説明

自動取引装置

【課題】利用者に対応した自動取引に関する手数料を簡単に知ることができる自動取引装置を提供する。
【解決手段】各取り引き項目に手数料を表示する料金表示エリア420を備えたメニュー画面400を表示する表示部15と、前記取り引きに対応する手数料の料金テーブルを格納する記憶装置224と、日時をカウントするタイマを備え、前記記憶装置224に格納された料金テーブルを参照して前記メニュー画面400の料金表示エリア420に該当する手数料を表示させる制御部229とを備えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者に対応した自動取引に関する手数料を簡単に知ることができる自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現金取引装置などの自動機においては、自動取り引きにともなう手数料を支払わなければならない。これら手数料は、取り引きの種類により、料金が異なり利用者には分かりずらくなっている。例えば、従来例の多くのメニュー画面においては、取引項目の選択ボタンを複数表示して、これらを選択させるようにしているが、このメニュー画面には手数料の表記がなされていない。このような従来例においては、料金表を自動機の近傍に張り出して対応している。
【0003】
【特許文献1】特開平11−110610号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来例、特に、取り引きの種類が多数ある現金自動取引装置においては、手数料の種類が多数あったり、曜日や時間によって料金が異なるので、取り引きのメニューを選ぶ段階で手数料が分からず不安である。また、手数料表が自動取引装置の近くに貼ってあるが、曜日/時間等を考慮して該当する金額を探さなければならないので煩わしい。更に、同じ取引でも銀行の口座(カード)の種類などによって手数料が異なるケースもあるので、たくさんの手数料体系ができてしまい、手数料表では識別がし難い課題がある。
そこで、この発明の目的とするところは、利用者に対応した自動取引に関する手数料を簡単に知ることができる自動取引装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る自動取引装置では、表示部に各種の取り引きメニューを表示して、この取り引きメニューの選択にともなって、選択された取り引きに関する操作画面を前記表示部に順次表示して自動取り引きを行う自動取引装置において、
各取り引き項目に手数料を表示する料金表示エリアを備えたメニュー画面を表示する前記表示部と、前記取り引きに対応する手数料の料金テーブルを格納する記憶装置と、日時をカウントするタイマを備え、前記記憶装置に格納された料金テーブルを参照して前記メニュー画面の料金表示エリアに該当する手数料を表示させる制御部とを備えるようにする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、利用者に対応した自動取引に関する手数料を簡単に知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図1から図8を参照して、この実施の形態を説明する。この実施の形態は、銀行システムに採用される自動取引装置に関する。図1は本発明の概要を示す自動取引装置の説明図である。図2は銀行システムのネットワーク構成図である。図3は自動取引装置のメニュー画面図である。図4は手数料を表示するための動作フロー図である。図5から図7は自動取引装置のメニュー画面図である。図8は自動取引装置の他の操作画面図である。
【0008】
先ず、図1を参照して、この実施の形態に係る自動取引装置の概略構造を説明する。図1において、符号1で総括的に示すのは、金融機関等のロビーなどに設置される自動取引装置(以下ATMという)である。ATM1は、直方体の前面上方の一部分が側面から見てL字形に切り欠かれた開口部を有する本体筐体10と、L字形の開口部を塞ぐように配置され、側面から見てL字形に形成されたフロントパネル11とから構成される。
【0009】
本体筐体10は、前面が開口したベース筐体12と、このベース筐体12の前面下方に設けられた板状の前面扉13と、ベース筐体12の背面に配置された板状の背面扉14とを有している。ベース筐体12は、各種の取引処理を行う機構部、例えば、図2に示す、タッチパネル付表示部220、カード部221、通帳明細印字部222、伝送制御部223、記憶装置部224、硬貨入出金部225、紙幣入出金部226と、電源部227、制御部229等を内蔵しており、タッチパネル付表示部220の操作表示部15や各部の媒体口をフロントパネル11から露出するように配置されている。
図1に戻り、L字形のフロントパネル11は、本体正面の垂直面を形成するパネル面16と、水平面を構成するテーブル部17とを備えている。
【0010】
本実施形態では、垂直面を構成する前記パネル面16の中央にカード/明細票取扱口18や通帳取扱口19からなる媒体取扱部20が配置され、水平面を構成するテーブル部17の中央に操作表示部15、その両側に非常時の連絡用のハンドセット21と非接触型のカード部221のカード取扱部22が配置され、水平面と垂直面の角部には紙幣挿入/排出口23と硬貨挿入/排出口24が並設されている。なお、この実施の形態では、カード部221として、非接触型と挿入型の2つの装置を備えている。
【0011】
本実施形態に係るATMの特徴の1つは、このATM1のトップ画面となるメニュー画面(初期画面)400に、取り引きのメニューを選択する複数の取引選択ボタン410を表示し、この取引選択ボタン410に手数料を表示する料金表示エリア420を備えた点にある。この実施の形態では、制御部229が日時を監視し、該当する時刻における各取り引きの手数料を前記記憶装置224に格納された図示しない料金テーブルから算出して前記料金表示エリア420に表示する。これにより、メニュー画面400を見るだけで、その時間に必要な手数料や、手数料がいらないものを知ることができる。
【0012】
また、この実施の形態の他の特徴の1つは、前記取り引きの進行に伴って順次表示される操作画面に料金表示エリア420aを備えて、当該取り引きの手続料を表示する点である。これにより、操作途中でも手数料を把握することができる。これは、長いステップをともなう手続きでは特に有効である。
【0013】
また、この実施の形態の他の特徴の1つは、利用者の個人情報を格納したIDカード212などの記録媒体から個人情報を読み出す記録媒体読取装置(カード部221)を備えて、前記個人情報に対応した手続料を表示することにある。これにより、利用者に対してより細かなサービスを提供することができる。
【0014】
以下図2から図8を参照して、更に詳細に説明する。
先ず、図2を参照して、このATM1が設置される銀行システムとATM1の装置構成を説明する。この銀行システムでは、この銀行システムを統括するセンタ100に対して複数の営業店舗200や専門センタ350がネットワーク300で接続されている。前記営業店舗200には店舗ネットワーク211を介して複数の機器が接続され、これら機器が前記ネットワーク300を介して前記センタ100や前記専門センタ350と接続され、この銀行システムを利用する顧客に対して各種の金融サービスを提供することができる。この他、この銀行システムには前記ネットワーク300を介して他の金融システムや各種のサービスサイトに接続することができる。
【0015】
前記センタ100は、HUBサーバ150を介して他の営業店舗200や専門センタ350と接続することで、銀行内の全ての情報を統括管理している。このHUBサーバ150は、ゲートウエイサーバを兼用するものであり、チャネル系APサーバ群を統括する統合チャネルサーバ110と、勘定系ホスト140と、各種の新商品情報データを備えた新商品サーバ130と、全ての顧客情報を統括的に管理する顧客管理サーバ120などが接続される。
【0016】
統合チャネルサーバ110は、前記ネットワーク300を介して営業店舗200と接続されて、営業店舗200に各種の情報を提供する支援システムである。この統合チャネルサーバ110の統括下には、IBコンテンツデータを備えたIBサーバ111と、営業店のコンテンツデータを備えた営業店APサーバ112と、来店顧客情報データを備えた来店管理サーバ113と、商品のコンテンツデータを備えた商品情報サーバ114と、行員情報データを備えた行員管理サーバ115と、顧客情報データを備えた顧客情報管理サーバ116とを備えている。
【0017】
一方、営業店舗200は、店舗ネットワーク211を介して各種装置が接続されている。例えば、このシステムでは、ATM(現金自動預払機)1、顧客の店舗の出入りを管理する受付端末208、顧客の各種の相談に対応する相談端末207、顧客に各種の情報を提供する情報テーブル端末206、行員が顧客に対して相談や商談を薦める相談テーブル端末205、行員が顧客に対して各種サービスを行う窓口PC端末204、前記窓口PC端末204を支援する後方PC端末203、各種の金融関連装置からなる金融デバイス202、店舗内の各種情報を管理する営業店サーバ201、店舗内の無線通信や位置検知を行う店舗通信システム210などが設けられている。
また、この銀行システムでは、顧客が所有する携帯端末213や、この銀行が顧客に提供するIDカード212などを介して各種の情報を提供することができる。
【0018】
前記ATM1は、このATM1を統括する制御部229の統括の元、タッチパネル付表示部220、各種のカードに対して読み取りや書き込みを行うカード部221と、通帳の書き込みを行う通帳明細印字部222と、店舗ネットワーク211に接続するための伝送制御部223と、各種のデータを記憶する記憶装置部224と、硬貨入出金部225と、紙幣入出金部226と、電源部227とを含んで構成される。
【0019】
次に、図3から図8を参照して、この実施の形態の特徴である操作画面について更に詳細に説明する。
図3において、この実施の形態では、制御部229が初期状態において、図3に示すメニュー画面400を表示している。このメニュー画面400は、最上部に取引選択ボタン410の選択を促す操作ガイダンスエリア401を備え、その下部に複数の取引ボタンからなる取引選択ボタン410が配置される。この実施の形態では、2列3行の6個の取引ボタンを備えている。そして、上部の4個には利用頻度の高い取引ボタンを配置し、下部の2個の取引ボタンには利用頻度の低いものを配置するとともに、利用頻度の高いボタンを低いボタンより大きく形成している。
【0020】
この実施の形態では、利用頻度の高い取引ボタンとして、引き出しボタン411と、残高照会ボタン412と、預け入れボタン413と振り込みボタン414とで構成している。また、利用頻度の低い取引ボタンとして、通帳記入ボタン415と、暗証番号変更ボタン416で構成している。そして、各取引ボタンは左側に取引名称421を表示し、右側には手続料金を表示する料金表示エリア420が設けられている。
【0021】
ところで、このATM1が自動取引する手続には、(1)手数料がないもの、(2)手数料があり,金額が特定できるもの(3)手数料があるが金額が特定できないものの3種類がある。この実施の形態では、前記料金表示エリアにそれぞれ(1)手数料 なし(または「不要」など)、(2)手数料 ○○○円、(3)手数料 あり(または「要」など)という表示を行う。
【0022】
例えば、手数料がある引き出しボタン411には105円の料金が表示され、手数料がかからない預け入れボタン413、残高表示ボタン412、通帳記入ボタン415、暗証番号変更ボタン416には手数料なしが表示され、手数料が特定できないものは手数料ありが表示される。
【0023】
ここで、この実施の形態では、口座を持っている利用者と、口座を持っていない利用者とに手数料の金額を変更することができる。この場合は、このメニュー画面400に前記内容を表示した上で、口座を持っている利用者の手数料を表示するとよい。
また、この実施の形態では、利用者にわずらわしさを感じさせないために、(b)図に示すように、手数料なしの表示を非表示とすることができる。
【0024】
次に、図4の動作フロー図をもとに、図5から図8のメニュー画面400または操作画面の一例を参照して、更に詳細に説明する。
図4において、前記制御部229は前記タイマーから日時/曜日データを取得して(ステップ510)、当該日時/曜日における手数料額を料金テーブルから取得し(ステップ520)、前記メニュー画面400に表示する。この料金テーブルは、例えば、縦軸に口座を持っている一般顧客、口座を持っている特別顧客、口座を持っていない顧客に対して、各取引が割りつけられ、これらの各取引きに対して曜日と時間ごとに手数料の料金が設定されている。
【0025】
例えば、図5(a)図は、銀行の営業時間内における手数料が前記各料金表示エリアに表示されている、この実施の形態では、普通口座を備えた利用客に対しては振り込み手続き以外が無料で手続きするので、振り込みボタン414以外は手数料なしと表示される。
【0026】
一方、銀行の時間外や休日の場合は、例えば、制御部229は、図5(b)図のように、料金が発生する引き出しボタン411の料金表示エリア420に手数料を表示する。
前記制御部229は、前記メニュー画面400を表示しながら利用客のIDカード212がカード部221に挿入されたか否かを監視している(ステップ540)。IDカード212がカード部221に挿入されると、制御部229は、IDカード212から利用客の個人情報を取得し(ステップ550)、利用客の個人情報(口座情報)から前記料金テーブルを参照して対応する手数料を取得して(ステップ560)、個人情報に対応したメニュー画面400bの表示エリア420に表示する(ステップ570)。
【0027】
例えば、この実施の形態の制御部229は、IDカード212が挿入される前の状態では、図6(a)図に示すメニュー画面400を表示しているが、IDカード212が挿入されると、図6(b)図に示すメニュー画面400bを表示する。例えば、料金テーブルに特別な口座を持った顧客の引き出し手数料はなしとすると設定されていれば、メニュー画面400bには、利用客の名前が表示されて、引き出しボタン411の料金表示エリアの料金がなしと変更されて表示される。
【0028】
図7は、IDカード212が挿入される前のメニュー画面400に料金を表示しない場合の表示方法を示している。この実施の形態の場合、(a)図に示すIDカード212が挿入される前の状態では料金表示エリアには何も表示させない。一方、IDカード212が挿入されると、当該IDカード212に対応した料金が表示された(b)図に示すメニュー画面400bが表示される。この実施の形態によれば、IDカード212が挿入されることではじめて料金が表示されるので、利用客に対応した料金の差額を利用客に意識させることがない。
【0029】
図8は、メニュー画面400以降の操作画面における料金表示方法を示している。図8では、操作画面の一例として暗証番号入力画面430の事例を示している。この実施の形態では、暗証番号入力画面430の右上に料金表示エリア420bが表示される。この料金表示エリア420bは、当該取引が終了するまで同じ位置に表示される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の概要を示す自動取引装置の説明図である。
【図2】銀行システムのネットワーク構成図である。
【図3】自動取引装置のメニュー画面図である。
【図4】手数料を表示するための動作フロー図である。
【図5】自動取引装置のメニュー画面図である。
【図6】自動取引装置のメニュー画面図である。
【図7】自動取引装置のメニュー画面図である。
【図8】自動取引装置の他の操作画面図である。
【符号の説明】
【0031】
1…ATM、10…本体筐体、11…フロントパネル、12…ベース筐体、13…前面扉、14…背面扉、15…操作表示部、16…パネル面、17…テーブル部、18…カード/明細票取扱口、19…通帳取扱口、20…媒体取扱部、21…ハンドセット、22…カード取扱部、23…紙幣挿入/排出口、24…硬貨挿入/排出口、100…センタ、110…統合チャネルサーバ、111…IBサーバ、112…営業店APサーバ、113…来店管理サーバ、114…商品情報サーバ、115…行員管理サーバ、116…顧客情報管理サーバ、120…顧客管理サーバ、130…新商品サーバ、140…勘定系ホスト、150…HUBサーバ、200…営業店舗、210…店舗通信システム、201…営業店サーバ、202…金融デバイス、203…後方PC端末、204…窓口PC端末、205…相談テーブル端末、206…情報テーブル端末、207…相談端末、208…受付端末、211…店舗ネットワーク、212…IDカード、213…携帯端末、220…タッチパネル付表示部、221…カード部、222…通帳明細印字部、223…伝送制御部、224…記憶装置部、225…硬貨入出金部、226…紙幣入出金部、227…電源部、229…制御部、300…ネットワーク、350…専門センタ、400…メニュー画面、400b…メニュー画面、401…操作ガイダンスエリア、410…取引選択ボタン、411…引き出しボタン、412…残高照会ボタン、413…預け入れボタン、414…振り込みボタン、415…通帳記入ボタン、416…暗証番号変更ボタン、420…料金表示エリア、420b…料金表示エリア、421…取引名称、430…暗証番号入力画面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部に各種の取り引きメニューを表示して、この取り引きメニューの選択にともなって、選択された取り引きに関する操作画面を前記表示部に順次表示して自動取り引きを行う自動取引装置において、
各取り引き項目に手数料を表示する料金表示エリアを備えたメニュー画面を表示する前記表示部と、前記取り引きに対応する手数料の料金テーブルを格納する記憶装置と、日時をカウントするタイマとを備え、前記記憶装置に格納された前記料金テーブルを参照して前記メニュー画面の前記料金表示エリアに該当する手数料を表示させる制御部とを備えたことを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動取引装置において、
個人情報を格納した記録媒体から前記個人情報を読み出す記録媒体読取装置を備え、前記制御部は前記記録媒体読取装置から読み出した個人情報と前記料金テーブルとを照合して前記個人情報に対応した手数料を前記記憶装置から読み込んで前記料金表示エリアに表示することを備えていることを特徴とする自動取引装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の自動取引装置において、
選択された取り引きに関する操作画面に当該取り引きの手数料を表示する料金表示エリアを備えたことを特徴とする自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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