説明

自動化された試料注入装置、マルチポート弁、およびそれらの製造方法および使用方法

自動化された試料注入装置、マルチポート弁、並びに自動試料注入装置および/またはマルチポート弁を備えるクロマトグラフィーシステムが開示される。クロマトグラフィーシステム内の自動試料注入装置、およびマルチポート弁の製造方法、並びに使用方法がさらに開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、自動試料注入装置、マルチポート弁、並びに自動試料注入装置およびマルチポート弁を備えるクロマトグラフィーシステムに関する。本発明は、さらにクロマトグラフィーシステムの自動試料注入装置、およびマルチポート弁の製造方法および使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]試験試料をクロマトグラフィーシステムに投入するために、公知の試料注入プロセスは、操作者によるいくつかの工程を含む。最初に、クロマトグラフィーカラムは、移動相によって平衡化される。試料は、次にインラインで試料装填器の中を通り、(すなわち、試料カートリッジを使用する固体注入技術)カラムの中に投入され、またはシリンジを介してカラムの中に投入され(すなわち、シリンジを使用した液体注入技術)、かつ分離が開始される。場合によっては、分離後に、カラムの廃棄をする前に、カラムを空気でパージして溶媒を除去する。
【0003】
[0003]既存クロマトグラフィーシステムでは、上記の工程は一般に手作業で実施されるので、操作者が全プロセスにわたって器具の前にいる必要がある。これによって、操作者の生産性が制限され、操作者の間違いが発生する可能性が増える。
【0004】
[0004]いくつかの半自動クロマトグラフィーシステムでは、器具は、液体注入技術、または固体注入技術が使用されているかを知ることができないので、器具を使用する前に、操作者が試料タイプを入力しなければならず、再び操作者の間違いが発生する可能性が増える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005]当分野において、クロマトグラフィーシステムをさらに自動化し、試料分析中に、操作者エラーの発生可能性を最小化し、操作者の生産性を潜在的に向上させようとする需要がある。
【0006】
[0006]さらに、試料装填器とシリンジを使用して試料注入ができる現在のクロマトグラフィーシステムでは、クロマトグラフィーシステムの中に、例えば、試料装填器とカラムの中に、直接流体を流す、または直接カラムの中に流体を流すために、マルチ弁が必要である。
【0007】
[0007]さらに、クロマトグラフィーシステムの中の試験試料を分析する場合に、一般に実施される所望の工程の数を犠牲にすることなく、所定のクロマトグラフィーシステムの中の各部品の数を極力最小化しようとする、さらなる需要が当分野において存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0008]本発明は、クロマトグラフィーシステムでの使用に好適な、新しい自動試料注入装置の発見によって、当分野における需要に対応する。本発明の1つの例示的な実施形態では、自動試料注入装置は、クロマトグラフィーカラムと接続可能かつ流体連通するように構成される試料注入ステーションと、(i)試料含有容器が試料注入ステーションと接触することを検出し、および(ii)試料含有容器の検出に対応して、クロマトグラフィーシステムの中の、1つまたは複数の容器固有の自動工程を開始するように、動作可能に構成されるセンサと、を備える。1つまたは複数の容器固有の自動工程は、試料含有容器が第1の試料含有容器を含む場合には、第1組の容器固有の自動工程を含んでもよく、および試料含有容器が第2の試料含有容器を含む場合には、第2組の容器固有の自動工程を含んでもよく、第1組の容器固有の自動工程は、第2組の容器固有の自動工程とは異なる。
【0009】
[0009]本発明による別の例示的な実施形態では、クロマトグラフィーシステムに使用される自動試料注入装置は、クロマトグラフィーカラムと接続可能かつ流体連通するように構成される試料注入ステーションと、固体試料をクロマトグラフィーカラムに充填するための固体試料装填器と、液体試料をクロマトグラフィーカラムに充填するための液体試料充填器と、マルチポート弁と、を備え、該弁は、固体試料装填器と液体試料充填器とに流体経路を提供する。
【0010】
[0010]本発明によるさらなる例示的な実施形態では、クロマトグラフィーシステムに使用される自動試料注入装置は、クロマトグラフィーカラムと接続可能かつ流体連通するように構成される試料注入ステーションを備え、該試料注入ステーションは、試料がクロマトグラフィーカラムの下方部分の中に注入されるように構成される。
【0011】
[0011]本発明は、さらに、クロマトグラフィーシステムまたは装置での使用に好適な新しいマルチポート弁に関する。1つの例示的な実施形態では、マルチポート弁は、少なくとも4個のポートを備える固定された部品と、固定された部品に隣接する動的部品とを具備し、該マルチポート弁は、1つの位置において、各ポートから他の各ポートへの流体経路を提供する。1つの例示的な実施形態では、マルチポート弁は、6個のポートと、3個の溝と、お互いが30°ずつ離れた12個(12)の位置と、を備えてもよく、弁の中を通って、クロマトグラフィーシステム内の種々の部品から種々の部品へと流れる、少なくとも7つの異なる流体流路を可能にする。
【0012】
[0012]本発明は、さらに自動試料注入装置、マルチポート弁、または両方を備えるクロマトグラフィーシステムまたは装置に関する。1つの例示的な実施形態では、クロマトグラフィー装置は、クロマトグラフィーカラムと接続可能かつ流体連通するように構成される自動試料注入装置と、(i)試料含有容器が試料注入ステーションと接触することを検出し、および(ii)試料含有容器の検出に対応して、クロマトグラフィーシステムの中の、1つまたは複数の容器固有の自動工程を開始するように、動作可能に構成されるセンサと、試料注入ステーションと流体連通するクロマトグラフィーカラムと、を備える。クロマトグラフィーシステムまたは装置は、これに限定されるわけではないが、クロマトグラフィーシステムで使用するためのマルチポート弁、移動相供給源、空気供給源、検出器、1つまたは複数の異なるタイプの試料含有容器、およびそれらの組み合わせのいずれかを備える多くの部品をさらに具備する。
【0013】
[0013]本発明は、クロマトグラフィーシステムでの使用に好適な自動試料注入装置の製造方法にも関する。1つの例示的な方法では、自動試料注入装置を製造する方法は、クロマトグラフィーカラムと接続可能かつ流体連通するように構成される試料注入ステーションを提供し、センサを試料注入ステーションに結合させる工程を含み、該センサは、(i)試料含有容器が試料注入ステーションと接触することを検出し、(ii)試料含有容器の検出に対応して、クロマトグラフィーシステム内の、1つまたは複数の容器固有の自動工程を開始するように動作可能に構成される。
【0014】
[0014]本発明は、さらにまた、クロマトグラフィーシステムの製造方法に関する。1つの例示的な実施形態では、クロマトグラフィーシステムを製造する方法には、クロマトグラフィーカラムと接続可能かつ流体連通するように構成される試料注入ステーションを提供する工程と、センサを試料注入ステーションに結合させる工程であって、該センサが(i)試料含有容器が試料注入ステーションと接触することを検出し、および(ii)試料含有容器の検出に対応して、クロマトグラフィーシステム内の1つまたは複数の容器固有の自動工程を開始するように動作可能に構成される工程と、自動試料注入装置をクロマトグラフィーカラムに接続する工程と、を含む。クロマトグラフィーシステムの製造方法は、これに限定されるわけではないが、1つまたは複数の以下の部品(マルチポート弁、移動相供給源、空気供給源、および検出器)をクロマトグラフィーシステムに取り込む工程と、クロマトグラフィーシステムで使用するために、1つまたは複数の異なるタイプの試料含有容器を提供する工程と、を含む多くの追加工程をさらに含む。
【0015】
[0015]別の例示的な実施形態では、クロマトグラフィーシステムを製造する方法には、クロマトグラフィーシステムと接続可能かつ流体連通するように構成されるマルチポート弁を提供する工程を含み、該マルチポート弁は、クロマトグラフィーシステム中の種々の部品から部品へ、弁の中を通る、少なくとも7つの異なる流体流路を提供する。
【0016】
[0016]本発明は、さらに、クロマトグラフィーシステム中の自動試料注入装置、マルチポート回転弁、または両方を使用する方法に関する。1つの例示的な実施形態では、クロマトグラフィーシステムの自動試料注入装置を使用する方法は、少なくとも1つの分析物を含有する可能性がある試験試料を分析する方法を含み、該方法は、自動試料注入装置の試料注入ステーションの中に、試料含有容器を配置させる工程を含み、試料注入ステーションは、クロマトグラフィーカラムと流体連通し、(i)試料含有容器が試料注入ステーションと接触することを検出し、(ii)試料含有容器の検出に対応して、クロマトグラフィーシステム内の1つまたは複数の容器固有の自動工程を開始するように動作可能に構成されるセンサによって監視され、配置工程の後に、(1)さらに操作者とクロマトグラフィーシステム間の相互作用が無く、および(2)配置工程の前後で、試料含有容器の種類を手作業で特定しないで、該方法はクロマトグラフィーシステムの中の試験試料を自動的に分析する。クロマトグラフィーシステムの自動試料注入装置の使用によって、クロマトグラフィーシステムが操作者の入力無しで、1つまたは複数の工程を自動的に実施することができるので、操作者の間違いを最小限にする。
【0017】
[0017]本発明のこれらのおよび他の特徴と利点は、開示された実施形態の以下の詳細な説明および添付請求の範囲の検討後に、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】本発明の例示的な自動試料注入装置を示す図である[0018]。
【図1B】図1Aに示される例示的な自動試料注入装置での使用に好適な例示的な試料含有容器を示す図である[0019]。
【図1C】図1Aに示される例示的な自動試料注入装置での使用に好適な例示的な試料含有容器を示す図である[0019]。
【図2】図1Aに示される、例示的な自動試料注入装置および例示的なクロマトグラフィーシステムの中の例示的なマルチポート弁を示す[0020]。
【図3A】(i)弁の事前洗浄工程中に、図2に示される例示的なクロマトグラフィーシステムの中を通る流体の流れ図を示す[0021]。
【図3B】(ii)弁の事前洗浄工程中の、マルチポート弁の動的部分の位置を示す図である[0021]。
【図4A】(i)カラム平衡工程中の、図2に示される例示的なクロマトグラフィーシステムの中を通る、流体の流れ示す図である[0022]。
【図4B】(ii)カラム平衡工程中の、マルチポート弁の動的部分の位置を示す図である[0022]。
【図5A】(i)固体試料注入工程および分離工程中の、図2に示される例示的なクロマトグラフィーシステムの中を通る、流体の流れを示す図である[0023]。
【図5B】(ii)固体試料注入工程および分離工程中の、マルチポート弁の動的部分の位置を示す図である[0023]。
【図6A】(i)カラム空気パージ工程中の、図2に示される例示的なクロマトグラフィーシステムの中を通る、流体の流れを示す図である[0024]。
【図6B】(ii)カラム空気パージ工程中の、マルチポート弁の動的部分の位置を示す図である[0024]。
【図7A】(i)固体試料装填器の空気パージ工程中の、図2に示される例示的なクロマトグラフィーシステムの中を通る、流体の流れを示す図である[0025]。
【図7B】(ii)固体試料装填器の空気パージ工程中の、マルチポート弁の動的部分の位置を示す図である[0025]。
【図8A】(i)液体試料注入工程中の、図2に示される例示的なクロマトグラフィーシステムの中を通る、流体の流れを示す図である[0026]。
【図8B】(ii)液体試料注入工程中の、マルチポート弁の動的部分の位置を示す図である[0026]。
【図9A】(i)シリンジ洗浄工程中の、図2に示される例示的なクロマトグラフィーシステムの中を通る、流体の流れを示す図である[0027]。
【図9B】(ii)シリンジ洗浄工程中の、マルチポート弁の動的部分の位置を示す図である[0027]。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[0028]本発明の原理の理解を促進するために、本発明の特定実施形態の記述が以下に続き、特定の言語が、特定の実施形態を記述することに使用される。しかしながら、当然のことながら、特定の言語の使用によって、本発明の範囲を制限することは意図されない。変更形態、さらに修正形態、および考察された本発明の原理のさらなる用途等は、当分野における当業者であれば容易に想到することが考えられる。
【0020】
[0029]本発明は、自動試料注入装置、マルチポート弁、および自動試料注入装置、マルチポート弁、または両方を備えるクロマトグラフィーシステムに関する。本発明は、さらに、例えば、クロマトグラフィーシステムの自動試料注入装置の製造方法および自動試料注入装置の使用方法に関する。さらに本発明は、例えば、クロマトグラフィーシステムのマルチポート弁の製造方法およびマルチポート弁の使用方法に関する。本発明の例示的な自動試料注入装置は、図1Aに示される。
【0021】
[0030]図1Aに示すように、例示的な自動試料注入装置10は、クロマトグラフィーカラムと接続可能かつ流体連通するように構成される試料注入ステーション11(不図示)と、(i)試料含有容器(不図示)が試料注入ステーション11に接触することを検知し、および(ii)試料含有容器の検出に対応して(不図示)、クロマトグラフィーシステムの中の1つまたは複数の容器固有の自動工程を開始するように動作可能に構成されるセンサ12と、を備える。
【0022】
[0031]例示的な試料注入ステーション11は、お互いから間隔を開けて離れる下部ステーション部材110と上部ステーション部材111とを備えるので、試料含有容器(不図示)は、下部ステーション部材110の上面112に沿って、下部ステーション部材110と上部ステーション部材111との間に配置できる。下部ステーション部材110と上部ステーション部材111の少なくとも1つは、矢印Dによって示されるように、他の部材に対して移動可能である。一般には、下部ステーション部材110は固定される一方、上部ステーション部材111は、矢印Dによって示されるように、下部ステーション部材110に向かって、および下部ステーション部材110から離れるように移動可能である。下部ステーション部材110および上部ステーション部材111は、図1に示すように、1つまたは複数のピストン114を介して、お互いに取り付けられる。マイクロプロセッサ(不図示)は、1つまたは複数のピストン114の動作を開始/停止するために使用され、下部ステーション部材110と上部ステーション部材111とを互いに連動させて動かす。
【0023】
[0032]センサ12は、図1に示すように、試料注入ステーション11から離れていてもよく、または試料注入ステーション11の一部(例えば、下部ステーション部材110の上面112に沿って)に取り付けられていてもよい。その位置にかかわらず、センサ12は、(i)試料含有容器(不図示)が試料注入ステーション11と接触することを検知し、(ii)試料含有容器の検出に対応して(不図示)、所定クロマトグラフィーシステムの中の1つまたは複数の容器固有の自動工程を開始する。例えば、第1の試料含有容器(例えば、シリンジ、不図示)の検出に対応して、センサ12は、以下の1つまたは複数の容器固有の自動工程を開始する。容器固有の自動工程には、これに限定されるわけではないが、移動相(「MP」で示される)が流れ経路16または流れ経路17に沿って流れないように弁13を閉じる工程、下部ステーション部材110が上部ステーション部材111に向かって動作することを開始する工程、および、そのようにすることで、シリンジのプランジャを押し下げて、シリンジの中の試料を、下部ステーション部材110の中を通り、弁14の中を通り、カートリッジ15の中を通り、図1ではTC(すなわち、「カラムへ」)で示されるカラムへ流す工程、並びに、弁14の中を通る流れを可能にし、または、阻止するように弁14を開閉する工程が挙げられる。
【0024】
[0033]代替の実施例には、第2の試料含有容器(例えば、固体試料装填器、不図示)の検出に対応して、センサ12は、以下の1つまたは複数の容器固有の自動工程を開始する。容器固有の自動工程には、これに限定されるわけではないが、下部ステーション部材110が上部ステーション部材111に向かって動作することを開始する工程であって、そのようにすることで、第2の試料含有容器と下部ステーション部材110の上面112の間に流体密封シールを形成する工程と、弁13を開放する工程であって、移動相が、流れ経路17ではなく、流れ経路16に沿って流れ、上部ステーション部材111および第2の試料含有容器の中を通ることによって、試料と移動相が下部ステーション部材110の中を通り、弁14の中を通り、カートリッジ15の中を通り、TCによって表されるカラムに流れる工程と、および、弁14の中を通る流れを可能にし、または、阻止するように弁14を開閉する工程と、が挙げられる。
【0025】
[0034]当然のことながら、図1に示される例示的な自動試料注入装置10の構成は、多くの可能な構成の1つであることを理解されたい。該構成が、クロマトグラフィーカラムと接続可能かつ流体連通するように構成される試料注入ステーション(例えば、例示的な試料注入ステーション11)と、(i)試料含有容器が試料注入ステーションと接触することを検出し、(ii)試料含有容器の検出に対応して、クロマトグラフィーシステムの中の1つまたは複数の容器固有の自動工程を開始するように動作可能に構成されるセンサ12(例えば、例示的なセンサ12)と、を備える限り、任意の構成を利用することもできる。
【0026】
[0035]上述のように、センサは、試料注入ステーションから離れて配置され、または試料注入ステーションに取り付けられてもよい。さらに、(i)試料含有容器を支持し、(ii)機構部分を試料含有容器上に動作させる、(例えば、シリンジのプランジャを動作させ、または試料含有容器と反対側表面間に流体密封シールを提供する)すべての試料注入ステーションが、本発明の自動試料注入装置に使用されてもよい。例えば、試料含有容器が固体試料装填器(すなわち、シリカなどの固相に吸収された固体試料)を備える場合には、自動試料注入装置の反対側表面の代わりに、移動可能な機構部分が、カートリッジ(例えば、カートリッジ15)上面と試料含有容器との間に流体密封シールを形成してもよい。
【0027】
[0036]さまざまな試料含有容器が、図1Aに示される、例示的な自動試料注入装置10に使用されてもよい。適切な試料含有容器は、これに限定されるものではないが、図1Bに示される例示的なシリンジ18などのシリンジ、および図1Cに示される例示的な固体試料装填器19が挙げられる。図1Bに示すように、例示的なシリンジ18は、本体181、プランジャ182、および、プランジャ182に取り付けられ、本体181の中に位置する止め具184を備える。プランジャ182が、矢印Xによって示されるように、本体181の中に入ると、液体試料185は、シリンジ18の先端183の中を通過するようにさせられる。反対に、プランジャ182が、矢印Xによって示されるように、本体181の外に移動する(すなわち、先端183から離れる)と、液体または他の液体は、シリンジ18の先端183の中を通過して、本体181の中に入る。
【0028】
[0037]図1Cに示すように、例示的な固体試料装填器19は、本体190、第1の端部193に位置する液体入り口191、第2の端部194に位置する液体出口192、および本体190の中に位置する固相材料195(例えば、シリカ)を含む。移動相材料(不図示)が、矢印Yによって示されるように、液体入り口191の中を通って、本体181の中に入り、液体出口192から出るように流れると、固相材料195に吸収された試料材料(不図示)は液体出口192から出る。
【0029】
[0038]本発明の自動試料注入装置は、クロマトグラフィーシステムに取り込まれてもよく、クロマトグラフィーシステムをさらに自動化し、試料分析中に操作者によるエラーの発生可能性を最小化し、操作者の生産性を潜在的に向上させる。例示的なクロマトグラフィーシステムは、図2に示される本発明の例示的なマルチポート弁ばかりではなく、本発明の自動試料注入装置を備える。
【0030】
[0039]図2に示すように、例示的なクロマトグラフィーシステム200は、例示的な自動試料注入装置10、例示的なマルチポート弁20、カラム21、検出器22(例えば、UV検出器)、移動相供給源23、空気供給源24、廃棄物収集器25、およびマイクロプロセッサ26を備える。マルチポート弁20は、以下のポートを含む。(1)ポート201は、本明細書ではPSLとも称し、自動試料注入装置10から出る、および入る流体の流れを提供し、(2)ポート202は、さらに本明細書ではPTSLと称し、自動試料注入装置10への流体の流れを提供し、(3)ポート203は、さらに本明細書ではPMPと称し、移動相供給源23からの流体の流れを提供し、(4)ポート204は、さらに本明細書ではPと称し、カラム21への流体の流れを提供し、(5)ポート205は、さらに本明細書ではPと称し、空気供給源24からの流体の流れを提供し、(6)ポート206は、さらに本明細書ではPと称し、廃棄物収集器25の中への流体の流れを提供する。
【0031】
[0040]1つの例示的な実施形態では、マルチポート弁は、少なくとも4個のポートを備える固定された部品と、固定された部品に隣接する動的部品と、を備え、マルチポート弁は、1つの位置において、各ポートから他の各ポートへ流体経路を提供する。本発明による別の例示的な実施形態では、クロマトグラフィーシステムに使用される自動試料注入装置は、クロマトグラフィーカラムと接続可能かつ流体連通するように構成される試料注入ステーションと、固体試料をクロマトグラフィーカラムに充填するための固体試料装填器と、液体試料をクロマトグラフィーカラムに充填するための液体試料充填器と、マルチポート弁と、を備え、該弁は、固体試料装填器と液体試料充填器とに流体経路を提供する。以下でさらに考察するように、マルチポート弁20は、30°単位で(例えば、30°、60°、90°等)時計回りおよび/または反時計回りに多くの位置に回転でき、それぞれの位置では、自動化された試料分析手順の最中に、6つのポート弁20の中を通り、かつ例示的なクロマトグラフィーシステム200の上述した部品間に、特定の流体の流れを提供する。6つのポート弁20の多くの位置は、自動化された試料分析手順中の、以下の工程にそれぞれに対応する。(i)弁の事前洗浄工程、(ii)カラム平衡工程、(iii)試料注入工程、(すなわち、液体試料/シリンジが使用される場合には)自動試料注入装置の中への流体の流れが阻止される工程、(iv)試料注入工程、(すなわち、固体試料/固体試料装填器が使用される場合には)自動試料注入装置の中への流体の流れが許可される工程、(v)カラム分離工程、(vi)カラム空気パージ工程、(vii)弁事後洗浄工程、(viii)シリンジ洗浄工程、(ix)固体試料装填器の空気パージ工程、および(x)(i)から(ix)のいずれかの工程の組み合わせの工程。
【0032】
[0041]センサ12と同様に、マイクロプロセッサ26は、例示的なクロマトグラフィーシステム200の他の部品に対して遠隔に位置してもよく、または例示的なクロマトグラフィーシステム200の中の1つまたは複数の部品に直接接続されていてもよい。マイクロプロセッサ26は、(i)センサ12からの第1の信号と第2の信号を認識し、ここで、第1の信号と第2の信号は、異なる第1の試料含有容器と第2の試料含有容器に対応し(不図示;例えば、第1の試料含有容器はシリンジを含み、第2の試料含有容器は固体試料装填器を含む)、(ii)第1の信号または第2の信号の受信に対応して、1つまたは複数の信号固有の自動工程を開始するようにプログラムされている。マイクロプロセッサ26が、(i)センサ12からの第1の信号と第2の信号を認識し、(ii)第1の信号または第2の信号の受信に対応して、1つまたは複数の信号固有の自動工程を開始することができる限り、マイクロプロセッサ26は、例示的なクロマトグラフィーシステム200に対してどのような位置にあってもよい。
【0033】
[0042]図1〜図2に示すように、本発明のクロマトグラフィーシステムは、試料分析手順の1つまたは複数のプロセス工程の自動化を可能にする、多くの部品を備えてもよい。部品の相互作用およびプロセス工程の記述は以下に説明される。
【0034】
I.自動化された試料分析の特徴
[0043]本発明の自動試料注入装置は、さらにクロマトグラフィーシステムの中の1つまたは複数のプロセス工程を自動化する。上記で考察したように、本発明の自動試料注入装置は、クロマトグラフィーカラムと接続可能かつ流体連通するように構成される試料注入ステーションと、(i)試料含有容器が試料注入ステーションと接触することを検出し、および(ii)試料含有容器の検出に対応して、クロマトグラフィーシステムの中の1つまたは複数の容器固有の自動工程を開始するように動作可能に構成されるセンサと、を備えてもよい。自動試料注入装置は、(i)センサからの第1の信号と第2の信号を認識し、ここで、第1の信号と第2の信号は、異なる第1の試料含有容器と第2の試料含有容器に対応し、および(ii)第1の信号または第2の信号の受信に対応して、1つまたは複数の信号固有の自動工程を開始するようにプログラムされたマイクロプロセッサをさらに備える。
【0035】
[0044]1つの例示的な実施形態では、第1の試料含有容器は、液体試料を注入するためのシリンジを備え、および第2の試料含有容器は、固体試料を注入するための固体試料装填器を備える。第1の試料含有容器がシリンジを含む場合には、第1の信号の受信に対応して、マイクロプロセッサは1つまたは複数の信号固有の自動工程を開始する。適切な第1の信号固有の自動工程は、これに限定されるものではないが、(i)弁の事前洗浄工程、(ii)カラム平衡工程、(iii)シリンジのプランジャをシリンジの中に押し込み、シリンジの中の試料をクロマトグラフィーカラムの中に流れ込むように、機械的な駆動機構を動作させることを含む試料注入工程、(iv)カラム分離工程、(v)カラム空気パージ工程、(vi)弁事後洗浄工程、(vii)シリンジから少なくとも部分的にプランジャを取り外し、流体がシリンジの中へ流れるように、機械的な駆動機構を動作させることを含むシリンジ洗浄工程、および(viii)(i)から(vii)の任意の組み合わせの工程が挙げられる。いくつかの実施形態では、マイクロプロセッサは、第1の信号の受信に対応して、第1の信号に固有の自動工程(i)から(vii)のそれぞれを開始する。
【0036】
[0045]第1の試料含有容器が、固体試料装填器を備える場合には、第2の信号の受信に対応して、マイクロプロセッサは、1つまたは複数の信号固有の自動工程を開始する。適切な第2の信号固有の自動工程は、これに限定されるものではないが、(i)弁の事前洗浄工程、(ii)カラム平衡工程、(iii)前記固体試料装填器の中を通って、クロマトグラフィーカラムの中に移動相溶媒の流体が流れるように開始する試料注入工程、(iv)カラム空気パージ工程、(v)弁事後洗浄工程、(vi)固体試料装填器の空気パージ工程、および(vii)(i)から(vi)の任意の組み合わせの工程が挙げられる。いくつかの実施形態では、マイクロプロセッサは、第2の信号の受信に対応して、第2の信号固有の自動工程(i)から(vi)のそれぞれを開始する。
【0037】
[0046]上述のように、1つまたは複数の信号固有の自動工程は、これに限定されるわけではないが、試料の種類(例えば、液体試料または固体試料)、および試料含有容器の種類を含む多くの要因に対応して開始される。多くの例示的な自動工程を図3A〜図9Bに示し、以下に記載する。
【0038】
[0047]本発明によるさらなる例示的な実施形態では、クロマトグラフィーシステムに使用される自動試料注入装置は、クロマトグラフィーカラムと接続可能かつ流体連通するように構成される試料注入ステーションを備え、試料注入ステーションは、試料がクロマトグラフィーカラムの下方部分の中に注入されるように構成される。この構成によって、カラムに存在する可能性がある如何なるガスも迅速に除去でき、カラムの中を通る均一な液体流を提供でき、その結果、カラムの平衡を加速する。
【0039】
A.固体試料装填手順
[0048]本発明の自動試料注入装置は、固体試料装填器(例えば、例示的な固体試料装填器19)の形態の試料含有容器が試料注入ステーションに接触することを一旦検知すると、自動試料注入装置は、クロマトグラフィーシステムの中の固体試料装填器に固有の1つまたは複数の自動工程を開始する。一般に、自動試料注入装置は、固体試料装填器に固有の信号をマイクロプロセッサに送信し、容器固有の信号の受信に対応して、1つまたは複数の信号固有の自動工程を開始する。
【0040】
[0049]1つの例示的な実施形態では、固体試料装填器に固有の1つまたは複数の信号固有の自動工程は、図3A〜図7Bに示される、1つまたは複数のプロセス工程の任意の組み合わせを含む。例えば、固体試料装填器の検出に対応して、自動試料注入装置は、図3A〜図3Bに示す弁の事前洗浄工程を開始できる。図3A〜図3Bに示すように、マルチポート弁20の動的部品28は、(本明細書では「位置3」と称する)位置に回転し、移動相材料(不図示)は、移動相供給源23から、マルチポート弁20の中を通って、廃棄物収集器25の中に流れる。マルチポート弁20への移動相材料の流れ、およびマルチポート弁20からの移動相材料の流れは実線Fによって示され、一方、マルチポート弁20の中を通る移動相材料の流れは図3Aの破線F’によって示される。
【0041】
[0050]図3Bに示すように、マルチポート弁20の動的部品28は、溝開口部301と溝開口部302を備える60°溝281、120°溝283、溝開口部303と開口部304を備える180°溝282、並びに第1の外側表面284に沿って位置する開口部305および開口部306を備える。この固有の自動的な、弁の事前洗浄工程では、移動相材料(不図示)は、溝開口部304の中に流入し、180°溝282の中を通って、溝開口部303から出る。
【0042】
[0051]固体試料装填器の検出に対応して、自動試料注入装置は、さらに図4A〜図4Bに示すカラム平衡工程を開始する。図4A〜図4Bに示すように、マルチポート弁20の動的部品28は、(本明細書では「位置4」と称する)位置に回転し、移動相材料(不図示)は、移動相供給源23から、マルチポート弁20の中を通って、カラム21の中に流れる。マルチポート弁20への移動相材料への流れ、およびマルチポート弁20からの移動相材料の流れは実線Fによって示される、一方、マルチポート弁20の中を通る移動相材料の流れは図4Aの破線F’によって示される。図4Bに示すように、この固有の自動的なカラム平衡工程では、移動相材料(不図示)は、溝開口部301の中に流れ、60°溝281の中を通って、溝開口部302から出る。
【0043】
[0052]図4Aでは、カラム21の中を通る移動相流体の流れは、重力に従って流れる液体と同一の方向であることを意味するように思われるが、カラム21の中を通る移動相流体の流れは、重力に逆らっていてもよいことに留意されたい。いくつかの実施形態では、カラム21の中を通る移動相流体の、重力に逆らった流れを利用することが望ましく、ガスを迅速に除去し、カラムの中を通る移動相流体の流れを均一にする。
【0044】
[0053]固体試料装填器の検出に対応して、自動試料注入装置は、さらに図5A〜図5Bに示す固体試料注入工程と分離工程とを開始する。図5A〜図5Bに示すように、マルチポート弁20の動的部品28は、(本明細書では「位置1」と称する)位置に回転し、移動相材料(不図示)は、移動相供給源23から、マルチポート弁20の中を通って、自動試料注入装置10の中に流れ、自動試料注入装置10の中に位置する固体試料装填器(不図示)を通って、再びマルチポート弁20の中を通って、カラム21の中に流れる。マルチポート弁20への移動相材料への流れ、およびマルチポート弁20からの移動相材料への流れは実線Fによって示され、一方、マルチポート弁20の中を通る移動相材料の流れは図5Aの破線F’によって示される。図5Bに示すように、この固有の自動的な固体試料注入工程および分離工程では、移動相材料(不図示)は、溝開口部301の中に流れ、60°溝281の中を通って、溝開口部302から出て、溝開口部304の中に入り、180°溝282の中を通って、溝開口部303から出る。
【0045】
[0054]上述のように、自動試料注入装置10の中に位置する固体試料装填器(不図示)の中を、移動相材料(不図示)が通り始めることによって、センサ12からの信号の結果によって(すなわち、マイクロプロセッサ26)、移動相から固体試料装填器19への流れを制御する部品(例えば、弁20)を動作させ、固体試料装填器と試料注入ステーションの表面(例えば、試料注入ステーション11の上面112)または別の部品(例えば、カートリッジ15の上面)との間に流体密封シールを形成する。
【0046】
[0055]固体試料装填器の検出に対応して、自動試料注入装置は、さらに図6A〜図6Bに示すカラム空気パージ工程を開始してもよい。図6A〜図6Bに示すように、マルチポート弁20の動的部品28は、位置3に回転し、空気(不図示)は、空気供給源24から、マルチポート弁20の中を通って、カラム21の中に流れる。マルチポート弁20への、およびマルチポート弁20からの空気の流れは、実線Fによって示され、一方、マルチポート弁20の中を通る空気の流れは図6Aの破線F’によって示される。図6Bに示すように、この固有の自動的な、カラム空気パージ工程では、空気(不図示)は、溝開口部301の中に流れ、60°溝281の中を通って、溝開口部302から出る。
【0047】
[0056]図6A〜図6Bに示されるカラム空気パージ工程中に、弁自動フラッシング工程がさらに開始されることに留意されたい。図3A〜図3Bを参照して上記で考察したように、移動相材料(不図示)は、移動相供給源23から、マルチポート弁20の中を通って廃棄物収集器25の中に流れ、同時に、空気(不図示)は、空気供給源24から、マルチポート弁20の中を通って、カラム21の中に流れる。
【0048】
[0057]固体試料装填器の検出に対応して、自動試料注入装置は、さらに図7A〜図7Bに示す固体試料装填器の空気パージ工程を開始してもよい。図7A〜図7Bに示すように、マルチポート弁20の動的部品28は、(本明細書では「位置5」と称する)位置に回転し、空気(不図示)は、空気供給源24から、マルチポート弁20の中を通って、自動試料注入装置10の中に位置する固体試料装填器(不図示)の中に流れ、再びマルチポート弁20の中を通って、廃棄物収集器25の中に入る。マルチポート弁20への、およびマルチポート弁20からの空気の流れは実線Fによって示され、一方、マルチポート弁20の中を通る空気の流れは図7Aの破線F’によって示される。図7Bに示すように、この固有の自動的な、固体試料装填器の空気パージ工程では、空気(不図示)は、溝開口部304の中に流入し、180°溝282の中を通って、溝開口部303から出る、次に溝開口部302の中に入り、60°溝281の中を通って、溝開口部301から出る。
【0049】
B.液体試料装填手順
[0058]本発明の自動試料注入装置は、液体試料充填器(例えば、例示的なシリンジ18)の形態の試料含有容器が試料注入ステーションに接触することを一旦検出すると、自動試料注入装置は、クロマトグラフィーシステムの中の液体試料充填器に固有の1つまたは複数の自動工程を開始する。一般には、自動試料注入装置は、液体試料充填器に固有の信号をマイクロプロセッサに送信し、容器固有の信号の受信に対応して、1つまたは複数の信号固有の自動工程を開始する。
【0050】
[0059]1つの例示的な実施形態では、液体試料充填器に対して固有の1つまたは複数の信号固有の自動工程は、図3A〜図4B、図6A〜図6B、および図8A〜図9Bに示される1つまたは複数のプロセス工程の任意の組み合わせを含む。例えば、液体試料充填器の検出に対応して、自動試料注入装置は、図3A〜図3Bを参照して上記で考察した弁の事前洗浄工程、図4A〜図4Bを参照して上記で考察したカラム平衡工程、または弁の事前洗浄工程とカラム平衡工程の両方を開始する。
【0051】
[0060]液体試料充填器の検出に対応して、自動試料注入装置は、図8A〜図8Bに示す液体注入工程をさらに開始する。図8A〜図8Bに示すように、マルチポート弁20の動的部品28は位置1に回転し、自動試料注入装置10の中に位置する、シリンジ(不図示)の液体試料は、マルチポート弁20の中を通って、カラム21の中に流れる。マルチポート弁20への、およびマルチポート弁20からの液体試料の流れは実線Fによって示され、一方、液体試料マルチポート弁20の中を通る流れは図8Aの破線F’によって示される。
【0052】
[0061]上述のように、液体試料の流れの開始は、センサ12(または、マイクロプロセッサ26)からの信号の結果であり、機械デバイス(例えば、試料注入ステーション11の上部ステーション部材111)をシリンジのプランジャ(例えば、例示的なシリンジ18のプランジャ182)の上に移動させる。
【0053】
[0062]図8Bに示すように、この固有の自動的な液体試料注入工程では、液体試料(不図示)は、溝開口部304の中に流入し、180°溝282の中を通って、溝開口部303から出る。
【0054】
[0063]液体注入工程中は、移動相材料(不図示)は自動試料注入装置10の中を通らず、例示的なクロマトグラフィーシステム200の中を移動相材料(不図示)を移動させるために使用されるポンプ(不図示)は、一時的に停止することに留意されたい。
【0055】
[0064]図8A〜図8Bに示される自動化された液体注入工程の後に、さらに自動試料注入装置は、図4A〜図4Bを参照して上記で考察したように、位置4の弁構成を使用したカラム分離工程を開始してもよい(すなわち、自動化されたカラム平衡工程中に使用されたものと類似している、弁構成および流体の流れである)。
【0056】
[0065]液体試料充填器(例えば、シリンジ)の検出に対応して、自動試料注入装置は、さらに、図6A〜図6Bを参照して上記で考察したようにカラム空気パージ工程を開始し、図6A〜図6Bを参照して上記で考察した別の弁自動フラッシング工程を開始し、または、上記で考察したように両方の工程で位置3の弁構成を利用して、両方の工程を同時に実施してもよい。
【0057】
[0066]液体試料充填器(例えば、シリンジ)の検出に対応して、自動試料注入装置は、図9A〜図9Bに示す液体試料充填器(例えば、シリンジ)洗浄工程をさらに開始する。図9A〜図9Bに示すように、マルチポート弁20の動的部品28は、(本明細書では「位置2」と称する)位置に回転し、移動相材料(不図示)は、移動相供給源23から、マルチポート弁20の中を通り、自動試料注入装置10の中に位置する液体試料充填器(例えば、例示的なシリンジ18)(不図示)の中に流れる。マルチポート弁20への移動相材料の流れ、およびマルチポート弁20からの移動相材料の流れは実線Fによって示され、一方、マルチポート弁20の中を通る移動相材料の流れは図9Aの破線F’によって示される。
【0058】
[0067]図9Bに示すように、この固有の自動洗浄工程では、移動相材料(不図示)は、溝開口部308の中に流れ、120°溝283の中を通って、マルチポート弁20の動的部品28の第2の外側表面285上の溝開口部307から出る。自動洗浄工程に続いて、自動試料注入装置は、図8A〜図8Bを参照して上記で考察した別の液体注入工程を実施して、液体試料充填器(例えば、シリンジ)から移動相材料(不図示)と残留液体試料材料(不図示)を除去する。液体試料充填器(例えば、シリンジ)をしっかり洗浄するために、複数回の洗浄工程と液体注入工程が開始されてもよい。
【0059】
[0068]図3A〜図9Bに示される、1つまたは複数の上記の詳細なプロセス工程の開始に続いて、マイクロプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ26)は、さらなる工程を開始し、マルチポート弁20の動的部品28は、図3A〜図3Bおよび図6A〜図6B示される、位置3などの所望の「ホーム」位置に戻る。
【0060】
II.自動化された試料注入装置、マルチポート弁、およびクロマトグラフィーシステムの製造方法
[0069]本発明は、クロマトグラフィーシステムでの使用に好適な、自動試料注入装置の製造方法にも関する。1つの例示的な方法では、自動試料注入装置を製造する方法は、クロマトグラフィーカラムと接続可能かつ流体連通するように構成される、試料注入ステーション(例えば、試料注入ステーション11)を提供する工程(例えば、カラム21)と、センサ(例えば、センサ12)を試料注入ステーションと結合する工程であって、該センサが(i)試料含有容器が試料注入ステーションと接触することを検出し、および(ii)試料含有容器の検出に対応して、クロマトグラフィーシステム(例えば、クロマトグラフィーシステム200)内の1つまたは複数の容器固有の自動工程を開始するように動作可能に構成される工程と、を含む。
【0061】
[0070]上述のように、センサ(例えば、センサ12)は、遠隔または直接に、試料注入ステーション(例えば、試料注入ステーション11)と結合してもよい。例えば、遠隔センサは、所定の試料含有容器の固有部分(例えば、シリンジの先端部分)が(例えば、下部ステーション部材110の中、または、下の)試料注入ステーションの特定の位置に接触したことを検出することができる。または、直接結合したセンサが、所定の試料含有容器と、試料注入ステーションの表面(例えば、上面112)との間の表面接触の程度を検出してもよい。
【0062】
[0071]自動試料注入装置を製造する方法は、さらに、(i)センサからの1つまたは複数の容器固有の信号を認識し、および(ii)容器固有の信号の受信に対応して、クロマトグラフィーシステムの中の1つまたは複数の容器固有の自動工程を開始するようにプログラムされているマイクロプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ26)を提供する工程を含む。1つまたは複数の容器固有の自動工程は、これに限定されるものではないが、クロマトグラフィーシステム(例えば、クロマトグラフィーシステム200)の中のマルチポート弁(例えば、マルチポート弁20)を1つまたは複数の異なる位置(例えば、図3A〜図10Bに示される位置)に回転する工程を含んでもよく、それぞれの位置では、クロマトグラフィーシステムの部品間で、マルチポート弁の中を通る特徴ある流体の流れを示す。
【0063】
[0072]本発明は、さらに、クロマトグラフィーシステムの製造方法に関する。1つの例示的な実施形態では、クロマトグラフィーシステムを製造する方法には、クロマトグラフィーカラム(例えば、カラム21)と接続可能かつ流体連通するように構成される、試料注入ステーション(例えば、試料注入ステーション11)を提供する工程と、センサ(例えば、センサ12)を試料注入ステーションと結合する工程であって、該センサは(i)試料含有容器が試料注入ステーションと接触することを検出し、(ii)試料含有容器の検出に対応して、クロマトグラフィーシステム(例えば、クロマトグラフィーシステム200)内の、1つまたは複数の容器固有の自動工程を開始するように動作可能に構成される工程と、自動試料注入装置をクロマトグラフィーカラムに接続する工程と、を含む。
【0064】
[0073]開示されたクロマトグラフィーシステムを製造する方法は、さらに、これに限定されるわけではないが、多くの追加工程を含んでもよく、それは1つまたは複数の以下の部品をクロマトグラフィーシステムに取り込む工程であって、マルチポート弁(例えば、マルチポート弁20)、移動相供給源(例えば、移動相供給源23)、空気供給源(例えば、空気供給源24)、検出器(例えば、検出器22)、およびマイクロプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ26)を取り込む工程と、クロマトグラフィーシステムで使用するための1つまたは複数の異なるタイプの試料含有容器(例えば、シリンジおよび/または固体試料装填器)を提供する工程を含んでもよい。
【0065】
[0074]別の例示的な実施形態では、クロマトグラフィーシステムを製造する方法には、クロマトグラフィーシステムと接続可能かつ流体連通するように構成されるマルチポート弁を提供する工程を含み、該マルチポート弁は、クロマトグラフィーシステム中の種々の部品から部品へ、弁の中を通る、少なくとも7つの異なる流体流路を提供する。
【0066】
III.自動化された試料注入装置、マルチポート弁、または両方の使用方法
[0075]本発明は、さらに、自動試料注入装置、マルチポート弁、またはクロマトグラフィーシステム中の両方の使用方法に関する。1つの例示的な実施形態では、クロマトグラフィーシステムの自動試料注入装置を使用する方法は、少なくとも1つの分析物を含有する可能性がある試験試料を、分析する方法を含み、該方法は、自動試料注入装置の試料注入ステーションの中に、試料含有容器を配置させる工程であって、該試料注入ステーションが、クロマトグラフィーカラムと流体連通し、(i)試料含有容器が試料注入ステーションと接触することを検出し、(ii)試料含有容器の検出に対応して、クロマトグラフィーシステム内の1つまたは複数の容器固有の自動工程を開始するように動作可能に構成されるセンサによって監視される工程を含む。この例示的な方法では、配置工程の後に、該方法は、操作者とクロマトグラフィーシステム間のさらなる相互作用無しで、クロマトグラフィーシステム中の試験試料を自動的に分析する。さらに、該方法は、配置工程の前後で、操作者が試料含有容器の種類を、手作業で特定することを必要としないで、クロマトグラフィーシステム中の試験試料を自動的に分析する。
【0067】
[0076]上述のように、1つまたは複数の容器固有の自動工程は、試料含有容器が第1の試料含有容器(例えば、シリンジ)を含む場合には、第1組の容器固有の自動工程を含んでもよく、試料含有容器が第2の試料含有容器(例えば、固体試料装填器)を含む場合には、第2組の容器固有の自動工程を含んでもよく、第1組の容器固有の自動工程は、第2組の容器固有の自動工程とは異なる。
【0068】
[0077]1つの例示的な実施形態では、配置工程は、試料注入ステーション内のシリンジなどの第1の試料含有容器を配置する工程を含む。この配置工程に対応して、クロマトグラフィーシステムは、図3A〜図4B、図6A〜図6B、および図8A〜図9Bに記載された1つまたは複数の工程などの第1組の容器固有の自動工程を開始する。所望の一実施形態では、第1組の容器固有の自動工程の少なくとも1つの工程は、図9A〜図9Bに記載されているような、自動化されたシリンジ洗浄工程を含む。
【0069】
[0078]別の例示的な実施形態では、配置工程は、試料注入ステーション内の固体試料装填器などの、第2の試料含有容器を配置する工程を含む。この配置工程に対応して、クロマトグラフィーシステムは、図3A〜図7Bに記載された1つまたは複数の工程などの第2組の容器固有の自動工程を開始する。所望の一実施形態では、第2組の容器固有の自動工程内の少なくとも1つの工程は、図7A〜図7Bに記載されているような、自動化された固体試料装填器の空気パージ工程を含む。
【0070】
[0079]上述された自動工程に加えて、部品は、ポンプに手作業で呼び水をするために、および、固体試料装填器(例えば、固体試料装填器19)を乾燥させるために使用されることに留意されたい。ポンプに手作業で呼び水をするために、位置2の弁構成が使用され、所望の溶媒/ポンプの呼び水としての液体を、ポンプ(不図示)の中を通らせ、マルチポート弁20の中を通らせて、液体試料充填器(例えば、シリンジ)の中に引き込む。図9A〜図9Bは、位置2の弁構成の図を示す。
【0071】
[0080]固体試料装填器(例えば、固体試料装填器19)を乾燥させるプロセスは、図7A〜図7Bに示す位置5の弁構成を利用してもよい。この手順では、空気が単純に出る。図7A〜図7Bに示すマルチポート弁20への再進入とは対照的に、呼び水工程は、固体試料装填器(例えば、固体試料装填器19)によってさらに自動化されてもよい。
【実施例】
【0072】
[0081]さらに、本発明は、何れの場合にも本発明の範囲を制限するという意味に解釈されない、次の実施例によって説明される。それどころか、本願の明細書を読んだ当業者であれば、本発明の精神および/または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、さまざまな他の実施形態、修正形態、およびそれらの均等物を、容易に想到することができることが明確に理解されるべきである。
【0073】
(実施例1)
[0082]本発明による弁を取り入れた、レベラリス(商標)(Reveleris)フラッシュクロマトグラフィーシステムを使用して、液体試料を精製する。工程1では、弁を位置1に設定し、25ml/分の95/5ヘキサン/酢酸エチルで、4分間12gのレベラリス(商標)シリカカートリッジの平衡を保つ。次に、弁を第2の位置に移動させ、カートリッジ入り口が、弁を介して試料充填シリンジに接続される。フタル酸ジオクチル、アルファ・トコフェロールおよびデルタ・トコフェロールのそれぞれの10mg/ml含有する4mlの試料を、弁に接続されているシリンジの中に充填し、カラムの頭部に押しつける。次に、弁を位置1に切り替え戻し、95/5ヘキサン/酢酸エチルを25ml/分でカートリッジの中に流し、3個のすべての化合物がカラムから溶離するまで(約10分)、分離が実施された。同時に圧縮空気を弁の中を通して、ELSDに噴霧した。その後、弁を3番目の位置に切り替え、圧縮空気で、残余の溶媒を使用済みカートリッジからパージした。
【0074】
[0083]本発明は限られた数の実施形態について記載されてきたが、これらの特定の実施形態は、明細書の記載および特許請求の範囲を除き、本発明の範囲を制限することを意図していない。本明細書の例示的な実施形態を参照すれば、さらなる修正形態、均等形態、および変形形態が可能であることは、当業者にとっては明白である。明細書の残りの部分だけではなく、実施例のすべての部分および百分率は、他に記載がない限り重量による。さらに、特定の一連の特性、測定単位、条件、物理的状態または百分率などを示す、明細書または特許請求の範囲で引用されるすべての数値範囲は、参照により文字通り明示的に明細書に取り入れられ、または、そこで引用される全範囲のサブセット数値を含む、該範囲に入るすべての数値が取り入れられることが意図される。例えば、下限R、および上限Rを含む数値範囲が開示される場合には常に、該範囲に含まれるすべての数値Rが明確に開示される。特に、次の範囲に含まれる数値R(R=R+k(R−R))は明確に開示される。ここでkは、増分が1%である1%から100%までの可変範囲であり、例えば、kは1%、2%、3%、4%、5%....50%、51%、52%....95%、96%、97%、98%、99%、または100%である。さらに、2つのR値で示されるすべての数値範囲も、上記で演算されるように、明確に開示される。本明細書に記載されて示された修正形態に加え、本発明の如何なる修正形態も、前述の記述および添付図面から当業者には明らかである。該修正形態は、添付の請求の範囲に含まれることが意図される。本明細書に引用されるすべての刊行物は、参照によってその全体が援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロマトグラフィーシステムに使用される自動試料注入装置であって、
(a)クロマトグラフィーカラムと接続可能かつ流体連通するように構成される試料注入ステーションと、
(b)(i)試料含有容器が前記試料注入ステーションと接触することを検出し、および(ii)前記試料含有容器の検出に対応して、前記クロマトグラフィーシステムの中の1つまたは複数の容器固有の自動工程を開始するように、動作可能に構成されるセンサと、
を備える、装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記1つまたは複数の容器固有の自動工程は、前記試料含有容器が第1の試料含有容器を含む場合には第1組の容器に固有の自動工程を含み、および、前記試料含有容器が第2の試料含有容器を含む場合には第2組の容器固有の自動工程を含み、前記第1組の容器に固有の自動工程は、前記第2組の容器に固有の自動工程とは異なる、装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置において、
マイクロプロセッサをさらに備え、前記マイクロプロセッサは、(i)前記センサからの第1の信号および第2の信号を認識し、前記第1の信号と前記第2の信号とは異なる第1の試料含有容器と第2の試料含有容器とに対応し、および(ii)前記第1の信号または前記第2の信号の受信に対応して、1つまたは複数の信号固有の自動工程を開始するようにプログラムされる、装置。
【請求項4】
請求項3記載の装置において、
前記第1の試料含有容器はシリンジを備え、および、前記第2の試料含有容器は固体試料装填器を備える、装置。
【請求項5】
請求項4記載の装置において、
前記第1の信号の受信に対応して、前記マイクロプロセッサは、1つまたは複数の信号固有の自動工程を開始し、当該1つまたは複数の信号固有の自動工程は、(i)弁の事前洗浄工程と、(ii)カラム平衡工程と、(iii)前記シリンジのプランジャを当該シリンジの中に押し込み、当該シリンジの中の試料を当該クロマトグラフィーカラム中に流れ込むようにする、機械的な駆動機構を動作させることを含む試料注入工程と、(iv)カラム分離工程と、(v)カラム空気パージ工程と、(vi)弁事後洗浄工程と、(vii)当該シリンジから少なくとも部分的に当該プランジャを取り外し、流体が当該シリンジの中へ流れるようにする、機械的な駆動機構を動作させることを含むシリンジ洗浄工程と、および(viii)(i)から(vii)の任意の組み合わせと、を含む、装置。
【請求項6】
請求項5記載の装置において、
前記第1の信号の受信に対応して、前記マイクロプロセッサは、(i)から(vii)の信号固有の自動工程のそれぞれを開始する、装置。
【請求項7】
請求項4記載の装置において、
前記第2の信号の受信に対応して、前記マイクロプロセッサは、1つまたは複数の信号固有の自動工程を開始し、当該1つまたは複数の信号固有の自動工程は、(i)弁の事前洗浄工程と、(ii)カラム平衡工程と、(iii)前記固体試料装填器の中を通って、クロマトグラフィーカラムの中に移動相溶媒の流体が流れるように開始する試料注入工程と、(iv)カラム空気パージ工程と、(v)弁事後洗浄工程と、(vi)固体試料装填器の空気パージ工程と、(vii)(i)から(vi)の任意の組み合わせと、を含む、装置。
【請求項8】
請求項7記載の装置において、
前記第2の信号の受信に対応して、前記マイクロプロセッサは、信号固有の自動工程(i)から(vi)のそれぞれを開始する、装置。
【請求項9】
(a)請求項1記載の前記自動試料注入装置と、
(b)前記試料注入ステーションと流体連通するクロマトグラフィーカラムと、
を備えるクロマトグラフィー装置。
【請求項10】
請求項9記載の装置において、
マルチポート弁をさらに備え、前記マルチポート弁は、前記クロマトグラフィーカラムと流体連通する少なくとも1つのポートと、前記試料注入ステーションと流体連通する少なくとも1つのポートと、を備える、装置。
【請求項11】
請求項10記載の装置において、
前記マルチポート弁は、前記試料注入ステーションの出口と流体連通する第1のポートと、前記試料注入ステーションの入り口と流体連通する第2のポートと、移動相溶媒の供給源と流体連通する第3のポートと、前記クロマトグラフィーカラムと流体連通する第4のポートと、空気供給源と流体連通する第5のポートと、廃棄物収集器と流体連通する第6のポートと、を備える、装置。
【請求項12】
請求項11記載の装置において、
前記マルチポート弁は、少なくとも6つの異なる位置に動的に切り替わり、前記6つの異なる位置のそれぞれは、前記マルチポート弁の中を通り、およびクロマトグラフィー装置の部品間で異なる、流体の流れを示す、装置。
【請求項13】
請求項9記載の装置において、
1つまたは複数の試料含有容器は、(i)シリンジ、(ii)固体試料装填器、または(iii)(i)と(ii)の両方をさらに備える、装置。
【請求項14】
クロマトグラフィーシステムに使用される自動試料注入装置の製造方法であって、
(a)クロマトグラフィーカラムと接続可能かつ流体連通するように構成される試料注入ステーションを提供する工程と、
(b)センサを前記試料注入ステーションに結合させる工程であって、前記センサは(i)試料含有容器が前記試料注入ステーションと接触することを検出し、および(ii)前記試料含有容器の検出に対応して、前記クロマトグラフィーシステムの中の1つまたは複数の容器固有の自動工程を開始するように動作可能に構成される、工程と、
を含む方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、
(a)(i)前記センサからの1つまたは複数の容器固有の信号を認識し、(ii)容器固有の信号の受信に対応して、クロマトグラフィーシステム内の、1つまたは複数の容器固有の自動工程を開始するようにプログラムされている、マイクロプロセッサを提供する工程をさらに含む、方法。
【請求項16】
請求項15記載の方法において、
前記1つまたは複数の容器固有の自動工程は、1つまたは複数の異なる位置であって、前記マルチポート弁の中を通り、およびクロマトグラフィーシステムの部品間で、異なる流体の流れを示すそれぞれの位置に、クロマトグラフィーシステム内のマルチポート弁を回転させる工程を含む、方法。
【請求項17】
クロマトグラフィーシステムを製造する方法であって、
(a)請求項14で形成された前記自動試料注入装置を、クロマトグラフィーカラム、マルチポート弁、移動相供給源、空気供給源、検出器、およびマイクロプロセッサに結合する工程を含む、方法。
【請求項18】
少なくとも1つの分析物を含有する可能性がある試験試料を分析する方法であって、
(a)自動試料注入装置の試料注入ステーション内に試料含有容器を配置する工程であって、前記試料注入ステーションがクロマトグラフィーカラムと流体連通し、および(i)試料含有容器が前記試料注入ステーションと接触することを検出し、(ii)前記試料含有容器の検出に対応して、クロマトグラフィーシステム内の1つまたは複数の容器固有の自動工程を開始するように、動作可能に構成されるセンサによって監視される、工程と、
(b)前記配置工程に続いて、(1)操作者と前記クロマトグラフィーシステム間のさらなる相互作用無しで、および(2)前記配置工程の前後で、試料含有容器の種類を手作業で特定すること無く、前記クロマトグラフィーシステム中の前記試験試料を自動的に分析する工程と、
を含む、方法。
【請求項19】
請求項18記載の方法において、
前記1つまたは複数の容器固有の自動工程は、前記試料含有容器が第1の試料含有容器を含む場合には第1組の容器固有の自動工程を含み、および前記試料含有容器が第2の試料含有容器を含む場合には第2組の容器固有の自動工程を含み、前記第1組の容器固有の自動工程は、前記第2組の容器固有の自動工程とは異なる、方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法において、
前記配置工程は、前記試料注入ステーション内に前記第1の試料含有容器を配置する工程を含む、方法。
【請求項21】
請求項20記載の方法において、
前記第1組の容器固有の自動工程は、自動化されたシリンジ洗浄工程を含む、方法。
【請求項22】
請求項19記載の方法において、
前記配置工程は、前記試料注入ステーション内に前記第2の試料含有容器を配置する工程を含む、方法。
【請求項23】
請求項22記載の方法において、
前記第2組の容器固有の自動工程は、自動化された固体試料装填器の空気パージ工程を含む、方法。
【請求項24】
クロマトグラフィーシステムに使用される自動試料注入装置であって、
(a)クロマトグラフィーカラムと接続可能かつ流体連通するように構成される試料注入ステーションと、
(b)固体試料を前記クロマトグラフィーカラムに充填するための固体試料装填器と、
(c)液体試料を前記クロマトグラフィーカラムに充填するための液体試料充填器と、
(d)マルチポート弁であって、前記固体試料装填器と前記液体試料充填器に流体経路を提供する前記弁と、
を備える装置。
【請求項25】
クロマトグラフィーシステムに使用される自動試料注入装置であって、
(a)クロマトグラフィーカラムと接続可能かつ流体連通するように構成される試料注入ステーションにおいて、試料を前記クロマトグラフィーカラムの下方部分に注入する前記試料注入ステーションを備える、装置。
【請求項26】
(a)少なくとも4個のポートを備える固定された部品と、
(b)前記固定された部品に隣接する動的部品と、を備えマルチポート弁であって、前記マルチポート弁は、1つの位置において、各ポートから他の各ポートへの流体経路を提供する、マルチポート弁。
【請求項27】
請求項26のマルチポート弁において、
前記動的部品は、(i)前記動的部品の第1の外側表面に沿った、第1の60°溝開口部と第2の60°溝開口部を備える60°溝と、(ii)前記動的部品の第2の外側表面に沿った、第1の120°溝開口部と第2の120°溝開口部とを備える120°溝であって、前記第2の外側表面は前記第1の外側表面と反対側にある、120°溝と、(iii)前記動的部品の前記第1の外側表面に沿った、第1の180°溝開口部及び第2の180°溝開口部を備える180°溝と、を備える、マルチポート弁。
【請求項28】
請求項26のマルチポート弁において、
前記ポートは、試料注入ステーションの出口と流体連通する第1のポートと、前記試料注入ステーションの入り口と流体連通する第2のポートと、移動相溶媒の供給源と流体連通する第3のポートと、クロマトグラフィーカラムと流体連通する第4のポートと、空気供給源と流体連通する第5のポートと、廃棄物収集器と流体連通する第6のポートと、を備える、マルチポート弁。
【請求項29】
請求項26のマルチポート弁において、
前記マルチポート弁は、少なくとも6つの異なる位置に動的に切り替わり、前記6つの異なる位置のそれぞれは、前記マルチポート弁の中を通り、およびクロマトグラフィー装置の部品間で異なる流体の流れを示す、マルチポート弁。
【請求項30】
(a)請求項26記載の前記マルチポート弁と、
(b)前記マルチポート弁と流体連通するクロマトグラフィーカラムと、
を備える、クロマトグラフィー装置。
【請求項31】
請求項26のクロマトグラフィー装置において、
(a)前記クロマトグラフィーカラムと接続可能であり、および流体連通するように構成される試料注入ステーションと、
(b)(i)試料含有容器が前記試料注入ステーションと接触することを検出し、(ii)当該試料含有容器の検出に対応して、前記クロマトグラフィーシステムの中の1つまたは複数の容器固有の自動工程を開始するように、動作可能に構成されるセンサと、
を備える自動試料注入装置をさらに具備する、装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【公表番号】特表2012−511724(P2012−511724A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540701(P2011−540701)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/006495
【国際公開番号】WO2010/068274
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(508270602)オールテック・アソシエイツ・インコーポレーテッド (11)