説明

自動券売機

【課題】利便性と操作性を向上させ、且つ1アクションの操作で誤操作の確率を低減することができる自動券売機を提供する。
【解決手段】自動券売機のアイテム選択手段を構成する押しボタンスイッチ10は、裏面側に突出する爪29を備えた枠体20と、枠体20の前後方向へ回動自在に支持された可動片21と、可動片21が押されたときに動作するメインスイッチ25と、装置本体側のプラグを接続するためのコネクタ27と、固定部材26と、を備えて構成されている。尚、可動片21は、メインアイテムを表示するメインアイテム表示部23と、サブアイテムを表示するサブアイテム表示部22を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動券売機に関し、さらに詳しくは、押しボタンスイッチを顧客が押すことにより、購入、或いは利用を希望するアイテムを選択できるようにした自動券売機において、メインアイテムとサブアイテムを1回の操作で選択可能な押しボタンスイッチを備えた自動券売機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
押しボタンスイッチを顧客が押下げることにより顧客が購入、或いは利用を希望するアイテムを選択できるようにした自動券売機では、メインアイテム選択用のスイッチと、メインアイテムに係る付加的要素であるサブアイテムの選択用スイッチが別々に備えられている場合が多い。例えば、食券を発行する券売機の場合、メインアイテムである「ラーメン」に対するサブアイテムが「大盛り」、「並」である場合、複数のメインアイテム用スイッチとは別に、これと離れた位置に独立して個別のサブアイテム用スイッチが配置されている。サブアイテム用スイッチは、全てのメインアイテム用スイッチに共通して使用される。これは、スイッチの総数を減らして選択可能なアイテム数を多くするためと、顧客が一つのメインアイテムを押した後でサブアイテム用スイッチを共通に使用できるようにすることで操作の一貫性を確保するためである。即ち、メインアイテムとして「ラーメン」を選択しても「チャーハン」を選択してもサブアイテムは「大盛り」、「並」のスイッチが共通使用できる。この結果、必ずしも各メインアイテム用スイッチの近傍にサブアイテム用スイッチが配置されているとは限らない。つまり、メインアイテム用スイッチ群とは離間した位置にサブアイテム用スイッチが配置されているため、この券売機の使用機会が少ない顧客にとって操作性の点では必ずしも良いとは言えず、操作の誤りや、ボタンを探すために操作時間が長くなるといった問題が発生する。
【0003】
この問題を解決するために、特許文献1には、1つの区画領域内にメニュー名、金額、及び口座スイッチを設け、この区画領域を覆うように設けた透明板にメニュー名と金額を表示し、1つの口座スイッチの押下により、当該メニューを選択する自動券売機のパネルについて開示されている。また、特許文献2には、電源スイッチを開閉するために使用者が触れる部分にタッチ電極を設け、電源スイッチがOFFの間はタッチスイッチ回路の電源をOFFとしておき、電源スイッチがONと同時にタッチスイッチ回路の電源が同時にONとなるようにした、スタンド型照明器具について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−99252公報
【特許文献2】特開平5−283170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている従来技術は、メニューとそれに関連する付加的選択要素を選択する口座スイッチがまとまって配置されているので、操作性の点では改善されているが、多数の押しボタンスイッチを配置する必要があるため、アイテム数を多くすることが困難であり、コスト高となる。
また、特許文献2に開示されている従来技術は、タッチスイッチと押しボタンスイッチを同時に操作することにより操作性を高めることはできるが、電源スイッチがONの状態ではタッチスイッチ回路には常時電源が供給されているので、タッチスイッチを接触しただけで蛍光灯が点灯してしまい、誤点灯の虞がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、1つの選択スイッチにメインアイテム用のスイッチと複数のサブアイテム用のタッチスイッチを一体型に形成し、サブアイテム用のスイッチにタッチしながらメインアイテム用のスイッチを押すことにより、利便性と操作性を向上させ、且つ1アクションの操作で誤操作の確率を低減することができる自動券売機を提供することを目的とする。
また、他の目的は、タッチパネルタイプの自動販売機と違って、クリック感のある機械式スイッチにより、利用者に安心感を与えることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、押しボタンスイッチによりアイテムを選択する自動券売機において、複数の前記押しボタンスイッチ群により構成されるアイテム選択手段と、該アイテム選択手段により選択されたアイテムに相当する金銭の決済を行なう金銭処理部と、前記アイテム選択手段を用いて選択した特定アイテムに係る券を発行する券発行手段と、前記各手段を制御する制御手段と、を備えた自動券売機であって、前記押しボタンスイッチは、可動片と、該可動片を押し下げたときにON状態となるメインスイッチとを備えており、前記可動片は、メインアイテムを表示するメインアイテム表示部と、該メインアイテムに係る付加的要素であるサブアイテムを表示する複数のサブアイテム表示部と、前記サブアイテム表示部毎に設けられ該サブアイテム表示部を利用者が接触した時にON状態となるサブスイッチと、を有するものであり、前記制御手段は、前記メインスイッチのみがON状態となる第1のON状態又は、前記サブスイッチのいずれかと前記メインスイッチの双方がON状態となる第2のON状態を検知して、前記各ON状態に対応したアイテムに係る券を発行することを特徴とする。
【0007】
本発明では、アイテムを選択する押しボタンスイッチの構造に特徴がある。即ち、1つの押しボタンスイッチの中に、メインアイテムを選択するメインスイッチと、サブアイテムを選択するサブスイッチとを一体的に形成している。従って、スイッチアクションとして2アクションの動作によりアイテムが選択される。具体的には、押しボタンスイッチは、メインアイテムを表示するメインアイテム表示部と、メインアイテムに係る付加的要素であるサブアイテムを表示したサブアイテム表示部と、サブアイテム表示部毎に設けられサブアイテム表示部にタッチした時にON状態となるサブスイッチと、メインアイテム表示部を押下げた時、又はサブスイッチ表示部にタッチしつつ押下げたときにON状態となるメインスイッチと、を備え、制御手段は、メインスイッチのみがON状態となる第1のON状態と、サブスイッチとメインスイッチの双方がON状態となる第2のON状態の何れかを検知して、各ON状態となったアイテムに係る券を発行する。これにより、利便性と操作性を向上させ、且つ2アクションの操作で誤操作の確率を低減することができる。
また、本発明の特徴は、アイテムを選択するときに、利用者がどのボタンを押すのかを即座に理解できて操作性を高めることである。そのためには、メインスイッチとサブスイッチが近傍で且つ分かり易く配置されていることが重要である。そこで本発明では、メインスイッチとサブスイッチを一体的に形成する。これにより、操作性を高め、且つ誤選択を少なくすることができる。
【0008】
請求項2は、前記制御手段は、前記第1のON状態を検知した場合、予め設定したいずれか1つのサブスイッチが同時にON状態であると見做すことを特徴とする。
例えば、あるメインアイテムのサブアイテムが「大盛」と「並盛」の場合、一般的には「並盛」を選択することが多い。そこで本発明では、メインスイッチのみがON状態の場合は、デフォルト状態として例えば「並盛」と決めておくことにより、「並盛」のメインアイテムが選択されたと見做す。但し、予め利用者の見える位置にこの旨を表示しておく。これにより、メインスイッチのみがON状態でも所定のアイテムを選択することができる。
【0009】
請求項3は、前記制御手段は、前記第2のON状態を検知したとき、前記サブスイッチが複数同時にON状態の場合は、該サブスイッチのON状態を無効とすることを特徴とする。
基本的にはサブアイテムは1つのメインアイテムに対して1つである。その大きな理由は、複数のサブアイテムを許可すると、操作者は複数のサブスイッチを同時に押さなければならず、操作性が悪くなるためである。そこで本発明では、サブスイッチが複数同時にON状態の場合は、このサブスイッチのON動作を無効とする。これにより、正しくサブスイッチを押すことを指示することができる。
【0010】
請求項4は、前記サブスイッチは、接触センサー又はタッチパッドにより構成されていることを特徴とする。
サブスイッチはメインアイテムの付加的要素を示すためにある。例えば、メインアイテムが「ラーメン」の場合、その付加的要素として「大盛」「並盛」といった量を指示したり、「メンマ」「玉子」といった付け合せを追加することができる。また、サブスイッチは複数設ける場合が多いので、必然的にスイッチの大きさが制限される。そのために、構造的にシンプルな接触センサー又はタッチパッドが適している。これにより、押しボタンスイッチの狭い領域に複数のサブスイッチを配置することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、制御手段は、メインスイッチのみがON状態となる第1のON状態と、サブスイッチとメインスイッチの双方がON状態となる第2のON状態の何れかを検知して、各ON状態となったアイテムに係る券を発行するので、利便性と操作性を向上させ、且つ2アクションの操作で誤操作の確率を低減することができる。
また、メインスイッチとサブスイッチを同一枠体上に一体形成するので、操作性を高め、且つ誤選択を少なくすることができる。
また、メインスイッチのみがON状態の場合は、サブスイッチをデフォルト状態とするので、メインスイッチのみがON状態でも所定のアイテムを選択することができる。
また、サブスイッチが複数同時にON状態の場合は、このサブスイッチのON動作を無効とするので、正しくサブスイッチを押すことを指示することができる。
また、サブスイッチは構造的にシンプルな接触センサー又はタッチパッドを使用するので、押しボタンスイッチの狭い領域に複数のサブスイッチを配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る自動券売機の外観を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る自動券売機の機能ブロック図である。
【図3】本発明の自動券売機の押しボタンスイッチの外観の一例を示す図であり、(a)は正面図、(b)、(c)はA−A線で切断した断面図であり、(b)は可動片が押されていない状態、(c)は可動片が押された状態を示す図である。
【図4】(a)〜(c)は本発明の押しボタンスイッチの利用状況の一例を示す模式図である。
【図5】1つの押しボタンスイッチの信号の様子を示す図である。
【図6】本発明の自動券売機の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0014】
図1は本発明の実施形態に係る自動券売機の外観を示す図である。この自動券売機1は、選択された特定アイテムの価格に相当する金銭を投入するコイン投入口2及び紙幣挿入口4と、コイン投入と紙幣の挿入を解除する取消レバー3と、釣銭がある場合に押す釣銭ボタン5と、釣銭を払出す紙幣払い出し口6と、選択された特定のアイテムについての決済された情報を印刷した券を取り出したり、釣銭硬貨を払い出す券・硬貨払い出し口7と、装置のエラー時に利用者にその旨を表示する表示部9と、メインアイテムとサブアイテムを選択する複数の押しボタンスイッチ10により構成されるアイテム選択手段8と、を備えて構成されている。尚、本実施形態では、コイン投入口2、紙幣投入口4、取消レバー3、釣銭ボタン5、及び紙幣払い出し口6、券・硬貨払い出し口7を含めて金銭処理部12と呼ぶ。
まず、本自動券売機1の概略的な動作について説明する。利用者がこの自動券売機1の前面側に立つと、利用者を検知した図示しない近接センサが制御部13に検知情報を出力し、制御部13はアイテム選択手段8の表示部を点灯させる。利用者は、アイテム選択手段8に表示されたメニュー内容から、特定のアイテムに相当する料金をコイン投入口2及び紙幣投入口4に投入する。そして、特定のアイテムの押しボタンスイッチ10を押下することにより、そのアイテム情報が印刷された食券が券・硬貨払い出し口7から発行される。ここで、押しボタンスイッチ10は、メインアイテムを選択するメインスイッチ、このメインアイテムに係る付加的要素であるサブアイテムを選択する少なくとも1つ以上のサブスイッチ、及びメインアイテム及びサブアイテムが選択されたことを表示する照明手段を備えている(詳細は後述する)。
【0015】
図2は本発明の実施形態に係る自動券売機の機能ブロック図である。同じ構成要素には図1と同じ参照番号を付して説明する。この自動券売機1は、複数の押しボタンスイッチ群10により構成されるアイテム選択手段8と、アイテム選択手段8により選択されたアイテムに相当する金銭の決済を行なう金銭処理部12と、顧客がアイテム選択手段8を用いて選択した特定アイテムに係る券を発行する券印刷部(券発行手段)11と、装置のエラー時に利用者にその旨を表示する表示部9と、各手段を制御する制御部(制御手段)13と、を備えた自動券売機1である。また、アイテム選択手段8からは、メインスイッチが押されたときにONとなるメインスイッチ信号Aと、例えば、サブスイッチが3つある場合に、夫々のサブスイッチが押されたときにONとなるサブスイッチ信号a、b、cが制御部13に入力され、制御部13から選択されたアイテムを明示するための例えばランプを点灯するランプ信号14がアイテム選択手段8に出力される。
【0016】
図3は本発明の自動券売機の押しボタンスイッチの外観の一例を示す図であり、図3(a)は正面図、図3(b)、(c)はA−A線で切断した断面図であり、図3(b)は可動片21が押されていない状態、図3(c)は可動片21が押された状態を示す。この押しボタンスイッチ10は、裏面側に突出する爪29を備えた枠体20と、枠体20の前後方向へ回動自在に支持された可動片21と、可動片21が押されたときに動作するメインスイッチ25と、装置本体側のプラグを接続するためのコネクタ27と、を備えて構成されている。尚、可動片21は、メインアイテムを表示するメインアイテム表示部23と、サブアイテムを表示するサブアイテム表示部22を有し、この例ではメインアイテム表示部23には、「ラーメン」と標記され、サブアイテム表示部22には、「大盛」、「並盛」、「ミニ」の3つのサブスイッチ24が備えられている。尚、サブスイッチ24はタッチセンサとして以下に説明する。また、メインアイテムを明示するために、可動片21の裏側には図示しないLED等の照明手段を有する。
押しボタンスイッチ10は、メインアイテムを表示するメインアイテム表示部23と、メインアイテムに係る付加的要素であるサブアイテムを表示するサブアイテム表示部22と、サブアイテム表示部毎に設けられサブアイテム表示部に接触した時にON状態となるサブスイッチ24と、メインアイテム表示部23を押下げた時、又はサブアイテム表示部22を押下げしときにON状態となるメインスイッチ25と、を有し、制御部13は、メインスイッチ25のみがON状態となる第1のON状態と、サブスイッチ24とメインスイッチ25の双方がON状態となる第2のON状態の何れかを検知して、各ON状態となったアイテムに係る券を発行する。即ち、図3(b)の状態では、可動片21は矢印A方向に付勢されているので、メインスイッチ25はOFF状態であり、且つサブスイッチ24も接触されていないのでOFF状態である。ここで、利用者が例えば、「ラーメン」の「大盛」を選択する場合を想定すると、メインアイテム表示部23に「ラーメン」と標記された押しボタンスイッチのサブアイテム表示部22の「大盛」のサブスイッチ24を図3(c)のように指28でB方向に接触しながら深く押すことにより、可動片22がメインスイッチ25に接触して、メインスイッチ25をON状態とする。
【0017】
本発明では、アイテムを選択する押しボタンスイッチ10の構造に特徴がある。即ち、1つの押しボタンスイッチ10に、メインアイテムを選択するメインスイッチ25と、サブアイテムを選択するサブスイッチ24とを一体的に形成する。従って、スイッチアクションとして1アクションの動作によりアイテムとそのアイテムに係るサブアイテムが同時に選択される。具体的には、メインスイッチ25はサブスイッチ24をON状態のまま押下することによりON状態となる構成を有し、制御部13は、メインスイッチ25及びサブスイッチ24の双方がON状態であることを検知することにより、この押しボタンスイッチに係るメインアイテムとサブアイテムが選択されたと判断する。これにより、利便性と操作性を向上させ、且つ1アクションの操作で誤操作の確率を低減することができる。
また、サブスイッチ24はメインアイテムの付加的要素を示すためにある。例えば、メインアイテムが「ラーメン」の場合、その付加的要素として「大盛」「並盛」「ミニ」といった量を指示したり、「メンマ」「玉子」といった付け合せを追加することができる。また、サブスイッチ24は複数設ける場合が多いので、必然的にスイッチの大きさが制限される。そのために、構造的にシンプルな接触センサー又はタッチパッドが適している。これにより、押しボタンスイッチの狭い領域に複数のサブスイッチを配置することができる。
本発明の最も大きな特徴は、アイテムを選択するときに、利用者がどのボタンを押すのかを即座に理解できて操作性を高めることである。そのためには、メインスイッチ25とサブスイッチ24が近傍で且つ分かり易く配置されていることが重要である。そこで本実施形態では、メインスイッチ25とサブスイッチ25を同一枠体20上に一体形成する。これにより、操作性を高め、且つ誤選択を少なくすることができる。
【0018】
図4は本発明の押しボタンスイッチの利用状況の一例を示す模式図である。この例では、電鉄会社の乗車券の券売機に応用した例である。図4(a)のように、メインアイテム表示部23には車両の行き先「東京」が表示され、サブアイテム表示部22には、乗車券の枚数を指定する「1人」「2人」「3人」のサブスイッチが設けられている。同じ行き先に2人が行く場合は、「2人」のサブスイッチに触れながら可動片21を押すことにより、2枚の東京行きの乗車券を同時に購入することができる。また、図4(b)のように、メインアイテム表示部23には車両の行き先「東京」が表示され、サブアイテム表示部22には、車両の等級を示す「普通」、「グリーン」のサブスイッチが設けられている。例えばグリーン車を利用する場合は、「グリーン」のサブスイッチに触れながら可動片21を押すことにより、グリーン車両の乗車券を購入することができる。また、図4(c)のように、メインアイテム表示部23には車両の行き先「大阪」が表示され、サブアイテム表示部22には、乗車する利用者が大人か子供かを示す「大人」、「子供」のサブスイッチが設けられている。例えば大人が利用する場合は、「大人」のサブスイッチに触れながら可動片21を押すことにより、大人の乗車券を購入することができる。尚、サブスイッチに触れずにメインアイテム表示部23を押下したときは、メインアイテムの標準的なメニューを選択したものとする。例えば、(a)では「1人」、(b)では「普通」、(c)では「大人」を選択したものと制御部13が判断する。
【0019】
図5は1つの押しボタンスイッチの信号の様子を示す図である。この図ではメインアイテム表示部23にはメインアイテム表示面23Aがあり、可動片21が押されることによりメインスイッチ25の信号「A」がONとなる。また、サブアイテム表示部22には、3つのサブアイテム表示面22a、22b、22cがあり、夫々にサブスイッチ24が個別に設けられている。従って、各サブスイッチからは信号「a」「b」「c」が出力される。制御部13はこの信号のON/OFF状態を検出してどの押しボタンスイッチが押されたかを判断することができる。例えば、信号Aと信号bがONの場合は、メインアイテム表示面23Aとサブアイテム表示面22bが同時に押されたと判断して、その信号に対応したアイテムが選択されたと見做す。従って、通常はサブスイッチ24とメインスイッチ25が同時に押されるが、この実施形態の場合は、メインスイッチ25のみが押される場合もありうるので、その場合は、予め決定したサブスイッチ24のいずれか1つが同時に押されたと判断するように構成すれば良い。
【0020】
図6は本発明の自動券売機の動作を説明するフローチャートである。本フローチャートの説明では、図5の構成の場合について説明する。制御部13は硬貨投入口2又は紙幣投入口4から金銭が投入されたか否かをチェックする(S1)。ここで金銭が投入されると(S1でY)、図6のAND回路31の信号をチェックして信号が出力されればメインアイテムとサブアイテムを同時に選択したと判断して(S2でY)、次にサブスイッチ信号を検索して複数の信号がONの場合は(S3でY)、表示部9にエラー表示する(S11)。基本的にはサブアイテムは1つのメインアイテムに対して1つである。その大きな理由は、複数のサブアイテムを許可すると、操作者は複数のサブスイッチを同時に押さなければならず、操作性が悪くなるためである。そこで実施例では、サブスイッチが複数同時にON状態の場合は、このサブスイッチのON動作を無効とする。これにより、正しくサブスイッチを押すことを指示することができる。もちろん、複数のサブスイッチを同時に押すことで利用者の利便性が向上するような場面では、これを許容してもよい。
【0021】
一方、ステップS3でサブスイッチが複数ONでなければ(S3でN)、サブアイテムONのままメインアイテムがONかを判断して(S4)、もし、メインアイテムだけONであれば(S4でN)、デフォルトのサブアイテムをONとして(S14)メインアイテムの表示をONとする(S5)。例えば、あるメインアイテムのサブアイテムが「大盛」と「並盛」の場合、一般的には「並盛」を選択することが多い。そこで本発明では、メインスイッチ25のみがON状態の場合は、デフォルト状態として例えば「並盛」と決めておくことにより、「並盛」のメインアイテムが選択されたと見做す。但し、予め利用者の見える位置にこの旨を表示しておく。これにより、メインスイッチのみがON状態でも所定のアイテムを選択することができる。
一方、ステップS4でサブアイテムONのままメインアイテムがONであれば(S4でY)、メインアイテムの表示をONとする(S5)。そして、選択したアイテムの合計金額が計算されて(S6)、その合計金額に対して投入金額が不足であるか否かをチェックする(S7)。不足の場合は(S7でY)、不足金額をタッチパネル2に表示して(S12)、不足金額が投入されるまで繰り返す。実際は時間を監視しておき、所定の時間が経過しても不足金額が投入されない場合は、全てをキャンセルしてつり銭口7から投入金額を返金する。ステップS7で不足がない場合、或いは不足金額が投入された場合は(S7でN)、つり銭の有無をチェックして(S8)、つり銭があれば(S8でY)つり銭をつり銭口7に払い出し(S9)、食券を券印刷部11で印刷して発行する(S10)。
【符号の説明】
【0022】
1 自動券売機、2 硬貨投入口、3 取消レバー、4 紙幣投入口、5 釣銭ボタン、6 紙幣払い出し口、7 券・硬貨払い出し口、8 アイテム選択手段、9 表示部、10 押しボタンスイッチ、11 券印刷部、12 金銭処理部、13 制御部、14 ランプ信号、20 枠体、21 可動片、22 サブアイテム表示部、23 メインアイテム表示部、24 サブスイッチ、25 メインスイッチ、27 コネクタ、28 指、29 爪、30 OR回路、31 AND回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押しボタンスイッチによりアイテムを選択する自動券売機において、
複数の前記押しボタンスイッチ群により構成されるアイテム選択手段と、該アイテム選択手段により選択されたアイテムに相当する金銭の決済を行なう金銭処理部と、
前記アイテム選択手段を用いて選択した特定アイテムに係る券を発行する券発行手段と、前記各手段を制御する制御手段と、を備えた自動券売機であって、
前記押しボタンスイッチは、可動片と、該可動片を押し下げたときにON状態となるメインスイッチとを備えており、前記可動片は、メインアイテムを表示するメインアイテム表示部と、該メインアイテムに係る付加的要素であるサブアイテムを表示する複数のサブアイテム表示部と、前記サブアイテム表示部毎に設けられ該サブアイテム表示部を利用者が接触した時にON状態となるサブスイッチと、を有するものであり、
前記制御手段は、前記メインスイッチのみがON状態となる第1のON状態又は、前記サブスイッチのいずれかと前記メインスイッチの双方がON状態となる第2のON状態を検知して、前記各ON状態に対応したアイテムに係る券を発行することを特徴とする自動券売機。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1のON状態を検知した場合、予め設定したいずれか1つのサブスイッチが同時にON状態であると見做すことを特徴とする請求項1に記載の自動券売機。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第2のON状態を検知したとき、前記サブスイッチが複数同時にON状態の場合は、該サブスイッチのON状態を無効とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動券売機。
【請求項4】
前記サブスイッチは、接触センサー又はタッチパッドにより構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の自動券売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−43999(P2011−43999A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−191905(P2009−191905)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(305027456)ネッツエスアイ東洋株式会社 (200)
【Fターム(参考)】