵌合しており、案内板13とケース体1の底面との間における案内杆12に巻装された圧縮コイルばねとしての第1付勢ばね14の弾力により、デッド杆6は上方に、換言すればケース体内に引き込まれる方向に付勢されている。
【0026】
他方、図1に示すように、このデッド杆6の上端部と前記ラッチ3との間には、作動力偏向機構としての揺動レバー15が配設されている。
【0027】
この揺動レバー15は、板材を断面コ字形に折曲し、ケース体1の側板への投影形状が略扇形になるように成形した部材で、その要の部分を貫通する水平な第4支軸16によって揺動可能に軸支されている。
【0028】
また、揺動レバー15のラッチ3に近接した一端部はガイドブロック17を介してラッチ3に当接しており、他端部に担持された水平な第1係合ピン18は、図1に示すように、デッド杆6の上端部に開口した付番しない水平な長穴である係合穴と摺動可能に係合している。
【0029】
ちなみに、上記ガイドブロック17は、例えば含油合金、或いはポリアセテート樹脂等の低摩擦材料で構成されており、図示の実施例では、錠箱側面への投影形状が三角形で、図面を明瞭にするため付番しない水平な支軸により、回動可能に軸支されている。
【0030】
そして、後述するようにラッチ3が錠箱内に押込まれるとき、ガイドブロック17の外面がラッチ3の内端部に沿って下降しつつ、上記付番しない水平な支軸の回りを回動して、ラッチの動きを効率良くデッド杆に伝達する。
【0031】
上記した構成は、前記特許文献1に記載された発明の構成とほぼ同一であるが、本願発明の特徴的な構成は次に述べる押出しブロックである。
【0032】
この押出しブロック10は、図1及び図3に示すように、ラッチ3より内方で揺動レバー15の上方に設けられた付番しない支持枠に包持された偏平なブロック体で、フロント板2に垂直な前後方向に移動可能に案内されると共に、付番しない圧縮コイルばねにより前方(外方)に付勢されている。
【0033】
そして、この押出しブロック10の外面には傾斜面10aが形成されていて、両開扉が開いており、ラッチがストライク板5から突出している常態においては、図3に示すように、ラッチ3と接触していないが、図6に示すようにラッチ3が錠箱内に押込まれたとき、この傾斜面10aがラッチ3が時計方向に回動するように付勢し、デッド杆が移動したときにラッチ3をフロント板から突出させ、この自動フラッシュボルトの作動を円滑にしている。
【0034】
上記した構成により、親扉が閉鎖位置に近接したとき、そのストライク板5によってラッチ3がケース体1内に押込まれ、このラッチ3の回動に連動して揺動レバー15が図1で時計方向に回動し、その結果、図4に示すように、デッド杆6が第1付勢ばね14の弾力に抗して下降する。
【0035】
このとき、後記係合シューが床面或いは天井面(戸枠の上枠)に開口した図示しないストライク孔21(図4参照)に投入され、子扉に側圧がかかる場合には、図2における係合シュー19の右側の面がストライク孔21の開口端縁に押圧される。
【0036】
前記したように、デッド杆6の下端部は断面コ字形に成形されているが、次に述べる作動杆22(図1及び図2参照)の下端部も断面コ字形に折曲されている。
【0037】
そして、図2に示すように、デッド杆6及び作動杆22の下端部の断面コ字形部を入れ子状に重合させている。
【0038】
一方、図2に示すように、上記のようにして作動杆22と重合しているデッド杆6の外端に、扉面に平行で水平な支軸23により、係合シュー19が回動可能に支承されている。
【0039】
この係合シュー19の内端部には、図2に示すように、傾斜端縁24が一体的に形成されている。
【0040】
また、図面を明瞭にするため付番を省略する捩りコイルばねの弾力により、上記係合シュー19は図2で反時計方向に付勢されているが、係合シュー19に外力が作用しない常態においては、上記傾斜端縁24が作動杆22の下端部に植設された係合ピン25に弾接してこれに衝止され、図示の角度位置を保つ。
【0041】
つまり、係合シュー19は、これと一体の傾斜端縁24と係合ピン25との係合、作動杆22、作動力偏向機構及びラッチを介して親扉のストライクに担持される。
【0042】
したがって、係合シュー19は図2に示す角度位置から更に時計方向(係合シューの先端が左方向)に回動することができないように拘束されている。
【0043】
他方、上記作動杆22は、図1及び図2に示すように、デッド杆6と重合する態様で上下方向にに延在し、前記第2支軸8及びデッド杆6との係合により長さ方向に移動可能に案内されている。
【0044】
また、作動杆22とデッド杆6との間には、図1及び図2に示すように、圧縮コイルばね26が弾装されており、この圧縮コイルばね26の弾力により、作動杆の前記係合ピン25が係合シューの傾斜端縁24に弾接する方向に付勢されており、常態ではデッド杆6と作動杆7とが一体的に動くように構成されている。
【0045】
なお、図1及び図2において符号28は圧縮コイルばねとしての補償ばねを示し、この補償ばね28は、例えばこの発明による自動フラッシュボルトを子扉の上方に装着したとき、すなわちケース体1を上下逆向きにして装着したとき、デッド杆6及び作動杆22に作用する重力による影響を除去するもので、この発明の必須の構成ではない。
【0046】
上記のように構成されたこの発明の一実施例による自動フラッシュボルトは、両開扉が開いているときには、図1及び図2に示すように、デッド杆6及び作動杆22は、付勢ばね14の弾力によりケース体1内に引込んでおり、子扉は自由である。
【0047】
このときには、図3に示すように、ラッチ3はフロント板2から突出している。
【0048】
この状態で子扉を動かし、例えば戸当りに当てて子扉を閉鎖角度位置に置いた後、親扉を閉鎖位置に迄回動させると、前記ストライク5が図3の上方からラッチ3に近接し、これらを回動させる。
【0049】
すると、図4に示すように、デッド杆6及び作動杆22は一体的にケース体外に押出され、デッド杆の外端に装着された係合シュー19が例えば床面に設けられたストライク孔21に投入され、子扉を床面に係止する。
【0050】
その後、親扉の錠前を操作して、親扉側から図示しないデッドボルトを子扉の自由側端縁に形成されたストライク孔に投入し、このようにして両開扉を施錠する。
【0051】
両開扉を開放するには、先ず上記親扉の錠前を解錠し、親扉と子扉との係合を解いた後、子扉を開放方向(図3で上方、図4で紙面方向向う側)に押動する。
【0052】
すると、ストライク孔21内で遊動する係合シュー19が図4で向う側に移動し、同時に、図6においてケース体1が下方に移動する。
【0053】
やがて係合シュー19の衝止面(図2における右側の面)がストライク孔21の開口端縁に当接し、係合シュー19は停止させられるが、更に子扉が開放方向に押動されると、係合シュー19が支軸23の回りを時計方向に回動するようになる(図2参照)。
【0054】
すると、係合シューの内端に形成された傾斜端縁24と係合ピン25との間に生じる楔作用により、前者が後者を斜上に押上げるように押動する。
【0055】
この状態では、係合シューの衝止面とストライク孔の開口端縁との間に強い摩擦係合が生じるから、その摩擦力により係合シュー19は一時的にストライク孔21の開口端縁に一時的に係止される。
【0056】
したがって、図示の実施例では作動杆22はデッド杆6に関して相対的に上昇し、ついには、図7に示すように、傾斜端縁24が係合ピン25を押上げ、これらの係合を解くに致る。
【0057】
すると、図7に示すように係合シュー19は自由に回動できるようになり、デッド杆6とストライクとの係合が解けて子扉が開く。
【0058】
子扉が開くと、それまでラッチ3に押え付けられていた揺動レバーが自由になる結果、第1付勢ばね14の弾力によりデッド杆6がラッチ3を外方に押出しつつ上昇し、図1及び図2に示す待機位置に戻る。
【0059】
なお、このとき前記押出しブロック10が作動し、ラッチ3を円滑に外方に押出す。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】この発明の一実施例による自動フラッシュボルトの一部断面側面図。
【図2】その一部断面背面図。
【図3】その一部断面平面図。
【図4】図1と同様の一部断面側面図で、両開扉の閉鎖時を示す。
【図5】その一部断面背面図。
【図6】図3と同様の一部断面平面図で、ラッチが錠箱内に押込まれた両開扉の閉鎖時を示す。
【図7】図5と同様の自動フラッシュボルトの一部断面背面図で、係合シューが傾いた状態を示す。
【符号の説明】
【0061】
1 ケース体
2 フロント板
3 ラッチ
5 ストライク
6 デッド杆
10 押出しブロック
10a 傾斜面
14 第1付勢ばね
15 揺動レバー
19 係合シュー
21 ストライク孔
22 作動杆
23 支軸
24 傾斜端縁
25 係合ピン
26 圧縮コイルばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両開扉の子扉を床面及び/または天井に係止するラッチ装置であって、子扉の自由側端縁部の下端部及び/または上端部に装着されるケース体と、水平面に対する投影形状が略扇形で、その要の部分を、子扉の自由側端縁部とほぼ同一面となるケース体のフロント板付近に回動可能に、かつフロント板から出没可能に支承され、親扉の閉扉時親扉の自由側端縁に装着されたストライクと干渉してケース体内に押込まれるラッチと、このラッチの内側においてフロント板に垂直な方向に移動可能に案内され、外方に付勢されると共に、ケース体内に押込まれた上記ラッチの自由端部と係合して、ラッチをフロント板から突出する方向に押動する傾斜面を形成した押出しブロックと、ケース体内において子扉の自由側端縁に平行な方向に延在してその長さ方向に移動可能に案内され、ケース体内に引き込まれる方向に付勢されたデッド杆と、このデッド杆の内端部及び上記ラッチの間に配設され、親扉閉扉時におけるラッチの動きをデッド杆に伝達し、これを長さ方向に沿ってケース体から外方に押出すように駆動する作動力偏向機構と、デッド杆の外端において扉面に平行で水平な支軸の回りを回動自在に軸支され、先端が子扉の閉鎖方向にのみ回動可能に拘束されると共に逆方向に付勢された係合シューと、この係合シューの内端部に一体的に形成された傾斜端縁と、ケース体内において子扉の自由側端縁に平行な方向に延在し、少なくとも外端部がデッド杆に重合する態様でその長さ方向に移動可能に案内され、外端部に係合シューの傾斜端縁に弾接するように付勢された係合ピンを有する作動杆とを有し、親扉閉扉時、ラッチを作動させてデッド杆及び作動杆を一体的に外方に押出し、デッド杆の係合シューを床面及びまたは天井面に設けられたストライク孔に投入し、一方、子扉を開放方向に押動するとき、係合シューとストライク孔の開口端縁との間に生じる摩擦係合によりデッド杆を一時的にストライク孔に係止し、係合シューの回動によって生じる係合ピンとの間の楔作用により、作動杆をケース体内に押込み、以て係合ピンと係合シューとの係合を解いて係合シューを解放するようにしたことを特徴とする両開扉錠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−127191(P2009−127191A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−299706(P2007−299706)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(390037028)美和ロック株式会社 (868)