自動取引装置
【課題】自動取引装置1の後面にて硬貨処理部の保守等を行っても、顧客が硬貨入出金口2の隙間に手を入れ、顧客の手を挟んでしまうことがないようにする。
【解決手段】硬貨を投入または取り出す硬貨入出金口2と、当該硬貨入出金口2を覆う開閉可能な筐体シャッタ9と、硬貨を取り込んで収納し繰り出す硬貨処理部を備え、硬貨により取引を行う自動取引装置1であって、前記硬貨入出金口2を利用する取引のときだけ筐体シャッタ9を開いておき、硬貨処理部の出し入れが行われる可能性があるときは、筐体シャッタ9を閉じるようにした。
【解決手段】硬貨を投入または取り出す硬貨入出金口2と、当該硬貨入出金口2を覆う開閉可能な筐体シャッタ9と、硬貨を取り込んで収納し繰り出す硬貨処理部を備え、硬貨により取引を行う自動取引装置1であって、前記硬貨入出金口2を利用する取引のときだけ筐体シャッタ9を開いておき、硬貨処理部の出し入れが行われる可能性があるときは、筐体シャッタ9を閉じるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関等で使用される現金自動支払機、現金自動預払機等の自動取引装置における接客口シャッタの制御技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、硬貨の入出金取引を行うことが可能な自動取引装置においては、図13に示したように、その接客口の1つとして、硬貨受け10を設けて一括して投入できる一括硬貨投入口7や、1枚ごと投入する逐次硬貨投入口8を配し、各投入口の上を覆う一括硬貨投入口シャッタ7sと逐次硬貨投入口シャッタ8s、これらさらに覆う筐体シャッタ9を設けた構造としているのが一般的である。
【0003】
このような硬貨投入口を設けた自動取引装置においては、通常時では、一括硬貨投入口7および逐次硬貨投入口8を覆う筐体シャッタ9による開閉は不要であり、筐体シャッタ9を設けない場合や、取引中は常時開けて置くのが一般的であった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−208106号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の自動取引装置では、図13に示したように、保守等を行うために係員が自動取引装置の後面の金庫扉を開き、硬貨処理部を矢印A方向に引き出すと硬貨処理部に設けられた硬貨入出金口2がともに引き出され、図14に示したように硬貨入出金口2の手前側に隙間30ができ、顧客がこの隙間に手を入れ、係員がそれを知らずに硬貨処理部を戻し、顧客の手を挟んでしまうなどの危険性があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前述の課題を解決するために次の手段を採用する。すなわち、本発明は、媒体を投入または取り出す接客口と、当該接客口を覆う開閉可能なシャッタと、当該媒体を格納する格納部を備え、媒体により取引を行う自動取引装置において、前記接客口を利用する取引を行うときは前記シャッタを開いておき、前記接客口周辺に隙間が発生するおそれがある状態を検出したときは、前記シャッタを閉じるようにした。
【発明の効果】
【0006】
本発明の自動取引装置によれば、媒体を投入または取り出す接客口と、当該接客口を覆う開閉可能なシャッタと、当該媒体を格納する格納部を備え、媒体により取引を行う自動取引装置において、前記接客口を利用する取引を行うときは前記シャッタを開いておき、前記接客口周辺に隙間が発生するおそれがある状態を検出したときは、前記シャッタを閉じるようにしたので、前記格納部の出し入れが行なわれても顧客が手を挟むことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明に係る実施の形態例を、図面を用いて説明する。なお、本発明の自動取引装置としては、鉄道の切符や定期券、航空券、入場券、勝馬投票券等のチケット、証券、商品券、紙幣、硬貨等を取扱うものがあるが、以下に示す実施例においては、一般的な現金の預金支払や振込みなどを行う現金自動取引装置で、媒体として硬貨を取扱う場合を一例として説明する。
【実施例】
【0008】
(構成)
図1は、実施例の自動取引装置の構成を示した概観斜視図である。同図に示したように、実施例の自動取引装置は、取引開始後、硬貨を入金或いは出金する硬貨入出金口2と、紙幣を投入或いは出金する紙幣入出金口3と、取引操作画面を表示しかつ所定の入力を行うタッチパネルからなる操作部4と、通帳での取引を行う場合に通帳を挿入する通帳挿入口5と、取引開始前の認証のためのキャッシュカード等を挿入するカード挿入口6とからなる。
【0009】
実施例の自動取引装置1の内部の構成としては、図2に示したように、硬貨入出金口2が操作部4に接するようにして硬貨処理部25が内蔵されている。この硬貨処理部25は、保守の際に、後述の装置後面の金庫扉が開かれ図6に示したように矢印A方向に引き出されて保守される。その他、紙幣入出金部等も同様に内蔵されているが、簡略化のためにその説明を省略する。
【0010】
前記硬貨処理部25は、図3に示したような構成となっている。すなわち、図中左上に前述の硬貨入出金口2が配置されており、入金された硬貨の鑑別を行う硬貨鑑別部17(図中下側)と、鑑別後矢印Cのように再び上側に搬送された各種硬貨を収納する硬貨収納庫13が図のように配置されている。
【0011】
そして、一時的の硬貨を格納する一時保留部40、硬貨収納庫13が一杯になったときの入金硬貨等を格納するオーバーフロースタッカ41、回収の際のリジェクト硬貨を格納する回収リジェクト収納部42、補充時のリジェクト硬貨を格納する補充リジェクト収納部43、取り忘れた硬貨を収納する取忘れボックス12が同図のように配置されている。
【0012】
次に、実施例の自動取引装置1の制御系は、図4に示したような構成となっている。すなわち、同図に示したように自動取引装置1の制御系は、筐体シャッタ9と、後述の各部の制御を行う主制御部20と、前述した操作部4、キャッシュカード等に記録された情報のリードライトを行うカード処理部21、操作ガイダンス等を出力する音声案内部22、通帳の磁気ストライプのリードライトおよび通帳への印字制御を行う通帳処理部23、紙幣の入出金制御を行う紙幣処理部24、硬貨の入出金制御を行う硬貨処理部25、係員が操作する係員操作部26とからなる。
【0013】
さらに、主制御部20の記憶部としてのメモリ部27、図示しないホストコンピュータとのインタフェイスを制御するインタフェイス部28を有する。
【0014】
図5は、硬貨入出金口2の周辺の構成を示す上面図である。同図に示したように、硬貨入出金口2は、一括入出金硬貨を投入する一括硬貨投入口7と投入された硬貨を保留する硬貨受け10を覆い矢印C方向に開閉する一括硬貨投入口シャッタ7sと、1枚ごとに硬貨を投入する逐次硬貨投入口8とこれを覆う逐次硬貨投入口シャッタ8sと、これら全体を覆い矢印B方向に開閉する筐体シャッタ9とからなる。
【0015】
(動作)
以上の構成により実施例の自動取引装置は、以下のように動作する。なお、自動取引装置の硬貨入出金取引に係る動作のほかは、一般的な自動取引装置の動作と同様であるので、簡略化のためにその説明は省略する。
【0016】
この動作を、図9の動作フローチャートに従い以下詳細に説明する。まず、自動取引装置1が取引可能かどうかを確認し(ステップS01)、取引ができない状態のときは、そのままウェイトし、取引可能であったときは、本人認証を開始する(ステップS02)。そして、顧客がキャッシュカードを挿入し、暗証番号等を入力すると本人確認が終了し、取引選択画面を操作部4に表示すると、顧客は所望する取引を選択する(ステップS03)。
【0017】
そして、選択された取引において硬貨処理部25を使用するかどうかを判定する(ステップS04)。例えば、顧客が振込取引を選択すると、手数料等の硬貨を投入することもある取引であり、硬貨処理部25を使用する取引であるので、次のステップS05に進み、筐体シャッタ9が閉じられた状態かどうかを判定し(ステップS05)、閉じられている場合は、図7に示したように、硬貨入出金口2の筐体シャッタ9を矢印B方向に開き、同様に一括硬貨投入口シャッタ7sも開く(ステップS06)。
【0018】
一方、ステップS04において、顧客が、例えば残高照会を選択した場合では、硬貨処理部25を使用しない取引であるので、筐体シャッタ9等を開く必要がないので、ステップS07に進み、顧客が選択した取引を開始する(ステップS07)。
【0019】
なお、ステップS05において、筐体シャッタ9がすでに開いている場合は、シャッタ開の動作であるステップS06をスキップしてステップS07に進む。
【0020】
そして、例えば、振込処理を顧客が選択し、振込手数料を現金で支払う場合では、硬貨入金口2より入金するように操作部4の表示部に表示或いは音声ガイドすると、顧客は、硬貨を一括硬貨投入口7または逐次硬貨投入口8に投入する。
【0021】
これらの取引を開始した後に、例えば、定期保守などにおいて、図10に示したように、係員が後面の金庫扉31を矢印D方向に開いた場合、金庫扉開閉検知スイッチ32が扉の開を検知するので(ステップS08)、保守を開始した旨を操作部4に表示或いは音声ガイダンスし(ステップS14)、筐体シャッタ9を閉じる(ステップS15)。そして、筐体シャッタ9を閉じた後、保守が終了して再び取引が可能となったかどうかを判定するステップに戻る(ステップS01)。
【0022】
このとき係員は、硬貨処理部25を図6のように引き出して確認を行う。すると、図8に示したように一括硬貨投入口7や逐次硬貨投入口8が引き出されて、隙間30が発生するが、筐体シャッタ9がすでに閉じられているので、顧客が手などを隙間30に入れようとしても入ることはなく、挟まれることはない。
【0023】
或いは、これらの取引を開始した後に、硬貨処理部25や紙幣処理部24の障害が発生した場合(ステップS09)、障害発生の旨を操作部4に表示或いは音声ガイダンスし(ステップS14)、筐体シャッタ9を閉じる(ステップS15)。そして、筐体シャッタ9を閉じた後、保守が終了して再び取引が可能となったかどうかを判定するステップに戻る(ステップS01)。
【0024】
例えば、硬貨処理部25が異常の場合、係員は後面の金庫扉31を開き、硬貨処理部25を図6のように引き出して確認を行う。すると、図8に示したように一括硬貨投入口7や逐次硬貨投入口8が引き出されて、隙間30が発生するが、筐体シャッタ9がすでに閉じられているので、顧客が手などを隙間30に入れようとしても入ることはなく、挟まれることはない。
【0025】
或いは、これらの取引を開始した後に、電源オフボタンが押下されたことを検知した場合(ステップS10)、この場合も、金庫扉31等を開き、硬貨処理部25などが引き出される可能性があるので、操作部4に取引中止を一旦表示し(ステップS14)、筐体シャッタ9を閉じた後、保守が終了して再び電源がオンされ取引が可能となったかどうかを判定するステップに戻る(ステップS01)。
【0026】
或いは、これらの取引を開始した後に硬貨処理部25や紙幣処理部24が引き出され、図11に示したように硬貨処理部25の先端に設けられた引出検知スイッチ33のオフが検出された場合(ステップS11)、操作部4にその旨を表示し(ステップS14)、筐体シャッタ9を閉じた後、保守が終了して再び電源がオンされ取引が可能となったかどうかを判定するステップに戻る(ステップS01)。
【0027】
或いは、これらの取引を開始した後に、図12に示したように、係員操作部26に表示された取引中止ボタン100を係員が押下して取引が中止されたときは(ステップS12)、硬貨処理部25の保守が開始され、硬貨処理部25が引き出される可能性があるので、筐体シャッタ9を閉じた後、保守が終了して再び取引が可能となったかどうかを判定するステップに戻る(ステップS01)。
【0028】
或いは、これらの取引を開始した後に、係員が、図12に示したように、係員操作部26に表示された硬貨中止ボタン101が押下され取引制限がなされたときは(ステップS13)、硬貨処理部25の保守が開始され、硬貨処理部25が引き出される可能性があるので、筐体シャッタ9を閉じた後、保守が終了して再び取引が可能となったかどうかを判定するステップに戻る(ステップS01)。
【0029】
なお、以上の実施例の説明では、一括硬貨投入口7と、逐次硬貨投入口8が装備された硬貨処理部25を例として説明したが、一括硬貨投入口7、逐次硬貨投入口8のいずれかが装備されている自動取引装置にも本発明を適用できる。また、以上の実施例の説明では、筐体シャッタ9を自動取引装置1の筐体側に設けた例を説明したが、硬貨処理部25本体側にシャッタを設けた構成とした場合にも、本発明を適用できる。
【0030】
また、以上の実施例の説明では、硬貨処理部25の硬貨入出金口2にシャッタを設け、当該シャッタの開閉を制御する例を説明したが、紙幣処理部24の紙幣入出金口3にシャッタを設け、当該シャッタの開閉を制御する場合にも本発明を適用できる。
【0031】
(実施例の効果)
以上のように、実施例の自動取引装置によれば、硬貨の入出金を行う硬貨入出金口と、当該硬貨入出金口を覆う開閉可能なシャッタと、硬貨を格納する格納部を備え、硬貨により取引を行う自動取引装置において、硬貨の取扱いが必要なときだけ筐体シャッタを開いておき、硬貨処理部が出し入れされる可能性があるときは、筐体シャッタを閉じておくようにしたので、硬貨処理部の出し入れが行なわれても顧客が手を挟むことがない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上の実施例の説明では、一般的な現金の預金支払、振込みなどを行う現金自動取引装置をその一例として説明したが、鉄道の切符や定期券、航空券、入場券、勝馬投票券等のチケット、証券、商品券、紙幣、硬貨等を取り扱う自動取引装置に広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施例の自動取引装置の概観斜視図である。
【図2】実施例の自動取引装置の構成図(側面図)である。
【図3】実施例の自動取引装置の硬貨処理部の構成図(側面図)である。
【図4】実施例の自動取引装置の制御系ブロック図である。
【図5】実施例の硬貨入出金口周辺の構成図(上面図)である。
【図6】実施例1の自動取引装置の動作説明図(側面図)である。
【図7】実施例の硬貨入出金口周辺の構成とその動作を説明する図である。
【図8】実施例の硬貨入出金口周辺の構成とその動作を説明する図である。
【図9】実施例の自動取引装置の動作フローチャートである。
【図10】実施例の自動取引装置の動作を説明する図である。
【図11】実施例の硬貨処理部の外観構成図である。
【図12】実施例の自動取引装置の係員操作部の画面例である。
【図13】従来の自動取引装置の硬貨入出金口周辺の構成とその動作を説明する図である。
【図14】従来の自動取引装置の硬貨入出金口周辺の構成とその動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0034】
1 自動取引装置
2 硬貨入出金口
3 紙幣入出金口
4 操作部
5 通帳挿入口
6 カード挿入口
7 一括硬貨投入口
7s 一括硬貨投入口シャッタ
8 逐次硬貨投入口
8s 逐次硬貨投入口シャッタ
9 筐体シャッタ
10 硬貨受け
20 主制御部
25 硬貨処理部
26 係員操作部
30 隙間
31 金庫扉
32 金庫扉開閉検知スイッチ
33 引き出し検知スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関等で使用される現金自動支払機、現金自動預払機等の自動取引装置における接客口シャッタの制御技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、硬貨の入出金取引を行うことが可能な自動取引装置においては、図13に示したように、その接客口の1つとして、硬貨受け10を設けて一括して投入できる一括硬貨投入口7や、1枚ごと投入する逐次硬貨投入口8を配し、各投入口の上を覆う一括硬貨投入口シャッタ7sと逐次硬貨投入口シャッタ8s、これらさらに覆う筐体シャッタ9を設けた構造としているのが一般的である。
【0003】
このような硬貨投入口を設けた自動取引装置においては、通常時では、一括硬貨投入口7および逐次硬貨投入口8を覆う筐体シャッタ9による開閉は不要であり、筐体シャッタ9を設けない場合や、取引中は常時開けて置くのが一般的であった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−208106号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の自動取引装置では、図13に示したように、保守等を行うために係員が自動取引装置の後面の金庫扉を開き、硬貨処理部を矢印A方向に引き出すと硬貨処理部に設けられた硬貨入出金口2がともに引き出され、図14に示したように硬貨入出金口2の手前側に隙間30ができ、顧客がこの隙間に手を入れ、係員がそれを知らずに硬貨処理部を戻し、顧客の手を挟んでしまうなどの危険性があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前述の課題を解決するために次の手段を採用する。すなわち、本発明は、媒体を投入または取り出す接客口と、当該接客口を覆う開閉可能なシャッタと、当該媒体を格納する格納部を備え、媒体により取引を行う自動取引装置において、前記接客口を利用する取引を行うときは前記シャッタを開いておき、前記接客口周辺に隙間が発生するおそれがある状態を検出したときは、前記シャッタを閉じるようにした。
【発明の効果】
【0006】
本発明の自動取引装置によれば、媒体を投入または取り出す接客口と、当該接客口を覆う開閉可能なシャッタと、当該媒体を格納する格納部を備え、媒体により取引を行う自動取引装置において、前記接客口を利用する取引を行うときは前記シャッタを開いておき、前記接客口周辺に隙間が発生するおそれがある状態を検出したときは、前記シャッタを閉じるようにしたので、前記格納部の出し入れが行なわれても顧客が手を挟むことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明に係る実施の形態例を、図面を用いて説明する。なお、本発明の自動取引装置としては、鉄道の切符や定期券、航空券、入場券、勝馬投票券等のチケット、証券、商品券、紙幣、硬貨等を取扱うものがあるが、以下に示す実施例においては、一般的な現金の預金支払や振込みなどを行う現金自動取引装置で、媒体として硬貨を取扱う場合を一例として説明する。
【実施例】
【0008】
(構成)
図1は、実施例の自動取引装置の構成を示した概観斜視図である。同図に示したように、実施例の自動取引装置は、取引開始後、硬貨を入金或いは出金する硬貨入出金口2と、紙幣を投入或いは出金する紙幣入出金口3と、取引操作画面を表示しかつ所定の入力を行うタッチパネルからなる操作部4と、通帳での取引を行う場合に通帳を挿入する通帳挿入口5と、取引開始前の認証のためのキャッシュカード等を挿入するカード挿入口6とからなる。
【0009】
実施例の自動取引装置1の内部の構成としては、図2に示したように、硬貨入出金口2が操作部4に接するようにして硬貨処理部25が内蔵されている。この硬貨処理部25は、保守の際に、後述の装置後面の金庫扉が開かれ図6に示したように矢印A方向に引き出されて保守される。その他、紙幣入出金部等も同様に内蔵されているが、簡略化のためにその説明を省略する。
【0010】
前記硬貨処理部25は、図3に示したような構成となっている。すなわち、図中左上に前述の硬貨入出金口2が配置されており、入金された硬貨の鑑別を行う硬貨鑑別部17(図中下側)と、鑑別後矢印Cのように再び上側に搬送された各種硬貨を収納する硬貨収納庫13が図のように配置されている。
【0011】
そして、一時的の硬貨を格納する一時保留部40、硬貨収納庫13が一杯になったときの入金硬貨等を格納するオーバーフロースタッカ41、回収の際のリジェクト硬貨を格納する回収リジェクト収納部42、補充時のリジェクト硬貨を格納する補充リジェクト収納部43、取り忘れた硬貨を収納する取忘れボックス12が同図のように配置されている。
【0012】
次に、実施例の自動取引装置1の制御系は、図4に示したような構成となっている。すなわち、同図に示したように自動取引装置1の制御系は、筐体シャッタ9と、後述の各部の制御を行う主制御部20と、前述した操作部4、キャッシュカード等に記録された情報のリードライトを行うカード処理部21、操作ガイダンス等を出力する音声案内部22、通帳の磁気ストライプのリードライトおよび通帳への印字制御を行う通帳処理部23、紙幣の入出金制御を行う紙幣処理部24、硬貨の入出金制御を行う硬貨処理部25、係員が操作する係員操作部26とからなる。
【0013】
さらに、主制御部20の記憶部としてのメモリ部27、図示しないホストコンピュータとのインタフェイスを制御するインタフェイス部28を有する。
【0014】
図5は、硬貨入出金口2の周辺の構成を示す上面図である。同図に示したように、硬貨入出金口2は、一括入出金硬貨を投入する一括硬貨投入口7と投入された硬貨を保留する硬貨受け10を覆い矢印C方向に開閉する一括硬貨投入口シャッタ7sと、1枚ごとに硬貨を投入する逐次硬貨投入口8とこれを覆う逐次硬貨投入口シャッタ8sと、これら全体を覆い矢印B方向に開閉する筐体シャッタ9とからなる。
【0015】
(動作)
以上の構成により実施例の自動取引装置は、以下のように動作する。なお、自動取引装置の硬貨入出金取引に係る動作のほかは、一般的な自動取引装置の動作と同様であるので、簡略化のためにその説明は省略する。
【0016】
この動作を、図9の動作フローチャートに従い以下詳細に説明する。まず、自動取引装置1が取引可能かどうかを確認し(ステップS01)、取引ができない状態のときは、そのままウェイトし、取引可能であったときは、本人認証を開始する(ステップS02)。そして、顧客がキャッシュカードを挿入し、暗証番号等を入力すると本人確認が終了し、取引選択画面を操作部4に表示すると、顧客は所望する取引を選択する(ステップS03)。
【0017】
そして、選択された取引において硬貨処理部25を使用するかどうかを判定する(ステップS04)。例えば、顧客が振込取引を選択すると、手数料等の硬貨を投入することもある取引であり、硬貨処理部25を使用する取引であるので、次のステップS05に進み、筐体シャッタ9が閉じられた状態かどうかを判定し(ステップS05)、閉じられている場合は、図7に示したように、硬貨入出金口2の筐体シャッタ9を矢印B方向に開き、同様に一括硬貨投入口シャッタ7sも開く(ステップS06)。
【0018】
一方、ステップS04において、顧客が、例えば残高照会を選択した場合では、硬貨処理部25を使用しない取引であるので、筐体シャッタ9等を開く必要がないので、ステップS07に進み、顧客が選択した取引を開始する(ステップS07)。
【0019】
なお、ステップS05において、筐体シャッタ9がすでに開いている場合は、シャッタ開の動作であるステップS06をスキップしてステップS07に進む。
【0020】
そして、例えば、振込処理を顧客が選択し、振込手数料を現金で支払う場合では、硬貨入金口2より入金するように操作部4の表示部に表示或いは音声ガイドすると、顧客は、硬貨を一括硬貨投入口7または逐次硬貨投入口8に投入する。
【0021】
これらの取引を開始した後に、例えば、定期保守などにおいて、図10に示したように、係員が後面の金庫扉31を矢印D方向に開いた場合、金庫扉開閉検知スイッチ32が扉の開を検知するので(ステップS08)、保守を開始した旨を操作部4に表示或いは音声ガイダンスし(ステップS14)、筐体シャッタ9を閉じる(ステップS15)。そして、筐体シャッタ9を閉じた後、保守が終了して再び取引が可能となったかどうかを判定するステップに戻る(ステップS01)。
【0022】
このとき係員は、硬貨処理部25を図6のように引き出して確認を行う。すると、図8に示したように一括硬貨投入口7や逐次硬貨投入口8が引き出されて、隙間30が発生するが、筐体シャッタ9がすでに閉じられているので、顧客が手などを隙間30に入れようとしても入ることはなく、挟まれることはない。
【0023】
或いは、これらの取引を開始した後に、硬貨処理部25や紙幣処理部24の障害が発生した場合(ステップS09)、障害発生の旨を操作部4に表示或いは音声ガイダンスし(ステップS14)、筐体シャッタ9を閉じる(ステップS15)。そして、筐体シャッタ9を閉じた後、保守が終了して再び取引が可能となったかどうかを判定するステップに戻る(ステップS01)。
【0024】
例えば、硬貨処理部25が異常の場合、係員は後面の金庫扉31を開き、硬貨処理部25を図6のように引き出して確認を行う。すると、図8に示したように一括硬貨投入口7や逐次硬貨投入口8が引き出されて、隙間30が発生するが、筐体シャッタ9がすでに閉じられているので、顧客が手などを隙間30に入れようとしても入ることはなく、挟まれることはない。
【0025】
或いは、これらの取引を開始した後に、電源オフボタンが押下されたことを検知した場合(ステップS10)、この場合も、金庫扉31等を開き、硬貨処理部25などが引き出される可能性があるので、操作部4に取引中止を一旦表示し(ステップS14)、筐体シャッタ9を閉じた後、保守が終了して再び電源がオンされ取引が可能となったかどうかを判定するステップに戻る(ステップS01)。
【0026】
或いは、これらの取引を開始した後に硬貨処理部25や紙幣処理部24が引き出され、図11に示したように硬貨処理部25の先端に設けられた引出検知スイッチ33のオフが検出された場合(ステップS11)、操作部4にその旨を表示し(ステップS14)、筐体シャッタ9を閉じた後、保守が終了して再び電源がオンされ取引が可能となったかどうかを判定するステップに戻る(ステップS01)。
【0027】
或いは、これらの取引を開始した後に、図12に示したように、係員操作部26に表示された取引中止ボタン100を係員が押下して取引が中止されたときは(ステップS12)、硬貨処理部25の保守が開始され、硬貨処理部25が引き出される可能性があるので、筐体シャッタ9を閉じた後、保守が終了して再び取引が可能となったかどうかを判定するステップに戻る(ステップS01)。
【0028】
或いは、これらの取引を開始した後に、係員が、図12に示したように、係員操作部26に表示された硬貨中止ボタン101が押下され取引制限がなされたときは(ステップS13)、硬貨処理部25の保守が開始され、硬貨処理部25が引き出される可能性があるので、筐体シャッタ9を閉じた後、保守が終了して再び取引が可能となったかどうかを判定するステップに戻る(ステップS01)。
【0029】
なお、以上の実施例の説明では、一括硬貨投入口7と、逐次硬貨投入口8が装備された硬貨処理部25を例として説明したが、一括硬貨投入口7、逐次硬貨投入口8のいずれかが装備されている自動取引装置にも本発明を適用できる。また、以上の実施例の説明では、筐体シャッタ9を自動取引装置1の筐体側に設けた例を説明したが、硬貨処理部25本体側にシャッタを設けた構成とした場合にも、本発明を適用できる。
【0030】
また、以上の実施例の説明では、硬貨処理部25の硬貨入出金口2にシャッタを設け、当該シャッタの開閉を制御する例を説明したが、紙幣処理部24の紙幣入出金口3にシャッタを設け、当該シャッタの開閉を制御する場合にも本発明を適用できる。
【0031】
(実施例の効果)
以上のように、実施例の自動取引装置によれば、硬貨の入出金を行う硬貨入出金口と、当該硬貨入出金口を覆う開閉可能なシャッタと、硬貨を格納する格納部を備え、硬貨により取引を行う自動取引装置において、硬貨の取扱いが必要なときだけ筐体シャッタを開いておき、硬貨処理部が出し入れされる可能性があるときは、筐体シャッタを閉じておくようにしたので、硬貨処理部の出し入れが行なわれても顧客が手を挟むことがない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上の実施例の説明では、一般的な現金の預金支払、振込みなどを行う現金自動取引装置をその一例として説明したが、鉄道の切符や定期券、航空券、入場券、勝馬投票券等のチケット、証券、商品券、紙幣、硬貨等を取り扱う自動取引装置に広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施例の自動取引装置の概観斜視図である。
【図2】実施例の自動取引装置の構成図(側面図)である。
【図3】実施例の自動取引装置の硬貨処理部の構成図(側面図)である。
【図4】実施例の自動取引装置の制御系ブロック図である。
【図5】実施例の硬貨入出金口周辺の構成図(上面図)である。
【図6】実施例1の自動取引装置の動作説明図(側面図)である。
【図7】実施例の硬貨入出金口周辺の構成とその動作を説明する図である。
【図8】実施例の硬貨入出金口周辺の構成とその動作を説明する図である。
【図9】実施例の自動取引装置の動作フローチャートである。
【図10】実施例の自動取引装置の動作を説明する図である。
【図11】実施例の硬貨処理部の外観構成図である。
【図12】実施例の自動取引装置の係員操作部の画面例である。
【図13】従来の自動取引装置の硬貨入出金口周辺の構成とその動作を説明する図である。
【図14】従来の自動取引装置の硬貨入出金口周辺の構成とその動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0034】
1 自動取引装置
2 硬貨入出金口
3 紙幣入出金口
4 操作部
5 通帳挿入口
6 カード挿入口
7 一括硬貨投入口
7s 一括硬貨投入口シャッタ
8 逐次硬貨投入口
8s 逐次硬貨投入口シャッタ
9 筐体シャッタ
10 硬貨受け
20 主制御部
25 硬貨処理部
26 係員操作部
30 隙間
31 金庫扉
32 金庫扉開閉検知スイッチ
33 引き出し検知スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を投入または取り出す接客口と、当該接客口を覆う開閉可能なシャッタと、当該媒体を格納する格納部を備え、媒体により取引を行う自動取引装置であって、
前記接客口を利用する取引を行うときは前記シャッタを開いておき、前記接客口周辺に隙間が発生するおそれがある状態を検出したときは、前記シャッタを閉じるようにしたことを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
前記状態の検出は、金庫扉を開いたことの検出としたことを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記状態の検出は、障害が発生したことの検出または保守を開始することの検出としたことを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【請求項4】
前記状態の検出は、取引制限若しくは取引中止の検出または電源がオフされたことの検出としたことを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【請求項5】
前記状態の検出は、前記格納部が引き出されたことの検出としたことを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【請求項1】
媒体を投入または取り出す接客口と、当該接客口を覆う開閉可能なシャッタと、当該媒体を格納する格納部を備え、媒体により取引を行う自動取引装置であって、
前記接客口を利用する取引を行うときは前記シャッタを開いておき、前記接客口周辺に隙間が発生するおそれがある状態を検出したときは、前記シャッタを閉じるようにしたことを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
前記状態の検出は、金庫扉を開いたことの検出としたことを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記状態の検出は、障害が発生したことの検出または保守を開始することの検出としたことを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【請求項4】
前記状態の検出は、取引制限若しくは取引中止の検出または電源がオフされたことの検出としたことを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【請求項5】
前記状態の検出は、前記格納部が引き出されたことの検出としたことを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−33189(P2010−33189A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−192661(P2008−192661)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
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