説明

自動取引装置

【課題】インクリボンを両端で支持するリボンカセットを適切に着脱することが可能な自動取引装置を提供する。
【解決手段】インクリボンを用いて媒体に印字を行う印字ヘッドを有し、所定の移動方向に移動可能な印字部と、前記移動方向に沿って位置する前記インクリボンを前記移動方向の両端側で支持し、自装置に対して着脱自在に装着されたリボンカセットと、前記印字部の前記移動方向において前記印字ヘッドの近傍に設けられ、前記リボンカセットの着脱の際に前記インクリボンが接触可能な接触部材と、を備える自動取引装置であって、前記リボンカセットは、前記印字ヘッドに対して着脱され、前記印字部が前記移動方向の中央側に位置する場合に、前記リボンカセットを前記印字ヘッドに対して着脱可能にさせる着脱規制部を更に備えることを特徴とする、自動取引装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置に関し、より詳細には、通帳等の媒体への印字に供されるインクリボンの交換が可能な自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関のATM(Automated teller machine)に代表される自動取引装置は、銀行等の金融機関の支店やコンビニエンスストア等の店舗に設置されている。このような自動取引装置は、顧客との間で通帳や取引カードを用いた取引処理を行う。
【0003】
上記の自動取引装置は、インクリボンを用いて通帳に印字を行う印字ヘッドを有する。印字ヘッドは、装置に着脱自在に装着されたリボンカセットに内蔵されたインクリボンを用いて印字を行う。リボンカセットは、インクリボンを移動方向に両端側にて支持しており、印字ヘッドは移動方向に移動しながら印字を行う。
【0004】
ここで、インクリボンは消耗品であるため、インクリボンの交換が必要である。インクリボンが寿命に達すると、リボンカセットを取り外して、新しいインクリボンを内蔵するリボンカセットを装着することで、インクリボンが交換される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−286783号公報
【特許文献2】特公平3−69314号公報
【特許文献3】特開平7−61104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、リボンカセットを着脱する際には、印字ヘッド等を移動させて、リボンカセットに支持されたインクリボンが移動させやすいスペースを確保する必要がある。このため、印字ヘッドの移動方向の隣に印字ヘッド等を移動させるための補助部材が設けられている。
【0007】
しかし、上記の補助部材が存在するために、リボンカセットの着脱の際にインクリボンが補助部材に接触して、適切に着脱できない恐れがある。特に、印字ヘッドの移動方向における位置によっては、補助部材が障害物となってリボンカセットが着脱できない問題が発生しうる。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、インクリボンを両端で支持するリボンカセットを適切に着脱することが可能な、新規かつ改良された自動取引装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、インクリボンを用いて媒体に印字を行う印字ヘッドを有し、所定の移動方向に移動可能な印字部と、前記移動方向に沿って位置する前記インクリボンを前記移動方向の両端側で支持し、自装置に対して着脱自在に装着されたリボンカセットと、前記印字部の前記移動方向において前記印字ヘッドの近傍に設けられ、前記リボンカセットの着脱の際に前記インクリボンが接触可能な接触部材と、を備える自動取引装置であって、前記リボンカセットは、前記印字ヘッドに対して着脱され、前記印字部が前記移動方向の中央側に位置する場合に、前記リボンカセットを前記印字ヘッドに対して着脱可能にさせる着脱規制部を更に備えることを特徴とする、自動取引装置が提供される。
【0010】
かかる自動取引装置によれば、印字ヘッドが移動方向の両端側に位置する場合には、着脱規制部によりリボンカセットの印字ヘッドに対する着脱が規制されて、リボンカセットの着脱が行われない。このため、印字ヘッドが移動方向の両端側に位置する状態でリボンカセットが印字ヘッドに対して取り外される際に、インクリボンが接触部材に引っ掛かり、リボンカセットの着脱が適切に行われないことを解消できる。
【0011】
また、前記印字ヘッドとの間に前記インクリボンが位置するように設けられたリボンプロテクタを更に備え、前記リボンプロテクタは、前記印字ヘッドが印字を行う際に位置する第1位置と、前記リボンカセットの着脱が可能となるように前記印字ヘッドと間の空隙が広くなる第2位置との間で回動し、前記接触部材は、前記リボンプロテクタの回動に連動して回動するレバーであることとしても良い。
【0012】
また、前記リボンカセットを支持するカセット支持部材を更に備え、前記着脱規制部は、前記カセット支持部材の前記移動方向の両端側に設けられ、前記レバーの回動を規制する突起であり、前記印字ヘッドが前記移動方向の両端側に位置する場合には、前記レバーが前記突起に接触して前記リボンプロテクタが前記第2位置に回動できないこととしても良い。
【0013】
また、前記突起は、前記カセット支持部材から前記移動方向と直交する方向に延出して形成されていることとしても良い。
【0014】
また、前記突起には、該突起から前記移動方向に沿って曲げ部が形成され、前記リボンプロテクタが前記第2位置に位置する状態で前記印字ヘッドが移動した際に、前記レバーが前記曲げ部に押されることで、前記リボンプロテクタが前記第1位置に回動することとしても良い。
【0015】
また、前記リボンカセットの着脱後に、前記印字ヘッドが待機位置に移動する際に前記レバーが前記曲げ部に押されることで、前記リボンプロテクタが前記第1位置に回動することとしても良い。
【0016】
また、前記突起は、前記カセット支持部材の前記移動方向の中央側を切り欠くことで形成されていることとしても良い。
【0017】
また、前記リボンカセットの着脱のために前記自装置に対して開く開閉扉と、前記開閉扉の開閉を検知する開閉検知部と、を更に備え、前記着脱規制部は、前記開閉検知部により前記開閉扉が開いたことが検知されると、前記印字ヘッドを前記移動方向の中央側に移動させる移動制御部であることとしても良い。
【0018】
また、前記印字ヘッド、前記リボンカセット、及び前記接触部材を有し、前記自装置に対して着脱可能な印字ユニットと、前記印字ユニットの取り外しを検知する取外し検知部と、を更に備え、前記着脱規制部は、前記取外し検知部により前記印字ユニットが取り外されたことが検知されると、前記印字ヘッドを前記移動方向の中央側に移動させる移動制御部であることとしても良い。
【0019】
また、前記印字ヘッドの待機位置は、前記移動方向の端側であり、前記移動制御部は、前記待機位置に位置する前記印字ヘッドを前記移動方向の中央側へ移動させることとしても良い。
【0020】
また、前記印字ヘッドは、前記自動取引装置の待機状態時に所定の待機位置に位置し、前記着脱規制部は、前記待機状態時に前記印字ヘッドの前記待機位置が前記移動方向の中央側に位置するように、前記印字ヘッドの位置を制御する位置制御部であることとしても良い。
【0021】
また、前記媒体を搬送する搬送部材と、前記移動方向の端側に設けられ、前記搬送部材により搬送中の前記媒体をガイドするガイド部材と、を更に備え、前記ガイド部材は、前記端側に移動した前記印字ヘッドに押されると、前記媒体をガイドするガイド位置から退避位置に移動することとしても良い。
【0022】
また、前記印字ヘッドは、前記リボンカセットの着脱の際に、操作者の手動による移動が可能であり、前記リボンカセットには、前記操作者が手動で移動させる前記印字ヘッドの停止範囲を示す表示物が設けられていることとしても良い。
【0023】
また、前記リボンカセットの交換方法を案内する表示部と、前記操作者が手動で移動させる前記印字ヘッドの停止位置を検知する位置検知部と、を更に備え、前記表示部は、前記位置検知部で検知された前記停止位置が前記停止範囲内に位置しない場合には、前記印字ヘッドを前記停止範囲へ移動させることを促すメッセージを表示することとしても良い。
【0024】
また、前記印字ヘッドとの間に前記インクリボンが位置するように設けられたリボンプロテクタを更に備え、前記リボンプロテクタは、前記印字ヘッドが印字を行う際に位置する第1位置と、前記リボンカセットの着脱が可能となるように前記印字ヘッドと間の空隙が広くなる第2位置との間で移動し、前記接触部材は、前記リボンプロテクタの移動に連動して移動するレバーであることとしても良い。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように本発明によれば、インクリボンを両端で支持するリボンカセットを適切に着脱することが可能な自動取引装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1の実施形態に係る自動取引装置の構成を示すブロック図である。
【図2】通帳プリンタ部の構成を示すブロック図である。
【図3】通帳プリンタ部の内部構成を示す図である。
【図4】リボンカセットの構成を示す図である。
【図5】従来におけるリボンカセットの交換手順を説明するための図である。
【図6】従来におけるリボンカセットの交換手順を説明するための図である。
【図7】従来におけるリボンカセットの交換手順を説明するための図である。
【図8】第1の実施形態に係る印字部の詳細構成を説明するための図である。
【図9】印字部のレバー、リボンプロテクタ、ストッパの構成を説明するための図である。
【図10】第1の実施形態に係る印字部の変形例を示す図である。
【図11】図10の印字部を側面から見た図である。
【図12】第2の実施形態に係る通帳プリンタ部の内部構成を示す図である。
【図13】印字部のレバー、リボンプロテクタ、ストッパの構成を説明するための図である。
【図14】第3の実施形態に係る自動取引装置の外観構成を示す斜視図である。
【図15】第3の実施形態に係る自動取引装置の構成を示すブロック図である。
【図16】第3の実施形態に係る通帳プリンタ部の内部構成を示す図である。
【図17】第3の実施形態に係る通帳プリンタ部の構成を示すブロック図である。
【図18】リボンカセットの交換に伴う印字ヘッドの位置制御を説明するための図である。
【図19】第4の実施形態に係る通帳プリンタ部の構成を示すブロック図である。
【図20】第4の実施形態に係る通帳プリンタ部の内部構成を示す図である。
【図21】第5の実施形態に係る通帳プリンタ部の内部構成を示す図である。
【図22】シャッタガイドが退避位置に位置する状態を示す図である。
【図23】第6の実施形態に係る通帳プリンタ部の構成を示すブロック図である。
【図24】印字ヘッド位置検出部の構成を示す模式図である。
【図25】リボンカセットに設けられた表示シールを示す図である。
【図26】自動取引装置の表示部に表示される消耗品交換に関する表示画面である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0028】
<1.第1の実施形態>
(1−1.自動取引装置の構成)
自動取引装置は、銀行等の金融機関の支店やコンビニエンスストア等の店舗に設置される。自動取引装置は、顧客との間で媒体の一例である通帳や取引カードを用いた取引処理を行う。
【0029】
図1を参照しながら、第1の実施形態に係る自動取引装置1の構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る自動取引装置1の構成を示すブロック図である。なお、図1の自動取引装置1は、金融機関に設置されたATM(Automated teller machine)であるものとして説明する。
【0030】
図1に示すように、自動取引装置1は、表示部12と、入力部14と、カード読取部16と、レシート印字部18と、紙幣処理部20と、印字ユニットの一例である通帳プリンタ部22と、通信部24と、ATM制御部26と、記憶部28とを有する。
【0031】
表示部12は、LCD等の表示画面を有し、表示画面には、取引選択画面や各種の入力画面、顧客の処置を促す画面等が表示される。入力部14は、例えばタッチパネルであり、顧客からの入力を受け付ける。カード読取部16は、カード挿入口から挿入されたキャッシュカード等の取引カードの磁気ストライプやICチップ等に記憶されたカード情報を読み取る。
【0032】
レシート印字部18は、取引内容をレシートに印字する。紙幣処理部20は、顧客の要求に応じて紙幣の入出金処理を行う。通帳プリンタ部22は、通帳挿入口から挿入された顧客の通帳に対して取引内容を印字する。なお、通帳プリンタ部22の詳細については、後述する。
【0033】
通信部24は、例えばネットワーク82を介して、サーバやホストコンピュータ等の上位装置80と通信を行う。ATM制御部26は、上述した各部を制御して取引処理等を実行する。記憶部28は、ATM制御部26が実行するプログラムや各種のデータを記憶する。
【0034】
(1−2.通帳プリンタ部の構成)
図2及び図3を参照しながら、通帳プリンタ部22の構成について説明する。図2は、通帳プリンタ部22の構成を示すブロック図である。図3は、通帳プリンタ部22の内部構成を示す図であって、図3(a)は、通帳プリンタ部22の概略断面図であり、図3(b)は、図3(a)のA−A矢視図である。
【0035】
図2に示すように、通帳プリンタ部22は、搬送部110と、磁気ストライプ読取部120と、光学読取部130と、印字部140と、ページめくり部150と、通信部160と、プリンタ制御部170と、記憶部172とを有する。
【0036】
搬送部110は、装置内部で通帳を搬送する。搬送部110は、図3に示すように、挿入排出口112と、搬送ガイド114と、搬送部材の一例である搬送ローラ116とを有する。挿入排出口112は、通帳が挿入される挿入口と通帳が排出される排出口とを兼用する開口である。
【0037】
搬送ガイド114は、上側に設けられた上面ガイド114aと、下側に設けられた下面ガイド114bと、左右の側面にそれぞれ設けられた側面ガイド114c、114dとで構成されている。4つのガイド114a〜114dは、搬送路115を形成し、搬送される通帳をガイドする。
【0038】
搬送ローラ116は、搬送路115に複数設けられ、通帳を挟持しながら回転することにより通帳を搬送方向に搬送する。搬送ローラ116は、一対の駆動ローラ116a及び従動ローラ116bで構成されている。駆動ローラ116aは、円周面の一部が上面ガイド114aから突出するように上面ガイド114a側に設けられ、従動ローラ116bは、円周面の一部が下面ガイド114bから突出するように下面ガイド114b側に設けられている。従動ローラ116bは、付勢部材により付勢されて、通帳を駆動ローラ116a側に押し付ける。駆動ローラ116bは、回転することにより、従動ローラ116bで押し付けられた通帳を搬送する。
【0039】
磁気ストライプ読取部120は、磁気ヘッド122(図3)を有し、通帳の磁気ストライプに記録された通帳データを読み取る。通帳データは、通帳の口座番号や通帳種別、通帳の印字が行われた印字済行、印字が行われた頁数等である。また、磁気ヘッド122は、通帳に印字が行われたときに磁気ストライプに最終印字済行と最終印字頁数等を書き込む機能も有する。
【0040】
光学読取部130は、例えばCCDセンサ132(図3)を有し、通帳に印字された頁マークや印字済行を読み取る。また、光学読取部130は、通帳に印字された取引情報の日付を読み取ることで、印字済行を検出する。
【0041】
印字部140は、インクリボンを用いて通帳に印字する。印字部140は、図3に示すように、プラテン142と、印字ヘッド143と、リボンカセット144と、カセット支持部材の一例であるカセットステージ145とを有する。
【0042】
プラテン142は、印字ヘッド143に対向するように設けられ、印字される通帳を支持する。
【0043】
印字ヘッド143は、インクリボンを用いて通帳に対して文字(数字や記号等を含む)を印字する。印字ヘッド143は、移動方向(図3)に移動しながら、ピン(不図示)をプラテン142に向かって突出させる。印字ヘッド143とプラテン142との間にはインクリボンR(図4)が通されており、印字ヘッド143は、ピンをリンクリボンRを介して通帳の印字面に打ち付けることで、通帳に取引データ(上位装置から受信した取引データ)の印字を行う。
【0044】
リボンカセット144は、生地にインクを染み込ませたインクリボンRを内蔵する。リボンカセット144は、印字動作に伴って、印字ヘッド143とプラテン142との間にインクリボンRを順次送り出し、巻き取る。リボンカセット144は、自装置の一例である通帳プリント部22に対して着脱自在に装着されている。
【0045】
図4は、リボンカセット144の構成を示す図である。図4(a)にはリボンカセット144の斜視図が、図4(b)にはリボンカセット144の三面図が、それぞれ示されている。インクリボンRは、リボンカセット144の両端に設けられたリボンアーム144bを介してエンドレス状に配置されている。すなわち、移動方向に沿って位置するインクリボンRは、移動方向の両端でリボンアーム144bに支持されている。インクリボンRは、リボンカセット144に対して着脱可能となっている。
【0046】
インクリボンRは、生地に染み込ませたインクが消耗して印字が薄くなり、印字の判読ができなくなる(リボン寿命)。このため、インクリボンRがリボン寿命に達する前に、新しいインクリボンRに交換することになっている。新しいインクリボンRの交換は、インクリボンRを内蔵したリボンカセット144を交換するか、又はインクリボンRのみを交換することで行われる。
【0047】
カセットステージ145は、装着されたリボンカセット144を支持する。カセットステージ145は、印字ヘッド143の上部に位置する。
【0048】
印字部140は、更に、図3に示すように、接触部材の一例であるレバー146と、リボンプロテクタ147と、ストッパ148と有する。レバー146と、リボンプロテクタ147と、ストッパ148は、印字ヘッド143と共にキャリッジフレーム(不図示)に取り付けられている。キャリッジフレームがモータ等の駆動源によって移動方向に移動することで、印字ヘッド143、レバー146、リボンプロテクタ147、及びストッパ148も、移動方向に移動する。
【0049】
また、リボンカセット144、カセットステージ145、印字ヘッド143、レバー146、リボンプロテクタ147、ストッパ148、及びキャリッジフレームは、所定の回転支点を中心に回動する。回動した状態で、インクリボンRの交換が行われる。
【0050】
リボンプロテクタ147は、上下方向において印字ヘッド143とリボンプロテクタ147の間にインクリボンRが位置するように設けられている(図7参照)。また、リボンプロテクタ147は、作業者の操作により、第1位置である印字位置と、第2位置である着脱位置との間を回動可能となっている。印字位置は、印字ヘッド143が印字を行う状態のリボンプロテクタ147の位置である(図6(a)参照)。着脱位置は、印字ヘッド143の先端とリボンプロテクタ147の間の空隙を広くなる状態のリボンプロテクタ147の位置である(図6(d)参照)。
【0051】
なお、印字ヘッド143の近傍には、上面ガイド114a及び下面ガイド114bを配置できない。このため、リボンプロテクタ147が上面ガイドを兼用し、プラテン142が下面ガイドを兼用する。また、印字ヘッド143は、インクリボンRを交換する際に、手動で移動方向に移動可能な構成になっている。
【0052】
また、印字ヘッド143は、通帳プリンタ部22が待機状態の時には、図3(b)に示すように移動方向の他端側に位置している。この理由は、リボンプロテクタ147が上面ガイドを兼用するため、印字ヘッド143が移動方向の他端側に位置することで、通帳の搬送時に通帳の移動方向他端側の部分が浮き上がることを防止でき、この結果ジャムを防止できるからである。なお、通帳の移動方向一端側の部分については、可動ガイド(不図示)でガイドすることで浮き上がりを防止している。この可動ガイドは、印字ヘッド143が印字する際には、印字ヘッド143に干渉しないように、退避している。
【0053】
ページめくり部150は、搬送中の通帳のページめくりを行う。ページめくり部150は、めくりローラ152aと、めくりローラ152aに対向する送りローラ152bとを有する。めくりローラ152aが、送りローラ152bに送られる通帳の所定のページまでめくる。
【0054】
通信部160は、例えばLAN、USBであり、例えばATM制御部26(図1)と接続されて通信を行う。プリンタ制御部170は、上述した各部を制御して印字処理等を実行する。記憶部172は、プリンタ制御部170が実行するプログラムや各種のデータを記憶する。
【0055】
(1−3.従来におけるリボンカセットの交換手順)
上述したように、インクリボンRがリボン寿命に達する前にインクリボンRを内蔵するリボンカセット144を作業者が交換することで、新しいインクリボンRに交換することになっている。
【0056】
以下では、第1の実施形態に係るリボンカセット144の交換手順を説明する前に、図5〜図7を参照しながら、従来におけるリボンカセット144の交換手順について説明する。図5〜図7は、従来におけるリボンカセット144の交換手順を説明するための図である。なお、図6は、説明の便宜上、印字部140のみを示している。
【0057】
リボンカセット144の交換は、図5(a)に示すように印字部140が印字位置に位置しているところから開始される。図5(a)に示す状態から、図示しないロックレバーが作業者によって操作されると、図5(b)に示すように、印字ヘッド143、リボンカセット144、レバー146、リボンプロテクタ147は、所定の回転支点を中心に回転する。これにより、印字部140は、リボンカセット144が着脱可能な着脱位置に位置する。
【0058】
印字部140が着脱位置に位置する状態から、図6(a)に示すようにリボンプロテクタ147を作業者が矢印方向に押し下げると、図6(b)に示すように、リボンプロテクタ147とレバー146が、共に矢印方向に回動する。この状態で、作業者は、装着されていたリボンカセット144を取り外す。これにより、図6(c)に示すように、新しいリボンカセット144を装着可能な状態となる。
【0059】
次に、作業者は、図6(d)に示すように、新しいリボンカセット144を印字ヘッド143の上方に載せて、リボンカセット144を矢印方向に回動させる。なお、回動前のリボンカセット144のインクリボンRは、図7(a)に示すように、左右のリボンアーム144bに水平に張られた状態となっている。
【0060】
リボンカセット144を回動させると、図6(e)に示すように、インクリボンRが印字ヘッド143の先端143aとリボンプロテクタ147との間に入り込む。この時、インクリボンRは、左右のレバー146(146a、146b)をなぞりながら少しずつ引き出されて入り込む。すなわち、レバー146a、146bは、インクリボンRをガイドする機能を有する。
【0061】
ここで、印字ヘッド143が移動方向に動いた際にリボンアーム144bとリボンプロテクタ147とが干渉しないように、リボンカセット144両端のリボンアーム144bがリボンプロテクタ147よりも高い位置となっている。このため、図7(b)に示すように、リンクリボンRは、リボンカセット144両端のリボンアーム144bから印字ヘッド143の先端143aに向かって、角度θ1で若干斜めに張られた状態となる。
【0062】
そして、図6(e)において、作業者がリボンプロテクタ147を矢印方向へ押し上げると、レバー146も矢印方向に同時に回動する。これにより、新しいリボンカセット144がセットされることになる。その後、作業者が、着脱位置(図5(b))に位置する印字部140を、印字位置(図5(a))に回動させることで、リボンカセット144の交換が完了する。
【0063】
ところで、上記では新しいリボンカセット144をセットするときに、印字ヘッド143が図7(b)に示すように移動方向の中央に位置していた。一方で、図7(c)に示すように印字ヘッド143が移動方向の他端側に寄って位置している場合には、リボンカセット144を回動させるときに、インクリボンRがレバー146bに引っ掛かり、リボンカセット144を適切にセットできないという問題がある。
【0064】
これは、以下の理由のためである。印字ヘッド143が他端側に寄って位置している時にインクリボンRのセット完了時の角度θ2が、印字ヘッド143が中央に位置する時の角度θ1(図7(b))よりも大きくなる。このため、インクリボンRが、レバー146a、146bになぞりながら入り込もうとする際に、印字ヘッド143の右側のインクリボンR引き出しの負荷が大きくなり、レバー146bに引っ掛かってしまう。
【0065】
上記の問題が発生した場合には、作業者は、手でインクリボンRを印字ヘッド143の先端143aを通すことになり、インクリボンRのインクが作業者の手に付いて汚れる等も問題も発生する。
【0066】
なお、印字ヘッド143が移動方向の一端側に寄って位置している場合にも、同様な理由から、リボンカセット144を回動されるときに、インクリボンRがレバー146aに引っ掛かり、リボンカセット144を適切にセットできない。また、作業者は、手でインクリボンRを印字ヘッド143の先端143aを通すことになり、インクリボンRのインクが作業者の手に付いてしまう。
【0067】
そこで、上記の問題を解決すべく、第1の実施形態に係る自動取引装置1は、印字ヘッド143が移動方向の中央側に位置する場合に、着脱されるリボンカセット144を印字ヘッド143に対して着脱可能にさせる着脱規制部(後述する突起145a、145b)を有する。
【0068】
(1−4.印字部140の詳細構成)
図8を参照しながら、第1の実施形態に係る印字部140の詳細構成について説明する。図8は、第1の実施形態に係る印字部140の詳細構成を説明するための図である。なお、図8(a)には、説明の便宜上、印字ヘッド143を示していない。
【0069】
印字ヘッド143の上部には、リボンカセット144を支持するカセットステージ145が配置している。カセットステージ145の長手方向両端には、ステージ本体145cから移動方向と直交する方向に延出させて形成した突起145a、145bが設けられている。
【0070】
突起145a、145bが設けられていない部分(長手方向の中央側の部分)の長さLは、以下のように設定されている。すなわち、リボンカセット144の交換時にインクリボンRがレバー146a、146bになぞりながら(接触しながら)入り込もうとする際に、印字ヘッド143右側のインクリボンR引き出し時の負荷が大きくない位置に、長さLが設定されている。具体的には、インクリボンRのセット完了時の角度θ3が、図7(c)に示す角度θ2よりも小さくなるように、長さLが設定されている。
【0071】
次に、図9を参照しながら、印字部140のレバー146、リボンプロテクタ147、ストッパ148の構成について説明する。図9は、印字部140のレバー146、リボンプロテクタ147、ストッパ148の構成を説明するための図である。なお、図9には、説明の便宜上、リボンカセット144が図示されていない。
【0072】
レバー146及びストッパ148は、図8に示すように、移動方向において印字ヘッド143の近傍(ここでは、移動方向において印字ヘッド143の両隣)に設けられている。例えば、レバー146a及びストッパ148aは、印字ヘッド143の移動方向一端側に設けられ、レバー146b及びストッパ148bは、印字ヘッド143の移動方向他端側に設けられている。なお、レバー146は、移動方向において印字ヘッド143の両隣のうち一方に設けられても良く、また、印字ヘッド143の手前(搬送方向の下流側)に設けられても良い。
【0073】
レバー146a(レバー146b)は、回転支点146cを中心に回動し、リボンプロテクタ147は、回転支点147aを中心に回動する。ストッパ148は、上下動に移動する。そして、図9(a)に示すようにリボンプロテクタ147を矢印方向に押し下げると、レバー146a、146bが連動して回動する。ストッパ148は、レバー146a、146bの回動に伴い、レバー146a、146bによって押し上げられるようになっている。
【0074】
ここで、印字ヘッド143が図8に示す長さLの範囲内にある場合には、図9(b)に示すように、ストッパ148がレバー146aによって押し上げられる。一方で、印字ヘッド143が図8に示す長さLの範囲外にある場合には、図9(c)に示すように、ストッパ148が突起145aに当たる。このように、突起145aが、レバー146a及びリボンプロテクタ147の回動を規制するため、レバー146a及びリボンプロテクタ147が、完全に回動できないようになっている。なお、突起145bも、レバー146b及びリボンプロテクタ147に対して同様に作用する。
【0075】
(1−5.第1の実施形態におけるリボンカセットの交換手順)
図8、図9を参照しながら、第1の実施形態におけるリボンカセット144の交換手順について説明する。
【0076】
リボンカセット144の交換は、図3(b)示すように印字ヘッド143が待機位置に位置しているところから開始される。まず、作業者は、印字部140を印字位置(図5(a))から着脱位置(図5(b))に回動させた後、印字ヘッド143を図8に示すLの範囲(突起145a又は突起145bに当たらない範囲)内に手動で移動させる。印字ヘッド143の待機位置はLの範囲外の位置であるので、作業者は、移動方向において中央側に印字ヘッド143を移動させる。
【0077】
次に、作業者が、図9(a)に示すようにリボンプロテクタ147を矢印方向に押し下げる。ここで、字ヘッド143が図8に示すLの範囲内に位置する場合には、図9(b)に示すようにリボンプロテクタ147及びレバー146a(146b)が矢印方向に回動することで、印字ヘッド143の先端部分の隙間が広がる。これにより、リボンカセット144の着脱の際に、インクリボンRが通過しやすくなる。一方で、印字ヘッド143が図8に示すLの範囲内に位置しない場合には、図9(c)に示すように、ストッパ148aが突起145aに当たるため、レバー146a及びリボンプロテクタ147が完全に回動しない。このため、印字ヘッド143の先端部分の隙間が十分に確保されず、リボンカセット144の交換ができない。
【0078】
ここでは、印字ヘッド143がLの範囲内に位置し、装着されていたリボンカセット144が取り外されたものとする。その後、新しいリボンカセット144が装着される。すなわち、作業者は、新しいリボンカセット144が印字ヘッド143の上方に載せて、リボンカセット144を回動させる(図6(d)参照)。
【0079】
リボンカセット144を回動させると、インクリボンRが、レバー146a、146bをなぞりながら少しずつ引き出されて印字ヘッド143の先端143aとリボンプロテクタ147との間に入り込む(図6(e)参照)。ここで、印字ヘッド143は、移動方向の中央側に位置するので、図7(c)に示すようにインクリボンRがレバー146bに引っ掛かることが無い。
【0080】
その後、作業者がリボンプロテクタ147を押し上げると、レバー146aが同時に回動する(図6(e)参照)。これにより、新しいリボンカセット144がセットされることになる。そして、作業者が、着脱位置に位置する印字部140を印字位置に回動させることで、リボンカセット144の交換が完了する。
【0081】
(1−6.変形例)
図10を参照しながら、第1の実施形態に係る印字部140の変形例を説明する。図10は、第1の実施形態に係る印字部140の変形例を示す図である。
【0082】
上述したように、印字部140のカセットステージ145の長手方向両端には、突起145a、145bが設けられている(図8)。これに対して、以下に説明する変形例のカセットステージ245は、図10に示すように、突起245a、245bの一部に曲げ部246a、246bが形成されている。
【0083】
リボンカセット144を交換した後に、作業者はリボンプロテクタ147を押し上げる(図6(e))ことになっているが、作業者がリボンプロテクタ147を押し上げることを忘れても、その後に印字部140は印字動作を行うことが可能である。このようにリボンプロテクタ147を閉め忘れると、その後に印字不良やジャムが発生する恐れがある。そこで、変形例においては、着脱位置に位置するリボンプロテクタ147を印字位置に戻すために、曲げ部246a、246bが設けられている。
【0084】
曲げ部246a、245bは、図10に示すように、突起245a、245bからカセットステージ145の長手方向中央側、かつ上方へ向かって延出するように形成されている。曲げ部246a、246bは、リボンプロテクタ147を閉め忘れた(リボンプロテクタ147が着脱位置に位置している)印字ヘッド143が初期化動作に伴い待機位置に移動する際に、ストッパ148a、148bを押して強制的に押し下げる。そして、ストッパ148a、148bが押し下げることで、リボンプロテクタ147も自動的に閉められる(リボンプロテクタ147が印字位置に位置する)。初期化動作は、自動取引装置1の電源が投入されると行われ、初期化動作後に通帳プリンタ部22等が待機状態(印字ヘッド143が待機位置に位置)になる。
【0085】
図10と図11を参照しながら、リボンプロテクタ147が自動的に閉められるメカニズムを説明する。図11は、図10の印字部140を側面から見た図である。例えば、図11(a)は、図10(a)の印字部140を側面から見た図である。なお、図11には、説明の便宜上、リボンカセット144が図示されていない。
【0086】
ここでは、図10(a)及び図11(a)に示すように、作業者がリボンカセット144の交換後にリボンプロテクタ147が閉め忘れたものとする。その後、初期化動作により、印字ヘッド143が、待機位置に位置するために移動方向の他端側へ移動する。この移動の際に、リボンプロテクタ148bは、図10(b)及び図11(b)に示すように曲げ部246bに接触する。
【0087】
リボンプロテクタ148bが曲げ部246bに接触した状態で印字ヘッド143が更に移動すると、図10(c)及び図11(c)に示すように、ストッパ148bが曲げ部246bによって押し下げられる。ストッパ148bが押し下げられることで、レバー146b及びリボンプロテクタ147も回動し、リボンプロテクタ147が着脱位置から印字位置に回動する。なお、レバー146bの回動に連動して、レバー146aも共に回動しても良い。ただし、リボンプロテクタ147は、レバー146a、146bの少なくもいずれか一方が回動することで、着脱位置から印字位置に回動する。また、ストッパ148aが曲げ部236aに押し下げられる場合にも、リボンプロテクタ147は着脱位置から印字位置に回動する。
【0088】
(1−7.有効性)
第1の実施形態によれば、前述したように、突起145a、145bが、印字ヘッド143が移動方向の中央側に位置する場合に、リボンカセット144を印字ヘッド143に対して回動可能にさせる。換言すれば、印字ヘッド143が移動方向の両端側に位置する場合には、突起145a、146bによりリボンカセット144の印字ヘッド143に対する回動が規制されて、リボンカセット144の着脱が行われない。
【0089】
このため、印字ヘッド143が移動方向の両端側に位置する場合にリボンカセット144が印字ヘッド143に対して回動することで、インクリボンRがレバー146a、146bに引っ掛かることを防止できる。この結果、インクリボンRがレバー146a、146bに引っ掛かることに起因してリボンカセット144の着脱が適切に行われないことを解消できる。これに伴い、作業者は、インクリボンRを手で印字ヘッド143の先端143aに通す必要がなくなり、インクリボンRのインクが作業者の手に付くことを防止できる。
【0090】
また、第1の実施形態によれば、突起245a、245bに曲げ部246a、246bを設けたことにより、リボンカセット144の着脱の際に作業者がリボンプロテクタ147を印字位置に戻すことを忘れても、初期動作時に曲げ部246a、246bによってレバー146a、146bが押されることでリボンプロテクタ147が印字位置に戻る。これにより、リボンプロテクタ147が着脱位置に位置した状態で、印字が行われることを防止でき、この結果、印字不良やインクリボンRのジャムを防止できる。
【0091】
なお、第1の実施形態において、リボンカセット144が印字ヘッド143に対して回動することで着脱されることとしたが、これに限定されない。例えば、リボンカセット144は、印字ヘッド143に対して移動(例えば、平行移動)することで、着脱されても良い。かかる場合に、突起145a、146bは、移動するリボンカセット144の印字ヘッド143に対する着脱を規制することになる。
【0092】
また、第1の実施形態において、リボンプロテクタ147は、作業者の操作により、第1位置である印字位置と、第2位置である着脱位置との間を回動することとしたが、これに限定されない。例えば、リボンプロテクタ147は、作業者の操作により、印字位置と着脱位置との間を平行移動することとしても良い。かかる場合に、レバー146a、146bは、リボンプロテクタ147の移動に連動して移動する(第1の実施形態では、レバー146a、146bは、リボンプロテクタ147の回動に連動して回動する)。
【0093】
かかる構成の場合にも、リボンカセット144の着脱を規制する突起145a、146bを設けることで、インクリボンRがレバー146a、146bに引っ掛かり、リボンカセット144の着脱が適切に行われないことを解消できる。また、作業者は、インクリボンRを手で印字ヘッド143の先端143aに通す必要がなくなり、インクリボンRのインクが作業者の手に付くことを防止できる。
【0094】
<2.第2の実施形態>
(2−1.通帳プリンタ部の構成)
図12及び図13を参照しながら、第2の実施形態に係る通帳プリンタ部220の構成について説明する。図12は、第2の実施形態に係る通帳プリンタ部22の内部構成を示す図である。図13は、印字部140のレバー146、リボンプロテクタ147、ストッパ348の構成を説明するための図である。
【0095】
第1の実施形態において、カセットステージ145の突起145a、145bは、ステージ本体145cから延出するように形成されていた。これに対して、第2の実施形態においては、図12に示すように、ステージ本体145cに切り欠き部345cを形成することで(ステージ本体145cの移動方向の中央側を切り欠くことで)、突起345a、345bが形成されている。このため、搬送方向において第2の実施形態の突起345a、345bの位置は、第1の実施形態の突起145a、145bの位置とは異なる。
【0096】
すなわち、第1の実施形態の突起145a、145bは、図3(b)に示すように搬送方向においてリボンカセット144よりもCCDセンサ132側に突出しているが、第2の実施形態の突起345a、345bは、図12に示すように搬送方向においてリボンカセット144よりも突出していない。
【0097】
第1の実施形態に対して突起345a、345bの位置が異なるため、第2の実施形態に係るストッパ348の形状も、第1の実施形態に係るストッパ148の形状と相違する。ストッパ148は、図9に示すようにL字状の形状であるが、ストッパ348は、図13に示すようにストッパ148を上下方向に対して反転した形状である。ただし、ストッパ348は、図9と図13を参照すれば分かるようにストッパ148と同様に動く。
【0098】
第2の実施形態でも、第1の実施形態と同様にリボンカセット144の着脱が行われる。第2の実施形態では、突起345a、345bが、印字ヘッド143が移動方向の中央側に位置する場合に、リボンカセット144を印字ヘッド143に対して回動可能にさせる着脱規制部として機能する。なお、リボンカセット144の交換手順は、第1の実施形態と同様であるので(図8、図9参照)、説明は省略する。
【0099】
(2−2.有効性)
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、突起345a、345bが、印字ヘッド143が移動方向の中央側に位置する場合に、リボンカセット144を印字ヘッド143に対して回動可能にさせる。これにより、印字ヘッド143が移動方向の両端側に位置する場合にリボンカセット144が印字ヘッド143に対して回動することで、インクリボンRがレバー146a、146bに引っ掛かり、リボンカセット144の着脱が適切に行われないことを解消できる。これに伴い、作業者は、インクリボンRを手で印字ヘッド143の先端143aに通す必要がなくなり、インクリボンRのインクが作業者の手に付くことを防止できる。
【0100】
また、第2の実施形態によれば、突起345a、345bが、カセット本体145cの移動方向の中央側を切り欠くことで形成されているため、搬送方向においてリボンカセット144よりも突出しない。これにより、プラテン142付近で通帳のジャムが発生したときに、突起345a、345bが通帳を除去する際の邪魔にならないので、ジャム対象の通帳を除去しやすくなる。
【0101】
<3.第3の実施形態>
(3−1.自動取引装置の構成)
図14及び図15を参照しながら、第3の実施形態に係る自動取引装置1の構成について説明する。図14は、第3の実施形態に係る自動取引装置1の外観構成を示す斜視図である。図15は、第3の実施形態に係る自動取引装置1の構成を示すブロック図である。
【0102】
第3の実施形態に係る自動取引装置1は、図1に示す第1の実施形態と同様に、表示部12と、入力部14と、カード読取部16と、紙幣処理部20と、通帳プリンタ部22と、通信部24と、ATM制御部26と、記憶部28とを有する。そして、図14に示すように、表示部12と、入力部14と、カード読取部16と、紙幣処理部20と、通帳プリンタ部22は、自動取引装置1の正面側に設けられている。
【0103】
第3の実施形態に係る自動取引装置1は、図14に示すように、装置の背面側に開閉可能な開閉扉の一例である背面扉30を有する。作業者は、背面扉30を開けて自動取引装置1の保守、消耗品交換等のメンテナンスを行う。例えば、作業者は、背面扉30を開けて通帳プリンタ部22を引き出して、リボンカセット144の着脱を行う。また、背面扉30には、図15に示す扉開閉検出部32が設けられている。扉開閉検出部32は、背面扉30の開閉状態を検知し、ATM制御部26へ通知する。
【0104】
(3−2.通帳プリンタ部の構成)
図16及び図17を参照しながら、第3の実施形態に係る通帳プリンタ部22の構成について説明する。図16は、第3の実施形態に係る通帳プリンタ部22の内部構成を示す図である。図17は、第3の実施形態に係る通帳プリンタ部22の構成を示すブロック図である。
【0105】
第3の実施形態に係る通帳プリンタ部22は、第1の実施形態に係る通帳プリン部22とほぼ同様の構成を有するが、第1の実施形態とは異なる構成として、図16に示す検出レバー310と、検出センサ320と、図17に示す印字ヘッド位置制御部180(移動制御部の一例)とを有する。このため、検出レバー310、検出センサ320、及び印字ヘッド位置制御部180以外の構成については、説明を省略する。
【0106】
検出レバー310は、印字部140のキャリッジフレーム(不図示)に固定されている。検出レバー310は、キャリッジフレームの移動方向への移動に連動して、印字ヘッド143と共に移動方向に移動する。
【0107】
検出センサ320は、通帳プリンタ部22の移動方向の他端側に設けられ、印字ヘッド143が待機位置に位置することを検出する。検出センサ320は、発光部と受光部を有し、印字ヘッド143が待機位置に移動したときに、検出レバー310によって光軸が遮蔽される。検出センサ320は、光軸が遮蔽されたときに、印字ヘッド143が待機位置に位置すると判定する。
【0108】
印字ヘッド位置制御部180は、検出レバー310が検出センサ320の光軸を遮蔽する位置を基準として、移動方向における印字ヘッド143の位置を制御する。すなわち、印字ヘッド位置制御部180は、不図示のモータ等の駆動源により移動方向に移動する印字ヘッド143の位置決めを高精度に制御できる。
【0109】
そして、印字ヘッド位置制御部180は、開閉検出部32により背面扉30が開いたことが検知されると、リボンカセット144の着脱がスムーズに行われるように、待機位置に位置する印字ヘッド143を移動方向の中央側に移動させる。第3の実施形態では、印字ヘッド位置制御部180が、印字ヘッド143が移動方向の中央側に位置する場合に、リボンカセット144を印字ヘッド143に対して回動可能にさせる着脱規制部に該当する。このため、第3の実施形態では、上述した実施形態の突起145a、145bと、ストッパ148は不要である。
【0110】
(3−3.リボンカセットの交換時の自動取引装置の動作)
図18を参照しながら、リボンカセット144の交換時の自動取引装置1の動作について説明する。図18は、リボンカセット144の交換に伴う印字ヘッド143の位置制御を説明するための図である。
【0111】
まず、作業者が、リボンカセット144の交換を行うため自動取引装置1の背面扉30を開けると、扉開閉検出部32は、背面扉30が開けられたことを検知する。扉開閉検出部32により検知された検知情報は、ATM制御部26を介して通帳プリンタ制御部170に通知される。
【0112】
通帳プリンタ制御部170は、背面扉30が開けられたという検知情報を受け取ると、印字ヘッド位置制御部180により、図18(a)に示す待機位置に位置する印字ヘッド143を、図18(b)に示す移動方向の中央側の位置に移動させる。ここで、印字ヘッド143の待機位置は、図18(a)に示すように移動方向において検出センサ320から長さXだけ離れた位置である。
【0113】
中央側に移動した印字ヘッド143の停止位置は、図18(b)に示すように移動方向において検出センサ320から長さYだけ離れた位置である。印字ヘッド143が停止位置に位置している時は、インクリボンRが左右のリボンアーム144bから印字ヘッド143の先端143aに向かって角度θ1で若干斜めに張られている状態となる。このため、リボンカセット144の交換時に、インクリボンRがレバー146a、146bに引っ掛かることなく、スムーズに交換可能な状態である。
【0114】
その後、作業者は、自動取引装置1の背面側から通帳プリンタ部22を引き出して、リボンカセット144の交換を行う。リボンカセット144の交換手順は、第1の実施形態と同様であるので(図8、図9参照)、説明は省略する。
【0115】
リボンカセット144の交換が完了し、作業者が背面扉30を閉めると、扉開閉検出部32により背面扉30が閉められたことが検知される。この検知情報は、ATM制御部26を介して通帳プリンタ制御部170に通知される。通帳プリンタ制御部170は、背面扉30が閉められたという検知情報を受け取ると、印字ヘッド位置制御部180により、図18(b)に示す停止位置に位置する印字ヘッド143を、図18(a)に示す待機位置に移動させる。
【0116】
(3−4.有効性)
第3の実施形態によれば、印字ヘッド位置制御部180は、開閉検出部32により背面扉30が開いたことが検知されると、待機位置に位置する印字ヘッド143を移動方向の中央側に移動させる。これにより、印字ヘッド143が移動方向の中央側に位置した状態で、リボンカセット144が印字ヘッド143に対して回動しながら着脱されることになる。
【0117】
このため、第1の実施形態と同様に、印字ヘッド143が移動方向の両端側に位置する場合にリボンカセット144が印字ヘッド143に対して回動することで、インクリボンRがレバー146a、146bに引っ掛かり、リボンカセット144の着脱が適切に行われないことを解消できる。これに伴い、作業者は、インクリボンRを手で印字ヘッド143の先端143aに通す必要がなくなり、インクリボンRのインクが作業者の手に付くことを防止できる。
【0118】
また、第3の実施形態の場合には、印字ヘッド位置制御部180が印字ヘッド143を移動方向の中央側に自動的に移動させるので、作業者が印字ヘッド143を移動させる必要が無くなり、作業者の負担を軽減できる。
【0119】
<4.第4の実施形態>
(4−1.通帳プリンタ部の構成)
図19及び図20を参照しながら、第4の実施形態に係る通帳プリンタ部22の構成について説明する。図19は、第4の実施形態に係る通帳プリンタ部22の構成を示すブロック図である。図20は、第4の実施形態に係る通帳プリンタ部22の内部構成を示す図である。
【0120】
第4の実施形態に係る通帳プリンタ部22は、第3の実施形態に係る通帳プリンタ部22とほぼ同様の構成を有する。例えば、通帳プリンタ部22は、印字ヘッド位置制御部180を有する。一方で、第4の実施形態に係る通帳プリンタ部22は、第3の実施形態とは異なる構成として、図19に示す着脱検出部190(取外し検知部の一例)とを有する。
【0121】
着脱検出部190は、通帳プリンタ部22の自動取引装置1に対する着脱を検出する。例えば、着脱検出部190は、通帳プリンタ部22が自動取引装置1から取り外されたことを検出する。通帳プリン部22が装着検出スイッチ330を有するので、第3の実施形態の扉開閉検出部32は不要である。
【0122】
着脱検出部190は、図20に示すセット装着検出スイッチ330を有する。装着検出スイッチ330は、通帳プリンタ部22の長手方向(図20の搬送方向)の挿入排出口112とは反対側に設けられている。また、装着検出スイッチ330は、自動取引装置1の筐体側に設けられた検出板(不図示)と対応する位置に配置されている。
【0123】
そして、通帳プリンタ部22が自動取引装置1に装着されている場合には、装着検出スイッチ330が、検出板に対向してオンとなる。一方で、通帳プリンタ部22が自動取引装置1に装着されていない場合には、装着検出スイッチ330が、検出板に対向せずオフとなる。このように、装置検出スイッチ330と検出板が協働して、通帳プリンタ22の着脱を検出する。
【0124】
また、印字ヘッド位置制御部180は、着脱検出部190により通帳プリンタ部22が取り外されたことが検知されると、リボンカセット144の着脱がスムーズに行われるように、待機位置に位置する印字ヘッド143を移動方向の中央側に移動させる。第4の実施形態では、印字ヘッド位置制御部180が、印字ヘッド143が移動方向の中央側に位置する場合に、リボンカセット144を印字ヘッド143に対して回動可能にさせる着脱規制部に該当する。
【0125】
(4−2.リボンカセットの交換時の自動取引装置の動作)
第4の実施形態におけるリボンカセット144の交換時の自動取引装置1の動作について、前述した図18等を参照しながら説明する。
【0126】
まず、作業者が、リボンカセット144の交換を行うため、自動取引装置1の背面扉30を開けて通帳プリンタ部22を引き出すと、着脱検出部190により通帳プリンタ部22が引き出されたことが検知される。この検知情報は、通帳プリンタ制御部170に通知される。
【0127】
通帳プリンタ制御部170は、通帳プリンタ部22が引き出されたという検知情報を受け取ると、印字ヘッド位置制御部180により、図18(a)に示す待機位置に位置する印字ヘッド143を、図18(b)に示す移動方向の中央側の停止位置に移動させる。印字ヘッド143が停止位置に位置している時は、インクリボンRが左右のリボンアーム144bから印字ヘッド143の先端143aに向かって角度θ1で若干斜めに張られている状態となる。このため、リボンカセット144の交換時に、インクリボンRがレバー146a、146bに引っ掛かることなく、スムーズに交換可能な状態である。
【0128】
その後、作業者は、通帳プリンタ部22が引き出された状態でインクリボンカセット144の交換を行う。リボンカセット144の交換手順は、第1の実施形態と同様であるので(図8、図9参照)、説明は省略する。
【0129】
リボンカセット144の交換が完了し、作業者が通帳プリンタ部22を自動取引装置1内に装着すると、着脱検出部190により通帳プリンタ部22が装着されたことが検知される。この検知情報は、通帳プリンタ制御部170に通知される。通帳プリンタ制御部170は、通帳プリンタ部22が装着されたという検知情報を受け取ると、印字ヘッド位置制御部180により、図18(b)に示す停止位置に位置する印字ヘッド143を、図18(a)に示す待機位置に移動させる。
【0130】
(4−3.有効性)
第4の実施形態によれば、印字ヘッド位置制御部180は、着脱検出部190により通帳プリンタ部22が取り外されたことが検知されると、待機位置に位置する印字ヘッド143を移動方向の中央側に移動させる。これにより、印字ヘッド143が移動方向の中央側に位置した状態で、リボンカセット144が印字ヘッド143に対して回動しながら着脱されることになる。
【0131】
このため、第1の実施形態と同様に、印字ヘッド143が移動方向の両端側に位置する場合にリボンカセット144が印字ヘッド143に対して回動することで、インクリボンRがレバー146a、146bに引っ掛かり、リボンカセット144の着脱が適切に行われないことを解消できる。これに伴い、作業者は、インクリボンRを手で印字ヘッド143の先端143aに通す必要がなくなり、インクリボンRのインクが作業者の手に付くことを防止できる。
【0132】
また、第4の実施形態の場合には、第3の実施形態と同様に、印字ヘッド143を移動方向の中央側に自動的に移動させるので、作業者が印字ヘッド143を移動させる必要が無くなり、作業者の負担を軽減できる。更に、第4の実施形態の場合には、通帳プリンタ部22が引き出される時のみ印字ヘッド143が移動方向の中央側に移動する。このため、背面扉30を開けてレシート印字部18の消耗品交換を行う(インクリボンRの交換を行わない)場合に、印字ヘッド143が無駄に移動してしまうことを防止できる。
【0133】
<5.第5の実施形態>
(5−1.通帳プリンタ部の構成)
図21を参照しながら、第5の実施形態に係る通帳プリンタ部22の構成について説明する。図21は、第5の実施形態に係る通帳プリンタ部22の内部構成を示す図である。
【0134】
第5の実施形態に係る通帳プリンタ部22は、第3の実施形態に係る通帳プリン部22とほぼ同様の構成を有する。例えば、通帳プリンタ部22は、第3の実施形態と同様に、検出レバー310と、検出センサ320と、印字ヘッド位置制御部180とを有する。一方で、第5の実施形態に係る通帳プリンタ部22は、第3の実施形態とは異なる構成として、図21に示すシャッタガイド350(ガイド部材の一例)を有する。
【0135】
第1の実施形態で説明したように、印字ヘッド143の近傍には、上面ガイド114a及び下面ガイド114bを配置できないため、リボンプロテクタ147が上面ガイドを兼用し、プラテン142が下面ガイドを兼用する。これに対して、第5の実施形態においては、シャッタガイド350が、リボンプロテクタ147の代わりに、移動方向の他端側において搬送ローラ116による搬送中の通帳をガイドする上面ガイドとして機能する。なお、リボンプロテクタ147は、移動方向の中央側において通帳をガイド可能である。
【0136】
シャッタガイド350は、移動方向の他端側に設けられ、回動支点350aを中心として図21に示す矢印方向へ回動する。図21に示すガイド位置に位置するシャッタガイド350は、移動方向の他端側へ移動した印字ヘッド143のリボンプロテクタ147に押されて、図22に示すように回動して、退避位置に位置する。退避位置に位置するシャッタガイド350は、印字処理の際に移動方向に移動する印字ヘッド143に干渉しないこととなる。なお、図22は、シャッタガイド350が退避位置に位置する状態を示す図である。
【0137】
(5−2.印字ヘッドの待機位置)
第5の実施形態における印字ヘッド143の待機位置について、図18等を参照しながら説明する。
【0138】
通帳プリンタ部22は、自動取引装置1の電源オン時の初期化動作(自動取引装置1の待機状態時)において、印字ヘッド位置制御部180により、印字ヘッド143を図18(b)に示す移動方向の中央側の停止位置に移動させて待機させる。
【0139】
上述した第1〜第4の実施形態では、通帳プリンタ部22が待機状態の時に印字ヘッド143は移動方向の他端側の待機位置(図18(a))に位置していた。これに対して、第5の実施形態では、シャッタガイド350が、上面ガイドとして通帳が搬送される際に通帳の浮き上がりを防止するため、印字ヘッド143を図18(a)に示す待機位置に位置させる必要が無い。このため、第5の実施形態の印字ヘッド143の待機位置は、図18(b)に示す位置となる。
【0140】
このように通帳プリンタ部22の待機時に印字ヘッド143が図18(b)に示す待機位置に位置するため、リボンカセット144の交換時にインクリボンRがレバー146a、146bに引っ掛かることなく、スムーズに交換可能となる。このように、第5の実施形態では、印字ヘッド位置制御部180が、印字ヘッド143が移動方向の中央側に位置する場合に、リボンカセット144を印字ヘッド143に対して回動可能にさせる着脱規制部に該当する。
【0141】
(5−3.有効性)
第5の実施形態によれば、印字ヘッド位置制御部180は、通帳プリンタ部22の待機時に印字ヘッド143の待機位置が移動方向の中央側に位置するように、印字ヘッド143の位置を制御する。これにより、印字ヘッド143が待機位置に位置する際に、リボンカセット144が印字ヘッド143に対して回動しながら着脱されることになる。
【0142】
このため、第1の実施形態と同様に、印字ヘッド143が移動方向の両端側に位置する場合にリボンカセット144が印字ヘッド143に対して回動することで、インクリボンRがレバー146a、146bに引っ掛かり、リボンカセット144の着脱が適切に行われないことを解消できる。これに伴い、作業者は、インクリボンRを手で印字ヘッド143の先端143aに通す必要がなくなり、インクリボンRのインクが作業者の手に付くことを防止できる。
【0143】
また、第5の実施形態の場合には、通帳プリンタ部22の待機時は、印字ヘッド143が常にリボンカセット144の着脱に最適な待機位置に位置するので、リボンカセット144の着脱のために印字ヘッド143を移動させる動作が不要となる。
【0144】
<6.第6の実施形態>
(6−1.通帳プリンタ部の構成)
図23及び図24を参照しながら、第6の実施形態に係る通帳プリンタ部22の構成について説明する。図23は、第6の実施形態に係る通帳プリンタ部22の構成を示すブロック図である。図24は、印字ヘッド位置検出部184の構成を示す模式図である。
【0145】
第6の実施形態に係る通帳プリンタ部22は、第4の実施形態に係る通帳プリン部22とほぼ同様の構成を有するが、第4の実施形態とは異なる構成として、図23に示すように印字ヘッド位置制御部180は印字ヘッド位置検出部184(位置検知部の一例)を有する。
【0146】
印字ヘッド位置検出部184は、印字ヘッド143の現在位置を検出する。印字ヘッド位置検出部184は、図24に示すように、モータ381と、タイミングプーリ382と、ベルト383と、エンコーダ384とを有する。
【0147】
モータ381は、駆動回路(不図示)により駆動される。タイミングプーリ382は、モータ381の軸に取り付けられており、モータ381が駆動すると回転する。ベルト383は、タイミングプーリ382に張架され、モータ381の駆動力を印字ヘッド143に伝達する伝達経路の一部を構成する。かかる構成により、モータ381が駆動されると、印字ヘッド143が移動方向に移動する。なお、図24では、駆動力の伝達経路が簡略化して示されている。
【0148】
エンコーダ384は、モータ381に取り付けられており、モータ381の回転角度、すなわち印字ヘッド143の移動量を検知する。エンコーダ384は、スリット板384aと、センサ384bとを有する。スリット板384aは円盤状の薄板であり、薄板の外周部に複数個の窓が設けられている。スリット板384aは、モータ381の回転に連動して、回転する。センサ384bは、スリット板384aの回転中に、スリット板384aの窓の有無を検知し、オン・オフを出力する。
【0149】
そして、印字ヘッド位置検出部184は、検出レバー310(図16)が検出センサ320の光軸を遮蔽する位置を基準として、エンコーダ384により印字ヘッド143の移動量を計測することで、印字ヘッド143の現在位置Z(移動方向における検出センサ320からの距離)を管理できる。
【0150】
なお、印字ヘッド位置検出部184は、印字ヘッド143を作業者が手で動かす場合でも、ベルト383によりタイミングプーリ382を介してモータ381が回転するため、エンコーダ384の出力により印字ヘッド143の現在位置Z(停止位置)をリアルタイムに把握できる。
【0151】
(6−2.リボンカセットの交換に関する表示)
図25及び図26を参照しながら、リボンカセット144の交換に関する表示について説明する。図25は、リボンカセット144に設けられた表示シール391を示す図である。図26は、自動取引装置1の表示部12(図1)に表示される消耗品交換に関する表示画面である。
【0152】
第6の実施形態に係るリボンカセット144には、図25に示すように、リボンカセット144の交換時にインクリボンRがレバー146a、146bに引っ掛かることなくスムーズに交換な範囲Lを示す表示シール391(表示物の一例)が設けられている。表示シール391には、操作者が手動で移動させる印字ヘッド143の停止範囲を示す。作業者は、表示シール391に表示された停止範囲内に印字ヘッド143を手動で移動させた後にリボンカセット144を交換することで、スムーズな交換が可能となる。
【0153】
自動取引装置1の表示部12は、図26に示すようにインクリボンRやレシート等の消耗品の交換方法を表示画面12aに表示して、作業者等をナビゲーション(案内)する。これにより、リンクリボンRの交換に不慣れな作業者は、表示画面12aの表示に沿って操作することで、インクリボンRを適切に交換できる。なお、表示部12による消耗品交換のナビゲーション表示のプログラムは、記憶部28(図1)に記憶されている。
【0154】
また、作業者が印字ヘッド143を手動で移動させる際に、印字ヘッド位置検出部184で検知された印字ヘッド143の停止位置が表示シール391に表示された停止範囲内に位置しない場合には、表示部12は、印字ヘッド143を停止範囲へ移動させることを促すメッセージを表示画面12a(図26(e))に表示する。これにより、印字ヘッド143の停止位置が正しい位置でないことを直ぐに知覚し、印字ヘッド143を正しい停止位置に移動させることができる。
【0155】
(6−3.リボンカセットの交換時の自動取引装置の動作)
第4の実施形態におけるリボンカセット144の交換時の自動取引装置1の動作について説明する。
【0156】
まず、作業者は、リボンカセット144の交換を行うため、自動取引装置1のメンテナンスモード(オフラインモード)に切り替え、入力部14による操作を行い、消耗品交換のナビゲーションを行うプログラムを呼び出す。ナビゲーションプログラムの呼出し及び実行は、ATM制御部26によって実行される。
【0157】
ATM制御部26によってナビゲーションプログラムが実行されると、表示部12は、図26に示す表示画面12aを表示し、作業者の操作毎に画面を切り替えて消耗品交換のナビゲーションを行う。
【0158】
なお、ナビゲーションの表示は、自動取引装置1の背面扉30(図14)を開いてメンテナンスを行う場合には、背面扉30に設けられた係員用表示部(不図示)で行う。一方で、自動取引装置1の前面のパネルを開いてメンテナンスを行う場合には、前面側の顧客用表示部(表示部12)でナビゲーションが表示される。
【0159】
以下において、ナビゲーション表示に沿ったリボンカセット144の交換を説明する。まず、図26(a)の表示画面12aが表示された状態で、作業者が交換対象ユニットを選択する。図26(a)の表示画面12aで作業者が通帳プリンタ22の消耗品交換を選択すると、表示部12は図26(b)に示す表示画面12aに遷移させる。
【0160】
次に、作業者が図26(b)の表示画面12aを見て背面扉30を開けると、扉開閉検出部32(図15)により背面扉30が開けられたことが検知される。その後、作業者が第4の実施形態と同様に通帳プリンタ部22を引き出すと、着脱検出部190により通帳プリンタ部22が引き出されたことが検知される。この検知情報は、通帳プリンタ制御部170を介してATM制御部26に通知され、表示部12は図26(c)に示す表示画面12aに遷移させる
【0161】
次に、作業者が図26(c)の表示画面12aを見て印字ヘッド143を手で動かして、図25に示す表示シール391に表示された範囲内に移動させる。この時、印字ヘッド位置検出部184により、印字ヘッド143の現在位置Zが通帳プリンタ制御部170を介してATM制御部26に通知される。通知された現在位置Zが図25に示すLの範囲内にある場合には、表示部12は図26(d)の表示画面12aに遷移させ、現在位置ZがLの範囲内に無い場合には、表示部12は図26(e)の表示画面12aに遷移させる。
【0162】
図26(e)の表示画面12aが表示された後、作業者が印字ヘッド143を正しい位置に移動させると、印字ヘッド位置検出部184により印字ヘッド143の現在位置ZがATM制御部26に通知され、表示部12は図26(d)の表示画面12aに遷移させる。
【0163】
図26(d)の表示画面12aの表示を見た作業者は、リボンカセット144を交換する。なお、リボンカセット144の交換手順は、第1の実施形態と同様であるので(図8、図9参照)、説明は省略する。
【0164】
その後、作業者が通帳プリンタ部22を装着すると、着脱検出部190により通帳プリンタ部22が装着されたことが検知される。その後、作業者が背面扉30を閉めると、扉開閉検出部32により背面扉30が閉められたことが検知される。そして、これらの検知情報がATM制御部26に通知されると、ATM制御部26は、リボンカセット144の交換が完了したと判断し、消耗品交換ナビゲーションプログラムを終了する。
【0165】
(6−4.有効性)
第6の実施形態によれば、表示シール391が、操作者が手動で移動させる印字ヘッド143の停止範囲を示す。これにより、作業者は、表示シール391に表示された停止範囲内に印字ヘッド143を移動させれば良いので、印字ヘッド143の移動に不慣れな作業者であっても、印字ヘッド143をリボンカセット144がスムーズに着脱される適切な位置に移動させることができる。この結果、第1、第2の実施形態のように突起145a、145bを設けても、リボンカセット144をスムーズに着脱できる。
【0166】
また、第6の実施形態によれば、印字ヘッド143の停止位置が表示シール391に表示された停止範囲内に位置しない場合には、表示部12は、印字ヘッド143を停止範囲へ移動させることを促すメッセージを表示する。これにより、作業者は、表示されたメッセージを見て、リボンカセット144の着脱に最適な位置に印字ヘッド143を移動できる。
【0167】
<7.まとめ>
上述したように、自動取引装置1は、印字ヘッド143が移動方向の中央側に位置する場合に、リボンカセット144を印字ヘッド143に対して着脱可能にさせる着脱規制部(突起145a、145b、又は印字ヘッド位置制御部180)を有する。
【0168】
これにより、印字ヘッド143が移動方向の両端側に位置する場合には、着脱規制部によりリボンカセット144の印字ヘッド143に対する着脱が規制されて、リボンカセット144の着脱が行われない。このため、印字ヘッド143が移動方向の両端側に位置する状態でリボンカセット144が印字ヘッド143に対して取り外される際に、インクリボンRが接触部材(レバー146a、146b)に引っ掛かることを防止できる。この結果、インクリボンRがレバー146a、146bに引っ掛かることに起因してリボンカセット144の着脱が適切に行われないことを解消できる。また、作業者は、インクリボンRを手で印字ヘッド143の先端143aに通す必要がなくなり、インクリボンRのインクが作業者の手に付くことを防止できる。
【0169】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0170】
上記では、リボンカセット144を着脱しやすいように、印字ヘッド143、リボンカセット144等が回動する例を説明したが、これに限定されない。例えば、印字ヘッド143等が装置上方へ移動(平行移動)することで、印字ヘッド143の先端143aの隙間が広がる構成であっても良い。
【0171】
また、上記では、リボンカセット144を着脱する際に背面扉30を開閉する例を説明したが、これに限定されない。例えば、リボンカセット144の着脱のために自動取引装置1の前面側のパネル(開閉扉)を開閉する構成であっても良い。
【0172】
また、上記では、表示部12に表示される表示画面12a(ナビゲーション画面)には文字のみが表示されている例を説明したが、これに限定されない。例えば、表示画面12aに、イラストや写真も一緒に表示しても良い。かかる場合には、作業者にとって分かりやすいガイダンスになる。
【符号の説明】
【0173】
1 自動取引装置
12 表示部
12a 表示画面
22 通帳プリンタ部
30 背面扉
32 扉開閉検出部
116 搬送ローラ
140 印字部
142 プラテン
143 印字ヘッド
144 リボンカセット
144b リボンアーム
145 カセットステージ
145a、145b 突起
145c ステージ本体
146 レバー
147 リボンプロテクタ
148 ストッパ
180 印字ヘッド位置制御部
184 印字ヘッド位置検出部
190 着脱検出部
245a、245b 突起
246a、246b 曲げ部
310 検出レバー
320 検出センサ
350 シャッタガイド
391 表示シール
R インクリボン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクリボンを用いて媒体に印字を行う印字ヘッドを有し、所定の移動方向に移動可能な印字部と、
前記移動方向に沿って位置する前記インクリボンを前記移動方向の両端側で支持し、自装置に対して着脱自在に装着されたリボンカセットと、
前記印字部の前記移動方向において前記印字ヘッドの近傍に設けられ、前記リボンカセットの着脱の際に前記インクリボンが接触可能な接触部材と、
を備える自動取引装置であって、
前記リボンカセットは、前記印字ヘッドに対して着脱され、
前記印字部が前記移動方向の中央側に位置する場合に、前記リボンカセットを前記印字ヘッドに対して着脱可能にさせる着脱規制部を更に備えることを特徴とする、自動取引装置。
【請求項2】
前記印字ヘッドとの間に前記インクリボンが位置するように設けられたリボンプロテクタを更に備え、
前記リボンプロテクタは、前記印字ヘッドが印字を行う際に位置する第1位置と、前記リボンカセットの着脱が可能となるように前記印字ヘッドと間の空隙が広くなる第2位置との間で回動し、
前記接触部材は、前記リボンプロテクタの回動に連動して回動するレバーであることを特徴とする、請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記リボンカセットを支持するカセット支持部材を更に備え、
前記着脱規制部は、前記カセット支持部材の前記移動方向の両端側に設けられ、前記レバーの回動を規制する突起であり、
前記印字ヘッドが前記移動方向の両端側に位置する場合には、前記レバーが前記突起に接触して前記リボンプロテクタが前記第2位置に回動できないことを特徴とする、請求項2に記載の自動取引装置。
【請求項4】
前記突起は、前記カセット支持部材から前記移動方向と直交する方向に延出して形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の自動取引装置。
【請求項5】
前記突起には、該突起から前記移動方向に沿って曲げ部が形成され、
前記リボンプロテクタが前記第2位置に位置する状態で前記印字ヘッドが移動した際に、前記レバーが前記曲げ部に押されることで、前記リボンプロテクタが前記第1位置に回動することを特徴とする、請求項3又は4に記載の自動取引装置。
【請求項6】
前記リボンカセットの着脱後に、前記印字ヘッドが待機位置に移動する際に前記レバーが前記曲げ部に押されることで、前記リボンプロテクタが前記第1位置に回動することを特徴とする、請求項5に記載の自動取引装置。
【請求項7】
前記突起は、前記カセット支持部材の前記移動方向の中央側を切り欠くことで形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の自動取引装置。
【請求項8】
前記リボンカセットの着脱のために前記自装置に対して開く開閉扉と、
前記開閉扉の開閉を検知する開閉検知部と、
を更に備え、
前記着脱規制部は、前記開閉検知部により前記開閉扉が開いたことが検知されると、前記印字ヘッドを前記移動方向の中央側に移動させる移動制御部であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の自動取引装置。
【請求項9】
前記印字ヘッド、前記リボンカセット、及び前記接触部材を有し、前記自装置に対して着脱可能な印字ユニットと、
前記印字ユニットの取り外しを検知する取外し検知部と、
を更に備え、
前記着脱規制部は、前記取外し検知部により前記印字ユニットが取り外されたことが検知されると、前記印字ヘッドを前記移動方向の中央側に移動させる移動制御部であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の自動取引装置。
【請求項10】
前記印字ヘッドの待機位置は、前記移動方向の端側であり、
前記移動制御部は、前記待機位置に位置する前記印字ヘッドを前記移動方向の中央側へ移動させることを特徴とする、請求項8又は9に記載の自動取引装置。
【請求項11】
前記印字ヘッドは、前記自動取引装置の待機状態時に所定の待機位置に位置し、
前記着脱規制部は、前記待機状態時に前記印字ヘッドの前記待機位置が前記移動方向の中央側に位置するように、前記印字ヘッドの位置を制御する位置制御部であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の自動取引装置。
【請求項12】
前記媒体を搬送する搬送部材と、
前記移動方向の端側に設けられ、前記搬送部材により搬送中の前記媒体をガイドするガイド部材と、
を更に備え、
前記ガイド部材は、前記端側に移動した前記印字ヘッドに押されると、前記媒体をガイドするガイド位置から退避位置に移動することを特徴とする、請求項11に記載の自動取引装置。
【請求項13】
前記印字ヘッドは、前記リボンカセットの着脱の際に、操作者の手動による移動が可能であり、
前記リボンカセットには、前記操作者が手動で移動させる前記印字ヘッドの停止範囲を示す表示物が設けられていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の自動取引装置。
【請求項14】
前記リボンカセットの交換方法を案内する表示部と、
前記操作者が手動で移動させる前記印字ヘッドの停止位置を検知する位置検知部と、
を更に備え、
前記表示部は、前記位置検知部で検知された前記停止位置が前記停止範囲内に位置しない場合には、前記印字ヘッドを前記停止範囲へ移動させることを促すメッセージを表示することを特徴とする、請求項13に記載の自動取引装置。
【請求項15】
前記印字ヘッドとの間に前記インクリボンが位置するように設けられたリボンプロテクタを更に備え、
前記リボンプロテクタは、前記印字ヘッドが印字を行う際に位置する第1位置と、前記リボンカセットの着脱が可能となるように前記印字ヘッドと間の空隙が広くなる第2位置との間で移動し、
前記接触部材は、前記リボンプロテクタの移動に連動して移動するレバーであることを特徴とする、請求項1に記載の自動取引装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2013−67083(P2013−67083A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207397(P2011−207397)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】