説明

自動化原料スクリーニングのための方法および装置

【課題】標準化されたシステム適合性試験および評価を実行し、原料、構成材料、医薬品、化学物質、ポリマー、食品、石油、および他の多くの材料の品質管理スクリーニングを支援するために提出されたサンプルの成分を測定する自動化スクリーニングデバイスを実現する。
【解決手段】NMRスペクトロメーターの性能適合性を判定した後、システムは、スクリーニングのためサンプルを提出することを許可する。サンプルのNMRスペクトルが取得されると、定性分析ユニットは、サンプル中に存在する化合物に対応する少なくとも1つの基準NMRスペクトルを識別し、定量分析ユニットで1つの基準NMRスペクトル中のピーク強度の領域内のサンプルスペクトルの相対的信号強度信号を積分し、その積分結果をそれぞれの領域内の原子の個数と比較し、化合物の識別を確認する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動化原料スクリーニングのための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
核磁気共鳴(NMR)は、印加される、外部磁場の存在下で原子核の量子力学的磁気特性を伴う物理的現象である。NMR現象は、NMRスペクトルメーターを使って観察することができ、分子物理学、結晶および非結晶材料を研究するために使用することができる。特に、核スピン現象は、さまざまなスピンおよびスピン相互作用を表す線のパターンからなるスペクトルを生成するために使用することができる。
【0003】
NMR測定を実行するためには、特定の測定を実行するように計測器を設定しなければならない。測定対象のサンプルを準備して、計測器内に挿入し、測定を実行しなければならない。次いで、その結果得られた強度信号を処理してスペクトルを生成しなければならない。最後に、スペクトルを解釈して、サンプルの組成を決定しなければならない。
【0004】
日常測定を実行するようにNMRスペクトロメーターを制御するために従来の自動化ソフトウェアを使用することができ、また強度信号を処理してNMRスペクトルを生成するために信号処理ソフトウェアを利用することができる。しかし、正確な結果を得るためには、スペクトロメーターを検査し、較正しなければならない。さらに、NMRスペクトルの解釈は、訓練と経験と、サンプル中に存在する可能性のある化合物の詳しい知識を必要とする複雑なプロセスである。例えば、NMRスペクトルは、注目する1つまたは複数の化合物、サンプルを溶解するために使用される溶媒、ならびにサンプルおよび溶媒中の不純物からの強度信号を含むことができる。その結果、NMRスペクトロメーターは、一般的に、NMR分光学者と称される高度な訓練を積んだ実験科学者によって保守され、操作される。
【0005】
多くの生産施設において、スタッフにNMR分光学者がいなくても原料などのサンプルに対するNMR測定を日常的に行うことが望ましい。多くの場合、これらの測定は単純な合否測定である。しかしながら、このような測定を従来のNMRスペクトロメーターで行う場合には、それでも、測定を実行し、結果を解釈するためにNMR分光学者の訓練と知識を必要とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の原理によれば、自動化スクリーニングデバイスは、医薬品、化学物質、ポリマー、食品、石油、および他の多くの材料などの、さまざまな製品中で使用される原料、構成材料、および成分の品質管理スクリーニングを支援するためにサンプルに対して標準化されたNMR測定を実行する。サンプルのNMRスペクトルを取得した後、定性解析ユニットでサンプル中に存在する化合物に対応する少なくとも1つの基準NMRスペクトルを識別し、定量解析ユニットで1つの基準NMRスペクトル中のピーク強度の領域内のサンプルスペクトルの相対的信号強度信号を積分し、その積分結果をそれぞれの領域内の原子の個数と比較し、化合物の識別を確認する。デバイスは、標準的NMR技術を使用してNMR活性原子核を有する化合物の試験および検出を実行するが、高度に自動化されているため、デバイスは非NMR分光学者によって操作され、医薬品安全性試験実施基準(GLP)環境においてNMRスペクトロメーター上で測定が実行されうる。
【0007】
一実施形態では、主成分、混和物、不純物、および他の化合物を含む、サンプル中に予想されるさまざまな化合物を最初に識別し、次いでその識別を確認するために、サンプルNMRスペクトルの定性および定量解析を実行する。次いで、さらなる定量解析を使用して、存在しているそれぞれの化合物の相対量を決定する。
【0008】
別の実施形態では、定性解析と定量解析の両方において、データベースにすでに格納されているデータを使用する。
【0009】
さらに別の実施形態では、サンプルNMRスペクトルをスペクトルデータベース内に格納されている複数の基準スペクトルと比較することによって定性解析を実行する。
【0010】
さらに別の実施形態では、サンプルスペクトルの選択された領域内の信号強度を積分し、その積分結果をそれぞれの領域内の原子の個数と比較することによって定量解析を実行する。
【0011】
さらに別の実施形態では、NMRスペクトロメーターがユーザー定義仕様に従って動作していることを保証するために、一連のシステム適合性試験を原料スクリーニングソフトウェアによって定期的に実行する。
【0012】
さらに別の実施形態では、結果を素早く評価できるように、また材料試験の永久的記録を残すために、技術者以外のユーザーと上級ユーザーの両方に合わせて設計されたレポートを自動生成する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の原理に従って構成された原料スクリーニングシステムのブロック概略図である。
【図2】化合物識別および定量システムの詳細なブロック概略図である。
【図3】スペクトルデータベースをコンパイルするための例示的なプロセスにおけるステップを示す流れ図である。
【図4A】一緒に配置されたときに、スペクトルデータベースで化合物を検索することによって定性解析を実行するための例示的なプログラムにおけるステップを示す流れ図をなす図である。
【図4B】一緒に配置されたときに、スペクトルデータベースで化合物を検索することによって定性解析を実行するための例示的なプログラムにおけるステップを示す流れ図をなす図である。
【図5】原料スペクトルの定量的試験を実行するための例示的なプロセスにおけるステップを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の原理に従って構成された材料解析システム100の基本コンポーネントを例示している。NMRスペクトロメーター102は、矢印106によって概略が示されているようにスペクトロメーター102にコマンドを送り、矢印108によって概略が示されているように返される情報を受信する従来のスペクトロメーター自動化プログラム104によって制御される。スペクトロメーター自動化プログラムは、NMRスペクトロメーター102上の日常的なNMR実験をセットアップし、実行し、処理するためのさまざまなタスクを処理する。これらのタスクは、矢印112によって概略が示されているようにサンプル110の挿入をユーザーに求めることと、矢印116によって概略が示されているようにコンピュータ114からデータファイル名、溶媒、および実験の種類の入力をユーザーに求めることと、矢印118によって示されているように応答を受信することとを含む。スペクトロメーターで使用されている磁石は完全でなく、ドリフトする傾向があるため、自動化ソフトウェアが、サンプル110が溶解される溶媒中の所定の基準原子(通常は重水素)に対してNMR測定を実行することによって溶媒上でスペクトロメーターをロックする。その結果得られる基準信号を使用して、スペクトロメーターの磁石のシミングを行い、磁場をできる限り均一にする。一実施形態では、システムは、基準信号の半値幅を使用して、スペクトルがスペクトル評価のために受け渡される十分に高い品質のものであるかどうかを判定する。半値高さに対するカットオフ閾値は、ユーザー側で選択可能である。より広い半値幅を有するサンプルのシミングを再度行い、再び取得する。サンプルの連続する2回不合格の結果として、システム適合性試験の自動キューイングにより、以下で詳しく説明されるようにスペクトロメーターの構成をチェックする。
【0015】
最後に、スペクトロメーター自動化ソフトウェアは、実験を行って、サンプル110から時間の経過とともに強度信号(自由誘導減衰またはFIDと称される)を取得する。本発明で使用するのに適しているスペクトロメーター自動化プログラムは、本発明の出願人によってIconNMR(登録商標)という名称で販売されている。
【0016】
自動化プログラム104の制御の下でスペクトロメーター102によって取得されたFID信号は、矢印122によって概略が示されているようにスペクトル生成プログラム120に送られる。スペクトル生成プログラム120は、フーリエ変換によってFID信号を処理し、位相整合を行い、FID信号の周波数成分中の位相シフトを補正する。一実施形態では、プログラム120は、1Hスペクトルを積分し、ピーク選択(ピークピッキング)を実行し、そして最後にスペクトルを値の表としてプロットする。本発明で使用するのに適しているスペクトル生成プログラムは、本発明の出願人によってTopSpin(登録商標)という名称で販売されている。あるいは、13C、19F、または31Pスペクトルをプログラム120によって積分することができる。
【0017】
すでに述べているように、NMRスペクトルは、化学シフト値に対して強度をプロットしたものである。化学シフト値は、スペクトロメーター周波数で除算されたNMR基準共振標準(テトラメチルシラン(TMS)またはトリメチルシリルプロピオネート(TSP)など)の共振周波数に関して表された強度ピークが出現する共振周波数であり、通常はppm(100万分の1)単位で指定される。したがって、NMRスペクトルからの特定の化合物の識別には、その化合物に対応する強度ピークの特定のパターンについて知っている必要がある。NMRスペクトルは、注目する1つまたは複数の化合物、サンプルを溶解するために使用される溶媒、ならびにサンプルおよび溶媒中の不純物からの強度信号を含んでいる場合があるため、この識別は困難であることが多い。
【0018】
したがって、プログラム120によって、典型的には、強度と化学シフト値との表として生成されるNMRスペクトルは、矢印126によって概略が示されているように化合物識別および定量プログラム124に送られる。本発明の原理によれば、プログラム124は、2つの並行する評価でデータを評価する。これらの評価のうちの一方は、矢印130によって概略が示されているようにサンプルNMRスペクトルをスペクトルデータベースベース128に収められている複数の基準NMRスペクトルと比較することによって1つまたは複数の化合物の定性的存在を識別することを伴う。他方の評価は、識別された化合物の総合的割合の評価および矢印134によって概略が示されているように化合物知識ベース132内の情報を使用する追加の未説明の強度ピークの報告を伴う。
【0019】
矢印138によって概略が示されているように、化合物識別および定量プログラム124は、実験を識別するデータとともに格納されている、基本レポートおよび詳細レポートを含む、評価のレポート136を生成する。レポートは両方とも、計測器、元のスペクトル、および日時に関する情報を含む。基本レポートは、典型的には、「合」または「否」の結果を含むが、詳細レポートは、実験の結果に関する追加情報を含む。
【0020】
化合物識別および定量プログラム124の動作は、図2にさらに詳しく開示されている。スペクトル生成プログラム120からの処理済みデータ200は、矢印204によって概略が示されているようにサンプルの個別の化合物の識別および定量のため化合物識別および定量プログラム202に受け渡される。2つの解析法によって評価を実行する。第1の解析法は、矢印214によって概略が示されているような知識ベース212内の情報を使用する矢印210によって概略が示されているようなスペクトル200とスペクトルデータベース208内の基準スペクトルとのスペクトルマッチングに基づく定性解析法206である。スペクトル200における化合物が定性解析法206によって識別された場合、その情報は、矢印220によって示されているように定量解析法216に回送される。定量解析法216は、矢印218によって概略が示されているように知識ベース212内の情報を使用して識別を確認する。一実施形態では、解析法206および216は、並列動作し、これらの方法の両方からの肯定的な識別結果から、化合物の識別に対する信頼が得られる。あるいは、解析法206および216は、タンデム式に動作しうる。
【0021】
両方の方法は、矢印224および226によって概略が示されているように、また以下でさらに詳しく説明されているように、定量または「クワント」法(quant method)222におけるパラメータによって制御される。クワント法222では、合格のサンプルにおいて許容される汚染物質のレベルおよび結果としてサンプルが不合格になる閾値も設定する。
【0022】
本発明のプロセスでは、スペクトルデータベース208および知識ベース212を使用する。スペクトルデータベース208は、共通の構成要素を含む標準データベースとすることができる。標準スペクトルデータベースを備えるものと異なる材料をスクリーニングするそれぞれの施設では、スペクトルデータベースおよびその施設内でスクリーニングされる化合物を含む知識ベースを構築する必要がある。
【0023】
データベース208などの、スペクトルデータベースは、複数のスペクトルエントリを格納している。それぞれのスペクトルエントリは、知られている純粋な基準材料のスペクトルを調べ、多重度および結合パターンをピーク強度割り当てに割り当て、それらをその材料の化学的構造に相関させることによって作成される。従来のソフトウェアは、このプロセスを支援するために利用可能である。例えば、スペクトルデータベースを作成して保守するのに適しているソフトウェアは、本発明の出願人によってAMIX(登録商標)という名称で販売されている。強度ピーク割り当てがなされた後、AMIXソフトウェアが、情報をスペクトルとともにスペクトルデータベース208に格納する。
【0024】
スペクトルをスペクトルデータベース内に適切にインポートするために強度ピークを割り当てるときに必要なスペクトル表記が3つあり、これらの表記は以下のデータから自動的に生成されうる。
1.一次元(1D)陽子スペクトルデータ−陽子のみのスクリーニングに必要な最少量のデータを1D陽子実験から得られる。それは、以下に説明されているようにすべてのピーク多重度および結合割り当てがなされるこのスペクトル内にある。定量のため原子数をインポートするためにピークに注釈を付けることもできる。
2.2次元異核単一量子コヒーレンス(2D−HSQC)スペクトルデータ−炭素を含む化合物に対するスクリーニングは、従来の2D−HSQC実験からのデータを必要とする。この実験は、標準のHSQC実験または多重度編集HSQC実験(Ed−HSQC)とすることができる。
3.分子構造ファイル−これは、ピーク注釈に使用することができるが、絶対に必要というわけではない。分子構造ファイルに従って注釈を入れる場合の利点は、定量方法によって報告された濃度割り当てが構造ファイルから数値的原子割り当てと一致するという点にある。
【0025】
データベース208などの、スペクトルデータベース内にエントリを作成するプロセスが、図3に示されている流れ図に例示されている。このプロセスはステップ300から始まり、ステップ302に進み、そこで、上述のようにスペクトロメーターおよびスペクトル生成プログラムを使用して、スペクトルデータベースに入力される純粋基準化合物に関して実験によって生成されるスペクトルデータを取得する。ステップ304で、データは、最初に、強度レベル閾値を設定する雑音のレベルを定義することによって解析に対する準備をするが、この閾値より高ければピークを保持し、この閾値より低ければピークをスペクトルから取り除く。一実施形態では、雑音は、スペクトルを16個の等距離領域に分割することによって定義されるか、または最小512点が使用される。次いで、これらの領域を調べ、以下の基準を最もよく満たす領域を、雑音を定義するために使用する。
【0026】
領域の平均値と中央値は類似している。
【0027】
領域の歪度は0に近い。
【0028】
領域内に実ピークはない−雑音より高いピークはない。
【0029】
領域は、ガウス分布に最も似た分布を有する。
【0030】
次いで、雑音を、以下のように、領域の平均値に、係数(F)に標準偏差を掛けた値を足した値として定義する。
雑音=平均値+(F*STD)
【0031】
次いで、ピーク識別は、係数Fと、適切なスペクトル評価方式に対するユーザー選択LOQ(定量レベル)およびLOD(検出レベル)とに基づく。複合実験において、ユーザーは、1Hスペクトルに対してLOQを、13Cスペクトルに対してLODを定義する。例えば、ユーザーは、1H実験ではLQQ(STD=3.0)を、13C実験ではLOD(STD=10)を設定することも可能であろう。
【0032】
雑音が定義された後、ステップ306で、線形解析をスペクトルに対して実行し、定義されている雑音のレベルより低いすべてのピークデータを取り除く。基準化合物に関連していないピーク(例えば、水、およびTMSまたはTSPなどのNMR基準化合物)も取り除かれる。次いで、その結果得られる1Dまたは2D−HSQCスペクトル(上述のような)をプロットし、ビューアに表示する。
【0033】
次いで、ステップ308において、基準材料を定義する強度ピークを選択するか、またはピックする。スペクトル内の強度ピークを図形的に割り当てるためのツールは、AMIXプログラムに用意されており、参照により本明細書に組み込まれているAMIXユーザーズマニュアルで詳細に説明されている。AMIXプログラムを使用すると、「Auto Peak Pick」機能でクイックピックするか、または手動で選択することができる。その結果のピックされたピークは、ピークの上にチェックマークを付けてプロット上に表示され、プログラムは、ピークが出現している化学シフト番号を格納する。
【0034】
次に、ステップ310で、選択されたピークに、次いで、従来の分子構造ファイルから注釈を入れるこの作業を行うために、分子構造とスペクトルの両方を並べて表示する。分子構造からの1つまたは複数の原子を選択し、これらの原子によって生成されるスペクトル内の信号ピークを選択し、これにより、AMIXプログラムに、原子と信号ピークとの間の対応関係を格納することを行わせる。
【0035】
最後に、ステップ312で、表示されている多重線内のすべてのピークをピックし、多重度のレベル(一重線、二重線、三重線など)を割り当てることによってピーク多重度識別を実行する。多重線が識別された後、AMIXソフトウェアが結合定数を測定する。すべてのピークがピックされ、注釈され、多重度で正しく定義された後、ピークスペクトルデータ、注釈および多重度情報がベクトルデータベース内にインポートされ、格納される。次いで、このプロセスは、ステップ314で終了する。このプロセスを、スペクトルデータベースが構築されている実験室内で遭遇する可能性の高いそれぞれの基準化合物に対して繰り返す。
【0036】
スペクトル内に観察されたそれぞれの化合物の定量には、特定の化学シフトおよびスペクトル内のそれぞれの選択されたピークを囲む所定の信号領域内の原子数のリストが必要である。次いで、所定の領域にわたって積分プロセスを実行することによってピークの下の面積を決定する。化合物の存在は、ピーク信号領域のすべてが積分を有し、積分が各原子数に比例している場合に確認される。
【0037】
本発明のスクリーニングプロセスでは、定量プロセスを支援するためにNMR知識ベース214を利用する。知識ベースは、スクリーニングされる化合物のすべてのスペクトル特性の定義の集合体である。知識ベースは、スペクトルデータベース208内のそれぞれの化合物に対する以下の情報を含む。
【0038】
(名称)
知識ベース内で使用される化合物名(スペクトルデータベース内で使用される名称と同じである)。
【0039】
(分子量)
濃度の計算で使用される。
【0040】
(化合物領域)
信号強度ピークが予想され、そのピークにおける原子の個数が1Hおよび13Cスペクトル(およびサンプルスペクトルが19Fまたは31Pのうちの1つがあれば19Fまたは31P)に対して定義されている化合物のNMRスペクトル内の領域。
【0041】
(定量)
予想される結合パターン、線分裂の測定された結合、およびピークを定量に使用すべきかどうかを含めて、それぞれの化合物領域内のピークの形状を定義する。定義された結合パターンは、一重線、二重線、三重線、四重線、五重線、七重線、二重線の二重線、三重線の二重線、および四重線の二重線を含む。
【0042】
(多重線識別)
多重線比(多重線内の主ピークに関してピークをピックするのを停止するとき)およびJ結合範囲に関する公差を定義する。
【0043】
知識ベースは、最初に、上述のスペクトルデータベースからそれぞれの基準材料に対するスペクトルデータおよび対応する分子ファイルをインポートすることによって基準サンプルを格納しておくことができる。
【0044】
「クワント」法または定量法222は、信号が無関係である(例えば、溶媒信号)、主成分、混和物、および不純物を含む、原料サンプルにおいてどの化合物が予想されるかを指定することによって特定の原料のスペクトルをどのように評価するか、また最終レポートで混和物閾値の要求条件に対して合格または不合格になったサンプルをどのように判別すべきかを定義する。クワント法222は、知識ベース212内の定義に、混和物レベルに関する制限に対するいくつかの追加の設定を加えたものを組み込み、原料に対して固有の方法である。それぞれのクワント法は、以下のユーザー選択可能なパラメータによって定義される。
【0045】
(方法名)
方法の名称。
【0046】
(化合物リスト)
知られている構成要素の化合物の定義を設定するために使用される知識ベース内の化合物のリスト。リスト内のそれぞれの化合物は、主成分、添加物、混和物、不純物、溶媒、またはサンプル中にそれが存在することに対する可能性の高い理由を表すNMR基準信号から選択された化合物の種類を割り当てられる。
【0047】
(レポートフォーマット)
「Pass/Fail」または数値結果のレポートおよび数値レポートの精度を指定する。
【0048】
(積分)
方法においてピークフィッティングにより積分するか、または一般領域積分ルーチンを使用するかを選択する。
【0049】
(濃度)
使用される積分方法を定義する。
【0050】
(最小報告閾値)
化合物リスト内で定義されていない信号が報告される主成分に関する積分のレベルを定義する。
【0051】
(不合格閾値)
化合物リスト内で定義されていない信号が報告される主成分に関する積分のレベルを定義し、最終レポート内にFAIL結果を生成する。
【0052】
(雑音指数)
任意の信号について実ピークを定義する雑音より高い標準偏差(STD)の数。
【0053】
(スペクトルベース)
定量後のマッチを検出するために使用されるスペクトルデータベース。化合物リスト内にないデータベース内の化合物がスペクトルの中にあるかどうかを判定する。
【0054】
(実験の種類)
スペクトルデータベース内で定義されている実験の種類の名称。
【0055】
(最小マッチ係数)
スペクトルデータベースからの化合物の存在が報告されるマッチから最小信頼度レベルを定義する。
【0056】
(最大シフト)
スペクトルデータベースのマッチングを決定するために使用されるスペクトルピークの周りに探索領域を作成するプラスおよびマイナスの値。
【0057】
(最小濃度を適用)
最小検出可能レベルを定義する(最小検出可能レベルによるスクリーニングが望ましい場合に使用する)。
【0058】
(最大濃度を適用)
最大検出可能レベルを定義する(最大検出可能レベルによるスクリーニングが望ましい場合に使用する)。
【0059】
定性解析206は、スペクトルマッチングによって実行される。次いで、スペクトルマッチングは、新規に取得したスペクトルデータ200を知られている純粋な基準サンプルのスペクトルデータベース208に含まれているすでに取得されているスペクトル上に射影し、このプロセスをスペクトルマッチが得られるまで異なる基準サンプルで繰り返す。性能は適切なものとなるように、溶媒、パルスシーケンス、および温度などのスペクトルが取得される条件は、基準ライブラリ/知識ベーススペクトルと新規に取得されたスペクトルとの間で同一でなければならない。データベース208内の基準データと同様に、スペクトルデータ200は、最初に、雑音のレベルを定義し、線形解析を実行して雑音のレベルより低い振幅を持つピークおよび無関係のピークを取り除くことによって準備される。
【0060】
スペクトルマッチングプロセスは、2つの部分に分けて実行される。最初に、このプロセスは、スペクトルデータベース208からこれらの化合物のスペクトルを取り出すことによって適用可能なクワント法222の化合物リスト内に識別されている化合物が存在しているかどうかをチェックする。これらの化合物をチェックした後、第2のマッチングプロセスを実行するが、その際に場合によっては、別のスペクトルデータベース(クワント法のスペクトルベースフィールド内で指定されているような)を使用して、クワント法化合物リスト上にない化合物がサンプル中に存在しているかどうかを判別する。
【0061】
それぞれのスペクトルマッチングプロセスにおけるステップは、図4Aおよび4Bに例示されている。このプロセスはステップ400から始まり、ステップ402に進み、そこで、未チェックのスペクトルがクワント法化合物リストまたはスペクトルデータベースそれ自体のいずれかに存在しているかどうかの判定を行う。未チェックのベクトルが存在している場合、ステップ404において、化合物リスト内、またはデータベースと208内の次の基準スペクトルに対するスペクトルデータを取り出し(矢印210によって示されているように)、サンプルスペクトルデータ200と比較する。化合物に対する追加の情報も、矢印214によって概略が示されているように化合物名を使用して知識ベース212から取り出す。スペクトルマッチに対する基準は、サンプルスペクトル200および基準スペクトルが両方とも、スペクトルデータベース内に格納されている化学シフト値を囲む探索領域内に強度を有していなければならないという基準である。探索領域は、クワント法における最大シフト情報で定義され、例示的な探索領域は、±0.02ppmである。ステップ406で、基準スペクトルおよびサンプルスペクトルの強度がマッチしているかどうかの判定を行う。マッチしていなければ、プロセスはステップ402に戻り、追加の未チェックの基準スペクトルが存在しているどうかを判定し、ステップ404に進んで、次の基準スペクトルを選択する。
【0062】
あるいは、ステップ406において、サンプルスペクトルと選択された基準スペクトルとの間に強度のマッチが存在すると判定された場合、プロセスはステップ408に進み、そこで、サンプルスペクトル内のそれぞれのピークの多重度を知識ベース212から取り出された化合物レコードの多重度情報の格納されている多重線識別フィールドと比較する。多重度がマッチしない場合、プロセスはステップ402および404に戻り、別の基準スペクトルを選択する。
【0063】
あるいは、ステップ410で判定されたように、多重度がマッチした場合、プロセスは、オフページコネクタ414および420を介して、ステップ424に進み、そこで、知識ベースレコード内の定量情報を使用して線形チェックを実行する。ステップ426で判定されたように線形がマッチした場合、ステップ428において図2の矢印220によって示されているように定量解析216に化合物名を送る。
【0064】
ステップ426で判定されたように線形がマッチしない場合、プロセスは、オフページコネクタ418および412を介して、ステップ402および404に戻り、別の基準スペクトルを選択する。作業は、ステップ402で判定されるように、ステップ426でマッチが判定されるか、または未チェックの基準スペクトルが存在しなくなるまで、この方法で続けられる。この後者の場合、プロセスは、オフページコネクタ416および422を介して、ステップ430に進み、そこで、プロセスが終了する。
【0065】
定量解析法が、図5に示されている。この方法は、ステップ500から始まり、ステップ502に進む。ステップ502に示されているように定性解析法206から化合物名を受け取る場合、化合物情報は、矢印218に示されているように知識ベース212から取り出される。スタッド506で、クワント法222による積分およびクワント法222によって指定されている濃度情報を使用して取り出された知識ベースレコードで指定されているそれぞれの化合物領域に対してサンプルスペクトル200の相対強度の積分を実行する。
【0066】
ステップ508で、それぞれの領域に対する積分の結果を取り出された知識ベースレコード内の化合物領域情報によって指定されているようなその領域に対する原子数と比較する。その領域内に原子が1個存在している場合、積分値1が予想される。同様に、積分値2は2個の原子と相関し、以下同様である。ステップ510で判定されているように積分値のすべてが指定された原子数と一致する場合、化合物識別が確認され、最終積分が化合物内のすべての陽子にわたって実行され、積分結果がステップ512において化合物名で格納される。次いで、このプロセスは、ステップ514で終了する。
【0067】
あるいは、ステップ510で、マッチが検出されないと判定された場合、プロセスは、単純にステップ514で終了する。
【0068】
プロセス全体が終了すると、主成分、混和物、不純物、および他の化合物を含む、サンプル内で識別されたすべての化合物について積分値が格納されているはずである。クワント法で指定された最小報告閾値より小さい値を排除した後、次いで、これらの値の比を形成して、クワント法で指定された不合格閾値および濃度閾値と比較し、解析の結果を判定することができる。
【0069】
スペクトロメーター102が適切に較正された状態を保っていることを保証するために、システム適合性試験を定期的に、または上述のようにシム試験が不合格になった場合に実行することができる。システム適合性試験は、線形、1H感度、13C感度、および温度の4つの実験からなる。それぞれの試験の結果は、スペクトロメーターが適切な動作をしているとみなされ、原料サンプルを解析できる前に「合格」していなければならない。
【0070】
「ハンプ試験(humptest)」とも称される1H線形試験では、1%クロロホルム−アセトン溶液のGLP 1H線形標準サンプルを使用して、1H線形を自動的に測定し、判定する。信号の左側と右側にそって二重指数関数当てはめを行うことで、高さ0.55%と高さ0.11%におけるクロロホルム線の幅を計算する。分解能試験も実行され、半値高さでのクロロホルム信号の幅を評価する。これらの値を、ユーザーが設定した仕様と比較する。結果が定義されている値よりよい場合に、試験は合格である。
【0071】
1H感度試験は、1H感度を自動的に測定し、判定する。この試験は、ほとんどどのようなサンプルでも実行できるが、標準サンプルは0.1%エチルベンゼン−クロロホルム−d溶液である。ユーザー指定の信号限界の間の最も大きい信号の高さを計算する。ppm単位の幅雑音デルタの雑音窓は、指定された雑音限界の間のスペクトルにそって25ステップでシフトされる。毎回、雑音値を決定し、信号限界の範囲内で最も大きい信号の高さに関して信号対雑音(S/N)比を計算する。最良値は、ユーザー定義仕様を満たしていなければならない。
【0072】
13C感度試験は、13C感度を自動的に測定し、判定する。この試験も、ほとんどどのようなサンプルでも実行できるが、標準サンプルは10%エチルベンゼン−クロロホルム−d溶液である。ユーザー定義の信号限界の間の最も大きい信号の高さを計算する。雑音デルタppmの雑音窓は、指定された雑音限界の間のスペクトルにそって25ステップでシフトされる。毎回、雑音値を決定し、最も大きい信号の高さに関して信号対雑音(S/N)比を計算する。最良値は、ユーザー定義仕様を満たしていなければならない。
【0073】
温度試験では温度を自動的に測定し、必要ならば、温度をユーザー定義の要求された温度に合わせて調整する。実験は、最初の3つの適合性試験の後に実行するよう計画される。一実施形態では、要求された温度は、282°Kから330°Kまでの直線的な範囲を有する99.8%メタノール−d4温度較正基準で設定される。この試験では、不合格になるまでに温度を設定点に調整することを5回試みる。調整した後の最後に観察された温度が、ステータスパラメータに記録される。
【0074】
システムは、スペクトロメーターの耐用期間におけるシムの変化(shim changes)に適応するように設計されている。これは、システム適合性試験サンプルを含むすべてのサンプルに使用されるデフォルトのシムファイルを更新し、使用することによって行われる。上述のように1H線形適合性試験が正常に完了した後、シム設定を特定のプローブに対するストレージに書き込む。デフォルトのシム設定がそのプローブに関して存在していない場合、現在のシムが使用される。
【0075】
本発明は、その多数の実施形態を参照しつつ図示され、説明されているが、当業者であれば付属の請求項による定義に従って本発明の精神および範囲から逸脱することなく本明細書において形態および細部にさまざまな変更が加えられうることを理解するであろう。
【符号の説明】
【0076】
100 材料解析システム
102 NMRスペクトロメーター
104 スペクトロメーター自動化プログラム
106、108、112、116、118、122、126、130、134、138 矢印
110 サンプル
114 コンピュータ
120 スペクトル生成プログラム
124 化合物識別および定量プログラム
128 スペクトルデータベースベース
132 化合物知識ベース
136 レポート
200 処理済みデータ
202 定量プログラム
204、210、214、218、220、224、226 矢印
206 定性解析法
208 スペクトルデータベース
212 知識ベース
216 定量解析法
222 クワント法
300 開始
302 基準材料のスペクトルを取得する
304 雑音を定義する
306 雑音のレベルより低いピークを排除する
308 基準材料を定義するピークを選択する
310 分子構造ファイルから選択されたピークに注釈を入れる
312 ピーク多重度を定義し、情報を格納する
314 終了
400 開始
402 未チェックのスペクトルがまだあるか?
404 次の基準スペクトルを選択する
406 強度はマッチしているか?
408 多重度をチェックする
410 多重度はマッチしているか?
412、414、416、418、420、422 オフページコネクタ
424 線形をチェックする
426 線形はマッチしているか?
428 定量解析プログラムに化合物名を送る
430 終了
500 開始
502 化合物名を受け取る
504 知識ベースから化合物情報を取り出す
506 それぞれの領域について積分を実行する
508 それぞれの領域について積分情報を原子数と比較する
510 マッチしているか?
512 陽子数について積分を実行し、格納する
514 終了

【特許請求の範囲】
【請求項1】
NMRスペクトロメーターおよびプロセスを用いてサンプルに対し測定を実行し、その結果として、前記サンプルのサンプルNMRスペクトルを生成する信号を発生させる、自動化原料スクリーニングデバイスであって、
前記サンプル中に存在する化合物に対応する少なくとも1つの基準NMRスペクトルを識別する定性解析ユニットと、
前記1つの基準NMRスペクトルにおけるピーク強度の領域内の前記サンプルスペクトルの相対的信号強度信号を積分し、積分結果をそれぞれの領域内の原子の数と比較して前記化合物の識別を確認する定量解析ユニットとを備えることを特徴とする自動化原料スクリーニングデバイス。
【請求項2】
前記定量解析ユニットは、前記サンプルスペクトルをスペクトルデータベース内に格納されている複数の基準NMRスペクトルと比較することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記定性解析ユニットは、前記サンプルNMRスペクトルが強度ピークを有する化学シフト位置において強度ピークを有する基準NMRスペクトルを選択することによって前記1つの基準NMRスペクトルを識別することを特徴とする請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記定性解析ユニットは、前記選択された基準NMRスペクトルの強度ピークに対応する前記サンプルNMRスペクトルの強度ピークに対して線形解析および多重度解析を実行することによって前記1つの基準NMRスペクトルを識別することを特徴とする請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記線形解析および前記多重度解析では、化合物知識ベース内に格納されている情報を使用することを特徴とする請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記定性解析ユニットおよび前記定量解析ユニットは、前記サンプルに対して予め決定されている一組のパラメータによって制御されることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記予め決定されているパラメータは、主成分、混和物、不純物、および前記サンプル中に見つかる可能性の高い他の化合物に対応する基準NMRスペクトルを識別する情報を含むことを特徴とする請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記定量解析ユニットは、前記予め決定されているパラメータで指定された積分方法を使用して前記サンプルスペクトルの信号強度信号を積分することを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記定量解析ユニットは、前記サンプル中に存在する化合物の量を決定するためにそれぞれの基準NMRスペクトル内の強度ピークを囲む領域内の前記サンプルスペクトルの強度信号を前記基準NMRスペクトル内のすべての陽子について積分することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記定量解析ユニットは、前記サンプル中に存在する化合物の量を決定するためにそれぞれの基準NMRスペクトル内の強度ピークを囲む領域内の前記サンプルスペクトルの強度信号を前記基準NMRスペクトル内のすべての原子核について積分することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記NMRスペクトロメーターが予め決定されている仕様通りの性能を持つことを保証するために一連のシステム適合性試験を実行する試験ユニットをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記システム適合性試験では、1H線形試験、1H感度試験、13C感度試験、および温度試験を含むことを特徴とする請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記システム適合性試験は、定期的に実行されることを特徴とする請求項11に記載のデバイス。
【請求項14】
前記システム適合性試験は、前記デバイス内に問題が検出されたときに必ず実行されることを特徴とする請求項11に記載のデバイス。
【請求項15】
NMRスペクトロメーターおよびプロセスを用いてサンプルに対し測定を実行し、その結果として、前記サンプルのサンプルNMRスペクトルを生成する信号を発生させることによって原料のスクリーニングを行うための方法であって、
(a)前記サンプル中に存在する化合物に対応する少なくとも1つの基準NMRスペクトルを識別するステップと、
(b)前記1つの基準NMRスペクトルにおけるピーク強度の領域内の前記サンプルスペクトルの相対的信号強度信号を積分し、積分結果をそれぞれの領域内の原子の数と比較して前記化合物の識別を確認するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記ステップ(a)は、前記サンプルスペクトルをスペクトルデータベース内に格納されている複数の基準NMRスペクトルと比較することを含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ステップ(a)は、前記サンプルNMRスペクトルが強度ピークを有する化学シフト位置において強度ピークを有する基準NMRスペクトルを前記複数の基準NMRスペクトルのうちから選択することをさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ステップ(a)は、前記選択された基準NMRスペクトルの強度ピークに対応する前記サンプルNMRスペクトルの強度ピークに対して線形解析および多重度解析を実行することをさらに含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記線形解析および前記多重度解析では、化合物知識ベース内に格納されている情報を使用することを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ステップ(a)および前記ステップ(b)は、前記サンプルに対して予め決定されている一組のパラメータに従って実行されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記予め決定されているパラメータは、主成分、混和物、不純物、および前記サンプル中に見つかる可能性の高い他の化合物に対応する基準NMRスペクトルを識別する情報を含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ステップ(b)は、前記予め決定されているパラメータで指定された積分方法を使用して前記サンプルスペクトルの信号強度信号を積分することを含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ステップ(b)は、前記サンプル中に存在する化合物の量を決定するためにそれぞれの基準NMRスペクトル内のピーク強度の領域内の前記サンプルスペクトルの強度信号を前記基準NMRスペクトル内のすべての陽子について積分することを含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記ステップ(b)は、前記サンプル中に存在する化合物の量を決定するためにそれぞれの基準NMRスペクトル内のピーク強度の領域内の前記サンプルスペクトルの強度信号を前記基準NMRスペクトル内のすべての原子核について積分することを含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記NMRスペクトロメーターが予め決定されている仕様通りの性能を持つことを保証するために一連のシステム適合性試験を実行することをさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項26】
前記システム適合性試験では、1H線形試験、1H感度試験、13C感度試験、および温度試験を含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記システム適合性試験は、定期的に実行されることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記システム適合性試験は、問題が検出されたときに必ず実行されることを特徴とする請求項25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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