説明

自動機監視システム及び自動機監視サーバ

【課題】自動機監視機能提供サービスにおいて、自動機保有ユーザ毎に機能カスタマイズされた処理ルーチンの提供を可能とした自動機監視システム。
【解決手段】自動機監視サーバ内に管理テーブルを設け、自動機監視サーバ上の各処理ルーチンにおいて前記管理テーブルをアクセスする手段を設け、自動機監視クライアントを操作しているオペレータがどこの自動機保有ユーザかをキーに、機能カスタマイズされた処理ルーチンを提供するかどうかを判定可能にする、およびその管理を容易に行えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動機監視システムの機能提供ビジネスを行う場合に用いられる、自動機監視システム及び自動機監視サーバに関するものである。
【背景技術】
【0002】
銀行等の自動機保有ユーザに設置されている自動機は、例えば自動機の内部に現金等媒体の残量が所定量あるか、又は自動機内の装置に障害が発生していないか等を監視するために、回線を介して自動機監視システムと接続されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数の自動機に対してLANなどの通信回線を利用して監視装置が接続された自動機監視システムが開示されている。
【0004】
特許文献1に記載されたシステムは、係員が監視装置から代替入力操作を行うことにより利用客の操作を代行する機能,前記自動機の記憶部内の情報を他の自動機に送信することにより当該業務の処理を続行する機能等を備えている。そのため、自動機の業務処理の続行を他の自動機で行うことが可能になり、自動機が故障等により操作を続行できない場合に、他の正常な自動機で業務を続行させることができ、係員が処理を行っている間利用客を待たせてしまうという問題、あるいは、利用客に他の端末で再度同じ操作を行ってもらうという問題がなくなり、自動機の可用性が向上する。
【0005】
また、従来の自動機監視システムは、自動機保有ユーザ毎で所有しているケースが殆どであったが、近年企業の「運用コストの見直し」、「本来業務への集中化」といったニーズが増えてきた為、自動機監視サービス提供ベンダによる機能提供サービスを利用する自動機保有ユーザが増加している。
【0006】
この場合、自動機監視サービス提供ベンダが用意した自動機監視サーバを、複数のユーザが共有することになる為、各自動機保有ユーザにはスケールメリットによるコストダ゜ウンやシステムのメンテナンス業務の排除といったメリットがある。
【0007】
【特許文献1】特開平8−16676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これに対し現実の問題として、自動機保有ユーザが所有している自動機は各々仕様の違いが有ったり、また自動機の監視業務に自動機保有ユーザ毎に違いが有ったりするケースが多々有り、自動機監視サービス提供ベンダが当初用意した機能提供サービス内容の変更が必要になってくる。
【0009】
すなわち、自動機には年々様々な機能が追加されているが、その導入度合いは自動機保有ユーザ毎に様々であり、今後も自動機の仕様が統一される可能性は限りなく低い。また自動機の監視業務の違いにおいても、自動機保有ユーザ毎に違いが有るのは当然のことであり、これについても統一される可能性は限りなく低い。
このため、自動機監視サービス提供ベンダによる機能提供サービスの展開を考えた場合、従来の自動機監視システムをそのまま用いていては、機能提供サービスの導入範囲を大きく制限するものとなり、大きな障害となる。前記特許文献1に回示された自動機監視,システムも、同一ユーザを対象とした,システムである。
【0010】
本発明で解決しようとする問題点の1つは、機能提供サービスに使用する自動機監視システムにおいて、複数の自動機保有ユーザで共有している自動機監視サーバの機能を、複数の自動機保有ユーザ毎に容易に機能カスタマイズすることが出来ない点である。
また、本発明で解決しようとする他の問題点として、あるユーザに適用したカスタマイズ処理を、別のユーザにも適用することになった場合、通常のプログラム括り付けの分岐処理では、その都度プログラムおよび仕様書を変更しなければならない点にもある。
加えて、現在自動機保有ユーザの数は何百とあり、機能提供サービスを広範囲に導入することを考えた場合、通常のプログラム括り付けの分岐処理では、どのユーザがどの処理を利用しているか、利用状況を容易に管理することが出来ない。この為、カスタマイズ処理の利用度合いによりサービス料金の変更を行う場合、サービス料金の算出作業はプログラム仕様書等を元に実施しなければならない点にも問題がある。
従って、本発明の目的の1つは、自動機監視サービス提供ベンダによる機能提供サービスにおいて、複数の自動機保有ユーザにサービスを提供し、かつ、複数の自動機保有ユーザ間で機能カスタマイズを可能に出来る自動機監視システムを提供することにある。
本発明の他の目的は、あるユーザに適用したカスタマイズ処理を、別のユーザにも簡単に適用することが出来る自動機監視システムを提供することにある。
本発明の他の目的は、カスタマイズ機能の利用状況を管理し、各契約ユーザのサービス料金を容易かつ合理的な方法で算出出来る自動機監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、複数の自動機保有ユーザで共有している自動機監視サーバ内に管理テーブルを設け、自動機監視サーバ上の各処理ルーチンにおいて前記管理テーブルをアクセスする手段を設け、自動機監視クライアントを操作しているオペレータがどこの自動機保有ユーザであるかをキーにして、機能カスタマイズされた処理ルーチンを提供するかどうかを判定可能にしていることを最も主要な特徴とする。すなわち、本発明の1つ特徴は、自動機監視サーバに複数の自動機監視クライアント及び複数の自動機を接続し、前記自動機監視サーバの情報を前記自動機監視クライアンで閲覧可能にした自動機監視システムであって、前記自動機監視サーバを自動機監視サービス提供ベンダ側に設置し、前記自動機監視クライアントを複数の自動機保有ユーザ側に個別に設置し、前記各自動機保有ユーザ毎の機能カスタマイズを可能にする手段を前記自動機監視サーバに設け、自動機監視システムの処理機能に関してカスタマイズを行ったユーザとは異なるユーザに対しても前記処理機能のカスタマイズを実施し得るようにしたことにある。
【0012】
また本発明は、新たに機能カスタマイズされた処理ルーチンを使用したいユーザが現れた場合にも、プログラム変更を行うことなしにそのカスタマイズ対応可否テーブルの変更のみで対応することを可能にしていることも特徴とする。すなわち、前記自動機監視サーバは、ユーザ毎にカスタマイズ処理を実施するか否かを管理している、カスタマイズ対応可否テーブルと、前記カスタマイズ対応可否テーブルの登録内容を変更するための登録内容変更手段とを備えている。
【0013】
より具体的には、前記自動機監視サーバが、アクセスしてきた監視クライアントがどの自動機保有ユーザかを判定するための「IPアドレス→自動機保有ユーザのユーザ名変換テーブル」を備えており、前記カスタマイズ対応可否テーブルをアクセスし、アクセスしてきた監視クライアントがどこの自動機保有ユーザかをキーに、機能カスタマイズされた処理ルーチンを提供するかどうかを判定する機能を有している。
【0014】
加えて本発明は、上記管理テーブルのデータを分析することで機能カスタマイズされた処理の利用状況の確認を可能にしていることも特徴とする。すなわち、前記カスタマイズ対応可否テーブルは、いずれかのユーザの要求により前記自動機監視システムをカスタマイズした場合でかつ、前記カスタマイズ機能を新たに使用することになった他の利用ユーザがある場合、前記カスタマイズに伴うサービス料金のアップ分を前記他の利用ユーザも含めて按分するサービス料金変動管理機能を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、自動機監視システムは、自動機監視サービス提供ベンダによる機能提供サービスで用いる場合に、複数の自動機保有ユーザ毎の機能カスタマイズを可能にすることが出来るので、機能提供サービスの導入可能範囲を大きく拡大できると言った利点がある。
また、上記の機能カスタマイズを適用するかどうかを自動機監視サーバ内の管理テーブルで行うことにより、あるユーザに適用したカスタマイズ処理を、別のユーザにも適用することになった場合、自動機監視サーバ内の管理テーブルを変更するだけで対応可能となると言った利点もある。
加えて、上記管理テーブルを分析することで、カスタマイズ機能の利用状況を管理することが出来、カスタマイズ機能の利用度合いによりサービス料金が決定するようなサービス運用を行っている場合において、各契約ユーザのサービス料金を容易に算出出来ると言った利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明では、「自動機監視サービス提供ベンダによる機能提供サービスにおいて、多数の自動機保有ユーザにサービスを提供し、かつ多数の自動機保有ユーザからの機能カスタマイズ要求を取り入れた自動機監視サーバを稼動する」と課題を、「自動機監視サーバ内に管理テーブルを設け、自動機保有ユーザ毎の機能カスタマイズ処理を管理し、機能カスタマイズを行ったユーザとは異なるユーザに対してもプログラム変更を行うことなしに機能カスタマイズを行ない得るシステム」とすることで実現する。以下、本発明の具体的な実施例について述べる。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の実施例のシステム構成を示す図である。すなわち、自動機監視サービス提供ベンダ1による機能提供サービスを、自動機保有ユーザ2および自動機保有ユーザ3の二つの契約ユーザで使用した場合の自動機監視システムの構成図である。
この自動機監視システムでは、自動機監視サービス提供ベンダ1の共同監視センタ10側に設置された監視サーバ10aと、自動機保有ユーザ2の監視センタ20側に設置された監視クライアント20a、20bとが回線40を含む通信手段を介して接続されている。
また、監視サーバ10aは、自動機保有ユーザ2の支店21に設置された自動機21a、21bや、自動機保有ユーザ2の支店22に設置された自動機22a、22bとも、自動機保有ユーザ2の監視センタ20を経由して、回線40を介して接続されている。
自動機21a、21b、22a、22b等から送信された装置状態情報や装置障害情報は、一旦、監視サーバ10aの記憶手段であるデータベース(DB)10bに格納され、例えば監視クライアント20aから監視サーバ10aへの要求が有った場合、監視サーバ10a内でプログラムが実行され、監視クライアント20aのディスプレイ上に表示する画面データを作成し、それを監視クライアント20aに送信することで、監視クライアント20aの画面上に該当自動機の装置状態情報や装置障害情報の表示を可能にする。
さらに、自動機保有ユーザ3に関しても、自動機保有ユーザ2と同様に監視サーバ10aと回線40を含む通信手段を介して接続されており、自動機31a等の装置状態情報や装置障害情報を、監視クライアント30a等のディスプレイの画面上に表示できるものとする。
【0018】
ちなみに、自動機保有ユーザ2の自動機の情報は、自動機保有ユーザ3の監視クライアントでは表示できず、同様に、自動機保有ユーザ3の自動機の情報は、自動機保有ユーザ2の監視クライアントでは表示できない様に、監視サーバ10a内のプログラムで制限を設けるものとする。
【0019】
なお、監視サーバ10a、監視クライアント20a、20b、自動機21a、21b、22a、22b等は、各々、プログラムを有するコンピュータを備えた情報処理装置として構成されており、例えば、監視サーバは、CPUやメモリを含む制御部、通信制御部、データベース(DB)、ディスプレイ、タッチパネル等を備えている。
【0020】
図2Aは、監視サーバの構成例を示す図である。監視サーバは、監視サーバ(本体)10aとそのデータベース(DB)10b及び入出力装置10cで構成されている。監視サーバ10aは、コンピュータのメモリにロードされて実行されることにより所定の機能をコンピュータに実現させる複数のプログラムを有している。すなわち、監視クライアント20、30に対する通信制御部としての機能を有する送受信プロセス10a−1、自動機の監視業務全般を処理する監視業務プロセス10a−2、監視クライアントに表示する画面等を生成する機能を有する画面生成プロセス10a−3、データベース10bに対するアクセスを制御するDBアクセスプロセス10a−4を備えている。画面生成プロセス10a−3で生成される画面情報には、WWWブラウザで表示できるWWW文書(例えばHTMLや、XML等で記述された文書)が含まれる。
【0021】
さらに、データベース10bのテーブル等への登録やその内容を変更する機能を有する登録内容変更プロセス10a−5(登録内容変更手段)、ディスプレイやタッチパネル等の入出力装置10cを制御する入出力制御プロセス10a−6、各契約ユーザに対するサービス料金を算出する機能を有するサービス料金算出プロセス10a−7を備えている。
【0022】
また、データベース10bは、「IPアドレス→自動機保有ユーザのユーザ名変換テーブル」T1、「カスタマイズ対応可否テーブル」T2、ATM障害情報など監視用業務情報保持部T3、及び、表示画面情報保持部T4等を備えている。
【0023】
本発明の特徴である機能カスタマイズを可能にする手段は、上記登録内容変更プロセス10a−5及び「カスタマイズ対応可否テーブル」T2等により構成される。
【0024】
図2Bは、監視クライアントの構成例を示す図である。監視クライアント20(30)は、係員へのガイダンスを表示するディスプレイ201,その上に入力エリアが重なる様に置かれたタッチパネル202,更にプログラムや入力データ等を記憶する記憶部203を含む制御部204及び通信制御部205で構成されている。
【0025】
図2Cは、自動機の1つが券売機であるとした場合の自動機21(22、31、32)の構成例を示す図である。自動機21は、CPUや記憶部を含む制御部211、入出金制御装置212、発券制御装置213、通信制御部214、ディスプレイ215、タッチパネル216等を備えている。利用客が切符を購入する場合、通常の操作としては、利用客が、ディスプレイ215に表示されるガイダンスに従って、タッチパネル216を用いて入力操作を行い、全選択項目を入力後に入金を行い、入出金制御装置212からおつりを、また、発券制御装置203から切符を受け取る。
【0026】
図3Aに、「IPアドレス→自動機保有ユーザのユーザ名変換テーブル」T1の構成例を示す。「IPアドレス→自動機保有ユーザのユーザ名変換テーブル」T1は、アクセスしてきた監視クライアントがどの自動機保有ユーザかを判定するために、「IPアドレス」と「自動機保有ユーザのユーザ名」とを対応付けた変換テーブルである。
【0027】
図3Bに示すように、例えば、「IPアドレス」が"172.16.15.1" であれば、テーブルT1を検索することで、「ユーザ名」が“自動機保有ユーザ3”と特定される。
【0028】
図4Aに「カスタマイズ対応可否テーブル」T2の構成例を示す。「カスタマイズ対応可否テーブル」T2は、ユーザ毎にカスタマイズ処理を実施するか否かを管理しているテーブルである。
【0029】
図4Bに示すように、例えば、「ユーザ名」が“自動機保有ユーザ2”であれば、テーブルT2を検索することで、「自動機保有ユーザ2用カスタマイズ」を実施することがわかる。
【0030】
また、データベース10bの表示画面情報保持部T4に記憶される表示画面情報はWWWブラウザで表示できるWWW文書にして記憶される。そして、監視サーバ10aは、監視クライアントからの要求に応じて、指示されたWWW文書をデータベース10bから読み出して監視クライアントに送信するWWWサーバとしての機能を備えている。
なお、データベース10bに格納される本発明と直接関係の無い他の情報については、説明を省略する。
【0031】
ここで、例えば自動機保有ユーザ2において、新たに自動機における業務範囲を拡大し、自動機にて宝くじの販売を行うことが決定し、かつ現状の監視システムの機能、すなわち自動機監視サービス提供ベンダが当初用意した機能提供サービス内容(標準仕様のプログラムや仕様書)、には、その媒体の残量を監視クライアントに表示する機能がなかったとする。この場合、自動機保有ユーザ2専用の、自動機状態表示画面が必要となるという問題が発生する。
【0032】
上記を実現するため、まず、媒体の残量を監視クライアントに表示する機能を追加した処理ルーチン“(自動機保有ユーザ2用カスタマイズ)”を含むようプログラムや仕様書が開発変更され、それに関するデータ、例えば新たな表示画面のデータが監視サーバ10aのデータベース(DB)10bの表示画面情報保持部T4等に格納される。そして、オペレータが、監視サーバ10aの入出力装置より“自動機保有ユーザ2”で“自動機保有ユーザ2用カスタマイズ処理を採用する旨入力し、「カスタマイズ対応可否テーブル」T2に対して,自動機保有ユーザ2に関するデータの登録やその内容の変更を行なう。なお、簡単な“(自動機保有ユーザ2用カスタマイズ)”の開発生成は、監視サーバ10aで行えるようにしても良い。
【0033】
「カスタマイズ対応可否テーブル」T2へデータの登録やその内容の変更は、登録内容変更プロセス10a−5によって処理される。
すなわち、図5に示すように、あるユーザに新たなカスタマイズ処理が適用された場合(S1)、そのユーザ名を特定し(S2)、「カスタマイズ対応可否テーブル」T2に、ユーザ名と処理の内容を登録する(S3)。
【0034】
そして、監視サーバ10aに実装されたプログラムで、「IPアドレス→自動機保有ユーザのユーザ名変換テーブルT1」と、更新された「カスタマイズ対応可否テーブルT2」とを参照しつつ、図6Aのような処理フローを実行する。
【0035】
図6Aのフローでは、具体例として自動機保有ユーザ2の監視クライアント20aよりアクセスされた場合の処理の流れを説明する。
【0036】
監視クライアント2、3から監視業務の処理要求を受けた場合(S1)、次の処理S2では、図6Bの(a)に示すように、監視クライアント20aのIPアドレスをキーに「IPアドレス→自動機保有ユーザのユーザ名変換テーブルT1」により“自動機保有ユーザ2”を取得する。
【0037】
処理S3では、図6Bの(b)に示すように、前記取得した“自動機保有ユーザ2”をキーに「カスタマイズ対応可否テーブルT2」により要求機能に対応する“自動機保有ユーザ2用カスタマイズ”という情報を取得する。
【0038】
その結果、処理フローの分岐処理S4で“自動機保有ユーザ2用カスタマイズ”取得時の処理S5に流れ、“自動機保有ユーザ2用カスタマイズ画面”G1が出力表示される。この画面G1は、図6Cの(b)に示すように、宝くじの枚数も表示される。これにより、上記問題を解決することが出来る。
【0039】
なお、カスタマイズがされず標準仕様をそのまま採用している他のユーザ、例えば“自動機保有ユーザ3”に関しては、処理フローの分岐処理S4で、標準処理 の処理S6に流れ、図6Cの(a)に示すような標準処理の画面G1が出力表示される。
【実施例2】
【0040】
また、上記実施例1と同じ構成において、例えば自動機保有ユーザ3においても、自動機における業務範囲を拡大し、自動機にて宝くじの販売を行うことが決定したとする。
この場合、登録内容変更プロセス10a−5を起動して「カスタマイズ対応可否テーブル」T2を書き換えることで簡単に対応できる。
【0041】
この処理を図7Aで説明する。自動機保有ユーザ3から「宝くじの販売」のカスタマイズの要求があった場合、オペレータが監視サーバ10aの登録内容変更プロセス10a−5を起動し、入出力装置からその要求を入力する(S1)、登録内容変更プロセス10a−5は要求のあったユーザ名を特定し(S2)、要求された機能が「カスタマイズ対応可否テーブル」T2にあるかを確認する(S3)。要求された機能が「カスタマイズ対応可否テーブル」T2にある場合(S4)、図7Bに示すように,「カスタマイズ対応可否テーブルT2」を変更し、“自動機保有ユーザ3”でも“自動機保有ユーザ2用カスタマイズ”処理を採用する旨の設定を行う(S5)。要求された機能がない場合は、「カスタマイズ対応可否テーブル」T2の書き換えは行われない。これらの結果はディスプレイに表示される(S6、S7)。
【0042】
その結果、自動機保有ユーザ3の監視クライアントよりアクセスされた場合も図6Aの処理フローの分岐処理S4で“自動機保有ユーザ2用カスタマイズ”取得時の処理S5に流れ、図6Cの(b)に示す“自動機保有ユーザ2用カスタマイズ画面”G1を表示する事が出来る。
即ち、「宝くじの販売」のように既にあるユーザに対して組み込み済みのカスタマイズ機能であれば、新たにプログラム変更を行わなくても、「カスタマイズ対応可否テーブル」T2の登録内容を変更するだけで、他のユーザに対しても同様な要求を解決したサービスを提供することが出来る。
【実施例3】
【0043】
また、監視サーバ10aの入出力装置からの一回の操作により、「カスタマイズ対応可否テーブルT2」に複数の登録、変更を行なうことができるので、2種類以上のカスタマイズ処理を同時に組み込むことも可能となる。
例えば、契約している自動機保有ユーザが、自動機保有ユーザ2〜7の6ユーザあったとし、自動機保有ユーザ2では宝くじ残量の表示が出来る自動機保有ユーザ2用のカスタマイズ画面を、自動機保有ユーザ5は新2千円札の残枚数が表示できる自動機保有ユーザ5用のカスタマイズ画面を表示する必要があったとする。
【0044】
そこで、まず、宝くじ残量の表示が出来るカスタマイズ画面を含む処理ルーチン(自動機保有ユーザ2用カスタマイズ)を含むプログラムや仕様書及び新2千円札の残枚数が表示できるカスタマイズ画面を含む処理ルーチン(自動機保有ユーザ5用カスタマイズ)含むプログラムや仕様書が別途開発生成され、それらに関するデータがデータベース(DB)10bの表示画面情報保持部T4等に格納される。そして、登録内容変更プロセス10a−5を起動し、これら2つのカスタマイズ処理の結果を、図8Aに示すような処理手順(S1〜S5)で、「カスタマイズ対応可否テーブル」T2に、連続して登録する。
【0045】
その結果、カスタマイズ対応可否テーブルT2」が図8Bに示すように更新され、自動機保有ユーザ2の監視クライアントよりアクセスされた場合は“自動機保有ユーザ2用カスタマイズ”という情報を取得し、自動機保有ユーザ5の監視クライアントよりアクセスされた場合は“自動機保有ユーザ5用カスタマイズ”という情報を取得するので、前述同様これら取得した情報を基にカスタマイズ画面を表示するように、処理を切り替える事ができる。
【実施例4】
【0046】
次に、「カスタマイズ対応可否テーブルT2」に新たな機能を追加した例を説明する。 通常カスタマイズ機能を開発するためには費用が必要となり、自動機監視サービス提供ベンダは、カスタマイズ機能の組み込みを希望した自動機保有ユーザのサービス料金を増加することでこれを回収することになる。ただその後上記カスタマイズ機能を使用したい別の自動機保有ユーザが現れた場合、自動機監視サービス提供ベンダとしては、両者のサービス料金増加分合計値が開発費用回収に見合う額であれば良い為、両者でサービス料金増加分を折半する形態となる。
上記の形態はサービス料金の増加を抑える役割を果たし、自動機保有ユーザにとって当サービス商品の魅力が向上することになる。
このサービス料金の変動は「カスタマイズ対応可否テーブルT2」を拡張することで、容易に管理することも可能となる。
【0047】
この例の処理手順を図9Aに示す。また、「カスタマイズ対応可否テーブルT2」の拡張フォーマットの登録例を図9B、図9Cに示す。
この「カスタマイズ対応可否テーブルT2」においては、図9Bに示すように、カスタマイズ処理毎の“開発費”格納エリア、ユーザ毎の“サービス料金増加分”格納エリアを準備する。
【0048】
各ユーザのサービス料金増加分を算出したい場合、監視サーバ10aの入出力装置より“サービス料金算出プロセス10a-7”を起動する。“サービス料金算出プロセス10a-7”は、図9Aに示すように、カスタマイズ処理毎の“開発費”格納エリアの値を取得し(S1、S2)、当該カスタマイズ処理の利用ユーザ数で除算することで(S3、S4)、当該カスタマイズ処理の1ユーザ毎のサービス料金増加分を算出し(S5)、当該カスタマイズ処理利用ユーザの“サービス料金増加分”格納エリアに登録する(S6)。全てのカスタマイズ処理において上記の算出処理が完了したら図9Cに示すように、“サービス料金算出プロセス10a-7”は、ユーザ毎に“サービス料金増加分”の総和を求める。
これにより、各ユーザのサービス料金の管理が複雑化してしまうという問題を解決することが出来る。
【0049】
本発明は、上記実施例に限らず、複数の自動機保有ユーザに対して、自動機監視サービス提供ベンダによる機能提供サービスを提供する際の自動機監視システムに適用できる。
また、カスタマイズの例には、「宝くじサポート」の他に、画面レイアウトの変更(標準画面からの項目削除、残りの項目の文字大型化)、帳票レイアウトの変更、カメラ連動サポート(監視クライアント画面にキャプチャボタンを設ける等)、ハード障害発生時の障害部位イラスト表示(新ハード追加対応含む)等が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施例になる自動機監視システムの、機能提供サービス実施時のシステム構成図。
【図2A】図1のシステムにおける監視サーバのプログラム構成図。
【図2B】図1の監視クライアントの構成例を示す図。
【図2C】図1の自動機の構成例を示す図。
【図3A】本発明のIPアドレス→自動機保有ユーザのユーザ名変換テーブルT1の構成例を示す図。
【図3B】IPアドレス→自動機保有ユーザのユーザ名変換テーブルT1に関する動作説明図。
【図4A】本発明のカスタマイズ対応可否テーブルT2の構成例を示す図。
【図4B】カスタマイズ対応可否テーブルT2に関する動作説明図。
【図5】図1の監視サーバ10a上のプログラムによるカスタマイズ対応可否テーブルT2の登録処理のフロー図。
【図6A】図1の監視サーバ10a上のプログラムによるカスタマイズ対応可否テーブルT2の登録内容変更のフロー図。
【図6B】カスタマイズ対応可否テーブルT2の登録内容変更に関する動作説明図。
【図6C】カスタマイズ対応可否テーブルT2の登録内容変更に伴う画面表示の説明図。
【図7A】図1の監視サーバ10a上のプログラムによるカスタマイズ対応可否テーブルT2の登録内容変更の変更に伴う表示処理のフロー図。
【図7B】カスタマイズ対応可否テーブルT2の説明図。
【図8A】図1の監視サーバ10a上のプログラムによるカスタマイズ対応可否テーブルT2の登録処理の他の例を示すフロー図。
【図8B】図8Aの処理の説明図。
【図9A】図1の監視サーバ10a上のプログラムによる、拡張されたカスタマイズ対応可否テーブルT2の登録処理の他の例を示すフロー図。
【図9B】図9Aのカスタマイズ対応可否テーブルT2の構成例を示す図。
【図9C】図9Aの動作説明図。
【符号の説明】
【0051】
1…自動機監視サービス提供ベンダ、10…共同監視センタ、10a…監視サーバ、10b…DB、2…自動機保有ユーザ、20…自動機保有ユーザ 監視センタ、20a…監視クライアント、20b…監視クライアント、21…自動機保有ユーザ2の支店、21a…自動機、21b…自動機、22…自動機保有ユーザ2の支店、22a…自動機、22b…自動機、3…自動機保有ユーザ、30…自動機保有ユーザ、30a…監視クライアント、30b…監視クライアント、31…自動機保有ユーザ3の支店、31a…自動機、31b…自動機、32…自動機保有ユーザ3の支店、32a…自動機、32b…自動機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動機監視サーバに複数の自動機監視クライアント及び複数の自動機を接続し、前記自動機監視サーバの情報を前記自動機監視クライアンで閲覧可能にした自動機監視システムであって、
前記自動機監視サーバを自動機監視サービス提供ベンダ側に設置し、前記自動機監視クライアントを複数の自動機保有ユーザ側に個別に設置し、
前記各自動機保有ユーザ毎の機能カスタマイズを可能にする手段を前記自動機監視サーバに設け、自動機監視システムの処理機能に関してカスタマイズを行ったユーザとは異なるユーザに対しても前記処理機能のカスタマイズを実施し得るようにした自動機監視システム。
【請求項2】
請求項1において、前記自動機監視サーバは、ユーザ毎にカスタマイズ処理を実施するか否かを管理している、カスタマイズ対応可否テーブルと、
前記カスタマイズ対応可否テーブルの登録内容を変更するための登録内容変更手段とを備えている自動機監視システム。
【請求項3】
請求項2において、前記自動機監視サーバは、アクセスしてきた監視クライアントがどの自動機保有ユーザかを判定するための「IPアドレス→自動機保有ユーザのユーザ名変換テーブル」を備えており、
前記カスタマイズ対応可否テーブルをアクセスし、アクセスしてきた監視クライアントがどこの自動機保有ユーザかをキーに、機能カスタマイズされた処理ルーチンを提供するかどうかを判定する機能を有している、自動機監視システム。
【請求項4】
複数の自動機監視クライアントが接続され、前記各自動機監視クライアントに接続された各自動機に関する監視情報を前記自動機監視クライアンで閲覧可能に提供する自動機監視サーバであって、
前記各自動機の保有ユーザ毎の機能カスタマイズを可能にする手段を備え、自動機監視システムの処理機能に関してカスタマイズを行ったユーザとは異なるユーザに対しても前記処理機能のカスタマイズを実施し得るようにした自動機監視サーバ。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかにおいて、前記カスタマイズ対応可否テーブルは、いずれかのユーザの要求により前記自動機監視システムをカスタマイズした場合でかつ、前記カスタマイズ機能を新たに使用することになった他の利用ユーザがある場合、前記カスタマイズに伴うサービス料金のアップ分を前記他の利用ユーザも含めて按分するサービス料金変動管理機能を有する自動機監視システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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