説明

自動化機器

【課題】簡単な構成で、自動化機器1ごとや記憶装置3ごと盗難にあったときでも機密情報を読み取られることがなく、複雑な手順を要することなく記憶装置3の交換などの保守を行うことができるようにする。
【解決手段】記憶装置3を備え当該記憶装置3の情報に基づき所定の媒体を取扱う自動化機器1であって、前記自動化機器1を固定するアンカーボルト6に固定した固定部材7を備え、前記自動化機器1を強制的に持ち上げたときに、前記記憶装置3が前記固定部材7により物理的に破壊されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金自動預払機や自動発券機などの自動化機器が盗難されたときであっても、記憶装置に格納された情報漏洩を確実に防止する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、現金自動預払機や自動発券機などの自動化機器においては、個人情報や認証用のデータなどの機密性の高い情報(以下、「機密情報」という)が記憶装置に記憶されており、この自動化機器が装置ごと盗難され、筐体の開放や破壊などのタンパ行為により記憶装置に記憶された情報を読み出され、悪用されるおそれがある。
【0003】
このため、従来の自動化機器においては、機密情報を暗号化して格納したり、耐タンパ性を物理的に向上する方法として、記憶装置を覆うように設けた配線パタンの遮断や電池の取外しによる電圧の変化を検知し、盗難があったと判断したときにメモリへの電源を遮断して機密情報を消去する技術はあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−33594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の自動化機器では、盗難を検知するために複雑な監視回路を必要とし、また、自動化機器ごとや記憶装置ごと盗難にあったときは、機密情報を消去することができず機密情報を読み取られてしまうおそれがあった。
【0006】
また、保守時等において記憶装置を交換する際、複雑な手順により取り外しを行わないと、重要なデータが消去されてしまうため、保守性が悪くなるという問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述の課題を解決するため次の構成を採用する。すなわち、記憶装置を備え当該記憶装置の情報に基づき所定の媒体を取扱う自動化機器であって、前記自動化機器を固定するアンカーボルトに固定された固定部材を備え、前記自動化機器を強制的に持ち上げたときに、前記固定部材により前記記憶装置が物理的に破壊されるようにした。
【発明の効果】
【0008】
本発明の自動化機器によれば、記憶装置を備え当該記憶装置の情報に基づき所定の媒体を取扱う自動化機器であって、前記自動化機器を固定するアンカーボルトに固定された固定部材を備え、前記自動化機器を強制的に持ち上げたときに、前記固定部材により前記記憶装置が物理的に破壊されるようにしたので、簡単な構成で、自動化機器ごとや記憶装置ごと盗難にあったときでも機密情報を読み取られることがなく、複雑な手順を要することなく記憶装置の交換などの保守を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1の自動化機器の構成および動作説明図である。
【図2】実施例2の自動化機器の構成および動作説明図である。
【図3】実施例3の自動化機器の構成および動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。なお、以下の実施例の説明では、不揮発性記憶部としてハードディスクを備えた記憶装置を例として説明するが、フラッシュメモリや光ディスクなどの不揮発性の記憶部を備えた記憶装置であってもよいし、RAMなどの揮発性の記憶部を備えた記憶装置であってもよい。
【実施例1】
【0011】
(構成)
図1は、実施例1の自動化機器の構成図である。同図に示したように、実施例1の自動化機器1は、自動化機器1の制御を行う制御部2と、機密情報等を記憶する記憶装置3と、自動化機器を設置床5に固定するアンカーボルト6と、当該アンカーボルト6に連結され上端に記憶装置を物理的に破壊できる高硬度の材料からなる先の尖った破壊部材7aを備えた固定部材7と、からなる。
【0012】
なお、記憶装置3のハードディスクには、通常、無塵室にて内部のディスクの一部が参照可能なように所定の窓が設けられ、当該窓にはシール3aが貼付されるようになっている。
【0013】
そして、同図a部に示したように、破壊部材7aが記憶装置3の前記シール3aの上部に配置されている。
【0014】
(動作)
以上の構成により実施例1の自動化機器は、以下のように動作する。この動作を前述の図1を用いて以下詳細に説明する。
【0015】
まず、自動化機器1を設置するときは、図1(a)のように、自動化機器1をアンカーボルト6により設置床5に固定し、アンカーボルト6に固定部材7を取り付ける。このとき、固定部材7の上端に備えられた破壊部材7aが記憶装置3の前記シール3aの上部に配置するように取り付ける。
【0016】
そして、自動化機器1が盗難される場合は、図1(b)のように、自動化機器1がジャッキ等により矢印A方向に持ち上げられ、固定部材7の上端に備えられた破壊部材7aが記憶装置3の前記シール3aを突き破り、さらに持ち上げられると破壊部材7aにより内部のディスクが割れて破壊し、再びデータを読み出すことはできなくなる。
【0017】
なお、記憶装置3が、フラッシュメモリや光ディスクなどの不揮発性の記憶部を備えた記憶装置や、RAMなどの揮発性の記憶部を備えた記憶装置のときも、当該記憶部の上部に破壊部材7aを配置し自動化機器を強制的に持ち上げたときに破壊部材7aにてメモリICを破壊したり、ディスク表面に傷をつけるなどして破壊するようにすればよい。
【0018】
(実施例1の効果)
以上のように実施例1の自動化機器によれば、自動化機器を固定するアンカーボルトに固定された固定部材の上端に破壊部材を備え、当該破壊部材が記憶装置の窓に貼付されたシールの上部に位置するようにし、前記自動化機器を強制的に持ち上げたときに、前記記憶装置が前記破壊部材により物理的に破壊されるようにしたので、簡単な構成で、自動化機器ごとや記憶装置ごと盗難にあったときでも機密情報を読み取られることがなく、複雑な手順を要することなく記憶装置の保守を行うこともできる。
【実施例2】
【0019】
(構成)
図2は、実施例2の自動化機器の構成図である。同図に示したように、実施例2の自動化機器1では、自動化機器1を設置床5に固定するアンカーボルト6に記憶装置3を固定する固定部材7を連結した構成とし、さらに、アンカーボルト6が備えられる自動化機器1の底部には、所定の外力により自動化機器1の底部から剥離する剥離部8を備え、当該剥離部8に固定部材7が固定された構成となっている。その他の構成は実施例1の自動化機器の構成と同様であるので簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0020】
(動作)
以上の構成により実施例2の自動化機器は、以下のように動作する。この動作を前述の図2を用いて以下詳細に説明する。
【0021】
まず、自動化機器1を設置するときは、図2(a)のように、自動化機器1をアンカーボルト6により設置床5に固定し、アンカーボルト6に固定部材7を取り付ける。このとき、固定部材7にて記憶装置3を固定する。
【0022】
そして、自動化機器1が盗難される場合は、図2(b)のように、自動化機器1がジャッキ等により矢印A方向に持ち上げられ、剥離部8に所定の外力以上の力が加わって固定部材7とともに剥離部8が剥がれ、固定部材7に固定された記憶装置3も固定部材7とともに設置床5に残る。
【0023】
(実施例2の効果)
以上のように実施例2の自動化機器によれば、自動化機器を固定するアンカーボルトに固定され記憶装置を固定する固定部材と、前記アンカーボルト近傍の前記自動化機器底部に、当該アンカーボルトに固定した剥離部を備え、前記自動化機器を強制的に持ち上げたときに、前記剥離部とともに前記固定部材および前記記憶装置が設置床に残されるようにしたので、実施例1の効果に加え、記憶装置を破壊することなく機密情報を保護することができる。
【実施例3】
【0024】
(構成)
図3は、実施例3の自動化機器の構成図である。同図に示したように、実施例3の自動化機器1では、自動化機器1を設置床5に固定するアンカーボルト6に固定された剥離部8が備えられ、当該剥離部8に記憶装置3が固定された構成となっている。その他の構成は実施例1の自動化機器の構成と同様であるので簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0025】
(動作)
以上の構成により実施例3の自動化機器は、以下のように動作する。この動作を前述の図3を用いて以下詳細に説明する。
【0026】
まず、自動化機器1を設置するときは、図3(a)のように、自動化機器1をアンカーボルト6により設置床5に固定し、アンカーボルト6に固定された剥離部8の上に記憶装置3を固定する。
【0027】
そして、自動化機器1が盗難される場合は、図2(b)のように、自動化機器1がジャッキ等により矢印A方向に持ち上げられ、アンカーボルト6に固定された剥離部8に所定の外力以上の力が加わって剥離部8が剥がれ、剥離部8に固定された記憶装置3は剥離部8とともに設置床5に残る。
【0028】
(実施例3の効果)
以上のように実施例3の自動化機器によれば、アンカーボルト近傍の前記自動化機器底部に当該アンカーボルトに固定されその上部に記憶装置を固定する剥離部を備え、前記自動化機器を強制的に持ち上げたときに、前記剥離部とともに前記記憶装置が設置床に残されるようにしたので、実施例2と同様、実施例1の効果に加えて記憶装置を破壊することなく機密情報を保護することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上述べたように、本発明は、構外などに設置され機密情報を記憶する記憶装置を備えた自動化機器等に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0030】
1 自動化機器
2 制御部
3 記憶装置
5 設置床
6 アンカーボルト
7 固定部材
7a 破壊部材
8 剥離部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶装置を備え当該記憶装置の情報に基づき所定の媒体を取扱う自動化機器であって、
前記自動化機器を固定するアンカーボルトに固定された固定部材を備え、
前記自動化機器を強制的に持ち上げたときに、前記記憶装置が前記固定部材により物理的に破壊されるようにしたことを特徴とする自動化機器。
【請求項2】
前記記憶装置はハードディスクであって、
前記固定部材の端部に破壊部材を備え、
当該破壊部材が、前記ハードディスクの窓に貼付したシールの上部に位置するようにしたことを特徴とする請求項1記載の自動化機器。
【請求項3】
記憶装置を備え当該記憶装置の情報に基づき所定の媒体を取扱う自動化機器であって、
前記アンカーボルト近傍の前記自動化機器底部に、当該アンカーボルトに固定した剥離部を備え、
前記自動化機器を強制的に持ち上げたときに、前記剥離部とともに前記記憶装置が設置床に残されるようにしたことを特徴とする自動化機器。
【請求項4】
前記自動化機器を固定するアンカーボルトに固定され、前記記憶装置を固定する固定部材を備え、
前記剥離部は、前記固定部材を固定するようにしたことを特徴とする請求項3記載の自動化機器。
【請求項5】
前記剥離部は、前記記憶装置を固定するようにしたことを特徴とする請求項3記載の自動化機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−257991(P2011−257991A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132019(P2010−132019)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591051645)株式会社OKIソフトウェア (173)
【Fターム(参考)】