説明

自動取引装置

【課題】紙幣収納カセットの有効な利用と紙幣の効率的な運用を可能にし、旧紙幣の入金が多い場合でも入金取引を中止するような事態を回避できる装置を実現する。
【解決手段】紙幣収納カセット14a、14bに万円の新紙幣と旧紙幣を、紙幣収納カセット14c、14dに千円の新紙幣と旧紙幣をそれぞれ混在させて収納して、紙幣収納カセット14a、14c使用して入金、出金取引を行い、例えば紙幣収納カセット14aが空になったとき、万円紙幣の総出金枚数に対する新紙幣の割合を算出して、算出した割合が基準値以上の場合、紙幣収納カセット14aを旧紙幣回収カセットとして、以後の出金取引では紙幣収納カセット14bから紙幣を出金し、入金取引では旧万円紙幣を旧紙幣回収カセット14aに収納すると共に、新万円紙幣を紙幣収納カセット14bに収納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新紙幣と旧紙幣を取扱う自動取引装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
新たなデザインの新紙幣が発行された場合、それまで流通していた旧紙幣が流通しなくなるまでの期間、金融機関の自動取引装置はこの新紙幣と旧紙幣の両方を取扱うことになる。
このような新紙幣と旧紙幣を取扱う従来の自動取引装置として、新紙幣用の金種別紙幣カセット(金庫)の他に旧紙幣を回収するための旧紙幣回収カセット(金庫)を設けておき、入金等の取引で鑑別部により旧紙幣と鑑別された紙幣を旧紙幣回収カセットに収納するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−180244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、入金される旧紙幣を旧紙幣回収カセットに収納するため、旧紙幣の回収を効率よく行えるという利点があるものの、旧紙幣回収カセットは旧紙幣の回収専用にしか利用しないため、カセットの利用効率が悪く、かつ旧紙幣回収カセットに収納した旧紙幣は出金に利用しないため紙幣の運用効率も悪いという問題があり、しかも旧紙幣の割合が高い入金が続いて旧紙幣回収カセットが満杯になった場合、入金取引を中止しなければならなくなるという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明は、入金取引時に紙幣入出金口に投入された紙幣の金種を鑑別部で鑑別して、鑑別された金種に応じて紙幣を該当金種の紙幣収納カセットに収納し、出金取引時には前記紙幣収納カセットから紙幣を繰出し、前記鑑別部で金種の鑑別、金種毎の計数を行って紙幣入出金口から支払う自動取引装置において、2つの前記紙幣収納カセットを同一金種の紙幣を収納するものとし、この2つ紙幣収納カセットに旧紙幣と該旧紙幣とはデザインの異なる新紙幣を混在した状態で収納して、一方の紙幣収納カセットが空になるまで、その一方の紙幣収納カセットを使用して入金、出金取引を行い、前記一方の紙幣収納カセットが空になったとき、該当金種の総出金枚数に対する新紙幣の割合を算出して、算出した割合が基準値以上の場合、前記空になった一方の紙幣収納カセットを旧紙幣回収カセットとして、以後の出金取引では他方の紙幣収納カセットから紙幣を出金し、入金取引では該当金種の旧紙幣を前記旧紙幣回収カセットに収納すると共に、該当金種の新紙幣を前記他方の紙幣収納カセットに収納することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このようにした本発明は、紙幣収納カセットを有効に利用することができると共に、紙幣の効率的な運用が可能になるという効果が得られ、旧紙幣の入金が多い場合でも、装置の運用あるいは入金取引を中止するような事態に陥ることを回避することができるという効果も得られ、更に空になった紙幣収納カセットを旧紙幣回収用カセットに設定した後は、この旧紙幣回収用カセットに入金紙幣のうちの旧紙幣を収納するので、旧紙幣のみを回収したい場合にも対応できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施例を示すブロック図
【図2】紙幣入出金機の内部構成を示す概略側面図
【図3】記憶部に記憶される紙幣枚数カウンタを示す図
【図4】第1の実施例における取引モードを示す図
【図5】第1の実施例の作用を示すフローチャート
【図6】第2の実施例の作用を示すフローチャート
【図7】第3の実施例の作用を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明による自動取引装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は第1の実施例を示すブロック図である。図において1は自動取引装置全体の制御を行う制御部である。2は記憶部で、制御部1が実行するプログラムが記憶されており、この記憶部2には取引処理結果等が記憶される他、後述する紙幣枚数カウンタが設定され、更に後述する取引モードも記憶されるものとなっている。
【0010】
3は装置の背面扉の内面等に設けられた係員操作部で、係員が操作して取引モードの設定等を行う部位である。
4は装置の正面上部に設けられた顧客操作表示部であって、取引選択画面や顧客の取引操作を誘導する画面等を表示する表示部と、この表示部の表示に従って取引の選択や取引に必要な情報等を入力操作するためのタッチパネルで構成されている。
【0011】
5はカード・レシート取扱部で、取引開始時に装置の正面上部に設けられているカード挿入返却口から挿入された顧客カード(キャッシュカード)の磁気ストライプ等から口座種別や口座番号及び顧客氏名等の口座情報を読取り、またレシートに取引明細の印字を行って顧客に発行する機能を有している。
【0012】
6は通帳取扱部で、取引開始時に装置の正面上部に設けられている通帳挿入返却口から挿入された通帳の磁気ストライプから口座種別や口座番号及び顧客氏名等の口座情報を読取り、また通帳の開かれたページに取引明細の印字を行う機能を有している。
7は紙幣入出金機で、紙幣の入金処理機能及び出金処理機能を有しており、8は硬貨入出金機で、硬貨の入金処理機能及び出金処理機能を有している。
【0013】
図2は紙幣処理装置7の内部構成を示す概略側面図で、図において11は紙幣入出金口であり、入金取引時に顧客が投入した紙幣を受取り、分離して装置内部に取り込むと共に、出金取引時に紙幣を集積して顧客に支払う部位として機能する。
【0014】
12は鑑別部で、紙幣の金種、新旧、正損等の鑑別を行うと共に、斜行や連鎖等の搬送異常の有無の検知、及び金種が確定した紙幣の計数を行う機能を有している。
13は一時保留部で、入金取引時に鑑別部12で入金可能と鑑別された紙幣を入金が確定するまで一時的に保管する部位である。
【0015】
14a〜14dは紙幣収納カセットで、顧客が入金した紙幣を収納する機能、及び顧客に支払う紙幣を繰出す機能を有し、これらの紙幣収納カセット14a〜14dは補充紙幣を収納して本装置に装填すること、及び紙幣回収のため紙幣を収納した状態で本装置から取外すことができるようになっている。更に本実施例では紙幣収納カセット14aと14bを万円紙幣用、14cと14dを千円紙幣用として運用するものとし、各カセットにはそれぞれ紙幣が3000枚収納できるものとしている。
【0016】
15は取忘れ紙幣収納部で、出金取引において顧客が取り忘れた紙幣を収納する部位である。
16は損券収納カセットで、入金取引時に真券ではあるものの出金に適さない損券と鑑別された紙幣、出金に用いない五千円紙幣、二千円紙幣、及び出金取引時にリジェクト券と鑑別された紙幣を収納するカセットである。
【0017】
17は上述した紙幣入出金口11、鑑別部12、一時保留部13、各紙幣収納カセット14a〜14d、取忘れ紙幣収納部15、及び損券収納カセット16間を結んで紙幣を搬送する搬送路であり、この搬送路17の分岐・合流点には紙幣の搬送方向を切替える図示しない切替え手段が設けられている。
【0018】
図3は記憶部2に記憶される紙幣枚数カウンタを示す図で、この紙幣枚数カウンタは、紙幣の出金枚数を金種、新旧毎に記憶する出金枚数カウンタとして同図(a)に示したように新万円出金枚数カウンタ、旧万円出金枚数カウンタ、新千円出金枚数カウンタ、旧千円出金枚数カウンタが設定され、紙幣の入金枚数を金種、新旧毎に記憶する入金枚数カウンタとして、同図(b)に示したように新万円入金枚数カウンタ、旧万円入金枚数カウンタ、新千円入金枚数カウンタ、旧千円入金枚数カウンタが設定されている。
【0019】
図4は記憶部2に記憶される取引モードを示す図で、本実施例では万円紙幣と千円紙幣のそれぞれに取引モードを設定し、その万円紙幣取引モードと千円紙幣取引モードに対して通常取引モードを旧紙幣回収モードに切替えるものとなっている。ここで、通常取引モードとは、入金及び出金取引において新旧の紙幣を混在して扱う運用形態を指し、また旧紙幣回収モードとは、入金取引において新紙幣と旧紙幣とを別々に分けて収納する運用形態を指す。
【0020】
このような構成を有する自動取引装置は、金融機関の営業店舗やコンビニエンスストア、ガソリンスタンド、スーパーマーケット等に設置され、金融機関が管理し維持する図示しないホストコンピュータと通信回線を介して接続されている。
ホストコンピュータは利用者の口座番号、氏名および預貯金残高情報等の顧客情報が記憶された図示しない記憶装置(顧客データベース) を有しており、自動取引装置の制御部1はホストコンピュータとデータの授受を行いながら入金、出金などの取引を行うものとなっている。
【0021】
上述した構成の作用について説明する。
尚、以下に説明する各部の動作は、記憶部2に格納されたプログラムに基づいて制御部1により制御されるものとし、制御部1による記憶部2等からの情報の読出しやそれに基づく制御については、必要な場合を除いて省略する。
【0022】
まず、取引の準備として、本装置の運用開始時等に紙幣収納カセット14a〜14dを装置に装填する。ここで紙幣収納カセット14a、14bには新万円紙幣と旧万円紙幣を混在させて所定の枚数、例えば2500枚補充されているものとし、また紙幣収納カセット14c、14dには新千円紙幣と旧千円紙幣を混在させて所定の枚数、例えば2500枚補充されているものとする。また、装置の運用開始に当たって電源投入した後、図3に示した紙幣枚数カウンタをすべて「0」にクリアし、取引モードは係員が係員操作部3を操作して万円紙幣取引モード、千円紙幣取引モードとも通常取引モードに設定されるものとする。
【0023】
この状態で以下のように取引処理が行われる。図5は第1の実施例の作用を示すフローチャートで、特に入出金処理を示ており、この図中にSで示したステップに従って説明する。
S1:まず、顧客が顧客操作表示部4を操作して取引を選択する。
S2:制御部1は選択された取引が出金か否かを判断し、出金の場合は次のS3へ進み、出金でない場合はS11へ進む。
【0024】
S3:出金取引を選択した顧客がカード挿入返却口から挿入した顧客カードを取り込んでカード・レシート取扱部5により口座情報を読取り、そして顧客操作表示部4で顧客が暗証番号、支払金額を入力すると、制御部1はホストコンピュータと通信を行って、ホストコンピュータに口座情報と暗証番号及び支払金額を送り、ホストコンピュータから取引可能の旨の回答が送られてくると、制御部1は顧客により入力された支払金額に応じて次のような処理を行う。
【0025】
例えば、支払金額が10万円であるとすると、制御部1は記憶部に記憶されている万円紙幣取引モードを参照し、万円紙幣取引モードが通常取引モードに設定されていれば紙幣収納カセット14aから紙幣を10枚繰出し、搬送路17により鑑別部12に搬送するが、当該自動取引装置で、入出金取引が繰り返し行われ、それにより紙幣収納カセット14a内の紙幣が少なくなっていて繰出し途中で空になった場合、紙幣収納カセット14bから紙幣を繰出して搬送路17により鑑別部12に搬送する。また、万円紙幣取引モードが旧紙幣回収モードに設定されていれば、紙幣収納カセット14bから紙幣を繰出して搬送路17により鑑別部12に搬送する。
【0026】
尚、ここでは万円紙幣取引モードが通常取引モードであって、紙幣収納カセット14aから新万円紙幣が5枚、旧万円紙幣が5枚繰出されて鑑別部12に搬送されたものとする。
【0027】
S4:鑑別部12は送られてきた紙幣の金種、新旧等を鑑別すると共に、搬送異常の有無の検知を行い、そして搬送異常がなく金種が確定した紙幣を計数して、その計数結果に基づいて制御部1は新万円紙幣出金枚数カウンタと旧万円紙幣出金枚数カウンタを更新する。
すなわち、ここでは紙幣収納カセット14aから繰出された紙幣に搬送異常が検知されず、すべて計数されたものとして、新万円紙幣出金枚数カウンタと旧万円紙幣出金枚数カウンタにそれぞれ5枚分の紙幣の枚数「5」が加算される。
【0028】
S5:鑑別、計数された紙幣を搬送路17により紙幣入出金口11に搬送して集積する。
S6:10枚の万円紙幣を紙幣入出金口11に集積したら、紙幣入出金口11に設けられているシャッタを開いて顧客に紙幣を払出す。
【0029】
S7:制御部1は紙幣収納カセット14a〜14dのうち出金したカセットに設けられている図示しないエンドセンサの出力等に基づいて出金したカセットが空になったか否かを確認し、空になっていない場合は当該出金処理を終了し、空になった場合は、次のS8に移行する。ここでは出金したカセットが紙幣収納カセット14aで、この紙幣収納カセット14aが空になったものとして説明を進めるが、このとき新万円紙幣出金枚数カウンタの値は例えば4000、旧万円紙幣出金枚数カウンタの値は例えば1000であったものとする。
【0030】
S8:制御部1は新万円紙幣出金枚数カウンタと旧万円紙幣出金枚数カウンタを参照して、出金した総出金枚数に対する新万円紙幣の出金の割合を算出する。この場合、新万円紙幣出金枚数カウンタの値は4000、旧万円紙幣出金枚数カウンタの値は1000であるので、万円紙幣の総出金枚数は5000であり、従って総出金枚数に対して出金した新万円紙幣の割合は80%となる。
【0031】
S9:制御部1は算出した新万円紙幣の割合が規定(基準)値以上かどうかを判断する。そして、新万円紙幣の割合が規定値未満の場合は当該出金処理を終了し、規定値以上の場合は次のS10へ進む。ここで上記の規定値は予め設定されていて記憶部2に記憶されており、この規定値が例えば70%に設定されている場合、出金した新万円紙幣の割合は80%であるので、次のS10へ進むことになる。
【0032】
S10:制御部1は空になった紙幣収納カセット14aを旧万円紙幣のみを収納して回収するための旧万円紙幣回収カセットとして設定し、万円紙幣取引モードを通常取引モードから旧紙幣回収モードに切替えて当該出金処理を終了するが、以後の出金取引において万円紙幣は紙幣収納カセット14bから繰出される。
S11:制御部1は選択された取引が入金か否かを判断し、入金の場合は次のS12へ進み、入金でない場合はS18へ進む。
【0033】
S12:入金取引を選択した顧客がカード挿入返却口から挿入した顧客カードを取り込んでカード・レシート取扱部5により口座情報を読取るか、または通帳挿入返却口から挿入された通帳から口座情報を読取ると、制御部1はホストコンピュータと通信を行って、ホストコンピュータに口座情報を送り、ホストコンピュータから取引可能の旨の回答が送られてくると、制御部1は紙幣入出金口11のシャッタを開き、顧客に紙幣を投入させる。ここでは顧客が新万円紙幣と旧万円紙幣をそれぞれ10枚ずつ紙幣入出金口11に投入したものとする。
【0034】
S13:紙幣入出金口11に投入された紙幣を図示しないセンサが検知するとシャッタを閉じ、分離手段により紙幣を一枚ずつ分離して鑑別部12に搬送する。
S14:鑑別部12は送られてきた紙幣の金種、新旧等を鑑別すると共に、搬送異常の有無の検知を行い、そして搬送異常がなく金種が確定した紙幣を計数する。尚、ここでは紙幣に搬送異常が検知されず、すべて計数されたものとする。
【0035】
S15:鑑別、計数された紙幣を搬送路17により一時保留部13に搬送して集積する。
S16:制御部1は計数結果を顧客操作表示部4に表示して顧客に確認を促し、顧客が表示内容を確認して内容を承認する旨の入力を行うと、制御部1は鑑別した紙幣の金種に応じて記憶部2に記憶されている取引モードを確認して、確認した取引モードが通常取引モードか旧紙幣回収モードかに応じ、一時保留部13の紙幣を紙幣収納カセット14a〜14dに振分けて収納する。
【0036】
すなわち、ここでは万円紙幣の入金であるので、万円紙幣取引モードが通常取引モードか旧紙幣回収モードかの確認を行う。そして通常取引モードの場合は、一時保留部13の万円紙幣を繰出して鑑別部12を経由させ、紙幣の新旧にかかわらず搬送路17により紙幣収納カセット14aに搬送して収納し、紙幣収納カセット14aが満杯になった場合は、紙幣収納カセット14bに搬送して収納する。また、万円紙幣取引モードが旧紙幣回収モードの場合は、一時保留部13の紙幣を繰出して鑑別部12に送り、鑑別部12で旧紙幣と鑑別された万円紙幣を搬送路17により旧万円紙幣回収カセットとして設定されている紙幣収納カセット14aに搬送して収納し、新紙幣と鑑別された万円紙幣を搬送路17により紙幣収納カセット14bに搬送して収納する。
【0037】
S17:制御部1は前記計数結果に基づいて新万円紙幣入金枚数カウンタと旧万円紙幣入枚数カウンタを更新する。
すなわち、新万円紙幣出金枚数カウンタと旧万円紙幣出金枚数カウンタにそれぞれ10枚分の紙幣の枚数「10」を加算し、当該出金処理を終了する
S18:制御部1は顧客により選択されたその他の取引、例えば残高照会や通帳記帳等の取引を実行し、実行後、その取引処理を終了する。
【0038】
尚、以上の処理は万円紙幣を例にしたものであるが、千円紙幣の入出金についても同様に処理を行うことができ、その場合、千円紙幣取引モードを通常取引モードから旧紙幣回収モードに切替えたときは紙幣収納カセット14cを千円紙幣回収カセットとして設定すればよい。また、紙幣による振込取引を行う際も入金、釣銭支払のための出金が行われるが、この場合も同様に処理を行うことが可能である。
【0039】
以上説明したように、第1の実施例では、同一金種に割当てられた2つの紙幣収納カセットのうち、一方の紙幣収納カセットが出金の繰返しにより空になった場合、紙幣の総出金枚数に対する新紙幣の出金枚数の割合を算出して、その割合が規定値を超えている場合、空になった紙幣収納カセットを旧紙幣回収用カセットに設定して、この旧紙幣回収用カセットに入金紙幣のうちの旧紙幣を収納するようにしているため、紙幣収納カセットを有効に利用することができると共に、紙幣の効率的な運用が可能になるという効果が得られ、旧紙幣の入金が多い場合でも、装置の運用あるいは入金取引を中止するような事態に陥ることを回避することができるという効果も得られ、更に空になった紙幣収納カセットを旧紙幣回収用カセットに設定した後は、この旧紙幣回収用カセットに入金紙幣のうちの旧紙幣を収納するので、旧紙幣のみを回収したい場合にも対応できるという効果が得られる。
【実施例2】
【0040】
次に第2の実施例について説明する。この第2の実施例の構成は、第1の実施例と同様であるので、以下に作用について説明する。
図6は本発明の第2の実施例の作用を示すフローチャートで、S1からS15までと、S17及びS18は第1の実施例と同様に処理が実行され、S16の処理が異なる。
【0041】
すなわち、この第2の実施例では、S16において制御部1は計数結果を顧客操作表示部4に表示して顧客に確認を促し、顧客が表示内容を確認して内容を承認する旨の入力を行うと、制御部1は鑑別した紙幣の金種に応じて記憶部2に記憶されている取引モードを確認して、確認した取引モードが通常取引モードか旧紙幣回収モードかに応じ、一時保留部13の紙幣を紙幣収納カセット14a〜14dに振分けて収納する。
【0042】
ここでは万円紙幣の入金であるので、万円紙幣取引モードが通常取引モードか旧紙幣回収モードかの確認を行い、通常取引モードの場合は、一時保留部13の万円紙幣を繰出して鑑別部12を経由させ、紙幣の新旧にかかわらず搬送路17により紙幣収納カセット14aに搬送して収納し、紙幣収納カセット14aが満杯になった場合は、紙幣収納カセット14bに搬送して収納する。
【0043】
また、万円紙幣取引モードが旧紙幣回収モードの場合は、一時保留部13の紙幣を繰出して鑑別部12に送り、鑑別部12で新紙幣と鑑別された万円紙幣を搬送路17により紙幣収納カセット14bに搬送して収納し、そして旧紙幣と鑑別された万円紙幣を搬送路17により旧万円紙幣回収カセットとして設定されている紙幣収納カセット14aに搬送して収納するが、紙幣収納カセット14aが満杯の場合、制御部1は千円紙幣取引モードを参照し、千円紙幣取引モードが旧紙幣回収モードであって、旧千円紙幣回収カセットとして設定されている紙幣収納カセット14cが満杯でない場合は、旧万円紙幣を搬送路17により紙幣収納カセット14cに搬送して収納する。
【0044】
但し、旧千円紙幣回収カセットとして設定されている紙幣収納カセット14cも満杯の場合、または千円紙幣取引モードが通常取引モードの場合は、旧万円紙幣を紙幣収納カセット14bに搬送して収納する。
尚、上記の処理は万円紙幣を例にしたものであるが、千円紙幣の入金についても同様に処理を行うことができ、また紙幣による振込取引を行う際も入金が行われるので、その場合も同様に処理を行うことが可能である。
【0045】
以上説明したように、第2の実施例では、第1の実施例と同様の効果が得られる他、以下の効果も得られる。すなわち、この第2の実施例では、旧紙幣回収モードでの入金処理において、万円と千円の一方の紙幣回収カセットが満杯になった場合、他方の紙幣回収カセットが満杯でない場合、この他方の紙幣回収カセットに満杯になった金種の旧紙幣を収納するようにしているため、紙幣回収カセットが満杯になった金種の紙幣の入金取引を中止することなく、旧紙幣を紙幣回収カセットに収納することが可能になるという効果が得られる。
【実施例3】
【0046】
次に第3の実施例について説明する。この第3の実施例の構成も、第1の実施例と同様であるので、以下に作用について説明する。
図7は本発明の第3の実施例の作用を示すフローチャートで、本実施例では出金の流れの中にS19とS20の処理を加えたものとしている。
【0047】
すなわち、S7において、制御部1が出金した紙幣収納カセットが空になったことを確認した場合、次のS19で制御部1は記憶部2に記憶されている紙幣取引モード(万円紙幣取引モード、千円紙幣取引モード)を参照し、紙幣取引モードが通常取引モードに設定されているか否かを判断し、通常取引モードに設定されている場合はS8へ移行するが、紙幣取引モードが旧紙幣回収モードに設定されている場合は、S20に進んで紙幣取引モードを通常取引モードに切替える。
【0048】
つまり、ここで紙幣取引モードが旧紙幣回収モードに設定されているということは、出金した紙幣が万円紙幣である場合、その紙幣は紙幣収納カセット14bから繰出されたものであるということで、このとき紙幣収納カセット14aは旧万円紙幣回収カセットとして運用されているということであり、紙幣取引モードを通常取引モードに切替えるということは、紙幣収納カセット14a内の旧万円紙幣を出金に運用できるように変更するということである。
【0049】
このようにして紙幣取引モードを通常取引モードに切替え、当該出金取引を終了する。
尚、上記の処理は万円紙幣を例にしたものであるが、千円紙幣についても同様に処理を行うことができる。
【0050】
以上説明したように、第3の実施例では、第1の実施例と同様の効果が得られる他、以下の効果も得られる。すなわち、この第3の実施例では、紙幣取引モードが旧紙幣回収モードであるとき、紙幣を出金した紙幣収納カセットが空になった場合、旧万円紙幣回収カセットとして運用されている紙幣収納カセット内の旧万円紙幣を出金に運用できるように紙幣取引モードを通常取引モードに切替えるようにしているため、装置内の紙幣をより有効に利用できるという効果が得られる。
【0051】
尚、上述した第1〜第3の実施例では、同一金種の新紙幣の出金の割合で、紙幣取引モードを通常モードから旧紙幣回収モードに切替えるものとしたが、すべての金種の合計の新紙幣の出金の割合で、紙幣取引モードを通常モードから旧紙幣回収モードに切替えるものとしてもよく、また紙幣取引モードを通常モードから新紙幣を回収する新紙幣回収モードに切替えるようにすることも可能である。
【0052】
また、上述した第1〜第3の実施例では、紙幣収納カセット14a〜14dに対して直接紙幣を補充、回収できる自動取引装置を図示して説明したが、補充回収カセットにより紙幣収納カセット14a〜14dに対して紙幣の補充、回収を行う自動取引装置であっても同様の処理を行うことが可能であり、更に紙幣は日本の紙幣に限られるものではなく、外国の紙幣であっても同様に処理を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 制御部
2 記憶部
3 係員操作部
4 顧客操作表示部
5 カード・レシート取扱部
6 通帳取扱部
7 紙幣入出金機
8 硬貨入出金機
11 紙幣入出金口
12 鑑別部
13 一時保留部
14a〜14d 紙幣収納カセット
15 取忘れ紙幣収納部
16 損券収納カセット
17 搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入金取引時に紙幣入出金口に投入された紙幣の金種を鑑別部で鑑別して、鑑別された金種に応じて紙幣を該当金種の紙幣収納カセットに収納し、出金取引時には前記紙幣収納カセットから紙幣を繰出し、前記鑑別部で金種の鑑別、金種毎の計数を行って紙幣入出金口から支払う自動取引装置において、
2つの前記紙幣収納カセットを同一金種の紙幣を収納するものとし、この2つ紙幣収納カセットに旧紙幣と該旧紙幣とはデザインの異なる新紙幣を混在した状態で収納して、一方の紙幣収納カセットが空になるまで、その一方の紙幣収納カセットを使用して入金、出金取引を行い、
前記一方の紙幣収納カセットが空になったとき、該当金種の総出金枚数に対する新紙幣の割合を算出して、算出した割合が基準値以上の場合、前記空になった一方の紙幣収納カセットを旧紙幣回収カセットとして、以後の出金取引では他方の紙幣収納カセットから紙幣を出金し、入金取引では該当金種の旧紙幣を前記旧紙幣回収カセットに収納すると共に、該当金種の新紙幣を前記他方の紙幣収納カセットに収納することを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動取引装置において、
2金種以上の入金、出金取引を可能とし、各金種について空になった一方の紙幣収納カセットをそれぞれ旧紙幣回収カセットとした後、
或る金種の旧紙幣回収カセットが満杯になったとき、他の金種の旧紙幣回収カセットが満杯でない場合、前記満杯になった旧紙幣回収カセットに該当する金種の旧紙幣を前記他の金種の旧紙幣回収カセットに収納することを特徴とする自動取引装置。
【請求項3】
請求項1記載の自動取引装置において、
前記空になった一方の紙幣収納カセットをそれぞれ旧紙幣回収カセットとした後、前記他方の紙幣収納カセットが空になったとき、旧紙幣回収カセットに収納されている旧紙幣を出金取引で出金することを特徴とする自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−14512(P2012−14512A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151113(P2010−151113)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】