説明

自動水栓

【課題】一対の配管部材の接続個所で万一漏水を起した場合にも制御ボックス内部が水浸しとなってしまうのを防止することのできる制御ボックス付きの自動水栓を提供する。
【解決手段】電磁弁28と制御部とを収めた制御ボックス14付きの自動水栓において、一対の配管部材32,36をボックスケーシング42の底板50の下側で接続するとともに、ボックスケーシング42の底板50の下面には、抜止クリップ71を一対の配管部材32,36の接続部とともに外側から覆うクリップカバー部82を一体に設けておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ボックスケーシングの内側に電気的に駆動される弁と、その弁を作動制御する制御部とを収めた制御ボックスを有する自動水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より水栓における配管部材の接続方式として、弾性を有する抜止クリップを一対の配管部材にまたがって嵌着し、その抜止クリップにて一対の配管部材を抜止状態に接続するようになしたものが公知である。
【0003】
この接続方式の場合、掃除その他の作業中に人の身体や物品が抜止クリップに当って抜止クリップが外れてしまうのを防止し、或いはまた抜止クリップに人の体が当ることによって怪我をしてしまうのを防止する等の目的で、抜止クリップを配管部材の接続部とともに外側からカバーで覆うことが行われている。
【0004】
ところでこの抜止クリップを用いた接続方式の場合、配管部材の接続施工に際して抜止クリップが不完全嵌着状態のまま施工作業を終えてしまう場合があり、そうした場合抜止クリップがその後に外れてしまって、配管部材の接続個所で漏水を起してしまう恐れがある。
【0005】
特に上記のカバーにて抜止クリップを配管部材の接続部とともに外側から覆ってしまうと、抜止クリップが十分に嵌着されていないことに気付き難く、漏水を起こす恐れがある状態のまま放置されてしまう。
【0006】
この問題の解決を狙いとして、抜止クリップを覆うカバーに、抜止クリップを完全嵌着状態に位置決めし、拘束する機能を備えるようにしたものが下記特許文献1に開示されている。
この特許文献1に開示のものではまた、カバーを透明の樹脂製とすることによって、カバーにより抜止クリップを覆った状態としても、その外側から抜止クリップを視認可能となしている。
従ってこのカバーの場合、カバー取付状態の下で内側の抜止クリップが正しく嵌着されているかどうかを容易に確認することができ、また抜止クリップが装着忘れ(付け忘れ)されていたときにも容易にこれを確認することができる。
【0007】
ところで、ボックスケーシングの内側に電気的に駆動される弁と、その弁を作動制御する制御部とを収めた制御ボックスを有する自動水栓が手洗水栓等として広く使用されている。
通常このような自動水栓では、弁と制御部とを保持部材に保持させ且つ一対の配管部材を抜止クリップにより抜止状態に接続した状態で、ボックスケーシングを保持部材に組み付けるようになしている。
【0008】
この場合、抜止クリップを覆うカバーをボックスケーシングとは別途に構成しておくと所要部品点数が多くなり、また構造も複雑化してしまう。そこでボックスケーシング自体に抜止クリップを覆うカバーとしての働きを持たせたものが下記特許文献2に開示されている。
【0009】
この特許文献2に開示のものでは、一対の配管部材の接続部をボックスケーシングの内部に位置させ、そしてボックスケーシングの内面に突出形状の一対のリブを設け、それらリブを抜止クリップに当接させ係合させることによって、抜止クリップを正規の完全嵌着状態に位置決めし、拘束するようになしている。
【0010】
しかしながらこの特許文献1に開示のものでは、一対の配管部材の接続個所で万一漏水が生じた場合、制御ボックス内部が水浸しとなってしまう問題があり、更に抜止クリップを付け忘れていたような場合に、これをボックスケーシングの外部から確認することができないといった問題がある。
【0011】
【特許文献1】特開2003−28383号公報
【特許文献2】特開2007−262759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は以上のような事情を背景とし、一対の配管部材の接続個所で万一漏水を起した場合にも制御ボックス内部が水浸しとなってしまうのを防止することのできる、制御ボックスを備えた自動水栓を提供することを目的としてなされたものである。
また本発明の他の目的は、抜止クリップが付け忘れていたような場合に外部から容易にこれを確認することのできる自動水栓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
而して請求項1のものは、脱着可能に構成されたボックスケーシングの内側に、電気的に駆動される弁と、該弁を作動制御する制御部とを収めた制御ボックスを有し、前記弁と制御部とを保持部材に保持させ且つ一対の配管部材にまたがって抜止クリップを弾性的に嵌着し、該一対の配管部材を抜止状態に接続した状態で、前記ボックスケーシングを前記保持部材に組み付けるようになしてある自動水栓において、前記一対の配管部材を前記ボックスケーシングの底板の下側で接続するとともに、該ボックスケーシングの底板の下面には、該下面から突出して前記抜止クリップを前記一対の配管部材の接続部とともに外側から覆うクリップカバー部を一体に設けてあることを特徴とする。
【0014】
請求項2のものは、請求項1において、前記クリップカバー部は、前記抜止クリップへの係合作用で該抜止クリップを正規の完全嵌着状態に位置決めし、拘束する拘束部を成していることを特徴とする。
【0015】
請求項3のものは、請求項2において、前記クリップカバー部は、前記正規の完全嵌着状態に到る前の半嵌状態にある前記抜止クリップを、前記ボックスケーシングの組付けに伴って該完全嵌着状態まで押し込み、ガイドするガイド部を成していることを特徴とする。
【0016】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記クリップカバー部には、前記抜止クリップを該クリップカバー部の外側から視認可能な、該クリップカバー部を貫通した窓部が設けてあることを特徴とする。
【0017】
請求項5のものは、請求項4において、前記窓部は、前記完全嵌着状態にある前記抜止クリップの一部を内部に嵌入させ、該抜止クリップを回転規制するものとなしてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0018】
以上のように本発明は、制御ボックスを備えた自動水栓において、一対の配管部材をボックスケーシングの底板の下側で接続するようになすとともに、ボックスケーシングの底板の下面に、その下面から突出して抜止クリップを一対の配管部材の接続部とともに外側から覆うクリップカバー部を一体に設けたものである。
【0019】
かかる本発明によれば、一対の配管部材の接続個所で万一漏水が生じた場合においても、その接続個所がボックスケーシングの底板の下側にあり、またその漏水個所とボックスケーシングの内側即ち制御ボックス内部とは底板で遮られているため、制御ボックス内部が水浸しになってしまうといったことを確実に防止することができる。
【0020】
また抜止クリップを覆うクリップカバー部をボックスケーシングの外部に設けていることから、例えば請求項4に規定する手段にて、クリップカバー部にて覆われた状態にある抜止クリップを外部から視認可能とするようになすことが可能となる。
【0021】
この場合において、そのクリップカバー部を、抜止クリップへの係合作用でこれを正規の完全嵌着状態に位置決めし、拘束する拘束部となしておくことができる(請求項2)。
このようにすれば、完全嵌着状態にある抜止クリップが何等かの外力によって嵌着位置から外れてしまうのを防止することができる。
また抜止クリップが誤った状態に取り付けられてしまうのを有効に防止することができる。
【0022】
更にこの場合において、クリップカバー部を、完全嵌着状態に到る前の半嵌状態にある抜止クリップを、ボックスケーシングの組付けに伴って完全嵌着状態まで押し込み、ガイドするガイド部と成しておくことができる(請求項3)。
【0023】
この請求項3によれば、一対の配管部材の接続に際し、抜止クリップが完全に嵌着されておらず、半嵌状態にあるような場合、ボックスケーシングの組付けによって自動的にその半嵌状態にある抜止クリップを完全嵌着状態まで押し込み、一対の配管部材を良好に抜止めした状態とすることができる。
【0024】
次に請求項4は、内側の抜止クリップを外側から視認可能な貫通の窓部をクリップカバー部に設けたもので、この請求項4によれば、万一抜止クリップが付け忘れていたような場合、クリップカバー部にて抜止クリップを外側から覆っているにも拘らず、外部から容易にそのことを確認することができる。
【0025】
またこのような窓部を設ける場合において、完全嵌着状態にある抜止クリップの一部をその窓部の内部に嵌入させ、抜止クリップをその窓部にて回転規制するようになしておくことができる(請求項5)。
【0026】
このようにすることで、抜止クリップが回転方向に位置ずれしてしまうのを良好に防止することができる。
また同時に、その抜止クリップの一部が窓部の内部に嵌入しているか否かを見ることによって、抜止クリップが完全嵌着状態にあるか否かを直ちに知ることができる。
【0027】
本発明では、上記クリップカバー部を、ボックスケーシングの底板の下面から立ち下り、抜止クリップを配管接続方向の全幅に亘って覆うように抜止クリップの外周に沿って延びる周壁部を有するものとなし、その周壁部の内側に抜止クリップを収容するようになしておくことができる。
このようにすることで抜止クリップをクリップカバー部にて良好に覆った状態とすることができる。
【0028】
また周壁部の一部、詳しくはボックスケーシングの前記組付方向における先端側の一部を開口部となし、ボックスケーシングの組付時にその開口部を通じて抜止クリップを周壁部の内側に挿入させるようになしておくことができる。
このようにすることで、ボックスケーシングの組付けと同時にその開口部を通じて抜止クリップを周壁部の内側に収容し、これをクリップカバー部にて覆った状態とすることができる。
【0029】
更にクリップカバー部は、抜止クリップの下端よりも下側で、周壁部の下端から抜止クリップの側に内向きに曲げ返された形態の曲返し部を周方向に沿って有するものとなしておくことができる。
このようにすることで抜止クリップが下方に位置ずれするのを規制し、また抜止クリップの下方への脱落を有効に防止することができる。
【0030】
上記クリップカバー部では、貫通の窓部を周壁部に設け、その窓部を通じて抜止クリップを外側から視認可能となしておくことができる。
【0031】
また抜止クリップは、一対の配管部材に対する嵌込用の開口部を有する環状に構成して、その一部を径方向外方に屈曲して突出する形状となし、その突出部を、上記貫通の窓部に嵌入させるようになしておくことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1は、本実施形態の自動水栓を表したもので、この自動水栓は、カウンタの上面等の取付面10から起立する状態に設けられた吐水部12と、カウンタの下方等に吐水部12から離隔して設けられた制御ボックス14とを有している。
【0033】
吐水部12は扁平形状をなす台座部16を有しており、この台座部16が取付面10に着座せしめられている。
この台座部16にはポップアップ排水栓の操作部18が設けられている。
台座部16からは吐水パイプ20が立ち上っている。
ここで吐水パイプ20は、その上部が逆U字形状のグースネック形状をなしており、最上位の部位から先端にかけて前方に位置する使用者に向い、前方斜め下向きに連続的に移行する下がり形状をなしている。
【0034】
吐水部20の先端には、吐水口22と人体検知を行うセンサ24とが設けられており、そのセンサ24による人体検知に基づいて吐水口22から自動的に吐水が行われる。
センサ24は光電式のもので発光部と受光部とを有しており、発光部から発せられて人体により反射された光を受光部で受光することで人体の検知を行う。
この実施形態では、センサ24が人体検知している間吐水を行い、そしてセンサ24が人体非検知となることによって止水が行われる。
吐水パイプ20には、その内部に給水チューブ26が挿通されており、その先端が吐水口22に接続されている。
給水チューブ26は制御ボックス14に到るまで延びており、その下端が後述の配管部材に接続されている。
【0035】
制御ボックス14の内部には、上記センサ24による人体検知,非検知に基づいて吐水口22への給水,給水停止を行う電磁弁28(図2参照)と、その作動制御を行う制御部30(図1参照)とが収められており、制御部30に対して上記のセンサ24がリード線(図示省略)にて接続されている。
制御部30は、センサ24からの信号に基づいて電磁弁28を作動制御する。
尚、図1に示しているように制御ボックス14からは電源コード31が延び出している。
【0036】
図2において、32は電磁弁28の組み込まれた配管部材で、この配管部材32に対して、制御ボックス14内で上記の給水チューブ26が継手34にて接続されている。
36は止水栓38の組み込まれた配管部材で、壁W裏側に配管された給水元管に対してこの配管部材36が接続されている。
そしてこの配管部材36に対して、電磁弁28の組み込まれた配管部材32が制御ボックス14の下側で接続されている。
従って給水元管から供給された水は、配管部材36から配管部材32を経て給水チューブ26に供給され、そしてこの給水チューブ26を通じて吐水部12の吐水口22へと供給される。
電磁弁28はその給水路上にあって、その給水路を、開弁及び閉弁により連通及び連通遮断する。
【0037】
図2において、40は壁W側に配置された制御ボックス14における保持部材で、この保持部材40に、上記の電磁弁28の組み込まれた配管部材32及び制御部30が保持されている。
42は、壁W側とは反対側のボックスケーシングで、図2及び図3に示しているようにこのボックスケーシング42は、全体として壁W側の後面が開放された形状の箱体状をなしている。
具体的にはこのボックスケーシング42は、前面板44と、左右一対の側板46と、上板48と、底板50とを有しており、その開放側の壁W側の後端部が、保持部材40の外周縁部に前方から嵌め合わされ、その状態で保持部材40に固定されている。
【0038】
詳しくは、図1の部分拡大図に示しているように保持部材40からは円筒状の固定部54が前方に突出しており、その固定部54の雌ねじ孔56に対して、止めねじ60をボックスケーシング42の固定孔58を挿通してねじ込むことで、ボックスケーシング42が保持部材40に対し外嵌状態で固定されている。
尚、図2に示しているように保持部材40は壁W側でボックスケーシング42の開放部を閉鎖しており、従ってこの保持部材40もまた、制御ボックス14におけるケーシングの一部と考えることもできる。
本実施形態において、この保持部材40及びボックスケーシング42ともに樹脂製とされている。
【0039】
図6に、配管部材32と36との接続構造が示してある。
図示のように配管部材36には、径方向外方に突出する鍔部として円環状のフランジ部62が設けられ、更にこのフランジ部62から突出する断面円形の雄嵌合部64が設けられている。
この雄嵌合部64には、シール部材としての弾性を有するOリング66が保持されている。
一方配管部材32には、同じく径方向外方に突出する鍔部として円環状をなすフランジ部68が設けられ、更にこのフランジ部68に続いて雌嵌合部70が設けられている。
【0040】
一対の配管部材32と36とは、雄管嵌合64を雌嵌合部70に嵌入させ、そしてそれぞれのフランジ部62,68を当接させた状態で、それらにまたがって抜止クリップ71を嵌着することで抜止状態に接続される。
ここで抜止クリップ71は、金属板ばねを略環状に曲げて構成したもので90°ごと隔たった周方向の3個所に、屈曲形状で径方向外方に突出した突出部72を有しており、それら突出部72を除いた部分において、幅方向の中間部に係入溝74が周方向に沿って形成されている。
また周方向の1個所に嵌込用の開口部76を有しており、そしてその開口部76側の両端部が、ハの字状に開いた嵌込ガイド78とされている。
【0041】
この抜止クリップ71は、開口部76の側から一対の配管部材32,36にまたがって軸直角方向に嵌着され、そして配管部材32,36における一対のフランジ部68,62を係入溝74に係入させることによって、それら一対の配管部材32,36を接続状態に結合し、抜止めする。
【0042】
尚、図6の部分拡大図に示しているように保持部材40には、円弧形状をなす位置決用のストッパ80が一体に設けられており、図5に示しているように抜止クリップ71の嵌着状態で、この円弧形状をなすストッパ80が、抜止クリップ71の開口部76内に位置するようになっている。
抜止クリップ71は、このストッパ80の嵌込ガイド78への当接作用によって回転方向に位置規定される。即ち抜止クリップ71の回転方向の組付位置が規定される。
【0043】
上記一対の配管部材32と36とは、ボックスケーシング42の上記の底板50の下側で接続されており、そしてボックスケーシング42の底板50の下面には、図3,図4に示しているようにその下面から下向きに突出して、抜止クリップ71を一対の配管部材32,36の接続部とともに外側から覆うクリップカバー部82が一体に設けてある。
【0044】
図に示しているようにこのクリップカバー部82は平面形状が略U字形状をなしている。
このクリップカバー部82は、図4に示しているようにボックスケーシング42の底板50の下面から立下がり、抜止クリップ71を図中上下方向即ち配管接続方向の全幅に亘って覆うように、抜止クリップ71の外周に沿って延びる周壁部84を有している。
【0045】
またこのクリップカバー部82はその後端、即ち壁W側の後端が、抜止クリップ71を通過可能な開口部85とされている。
即ちボックスケーシング42における開放側と同じ側の後端が開口部85とされており、ボックスケーシング42を保持部材40に対し後端側から嵌め合わせる際に、抜止クリップ71をこの開口部85を通じてクリップカバー部82内に挿入可能となしてある。
従ってこの開口部85は、図5において抜止クリップ71の左右方向寸法よりも若干大寸法となしてある。
尚、図4(B)に示しているようにボックスケーシング42の底板50には、配管部材32を挿入可能なU字形状の切欠部87が、クリップカバー部82の上側位置に設けられている。
【0046】
このクリップカバー部82にはまた、抜止クリップ71の下端よりも下側で、周壁部84の下端から抜止クリップ71の側に内向きに曲げ返された形態の曲返し部86が周方向に沿って設けられている。
ここで曲返し部86は、図5に示しているように抜止クリップ71に対し上下方向に当接可能な位置まで内方に突出している。
【0047】
周壁部84は、開口部85とは反対側の図5中上側の一部が略半円形状をなす部分環状部88とされ、また残りの部分が図2,図7中左右方向(図5中上下方向)に平行に延び、開口部85に到るガイド壁部90とされ、そしてそのガイド壁部90と環状部88との境界部が段付部92とされている。
周壁部84は、この段付部92と、ガイド壁部90の部分環状部88側の一部とが係合部を成していて、これを抜止クリップ71の突出部72に外嵌状態に係合させ、その係合作用により抜止クリップ71を正規の完全嵌着状態に位置決めし、拘束する。
【0048】
上記部分環状部88には、図5中の左右の中間位置に貫通の窓部94が設けられ、この窓部94を通じてクリップカバー部82の内側位置にある抜止クリップ71を、クリップカバー部82の外側から視認可能となしてある。
【0049】
この窓部94はまた、抜止クリップ71における部分環状部88の周方向中間位置の突出部72を内部に嵌入させるものとなしてあり、そのことによって抜止クリップ71を回転方向に位置規制する。
従って上記のストッパ80を省略しても、この窓部94の位置規制作用によって、抜止クリップ71をクリップカバー部82内において回転方向に位置ずれ防止することができる。
【0050】
この窓部94はまた、正規の完全嵌着状態にある抜止クリップ71の突出部72を、窓部94内に嵌入させるようになしてあることによって、かかる突出部72が窓部94内に嵌入していることをもって、抜止クリップ71が正規の完全嵌着状態にあることを視認可能とする嵌着確認窓としての機能も有する。
この窓部94は、突出部72に外嵌状態に嵌合し、抜止クリップ71を正規の完全嵌着状態に位置決めし、拘束作用を有するもので、この点で窓部94もまた、クリップカバー部82における係合部としての働きも有している。
【0051】
尚上記ガイド壁部90は、ボックスケーシング42を保持部材40に嵌め合せて取り付ける際、抜止クリップ71を開口部85に続いて挿入ガイドする働きを有する。
【0052】
本実施形態では、図6に示すようにして配管部材36の雄嵌合部64を、配管部材32の雌嵌合部70に挿込接続し、その状態でそれら一対の配管部材32,36にまたがるようにして抜止クリップ71を、開口部76側からそれら配管部材32,36に弾性的に嵌着し、一対の配管部材32,36を抜止状態に結合する。
【0053】
その状態でボックスケーシング42を前方から壁W側に向って押し込み、これを保持部材40に嵌め合せる。
その際、抜止クリップ71はクリップカバー部82の開口部85を通じてその内部に挿入され、最終的に、即ちボックスカバー部42を保持部材40に嵌め合せた段階で、図5に示す取付状態となる。
即ち、図5中左右の一対の突出部72に対してクリップカバー部82における周壁部84の一部(係合部)が外嵌状態に係合した状態となり、また周方向の中央位置の突出部72が、クリップカバー部82の窓部94内に嵌入した状態となる。
【0054】
ボックスケーシング42を保持部材40に対して嵌め合せる際に、もし抜止クリップ71が図9に示しているように不完全嵌着状態、例えば配管部材36における雄嵌合部64が配管部材32の雌嵌合部70に完全に挿し込まれておらず、一対の配管部材32,36の各フランジ部62の間の隙間に、抜止クリップ71の一部が入り込んだ状態にあるとき、クリップカバー部82の曲返し部86と抜止めクリップ71の当接により、ボックスケーシング42を保持部材40に嵌り合う位置まで押し込むことができず、これによって抜止クリップ71が不完全な取付状態にあることが分る。
【0055】
また一方、抜止クリップ71が正規の嵌着状態に到る前の半嵌状態にあるときには、図8(A),(B)に示しているように、ボックスケーシング42を最終組付位置まで押し込む過程で、つまりクリップカバー部82を押し込む過程で、半嵌状態にある抜止クリップ71が一対の配管部材32,36側に押し込まれ、自動的に正規の完全嵌着状態に持ち来される。
【0056】
尚図8(A)の例は、一対のガイド壁部90の内面によって半嵌状態且つ若干傾いた状態にある抜止クリップ71を正しい方向に姿勢(回転)矯正し、抜止クリップ71をクリップカバー部82内に挿入させる過程で、正規の完全嵌着状態に持ち来す場合の例であり、また(B)の例は、一対のガイド壁部90の開口部85側の端部で、半嵌状態にある抜止クリップ71を押し、正規の完全嵌着状態に持ち来す場合の例である。
【0057】
その他、抜止クリップ71がクリップカバー部82内に挿入された段階で尚半嵌状態にあるとき、クリップカバー部82における段付部92及びガイド壁部90における部分環状部88側の一部からなる係合部の抜止クリップ71に対する係合作用によって、これを完全嵌着状態に持ち来すことができる。
【0058】
以上のように本実施形態によれば、一対の配管部材32,36の接続個所で万一漏水が生じた場合においても、その接続個所がボックスケーシング42の底板50の下側にあり、またその漏水個所とボックスケーシング42の内側即ち制御ボックス14内部とは底板50で遮られているため、制御ボックス14の内部が水浸しになってしまうといったことを確実に防止することができる。
【0059】
またクリップカバー部82は、抜止クリップ71への係合作用でこれを正規の完全嵌着状態に位置決めし、拘束する拘束部となしてあるため、完全嵌着状態にある抜止クリップ71が何等かの外力によって嵌着位置から外れてしまうのを防止でき、更に抜止クリップ71が誤った状態に取り付けられてしまうのを有効に防止することができる。
【0060】
またクリップカバー部82にて、完全嵌着状態に到る前の半嵌状態にある抜止クリップ71を、ボックスケーシング42の組付けに伴って完全嵌着状態まで押し込み、ガイドすることができる。
【0061】
更に本実施形態では、内側の抜止クリップ71を外側から視認可能な貫通の窓部94をクリップカバー部82に設けているため、万一抜止クリップ71を付け忘れていたような場合、クリップカバー部82にて抜止クリップ71を外側から覆っているにも拘らず、外部から容易にそのことを確認することができる。
【0062】
また窓部94に完全嵌着状態にある抜止クリップ71の一部を嵌入させることで、抜止クリップ71を回転規制することができ、抜止クリップ71が回転方向に位置ずれするのを防止できると同時に、その抜止クリップ71の一部が窓部94の内部に嵌入しているか否かを見ることによって、抜止クリップ71が完全嵌着状態にあるか否かを直ちに知ることができる。
【0063】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態である自動水栓を示した全体図である。
【図2】同実施形態における制御ボックス内部を示した図である。
【図3】同実施形態におけるボックスケーシングの単品図である。
【図4】図4のボックスケーシングの要部を拡大して示した斜視図である。
【図5】同実施形態における配管接続を抜止クリップ,クリップカバー部とともに示した要部の断面図である。
【図6】同実施形態における配管部材の接続構造の説明図である。
【図7】配管接続の手順を示した図である。
【図8】同実施形態の作用説明図である。
【図9】配管部材に抜止クリップが不完全に嵌め込まれた状態を示した説明図である。
【符号の説明】
【0065】
14 制御ボックス
28 電磁弁
30 制御部
32,36 配管部材
40 保持部材
42 ボックスケーシング
50 底板
71 抜止クリップ
82 クリップカバー部
84 周壁部
90 ガイド壁部
94 窓部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱着可能に構成されたボックスケーシングの内側に、電気的に駆動される弁と、該弁を作動制御する制御部とを収めた制御ボックスを有し、前記弁と制御部とを保持部材に保持させ且つ一対の配管部材にまたがって抜止クリップを弾性的に嵌着し、該一対の配管部材を抜止状態に接続した状態で、前記ボックスケーシングを前記保持部材に組み付けるようになしてある自動水栓において、
前記一対の配管部材を前記ボックスケーシングの底板の下側で接続するとともに、該ボックスケーシングの底板の下面には、該下面から突出して前記抜止クリップを前記一対の配管部材の接続部とともに外側から覆うクリップカバー部を一体に設けてあることを特徴とする自動水栓。
【請求項2】
請求項1において、前記クリップカバー部は、前記抜止クリップへの係合作用で該抜止クリップを正規の完全嵌着状態に位置決めし、拘束する拘束部を成していることを特徴とする自動水栓。
【請求項3】
請求項2において、前記クリップカバー部は、前記正規の完全嵌着状態に到る前の半嵌状態にある前記抜止クリップを、前記ボックスケーシングの組付けに伴って該完全嵌着状態まで押し込み、ガイドするガイド部を成していることを特徴とする自動水栓。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、前記クリップカバー部には、前記抜止クリップを該クリップカバー部の外側から視認可能な、該クリップカバー部を貫通した窓部が設けてあることを特徴とする自動水栓。
【請求項5】
請求項4において、前記窓部は、前記完全嵌着状態にある前記抜止クリップの一部を内部に嵌入させ、該抜止クリップを回転規制するものとなしてあることを特徴とする自動水栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−263940(P2009−263940A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113220(P2008−113220)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】