説明

自動分析装置

【課題】操作者に、より確実に情報を伝達し、装置トラブルや誤操作の発生を抑制するこができる自動分析装置を提供する。
【解決手段】試料の定性・定量分析を行う自動分析装置において、自動分析装置の操作画面を表示する表示装置26と、操作者が操作画面の操作や各種情報の入力を行うための入力装置24と、1つ以上の表示条件と予め関連付けて設定された連絡メッセージを記憶する記憶装置25とを備え、表示条件を満たす状態となった時に、その表示条件に関連付けて設定された連絡メッセージを表示する連絡メッセージ画面を表示装置26に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液や尿などの試料の定性・定量分析を行う自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液や尿などの試料の定性・定量分析を行う臨床検査の現場においては、検査の省力化や高速化のために自動分析装置が用いられている。
【0003】
従来の自動分析装置では表示装置に、各種分析条件、検体情報などを入力するための画面や装置を操作するための画面を表示し、操作者が所望の画面上で入力・操作することにより検査を行っている。しかし、どのような手順で操作するかが各操作者の責任に委ねられているような自動分析装置では、操作者の習熟度が低い場合に、操作もれ、手順不良、分析条件の誤入力などの人為的なミスが起きる恐れがあった。
【0004】
このような自動分析装置の状況に対応するための従来技術として、例えは、特許文献1には、試料を自動的に分析する自動分析装置と、自動分析装置を操作するための操作画面を表示する表示装置と、ユーザが入力するための入力装置とを有し、表示装置は、操作ナビゲーション実行画面に、自動分析装置の操作者毎に指定された、業務リストと業務に含まれる作業項目のリストを表示するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−70321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
血液や尿などの試料の定性・定量分析を行う臨床検査の現場で用いられる自動分析装置は、その多機能化・高機能化が進んでいるため、操作自体の容易化に反して、操作における注意事項や確認事項、各種設定に必要な知識等は増加しており、信頼性の高い分析結果を得るために操作者には高い習熟度が要求されている。また、自動分析装置の運用においても省力化促進のために操作者の人数削減が図られており、したがって、一人の操作者が複数種類の装置を担当したり、主担当以外の装置を扱ったりしなければならない状況にある。さらに、自動分析装置においては、各装置の癖、設定変更、或いは、トラブルの発生やメンテナンスの実施を含む使用状況などが個別に異なるため、その自動分析装置を操作・使用する各操作者間で装置の状況など各種情報を伝達することが必要である。情報の伝達方法としては、ノートや付箋紙などを用いたり、口頭で連絡したりすることが考えられるが、これらの方法では紛失や誤解、忘却などの恐れがある。
【0007】
上記特許文献1記載の従来技術においては、操作者毎に指定された業務リストと作業項目リストを表示するナビゲーション実行画面を表示することで、操作漏れや人為的なミスを防止しようとしている。しかしながら、操作上の注意点などの情報はナビゲーション開始時にまとめて表示しているため、実際に注意が必要となる操作実行時にはその情報を忘れている可能性がある。したがって、結果的に装置トラブルや誤操作によって分析の失敗やデータ損失などが発生し、再測定に伴う費用や時間の損失、診断の遅延や再採血による患者負担の増加などを引き起こす恐れがあった。
【0008】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、操作者に、より確実に情報を伝達し、装置トラブルや誤操作の発生を抑制するこができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、試料の定性・定量分析を行う自動分析装置において、前記自動分析装置の操作画面を表示する表示部と、操作者が前記操作画面の操作や各種情報の入力を行うための入力部と、1つ以上の表示条件と予め関連付けて設定された分析処理情報を記憶する記憶部とを備え、前記表示装置は、前記表示条件を満たす状態となった時に、その表示条件に関連付けて設定された前記分析処理情報を表示する情報表示画面を前記表示装置に表示するものとする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、操作者に、より確実に情報を伝達し、装置トラブルや誤操作の発生を抑制するこができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる自動分析装置の全体構成を概略的に示す図である。
【図2】表示装置に表示される連絡メッセージ画面を示す図である。
【図3】連絡メッセージ一覧画面を示す図である。
【図4】連絡メッセージ作成画面を示す図である。
【図5】連絡メッセージの表示条件設定画面を示す図である。
【図6】連絡メッセージ画面の表示処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】連絡メッセージ画面の表示処理の他の例を示すフローチャートである。
【図8】連絡メッセージ画面の表示処理のさらに他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の全体構成を示す概略図である。
【0014】
図1において、本実施の形態の自動分析装置は、分析部1と操作部2とを備えている。
【0015】
分析部1は、分析対象の試料(例えば、血液や尿などの生体試料)に試薬等を加え、その物性(光度など)を測定するものであり、分析対象の試料を収容した試料容器3を収納しラック搬送ベルト18により搬送されるラック4と、分析対象試料に加える試薬を収容した複数の試薬ボトル5を収納した試薬ディスク6と、分析対象の試料に試薬を加えた反応液を収容する複数の反応容器7を収納した反応ディスク8と、試料容器3に収容された試料を予め定められた反応容器7に分注する試料分注プローブ9と、試薬ボトル5に収容された試薬を予め定められた反応容器7に分注する試薬分注プローブ10と、反応容器7に収容された反応液を攪拌する買う坂装置11と、反応容器7に収容された反応液に光束を照射する光源12と、光源12から照射され反応容器7を透過した光を検出する多波長光度計13と、多波長光度計13での検出信号を変換するA/Dコンバータ15と、反応容器7を洗浄する洗浄装置14と、分析部1の各構成の動作を制御するコンピュータ16とを備えており、分析部1の各構成は内部インタフェース17を介してコンピュータ16に接続されている。
【0016】
操作部2は、分析部1を操作するものであり、操作部2を含む自動分析装置全体の動作を制御する制御装置21と、各種指令や情報を入力するキーボード22やマウス23などの入力装置24と、プログラムや設定値等の各種データを記憶するハードディスクなどの記憶装置25と、操作画面等を表示する表示装置26と、印刷装置27とを備えており、外部インタフェース28を介して分析部1と接続されている。なお、操作部2は、公衆回線や専用回線などのネットワーク29を介して、外部のサポート部30と接続されており、データの授受を行うことができる。
【0017】
本実施の形態の自動分析装置においては、操作者が操作部2の入力装置24によって測定指示などの各種指令を入力することにより、測定動作を行う。測定開始の指示が入力されると、試料分注プローブ9が、試料容器3の中に入った試料の所定量を依頼された項目数に応じて各反応容器7に分注する。ある試料容器3の試料に対する分注処理を完了したら、次の試料容器3が試料分注位置(試料分注プローブ9の真下)に来るようにラック搬送ベルト18がラック4を移動する。試料を分注された反応容器7は反応ディスク8の回転動作により移動される。反応ディスク8上の反応容器7に対して、試薬分注プローブ10による試薬ボトル5内の試薬の分注、攪拌装置11による反応液の攪拌、光源12及び多波長光度計13による吸光度の測定が順次行われ、その後、測定の終了した反応容器7は洗浄装置14によって洗浄される。多波長光度計13により検出された吸光度信号(検出信号)はA/Dコンバータ15により変換され、内部インタフェース17を介してコンピュータ16に入力される。コンピュータ16に入力された吸光度信号から、予め測定項目ごとに設定された分析法に基づくプログラムにより分析を行う。例えば、試料として標準液試料を測定する場合は設定された濃度データから検量線データが算出される。また、患者試料及びコントロール試料を測定する場合は標準液試料の測定で得られた検量線データを用いて濃度データが算出される。これらのデータは、測定結果として試料の種類等を記号化した情報を付加され外部インタフェース28を介して操作部2に送信され、記憶装置25に記憶され、また、必要に応じて印刷装置27により印刷される。また、必要に応じて操作部2とサポート部30はデータの授受を行う。
【0018】
このような本実施の形態の自動分析装置は、表示条件設定画面500により設定した表示条件を満たす状態となった時に、その表示条件に関連付けて設定された連絡メッセージ(分析処理情報)を表示する(情報表示画面)を表示装置26に表示する表示処理機能を備えている。以下、分析処理情報として連絡メッセージを表示する場合を例にとり、本実施の形態の表示処理機能の詳細について説明する。
【0019】
図2は連絡メッセージが示される連絡メッセージ画面、図3は連絡メッセージ一覧画面、図4は連絡メッセージ作成画面、図5は連絡メッセージの表示条件の設定画面をそれぞれ示す図である。
【0020】
(1)連絡メッセージ画面200
連絡メッセージ画面200は、その表示により表示装置26に連絡メッセージを表示するものであり、件名表示部201と、メッセージ表示部202と、問題報告ラジオ部203と、コメント入力部204と、了解ボタン205とが設けられている。
【0021】
メッセージ表示部202には、連絡メッセージ作成画面300において作成された連絡メッセージが表示される。操作者には、この連絡メッセージにより作成者からの情報伝達が行われる。図2では、サンプルプローブ(試料分注プローブ9)における、吐出される水の状態、位置、及びプローブ接触の有無などのチェックを促すメッセージが表示された場合を示している。
【0022】
問題報告ラジオ部203には、メッセージ内容に対する報告(ここでは問題報告)を選択的に行うラジオボタンが設けられている。操作者は、このラジオボタンの何れかを選択することにより、連絡メッセージの内容に対する回答を行う。図2では、問題なしのラジオボタンが選択された場合を示している。
【0023】
コメント入力部204には、入力装置24によりコメントを入力することができる。操作者は、このコメント入力部204に所望のコメントを入力することにより、連絡メッセージの内容に対する回答などを行うことができる。
【0024】
連絡メッセージ画面200は、操作者により了解ボタン205が選択されると、その内容が記憶装置25に記憶され、連絡メッセージ画面200は閉じられる。
【0025】
なお、問題報告ラジオ部203、コメント入力部204、及び、了解ボタン205は、後述する表示条件設定画面500による設定の違いにより表示状態を変更することができる。
【0026】
(2)連絡メッセージ一覧画面300
連絡メッセージ一覧画面300は、登録された連絡メッセージの一覧を表示するものであり、メッセージリスト表示部301と、本文表示部302と、表示結果表示部303と、コメント表示部304と、メッセージ作成ボタン305と、閉じるボタン306とが設けられている。
【0027】
メッセージリスト表示部301は、各連絡メッセージの作成日、作成者、メッセージの件名、及び、問題発生の有無や状態を一覧で表示するものである。図3では、ASTの試料残量に注意という件名のメッセージと、サンプルプローブのチェックという件名のメッセージを一覧表示し、後者を選択中の状態を示している。
【0028】
本文表示部302は、メッセージリスト表示部301で選択中のメッセージの本文を表示するものである。図3では、図2の連絡メッセージ画面200で示したものと同様のメッセージが選択された場合を示しており、サンプルプローブ(試料分注プローブ9)における、吐出される水の状態、位置、及びプローブ接触の有無などのチェックを促すメッセージが表示されている。
【0029】
表示結果表示部303は、メッセージリスト表示部301で選択中のメッセージの表示結果を一覧表示するものである。表示結果とは、対象のメッセージが表示された時間、その時のオペレータ名、及び、そのときの問題の有無や解決済みか未解決かということである。図3では、一覧の上から2番目の表示結果が選択された場合を示している。
【0030】
コメント表示部304は、表示結果表示部303で選択中の表示結果に対応するメッセージの表示時に連絡メッセージ画面200のコメント入力部204に入力されたコメントを表示するものである。
【0031】
メッセージ作成ボタン305は、連絡メッセージを作成する連絡メッセージ作成画面400(後述)を開くものである。
【0032】
連絡メッセージ一覧画面300は、閉じるボタン306が選択されると閉じられる。
【0033】
(3)連絡メッセージ作成画面400
連絡メッセージ作成画面400は、表示する連絡メッセージを作成・登録するためのものであり、宛先設定部401と、画面表示ラジオ部402と、自動表示条件設定ボタン403と、問題報告ラジオ部404と、件名エディット部405と、本文エディット部406と、登録ボタン407と、取消ボタン408とが設けられている。
【0034】
宛先設定部401は、コンボボックス形式となっており、ここで連絡メッセージを表示するオペレータを選択する。
【0035】
画面表示ラジオ部402には、作成した連絡メッセージを表示するかどうかを選択するラジオボタンが設けられている。図4では、画面表示するラジオボタンが選択された場合を示している。
【0036】
自動表示条件設定ボタン403は、作成した連絡メッセージの自動表示条件を設定するための表示条件設定画面500(後述)を開くものである。
【0037】
件名エディット部405、本文エディット部406は、それぞれ連絡メッセージの件名、本文を入力するものである。
【0038】
(3−1)表示条件設定画面500
表示条件設定画面500は、連絡メッセージ作成画面400で作成した連絡メッセージを表示する条件を設定するものであり、表示形式設定部501と、表示ボタン設定部502と、表示色設定部503と、音設定部504と、開始日時設定部505と、終了日時設定部506と、時間帯設定部507と、定期設定部508と、繰り返し設定部509と、表示トリガリストボックス510と、設定ボタン511と、削除ボタン512と、設定表示トリガリストボックス513と、登録ボタン514と、取消ボタン515とが設けられている。
【0039】
表示形式設定部501は、連絡メッセージ画面200の表示形式を設定するものであり、各チェックボックスを選択することにより、連絡メッセージ画面200における問題報告ラジオ部203、及び、コメント入力部204の表示の有無を切り替えることができる。
【0040】
表示ボタン設定部502は、連絡メッセージ画面200の了解ボタン205の種類を切り替えるものであり、図5に示すように「了解」を選択した場合は、図2に示すように了解ボタン205が表示される。また、「はい、いいえ」を選択した場合は、はいボタンといいえボタン(ともに図示せず)が表示され、「はい、いいえ、キャンセル」を選択した場合は、はいボタンといいえボタンとキャンセルボタン(ともに図示せず)が表示される。
【0041】
表示色設定部503及び音設定部504は、それぞれ、連絡メッセージ画面200が表示されるときの表示色及び鳴らす音を表示するものである。
【0042】
開始日時設定部505、終了日時設定部506、時間帯設定部507、定期設定部508、及び、繰り返し設定部509は、それぞれのチェックボックスを選択し、その内容をそれぞれ設定することにより、表示条件を設定することができる。たとえば、開始日時設定部505と終了日時設定部506をチェックし、設定することで連絡メッセージ画面200を表示する期間を指定する。また、時間帯設定部507をチェックし、設定することで連絡メッセージ画面200を表示する時間帯を指定する。定期設定部508をチェックし、設定することで連絡メッセージ画面の定期的な表示タイミングを設定する。繰り返し設定部をチェックすることで、チェックなしの設定では連絡メッセージ画面を一回のみ表示し、チェックありの設定では条件が一致する限り何回も表示する。
【0043】
表示トリガリストボックス510は、表示トリガとして設定できる自動分析装置の動作や状態を一覧表示するものであり、表示トリガリストボックス510の何れかを選択した状態で設定ボタン511を選択することにより、設定表示トリガボックス513に表示されて設定される。また、設定表示トリガボックス513の何れかを選択した状態で削除ボタン512を選択することにより、設定を解除することができる。
【0044】
表示条件設定画面500は、操作者により登録ボタン514が選択されると、その内容が記憶装置25に記憶され、表示条件設定画面500は閉じられる。また、取消ボタン515が選択されると表示条件設定画面500の設定内容は記憶されず、表示条件設定画面500は閉じられる。
【0045】
以上のように構成した本実施の形態における表示処理機能の詳細を図6〜図8に示すフローチャートを用いてさらに説明する。
【0046】
図6は、連絡メッセージ画面の表示処理の一例を示すフローチャートであり、表示設定画面500において、表示トリガとして表示トリガリストボックス510の「スタート」(自動分析処理の開始指示)が設定され得る場合であって、表示ボタン設定部502の「了解」を設定した場合を示すものである。
【0047】
制御装置21は、表示装置26に、自動分析をスタートさせるためのスタートボタンを表示したスタート画面(自動分析処理の開始指示画面、図示せず)を表示し(ステップS10)、スタートボタンが選択されるのを待つ入力待ち状態とする(ステップS20)。この状態からスタートボタンが選択されると(ステップS21)、連絡メッセージの登録があるかどうかを判定し(ステップS30)、連絡メッセージの登録がある場合は、さらに、その連絡メッセージの表示条件を確認する(ステップS40)。本例の場合は、連絡メッセージの表示条件に「スタート」が設定されているかどうかを確認する。ステップS30で連絡メッセージの登録がない場合、又は、ステップS40で連絡メッセージの表示条件に「スタート」が含まれていない場合(つまり、表示条件が一致しない場合)は、自動分析処理を開始し(ステップS70)、スタート画面を閉じて(ステップS80)、処理を終了する。ステップS40において表示条件が一致した場合は、その連絡メッセージを表示する連絡メッセージ画面200を表示装置26に表示する(ステップS50)。連絡メッセージ表示画面200には了解ボタン205(図2参照)が表示されており、この了解ボタン205を選択すると(ステップS60)、自動分析処理を開始し(ステップS70)、スタート画面を閉じて(ステップS80)、処理を終了する。
【0048】
図7は、連絡メッセージ画面の表示処理の他の例を示すフローチャートであり、表示設定画面500において、表示トリガとして表示トリガリストボックス510の「スタート」(自動分析処理の開始指示)が設定され得る場合であって、表示ボタン設定部502の「はい、いいえ」を設定した場合を示すものである。
【0049】
制御装置21は、表示装置26に、自動分析をスタートさせるためのスタートボタンを表示したスタート画面(自動分析処理の開始指示画面、図示せず)を表示し(ステップS10)、スタートボタンが選択されるのを待つ入力待ち状態とする(ステップS20)。この状態からスタートボタンが選択されると(ステップS21)、連絡メッセージの登録があるかどうかを判定し(ステップS30)、連絡メッセージの登録がある場合は、さらに、その連絡メッセージの表示条件を確認する(ステップS40)。本例の場合は、連絡メッセージの表示条件に「スタート」が設定されているかどうかを確認する。ステップS30で連絡メッセージの登録がない場合、又は、ステップS40で連絡メッセージの表示条件に「スタート」が含まれていない場合(つまり、表示条件が一致しない場合)は、自動分析処理を開始し(ステップS70)、スタート画面を閉じて(ステップS80)、処理を終了する。ステップS40において表示条件が一致した場合は、その連絡メッセージを表示する連絡メッセージ画面200を表示装置26に表示し(ステップS50)、連絡メッセージ表示画面200は、「はい」ボタン、「いいえ」ボタンの入力待ち状態となる(ステップS260)。この状態からどのボタンが選択されたかを判定し(ステップS270)、「はい」ボタンが選択された場合は、自動分析処理を開始し(ステップS70)、スタート画面を閉じて(ステップS80)、処理を終了する。また、ステップS270において「いいえ」ボタンが選択された場合は、何もせず、スタート画面を閉じて(ステップS80)、処理を終了する。
【0050】
図8は、連絡メッセージ画面の表示処理の他の例を示すフローチャートであり、表示設定画面500において、表示トリガとして表示トリガリストボックス510の「スタート」(自動分析処理の開始指示)が設定され得る場合であって、表示ボタン設定部502の「はい、いいえ、キャンセル」を設定した場合を示すものである。
【0051】
制御装置21は、表示装置26に、自動分析をスタートさせるためのスタートボタンを表示したスタート画面(自動分析処理の開始指示画面、図示せず)を表示し(ステップS10)、スタートボタンが選択されるのを待つ入力待ち状態とする(ステップS20)。この状態からスタートボタンが選択されると(ステップS21)、連絡メッセージの登録があるかどうかを判定し(ステップS30)、連絡メッセージの登録がある場合は、さらに、その連絡メッセージの表示条件を確認する(ステップS40)。本例の場合は、連絡メッセージの表示条件に「スタート」が設定されているかどうかを確認する。ステップS30で連絡メッセージの登録がない場合、又は、ステップS40で連絡メッセージの表示条件に「スタート」が含まれていない場合(つまり、表示条件が一致しない場合)は、自動分析処理を開始し(ステップS70)、スタート画面を閉じて(ステップS80)、処理を終了する。ステップS40において表示条件が一致した場合は、その連絡メッセージを表示する連絡メッセージ画面200を表示装置26に表示し(ステップS50)、連絡メッセージ表示画面200は、「はい」ボタン、「いいえ」ボタン、「キャンセル」ボタンの入力待ち状態となる(ステップS360)。この状態からどのボタンが選択されたかを判定し(ステップS370)、「はい」ボタンが選択された場合は、自動分析処理を開始し(ステップS70)、スタート画面を閉じて(ステップS80)、処理を終了する。また、ステップS370において「いいえ」ボタンが選択された場合は、何もせず、スタート画面を閉じて(ステップS80)、処理を終了する。また、ステップS370において、「キャンセル」ボタンが選択された場合は、スタートボタンが選択されるのを待つ入力待ち状態に戻る(ステップS20)。
【0052】
以上のように構成した本実施の形態における効果を説明する。
【0053】
血液や尿などの試料の定性・定量分析を行う臨床検査の現場で用いられる自動分析装置は、その多機能化・高機能化が進んでいるため、操作自体の容易化に反して、操作における注意事項や確認事項、各種設定に必要な知識等は増加しており、信頼性の高い分析結果を得るために操作者には高い習熟度が要求されている。また、自動分析装置の運用においても省力化促進のために操作者の人数削減が図られており、したがって、一人の操作者が複数種類の装置を担当したり、主担当以外の装置を扱ったりしなければならない状況にある。さらに、自動分析装置においては、各装置の癖、設定変更、或いは、トラブルの発生やメンテナンスの実施を含む使用状況などが個別に異なるため、その自動分析装置を操作・使用する各操作者間で装置の状況など各種情報を伝達することが必要である。情報の伝達方法としては、ノートや付箋紙などを用いたり、口頭で連絡したりすることが考えられるが、これらの方法では紛失や誤解、忘却などの恐れがある。
【0054】
上記特許文献1記載の従来技術においては、操作者毎に指定された業務リストと作業項目リストを表示するナビゲーション実行画面を表示することで、操作漏れや人為的なミスを防止しようとしている。しかしながら、操作上の注意点などの情報はナビゲーション開始時にまとめて表示しているため、実際に注意が必要となる操作実行時にはその情報を忘れている可能性がある。したがって、結果的に装置トラブルや誤操作によって分析の失敗やデータ損失などが発生し、再測定に伴う費用や時間の損失、診断の遅延や再採血による患者負担の増加などを引き起こす恐れがあった。
【0055】
これに対し、本実施の形態においては、記憶部に、1つ以上の表示条件と予め関連付けて設定された分析処理情報を記憶し、表示条件を満たす状態となった時に、その表示条件に関連付けて設定された分析処理情報を表示装置に表示するよう構成したので、操作者に、より確実に情報を伝達し、装置トラブルや誤操作の発生を抑制するこができる。
【符号の説明】
【0056】
1 分析部
2 操作部
3 試料容器
4 ラック
5 試薬ボトル
6 試薬ディスク
7 反応容器
8 反応ディスク
9 試料分注プローブ
10 試薬分注プローブ
11 攪拌装置
12 光源
13 多波長光度計
14 洗浄装置
15 A/Dコンバータ
16 コンピュータ
17 内部インタフェース
18 ラック搬送ベルト
21 制御装置
22 キーボード
23 マウス
24 入力装置
25 記憶装置
26 表示装置
27 印刷装置
28 外部インタフェース
29 ネットワーク
30 サポート部
200 連絡メッセージ画面
300 連絡メッセージ一覧画面
400 連絡メッセージ作成画面
500 表示条件設定画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の定性・定量分析を行う自動分析装置において、
前記自動分析装置の操作画面を表示する表示部と、
操作者が前記操作画面の操作や各種情報の入力を行うための入力部と、
1つ以上の表示条件と予め関連付けて設定された分析処理情報を記憶する記憶部とを備え、
前記表示装置は、前記表示条件を満たす状態となった時に、その表示条件に関連付けて設定された前記分析処理情報を表示する情報表示画面を前記表示装置に表示することを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
試料の定性・定量分析を行う自動分析装置において、
前記自動分析装置の操作画面、及び、予め定められた複数の表示条件の少なくとも1つと関連付けて分析処理情報を設定する設定画面を表示する表示部と、
操作者が前記操作画面の操作や各種情報の入力、及び、前記設定画面の設定を行うための入力部と、
前記分析処理情報を記憶する記憶部とを備え、
前記表示装置は、前記表示条件を満たした時に、その表示条件に関連付けて設定された前記分析処理情報を表示する情報表示画面を前記表示装置に表示することを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の自動分析装置において、
前記情報表示画面は、前記分析処理情報を表示する表示部と、前記入力部によって前記分析処理情報に情報を追加することができる情報追加部とを設けたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項2記載の自動分析装置において、
前記設定画面は、前記分析処理情報の内容を設定する内容設定部と、
前記表示条件として、表示期間、表示時間、及び、表示の繰り返しを含む条件を設定することができる条件設定部とを設けたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項1又は2記載の自動分析装置において、
前記表示装置は、前記分析処理情報を一覧表示する一覧表示画面を表示することを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−98049(P2012−98049A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243379(P2010−243379)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】