説明

自動原稿搬送装置

【課題】安価な構成で搬送路カバーが閉じていくときの衝撃緩和を行うことが可能な自動原稿搬送装置を提供する。
【解決手段】原稿画像読み取り位置へ原稿7を搬送する原稿搬送路70と、搬送路70を保持するフレーム本体361と、フレーム本体261に対して開閉可能であり、開いたときに搬送路70を露出させる読取ユニット筐体360と、読取ユニット筐体360を閉じるときの衝撃を緩和する衝撃緩和機構40と、を備え、衝撃緩和機構40は、フレーム本体361に設けられた突起41と、読取ユニット筐体360に設けられた干渉部材42と、を備え、読取ユニット筐体360が閉じていく途中において、干渉部材42が突起41を乗り越えながら移動することで衝撃を緩和するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿画像読み取り位置へ原稿を搬送する原稿搬送路と、前記原稿搬送路を保持するフレーム本体と、前記フレーム本体に対して開閉可能であり、開いたときに前記原稿搬送路を露出させる搬送路カバーと、前記搬送路カバーを閉じるときの衝撃を緩和する衝撃緩和機構と、を備えた自動原稿搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
かかる自動原稿搬送装置として、下記特許文献に開示される装置が知られている。自動原稿搬送装置は、原稿載置部に載置された原稿を1枚ずつ原稿搬送路に送り込み、搬送路の途中に設けられた画像読取部で原稿画像を読み取ったのち、排紙トレイに原稿を排出する機能を有している。
【0003】
このような原稿搬送路を有する装置の場合、搬送途中で原稿の搬送詰まり(ジャム)が生じることがある。その場合、原稿を搬送路から取り除くため、原稿搬送路を開放させる搬送路カバーが設けられている。ジャムを解除するときは、作業者が搬送路カバーを手で持ち上げて原稿を取り除き、再び搬送路カバーを閉じるようにしている。この場合、うっかりと搬送路カバーを手放すことがある。その結果、搬送路カバーが自重で閉鎖位置まで落下することになり、手を挟んでしまうという問題、あるいは、部品の損傷が生じるという問題が生じる。
【0004】
かかる問題に対処するため、下記特許文献では、搬送路カバーの開閉時の衝撃を緩和する機能を設けている。具体的には、搬送路カバーの回転支点にトルクリミッタを設け、負荷トルクの制動により、搬送路カバーが勢いよく落下しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−45695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、トルクリミッタを用いる構成はコスト高になるという問題がある。本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、安価な構成で搬送路カバーが閉じていくときの衝撃緩和を行うことが可能な自動原稿搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明に係る自動原稿搬送装置は、
原稿画像読み取り位置へ原稿を搬送する原稿搬送路と、前記原稿搬送路を保持するフレーム本体と、前記フレーム本体に対して開閉可能であり、開いたときに前記原稿搬送路を露出させる搬送路カバーと、前記搬送路カバーを閉じるときの衝撃を緩和する衝撃緩和機構と、を備えた自動原稿搬送装置であって、
前記衝撃緩和機構は、
前記フレーム本体と、前記搬送路カバーの一方に設けられた突起と、
前記フレーム本体と、前記搬送路カバーの他方に設けられた干渉部材と、を備え、
前記搬送路カバーが閉じていく途中において、前記干渉部材が前記突起を乗り越えながら移動することで衝撃を緩和するように構成したことを特徴とするものである。
【0008】
かかる構成による自動原稿搬送装置の作用・効果を説明する。この自動原稿搬送装置は、搬送路カバーを閉じるときの衝撃を緩和する衝撃緩和機構を備えており、この衝撃緩和機構は、突起と干渉部材により構成される。搬送路カバーが閉じていくときは、干渉部材が突起を乗り越える必要があるので、勢いよく落下することを緩和することができる。また、突起と干渉部材の組み合わせで衝撃緩和機構を構成できるので、トルクリミッタを用いる構成に比べると、安価なコストで実現することができる。
【0009】
本発明に係る干渉部材は、前記突起を乗り越えるときに弾性変形するように構成されていることが好ましい。
【0010】
干渉部材が弾性変形することで、搬送路カバーを開閉するときに、必要以上に大きな力を要することなく開閉することができる。
【0011】
本発明に係る干渉部材は、先端に爪部が形成され、根元に対して前記爪部が弾性変形可能に構成され、前記爪部が前記突起を乗り越えるときに弾性変形するように構成されていることが好ましい。
【0012】
干渉部材として、先端に爪部が形成された部材とすることで、他の部材との一体形成も可能であり、コスト的な利点が大きくなる。また、爪部が弾性変形する構成であれば、搬送路カバーの開閉動作も無理なく行うことができる。
【0013】
本発明に係る突起は、第1傾斜面と第2傾斜面を有しており、前記搬送路カバーを開くときは、前記爪部は前記第1傾斜面を乗り越え、前記搬送路カバーを閉じるときは、前記爪部は前記第2傾斜面を乗り越えるように構成され、前記第2傾斜面のほうが前記第1傾斜面よりも、前記爪部の移動方向に対する傾斜角度が垂直に近くなるように設定していることが好ましい。
【0014】
上記のように構成すれば、開くときは第1傾斜面を爪部が乗り越え、閉じるときは第2傾斜面を爪部が乗り越える。この場合、開くときの乗り越える力が小さくするほうが好ましい。そこで、第2傾斜面の方が第1傾斜面よりも、前記爪部の移動方向に対する傾斜角度が垂直に近くなっているので、閉じるときの方が傾斜面を乗り越える力を大きく設定し、開くときは、相対的に小さな力で搬送路カバーを開くように設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態の自動原稿搬送装置を備えた画像形成装置を示す概略縦断面図
【図2】図1の実施形態のADF部(Xで示す)の拡大断面図
【図3】ADFカバーと読取ユニット筐体を開いた状態を示す図
【図4】図3のYで囲んだ部分を示す部分拡大斜視図
【図5】衝撃緩和機構を上方から見た模式的な平面図
【図6】衝撃緩和機構を側方から見た模式図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る自動原稿搬送装置を備えた画像形成装置の好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1は本実施形態の自動原稿搬送装置を備えた画像形成装置を示す概略縦断面図である。
【0017】
図1に示す画像形成装置1は、複写機能、ファクシミリ機能及びプリンタ機能を兼ね備えた所謂デジタル複合機であるが、複写装置、ファクシミリ装置或いはプリンタ装置として具現化されるものであっても良い。図例の画像形成装置1は、上部から自動原稿送り装置(ADF)2、画像読取部3、画像記録部及び記録紙供給部が積層状態で構成されている。画像記録部及び記録紙供給部は、画像読取部3の下部に配置されるが図示を省略する。
【0018】
画像読取部3は、第1の画像読取部としてのADF原稿読取部31とフラットベッドスキャナー(FBS)32とにより構成される。図1は、読取走査装置30が、ADF2によって順次搬送される原稿の表面画像を読取るべくADF原稿読取部31に静止している状態を示している。FBS32において画像読取を行う場合は、読取走査装置30がFBS32に移動し、プラテンガラス33の下を左右に往復移動しながら、プラテンガラス33の上に下向きに置かれた原稿の画像を読取る。
【0019】
読取走査装置30は、光源と、複数のミラーと、集光レンズと、CCDとを走査キャリッジ内に搭載して構成されている。走査キャリッジは、画像読取部筐体34内において、不図示の駆動装置によって、前記ADF原稿読取部31への移動及び静止、FBS32への移動及び往復移動可能に設置されている。そして、各読取部において、光源によって照射された原稿画像は、CCDで結像されて電気信号に変換されて送出される。画像読取部筐体34の前面側には、不図示の操作パネル部が形成され、その表面には各種操作キー及び表示部等が設けられる。図1及び図2では紙面手前側が前面側、奥側が後面側と定義する。本発明に係る自動原稿搬送装置としてのADF2の詳細は後記する。
【0020】
ADF2は、原稿トレイ(原稿堆積部)20に置かれた原稿束7の上層から原稿7を1枚ずつ分離して、湾曲する原稿の搬送路70に供給し、2個所のADF原稿読取部(画像読取部)を経て原稿排出トレイ37上に排出するよう構成されている。搬送路70は、略同曲率で湾曲する内外のガイド壁701,702の間に形成される。これらガイド壁701,702の表面には、原稿の搬送方向に沿った複数のガイドリブが形成される。
【0021】
原稿トレイ20に置かれた原稿7は、ピックアップローラ21によって繰出され、給紙ローラ22とリタードローラ221とのニップ部に導入され、1枚ずつ分離されて搬送路70に供給される。該搬送路70に供給された原稿はレジストローラ対23,231によって、後記する画像読取部に同期するようレジストされてさらに下流側に供給される。レジストローラ対23,231の下流側搬送路70には、第1の搬送ローラ対24,241、第2の搬送ローラ対25,251、表面読取用プラテンローラ26、第3の搬送ローラ対27,271が設置されている。この第3の搬送ローラ対27,271に引き続き、裏面読取用プラテンローラ28及び排出ローラ対29,291が設置されている。第1の搬送ローラ対24,241、第2の搬送ローラ対25,251及び第3の搬送ローラ対27,271によって原稿搬送系8が構成される。
【0022】
第1の搬送ローラ対24,241及び第2の搬送ローラ対25,251によって搬送される原稿は、表面読取用プラテンローラ26とコンタクトガラス261とのニップ部に導入される。表面読取用プラテンローラ26はコンタクトガラス261に弾性的に押付けられるよう支持され、後記する駆動伝達機構によって回転する。コンタクトガラス261の下には前記読取走査装置30が静止されて、表面ADF原稿読取部31が構成される。そして、表面読取用プラテンローラ26とコンタクトガラス261との間を通過する原稿7の表面画像が読取走査装置30内の前記読取光学系によって読み取られ、電気信号として送出される。表面画像が読み取られた原稿は、第3の搬送ローラ対27,271によって搬送され、裏面読取用プラテンローラ28とコンタクトガラス281とのニップ部に導入された後、排出ローラ対29,291によって原稿排出トレイ37上に排出される。
【0023】
裏面読取の指示がなされているときには、裏面読取用プラテンローラ28とコンタクトガラス281とのニップ部を通過中に、裏面ADF原稿読取部35によって裏面画像の読取がなされる。裏面読取用プラテンローラ28は、コンタクトガラス281に弾性的に押付けられるよう支持され、駆動伝達機構によって回転する。
【0024】
裏面ADF原稿読取部35は、前記コンタクトガラス281を含んでユニット化された裏面用画像読取走査ユニット36と、裏面読取用プラテンローラ28とにより構成される。裏面用画像読取走査ユニット36は、前記レジストローラ23の駆動軸(水平ヒンジ軸)230を支点として上下揺動可能に支持された読取ユニット筐体360を備える。該読取ユニット筐体360の上面は前記内側ガイド壁701の一部を構成する。該読取ユニット筐体360内には、LED等からなる光源と、複数のミラーと、集光レンズと、CCDとが搭載されている。これによって、裏面用画像読取走査ユニット36が構成される。すなわち、コンタクトガラス281の下面を通過中の原稿7は、光源によってその裏面が照射され、裏面の原稿画像は、CCDに結像され、電気信号に変換されて送出される。上記ADF2を構成する一連の機構部を支持する支持体及び原稿排出トレイ37は、プラテンカバー(原稿押圧板)も兼ね、図1の紙面奥側をヒンジ部として上下に開閉可能とされている。
【0025】
前記ADF2におけるピックアップローラ21から下流側部分は、ヒンジピン201を支点として開閉可能なADFカバー200によって覆われている。該ADFカバー200の内側には、ピックアップローラ21、給紙ローラ22、レジストローラ対23,231を構成するプレスローラ231及び第1の搬送ローラ対24,241を構成するプレスローラ241が設置されている。
【0026】
また、ADFカバー200の内側には、前記原稿の湾曲搬送路70を構成する外側ガイド壁702の一部が形成されている、従って、ADFカバー200を開けると(図1、図2の2点鎖線)、給紙ローラ22とリタードローラローラ221とのニップ状態、レジストローラ対23,231及び第1の搬送ローラ対24,241のそれぞれのニップ状態が解除される。また、これにより、第2の搬送ローラ対25,251に至る原稿搬送路8が開放され、内側のガイド壁701、リタードローラ221、レジストローラ23及び第1の搬送ローラ24が露出された状態となる(図3参照)。
【0027】
裏面用画像読取走査ユニット36の読取ユニット筐体360には、前述のようにコンタクトガラス281が取付けられ、また排出ローラ対29,291を構成するプレスローラ291が支持され、その上部にはリタードローラ221が設置されている。また、該読取ユニット筐体360は、前述のとおり、レジストローラ23の駆動軸230を支点として上下揺動可能に支持されている。従って、読取ユニット筐体360を図1及び図2の2点鎖線で示す位置に揺動変位させると、プラテンローラ28とコンタクトガラス281とのニップ状態、及び排出ローラ対29,291のニップ状態が解除される。ADFカバー200の開操作、読取ユニット筐体360の揺動変位操作は、搬送路70におけるジャム原稿の取出し、或いは各機構部等のメンテナンスの際になされる。
【0028】
<衝撃緩和機構の構成>
次に、ADFカバー200および読取ユニット筐体360(搬送路カバーに相当)の開閉動作について説明する。図3は、ADFカバー200および読取ユニット筐体360を開いた時の状態を示す外観斜視図である。これらのカバーは、原稿搬送路8にジャムが生じた場合、搬送路に詰まっている原稿7を取り除くために設けられている。
【0029】
読取ユニット筐体360を開くためには、まず、ADFカバー200を開いた状態にする。ADFカバー200は、ヒンジピン201周りに回動させることができ、約90゜回動させた状態で安定した姿勢になり、手を離しても閉じ方向に戻ることはない。
【0030】
一方、読取ユニット筐体360であるが、ADFカバー200の内部に設けられている関係上、安定した姿勢で保持しにくいことがある。そのような場合、読取ユニット筐体360を持ち上げた後、誤って手を離した場合、閉じ方向へ読取ユニット筐体360が戻り、衝撃により手を挟んだり、読取ユニット筐体360内に設けられている部品が損傷する可能性がある。そこで、本発明では、かかる衝撃を緩和するための衝撃緩和機構が設けられている。
【0031】
読取ユニット筐体360は、前述のように駆動軸230周りに回転可能に支持されている。読取ユニット筐体360は、駆動軸230の両端部がフレーム本体361によりガイドされるように構成されている。フレーム本体361にも、搬送路を構成する部材(搬送ローラ271、プラテンローラ28、排出ローラ29等)が保持されている。このフレーム本体361と読取ユニット筐体360の間に前記衝撃緩和機構40が形成される。なお、読取ユニット筐体360およびフレーム本体361は、単一の部材で構成されていてもよく、複数の部材を組み合わせて構成されていてもよい。
【0032】
具体的な衝撃緩和機構40については、図3のYで囲んだ部分を上方手前側から見た部分拡大斜視図(図4)、衝撃緩和機構40を上方から見た模式的な平面図(図5)、衝撃緩和機構40を側方から見た模式図(図6)により示される。なお、衝撃緩和機構40は、読取ユニット筐体360の回転軸方向の両端部に設けられるが、両端部の構成は同じであるので、片側のみを説明する。なお、衝撃緩和機構40を片側のみに設けてもよい。
【0033】
衝撃緩和機構40は、フレーム本体361に設けられた突起41と、読取ユニット筐体360に設けられた干渉部材42により構成される。突起41は全部で5つ設けられており、フレーム本体361の内側面に並べて配置される。突起41は、固定された状態で取り付けられる。突起41には、第1傾斜面410と第2傾斜面411が形成されており、読取ユニット筐体360を開くときは、第1傾斜面410と干渉部材42が干渉し、閉じるときは、第2傾斜面411と干渉部材42が干渉する。第2傾斜面411は、ほぼ垂直の傾斜角度に設定されており、第2傾斜面411の方が第1傾斜面410よりも傾斜角度がきつくなるように(爪部422の移動方向に対する傾斜角度が垂直に近く)設定されている。図5に示す構成例の場合、第1傾斜面410の傾斜角度は約45゜、第2傾斜面411の傾斜角度は、約90゜である。
【0034】
図6に示すように、干渉部材42は、読取ユニット筐体360を構成する部材(フレーム部材)と一体的に形成することができる。干渉部材42は、根元部421と爪部422を有し、根元部421が上記フレーム部材とつながっている。根元部421以外の干渉部材42の周囲には穴423が形成されている。従って、干渉部材42は爪部422が根元部421に対して弾性変形することができる。
【0035】
干渉部材42の爪部422の突起41に向かい合う側には、第3傾斜面424と第4傾斜面425が形成されている。第4傾斜面425の方が第3傾斜面424よりも傾斜角度がきつく(爪部422の移動方向に対する傾斜角度が垂直に近く)なっている。図5に示す構成例の場合、第3傾斜面424の傾斜角度は約45゜、第4傾斜面425の傾斜角度は、約70゜である。
【0036】
<カバー開閉時の動作>
次に、搬送路カバーである読取ユニット筐体360を開く時の動作を説明する。原稿のジャム等が生じて、読取ユニット筐体360を開く場合、まず、ADFカバー200を最大限開いた状態にする。ADFカバー200は、ほぼ90゜開いた状態で、手を離しても安定した姿勢を保つことができる。
【0037】
次に、読取ユニット筐体360を開く。読取ユニット筐体360は、駆動軸230を中心として回転移動をする。そして、読取ユニット筐体360に設けられた干渉部材42とフレーム本体361に設けられた突起41が干渉するが、干渉部材42が弾性変形するので、乗り越えながら移動する。このとき、干渉部材42の爪部422の第3傾斜面424と突起41の第1傾斜面410が干渉する。
【0038】
また、読取ユニット筐体360を最も開いた状態から閉じる時も干渉部材42と突起41が干渉する。このとき、干渉部材42の爪部422の第4傾斜面425と突起41の第2傾斜面411が干渉する。この構成によると、読取ユニット筐体360を開いた後、読取ユニット筐体360を持っている手を誤って離したとしても、干渉部材42が突起41を乗り越える必要があり、読取ユニット筐体360が閉じる時の衝撃が緩和される。
【0039】
また、第1傾斜面410と第3傾斜面424の傾斜角度は、第2傾斜面411と第4傾斜面425の傾斜角度よりも緩くなっているので、読取ユニット筐体360を開くときは、相対的に大きな力を要することなく、開くことができる。また、閉じるときは、相対的に大きな力を要するので、衝撃的に閉じてしまうことを防止することができる。
【0040】
本発明に係る衝撃緩和機構40は、突起41と干渉部材42の組み合わせにより構成でき、他の部材との一体形成も可能である。従って、トルクリミッタを用いる構成に比べると、構成を簡素化して、コストを下げることもできる。
【0041】
<別実施形態>
本実施形態において、干渉部材42は読取ユニット筐体360を構成する部材と一体形成されているが、干渉部材42を専用の部材として読取ユニット筐体360に取り付けるようにしてもよい。なお、干渉部材42は樹脂成形で形成してもよいし、バネ性を有する金属材料で形成してもよい。
【0042】
本実施形態では、フレーム本体361に突起41を設け、読取ユニット筐体360に干渉部材42を設けているが、フレーム本体261に干渉部材を設け、読取ユニット筐体360に突起を設ける構成でもよい。
【0043】
突起41の配置個数については、適宜変更可能である。また、本実施形態では、図6に示すように、すべての突起41を垂直に設けているが、駆動軸230を中心とした放射状に配置してもよい。
【0044】
突起41については、読取ユニット筐体360の開閉工程の全領域に設けるか、一部の領域に設けるかは、適宜選択することができる。衝撃力を緩和すべき程度を考慮しながら、適宜設定することができる。
【0045】
本実施形態に係るADF2は、原稿7の両面を読み取る機能を有しているが、片面読み取りのみの場合も、本発明を応用することができる。
【符号の説明】
【0046】
7 原稿
40 衝撃緩和機構
41 突起
42 干渉部材
70 搬送路
200 ADFカバー
230 駆動軸
360 読取ユニット筐体
361 フレーム本体
410 第1傾斜面
411 第2傾斜面
421 根元部
422 爪部
424 第3傾斜面
425 第4傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿画像読み取り位置へ原稿を搬送する原稿搬送路と、
前記原稿搬送路を保持するフレーム本体と、
前記フレーム本体に対して開閉可能であり、開いたときに前記原稿搬送路を露出させる搬送路カバーと、
前記搬送路カバーを閉じるときの衝撃を緩和する衝撃緩和機構と、を備えた自動原稿搬送装置であって、
前記衝撃緩和機構は、
前記フレーム本体と、前記搬送路カバーの一方に設けられた突起と、
前記フレーム本体と、前記搬送路カバーの他方に設けられた干渉部材と、を備え、
前記搬送路カバーが閉じていく途中において、前記干渉部材が前記突起を乗り越えながら移動することで衝撃を緩和するように構成したことを特徴とする自動原稿搬送装置。
【請求項2】
前記干渉部材は、前記突起を乗り越えるときに弾性変形するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項3】
前記干渉部材は、先端に爪部が形成され、根元に対して前記爪部が弾性変形可能に構成され、前記爪部が前記突起を乗り越えるときに弾性変形するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項4】
前記突起は、第1傾斜面と第2傾斜面を有しており、前記搬送路カバーを開くときは、前記爪部は前記第1傾斜面を乗り越え、前記搬送路カバーを閉じるときは、前記爪部は前記第2傾斜面を乗り越えるように構成され、前記第2傾斜面のほうが前記第1傾斜面よりも、前記爪部の移動方向に対する傾斜角度が垂直に近くなるように設定していることを特徴とする請求項3に記載の自動原稿搬送装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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