自動二輪車の盗難対策装置
【課題】収納スペースや他の車体スペースを有効利用しつつ配置することが可能な自動二輪車の盗難対策装置を提供する。
【解決手段】車体フレーム11の前部に操舵自在にフロントフォーク21が取付けられ、このフロントフォーク21の下端に前輪32が支持され、車体フレーム11の後部にスイング自在にスイングアーム24が取付けられ、このスイングアーム24の後端に後輪37が支持され、自車の位置を測定可能で且つ測定された位置情報を無線送信可能な盗難対策装置50(50A)を備える自動二輪車10において、盗難対策装置50(50A)が、車体フレーム11、詳しくは、シートレール17の後端部より上方及び/又はシートレール17の後端部より後方に配置されている。
【解決手段】車体フレーム11の前部に操舵自在にフロントフォーク21が取付けられ、このフロントフォーク21の下端に前輪32が支持され、車体フレーム11の後部にスイング自在にスイングアーム24が取付けられ、このスイングアーム24の後端に後輪37が支持され、自車の位置を測定可能で且つ測定された位置情報を無線送信可能な盗難対策装置50(50A)を備える自動二輪車10において、盗難対策装置50(50A)が、車体フレーム11、詳しくは、シートレール17の後端部より上方及び/又はシートレール17の後端部より後方に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車の盗難対策装置、詳しくは、盗難対策装置の配置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両が盗難される際に、例えば、エンジンを始動できないようにしたり、警報を発したり、あるいは盗難された車両を探し出すために、GPS(Global Positioning System)機能を利用して車両位置を検出し、この位置情報を携帯電話等に送信することが可能な盗難対策装置が開発されている。
【0003】
このような自動二輪車の盗難対策装置として、自動二輪車に備えるヘルメット収納ボックス内に配置されたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−362448公報
【0004】
特許文献1の図1、図4によれば、車体フレーム1の後部に物入れボックス5が取付けられ、この物入れボックス5内で、2つのヘルメットH1,H2を収納して空いた空間に盗難対策装置20が設けられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記物入れボックス5内に盗難対策装置20を設けることで、物入れボックス5内の容量が小さくなり、例えば、物入れボックス5内に、ヘルメットH1,H2の他に小物等を収納するスペースが少なくなる。
【0006】
また、例えば、物入れボックスを備えていない自動二輪車では、車両の大型化等を防止するために、車体のスペースを有効利用しつつ盗難対策装置を配置するのが望ましい。
【0007】
本発明の目的は、収納スペースや他の車体スペースを有効利用しつつ配置することが可能な自動二輪車の盗難対策装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、車体フレームの前部に操舵自在にフロントフォークが取付けられ、このフロントフォークの下端に前輪が支持され、車体フレームの後部にスイング自在にスイングアームが取付けられ、このスイングアームの後端に後輪が支持され、自車の位置を測定可能で且つ測定された位置情報を無線送信可能な盗難対策装置を備える自動二輪車において、盗難対策装置が、車体フレームの後端部より上方及び/又は車体フレームの後端部より後方に配置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、車体フレームの後端部の近傍にテールランプユニットが配置され、このテールランプユニットの上方に盗難対策装置が配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、車体フレームの後端部の近傍に、主要構成部品が樹脂製のテールランプユニットが配置され、このテールランプユニットの下方に盗難対策装置が配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、テールランプユニットの下面に臨むように、後輪の上方を覆うリヤフェンダの上面が配置され、盗難対策装置が、これらのテールランプユニットの下面とリヤフェンダの上面との間に配置されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、車体フレームの後端部に樹脂製のキャリアが取付けられ、このキャリアの下面に盗難対策装置が下方から取付けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明は、盗難対策装置が、位置情報を検出するGPSと、検出された位置情報を送信する携帯電話通信部とを備えることを特徴とする。
【0014】
請求項7に係る発明は、盗難対策装置が、位置情報を検出するGPSと、検出された位置情報を送信する携帯電話通信部と、盗難時に車体に加えられた振動を検出する加速度センサと、これらのGPS、携帯電話通信部及び加速度センサを統合制御する制御部と、これらのGPS及び携帯電話通信部に電力を供給する内部電源とを1つのケース内に備えることを特徴とする。
【0015】
請求項8に係る発明は、盗難対策装置が、盗難を検知した場合に、エンジンの始動を停止するエンジン停止機能と、灯火器を作動させて警報を発する警報機能とを有し、盗難対策装置を車体に備える電装系統に接続することにより、エンジン停止機能及び警報機能が作動可能であることを特徴とする。
【0016】
請求項9に係る発明は、ケースが、ボックス状に形成され、ボックスの最も大きな面が水平又は水平に近い状態で配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明では、盗難対策装置が、車体フレームの後端部より上方及び/又は車体フレームの後端部より後方に配置されているので、収納ボックスを備えていない車両では、使用されていないスペースを有効利用して盗難対策装置を設置することができる。また、収納ボックスを備える車両であっても、収納ボックスの容量を犠牲にすることなく盗難対策装置を配置することができ、収納ボックス内を有効利用することができる。
【0018】
請求項2に係る発明では、車体フレームの後端部の近傍にテールランプユニットが配置され、このテールランプユニットの上方に盗難対策装置が配置されているので、テールランプユニットの上方に出来るスペースを有効利用して盗難対策装置が配置可能であるため、盗難対策装置を配置した場合であっても、車体後部のコンパクト化を図ることができる。
【0019】
請求項3に係る発明では、車体フレームの後端部の近傍に、主要構成部品が樹脂製のテールランプユニットが配置され、このテールランプユニットの下方に盗難対策装置が配置されているので、自車位置の測定及び位置情報の無線送信に影響を与えにくくすることができ、車体後部の車体スペースの有効利用を図りながら、盗難対策装置の好ましい通信環境を得ることができる。
【0020】
請求項4に係る発明では、テールランプユニットの下面に臨むように、後輪の上方を覆うリヤフェンダの上面が配置され、盗難対策装置が、これらのテールランプユニットの下面とリヤフェンダの上面との間に配置されているので、テールランプユニットの下面とリヤフェンダの上面との間に出来るスペースを有効利用して盗難対策装置を配置することができる。
【0021】
請求項5に係る発明では、車体フレームの後端部に樹脂製のキャリアが取付けられ、このキャリアの下面に盗難対策装置が下方から取付けられているので、キャリアが自車位置の測定及び位置情報の無線送信に影響を与えにくくすることができ、車両後端部側の高さを低く抑えつつ、盗難対策装置の好ましい通信環境を得ることができる。また、キャリアの下方に出来るスペースを有効利用して盗難対策装置を配置することができる。
【0022】
請求項6に係る発明では、盗難対策装置が、位置情報を検出するGPSと、検出された位置情報を送信する携帯電話通信部とを備えるので、GPS及び携帯電話通信部を備える盗難対策装置を車体に配置することで、GPSによる人工衛星からの軌道情報の受信及び携帯電話通信部による位置情報の送信を行う際に、GPS及び携帯電話通信部の上方に金属製部材が存在しないため、電波が遮られないので、送受信感度が良好になり、盗難対策装置の配置自由度が低い自動二輪車であっても盗難対策装置を良好に作動させることができる。
【0023】
請求項7に係る発明では、盗難対策装置が、位置情報を検出するGPSと、検出された位置情報を送信する携帯電話通信部と、盗難時に車体に加えられた振動を検出する加速度センサと、これらのGPS、携帯電話通信部及び加速度センサを統合制御する制御部と、これらのGPS及び携帯電話通信部に電力を供給する内部電源とを1つのケース内に備えるので、GPS及び携帯電話通信部を備える盗難対策装置を車体に配置することで、GPSによる人工衛星からの軌道情報の受信及び携帯電話通信部による位置情報の送信を行う際に、GPS及び携帯電話通信部の上方に金属製部材が存在しないため、電波が遮られないので、送受信感度が良好になり、盗難対策装置の配置自由度が低い自動二輪車であっても盗難対策装置を良好に作動させることができる。
【0024】
また、盗難対策装置のシステムを1つのケース内に収めるため、車両への組付け性を向上させることができる。この際、ケースが大型化しても、上記のような盗難対策装置配置構造を採用することで、車両全体の大型化を防止することができる。
【0025】
請求項8に係る発明では、盗難対策装置が、盗難を検知した場合に、エンジンの始動を停止するエンジン停止機能と、灯火器を作動させて警報を発する警報機能とを有し、盗難対策装置を車体に備える電装系統に接続することにより、エンジン停止機能及び警報機能が作動可能であるので、車体に備える電装系統に盗難対策装置を接続することにより、エンジン停止機能と警報機能とを作動させることができるため、新たな機能部品を配置したり、配線を増やしたりする必要がない。
【0026】
また、上記したように盗難対策装置を配置することにより、車両の基本配線への盗難対策装置の接続が、短い専用配線で済むため、車両の軽量化及びコンパクト化を図ることができる。
【0027】
請求項9に係る発明では、ケースが、ボックス状に形成され、ボックスの最も大きな面が水平又は水平に近い状態で配置されているので、盗難対策装置内の機能部品の配置を最適化した上で、GPS及び携帯電話通信部のアンテナの面積を確保することができ、送受信を良好にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る盗難対策装置が搭載された自動二輪車の側面図(第1実施形態)であり、自動二輪車10は、車体フレーム11が、前端を構成するヘッドパイプ12と、このヘッドパイプ12から後方斜め下方に延びるメインフレーム13と、メインフレーム13の後端から更に後方斜め下方に一体に延びるピボットプレート14と、メインフレーム13の前部下部から後方斜め下方に一体に延びるダウンフレーム16と、メインフレーム13の後部上部から後方斜め上方に延びるシートレール17と、ピボットプレート14及びシートレール17のそれぞれに渡されたサブフレーム18とから構成され、ヘッドパイプ12に操舵自在にフロントフォーク21が取付けられ、メインフレーム13の上部に燃料タンク22が取付けられ、ピボットプレート14及びダウンフレーム16にエンジン20が取付けられ、ピボットプレート14にピボット軸23を介してスイングアーム24が上下スイング自在に取付けられ、シートレール17の上部にタンデムシート26が取付けられたロードスポーツタイプの鞍乗型車両である。
【0029】
図中の符号31はフロントフォーク21の上端に取付けられたバーハンドル、32はフロントフォーク21の下端に取付けられた前輪、33は樹脂製のフロントカウリング、34はフロントカウル33に覆われるとともにフロントフォーク21に取付けられたヘッドランプ、36は前輪32の上方を覆うフロントフェンダ、37はスイングアーム24の後端に取付けられた後輪、38はピボットプレート14に取付けられたステップブラケット、39はステップブラケット37に取付けられたパッセンジャー用ステップ、41はシートレール17とサブフレーム18との結合部及びスイングアーム24のそれぞれに連結されたリヤクッションユニット、42はリヤボディカバー、43は後輪37の上方を覆うリヤフェンダ、44はリヤボディカバー42の下方で且つリヤフェンダ43の上方に配置されたテールランプユニットである。
【0030】
上記の自動二輪車10が盗難される際、あるいは盗難された後に盗難対策を講じる盗難対策装置50(50A)(クロスハッチングが施された部分である。)は、リヤボディカバー42の後端部上部の内側に取付けられている。
【0031】
上記実施形態において、盗難対策装置50(50A)は、車体フレーム11、詳しくは、シートレール17の後端部より上方で、且つシートレール17の後端部より後方に配置されている。
以下にその盗難対策装置50(50A)の配置構造を詳細に説明する。
【0032】
図2(a)〜(d)は本発明に係る盗難対策装置及びその関連部品を示す説明図である。
(a)はボックス状の盗難対策装置50と、この盗難対策装置50を車体に取付ける際に振動を吸収するために盗難対策装置50に被せたラバー等からなる弾性部材84と、車体側に設けられた電装系統に接続されたハーネス86,87と、これらのハーネス86,87を盗難対策装置50に接続するためにハーネス86,87の端部に設けられたコネクタ88,89とを示している。
【0033】
弾性部材84は、盗難対策装置50の一端から被せたものであり、弾性部材84が盗難対策装置50を締め付ける締め付け力と、盗難対策装置50と弾性部材84との間の摩擦力によって、盗難対策装置50は、弾性部材84から抜けないようになっている。
【0034】
このような盗難対策装置50への弾性部材84の取付構造とすることで、盗難対策装置50への弾性部材84の取付けを容易にするとともに、弾性部材84を取付けた後の盗難対策装置50の弾性部材84からの脱落を防止することができる。
【0035】
(b)はボックス状の盗難対策装置50における六面のうちで最も広い二面の一方の面である第1面50b側から見た図であり、盗難対策装置50は、その構成部品を収納するボックス状のケース50aを備える。
【0036】
ケース50aは、四角形状の第1面50bと、この第1面50bに直交するとともに第1面50bの短辺を共有する第2面50d及び第3面50eと、第1面50bに直交するとともに第1面50bの長辺を共有する第4面50f及び第5面50gと、第1面50bの裏面となる第6面50h(不図示)とを有する。ここでは、第1面50b及び第6面50hは長方形であるが、正方形でもよい。
第3面50eには、コネクタ88,89が接続される雌コネクタ(不図示)が設けられている。
【0037】
弾性部材84は、この方向から見てT字状の部材であり、ケース50aの第2面50d側に側方に一体に突出する第1突出部84bが設けられ、ケース50aの第4面50f及び第5面50g側にそれぞれ側方に一体に突出する第2突出部84c、第3突出部84dが設けられ、これらの第1突出部84b、第2突出部84c及び第3突出部84dにそれぞれ矩形断面に形成された取付穴84fが開けられている。
図中の符号84hはケース50aの第1面50bに接するように弾性部材84に設けられたT字壁である。
【0038】
(c)は(b)のc矢視図であり、弾性部材84は、盗難対策装置50を挟むように設けられたT字状のT字壁84h,84jと、ケース50aの第2面50dに接するようにT字壁84h,84jに一体に設けられた側壁84kとを備え、例えば、T字壁84jが車体側に当てられて取付けられる。
【0039】
(d)は(c)のd−d線断面図であり、盗難対策装置50は、T字壁84h,84jに一体に繋がる側壁84m,84nを備え、ケース50aの第1面50b側、第6面50h側、第4面50f側及び第5面50g側にそれぞれ対向するT字壁84h,84j及び側壁84m,84nに囲まれているので、盗難対策装置50の四方を弾性部材84によって保護することができ、また、図の上下方向及び左右方向(盗難対策装置50の長手方向に直交する方向)の振動を弾性部材84で吸収することができる。
【0040】
更に、(c)に示したように、盗難対策装置50の側方に側壁84kが設けられているので、(c)の左右方向、即ち、盗難対策装置50の長手方向の振動を弾性部材84で吸収することができる。
【0041】
図3は本発明に係る盗難対策装置のブロック図である。
盗難対策装置50は、自動二輪車の車体に加えられた振動を検知する加速度センサ51と、複数の人工衛星から軌道情報を受信することにより車両の現在位置を計測するGPS(Global Positioning System)52と、加速度センサ51からの加速度信号SA及びGPS52からの位置情報JPを受けて盗難防止対策を指令する制御部55と、制御部55からの交信指令SCに基づいて携帯電話基地局61へ位置情報JPを送信する携帯電話通信部56と、制御部55からのエンジン制御信号SECに基づきエンジン20(図1参照)の点火装置62に点火停止信号SSSを送って点火装置62の作動を停止させる、即ち、エンジン20を停止させるエンジン制御部57と、制御部55からの警報制御信号SACに基づき警報装置63(ヘッドランプ、ウインカ、テールランプ等の灯火器、ホーン)に警報信号SAを送って灯火器、ホーンを作動させる警報発生部58と、GPS52、制御部55、携帯電話通信部56、エンジン制御部57及び警報発生部58へ電力を供給するバッテリ59とからなり、GPS52、制御部55、携帯電話通信部56、エンジン制御部57及び警報発生部58は、車体側のバッテリ(不図示)からも電力供給が可能である。
【0042】
GPS52及び携帯電話通信部56は、それぞれ通信用のアンテナを備え、これらのアンテナを含め、上記の盗難対策装置50の各構成が1つのケース50a(図2(a)参照)に収納されている。
【0043】
点火装置62及び警報装置63は、自動二輪車10(図1参照)に備える既存の電装系統であり、盗難対策装置50は、これらの点火装置62及び警報装置63にハーネスを介して接続されている。
上記したエンジン制御部57は、自動二輪車に備えるエンジンコントロールユニットを介して点火装置62を制御するようにしてもよい。
【0044】
図4は本発明に係る盗難対策装置の配置構造(第1実施形態)を示す車体後部側面図(図中の矢印(FRONT)は車両前方を表している。以下同じ。)であり、リヤボディカバー42は、その大部分がタンデムシート26の左右縁部の下方に位置するサイドカバー部42a,42b(左側のサイドカバー部42aのみ図示し、右側のサイドカバー部42bは図示していない。)と、タンデムシート26の後方に位置するリヤカバー部42cとが一体成形された樹脂製の部品であり、リヤカバー部42cの上部の内面42eに弾性部材84を介して盗難対策装置50Aが水平又は水平に近い状態で取付けられている。
【0045】
詳しくは、リヤカバー部42cの内面42eに、内方に突出する3本の取付ステー42f,42g,42h(2本の取付ステー44g,44hのみ図示)が一体成形され、これらの取付ステー42f,42g,42hに弾性部材84を介して盗難対策装置50Aが取付けられている。
【0046】
取付ステー42f,42g,42hは、弾性部材84の3つの取付穴84fに圧入され、弾性部材84が取付ステー42f,42g,42hを締め付ける締め付け力、及び取付ステー42f,42g,42hと弾性部材84との間の摩擦力によって、取付ステー42f,42g,42hから弾性部材84が抜けないようになっている。
【0047】
盗難対策装置50Aは、盗難対策装置50(図2(a)〜(d)及び図3参照)と基本構成が同一であるが、上方に向けられたケース50aの第6面50h側にGPS52(図3参照)及び携帯電話通信部56(図3参照)のアンテナが設けられている。
【0048】
ここで、盗難対策装置50Aの水平に近い状態とは、例えば、水平面に対して盗難対策装置50の傾斜角度が0°〜30°の範囲をいう。
【0049】
リヤカバー部42cは、樹脂製であるから、盗難対策装置50に備えるGPS52や携帯電話通信部56が上空の人工衛星と通信する際に通信電波が遮られず、更に、リヤカバー部42cが自動二輪車の各部のうちでも高い位置に配置されているため、この位置に配置された盗難対策装置50AのGPS52及び携帯電話通信部56の通信電波が遮られにくく、良好な通信環境を得ることができる。
【0050】
図5は本発明に係る盗難対策装置の配置構造(第2実施形態)を示す車体後部側面図であり、テールランプユニット44は、テールランプ、ブレーキランプ及びウインカが一体的に設けられ、主要構成部品が樹脂材料で形成されたものであり、このテールランプユニット44の下面44aとリヤフェンダ43の上面43aとの間のスペースに盗難対策装置50Bが配置されている。
【0051】
詳しくは、リヤフェンダ43の上面43aに、上方に突出する3本の取付ステー43f,43g,43h(2本の取付ステー43g,43hのみ図示)が一体成形され、これらの取付ステー43f,43g,43hに弾性部材84を介して盗難対策装置50Bが取付けられている。
【0052】
また、リヤフェンダ43の上面43aには、後端に盗難対策装置50Bの後方を覆うフェンダ突起43kが一体成形されている。
更に、リヤボディカバー42Aは、リヤボディカバー42(図4参照)と後部下部の形状のみが異なり、左右のリヤボディカバー42の後部下部で盗難対策装置50Bの両側方を覆っている。
従って、盗難対策装置50Bは、その周囲(上方、下方、前方、後方、左側方及び右側方)が覆われ、雨水や土埃等を被りにくい。
【0053】
ここで、符号19は車体フレーム11を構成するリヤロアフレームであり、シートレール17の後部下部に取付けられ、リヤフェンダ43を支持する部品である。このリヤロアフレーム19の後端部の後方に盗難対策装置50Bが配置されている。
【0054】
盗難対策装置50Bは、盗難対策装置50(図2(a)〜(d)及び図3参照)と基本構成が同一であるが、上方に向けられた第1面50b側にGPS52(図3参照)及び携帯電話通信部56(図3参照)のアンテナが設けられている。
【0055】
テールランプユニット44は、その主要構成部品が樹脂材料で形成されているため、盗難対策装置50に備えるGPS52や携帯電話通信部56が上空の人工衛星と通信する際にテールランプユニット44で通信電波を遮ることがなく、良好な通信環境を得ることができる。
【0056】
盗難対策装置50は、テールランプユニット44の下面44aと、リヤフェンダ43の上面43aとの間に配置されているため、外部に露出しにくく、目立ちにくい。更に、外部に露出しないようにするために、テールランプユニット44側又はリヤフェンダ43側から盗難対策装置50Bの両側方及び後方を覆う壁を一体に突出させてもよい。
【0057】
図6は本発明に係る盗難対策装置が搭載された自動二輪車の側面図(第3実施形態)であり、自動二輪車120は、車体フレーム121が、前端を構成するヘッドパイプ122と、このヘッドパイプ122から後方斜め下方に延びるメインフレーム123と、メインフレーム123の後端から下方斜め前方に一体に延びるピボットプレート124と、メインフレーム123の前部下部から後方斜め下方に一体に延びるとともに下端が延長部126aを介して一体にメインフレーム123に接続されたダウンフレーム126と、メインフレーム123の後部上部から一体に突出する後部突出部123aから後方斜め上方に延びるシートレール127とから構成され、ヘッドパイプ122に操舵自在にフロントフォーク131が取付けられ、メインフレーム123の上部に燃料タンク132が取付けられ、ピボットプレート124にピボット軸133を介してスイングアーム134が上下スイング自在に取付けられ、シートレール127の上部にライダーシート136が取付けられ、また、シートレール127の上部に、後述する後輪147の上方を覆うリヤフェンダ137を介してパッセンジャーシート138が取付けられたロードレーサータイプの鞍乗型車両である。
【0058】
図中の符号141はフロントフォーク131の上端に取付けられたバーハンドル、142はフロントフォーク131の下端に取付けられた前輪、143は樹脂製のカウリング、144はカウリング143に取付けられたヘッドランプ、146は前輪142の上方を覆うフロントフェンダ、147はスイングアーム134の後端に取付けられた後輪、148はシートレール127に取付けられたステップブラケット、149はステップブラケット148に取付けられたパッセンジャー用ステップ、151は後部突出部123a側とピボットプレート124側及びスイングアーム134側との間にリンク機構152を介して渡されたリヤクッションユニット、153はリヤボディカバー、154はリヤフェンダ137に取付けられたテールランプユニットである。
【0059】
盗難対策装置50(50A)(クロスハッチングが施された部分である。)は、リヤボディカバー153の後端部上部の内側に取付けられている。
【0060】
上記実施形態において、盗難対策装置50(50A)は、車体フレーム11、詳しくは、シートレール127の後端部より後方に配置され、また、シートレール127の後端部より上方に配置されている。
以下にその盗難対策装置50(50A)の配置構造を詳細に説明する。
【0061】
図7は本発明に係る盗難対策装置の配置構造(第3実施形態)を示す車体後部側面図であり、リヤボディカバー153は、パッセンジャーシート138の左右縁部の下方及び後方を覆う樹脂製の部品であり、リヤボディカバー153の後端部上部の内面153aに弾性部材84を介して盗難対策装置50Aが水平又は水平に近い状態で取付けられている。
【0062】
詳しくは、リヤボディカバー153の内面153aに、内方に突出する3本の取付ステー153f,153g,153h(2本の取付ステー153g,153hのみ図示)が一体成形され、これらの取付ステー153f,153g,153hに弾性部材84の3つの取付穴84fがそれぞれ嵌合されている。
【0063】
盗難対策装置50Aが取付けられるリアボディカバー153の後部は、自動二輪車の各部のうちでも高い位置に配置されているため、この位置に配置される盗難対策装置50Aに備えるGPS52(図3参照)や携帯電話通信部56(図3参照)が人工衛星と通信する際に通信電波が遮られにくく、良好な通信環境を得ることができる。
【0064】
図8は本発明に係る盗難対策装置が搭載された自動二輪車の側面図(第4・第5実施形態)であり、
自動二輪車160は、車体フレーム161が、前端を構成するヘッドパイプ162と、このヘッドパイプ162から後方斜め下方に延びるメインフレーム163と、このメインフレーム13の後端に取付けられたピボットプレート164と、メインフレーム13の中間部から後方斜め下方そして後方斜め上方に延びる左右一対のリヤフレーム166,167(手前側の符号166のみ示す。)と、ピボットプレート164及びリヤフレーム166,167のそれぞれに渡されたサブフレーム168,169(手前側の符号168のみ示す。)とから構成され、ヘッドパイプ162に操舵自在にフロントフォーク171が取付けられ、メインフレーム163及びピボットプレート164にエンジン172が取付けられ、リヤフレーム166,167の上部に収納ボックス173及び燃料タンク174が取付けられ、ピボットプレート164にピボット軸176を介してスイングアーム177が上下スイング自在に取付けられたビジネスタイプの鞍乗型車両である。
収納ボックス173は、前端部にヒンジ部178が設けられ、このヒンジ部178にシート179が開閉自在に取付けられている。
【0065】
図中の符号181はフロントフォーク171の上端に取付けられたバーハンドル、182はフロントフォーク171の下端に取付けられた前輪、183は前輪182の上方を覆うフロントフェンダ、184はバーハンドル181を覆うハンドルカバー、185はハンドルカバー184に取付けられたヘッドランプ、186は車体前部を覆うフロントカバー、187はスイングアーム177の後端に取付けられた後輪、188,189(手前側の符号188のみ示す。)はリヤフレーム166,167側とスイングアーム177側とにそれぞれ渡された左右一対のリヤクッションユニット、191は樹脂製のリヤボディカバー、192は後輪187の上方を覆うリヤフェンダ、193はリヤボディカバー191の後端部に設けられたテールランプユニットである。
ヘッドランプ185はハンドルカバー184を介してバーハンドル181に取付けられている。
【0066】
盗難対策装置50(50B)(クロスハッチングが施された部分である。)は、(1)テールランプユニット193の上部(第4実施形態)、(2)リヤフェンダ192とテールランプユニット193との間(第5実施形態)に配置されている。
【0067】
これらの各実施形態において、盗難対策装置50(50B)は、車体フレーム161、詳しくは、車体フレーム161のリヤフレーム166,167の後端部より上方及び/又はリヤフレーム166,167の後端部より後方に配置されている。
以下にその盗難対策装置50(50B)の配置構造を詳細に説明する。
【0068】
図9は本発明に係る盗難対策装置の配置構造(第4実施形態)を示す車体後部側面図であり、テールランプユニット193は、その上部、詳しくは、テールランプユニット193を構成するハウジング195の上面195aに、上方に突出する3本の取付ステー195f,195g,195h(2本の取付ステー195g,195hのみ図示)が一体成形され、これらの取付ステー195f,195g,195hに弾性部材84を介して盗難対策装置50Bが取付けられている。
【0069】
上記実施形態では、テールランプユニット193の上部に盗難対策装置50Bを取付けたが、これに限らず、シート179の後方でボディカバー191の後端部上部の内面に内方に突出する取付ステーを一体に設け、これらの取付ステーに弾性部材84を介して盗難対策装置50A(図4参照)を取付けてもよい。
【0070】
図10は本発明に係る盗難対策装置の配置構造(第5実施形態)を示す車体後部側面図であり、テールランプユニット193は、テールランプ、ブレーキランプ及びウインカが一体的に設けられ、主要構成部品が樹脂材料で形成されたものであり、このテールランプユニット193のハウジング195の下面195kとリヤフェンダ192の上面192aとの間のスペースに弾性部材84を介して盗難対策装置50Bが配置されている。
【0071】
詳しくは、リヤフェンダ192の上面192aに、上方に突出する3本の取付ステー192f,192g,192h(2本の取付ステー192g,192hのみ図示)が一体成形され、これらの取付ステー192f,192g,192hに弾性部材84を介して盗難対策装置50Bが取付けられている。
【0072】
また、リヤフェンダ192の上面192aには、後端に盗難対策装置50Bの後方を覆うフェンダ突起192kが一体成形されている。
更に、ボディカバー191Aは、ボディカバー191(図9参照)と後部下部の形状のみが異なり、左右のボディカバー191Aの後部下部で盗難対策装置50Bの両側方を覆っている。
従って、盗難対策装置50Bは、その周囲(上方、下方、前方、後方、左側方及び右側方)が覆われ、雨水や土埃等を被りにくい。
【0073】
テールランプユニット44は、その主要構成部品が樹脂材料で形成されているため、盗難対策装置50に備えるGPS52(図3参照)や携帯電話通信部56(図3参照)が上空の人工衛星と通信する際にテールランプユニット193で通信電波を遮ることがなく、良好な通信環境を得ることができる。
【0074】
盗難対策装置50Bは、テールランプユニット193の下面195kと、リヤフェンダ192の上面192aとの間に配置されているため、外部に露出しにくく、目立ちにくい。更に、外部に露出しないようにするために、リヤフェンダ192側又はテールランプユニット193のハウジング195側から盗難対策装置50Bの両側方及び後方を覆う壁を一体に突出させてもよい。
【0075】
図11は本発明に係る盗難対策装置が搭載された自動二輪車の側面図(第6実施形態)であり、自動二輪車200は、車体フレーム201が、前端を構成するヘッドパイプ202と、このヘッドパイプ202から後方斜め下方に延びる左右一対のメインフレーム203,203(手前側の符号203のみ示す。)と、メインフレーム203,203の後端から更に後方斜め下方に延びる左右一対のセンタフレーム204,204(手前側の符号204のみ示す。)と、ヘッドパイプ202から後方斜め下方に延びるダウンフレーム206と、メインフレーム203,203の後部上部から後方斜め上方に延びる左右一対のシートレール207,207(手前側の符号207のみ示す。)と、左右のセンタフレーム204,204及び左右のシートレール207,207のそれぞれに渡された左右一対のサブフレーム208,208(手前側の符号208のみ示す。)と、ダウンフレーム206の端部及びセンタフレーム204,204の端部のそれぞれを連結する左右一対のロアフレーム209,209とから構成され、ヘッドパイプ202に操舵自在にフロントフォーク211が取付けられ、メインフレーム203の上部に燃料タンク212が取付けられ、センタフレーム204,204にそれぞれ取付けられたピボットプレート215にピボット軸213を介してスイングアーム214が上下スイング自在に取付けられ、シートレール207,207の上部にタンデムシート216が取付けられたオフロードタイプの鞍乗型車両である。
【0076】
図中の符号221はフロントフォーク211の上端に取付けられたバーハンドル、222はフロントフォーク211の下端に取付けられた前輪、223は樹脂製のフロントカウリング、224はフロントカウリング223に覆われるとともにフロントフォーク211に取付けられたヘッドランプ、225はフロントカウリング223の上部の後方に配置されたメータ装置、226は前輪222の上方を覆うフロントフェンダ、227はスイングアーム214の後端に取付けられた後輪、228はサブフレーム208に取付けられたステップブラケット、229はステップブラケット227に取付けられたパッセンジャー用ステップ、231は車体フレーム201の中央部に取付けられたエンジン、232はエンジン231のシリンダ部233の後部に接続された吸気装置、234はシリンダ部233の前部に接続された排気装置、236はシートレール207,207の後端部に取付けられたキャリア、237はキャリア236の下方を覆う樹脂製のリヤカバーである。
【0077】
盗難対策装置50(50A)(クロスハッチングが施された部分である。)は、キャリア236の下部に取付けられている。
この実施形態において、盗難対策装置50は、車体フレーム201、詳しくは、車体フレーム201のシートレール207,207の後端部より後方に配置されている。
以下に上記盗難対策装置50(50A)の配置構造を詳細に説明する。
【0078】
図12は本発明に係る盗難対策装置の配置構造(第6実施形態)を示す車体後部側面図であり、キャリア236は、左右のシートレール207,207(手前側の符号207のみ示す。)の後端部に取付けられた樹脂製の部品であり、キャリア236の下面236aに弾性部材84を介して盗難対策装置50Aが水平又は水平に近い状態で取付けられている。
【0079】
詳しくは、キャリア236の下面236aに、内方に突出する3本の取付ステー236f,236g,236h(2本の取付ステー236g,236hのみ図示)が一体成形され、これらの取付ステー236f,236g,236hに弾性部材84の3つの取付穴84fがそれぞれ嵌合されている。
【0080】
キャリア236は、上面236bが荷物を載せるために使用され、下面236a側は使用されないため、下面236a側に盗難対策装置50Aを配置することでキャリア236の下方に出来たデッドスペースを有効利用することができる。
【0081】
盗難対策装置50Aが取付けられるキャリア236の下部は、自動二輪車の各部のうちでも高い位置に配置されているため、この位置に配置される盗難対策装置50AのGPS52(図3参照)や携帯電話通信部56(図3参照)が人工衛星と通信する際に通信電波が遮られにくく、良好な通信環境を得ることができる。
【0082】
キャリア236の下面236aに取付けられた盗難対策装置50Aは、その両側方及び後方がリヤカバー237で覆われるため、盗難対策装置50Aが外部に露出せず、車体後部の外観性を向上させることができる。
【0083】
以上の図1、図4に示したように、車体フレーム11の前部に操舵自在にフロントフォーク21が取付けられ、このフロントフォーク21の下端に前輪32が支持され、車体フレーム11の後部にスイング自在にスイングアーム24が取付けられ、このスイングアーム24の後端に後輪37が支持され、自車の位置を測定可能で且つ測定された位置情報を無線送信可能な盗難対策装置50(50A)を備える自動二輪車10において、盗難対策装置50(50A)が、車体フレーム11、詳しくは、シートレール17の後端部より上方及び/又はシートレール17の後端部より後方に配置されているので、収納ボックスを備えていない車両では、使用されていないスペースを有効利用して盗難対策装置50(50A)を設置することができる。また、図8に示される収納ボックス173を備える自動二輪車160であっても、収納ボックス173の容量を犠牲にすることなく盗難対策装置50(50B)を配置することができ、収納ボックス173内を有効利用することができる。
【0084】
また、図4に示されるように、シートレール17の後端部の近傍にテールランプユニット44が配置され、このテールランプユニット44の上方に盗難対策装置50Aが配置されているので、テールランプユニット44の上方に出来るスペースを有効利用して盗難対策装置50Aが配置可能であるため、盗難対策装置50Aを配置した場合であっても、車体後部のコンパクト化を図ることができる。
【0085】
以上の図5に示したように、車体フレーム11、詳しくは、リヤロアフレーム19の後端部の近傍に、主要構成部品が樹脂製のテールランプユニット44が配置され、このテールランプユニット44の下方に盗難対策装置50Bが配置されているので、テールランプユニット44が、自車位置の測定及び位置情報の無線送信に影響を与えにくくすることができ、車体後部の車体スペースの有効利用を図りながら、盗難対策装置50Bの好ましい通信環境を得ることができる。
【0086】
また、テールランプユニット44の下面44aに臨むように、後輪37の上方を覆うリヤフェンダ43の上面43aが配置され、盗難対策装置50Bが、これらのテールランプユニット44の下面44aとリヤフェンダ43の上面43aとの間に配置されているので、テールランプユニット44の下面44aとリヤフェンダ43の上面43aとの間に出来るスペースを有効利用して盗難対策装置50Bを配置することができる。
【0087】
以上の図11、図12に示したように、車体フレーム11、詳しくは、シートレール207,207(手前側の符号のみ示す。)の後端部に樹脂製のキャリア236が取付けられ、このキャリア236の下面236aに盗難対策装置50Aが下方から取付けられているので、キャリア236が自車位置の測定及び位置情報の無線送信に影響を与えにくくすることができ、車両後端部側の高さを低く抑えつつ、盗難対策装置50Aの好ましい通信環境を得ることができる。また、キャリア236の下方に出来るスペースを有効利用して盗難対策装置50Aを配置することができる。
【0088】
以上の図3、図4に示したように、盗難対策装置50が、位置情報を検出するGPS52と、検出された位置情報を送信する携帯電話通信部56とを備えるので、GPS52及び携帯電話通信部56を備える盗難対策装置50を車体、例えば、リヤボディカバー42に配置することで、GPS52による人工衛星からの軌道情報の受信及び携帯電話通信部56による位置情報の送信を行う際に、GPS52及び携帯電話通信部56の上方に金属製部材が存在しないため、電波が遮られないので、送受信感度が良好になり、盗難対策装置50の配置自由度が低い自動二輪車であっても盗難対策装置50を良好に作動させることができる。
【0089】
以上の図2(a)〜(d)、図3に示したように、盗難対策装置50が、位置情報を検出するGPS52と、検出された位置情報を送信する携帯電話通信部56と、盗難時に車体に加えられた振動を検出する加速度センサ51と、これらのGPS52、携帯電話通信部56及び加速度センサ51を統合制御する制御部55と、これらのGPS52及び携帯電話通信部56に電力を供給する内部電源としてのバッテリ59とを1つのケース50a内に備えるので、GPS52及び携帯電話通信部56を備える盗難対策装置50を車体、例えば、リヤボディカバー42(図4参照)に配置することで、GPS52による人工衛星からの軌道情報の受信及び携帯電話通信部56による位置情報の送信を行う際に、GPS52及び携帯電話通信部56の上方に金属製部材が存在しないため、電波が遮られないので、送受信感度が良好になり、盗難対策装置50の配置自由度が低い自動二輪車であっても盗難対策装置50を良好に作動させることができる。
【0090】
また、盗難対策装置50を1つのケース50a内に収めるため、車両への組付け性を向上させることができる。この際、ケース50aが大型化しても、上記のような盗難対策装置50の配置構造を採用することで、車両全体の大型化を防止することができる。
【0091】
以上の図3に示したように、盗難対策装置50が、盗難を検知した場合に、エンジン20(図1参照)の始動を停止するエンジン停止機能と、灯火器としてのヘッドランプ等の警報装置63を作動させて警報を発する警報機能とを有し、盗難対策装置50を車体に備える電装系統としての点火装置62、電装系統としての警報装置63に接続することにより、エンジン停止機能及び警報機能が作動可能であるので、車体に備える電装系統に盗難対策装置50を接続することにより、エンジン停止機能と警報機能とを作動させることができるため、新たな機能部品を配置したり、配線を増やしたりする必要がない。
【0092】
また、上記したように盗難対策装置50を配置することにより、車両の基本配線への盗難対策装置50の接続が、短い専用配線で済むため、車両の軽量化及びコンパクト化を図ることができる。
【0093】
以上の図2(a)〜(d)、図4に示したように、ケース50aが、ボックス状に形成され、ボックスの最も大きな面である第1面50b又は第6面50hが水平又は水平に近い状態で配置されているので、盗難対策装置50内の機能部品の配置を最適化した上で、GPS52及び携帯電話通信部56のアンテナの面積を確保することができ、送受信を良好にすることができる。
【0094】
尚、図5に示した実施形態では、リヤフェンダ43の上面43aに盗難対策装置50Bを取付けることで、盗難対策装置50Bをリヤフェンダ43とテールランプユニット44との間に配置したが、これに限らず、テールランプユニット44の下面44aに盗難対策装置50A(図4参照)を取付けることで、盗難対策装置50Aをリヤフェンダ43とテールランプユニット44との間に配置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の盗難対策装置は、自動二輪車に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明に係る盗難対策装置が搭載された自動二輪車の側面図(第1実施形態)である。
【図2】本発明に係る盗難対策装置及びその関連部品を示す説明図である。
【図3】本発明に係る盗難対策装置のブロック図である。
【図4】本発明に係る盗難対策装置の配置構造(第1実施形態)を示す車体後部側面図である。
【図5】本発明に係る盗難対策装置の配置構造(第2実施形態)を示す車体後部側面図である。
【図6】本発明に係る盗難対策装置が搭載された自動二輪車の側面図(第3実施形態)である。
【図7】本発明に係る盗難対策装置の配置構造(第3実施形態)を示す車体後部側面図である。
【図8】本発明に係る盗難対策装置が搭載された自動二輪車の側面図(第4・第5実施形態)である。
【図9】本発明に係る盗難対策装置の配置構造(第4実施形態)を示す車体後部側面図である。
【図10】本発明に係る盗難対策装置の配置構造(第5実施形態)を示す車体後部側面図である。
【図11】本発明に係る盗難対策装置が搭載された自動二輪車の側面図(第6実施形態)である。
【図12】本発明に係る盗難対策装置の配置構造(第6実施形態)を示す車体後部側面図である。
【符号の説明】
【0097】
10,120,160,200…自動二輪車、11,121,161,201…車体フレーム、20,172,231…エンジン、21,131,171,211…フロントフォーク、24,134,177,214…スイングアーム、32,142,182,222…前輪、34,144,185,224…灯火器(ヘッドランプ)、37,147…後輪、43,192…リヤフェンダ、43a,192a…上面、44,193…テールランプユニット、44a,195k…下面、50,50A,50B…盗難対策装置、50a…ケース、50b,50h…最も大きな面(第1面、第6面)、51…加速度センサ、52…GPS、55…制御部、56…携帯電話通信部、59…内部電源(バッテリ)、62,63…電装系統(点火装置、警報装置)、236…キャリア、236a…下面。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車の盗難対策装置、詳しくは、盗難対策装置の配置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両が盗難される際に、例えば、エンジンを始動できないようにしたり、警報を発したり、あるいは盗難された車両を探し出すために、GPS(Global Positioning System)機能を利用して車両位置を検出し、この位置情報を携帯電話等に送信することが可能な盗難対策装置が開発されている。
【0003】
このような自動二輪車の盗難対策装置として、自動二輪車に備えるヘルメット収納ボックス内に配置されたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−362448公報
【0004】
特許文献1の図1、図4によれば、車体フレーム1の後部に物入れボックス5が取付けられ、この物入れボックス5内で、2つのヘルメットH1,H2を収納して空いた空間に盗難対策装置20が設けられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記物入れボックス5内に盗難対策装置20を設けることで、物入れボックス5内の容量が小さくなり、例えば、物入れボックス5内に、ヘルメットH1,H2の他に小物等を収納するスペースが少なくなる。
【0006】
また、例えば、物入れボックスを備えていない自動二輪車では、車両の大型化等を防止するために、車体のスペースを有効利用しつつ盗難対策装置を配置するのが望ましい。
【0007】
本発明の目的は、収納スペースや他の車体スペースを有効利用しつつ配置することが可能な自動二輪車の盗難対策装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、車体フレームの前部に操舵自在にフロントフォークが取付けられ、このフロントフォークの下端に前輪が支持され、車体フレームの後部にスイング自在にスイングアームが取付けられ、このスイングアームの後端に後輪が支持され、自車の位置を測定可能で且つ測定された位置情報を無線送信可能な盗難対策装置を備える自動二輪車において、盗難対策装置が、車体フレームの後端部より上方及び/又は車体フレームの後端部より後方に配置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、車体フレームの後端部の近傍にテールランプユニットが配置され、このテールランプユニットの上方に盗難対策装置が配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、車体フレームの後端部の近傍に、主要構成部品が樹脂製のテールランプユニットが配置され、このテールランプユニットの下方に盗難対策装置が配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、テールランプユニットの下面に臨むように、後輪の上方を覆うリヤフェンダの上面が配置され、盗難対策装置が、これらのテールランプユニットの下面とリヤフェンダの上面との間に配置されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、車体フレームの後端部に樹脂製のキャリアが取付けられ、このキャリアの下面に盗難対策装置が下方から取付けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明は、盗難対策装置が、位置情報を検出するGPSと、検出された位置情報を送信する携帯電話通信部とを備えることを特徴とする。
【0014】
請求項7に係る発明は、盗難対策装置が、位置情報を検出するGPSと、検出された位置情報を送信する携帯電話通信部と、盗難時に車体に加えられた振動を検出する加速度センサと、これらのGPS、携帯電話通信部及び加速度センサを統合制御する制御部と、これらのGPS及び携帯電話通信部に電力を供給する内部電源とを1つのケース内に備えることを特徴とする。
【0015】
請求項8に係る発明は、盗難対策装置が、盗難を検知した場合に、エンジンの始動を停止するエンジン停止機能と、灯火器を作動させて警報を発する警報機能とを有し、盗難対策装置を車体に備える電装系統に接続することにより、エンジン停止機能及び警報機能が作動可能であることを特徴とする。
【0016】
請求項9に係る発明は、ケースが、ボックス状に形成され、ボックスの最も大きな面が水平又は水平に近い状態で配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明では、盗難対策装置が、車体フレームの後端部より上方及び/又は車体フレームの後端部より後方に配置されているので、収納ボックスを備えていない車両では、使用されていないスペースを有効利用して盗難対策装置を設置することができる。また、収納ボックスを備える車両であっても、収納ボックスの容量を犠牲にすることなく盗難対策装置を配置することができ、収納ボックス内を有効利用することができる。
【0018】
請求項2に係る発明では、車体フレームの後端部の近傍にテールランプユニットが配置され、このテールランプユニットの上方に盗難対策装置が配置されているので、テールランプユニットの上方に出来るスペースを有効利用して盗難対策装置が配置可能であるため、盗難対策装置を配置した場合であっても、車体後部のコンパクト化を図ることができる。
【0019】
請求項3に係る発明では、車体フレームの後端部の近傍に、主要構成部品が樹脂製のテールランプユニットが配置され、このテールランプユニットの下方に盗難対策装置が配置されているので、自車位置の測定及び位置情報の無線送信に影響を与えにくくすることができ、車体後部の車体スペースの有効利用を図りながら、盗難対策装置の好ましい通信環境を得ることができる。
【0020】
請求項4に係る発明では、テールランプユニットの下面に臨むように、後輪の上方を覆うリヤフェンダの上面が配置され、盗難対策装置が、これらのテールランプユニットの下面とリヤフェンダの上面との間に配置されているので、テールランプユニットの下面とリヤフェンダの上面との間に出来るスペースを有効利用して盗難対策装置を配置することができる。
【0021】
請求項5に係る発明では、車体フレームの後端部に樹脂製のキャリアが取付けられ、このキャリアの下面に盗難対策装置が下方から取付けられているので、キャリアが自車位置の測定及び位置情報の無線送信に影響を与えにくくすることができ、車両後端部側の高さを低く抑えつつ、盗難対策装置の好ましい通信環境を得ることができる。また、キャリアの下方に出来るスペースを有効利用して盗難対策装置を配置することができる。
【0022】
請求項6に係る発明では、盗難対策装置が、位置情報を検出するGPSと、検出された位置情報を送信する携帯電話通信部とを備えるので、GPS及び携帯電話通信部を備える盗難対策装置を車体に配置することで、GPSによる人工衛星からの軌道情報の受信及び携帯電話通信部による位置情報の送信を行う際に、GPS及び携帯電話通信部の上方に金属製部材が存在しないため、電波が遮られないので、送受信感度が良好になり、盗難対策装置の配置自由度が低い自動二輪車であっても盗難対策装置を良好に作動させることができる。
【0023】
請求項7に係る発明では、盗難対策装置が、位置情報を検出するGPSと、検出された位置情報を送信する携帯電話通信部と、盗難時に車体に加えられた振動を検出する加速度センサと、これらのGPS、携帯電話通信部及び加速度センサを統合制御する制御部と、これらのGPS及び携帯電話通信部に電力を供給する内部電源とを1つのケース内に備えるので、GPS及び携帯電話通信部を備える盗難対策装置を車体に配置することで、GPSによる人工衛星からの軌道情報の受信及び携帯電話通信部による位置情報の送信を行う際に、GPS及び携帯電話通信部の上方に金属製部材が存在しないため、電波が遮られないので、送受信感度が良好になり、盗難対策装置の配置自由度が低い自動二輪車であっても盗難対策装置を良好に作動させることができる。
【0024】
また、盗難対策装置のシステムを1つのケース内に収めるため、車両への組付け性を向上させることができる。この際、ケースが大型化しても、上記のような盗難対策装置配置構造を採用することで、車両全体の大型化を防止することができる。
【0025】
請求項8に係る発明では、盗難対策装置が、盗難を検知した場合に、エンジンの始動を停止するエンジン停止機能と、灯火器を作動させて警報を発する警報機能とを有し、盗難対策装置を車体に備える電装系統に接続することにより、エンジン停止機能及び警報機能が作動可能であるので、車体に備える電装系統に盗難対策装置を接続することにより、エンジン停止機能と警報機能とを作動させることができるため、新たな機能部品を配置したり、配線を増やしたりする必要がない。
【0026】
また、上記したように盗難対策装置を配置することにより、車両の基本配線への盗難対策装置の接続が、短い専用配線で済むため、車両の軽量化及びコンパクト化を図ることができる。
【0027】
請求項9に係る発明では、ケースが、ボックス状に形成され、ボックスの最も大きな面が水平又は水平に近い状態で配置されているので、盗難対策装置内の機能部品の配置を最適化した上で、GPS及び携帯電話通信部のアンテナの面積を確保することができ、送受信を良好にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る盗難対策装置が搭載された自動二輪車の側面図(第1実施形態)であり、自動二輪車10は、車体フレーム11が、前端を構成するヘッドパイプ12と、このヘッドパイプ12から後方斜め下方に延びるメインフレーム13と、メインフレーム13の後端から更に後方斜め下方に一体に延びるピボットプレート14と、メインフレーム13の前部下部から後方斜め下方に一体に延びるダウンフレーム16と、メインフレーム13の後部上部から後方斜め上方に延びるシートレール17と、ピボットプレート14及びシートレール17のそれぞれに渡されたサブフレーム18とから構成され、ヘッドパイプ12に操舵自在にフロントフォーク21が取付けられ、メインフレーム13の上部に燃料タンク22が取付けられ、ピボットプレート14及びダウンフレーム16にエンジン20が取付けられ、ピボットプレート14にピボット軸23を介してスイングアーム24が上下スイング自在に取付けられ、シートレール17の上部にタンデムシート26が取付けられたロードスポーツタイプの鞍乗型車両である。
【0029】
図中の符号31はフロントフォーク21の上端に取付けられたバーハンドル、32はフロントフォーク21の下端に取付けられた前輪、33は樹脂製のフロントカウリング、34はフロントカウル33に覆われるとともにフロントフォーク21に取付けられたヘッドランプ、36は前輪32の上方を覆うフロントフェンダ、37はスイングアーム24の後端に取付けられた後輪、38はピボットプレート14に取付けられたステップブラケット、39はステップブラケット37に取付けられたパッセンジャー用ステップ、41はシートレール17とサブフレーム18との結合部及びスイングアーム24のそれぞれに連結されたリヤクッションユニット、42はリヤボディカバー、43は後輪37の上方を覆うリヤフェンダ、44はリヤボディカバー42の下方で且つリヤフェンダ43の上方に配置されたテールランプユニットである。
【0030】
上記の自動二輪車10が盗難される際、あるいは盗難された後に盗難対策を講じる盗難対策装置50(50A)(クロスハッチングが施された部分である。)は、リヤボディカバー42の後端部上部の内側に取付けられている。
【0031】
上記実施形態において、盗難対策装置50(50A)は、車体フレーム11、詳しくは、シートレール17の後端部より上方で、且つシートレール17の後端部より後方に配置されている。
以下にその盗難対策装置50(50A)の配置構造を詳細に説明する。
【0032】
図2(a)〜(d)は本発明に係る盗難対策装置及びその関連部品を示す説明図である。
(a)はボックス状の盗難対策装置50と、この盗難対策装置50を車体に取付ける際に振動を吸収するために盗難対策装置50に被せたラバー等からなる弾性部材84と、車体側に設けられた電装系統に接続されたハーネス86,87と、これらのハーネス86,87を盗難対策装置50に接続するためにハーネス86,87の端部に設けられたコネクタ88,89とを示している。
【0033】
弾性部材84は、盗難対策装置50の一端から被せたものであり、弾性部材84が盗難対策装置50を締め付ける締め付け力と、盗難対策装置50と弾性部材84との間の摩擦力によって、盗難対策装置50は、弾性部材84から抜けないようになっている。
【0034】
このような盗難対策装置50への弾性部材84の取付構造とすることで、盗難対策装置50への弾性部材84の取付けを容易にするとともに、弾性部材84を取付けた後の盗難対策装置50の弾性部材84からの脱落を防止することができる。
【0035】
(b)はボックス状の盗難対策装置50における六面のうちで最も広い二面の一方の面である第1面50b側から見た図であり、盗難対策装置50は、その構成部品を収納するボックス状のケース50aを備える。
【0036】
ケース50aは、四角形状の第1面50bと、この第1面50bに直交するとともに第1面50bの短辺を共有する第2面50d及び第3面50eと、第1面50bに直交するとともに第1面50bの長辺を共有する第4面50f及び第5面50gと、第1面50bの裏面となる第6面50h(不図示)とを有する。ここでは、第1面50b及び第6面50hは長方形であるが、正方形でもよい。
第3面50eには、コネクタ88,89が接続される雌コネクタ(不図示)が設けられている。
【0037】
弾性部材84は、この方向から見てT字状の部材であり、ケース50aの第2面50d側に側方に一体に突出する第1突出部84bが設けられ、ケース50aの第4面50f及び第5面50g側にそれぞれ側方に一体に突出する第2突出部84c、第3突出部84dが設けられ、これらの第1突出部84b、第2突出部84c及び第3突出部84dにそれぞれ矩形断面に形成された取付穴84fが開けられている。
図中の符号84hはケース50aの第1面50bに接するように弾性部材84に設けられたT字壁である。
【0038】
(c)は(b)のc矢視図であり、弾性部材84は、盗難対策装置50を挟むように設けられたT字状のT字壁84h,84jと、ケース50aの第2面50dに接するようにT字壁84h,84jに一体に設けられた側壁84kとを備え、例えば、T字壁84jが車体側に当てられて取付けられる。
【0039】
(d)は(c)のd−d線断面図であり、盗難対策装置50は、T字壁84h,84jに一体に繋がる側壁84m,84nを備え、ケース50aの第1面50b側、第6面50h側、第4面50f側及び第5面50g側にそれぞれ対向するT字壁84h,84j及び側壁84m,84nに囲まれているので、盗難対策装置50の四方を弾性部材84によって保護することができ、また、図の上下方向及び左右方向(盗難対策装置50の長手方向に直交する方向)の振動を弾性部材84で吸収することができる。
【0040】
更に、(c)に示したように、盗難対策装置50の側方に側壁84kが設けられているので、(c)の左右方向、即ち、盗難対策装置50の長手方向の振動を弾性部材84で吸収することができる。
【0041】
図3は本発明に係る盗難対策装置のブロック図である。
盗難対策装置50は、自動二輪車の車体に加えられた振動を検知する加速度センサ51と、複数の人工衛星から軌道情報を受信することにより車両の現在位置を計測するGPS(Global Positioning System)52と、加速度センサ51からの加速度信号SA及びGPS52からの位置情報JPを受けて盗難防止対策を指令する制御部55と、制御部55からの交信指令SCに基づいて携帯電話基地局61へ位置情報JPを送信する携帯電話通信部56と、制御部55からのエンジン制御信号SECに基づきエンジン20(図1参照)の点火装置62に点火停止信号SSSを送って点火装置62の作動を停止させる、即ち、エンジン20を停止させるエンジン制御部57と、制御部55からの警報制御信号SACに基づき警報装置63(ヘッドランプ、ウインカ、テールランプ等の灯火器、ホーン)に警報信号SAを送って灯火器、ホーンを作動させる警報発生部58と、GPS52、制御部55、携帯電話通信部56、エンジン制御部57及び警報発生部58へ電力を供給するバッテリ59とからなり、GPS52、制御部55、携帯電話通信部56、エンジン制御部57及び警報発生部58は、車体側のバッテリ(不図示)からも電力供給が可能である。
【0042】
GPS52及び携帯電話通信部56は、それぞれ通信用のアンテナを備え、これらのアンテナを含め、上記の盗難対策装置50の各構成が1つのケース50a(図2(a)参照)に収納されている。
【0043】
点火装置62及び警報装置63は、自動二輪車10(図1参照)に備える既存の電装系統であり、盗難対策装置50は、これらの点火装置62及び警報装置63にハーネスを介して接続されている。
上記したエンジン制御部57は、自動二輪車に備えるエンジンコントロールユニットを介して点火装置62を制御するようにしてもよい。
【0044】
図4は本発明に係る盗難対策装置の配置構造(第1実施形態)を示す車体後部側面図(図中の矢印(FRONT)は車両前方を表している。以下同じ。)であり、リヤボディカバー42は、その大部分がタンデムシート26の左右縁部の下方に位置するサイドカバー部42a,42b(左側のサイドカバー部42aのみ図示し、右側のサイドカバー部42bは図示していない。)と、タンデムシート26の後方に位置するリヤカバー部42cとが一体成形された樹脂製の部品であり、リヤカバー部42cの上部の内面42eに弾性部材84を介して盗難対策装置50Aが水平又は水平に近い状態で取付けられている。
【0045】
詳しくは、リヤカバー部42cの内面42eに、内方に突出する3本の取付ステー42f,42g,42h(2本の取付ステー44g,44hのみ図示)が一体成形され、これらの取付ステー42f,42g,42hに弾性部材84を介して盗難対策装置50Aが取付けられている。
【0046】
取付ステー42f,42g,42hは、弾性部材84の3つの取付穴84fに圧入され、弾性部材84が取付ステー42f,42g,42hを締め付ける締め付け力、及び取付ステー42f,42g,42hと弾性部材84との間の摩擦力によって、取付ステー42f,42g,42hから弾性部材84が抜けないようになっている。
【0047】
盗難対策装置50Aは、盗難対策装置50(図2(a)〜(d)及び図3参照)と基本構成が同一であるが、上方に向けられたケース50aの第6面50h側にGPS52(図3参照)及び携帯電話通信部56(図3参照)のアンテナが設けられている。
【0048】
ここで、盗難対策装置50Aの水平に近い状態とは、例えば、水平面に対して盗難対策装置50の傾斜角度が0°〜30°の範囲をいう。
【0049】
リヤカバー部42cは、樹脂製であるから、盗難対策装置50に備えるGPS52や携帯電話通信部56が上空の人工衛星と通信する際に通信電波が遮られず、更に、リヤカバー部42cが自動二輪車の各部のうちでも高い位置に配置されているため、この位置に配置された盗難対策装置50AのGPS52及び携帯電話通信部56の通信電波が遮られにくく、良好な通信環境を得ることができる。
【0050】
図5は本発明に係る盗難対策装置の配置構造(第2実施形態)を示す車体後部側面図であり、テールランプユニット44は、テールランプ、ブレーキランプ及びウインカが一体的に設けられ、主要構成部品が樹脂材料で形成されたものであり、このテールランプユニット44の下面44aとリヤフェンダ43の上面43aとの間のスペースに盗難対策装置50Bが配置されている。
【0051】
詳しくは、リヤフェンダ43の上面43aに、上方に突出する3本の取付ステー43f,43g,43h(2本の取付ステー43g,43hのみ図示)が一体成形され、これらの取付ステー43f,43g,43hに弾性部材84を介して盗難対策装置50Bが取付けられている。
【0052】
また、リヤフェンダ43の上面43aには、後端に盗難対策装置50Bの後方を覆うフェンダ突起43kが一体成形されている。
更に、リヤボディカバー42Aは、リヤボディカバー42(図4参照)と後部下部の形状のみが異なり、左右のリヤボディカバー42の後部下部で盗難対策装置50Bの両側方を覆っている。
従って、盗難対策装置50Bは、その周囲(上方、下方、前方、後方、左側方及び右側方)が覆われ、雨水や土埃等を被りにくい。
【0053】
ここで、符号19は車体フレーム11を構成するリヤロアフレームであり、シートレール17の後部下部に取付けられ、リヤフェンダ43を支持する部品である。このリヤロアフレーム19の後端部の後方に盗難対策装置50Bが配置されている。
【0054】
盗難対策装置50Bは、盗難対策装置50(図2(a)〜(d)及び図3参照)と基本構成が同一であるが、上方に向けられた第1面50b側にGPS52(図3参照)及び携帯電話通信部56(図3参照)のアンテナが設けられている。
【0055】
テールランプユニット44は、その主要構成部品が樹脂材料で形成されているため、盗難対策装置50に備えるGPS52や携帯電話通信部56が上空の人工衛星と通信する際にテールランプユニット44で通信電波を遮ることがなく、良好な通信環境を得ることができる。
【0056】
盗難対策装置50は、テールランプユニット44の下面44aと、リヤフェンダ43の上面43aとの間に配置されているため、外部に露出しにくく、目立ちにくい。更に、外部に露出しないようにするために、テールランプユニット44側又はリヤフェンダ43側から盗難対策装置50Bの両側方及び後方を覆う壁を一体に突出させてもよい。
【0057】
図6は本発明に係る盗難対策装置が搭載された自動二輪車の側面図(第3実施形態)であり、自動二輪車120は、車体フレーム121が、前端を構成するヘッドパイプ122と、このヘッドパイプ122から後方斜め下方に延びるメインフレーム123と、メインフレーム123の後端から下方斜め前方に一体に延びるピボットプレート124と、メインフレーム123の前部下部から後方斜め下方に一体に延びるとともに下端が延長部126aを介して一体にメインフレーム123に接続されたダウンフレーム126と、メインフレーム123の後部上部から一体に突出する後部突出部123aから後方斜め上方に延びるシートレール127とから構成され、ヘッドパイプ122に操舵自在にフロントフォーク131が取付けられ、メインフレーム123の上部に燃料タンク132が取付けられ、ピボットプレート124にピボット軸133を介してスイングアーム134が上下スイング自在に取付けられ、シートレール127の上部にライダーシート136が取付けられ、また、シートレール127の上部に、後述する後輪147の上方を覆うリヤフェンダ137を介してパッセンジャーシート138が取付けられたロードレーサータイプの鞍乗型車両である。
【0058】
図中の符号141はフロントフォーク131の上端に取付けられたバーハンドル、142はフロントフォーク131の下端に取付けられた前輪、143は樹脂製のカウリング、144はカウリング143に取付けられたヘッドランプ、146は前輪142の上方を覆うフロントフェンダ、147はスイングアーム134の後端に取付けられた後輪、148はシートレール127に取付けられたステップブラケット、149はステップブラケット148に取付けられたパッセンジャー用ステップ、151は後部突出部123a側とピボットプレート124側及びスイングアーム134側との間にリンク機構152を介して渡されたリヤクッションユニット、153はリヤボディカバー、154はリヤフェンダ137に取付けられたテールランプユニットである。
【0059】
盗難対策装置50(50A)(クロスハッチングが施された部分である。)は、リヤボディカバー153の後端部上部の内側に取付けられている。
【0060】
上記実施形態において、盗難対策装置50(50A)は、車体フレーム11、詳しくは、シートレール127の後端部より後方に配置され、また、シートレール127の後端部より上方に配置されている。
以下にその盗難対策装置50(50A)の配置構造を詳細に説明する。
【0061】
図7は本発明に係る盗難対策装置の配置構造(第3実施形態)を示す車体後部側面図であり、リヤボディカバー153は、パッセンジャーシート138の左右縁部の下方及び後方を覆う樹脂製の部品であり、リヤボディカバー153の後端部上部の内面153aに弾性部材84を介して盗難対策装置50Aが水平又は水平に近い状態で取付けられている。
【0062】
詳しくは、リヤボディカバー153の内面153aに、内方に突出する3本の取付ステー153f,153g,153h(2本の取付ステー153g,153hのみ図示)が一体成形され、これらの取付ステー153f,153g,153hに弾性部材84の3つの取付穴84fがそれぞれ嵌合されている。
【0063】
盗難対策装置50Aが取付けられるリアボディカバー153の後部は、自動二輪車の各部のうちでも高い位置に配置されているため、この位置に配置される盗難対策装置50Aに備えるGPS52(図3参照)や携帯電話通信部56(図3参照)が人工衛星と通信する際に通信電波が遮られにくく、良好な通信環境を得ることができる。
【0064】
図8は本発明に係る盗難対策装置が搭載された自動二輪車の側面図(第4・第5実施形態)であり、
自動二輪車160は、車体フレーム161が、前端を構成するヘッドパイプ162と、このヘッドパイプ162から後方斜め下方に延びるメインフレーム163と、このメインフレーム13の後端に取付けられたピボットプレート164と、メインフレーム13の中間部から後方斜め下方そして後方斜め上方に延びる左右一対のリヤフレーム166,167(手前側の符号166のみ示す。)と、ピボットプレート164及びリヤフレーム166,167のそれぞれに渡されたサブフレーム168,169(手前側の符号168のみ示す。)とから構成され、ヘッドパイプ162に操舵自在にフロントフォーク171が取付けられ、メインフレーム163及びピボットプレート164にエンジン172が取付けられ、リヤフレーム166,167の上部に収納ボックス173及び燃料タンク174が取付けられ、ピボットプレート164にピボット軸176を介してスイングアーム177が上下スイング自在に取付けられたビジネスタイプの鞍乗型車両である。
収納ボックス173は、前端部にヒンジ部178が設けられ、このヒンジ部178にシート179が開閉自在に取付けられている。
【0065】
図中の符号181はフロントフォーク171の上端に取付けられたバーハンドル、182はフロントフォーク171の下端に取付けられた前輪、183は前輪182の上方を覆うフロントフェンダ、184はバーハンドル181を覆うハンドルカバー、185はハンドルカバー184に取付けられたヘッドランプ、186は車体前部を覆うフロントカバー、187はスイングアーム177の後端に取付けられた後輪、188,189(手前側の符号188のみ示す。)はリヤフレーム166,167側とスイングアーム177側とにそれぞれ渡された左右一対のリヤクッションユニット、191は樹脂製のリヤボディカバー、192は後輪187の上方を覆うリヤフェンダ、193はリヤボディカバー191の後端部に設けられたテールランプユニットである。
ヘッドランプ185はハンドルカバー184を介してバーハンドル181に取付けられている。
【0066】
盗難対策装置50(50B)(クロスハッチングが施された部分である。)は、(1)テールランプユニット193の上部(第4実施形態)、(2)リヤフェンダ192とテールランプユニット193との間(第5実施形態)に配置されている。
【0067】
これらの各実施形態において、盗難対策装置50(50B)は、車体フレーム161、詳しくは、車体フレーム161のリヤフレーム166,167の後端部より上方及び/又はリヤフレーム166,167の後端部より後方に配置されている。
以下にその盗難対策装置50(50B)の配置構造を詳細に説明する。
【0068】
図9は本発明に係る盗難対策装置の配置構造(第4実施形態)を示す車体後部側面図であり、テールランプユニット193は、その上部、詳しくは、テールランプユニット193を構成するハウジング195の上面195aに、上方に突出する3本の取付ステー195f,195g,195h(2本の取付ステー195g,195hのみ図示)が一体成形され、これらの取付ステー195f,195g,195hに弾性部材84を介して盗難対策装置50Bが取付けられている。
【0069】
上記実施形態では、テールランプユニット193の上部に盗難対策装置50Bを取付けたが、これに限らず、シート179の後方でボディカバー191の後端部上部の内面に内方に突出する取付ステーを一体に設け、これらの取付ステーに弾性部材84を介して盗難対策装置50A(図4参照)を取付けてもよい。
【0070】
図10は本発明に係る盗難対策装置の配置構造(第5実施形態)を示す車体後部側面図であり、テールランプユニット193は、テールランプ、ブレーキランプ及びウインカが一体的に設けられ、主要構成部品が樹脂材料で形成されたものであり、このテールランプユニット193のハウジング195の下面195kとリヤフェンダ192の上面192aとの間のスペースに弾性部材84を介して盗難対策装置50Bが配置されている。
【0071】
詳しくは、リヤフェンダ192の上面192aに、上方に突出する3本の取付ステー192f,192g,192h(2本の取付ステー192g,192hのみ図示)が一体成形され、これらの取付ステー192f,192g,192hに弾性部材84を介して盗難対策装置50Bが取付けられている。
【0072】
また、リヤフェンダ192の上面192aには、後端に盗難対策装置50Bの後方を覆うフェンダ突起192kが一体成形されている。
更に、ボディカバー191Aは、ボディカバー191(図9参照)と後部下部の形状のみが異なり、左右のボディカバー191Aの後部下部で盗難対策装置50Bの両側方を覆っている。
従って、盗難対策装置50Bは、その周囲(上方、下方、前方、後方、左側方及び右側方)が覆われ、雨水や土埃等を被りにくい。
【0073】
テールランプユニット44は、その主要構成部品が樹脂材料で形成されているため、盗難対策装置50に備えるGPS52(図3参照)や携帯電話通信部56(図3参照)が上空の人工衛星と通信する際にテールランプユニット193で通信電波を遮ることがなく、良好な通信環境を得ることができる。
【0074】
盗難対策装置50Bは、テールランプユニット193の下面195kと、リヤフェンダ192の上面192aとの間に配置されているため、外部に露出しにくく、目立ちにくい。更に、外部に露出しないようにするために、リヤフェンダ192側又はテールランプユニット193のハウジング195側から盗難対策装置50Bの両側方及び後方を覆う壁を一体に突出させてもよい。
【0075】
図11は本発明に係る盗難対策装置が搭載された自動二輪車の側面図(第6実施形態)であり、自動二輪車200は、車体フレーム201が、前端を構成するヘッドパイプ202と、このヘッドパイプ202から後方斜め下方に延びる左右一対のメインフレーム203,203(手前側の符号203のみ示す。)と、メインフレーム203,203の後端から更に後方斜め下方に延びる左右一対のセンタフレーム204,204(手前側の符号204のみ示す。)と、ヘッドパイプ202から後方斜め下方に延びるダウンフレーム206と、メインフレーム203,203の後部上部から後方斜め上方に延びる左右一対のシートレール207,207(手前側の符号207のみ示す。)と、左右のセンタフレーム204,204及び左右のシートレール207,207のそれぞれに渡された左右一対のサブフレーム208,208(手前側の符号208のみ示す。)と、ダウンフレーム206の端部及びセンタフレーム204,204の端部のそれぞれを連結する左右一対のロアフレーム209,209とから構成され、ヘッドパイプ202に操舵自在にフロントフォーク211が取付けられ、メインフレーム203の上部に燃料タンク212が取付けられ、センタフレーム204,204にそれぞれ取付けられたピボットプレート215にピボット軸213を介してスイングアーム214が上下スイング自在に取付けられ、シートレール207,207の上部にタンデムシート216が取付けられたオフロードタイプの鞍乗型車両である。
【0076】
図中の符号221はフロントフォーク211の上端に取付けられたバーハンドル、222はフロントフォーク211の下端に取付けられた前輪、223は樹脂製のフロントカウリング、224はフロントカウリング223に覆われるとともにフロントフォーク211に取付けられたヘッドランプ、225はフロントカウリング223の上部の後方に配置されたメータ装置、226は前輪222の上方を覆うフロントフェンダ、227はスイングアーム214の後端に取付けられた後輪、228はサブフレーム208に取付けられたステップブラケット、229はステップブラケット227に取付けられたパッセンジャー用ステップ、231は車体フレーム201の中央部に取付けられたエンジン、232はエンジン231のシリンダ部233の後部に接続された吸気装置、234はシリンダ部233の前部に接続された排気装置、236はシートレール207,207の後端部に取付けられたキャリア、237はキャリア236の下方を覆う樹脂製のリヤカバーである。
【0077】
盗難対策装置50(50A)(クロスハッチングが施された部分である。)は、キャリア236の下部に取付けられている。
この実施形態において、盗難対策装置50は、車体フレーム201、詳しくは、車体フレーム201のシートレール207,207の後端部より後方に配置されている。
以下に上記盗難対策装置50(50A)の配置構造を詳細に説明する。
【0078】
図12は本発明に係る盗難対策装置の配置構造(第6実施形態)を示す車体後部側面図であり、キャリア236は、左右のシートレール207,207(手前側の符号207のみ示す。)の後端部に取付けられた樹脂製の部品であり、キャリア236の下面236aに弾性部材84を介して盗難対策装置50Aが水平又は水平に近い状態で取付けられている。
【0079】
詳しくは、キャリア236の下面236aに、内方に突出する3本の取付ステー236f,236g,236h(2本の取付ステー236g,236hのみ図示)が一体成形され、これらの取付ステー236f,236g,236hに弾性部材84の3つの取付穴84fがそれぞれ嵌合されている。
【0080】
キャリア236は、上面236bが荷物を載せるために使用され、下面236a側は使用されないため、下面236a側に盗難対策装置50Aを配置することでキャリア236の下方に出来たデッドスペースを有効利用することができる。
【0081】
盗難対策装置50Aが取付けられるキャリア236の下部は、自動二輪車の各部のうちでも高い位置に配置されているため、この位置に配置される盗難対策装置50AのGPS52(図3参照)や携帯電話通信部56(図3参照)が人工衛星と通信する際に通信電波が遮られにくく、良好な通信環境を得ることができる。
【0082】
キャリア236の下面236aに取付けられた盗難対策装置50Aは、その両側方及び後方がリヤカバー237で覆われるため、盗難対策装置50Aが外部に露出せず、車体後部の外観性を向上させることができる。
【0083】
以上の図1、図4に示したように、車体フレーム11の前部に操舵自在にフロントフォーク21が取付けられ、このフロントフォーク21の下端に前輪32が支持され、車体フレーム11の後部にスイング自在にスイングアーム24が取付けられ、このスイングアーム24の後端に後輪37が支持され、自車の位置を測定可能で且つ測定された位置情報を無線送信可能な盗難対策装置50(50A)を備える自動二輪車10において、盗難対策装置50(50A)が、車体フレーム11、詳しくは、シートレール17の後端部より上方及び/又はシートレール17の後端部より後方に配置されているので、収納ボックスを備えていない車両では、使用されていないスペースを有効利用して盗難対策装置50(50A)を設置することができる。また、図8に示される収納ボックス173を備える自動二輪車160であっても、収納ボックス173の容量を犠牲にすることなく盗難対策装置50(50B)を配置することができ、収納ボックス173内を有効利用することができる。
【0084】
また、図4に示されるように、シートレール17の後端部の近傍にテールランプユニット44が配置され、このテールランプユニット44の上方に盗難対策装置50Aが配置されているので、テールランプユニット44の上方に出来るスペースを有効利用して盗難対策装置50Aが配置可能であるため、盗難対策装置50Aを配置した場合であっても、車体後部のコンパクト化を図ることができる。
【0085】
以上の図5に示したように、車体フレーム11、詳しくは、リヤロアフレーム19の後端部の近傍に、主要構成部品が樹脂製のテールランプユニット44が配置され、このテールランプユニット44の下方に盗難対策装置50Bが配置されているので、テールランプユニット44が、自車位置の測定及び位置情報の無線送信に影響を与えにくくすることができ、車体後部の車体スペースの有効利用を図りながら、盗難対策装置50Bの好ましい通信環境を得ることができる。
【0086】
また、テールランプユニット44の下面44aに臨むように、後輪37の上方を覆うリヤフェンダ43の上面43aが配置され、盗難対策装置50Bが、これらのテールランプユニット44の下面44aとリヤフェンダ43の上面43aとの間に配置されているので、テールランプユニット44の下面44aとリヤフェンダ43の上面43aとの間に出来るスペースを有効利用して盗難対策装置50Bを配置することができる。
【0087】
以上の図11、図12に示したように、車体フレーム11、詳しくは、シートレール207,207(手前側の符号のみ示す。)の後端部に樹脂製のキャリア236が取付けられ、このキャリア236の下面236aに盗難対策装置50Aが下方から取付けられているので、キャリア236が自車位置の測定及び位置情報の無線送信に影響を与えにくくすることができ、車両後端部側の高さを低く抑えつつ、盗難対策装置50Aの好ましい通信環境を得ることができる。また、キャリア236の下方に出来るスペースを有効利用して盗難対策装置50Aを配置することができる。
【0088】
以上の図3、図4に示したように、盗難対策装置50が、位置情報を検出するGPS52と、検出された位置情報を送信する携帯電話通信部56とを備えるので、GPS52及び携帯電話通信部56を備える盗難対策装置50を車体、例えば、リヤボディカバー42に配置することで、GPS52による人工衛星からの軌道情報の受信及び携帯電話通信部56による位置情報の送信を行う際に、GPS52及び携帯電話通信部56の上方に金属製部材が存在しないため、電波が遮られないので、送受信感度が良好になり、盗難対策装置50の配置自由度が低い自動二輪車であっても盗難対策装置50を良好に作動させることができる。
【0089】
以上の図2(a)〜(d)、図3に示したように、盗難対策装置50が、位置情報を検出するGPS52と、検出された位置情報を送信する携帯電話通信部56と、盗難時に車体に加えられた振動を検出する加速度センサ51と、これらのGPS52、携帯電話通信部56及び加速度センサ51を統合制御する制御部55と、これらのGPS52及び携帯電話通信部56に電力を供給する内部電源としてのバッテリ59とを1つのケース50a内に備えるので、GPS52及び携帯電話通信部56を備える盗難対策装置50を車体、例えば、リヤボディカバー42(図4参照)に配置することで、GPS52による人工衛星からの軌道情報の受信及び携帯電話通信部56による位置情報の送信を行う際に、GPS52及び携帯電話通信部56の上方に金属製部材が存在しないため、電波が遮られないので、送受信感度が良好になり、盗難対策装置50の配置自由度が低い自動二輪車であっても盗難対策装置50を良好に作動させることができる。
【0090】
また、盗難対策装置50を1つのケース50a内に収めるため、車両への組付け性を向上させることができる。この際、ケース50aが大型化しても、上記のような盗難対策装置50の配置構造を採用することで、車両全体の大型化を防止することができる。
【0091】
以上の図3に示したように、盗難対策装置50が、盗難を検知した場合に、エンジン20(図1参照)の始動を停止するエンジン停止機能と、灯火器としてのヘッドランプ等の警報装置63を作動させて警報を発する警報機能とを有し、盗難対策装置50を車体に備える電装系統としての点火装置62、電装系統としての警報装置63に接続することにより、エンジン停止機能及び警報機能が作動可能であるので、車体に備える電装系統に盗難対策装置50を接続することにより、エンジン停止機能と警報機能とを作動させることができるため、新たな機能部品を配置したり、配線を増やしたりする必要がない。
【0092】
また、上記したように盗難対策装置50を配置することにより、車両の基本配線への盗難対策装置50の接続が、短い専用配線で済むため、車両の軽量化及びコンパクト化を図ることができる。
【0093】
以上の図2(a)〜(d)、図4に示したように、ケース50aが、ボックス状に形成され、ボックスの最も大きな面である第1面50b又は第6面50hが水平又は水平に近い状態で配置されているので、盗難対策装置50内の機能部品の配置を最適化した上で、GPS52及び携帯電話通信部56のアンテナの面積を確保することができ、送受信を良好にすることができる。
【0094】
尚、図5に示した実施形態では、リヤフェンダ43の上面43aに盗難対策装置50Bを取付けることで、盗難対策装置50Bをリヤフェンダ43とテールランプユニット44との間に配置したが、これに限らず、テールランプユニット44の下面44aに盗難対策装置50A(図4参照)を取付けることで、盗難対策装置50Aをリヤフェンダ43とテールランプユニット44との間に配置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の盗難対策装置は、自動二輪車に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明に係る盗難対策装置が搭載された自動二輪車の側面図(第1実施形態)である。
【図2】本発明に係る盗難対策装置及びその関連部品を示す説明図である。
【図3】本発明に係る盗難対策装置のブロック図である。
【図4】本発明に係る盗難対策装置の配置構造(第1実施形態)を示す車体後部側面図である。
【図5】本発明に係る盗難対策装置の配置構造(第2実施形態)を示す車体後部側面図である。
【図6】本発明に係る盗難対策装置が搭載された自動二輪車の側面図(第3実施形態)である。
【図7】本発明に係る盗難対策装置の配置構造(第3実施形態)を示す車体後部側面図である。
【図8】本発明に係る盗難対策装置が搭載された自動二輪車の側面図(第4・第5実施形態)である。
【図9】本発明に係る盗難対策装置の配置構造(第4実施形態)を示す車体後部側面図である。
【図10】本発明に係る盗難対策装置の配置構造(第5実施形態)を示す車体後部側面図である。
【図11】本発明に係る盗難対策装置が搭載された自動二輪車の側面図(第6実施形態)である。
【図12】本発明に係る盗難対策装置の配置構造(第6実施形態)を示す車体後部側面図である。
【符号の説明】
【0097】
10,120,160,200…自動二輪車、11,121,161,201…車体フレーム、20,172,231…エンジン、21,131,171,211…フロントフォーク、24,134,177,214…スイングアーム、32,142,182,222…前輪、34,144,185,224…灯火器(ヘッドランプ)、37,147…後輪、43,192…リヤフェンダ、43a,192a…上面、44,193…テールランプユニット、44a,195k…下面、50,50A,50B…盗難対策装置、50a…ケース、50b,50h…最も大きな面(第1面、第6面)、51…加速度センサ、52…GPS、55…制御部、56…携帯電話通信部、59…内部電源(バッテリ)、62,63…電装系統(点火装置、警報装置)、236…キャリア、236a…下面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームの前部に操舵自在にフロントフォークが取付けられ、このフロントフォークの下端に前輪が支持され、前記車体フレームの後部にスイング自在にスイングアームが取付けられ、このスイングアームの後端に後輪が支持され、自車の位置を測定可能で且つ測定された位置情報を無線送信可能な盗難対策装置を備える自動二輪車において、
前記盗難対策装置は、前記車体フレームの後端部より上方及び/又は車体フレームの後端部より後方に配置されていることを特徴とする自動二輪車の盗難対策装置。
【請求項2】
前記車体フレームの後端部の近傍にテールランプユニットが配置され、このテールランプユニットの上方に前記盗難対策装置が配置されていることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車の盗難対策装置。
【請求項3】
前記車体フレームの後端部の近傍に、主要構成部品が樹脂製のテールランプユニットが配置され、このテールランプユニットの下方に前記盗難対策装置が配置されていることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車の盗難対策装置。
【請求項4】
前記テールランプユニットの下面に臨むように、前記後輪の上方を覆うリヤフェンダの上面が配置され、前記盗難対策装置は、これらのテールランプユニットの下面とリヤフェンダの上面との間に配置されていることを特徴とする請求項3記載の自動二輪車の盗難対策装置。
【請求項5】
前記車体フレームの後端部に樹脂製のキャリアが取付けられ、このキャリアの下面に前記盗難対策装置が下方から取付けられていることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車の盗難対策装置。
【請求項6】
前記盗難対策装置は、位置情報を検出するGPSと、検出された前記位置情報を送信する携帯電話通信部とを備えることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の自動二輪車の盗難対策装置。
【請求項7】
前記盗難対策装置は、位置情報を検出するGPSと、検出された前記位置情報を送信する携帯電話通信部と、盗難時に車体に加えられた振動を検出する加速度センサと、これらのGPS、携帯電話通信部及び加速度センサを統合制御する制御部と、これらのGPS及び携帯電話通信部に電力を供給する内部電源とを1つのケース内に備えることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の自動二輪車の盗難対策装置。
【請求項8】
前記盗難対策装置は、盗難を検知した場合に、エンジンの始動を停止するエンジン停止機能と、灯火器を作動させて警報を発する警報機能とを有し、前記盗難対策装置を車体に備える電装系統に接続することにより、前記エンジン停止機能及び前記警報機能が作動可能であることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項記載の自動二輪車の盗難対策装置。
【請求項9】
前記ケースは、ボックス状に形成され、ボックスの最も大きな面が水平又は水平に近い状態で配置されていることを特徴とする請求項7又は請求項8記載の自動二輪車の盗難対策装置。
【請求項1】
車体フレームの前部に操舵自在にフロントフォークが取付けられ、このフロントフォークの下端に前輪が支持され、前記車体フレームの後部にスイング自在にスイングアームが取付けられ、このスイングアームの後端に後輪が支持され、自車の位置を測定可能で且つ測定された位置情報を無線送信可能な盗難対策装置を備える自動二輪車において、
前記盗難対策装置は、前記車体フレームの後端部より上方及び/又は車体フレームの後端部より後方に配置されていることを特徴とする自動二輪車の盗難対策装置。
【請求項2】
前記車体フレームの後端部の近傍にテールランプユニットが配置され、このテールランプユニットの上方に前記盗難対策装置が配置されていることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車の盗難対策装置。
【請求項3】
前記車体フレームの後端部の近傍に、主要構成部品が樹脂製のテールランプユニットが配置され、このテールランプユニットの下方に前記盗難対策装置が配置されていることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車の盗難対策装置。
【請求項4】
前記テールランプユニットの下面に臨むように、前記後輪の上方を覆うリヤフェンダの上面が配置され、前記盗難対策装置は、これらのテールランプユニットの下面とリヤフェンダの上面との間に配置されていることを特徴とする請求項3記載の自動二輪車の盗難対策装置。
【請求項5】
前記車体フレームの後端部に樹脂製のキャリアが取付けられ、このキャリアの下面に前記盗難対策装置が下方から取付けられていることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車の盗難対策装置。
【請求項6】
前記盗難対策装置は、位置情報を検出するGPSと、検出された前記位置情報を送信する携帯電話通信部とを備えることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の自動二輪車の盗難対策装置。
【請求項7】
前記盗難対策装置は、位置情報を検出するGPSと、検出された前記位置情報を送信する携帯電話通信部と、盗難時に車体に加えられた振動を検出する加速度センサと、これらのGPS、携帯電話通信部及び加速度センサを統合制御する制御部と、これらのGPS及び携帯電話通信部に電力を供給する内部電源とを1つのケース内に備えることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の自動二輪車の盗難対策装置。
【請求項8】
前記盗難対策装置は、盗難を検知した場合に、エンジンの始動を停止するエンジン停止機能と、灯火器を作動させて警報を発する警報機能とを有し、前記盗難対策装置を車体に備える電装系統に接続することにより、前記エンジン停止機能及び前記警報機能が作動可能であることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項記載の自動二輪車の盗難対策装置。
【請求項9】
前記ケースは、ボックス状に形成され、ボックスの最も大きな面が水平又は水平に近い状態で配置されていることを特徴とする請求項7又は請求項8記載の自動二輪車の盗難対策装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−116128(P2010−116128A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292808(P2008−292808)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
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