説明

自動体外式除細動装置

【課題】大人モードと子供モードとの制御選択操作を、迅速かつ適正に判別でき、しかも容易かつ簡便で誤操作のないように操作できる自動体外式除細動装置を提供する。
【解決手段】電気エネルギー源10と、一対のパドル電極20と、大人モードまたは子供モードとして選択的に動作する制御プログラムを設定し、大人および子供に対する使用に適した細動除去電気ショックを発生するように構成したコントローラ30とを備えた自動体外式除細動装置からなり、大人モードまたは子供モードの設定を行う選択スイッチ42、44と、大人または子供に対する使用に適した電気ショックを与える放電ボタンとをそれぞれ設け、装置の外装ケースの表面と裏面とに、大人または子供を示す文字や絵がそれぞれ表示された第1の開閉蓋と第2の開閉蓋とを設け、一方の開閉蓋の開放操作に対応して、モード選択スイッチが作動し対応する放電ボタンが操作可能となるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心房細動や心室細動などのように重篤な器質的心疾患を発現した患者に対し、早期の除細動治療を行うために使用する自動体外式除細動装置として、大人から子供に至る全年齢の患者に対して適正かつ簡便に対応することができる汎用性を備え、特に有用には大人に対する場合と子供に対する場合のそれぞれ異なる制御の選択操作を、迅速かつ適正に判別することができ、しかも容易かつ簡便にして誤操作のないように行うことができる自動体外式除細動装置に関するものである。
【0002】
一般に、心臓は、洞結節と称する特殊心筋から周期的に発生する刺激インパルスの伝達を受け、心筋が規則正しく収縮と拡張を繰り返して、血液を全身に循環させている。しかし、例えば、心筋虚血、心肥大、電解質異常、薬物中毒など心室細動の因子により洞結節以外の興奮性が高まると不整脈を発生する。このように、心筋の興奮が各所でばらばらになり、勝手に興奮と拡張を繰り返す状態(この状態を細動という)に陥る場合がある。この状態が心房に起きた場合を心房細動、心室に起きた場合を心室細動と呼ばれ、特に心室細動は心拍出量の激減を招くため、心停止と同様にその治療は緊急を要する。
【0003】
そこで、このような心室細動などにより心臓の機能が停止した患者に対して、患者の体表面にパドルと称する通電電極を保持させ、この電極に細動除去ショックを与えて、心臓の蘇生治療を簡便に行うことができる自動体外式除細動装置(AED:Automated External Defibrillator)が知られている。
【0004】
すなわち、この自動体外式除細動装置は、患者の心臓のリズムを通常のレベルに回復させるために、高い振幅の電流パルス、パルス波形からなる電気ショック(電気療法的パルス)を心臓に伝達させるものである。そして、今日、病院以外の場所において突然心臓の機能が停止するという緊急事態の生じた患者に対して、直ちに対応することができるように、所要の訓練と知識を有する人によって簡便に取り扱うことを可能とし、適切な除細動の治療を行うことができる自動体外式除細動装置が製造され、広く公共の施設の適所に設置されるようになっている。
【0005】
この種の自動体外式除細動装置において、患者に対し電気ショックを与えるために発生する電流パルス、パルス波形となる電気出力エネルギーは、例えば大人の場合において、生体の抵抗を50Ωと仮定して、生体に加えられるエネルギーで設定される。体外用のパドル電極では、心筋を痛める可能性を考慮して最大エネルギーの上限は、360Jとされている。
【0006】
しかるに、この種の自動体外式除細動装置は、例えば8歳未満の小児の患者においても、その使用を必要とする場合がある。この場合、前述した大人を対象として設計されている自動体外式除細動装置を使用することは、電気ショックを与えるために発生する電流パルス、パルス波形となる電気出力エネルギーが高過ぎて、危険である。例えば、小児に対する適切なエネルギー供給量は、体の質量に依存するとして、小児患者の体重に比例するように設定することが必要とされている。そして、この場合、パドル電極についても、大人用と子供用に対して異なるサイズのものとすることが必要である。
【0007】
このような観点から、大人に適した1組の電極と、子供に適した1組の電極を備え、これらの電極に対応して、それぞれ大人に対して適切な出力エネルギーに設定した大人モード制御部と、子供に対して適切な出力エネルギーに設定した子供モード制御部とを設けた自動体外除細動装置を構成し、オペレータにより、前記大人モード制御部または子供モード制御部の選択操作を行うことにより、大人および子供の両方に対する使用に適した動作をするようにした自動体外除細動システムが提案されている(特許文献1参照)。
【0008】
すなわち、特許文献1に開示される自動体外除細動システムは、エネルギー源と、電極インターフェースと、前記エネルギー源および前記電極インターフェースに結合された電極信号管理ユニットと、前記電極信号管理ユニットに結合された制御ユニットと、この自動体外除細動システムが大人モードで動作するべきか又は子供モードで動作するべきかを示す大人/子供モード制御部と、前記電極インターフェースに結合され大人および子供の両方に対する使用に適した1組の汎用電極と、を有する構成からなるものである。
【0009】
前記特許文献1に記載の自動体外除細動システムにおいては、前記大人モードで動作するべきか又は子供モードで動作するべきかを示す大人/子供モード制御部が、オペレータにより選択操作される大人/子供スイッチとして構成され、この大人/子供スイッチの設定に依存して自動体外除細動の動作モードを指定することができるので、患者が大人または子供のどちらであるかの選択に際し、オペレータによる指定を容易化することができる利点がある。
【0010】
しかしながら、例えば大人/子供スイッチを設ける場合、緊急性を要する患者の治療に対して、その選択操作を誤ることなく、迅速に対応することが重要である。すなわち、大人の患者に対して子供モードで動作させた場合には、患者に十分な電気ショックを与えられず、除細動機能を有効に発揮させることができないために、患者が死に至る危険がある。また、子供の患者に対して大人モードで動作させた場合には、患者に過大な電気ショックを与えることになり、前記と同様の結果を招く危険がある。
【0011】
このような危険を回避するため、前記大人/子供スイッチを、子供モード制御に設定するには、鍵を回す必要がある鍵付きスイッチを使用することが提案されている。すなわち、前記大人/子供スイッチは、通常の操作の場合に大人モード制御となり、鍵付きスイッチを操作した場合に子供モード制御となるようにしたものである。しかしながら、鍵付きスイッチの使用は操作が煩雑となり、緊急性を要する子供の患者の治療に際して、通常の操作の大人モード制御で動作させてしまう危険性を有する難点がある。
【0012】
【特許文献1】特開2005−503214号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、大人モード制御と子供モード制御との選択設定操作を、迅速かつ適正に判別することができ、しかも容易かつ簡便にして誤操作のないように行うことができる自動体外式除細動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の自動体外式除細動装置は、電気エネルギー源と、患者の体表面に当接して患者に対し電気的接触を行うためのパドル電極と、前記パドル電極に対して大人モード制御または子供モード制御として選択的に動作する制御プログラムを設定し、大人および子供に対する使用に適した細動除去ショックとしての電気ショックを発生するように構成したコントローラとを備えた自動体外式除細動装置からなり、
前記コントローラに対し大人モード制御または子供モード制御の選択操作を行うモード選択スイッチと、
大人に対する使用に適した電気ショックを与えるための大人モード用放電ボタンと、
子供に対する使用に適した電気ショックを与えるための子供モード用放電ボタンとをそれぞれ設け、
前記自動体外式除細動装置の外装ケースの外側面にそれぞれ独立した、大人を示す文字や絵が表示された第1の開閉蓋と子供を示す文字や絵が表示された第2の開閉蓋とを設け、
前記一方の開閉蓋の開放操作に連動して、対応する前記モード選択スイッチが作動し、一方の前記放電ボタンが操作可能となるように構成したことを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項2に記載の自動体外式除細動装置は、電気エネルギー源と、患者の体表面に当接して患者に対し電気的接触を行うためのパドル電極と、前記パドル電極に対して大人モード制御または子供モード制御として選択的に動作する制御プログラムを設定し、大人および子供に対する使用に適した細動除去ショックとしての電気ショックを発生するように構成したコントローラとを備えた自動体外式除細動装置からなり、
前記コントローラに対し大人モード制御または子供モード制御の選択操作を行うモード選択スイッチと、
大人に対する使用に適した電気ショックを与えるための大人モード用放電ボタンと、
子供に対する使用に適した電気ショックを与えるための子供モード用放電ボタンとをそれぞれ設け、
前記自動体外式除細動装置の外装ケースの表面と裏面とに、大人を示す文字や絵が表示された第1の開閉蓋と子供を示す文字や絵が表示された第2の開閉蓋とを設け、
前記一方の開閉蓋の開放操作に対応して、対応する前記モード選択スイッチが作動し、一方の前記放電ボタンが操作可能となるように構成したことを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項3に記載の自動体外式除細動装置は、電気エネルギー源と、患者の体表面に当接して患者に対し電気的接触を行うためのパドル電極と、前記パドル電極に対して大人モード制御または子供モード制御として選択的に動作する制御プログラムを設定し、大人および子供に対する使用に適した細動除去ショックとしての電気ショックを発生するように構成したコントローラとを備えた自動体外式除細動装置からなり、
前記コントローラに対し大人モード制御または子供モード制御の選択操作を行うモード選択スイッチと、
大人に対する使用に適した電気ショックを与えるための大人モード用放電ボタンと、
子供に対する使用に適した電気ショックを与えるための子供モード用放電ボタンとをそれぞれ設け、
前記自動体外式除細動装置の外装ケースの表面に、第1の開閉蓋を設けると共に、その一部に子供を示す文字や絵が表示された第2の開閉蓋を前記第1の開閉蓋と同一の向き、逆向き又は横向きに設け、
前記一方の開閉蓋の開放操作に連動して、対応する前記モード選択スイッチが作動し、一方の前記放電ボタンが操作可能となるように構成したことを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項4に記載の自動体外式除細動装置は、電気エネルギー源と、患者の体表面に当接して患者に対し電気的接触を行うためのパドル電極と、前記パドル電極に対して大人モード制御または子供モード制御として選択的に動作する制御プログラムを設定し、大人および子供に対する使用に適した細動除去ショックとしての電気ショックを発生するように構成したコントローラとを備えた自動体外式除細動装置からなり、
前記コントローラに対し大人モード制御または子供モード制御の選択操作を行うモード選択スイッチを設け、
前記自動体外式除細動装置の外装ケースの表面側に、大人に対する使用に適した電気ショックを与えるための大人モード用放電ボタンと子供に対する使用に適した電気ショックを与えるための子供モード用放電ボタンとを設けると共に、これらの放電ボタンを開放するスライド式開閉蓋を設け、
前記スライド式開閉蓋の一方には大人を示す文字や絵が表示され、他方には子供を示す文字や絵が表示されており、
前記スライド式開閉蓋の移動操作に連動して、対応する前記モード選択スイッチを作動し、一方の前記放電ボタンが操作可能となるように構成したことを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項5に記載の自動体外式除細動装置は、前記パドル電極を、大人モード制御および子供モード制御においてそれぞれ共通の電極とする構成からなることを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項6に記載の自動体外式除細動装置は、前記パドル電極を、大人モード制御用操作面側または子供モード制御用操作面側のいずれか一方に接続配置した構成からなることを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項7に記載の自動体外式除細動装置は、前記パドル電極を、大人モード制御および子供モード制御に対応して、それぞれ独立した電極とする構成からなることを特徴とする。
【0021】
本発明の請求項8に記載の自動体外式除細動装置は、前記パドル電極を、大人モード制御用操作面側および子供モード制御用操作面側にそれぞれ接続配置した大人モード用電極と子供モード用電極とから構成してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の請求項1から請求項4に記載の自動体外式除細動装置によれば、大人モード制御と子供モード制御との選択操作を、迅速かつ適正に判別することができ、しかも容易かつ簡便にして誤操作のないように行うことができる。
【0023】
本発明の請求項5および6に記載の自動体外式除細動装置によれば、前記パドル電極を、大人モード制御および子供モード制御においてそれぞれ共通の電極とする構成とすることにより、自動体外式除細動装置の取り扱いを簡便とすると共に、パドル電極のメンテナンス作業およびそのコスト低減に有利となる。
【0024】
本発明の請求項7および8に記載の自動体外式除細動装置によれば、前記パドル電極を、大人モード制御および子供モード制御に対応して、それぞれ独立した電極とする構成とすることにより、自動体外式除細動装置の取り扱いに際しての誤操作の発生を確実に防止することができ、安全性をより高めた構成とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明に係る自動体外式除細動装置の実施態様につき、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明に係る自動体外式除細動装置のシステム構成の概略を示すブロック回路図である。図1において、本発明に係る自動体外式除細動装置は、電気エネルギーを蓄積する蓄電池や蓄電器などからなる電気エネルギー源10と、患者の体表面に当接して患者に対し電気的接触を行うための一対のパドル電極20と、前記電気エネルギー源10と前記パドル電極20との間に接続され、前記パドル電極20に対して大人モード制御または子供モード制御として選択的に動作する制御プログラムを設定し、大人および子供に対する使用に適した細動除去ショックとしての電気ショックを発生するように構成したコントローラ30とを備えた基本構成からなる。
【0027】
前記システム構成からなる本実施例の自動体外式除細動装置においては、前記コントローラ30に、大人モードの電気ショックを発生するように設定された大人モード制御部32と、子供モードの電気ショックを発生するように設定された子供モード制御部34とが設けられている。そして、これらの大人モード制御部32と子供モード制御部34に対応して、それぞれのモード制御を選択設定するためのモード選択スイッチ42、44とが設けられている。
【0028】
そして、前記大人モード制御部32と子供モード制御部34とを選択設定するモード選択スイッチ42、44は、大人モード開閉蓋Cと子供モード開閉蓋Dとにそれぞれ連動するように構成する。そして、大人モード開閉蓋Cと子供モード開閉蓋Dを開放すると、それぞれに対応して開放表示され、操作可能となる大人モード用放電ボタンAと子供モード用放電ボタンBを設けた構成とする。なお、本発明において、前記パドル電極20は、大人モード制御において使用するように設けた1対の電極22、22を、子供モード制御においても共通に使用するように設定することができる。また、前記パドル電極20は、大人モード制御において使用する1対の電極22、22と、子供モード制御において使用する1対の電極24、24とを、別々に設けることができる。
【0029】
そこで、これらに対する開閉蓋の具体的な実施例について、以下説明する。
【0030】
図2の(a)、(b)は、本発明に係る自動体外式除細動装置の一実施例を示すものであり、参照符号100は自動体外式除細動装置の外装ケースを示す。本実施例においては、図2の(a)に示すように、前記外装ケース100の表面に、大人モード制御操作面52(図示せず)を開放する第1の開閉蓋102を設ける。また、図2の(b)に示すように、前記外装ケース100の裏面に、子供モード制御操作面54(図示せず)を開放する第2の開閉蓋104を設ける。そして、この場合、パドル電極20は、大人モード制御および子供モード制御においてそれぞれ共通に使用する1対の電極が設けられている。
【0031】
図3の(a)、(b)は、図2の(a)、(b)に示す実施例の自動体外式除細動装置の外装ケース100の表面と裏面に、それぞれ設けた第1の開閉蓋102と第2の開閉蓋104の開放状態を示すものである。すなわち、この場合、図3の(a)に示すように、第1の開閉蓋102の開放動作に連動して、第1の放電ボタンA〔大人モード用放電ボタンA〕が開放表示され、モード選択スイッチ42が作動して第1の放電ボタンAが操作可能となる。また、図3の(b)に示すように、第2の開閉蓋104の開放動作に連動して、第2の放電ボタンB〔子供モード用放電ボタンB〕が開放表示され、モード選択スイッチ44が作動して第2の放電ボタンBが操作可能となる。
第1の開閉蓋102には大人を表示する文字及び絵が描かれており、第2の開閉蓋104には子供を表示する文字及び絵が描かれているため、自動体外式除細動装置の操作者は、患者が大人のとき第1の開閉蓋102を開き、患者が子供のとき第2の開閉蓋104を開くことを容易に判断できる。開閉蓋を開いた後は、操作用音声ガイダンスに従って電気ショックを与えればよい。このように大人モードと子供モードの制御の選択設定操作は容易で、あと操作者は単に開閉蓋のみ開けばよく、あとは音声ガイダンスに従うのみでよい。
【0032】
なお、本発明に係る自動体外式除細動装置おいて、大人モード制御または子供モード制御を選択動作させるために使用する前記モード選択スイッチ42、44としては、前述した実施例の場合、開閉蓋102、104の開放操作に連動して動作させることができる、公知のリミットスイッチや無接点スイッチ等をそれぞれ使用することができるばかりでなく、単一の切替スイッチとして構成することもできる。
【0033】
図4の(a)、(b)は、図2の(a)、(b)に示した本発明に係る自動体外式除細動装置の変形例を示すものである。図4の(a)、(b)においては、図3の(a)、(b)と同様に、外装ケース100の表面と裏面に、それぞれ設けた第1の開閉蓋102と第2の開閉蓋104の開放状態を示すものである。そして、本実施例においては、それぞれ開放表示された大人モード制御操作面52と子供モード制御操作面54とに対し、それぞれ対応する大人モード用パドル電極22、22と子供モード用パドル電極24、24とを別々に設けたものである。そして、本実施例の自動体外式除細動装置における前記第1の開閉蓋102と第2の開閉蓋104の開放操作に連動する動作は、前述した図2の(a)、(b)に示す実施例と同様である。
【0034】
図5の(a)、(b)、(c)は、本発明に係る自動体外式除細動装置の別の実施例を示すものである。本実施例においては、図5の(a)に示すように、前記外装ケース100の表面に、大人モード用放電ボタンAを開放表示する第1の開閉蓋112を設ける。そして、その一部に子供モード用放電ボタンBを開放表示する第2の開閉蓋114を前記第1の開閉蓋112と逆向きに開放するように設ける。この場合、パドル電極20は、大人モード制御および子供モード制御においてそれぞれ共通に使用する1対の電極が設けられている。
【0035】
このように構成される本実施例の自動体外式除細動装置においては、図5の(b)に示すように、第1の開閉蓋112の開放動作に連動して、大人モード用放電ボタンAが開放表示され、モード選択スイッチ42が作動して、大人モード用放電ボタンAが操作可能となる。また、図5の(c)に示すように、第2の開閉蓋114の開放動作に連動して、子供モード用放電ボタンBが開放表示され、対応するモード選択スイッチ44が作動して、子供モード用放電ボタンBが操作可能となる。なお、本実施例において、前記第2の開閉蓋114は、前記第1の開閉蓋112に対し同一の向き又は横向きに開放するよう設けることもできる。
【0036】
図6の(a)、(b)は、図5の(a)、(b)、(c)に示した本発明に係る自動体外式除細動装置の変形例を示すものである。図6の(a)、(b)においては、図5の(b)、(c)と同様に、外装ケース100の表面に、それぞれ逆向きに開放するように設けられた第1の開閉蓋112と第2の開閉蓋114の開放状態を示すものである。そして、本実施例においては、それぞれ開放表示された大人モード制御操作面52と子供モード制御操作面54とに対し、それぞれ対応する大人モード用パドル電極22、22と子供モード用パドル電極24、24とを別々に設けたものである。そして、本実施例の自動体外式除細動装置における前記第1の開閉蓋112と第2の開閉蓋114の開放操作に連動する動作は、前述した図5の(b)、(c)に示す実施例と同様である。
【0037】
図7の(a)、(b)、(c)は、本発明に係る自動体外式除細動装置のさらに別の実施例を示すものである。本実施例においては、図7の(a)に示すように、外装ケース100の表面側に、第1のスライド式開閉蓋122と第2のスライド式開閉蓋124が設けられている。スライド式開閉蓋の一方を開放すると大人モード用放電ボタンAまたは子供モード用放電ボタンBが現れる。この場合、パドル電極20は、大人モード制御および子供モード制御においてそれぞれ共通に使用する1対の電極が設けられている。
【0038】
このように構成される本実施例の自動体外式除細動装置においては、図7の(b)に示すように、第2のスライド式開閉蓋124の開放動作に連動して、子供モード用放電ボタンBが開放表示され、モード選択スイッチ44が作動して第2の放電ボタンBが操作可能となる。また、図7の(c)に示すように、第1のスライド式開閉蓋122の開放動作に連動して、大人モード用放電ボタンAが開放表示され、モード選択スイッチ42が作動して第1の放電ボタンAが操作可能となる。
【0039】
図8の(a)、(b)、(c)は、図7の(a)、(b)、(c)に示した本発明に係る自動体外式除細動装置の変形例を示すものである。図8の(a)、(b)、(c)においては、図7の(a)、(b)、(c)と同様に、外装ケース100の表面側に、大人モード制御用操作面52と子供モード制御用操作面54とを設けると共に、これらのモード制御用操作面52、54および放電ボタンA、Bを開放表示する第1のスライド式開閉蓋122と第2のスライド式開閉蓋124とを設けたものである。そして、本実施例においては、開放表示された大人モード制御操作面52に対し、パドル電極20として、大人モード制御および子供モード制御においてそれぞれ共通に使用する1対の電極を設けたものである。そして、本実施例の自動体外式除細動装置における前記第1のスライド式開閉蓋122と第2のスライド式開閉蓋124のそれぞれ開放操作に連動する動作は、前述した図7の(b)、(c)に示す実施例と同様である。
【0040】
図9の(a)、(b)、(c)は、図7の(a)、(b)、(c)に示した本発明に係る自動体外式除細動装置の別の変形例を示すものである。図9の(a)、(b)、(c)においては、図7の(a)、(b)、(c)と同様に、外装ケース100の表面側に、大人モード制御用操作面52と子供モード制御用操作面54とを設けると共に、第1の放電ボタンAと第2の放電ボタンBを交互に開放表示する第1のスライド式開閉蓋122と第2のスライド式開閉蓋124を設けたものである。そして、本実施例においては、大人モード制御操作面52と子供モード制御操作面54とに対し、パドル電極20として、それぞれ対応する大人モード用パドル電極22、22と子供モード用パドル電極24、24とを別々に設けたものである。そして、本実施例の自動体外式除細動装置における前記第1のスライド式開閉蓋122と第2のスライド式開閉蓋124の開放操作に連動する動作は、前述した図7の(b)、(c)に示す実施例と同様である。
【0041】
以上、本発明の好適な実施例について説明したが、その他本発明の精神を逸脱しない範囲内において多くの設計変更を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る自動体外式除細動装置のシステム構成の概略を示すブロック回路図である。
【図2】本発明に係る自動体外式除細動装置の一実施例であって、(a)は外装ケースの表面側の構成を示す概略説明図、(b)は外装ケースの裏面側の構成を示す概略説明図である。
【図3】図2に示す本発明に係る自動体外式除細動装置に設けた開閉蓋の開放操作状態であって、(a)は図2の(a)における開閉蓋の開放状態を示す概略説明図、(b)は図2の(b)における開閉蓋の開放状態を示す概略説明図である。
【図4】図2に示す本発明に係る自動体外式除細動装置の変型実施例であって、(a)は外装ケースの表面側における開閉蓋の開放状態を示す概略説明図、(b)は外装ケースの裏面側における開閉蓋の開放状態を示す概略説明図である。
【図5】本発明に係る自動体外式除細動装置の別の実施例であって、(a)は外装ケースの表面側の構成を示す概略説明図、(b)は大人モード制御用操作面側の開閉蓋の開放状態を示す概略説明図、(c)は子供モード制御用操作面側の開閉蓋の開放状態を示す概略説明図である。
【図6】図5に示す本発明に係る自動体外式除細動装置の変型実施例であって、(a)は大人モード制御用操作面側の開閉蓋の開放状態を示す概略説明図、(b)は子供モード制御用操作面側の開閉蓋の開放状態を示す概略説明図である。
【図7】本発明に係る自動体外式除細動装置のさらに別の実施例であって、(a)は外装ケースの表面側の構成を示す概略説明図、(b)は子供モード制御用操作面側をスライド式開閉蓋により開放した状態を示す概略説明図、(c)は大人モード制御用操作面側をスライド式開閉蓋により開放した状態を示す概略説明図である。
【図8】図7に示す本発明に係る自動体外式除細動装置の変型実施例であって、(a)は外装ケースの表面側の構成を示す概略説明図、(b)は子供モード制御用操作面側をスライド式開閉蓋により開放した状態を示す概略説明図、(c)は大人モード制御用操作面側をスライド式開閉蓋により開放した状態を示す概略説明図である。
【図9】図7に示す本発明に係る自動体外式除細動装置の別の変型実施例であって、(a)は外装ケースの表面側の構成を示す概略説明図、(b)は子供モード制御用操作面側をスライド式開閉蓋により開放した状態を示す概略説明図、(c)は大人モード制御用操作面側をスライド式開閉蓋により開放した状態を示す概略説明図である。
【符号の説明】
【0043】
10 電気エネルギー源
20 パドル電極
22 大人モード用パドル電極
24 子供モード用パドル電極
30 コントローラ
32 大人モード制御部
34 子供モード制御部
42 モード選択スイッチ
44 モード選択スイッチ
52 大人モード制御操作面
54 子供モード制御操作面
100 外装ケース
102 第1の開閉蓋
104 第2の開閉蓋
112 第1の開閉蓋
114 第2の開閉蓋
122 第1のスライド式開閉蓋
124 第2のスライド式開閉蓋
A 大人モード用放電ボタン(第1の放電ボタン)
B 子供モード用放電ボタン(第2の放電ボタン)
C 大人モード用開閉蓋
D 子供モード用開閉蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギー源と、患者の体表面に当接して患者に対し電気的接触を行うためのパドル電極と、前記パドル電極に対して大人モード制御または子供モード制御として選択的に動作する制御プログラムを設定し、大人および子供に対する使用に適した細動除去ショックとしての電気ショックを発生するように構成したコントローラとを備えた自動体外式除細動装置からなり、
前記コントローラに対し大人モード制御または子供モード制御の選択操作を行うモード選択スイッチと、
大人に対する使用に適した電気ショックを与えるための大人モード用放電ボタンと、
子供に対する使用に適した電気ショックを与えるための子供モード用放電ボタンとをそれぞれ設け、
前記自動体外式除細動装置の外装ケースの外側面にそれぞれ独立した、大人を示す文字や絵が表示された第1の開閉蓋と子供を示す文字や絵が表示された第2の開閉蓋とを設け、
前記一方の開閉蓋の開放操作に連動して、対応する前記モード選択スイッチが作動し、一方の前記放電ボタンが操作可能となるように構成したことを特徴とする自動体外式除細動装置。
【請求項2】
電気エネルギー源と、患者の体表面に当接して患者に対し電気的接触を行うためのパドル電極と、前記パドル電極に対して大人モード制御または子供モード制御として選択的に動作する制御プログラムを設定し、大人および子供に対する使用に適した細動除去ショックとしての電気ショックを発生するように構成したコントローラとを備えた自動体外式除細動装置からなり、
前記コントローラに対し大人モード制御または子供モード制御の選択操作を行うモード選択スイッチと、
大人に対する使用に適した電気ショックを与えるための大人モード用放電ボタンと、
子供に対する使用に適した電気ショックを与えるための子供モード用放電ボタンとをそれぞれ設け、
前記自動体外式除細動装置の外装ケースの表面と裏面とに、大人を示す文字や絵が表示された第1の開閉蓋と子供を示す文字や絵が表示された第2の開閉蓋とを設け、
前記一方の開閉蓋の開放操作に対応して、対応する前記モード選択スイッチが作動し、一方の前記放電ボタンが操作可能となるように構成したことを特徴とする自動体外式除細動装置。
【請求項3】
電気エネルギー源と、患者の体表面に当接して患者に対し電気的接触を行うためのパドル電極と、前記パドル電極に対して大人モード制御または子供モード制御として選択的に動作する制御プログラムを設定し、大人および子供に対する使用に適した細動除去ショックとしての電気ショックを発生するように構成したコントローラとを備えた自動体外式除細動装置からなり、
前記コントローラに対し大人モード制御または子供モード制御の選択操作を行うモード選択スイッチと、
大人に対する使用に適した電気ショックを与えるための大人モード用放電ボタンと、
子供に対する使用に適した電気ショックを与えるための子供モード用放電ボタンとをそれぞれ設け、
前記自動体外式除細動装置の外装ケースの表面に、第1の開閉蓋を設けると共に、その一部に子供を示す文字や絵が表示された第2の開閉蓋を前記第1の開閉蓋と同一の向き、逆向き又は横向きに設け、
前記一方の開閉蓋の開放操作に連動して、対応する前記モード選択スイッチが作動し、一方の前記放電ボタンが操作可能となるように構成したことを特徴とする自動体外式除細動装置。
【請求項4】
電気エネルギー源と、患者の体表面に当接して患者に対し電気的接触を行うためのパドル電極と、前記パドル電極に対して大人モード制御または子供モード制御として選択的に動作する制御プログラムを設定し、大人および子供に対する使用に適した細動除去ショックとしての電気ショックを発生するように構成したコントローラとを備えた自動体外式除細動装置からなり、
前記コントローラに対し大人モード制御または子供モード制御の選択操作を行うモード選択スイッチを設け、
前記自動体外式除細動装置の外装ケースの表面側に、大人に対する使用に適した電気ショックを与えるための大人モード用放電ボタンと子供に対する使用に適した電気ショックを与えるための子供モード用放電ボタンとを設けると共に、これらの放電ボタンを開放するスライド式開閉蓋を設け、
前記スライド式開閉蓋の一方には大人を示す文字や絵が表示され、他方には子供を示す文字や絵が表示されており、
前記スライド式開閉蓋の移動操作に連動して、対応する前記モード選択スイッチを作動し、一方の前記放電ボタンが操作可能となるように構成したことを特徴とする自動体外式除細動装置。
【請求項5】
前記パドル電極は、大人モード制御および子供モード制御においてそれぞれ共通の電極とする構成からなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の自動体外式除細動装置。
【請求項6】
前記パドル電極は、大人モード制御用操作面側または子供モード制御用操作面側のいずれか一方に接続配置した構成からなることを特徴とする請求項5記載の自動体外式除細動装置。
【請求項7】
前記パドル電極は、大人モード制御および子供モード制御に対応して、それぞれ独立した電極とする構成からなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の自動体外式除細動装置。
【請求項8】
前記パドル電極は、大人モード制御用操作面側および子供モード制御用操作面側にそれぞれ接続配置した大人モード用電極と子供モード用電極とから構成してなることを特徴とする請求項7記載の自動体外式除細動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−28402(P2009−28402A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197152(P2007−197152)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(000230962)日本光電工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】