説明

自動取引制御装置及び自動取引制御プログラム

【課題】顧客自身の銀行口座を開設していない場合や、自動取引装置に硬貨入出金機が実装されていない場合であっても、おつりを返金できるようにして取引ができるようにする。
【解決手段】本発明の自動取引制御装置は、自動取引装置の処理を制御する自動取引制御装置において、利用者に選択された第1の取引について取引に必要な情報を取得し、第1の取引処理を実行させる第1の取引処理手段と、第1の取引の当事者とは異なる者の特定の口座情報を記憶する特定口座記憶手段と、第1の取引により利用者に戻す金銭が発生した場合に、特定の口座記憶手段から特定の口座情報を読み出し、利用者に戻す金銭の一部又は全部を上記特定の口座に入金する第2の取引処理を実行させる第2の取引処理手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引制御装置及び自動取引制御プログラムに関し、例えば、金融機関やコンビニエンスストア等に設置されている自動取引装置の自動取引制御装置及びプログラムに適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、銀行などの金融機関やコンビニエンスストア、駅などには、不特定多数の利用者が操作する自動取引装置が設置されている。利用者は、自動取引装置を利用して、現金による振込取引、預入れ等の入金取引、引き出し等の出金取引などの金融取引を行うことができる。
【0003】
特許文献1には、顧客が自動取引装置を使用して振込取引を行い、おつりが発生した場合、自動取引装置のおつりの計数動作の時間を短縮するために、そのおつりを顧客自身の口座に入金する技術が開示されている。これにより、おつりが発生した場合に、顧客の口座におつりを入金することができるので、自動取引装置でのおつりの計数動作がなくなり、その分時間を短縮することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−161591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載技術を適用する場合、顧客が自身の銀行口座を開設していることが必要となり、自身の銀行口座を開設していない場合には適用することができないという問題が生じ得る。
【0006】
また、おつりに硬貨が含まれる場合には、自動取引装置が硬貨入出金機を実装することが必要となる。自動取引装置に硬貨入出力機が実装されていない場合、硬貨分のおつりが出ないので、利用者は取引ができない等の不都合が生じ得る。
【0007】
そのため、顧客自身の銀行口座を開設していない場合や、自動取引装置に硬貨入出金機が実装されていない場合であっても、振込取引などの金融取引を行うことができる自動取引装置の自動取引制御装置及び自動取引制御プログラムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するために、第1の本発明の自動取引制御装置は、自動取引装置の処理を制御する自動取引制御装置において、(1)利用者に選択された第1の取引について取引に必要な情報を取得し、第1の取引処理を実行させる第1の取引処理手段と、(2)第1の取引の当事者とは異なる者の特定の口座情報を記憶する特定口座記憶手段と、(3)第1の取引により利用者に戻す金銭が発生した場合に、特定の口座記憶手段から特定の口座情報を読み出し、利用者に戻す金銭の一部又は全部を上記特定の口座に入金する第2の取引処理を実行させる第2の取引処理手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
第2の本発明の自動取引制御プログラムは、自動取引装置の処理を制御する自動取引制御プログラムにおいて、特定の口座情報を記憶する特定口座記憶手段を備えるコンピュータを、(1)利用者に選択された第1の取引について取引に必要な情報を取得し、第1の取引処理を実行させる第1の取引処理手段、(2)第1の取引により利用者に戻す金銭が発生した場合に、特定の口座記憶手段から特定の口座情報を読み出し、利用者に戻す金銭の一部又は全部を特定の口座に入金する第2の取引処理を実行させる第2の取引処理手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、顧客自身の銀行口座を開設していない場合や、自動取引装置に硬貨入出金機が実装されていない場合であっても、振込取引などの金融取引を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態の自動取引装置の内部構成を示す内部構成図である。
【図2】実施形態の自動取引システムの全体構成を示す全体構成図である。
【図3】実施形態の取引処理部の機能を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態の自動取引処理を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施形態の特定の口座へのおつりの入金を行う場合に表示される表示画面例を示す図である。
【図6】第2の実施形態の自動取引処理を示すフローチャートである。
【図7】第2の実施形態の特定の口座へのおつりの入金を行う場合に表示される表示画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(A)第1の実施形態
以下では、本発明の自動取引制御装置及び自動取引制御プログラムの第1の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0013】
(A−1)第1の実施形態の構成
(A−1−1)全体構成
図2は、第1の実施形態の自動取引システムの全体構成を示す全体構成図である。図2において、自動取引システム10は、専用回線4に接続する、自動取引装置1、情報端末2、ホストコンピュータ5を少なくとも有して構成される。
【0014】
自動取引装置1は、例えば銀行などの金融機関やコンビニエンスストア等の店舗3に設置され、利用者の操作により振込取引、入金取引(例えば預入取引等)、出金取引(例えば引き出し取引等)などの金融取引を行うものである。自動取引装置1は、専用回線4と接続しており、利用者に入力された金融取引に係る取引情報を専用回線4を介してホストコンピュータ5に送信したり、ホストコンピュータ5による取引結果を専用回線4を介して受信し、取引情報を表示したりするものである。
【0015】
情報端末2は、店舗3に設置され、ホストコンピュータ5との間で通信することができる端末である。情報端末2は、店舗3の従業員などの操作により、ホストコンピュータ5で管理する取引情報を確認するためのものである。これにより、店が開設した口座に入金がなされたか否かを従業員が確認することができる。情報端末32は、ホストコンピュータ5との間で通信することができれば、種々の情報端末を広く適用することができる。例えば、情報端末2は、図示しないが、入力手段、表示手段、通信手段などを有して構成される端末(例えば、パーソナルコンピュータ等)、専用の情報端末としてもよいし、店舗レジスタ等に搭載された情報通信装置等としてよい。
【0016】
ホストコンピュータ5は、金融機関のセンタ側のホストコンピュータである。ホストコンピュータ5は、専用回線4を介して自動取引装置1と取引情報の授受を行い、自動取引装置1からの取引情報に基づいて利用者が希望する金融取引の実行をしたり、データベース(図示しない)で取引情報を管理したり、取引結果を自動取引装置1に送信したりするものである。また、ホストコンピュータ5は、情報端末32から要求を受けて、要求された取引情報についても管理情報を情報端末2に与えるものである。
【0017】
(A−1−2)自動取引装置の内部構成
図1は、第1の実施形態の自動取引装置の内部構成を示すブロック図である。図1において、第1の実施形態の自動取引装置1は、利用者操作表示部21、カードリーダプリンタ部22、紙幣入出金部23、通帳部24、制御部25を少なくとも有して構成されるものである。
【0018】
利用者操作表示部21は、制御部25の制御の下、取引種別を選択させる選択画面の表示や取引毎の誘導画面を表示する表示手段と、利用者操作による入力情報を取り込み、入力情報を制御部25に与える操作手段とからなるものである。利用者操作表示部21は、操作手段と表示手段とが別々の構成であってもよいし、又は例えばタッチパネル表示等のように操作手段と表示手段とが一体となったものであってもよい。
【0019】
利用者操作表示部21は、利用者の操作により、例えば、振り込み、預け入れ、引き落としなどの取引などの取引種別の取引選択キー情報や、取引毎の誘導画面を表示して取引に必要な情報を入力情報として取り込むものである。例えば、振込取引の場合、振込先の金融機関名、店名、科目、口座番号、受取人名、依頼人名、依頼人電話番号、振込金額等を入力情報として取り込み、又例えば、預け入れ、引き落としなどの取引の場合、口座番号、暗証番号、入出金金額等を入力情報として取り込む。
【0020】
カードリーダプリンタ部22は、受入口から受け入れた銀行カードや振込カード等の取引に用いるカードに記録されている情報を読み取り、その読み取った情報を制御部25に与えたり、制御部25から受け取った取引情報を上記カードに書き込み、排出口からカードを排出したりするものである。カードとしては、例えばICチップ等を搭載したカードや、磁気的方法により情報を格納できるカード等を適用することができる。カードリーダプリンタ部22は、これらのように電気的方法や磁気的方法で情報を格納するカードに対応することができる。なお、図1では、1個のカードリーダプリンタ部22のみを示しているが、例えば電気的方法、磁気的方法等のような構成の別に応じて複数個のカードリーダプリンタ部22を備えるようしいてもよい。
【0021】
さらに、カードリーダプリンタ部22は、取引情報を媒体(例えば紙など)に印刷して明細票として排出口から排出したりするものである。また、カードリーダプリンタ部22は、例えば取引においておつりが生じた場合、制御部25が、後述する特定の口座(例えば店舗主等の開設した特定の口座)におつりを振り込みしたときに、このおつりの振込取引に関する取引情報を紙などの媒体に印刷し、明細票として排出口から排出するものである。
【0022】
なお、第1の実施形態では、説明便宜上、おつりが硬貨である場合を想定して説明するが、紙幣を含むものとしてもよい。
【0023】
紙幣入出金部23は、受入口から受け入れられた紙幣を取り込み、取り込んだ紙幣の金額を計算して、紙幣を収納庫(図示しない)に収納したり、取り込んだ紙幣の金額を制御部25に与えたりするものである。また、紙幣入出金部23は、制御部25から指示された金額に相当する紙幣を収納庫から取り出し、その紙幣を出力口から排出したりするものである。
【0024】
通帳部24は、受入口から受け入れられた通帳に記録されている情報を読み取り、読み取った情報を制御部25に与え、制御部25から受け取った取引情報を通帳に記入して、記入後に出力口から出力するものである。
【0025】
制御部25は、自動取引装置1の取引処理を制御する処理部又は装置である。制御部25は、利用者操作表示部21、カードリーダプリンタ部22、紙幣入出金部23、通帳部24と接続しており、利用者により選択された取引処理を行うものである。
【0026】
制御部25は、図1に示すように、記憶部251、取引処理部252、通信部253を少なくとも有する。
【0027】
通信部253は、専用回線4を通じてホストコンピュータ5との間で情報の授受を行う処理部及び装置である。例えば、記憶部251に取引に必要な情報が記憶され、利用者から当該情報で選択した取引を行うことの確認が得られると、通信部253は、記憶部253に記憶される情報をホストコンピュータ5に送信する。また、通信部253は、ホストコンピュータ5から取引結果を受け取ると、その取引結果を取引処理部252に与えて取引結果を利用者操作表示部21に表示させる。
【0028】
記憶部251は、金融取引に必要な情報を記憶する記憶領域である。例えば、記憶部251は、利用者操作表示部21に表示する取引毎の誘導画面や、利用者の入力情報等を記憶するものである。利用者操作表示部21を通じて利用者の希望する取引が選択されると、取引毎の誘導画面が記憶部251から読み出されて利用者操作表示部21に表示される。また、記憶部251は、利用者操作表示部21やカードリーダプリンタ部22や通帳部24などから、取引に必要な情報を入力情報として取り込み、この入力情報を記憶する。
【0029】
また、記憶部251は、おつりを振り込む振込先とする特定の口座の口座情報(例えば、口座名義、金融機関名、店名、科目、口座番号等)を記憶する。
【0030】
ここで、特定の口座は、自動取引装置1の利用者が行う取引の当事者の金融機関の口座とは異なり、おつりに相当する金額を入金する金融機関の口座をいう。第1の実施形態において、特定の口座は、当該口座に金銭が入金されると、その入金された金銭を現金で、入金者(利用者)に渡す者の銀行口座である。例えば、自動取引装置1が設置されている店舗3の口座などが該当し、例えば店舗3が銀行等の金融機関やコンビニエンスストアなどであれば、その金融機関やコンビニエンスストアの店の口座とすることができる。なお、特定の口座は、入金された金銭を現金で返金する者の口座であれば、自動取引装置1が設置されている店の口座に限定されるものではない。
【0031】
取引処理部252は、利用者操作表示部21、カードリーダプリンタ部22、通帳部24から利用者が希望する取引に必要な情報を取り込みを行う処理部及び装置である。取引処理部252は、利用者が希望する取引種別を取り込むと、その取引種別毎に取引に必要な情報の取得を行うものである。また、取引処理部252は、利用者から取引を行う確認を得ると、取引に必要な情報を通信部253に与えてホストコンピュータ5に与える。
【0032】
また、取引処理部252は、利用者により選択された取引処理により、取引に係る金額と入金額との差額の金銭(以下、おつりとも呼ぶ)が発生した場合、記憶部251から特定の口座情報を読み出し、当該おつりを特定の口座に入金する処理を行うものである。
【0033】
図3は、取引処理部252の処理を機能的に示す機能ブロック図である。図3において、取引処理部252は、金融取引処理部31、特定口座入金処理部32を少なくとも有する。
【0034】
金融取引処理部31は、自動取引装置1の取引処理を行うものである。金融取引処理部31は、利用者操作表示部21等からの入力情報に基づいて、利用者により選択された取引処理を行う。例えば、金融取引処理部31は、振込処理を行う振込処理部311、例えば開設している口座に金銭を入金する預け入れの処理を行う入金処理部312、例えば開設している口座から金銭を出金する引き出しの処理を行う出金処理部313などを有する。
【0035】
振込処理部311は、利用者操作表示部21やカードリーダプリンタ部22や通帳部24から、振込取引に必要な情報を受け取り、紙幣入出金部23から受け取った金額のうち振込金額を振込先に振り込む内容の取引情報を取得する。また、振込処理部311は、振込み内容の取引情報をホストコンピュータ5に送信させホストコンピュータ5に振込取引を実行させる。さらに、振込処理部311は、振込取引の処理終了後に、振込取引に係る取引情報を、利用者操作表示部21、カードリーダプリンタ部22、紙幣入出力金部23、通帳部24のいずれか又は全部に与える。
【0036】
入金処理部312は、利用者操作表示部21やカードリーダプリンタ部22や通帳部24から、入金取引に必要な情報を受け取り、紙幣入出金部23から受け取った金額のうち入金金額を口座に入金する内容の取引情報を取得する。また、入金処理部312は、取引情報をホストコンピュータ5に送信させホストコンピュータ5に入金取引を実行させる。さらに、入金処理部312は、入金取引の処理終了後に、入金取引に係る取引情報を、利用者操作表示部21、カードリーダプリンタ部22、紙幣入出力金部23、通帳部24のいずれか又は全部に与える。
【0037】
出金処理部313は、利用者操作表示部21やカードリーダプリンタ部22や通帳部24から、出金取引に必要な情報を受け取り、口座から出金金額を出金する内容の取引情報を取得する。また、出金処理部313は、取引情報をホストコンピュータ5に送信させホストコンピュータ5に出金取引を実行させる。さらに、出金処理部313は、出金取引の処理終了後に、出金取引に係る取引情報を、利用者操作表示部21、カードリーダプリンタ部22、紙幣入出力金部23、通帳部24のいずれか又は全部に与える。
【0038】
特定口座入金処理部32は、取引に係る金額と入金額との差額の金銭が発生した場合、記憶部251から特定の口座情報を読み出し、当該おつりを特定の口座に入金する内容の取引情報を取得する。また、特定口座入金処理部32は、特定の口座におつり分の金銭を入金させる取引情報をホストコンピュータ5に送信させホストコンピュータ5に入金取引を実行させる。なお、特定の口座におつりを入金する入金取引については、入金処理部311や振込処理部311が行うようにしてもよい。
【0039】
また、特定口座入金処理部32は、特定の口座に当該おつりを入金させる入金取引の終了毎に、当該取引情報を、カードリーダプリンタ部22に与える。これにより、おつりを特定の口座に入金した旨を示す明細票をカードリーダプリンタ部22から出力させることができる。
【0040】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、第1の実施形態の自動取引制御処理の動作を図面を参照しながら説明する。以下では、利用者が自動取引装置1を利用して、現金による振込取引を行う場合を行う場合を例示する。
【0041】
図4は、自動取引装置1における自動取引制御処理を示すフローチャートである。
【0042】
まず、利用者は、自動取引装置1の利用者操作表示部21に表示される取引メニューから、現金振込みの取引選択キーを選択する(ステップS300、S301)。
【0043】
利用者により選択された現金振込みの選択情報は、利用者操作表示部21から制御部25に与えられる。制御部25では、取引処理部252が、利用者操作表示部21から受け取った現金振込みの選択情報に基づいて振込取引を開始する。
【0044】
取引処理部252は、振込取引の誘導画面を記憶部251から読み出して利用者操作表示部21に与える。これにより、利用者操作表示部21は、振込取引の処理手続を誘導する誘導画面を表示することで、振込取引に必要な情報の入力を促す。この誘導画面を見た利用者は、誘導画面に従って、振込取引に必要な情報を入力する。振込取引に必要な情報が入力されると、これら入力情報は記憶部251に記憶される。
【0045】
振込取引の処理手順は、特に限定されるものではない。図4では、その一例をステップS302〜S305に示す。
【0046】
なお、図4に例示する手順以外に、例えば、利用者が過去に振込取引の情報を記録する振込カードを所持している場合には、カードリーダプリンタ部22が挿入された振込カードから振込取引に必要な情報(振込先の金融機関名、店名、科目、口座番号等)を読み出すようにしてもよい。
【0047】
図4において、利用者操作表示部21に振込み人(依頼人)の氏名の入力を促す画面が表示されると、利用者は振込み人の氏名を入力し、振込み人情報が取引処理部252に与えられる(ステップS302)。
【0048】
次に、利用者操作表示部21に振込先の金融機関名、店名、科目、口座番号など振込み先情報の入力を促す画面が表示されると、利用者は振込み先情報を入力し、振込み先情報が制御部25に与えられる(ステップS303)。また、利用者操作表示部21に振込み金額の入力を促す画面が表示されると、利用者は振込み金額を入力し、振込み金額が取引処理部252に与えられる(ステップS304)。
【0049】
利用者操作表示部21に紙幣を入金する旨の画面が表示されると、利用者は、受入口に紙幣を挿入する。紙幣入出金部23は、受入口から取り込んだ紙幣を計数し、紙幣の入金額が取引処理部252に与えられる(ステップS305)。
【0050】
ステップS302〜S305の手順により、現金振込み取引に必要な情報が入力されると、利用者操作表示部21は、振込取引の内容が正しいか否かを示す画面を表示して、内容確認を促す(ステップS306)。利用者は、表示された振込取引の内容を確認し、振込取引を行う場合には確認ボタンを押下し、振込取引を行わない場合には取消ボタンを押下する。
【0051】
確認ボタンが押下されると、利用者が入力情報に基づく内容で振込取引を行うことを確認したことであるから、制御部25の取引処理部252は、利用者により入力された入力情報及び受け取った入金金額とを用いて振込取引の処理を行う。
【0052】
取引処理部252は、振込金額と手数料とを加算して振込取引に係る金額を計算する。取引処理部252は、振込取引に係る金額と利用者から受け取った入金金額とを比較し、入金金額が振込取引に係る金額と一致するならば、振込金額を振込先の口座に振り込む内容の取引情報をホストコンピュータ5に送信して通常の振込処理を行う。
【0053】
一方、入金金額が振込取引に係る金額より多い場合、振込取引に係る金額から入金金額を差し引いた金額であるおつりを計算し、取引処理部252は、入金金額のうち振込金額については、振込先の口座に振り込む内容の取引情報をホストコンピュータ5に送信して通常の振込処理を行う。そして、振込取引が完了した旨の結果がホストコンピュータ5から与えられると、取引処理部252はおつりの返金処理を行う。
【0054】
取引処理部252は、おつりのうち紙幣分で返金できるときには、その金額に相当する紙幣を紙幣入出力金部23から返却する(ステップS307)。
【0055】
さらに、取引処理部252は、硬貨分のおつりについては、記憶部251から特定の口座情報を読み出し、硬貨分のおつりに相当する金額を特定の口座に入金する入金処理を行う(ステップS308)。なお、第1の実施形態では、硬貨分のおつりが発生した場合に、取引処理部252が、特定の口座におつりを入金する処理を行うが、このとき、取引処理部252は、利用者にその旨を説明する表示画面を利用者操作表示部21に表示させ、利用者による確認を受けてから、おつりの特定の口座への入金処理を行うようにしてもよい。
【0056】
次に、自動取引装置1では、カードリーダプリンタ部22が、制御部25の取引処理部252から、おつりの特定の口座への入金取引の取引情報を受け取り、この取引情報に基づいて明細票を印刷して排出する(ステップS309)。
【0057】
明細票を受け取った顧客は、レジカウンタの店員に明細票を提示する。店員は、明細票に印字されている取引番号等を情報端末2に入力し、硬貨分のおつりが店舗で管理する銀行口座(特定の口座)に入金されていることを確認し、レジスタ内の硬貨でおつりを顧客に返却する。
【0058】
ここで、自動取引装置1及びホストコンピュータ5との間では、利用者から指示された通常の振込処理と、おつりの特定の口座への入金処理とを行うことになるので、それぞれの取引は、別の金融取引であり、それぞれの取引番号が付される。店員は、情報端末2を用いて、おつりの特定の口座への入金取引番号を入力することで、当該取引番号の入金がなされたこと確認できる。
【0059】
また、通常の振込処理を主たる取引として、おつりの特定の口座への振込処理を従たる取引と見ることもできるので、ホストコンピュータ5は、おつりの特定の口座への入金処理について、通常の振込処理の取引番号と紐付け可能な情報(例えば、紐付け番号等)を用いて管理するようにしてもよい。
【0060】
なお、ステップS306において、取消ボタンが押下されると、利用者が当該取引を行わない意思を示すので、制御部25の制御の下、紙幣入出金部23は、取り込んだ入金金額の紙幣を返却し(ステップS310)、当該振込み処理を終了する(S311)。
【0061】
(A−3)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、自動取引装置1の利用者に戻すべきおつりが生じた場合に、そのおつりの特定の口座への入金処理を行い、店が特定の口座に入金された金銭を確認すると、その特定の口座に入金された金銭を現金で支払うことができるので、銀行口座を持たない顧客でも利用することができる。
【0062】
また、第1の実施形態では、硬貨入出金機が実装されていない自動取引装置においても、装置構成を大きく変えずに現金振込みなどの金融取引が可能となる。
【0063】
(B)第2の実施形態
次に、本発明の自動取引制御装置及び自動取引制御プログラムの第2の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0064】
(B−1)第2の実施形態の構成及び動作
第1の実施形態では、特定の口座が、自動取引装置1を設置している店等のように、当該口座に入金された金銭を現金で利用者に渡す者の金融機関の口座である場合を説明したが、第2の実施形態では、特定の口座が、例えば募金等の寄付金を受け付ける銀行口座とする場合を例示する。
【0065】
第2の実施形態でも、第1の実施形態で説明した自動取引システム10、自動取引装置1、自動取引装置1の取引処理部252の構成を用いて説明することができるので、以下では図1〜図3を用いて説明する。
【0066】
図6は、第2の実施形態の自動取引装置1における自動取引処理の動作を示すフローチャートである。図6では、利用者が自動取引装置1を用いて現金振込みの取引手順を行う場合を例示するものである。
【0067】
図6において、自動取引装置1は、第1の実施形態と同様にして、利用者により現金振込みの取引選択キーが選択され(ステップS500、S501)、振込取引の誘導画面が利用者操作表示部21に表示され、利用者により振込取引に必要な情報が入力され(ステップS502〜S504)、紙幣が入金される(ステップS505)。
【0068】
また、自動取引装置1では、第1の実施形態と同様にして、利用者操作表示装置21が取引内容を表示して、利用者に内容確認を促す(ステップS506)。利用者により確認ボタンが押下されると、取引処理部252は、入金金額が振込取引に係る金額以上であると判断すると、振込金額を振込先の口座に振り込む内容の取引情報をホストコンピュータ5に送信して通常の振込処理を行う。ホストコンピュータ5から取引が完了した旨の結果が与えられると、取引処理部252はおつりの返金処理を行う。
【0069】
取引処理部252は、入金金額が振込取引に係る金額より多い場合、振込取引に係る金額から入金金額を差し引いた金額であるおつりを計算する。そして、おつりのうち紙幣分で返金できるときには、取引処理部252は、その金額に相当する紙幣を紙幣入出力金部23から返却する(ステップS507)。
【0070】
また、取引処理部252は、硬貨分のおつりについては、募金を行うか否かを利用者に確認する(ステップS508)。
【0071】
例えば、利用者操作表示部21は、図7に例示するような表示画面を表示する。例えば、図7に示すように、硬貨分のおつりは「×××円」であることを表示し、おつりをzz募金に寄付するか否かを問い合わせる内容を表示する。また、図7に例示する表示画面では、募金ボタン701と現金ボタン702とを表示する。
【0072】
利用者がおつりを募金することに同意する場合、利用者は募金ボタン701を押下する。募金ボタン701が押下されると、取引処理部252は、記憶部251から募金用の金融機関の口座情報を読み出し、募金用の特定の口座におつり分の金銭を入金し(ステップS509)、当該募金用の特定の口座への入金取引に関する明細票を印刷して排出する(ステップS510)。
【0073】
また、ステップS508において、現金ボタン702が押下されると、ステップS511に移行し、第1の実施形態で説明したおつりの特定の口座への入金処理が行われる(ステップS511、S510)。
【0074】
ここで、募金用の特定の口座としては、例えばコンビニエンスストア等が行っている募金のために店が開設した口座としてもよいし、その募金を募っている者の口座としてもよい。また、募金用の特定の口座は、1個である必要はなく、複数であってもよい。すなわち、複数の募金を対象としてもよい。複数の募金がある場合、利用者に対してどの募金に対しておつりを入金するかを選択させる表示画面を表示し、利用者が選択した募金の特定の口座におつりを入金するようにしてもよい。この場合、例えば、記憶部251には、それぞれの特定の口座情報(現金返金用の特定の口座情報、募金用の特定の口座情報を含む)には、それぞれを識別する識別情報が付与されており、利用者の選択操作で対応する識別情報の特定の口座を読み出すことで実現することができる。
【0075】
(B−2)第2の実施形態の効果
以上のように、第2の実施形態によれば、少額のおつりで返却を希望しない顧客については、時間と手間が省ける。また、第2の実施形態によれば、店舗においても募金が増えるメリットがある。
【0076】
(C)他の実施形態
(C−1)第1の実施形態では、レジカウンタで硬貨のおつりを現金で受け取るようになっているが、レジカウンタで硬貨分のおつりを電子サイフ(例えば、ICチップ搭載のカード又は携帯電話機等)にチャージすることもできる。
【0077】
(C−2)第1及び第2の実施形態において、硬貨のおつりを受け取りに来ない顧客がいることも考えられるので、一定期間内に受け取りに来なかった硬貨のおつりについては、自動的に募金することもできる。その場合、自動取引装置での取引時に、一定時間経過後に自動的に募金される旨を表示して顧客に案内する。
【0078】
(C−3)第1及び第2の実施形態において、レジカウンタで硬貨のおつりの入金を確認する場合、明細票にバーコード(例えば一次元バーコード、二次元コードを含む概念)を印字し、そのバーコードを情報端末でリードすることで、店員の操作を簡略して瞬時に行うこともできる。この場合、自動取引装置のカードリーダプリンタ部は、特定の口座への入金を示すバーコード印字を行う機能を備えることが必要となる。また、つり銭等と連動することで、バーコードのリードと同時に硬貨のおつりを出金することもできる。
【0079】
(C−4)特定の口座への振込取引について、おつりの全部を特定の口座に振り込むようにしてもよいし、例えばおつりが紙幣を含むなど場合には、おつりの一部を特定の口座に振り込むようにしてもよい。この場合、特定口座入金処理部は、特定の口座に振り込むおつりの金額を指定できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1…自動取引装置、
21…利用者操作表示部、22…カードリーダプリンタ部、23…紙幣入出金部、
24…通帳部、25…制御部、251…記憶部、252…取引処理部、
253…通信部、
2…情報端末、3…店舗、4…専用回線、5…ホストコンピュータ、
31…金融取引処理部、311…振込処理部、312…入金処理部、
313…出金処理部、32…特定口座入金処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動取引装置の処理を制御する自動取引制御装置において、
利用者に選択された第1の取引について取引に必要な情報を取得し、上記第1の取引処理を実行させる第1の取引処理手段と、
上記第1の取引の当事者とは異なる者の特定の口座情報を記憶する特定口座記憶手段と、
上記第1の取引により利用者に戻す金銭が発生した場合に、上記特定の口座記憶手段から上記特定の口座情報を読み出し、上記利用者に戻す金銭の一部又は全部を上記特定の口座に入金する第2の取引処理を実行させる第2の取引処理手段と
を備えることを特徴とする自動取引制御装置。
【請求項2】
上記自動取引装置が、取引情報を媒体に印刷して出力する印刷出力手段を備えるものであり、
上記第2の取引処理手段が、上記特定の口座に入金した旨を示す取引情報を上記印刷出力手段に与えて、上記印刷出力手段に当該取引情報を印刷した媒体を出力させるものであることを特徴とする請求項1に記載の自動取引制御装置。
【請求項3】
上記第2の取引処理手段は、上記第1の取引において取引に係る金額と入金された入金金額との差額の金銭の一部又は全部を、上記特定の口座に入金するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動取引制御装置。
【請求項4】
上記特定の口座に入金する金銭が、上記差額の金銭のうち硬貨分の金銭であることを特徴とする請求項3に記載の自動取引制御装置。
【請求項5】
上記特定の口座が、上記自動取引装置を設置している店舗の口座であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の自動取引制御装置。
【請求項6】
上記特定の口座が、募金を入金する口座であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の自動取引制御装置。
【請求項7】
自動取引装置の処理を制御する自動取引制御プログラムにおいて、
特定の口座情報を記憶する特定口座記憶手段を備えるコンピュータを、
利用者に選択された第1の取引について取引に必要な情報を取得し、上記第1の取引処理を実行させる第1の取引処理手段、
上記第1の取引により利用者に戻す金銭が発生した場合に、上記特定の口座記憶手段から上記特定の口座情報を読み出し、上記利用者に戻す金銭の一部又は全部を上記特定の口座に入金する第2の取引処理を実行させる第2の取引処理手段
として機能させることを特徴とする自動取引制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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