説明

自動感知ディスペンサ装置

【課題】センサーを別途必要とせずに、液体ディスペンサ装置の動作を確実に制御する。
【解決手段】電力供給手段4と、アクチュエータ11と、アクチュエータ11の駆動によって液体が吐出する吐出口10を有する液体吐出部9と、アクチュエータ11を制御する電子制御手段6と、液体容器1から液体吐出部9に供給する液体供給手段8と、液体が液体容器1から液体供給手段8を介して液体吐出部9に流れるようにする、または流れないようにするバルブ手段7とを備え、アクチュエータ11は、吐出機能と、自動感知ディスペンサ装置の外部の特徴を検出し、アクチュエータ11に信号を発生させる検出機能とを少なくとも有しており、電子制御手段6は、前記信号を受信すると、バルブ手段7およびアクチュエータ11を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状物質を、液滴スプレーや流出等によって吐出するのに適した自動感知ディスペンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような装置は、通常、支持部に吐出体を有しており、具体的には、吐出体を介して装置から液状物質を吐出する液滴スプレー装置の吐出口やノズル体を有する。液状物質の吐出には、バルブ手段や、ポンプや加圧手段を用いてもよい。更には、液体を振動させる振動素子としての圧電アクチュエータを用いて、液体を加速して放出してもよい。代表的な装置は、更に、液体空間、液体容器への流体供給口および流体インターフェース、液体容器、ならびに振動素子と対応する電子回路との間の電気接続などの要素から構成されてもよい。 液体の例としては、環境芳香剤、香水、殺虫剤、殺菌剤、柔軟剤、アロマエッセンス、洗浄液、液体の医薬製剤、ローション、クリーム、乳液、水溶性の液体、および引火性または可燃性液体などが挙げられる。
【0003】
このような吐出体は、吐出口、アパーチャプレート、ノズルアレイ、投与アパーチャ、オリフィス板、振動可能膜、噴霧器、振動板、投与アパーチャ配置物、エアゾール生成器などと呼ばれる場合がある。したがって、これらの用語は、本文書全体を通して相互交換可能であるように理解される。
【0004】
実際に、このような吐出体や液体ディスペンサ装置は周知である。例えば、本出願人名義の(欧州特許出願公開第1129741号明細書)を参照されたい。この文献は、主本体とノズル体とから形成された上部基板を有し、液体をスプレーするディスペンサ装置について記載している。ノズル体は、液滴出口手段であるノズルアレイを含み、液滴スプレー装置に含まれる液体物質が、この場合、液滴スプレーとして、装置から排出されることを可能にしている。液体に振動を与えて液滴スプレーを生成するために、圧電アクチュエータが使用される。
【0005】
一般的に、このような圧電アクチュエータは、エネルギー効率を改善するために、適当な周波数で、またはその付近において発振するように駆動される。
【0006】
(欧州特許出願公開第1043162号明細書)は、液体がスプレー経路を通過したか否かを赤外線検出器で判定する液体の検出方法を用いたインクジェット装置について記載している。制御手段が、自身でスプレーを調節するために備えられている。
【0007】
(米国特許出願公開第2007/0216256号明細書)は、圧電により作動するポンプに対する駆動制御回路について記載している。圧電アクチュエータの内部インピーダンスを測定することにより、動作周波数を制御することができる。
【0008】
(米国特許出願公開第2003/0146300号明細書)は、物質を噴霧する噴霧器、および、液体容器について記載している。液体容器は、この噴霧装置から噴霧する物質を供給するように配置された計量室と、計量室内に保持される容量を超えた物質を保持するように配置された第2室とを有する。この装置は、単位量の吐出を検出することが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、アクチュエータ自身で吐出状況を検出し、液体吐出動作の制御や監視の機能をも果たすならば、アクチュエータの始動、停止を容易、かつ確実に制御することが有用であろう。
【0010】
したがって、先行技術文献によって提示された不便性や制限を克服する革新的なディスペンサ装置を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これにより、本発明は、これらの目的を効果的に実現するディスペンサ装置に関し、添付の特許請求の範囲において定義されるように、比較的単純、かつ安価な手法において実現できる。この装置は、更に、間接的に自身を始動し監視することが可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明による自動感知ディスペンサ装置の特徴によると、センサーを別途必要とせずに、液体ディスペンサ装置の動作を確実に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明による自動感知ディスペンサ装置の他の特徴および利点については、添付の図面を参照して、以下に述べる非限定的な例によって明らかになる。
【図1a】図1aは、シャワー装置の水流検出器に用いられる、本発明の第1の実施形態に従った自動感知ディスペンサ装置の第1例を示す。
【図1b】図1bは、第1の実施形態においての自動感知ディスペンサ装置の第2例を示す。
【図1b1】図1b1は、第1の実施形態においての自動感知ディスペンサ装置のプライミングシステムの一例を示す。
【図1c】図1cは、第1の実施形態においての自動感知ディスペンサ装置の第3例を示す。
【図1d】図1dは、第1の実施形態においての水流検出に用いられる信号の例を示す。
【図1e】図1eは、第1の実施形態においての水流検出に用いられる信号の例を示す。
【図2a】図2aは、吸入器もしくは噴霧器で用いられる本発明の第2の実施形態に従った自動感知ディスペンサ装置の1例を示す。
【図2b】図2bは、第2の実施形態においての自動感知ディスペンサ装置を用いる人の検出された吸気流に関する時間領域特性を示す。
【図2c】図2cは、第2の実施形態においての自動感知ディスペンサ装置を用いる人の検出された吸気流に関する周波数特性を示す。
【図2d】図2dは、同様に、第2の実施形態においての自動感知ディスペンサ装置を用いる人の検出された呼気流に関する時間領域特性を示す。
【図2e】図2eは、同様に、第2の実施形態においての自動感知ディスペンサ装置を用いる人の検出された呼気流に関する周波数特性を示す。
【図3a】図3aは、手の近接を検出する液体ディスペンサにおいて用いられる本発明の第3の実施形態に従う自動感知ディスペンサ装置の第1例を示す。
【図3b】図3bは、第3の実施形態に従った自動感知ディスペンサ装置の第2例を示す。
【図3c】図3cは、第3の実施形態に従った手の近接検出に用いられる信号の例を示す。
【図3d】図3dは、第3の実施形態に従った手の近接検出に用いられる信号の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
好ましい実施形態の例について、図面を参照しながら説明する。本発明に従う自動感知ディスペンサ装置は、一般的に、液体ディスペンサ装置においてのアクチュエータの動作制御に用いられる。
【0015】
(第1の実施形態)
第1の実施形態において、自動感知ディスペンサ装置は、シャワー装置のシャワーヘッド近くに配置され、水流検出機能を備える。水流を検出することによって、洗浄剤、消毒剤、芳香剤等が、自動感知圧力ディスペンサ装置から吐出できる。これは、例えば、ディスペンサ装置が噴霧器もしくは液滴スプレー装置である場合は、液滴のスプレーなどによって行われてもよい。
【0016】
そのようなものとしてシャワー洗浄装置が公知である。例えば、(米国特許第6,820,821号明細書)は、浴室やシャワー室の壁にクレンザーをスプレーする自動スプレー装置を開示している。このスプレー装置はシャワー室内に取り付け可能であるハウジングを有する。管が長手方向軸に沿って下に延びており、クレンザーはこの管を通ることができる。管の下に配置されモータを備えたヘッドは、軸回りに回転可能であり、ボトルからクレンザーを計量し、クレンザーを外側にスプレーする。スプレー装置は、誰かがシャワー中にスプレーしてしまうことを防止するため、動きセンサーを有している。
【0017】
明らかに、このような装置は、所望の動作(クレンザーをスプレーすること)を行うためにセンサーを別途必要としている。これにより、システムが故障しやすくなり、高価なものとなる。
【0018】
本発明の特徴によると、圧電アクチュエータ自体がセンサーとして機能するので、センサーを別途必要としない。したがって、故障しがちな部品が少なくなるので、信頼性が向上する。
【0019】
図1aには第1の実施形態の第1例を示しており、液体容器である加圧洗浄剤タンクが備えられている。タンクに過圧を加え正常なプライミングを行うことと、タンクを正常に空にすることとを確実にするために通気孔2に疎水性膜を備えることが好ましい。
【0020】
また、図1b1に示すように、疎水性膜の代わりに、通気孔2として機能する切り抜き部を有する液体供給管81を使用して、液体を加圧し、タンクの空気を逃し液体供給手段である注入チャネル8に液体を供給することが可能である。同図に示すように、まず、この液体供給管81をタンク(A)に挿入する準備をする。この段階で、タンク1内の圧力Pintは大気圧Patmと等しい。次に、タンク(B)に挿入すると、内圧PintはPatmより大きくなる。そして、液体供給管81がタンクの底に達し、通気孔から空気が排出され(C)、Pintは再びPatmと等しくなる。
【0021】
タンク1は、シャワーヘッド13を有するシャワー装置に取り付けられるハウジング3内に備えられる。ハウジング3はさらに、電力供給手段である電池4と、吐出部、ここではスプレーヘッド9を始動および停止させる適当な電子制御手段6を有する。スプレーヘッド9は支持部12、例えば、シャワーヘッド13付近の壁に取り付けられる。当業者にとって公知である様態で、スプレーヘッド9は、アクチュエータの一つである圧電アクチュエータ11と、洗浄液が液滴スプレーとして放出される1以上の吐出口10を有するアパーチャプレートもしくはノズルヘッドとを備える。注入チャネル8は、液体をタンク1からスプレーヘッド9に供給するために備えられる。注入チャネル8は、クリップ5を介して支持部12に取り付けられてもよい。電子制御手段6によって制御されるエレクトロバルブなどのバルブ手段7によって、タンク1から注入チャネル8を介するスプレーヘッド9へのアクセスを制御してもよい。
【0022】
当業者であれば、1以上のタンクと1以上の液体を用いることが可能であることは容易に理解できよう。エレクトロバルブ7は、一方向バルブでも多方向バルブでもよい。1以上の液体スプレーヘッドがあってもよい。また、タンクと液体スプレーは、図1a、1b、および1cに示されているように壁の異なる面に配置する代わりに、同一面上に隣同士に配置してもよい。
【0023】
したがって、当業者にとって公知であるように、スプレーヘッド9に供給されるいかなる液体も圧電アクチュエータ11によって振動が与えられ、超音波エネルギーが発生し、スプレーヘッド9内の液体に働き、これにより、液体がノズルヘッドの吐出口10を通ってスプレー状に放出される。
【0024】
実際、圧電アクチュエータは少なくとも、吐出機能と検出機能とを備えている。
【0025】
吐出機能は、圧電アクチュエータを振動させる電子制御手段6からの制御信号によって始動されてもよく、それにより超音波エネルギーが液体に伝達され、液体が振動する。その結果、液体が振動するノズルヘッドの吐出口10を介して液体吐出部から液体が吐出される。
【0026】
検出機能は、少なくとも自動感知ディスペンサ装置の外部の特徴を圧電アクチュエータの摂動により検出する。この摂動によって発生した信号が電子制御手段6によって検出されてもよく、バルブ手段7とスプレーヘッド9を制御する電子制御手段6の信号が形成されてもよい。
【0027】
上記から理解され得るように、本発明によると、圧電アクチュエータ11は液体の吐出を可能にするだけでなく、いつ、どのように、(1以上のタンクを使用している場合)どの液体を吐出するかを制御することも可能である。実際に、電気を機械的動作に変換するだけでなく、機械的摂動を電気に戻す圧電性の原理を利用することによって、圧電アクチュエータ11を使用して外部の特徴、この場合、シャワーの水流を検出できる。水流によりシャワー装置付近で音波と超音波が結合した圧力波が形成され、圧電アクチュエータ11によってとらえられる摂動が起き、その結果、水流の検出が可能となる。電子制御手段6を通して水流圧力波から生じる電気的信号を分析することによって、水流の開始時と停止時を判断することができる。さらに、水流の開始が一旦検出されると、エレクトロバルブ7を制御して、液体をタンク1からスプレーヘッド9に供給し自動感知ディスペンサ装置のアクチュエータ11によって放出することも可能である。この制御は電子制御手段6によって行うことができ、自動感知ディスペンサ装置のアクチュエータ11によって始動される。したがって、このような水流検出器を備えるシャワー装置は、洗浄剤や芳香剤や消毒剤の放出を自動的に始動することができる。
【0028】
水流によって生じた圧力波による電気的信号の分析については、図1cおよび1dを参照し、詳細を説明する。図1cに示される通り、圧電アクチュエータ11によって検出される圧力波は、水流開始時に急激に増大し、停止時に急激に減少するので、水流の開始と停止は容易に検出することができる。この信号を用い、上記の分析に加えて、例えば、図1dに示される例のように、閾値を超えれば水が流れているとみなす閾値検出を適用することができる。したがって、水流の開始と停止を自動感知ディスペンサ装置によって容易に検出できる。
【0029】
圧電アクチュエータにより生成された電気的信号は、フィルタリングされ、水流に関する信号とその他に検出された信号(例えば、背景雑音)とが確実に分離される。
【0030】
例えば、2つのタンクと、芳香剤と消毒剤等の2種類の異なる液体を用いる場合、スプレーヘッド9と電子制御手段6を備え、シャワー使用中は芳香剤をスプレーし、シャワー後、所定の時間が経過した後に消毒剤をスプレーできるようにする等、当業者であれば容易に他の応用も考えることができるのはもちろんである。また、シャワーだけに限らず、同様の自動感知の原理を使用するその他のもの、例えば洗濯乾燥機、掃除機、掃除ロボットなどの家電製品などにも応用できることも、当業者にとって明らかである。
【0031】
第1の実施形態の第2例は、図1bに示され、第1例の構成とやや類似している。同じ構成要素には同じ符号を付している。第2例において、ハウジング3はタンク1の上に配置され、注入チャネル8がタンクの中まで延びており、スプレーヘッド9に向かって溶液が流れるようになっている。この構成から理解され得るように、第1例の上下が逆の構成と比べると、第2例の構成ではタンク1を取り外した際の残留液の漏れが防止できる。
【0032】
第1の実施形態の第3例は、図1cに示され、第2例の構成とやや類似している。同じ構成要素には同じ符号を付している。第3例では、同様に、ハウジング3はタンク1の上に配置されている。ここでは、注入チャネルが2つの部品からなる。第1の部品7´は、本第3例ではタンク1内の芯であり、第2の部品8´は芯であってもよいし、タンク1から第1の部品7´である芯を介してスプレーヘッド9に液体を移送する毛細管でもよい。この例ではエレクトロバルブを使用しておらず、タンク1からスプレーヘッド9への液体の移送は毛管現象によって行われる。
【0033】
バルブ手段がないことによる漏れを防ぐために、スプレーヘッド9は、スプレーヘッド9の静水圧がタンク1の静水圧よりも高くなるように配置される。
【0034】
上記から理解され得るとおり、第1の実施形態の全ての例において、タンク1からの、ひいては自動感知ディスペンサ装置からの液体の放出は、圧電アクチュエータによって提供される信号によって制御される。
【0035】
(第2の実施形態)
第2の実施形態において、自動感知ディスペンサ装置は、物質の放出が可能である呼吸器治療装置における呼吸パターン検出機能を備えている。
【0036】
呼吸器治療装置は、使用者の呼吸系を介して使用者に活性物質を投与する吸入器や噴霧器として一般的に知られている。それは、例えば、薬剤の制御投与や、セラピーや健康全般に関する応用など様々な療法に用いられてもよい。呼吸器治療装置は、液状もしくはジェル状の活性物質を噴霧液滴の分散体として送る。この装置は、使用者が目立たないように持ち運び使用できるように、サイズが小さく、電池式のものであるのが好ましい。このような装置は公知であり、例えば、本出願人名義の(欧州特許出願公開第923957号明細書)や(米国特許第6,405,934号明細書)を参照されたい。
【0037】
図2aにおいて、本願による自動感知ディスペンサ装置を備える呼吸器治療装置の一例を示す。液体容器21がハウジング22に取り付けられている。液体容器21は、吸入器から呼吸器治療装置を操作する人の口内に、液滴スプレーとして排出する物質を収容してもよい。呼吸器治療装置はさらに、マウスピース26と、液体容器21から物質をマウスピース26に到達させる流体インターフェース25とを備えている。マウスピース26は、スプレーヘッド29などの液体吐出部を有しており、液体吐出部は、圧電アクチュエータ211および物質が液滴スプレーとして排出される1以上の吐出口を有するノズルヘッド210を有する。もちろん、このスプレーヘッドは、第1の実施形態のものと同様であってもよい。第1の実施形態と同様に、注入チャネル28と、エレクトロバルブなどのバルブ手段とが、液体容器21からスプレーヘッド29に物質を供給するために備えられてもよい。
【0038】
ハウジング22は、電子制御手段23と、電子制御手段23や圧電アクチュエータ211に電力を供給するための電池24などの電源とを有する。これらの部品もまた、第1の実施形態と同様のものであってもよい。
【0039】
第2の実施形態によると、圧電アクチュエータ211もまた、機械的摂動を電気に変換するが、呼吸器治療装置の使用者の吸気や呼気パターンの検出にその原理が適用される。実際、マウスピースを口に入れる際、人は息を吸っているか吐いている状態である。この吸気や呼気が圧電アクチュエータの摂動を起こし、人の吸気流や呼気流が検出される。これらの吸気や呼気のシークエンスを分析することによって、効果的な治療のために適切な時に、例えば、人が実際に息を吐いているときではなく、吸っているときに、投与する物質をスプレーヘッド29によってスプレーとして放出することが可能である。
【0040】
図2bおよび図2cは検出された人の吸気に関する時間応答と周波数応答を示す。時間周波数分析を適切に用いることで、吸気プロセスの開始と終了が明確に検出できる。例えば、上記の分析とさらに閾値検出を用いることによって、吸気プロセスの開始が検出されると、電子制御手段23は、バルブ手段であるエレクトロバルブ27を作動させてスプレーヘッド29に物質を供給して人の口内へスプレーし、吸気プロセスの終了が検出されると、エレクトロバルブ27を再び閉じてスプレーヘッドへ物質がさらに流入しないようにすることが可能である。
【0041】
図2dおよび図2eは、同様に圧電アクチュエータ211によって検出された呼気プロセスを示す。したがって、このプロセスは吸気プロセスの場合と同様に行われる。したがって、スプレー装置の作動は呼気の間は防止される。
【0042】
これらの検出方法を用いることによって、吸気と呼気との区別が可能である。実際に、図2bから図2dより理解し得るとおり、吸気と呼気は適切な時間周波数分析によって区別することができる。
【0043】
上記から理解され得るように、第2の実施形態において、液体容器21からの、ひいては、自動感知ディスペンサ装置からの物質の放出はまた、圧電アクチュエータ211によって提供される信号により制御される。
【0044】
(第3の実施形態)
図3aは、液体ディスペンサに用いられる本発明による第3の実施形態においての自動感知ディスペンサ装置の第1例を示す。
【0045】
本実施形態において、圧電アクチュエータ311はまた、例えば、ディスペンサの前を通過する手の存在を検出する近接センサーとして用いられ、吐出される物質の放出を制御することが可能である。一例として、液体ディスペンサは吐出口から手の上にソープを放出してもよい。
【0046】
このディスペンサ装置はまた、第1および第2の実施形態の自動感知ディスペンサ装置とやや類似している。したがって、ハウジング32は吐出する液体を収容する液体容器31を備える。また、上述の実施形態の機能と同様に、電池34と、圧電アクチュエータによって送られる信号を介して液体の放出を制御する電子制御手段33が備えられている。
【0047】
したがって、ここでも、液体容器31からの、ひいては自動感知ディスペンサ装置からの液体の放出は、圧電アクチュエータ311から提供される信号によって制御される。
【0048】
ここでもまた、注入手段が、液体容器31と、ここでは吐出ヘッド39である液体吐出部との間に、エレクトロバルブのようなバルブ手段37を介して設けられており、液体経路となっている。吐出ヘッド39には、液体が吐出される1以上のノズルのような吐出口310が備えられている。圧電アクチュエータ311も吐出ヘッド39に備えられており、手の圧電アクチュエータ311への近接を検出することにより、エレクトロバルブ37の制御、ひいては液体容器31、さらには自動感知ディスペンサ装置からの液体の放出の制御が可能である。
【0049】
図3bは、第3の実施形態においての自動感知ディスペンサ装置の第2例を示す。上記の第1例との違いは、この自動感知ディスペンサ装置は、アクチュエータとして圧電アクチュエータの代わりに電磁アクチュエータを有することである。そのほかの点は図3aに示されるものと同様であり、同じ参照符号が付与されている。したがって、電磁アクチュエータ47は圧電アクチュエータの代わりに用いられる。この電磁アクチュエータのコイルによって、例えば、電磁アクチュエータの付近での手の存在や動きによって起こる電磁場の摂動を検出してもよい。
【0050】
本実施形態およびその他の全ての実施形態においても、自動感知ディスペンサは、適当な電気的信号を発し、その信号の反射であるリターン信号を分析することで外部の特徴を検出するように構成されてもよい。そうすることで、アクチュエータの付近での物体の動きもしくは存在が検出することができる。リターン信号のこのような分析は、当業者にとって公知である。したがって、自動感知ディスペンサ装置が、例えばソープディスペンサである第3の実施形態の第1例では、ディスペンサ付近に手が近づくと、その手の存在が手から跳ね返るリターン信号によって検出される。このリターン信号が電子制御手段33によって分析され、バルブ手段が制御され、液体が液体容器31から吐出ヘッド39に流れ、最終的にはソープディスペンサから手の上に渡ることが可能になる。一旦手が離れると、リターン信号が変化し、この変化が検出される。その結果、バルブ手段が閉じられ吐出動作が停止する。
【0051】
図3cおよび図3dは、第3の実施形態の第2例での、手の近接検出に用いられる信号の例を示す。
【0052】
図に示すように、近接の有無は、図3cおよび図3dに示される信号の時間周波数分析によって容易に検出することができる。
【0053】
上記の3つの実施形態の説明から理解され得るとおり、自動感知ディスペンサ装置を用いることによって高性能のディスペンサ装置を実現できる。
【0054】
自動感知ディスペンサ装置を機能させるために、音圧波、ノイズ、呼吸パターン、存在検出、もしくは動き検出を用いることができる。
【0055】
本発明に従う自動感知ディスペンサ装置のさらなる利点は、感知および吐出動作を同じ部品を用いて行えることである。従来の装置では、ディスペンサ装置は、別個のセンサーが機能しない場合でも吐出しつづけてしまい、吐出された液体が無駄になることがある。吸入器に関しては、認められた量を超えて吸入される場合もあり、これは患者にとって危険でもある。
【0056】
このように、自動感知ディスペンサ装置は、別個のセンンサーを備え、これを接続、調整する必要がないので、より安価な装置で実現することができる。
【0057】
さらに、本願に従う自動感知ディスペンサ装置に自己学習技術を備えてもよい。例えば、電子制御装置に検出結果を蓄積するメモリを備え、以前に蓄積した検出結果と比較することによる自動キャリブレーションを可能にしてもよい。例えば、電子制御手段はアクチュエータによって生成された信号の包括線を予め蓄積した信号と比べ分析し、この比較結果によって駆動手段を始動させるようにしてもよい。
【0058】
さらに、自動感知ディスペンサ装置は、目詰まりをも検出するようにしてもよい。これによって、自動感知ディスペンサ装置の性能を向上させることができる。
【0059】
また、ディスペンサが空になったことを同様に検出して、アクチュエータを停止させることが可能である。
【0060】
本発明の好ましい実施形態について記述したが、その概念を含む他の実施形態が使用され得ることは、当業者にとって明らかである。したがって、本発明は、開示した実施形態に限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲の範囲でのみ限定されるべきである。
【0061】
上記に詳細に説明した本発明の実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明の新規な教示および効果から実質的に逸脱することなく例示として挙げた実施の形態において様々な変更が可能であることは、当業者であれば容易に理解するところである。したがって、かかる変更はすべて本発明の範囲内に含まれるものである。
【0062】
本願発明にかかる自動感知ディスペンサ装置は、電力供給手段と、アクチュエータと、前記アクチュエータの駆動によって液体が吐出する吐出口を有する液体吐出部と、前記アクチュエータを制御する電子制御手段と、液体容器と接続され、液体を前記液体容器から前記液体吐出部に供給する液体供給手段と、液体が前記液体容器から前記液体供給手段を介して前記液体吐出部に流れるようにする、または流れないようにするバルブ手段とを備え、前記アクチュエータは、少なくとも吐出機能と、自動感知ディスペンサ装置の外部の特徴を検出して信号を発生させる検出機能とを有しており、前記電子制御手段は、前記信号を受信すると、前記バルブ手段や前記アクチュエータを制御することを特徴としている。
【0063】
また、前記電子制御手段は、前記信号に基づいて前記バルブ手段を開閉する制御を行ってもよい。
【0064】
また、前記電子制御手段は、前記信号に基づいて前記自動感知ディスペンサ装置をオンオフする制御を行ってもよい。
【0065】
また、前記電子制御装置は、前記信号の時間周波数応答を解析し、その結果に基づいて前記バルブ手段を始動させるものでもよい。
【0066】
さらに、前記電子制御手段は、自己学習のため前記解析結果を蓄積するメモリ手段を備えてもよい。
【0067】
また、本願発明にかかる自動感知ディスペンサ装置は、電力供給手段と、アクチュエータと、前記アクチュエータの駆動によって液体が吐出する吐出口を有する液体吐出部と、前記アクチュエータを制御する電子制御手段と、液体容器と接続され、液体を前記液体容器から前記液体吐出部に供給する液体供給手段とを備え、前記アクチュエータは、少なくとも吐出機能と、自動感知ディスペンサ装置の外部の特徴を検出して信号を発生させる検出機能とを有しており、前記電子制御手段は、前記信号を受信すると、前記アクチュエータを制御することを特徴としてもよい。
【0068】
また、前記アクチュエータは、圧電アクチュエータであってもよく、前記アクチュエアータは、電磁アクチュエータであってもよい。
【0069】
具体的には、シャワー装置であって、シャワーヘッドと、水流検出器として機能する前記自動感知ディスペンサ装置を備えるものでもよい。
【0070】
また、呼吸器治療装置であって、前記自動感知ディスペンサ装置と、マウスピースと、流体インターフェースとを備え、前記自動感知ディスペンサ装置は、前記マウスピースを通して使用者の呼吸パターンを検出できるように設けられた前記電子制御手段および前記圧電アクチュエータとを備えるものでもよい。
【0071】
また、前記自動感知ディスペンサ装置は、液体ディスペンサであって、前記液体吐出部は、前記液体が流出する吐出口を少なくとも1つ備え、前記アクチュエータは、前記吐出口の近傍における物体の存在や動きを検出するものでもよい。
【0072】
また、前記自動感知ディスペンサ装置は、液体ディスペンサであって、前記液体吐出部は、前記液体が流出する吐出口を少なくとも1つ備え、前記アクチュエータは、前記吐出口の近傍における物体の存在や動きを検出するものでもよい。
【0073】
さらに、前記自動感知ディスペンサ装置を備える家電製品でもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動感知ディスペンサ装置であって、
電力供給手段(4, 24, 34)と、
アクチュエータ(11, 211, 311)と、前記アクチュエータの駆動によって液体が吐出する吐出口(10, 210, 310)を有する液体吐出部(9, 29, 39)と、
前記アクチュエータを制御する電子制御手段(6, 26, 33)と、
液体容器(1, 21, 31)と接続され、液体を前記液体容器から前記液体吐出部に供給する液体供給手段(8, 18, 28)と、
液体が前記液体容器から前記液体供給手段を介して前記液体吐出部に流れるようにする、または流れないようにするバルブ手段(7, 27, 37, 47)とを備え、
前記アクチュエータは、少なくとも吐出機能と、自動感知ディスペンサ装置の外部の特徴を検出して信号を発生させる検出機能とを有しており、
前記電子制御手段は、前記信号を受信すると、前記バルブ手段や前記アクチュエータを制御する
自動感知ディスペンサ装置。
【請求項2】
前記電子制御手段は、前記信号に基づいて前記バルブ手段を開閉する
請求項1に記載の自動感知ディスペンサ装置。
【請求項3】
前記電子制御手段は、前記信号に基づいて前記自動感知ディスペンサ装置をオンオフする
請求項1または請求項2に記載の自動感知ディスペンサ装置。
【請求項4】
前記電子制御装置は、前記信号の時間周波数応答を解析し、その結果に基づいて前記バルブ手段を始動させる
請求項1から3の何れかに記載の自動感知ディスペンサ装置。
【請求項5】
前記電子制御手段は、自己学習のため前記解析結果を蓄積するメモリ手段を備える
請求項4に記載の自動感知ディスペンサ装置。
【請求項6】
自動感知ディスペンサ装置であって、
電力供給手段(4)と、
アクチュエータ(11, 211, 311)と、前記アクチュエータの駆動によって液体が吐出する吐出口(10)を有する液体吐出部(9)と、
前記アクチュエータを制御する電子制御手段(6)と、
液体容器(1)と接続され、液体を前記液体容器から前記液体吐出部に供給する液体供給手段(8')とを備え、
前記アクチュエータ(10)は、少なくとも吐出機能と、自動感知ディスペンサ装置の外部の特徴を検出して信号を発生させる検出機能とを有しており、
前記電子制御手段は、前記信号を受信すると、前記アクチュエータを制御する
自動感知ディスペンサ装置。
【請求項7】
前記アクチュエータは、圧電アクチュエータである
請求項1から6の何れかに記載の自動感知ディスペンサ装置。
【請求項8】
前記アクチュエアータは、電磁アクチュエータである
請求項1から7の何れかに記載の自動感知ディスペンサ装置。
【請求項9】
シャワー装置であって、
シャワーヘッド(13)と、
水流検出器として機能する請求項7に記載の自動感知ディスペンサ装置と
を備えるシャワー装置。
【請求項10】
呼吸器治療装置であって、
請求項7に記載の自動感知ディスペンサ装置と、
マウスピースと、
流体インターフェースとを備え、
前記自動感知ディスペンサ装置のアクチュエータは、前記マウスピースを通して使用者の呼吸パターンを検出する
呼吸器治療装置。
【請求項11】
液体ディスペンサであって、
請求項7に記載の自動感知ディスペンサ装置と、
前記液体吐出部は、前記液体が流出する吐出口を少なくとも1つ備え、
前記自動感知ディスペンサ装置のアクチュエータは、前記アクチュエータの近傍における物体の存在や動きを検出する
液体ディスペンサ。
【請求項12】
液体ディスペンサであって、
請求項8に記載の自動感知ディスペンサ装置と、
前記液体吐出部は、前記液体が流出する吐出口を少なくとも1つ備え、
前記自動感知ディスペンサ装置のアクチュエータは、前記アクチュエータの近傍における物体の存在や動きを検出する
液体ディスペンサ。
【請求項13】
請求項7に記載の自動感知ディスペンサ装置を備える家電製品。

【図1a】
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【図1b】
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【図1b1】
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【図1c】
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【図1d】
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【図1e】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図2e】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【公開番号】特開2010−184236(P2010−184236A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−27571(P2010−27571)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(510038094)イーピー システムズ エスエー マイクロフロー ディビジョン (5)
【氏名又は名称原語表記】EP Systems SA Microflow Division
【住所又は居所原語表記】Switzerland 2000 Neuchatel Case postale 352 Rue du Plan 30
【Fターム(参考)】