説明

自動原稿搬送装置及び原稿読取装置

【課題】カバーを本体にロック可能であって、当該カバーの外観をシンプルにすることが可能な自動原稿搬送装置を提供する。
【解決手段】本実施形態のADFは、ADF本体と、第1ロックピン及び第2ロックピンと、カバー11と、第1ロックレバー81及び第2ロックレバー85と、ロック解除部83と、を備える。第1ロックピン及び第2ロックピンは、ADF本体に配置される。カバー11は、ADF本体に開閉可能に支持される。第1ロックレバー81及び第2ロックレバー85は、カバー11を閉じたときに第1ロックピン及び第2ロックピンに引っ掛かることで、当該カバー11が開かないようにロックする。ロック解除部83は、カバー11のADF本体側の面であって当該カバー11の先端側の端部近傍に配置され、第1ロックレバー81及び第2ロックレバー85のロックを解除可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動原稿搬送装置、及び、原稿を当該自動原稿搬送装置で搬送しながら読み取る原稿読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動原稿搬送装置(オートドキュメントフィーダ、ADF)及び画像形成装置等において、ジャム原稿の除去等の各種メンテナンス作業を容易にするために、内部を開放可能なカバーを備える構成をとることがある。
【0003】
また、このようなカバーを備えた装置において、カバーが閉じているときに当該カバーが不用意に開くことを防止するために、ロック機能を備えた構成が知られている。特許文献1及び特許文献2は、この種のカバーを備えた画像形成装置を開示する。
【0004】
特許文献1の画像形成装置は、画像形成装置本体の上面を覆う上カバー部材を備えている。この上カバー部材はその端部に、支軸と、当該支軸に取り付けられたロック爪と、を備えている。そして、このロック爪が装置本体の係合部と係合することで、上カバー部材が開かないようにロックしている。また、上カバー部材の上面であってロック爪と同支軸上には、操作レバーが配置されている。この操作レバーを回動することで、ロック爪が回動して装置本体の係合部とロック爪との係合が外れ、上カバー部材のロックを解除することができる。
【0005】
特許文献2の画像形成装置は、画像形成装置本体の側面にジャムアクセスカバーを備えている。このジャムアクセスカバーは、その内側に、鉤状のフックを備えている。このフックは、装置本体の受け部と係合することで、ジャムアクセスカバーが開かないようにロックしている。また、ジャムアクセスカバーの側面には操作ノブが形成されており、この操作ノブを回動させることで、フックを受け部から離すことができ、ジャムアクセスカバーのロックを解除することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−86628号公報
【特許文献2】特開2006−39170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記で説明したカバーだけでなく、自動原稿搬送装置及び画像形成装置等が備えるカバーのロックを解除するための操作部は、一般的に当該カバーの外側に配置されている。
【0008】
しかし、操作部をカバーの外側に配置すると、カバーの外側の面に凹凸形状及び溝等が形成されることになる。そして、この凹凸形状及び溝等に原稿が引っ掛かってしまうことがあった。
【0009】
また、このような操作部をカバーの外側に配置することにより、凹凸形状及び溝等が装置の外観を損なわせることがあった。
【0010】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、カバーを本体にロック可能であって、当該カバーの外観をシンプルにすることが可能な自動原稿搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0012】
本発明の観点によれば、以下の構成の自動原稿搬送装置が提供される。即ち、この自動原稿搬送装置は、本体と、本体側ロック部と、カバーと、カバー側ロック部と、ロック解除部と、を備える。前記本体側ロック部は、前記本体に配置される。前記カバーは、前記本体に開閉可能に支持される。前記カバー側ロック部は、前記カバーを閉じたときに前記本体側ロック部に引っ掛かることで、当該カバーが開かないようにロックする。前記ロック解除部は、前記カバーの前記本体側の面であって当該カバーの回転軸から遠い側である先端側の端部近傍に配置され、前記カバー側ロック部のロックを解除可能である。
【0013】
即ち、ロック解除部がカバーの外側に露出していると、このロック解除部に原稿等が引っ掛かることがあった。この点、上記の構成によれば、ロック解除部がカバーの内側に配置されているため、カバーの外側の面を平坦にすることができ、原稿等の引っ掛かりを防止できる。また、自動原稿搬送装置の外観をシンプルにすることができる。
【0014】
前記の自動原稿搬送装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この自動原稿搬送装置は、前記ロック解除部と前記カバー側ロック部とを接続する回転軸を備える。前記ロック解除部は、操作部と、接続部と、を備える。前記操作部は、前記回転軸よりも先端側に配置され、ユーザが操作するためのものである。前記接続部は、前記操作部と前記回転軸とを接続する。前記カバー側ロック部は、前記操作部に加えられた操作力により回転動作を行い、当該回転動作によって前記カバーのロックを解除可能である。
【0015】
これにより、回転軸の回転軸線と操作部との間の空間を有効に活用することができる。そのため、カバーを小型化することができ、コンパクトな自動原稿搬送装置が実現できる。
【0016】
前記の自動原稿搬送装置においては、前記カバーの本体側の面には、前記操作部と、前記回転軸の回転軸線と、の間に、給紙に関するローラが配置されることが好ましい。
【0017】
これにより、ピックアップローラ等の給紙に関するローラをカバーの先端側に配置することができるので、カバーの基端側の端部から先端側の端部までの長さを短くすることができる。
【0018】
前記の自動原稿搬送装置においては、ロックを解除するために前記ロック解除部を回転させる方向は、前記カバーを開ける方向と同じであることが好ましい。
【0019】
これにより、ロックを解除するためにユーザがロック解除部に加える力の方向と、カバーを開けるためにユーザが当該カバーに加える力の方向と、を同じにすることができる。そのため、ユーザは、簡単な方法で、ロックを解除させつつカバーを開けることができる。
【0020】
前記の自動原稿搬送装置においては、前記ロック解除部は、搬送される原稿の幅方向中央に位置していることが好ましい。
【0021】
これにより、カバーに均等に力を加えることができるため、カバーの開放をスムーズに行うことができる。
【0022】
前記の自動原稿搬送装置においては、前記ロック解除部には、搬送される原稿をガイドするガイド部が形成されることが好ましい。
【0023】
これにより、ロック解除部が原稿の搬送を邪魔することを防止できる。また、ロック解除部にガイド部を形成することで、部品点数を減らすことができるためコストを削減できる。
【0024】
前記の自動原稿搬送装置においては、前記ロック解除部に加えて、第2ロック解除部を備えることが好ましい。
【0025】
これにより、様々な位置からカバーのロックを解除することができる。
【0026】
本発明の別の観点によれば、前記の自動原稿搬送装置を備えた原稿読取装置が提供される。
【0027】
これにより、外観がシンプルな自動原稿搬送装置を備えた原稿読取装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係る複合機の外観斜視図。
【図2】カバーが閉じているときの自動原稿搬送装置の正面断面図。
【図3】カバーが開いているときの自動原稿搬送装置の正面断面図。
【図4】ADF本体側のカバーの様子を示す斜視図。
【図5】ADF本体の上面の構成を説明する模式図。
【図6】第1ロックレバーと第1ロックピンとによってロック及びその解除が行われる様子を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る複合機20の外観斜視図である。
【0030】
複合機20は、コピー機能及びファクシミリ機能を備えており、図1に示すように、ブックスキャナ及びオートドキュメントフィードスキャナとして機能するイメージスキャナ装置(原稿読取装置)10を、当該複合機20の上部に備えている。また、複合機20は、コピー部数、ファクシミリ送信先及び原稿読取等を指示するための操作パネル77を備える。
【0031】
更に、複合機20は、記録媒体としての用紙に画像を形成する画像形成部等を内蔵した複合機本体78と、前記用紙を順次供給する給紙カセット79と、を備えている。この複合機本体78は、通信回線を介して画像データを伝送するための図略の送受信部等を備える。
【0032】
次に、図2及び図3を参照して、複合機20が備えるイメージスキャナ装置10について説明する。図2は、カバーが閉じているときの自動原稿搬送装置の正面断面図である。図3は、カバーが開いているときの自動原稿搬送装置の正面断面図である。
【0033】
図2に示すように、イメージスキャナ装置10は、プラテンガラス22と原稿台カバー21とを備えている。この原稿台カバー21には自動原稿搬送装置(オートドキュメントフィーダ、ADF)25が備えられている。また、イメージスキャナ装置10は、原稿の画像を読み取るための本体側スキャナユニット50及びADF側スキャナユニット60を備えている。
【0034】
このイメージスキャナ装置10をオートドキュメントフィードスキャナとして使用する場合は、前記ADF25によって原稿を1枚ずつ搬送する。そして、原稿の表側の面(第1面)の画像は本体側スキャナユニット50によって読み取られ、裏側の面(第2面)の画像はADF側スキャナユニット60によって読み取られる。
【0035】
一方、イメージスキャナ装置10をブックスキャナとして使用する場合は、読み取るべきブック原稿をユーザがプラテンガラス22上に載置して、その上から原稿台カバー21によって押圧し、ブック原稿が動かないように固定する。この状態で、本体側スキャナユニット50によって原稿の画像を読み取ることができるようになっている。
【0036】
図2に示すように、前記原稿台カバー21が備えるADF25は、原稿台カバー21の上部に設けられた原稿トレイ23と、この原稿トレイ23の下方に設けられた排出トレイ24と、を備える。また、ADF25は、ADF本体(本体)16と、その上側を覆うカバー11とを備えている。
【0037】
このカバー11は、図3に示すように、カバー回動軸15を介してADF本体16に回動可能に支持されている。そして、カバー11を閉めたときに、当該カバー11が不用意に開くことのないように、ロックが掛かるように構成されている。なお、このカバー11及びロック機能の詳細については後述する。
【0038】
図2に示すように、前記原稿台カバー21の内部には、原稿トレイ23と排出トレイ24とを繋ぐ湾曲状(正面視で横向きU字状)の原稿搬送経路30が構成されている。この構成で、原稿トレイ23に重ねてセットされた原稿は、1枚ずつ分離されて前記原稿搬送経路30に沿って搬送され、排出トレイ24へ排出される。原稿の読取開始等の指示は、図1に示す操作パネル77によって行うことができる。
【0039】
次に、原稿搬送経路30に沿って、ADF25の各部の構成を詳細に説明する。
【0040】
図2に示すように、原稿トレイ23から原稿搬送経路30に原稿が供給される箇所にはピックアップローラ31が配置されている。このピックアップローラ31の下流側には分離ローラ32が備えられる。また、カバー11を閉じたときにこの分離ローラ32に対向するように対向ローラ33が配置されている。
【0041】
この構成で、ピックアップローラ31が駆動されることによって、原稿トレイ23上の最上層の原稿がADF25内に繰り込まれる。原稿はピックアップローラ31の駆動によって分離ローラ32へ送られ、当該分離ローラ32と対向ローラ33との間にニップされる。そして原稿は、原稿搬送方向に回転駆動する分離ローラ32と、原稿搬送方向とは逆方向に回転駆動する対向ローラ33と、によって1枚ずつ分離され、原稿搬送経路30の下流側へ搬送される。
【0042】
分離ローラ32の下流側には、レジストローラ39と、このレジストローラ39と対になるプレスローラ37と、が配置されている。レジストローラ39はプレスローラ37とともに、分離ローラ32によって搬送されてくる原稿の先頭側を一時的に止めて弛ませ、所定時間後に弛みを除去しつつ下流側に搬送する。これにより、原稿の斜行が矯正される。
【0043】
レジストローラ39の下流側には、複数の搬送ローラ34,35が設けられる。また、この搬送ローラ34,35のそれぞれに対向するようにローラが配置されている。前記レジストローラ39の駆動によって下流側へ搬送された原稿は、搬送ローラ34,35とそれらに対向するローラとによりニップされて、更に下流側へ搬送される。
【0044】
2つの搬送ローラ34,35の間には第1原稿読取位置59が設定されており、この第1原稿読取位置59にはプラテンローラ29が配置されている。そして、この第1原稿読取位置59を通過する原稿は、後述の本体側スキャナユニット50によって走査され、読み取られる。
【0045】
次に、本体側スキャナユニット50について説明する。この本体側スキャナユニット50は、ADF25及びプラテンガラス22の下方(前記原稿搬送経路30の外側)に配置されている。また、この本体側スキャナユニット50は、光源51と、反射ミラー52,53,54と、集光レンズ55と、本体側CCD56と、を備えている。光源51はADF25の第1原稿読取位置59(又はプラテンガラス22)に対して光を照射し、反射ミラー52,53,54は原稿からの反射光を反射させる。そしてこの反射光を集光レンズ55で収束させて、この収束光が本体側CCD56の部分で結像するように構成されている。
【0046】
本体側スキャナユニット50の光源51及び反射ミラー52等は移動可能に構成されている。前述したようにイメージスキャナ装置10をブックスキャナとして使用する場合は、本体側スキャナユニット50の光源51及び反射ミラー52等をプラテンガラス22に沿って移動させる。これによって、プラテンガラス22上に載置された原稿を読み取ることができるようになっている。
【0047】
一方、イメージスキャナ装置10をオートドキュメントフィードスキャナとして使用する場合は、光源51及び反射ミラー52等は、図2に示すように、前記第1原稿読取位置59に対向する位置まで移動させて静止させておく。この状態でADF25を駆動することにより、原稿搬送経路30を搬送されて第1原稿読取位置59を通過する原稿の表側の面を、本体側スキャナユニット50が走査して読み取ることができる。
【0048】
本体側スキャナユニット50において、原稿からの反射光は前述のとおり本体側CCD56へ導かれて結像し、本体側CCD56は原稿の画像情報に応じた電気信号を出力する。この信号は適宜変換処理され、複合機20が備える画像形成部に送信される。そして、この送信された画像情報が画像形成部によって記録媒体としての用紙に転写されることで、複合機20のコピー機能等が実現される。
【0049】
原稿搬送経路30において、前記第1原稿読取位置59の下流側(搬送ローラ35の下流側)には第2原稿読取位置69が設定されている。この第2原稿読取位置69を通過する原稿の裏面は、次に説明するADF側スキャナユニット60によって走査されて読み取られる。
【0050】
ADF側スキャナユニット60について説明する。このADF側スキャナユニット60は、U字状に構成された前記原稿搬送経路30に内側から接するように、当該原稿搬送経路30の内側に設置されている。また、ADF側スキャナユニット60は、ADF25の内部に保持されるスキャナフレーム12を備えている。このスキャナフレーム12は、内部の光学系を構成する部品等を支持するとともに、その外側を覆って保護するように構成されている。
【0051】
スキャナフレーム12の底部には、原稿の裏面を読み取るための読取ガラス68が備えられる。この読取ガラス68は、前記第2原稿読取位置69に対応する位置に配置される。
【0052】
また、スキャナフレーム12の前記第2原稿読取位置69に対向するように、プラテンローラ38がADF25に配置されている。この構成で、前記搬送ローラ35により搬送された原稿がプラテンローラ38の部分に差し掛かると、当該原稿はプラテンローラ38により搬送されながらその裏側の面が走査されて読み取られる。
【0053】
以上のようにして2つの原稿読取位置で表裏両面の内容を読み取られた原稿は、排出ローラ36によって搬送され、排出トレイ24へ排出される。このようにして、原稿搬送経路30に原稿を1回通過させるだけで両面読取が可能な構成の、いわゆるワンパス方式のADF25が構成されている。
【0054】
次に、ADF側スキャナユニット60において構成される縮小光学系について説明する。図2に示すように、ADF側スキャナユニット60は、光源61と、反射ミラー62,63,64,65と、集光レンズ67と、イメージセンサとしてのADF側CCD57と、を備えている。これらの部品は、何れもスキャナフレーム12の内部に配置されている。
【0055】
光源61は読取ガラス68を臨むように配置されており、当該読取ガラス68を介して第2原稿読取位置69に光を照射することができる。反射ミラー62,63,64,65は、原稿からの反射光を更に複数回折り返すように反射させ、集光レンズ67に導くように構成されている。
【0056】
集光レンズ67は光を収束させてADF側CCD57の部分に結像させ、ADF側CCD57は、本体側スキャナユニット50における本体側CCD56と同様に、原稿の画像情報に応じた電気信号を出力する。この信号も適宜変換処理され、複合機20が備える画像形成部に送信される。
【0057】
次に、図4及び図5を参照して、カバー11に配置された部品の構成について詳細に説明する。図4は、ADF本体16側のカバー11の様子を示す斜視図である。図5は、ADF本体16の上面の構成を説明する模式図である。なお、以下の説明において、カバー11において、カバー回動軸15を有する側(図4における略下側)を「基端側」と称するとともに、その反対側(図4における略上側)を「先端側」と称する。
【0058】
カバー11の最も基端側には、図4に示すように、カバー取付孔73と、カバー取付軸72と、が形成されている。そして、図5に示すように、ADF本体16には、カバー取付孔73を挿入可能なカバー取付軸93と、カバー取付軸72を回動可能に取り付けるためのカバー取付孔92と、が形成されている。そして、カバー11は、カバー取付軸72の中心と、カバー取付軸93の中心と、を通る線を前記カバー回動軸15として、カバー11をADF本体16に対して開閉させることができる。
【0059】
また、カバー11は、図4に示すように、中央部よりもやや基端側において屈曲している。この屈曲している箇所には、プレスローラ37が3つ並んで配置されている。プレスローラ37は、図2に示すように、ADF本体16が備えるレジストローラ39と対向するように配置されている。また、このプレスローラ37は、プレスローラ軸42によって支持されており、このプレスローラ軸42は、付勢バネ40によってレジストローラ39と対向する方向に付勢されている。この構成により、プレスローラ37は、レジストローラ39に対して押圧できるようになっている。
【0060】
また、カバー11の中央部よりやや先端側には、カバー側ギア46が配置されている。このカバー側ギア46は、カバー11を閉じたときに図5に示す本体側ギア96と噛み合うように構成されている。本体側ギア96は、ADF本体16が備える図略の駆動装置からの動力が伝達されることによって回転可能になっており、カバー11が閉じた状態で本体側ギア96が回転することにより、カバー側ギア46も回転する。
【0061】
このカバー側ギア46は、分離ローラ軸41と相対回転不能に接続されているため、カバー側ギア46が回転することにより分離ローラ軸41も回転する。そして、この分離ローラ軸41が回転することにより、当該分離ローラ軸41に相対回転不能に接続された分離ローラ32も回転する。分離ローラ32は、適宜の駆動伝達機構43を介してピックアップローラ31と連結されているため、分離ローラ32が回転することにより、ピックアップローラ31も回転する。このようにして、ADF本体16が備える駆動装置からの動力がピックアップローラ31及び分離ローラ32に伝達されている。
【0062】
なお、分離ローラ32は、図2に示すように、カバー11を閉じたときに対向ローラ33と接触するように構成されている。
【0063】
また、カバー11の先端側の端部近傍には、カバー11のロック及びその解除を行うためのロック機構80が配置されている。ここで、先端側の端部近傍とは、先端側の端部からユーザの指が届く範囲のことを示している。このロック機構80は、第1ロックレバー(カバー側ロック部)81と、第1レバー軸(回転軸)82と、ロック解除部83と、第2レバー軸(回転軸)84と、第2ロックレバー(カバー側ロック部)85と、を主要な構成として備えている。また、本実施形態のロック機構80は、各構成要素を一体的に成形、又は相対回転不能に接続しているため、ロック機構80の1つの構成要素を回動させると他の構成要素も同方向に回動するようになっている。
【0064】
第1ロックレバー81は、カバー11をロックするためのものであり、カバー11を閉じたときに、図5に示す第1ロックピン(本体側ロック部)91に引っ掛かるように構成されている。また、この第1ロックレバー81は、第1レバー軸82と接続されている。
【0065】
第1レバー軸82は、円柱状に構成されており、幅方向の中央近傍には、径方向に突出する突起が形成されている。この突起には第1コイルバネ74が取り付けられており、第1レバー軸82に形成された突起を、カバー11の基端側へ引っ張っている。そのため、第1ロックレバー81は、図4の矢印方向に力を受けて、この方向へ回動している。また、第1レバー軸82の端部には、ロック解除部83が接続されている。
【0066】
ロック解除部83は、カバー11を閉じた状態でロックが掛かっているときに当該ロックを解除するためのものである。このロック解除部83は、第1接続板(接続部)101と、解除ノブ(操作部)102と、リブ(ガイド部)113と、第2接続板(接続部)104と、を備えている。なお、本実施形態において、このロック解除部83は、一体的に成形されている。
【0067】
第1接続板101は、カバー11の先端側へ突出するように構成されている。この第1接続板101は、基端側の端部において第1レバー軸82と接続されており、先端側の端部において解除ノブ102と接続されている。
【0068】
解除ノブ102は、ロック解除部83のうち、ユーザがカバー11のロックを解除するときに操作する箇所である。前述のように、第1ロックレバー81及び第2ロックレバー85は、第1コイルバネ74及び第2コイルバネ75から力を受けて、図4の矢印の方向に回動している。しかし、ユーザが解除ノブ102を図4の白抜き矢印の方向に回動させることで、第1ロックレバー81及び第2ロックレバー85を、図4の矢印と反対の方向に回動させることができる。
【0069】
また、解除ノブ102には、互いに平行に配置された複数のリブ113が下向きに突出するように形成されている。このリブ113の先端部(下端部)は、原稿搬送方向下流側に近づくに従って突出量を緩やかに増大させるように形成されており、側面視において図2に示すような傾斜状に構成されている。この形状により、原稿を搬送するときに解除ノブ102に引っ掛からないようにすることができる。
【0070】
第2接続板104は、第1接続板101と同形状の部材として構成されている。この第2接続板104は、基端側の端部において第2レバー軸84と接続されており、先端側の端部において解除ノブ102と接続されている。
【0071】
第2レバー軸84、第2ロックレバー85、及び、第2コイルバネ75の構成及び配置については、上記の第1レバー軸82、第1ロックレバー81、及び第1コイルバネ74と実質的に同様であるため、説明を省略する。
【0072】
このように、ロック機構80はクランクとして構成されているため、ロック解除部83が形成する凹み部分を有効に活用することで、カバー11のADF本体16側の空間を有効に利用することができる。本実施形態では、この凹み部分にピックアップローラ31が入り込むように配置されている。
【0073】
次に、図6を参照して、カバー11のロック及びそれを解除する仕組みについて説明する。図6は、第1ロックレバー81と第1ロックピン91とによってロック及びその解除が行われる様子を説明する模式図である。なお、ここでは、第1ロックレバー81及び第1ロックピン91について説明するが、第2ロックレバー85及び第2ロックピン(本体側ロック部)95についても同様の動作が行われるため、説明を省略する。
【0074】
初めに、カバー11をロックするときについて説明する。本実施形態のADF25は、カバー11を閉じただけで自動的にロックが掛かるようになっている。具体的には、カバー11を閉じていくと、図6(a)に示すように、第1ロックレバー81に形成されている傾斜面121が第1ロックピン91に当接し、その後は第1ロックピン91が傾斜面121を押すので、第1ロックレバー81が回動する。そして、カバー11を更に閉じていくことで、図6(b)に示すように、第1ロックレバー81に形成されている凹部122に第1ロックピン91が入り込む。
【0075】
第1ロックピン91が凹部122に入った状態では、カバー11に開閉方向のどちらに力を加えても、第1ロックピン91が凹部122に嵌まっているため、カバー11は動くことがない。また、第1コイルバネ74による付勢力が働いているため、第1ロックピン91が凹部122から抜けることもない。
【0076】
このロック状態から当該ロックを解除するためには、ユーザが解除ノブ102を図4の矢印の反対方向に回動させれば良い。この方向に解除ノブ102が回動することにより、第1ロックレバー81は、図6(c)で示す方向に力を受けて、図6(c)に2点鎖線で示す位置に移動する。この状態のままカバー11を開ける方向に力を加えることで、図6(d)に示すように、カバー11を開けることができる。
【0077】
なお、本実施形態のイメージスキャナ装置10は、ロック解除部83に加えて解除板(第2ロック解除部)89を備える構成となっている。この解除板89は、第1レバー軸82に固定されており、解除板89を回動させることで、第1ロックレバー81及び第2ロックレバー85を同方向に回動させることができる。そのため、ユーザは、解除ノブ102だけでなく解除板89を操作することによっても、カバー11のロックを解除してカバーを開けることができる。
【0078】
この解除板89は、解除ノブ102よりも手前側に配置されており、また、カバー11の上面に露出する構成となっている。従って、例えばユーザが原稿を一時的に脇に挟んでいるなどして、装置の正面側から解除ノブ102まで手を伸ばすのが難しい場合等においては、手前側の解除板89を利用してカバー11を開けることもでき、作業性が向上されている。
【0079】
以上に説明したように、本実施形態のADF25は、ADF本体16と、第1ロックピン91及び第2ロックピン95と、カバー11と、第1ロックレバー81及び第2ロックレバー85と、ロック解除部83と、を備える。第1ロックピン91及び第2ロックピン95は、ADF本体16に配置される。カバー11は、ADF本体16に開閉可能に支持される。第1ロックレバー81及び第2ロックレバー85は、カバー11を閉じたときにそれぞれ第1ロックピン91及び第2ロックピン95に引っ掛かることで、当該カバー11が開かないようにロックする。ロック解除部83は、カバー11のADF本体16側の面であって当該カバー11の先端側の端部近傍に配置され、第1ロックレバー81及び第2ロックレバー85のロックを解除可能である。
【0080】
これにより、ロック解除部83がカバー11の内側に配置されているためカバー11の外側の面を平坦にすることができ、原稿等が当該ロック解除部83に引っ掛かることを防止できる。
【0081】
また、本実施形態のADF25は、ロック解除部83と第1ロックレバー81とを接続する第1レバー軸82を備える。また、ADF25は、ロック解除部83と第2ロックレバー85とを接続する第2レバー軸84を備える。ロック解除部83は、解除ノブ102と、第1接続板101と、第2接続板104と、を備える。解除ノブ102は、第1レバー軸82及び第2レバー軸84よりも先端側に配置され、ユーザが操作するためのものである。第1接続板101は解除ノブ102と第1レバー軸82とを接続し、第2接続板104は、解除ノブ102と第2レバー軸84とを接続する。第1ロックレバー81及び第2ロックレバー85は、解除ノブ102に加えられた操作力により回転動作を行い、当該回転動作によってカバー11のロックを解除可能である。
【0082】
これにより、解除ノブ102よりも基端側の空間を有効に活用することができる。そのため、カバー11を小型化することができ、コンパクトなADF25が実現できる。
【0083】
また、本実施形態のADF25においては、カバー11のADF本体16側の面には、解除ノブ102と、第1レバー軸82の回転軸線と、の間に、ピックアップローラ31が配置される。
【0084】
これにより、ピックアップローラ31をカバー11の先端側に配置することができるので、カバー11の基端側の端部から先端側の端部までの長さを短くすることができる。
【0085】
また、本実施形態のADF25において、ロックを解除するためにロック解除部83を回転させる方向は、カバー11を開ける方向と同じである。
【0086】
これにより、ロックを解除するためにユーザがロック解除部83に加える力の方向と、カバー11を開けるためにユーザが当該カバー11に加える力の方向と、を同じにすることができる。そのため、ユーザは、ワンアクションでロックを解除させつつカバー11を開けることができる。
【0087】
また、本実施形態のADF25において、ロック解除部83は、搬送される原稿の幅方向中央に位置している。
【0088】
これにより、カバー11に均等に力を加えることができるため、カバー11の開放をスムーズに行うことができる。
【0089】
また、本実施形態のADF25においては、ロック解除部83には、搬送される原稿をガイドするリブ113が形成される。
【0090】
これにより、ロック解除部83が原稿の搬送を邪魔することを防止できる。また、ロック解除部83にリブ113を形成することで、部品点数を減らすことができるためコストを削減できる。
【0091】
また、本実施形態のADF25においては、ロック解除部83に加えて、解除板89を備える。
【0092】
これにより、様々な位置からカバー11のロックを解除することができる。
【0093】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0094】
上記実施形態では、ロックレバー及びロックピンを2つずつ備える構成であるが、ロックレバー及びロックピンを1つずつ備える構成にしても良い。
【0095】
上記実施形態では、解除板89を備える構成であるが、解除板89を備えずにカバー11のロックの解除を解除ノブ102のみで行う構成にしても良い。この場合、カバー11の上面のすっきりした外観を実現できる。
【0096】
上記実施形態では、第1ロックピン91に第1ロックレバー81の凹部122を嵌め込むようにしてロックをする構成であるが、凹部に代えてフック状の部材を引っ掛ける構成にしても良い。
【0097】
複合機20に代えて、例えば、コピー機、ファクシミリ装置等にも、上記実施形態のイメージスキャナ装置10を適用することができる。
【0098】
上記実施形態ではイメージスキャナ装置10は複合機20の一部として備えられているが、この構成に代えて、単体のイメージスキャナ装置として構成することができる。
【符号の説明】
【0099】
10 イメージスキャナ装置(原稿読取装置)
11 カバー
16 ADF本体(本体)
25 ADF(自動原稿搬送装置)
81 第1ロックレバー(カバー側ロック部)
82 第1レバー軸(回転軸)
83 ロック解除部
84 第2レバー軸(回転軸)
85 第2ロックレバー(カバー側ロック部)
89 解除板(第2ロック解除部)
91 第1ロックピン(本体側ロック部)
95 第2ロックピン(本体側ロック部)
101 第1接続板(接続部)
102 解除ノブ(操作部)
104 第2接続板(接続部)
113 リブ(ガイド部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体に配置される本体側ロック部と、
前記本体に開閉可能に支持されるカバーと、
前記カバーを閉じたときに前記本体側ロック部に引っ掛かることで、当該カバーが開かないようにロックするカバー側ロック部と、
前記カバーの前記本体側の面であって当該カバーの回転軸から遠い側である先端側の端部近傍に配置され、前記カバー側ロック部のロックを解除可能なロック解除部と、
を備えることを特徴とする自動原稿搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動原稿搬送装置であって、
前記ロック解除部と前記カバー側ロック部とを接続する回転軸を備え、
前記ロック解除部は、
前記回転軸よりも先端側に配置され、ユーザが操作するための操作部と、
前記操作部と前記回転軸とを接続する接続部と、
を備え、
前記カバー側ロック部は、前記操作部に加えられた操作力により回転動作を行い、当該回転動作によって前記カバーのロックを解除可能であることを特徴とする自動原稿搬送装置。
【請求項3】
請求項2に記載の自動原稿搬送装置であって、
前記カバーの本体側の面には、前記操作部と、前記回転軸の回転軸線と、の間に、給紙に関するローラが配置されることを特徴とする自動原稿搬送装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の自動原稿搬送装置であって、
ロックを解除するために前記ロック解除部を回転させる方向は、前記カバーを開ける方向と同じであることを特徴とする自動原稿搬送装置。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載の自動原稿搬送装置であって、
前記ロック解除部は、搬送される原稿の幅方向中央に位置していることを特徴とする自動原稿搬送装置。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載の自動原稿搬送装置であって、
前記ロック解除部には、搬送される原稿をガイドするガイド部が形成されることを特徴とする自動原稿搬送装置。
【請求項7】
請求項1から6までの何れか一項に記載の自動原稿搬送装置であって、
前記ロック解除部に加えて、第2ロック解除部を備えることを特徴とする自動原稿搬送装置。
【請求項8】
請求項1から7までの何れか一項に記載の自動原稿搬送装置を備えることを特徴とする原稿読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−130161(P2011−130161A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286372(P2009−286372)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】