説明

自動取引装置

【課題】操作部4の操作により所望の取引を行う自動取引装置1において、利用者が自動取引装置1を利用しようとしているときだけ、確実に省電力モードを解除するようにする。
【解決手段】利用者の接近を検知する近接センサ9と、利用者の顔画像データを取得するカメラ8aと、当該取得した顔画像データから利用者が自動取引装置1を利用しようとしているかどうかを判定する顔画像認識部12と、を備え、前記近接センサ9にて利用者が第1の所定の時間以上接近したと判定したときは、前記カメラ8aおよび顔画像認識部12の省電力モードを解除し、前記顔画像認識部12にて利用者が第2の所定の時間以上自動取引装置1の操作部4を見つめていると判定したときは、すべてのユニットの省電力モードを解除するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関等の窓口などに設置されている現金自動預払機等の自動取引装置における省電力制御技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の自動取引装置では、超音波や赤外線による近接センサにより利用者が自動取引装置の近傍にいないことを検出すると省電力モードとし、利用者が接近したときに省電力を解除するようになっており、利用者が近傍にいないか接近したかどうかという判定結果に基づいて供給する電力を制御していた(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
或いはさらに、利用者が遠距離にいるか、近距離にいるかを検知するセンサを設け、利用者の距離により段階的に電力を供給する技術があった(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−326371号公報
【特許文献2】特開2008−299745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の特許文献1の自動取引装置では、取引を行う予定のない利用者が前を通過しただけでも、利用者が接近したと検知し省電力モードを解除してしまうという問題があった。
【0006】
また、上記従来の特許文献2の自動取引装置では、距離に応じて段階的に供給電力を制御できるものの、距離のみで利用者の接近を判断しているので、取引を行う予定のない利用者が所定の距離に来ると、やはり、利用者が接近したと検知し省電力モードを解除してしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述の課題を解決するため次の構成を採用する。すなわち、利用者が操作部を操作して所望の取引を行う自動取引装置において、利用者の接近を検知する近接センサと、利用者の顔画像データを取得するカメラと、当該取得した顔画像データから利用者が自動取引装置を利用しようとしているかどうかを判定する顔画像認識部と、を備え、前記近接センサにて利用者が第1の所定の時間以上接近したと判定したときは、前記カメラおよび顔画像認識部の省電力モードを解除し、前記顔画像認識部にて利用者が第2の所定の時間以上自動取引装置の前記操作部を見つめていると判定したときは、すべてのユニットの省電力モードを解除するようにした。
【発明の効果】
【0008】
本発明の自動取引装置によれば、利用者が操作部を操作して所望の取引を行う自動取引装置において、利用者の接近を検知する近接センサと、利用者の顔画像データを取得するカメラと、当該取得した顔画像データから利用者が自動取引装置を利用しようとしているかどうかを判定する顔画像認識部と、を備え、前記近接センサにて利用者が第1の所定の時間以上接近したと判定したときは、前記カメラおよび顔画像認識部の省電力モードを解除し、前記顔画像認識部にて利用者が第2の所定の時間以上自動取引装置の前記操作部を見つめていると判定したときは、すべてのユニットの省電力モードを解除するようにしたので、利用者が自動取引装置を利用しようとしているときのみ、確実に省電力モードを解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1の自動取引装置の概観斜視図である。
【図2】実施例1の自動取引装置の制御系ブロック図である。
【図3】実施例1の自動取引装置の動作フローチャート図である。
【図4】実施例1の自動取引装置の動作説明図である。
【図5】実施例1の自動取引装置の動作説明図である。
【図6】実施例1の自動取引装置の操作画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。
【実施例1】
【0011】
(構成)
実施例1の自動取引装置は、図1のような外観をしており、硬貨入出金口2、紙幣入出金口3、操作部4、通帳挿入口5、カード挿入口6を備えている。そして、自動取引装置1の前面に、カメラ8a、近接センサ9が備えられている。
【0012】
硬貨入出金口2および紙幣入出金口3は、それぞれ硬貨および紙幣が投入されるとともに、これらが排出される開口部である。硬貨入出金口2および紙幣入出金口3には、それぞれシャッタが設けられ、シャッタが駆動されることにより硬貨入出金口2および紙幣入出金口3がそれぞれ開閉される。これらの奥部には、後述する硬貨および紙幣の入出金処理を行う硬貨処理部25および紙幣処理部26が設けられている。
【0013】
通帳挿入口5は、取引で使用される通帳がここから挿入され、取引が終了すると通帳が排出される部分で、その奥部には、後述する通帳処理部23が設けられている。カード挿入口6は、カードが挿入または排出される部分で、その奥部には、後述するカード処理部21が設けられている。
【0014】
操作部4は、取引に際して操作画面を表示するLCDと、取引選択、暗証番号や取引金額などを入力するタッチパネルが一体化されて構成される。
【0015】
そして、操作部4近傍に備えられたカメラ8aは、利用者を撮影するためのカメラで、自動取引装置1に利用者が接近した際に利用者の顔を撮影できる範囲にレンズの画角を調整したものとなっている。近接センサ9は、利用者が自動取引装置1に接近したことを検知する例えば超音波センサや赤外線センサである。なお、前記カメラ8aの画角を制御し、利用者の接近を検出するようにすれば、当該近接センサ9を兼ねることもできる。
【0016】
(制御系の構成)
次に、実施例1の自動取引装置の制御系は、図2の制御系ブロック図に示したように、後述の各部の制御を行う主制御部20と、カメラ8aからの画像データを受信し画像を解析し利用者の顔画像から自動取引装置を利用しようとしているかどうかを判定しその結果を主制御部20に送信する顔画像認識部12と、表示されるガイダンスに従い利用者が操作する操作部4とが設けられている。
【0017】
さらに、実施例1の自動取引装置の制御系には、キャッシュカード等に記録された口座番号等の情報のリードライトを行うカード処理部21、操作ガイダンス等を音声出力する音声案内部22、口座番号等の情報が記録された通帳の磁気ストライプのリードライトおよび通帳への印字制御を行う通帳処理部23、取引明細を印字出力する明細票処理部24、硬貨の入出金制御を行う硬貨処理部25、紙幣の入出金制御を行う紙幣処理部26が設けられている。
【0018】
さらに、各部に電源を供給する電源部27、主制御部20の記憶部であり各種の制御パラメータを格納できる記憶手段としてのメモリ部28、ホストコンピュータ50とのインタフェイスを制御するインタフェイス部29が設けられている。
【0019】
(動作)
以上の構成により、実施例1の自動取引装置は以下のように動作する。この動作を図3の動作フローチャート、図4、図5の動作説明図、図6の操作画面例を用いて以下詳細に説明する。
【0020】
まず、利用者30が自動取引装置1に近づき、前面に備えた近接センサ9により利用者30が所定の範囲内いることを検知し(ステップS01)、第1の所定の時間、例えば1秒間以上、検知したときは(ステップS02)、操作部4の画面の省電力モードを解除し電力を供給する(ステップS03)。
【0021】
そして、図6に示したような省電力モード解除中の画面G01を表示し(ステップS04)、カメラ8aと画像認識部12の省電力モードを解除し(ステップS05)、カメラ8aで取得した画像から利用者の状態を判定する(ステップS06)。
【0022】
この利用者の状態の判定は、図4に示したように、自動取引装置1の前面に配置したカメラ8aにより利用者30を撮影し、撮影した画像データを顔画像認識部12へ送信し、図5のようにカメラの撮影範囲40aから顔写真範囲41aのデータを切り出し、当該切り出したカメラ画像データの解析を行い、利用者30が自動取引装置を利用しようとしているかどうかを顔画像認識部12により判定する。
【0023】
そして、顔画像認識部12により利用者30が自動取引装置の操作部4を見つめ、自動取引装置を利用しようとしている状態が、第2の所定の時間、例えば2秒以上継続したときは(ステップS07)、その他のユニットの省電力モードを解除し(ステップS08)、操作部4に取引選択画面を表示し、通常の取引に移行する(ステップS09)。
【0024】
一方、ステップS02にて、近接センサ9による検知が第1の所定時間、本例では1秒より少ないときは、省電力モードを継続し本処理を終了する。
【0025】
また、ステップS07にて、利用者30が自動取引装置1の操作部4を見つめている時間が、第2の所定の時間、本例では2秒より少ない場合、操作部4の画面並びにカメラ8aおよび顔画像認識部12を省電力モードに戻し(ステップS10、S11)、本処理を終了する。
【0026】
(実施例1の効果)
以上詳細に述べたように実施例1の自動取引装置によれば、利用者が操作する操作部と、利用者の接近を検知する近接センサと、利用者の顔画像データを取得するカメラと、取得した顔画像データから利用者が自動取引装置を利用しようとしているかどうかを判定する顔画像認識部と、を備え、前記操作部の操作を第1の所定の時間操作しないときはすべてのユニットを省電力モードに移行し、前記近接センサにて利用者が第1の所定の時間以上接近したときは、前記カメラおよび顔画像認識部の省電力モードを解除し、前記顔画像認識部にて利用者が第2の所定の時間以上自動取引装置の操作部を見つめていると判定したときは、すべてのユニットの省電力モードを解除するようにしたので、利用者が自動取引装置を利用しようとしているときのみ、確実に省電力モードを解除することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
以上述べたように、本発明は、省電力化を必要とする金融機関等の窓口などに設置されている現金自動預払機等の自動取引装置に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 自動取引装置
2 硬貨入出金口
3 紙幣入出金口
4 操作部
5 通帳挿入口
6 カード挿入口
8a カメラ
9 近接センサ
12 顔画像認識部
20 主制御部
28 メモリ部
29 インタフェイス部
50 ホストコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が操作部を操作して所望の取引を行う自動取引装置において、
利用者の接近を検知する近接センサと、利用者の顔画像データを取得するカメラと、当該取得した顔画像データから利用者が自動取引装置を利用しようとしているかどうかを判定する顔画像認識部と、を備え、
前記近接センサにて利用者が第1の所定の時間以上接近したと判定したときは、前記カメラおよび顔画像認識部の省電力モードを解除し、
前記顔画像認識部にて利用者が第2の所定の時間以上自動取引装置の前記操作部を見つめていると判定したときは、すべてのユニットの省電力モードを解除するようにしたことを特徴とする自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−118740(P2011−118740A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276480(P2009−276480)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591051645)株式会社OKIソフトウェア (173)
【Fターム(参考)】