説明

自動水栓装置

【課題】センサの検知領域に手を容易に翳すことができ、使い勝手の良い自動水栓装置を提供する。
【解決手段】水栓本体12には、先端部に吐水口16を有するスパウト13が回動自在に支持されている。該スパウト13の両側部には第1のセンサ17a,17bが各々取付けられ、それらの検知領域19a,19bがスパウト13の両側方に延びるように構成されている。これらの第1のセンサ17a,17bは、その検知領域19a,19bに手を翳すと吐水口16から吐水し、再び検知領域19a,19bに手を翳すと止水するようになっている。さらに、スパウト13の下部には第2のセンサ22が取付けられ、その検知領域がスパウト13の下方に延びるように構成され、該検知領域に手を翳すと吐水口16から吐水し、手を吐水口16から遠ざけると止水するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばキッチンや洗面所のデッキ等に取付けられて使用され、センサの検知領域に手を翳すとセンサが感知して吐水又は止水される機構を備えた自動水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の自動水栓装置が例えば特許文献1に開示されている。この自動水栓装置は、水栓本体と、該水栓本体に設けられ湯水の流量及び温度を調整する操作ハンドルと、水栓本体に回動自在に取付けられたスパウトと、該スパウトの先端部に設けられた吐水口と、前記スパウトの先端部に設けられたセンサとを備えている。そして、センサの検知方向が操作ハンドルを避けた吐水口の後方側に向けられている。このため、操作ハンドルを操作するときに、センサによる誤検知を防止することができる。
【0003】
また、センサの取付位置及び検知方向が特許文献1の自動水栓装置と異なる水栓装置が特許文献2に示されている。すなわち、該水栓装置のセンサは、吐水具(スパウト)の後方下部に位置するケーシング内に配置され、検知方向がスパウトの一側方又はその斜め上方に向けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4310801号公報
【特許文献2】特開2000−220175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自動水栓装置のスパウトは水栓本体に回動自在に構成されていることから、スパウトの先端部はキッチンの流し台の前に立った人の手から離れる場合がある。特許文献1に記載された従来構成ではセンサの検知方向が吐水口の後方側に延びているため、人の手がセンサの検知領域(例えば、図5の一点鎖線に示す検知領域31)に届かない場合が生ずる。この場合、手をさらに差し伸ばしたり、センサ側へ足を踏み出して移動したりしなければならず、操作が面倒で、不便であった。
【0006】
一方、特許文献2に記載された従来構成ではセンサの検知方向がスパウトの一側方に延びているため、スパウトの回動位置によっては手がセンサの検知領域に入り易くなるが、スパウトがその逆方向へ回動された場合には手がセンサ領域から離れる場合がある。その上、キッチンの流し台のタイプは、水栓装置が向かって右側にある場合と向かって左側にある場合とが存在する。このため、いずれか一方のタイプの場合には手がセンサの検知領域に届き易くなるが、他方のタイプの場合には手がセンサの検知領域に届き難くなる。その場合には、センサの検知領域に手を翳すのが容易ではなく、使い勝手が悪いという問題があった。
【0007】
そこで本発明の目的とするところは、センサの検知領域に手を容易に翳すことができ、使い勝手の良い自動水栓装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の自動水栓装置は、水栓本体には、先端部に吐水口を有するスパウトが回動自在に支持されるとともに、前記スパウトには手を翳すと吐水口から吐水又は止水を行う第1のセンサが設けられた自動水栓装置であって、前記第1のセンサはスパウトの両側部に設けられ、その検知領域がスパウトの両側方に延びるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明の自動水栓装置は、請求項1に係る発明において、前記第1のセンサは、その検知領域に手を翳すと吐水口から吐水し、再び検知領域に手を翳すと止水するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明の自動水栓装置は、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記スパウトの下部にはさらに第2のセンサが設けられ、その検知領域がスパウトの下方に延びるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明の自動水栓装置は、請求項3に係る発明において、前記スパウトの下部に設けられた第2のセンサは、その検知領域に手を翳すと吐水口から吐水し、手を吐水口から遠ざけると止水するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明の自動水栓装置は、請求項3又は請求項4に係る発明において、前記スパウトの両側部に設けられた第1のセンサと、下部に設けられた第2のセンサとを同一円周上に配置し、ユニット化したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
本発明の自動水栓装置では、第1のセンサはスパウトの両側部に設けられ、その検知領域がスパウトの両側方に延びるように構成されている。このため、スパウトを水栓本体に対して一方又は他方へ回動させた状態で、スパウトの一側部に設けられた第1のセンサの検知領域又はスパウトの他側部に設けられた第1のセンサの検知領域のいずれかに手を簡単に翳すことができる。また、キッチンの流し台のタイプは、水栓装置が向かって右側にある場合と向かって左側にある場合が存在するが、いずれの場合であってもスパウトの両側に設けられたいずれかの第1のセンサの検知領域に手を簡単に翳すことができる。
【0014】
従って、本発明の自動水栓装置によれば、第1のセンサの検知領域に手を容易に翳すことができ、使い勝手が良いという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態における自動水栓装置を示す平面図。
【図2】自動水栓装置を示す正面図。
【図3】自動水栓装置のスパウトの下部に設けられた第2のセンサを示す部分底面図。
【図4】図2の4−4線における断面図。
【図5】キッチンの流し台に設けられた自動水栓装置の使用状態を説明する説明図。
【図6】別のタイプの流し台に設けられた自動水栓装置の使用状態を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の自動水栓装置を具体化した実施形態を図1〜図6に従って詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、キッチンの流し台のデッキ11には自動水栓装置10を構成する水栓本体12が固定され、該水栓本体12の上部には逆U字状に曲げ形成された筒状のスパウト13が回動自在に支持されている。このスパウト13内には水栓本体12内の流通路14に連通する吐水通路15が形成され、その先端部には吐水口16が開口されている。そして、所定温度の湯又は水が水栓本体12内の流通路14からスパウト13内の吐水通路15を介して吐水口16から吐水されるようになっている。スパウト13の中間の水平部分における両側部には、一対の第1のセンサ17a,17bが互いに対向するように取着されている。前記水栓本体12には操作レバー18が回動可能に支持され、該操作レバー18を回動操作することにより、手動で吐水口16から吐水又は止水できるように構成されている。
【0017】
図1及び図4に示すように、前記2つの第1のセンサ17a,17bには、両側方(水平方向)に放射状に延びるように検知領域19a,19bが形成されている。この第1のセンサ17a,17bは、例えば発光器と受光器を有し、赤外線等を利用した光電反射型センサである。図5及び図6に示すように、第1のセンサ17a,17bの検知領域19a,19bに人25が手26を翳すと吐水口16から吐水し、再び検知領域19a,19bに手を翳すと止水するように構成されている。これらの第1のセンサ17a,17bにはそれぞれ信号線20の一端が接続され、それらの他端が水栓本体12内に配置された制御装置21に接続されている。この制御装置21は家庭用の電源(AC100V)から給電され、駆動されるようになっている。
【0018】
そして、いずれかの第1のセンサ17a,17bの検知領域19a,19bに手26を翳したとき、いずれかの第1のセンサ17a,17bから検知信号が信号線20を介して制御装置21に送られ、制御装置21が動作して図示しない給湯用開閉弁ユニット及び給水用開閉弁ユニットを開き、吐水される。その後、いずれかの第1のセンサ17a,17bの検知領域19a,19bに再び手26が翳されたとき、いずれかの第1のセンサ17a,17bから検知信号が信号線20を介して制御装置21に送られ、制御装置21が動作して給湯用開閉弁ユニット及び給水用開閉弁ユニットを閉じ、止水されるように構成されている。
【0019】
図2〜図4に示すように、スパウト13の下部には、前記第1のセンサ17a,17bとは別種の第2のセンサ22が取付けられ、その検知領域23がスパウト13の下方(斜め先方)に放射状に延びるように構成されている。この第2のセンサ22にも、信号線20の一端が接続され、その他端が制御装置21に接続されている。そして、その第2のセンサ22の検知領域23に手を翳したとき、第2のセンサ22から検知信号が信号線20を介して制御装置21に送られ、制御装置21が動作して給湯用開閉弁ユニット及び給水用開閉弁ユニットを開き、吐水される。この第2のセンサ22では、手26を吐水口16から遠ざけると止水されるように構成されている。
【0020】
図4に示すように、前記スパウト13の両側部に設けられた第1のセンサ17a,17bと、スパウト13の下部に設けられた第2のセンサ22とは、スパウト13の延びる方向と直交する同一円周上に配置され、ユニット化体29として一体的に構成されている。そして、図1及び図2に示すように、スパウト13の連結部30でその先端側を切り離した状態で、ユニット化体29をスパウト13の基端側に取付けた後、スパウト13の先端側を基端側に連結部30で連結することにより、第1のセンサ17a,17b及び第2のセンサ22がスパウト13に組み付けられるようになっている。
【0021】
図5に示すように、前記スパウト13の吐水口16は、スパウト13の回動範囲において流し台24のシンク27内に位置するように設計されている。なお、流し台24の向かって左側にはガスコンロ28が設置されている。また、図6に示すように、この流し台24とは異なるタイプの流し台24では、向かって左側にシンク27及び自動水栓装置10が配置され、向かって右側にガスコンロ28が配置されている。
【0022】
次に、上記のように構成された自動水栓装置10の作用を説明する。
さて、図5に示すように、流し台24の前に人25が立って自動水栓装置10を操作し湯又は水を吐出して食器を洗浄等する場合には、操作レバー18の回動操作で吐水位置とし、スパウト13を所定角度位置に設定した状態で、腕を伸ばして右手26aを第1のセンサ17aの検知領域19aに翳すことによって湯又は水を吐出することができる。このとき、第1のセンサ17a,17bはスパウト13の両側部に設けられ、その検知領域19a,19bがスパウト13の両側方に延びるように構成されている。
【0023】
このため、右手26aに近いスパウト13の一側部に設けられた第1のセンサ17aの検知領域19aに右手26aを簡単に翳すことができる。これに対して、図5の一点鎖線に示すように、従来構成のセンサでは検知領域31が遠くなり、右手26aをさらに伸ばしたり、足を一歩踏み出して移動したりしなければならず、不便であった。
【0024】
また、図6に示すように、キッチンの流し台24のタイプが図5の流し台24とは逆配置のタイプ、すなわち自動水栓装置10が向かって左側にある場合が存在する。この場合には、左手26bに近いスパウト13の他側部に設けられた第1のセンサ17bの検知領域19bに左手26bを簡単に翳すことができる。
【0025】
以上の実施形態により発揮される効果について以下にまとめて記載する。
(1)実施形態の自動水栓装置10では、第1のセンサ17a,17bはスパウト13の両側部に設けられ、それらの検知領域19a,19bがスパウト13の両側方に延びるように構成されている。このため、スパウト13を水栓本体12に対して一方へ回動させた状態で、手26を人25の立ち位置に近い第1のセンサ17aの検知領域19aに簡単に翳すことができる。キッチンの流し台24のタイプとして自動水栓装置10が向かって左側にある場合にも、人25の立ち位置に近い第1のセンサ17bの検知領域19bに手26bを簡単に翳すことができる。
【0026】
従って、本実施形態の自動水栓装置10によれば、第1のセンサ17a,17bの検知領域19a,19bに手26を容易に翳すことができ、使い勝手が良いという効果を奏し、キッチン用の水栓等として好適に使用することができる。
(2)スパウト13の両側部に設けられた第1のセンサ17a,17bは、その検知領域19a,19bに右手26a又は左手26bを翳すと吐水口16から吐水し、再び検知領域19a,19bに右手26a又は左手26bを翳すと止水するように構成されている。このため、水を溜めたいとき、多量の水を吐出したいとき等に必要量の湯又は水を容易に得ることができる。
(3)スパウト13の下部にはさらに第2のセンサ22が設けられ、その検知領域23がスパウト13の下方に放射状に延びるように構成されている。従って、スパウト13の下方に延びる検知領域23に手26を翳すことにより、湯又は水を容易に吐出させることができる。
(4)スパウト13の下部に設けられた第2のセンサ22は、その検知領域23に手26を翳すと吐水口16から吐水し、手を吐水口から遠ざけると止水するように構成されている。そのため、手26を洗うとき、少量の水で食器の汚れを落とすとき等に便利であるとともに、無駄な吐水をなくして水の節約を図ることができる。
(5)スパウト13の両側部に設けられた第1のセンサ17a,17bと、下部に設けられた第2のセンサ22とは同一円周上に配置され、ユニット化体29で一体化されている。このため、予め2つの第1のセンサ17a,17b及び1つの第2のセンサ22が組み込まれたユニット化体29をスパウト13に組み付けることにより、3つのセンサ17a,17b,22を一度で組み付けることができ、組み付けの簡素化を図ることができる。
【0027】
なお、前記実施形態を次のように変更して実施することも可能である。
・ 第1のセンサ17a,17bの検知領域19a,19bについて、放射の角度を斜め上方に向けたり、その長さが長くなるように設定したり、或いは流し台に隣接する壁等の条件によって変更したりすることも可能である。
【0028】
・ スパウト13の長さ方向における第1のセンサ17a,17bの取付位置を、実施形態の取付位置より先端側又は基端側の所望位置に設定することもできる。
・ 前記スパウト13の両側部の第1のセンサ17a,17bとスパウト13の下部の第2のセンサ22の種類は特に制限されず、実施形態とは逆の種類のセンサに付け替えたり、全て同じセンサを使用したりすることも可能である。
【0029】
・ 第1のセンサ17a,17b又は第2のセンサ22として、超音波センサ、マイクロ波センサ等を使用することも可能である。
【符号の説明】
【0030】
10…自動水栓装置、12…水栓本体、13…スパウト、16…吐水口、17a,17b…第1のセンサ、19a,19b…検知領域、22…第2のセンサ、23…検知領域、26…手、26a…右手、26b…左手。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓本体には、先端部に吐水口を有するスパウトが回動自在に支持されるとともに、前記スパウトには手を翳すと吐水口から吐水又は止水を行う第1のセンサが設けられた自動水栓装置であって、
前記第1のセンサはスパウトの両側部に設けられ、その検知領域がスパウトの両側方に延びるように構成されていることを特徴とする自動水栓装置。
【請求項2】
前記第1のセンサは、その検知領域に手を翳すと吐水口から吐水し、再び検知領域に手を翳すと止水するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動水栓装置。
【請求項3】
前記スパウトの下部にはさらに第2のセンサが設けられ、その検知領域がスパウトの下方に延びるように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動水栓装置。
【請求項4】
前記スパウトの下部に設けられた第2のセンサは、その検知領域に手を翳すと吐水口から吐水し、手を吐水口から遠ざけると止水するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の自動水栓装置。
【請求項5】
前記スパウトの両側部に設けられた第1のセンサと、下部に設けられた第2のセンサとを同一円周上に配置し、ユニット化したことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の自動水栓装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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