説明

自動取引装置

【課題】ユニットが引き出された状態の開口部を、簡易な構成にて閉塞することができる自動取引装置を提供する。
【解決手段】自動取引装置は、前面開口部を備える本体部と、本体部の背面側から前面開口部に向かって収納可能であって、収納時に前面開口部にユニットシャッタ12が臨む硬貨還流ユニット10を備える。本体部は、本体シャッタ22を有するシャッタ機構20を備える。本体シャッタ22は、前面開口部を閉塞する閉塞位置と前面開口部を開放する開放位置との間で、蝶番27により取付ベース21に回動可能に支持される。第1リンク24は、取付ベース21に回動可能に支持されるとともに、第2リンク25とリンクする。第2リンク25は、本体シャッタ22とリンクする。硬貨還流ユニット10は、収納時にステー15がローラ26に当接し、第1リンク24を回動させて、本体シャッタ22を閉塞位置から開放位置まで回動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
窓口担当がおこなう窓口業務を自動化した自動取引装置がある。自動取引装置は、たとえば、金融機関に備えられるATM(Automatic Teller Machine:現金自動預払機)や、競馬場や競輪場、競艇場、オートレース場などに備えられる投票券発払装置、駅やアミューズメント施設等に備えられる券売機などがある。
【0003】
自動取引装置は、機能ごとのユニットを内部に備え、ユニットの一部である操作部が前面の開口部に臨む。メンテナンスする際にユニットが引き出されると、自動取引装置は、操作部の引き出された開口部を前面に臨ませることとなる。
【0004】
ユニットが引き出された状態の開口部は、異物の本体内落下や、操作者が手を挿入して挟み込むなどの事故を惹起するおそれがあり、自動取引装置は、シャッタにより開口を塞ぐことで事故防止を図っている(特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平01−237792号公報
【特許文献2】特開2004−110640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、ユニットが引き出された状態の開口部を、簡易な構成にて閉塞可能な自動取引装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、自動取引装置は、前面開口部を備える本体部と、本体部の背面側から前面開口部に向かって収納可能であって、収納時に前面開口部に操作部が臨むユニットと、を備える。本体部は、シャッタと、第1リンクと、第2リンクと、を備える。シャッタは、前面開口部を閉塞する閉塞位置と前面開口部を開放する開放位置との間で本体部に回動可能に支持され、前面開口部を閉塞する方向に付勢される。第1リンクは、一側で本体部に回動可能に支持される。第2リンクは、一側でシャッタとリンクし、他側で第1リンクの他側とリンクする。ユニットは、収納時に第1リンクに当接し、第1リンクを回動させて、シャッタを閉塞位置から開放位置まで回動させる当接部を備える。
【発明の効果】
【0008】
上記の自動取引装置によれば、ユニットが引き出された状態の開口部を、簡易な構成にて閉塞することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態の現金自動預払機の概観を示す図である。
【図2】第1の実施形態の硬貨還流ユニットの概観を示す図である。
【図3】第1の実施形態のシャッタ機構と硬貨還流ユニットの概観を示す図である。
【図4】第1の実施形態のシャッタ機構の分解斜視図である。
【図5】第1の実施形態の本体シャッタが閉塞状態から開放状態まで遷移する状態を示す図である。
【図6】第1の実施形態の本体シャッタが閉塞状態にあるシャッタ機構と、硬貨還流ユニットの側面図である。
【図7】第1の実施形態の本体シャッタが遷移状態にあるシャッタ機構と、硬貨還流ユニットの側面図である。
【図8】第1の実施形態の本体シャッタが遷移状態にあるシャッタ機構と、硬貨還流ユニットの側面図である。
【図9】第1の実施形態の本体シャッタが遷移状態にあるシャッタ機構と、硬貨還流ユニットの側面図である。
【図10】第1の実施形態の本体シャッタが開放状態にあるシャッタ機構と、硬貨還流ユニットの側面図である。
【図11】第2の実施形態のシャッタ機構とステーの概観を示す図である。
【図12】第2の実施形態のシャッタ機構の一部斜視図である。
【図13】第3の実施形態のシャッタ機構と硬貨還流ユニットの概観を示す図である。
【図14】第4の実施形態のシャッタ機構と硬貨還流ユニットの概観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本技術の実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
まず、第1の実施形態の現金自動預払機の概観について図1を用いて説明する。図1は、第1の実施形態の現金自動預払機の概観を示す図である。
【0011】
現金自動預払機1は、自動取引装置の1つであり、金融機関の店舗内またはショッピングセンターなどのATMブースに備えられる。
現金自動預払機1は、本体部2の内部に硬貨還流ユニット(CRU:Coin Recycle Unit)、紙幣還流ユニット(BRU:Bill Recycle Unit)、記帳ユニット、レシートプリンタユニット、カードリーダライタユニットなど複数のユニットを備える。現金自動預払機1は、背面扉3を開放することで、本体部2の内部に収納される各ユニットを後方に引き出し可能になっていて、各ユニットのメンテナンスを容易にしている。
【0012】
現金自動預払機1は、本体部2の前面に、通帳挿入口4、カード挿入口5、硬貨投入出口6、紙幣投入出口7、入力操作部8、操作卓9などの各種操作部を備える。通帳挿入口4は、通帳の挿入と、抜取をおこなう操作部である。カード挿入口5は、キャッシュカードやクレジットカードなどのカード媒体の挿入と、抜取をおこなう操作部である。また、カード挿入口5は、発券したレシートの抜取をおこなう操作部である。
【0013】
硬貨投入出口6は、硬貨の投入と取り出しをおこなう操作部である。紙幣投入出口7は、紙幣の投入と取り出しをおこなう操作部である。入力操作部8は、取引の選択や暗証番号、入出金額等の入力をおこなう入力操作部である。入力操作部8は、操作卓9上に備えられる。なお、操作卓9は、図示しない生体認証に用いる生体情報を入力する生体情報入力部を備えてもよい。
【0014】
これら操作部は、各ユニットの一部が前面開口に臨む。たとえば、硬貨投入出口6は、硬貨還流ユニットの一部(硬貨投入出口)が前面開口に臨む操作部である。紙幣投入出口7は、紙幣還流ユニットの一部(紙幣投入出口)が前面開口に臨む操作部である。
【0015】
なお、自動取引装置の1つとして、現金自動預払機1を例示するが、自動取引装置は、ユニットの一部である操作部が前面の開口部に臨むものであればよく、たとえば、投票券発払装置、券売機などがある。
【0016】
次に、現金自動預払機1が内蔵する硬貨還流ユニットについて図2を用いて説明する。図2は、第1の実施形態の硬貨還流ユニットの概観を示す図である。
硬貨還流ユニット10は、硬貨の投入を受けて、金種を識別し、投入金額を検出する。硬貨還流ユニット10は、入金が確定すると、金種毎に内部の金庫に収納する。また、硬貨還流ユニット10は、硬貨の払出要求を受けて、金種毎の金庫から硬貨を払い出す。
【0017】
ユニットシャッタ12は、ユニット本体部11の長手方向にスライドして開閉可能である。ユニットシャッタ12は、開放状態で硬貨投入出口を前面開口に臨ませ、硬貨還流ユニット10への硬貨の投入と、硬貨還流ユニット10からの硬貨の払い出しを可能にする。また、ユニットシャッタ12は、閉塞状態でユニットシャッタ12を前面開口に臨ませる。
【0018】
硬貨還流ユニット10は、ユニット前面13を現金自動預払機1の前面方向に向けて本体部2内を進退可能である。硬貨還流ユニット10は、ユニット側面14にステー15を備える。ステー15は、ユニット前面13から前方に突出する。
【0019】
次に、シャッタ機構と硬貨還流ユニットの関係、およびシャッタ機構の構成について図3、図4を用いて説明する。図3は、第1の実施形態のシャッタ機構と硬貨還流ユニットの概観を示す図である。図4は、第1の実施形態のシャッタ機構の分解斜視図である。
【0020】
図3で、シャッタ機構20は、本体部2からの硬貨還流ユニット10の引き出し時に、硬貨投入出口6に本体シャッタ22が臨むようにして本体部2の内部に備えられる。硬貨還流ユニット10が本体部2に収納されると、ステー15のローラガイド16がローラ26に当接して、第1リンク24および第2リンク25を回動させて本体シャッタ22を閉塞する。硬貨還流ユニット10が備えるユニットシャッタ12は、閉塞した本体シャッタ22に代わって前面開口部から臨む。
【0021】
図4で、シャッタ機構20は、取付ベース21により本体部2に固定される。取付ベース21は、左右1対の蝶番27,27を介して本体シャッタ22を開閉自在に支持する。取付ベース21は、リンク支持部材29,30を支持する。
【0022】
本体シャッタ22は、ばね28,28によって本体シャッタ22を閉塞する方向に付勢される。ばね28は、蝶番27の開閉軸と同軸に備えられる、ねじりコイルばね(トーションスプリング)である。取付ベース21は、リンク支持部材29,30を固定する。
【0023】
リンク支持部材29,30は、第1リンク24を狭持する。ピン32は、リンク支持部材30が備える孔43、第1リンク24が備える孔44、およびリンク支持部材29が備える孔45を貫通し、止め輪33で止められる。これにより、第1リンク24は、リンク支持部材29,30に回動可能に軸支される。リンク支持部材30は、ストッパ部31を備え、硬貨還流ユニット10側への第1リンク24の回動を規制する。
【0024】
第1リンク24は、長辺の一側端部に偏って短辺が直角に接続する略T字状の板状部材である。第1リンク24は、長辺側(長辺の一側9端部に孔44、短辺が偏って接続する側(長辺の他側)端部に孔42、および短辺側端部に孔46を備える。孔46は、ローラ26の取付部である。ローラ26は、第1リンク24に回動自在に取り付けられる。
【0025】
第2リンク25は、細長い板状部材である。第2リンク25は、板厚方向で3段に高さを違えたクランク形状である。第2リンク25は、第1リンク24と接続する側(一側)に孔41を備え、本体シャッタ22と接続する側(他側)に孔40を備える。第2リンク25は、ピン34が孔41と孔42を貫通して止め輪36で止められることで、第1リンク24と接続する。これにより、第2リンク25は、第1リンク24に回動可能に軸支される。
【0026】
本体シャッタ22は、第2リンク25と接続する側(一側)に孔39を備える。本体シャッタ22は、ピン34が孔39と孔40と座金35を貫通して止め輪36で止められることで、第2リンク25と接続する。これにより、本体シャッタ22は、第2リンク25に開閉可能に軸支される。
【0027】
なお、本体シャッタ22を閉塞する方向に付勢する付勢手段は、ねじりコイルばねに限らず、引張コイルばね等のその他のばねや、ゴムなどの弾性体であってもよい。
次に、本体シャッタ22の閉塞状態から開放状態までの遷移状態について図5を用いて説明する。図5は、第1の実施形態の本体シャッタが閉塞状態から開放状態まで遷移する状態を示す図である。
【0028】
図5(a)は、本体シャッタ22が硬貨投入出口6を開放する開放状態を示す。本体シャッタ22の開放状態では、ユニットシャッタ12が硬貨投入出口6を閉塞する。硬貨還流ユニット10は、本体部2に収納され、ステー15がローラ26に当接し、硬貨投入出口6を本体シャッタ22が閉塞する。
【0029】
図5(b)は、図5(a)に示す状態から、ステー15がローラ26に当接する範囲で、硬貨還流ユニット10を本体部2から引き出した状態であり、本体シャッタ22が硬貨投入出口6を半開放する状態を示す。このとき、ユニットシャッタ12は、硬貨投入出口6を一部閉塞する。
【0030】
図5(c)は、図5(b)に示す状態から、ステー15がローラ26に当接する範囲で、硬貨還流ユニット10を本体部2からさらに引き出した状態であり、本体シャッタ22が硬貨投入出口6を半開放する状態を示す。このとき、ユニットシャッタ12は、硬貨投入出口6を臨まない位置まで後退する。
【0031】
図5(d)は、図5(c)に示す状態から、ステー15がローラ26に当接しない位置まで、硬貨還流ユニット10を本体部2から引き出した状態であり、本体シャッタ22が硬貨投入出口6を閉塞する状態を示す。
【0032】
なお、本体シャッタ22の開放状態から閉塞状態までの遷移状態は、図5(d)から図5(c)、図5(b)、図5(a)の順に遷移する。
このようにして、シャッタ機構20は、硬貨還流ユニット10の収納状態に連動して、本体シャッタ22の開放状態と閉塞状態とを切り替える。これにより、現金自動預払機1は、本体部2からの硬貨還流ユニット10の引き出し時に、前面開口部を閉塞して、本体部2内部への異物落下や、操作者の手や指の挟み込み等の事故を防止することができる。
【0033】
次に、本体シャッタ22の閉塞状態から開放状態までの遷移過程と、各状態でのシャッタ機構20の様子について図6から図10を用いて説明する。図6は、第1の実施形態の本体シャッタが閉塞状態にあるシャッタ機構と、硬貨還流ユニットの側面図である。図7から図9は、第1の実施形態の本体シャッタが遷移状態にあるシャッタ機構と、硬貨還流ユニットの側面図である。図10は、第1の実施形態の本体シャッタが開放状態にあるシャッタ機構と、硬貨還流ユニットの側面図である。
【0034】
硬貨還流ユニット10が十分に後退した位置から、ステー15のローラ当接部17がローラ26に当接するまでの位置にあるとき、本体シャッタ22は、ばね28に付勢されて閉塞状態(図6)である。
【0035】
このとき、本体シャッタ22を開放する方向に力が加わった場合、第1リンク24が硬貨還流ユニット10側に回動するように、回動軸52と回動軸54とを結ぶ破線Aと、回動軸54と回動軸55とを結ぶ破線Bとがなす角θ(θ≠0度)を設定する。第1リンク24が硬貨還流ユニット10側に回動する動きは、ストッパ部31により規制されるため、本体シャッタ22を開放する方向に力が加わっても、本体シャッタ22は、開放しない。たとえば、回動軸52と回動軸54とを結ぶ破線Aと、回動軸54と回動軸55とを結ぶ破線Bとがなす角θは、4度とすることで、本体シャッタ22を開放する方向に加わる力に抗して本体シャッタ22の閉塞状態を好適に保持できる。
【0036】
これにより、操作者が本体シャッタ22を押したり、本体シャッタ22の上に財布や携帯電話などの重量物を置いたりしても、本体シャッタ22は、開放することがない。
なお、ステー15は、硬貨還流ユニット10の外側に向かって立設するリブ状のローラガイド16を備える。ローラガイド16は、先端近傍で屈曲して、所定角度でローラ26と当接するローラ当接部17を備える。ローラガイド16は、第1リンク24の回動量を制御する。したがって、ローラガイド16は、その形状により、第1リンク24の回動量、回動タイミング(硬貨還流ユニット10の進退量に対する回動タイミング)を制御可能である。
【0037】
また、第2リンク25は、板厚方向で3段に高さを違えたクランク部50を備える。クランク部50は、回動軸52が位置する高さを1段目、回動軸54が位置する高さを3段目、1段目と3段目の間に位置する高さを2段目とする3段階の高さを有する。2段目は、第2リンク25の回動時にステー15(ローラガイド16を除く)との干渉から逃げる。3段目は、第2リンク25の回動時にステー15(ローラガイド16を含む)との干渉から逃げる。
【0038】
また、第2リンク25は、屈曲部51を備える。屈曲部51は、円弧状に屈曲し、第2リンク25の回動時にローラ26の回動軸56との干渉から逃げる。
ステー15のローラ当接部17がローラ26に当接する位置を超えて硬貨還流ユニット10が前進(収納方向に移動)すると、ローラ当接部17は、ローラ26を押す。ローラ26をローラ当接部17に押された第1リンク24は、回動軸55を回動軸にして現金自動預払機1の前面側方向に回動する。第2リンク25は、第1リンク24の回動に従動する。本体シャッタ22は、第2リンク25に従動し、回動軸53を回動軸にして本体シャッタ22を開放する方向に回動する(図7、図8)。
【0039】
ステー15のローラ当接部17がローラ26に当接しない位置まで硬貨還流ユニット10が前進すると、ローラ26は、ローラガイド16の水平部分と当接する。ローラ26をローラガイド16の水平部分と当接した第1リンク24は、回動軸55を回動軸にして現金自動預払機1の前面側方向に約90度回動した状態で保持される。このとき、本体シャッタ22は、第2リンク25より前方側まで折りたたまれたような開放状態となる(図9)。
【0040】
このように、本体シャッタ22は、硬貨還流ユニット10の進退範囲がローラ26がローラ当接部17に当接する範囲A(図10)にある間に、閉塞状態と開放状態を遷移する。したがって、硬貨還流ユニット10のユニット本体部11は、本体シャッタ22と干渉することなく進退可能である。
【0041】
本体シャッタ22は、ローラ26がローラガイド16の水平部分と当接する範囲B(図10)にある間、閉塞状態を保持する。したがって、硬貨還流ユニット10は、本体シャッタ22が折りたたまれた状態で収納位置まで前進可能である。
【0042】
硬貨還流ユニット10が収納位置まで前進すると、硬貨投入出口6には、ユニットシャッタ12が臨む(図10)。
このように、現金自動預払機1は、硬貨還流ユニット10が引き出された状態の開口部を、簡易な構成にて閉塞することができる。これにより、現金自動預払機1は、コスト低減を図ることができる。
【0043】
なお、ローラ26を備えるシャッタ機構20について説明したが、ローラガイド16を摺動可能であれば、ローラ26に代えて第1リンク24から突設するボスやピンなどであってもよい。
【0044】
なお、硬貨還流ユニット10に対応する前面開口部である硬貨投入出口6にシャッタ機構20を備える現金自動預払機1について説明したが、紙幣還流ユニット、記帳ユニット、レシートプリンタユニット、カードリーダライタユニットなどにも適用可能である。
【0045】
また、シャッタ機構20は、本体シャッタ22の一側にリンク機構を備えたが、本体シャッタ22の両側にリンク機構を備えるようにしてもよい。現金自動預払機1は、本体シャッタ22の両側にリンク機構を備えることにより、より大きな前面開口部を閉塞する本体シャッタ22の開閉動作を容易におこなうことができる。この場合、前面開口部に臨むユニットは、両側にステー15を備える。
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態のシャッタ機構について図11、図12を用いて説明する。図11は、第2の実施形態のシャッタ機構とステーの概観を示す図である。図12は、第2の実施形態のシャッタ機構の一部斜視図である。なお、第1の実施形態と同一の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0046】
シャッタ機構60は、ストッパ部63により第1リンク24の回動が規制される方向に、ばね61によって第1リンク24を付勢する。シャッタ機構60は、第1の実施形態のリンク支持部材30をリンク支持部材62に変更している。
【0047】
リンク支持部材62は、取付ベース67に支持される。リンク支持部材62は、ストッパ部63と、ばねストッパ部64を備える。ストッパ部63は、第1リンク24の回動を規制する。ばねストッパ部64は、ばね61の一端を支持する。ばね61は、ねじりコイルばねであって、一端をばねストッパ部64に当接し、他端を第1リンク24に当接させて、第1リンク24をストッパ部63方向に付勢する。
【0048】
ばね61は、コイル部分にピン65を挿通させて、リンク支持部材62と、ピン65を止める止め輪66との間に保持される。
第1の実施形態のシャッタ機構20は、取付姿勢によっては、第1リンク24、第2リンク25の重さにより、本体シャッタ22が開放する方向に第1リンク24が回動するおそれがある。本体シャッタ22の開放にまで至らなくても、本体シャッタ22に荷重がかかることで容易に開放してしまう場合がある。
【0049】
シャッタ機構60は、ばね61によって第1リンク24を付勢し、取付姿勢によらず、図6で説明した角θを保持することができ、本体シャッタ22にかかる荷重をストッパ部63で支持することができる。第1リンク24は、ステー15がローラ26を押した場合、第1リンク24は、ばね61の付勢力、およびばね28,28の付勢力に抗して回動する。これにより、シャッタ機構60は、現金自動預払機1における取付姿勢の自由度が向上する。
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態のシャッタ機構について図13を用いて説明する。図13は、第3の実施形態のシャッタ機構と硬貨還流ユニットの概観を示す図である。なお、第1の実施形態と同一の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0050】
硬貨還流ユニット10は、ユニット前面13から突出しないようにしてステー15を備える。ステー15は、ローラガイド16、ローラ当接部17が、ユニット側面14に位置するようにして備えられる。なお、硬貨還流ユニット10は、ステー15を備えずに、ユニット側面14にローラガイド16、ローラ当接部17を設けるようにしてもよい。
【0051】
シャッタ機構70は、第1リンク73、第2リンク71、第3リンク72、第4リンク76を備える。シャッタ機構70は、取付ベース78によりリンク支持部材74と、リンク支持部材75を支持する。リンク支持部材74は、第1リンク73を支持する。リンク支持部材75は、第4リンク76を支持する。
【0052】
第3リンク72は、一端を第1リンク73と接続し、他端を第4リンク76と接続する。第4リンク76は、ローラ77を回動可能に支持する。第4リンク76は、ステー15がローラ77を押すことで回動する。第4リンク76の回動動作は、第3リンク72を介して第1リンク73に伝達される。これにより、第1リンク73は、第4リンク76と同様に回動する。第2リンク71は、第1の実施形態と同様にして第1リンク73の動作に従動して動作し、本体シャッタ22を開閉する。
【0053】
このように、シャッタ機構70は、ステー15の位置に対応して、リンク機構を付加することができる。このような硬貨還流ユニット10は、本体部2から引き出されても、ステー15が突出しないため安全である。
【0054】
なお、硬貨還流ユニット10は、ユニット前面13から突出しないようにしてステー15を備えたが、第1の実施形態に比較してユニット前面13からの突出量を抑制してステー15を備えるものであってもよい。
[第4の実施形態]
次に、第4の実施形態のシャッタ機構について図14を用いて説明する。図14は、第4の実施形態のシャッタ機構と硬貨還流ユニットの概観を示す図である。なお、第1の実施形態と同一の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0055】
硬貨還流ユニット10は、ユニット前面13から突出しないようにしてステー15を備える。シャッタ機構80は、ステー15の後退に対応して、第1リンク82の形状を第1の実施形態の第1リンク24と違えている。
【0056】
第1リンク82は、両腕の長い略Y字状の板状部材である。第1リンク82は、2つの腕(長辺)の一方でリンク支持部材84とリンクし、他方で第2リンク81とリンクする。第1リンク82は、その余の短辺でローラ85を支持する。
【0057】
シャッタ機構80は、ステー15の後退に対応して、第1リンク82、第2リンク81を備える。シャッタ機構80は、取付ベース86によりリンク支持部材84を支持する。リンク支持部材84は、第1リンク82を支持する。
【0058】
第1リンク82は、ローラ85を回動可能に支持する。第1リンク82は、ステー15がローラ85を押すことで回動する。第1リンク82の回動動作は、第2リンク81に伝達される。第2リンク81は、第1の実施形態と同様にして第1リンク82の動作に従動して動作し、本体シャッタ22を開閉する。
【0059】
このように、シャッタ機構80は、ステー15の位置に対応して、リンク機構の形状を変更することができる。このような硬貨還流ユニット10は、本体部2から引き出されても、ステー15が突出しないため安全である。
【0060】
なお、硬貨還流ユニット10は、ユニット前面13から突出しないようにしてステー15を備えたが、第1の実施形態に比較してユニット前面13からの突出量を抑制してステー15を備えるものであってもよい。
【0061】
なお、上述の実施の形態は、実施の形態の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
さらに、上述の実施の形態は、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、説明した正確な構成および応用例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0062】
1 現金自動預払機
2 本体部
3 背面扉
4 通帳挿入口
5 カード挿入口
6 硬貨投入出口
7 紙幣投入出口
8 入力操作部
9 操作卓
10 硬貨還流ユニット
11 ユニット本体部
12 ユニットシャッタ
13 ユニット前面
14 ユニット側面
15 ステー
16 ローラガイド
17 ローラ当接部
20,60,70,80 シャッタ機構
21,67,78,86 取付ベース
22 本体シャッタ
24,73,82 第1リンク
25,71,81 第2リンク
26,77,85 ローラ
27 蝶番
28,61 ばね
29,30,62,74,75,84 リンク支持部材
31,63 ストッパ部
32,34,65 ピン
33,36,66 止め輪
35 座金
39,40,41,42,43,44,45,46 孔
50 クランク部
51 屈曲部
52,53,54,55,56 回動軸
64 ばねストッパ部
72 第3リンク
76 第4リンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面開口部を備える本体部と、
前記本体部の背面側から前記前面開口部に向かって収納可能であって、収納時に前記前面開口部に操作部が臨むユニットと、
を備える自動取引装置であって、
前記本体部は、
前記前面開口部を閉塞する閉塞位置と前記前面開口部を開放する開放位置との間で前記本体部に回動可能に支持され、前記前面開口部を閉塞する方向に付勢されたシャッタと、
一側で前記本体部に回動可能に支持される第1リンクと、
一側で前記シャッタとリンクし、他側で前記第1リンクの他側とリンクする第2リンクと、
を備え、
前記ユニットは、
収納時に前記第1リンクに当接し、前記第1リンクを回動させて、前記シャッタを前記閉塞位置から前記開放位置まで回動させる当接部を備える、
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
前記本体部は、前記シャッタが前記閉塞位置にあるときに、前記第1リンクの一方向の回動を規制する規制部を備えることを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記シャッタが前記閉塞位置にあるときに、前記第1リンクと前記第2リンクは、所定の角θ(θ≠0度)でリンクしていることを特徴とする請求項2記載の自動取引装置。
【請求項4】
前記第1リンクは、付勢手段により前記回動を規制される方向に付勢されることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の自動取引装置。
【請求項5】
前記ユニットは、前記第1リンクと当接して、前記第1リンクの回動量を制御するガイド部を備えることを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【請求項6】
前記ガイド部は、前記本体部の前面側に向かって前記ユニットから突設するステーに設けられることを特徴とする請求項5記載の自動取引装置。
【請求項7】
前記ガイド部は、前記ユニットの側面部に設けられることを特徴とする請求項5記載の自動取引装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2013−50769(P2013−50769A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187008(P2011−187008)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】