説明

自動取引装置

【課題】不正の対象となる各操作の情報と撮影したデータを整理し、不正発生時の調査を効率的に行なうことが可能な自動取引装置を提供する。
【解決手段】利用者との間で所定の取引を行う自動取引装置であって、利用者を撮像する撮像部と、取引の指定を受け付ける受付表示部と、撮像部が撮像した画像を所定の時間間隔ごとに分割して記憶する記憶部と、撮像部が撮像した画像を所定の時間間隔ごとに分割して記憶部に記憶させ、または受付表示部が取引の指定を受け付けた場合に、所定の時間間隔で記憶部に記憶されている画像のうち、受け付けられた取引の開始時刻以前または終了時刻以降の画像削除する制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ATM(Automated teller machine)等の自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ATM等の自動取引装置では、取引等の操作タイミングに関連した行動を撮影するような考慮がなく、不正な行動を撮影できないことがある。防犯カメラを使用したシステムでは、取引の異常や正常(特許文献1参照)により、撮影データの削除有無を判断したものであり、また、取引の終了や開始(特許文献2参照)、扉開閉(特許文献3参照)のタイミングにより、データを収集するようなものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−325640号公報
【特許文献2】特開2007−280317号公報
【特許文献3】特開2006−53810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来例によれば、取引の異常や正常により、撮影データの削除を行なうため、必要な情報を削除してしまう課題が生じる。例えば、係員のようなオペレータが現金の装填を行なう際に、故意に現金の一部を抜き取ってから、自動取引装置に現金を装填した場合、取引の異常や正常に関わらず、撮影データが取得できない場合や、不要な撮影データを保存してしまう。また、取引の終了や開始、扉開閉のタイミングにより、撮影データを収集するだけでは、上述同様に必要な情報が取得できない場合がある。
【0005】
本発明の目的は、対象操作の登録による不正取引などの操作情報の記憶し、操作前後に行なった不正を早期に確認し、有効な情報を整理することによる確認作業の効率化を提供できることにある。すなわち、不正の対象となる各操作の情報と撮影したデータを整理し、不正発生時の調査を効率的に行なうことが可能な自動取引装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の目的を達成するため、本発明にかかる自動取引装置は、利用者との間で所定の取引を行う自動取引装置であって、前記利用者を撮像する撮像部と、前記取引の指定を受け付ける受付表示部と、前記撮像部が撮像した画像を所定の時間間隔ごとに分割して記憶する記憶部と、前記撮像部が撮像した画像を前記所定の時間間隔ごとに分割して前記記憶部に記憶させ、または前記受付表示部が前記取引の指定を受け付けた場合に、前記所定の時間間隔で前記記憶部に記憶されている前記画像のうち、受け付けられた前記取引の開始時刻以前または終了時刻以降の前記画像削除する制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、不正の対象となる各操作の情報と撮影したデータを整理し、不正発生時の調査を効率的に行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施の形態における自動取引装置およびカメラの例を示す図である。
【図2】撮影操作登録画面の例を示す図である。
【図3】撮影処理フローの例を示す図である。
【図4】撮影操作情報及び、データ加工方法の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる自動取引装置の実施の形態を詳細に説明する。また、以下では、自動取引装置を銀行などの金融機関に設置されたATM(Automated teller machine)に適用した場合について説明しているが、特にこれに限定されるものではない。
【0010】
図1は、本発明に関わるATM1000の概観図である。ATM1000は、不正操作タイミングの情報収集を登録するための、タッチパネル等のディスプレイから構成される表示部1と、利用者の画像や動画(以下、単に画像と呼ぶ。)を撮影する防犯カメラ2と、防犯カメラ2をネットワーク(あるいはケーブル)Nを介した通信によって制御したり、あるいはATM全体を制御するCPU(Central Processing Unit)等の演算装置から構成される制御部10と、防犯カメラ2が撮像した画像を記憶するHDD(Hard Disk Drive)やメモリ等の記憶媒体から構成される記憶部11と、を含んで構成されている。
【0011】
図2は、表示部1が表示する撮影する操作を登録する画面の例を示す図である。図2に示すように、表示部1には、あらかじめ登録された不正を行われる可能性の考えられる操作が表示される。これらの表示には、例えば、扉開閉、シャッタ開閉、現金補充、回収などがある。管理者等は、この画面からタッチ操作を行うことによって、不正を行われる可能性の考えられる操作を登録することができるようになっている。このように登録された情報(登録情報)は、上述した記憶部11に記憶される。
【0012】
図3は、自動取引装置1000が行う防犯カメラ2による撮影処理のフローチャートである。図3に示すように、自動取引装置1000の電源がON状態となると、制御部10は、防犯カメラ2に対して画像の撮像を開始させ(ステップS301)、制御部10は、防犯カメラ2に一定時間定期的なタイミングで画像を撮像させた後、その撮像を終了させる(ステップS302)。その後、制御部10は、撮像した画像を、撮像したタイミングごとに記憶部11に記憶させる(ステップS303)。
【0013】
図3の右欄は、制御部10が、上述した撮影時間を一定時間毎に区切り、画像を記憶させた場合の例を示している。図3の右欄では、防犯カメラ2が、最初に「8:00:00」から「8:09:59」まで画像を撮像し、その後、同じ間隔で撮像し続けていることを示している。このように撮像された画像は、制御部10によって、記憶部11にタイミング別に分割して整理されて記憶される。なお、制御部10は、一定時間毎に保存せず、連続して撮像した全ての動画データから、必要部分(例えば、表示部1等から指定された時間)の画像を収集することも可能である。
【0014】
図4は、図2で登録した操作が実行された場合に、制御部10が取引の情報を記録し、記録したデータと撮影情報を比較し、対象取引の撮影情報のデータを記録データと関連付けて記憶させる様子を示す図である。
【0015】
図4に示すように、制御部10は、記憶部11に登録情報として記憶されている操作が開始されたか否かを判定し、操作が開始されたと判定すると、不図示のタイマ等によってその時刻を記憶し(ステップS401)、その後、その操作が終了した時刻を記憶する(ステップS402)。そして、制御部10は、記憶したこれらの時刻(図4に示した例では、8:25、8:35)を記憶部11に記憶させる(ステップS403)。その後、制御部10は、記憶部11に記憶させた時刻の前後に記憶された撮影時間のうち所定の時間分の情報(例えば、撮像開始前10分以前の情報、および撮像終了後10分以降の情報)を削除する。
【0016】
図4の右欄は、制御部10が、撮像開始時刻(8:25)以前10分よりもさらに前の時間として記憶されている情報(1)、および撮像終了時刻(8:35)以降10分よりもさらに後の時間として記憶されている情報(6)を削除していることを示している。なお、一時的に保存している撮影データは、電源投入時等に削除するものとする。
【0017】
このように、予め登録された操作等に関わる取引情報と操作の前後を含んだ撮影データが保存することにより、不正な操作があった場合に必要な情報が効率的に調査・確認ができる。すなわち、不正を行なう可能性がある取引等を事前に登録しておき、登録された取引等の操作前後を含めた撮影データを保存することで、操作前後に行なった不正を早期に確認できること、また不正操作に関係のない撮影データを削除することで保存データの容量が少なくできることにより不正発生時の調査を効率的に行なうことができる。また、予め保有している操作前後の撮影データを含めた情報をもとに、必要最小限の情報を保存できる。
【0018】
また、制御部10は、記憶部11が記憶する情報として、防犯カメラ2が撮像した画像以外のデータがあるか否かを判定し、その画像以外のデータがあると判定した場合には、その画像以外のデータを削除または圧縮することによって、必要最小限の情報を保存することとしてもよい。このような構成とすることによって、検索・調査時に不要なデータがなく効率的な解析ができる。
【0019】
なお、本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0020】
1000 ATM
1 表示部
2 防犯カメラ
10 制御部
11 記憶部
N ネットワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者との間で所定の取引を行う自動取引装置であって、
前記利用者を撮像する撮像部と、
前記取引の指定を受け付ける受付表示部と、
前記撮像部が撮像した画像を所定の時間間隔ごとに分割して記憶する記憶部と、
前記撮像部が撮像した画像を前記所定の時間間隔ごとに分割して前記記憶部に記憶させ、または前記受付表示部が前記取引の指定を受け付けた場合に、前記所定の時間間隔で前記記憶部に記憶されている前記画像のうち、受け付けられた前記取引の開始時刻以前または終了時刻以降の前記画像削除する制御部と、
を備えることを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記画像以外のデータの有無を判定し、前記画像以外のデータがあると判定した場合には、前記画像以外のデータを削除または圧縮する、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記撮像部が撮像した画像に関する操作情報である取引情報を記憶する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−242993(P2011−242993A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114387(P2010−114387)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】