説明

自動取引装置および自動振込システム

【課題】振込取引の予約を行った顧客は自動取引装置でその振込取引の予約を取消すことができる自動取引装置および自動振込システムを提供する。
【解決手段】自動取引装置1に、予約振込取引データベース4から自動取引装置1を操作する顧客の口座情報に基づいて抽出した振込実行日、振込先口座番号ならびに振込み金額等の振込予約情報をホストコンピュータ3から受信して表示し、その表示した振込予約情報から取消す振込取引を選択する操作を受け付け、その選択された振込取引を特定する情報をホストコンピュータ3へ送信する振込予約取消処理部244を設けた。そして、ホストコンピュータ3が自動取引装置1から受信した振込取引を特定する情報に基づいて予約振込取引データベース4に記憶した振込予約情報を削除して予約された振込取引を取消すようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関やコンビニエンスストア等に設置される自動取引装置および自動振込システムに関し、特に、予め指定した期日に振込処理を行う自動取引装置および自動振込システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動取引装置および自動振込システムは、顧客に自動取引装置で振込み先口座番号、振込み実行日および振込み金額等を入力させ、その振込み実行日に振込み処理を行う予約振込取引を行うことができるものが存在する(例えば、特許文献1参照)。
また、振込み実行日の前日等に予約振込取引を行った顧客にその振込みが行われる旨の通知を行い、残高不足等による振込取引の不成立を回避させるようにしているものもある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−326316号公報(段落「0009」〜段落「0012」、図1)
【特許文献2】特開2004−86759号公報(段落「0022」〜段落「0032」、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の技術においては、予約振込取引を行った後で振込先の誤りや振込み金額の誤り等の理由により、その予約振込取引を取り消したい場合、予約振込取引を行った顧客は金融機関等の営業店の営業時間中に窓口へ出向いて取り消しの手続を行わなければならず顧客にとっては利便性が悪く、営業店の窓口の係員にとっては顧客に応対する作業が増加するという問題がある。
【0004】
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明は、顧客の操作により入力された情報を上位装置へ送信して取引を行う自動取引装置において、予約された振込取引毎に振込実行日、振込先口座番号および振込み金額等の振込予約情報を上位装置から受信して表示し、その振込取引毎に表示した振込予約情報から取消す振込取引を選択する操作を受け付け、その選択された振込取引を特定する情報を前記上位装置へ送信する振込予約取消処理部を設けたことを特徴とする。
【0006】
また、顧客の操作により入力された振込実行日、振込先口座番号ならびに振込み金額等の振込予約情報および顧客の口座番号等の顧客口座情報を送信する自動取引装置と、前記振込予約情報および顧客口座情報を受信するホストコンピュータと、前記ホストコンピュータに設けられ、前記振込予約情報を前記顧客口座情報に関連付けて記憶させ、振込予約を行う予約振込取引データベースとを備えた自動取引システムにおいて、前記自動取引装置に、前記予約振込取引データベースから自動取引装置を操作する顧客の口座情報に基づいて抽出した振込予約情報をホストコンピュータから受信して表示し、その表示した振込予約情報から取消す振込取引を選択する操作を受け付け、その選択された振込取引を特定する情報を前記ホストコンピュータへ送信する振込予約取消処理部を設け、前記ホストコンピュータが前記自動取引装置から受信した前記振込取引を特定する情報に基づいて前記予約振込取引データベースに記憶した前記振込予約情報を削除して予約された振込取引を取消すようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このようにした本発明は、予約振込取引を行った顧客は自動取引装置でその予約振込取引を取消すことができるようになり、顧客にとっては利便性が向上し、営業店の窓口の係員にとっては顧客に応対する作業が減少するという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明による自動取引装置および自動振込システムの実施例を説明する。
【実施例】
【0009】
図1は実施例における自動取引システムの構成を示すブロック図、図2は実施例における自動取引装置の構成を示すブロック図、図3は実施例における予約振込取引データベースの構成を示す説明図である。
まず、自動取引システムの構成を図1に基づいて説明する。
図1において、1は自動取引装置であり、銀行等の金融機関の営業店や出張所等に設置されるものである。この自動取引装置1は通信回線2に通信可能に接続されているが、その構成の詳細は後述する。
【0010】
また、この自動取引装置1は顧客の操作により現金の入出金取引、振込み取引、振込予約取引および振込予約取消取引等ができるものである。ここで、振込予約取引とは、顧客が自動取引装置1を操作し、その顧客が所有する口座から指定した振込先の口座へ指定した金額を指定した日に振込むことを予約する取引をいい、振込予約取消取引とは、顧客が自動取引装置1を操作し、振込予約取引で予約した振込を、その指定した日前に取り消す取引をいう。
【0011】
3はホストコンピュータであり、銀行等の金融機関の事務センタ等に設置されるものである。このホストコンピュータ3は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の演算および制御手段、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶手段および通信手段等を備え、通信回線2を介して自動取引装置1等と相互に通信可能に接続されているものである。また、時計機能およびカレンダー機能も有しているものとする。
【0012】
このように構成されたホストコンピュータ3は自動取引装置1との間で入金、出金、振込等の取引電文の送受信を行い顧客の取引を成立させるか否かを判断する。また、顧客が本人であることを確認する本人確認を行なう。さらに、ホストコンピュータ3は、上述した記憶手段にデータベースを備え、所定の情報をキーとなる情報と関連付けてそのデータベースに記憶させることができ、そのキーとなる情報に基づいて検索し、所望の情報をそのデータベースから抽出することができる。
【0013】
4は予約振込取引データベースであり、ホストコンピュータ3に備えられたものである。この予約振込取引データベース4は、振込人口座、振込実行日、振込先金融機関等の振込先情報、振込金額等の項目で構成され、振込予約取引で予約された振込取引を実行するための情報を記憶したものである。ホストコンピュータ3はこの予約振込取引データベース4に記憶された情報を検索して指定された振込実行日に予約された振込取引を実行する。なお、詳細は後述する。
【0014】
5は振込先金融機関ホストコンピュータであり、CPU等の演算および制御手段、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶手段および通信手段等を備え、通信回線2や図示しない全銀システム等を介してホストコンピュータ3等と相互に通信可能に接続されているものである。
この振込先金融機関ホストコンピュータ5は、ホストコンピュータ3から振込先口座番号等の振込先情報および振込み金額等を受信し、その振込先口座にその振込み金額を入金して振込処理を実行する。
【0015】
このように、自動取引装置1、ホストコンピュータ3、予約振込取引データベース4および振込先金融機関ホストコンピュータ5が通信回線2等で接続され、自動取引システムが構成される。
次に、自動取引装置の構成を図2に基づいて説明する。
図2において、21は顧客操作表示部であり、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶ディスプレイ等の表示部およびその表示部上にタッチパネル等を配置した操作部から構成され、顧客が表示部に表示されたボタン等に触れ入力操作等を行なうものである。この顧客操作表示部21は顧客が行う入力操作を検知してその入力操作に対応する信号を出力することができる。
【0016】
22はカードリーダ部であり、口座番号等の口座情報が記録されたカードをカード挿入排出口から受け入れ、カードの磁気ストライプやICチップ等に記録されたデータの読み出しや書き込みを行い、そのカードをカード挿入排出口から排出して顧客に返却するものである。
23は入出金部であり、紙幣入出金機および硬貨入出金機で構成され、紙幣や硬貨の入出金処理を行なうものである。ここで、入金処理とは顧客が紙幣入出金口に入れた紙幣は紙幣入出金機で計数して金庫に収納し、硬貨入出金口に入れた硬貨は硬貨入出金機で計数して金庫に収納することである。また、出金処理とは顧客の操作により指定した金額に相当する紙幣および硬貨をそれぞれ紙幣入出金機および硬貨入出金機の金庫から繰り出して計数し紙幣入出金口および硬貨入出金口に搬送して顧客に払い出すことである。
【0017】
24は制御部であり、顧客操作表示部21、カードリーダ部22および入出金部23を含め自動取引装置1全体の動作を記憶部241に格納されたソフトウェアに基づいて制御する。また、この制御部24は通信部242を介してホストコンピュータ3等と通信を行なう機能を有している。
なお、記憶部241はメモリや磁気ディスク等の記憶装置であり、この記憶部241には自動取引装置1が設置された営業店等を識別する店番、自動取引装置1を識別する機械番号等が予め記憶されているものとする。また、制御部24は時計機能およびカレンダー機能も有しているものとする。
【0018】
243は振込予約処理部であり、振込予約取引において、顧客が行なう操作を誘導する画面の表示および顧客が所有する口座番号、振込先の金融機関・店番・口座番号、振込み金額、振込実行日等の予約振込取引情報の入力を制御し、通信部242を介して入力された予約振込取引情報をホストコンピュータ3へ送信する処理等を行うものである。
244は振込予約取消処理部であり、振込予約取消取引において、顧客が行なう操作を誘導する画面の表示やホストコンピュータ3から通信部242を介して受信した現在予約されている振込取引の表示を行い、指定された予約済みの振込み取引を取り消す情報をホストコンピュータ3へ送信する処理等を行うものである。
【0019】
次に、予約振込取引データベースの構成を図3に基づいて説明する。
図3において、30は受付番号であり、同一の振込人により予約された振込取引を識別するための振込人毎に付与された通番等の番号である。したがって、同一の振込人が複数件の振込取引を予約することができる。
31は振込人口座番号であり、振込取引を予約する顧客が所有する口座を識別するための番号を格納する領域である。
【0020】
32は振込実行日であり、振込予約取引で予約された振込取引を実行する日付を示す情報を格納する領域である。
33は振込先金融機関であり、振込予約取引で予約された振込取引で現金を振り込む口座が存在する金融機関を識別する情報を格納する領域である。
34は振込先店番であり、振込予約取引で予約された振込取引で現金を振り込む口座が存在する金融機関の営業店を識別するための番号を格納する領域である。
【0021】
35は振込先口座番号であり、振込予約取引で予約された振込取引で現金を振り込む口座を識別するための番号を格納する領域である。
36は振込金額であり、振込予約取引で予約された振込取引で振り込まれる金額を示す情報を格納する領域である。
受付番号30、振込実行日32、振込先金融機関33、振込先店番34、振込先口座番号35および振込金額36は振込人口座番号31と関連付けて予約振込取引データベース4に格納され、また、振込人口座番号31に基づいて検索し、受付番号30、振込実行日32、振込先金融機関33、振込先店番34、振込先口座番号35および振込金額36を抽出することができるものである。
【0022】
上述した構成の作用について説明する。
なお、以下に説明する各部の動作は、図示しないメモリや磁気ディスク等の記憶手段に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて図示しない中央処理装置等の制御手段により制御される。
まず、従来から行われている振込予約取引について簡単に説明する。
【0023】
自動取引装置1の図示しない近接センサで顧客の接近を検知すると顧客操作表示部21は図5に示すように取引選択画面40を表示する。この取引選択画面40には「お支払」、「お振込」、「お振込予約」、「お振込予約取消」等の取引ボタンが表示され、顧客は「お振込予約」の取引ボタンを押下する。
「お振込予約」の取引ボタンの押下を受け付けると顧客操作表示部21は振込予約処理部243の指示によりカード挿入誘導画面を表示する。このカード挿入誘導画面には「カードを挿入してください」等の文言やイラストが表示される。
【0024】
顧客はカード挿入誘導画面にしたがってカードをカード挿入排出口から挿入する。カードリーダ部22は挿入されたカードを引き込み、カードに記録された口座番号等の口座情報を読み取り、振込予約処理部243はその口座情報を記憶部241に記憶させる。
カードがカード挿入排出口から挿入されると顧客操作表示部21は暗証番号入力画面を表示する。この暗証番号入力画面には「暗証番号を入力してください」等の文言および「0」から「9」までの数字ボタン等を表示する。
【0025】
顧客操作表示部21は顧客による暗証番号の入力を受け付け、振込予約処理部243は入力された暗証番号を記憶部241に記憶する。
次に、自動取引装置1の振込予約処理部243は振込予約をするための振込実行日、振込先金融機関、振込先店番、振込先口座番号および振込金額等の振込先情報を入力する画面を顧客操作表示部21へ表示する指示を出力する。
【0026】
顧客操作表示部21は振込予約をするための振込実行日、振込先金融機関、振込先店番、振込先口座番号および振込金額等の振込先情報を入力する画面を表示するとともに顧客の操作による振込先情報の入力を受け付ける。振込予約処理部243は入力された振込先情報を顧客の口座番号および暗証番号とともにホストコンピュータ3へ送信する。
ホストコンピュータ3は受信した顧客の口座番号と暗証番号により本人確認を行なう。なお、この本人確認は受信した顧客の口座番号に基づいて予め登録された暗証番号を抽出し、その抽出した暗証番号と受信した暗証番号を照合して行う通常の本人確認である。
【0027】
ホストコンピュータ3で顧客が本人であることが確認できるとホストコンピュータ3は受信した顧客の口座番号を予約振込取引データベース4の振込人口座番号31へ、また、受信した振込実行日、振込先金融機関、振込先店番、振込先口座番号、振込金額をそれぞれ予約振込取引データベース4の振込実行日32、振込先金融機関33、振込先店番34、振込先口座番号35、振込金額36に記憶させる。なお、このときホストコンピュータ3は予約した振込取引を識別するための受付番号30を付与するものとする。
【0028】
ホストコンピュータ3は予約振込取引データベース4に振込先情報を記憶すると振込取引の予約が完了した旨を自動取引装置1へ送信する。
自動取引装置1の振込予約処理部243は予約が完了した旨を画面に表示する指示を顧客操作表示部21へ出力するとともにカードリーダ部22へカードを顧客へ返却する指示を出力する。顧客操作表示部21は予約が完了した旨を画面に表示し、カードリーダ部22はカードをカード挿入排出口から排出して顧客に返却する。
【0029】
このようにして自動取引装置1は振込予約取引を終了する。
なお、上述した振込予約取引で予約された振込取引は振込実行日にホストコンピュータ3により振込先金融機関、振込先店番、振込先口座番号および振込金額等が振込先金融機関ホストコンピュータ5へ送信され振込処理される。
次に、振込予約取消取引について説明する。
【0030】
図4は実施例における振込予約取消し処理の流れを示すフローチャートであり、Sで表すステップにしたがって説明する。
S1:自動取引装置1の図示しない近接センサで顧客の接近を検知すると顧客操作表示部21は図5に示すように取引選択画面40を表示する。この取引選択画面40には「お支払」、「お振込」、「お振込予約」、「お振込予約取消」41等の取引ボタンが表示され、顧客は「お振込予約取消」41の取引ボタンを押下する。
【0031】
S2:「お振込予約取消」41の取引ボタンの押下を受け付けると顧客操作表示部21は振込予約取消処理部244の指示によりカード挿入誘導画面を表示する。このカード挿入誘導画面には「カードを挿入してください」等の文言やイラストが表示される。
S3:顧客はカード挿入誘導画面にしたがってカードをカード挿入排出口から挿入する。カードリーダ部22は挿入されたカードを引き込み、カードに記録された口座番号等の口座情報を読み取り、振込予約取消処理部244はその口座情報を記憶部241に記憶させる。
【0032】
S4:カードがカード挿入排出口から挿入されると顧客操作表示部21は暗証番号入力画面を表示する。この暗証番号入力画面には「暗証番号を入力してください」等の文言および「0」から「9」までの数字ボタン等を表示する。
顧客操作表示部21は顧客による暗証番号の入力を受け付け、振込予約取消処理部244は入力された暗証番号を記憶部241に記憶させる。
【0033】
S5:顧客による暗証番号の入力を受け付けると顧客操作表示部21は「処理中です。しばらくお待ちください。」等の文言等で構成される画面を表示するとともに、振込予約取消処理部244は図7に示すように予約振込取消照会要求電文51を作成し、通信部242を介してその電文をホストコンピュータ3へ送信する。
この予約振込取消照会要求電文51は、例えば、店番号および機械番号からなる要求ATM番号52、顧客挿入カードストライプ情報53、予約振込取消照会を示す取引種類54および暗証番号55から構成される電文である。
【0034】
ここで、要求ATM番号52は、自動取引装置1が設置された店舗を識別する店番号および自動取引装置1を識別するためにそれぞれの自動取引装置1に一意に付与された機械番号で構成されるものである。なお、「ATM」は自動取引装置を示す略語である。
顧客挿入カードストライプ情報53は顧客により挿入されたカードの磁気ストライプから読み取った口座番号等の情報であり、暗証番号55はS4において顧客により入力された暗証番号である。
【0035】
S6:予約振込取消照会要求電文51を受信したホストコンピュータ3は顧客挿入カードストライプ情報53に含まれる顧客の口座番号と暗証番号55により本人確認を行なう。なお、この本人確認は受信した顧客の口座番号に基づいて予め登録された暗証番号を抽出し、その抽出した暗証番号と受信した暗証番号55を照合して行う通常の本人確認である。
【0036】
S7:本人確認の結果、本人であることが確認できなかった場合、カードリーダ部22がカードをカード挿入排出口から排出し、顧客に返却(S15)して振込予約取消取引を終了する。
S8:一方、本人確認の結果、本人であることが確認できた場合、ホストコンピュータ3は顧客挿入カードストライプ情報53に含まれる顧客の口座番号、すなわち、振込人口座番号31に基づいて予約振込取引データベース4を検索し、受付番号30、振込実行日32、振込先金融機関33、振込先店番34、振込先口座番号35および振込金額36をすべて抽出する。
【0037】
S9:ホストコンピュータ3は抽出したすべての受付番号30、振込実行日32、振込先金融機関33、振込先店番34、振込先口座番号35および振込金額36から図8に示すように予約振込取消照会要求応答電文56を作成し、自動取引装置1へ返信する。この予約振込取消照会要求応答電文56は、例えば、要求ATM情報52、顧客挿入カードストライプ情報53、取消可能取引数57および取消可能取引情報58で構成されたものである。
【0038】
取消可能取引数57は取り消し可能な振込予約した取引の数、すなわち、取消可能取引情報58の数を示し、取消可能取引情報58は予約振込取引データベース4から抽出した受付番号30、振込実行日32、振込先金融機関33、振込先店番34、振込先口座番号35および振込金額36で構成されたものである。なお、この取消可能取引情報58は1件に限られず複数件存在する場合もある。
【0039】
S10:自動取引装置1の振込予約取消処理部244は受信した予約振込取消照会要求応答電文56から予約済みの振込取引の一覧を編集し、図6に示す予約振込取引一覧画面42を表示する指示を顧客操作表示部21へ出力する。指示を受けた顧客操作表示部21はその予約振込取引一覧画面42を表示する。
この予約振込取引一覧画面42には「取消す予約振込を押下してください」等の文言および予約されている振込取引毎に取消す予約振込を選択するための予約振込ボタン43、振込先の金融機関名ならびに氏名、振込実行日、振込金額等を表示する。なお、振込先氏名はホストコンピュータ3が予約振込取引データベース4から抽出した振込先金融機関33、振込先店番34、および振込先口座番号35等に基づいてホストコンピュータ3または振込先金融機関ホストコンピュータ5に備えた図示しない勘定系データベースから抽出するものとする。
【0040】
S11:顧客操作表示部21が予約振込取引一覧画面42を表示すると顧客は取消しを希望する予約済みの振込取引に該当する予約振込ボタン43を押下する。この予約振込ボタン43には顧客が予約した振込取引を識別するために受付番号30が予約振込ボタン43に表示されているものとする。
顧客操作表示部21は予約振込ボタン43の押下を受け付けると振込予約取消処理部244へ予約振込ボタン43が押下された信号を出力する。
【0041】
S12:振込予約取消処理部244はその信号を受け付けると図9に示すように予約振込取引実行要求電文59を作成し、ホストコンピュータ3へ送信する。この予約振込取引実行要求電文59は、例えば、要求ATM情報52、顧客挿入カードストライプ情報53、予約振込取消実行を示す取引種類60および予約振込取消実行番号61等で構成された電文である。
【0042】
ここで、予約振込取消実行番号61は顧客が予約した振込取引を識別するために付与された受付番号30等であり、予約振込ボタン43に表示された番号と同一なものとする。
S13:予約振込取引実行要求電文59を受信したホストコンピュータ3は受信した顧客挿入カードストライプ情報53に含まれる顧客の口座番号および予約振込取消実行番号61、すなわち、振込人口座番号31および受付番号30に基づいて予約振込取引データベース4を検索し、該当する振込実行日32、振込先金融機関33、振込先店番34、振込先口座番号35および振込金額36を予約振込取引データベース4から削除して、顧客が指定した予約振込取引を取消す。
【0043】
S14:ホストコンピュータ3は顧客が指定した予約振込取引を予約振込取引データベース4から削除して取消すとその結果を自動取引装置1へ送信する。なお、既に振込先金融機関ホストコンピュータ5へ振込みが実行された場合等で予約振込取引データベース4から既に削除されていたときは取消ができなかった旨を自動取引装置1へ送信する。
S15:自動取引装置1の振込予約取消処理部244は受信した結果を顧客操作表示部21に表示するとともにカードリーダ部22がカードをカード挿入排出口から排出して顧客に返却して振込予約取消取引を終了する。
【0044】
以上説明したように、本実施例では、顧客が自動取引装置を操作して予約した振込取引を取消すことができるので、顧客にとって利便性が向上するとともに営業店の窓口の係員の顧客に応対する作業を減少させることができるという効果が得られる。
また、従来は予約振込取引の取り消しを希望する顧客が金融機関等の営業店に出向いて窓口で取り消しの手続を完了するまでに振込取引が実行されてしまうと振込先の口座からその振り込まれた金額に相当する現金の支払いが可能になり、架空請求による詐欺等の犯罪の増加に繋がってしまうという問題があったが、本実施例では、架空請求等の詐欺行為により予約振込みを行ってしまった場合でも簡単に取消すことができるので、犯罪の被害を未然に防止することが可能になるという効果が得られる。
【0045】
さらに、営業店の窓口の係員の対応が不要になるため、金融機関等は予約振込取引を取り消す手続のための手数料を無料にするサービスを提供することも可能になるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施例における自動取引システムの構成を示すブロック図
【図2】実施例における自動取引装置の構成を示すブロック図
【図3】実施例における予約振込取引データベースの構成を示す説明図
【図4】実施例における振込予約取消し処理の流れを示すフローチャート
【図5】実施例における自動取引装置に表示される取引選択画面の説明図
【図6】実施例における自動取引装置に表示される振込予約取消し画面の説明図
【図7】実施例における予約振込取消照会要求の電文の説明図
【図8】実施例における予約振込取消照会要求応答の電文の説明図
【図9】実施例における予約振込取消照会実行要求の電文の説明図
【符号の説明】
【0047】
1 自動取引装置
2 通信回線
3 ホストコンピュータ
4 予約振込取引データベース
5 振込先金融機関ホストコンピュータ
21 顧客操作表示部
22 カードリーダ部
23 入出金部
24 制御部
241 記憶部
242 通信部
243 振込予約処理部
244 振込予約取消処理部
31 振込人口座番号
32 振込実行日
33 振込先金融機関
34 振込先店番
35 振込先口座番号
36 振込金額

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の操作により入力された情報を上位装置へ送信して取引を行う自動取引装置において、
予約された振込取引毎に振込実行日、振込先口座番号および振込み金額等の振込予約情報を上位装置から受信して表示し、その振込取引毎に表示した振込予約情報から取消す振込取引を選択する操作を受け付け、その選択された振込取引を特定する情報を前記上位装置へ送信する振込予約取消処理部を設けたことを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
顧客の操作により入力された振込実行日、振込先口座番号ならびに振込み金額等の振込予約情報および顧客の口座番号等の顧客口座情報を送信する自動取引装置と、前記振込予約情報および顧客口座情報を受信するホストコンピュータと、前記ホストコンピュータに設けられ、前記振込予約情報を前記顧客口座情報に関連付けて記憶させ、振込予約を行う予約振込取引データベースとを備えた自動取引システムにおいて、
前記自動取引装置に、前記予約振込取引データベースから自動取引装置を操作する顧客の口座情報に基づいて抽出した振込予約情報をホストコンピュータから受信して表示し、その表示した振込予約情報から取消す振込取引を選択する操作を受け付け、その選択された振込取引を特定する情報を前記ホストコンピュータへ送信する振込予約取消処理部を設け、
前記ホストコンピュータが前記自動取引装置から受信した前記振込取引を特定する情報に基づいて前記予約振込取引データベースに記憶した前記振込予約情報を削除して予約された振込取引を取消すようにしたことを特徴とする自動取引システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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