説明

自動二輪車

【課題】本発明は、収納ボックス容量の減少や収納ボックスの形状の複雑化をまねくことなく、且つ、車両の幅の拡大を抑えることができる盗難対策装置が備えられている自動二輪車を提供することを課題とする。
【解決手段】ヘッドパイプ212と、このヘッドパイプ212から斜め後下方へ延びるメインフレーム221と、このメインフレーム221の上方を覆うセンタカバー60Bと、車両の位置情報を検出するとともにこの位置情報を無線通信する盗難対策装置66Bと、が備えられている自動二輪車10Bにおいて、盗難対策装置66Bは、メインフレーム221とセンタカバー60Bの間に配置されているとともに、樹脂にて形成されている収納ボックス119の前方に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、盗難対策装置が備えられている自動二輪車に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の位置情報を検出するとともにこの位置情報を無線通信する盗難対策装置が備えられている自動二輪車が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1の図14において、車体の後部に、着座用のシート6(符号は、同公報のものを流用する。以下同じ。)によって上方が開閉可能に覆われ、ヘルメットなどの物を収納する物入れボックス5(以下、「収納ボックス5」と云う。)が設けられ、この収納ボックス5の内側に盗難対策装置20が配置され、この盗難対策装置20の上面に内装シート61が設けられている。
【0004】
盗難対策装置20を収納ボックス内に配置する場合に、収納ボックス5の容量が減らないように、収納ボックス5に凹部を設けると、収納ボックス5の形状が複雑になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−362448公報(図14)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、収納ボックス容量の減少や収納ボックス形状の複雑化をまねくことなく、且つ、車両の幅の拡大を抑えることができる盗難対策装置が備えられている自動二輪車を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、ヘッドパイプと、このヘッドパイプから斜め後下方へ延びるメインフレームと、このメインフレームの下方に配置されるエンジンと、メインフレームの上方を覆うセンタカバーと、メインフレームとセンタカバーの間に配置され車両の位置情報を検出するとともにこの位置情報を無線通信する盗難対策装置とを備えている自動二輪車であって、盗難対策装置は、ヘッドパイプの近傍で、メインフレームの上面に沿って配置されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明では、盗難対策装置は、上面と、この上面の左右端から下方に延びる左右の側面と、上面の前後端から下方に延びる前後の側面と、これらの前後の側面の下端と左右の側面の下端とに渡される下面とを有するボックス形状を呈し、左右の側面と前後の側面よりも面積の広い上面及び下面が、メインフレームの上面に沿って配置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明では、盗難対策装置は、上面の車幅方向寸法が前後方向寸法よりも大きくなるように配置され、他の機器に延びる配線が接続されるコネクタ部は、左右の側面のうちの一方の側面に備えられ、メインフレームの上面に取り付けられたブラケットは、盗難対策装置側に設けた係合穴に挿入される爪部を、前後方向に各々1つ、左右方向の他方に1つ備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明では、盗難対策装置は、その外周に装着される弾性部材を含み、この弾性部材は、上面と前後の側面と下面の周囲を囲うように装着される第1保持部と、この第1保持部から他方の側面側に延びており、上面と他方の側面と下面の周囲を囲うように装着される第2保持部とが設けられており、爪部が挿入される係合穴は、弾性部材に設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、盗難対策装置の前後方向にて、ブラケットに備えられる爪部は、車幅方向において、メインフレームの中心線に対し、左右方向の他方に備えられる爪部よりも近くに配置されることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、盗難対策装置の後方に、エンジンへ空気を供給する空気供給部品が配置されていることを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明では、空気供給部品は、2次エアクリーナであり、更にこの2次エアクリーナの吸気チューブが、盗難対策装置の上方を越えて、ヘッドパイプの近傍で開口していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明では、盗難対策装置は、メインフレームとセンタカバーとの間に配置されている。
従来、盗難対策装置が、収納ボックスの内側に配置されている場合には、収納ボックスの容量が減少するので、容量を確保するために凹部が必要となり、それに伴い、収納ボックスの形状が複雑になる。
【0015】
この点、本発明では、盗難対策装置は、メインフレームとセンタカバーの間に配置されているので、メインフレームとセンターカバーとの間の空間を有効に活用して盗難対策装置を配置することができる。これにより、盗難対策装置を収納ボックスに関係なく配置することができるので、収納ボックスの形状が複雑になるのを抑えることができる。
【0016】
さらに、収納ボックスが小さい車両や収納ボックスを備えていない車両にも適用することができる。
さらまた、センタカバーの上方は、金属製の車両構成部品が少ないため、車両の位置情報を検出するための無線通信を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る自動二輪車の左側面図である。
【図2】本発明の自動二輪車に備えられている盗難対策装置およびその周辺部のブロック図である。
【図3】本発明に係る自動二輪車の要部側面図である。
【図4】本発明に係る自動二輪車の要部平面図である。
【図5】図1の別実施例図である。
【図6】図5の6矢視図である。
【図7】別実施例に係る盗難対策装置の取付構造を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0018】
先ず、本発明の実施例1を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、自動二輪車10は、車体フレーム11と、この車体フレーム11に含まれ車体フレーム11の前端部を構成するヘッドパイプ12に挿嵌されるステアリング軸13と、ステアリング軸13から下方に延設されるフロントフォーク14およびステアリング軸13の上端部に延びている操向ハンドル15と、フロントフォーク14の下端部に操向可能に支持されている前輪16と、車体フレーム11の中央部に配置される駆動源としてのエンジン17と、車体フレーム11の後部に、前端が揺動自在に支持されるスイングアーム18L、18R(図手前側の符号18Lのみ示す。以下同じ。)と、スイングアーム18L、18Rの後端部に回転自在に支持されている後輪19と、を備えている。
【0019】
車体フレーム11は、ヘッドパイプ12と、ヘッドパイプ12から斜め下後方に延びる1本のメインフレーム21と、メインフレーム21の中間部から後方に、且つ、左右外方に水平に延設された後、後斜め上方に延設されている後部フレームとしての左右のサブフレーム22L、22R(図手前側の符号22Lのみ示す。以下同じ。)と、メインフレーム21の後部と左右のサブフレーム22L、22Rから垂下されスイングアーム18L、18Rの前端をピボット軸28を介して揺動自在に支持する左右のピボットプレート29L、29R(図手前側の符号29Lのみ示す。以下同じ。)と、左右のサブフレーム22L、22Rの後端部から後方に延設されるとともに、平面視で、略U字状を呈するリヤフレーム32と、サブフレーム22L、22Rとリヤフレーム32の間に設けられリヤクッションユニット33L、33R(図手前側の符号33Lのみ示す。以下同じ。)の上端部が取り付けられるクッションブラケット34L、34R(図手前側の符号34Lのみ示す。以下同じ。)と、を主要な構成要素とする。
【0020】
エンジン17は、車体フレーム11に懸架されており、後部に変速機を内蔵するクランクケース36が設けられ、このクランクケース36の前部にシリンダ38が設けられ、このシリンダ38の前端部にシリンダヘッド39が設けられ、このシリンダヘッド39の上部に吸気装置41が接続され、シリンダヘッド39の下部に排気装置42が接続されている。
【0021】
吸気装置41は、一端がシリンダヘッド39に、吸気管44を介して接続されているスロットルボデイ45と、このスロットルボデイ45の他端に接続されたエアクリーナ46とからなる。また、排気装置42は、シリンダヘッド39の下部に一端が接続されてエンジン17から下方へそして後方に延びる排気管48と、この排気管48の他端に接続されて後方に延びる消音器49と、からなる。
【0022】
車体の後部構造について説明すると、左右のサブフレーム22L、22Rの間に物入れとしての収納ボックス119が取り付けられ、この収納ボックス119の後方に燃料タンク52が配置され、収納ボックス119から燃料タンク52の上方にわたり、ヒンジ部53を介して開閉可能に着座用の乗員シート54が設けられている。ヒンジ部53は、乗員シート54の前端部に設けられている。56は収納ボックス119に収納されているヘルメットである。
【0023】
車体フレーム11の外方は、車体カバー58で覆われている。車体カバー58は、ヘッドパイプ12の周囲を覆う車体前部カバー61と、メインフレームの上方を覆うセンタカバー60と、乗員シート54の下方を含む車体後部を覆う車体後部カバー62と、からなる。
【0024】
車体前部カバー61は、車体の前面を構成するフロントカバー63と、このフロントカバー63の後方に連続して設けられ乗員の膝の前方を覆うインナカバーとしてのレッグシールド64とからなる。
【0025】
メインフレーム21とセンタカバー60の間に、車両の位置情報を検出するとともにこの位置情報を無線通信する盗難対策装置66が配置されている。盗難対策装置66の詳細については、後述する。
【0026】
図中、68はエンジン17の出力軸69に設けたドライブギヤ、71はチェーン、72はスプロケット、73はメインスタンド、74Fはフロントフェンダ、74Rはリヤフェンダ、75はヘッドランプ、76は車体右側後部に配置されてエンジンを制御するエンジン制御ユニット、77はテールランプ(テールランプユニット)、78L、78R(図手前側の符号78Lのみ示す。)はピリオンステップ、79L、79R(図手前側の符号79Lのみ示す。)はサブフレーム22L、22Rから斜め後下方に延設され、下端にピリオンステップ78L、78Rが取り付けられるピリオンステップメンバである。
【0027】
図2に、自動二輪車に備えられている盗難対策装置およびその周辺部のブロック図が示されており、図1を併せて参照し説明を行う。
盗難対策装置66は、車両(自動二輪車)の車体に加えられた振動を検知する加速度センサ81と、複数の人工衛星から軌道情報を受信することにより車両の現在位置を検出する全地球測位システム(Global Positioning System)82と、加速度センサ81からの加速度信号SAおよび全地球測位システム82からの位置情報JPを受けて盗難対策を指令する制御部83と、制御部83からの交信指令SCに基づいて携帯電話基地局84へ位置情報JPを送信する携帯電話通信部85と、制御部83からのエンジン制御信号SECに基づきエンジンの点火装置86に点火停止信号SSSを送って点火装置86の作動を停止させる、すなわち、エンジン17を停止させるエンジン制御部87と、制御部83からの警報制御信号SACに基づき警報装置88(ヘッドランプ75、ウインカ(図1の符号91L)、ヘッドランプ75等の灯火器93、ホーンに警報信号SAを送って灯火器93、ホーンを作動させる警報発生部96と、内部電源98と、からなる。内部電源98としては、例えば、リチウム電池が利用される。
【0028】
図3に示すように、盗難対策装置66は、メインフレーム21上に設けられたブラケット(後述)上に取り付けられ、メインフレーム21と、
メインフレーム21の上方を覆うセンターカバー60との間の空間に設けられている。
【0029】
全地球測位システム82および携帯電話通信部85とを備える盗難対策装置66をメインフレーム21とセンタカバー60の間に配置することで、衛星からの軌道情報の受信および位置情報の送信を行う際に、盗難対策装置66の上方を完全に覆ってしまう程の金属製の構造物が存在しないため、電波が遮られないので、送受信感度が良好になり、盗難対策装置66の配置自由度が低い自動二輪車であっても盗難対策装置66を良好に作動させることができる。
【0030】
左右のサブフレーム22L、22Rの間に、クロス部材としての前クロスプレート111が掛け渡され、この前クロスプレート111の後方で左右のサブフレーム22L、22Rの間に、クロスパイプ112が掛け渡され、このクロスパイプ112に、左右一対の後ステー113L、113R(手前側の符号113Lのみ示す。以下同じ。)が取り付けられている。
前クロスプレート111には、左右一対の前スペーサ115L、115R(手前側の符号115Lのみ示す。以下同じ。)が載置され、左右の後ステー113L、113Rに、左右一対の後スペーサ116L、116R(手前側の符号116Lのみ示す。以下同じ。)が載置され、これら前後のスペーサ115L、115R、116L、116Rの上面に、締結部材117・・・(・・・は複数を示す。以下同じ。)を介してシート支持部材118が取り付けられている。本実施例において、シート支持部材118は、ヘルメットが収納できる収納ボックス119である。収納ボックス119は、合成樹脂で形成し、この収納ボックス119の前方に、盗難対策装置66が配置されている。
【0031】
すなわち、メインフレーム21の後部上方位置するサブフレーム22L、22Rに、シート支持部材118としての収納ボックス119が配置され、この収納ボックス119の上部に、運転者が着座するシートとしての乗員シート54が設けられている。
【0032】
また、シート支持部材118(収納ボックス119)の後方に、燃料タンク52が配置され、この燃料タンク52は、メインフレーム21から後方に向け斜め上方に延設されている後部フレームとしてのサブフレーム22L、22Rの後部によって支持されている。
【0033】
シート支持部材118の後方に、燃料タンク52が配置され、燃料タンク52は、メインフレーム21から後方に向け斜め上方に延設され、メインフレーム21と同様に鉄などの材料で成形されているサブフレーム22L、22Rによって支持されているので、燃料タンク52を強固に支持することができる。
【0034】
その一方で、合成樹脂で形成したシート支持部材118の前方に、盗難対策装置66が配置されている。盗難対策装置66に隣設配置され乗員シート54(シート54)を支持するシート支持部材118としての収納ボックス119は、合成樹脂製としたので、燃料タンク52との間に距離を確保することができ、燃料タンク52が鉄などの材料で形成されている場合であっても、無線通信を良好に行うことができる。つまり、盗難対策装置66の近傍には、金属製の部品ではなく合成樹脂製の部品が設けられているので、無線通信を良好に行わせることができる。
【0035】
この場合に、メインフレーム21の後部上方に、合成樹脂製のシート支持部材118が配置され、このシート支持部材118の前方に、盗難対策装置66が配置されているので、車両の位置情報の受信を良好に行うことができる。
【0036】
加えて、シート支持部材118は、ヘルメット56を収納することができる収納ボックス119であるため、盗難対策装置66と燃料タンク52の間を十分に離間させることができる。燃料タンク52が鉄などの金属製である場合であっても、盗難対策装置66が車両の位置情報を受信する無線通信を良好に行うことができる。
【0037】
図1および図3を併せて参照して、シート54の前方で、メインフレーム21の上方には、運転者がメインフレーム21を跨ぐ跨ぎ空間121が設けられ、盗難対策装置66は、側面視で、車両前後方向に、少なくとも盗難対策装置66の一部がシートの前部123と重なる位置に配置されている。
【0038】
盗難対策装置66は、側面視で、車両前後方向に、少なくともその一部がシートの前部123と重なる位置に配置されているので、盗難対策装置66を後方に寄せることができ、車両前後方向で、跨ぎ空間121へ張り出す張出量(δ)を抑えることができる。張出量(δ)を抑えることができれば、シート54の前方の跨ぎ空間121を大きく確保することができる。跨ぎ空間121が大きく確保されるため、運転者がメインフレーム21を跨ぎ易くすることができる。
【0039】
また、シート支持部材118としての収納ボックス119は、シート54の前部を支持する前壁126と、この前壁126に対向配置される後壁127と、を有している。そして、前壁126は、盗難対策装置66の後方に位置する部分が後方に向け斜め下方に傾斜するように形成されている。
【0040】
前壁126の盗難対策装置66の後方に位置する部分を前壁下部128とするとき、この前壁下部128は、鉛直方向に対し後方に向け斜め下方に角度θで傾斜するように設けられているので、前壁下部128が後方に向け斜め下方に設けられていない場合に較べると、車両前後方向で、盗難対策装置66を後方へ寄せて前壁下部128の近傍に配置することができ、シートの前部123と盗難対策装置66の重なる長さ(L)を大きくすることができる。
【0041】
シートの前部123と盗難対策装置66の重なる長さ(L)が大きくなれば、跨ぎ空間121へ張り出す張出量(δ)を抑えることができ、シート54の前方に設けられている跨ぎ空間121がより大きく確保され、運転者がメインフレーム21を一層跨ぎ易くすることができる。
【0042】
図4に、自動二輪車の要部平面図が示されており、盗難対策装置66が取り付けられているブラケットについて、図3を併せて参照して説明を行う。
メインフレーム21に補強部材としての左右のパッチ部材131L、131Rが取り付けられ、これらのパッチ部材131L、131Rに左右のサブフレームの先端部132L、132Rが取り付けられている。
【0043】
盗難対策装置66が取り付けられるブラケット135は、メインフレーム21の上面に設けたパッチ部材131Lに取り付けられ後方に延びている前支持部136と、前クロスプレート111に取り付けられ上方に延びている後支持部137と、これらの前支持部136の後端部と後支持部137の上端部の間に掛け渡され、メインフレームの上方で盗難対策装置66が載置される水平取付面138と、この水平取付面138の端部から上方に突設され盗難対策装置66を止める前後の爪部141、142および左爪部143と、からなる。
ブラケット135は、略水平に配置される水平取付面138を有するので、盗難対策装置66を水平な姿勢で取り付けることができる。
【0044】
盗難対策装置66は、ブラケット135の水平取付面138に水平な姿勢で取り付けられている。水平な姿勢であれば、位置情報を受信するアンテナの受信面を水平にすることができるようになり、アンテナの受信面積を大きく確保することができる。アンテナの受信面積が大きくなれば、車両の位置情報を受信する無線通信を一層良好に行うことができる。
【0045】
また、盗難対策装置66の右側面158に、他の機器に連結されるコネクタ部173が配置されている。エンジン制御ユニット(図3の符号76)は、車体右側後部に配置されているので、コネクタ部173とエンジン制御ユニット76の間をつなぐ配線の長さを短くすることができる。
【0046】
以下、前後の爪部141、142および左爪部143に取り付けられる盗難対策装置側の構造について説明する。
盗難対策装置66は、その外方を覆うボックスとしてのケース体151と、このケース体151の外周に装着される弾性部材152と、を含み、この弾性部材152が前後の爪部141、142および左爪部143に取り付けられている。
【0047】
弾性部材152は、盗難対策装置66の衝撃を吸収する機能を有し、ケース体151の外側に、ケース体151を囲うように装着されている。本実施例において、弾性部材152は、ラバーを利用したが、樹脂などの部材であっても良い。
【0048】
以下、弾性部材152の構造について説明する。
弾性部材152は、ケース体151の上面153と前後の側面155、156と下面154の周囲を囲うように装着される第1保持部161と、この第1保持部161から左方に延びており、ケース体151の上面153と左側面157と下面154の周囲を囲うように装着される第2保持部162と、第1保持部161の前部および後部に設けられケース体151の前爪部141および後爪部142に各々対応する部分に第1凸部163および第2凸部164が形成され、第1凸部163に前爪部141が挿入される第1係合穴165が設けられ、第2凸部164に後爪部142が挿入される第2係合穴166が設けられ、第2保持部162に設けられケース体151の左側面157に対応する部分に第3凸部167が形成され、この第3凸部167に左爪部143が挿入される第3係合穴168が設けられている。そして、第1〜第3係合穴165、166、167に、前爪部141、後爪部142および左爪部143が挿入され、盗難対策装置66がブラケット135に取り付けられるようにした。
【0049】
前爪部141、後爪部142および左爪部143の先端部には、各々、盗難対策装置66側に設けた第1、第2および第3係合穴165、166、168が係合されたときに、抜けないようにするために各爪部の幅よりも幅広に形成された抜止部171・・・を備えている。
【0050】
以上に述べた自動二輪車の作用を次に述べる。
盗難対策装置66は、メインフレーム21とセンタカバー60との間に配置されている。
【0051】
本発明では、盗難対策装置66は、メインフレーム21とセンタカバー60の間に配置されているので、メインフレーム21とセンターカバー60との間の空間を有効に活用して盗難対策装置を配置することができる。これにより、盗難対策装置66を収納ボックス119に関係なく配置することができるので、収納ボックス119の形状が複雑になるのを抑えることができる。
【0052】
さらに、収納ボックス119が小さい車両や収納ボックスを備えていない車両にも適用することができる。
さらにまた、センタカバー60の上方は、金属製の車両構成部品が少ないため、車両の位置情報を検出するための無線通信を良好に行うことができる。
【実施例2】
【0053】
次に、本発明の実施例2を図面に基づいて説明する。
図5に示すように、図中、実施例1と共通する車体フレームの構成要素の符号は、実施例に対し200を加えたものとする。例えば、実施例において、車体フレームの符号は11であるが、別実施例において、車体フレームの符号は211とし、共通する要素の説明は省略する。
【0054】
以下、図1と大きく異なる点を中心に説明する。
自動二輪車10Bにおいて、車体フレーム211に、メインフレーム221の中間部から後方斜め上方に向け、左右のシートレール241L、241R(図手前側の符号241Lのみ示す。)が延設され、メインフレーム221の後部から後方斜め上方に左右のサブフレーム222L、222R(図手前側の符号222Lのみ示す。以下同じ。)が延設され、サブフレーム222L、222Rの後端部が、シートレール241L、241Rに連結されている。
【0055】
盗難対策装置の配置について以下に説明すると、メインフレーム221の前部上面で、ヘッドパイプ212に近い側に、ブラケット135Bが取り付けられ、このブラケット135Bに盗難対策装置66Bが取り付けられ、メインフレーム221とセンターカバー60Bとの間の空間に盗難対策装置66Bが設けられている。盗難対策装置66Bの上方は、センタカバー60Bで覆われている。
【0056】
吸気装置41Bの構成部材であるエアクリーナ46Bは、エンジン17Bの後上方に配置され、このエアクリーナ46Bの後方に、隣接するように燃料タンク52Bが配置されている。なお、収納ボックスは設けられていない。その他、大きく変わるところはない。
図中、242は2次エアクリーナ、251は2次空気制御弁である。
【0057】
図6及び図7に示すように、メインフレームの上面243に、盗難対策装置66Bが装着されるブラケット135Bが取り付けられている。このブラケット135Bは、盗難対策装置66Bが載置される取付面244と、この取付面244から上方に突設され盗難対策装置66Bを止める前後の爪部245、246および右爪部247と、からなる。
【0058】
図4と大きく異なる点は、盗難対策装置66Bの配置が左右反対である点にあり、コネクタ部173Bが左側に配置されている。それに伴って、ケース体の周囲を囲う弾性部材を構成する第2保持部162Bが、上面153と右側面158と下面とを囲うように装着されている。その他、大きく変わるところはない。
【0059】
図5にて、盗難対策装置66Bは、車両の前部に配置され、メインフレーム221とセンターカバー60Bとの間の空間に配置されている。センタカバー60Bの上方は、金属製の車両構成部品が少ないため、車両の位置情報の受信を良好に行うことができる。
加えて、盗難対策装置66Bは、メインフレーム221とセンタカバー60Bとの間に配置されているので、収納ボックスを備えていない車両にも適用することができる。
【0060】
尚、本発明は、実施の形態では自動二輪車に適用したが、三輪車にも適用可能であり、一般の鞍乗型車両に適用することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、盗難対策装置が備えられている自動二輪車に好適である。
【符号の説明】
【0062】
10、10B…自動二輪車、12、212…ヘッドパイプ、17、17B…エンジン、18L、18R…スイングアーム、19…後輪、21、221…メインフレーム、22L、22R…左右の後部フレーム(サブフレーム)、28…ピボット軸、29L、29R…ピボットプレート、52…燃料タンク、54、54B…(乗員)シート、56…ヘルメット、60、60B…センタカバー、66、66B…盗難対策装置、111…クロス部材(前クロスプレート)、118…シート支持部材、119…収納ボックス、125…メインフレームの後部、126…前壁、135、135B…ブラケット、136…前支持部、137…後支持部、138…水平取付面、152、152B…弾性部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドパイプ(212)と、このヘッドパイプ(212)から斜め後下方へ延びるメインフレーム(221)と、このメインフレーム(221)の下方に配置されるエンジン(17B)と、前記メインフレーム(221)の上方を覆うセンタカバー(60B)と、前記メインフレーム(221)と前記センタカバー(60B)の間に配置され車両の位置情報を検出するとともにこの位置情報を無線通信する盗難対策装置(66B)とを備えている自動二輪車であって、
前記盗難対策装置(66B)は、前記ヘッドパイプ(212)の近傍で、前記メインフレーム(221)の上面(243)に沿って配置されていることを特徴とする自動二輪車。
【請求項2】
前記盗難対策装置(66B)は、上面(153)と、前後の側面(155、156)と、前後の側面(155、156)の下端に渡される下面(154)と、前記上面(153)と前記下面(154)との間に渡される左右の側面(157、158)とを有するボックス状を呈し、他の面より面積の広い前記上面(153)及び前記下面(154)は、前記メインフレーム(221)の上面(243)に沿って配置されていることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車。
【請求項3】
前記盗難対策装置(66B)は、前記上面(153)の車幅方向寸法が前後方向寸法よりも大きくなるように配置され、他の機器に延びる配線が接続されるコネクタ部(173B)は、前記左右の側面(157、158)のうちの一方の側面(157)に備えられ、
前記メインフレーム(221)の上面(243)に取り付けられたブラケット(135B)は、前記盗難対策装置側に設けた係合穴(165、166、168)に挿入される爪部(245、246、247)を、前後方向に各々1つ、左右方向の他方に1つ有していることを特徴とする請求項2記載の自動二輪車。
【請求項4】
前記盗難対策装置(66B)は、その外周に装着される弾性部材(152)を含み、この弾性部材(152)は、前記上面(153)と前記前後の側面(155、156)と前記下面(154)の周囲を囲うように装着される第1保持部(161B)と、この第1保持部(161B)から他方の側面側に延びており、前記上面(153)と前記他方の側面と前記下面(154)の周囲を囲うように装着される第2保持部(162B)とが設けられており、
前記爪部(245、246、247)が挿入される係合穴(165、166、168)は、前記弾性部材(152)に設けられていることを特徴とする請求項2〜3のいずれか1項記載の自動二輪車。
【請求項5】
前記盗難対策装置(66B)の前後方向にて、前記ブラケット(135B)に備えられる前記爪部(245、246)は、車幅方向において、左右方向の他方に備えられる前記爪部(247)よりも前記メインフレーム(221)の中心線近くに配置されることを特徴とする請求項3〜4のいずれか1項記載の自動二輪車。
【請求項6】
前記盗難対策装置(66B)の後方に、前記エンジン(17B)へ空気を供給する空気供給部品が配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の自動二輪車。
【請求項7】
前記空気供給部品は、2次エアクリーナ(242)であり、更にこの2次エアクリーナ(242)の吸気チューブが、前記盗難対策装置(66B)の上方を越えて、前記ヘッドパイプ(212)の近傍で開口していることを特徴とする請求項6記載の自動二輪車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−192926(P2012−192926A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−155278(P2012−155278)
【出願日】平成24年7月11日(2012.7.11)
【分割の表示】特願2008−334773(P2008−334773)の分割
【原出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)