自動注入装置用遅延機構
自動注入装置の動作を段階分けして、その装置の針付きの注射器が後退されるのに先立ち、薬物内容物が適正に送達されることを確実にするための遅延機構。一形態では、この遅延機構は、シャトルと、追随部分と、ロック部材と、減衰性化合物と、駆動体と、駆動体付勢要素とを備える。シャトルは、その装置の針付きの注射器のためのものであり、第1のラッチ要素を含む。追随部分は、第2のラッチ要素とカム作用可能な表面とを含み、この第2のラッチ要素は、第1のラッチ要素と協働して、第1の方向とは反対の第2の方向におけるこの追随部分に対するシャトルの動きを制限するためのものである。ロック部材は、注入の間、注射器プランジャーとの係合によってロック位置から解放位置に移動可動であり、このロック部材は、ロック位置にあるとき、シャトルに対する追随部分の回転を防止し、このロック部材は、解放位置にあるとき、このシャトルに対するこの追随部分の回転を許容する。減衰性化合物は、追随部分と支持表面との間にあって、シャトルに対する追随部分の回転を減衰する。駆動体は、シャトルに対して回転可能に固定され、かつカム作用表面を備える。駆動体付勢要素は、ロック部材が解放位置に動くとき、駆動体を第1の位置から第2の位置に押し、それによって駆動体が第2の位置に動く間、駆動体のカム作用表面は追随部分のカム作用可能な表面と係合して追随部分を、第1および第2のラッチ要素が協働する留め金を掛けた位置から、第2のラッチ要素が第1のラッチ要素から係合が外れ、注入後に注射器の針を自動注入装置の筐体の中に後退させるためのシャトルの動きを許容する留め金を外した解除位置へと、シャトルに対して回転させるためのものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品注入装置、および具体的には自動注入装置用遅延機構に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの異なる疾患に罹患している患者は、しばしば自分自身に医薬品を注入しなければならない。これらの注入を容易にするために、種々の装置が提案されてきた。1つの種類の装置は自動注入装置である。この種類の装置は、使用者によって引き金を引かれたときに、発射される前は装置筐体内に配されていた注射器の針を使用者の中へと自動的に挿入し、次いである用量の薬物をその挿入された針を通して自動的に注入する。1つの公知の種類の自動注入装置は、次いで、その用量が完了したときにその針を覆うためのシュラウド(shroud)を自動的に前進させる。前進するシュラウドを有する代わりに、一部の人にとってはより望ましい構成を有する別の種類の自動注入装置では、その用量が完了したときに、針をその筐体の中へと自動的に後退させる。針を後退させる特徴を備えた自動注入器を設計に伴う1つの困難は、その注射器の所望の内容物が全て注入されてしまうこと、および使用後に注射器の針が適正に装置筐体の中へと後退されることの両方を確実にすることである。
【0003】
特許文献1は、さらに詳細にかかる設計の困難さを説明し、さらには非常に粘性のある流体の減衰(damping)を含むある種の遅延機構を使用する解決策を提案する。たぶん機能的であるが、これらの解決策は、注入のあいだ力をその注射器に移すために使用される遅延機構など、それら自身の欠点がないわけではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2005/115516号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、先行技術のこれらおよび他の欠点の1つ以上を克服することができる自動注入装置用遅延機構を提供することは望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態では、本発明は、筐体、プランジャーを備えた針付きの注射器、およびこの針付きの注射器をこの筐体内で第1の方向に動かして、その注射器の針を筐体を越えて延在させ、上記プランジャーを前進させて注入のために注射器内容物を針を通して押し出し、そして注入後にその針を筐体内に後退させるための複数の付勢要素を有する自動注入装置における、遅延機構を提供する。この遅延機構は、上記注射器のためのシャトルであって、第1のラッチ要素を含むシャトルと、第2のラッチ要素とカム作用可能な(cammable)表面とを含む追随部分であって、この第2のラッチ要素は、この第1のラッチ要素と協働して、上記第1の方向とは反対の第2の方向におけるこの追随部分に対するシャトルの動きを制限するためのものである追随部分と、注入の間、注射器プランジャーとの係合によって筐体内でロック位置から解放位置へと移動可能であるロック部材であって、このロック部材は、ロック位置にあるとき、シャトルに対する上記追随部分の回転を防止し、上記ロック部材は、解放位置にあるとき、シャトルに対するこの追随部分の回転を許容するロック部材と、シャトルに対する上記記追随部分の回転を減衰するための、上記追随部分と支持表面との間の減衰性化合物と、上記シャトルに対して回転可能に固定され、かつカム作用表面を備える駆動体と、駆動体付勢要素であって、この駆動体付勢要素は、上記ロック部材が解放位置へと動くとき、上記駆動体を第1の位置から第2の位置へと押し、それによってこの駆動体が第2の位置へと動く間、上記駆動体カム作用表面は上記追随部分カム作用可能な表面と係合して上記追随部分を、上記第1および第2のラッチ要素が協働する留め金を掛けた位置から、第2のラッチ要素が第1のラッチ要素から係合が外れ、注入後に注射器の針を上記筐体の中へと後退させるための上記シャトルの動きを許容する留め金を外した解除位置へと、シャトルに対して回転させるためのものである、駆動体付勢要素と、を備える。
【0007】
本発明の別の形態では、本発明は、自動注入装置用遅延機構であって、この装置の針付きの注射器のためのシャトルと、移動可能部材と、針後退方向におけるこのシャトルの動きを制限するための手段と、このシャトルに対する上記移動可能部材の動きを減衰するための手段と、注入後に注射器の針を装置内に後退させるための上記シャトルの動きを許容するために、このシャトルに対して、上記移動可能部材を第1の位置から第2の位置へと動かすための手段と、を備える遅延機構を提供する。
【0008】
本発明の1つの利点は、異なる構成の自動注入装置とともに使用するために適合できる遅延機構が提供できることである。
【0009】
本発明の別の利点は、針挿入およびその後の注入の間に注射器に加えられる操作力が実質的に関与しない自動注入装置のための遅延機構が提供できることである。
【0010】
本発明の別の利点は、注射器から駆動アクチュエータを解放することなしに針の適時の後退を許容する、自動注入装置のための遅延機構が提供できることである。
【0011】
本発明のさらに別の利点は、注射器の駆動アクチュエータからの抵抗に打ち勝つ必要なしに針の適時の後退を許容する、自動注入装置のための遅延機構が提供できることである。
【0012】
本発明の別の利点は、封止されたチャンバから置き換えられること、または排出口を通して押し出されることを必要としない減衰性流体を使用する、自動注入装置のための遅延機構が提供できることである。
【0013】
本発明のさらに別の利点は、装置の発射(triggering)を段階分けするのを助ける、自動注入装置のための遅延機構が提供できることである。
【0014】
添付の図面に関連して解釈される本発明の実施形態の以下の説明を参照すれば、本発明の上述の利点および他の利点ならびに目的、ならびにそれらを達成するための様式はより明らかになるであろうし、本発明自体がよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の遅延機構の第1の実施形態を備えた自動注入装置の正面図である。
【図2】図1の本発明の遅延機構を備えた自動注入装置の断面での部分正面図である。
【図3】シャトルが他の構成要素とは別々に示されている、図1の遅延機構のシャトルの斜視図である。
【図4A】図3のシャトルの側面図である。
【図4B】図3のシャトルの正面図である。
【図4C】図3のシャトルの長手方向の断面図である。
【図4D】図3のシャトルの平面図である。
【図5】ロック部材が他の構成要素とは別々に示されている、図1の遅延機構のロック部材の斜視図である。
【図6A】図5のロック部材の正面図である。
【図6B】図5のロック部材の側面図である。
【図6C】図5のロック部材の平面図である。
【図7】駆動体が他の構成要素とは別々に示されている、図1の遅延機構の駆動体の斜視図である。
【図8A】図7の駆動体の正面図である。
【図8B】図7の駆動体の側面図である。
【図8C】図7の駆動体の上面図である。
【図9】追随部分が他の構成要素とは別々に示されている、図1の遅延機構の追随部分の斜視図である。
【図10A】図9の追随部分の側面図である。
【図10B】図9の追随部分の正面図である。
【図10C】図9の追随部分の平面図である。
【図10D】図9の追随部分の底面図である。
【図10E】図9の追随部分の長手方向の断面図である。
【図11】グリースカラーが他の構成要素とは別々に示されている、図1の遅延機構のグリースカラーの斜視図である。
【図12A】図11のグリースカラーの正面図である。
【図12B】図11のグリースカラーの側面図である。
【図12C】図11のグリースカラーの平面図である。
【図13】動作の種々の段階における図1の装置の部分断面における正面図である。
【図14】動作の種々の段階における図1の装置の部分断面における正面図である。
【図15】動作の種々の段階における図1の装置の部分断面における正面図である。
【図16】動作の種々の段階における図1の装置の部分断面における正面図である。
【図17】動作の異なる段階における本発明の遅延機構の別の実施形態を備えた注入装置の部分的な概略的な斜視図である。
【図18】動作の異なる段階における本発明の遅延機構の別の実施形態を備えた注入装置の部分的な概略的な斜視図である。
【図19】動作の異なる段階における本発明の遅延機構の別の実施形態を備えた注入装置の部分的な概略的な斜視図である。
【図20】動作の異なる段階における、図1の自動注入装置のロックおよび発射部分の部分的な斜視図である。
【図21】動作の異なる段階における、図1の自動注入装置のロックおよび発射部分の部分的な斜視図である。
【図22】本発明の遅延機構のさらに別の実施形態を備えた自動注入装置の正面図である。
【図23】図22の本発明の遅延機構を備えた自動注入装置の長手方向の断面における正面図であり、この時点で、この装置はすぐに使用できる構成にあるが、この装置を使用のためにはキャップを外さなければならない。
【図24A】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の筐体胴体の斜視図である。
【図24B】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の筐体胴体の長手方向の断面図である。
【図24C】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の筐体胴体の遠位端の図である。
【図25】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の注射器およびプランジャーの分解斜視図である。
【図26A】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置のオーバーモールドされた注射器運搬装置の斜視図である。
【図26B】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置のオーバーモールドされた注射器運搬装置の近位端の図である。
【図26C】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置のオーバーモールドされた注射器運搬装置の立面図である。
【図27A】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置のシャトルの上側の小片の上側からの斜視図である。
【図27B】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置のシャトルの上側の小片の下側からの斜視図である。
【図27C】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置のシャトルの上側の小片の長手方向の断面図である。
【図27D】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置のシャトルの上側の小片の遠位端の図である。
【図28A】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置のシャトルの下側の小片の上側からの斜視図である。
【図28B】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置のシャトルの下側の小片の第1の立面図である。
【図28C】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置のシャトルの下側の小片の第2の立面図である。
【図28D】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置のシャトルの下側の小片の第1の長手方向の断面図である。
【図28E】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置のシャトルの下側の小片の第2の長手方向の断面図である。
【図28F】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置のシャトルの下側の小片の遠位端の図である。
【図29A】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の駆動体の斜視図である。
【図29B】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の駆動体の遠位端の図である。
【図29C】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の駆動体の立面図である。
【図30A】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の追随部分の上側からの斜視図である。
【図30B】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の追随部分の第1の立面図である。
【図30C】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の追随部分の第2の立面図である。
【図30D】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の追随部分の長手方向の断面図である。
【図30E】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の追随部分の遠位端の図である。
【図31A】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の減衰性カラーの上側からの斜視図である。
【図31B】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の減衰性カラーの立面図である。
【図31C】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の減衰性カラーの長手方向の断面図である。
【図32A】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の筐体基部プレートの上側からの斜視図である。
【図32B】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の筐体基部プレートの近位端の図である。
【図33A】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置のオーバーキャップの上側からの斜視図である。
【図33B】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置のオーバーキャップの長手方向の断面図である。
【図34A】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の引き金ロックカップの上側からの斜視図である。
【図34B】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の引き金ロックカップの遠位端の図である。
【図34C】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の引き金ロックカップの立面図である。
【図35A】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の引き金ロックスリーブの上側からの斜視図である。
【図35B】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の引き金ロックスリーブの背面立面図である。
【図35C】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の引き金ロックスリーブの遠位端の図である。
【図35D】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の引き金ロックスリーブの長手方向の断面図である。
【図36A】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の作動化ボタンの上側からの斜視図である。
【図36B】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の作動化ボタンの第1の立面図である。
【図36C】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の作動化ボタンの第2の立面図である。
【図36D】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の作動化ボタンの長手方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
対応する参照文字は、いくつかの図にわたって対応する部品を示す。図面は本発明の実施形態を表しているが、その図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれてはおらず、本発明をよりよく図示および説明するために、図面のいくつかでは一部の特徴が誇張されているか、または省略されていることがある。
【0017】
ここで図1および図2を参照すると、それぞれ、本発明の遅延機構の第1の実施形態を備えた自動注入装置の正面図、および部分断面正面図が示されている。本発明の遅延機構は、有利なことに、種々の異なる構成の自動注入装置で採用することができるため、本願明細書では、わずかばかりの注入装置の詳細が示され、説明されているに過ぎない。そしてかかる詳細は例示的であり、決して限定するものではない。
【0018】
従来どおり、全体が20と示されるこの自動注入装置は、使用者によって作動されるときに、この装置の針付きの注射器が下向きに駆動され、その結果、注入針が装置筐体の下端を越えて突き出て、使用者に侵入するようにする引き金を有する。次いでこの装置は、注射器の薬物内容物をその針を通して注入することを開始し、その後で、注入針が筐体内に戻るようにこの注射器は後退される。示された本発明の遅延機構は、装置の動作を段階分けするのに役立ち、針付きの注射器が後退されるのに先立ち、薬物内容物が適正に送達されるのを確実にする。
【0019】
装置20は、中にこの装置の作業用構成要素が操作的に配されている外側筐体22を含む。筐体22の本体24は、フレア状の端部23を有するほぼ円筒形状の外観を有するものとして示されているが、異なった形状をしていてもよい。本体24は、近位端27と遠位端28との間に延在する。本願明細書で使用する場合、遠位および近位は、上記装置が注入部位で使用するために配向されたときに、かかる部位に対する軸方向の場所を指す。これにより、例えば、筐体胴体の近位端は、かかる注入部位に最も近い筐体胴体の端部を指す。
【0020】
筐体の頂部または遠位端に、使用者によって操作される引き金の一部分である安全制御されたボタン25が提供されている。筐体の安全スリーブ26が、使用者によって回転可能に調整されるようにして、筐体胴体24に対して適正な角度配向で配されたとき、ボタン25はロック解除され、この装置の自動注入機能を開始するために、押し下げることができるようになる。使用者によって操作されるためにこの装置が選択的に発射される(triggered)ようにするロック/発射機構の内部の仕組みは、当該技術分野で公知の点では、異なる構成であってよい。この装置の全長を制限するため、本発明の遅延機構に特に適合する、装置20のための1つのロック/発射機構が図20および図21に示されている。
【0021】
図20および図21において、この装置の上方部分が、その動作の異なる段階で示されており、そして筐体安全スリーブ26は、内部構成要素の理解を容易にするために透明にして示されている。安全スリーブ26は、筐体胴体24に回転可能に取り付けられて図示されており、その回転は、筐体に取り付けられておりかつスリーブのスロット192内で滑動するピン190によって、制限されている。ボタン25は、安全スリーブ26の内部に捕捉されている拡大した肩194を含む。ボタン25は、ボタンの肩194の上に形成された半径方向に突き出たリブ196によってスリーブ26に回転可能に固定されており、このリブ196は、スリーブ26の内部表面上の長手方向に延在するノッチ198内を滑動する。プランジャー要素36の爪41と係合する一対の半径方向に整列したフランジ200が、ボタン25の裏面からぶら下がっている。コイル状のバネ202は、ボタン25と全体が204として示されている引き金ロックとの間に配されて、それらを離すように付勢する。
【0022】
引き金ロック204は、ノッチ198内に滑動可能に嵌合してこの引き金ロックをスリーブ26に回転可能に固定する半径方向に突き出るリブ208を含む環状基部206を含む。カラー210は、基部206から上方向に突き出て、カラー210の残りから半径方向に外側方向に段を作っている一対の直径方向に対向するカラー部分212を含む。
【0023】
このロック/発射(triggering)機構が図20に示されるように配向されると(この配向は図2にも一部示されている)、カラー210の段を作っていない(non−offset)部分がプランジャーの爪41の半径方向に外側方向の面を支えて、かかる爪が外方向に広がるのを妨げるため、この装置はロックされる。使用者がボタン25を下向きに押そうとすると、ボタンフランジ200は、シャトルフランジ76に接し、これがさらなるボタンの押し下げを妨げる。このロック/発射機構が、図21に示される構成へと使用者によって回転されるとき、カラーの段を作った部分212は、プランジャーの爪41の半径方向に外側方向に整列し、ボタンフランジ200はかかる爪の上に整列する。このロック解除された状態において、使用者が押し進める力をボタン25に対して加えるとき、フランジ200は下向きに移動し、爪41と直接係合し、かかる爪はカラー部分212によって妨害されていないため、かかる爪を外方向に広げさせ、その結果、このプランジャーが下向きに付勢されているため、このプランジャーの爪はシャトル開口部74を通して嵌合することができる。
【0024】
ここで図2を参照すると、装置20は、薬物が満たされた注射器(全体が30として示される)を含む。注射器30は、ほぼ標準的な設計のものであり、それは、ガラス製のシリンダー32を備え、注射器シリンダーの薬物内容物と流体連通したその近位端に注入針34が取り付けられている。この注射器のプランジャー機構は、プラスチック製プランジャー要素36、およびシリンダー32内に薬物を封止する弾性封止部材またはピストン38によって、2部に構成されている。プランジャー要素36の近位領域40は、押し進める操作のあいだ封止ピストン38に操作的に接する働きをし、封止ピストン38から軸方向に上方向に延在する。プランジャーの要素36とピストン38との間に提供される、図示された小さい間隙は、製作公差、および使用前の、例えば温度変化に起因する注射器内容物のわずかの容積変化を許容するためのものである。プランジャー要素36の図示された遠位領域は、図示された実施形態の装置発射機構によって解放されるまで、シャトルと留め金式に係合するようになっている一対の爪41を備える。プランジャー要素36の半径方向に外側方向に突き出ている、円周方向のフランジ42は、この装置の駆動バネ44が作用する肩としての役割を果たす。
【0025】
注射器30はキャリッジ46に取り付けられており、全体が50として示されているシャトル内に、キャリッジ46とシャトルとの間で作用する付勢バネ48によって付勢または持ち上げられている。この装置が発射される(triggered)と、駆動バネ44は、プランジャー要素36、およびそれによって封止部材38を近位方向に駆動し、この駆動された動きは、バネ48の力に打ち勝って注射器シリンダー32をシャトルおよび筐体22に対して近位方向に移動させ、使用者の皮膚に侵入するために針34の先端を筐体の近位端27を越えて突き出させ、次いで注入のために注射器の薬物内容物をその針を通して押し出す。
【0026】
ここで図3および図4A乃至図4Dを参照すると、本発明の第1の実施形態のシャトルが他の装置構成要素とは別々に、複数の図で示されている。シャトル50は、遅延機構の追随部分に対して留め金を掛ける(latch)役割を果たし、加えて、その追随部分から留め金を外された(unlatched)ときに、注射器を遠位方向に運ぶ、または別の可能な実施形態では他の様式で注射器の遠位方向の動きを許容する役割を果たす。この機能性を提供する他のシャトル構成が、本発明の範囲内で示される構成に代わりに使用することができる。
【0027】
シャトル50は、例えば接着剤を用いて、分割線54に沿って固定して連結されている2つの嵌め合いのプラスチック製部品52および53から形成されている。この二部構成は、プランジャーの成形および組み立てを容易にするが、異なる構築法を採用してもよい。シャトル50は、胴体の壁にわたってその長さの大部分に沿って形成された、少なくとも1つ、好ましくは一対の直径方向に対向した、長手方向に延在するスロット58を有する管状の、円筒形の胴体56を備える。スロット58は、注入のあいだ、プランジャーによって遅延機構のロック部材の係合を可能にする。図2に示すように、各スロット58は、示された実施形態におけるプランジャーの半径方向に延在する部分を滑動可能に受け、このプランジャー部分はプランジャーフランジ42からの一対の突起43からなる。上記ロック部材は、駆動バネを支持するプランジャー要素部品の突起43によって直接係合されるが、他の機能的構造も、介在する部品を介するロック部材の間接的な係合を含めて、本発明の範囲に含まれる。
【0028】
このシャトルはまた、この遅延機構の追随部分(follower)を解放可能に係合するための、少なくとも1つ、好ましくは一対のラッチ要素をそのシャトルの近位端の近くに備える。このラッチ要素は、全体が60として示されている一対の直径方向に対向した、L字型スロットの一部分として提供されている。L字型のスロット60の短い通路または脚62は、長手方向に対して横方向に配向しており、シャトル胴体の外周の周りに限られた距離だけ延在する(extend)。スロット脚62、より具体的にはそのスロット部分を画定しかつ追随部分の突き出るタブ(つまみ)(tab)のための接合点を画定するシャトル胴体の表面は、追随部分と係合するためのロックまたはラッチ要素を提供する。各スロット60の軸方向に延在する部分64は、解放経路または通路であり、これによって、シャトルが追随部分から留め金を外す(unlatch)ことができる。
【0029】
スロット60は管状の胴体56の壁の厚み全体にわたって延在するとして示されているが、シャトル50は、本発明の範囲内の異なる構成のラッチ要素を備えていてもよい。例えば、上記通路は、追随部分上の相補的な通路と協働するタブで置き換えることができるであろう。なおさらに、スロットではなく、適切に形作られた溝またはノッチがシャトルの周囲に形成されてもよいが、このようなものは、より厚くおそらくあまり望ましくないシャトル構造を必要とするであろう。
【0030】
シャトル50は、その近位端に、シャトル胴体56から半径方向に内側方向に延在する環状のふち(lip)66を含む。ふち66によって画定される開口部によって、注射器シリンダー32がその開口部を通って伸展することができる。ふち66は、付勢バネ48が作用する肩としての役割を果たし、それはさらに、注入後に針34を装置筐体22内に後退させる工程の間、注射器30を遠位方向に効果的に運ぶ耐荷重面である。
【0031】
シャトル50は、分割線54から遠位方向に、胴体56から半径方向に外側方向に突出する、円周方向に延在するフランジ70を備える。フランジ70は、シャトル50を遠位方向に移動して針の後退に動力を与えるために使用される付勢部材が作用する肩としての役割を果たす。この付勢部材は、シャトル胴体の周りに(around)同心円状に取り付けられたらせん状にコイルを巻いたバネ72として提供され、そのように図示されている。フランジ70から突出する直径方向に対向したリブ79は、筐体胴体24の内部表面に形成された、図示しない、相補的な形状の溝内に嵌合する。これらの溝は長手方向に延び、シャトルをその溝に対して回転可能にロックしかつその後退の間のシャトルの軸方向の動きを案内するような大きさである。
【0032】
シャトル50の遠位端は、プランジャーの爪41の通過を可能にする一対の間隔をあけたスロット74を備え、他の点では閉鎖した端73を有するものとして示されている。閉鎖端73は、引き金ロック204が回転可能に配される台座としての役割を果たす。スロット74は、このシャトル閉鎖端の梁間75を画定する。梁間75は、プランジャーの爪によって留めることが可能であり、発射ボタン25がロックされた状態にあるときに、その発射ボタンの下向きの動きを妨げる一対の直立したフランジ76が両側に並んでいる。
【0033】
ここで図5および図6A乃至図6Cを参照すると、本発明の第1の実施形態のロック部材が他の装置構成要素とは別々に、複数の図で示されている。全体が80として示されているロック部材は、プラスチックから一つの部品として成形され、そしてシャトル胴体56の周りに同心円状に嵌合する管状の、円筒形の胴体またはカラー82を備える。このロック部材はまた、カラー82から上方向に延在する少なくとも1つ、好ましくは一対の直径方向に対向したキーまたはスプライン84をも備える。各スプライン84は、シャトルスロット58内に嵌合し、シャトル50およびロック部材80を一緒に回転可能に固定するように、カラー82によって画定される開口部の上の半径方向の空間内に突出する、つまり半径方向に内側方向に延在する先端部分85を備える。各スプライン84の外側の半径方向面は、追随部分に留め金を掛けることを容易にする面取り部87、および横方向の溝86を備える。スプライン84に隣接してカラー82に形成される長手方向のスロット90は、製造組み立ての間、ロック部材を追随部分に解放可能に留め金を掛けることを可能にする、半径方向の弾力性を備えたスプラインを提供する。
【0034】
スプライン84は、後述するようにロック部材80をシャトル50および追随部分110の両方と回転可能に係合するように設計されているが、異なる小片のロック部材でも、代替的実施形態において種々の係合を提供することができるであろう。加えて、スプライン先端部分85は、装置プランジャーのストロークの末端近くでプランジャー機構によってロック係合から外れるように軸方向に配置されているが、かかる設計は公差に依存し、そしてこれは、注入の最後にできるだけ近いところでロック部材をロック解除する目的に由来している。プランジャーのストロークの間に、例えばプランジャーストロークの最初のより近くで、プランジャーによって、ロック部材を異なる回数ロック解除することは、その遅延機構が適正な装置動作のための適切な遅延時間を提供する限り、本発明の範囲内に包含され得る。
【0035】
ここで図7および図8A乃至図8Cを参照すると、本発明の第1の実施形態の駆動体(driver)が他の装置構成要素とは別々に、複数の図で示されている。全体が95として示されているこの駆動体は、プラスチックから一つの部品として成形され、そしてシャトル胴体56の周りに同心円状に嵌合する管状の、円筒形の胴体またはカラー97を備える。円周方向に延在するふち99は、胴体97の遠位端を取り囲む。ふち99から半径方向に外側方向に突き出る直径方向に対向したリブ100は、駆動体(driver)95を筐体胴体24に回転可能に固定するために筐体胴体24の内周表面に形成される、図示しない、長手方向に延在する一対のチャネル内に滑動可能に嵌合する。少なくとも1つ、好ましくは一対の直径方向に対向したカム作用部材またはカム104が、駆動体(driver)胴体97から下方向にぶら下がっている。カム作用部材104は全体が傾斜した形状であると示されており、傾斜したカム作用表面105は水平線に対しておよそ45度の開先角度をなす。この駆動体カム作用表面のこの角度は、さらに後述するように追随部分の適正な回転速度を提供することを促進するために、追随部分のカム作用可能な表面の角度に関連して選択される。図示した傾斜形状以外の形態のカム作用部材が、本発明の範囲内で採用されてもよい。
【0036】
駆動体(driver)95は、駆動体のふち99の上面に直接係合する付勢部材によって、装置筐体内で近位方向に付勢されている。示された実施形態においてはその付勢部材は、シャトル50をも上方向に付勢するコイル状のバネ72として示されているが、異なる種類の付勢部材が使用されてもよい。加えて、シャトル50を付勢するバネとは明らかに異なる付勢部材が使用されてもよいが、このようなものは必要とされる部品の数を増加させるであろう。
【0037】
ここで図9および図10A乃至図10Eを参照すると、本発明の第1の実施形態の追随部分が他の装置構成要素とは別々に、複数の図で示されている。全体が110と示されている追随部分は一つの部品としてプラスチックから成形され、そして駆動体95から近位の場所でシャトル胴体56の周りに同心円状に嵌合する管状の、円筒形の胴体またはカラー112を備える。少なくとも1つ、好ましくは一対の直径方向に対向したカム作用可能な部材114が、追随部分の胴体112上方向に延在する。カム作用可能な部材114は、全体が傾斜した形状であると示されており、カム作用表面105と滑動可能に係合するカム作用可能な表面115は水平線に対しておよそ45度の開先角度をなす。
【0038】
追随部分110は、胴体112の内部表面119から半径方向に内側方向に突出する、一対の直径方向に対向したブロック(block)またはタブ118を備える。ブロック118は、ラッチ要素としての役割を果たし、シャトルの動作を制御するためにシャトルのL字型スロット60内に嵌合する。一対の直径方向に対向したノッチ120は、追随部分胴体112の底面121に沿って内側の内部表面119の中に形成される。ロック部材キー84は、追随部分110をロック部材80に回転可能にロックするため、ノッチ120内に嵌合する。図10Eに示されるように、横方向のリブ122が、各ノッチ120内に提供される。各横方向のリブ122は、追随部分110およびロック部材80を解放可能に一緒に軸方向に留め金を掛けるため、溝86内に嵌合する。ロック部材80が動作の間に注射器プランジャーによって下方向に積極的に押圧され、これらの構成要素をロック解除して追随部分110の回転を許容する、まで、この解放可能なラッチは、これらの構成要素を一緒に保持する。
【0039】
プランジャーストロークが針の後退の前に十分に完了していることを確実にするための適正な遅延期間を提供するために、追随部分110の強制的な回転は減衰される。好ましい減衰技法では、追随部分110と支持表面(これに対して追随部分が回転する)との間に、軸方向にではなく半径方向に配された粘性の高い化合物(compound)を使用する。追随部分と支持表面との間のこの粘性の高い化合物の界面が軸方向により高いと、遅延機能の調整可能性および一貫性が改善される。
【0040】
ここで図11および図12A乃至図12Cを参照すると、本発明の第1の実施形態においてこの支持表面を提供するグリースカラーが他の装置構成要素とは別々に、複数の図で示されている。全体が130として示されているグリースカラーは、プラスチックから一つの部品として成形され、そして追随部分110の周りに(around)同心円状に嵌合する管状の、円筒形の胴体132を備える。ふち134は半径方向に内側方向に延在し、胴体132の内周をその近位端で取り囲む。ふち134は、追随部分胴体112の底面121に接しており、カラー胴体132の近位面は筐体リブ138に接し、これにより追随部分110およびグリースカラー130の両方が筐体胴体24の中で近位方向に動くことを防止する。カラー胴体132は、筐体胴体24内にグリースカラー130を回転可能に固定するように、図示しない筐体チャネル内に保持される、一対の直径方向に対向した、半径方向に突き出るリブ135を備える。
【0041】
グリースカラーの胴体132の減衰性化合物支持表面は、136で示されるその半径方向の内周である。グリースカラー130は、粘性の高い減衰性化合物(damping compound)が追随部分と異なる流体の支持表面、例えば、筐体胴体24またはシャトルまたは駆動体の表面との間に直接配置されている他の実施形態では、省くことができる。しかしながら、グリースカラー130は、この遅延機構の組み立てを容易にし、加えて公差の制御を可能にし、その結果、その粘性の高い化合物が設けられている半径方向のクリアランスが、容易に制御可能であり、そのため製造調整プロセスの間で調整可能になる。
【0042】
図示されていないが、追随部分110とカラー130との間のかかる公差制御をさらに高めるため、この追随部分は、例えば複数の(例えば4つの)均等に円周方向に間隔をあけた、長手方向に延在するスロットの形態をした湾曲部を、追随部分底面121から上方向に延びる追随部分胴体112に備えていてもよい。
【0043】
図2では140として示されている減衰性化合物(damping compound)は、カラー表面136と追随部分胴体112の半径方向の外周113との間に配される。1つの適切な化合物は、Fairhaven、MassachusettsのNye Lubricantsから入手できるフッ化炭素ゲル836Aであり、これは温度によって変わる動粘性率を有し、1つのデータ点では、40℃で10000センチストークスである。この化合物は、広い範囲の使用温度にわたって一定の遅延時間を提供しなければならない遅延機構に適している。
【0044】
製造業者が選択する、遅延機構によって提供される遅延を考慮して、ならびに当業者によってなされてもよい化合物の配置および遅延機構の他の態様による変更を考慮して、異なる特性を有する他の化合物が、当業者によって選択されてもよい。例えば、減衰性化合物(damping compound)の作用によって引き起こされる追随部分の回転に対する抵抗は、化合物塗布の表面積、および半径方向のクリアランスによって影響を受けるであろう。そして、この抵抗を克服しなければならない遅延機構追随部分から生じる時間遅延は、駆動体/追随部分カム作用(camming)表面の角度、この追随部分によって掃引される全角度、およびこの追随部分に加えられる力(この力は、この駆動体上のバネ力の関数である)の関数である。
【0045】
なおさらに、示された遅延機構構成要素を単にわずかに変更するということではなく、異なる種類の減衰機構が本発明の範囲内で採用されてよい。例えば、追随部分に付随する開口したピストン型の部材によって置き換えられた流体を保持する封止されたチャンバが、減衰性化合物のせん断に依存してこの追随部分に抵抗をもたらす、図示した機構の代わりに使用されてもよい。
【0046】
図2乃至図12に示される本発明の遅延機構の構造は、図2および図13乃至図16を参照して装置20の動作の説明を考慮するとさらに理解されるであろう。装置は、最初は図2および図13にあるような構成をしており、次に装置の引き金ボタンが使用者によってロック解除されて押し下げられると、プランジャーの爪41はシャトル梁間75とのラッチ係合から外れて広げられ、プランジャー要素36が駆動バネ44によって近位方向に駆動されるにつれて、スロット74を通る。プランジャー要素36のこの近位方向の動き、およびそれによって生じるプランジャー封止部材38の近位方向の動きは、まず、注射器シリンダー30および針34を圧縮するバネ48の小さい力に抗して移動させ、その結果、針34の注入先端は筐体胴体近位端27を越えて突出して、次に連続したプランジャーの動きがプランジャー封止部材38を注射器シリンダー30内で近位方向に滑動させ、注射器内容物をその針を通して押し出す。プランジャー要素36が近位方向に動くにつれて、シャトルスロット58内で滑動するその突起43は、スプライン先端部分85に到達し、そのスプライン先端部分85を下向きに駆動させ、スプライン溝86と追随部分リブ122とのラッチ係合に打ち勝って、ロック部材80を、ロック部材80が追随部分を回転可能にロックするその第1の軸方向の位置から、スプライン84が追随部分ノッチ120から解放されているより近位の軸方向の位置に押し出し、追随部分を回転できるようにロック解除する。筐体リブ139は、ロック部材80があまりに遠くまで近位方向に動くのを防止する横桟(ledge)を提供する。この時点で、この装置は、図14にあるような構成になっている。
【0047】
追随部分110をロック解除すると、駆動体95のバネ72によって筐体胴体24内で軸方向に近位方向に付勢することにより、そのカム作用表面105がカム作用可能な表面115に沿って滑動することに起因して、追随部分110が筐体内でかつシャトル50の周りで回転する。追随部分110とグリースカラー130との間の減衰性化合物140は、この追随部分の回転に対する抵抗力を減衰させるか、またはそれを提供する。タブ118が横方向の通路62の長さを滑動し、そこでそれらがそれぞれ、各々スロット60の解放部分64と整列している点に乗るまで、シャトル50の周りの追随部分110の回転は、駆動体95の連続した軸方向の動きによって駆動される。この時点で、この装置は、図15にあるような構成になっている。
【0048】
タブ118がスロット部分64とこのように整列しているとき、シャトル50および追随部分110は、効果的に留め金を外されており、これによってシャトル50が、バネ72の力の下で、自動的にかつ迅速に遠位方向に移動することができ、タブ118はスロット部分64を通って軸方向に滑動し、そして針付きの注射器30を遠位方向に運び、注入針34の近位の先端を筐体24内の保護された位置まで後退させることができる。シャトル50は、それと筐体との係合によってさらなる動きが妨げられるまで、後退する。このシャトル動きの間、引き金ロック204は、筐体スリーブ26内でシャトル50によって圧縮するバネ202の力に抗して遠位方向に運ばれ得る。この時点で、この装置は図16にあるような構成になっており、この後、使用者は、通常の過程でこの装置を廃棄または他の様式で取り扱うことができる。
【0049】
ここで図17乃至図19を参照すると、本発明の遅延機構の別の実施形態が示されており、自動注入装置が一部のみ点線で示されている。この遅延機構は、シャトル150、追随部分カラー160、減衰性化合物170、およびプランジャーに付随する少なくとも1つの弾力性のあるフィンガー180を備える。
【0050】
シャトル150は、筐体の長手方向に延在する図示にないチャネル内に嵌合する一対のフランジ152を介して筐体200内で回転可能にロックされており軸方向に移動可動である。シャトル外側周囲上に形成された一対の真っ直ぐにするためのリブ154が、各長手方向のスロット156の両側にその中央の長さ部分の近くで並んでいる。シャトル150の半径方向に突き出るフランジ159の裏面は、反対側の端で筐体200の肩202に接する付勢バネ185による作用を受ける。フランジ159は、シャトル外周の周りに部分的にのみ延在し、後述する止めブロック204から外れているようになっている。
【0051】
カラー160は、シャトルフランジ159の上方に軸方向に配され、シャトル150の周りに延在する。カラー160は、その半径方向の内周の直径方向に対向した部分でその高さに沿って延在する一対のノッチ162を含む。ノッチ162は、図15ではシャトルスロット156と角度上整列している。カラー160がこのように整列しているとき、カラーの上面165は、筐体200の内側表面上に形成されそこから突出する止めブロック204に接する。少なくとも1つの他のノッチ164がカラー160の半径方向の外周に沿って形成されており、このノッチは、この構成要素が図17に示されるように配向しているときは、止めブロック204と角度上整列していない。
【0052】
減衰性化合物170は、カラー160の円周の周りに(around)設けられて、カラー160の半径方向の外周とこの筐体の内部表面との間に配される。減衰性化合物170は、筐体とカラーとの間で作用して、そのカラーが筐体200内で自由回転するのを防止する。
【0053】
一対の弾力性のあるフィンガー180は、シャトルの外側に沿って延在し、中立の状態にあるときは、各々シャトルスロット156から角度がついている。フィンガー180は、シャトルスロット156を通して延在するように、プランジャーに形成されるか、または他の様式でプランジャーに連結される。シャトル150によって運ばれる針付きの注射器は、装置20に関して示されたものとほぼ同様であるが、プランジャー要素の爪182はシャトルの1つの、中央の穴158を通って延在するものとして示されている。
【0054】
装置の動作の間、この装置は最初は図17にあるような構成になっており、注射器プランジャーがシャトル内部でプランジャーに作用する駆動バネによって近位方向または下向きに駆動されるとき、弾力性のあるフィンガー180は、真っ直ぐになるよう押され、これによって真っ直ぐにするためのリブ154の間をノッチ162の中へと通るにつれて、エネルギーを蓄える。このフィンガーが真っ直ぐになるプロセスが図18に示されている。プランジャーがそのストロークの末端の近くに来たとき、フィンガー180は、リブ154から自由に動き、そこから解放されて、カラー160に力を加える。この力は、カラー160を減衰性化合物によってもたらされる摩擦に抗して回転させる。カラー160が十分に回転し、その結果、ノッチ164が図19に示されるような止めブロック204との角方向の整列まで動かされたとき、このカラーおよびシャトルは、ブロック204が実際にノッチ164を通過するにつれて、バネ185の力の下で遠位方向に動かされるように筐体に対して効果的にロック解除され、このシャトルの動きは、それによって注射器を後退させ、その結果、注射器の針は筐体の内部に後退される。
【0055】
ここで図22および図23を参照すると、それぞれ、本発明の遅延機構のさらに別の実施形態を備えた自動注入装置の正面図および長手方向の断面図が示されている。全体が300として示されているこの自動注入装置は、当業者には分かるとおり技術思想全体では装置20に関連するが、より十分に後述するように、その物理的構成およびその動作の両方の点で異なる。
【0056】
さらに図24A乃至図24Cに示されるように、外側筐体は、Chi Mei Corporationから入手できるPolylac PA−758などのABSプラスチックから形成される管状の胴体304を備える。胴体304は透明であり、その近位端にフレア(flaring)306を有するほぼ円筒形状の外観を有する。筐体胴体304の中央の長さ部分の近くに,一対の円周方向に間隔をあけた隆線または止め308が、減衰性カラー510を支持するために、胴体内部表面に形成されている。各隆線308は、その角方向の長さに沿って配置された遠位方向に突き出るキー309を備える。止め308から角方向にずれておりかつその遠位方向に配置され、円周方向に間隔をあけた第2の組の隆線310は、追随部分475を軸方向に配置する役割を果たす。筐体胴体の遠位端の近くで、円周方向または環状のスナップリング312が、筐体胴体の内部表面から内側方向に突出する。一対の長手方向に延在しかつ直径方向に対向した隆線314は、胴体内部表面からスナップリング312の近位方向に突出する。整列のためのマーキング316は、筐体胴体304の外周の遠位端近くに描かれたパッドとして示されている。
【0057】
図25にさらに示すように、この装置で使用される薬物を満たした注射器は、注入針322を備えたガラス製のシリンダー320を備える。突出した、円周方向のリブ326を有する弾性の針の覆い324は、滅菌目的のために、針322にわたって注射器シリンダーに嵌合する。この注射器のプランジャー機構は、プランジャー要素330およびその薬物を管状のシリンダー320内に封止する弾性ピストン328によって二部品として形成される。
【0058】
プランジャー要素330はABSプラスチックで形成され、ピストンと係合する足部分332と、足部分332から延びて半径方向に外側方向に突出する円盤形状のフランジ338で終わる十字型の幹336と、フランジ338から上方向に突出する一対の弾力性のあるアームまたは爪340と、を備える。幹336に沿って形成されるフランジは、注射器運搬装置と係合できる横桟333としての役割を果たす。フランジ338は、この装置の駆動バネ350が作用する肩としての役割を果たす。一連の控え板344が、剛性を付加しかつバネ350を中心に置くために、フランジ338と爪340との間に延在する。フランジ338と幹336との間の他の控え板がさらに剛性を付加する。フランジ338は、180度離れて間隔をあけた場所でフランジ338のエッジから半径方向に外側方向に突き出る一対のキータブ346を備える。フランジ338の外側エッジに形成された一対の同程度の間隔をあけたノッチ348は、シャトル移動アーム446を収容する。
【0059】
さらに図26A乃至図26Cに示されるオーバーモールドされた注射器運搬装置は、全体が354として示されており、注射器シリンダー320のキー溝が設けられたフランジ321に嵌合して、一緒に回転可能に固定される。注射器運搬装置354は、ABSプラスチックで形成された基部356を備え、この基部は、C字型の横桟部分358を備え、そこから、半径方向に突き出た部分362を有する一対の支持体360が上方向に突出する。部分362は、注射器運搬装置のためのシャトルキーとしての役割を果たし、それによりアセンブリ354をシャトルに回転可能に固定し、加えて部分362は、この装置300がすぐに使用できる構成にあるときに、後述するシャトル移動アームを支える。注射器シリンダー320は、横桟部分358によって形成される中央開口部359を通って延在する。各支持体360は、後述するようなシャトル移動アームを収容するくぼみ364を形成するノッチを備える。基部356はまた、支持体360から半径方向に内側方向に延在するプランジャークリップ366を備える。プランジャークリップ366は、注射器および注射器運搬装置が、後述するオーバーキャップ取り外しの間、短い距離を近位方向に移動された後に、横桟333の遠位面を係合するような大きさである。この係合は、その注射器の移動を停止させ、オーバーキャップ取り外しの間、針322が装置筐体304の近位端を越えて一時的に突き出る地点まで注射器がさらに移動するのを防止する。各支持体360はまた、横桟部分358の上に突き出て、シリンダーフランジ321が軸方向に保持されている空間369を画定する肩368を備える。注射器運搬装置354はさらに、横桟部分358の裏面の一部分にわたってショア40A硬度の熱可塑性エラストマーの層をオーバーモールドすることによって提供される降着パッド(landing pad)372を備え、この層は、使用中のシャトルとの接触を和らげる。図23に示される装置300のすぐに使用できる構成では、注射器運搬装置354は、筐体基部プレートによって所定の位置に戻り止めされているオーバーキャップによよって、オーバーキャップ550に接する付随する注射器を介して、シャトル移動アームを支える機能のために、適正に軸方向に配置されている。
【0060】
製造の間に他の装置構成要素の周りに組み立てられる装置300のシャトルは、上側の小片380および下側の小片410から形成される。シャトルの小片380および410は、それぞれさらに図27A乃至図27Dおよび図28A乃至図28Fに示されるように、透明なABSプラスチックで作製されている。組み立てられたシャトルは、全体が375と呼ばれる。
【0061】
シャトルの小片380および410は、シャトルの小片380の円筒形の外周上の一対の軸方向に間隔をあけた環状の隆線またはスナップリング382を使用するスナップフィット連結を介して固定して連結される。この環状の隆線またはスナップリング382は、シャトルの下側の小片410の内周上に部分的な環状のリブ412によって形成される一対の溝の中に収容される。小片410の遠位エッジから突き出る一対の直径方向に対向した整列用輪止め(alignment dog)414は、シャトルの小片380の環状のフランジ385にある間隙383の中に密に嵌合し、整列した固定された回転の確保を確実にする。フランジ385にある一対のノッチまたは間隙388は、注入後の自動の針後退の間のシャトルの上方向の動きの間、引き金ロック回転ナッブ(nub)606のためのクリアランスを提供する。上側の小片380の遠位面390は、それを貫いて形成される一対の窓392を除いて閉じられており、この窓は小片の直径に沿って整列しており、遠位面の作動化横桟または梁間394部分によって間隔をあけられている。上側の小片380の上方内部表面から、テーパー状のフランジ398が作動化横桟394と整列して内部容量399の中にぶら下がっており、この内部容量399の中に駆動バネ350の遠位端が配されており、このフランジは横桟394を強化する。各窓392は、異なる弾力性のあるアーム340の遠位端341が容積399内から突き出ることを可能にする。プランジャーアーム340と一体的に形成されてプランジャーアーム340から内側方向に延在する向かい合う作動化フック342は、このように留め金を掛けたときに、作動化横桟394に接してプランジャー要素330をシャトルに対して軸方向に保持する。小片410の近位のエッジに形成される一対のノッチ400はプランジャータブ346を収容する。シャトルの小片の遠位端の近くに、カム作用遠位面を備えた保持タブ部分402、および戻り止めナッブ部分404の両方を備えた一対の突起が、シャトル外側周囲上に180°離して間隔をあけられている。
【0062】
シャトルの下側の小片410は、全体の形状がほぼ段階的な管状のスリーブであり、その遠位エッジで直径方向に対向したノッチ416を備える。ノッチ416は、注入後のシャトル後退ストロークの末端に引き金ロック回転ナッブ606を収容し、注入後に引き金ロックスリーブ590をシャトル375に回転可能に固定する。リブ422によって部分的に連結された一連のリブ420は、ロックスリーブ590のための座面としての役割を果たす。ロックスリーブ590の回転を選択的に防止するための一対のロックリブ424は、下側の小片の外側周囲上に180°離して間隔をあけられている。シャトルの下側の小片410の壁にわたって形成される、一対の直径方向に対向した、長手方向に延在するスロット428は、注入の間、遅延機構のロック部材をロック解除するプランジャータブ346を滑動可能に受ける。各スロット428の近位端領域に沿って、凹部430が、下側の小片410の外側周囲に形成され、ロック部材のうちの一方に対して横桟としての役割を果たす。凹部430は、ロック部材の半径方向の解放点を設定し、プランジャー動きの間、プランジャータブ346が駆動体460および追随部分475との干渉を回避するためにシャトルの下側の小片の外側表面の半径方向に外側に延在しないので、これらの点はほぼ同一平面にある。下側の小片410の外側周囲の中に形成される駆動体整列用チャネルまたは溝432は、各スロット428と角度をなして密な間隔をあけられている。チャネル432は、別々の開口434から長手方向に上方向に、かつ下側の小片410の環状のふち437に形成される後退または解放スロット436の上に延在する。開口434を画定する表面は、遅延機構の追随部分に解放可能に留め金を掛けるためのラッチ要素としての役割を果たす。開口434は、追随部分475に対してシャトル375を小さく軸方向に移動させる(後述するように、これはロックスリーブのロック解除を可能にするのに必要)のを可能にするため、追随部分後退ブロック486を考慮して十分な軸方向の高さを有している。各開口434の隅は、スロット436と整列して435で角度をつけてあり、組み立てを支援する。環状のふち437から下方向に延在する下側の小片410の減少した直径のスリーブ部分440は、注射器を支える首を提供する。スリーブ部分440の外観に提供される軸方向の延在するチャネルまたはキー溝442は、減衰性カラー510のキーまたはリブと整列して嵌合する。
【0063】
装置発射の段階分けに関与する2つのシャトル移動アームは、全体が446として示されている。移動アーム446は、シャトルの下側の小片の直径方向に対向した部分に形成されるU字型スロット448によって形成され、このスロット448は、シャトル構造に起因して弾力性のあるフィンガー450を画定する。各フィンガー450は、シャトルの下側の小片410の内周の内側に長手方向に延在する異なる注射器運搬装置チャネル444と整列している。各フィンガー450の近位端の近くで、その半径方向の外周上に、半径方向の突起452が提供されている。
【0064】
らせん状のコイル状の金属バネ455がシャトルの周りに(around)同心円状に取り付けられているものとして提供される、シャトル付勢部材が図23に示されている。バネ455の遠位端は下方のリブ420の近位端面に接し、他方、バネ455の近位端は駆動体の遠位エッジ464に接する。バネ455は遅延機構に関与し、加えて、注射器後退の動力を与えるために使用される付勢部材としての役割を果たす。
【0065】
さらに図29A乃至図29Cに示されるように、全体が460として示されている遅延機構駆動体はABSプラスチックから成形され、シャトルの下側の小片410の周りに同心円状に嵌合する管状の、円筒形の胴体462を備える。一対の直径方向に対向した、傾斜した形状のカム468が、駆動体胴体462から下方向にぶら下がっている。胴体462およびカム468から半径方向に内側方向に突き出る直径方向に対向した、長手方向に延在するリブ466は、シャトルチャネル432内に滑動可能に嵌合し、駆動体およびシャトルを一緒に回転可能に嵌合する。一対のキー溝473を備えた円周方向のフランジ472が胴体462上に提供される。キー溝473は、駆動体および筐体を直接に回転可能に嵌合するために、筐体の隆線314を収容する。駆動体の胴体462はまた、シャトル移動アーム446にクリアランスを許容するための一対の内部チャネル470を備える。
【0066】
さらに図30A乃至図30Eに示されるように、全体が475として示されている追随部分は、駆動体460の近位方向でシャトルの下側の小片410の周りに同心円状に嵌合する管状の、円筒形の胴体478を備える。追随部分475は、デュポン(Dupont)から入手可能なデルリン(登録商標)POMグレード500P NC010などの適切な材料から成形される。一対の直径方向に対向した、全体が傾斜した形状のカム作用可能な部材480は、追随部分胴体478から上方向に延在する。各部材480はふち481を備え、これは駆動体のカム作用表面467と滑動可能に係合する部材のカム作用可能な表面の直径および面積を増加させる。各カム作用可能な部材480の後縁(trailing edge)に形成される横方向に延在するノッチ482は、シャトル移動アーム446の半径方向の突起452のための狭い横桟(jam ledge)484を形成する。装置300が、図22および図23に示されるすぐに使用できる構成で使用者に提供されるとき、シャトル375は、シャトル移動アーム突起452と狭い横桟484との係合に起因して、近位の場所で追随部分475に軸方向に固定される。シャトル突起452は、移動アームフィンガー450が、フィンガー450の近位端を半径方向に支える注射器運搬装置の突き出た部分362によって半径方向に外側方向に押されることにより、狭い横桟484に嵌合する。
【0067】
追随部分475は、シャトル開口434内に嵌合するように胴体478の内部表面から半径方向に内側方向に突き出る一対の直径方向に対向した後退ブロック486を備え、このブロックはラッチ要素としての役割を果たす。面取りされた近位のエッジを備え、かつその遠位面に提供される整列用特徴489を備える円周方向のフランジ488が胴体478の近位端の近くに形成される。フランジ488は、装置組み立ての間、筐体の隆線310にかみ合う。胴体478の近位のエッジにある4つのスロット492は、その胴体の4つの減衰性ひれ状部493を画定する。
【0068】
シャトル375に対する追随部分475の回転を制限するための追随部分475用のロック部材は、図22の装置では、その追随部分と一体的に形成されている。全体が496として示されている2つのかかるロック部材は、追随部分の直径方向に反対側の部分に提供されている。各ロック部材496は、追随部分構造に起因して弾力性のあるフィンガーまたはアーム502を画定する開口部500によって形成される。各アーム502の突き出る先端の近くの各アーム502の半径方向の内側方向の面はキー504を備える。キー504は、シャトル375およびロック部材496、それによって追随部分475をも回転可能に固定するためにシャトルスロット428内に突き出ているが、この追随部分を回転できるようにロック解除するため、さらに後述するように、プランジャータブ346による注入の間、シャトルから半径方向に外側方向に、かつ筐体内部表面に向かって移動できる。
【0069】
さらに図31A乃至図31Cに示されるように、全体が510として示されているグリースまたは減衰性カラーは、ABSプラスチックから成形され、円筒形の外側周囲を有する胴体512を備える。各々有鍵の(keying)スロット515を有する一対のノッチ514が胴体512の底部エッジに提供される。ノッチ514および有鍵のスロット515は、減衰性カラー510を装置筐体304に回転可能にロックするために、組み立ての間、筐体隆線308およびキー309に収容される。一対の整列用特徴518は、追随部分475の対応する整列用特徴489に符号しており、この特徴は組み立てを容易にする。胴体512の周囲に形成される一対のノッチ520は、組み立ての間にカラー510を筐体304に挿入する際に、筐体隆線310の通過を許容する。胴体512は、環状のくぼみまたはチャネル523を画定する、ほぼU字型の壁部分522を備える。壁部分522から半径方向に内側方向に突き出た一対のリブ526は、シャトルキー溝442内に嵌合し、その結果、シャトル375はカラー510を介して筐体304に対して回転可能に固定される。
【0070】
減衰性化合物530(Nye Lubricantsから入手できるフッ化炭素ゲル836Aなど)は、環状のくぼみ523を満たす。追随部分のひれ状部493はくぼみ523内に嵌合し、その結果、化合物530は、半径方向にかかるひれ状部493の内側および外側方向に配され、追随部分のひれ状部493が動作の間に壁部分522のU字型内部表面に対して回転しようとするにつれて、減衰性または遅延効果を生じる。
【0071】
装置筐体の注入部位の皮膚に接触する表面は、透明なABSプラスチックから作製された基部プレート534から形成されており、さらに図32Aおよび図32Bに示される。基部プレート534はほぼ三葉であり、筐体304の相補的な形状の近位端の内側に嵌合するように536でキー溝が設けられており(keyed)、そこに、例えばUV硬化性接着剤、超音波溶接またはスナップフィットを介して筐体304の近位端は製造中に固定される。挿入中に針322が通って動くプレート534の中央の開口538は、遠位方向に延在するカラー540によって取り囲まれる。カラー540の内部表面に形成される一対のノッチ542は、ラッチ作用をする横桟543を形成する。使用者が針322が皮膚に侵入するべき場所を視覚化するのを助けるための着色した標的となるガイド546は、プレート534の近位表面に印刷されたパッドである。一組の3つの弓形のスロット548がプレート534を貫通して形成されている。
【0072】
透明なABSプラスチックで作製され、さらに図33Aおよび図33Bに示されるオーバーキャップ550は、基部552および直立したカラー部材554を備える。針の覆い526は、組み立ての間、カラー部材554に挿入し、その結果、部材554の内側方向に延在する一連の突起556は針の覆いリブ326の遠位エッジと係合する。カラー部材554の中に形成される一対の弾力性のある突起物558は、ラッチ作用をする横桟543に解放可能に係合し、オーバーキャップ550を筐体基部プレート534に連結する。部材554と同心円状の一連または3つの弓形のカム560は、プレート534のスロット548と位置合わせされた基部552の遠位面から遠位方向に突き出る。基部552の周囲562は、使用者が把持することが容易になるように、真っ直ぐな隆線でぎざぎざが付いている。
【0073】
装置300のロックおよび発射は、装置300の遠位端に配された作動化アセンブリを含む。このアセンブリは、引き金ロックカップ570、引き金ロックスリーブ590、および作動化ボタン620を備える。ロックカップ570は、ABSプラスチックで作製されており、さらに図34A乃至図34Cに示される。ロックカップ570は、ぶら下がったふち574を有する円盤形状の上方フランジ572を備える。ふち572に提供された一対の直径方向に対向した開口575は、一対の湾曲アーム576を形成する。一対の戻り止め578は、各開口575の反対側の角方向の端に隣接して、各湾曲アーム576の半径方向の内側方向の表面に形成される。一対の対向したスロット580はふち572の高さ全体に沿って形成される。ロックカップ570は、装置製造中にシャトルの上側の小片380の上に組み立てられ、その結果、湾曲アーム576は、保持タブ部分402にわたってスナップフィットし、このスナップフィットによる組み立てによって、戻り止めナッブ部分404が戻り止め578に嵌合する位置間の選択的な相対的回転運動が許容される。この戻り止め連結は、ロックカップ570をシャトル375および筐体304に対する2つの好ましい角度位置または回転位置のうちの一方に保つことを助けるが、ロックカップがロックスリーブ590の回転によってかかる位置間で動かねばならないときには、この戻り止め連結は、乗り越えることができる。
【0074】
ロックカップ570は、上方フランジ572にわたって形成されたロックスロット582を備える。ロックスロット582は、向かい合って半径方向に延在する拡大領域586を有する円形の中心領域584を備える。ロックカップ570がシャトルに対して第1の好ましい角度位置にあるとき、拡大領域586は、窓392から部分的にずれており、これによって上方フランジ572が窓392を通って延在するプランジャー遠位端341に半径方向に非常に近接しているという状態が生じ、これによりシャトルとの係合からフック342を解放するために必要な、かかる遠位端341の外側方向への広がりを防止する。ロックカップ570が第2の好ましい角度位置にあるとき、拡大スロット領域586は窓392と整列し、その結果、フランジ572はもはや遠位端341の外側方向への広がりを防止するためにそれらを支えることをせず、それによりロック解除するか、またはもはやシャトルとの係合から遠位端341を解放することを妨げない。
【0075】
引き金ロックスリーブ590はABSプラスチックから作製されており、さらに図35A乃至図35Dに示される。ロックスリーブ590は、把持することが容易になるように、真っ直ぐな隆線でぎざぎざが付いている本体部分592を備える。ロックスリーブ590がロックされていないか、または作動化ボタン620を押し進めることを妨げていないときは、胴体部分592の上に提供される、パッドが印刷された表示マーク594は、筐体整列用マーキング316と軸方向に整列している。表示マーク594が図22に示されるように整列用マーキング316から角度的に間隔をあけているとき、ロックスリーブ590は、ボタン620を押し進めることを妨げる。ロックスリーブ590は、その近位端領域に、筐体304の上方部分内に嵌合する下方に広がる(stepped down)部分596を備える。スリーブ部分596の円筒形の外周にある円周方向の溝597は、筐体リング312を受けて、回転の動きを許容するがそれらの間の軸方向の動きを妨げる。スリーブ部分596の近位のエッジにある直径方向に対向したノッチ599は、ロックスリーブの回転の程度を制限するため、筐体隆線314の遠位端を収容する。ノッチ599の一方にあるさらなる配向ノッチング(notching)600は、組み立ての間、整列用マーキング316と整列するために使用することができる。
【0076】
図35Dに最もよく示されるように、ロックスリーブ605のくぼみ内部を画定するロックスリーブ605の内部表面602は、ロックスリーブのロックナッブ604、引き金ロック回転ナッブ606、ボタンロックタブ608およびボタン進行ナッブ610を含めた一連の一対の直径方向の突起を備える。対向したロックナッブ604は、後述するように、シャトル上のロックリブ424と動作時に係合するための第1の軸方向の場所に配置されている。対向した引き金ロック回転ナッブ606は、ナッブ604の遠位方向に、それと角度的に間隔をあけた関係で配されており、ロックカップ570を引き金ロックスリーブ590と一緒に回転可能にロックするように、ロックカップスロット580内に嵌合する。対向したボタンロックタブ608は、ナッブ606の遠位方向に配され、かつロックナッブ604および回転ナッブ606の両方と角度的に間隔をあけた関係にある。対向したボタン進行ナッブ610は、ロックタブ608の遠位方向に配され、かつロックナッブ604、回転ナッブ606およびロックタブ608のすべてと角度上間隔をあけた関係にある。
【0077】
作動化ボタン620は、ABSプラスチックから作製されており、さらに図36A乃至図36Dに示される。ボタン620は、その外周から近位方向に延在するスカート628を有する末端ディスク622を備える。末端ディスク622は、選択的にボタンを押し進めるために使用者が力を直接に加えることができる遠位面を有する。ディスク622の裏面から、一対の直径方向に整列した作動化脚624がぶら下がっている。ボタン620は、各プランジャーの爪の遠位端341の一部として形成された一対のフランジ347の間に嵌合する各脚624によって、プランジャー要素330に回転可能に固定されている。この回転可能な固定に起因して、プランジャー要素をシャトルに回転可能に固定していること、シャトルを減衰性カラーに回転可能に固定していること、および減衰性カラーを筐体に回転可能に固定していることと合わせて、ボタン620は筐体304に対して回転しない。脚624の近位端625は、ボタンを押し進める間、プランジャーアーム340の角度のついた横桟348を直接係合し、それを外側方向に押すための形状である。
【0078】
ボタンのスカート628は、開口631を形成する一対のぶら下がる湾曲アーム630を備える。各アーム630の軸方向に延在する部分に隣接するスカート628の近位のエッジにあるノッチ632および634は、アームの湾曲を促す。各湾曲アーム630の角方向に延在する部分の上にあるスカート628のエッジは、上方向に突き出る作動化進行スロット636、および下方向に延在する回転止め638を備える。ボタン620は、装置製造の間、ロックスリーブ590上に組み立てられ、その結果、湾曲アーム630は、開口631に挿入するボタン進行ナッブ610の上にスナップフィットし、脚624はフランジ347間に嵌合する。このスナップフィット組み立ては、ロックスリーブ590がボタンに対して選択された距離を回転することを許容しつつ、ボタンの遠位方向の退却を妨げる。このロックスリーブは、進行ナッブ610が止め638に接する構成(この構成ではスリーブは図22のように配されている)と、進行ナッブ610が開口631の端に到達してスロット636と軸方向に整列している構成(この構成では、このボタンはロックスリーブ内で押し進めることができる)との間で回転することができる。ボタン620が使用者によってこのように押し進められるとき、湾曲アーム630は、開口631に挿入して、使用者が力を除いた後にボタン620を押し進められた位置に保持するボタンロックタブ608の上にスナップフィットする。これは、装置が使用されたことを使用者へ視覚的に表示するものである。
【0079】
装置300に示される本発明の遅延機構の構造は、その動作を説明することによりさらに理解されるであろう。この装置は、最初は図22および図23にあるような構成になっており、使用者はまずオーバーキャップ550を取り外さなければならない。オーバーキャップを取り外す前に、ロックスリーブ590を、整列用特徴594および316が軸方向に整列しているロック解除された状態へと回転しようとするあらゆる使用者の試みは、引き金ロックスリーブのロックナッブ604とそれに角度的に隣接して配置されたシャトルロックリブ424との直接の接触によって妨げられる。加えて、ボタン620を押し進めようとするあらゆる使用者の試みは、スカート628のエッジとボタン進行ナッブ610との接触に起因してロックスリーブ590によって妨げられる。
【0080】
オーバーキャップ550は、それを筐体から近位方向に引っ張ることによって、手動で取り外される。かかる取り外しの最初の程度は、オーバーキャップを筐体に対してねじることによってより容易にすることができ、このねじりは、プレート534に対するカム560のカム作用効果に起因して、オーバーキャップを近位方向に移動させる。このオーバーキャップの取り外しによって、針の覆い324は、オーバーキャップの突起556による覆いのリブ326の係合に起因して、針322から、そして筐体から外へと引っ張られる。この針の覆いの取り外しの間,針の覆いと注射器との摩擦係合によって、プランジャークリップ366が横桟333に接し、プランジャー要素330およびシャトル375に対する注射器のさらなる近位方向の動きが停止するまでは、注射器および注射器運搬装置354がシャトル375内で近位方向に動くということが生じる。この注射器運搬装置の近位方向の動きの間、注射器運搬装置の突き出た部分362は移動アームフィンガー450を近位方向に動かし、その結果、バネ455がシャトルおよび追随部分を軸方向に離すように付勢するため、フィンガー450の近位端は、追随部分の狭い横桟484によるシャトル突起452のカム作用に起因して、半径方向に内側方向にくぼみ364の中へと押される。このカム作用による動きは、突起452を横桟484から留め金を外し、バネ455によって提供される付勢力に起因して、シャトル375が追随部分475から遠位方向にかつ筐体305内で短い軸方向の距離(例えば、2mm)を動くことができるようにし、この時点でシャトル375は、開口434を画定する表面を係合する追随部分のブロック486を介して追随部分に対して再度留め金を掛けられる。
【0081】
シャトル375のこの留め金を掛けた軸方向の位置で、ロックスリーブのロックナッブ604は、このとき、軸方向に移動したシャトルロックリブ424とは角度上外れており、これにより使用者は、ロックスリーブをロック解除された構成へと回転させることができる。特に、使用者は、整列用特徴594および316が位置合わせされるまで、ロックスリーブ590を把持し、筐体304に対してロックスリーブ590を手動で回転させることができ、この時点でボタン進行ナッブ610は、開口631の端に到達し、スロット636と軸方向に整列している。このロックスリーブの回転の間、引き金ロックカップ570は、回転ナッブ606がスロット580内に嵌合していることに起因して、プランジャーの端が外側方向に広がるのをフランジ572がもはや妨げないその第2の好ましい角度位置へと同時に回転される。この時点で、装置30は、注入のための準備がされている。
【0082】
注入の引き金を引くために装置300が注入部位に適正に配置された後、使用者が作動化ボタン620を近位方向に押すと、ボタンの脚624の近位端625は、プランジャーアーム340を押して広げ、その結果、プランジャー要素330が駆動バネ350によって自動的に近位方向に駆動されるにつれて、作動化フック342は横桟394から留め金を外され、プランジャーの遠位端341は自由に窓392を通過する。ボタン620は、湾曲アーム630とボタンロックタブ608との係合によって、ロックスリーブ590内でこの押し進められた位置に保持される。
【0083】
プランジャー要素330の近位方向の動きは、まず、注射器運搬装置354がシャトル375内で底に達するまでの注射器の動きを生じ、オーバーモールド部分372およびバネ455がこの底への到達を減衰し、このとき注入針322の先端が筐体近位端を越えて注入部位の中へと突き出る。連続するプランジャーの動きは、ピストン328をシリンダー320内で滑動させ、注射器内容物を針を通して押し出す。プランジャーの進行によりタブ346がロック部材キー504に到達するということが生じると、タブ346はキー504をシャトルスロット428から半径方向に外側方向に移動させ、追随部分475を回転できるようにロック解除する。
【0084】
このロック解除をすると、駆動体460のバネ455による近位方向への付勢によって、追随部分475が筐体内でかつシャトル375の周りで回転し、追随部分と減衰性カラー510との間の減衰性化合物530がこの回転に抵抗する。シャトルの周りの追随部分の回転は、ブロック486がシャトル開口434内で解放スロット436との整列へと移動されるまで、駆動体460の連続した軸方向の動きによって駆動される。この整列で、シャトル375および追随部分475は効果的に留め金を外され、シャトル375は、バネ455の力の下で、自動的および迅速に遠位方向に移動することができて、注入針322を筐体24内に後退させるように針付きの注射器を遠位方向に運ぶことができるようになる。直径方向に対向したノッチ416が引き金ロック回転ナッブ606の周りに嵌合しそれに接するまで、シャトル50は後退し、この時点でシャトル上方範囲は作動化ボタン620の内部容積内に嵌まり込む。軸方向に後退されたということに起因して、シャトル375は減衰性カラー510によってもはや回転可能に固定されていないが、駆動体リブ466とシャトルチャネル432との係合および駆動体のキー溝473と筐体隆線314との係合に起因して、シャトル375はいまだ筐体304に対して回転可能に固定されている。そして、回転ナッブ606とノッチ416との係合に起因して、引き金ロックスリーブ590は筐体に対して回転可能にロックされ、それにより装置300が使用されたことを使用者に知らせる。この装置は、次いで通常の過程において、廃棄されてもよいし、または他の様式で使用者が取り扱ってもよい。
【0085】
本発明が好ましい設計を有するものとして説明してきたが、本発明は、本開示の趣旨および範囲内で変更されてもよい。例えば、上述の遅延機構は回転する追随部分を利用するが,軸方向に動いてシャトルの留め金を外す追随部分が本発明の範囲内で提供されてもよい。具体的に、そして一例として,回転可能に固定されておりかつ筐体内で軸方向に可動式の追随部分は、バネによって、そしてさらなる介在する駆動体なしに直接作用を受けてもよい。この追随部分は、最初は、例えば,筐体胴体と係合しているロック部材によって軸方向に保持されているが、このロック部材は、注入の間にプランジャーが通ると係合が外れ、この追随部分がバネによって軸方向に移動できるようになる。減衰性化合物は、例えば、追随部分の半径方向の外周と筐体胴体の内部との間に提供される。この追随部分がこのように軸方向に移動されるとき、それは、例えば筐体と係合するシャトルのフィンガーの係合を外すことによりシャトルを筐体から外し、それにより、シャトルが内部のバネによって後退することが可能になり、それによって運ばれた注射器を後退させるようにできる。それゆえ本願は、本発明の一般原理を使用する本発明のあらゆるバリエーション、使用または適合物を包含することが意図されている。さらに、本願は、本開示からのかかる逸脱を、本発明が関係する技術分野における公知または周知技術の範囲内に入るものとして包含することを意図している。
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品注入装置、および具体的には自動注入装置用遅延機構に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの異なる疾患に罹患している患者は、しばしば自分自身に医薬品を注入しなければならない。これらの注入を容易にするために、種々の装置が提案されてきた。1つの種類の装置は自動注入装置である。この種類の装置は、使用者によって引き金を引かれたときに、発射される前は装置筐体内に配されていた注射器の針を使用者の中へと自動的に挿入し、次いである用量の薬物をその挿入された針を通して自動的に注入する。1つの公知の種類の自動注入装置は、次いで、その用量が完了したときにその針を覆うためのシュラウド(shroud)を自動的に前進させる。前進するシュラウドを有する代わりに、一部の人にとってはより望ましい構成を有する別の種類の自動注入装置では、その用量が完了したときに、針をその筐体の中へと自動的に後退させる。針を後退させる特徴を備えた自動注入器を設計に伴う1つの困難は、その注射器の所望の内容物が全て注入されてしまうこと、および使用後に注射器の針が適正に装置筐体の中へと後退されることの両方を確実にすることである。
【0003】
特許文献1は、さらに詳細にかかる設計の困難さを説明し、さらには非常に粘性のある流体の減衰(damping)を含むある種の遅延機構を使用する解決策を提案する。たぶん機能的であるが、これらの解決策は、注入のあいだ力をその注射器に移すために使用される遅延機構など、それら自身の欠点がないわけではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2005/115516号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、先行技術のこれらおよび他の欠点の1つ以上を克服することができる自動注入装置用遅延機構を提供することは望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態では、本発明は、筐体、プランジャーを備えた針付きの注射器、およびこの針付きの注射器をこの筐体内で第1の方向に動かして、その注射器の針を筐体を越えて延在させ、上記プランジャーを前進させて注入のために注射器内容物を針を通して押し出し、そして注入後にその針を筐体内に後退させるための複数の付勢要素を有する自動注入装置における、遅延機構を提供する。この遅延機構は、上記注射器のためのシャトルであって、第1のラッチ要素を含むシャトルと、第2のラッチ要素とカム作用可能な(cammable)表面とを含む追随部分であって、この第2のラッチ要素は、この第1のラッチ要素と協働して、上記第1の方向とは反対の第2の方向におけるこの追随部分に対するシャトルの動きを制限するためのものである追随部分と、注入の間、注射器プランジャーとの係合によって筐体内でロック位置から解放位置へと移動可能であるロック部材であって、このロック部材は、ロック位置にあるとき、シャトルに対する上記追随部分の回転を防止し、上記ロック部材は、解放位置にあるとき、シャトルに対するこの追随部分の回転を許容するロック部材と、シャトルに対する上記記追随部分の回転を減衰するための、上記追随部分と支持表面との間の減衰性化合物と、上記シャトルに対して回転可能に固定され、かつカム作用表面を備える駆動体と、駆動体付勢要素であって、この駆動体付勢要素は、上記ロック部材が解放位置へと動くとき、上記駆動体を第1の位置から第2の位置へと押し、それによってこの駆動体が第2の位置へと動く間、上記駆動体カム作用表面は上記追随部分カム作用可能な表面と係合して上記追随部分を、上記第1および第2のラッチ要素が協働する留め金を掛けた位置から、第2のラッチ要素が第1のラッチ要素から係合が外れ、注入後に注射器の針を上記筐体の中へと後退させるための上記シャトルの動きを許容する留め金を外した解除位置へと、シャトルに対して回転させるためのものである、駆動体付勢要素と、を備える。
【0007】
本発明の別の形態では、本発明は、自動注入装置用遅延機構であって、この装置の針付きの注射器のためのシャトルと、移動可能部材と、針後退方向におけるこのシャトルの動きを制限するための手段と、このシャトルに対する上記移動可能部材の動きを減衰するための手段と、注入後に注射器の針を装置内に後退させるための上記シャトルの動きを許容するために、このシャトルに対して、上記移動可能部材を第1の位置から第2の位置へと動かすための手段と、を備える遅延機構を提供する。
【0008】
本発明の1つの利点は、異なる構成の自動注入装置とともに使用するために適合できる遅延機構が提供できることである。
【0009】
本発明の別の利点は、針挿入およびその後の注入の間に注射器に加えられる操作力が実質的に関与しない自動注入装置のための遅延機構が提供できることである。
【0010】
本発明の別の利点は、注射器から駆動アクチュエータを解放することなしに針の適時の後退を許容する、自動注入装置のための遅延機構が提供できることである。
【0011】
本発明のさらに別の利点は、注射器の駆動アクチュエータからの抵抗に打ち勝つ必要なしに針の適時の後退を許容する、自動注入装置のための遅延機構が提供できることである。
【0012】
本発明の別の利点は、封止されたチャンバから置き換えられること、または排出口を通して押し出されることを必要としない減衰性流体を使用する、自動注入装置のための遅延機構が提供できることである。
【0013】
本発明のさらに別の利点は、装置の発射(triggering)を段階分けするのを助ける、自動注入装置のための遅延機構が提供できることである。
【0014】
添付の図面に関連して解釈される本発明の実施形態の以下の説明を参照すれば、本発明の上述の利点および他の利点ならびに目的、ならびにそれらを達成するための様式はより明らかになるであろうし、本発明自体がよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の遅延機構の第1の実施形態を備えた自動注入装置の正面図である。
【図2】図1の本発明の遅延機構を備えた自動注入装置の断面での部分正面図である。
【図3】シャトルが他の構成要素とは別々に示されている、図1の遅延機構のシャトルの斜視図である。
【図4A】図3のシャトルの側面図である。
【図4B】図3のシャトルの正面図である。
【図4C】図3のシャトルの長手方向の断面図である。
【図4D】図3のシャトルの平面図である。
【図5】ロック部材が他の構成要素とは別々に示されている、図1の遅延機構のロック部材の斜視図である。
【図6A】図5のロック部材の正面図である。
【図6B】図5のロック部材の側面図である。
【図6C】図5のロック部材の平面図である。
【図7】駆動体が他の構成要素とは別々に示されている、図1の遅延機構の駆動体の斜視図である。
【図8A】図7の駆動体の正面図である。
【図8B】図7の駆動体の側面図である。
【図8C】図7の駆動体の上面図である。
【図9】追随部分が他の構成要素とは別々に示されている、図1の遅延機構の追随部分の斜視図である。
【図10A】図9の追随部分の側面図である。
【図10B】図9の追随部分の正面図である。
【図10C】図9の追随部分の平面図である。
【図10D】図9の追随部分の底面図である。
【図10E】図9の追随部分の長手方向の断面図である。
【図11】グリースカラーが他の構成要素とは別々に示されている、図1の遅延機構のグリースカラーの斜視図である。
【図12A】図11のグリースカラーの正面図である。
【図12B】図11のグリースカラーの側面図である。
【図12C】図11のグリースカラーの平面図である。
【図13】動作の種々の段階における図1の装置の部分断面における正面図である。
【図14】動作の種々の段階における図1の装置の部分断面における正面図である。
【図15】動作の種々の段階における図1の装置の部分断面における正面図である。
【図16】動作の種々の段階における図1の装置の部分断面における正面図である。
【図17】動作の異なる段階における本発明の遅延機構の別の実施形態を備えた注入装置の部分的な概略的な斜視図である。
【図18】動作の異なる段階における本発明の遅延機構の別の実施形態を備えた注入装置の部分的な概略的な斜視図である。
【図19】動作の異なる段階における本発明の遅延機構の別の実施形態を備えた注入装置の部分的な概略的な斜視図である。
【図20】動作の異なる段階における、図1の自動注入装置のロックおよび発射部分の部分的な斜視図である。
【図21】動作の異なる段階における、図1の自動注入装置のロックおよび発射部分の部分的な斜視図である。
【図22】本発明の遅延機構のさらに別の実施形態を備えた自動注入装置の正面図である。
【図23】図22の本発明の遅延機構を備えた自動注入装置の長手方向の断面における正面図であり、この時点で、この装置はすぐに使用できる構成にあるが、この装置を使用のためにはキャップを外さなければならない。
【図24A】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の筐体胴体の斜視図である。
【図24B】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の筐体胴体の長手方向の断面図である。
【図24C】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の筐体胴体の遠位端の図である。
【図25】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の注射器およびプランジャーの分解斜視図である。
【図26A】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置のオーバーモールドされた注射器運搬装置の斜視図である。
【図26B】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置のオーバーモールドされた注射器運搬装置の近位端の図である。
【図26C】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置のオーバーモールドされた注射器運搬装置の立面図である。
【図27A】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置のシャトルの上側の小片の上側からの斜視図である。
【図27B】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置のシャトルの上側の小片の下側からの斜視図である。
【図27C】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置のシャトルの上側の小片の長手方向の断面図である。
【図27D】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置のシャトルの上側の小片の遠位端の図である。
【図28A】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置のシャトルの下側の小片の上側からの斜視図である。
【図28B】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置のシャトルの下側の小片の第1の立面図である。
【図28C】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置のシャトルの下側の小片の第2の立面図である。
【図28D】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置のシャトルの下側の小片の第1の長手方向の断面図である。
【図28E】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置のシャトルの下側の小片の第2の長手方向の断面図である。
【図28F】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置のシャトルの下側の小片の遠位端の図である。
【図29A】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の駆動体の斜視図である。
【図29B】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の駆動体の遠位端の図である。
【図29C】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の駆動体の立面図である。
【図30A】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の追随部分の上側からの斜視図である。
【図30B】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の追随部分の第1の立面図である。
【図30C】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の追随部分の第2の立面図である。
【図30D】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の追随部分の長手方向の断面図である。
【図30E】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の追随部分の遠位端の図である。
【図31A】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の減衰性カラーの上側からの斜視図である。
【図31B】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の減衰性カラーの立面図である。
【図31C】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の減衰性カラーの長手方向の断面図である。
【図32A】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の筐体基部プレートの上側からの斜視図である。
【図32B】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の筐体基部プレートの近位端の図である。
【図33A】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置のオーバーキャップの上側からの斜視図である。
【図33B】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置のオーバーキャップの長手方向の断面図である。
【図34A】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の引き金ロックカップの上側からの斜視図である。
【図34B】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の引き金ロックカップの遠位端の図である。
【図34C】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の引き金ロックカップの立面図である。
【図35A】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の引き金ロックスリーブの上側からの斜視図である。
【図35B】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の引き金ロックスリーブの背面立面図である。
【図35C】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の引き金ロックスリーブの遠位端の図である。
【図35D】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の引き金ロックスリーブの長手方向の断面図である。
【図36A】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の作動化ボタンの上側からの斜視図である。
【図36B】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の作動化ボタンの第1の立面図である。
【図36C】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の作動化ボタンの第2の立面図である。
【図36D】他の装置構成要素とは別々に示されている、図22の装置の作動化ボタンの長手方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
対応する参照文字は、いくつかの図にわたって対応する部品を示す。図面は本発明の実施形態を表しているが、その図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれてはおらず、本発明をよりよく図示および説明するために、図面のいくつかでは一部の特徴が誇張されているか、または省略されていることがある。
【0017】
ここで図1および図2を参照すると、それぞれ、本発明の遅延機構の第1の実施形態を備えた自動注入装置の正面図、および部分断面正面図が示されている。本発明の遅延機構は、有利なことに、種々の異なる構成の自動注入装置で採用することができるため、本願明細書では、わずかばかりの注入装置の詳細が示され、説明されているに過ぎない。そしてかかる詳細は例示的であり、決して限定するものではない。
【0018】
従来どおり、全体が20と示されるこの自動注入装置は、使用者によって作動されるときに、この装置の針付きの注射器が下向きに駆動され、その結果、注入針が装置筐体の下端を越えて突き出て、使用者に侵入するようにする引き金を有する。次いでこの装置は、注射器の薬物内容物をその針を通して注入することを開始し、その後で、注入針が筐体内に戻るようにこの注射器は後退される。示された本発明の遅延機構は、装置の動作を段階分けするのに役立ち、針付きの注射器が後退されるのに先立ち、薬物内容物が適正に送達されるのを確実にする。
【0019】
装置20は、中にこの装置の作業用構成要素が操作的に配されている外側筐体22を含む。筐体22の本体24は、フレア状の端部23を有するほぼ円筒形状の外観を有するものとして示されているが、異なった形状をしていてもよい。本体24は、近位端27と遠位端28との間に延在する。本願明細書で使用する場合、遠位および近位は、上記装置が注入部位で使用するために配向されたときに、かかる部位に対する軸方向の場所を指す。これにより、例えば、筐体胴体の近位端は、かかる注入部位に最も近い筐体胴体の端部を指す。
【0020】
筐体の頂部または遠位端に、使用者によって操作される引き金の一部分である安全制御されたボタン25が提供されている。筐体の安全スリーブ26が、使用者によって回転可能に調整されるようにして、筐体胴体24に対して適正な角度配向で配されたとき、ボタン25はロック解除され、この装置の自動注入機能を開始するために、押し下げることができるようになる。使用者によって操作されるためにこの装置が選択的に発射される(triggered)ようにするロック/発射機構の内部の仕組みは、当該技術分野で公知の点では、異なる構成であってよい。この装置の全長を制限するため、本発明の遅延機構に特に適合する、装置20のための1つのロック/発射機構が図20および図21に示されている。
【0021】
図20および図21において、この装置の上方部分が、その動作の異なる段階で示されており、そして筐体安全スリーブ26は、内部構成要素の理解を容易にするために透明にして示されている。安全スリーブ26は、筐体胴体24に回転可能に取り付けられて図示されており、その回転は、筐体に取り付けられておりかつスリーブのスロット192内で滑動するピン190によって、制限されている。ボタン25は、安全スリーブ26の内部に捕捉されている拡大した肩194を含む。ボタン25は、ボタンの肩194の上に形成された半径方向に突き出たリブ196によってスリーブ26に回転可能に固定されており、このリブ196は、スリーブ26の内部表面上の長手方向に延在するノッチ198内を滑動する。プランジャー要素36の爪41と係合する一対の半径方向に整列したフランジ200が、ボタン25の裏面からぶら下がっている。コイル状のバネ202は、ボタン25と全体が204として示されている引き金ロックとの間に配されて、それらを離すように付勢する。
【0022】
引き金ロック204は、ノッチ198内に滑動可能に嵌合してこの引き金ロックをスリーブ26に回転可能に固定する半径方向に突き出るリブ208を含む環状基部206を含む。カラー210は、基部206から上方向に突き出て、カラー210の残りから半径方向に外側方向に段を作っている一対の直径方向に対向するカラー部分212を含む。
【0023】
このロック/発射(triggering)機構が図20に示されるように配向されると(この配向は図2にも一部示されている)、カラー210の段を作っていない(non−offset)部分がプランジャーの爪41の半径方向に外側方向の面を支えて、かかる爪が外方向に広がるのを妨げるため、この装置はロックされる。使用者がボタン25を下向きに押そうとすると、ボタンフランジ200は、シャトルフランジ76に接し、これがさらなるボタンの押し下げを妨げる。このロック/発射機構が、図21に示される構成へと使用者によって回転されるとき、カラーの段を作った部分212は、プランジャーの爪41の半径方向に外側方向に整列し、ボタンフランジ200はかかる爪の上に整列する。このロック解除された状態において、使用者が押し進める力をボタン25に対して加えるとき、フランジ200は下向きに移動し、爪41と直接係合し、かかる爪はカラー部分212によって妨害されていないため、かかる爪を外方向に広げさせ、その結果、このプランジャーが下向きに付勢されているため、このプランジャーの爪はシャトル開口部74を通して嵌合することができる。
【0024】
ここで図2を参照すると、装置20は、薬物が満たされた注射器(全体が30として示される)を含む。注射器30は、ほぼ標準的な設計のものであり、それは、ガラス製のシリンダー32を備え、注射器シリンダーの薬物内容物と流体連通したその近位端に注入針34が取り付けられている。この注射器のプランジャー機構は、プラスチック製プランジャー要素36、およびシリンダー32内に薬物を封止する弾性封止部材またはピストン38によって、2部に構成されている。プランジャー要素36の近位領域40は、押し進める操作のあいだ封止ピストン38に操作的に接する働きをし、封止ピストン38から軸方向に上方向に延在する。プランジャーの要素36とピストン38との間に提供される、図示された小さい間隙は、製作公差、および使用前の、例えば温度変化に起因する注射器内容物のわずかの容積変化を許容するためのものである。プランジャー要素36の図示された遠位領域は、図示された実施形態の装置発射機構によって解放されるまで、シャトルと留め金式に係合するようになっている一対の爪41を備える。プランジャー要素36の半径方向に外側方向に突き出ている、円周方向のフランジ42は、この装置の駆動バネ44が作用する肩としての役割を果たす。
【0025】
注射器30はキャリッジ46に取り付けられており、全体が50として示されているシャトル内に、キャリッジ46とシャトルとの間で作用する付勢バネ48によって付勢または持ち上げられている。この装置が発射される(triggered)と、駆動バネ44は、プランジャー要素36、およびそれによって封止部材38を近位方向に駆動し、この駆動された動きは、バネ48の力に打ち勝って注射器シリンダー32をシャトルおよび筐体22に対して近位方向に移動させ、使用者の皮膚に侵入するために針34の先端を筐体の近位端27を越えて突き出させ、次いで注入のために注射器の薬物内容物をその針を通して押し出す。
【0026】
ここで図3および図4A乃至図4Dを参照すると、本発明の第1の実施形態のシャトルが他の装置構成要素とは別々に、複数の図で示されている。シャトル50は、遅延機構の追随部分に対して留め金を掛ける(latch)役割を果たし、加えて、その追随部分から留め金を外された(unlatched)ときに、注射器を遠位方向に運ぶ、または別の可能な実施形態では他の様式で注射器の遠位方向の動きを許容する役割を果たす。この機能性を提供する他のシャトル構成が、本発明の範囲内で示される構成に代わりに使用することができる。
【0027】
シャトル50は、例えば接着剤を用いて、分割線54に沿って固定して連結されている2つの嵌め合いのプラスチック製部品52および53から形成されている。この二部構成は、プランジャーの成形および組み立てを容易にするが、異なる構築法を採用してもよい。シャトル50は、胴体の壁にわたってその長さの大部分に沿って形成された、少なくとも1つ、好ましくは一対の直径方向に対向した、長手方向に延在するスロット58を有する管状の、円筒形の胴体56を備える。スロット58は、注入のあいだ、プランジャーによって遅延機構のロック部材の係合を可能にする。図2に示すように、各スロット58は、示された実施形態におけるプランジャーの半径方向に延在する部分を滑動可能に受け、このプランジャー部分はプランジャーフランジ42からの一対の突起43からなる。上記ロック部材は、駆動バネを支持するプランジャー要素部品の突起43によって直接係合されるが、他の機能的構造も、介在する部品を介するロック部材の間接的な係合を含めて、本発明の範囲に含まれる。
【0028】
このシャトルはまた、この遅延機構の追随部分(follower)を解放可能に係合するための、少なくとも1つ、好ましくは一対のラッチ要素をそのシャトルの近位端の近くに備える。このラッチ要素は、全体が60として示されている一対の直径方向に対向した、L字型スロットの一部分として提供されている。L字型のスロット60の短い通路または脚62は、長手方向に対して横方向に配向しており、シャトル胴体の外周の周りに限られた距離だけ延在する(extend)。スロット脚62、より具体的にはそのスロット部分を画定しかつ追随部分の突き出るタブ(つまみ)(tab)のための接合点を画定するシャトル胴体の表面は、追随部分と係合するためのロックまたはラッチ要素を提供する。各スロット60の軸方向に延在する部分64は、解放経路または通路であり、これによって、シャトルが追随部分から留め金を外す(unlatch)ことができる。
【0029】
スロット60は管状の胴体56の壁の厚み全体にわたって延在するとして示されているが、シャトル50は、本発明の範囲内の異なる構成のラッチ要素を備えていてもよい。例えば、上記通路は、追随部分上の相補的な通路と協働するタブで置き換えることができるであろう。なおさらに、スロットではなく、適切に形作られた溝またはノッチがシャトルの周囲に形成されてもよいが、このようなものは、より厚くおそらくあまり望ましくないシャトル構造を必要とするであろう。
【0030】
シャトル50は、その近位端に、シャトル胴体56から半径方向に内側方向に延在する環状のふち(lip)66を含む。ふち66によって画定される開口部によって、注射器シリンダー32がその開口部を通って伸展することができる。ふち66は、付勢バネ48が作用する肩としての役割を果たし、それはさらに、注入後に針34を装置筐体22内に後退させる工程の間、注射器30を遠位方向に効果的に運ぶ耐荷重面である。
【0031】
シャトル50は、分割線54から遠位方向に、胴体56から半径方向に外側方向に突出する、円周方向に延在するフランジ70を備える。フランジ70は、シャトル50を遠位方向に移動して針の後退に動力を与えるために使用される付勢部材が作用する肩としての役割を果たす。この付勢部材は、シャトル胴体の周りに(around)同心円状に取り付けられたらせん状にコイルを巻いたバネ72として提供され、そのように図示されている。フランジ70から突出する直径方向に対向したリブ79は、筐体胴体24の内部表面に形成された、図示しない、相補的な形状の溝内に嵌合する。これらの溝は長手方向に延び、シャトルをその溝に対して回転可能にロックしかつその後退の間のシャトルの軸方向の動きを案内するような大きさである。
【0032】
シャトル50の遠位端は、プランジャーの爪41の通過を可能にする一対の間隔をあけたスロット74を備え、他の点では閉鎖した端73を有するものとして示されている。閉鎖端73は、引き金ロック204が回転可能に配される台座としての役割を果たす。スロット74は、このシャトル閉鎖端の梁間75を画定する。梁間75は、プランジャーの爪によって留めることが可能であり、発射ボタン25がロックされた状態にあるときに、その発射ボタンの下向きの動きを妨げる一対の直立したフランジ76が両側に並んでいる。
【0033】
ここで図5および図6A乃至図6Cを参照すると、本発明の第1の実施形態のロック部材が他の装置構成要素とは別々に、複数の図で示されている。全体が80として示されているロック部材は、プラスチックから一つの部品として成形され、そしてシャトル胴体56の周りに同心円状に嵌合する管状の、円筒形の胴体またはカラー82を備える。このロック部材はまた、カラー82から上方向に延在する少なくとも1つ、好ましくは一対の直径方向に対向したキーまたはスプライン84をも備える。各スプライン84は、シャトルスロット58内に嵌合し、シャトル50およびロック部材80を一緒に回転可能に固定するように、カラー82によって画定される開口部の上の半径方向の空間内に突出する、つまり半径方向に内側方向に延在する先端部分85を備える。各スプライン84の外側の半径方向面は、追随部分に留め金を掛けることを容易にする面取り部87、および横方向の溝86を備える。スプライン84に隣接してカラー82に形成される長手方向のスロット90は、製造組み立ての間、ロック部材を追随部分に解放可能に留め金を掛けることを可能にする、半径方向の弾力性を備えたスプラインを提供する。
【0034】
スプライン84は、後述するようにロック部材80をシャトル50および追随部分110の両方と回転可能に係合するように設計されているが、異なる小片のロック部材でも、代替的実施形態において種々の係合を提供することができるであろう。加えて、スプライン先端部分85は、装置プランジャーのストロークの末端近くでプランジャー機構によってロック係合から外れるように軸方向に配置されているが、かかる設計は公差に依存し、そしてこれは、注入の最後にできるだけ近いところでロック部材をロック解除する目的に由来している。プランジャーのストロークの間に、例えばプランジャーストロークの最初のより近くで、プランジャーによって、ロック部材を異なる回数ロック解除することは、その遅延機構が適正な装置動作のための適切な遅延時間を提供する限り、本発明の範囲内に包含され得る。
【0035】
ここで図7および図8A乃至図8Cを参照すると、本発明の第1の実施形態の駆動体(driver)が他の装置構成要素とは別々に、複数の図で示されている。全体が95として示されているこの駆動体は、プラスチックから一つの部品として成形され、そしてシャトル胴体56の周りに同心円状に嵌合する管状の、円筒形の胴体またはカラー97を備える。円周方向に延在するふち99は、胴体97の遠位端を取り囲む。ふち99から半径方向に外側方向に突き出る直径方向に対向したリブ100は、駆動体(driver)95を筐体胴体24に回転可能に固定するために筐体胴体24の内周表面に形成される、図示しない、長手方向に延在する一対のチャネル内に滑動可能に嵌合する。少なくとも1つ、好ましくは一対の直径方向に対向したカム作用部材またはカム104が、駆動体(driver)胴体97から下方向にぶら下がっている。カム作用部材104は全体が傾斜した形状であると示されており、傾斜したカム作用表面105は水平線に対しておよそ45度の開先角度をなす。この駆動体カム作用表面のこの角度は、さらに後述するように追随部分の適正な回転速度を提供することを促進するために、追随部分のカム作用可能な表面の角度に関連して選択される。図示した傾斜形状以外の形態のカム作用部材が、本発明の範囲内で採用されてもよい。
【0036】
駆動体(driver)95は、駆動体のふち99の上面に直接係合する付勢部材によって、装置筐体内で近位方向に付勢されている。示された実施形態においてはその付勢部材は、シャトル50をも上方向に付勢するコイル状のバネ72として示されているが、異なる種類の付勢部材が使用されてもよい。加えて、シャトル50を付勢するバネとは明らかに異なる付勢部材が使用されてもよいが、このようなものは必要とされる部品の数を増加させるであろう。
【0037】
ここで図9および図10A乃至図10Eを参照すると、本発明の第1の実施形態の追随部分が他の装置構成要素とは別々に、複数の図で示されている。全体が110と示されている追随部分は一つの部品としてプラスチックから成形され、そして駆動体95から近位の場所でシャトル胴体56の周りに同心円状に嵌合する管状の、円筒形の胴体またはカラー112を備える。少なくとも1つ、好ましくは一対の直径方向に対向したカム作用可能な部材114が、追随部分の胴体112上方向に延在する。カム作用可能な部材114は、全体が傾斜した形状であると示されており、カム作用表面105と滑動可能に係合するカム作用可能な表面115は水平線に対しておよそ45度の開先角度をなす。
【0038】
追随部分110は、胴体112の内部表面119から半径方向に内側方向に突出する、一対の直径方向に対向したブロック(block)またはタブ118を備える。ブロック118は、ラッチ要素としての役割を果たし、シャトルの動作を制御するためにシャトルのL字型スロット60内に嵌合する。一対の直径方向に対向したノッチ120は、追随部分胴体112の底面121に沿って内側の内部表面119の中に形成される。ロック部材キー84は、追随部分110をロック部材80に回転可能にロックするため、ノッチ120内に嵌合する。図10Eに示されるように、横方向のリブ122が、各ノッチ120内に提供される。各横方向のリブ122は、追随部分110およびロック部材80を解放可能に一緒に軸方向に留め金を掛けるため、溝86内に嵌合する。ロック部材80が動作の間に注射器プランジャーによって下方向に積極的に押圧され、これらの構成要素をロック解除して追随部分110の回転を許容する、まで、この解放可能なラッチは、これらの構成要素を一緒に保持する。
【0039】
プランジャーストロークが針の後退の前に十分に完了していることを確実にするための適正な遅延期間を提供するために、追随部分110の強制的な回転は減衰される。好ましい減衰技法では、追随部分110と支持表面(これに対して追随部分が回転する)との間に、軸方向にではなく半径方向に配された粘性の高い化合物(compound)を使用する。追随部分と支持表面との間のこの粘性の高い化合物の界面が軸方向により高いと、遅延機能の調整可能性および一貫性が改善される。
【0040】
ここで図11および図12A乃至図12Cを参照すると、本発明の第1の実施形態においてこの支持表面を提供するグリースカラーが他の装置構成要素とは別々に、複数の図で示されている。全体が130として示されているグリースカラーは、プラスチックから一つの部品として成形され、そして追随部分110の周りに(around)同心円状に嵌合する管状の、円筒形の胴体132を備える。ふち134は半径方向に内側方向に延在し、胴体132の内周をその近位端で取り囲む。ふち134は、追随部分胴体112の底面121に接しており、カラー胴体132の近位面は筐体リブ138に接し、これにより追随部分110およびグリースカラー130の両方が筐体胴体24の中で近位方向に動くことを防止する。カラー胴体132は、筐体胴体24内にグリースカラー130を回転可能に固定するように、図示しない筐体チャネル内に保持される、一対の直径方向に対向した、半径方向に突き出るリブ135を備える。
【0041】
グリースカラーの胴体132の減衰性化合物支持表面は、136で示されるその半径方向の内周である。グリースカラー130は、粘性の高い減衰性化合物(damping compound)が追随部分と異なる流体の支持表面、例えば、筐体胴体24またはシャトルまたは駆動体の表面との間に直接配置されている他の実施形態では、省くことができる。しかしながら、グリースカラー130は、この遅延機構の組み立てを容易にし、加えて公差の制御を可能にし、その結果、その粘性の高い化合物が設けられている半径方向のクリアランスが、容易に制御可能であり、そのため製造調整プロセスの間で調整可能になる。
【0042】
図示されていないが、追随部分110とカラー130との間のかかる公差制御をさらに高めるため、この追随部分は、例えば複数の(例えば4つの)均等に円周方向に間隔をあけた、長手方向に延在するスロットの形態をした湾曲部を、追随部分底面121から上方向に延びる追随部分胴体112に備えていてもよい。
【0043】
図2では140として示されている減衰性化合物(damping compound)は、カラー表面136と追随部分胴体112の半径方向の外周113との間に配される。1つの適切な化合物は、Fairhaven、MassachusettsのNye Lubricantsから入手できるフッ化炭素ゲル836Aであり、これは温度によって変わる動粘性率を有し、1つのデータ点では、40℃で10000センチストークスである。この化合物は、広い範囲の使用温度にわたって一定の遅延時間を提供しなければならない遅延機構に適している。
【0044】
製造業者が選択する、遅延機構によって提供される遅延を考慮して、ならびに当業者によってなされてもよい化合物の配置および遅延機構の他の態様による変更を考慮して、異なる特性を有する他の化合物が、当業者によって選択されてもよい。例えば、減衰性化合物(damping compound)の作用によって引き起こされる追随部分の回転に対する抵抗は、化合物塗布の表面積、および半径方向のクリアランスによって影響を受けるであろう。そして、この抵抗を克服しなければならない遅延機構追随部分から生じる時間遅延は、駆動体/追随部分カム作用(camming)表面の角度、この追随部分によって掃引される全角度、およびこの追随部分に加えられる力(この力は、この駆動体上のバネ力の関数である)の関数である。
【0045】
なおさらに、示された遅延機構構成要素を単にわずかに変更するということではなく、異なる種類の減衰機構が本発明の範囲内で採用されてよい。例えば、追随部分に付随する開口したピストン型の部材によって置き換えられた流体を保持する封止されたチャンバが、減衰性化合物のせん断に依存してこの追随部分に抵抗をもたらす、図示した機構の代わりに使用されてもよい。
【0046】
図2乃至図12に示される本発明の遅延機構の構造は、図2および図13乃至図16を参照して装置20の動作の説明を考慮するとさらに理解されるであろう。装置は、最初は図2および図13にあるような構成をしており、次に装置の引き金ボタンが使用者によってロック解除されて押し下げられると、プランジャーの爪41はシャトル梁間75とのラッチ係合から外れて広げられ、プランジャー要素36が駆動バネ44によって近位方向に駆動されるにつれて、スロット74を通る。プランジャー要素36のこの近位方向の動き、およびそれによって生じるプランジャー封止部材38の近位方向の動きは、まず、注射器シリンダー30および針34を圧縮するバネ48の小さい力に抗して移動させ、その結果、針34の注入先端は筐体胴体近位端27を越えて突出して、次に連続したプランジャーの動きがプランジャー封止部材38を注射器シリンダー30内で近位方向に滑動させ、注射器内容物をその針を通して押し出す。プランジャー要素36が近位方向に動くにつれて、シャトルスロット58内で滑動するその突起43は、スプライン先端部分85に到達し、そのスプライン先端部分85を下向きに駆動させ、スプライン溝86と追随部分リブ122とのラッチ係合に打ち勝って、ロック部材80を、ロック部材80が追随部分を回転可能にロックするその第1の軸方向の位置から、スプライン84が追随部分ノッチ120から解放されているより近位の軸方向の位置に押し出し、追随部分を回転できるようにロック解除する。筐体リブ139は、ロック部材80があまりに遠くまで近位方向に動くのを防止する横桟(ledge)を提供する。この時点で、この装置は、図14にあるような構成になっている。
【0047】
追随部分110をロック解除すると、駆動体95のバネ72によって筐体胴体24内で軸方向に近位方向に付勢することにより、そのカム作用表面105がカム作用可能な表面115に沿って滑動することに起因して、追随部分110が筐体内でかつシャトル50の周りで回転する。追随部分110とグリースカラー130との間の減衰性化合物140は、この追随部分の回転に対する抵抗力を減衰させるか、またはそれを提供する。タブ118が横方向の通路62の長さを滑動し、そこでそれらがそれぞれ、各々スロット60の解放部分64と整列している点に乗るまで、シャトル50の周りの追随部分110の回転は、駆動体95の連続した軸方向の動きによって駆動される。この時点で、この装置は、図15にあるような構成になっている。
【0048】
タブ118がスロット部分64とこのように整列しているとき、シャトル50および追随部分110は、効果的に留め金を外されており、これによってシャトル50が、バネ72の力の下で、自動的にかつ迅速に遠位方向に移動することができ、タブ118はスロット部分64を通って軸方向に滑動し、そして針付きの注射器30を遠位方向に運び、注入針34の近位の先端を筐体24内の保護された位置まで後退させることができる。シャトル50は、それと筐体との係合によってさらなる動きが妨げられるまで、後退する。このシャトル動きの間、引き金ロック204は、筐体スリーブ26内でシャトル50によって圧縮するバネ202の力に抗して遠位方向に運ばれ得る。この時点で、この装置は図16にあるような構成になっており、この後、使用者は、通常の過程でこの装置を廃棄または他の様式で取り扱うことができる。
【0049】
ここで図17乃至図19を参照すると、本発明の遅延機構の別の実施形態が示されており、自動注入装置が一部のみ点線で示されている。この遅延機構は、シャトル150、追随部分カラー160、減衰性化合物170、およびプランジャーに付随する少なくとも1つの弾力性のあるフィンガー180を備える。
【0050】
シャトル150は、筐体の長手方向に延在する図示にないチャネル内に嵌合する一対のフランジ152を介して筐体200内で回転可能にロックされており軸方向に移動可動である。シャトル外側周囲上に形成された一対の真っ直ぐにするためのリブ154が、各長手方向のスロット156の両側にその中央の長さ部分の近くで並んでいる。シャトル150の半径方向に突き出るフランジ159の裏面は、反対側の端で筐体200の肩202に接する付勢バネ185による作用を受ける。フランジ159は、シャトル外周の周りに部分的にのみ延在し、後述する止めブロック204から外れているようになっている。
【0051】
カラー160は、シャトルフランジ159の上方に軸方向に配され、シャトル150の周りに延在する。カラー160は、その半径方向の内周の直径方向に対向した部分でその高さに沿って延在する一対のノッチ162を含む。ノッチ162は、図15ではシャトルスロット156と角度上整列している。カラー160がこのように整列しているとき、カラーの上面165は、筐体200の内側表面上に形成されそこから突出する止めブロック204に接する。少なくとも1つの他のノッチ164がカラー160の半径方向の外周に沿って形成されており、このノッチは、この構成要素が図17に示されるように配向しているときは、止めブロック204と角度上整列していない。
【0052】
減衰性化合物170は、カラー160の円周の周りに(around)設けられて、カラー160の半径方向の外周とこの筐体の内部表面との間に配される。減衰性化合物170は、筐体とカラーとの間で作用して、そのカラーが筐体200内で自由回転するのを防止する。
【0053】
一対の弾力性のあるフィンガー180は、シャトルの外側に沿って延在し、中立の状態にあるときは、各々シャトルスロット156から角度がついている。フィンガー180は、シャトルスロット156を通して延在するように、プランジャーに形成されるか、または他の様式でプランジャーに連結される。シャトル150によって運ばれる針付きの注射器は、装置20に関して示されたものとほぼ同様であるが、プランジャー要素の爪182はシャトルの1つの、中央の穴158を通って延在するものとして示されている。
【0054】
装置の動作の間、この装置は最初は図17にあるような構成になっており、注射器プランジャーがシャトル内部でプランジャーに作用する駆動バネによって近位方向または下向きに駆動されるとき、弾力性のあるフィンガー180は、真っ直ぐになるよう押され、これによって真っ直ぐにするためのリブ154の間をノッチ162の中へと通るにつれて、エネルギーを蓄える。このフィンガーが真っ直ぐになるプロセスが図18に示されている。プランジャーがそのストロークの末端の近くに来たとき、フィンガー180は、リブ154から自由に動き、そこから解放されて、カラー160に力を加える。この力は、カラー160を減衰性化合物によってもたらされる摩擦に抗して回転させる。カラー160が十分に回転し、その結果、ノッチ164が図19に示されるような止めブロック204との角方向の整列まで動かされたとき、このカラーおよびシャトルは、ブロック204が実際にノッチ164を通過するにつれて、バネ185の力の下で遠位方向に動かされるように筐体に対して効果的にロック解除され、このシャトルの動きは、それによって注射器を後退させ、その結果、注射器の針は筐体の内部に後退される。
【0055】
ここで図22および図23を参照すると、それぞれ、本発明の遅延機構のさらに別の実施形態を備えた自動注入装置の正面図および長手方向の断面図が示されている。全体が300として示されているこの自動注入装置は、当業者には分かるとおり技術思想全体では装置20に関連するが、より十分に後述するように、その物理的構成およびその動作の両方の点で異なる。
【0056】
さらに図24A乃至図24Cに示されるように、外側筐体は、Chi Mei Corporationから入手できるPolylac PA−758などのABSプラスチックから形成される管状の胴体304を備える。胴体304は透明であり、その近位端にフレア(flaring)306を有するほぼ円筒形状の外観を有する。筐体胴体304の中央の長さ部分の近くに,一対の円周方向に間隔をあけた隆線または止め308が、減衰性カラー510を支持するために、胴体内部表面に形成されている。各隆線308は、その角方向の長さに沿って配置された遠位方向に突き出るキー309を備える。止め308から角方向にずれておりかつその遠位方向に配置され、円周方向に間隔をあけた第2の組の隆線310は、追随部分475を軸方向に配置する役割を果たす。筐体胴体の遠位端の近くで、円周方向または環状のスナップリング312が、筐体胴体の内部表面から内側方向に突出する。一対の長手方向に延在しかつ直径方向に対向した隆線314は、胴体内部表面からスナップリング312の近位方向に突出する。整列のためのマーキング316は、筐体胴体304の外周の遠位端近くに描かれたパッドとして示されている。
【0057】
図25にさらに示すように、この装置で使用される薬物を満たした注射器は、注入針322を備えたガラス製のシリンダー320を備える。突出した、円周方向のリブ326を有する弾性の針の覆い324は、滅菌目的のために、針322にわたって注射器シリンダーに嵌合する。この注射器のプランジャー機構は、プランジャー要素330およびその薬物を管状のシリンダー320内に封止する弾性ピストン328によって二部品として形成される。
【0058】
プランジャー要素330はABSプラスチックで形成され、ピストンと係合する足部分332と、足部分332から延びて半径方向に外側方向に突出する円盤形状のフランジ338で終わる十字型の幹336と、フランジ338から上方向に突出する一対の弾力性のあるアームまたは爪340と、を備える。幹336に沿って形成されるフランジは、注射器運搬装置と係合できる横桟333としての役割を果たす。フランジ338は、この装置の駆動バネ350が作用する肩としての役割を果たす。一連の控え板344が、剛性を付加しかつバネ350を中心に置くために、フランジ338と爪340との間に延在する。フランジ338と幹336との間の他の控え板がさらに剛性を付加する。フランジ338は、180度離れて間隔をあけた場所でフランジ338のエッジから半径方向に外側方向に突き出る一対のキータブ346を備える。フランジ338の外側エッジに形成された一対の同程度の間隔をあけたノッチ348は、シャトル移動アーム446を収容する。
【0059】
さらに図26A乃至図26Cに示されるオーバーモールドされた注射器運搬装置は、全体が354として示されており、注射器シリンダー320のキー溝が設けられたフランジ321に嵌合して、一緒に回転可能に固定される。注射器運搬装置354は、ABSプラスチックで形成された基部356を備え、この基部は、C字型の横桟部分358を備え、そこから、半径方向に突き出た部分362を有する一対の支持体360が上方向に突出する。部分362は、注射器運搬装置のためのシャトルキーとしての役割を果たし、それによりアセンブリ354をシャトルに回転可能に固定し、加えて部分362は、この装置300がすぐに使用できる構成にあるときに、後述するシャトル移動アームを支える。注射器シリンダー320は、横桟部分358によって形成される中央開口部359を通って延在する。各支持体360は、後述するようなシャトル移動アームを収容するくぼみ364を形成するノッチを備える。基部356はまた、支持体360から半径方向に内側方向に延在するプランジャークリップ366を備える。プランジャークリップ366は、注射器および注射器運搬装置が、後述するオーバーキャップ取り外しの間、短い距離を近位方向に移動された後に、横桟333の遠位面を係合するような大きさである。この係合は、その注射器の移動を停止させ、オーバーキャップ取り外しの間、針322が装置筐体304の近位端を越えて一時的に突き出る地点まで注射器がさらに移動するのを防止する。各支持体360はまた、横桟部分358の上に突き出て、シリンダーフランジ321が軸方向に保持されている空間369を画定する肩368を備える。注射器運搬装置354はさらに、横桟部分358の裏面の一部分にわたってショア40A硬度の熱可塑性エラストマーの層をオーバーモールドすることによって提供される降着パッド(landing pad)372を備え、この層は、使用中のシャトルとの接触を和らげる。図23に示される装置300のすぐに使用できる構成では、注射器運搬装置354は、筐体基部プレートによって所定の位置に戻り止めされているオーバーキャップによよって、オーバーキャップ550に接する付随する注射器を介して、シャトル移動アームを支える機能のために、適正に軸方向に配置されている。
【0060】
製造の間に他の装置構成要素の周りに組み立てられる装置300のシャトルは、上側の小片380および下側の小片410から形成される。シャトルの小片380および410は、それぞれさらに図27A乃至図27Dおよび図28A乃至図28Fに示されるように、透明なABSプラスチックで作製されている。組み立てられたシャトルは、全体が375と呼ばれる。
【0061】
シャトルの小片380および410は、シャトルの小片380の円筒形の外周上の一対の軸方向に間隔をあけた環状の隆線またはスナップリング382を使用するスナップフィット連結を介して固定して連結される。この環状の隆線またはスナップリング382は、シャトルの下側の小片410の内周上に部分的な環状のリブ412によって形成される一対の溝の中に収容される。小片410の遠位エッジから突き出る一対の直径方向に対向した整列用輪止め(alignment dog)414は、シャトルの小片380の環状のフランジ385にある間隙383の中に密に嵌合し、整列した固定された回転の確保を確実にする。フランジ385にある一対のノッチまたは間隙388は、注入後の自動の針後退の間のシャトルの上方向の動きの間、引き金ロック回転ナッブ(nub)606のためのクリアランスを提供する。上側の小片380の遠位面390は、それを貫いて形成される一対の窓392を除いて閉じられており、この窓は小片の直径に沿って整列しており、遠位面の作動化横桟または梁間394部分によって間隔をあけられている。上側の小片380の上方内部表面から、テーパー状のフランジ398が作動化横桟394と整列して内部容量399の中にぶら下がっており、この内部容量399の中に駆動バネ350の遠位端が配されており、このフランジは横桟394を強化する。各窓392は、異なる弾力性のあるアーム340の遠位端341が容積399内から突き出ることを可能にする。プランジャーアーム340と一体的に形成されてプランジャーアーム340から内側方向に延在する向かい合う作動化フック342は、このように留め金を掛けたときに、作動化横桟394に接してプランジャー要素330をシャトルに対して軸方向に保持する。小片410の近位のエッジに形成される一対のノッチ400はプランジャータブ346を収容する。シャトルの小片の遠位端の近くに、カム作用遠位面を備えた保持タブ部分402、および戻り止めナッブ部分404の両方を備えた一対の突起が、シャトル外側周囲上に180°離して間隔をあけられている。
【0062】
シャトルの下側の小片410は、全体の形状がほぼ段階的な管状のスリーブであり、その遠位エッジで直径方向に対向したノッチ416を備える。ノッチ416は、注入後のシャトル後退ストロークの末端に引き金ロック回転ナッブ606を収容し、注入後に引き金ロックスリーブ590をシャトル375に回転可能に固定する。リブ422によって部分的に連結された一連のリブ420は、ロックスリーブ590のための座面としての役割を果たす。ロックスリーブ590の回転を選択的に防止するための一対のロックリブ424は、下側の小片の外側周囲上に180°離して間隔をあけられている。シャトルの下側の小片410の壁にわたって形成される、一対の直径方向に対向した、長手方向に延在するスロット428は、注入の間、遅延機構のロック部材をロック解除するプランジャータブ346を滑動可能に受ける。各スロット428の近位端領域に沿って、凹部430が、下側の小片410の外側周囲に形成され、ロック部材のうちの一方に対して横桟としての役割を果たす。凹部430は、ロック部材の半径方向の解放点を設定し、プランジャー動きの間、プランジャータブ346が駆動体460および追随部分475との干渉を回避するためにシャトルの下側の小片の外側表面の半径方向に外側に延在しないので、これらの点はほぼ同一平面にある。下側の小片410の外側周囲の中に形成される駆動体整列用チャネルまたは溝432は、各スロット428と角度をなして密な間隔をあけられている。チャネル432は、別々の開口434から長手方向に上方向に、かつ下側の小片410の環状のふち437に形成される後退または解放スロット436の上に延在する。開口434を画定する表面は、遅延機構の追随部分に解放可能に留め金を掛けるためのラッチ要素としての役割を果たす。開口434は、追随部分475に対してシャトル375を小さく軸方向に移動させる(後述するように、これはロックスリーブのロック解除を可能にするのに必要)のを可能にするため、追随部分後退ブロック486を考慮して十分な軸方向の高さを有している。各開口434の隅は、スロット436と整列して435で角度をつけてあり、組み立てを支援する。環状のふち437から下方向に延在する下側の小片410の減少した直径のスリーブ部分440は、注射器を支える首を提供する。スリーブ部分440の外観に提供される軸方向の延在するチャネルまたはキー溝442は、減衰性カラー510のキーまたはリブと整列して嵌合する。
【0063】
装置発射の段階分けに関与する2つのシャトル移動アームは、全体が446として示されている。移動アーム446は、シャトルの下側の小片の直径方向に対向した部分に形成されるU字型スロット448によって形成され、このスロット448は、シャトル構造に起因して弾力性のあるフィンガー450を画定する。各フィンガー450は、シャトルの下側の小片410の内周の内側に長手方向に延在する異なる注射器運搬装置チャネル444と整列している。各フィンガー450の近位端の近くで、その半径方向の外周上に、半径方向の突起452が提供されている。
【0064】
らせん状のコイル状の金属バネ455がシャトルの周りに(around)同心円状に取り付けられているものとして提供される、シャトル付勢部材が図23に示されている。バネ455の遠位端は下方のリブ420の近位端面に接し、他方、バネ455の近位端は駆動体の遠位エッジ464に接する。バネ455は遅延機構に関与し、加えて、注射器後退の動力を与えるために使用される付勢部材としての役割を果たす。
【0065】
さらに図29A乃至図29Cに示されるように、全体が460として示されている遅延機構駆動体はABSプラスチックから成形され、シャトルの下側の小片410の周りに同心円状に嵌合する管状の、円筒形の胴体462を備える。一対の直径方向に対向した、傾斜した形状のカム468が、駆動体胴体462から下方向にぶら下がっている。胴体462およびカム468から半径方向に内側方向に突き出る直径方向に対向した、長手方向に延在するリブ466は、シャトルチャネル432内に滑動可能に嵌合し、駆動体およびシャトルを一緒に回転可能に嵌合する。一対のキー溝473を備えた円周方向のフランジ472が胴体462上に提供される。キー溝473は、駆動体および筐体を直接に回転可能に嵌合するために、筐体の隆線314を収容する。駆動体の胴体462はまた、シャトル移動アーム446にクリアランスを許容するための一対の内部チャネル470を備える。
【0066】
さらに図30A乃至図30Eに示されるように、全体が475として示されている追随部分は、駆動体460の近位方向でシャトルの下側の小片410の周りに同心円状に嵌合する管状の、円筒形の胴体478を備える。追随部分475は、デュポン(Dupont)から入手可能なデルリン(登録商標)POMグレード500P NC010などの適切な材料から成形される。一対の直径方向に対向した、全体が傾斜した形状のカム作用可能な部材480は、追随部分胴体478から上方向に延在する。各部材480はふち481を備え、これは駆動体のカム作用表面467と滑動可能に係合する部材のカム作用可能な表面の直径および面積を増加させる。各カム作用可能な部材480の後縁(trailing edge)に形成される横方向に延在するノッチ482は、シャトル移動アーム446の半径方向の突起452のための狭い横桟(jam ledge)484を形成する。装置300が、図22および図23に示されるすぐに使用できる構成で使用者に提供されるとき、シャトル375は、シャトル移動アーム突起452と狭い横桟484との係合に起因して、近位の場所で追随部分475に軸方向に固定される。シャトル突起452は、移動アームフィンガー450が、フィンガー450の近位端を半径方向に支える注射器運搬装置の突き出た部分362によって半径方向に外側方向に押されることにより、狭い横桟484に嵌合する。
【0067】
追随部分475は、シャトル開口434内に嵌合するように胴体478の内部表面から半径方向に内側方向に突き出る一対の直径方向に対向した後退ブロック486を備え、このブロックはラッチ要素としての役割を果たす。面取りされた近位のエッジを備え、かつその遠位面に提供される整列用特徴489を備える円周方向のフランジ488が胴体478の近位端の近くに形成される。フランジ488は、装置組み立ての間、筐体の隆線310にかみ合う。胴体478の近位のエッジにある4つのスロット492は、その胴体の4つの減衰性ひれ状部493を画定する。
【0068】
シャトル375に対する追随部分475の回転を制限するための追随部分475用のロック部材は、図22の装置では、その追随部分と一体的に形成されている。全体が496として示されている2つのかかるロック部材は、追随部分の直径方向に反対側の部分に提供されている。各ロック部材496は、追随部分構造に起因して弾力性のあるフィンガーまたはアーム502を画定する開口部500によって形成される。各アーム502の突き出る先端の近くの各アーム502の半径方向の内側方向の面はキー504を備える。キー504は、シャトル375およびロック部材496、それによって追随部分475をも回転可能に固定するためにシャトルスロット428内に突き出ているが、この追随部分を回転できるようにロック解除するため、さらに後述するように、プランジャータブ346による注入の間、シャトルから半径方向に外側方向に、かつ筐体内部表面に向かって移動できる。
【0069】
さらに図31A乃至図31Cに示されるように、全体が510として示されているグリースまたは減衰性カラーは、ABSプラスチックから成形され、円筒形の外側周囲を有する胴体512を備える。各々有鍵の(keying)スロット515を有する一対のノッチ514が胴体512の底部エッジに提供される。ノッチ514および有鍵のスロット515は、減衰性カラー510を装置筐体304に回転可能にロックするために、組み立ての間、筐体隆線308およびキー309に収容される。一対の整列用特徴518は、追随部分475の対応する整列用特徴489に符号しており、この特徴は組み立てを容易にする。胴体512の周囲に形成される一対のノッチ520は、組み立ての間にカラー510を筐体304に挿入する際に、筐体隆線310の通過を許容する。胴体512は、環状のくぼみまたはチャネル523を画定する、ほぼU字型の壁部分522を備える。壁部分522から半径方向に内側方向に突き出た一対のリブ526は、シャトルキー溝442内に嵌合し、その結果、シャトル375はカラー510を介して筐体304に対して回転可能に固定される。
【0070】
減衰性化合物530(Nye Lubricantsから入手できるフッ化炭素ゲル836Aなど)は、環状のくぼみ523を満たす。追随部分のひれ状部493はくぼみ523内に嵌合し、その結果、化合物530は、半径方向にかかるひれ状部493の内側および外側方向に配され、追随部分のひれ状部493が動作の間に壁部分522のU字型内部表面に対して回転しようとするにつれて、減衰性または遅延効果を生じる。
【0071】
装置筐体の注入部位の皮膚に接触する表面は、透明なABSプラスチックから作製された基部プレート534から形成されており、さらに図32Aおよび図32Bに示される。基部プレート534はほぼ三葉であり、筐体304の相補的な形状の近位端の内側に嵌合するように536でキー溝が設けられており(keyed)、そこに、例えばUV硬化性接着剤、超音波溶接またはスナップフィットを介して筐体304の近位端は製造中に固定される。挿入中に針322が通って動くプレート534の中央の開口538は、遠位方向に延在するカラー540によって取り囲まれる。カラー540の内部表面に形成される一対のノッチ542は、ラッチ作用をする横桟543を形成する。使用者が針322が皮膚に侵入するべき場所を視覚化するのを助けるための着色した標的となるガイド546は、プレート534の近位表面に印刷されたパッドである。一組の3つの弓形のスロット548がプレート534を貫通して形成されている。
【0072】
透明なABSプラスチックで作製され、さらに図33Aおよび図33Bに示されるオーバーキャップ550は、基部552および直立したカラー部材554を備える。針の覆い526は、組み立ての間、カラー部材554に挿入し、その結果、部材554の内側方向に延在する一連の突起556は針の覆いリブ326の遠位エッジと係合する。カラー部材554の中に形成される一対の弾力性のある突起物558は、ラッチ作用をする横桟543に解放可能に係合し、オーバーキャップ550を筐体基部プレート534に連結する。部材554と同心円状の一連または3つの弓形のカム560は、プレート534のスロット548と位置合わせされた基部552の遠位面から遠位方向に突き出る。基部552の周囲562は、使用者が把持することが容易になるように、真っ直ぐな隆線でぎざぎざが付いている。
【0073】
装置300のロックおよび発射は、装置300の遠位端に配された作動化アセンブリを含む。このアセンブリは、引き金ロックカップ570、引き金ロックスリーブ590、および作動化ボタン620を備える。ロックカップ570は、ABSプラスチックで作製されており、さらに図34A乃至図34Cに示される。ロックカップ570は、ぶら下がったふち574を有する円盤形状の上方フランジ572を備える。ふち572に提供された一対の直径方向に対向した開口575は、一対の湾曲アーム576を形成する。一対の戻り止め578は、各開口575の反対側の角方向の端に隣接して、各湾曲アーム576の半径方向の内側方向の表面に形成される。一対の対向したスロット580はふち572の高さ全体に沿って形成される。ロックカップ570は、装置製造中にシャトルの上側の小片380の上に組み立てられ、その結果、湾曲アーム576は、保持タブ部分402にわたってスナップフィットし、このスナップフィットによる組み立てによって、戻り止めナッブ部分404が戻り止め578に嵌合する位置間の選択的な相対的回転運動が許容される。この戻り止め連結は、ロックカップ570をシャトル375および筐体304に対する2つの好ましい角度位置または回転位置のうちの一方に保つことを助けるが、ロックカップがロックスリーブ590の回転によってかかる位置間で動かねばならないときには、この戻り止め連結は、乗り越えることができる。
【0074】
ロックカップ570は、上方フランジ572にわたって形成されたロックスロット582を備える。ロックスロット582は、向かい合って半径方向に延在する拡大領域586を有する円形の中心領域584を備える。ロックカップ570がシャトルに対して第1の好ましい角度位置にあるとき、拡大領域586は、窓392から部分的にずれており、これによって上方フランジ572が窓392を通って延在するプランジャー遠位端341に半径方向に非常に近接しているという状態が生じ、これによりシャトルとの係合からフック342を解放するために必要な、かかる遠位端341の外側方向への広がりを防止する。ロックカップ570が第2の好ましい角度位置にあるとき、拡大スロット領域586は窓392と整列し、その結果、フランジ572はもはや遠位端341の外側方向への広がりを防止するためにそれらを支えることをせず、それによりロック解除するか、またはもはやシャトルとの係合から遠位端341を解放することを妨げない。
【0075】
引き金ロックスリーブ590はABSプラスチックから作製されており、さらに図35A乃至図35Dに示される。ロックスリーブ590は、把持することが容易になるように、真っ直ぐな隆線でぎざぎざが付いている本体部分592を備える。ロックスリーブ590がロックされていないか、または作動化ボタン620を押し進めることを妨げていないときは、胴体部分592の上に提供される、パッドが印刷された表示マーク594は、筐体整列用マーキング316と軸方向に整列している。表示マーク594が図22に示されるように整列用マーキング316から角度的に間隔をあけているとき、ロックスリーブ590は、ボタン620を押し進めることを妨げる。ロックスリーブ590は、その近位端領域に、筐体304の上方部分内に嵌合する下方に広がる(stepped down)部分596を備える。スリーブ部分596の円筒形の外周にある円周方向の溝597は、筐体リング312を受けて、回転の動きを許容するがそれらの間の軸方向の動きを妨げる。スリーブ部分596の近位のエッジにある直径方向に対向したノッチ599は、ロックスリーブの回転の程度を制限するため、筐体隆線314の遠位端を収容する。ノッチ599の一方にあるさらなる配向ノッチング(notching)600は、組み立ての間、整列用マーキング316と整列するために使用することができる。
【0076】
図35Dに最もよく示されるように、ロックスリーブ605のくぼみ内部を画定するロックスリーブ605の内部表面602は、ロックスリーブのロックナッブ604、引き金ロック回転ナッブ606、ボタンロックタブ608およびボタン進行ナッブ610を含めた一連の一対の直径方向の突起を備える。対向したロックナッブ604は、後述するように、シャトル上のロックリブ424と動作時に係合するための第1の軸方向の場所に配置されている。対向した引き金ロック回転ナッブ606は、ナッブ604の遠位方向に、それと角度的に間隔をあけた関係で配されており、ロックカップ570を引き金ロックスリーブ590と一緒に回転可能にロックするように、ロックカップスロット580内に嵌合する。対向したボタンロックタブ608は、ナッブ606の遠位方向に配され、かつロックナッブ604および回転ナッブ606の両方と角度的に間隔をあけた関係にある。対向したボタン進行ナッブ610は、ロックタブ608の遠位方向に配され、かつロックナッブ604、回転ナッブ606およびロックタブ608のすべてと角度上間隔をあけた関係にある。
【0077】
作動化ボタン620は、ABSプラスチックから作製されており、さらに図36A乃至図36Dに示される。ボタン620は、その外周から近位方向に延在するスカート628を有する末端ディスク622を備える。末端ディスク622は、選択的にボタンを押し進めるために使用者が力を直接に加えることができる遠位面を有する。ディスク622の裏面から、一対の直径方向に整列した作動化脚624がぶら下がっている。ボタン620は、各プランジャーの爪の遠位端341の一部として形成された一対のフランジ347の間に嵌合する各脚624によって、プランジャー要素330に回転可能に固定されている。この回転可能な固定に起因して、プランジャー要素をシャトルに回転可能に固定していること、シャトルを減衰性カラーに回転可能に固定していること、および減衰性カラーを筐体に回転可能に固定していることと合わせて、ボタン620は筐体304に対して回転しない。脚624の近位端625は、ボタンを押し進める間、プランジャーアーム340の角度のついた横桟348を直接係合し、それを外側方向に押すための形状である。
【0078】
ボタンのスカート628は、開口631を形成する一対のぶら下がる湾曲アーム630を備える。各アーム630の軸方向に延在する部分に隣接するスカート628の近位のエッジにあるノッチ632および634は、アームの湾曲を促す。各湾曲アーム630の角方向に延在する部分の上にあるスカート628のエッジは、上方向に突き出る作動化進行スロット636、および下方向に延在する回転止め638を備える。ボタン620は、装置製造の間、ロックスリーブ590上に組み立てられ、その結果、湾曲アーム630は、開口631に挿入するボタン進行ナッブ610の上にスナップフィットし、脚624はフランジ347間に嵌合する。このスナップフィット組み立ては、ロックスリーブ590がボタンに対して選択された距離を回転することを許容しつつ、ボタンの遠位方向の退却を妨げる。このロックスリーブは、進行ナッブ610が止め638に接する構成(この構成ではスリーブは図22のように配されている)と、進行ナッブ610が開口631の端に到達してスロット636と軸方向に整列している構成(この構成では、このボタンはロックスリーブ内で押し進めることができる)との間で回転することができる。ボタン620が使用者によってこのように押し進められるとき、湾曲アーム630は、開口631に挿入して、使用者が力を除いた後にボタン620を押し進められた位置に保持するボタンロックタブ608の上にスナップフィットする。これは、装置が使用されたことを使用者へ視覚的に表示するものである。
【0079】
装置300に示される本発明の遅延機構の構造は、その動作を説明することによりさらに理解されるであろう。この装置は、最初は図22および図23にあるような構成になっており、使用者はまずオーバーキャップ550を取り外さなければならない。オーバーキャップを取り外す前に、ロックスリーブ590を、整列用特徴594および316が軸方向に整列しているロック解除された状態へと回転しようとするあらゆる使用者の試みは、引き金ロックスリーブのロックナッブ604とそれに角度的に隣接して配置されたシャトルロックリブ424との直接の接触によって妨げられる。加えて、ボタン620を押し進めようとするあらゆる使用者の試みは、スカート628のエッジとボタン進行ナッブ610との接触に起因してロックスリーブ590によって妨げられる。
【0080】
オーバーキャップ550は、それを筐体から近位方向に引っ張ることによって、手動で取り外される。かかる取り外しの最初の程度は、オーバーキャップを筐体に対してねじることによってより容易にすることができ、このねじりは、プレート534に対するカム560のカム作用効果に起因して、オーバーキャップを近位方向に移動させる。このオーバーキャップの取り外しによって、針の覆い324は、オーバーキャップの突起556による覆いのリブ326の係合に起因して、針322から、そして筐体から外へと引っ張られる。この針の覆いの取り外しの間,針の覆いと注射器との摩擦係合によって、プランジャークリップ366が横桟333に接し、プランジャー要素330およびシャトル375に対する注射器のさらなる近位方向の動きが停止するまでは、注射器および注射器運搬装置354がシャトル375内で近位方向に動くということが生じる。この注射器運搬装置の近位方向の動きの間、注射器運搬装置の突き出た部分362は移動アームフィンガー450を近位方向に動かし、その結果、バネ455がシャトルおよび追随部分を軸方向に離すように付勢するため、フィンガー450の近位端は、追随部分の狭い横桟484によるシャトル突起452のカム作用に起因して、半径方向に内側方向にくぼみ364の中へと押される。このカム作用による動きは、突起452を横桟484から留め金を外し、バネ455によって提供される付勢力に起因して、シャトル375が追随部分475から遠位方向にかつ筐体305内で短い軸方向の距離(例えば、2mm)を動くことができるようにし、この時点でシャトル375は、開口434を画定する表面を係合する追随部分のブロック486を介して追随部分に対して再度留め金を掛けられる。
【0081】
シャトル375のこの留め金を掛けた軸方向の位置で、ロックスリーブのロックナッブ604は、このとき、軸方向に移動したシャトルロックリブ424とは角度上外れており、これにより使用者は、ロックスリーブをロック解除された構成へと回転させることができる。特に、使用者は、整列用特徴594および316が位置合わせされるまで、ロックスリーブ590を把持し、筐体304に対してロックスリーブ590を手動で回転させることができ、この時点でボタン進行ナッブ610は、開口631の端に到達し、スロット636と軸方向に整列している。このロックスリーブの回転の間、引き金ロックカップ570は、回転ナッブ606がスロット580内に嵌合していることに起因して、プランジャーの端が外側方向に広がるのをフランジ572がもはや妨げないその第2の好ましい角度位置へと同時に回転される。この時点で、装置30は、注入のための準備がされている。
【0082】
注入の引き金を引くために装置300が注入部位に適正に配置された後、使用者が作動化ボタン620を近位方向に押すと、ボタンの脚624の近位端625は、プランジャーアーム340を押して広げ、その結果、プランジャー要素330が駆動バネ350によって自動的に近位方向に駆動されるにつれて、作動化フック342は横桟394から留め金を外され、プランジャーの遠位端341は自由に窓392を通過する。ボタン620は、湾曲アーム630とボタンロックタブ608との係合によって、ロックスリーブ590内でこの押し進められた位置に保持される。
【0083】
プランジャー要素330の近位方向の動きは、まず、注射器運搬装置354がシャトル375内で底に達するまでの注射器の動きを生じ、オーバーモールド部分372およびバネ455がこの底への到達を減衰し、このとき注入針322の先端が筐体近位端を越えて注入部位の中へと突き出る。連続するプランジャーの動きは、ピストン328をシリンダー320内で滑動させ、注射器内容物を針を通して押し出す。プランジャーの進行によりタブ346がロック部材キー504に到達するということが生じると、タブ346はキー504をシャトルスロット428から半径方向に外側方向に移動させ、追随部分475を回転できるようにロック解除する。
【0084】
このロック解除をすると、駆動体460のバネ455による近位方向への付勢によって、追随部分475が筐体内でかつシャトル375の周りで回転し、追随部分と減衰性カラー510との間の減衰性化合物530がこの回転に抵抗する。シャトルの周りの追随部分の回転は、ブロック486がシャトル開口434内で解放スロット436との整列へと移動されるまで、駆動体460の連続した軸方向の動きによって駆動される。この整列で、シャトル375および追随部分475は効果的に留め金を外され、シャトル375は、バネ455の力の下で、自動的および迅速に遠位方向に移動することができて、注入針322を筐体24内に後退させるように針付きの注射器を遠位方向に運ぶことができるようになる。直径方向に対向したノッチ416が引き金ロック回転ナッブ606の周りに嵌合しそれに接するまで、シャトル50は後退し、この時点でシャトル上方範囲は作動化ボタン620の内部容積内に嵌まり込む。軸方向に後退されたということに起因して、シャトル375は減衰性カラー510によってもはや回転可能に固定されていないが、駆動体リブ466とシャトルチャネル432との係合および駆動体のキー溝473と筐体隆線314との係合に起因して、シャトル375はいまだ筐体304に対して回転可能に固定されている。そして、回転ナッブ606とノッチ416との係合に起因して、引き金ロックスリーブ590は筐体に対して回転可能にロックされ、それにより装置300が使用されたことを使用者に知らせる。この装置は、次いで通常の過程において、廃棄されてもよいし、または他の様式で使用者が取り扱ってもよい。
【0085】
本発明が好ましい設計を有するものとして説明してきたが、本発明は、本開示の趣旨および範囲内で変更されてもよい。例えば、上述の遅延機構は回転する追随部分を利用するが,軸方向に動いてシャトルの留め金を外す追随部分が本発明の範囲内で提供されてもよい。具体的に、そして一例として,回転可能に固定されておりかつ筐体内で軸方向に可動式の追随部分は、バネによって、そしてさらなる介在する駆動体なしに直接作用を受けてもよい。この追随部分は、最初は、例えば,筐体胴体と係合しているロック部材によって軸方向に保持されているが、このロック部材は、注入の間にプランジャーが通ると係合が外れ、この追随部分がバネによって軸方向に移動できるようになる。減衰性化合物は、例えば、追随部分の半径方向の外周と筐体胴体の内部との間に提供される。この追随部分がこのように軸方向に移動されるとき、それは、例えば筐体と係合するシャトルのフィンガーの係合を外すことによりシャトルを筐体から外し、それにより、シャトルが内部のバネによって後退することが可能になり、それによって運ばれた注射器を後退させるようにできる。それゆえ本願は、本発明の一般原理を使用する本発明のあらゆるバリエーション、使用または適合物を包含することが意図されている。さらに、本願は、本開示からのかかる逸脱を、本発明が関係する技術分野における公知または周知技術の範囲内に入るものとして包含することを意図している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体、プランジャーを備えた針付きの注射器、および前記針付きの注射器を前記筐体内で第1の方向に動かして、前記注射器の針を前記筐体を越えて延在させ、前記プランジャーを前進させて注入のために注射器内容物を前記針を通じて押し出し、そして注入後に前記針を前記筐体内に後退させるための複数の付勢要素を有する自動注入装置における、遅延機構であって、
前記注射器のためのシャトルであって、第1のラッチ要素を含む、シャトルと、
第2のラッチ要素とカム作用可能な表面とを含む追随部分であって、前記第2のラッチ要素は、前記第1のラッチ要素と協働して、前記第1の方向とは反対の第2の方向における前記追随部分に対する前記シャトルの動きを制限するためのものである追随部分と、
注入の間、注射器プランジャーとの係合によって前記筐体内でロック位置から解放位置に移動可動であるロック部材であって、前記ロック部材は、前記ロック位置にあるとき、前記シャトルに対する前記追随部分の回転を防止し、前記ロック部材は、前記解放位置にあるとき、前記シャトルに対する前記追随部分の回転を許容するロック部材と、
前記シャトルに対する前記追随部分の回転を減衰するための、前記追随部分と支持表面との間にある減衰性化合物と、
前記シャトルに対して回転可能に固定され、かつカム作用表面を備える駆動体と、
駆動体付勢要素であって、前記駆動体付勢要素は、前記ロック部材が前記解放位置に動くとき、前記駆動体を第1の位置から第2の位置に押し、それによって前記駆動体が前記第2の位置に動く間、前記駆動体のカム作用表面は前記追随部分のカム作用可能な表面と係合して前記追随部分を、前記第1および第2のラッチ要素が協働する留め金を掛けた位置から、前記第2のラッチ要素が前記第1のラッチ要素から係合が外れ、注入後に前記注射器の針を前記筐体の中に後退させるための前記シャトルの動きを許容する留め金を外した解除位置に、前記シャトルに対して回転させるためのものである、駆動体付勢要素と、
を備える遅延機構。
【請求項2】
前記第2のラッチ要素が突き出るタブを備え、かつ前記第1のラッチ要素が、前記シャトルに形成されたタブの通路の一部分を備える、請求項1に記載の遅延機構。
【請求項3】
前記タブの通路がL字型スロットを備え、前記第1のラッチ要素を形成する前記タブの通路部分が前記第1の方向の横方向に配向したスロット部分を備える、請求項2に記載の遅延機構。
【請求項4】
前記駆動体付勢要素が、前記駆動体と前記シャトルとの間に動作可能に配され、これにより前記駆動体付勢要素が、注入後に前記針を前記筐体の中に後退させるために前記注射器を運ぶための付勢力を前記シャトルに対して提供する、請求項1に記載の遅延機構。
【請求項5】
前記駆動体および前記追随部分が、前記シャトルの周りに各々同心円状に配置された管状の胴体を備える、請求項1に記載の遅延機構。
【請求項6】
前記支持表面が、前記装置筐体に対して回転可能に固定されたカラーの半径方向に内側の表面を含む、請求項1に記載の遅延機構。
【請求項7】
前記シャトルおよび前記駆動体が、前記筐体に対して軸方向に移動可能であり、かつ回転可能に固定されているように、各々、前記装置筐体にキー溝が設けられている、請求項1に記載の遅延機構。
【請求項8】
前記ロック部材が、前記シャトルにある少なくとも1つのスロット内に嵌合して前記ロック部材および前記シャトルを一緒に回転可能に固定する少なくとも1つのキーを備え、かつ前記ロック位置にあるとき、前記少なくとも1つのキーが、前記追随部分の少なくとも1つのノッチ内に嵌合して前記ロック部材および前記追随部分を一緒に回転可能に固定する、請求項1に記載の遅延機構。
【請求項9】
前記追随部分および前記少なくとも1つのキーが、前記ロック部材の時期尚早の動きを阻止するため、戻り止めによる解放可能な連結を備える、請求項8に記載の遅延機構。
【請求項10】
前記カム作用表面および前記カム作用可能な表面が、傾斜した形状の突起の直接係合面を含む、請求項1に記載の遅延機構。
【請求項11】
前記シャトルが、前記針付きの注射器を前記第1の方向に動かして、前記プランジャーを前進させる付勢要素が作用する支持体を備える、請求項1に記載の遅延機構。
【請求項12】
前記ロック部材が、前記追随部分と一体的に形成され、かつ注入の間、前記注射器プランジャーとの係合によって、前記筐体内でロック位置から解放位置に半径方向に移動可能である少なくとも1つの湾曲部を備える、請求項1に記載の遅延機構。
【請求項13】
前記装置からのキャップの取り外しの間、前記シャトルが前記追随部分に対して第1の留め金を掛けた位置から第2の留め金を掛けた位置へと軸方向に移動することを許容するための手段であって、前記第1の留め金を掛けた位置において、前記シャトルは引き金ロックアセンブリと協働して装置が発射されるのを防止し、かつ前記第2の留め金を掛けた位置において、前記シャトルは装置が発射されることを許容する前記引き金ロックアセンブリの動きを許容する手段をさらに含む、請求項1に記載の遅延機構。
【請求項14】
前記シャトルが前記追随部分に対して第1の留め金を掛けた位置から第2の留め金を掛けた位置へと軸方向に移動することを許容するための手段が、半径方向の突起を含む複数のシャトル移動アームを備え、前記突起は、前記複数のシャトル移動アームが注射器運搬装置によって半径方向に支えられるときに、前記追随部分に設けられる狭い横桟と留め金を掛ける、請求項13に記載の遅延機構。
【請求項15】
自動注入装置における遅延機構であって、
前記装置の針付きの注射器のためのシャトルと、
移動可能部材と、
針後退方向における前記シャトルの動きを制限するための手段と、
前記シャトルに対する前記移動可能部材の動きを減衰するための手段と、
注入後に前記注射器の前記針を前記装置内に後退させるための前記シャトルの動きを許容するために、前記シャトルに対して、前記移動可能部材を第1の位置から第2の位置に動かすための手段と、
を備える遅延機構。
【請求項16】
前記移動可能部材を動かすための手段が、前記針付きの注射器のプランジャーから延在する少なくとも1つの弾力性のあるフィンガーと、移動可能部材の回転を駆動するために、前記少なくとも1つの弾力性のあるフィンガーを真っ直ぐにして、次いで解放するための前記シャトル上にある真っ直ぐにするための要素と、を含む、請求項15に記載の遅延機構。
【請求項17】
前記移動可能部材を動かすための手段が、前記移動可能部材上のカム作用可能な表面と、前記シャトルに対して回転可能に固定されかつカム作用表面を含む駆動体と、前記カム作用表面による前記カム作用可能な表面の直接の駆動的係合により、前記駆動体を軸方向に移動させかつ前記移動可能部材を回転させるための付勢要素と、を備える、請求項15に記載の遅延機構。
【請求項18】
前記シャトルが、前記針付きの注射器を注入のために前進させる付勢要素を支持するように保持し、これによって前記針を後退させるための前記シャトルの付勢が、前記針付きの注射器を前進させる前記付勢要素によって抵抗されない、請求項15に記載の遅延機構。
【請求項1】
筐体、プランジャーを備えた針付きの注射器、および前記針付きの注射器を前記筐体内で第1の方向に動かして、前記注射器の針を前記筐体を越えて延在させ、前記プランジャーを前進させて注入のために注射器内容物を前記針を通じて押し出し、そして注入後に前記針を前記筐体内に後退させるための複数の付勢要素を有する自動注入装置における、遅延機構であって、
前記注射器のためのシャトルであって、第1のラッチ要素を含む、シャトルと、
第2のラッチ要素とカム作用可能な表面とを含む追随部分であって、前記第2のラッチ要素は、前記第1のラッチ要素と協働して、前記第1の方向とは反対の第2の方向における前記追随部分に対する前記シャトルの動きを制限するためのものである追随部分と、
注入の間、注射器プランジャーとの係合によって前記筐体内でロック位置から解放位置に移動可動であるロック部材であって、前記ロック部材は、前記ロック位置にあるとき、前記シャトルに対する前記追随部分の回転を防止し、前記ロック部材は、前記解放位置にあるとき、前記シャトルに対する前記追随部分の回転を許容するロック部材と、
前記シャトルに対する前記追随部分の回転を減衰するための、前記追随部分と支持表面との間にある減衰性化合物と、
前記シャトルに対して回転可能に固定され、かつカム作用表面を備える駆動体と、
駆動体付勢要素であって、前記駆動体付勢要素は、前記ロック部材が前記解放位置に動くとき、前記駆動体を第1の位置から第2の位置に押し、それによって前記駆動体が前記第2の位置に動く間、前記駆動体のカム作用表面は前記追随部分のカム作用可能な表面と係合して前記追随部分を、前記第1および第2のラッチ要素が協働する留め金を掛けた位置から、前記第2のラッチ要素が前記第1のラッチ要素から係合が外れ、注入後に前記注射器の針を前記筐体の中に後退させるための前記シャトルの動きを許容する留め金を外した解除位置に、前記シャトルに対して回転させるためのものである、駆動体付勢要素と、
を備える遅延機構。
【請求項2】
前記第2のラッチ要素が突き出るタブを備え、かつ前記第1のラッチ要素が、前記シャトルに形成されたタブの通路の一部分を備える、請求項1に記載の遅延機構。
【請求項3】
前記タブの通路がL字型スロットを備え、前記第1のラッチ要素を形成する前記タブの通路部分が前記第1の方向の横方向に配向したスロット部分を備える、請求項2に記載の遅延機構。
【請求項4】
前記駆動体付勢要素が、前記駆動体と前記シャトルとの間に動作可能に配され、これにより前記駆動体付勢要素が、注入後に前記針を前記筐体の中に後退させるために前記注射器を運ぶための付勢力を前記シャトルに対して提供する、請求項1に記載の遅延機構。
【請求項5】
前記駆動体および前記追随部分が、前記シャトルの周りに各々同心円状に配置された管状の胴体を備える、請求項1に記載の遅延機構。
【請求項6】
前記支持表面が、前記装置筐体に対して回転可能に固定されたカラーの半径方向に内側の表面を含む、請求項1に記載の遅延機構。
【請求項7】
前記シャトルおよび前記駆動体が、前記筐体に対して軸方向に移動可能であり、かつ回転可能に固定されているように、各々、前記装置筐体にキー溝が設けられている、請求項1に記載の遅延機構。
【請求項8】
前記ロック部材が、前記シャトルにある少なくとも1つのスロット内に嵌合して前記ロック部材および前記シャトルを一緒に回転可能に固定する少なくとも1つのキーを備え、かつ前記ロック位置にあるとき、前記少なくとも1つのキーが、前記追随部分の少なくとも1つのノッチ内に嵌合して前記ロック部材および前記追随部分を一緒に回転可能に固定する、請求項1に記載の遅延機構。
【請求項9】
前記追随部分および前記少なくとも1つのキーが、前記ロック部材の時期尚早の動きを阻止するため、戻り止めによる解放可能な連結を備える、請求項8に記載の遅延機構。
【請求項10】
前記カム作用表面および前記カム作用可能な表面が、傾斜した形状の突起の直接係合面を含む、請求項1に記載の遅延機構。
【請求項11】
前記シャトルが、前記針付きの注射器を前記第1の方向に動かして、前記プランジャーを前進させる付勢要素が作用する支持体を備える、請求項1に記載の遅延機構。
【請求項12】
前記ロック部材が、前記追随部分と一体的に形成され、かつ注入の間、前記注射器プランジャーとの係合によって、前記筐体内でロック位置から解放位置に半径方向に移動可能である少なくとも1つの湾曲部を備える、請求項1に記載の遅延機構。
【請求項13】
前記装置からのキャップの取り外しの間、前記シャトルが前記追随部分に対して第1の留め金を掛けた位置から第2の留め金を掛けた位置へと軸方向に移動することを許容するための手段であって、前記第1の留め金を掛けた位置において、前記シャトルは引き金ロックアセンブリと協働して装置が発射されるのを防止し、かつ前記第2の留め金を掛けた位置において、前記シャトルは装置が発射されることを許容する前記引き金ロックアセンブリの動きを許容する手段をさらに含む、請求項1に記載の遅延機構。
【請求項14】
前記シャトルが前記追随部分に対して第1の留め金を掛けた位置から第2の留め金を掛けた位置へと軸方向に移動することを許容するための手段が、半径方向の突起を含む複数のシャトル移動アームを備え、前記突起は、前記複数のシャトル移動アームが注射器運搬装置によって半径方向に支えられるときに、前記追随部分に設けられる狭い横桟と留め金を掛ける、請求項13に記載の遅延機構。
【請求項15】
自動注入装置における遅延機構であって、
前記装置の針付きの注射器のためのシャトルと、
移動可能部材と、
針後退方向における前記シャトルの動きを制限するための手段と、
前記シャトルに対する前記移動可能部材の動きを減衰するための手段と、
注入後に前記注射器の前記針を前記装置内に後退させるための前記シャトルの動きを許容するために、前記シャトルに対して、前記移動可能部材を第1の位置から第2の位置に動かすための手段と、
を備える遅延機構。
【請求項16】
前記移動可能部材を動かすための手段が、前記針付きの注射器のプランジャーから延在する少なくとも1つの弾力性のあるフィンガーと、移動可能部材の回転を駆動するために、前記少なくとも1つの弾力性のあるフィンガーを真っ直ぐにして、次いで解放するための前記シャトル上にある真っ直ぐにするための要素と、を含む、請求項15に記載の遅延機構。
【請求項17】
前記移動可能部材を動かすための手段が、前記移動可能部材上のカム作用可能な表面と、前記シャトルに対して回転可能に固定されかつカム作用表面を含む駆動体と、前記カム作用表面による前記カム作用可能な表面の直接の駆動的係合により、前記駆動体を軸方向に移動させかつ前記移動可能部材を回転させるための付勢要素と、を備える、請求項15に記載の遅延機構。
【請求項18】
前記シャトルが、前記針付きの注射器を注入のために前進させる付勢要素を支持するように保持し、これによって前記針を後退させるための前記シャトルの付勢が、前記針付きの注射器を前進させる前記付勢要素によって抵抗されない、請求項15に記載の遅延機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図25】
【図26A】
【図26B】
【図26C】
【図27A】
【図27B】
【図27C】
【図27D】
【図28A】
【図28B】
【図28C】
【図28D】
【図28E】
【図28F】
【図29A】
【図29B】
【図29C】
【図30A】
【図30B】
【図30C】
【図30D】
【図30E】
【図31A】
【図31B】
【図31C】
【図32A】
【図32B】
【図33A】
【図33B】
【図34A】
【図34B】
【図34C】
【図35A】
【図35B】
【図35C】
【図35D】
【図36A】
【図36B】
【図36C】
【図36D】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図25】
【図26A】
【図26B】
【図26C】
【図27A】
【図27B】
【図27C】
【図27D】
【図28A】
【図28B】
【図28C】
【図28D】
【図28E】
【図28F】
【図29A】
【図29B】
【図29C】
【図30A】
【図30B】
【図30C】
【図30D】
【図30E】
【図31A】
【図31B】
【図31C】
【図32A】
【図32B】
【図33A】
【図33B】
【図34A】
【図34B】
【図34C】
【図35A】
【図35B】
【図35C】
【図35D】
【図36A】
【図36B】
【図36C】
【図36D】
【公表番号】特表2010−520786(P2010−520786A)
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552856(P2009−552856)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/055892
【国際公開番号】WO2008/112472
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/055892
【国際公開番号】WO2008/112472
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】
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