説明

自動注射器

本発明は、自動注入装置に関する。該装置は、針(8)が設けられている容器(6)、当初位置と挿入位置との間でハウジングに対して移動可能な容器(6)を収容するハウジング(3)、針(8)を収容し、使用前、その中に該針(8)が嵌め込まれている針遮蔽体(12)、第1連結手段(51)により該針遮蔽体(12)に結合され、第2連結手段(44、45a、45b、57)によりハウジング(3)の末端部分に取り外し可能に組み込まれている遮蔽体除去具(33)を備え、第1及び第2の連結手段は、ハウジング(3)に対する装置(1)の軸周りの遮蔽体除去具(33)の回転運動が、針(8)に対する針遮蔽体(12)の回転運動を全く伴うことなしに、末端方向への針遮蔽体(12)の軸方向の変位を引き起こすことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常に安全な方法での製品の自動注入、特に、自己注入のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この出願において、装置は、該装置を構成している部分の主軸である縦軸を有する。構成要素または装置の末端部は、使用者の手から最も遠い端部を意味するものとして理解されるべきであり、基端部は、使用者の手に最も近い端部を意味するものとして理解されるべきである。また、この出願において、「末端方向」は、注入の方向を意味するものとして理解されるべきであり、「基端方向」は、注入の方向と反対の方向を意味するものとして理解されるべきである。
【0003】
いくつかの病気は、薬品や製品の定期的な注入、例えば、毎日の注入を必要とする。取り扱いを簡単化するために、いくつかの自己注射器が、患者が一人で注入を実行することを可能とするために、提供されてきた。
【0004】
もちろん、患者は、通常、看護士でもないし、医療装置の教育を受けた人でもないので、そのような自己注射器は、使い方が非常に簡単であり、また非常に安全であることを証明する必要がある。特に、針の挿入は、正しい深さで実行されなければならず、製品の適切な投与量が注入されなければならず、すなわち、完全な注入が実行されなければならず、また、注射器は、使用後、該注射器が廃棄される前に、無力化されなければならない。好ましくは、針は、不慮のいかなる針刺し損傷も防止するために、使用前及び使用後において、露出されるべきではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の注入装置には、通常、ゴムまたはエラストマー材料からなる針遮蔽体が設けられている。これらの装置の欠点は、ゴム遮蔽体内に嵌め込まれた鋭利な針が、取り外されるとき回転すると、ゴム芯(a core of rubber)を作り出すかもしれないことにある。その場合、針の内径内に位置するゴム芯は、その後、針を詰まらせ、薬剤が注入されることを妨げる恐れがある。あるいは、該ゴム芯は、一旦注入装置が稼動されると、薬品と一緒に患者の皮膚内に注入される恐れがある。
【0006】
したがって、使用前に注入装置から遮蔽体が取り除かれるとき、注入の品質を危うくすることがない適切な針遮蔽体を有する注入装置を提供することに関心がある。
【0007】
従来のいくつかの注入装置は、最初は針遮蔽体に結合され、注入装置のハウジングの末端部分に取り外し可能に組み立てられている遮蔽体除去具(a deshielder)を備えている。該遮蔽体除去具は、装置の使用前に、ハウジングから取り除かれ、それにより針遮蔽体もまた取り除かれることを目的としている。ゴム芯の形成を避けるために、遮蔽体除去具とハウジングには、通常、針に対する針遮蔽体の回転を引き起こし、その結果、そのようなゴム芯の形成を引き起こすハウジングに対して、遮蔽体除去具を回転させることを不可能とするように設計されている連結手段が設けられている。言い換えれば、遮蔽体除去具を用いて患者が針遮蔽体を取り除く唯一の可能性は、該遮蔽体除去具を軸方向に引っ張ることである。この装置は、たくさんの欠点を有する。
【0008】
先ず第1に、真っ直ぐに引っ張る動作は、この動作が一定の力を必要とし、手及び前腕の両方を使用するので、特に、高齢者、または腕及び手に障害のある人にとって実行することがかなり難しい。
【0009】
さらに、多くの使用者は、一般的に、キャップの取り外しが回転運動により実行されるので、遮蔽体除去具を軸方向に引っ張る代わりに、最初に、該遮蔽体除去具を回転させる傾向にある。したがって、これらの使用者は、遮蔽体除去具がこのようなやり方で取り外されることができないことを理解すると混乱する恐れがあり、また、遮蔽体除去具を取り外すために、遮蔽体除去具を軸方向に引っ張るまでに時間がかかる恐れがある。
【0010】
結果として、針内にゴム芯を作り出す恐れが全くない、回転運動により取り外され得る針遮蔽体と遮蔽体除去具とが設けられたそのような自己注入装置の必要性がある。
【0011】
その上、公知の装置に慣れている患者が遮蔽体除去具を軸方向に引っ張ることによりそれを取り外すことも可能であるような自己注入装置の必要性もある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、注入位置内に製品を自動注入する装置を提案することにより、この必要性に答えている。
【0013】
当該装置は、縦軸を有し、
容器に設けられている針の先端がハウジングの末端部を越えて突出する当初位置と該当初位置に対して末端方向に間隔を置いて配置され、針の先端が前記ハウジングの前記末端部を越えて突出する挿入位置との間で、ハウジングに対して移動可能である前記容器を収容することができるハウジング、
前記針を収容し、前記装置の使用前、針が嵌め込まれている針遮蔽体、
第1連結手段により前記針遮蔽体に結合され、第2連結手段によりハウジングの末端部分に取り外し可能に組み立てられている遮蔽体除去具であって、前記装置の使用前、前記ハウジングから取り外され、それにより、針遮蔽体をも取り外すことを目的としている遮蔽体除去具、
を備え、
前記第1及び第2連結手段は、ハウジングに対する装置の軸周りの遮蔽体除去具の回転運動が、針に対する針遮蔽体の回転運動を全く伴うことなしに、末端方向への針遮蔽体の軸方向の変位を引き起こすように設計されていることを特徴とする。
【0014】
この装置のおかげで、患者は、回転運動、すなわち、針内にゴム芯を作り出す恐れなしに、実行し易く、且つ、無理のない運動を用いることで、針遮蔽体及び遮蔽体除去具を取り除くことができる。
【0015】
本発明の実施態様においては、第2連結手段は、遮蔽体除去具の同時に起こる軸方向の並進の可能性の全くない、前記軸周りの遮蔽体除去具の回転運動を可能とするように設計されている。また、第1連結手段は、
遮蔽体除去具がハウジングに対して装置の軸の周りに回転するとき、針遮蔽体が軸方向基端方向に移動することができないように、且つ、針遮蔽体を軸方向末端方向に移動させるように設計されている軸方向保持手段、及び
ハウジングに対する装置の軸周りの遮蔽体除去具の回転運動を、針に対する末端方向への針遮蔽体の軸方向の変位に転換するように設計されているに螺旋手段を備えている。
【0016】
この実施態様において、患者により実行される動作は、螺旋手段の形状により時計回りまたは反時計回りに実行されるしかない蓋を回して開ける動作と同じである。
【0017】
第2連結手段は、遮蔽体除去具の同時に起こる回転の可能性の全くない、ハウジングに対する末端方向への遮蔽体除去具の軸方向の変位もまた可能とするように設計され得る。この軸方向の変位は、遮蔽体除去具と針遮蔽体の両方のハウジングからの軸方向の取り外しを引き起こす。結果として、上記連結手段が遮蔽体除去具の回転運動を可能とするように設計されているとしても、引っ張る動作が彼または彼女にとってより便利であり、より普通であるならば、依然として、患者が前記遮蔽体除去具を軸方向に引っ張ることにより該遮蔽体除去具を取り外すことができる。
【0018】
1つの実施態様においては、遮蔽体除去具は、装置の軸に実質的に一致する軸及び雌ネジを有する円筒状貫通孔を備えている。また、第1連結手段は、それらの間での回転の可能性が全くない、その中に針遮蔽体を収容する中空のシース(a hollow sheath)を備えている。該シースは、貫通孔内に取り付けられており、該シースには、貫通孔内の雌ネジに対応する雄ネジ、及び第1連結手段の末端方向への変位が針遮蔽体の末端方向への変位を引き起こすように針遮蔽体と協同する軸方向保持手段がさらに設けられている。
【0019】
実質的に回転の可能性の全くない、シースと針遮蔽体との間の協同作用を達成するために、シースと針遮蔽体との間に高い摩擦係数を提供し、シースと遮蔽体除去具との間に低い摩擦係数を提供する材料を使用することができる。
【0020】
軸方向保持手段は、シースの基端部から突出し、針遮蔽体の基端部上に当接する少なくとも1つの半径方向に延在する舌片を備え得る。舌片は、局部的な突起であってもよいし、シースの全周に沿って延在し、環状のカラー(an annular collar)を形成する連続した突起であってもよい。
【0021】
軸方向保持手段は、装置の使用前、容器の末端部上に当接することが好ましい。このようにして、基端方向へのシースの軸方向の変位が妨げられ、結果として、針遮蔽体は、軸方向基端方向に移動することができない。
【0022】
例えば、遮蔽体除去具は、針と同軸であって、針遮蔽体の外径より大きい内径を有する環状収容部を備え、該環状収容部は、ハウジングの末端部分を収容する。したがって、本発明は、ハウジングに対する遮蔽体除去具の軸方向の並進及び/または回転を可能とするように設計されている案内手段を提供する。
【0023】
この場合、環状収容部は、貫通孔の外径より大きい内径を有し得る。
【0024】
環状収容部は、その縦壁のうちの1つの上に、装置の軸に実質的に直交する平面内に配置される円形溝を備えることが好ましい。また、ハウジングの末端部分は、該円形溝内に挿入されることを目的としている隆起部を備えていることが好ましい。したがって、ハウジングに対する遮蔽体除去具の軸方向の変位は、ハウジングに対する遮蔽体除去具の回転運動と同時には起こり得ない。
【0025】
環状収容部は、上記縦壁上に、その基端部が遮蔽体除去具の環状収容部の基端部において現れ、その末端部が円形溝内に現れる、少なくとも1つの軸方向スロットをさらに備え得る。この場合、ハウジングの末端部分に設けられている隆起部は、該スロット内を摺動するように設計されている。結果として、隆起部が軸方向スロットの線上に配置されているならば、使用者がそれを軸方向に引っ張ることにより遮蔽体除去具を取り外すことが可能となる。
【0026】
環状収容部の縦壁は、直径方向に対向する2つの軸方向スロットを備えることが好ましい。
【0027】
装置は、また、該装置の使用前に、隆起部が一方の軸方向スロットの末端部において環状溝内に配置されることを確実にするように設計された手段を備え得る。したがって、2つの運動が、遮蔽体除去具を取り外すことを可能とする。使用者は、それを軸方向に引っ張るか、またはそれを本体に対して回転させることができる。さらに、半回転分回転運動させた後、使用者は、それを軸方向に引っ張ることによる遮蔽体除去具の取り外しを完了することができる。
【0028】
都合の良い実施態様においては、遮蔽体除去具は、患者にとってハウジングからの該遮蔽体除去具の取り外しをより容易にする人間工学的手段を備えている。
【0029】
例えば、人間工学的手段は、遮蔽体除去具の外面に設けられ、実質的に軸方向及び/または半径方向に延在するリブを備えている。リブの代わりに、またはこのリブに加えて、遮蔽体除去具は、拡大された末端部分を有し得る。このような非円筒形状が引っ張り動作を容易にする。
【0030】
装置は、装置の使用前にハウジングと遮蔽体除去具との間に設けられた、壊れ易いブリッジ(breakable bridges)のような不正開封明示手段をさらに備え得る。
1つの実施態様においては、上記第1及び第2連結手段は、針がこれ以上針遮蔽体内に嵌め込まれないように、最大でも360°の装置の軸周りの遮蔽体除去具の回転運動が針遮蔽体の軸方向の変位を十分引き起こすように設計されている。180°の装置の軸周りの遮蔽体除去具の回転運動がそのために十分であることが好ましい。
【0031】
装置は、また、ハウジングに対する遮蔽体除去具の回転を約180°に制限する手段を備え得る。特に、環状収容部の縦壁が直径方向に対向する2つの軸方向スロットを備えている場合、このような装置は、患者にとって非常に便利である。この場合、隆起部が、最初、第1スロットの線上に配置されているならば、遮蔽体除去具の半回転後、隆起部は、対向するスロットの線上に位置する。したがって、遮蔽体除去具は、この時、真っ直ぐに引っ張られ、ハウジングから完全に取り外され得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の装置の実施態様の分解斜視図である。
【図2】図1の装置の縦断面図である。
【図3】ハウジングと遮蔽体除去具との間に設けられた不正開封明示手段を示す、図1の装置の部分斜視図である。
【図4】ハウジングから遮蔽体除去具の取り外しをより容易にする人間工学的手段を示す図1の装置の部分斜視図である。
【図5】図4に対して90°シフトされた、ハウジングから遮蔽体除去具の取り外しをより容易にする人間工学的手段を示す図1の装置の部分斜視図である。
【図6a】シースの概略縦断面図である。
【図6b】遮蔽体除去具の概略縦断面図である。
【図6c】装置の使用前に組み立てられたシース及び遮蔽体除去具の概略縦断面図である。
【図7a】ハウジングの概略縦断面図である。
【図7b】遮蔽体除去具の概略縦断面図である。
【図7c】装置の使用前に組み立てられたハウジング及び遮蔽体除去具を概略的に示す図である。
【図8】図1の装置の遮蔽体除去具の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の装置が、以下の記載及び添付図面を参照してさらに説明される。
【0034】
さて、図面を参照して、本発明が詳細に説明される。図1は、参照番号1で通常示される本発明の実施態様に係る自動注入装置の分解斜視図を示す。装置1は、以下に説明されるように、該装置を構成している部品の主軸である縦軸2を有する。装置1は、通常、プラスチックから作られている。
【0035】
装置1は、解放不可能に、または解放可能に、スナップ式連結手段、ネジ式連結手段、バヨネット式連結手段、またはその他の2つの部品を連結する手段により互いに連結されている、上部本体アセンブリ4及び下部本体アセンブリ5から成るハウジング3を備えている。
【0036】
例えば、注射器のような容器6は、ハウジング3内に収容される。該容器6は、該ハウジング3に対して軸方向に移動可能である。容器6は、上部及び下部本体アセンブリ4、5それぞれに部分的に収容されることが好ましい。容器6は、開放基端部に画定されるフランジ7、及び実質的に閉じられた末端部9における注入針8(図2参照)を有する。側壁10は、基端部と末端部との間に延在し、所定量の注入用製品を収容できる大きさに作られ、形作られた貯槽11を画定している。注入針8は、貯槽11に流体連通しており、製品のための容器6の出口ポートを提供している。
【0037】
針遮蔽体12が、容器6の末端部に設けられ、装置の使用前、針8を覆い、これを保護している。通常、天然ゴムまたは合成ゴム材料から作られる針遮蔽体12は、また、使用前の容器6の末端部の密封手段を提供する。容器6内に設けられるピストン(不図示)が容器6に対して貯槽11内で移動可能である。ピストンの移動は、患者に製品を注入する間、容器6から針8を通って製品が放出されることを引き起こす。
【0038】
図1に例示されるハウジング3は、本発明に係る装置のハウジングの1つの可能性のある実施態様にすぎないが、これから簡単に説明する。
【0039】
上部本体アセンブリ4は、内側シリンダ14および外側シリンダ15から成る概略円筒形状をした外側スリーブ13を有する。シリンダ14、15は、少なくとも放射状の壁により相互に結合されている。外側スリーブ13に収容される押釦16は、使用者が該押釦16に手による圧力を加える押圧面を形成する横断壁17により閉じられている基端部及び末端部18を有する。容器6に対してピストンを移動させるプランジャ・ロッド19は、上部本体アセンブリ4の外側スリーブ13の内側シリンダ14内に収容されている。
【0040】
第1バネ20が、プランジャ・ロッド19と内側シリンダ14との間に設けられている。バネ20は、容器6のハウジング3内での針8の先端がハウジング3の末端部を越えて突出していない(図2)当初位置から、該当初位置に対して末端方向に間隔を置いて位置し、針8の先端がハウジング3の末端部を越えて突出し、所定の長さにわたって露出されている注入位置への変位を引き起こす。バネ20は、容器6内でのピストンの移動をさらに引き起こし、製品が容器6から針8を通って放出されることを引き起こす。
【0041】
下部本体アセンブリ5は、少なくとも部分的に容器6を収容する本体21を備える。本体21は、概略円筒形状を有し、両端において開放されている。本体21は、末端部分22及び放射壁24により結合されより大きな直径を有する基端部分23を有する。2つの対向する窓25が本体21の基端部分23に設けられている。
【0042】
下部本体アセンブリ5は、また、本体21内に少なくとも部分的に収容される安全遮蔽体26を含んでいる。安全遮蔽体26の基端部分には、その外側壁上に、半径方向に湾曲することができる2つの対向する柔軟な舌片27が設けられている。安全遮蔽体26の基端部分には、また、2つの対向する第1の基端歯28及び該第1の基端歯28から末端方向に間隔を置いて配置される、2つの対向する第2の基端歯29が設けられている。
【0043】
安全遮蔽体26は、本体21に結合され、第1の位置と針の先端が安全遮蔽体26の末端部を越えて突出していない第2の位置との間で移動することができる。
【0044】
装置1は、上記容器6の基端部分の一部を収容する内側リング30をさらに備えている。該内側リング30の内径は、リング30及び容器6が一緒に組み立てられたとき、容器6がリング30を通って完全に通り抜けることができないように、上記容器6のフランジ7の外径より小さい。一緒に組み立てられたとき、容器6がその当初位置からその挿入位置まで移動するので、内側リング30及び容器6は、上部及び下部本体アセンブリ4、5内で一緒に移動し得る。
【0045】
装置1は、また、上記内側リング30を少なくとも部分的に収容する外側リング31を備えている。第2バネ32が容器6と内側リング30との間に設けられている。
【0046】
本発明の装置1には、また、針遮蔽体12を運ぶ遮蔽体除去具33が設けられている。装置の使用前に、使用者は、遮蔽体除去具33を取り外す。このことは、また、針遮蔽体12を取り除く。遮蔽体除去具33は、第1連結手段により針遮蔽体12に結合され、第2連結手段により本体21の末端部分22に取り外し可能に組み立てられている。このことは、これから詳細に説明される。
【0047】
遮蔽体除去具33は、縦軸2、実質的に円筒状の基端部分34、及び遮蔽他除去具33の基端部から軸方向に見たとき(図8参照)、矩形形状をしている拡大末端部分35を有する。遮蔽体除去具33は、実質的に平坦で軸2に直交する、基端部36及び末端部37を有する。
【0048】
遮蔽体除去具33は、その軸が縦軸である円筒形貫通孔38を備えている。該貫通孔38の壁39は、雌ネジを有している。遮蔽体除去具33は、また、円筒形貫通孔38と同軸であり、該貫通孔38を囲んで配置されている環状収容部(an annular housing)40(環状収容部40は、図2に示されるように、貫通孔38の直径D38より大きい内径D40を有している。)を備えている。環状収容部40は、遮蔽体除去具33の基端部36に現れているが、その末端部37には現れていない。該環状収容部40は、内側円筒壁41、外側円筒壁42、及び実質的に平坦であり、軸2に直交している底部43を有している。
【0049】
環状収容部40は、その外側円筒壁42上に、軸2に実質的に直交する平面内に配置され、好ましくは、底部43の近くに配置される円形溝44を備えている。直径方向に対向する2つの軸方向スロット45a、45bが外側円筒壁42に設けられている。スロット45a、45bそれぞれの基端部46は、遮蔽体除去具33の基端部36に現れ、スロット45a、45bそれぞれの末端部47は、円形溝44内に現れる。
【0050】
遮蔽体除去具33は、また、その外側表面上に設けられているリブ、すなわち、軸方向に延在するリブ49及び遮蔽体除去具33の周囲において軸方向に延在するリブ49から間隔をおいて配置される半径方向に延在するリブ50を有している(図4及び5参照)。
【0051】
装置1は、針遮蔽体12の直径と実質的に同一である内径を有する中空の円筒形シース51を備えている。その結果、針遮蔽体12は、該針遮蔽体12とシース51との間での回転が実質的に不可能であるようにシース51内に収容され得る。シース51の外壁52には、貫通孔の雌ネジに対応する雄ネジが設けられている。
【0052】
シース51は、基端部53及び末端部54を有し、その軸方向の長さは、遮蔽体除去具33の基端部36と末端部37との間の距離より大きい。シース51には、その基端部分内に、半径方向内側に向って突出し、放射壁56を有するカラー55から成る軸方向保持手段が設けられている。
【0053】
図2に示されるように、装置1の使用前、シース51は、遮蔽体除去具33の貫通孔38内に取り付けられている.それぞれの雄ネジ及び雌ネジが手で係合され、シース51の末端部54と遮蔽体除去具33の末端部37が実質的に同じ平面内に存在する。針遮蔽体12は、シース51内に収容され、カラー55の放射壁56は、針遮蔽体12の基端部上に当接し、シース51の基端部53は、容器6の末端部9に接触している。このとき、針8は、シース51の末端部54を越えて突出していない針遮蔽体12内に嵌め込まれている。
【0054】
さらに、本体21の末端部分22は、遮蔽体除去具33の環状収容部40内に収容されており、本体21の末端部は、環状収容部40の底部43に近接している。また、放射壁24は、遮蔽体除去具33の基端部36に近接している。環状収容部40の軸方向の長さは、本体21の末端部分22の軸方向の長さに準じて寸法を大きくしなければならないことが理解されるだろう。例示された実施態様において、環状収容部40は、遮蔽体除去具33の基端部36及び末端部37の間の距離の約半分以上にわたって縦方向に延在している。
【0055】
本体21の末端部分22は、溝44内に挿入され、一方のスロット45a、45b内を摺動することを目的として作られている隆起部57を備えている。使用前に、隆起部57は、一方のスロット45aの線上であって溝44内に配置される。
【0056】
図3に示されるように、装置1は、また、装置の使用前に、ハウジング3と遮蔽体除去具33との間に設けられた不正開封明示手段を備え得る。これらの不正開封明示手段は、本体21の放射壁24と遮蔽体除去具33の基端部とを連結する、リング58及び壊れ易いブリッジ59を備え得る。一旦、針遮蔽体12を運ぶ遮蔽体除去具33が取り外されると、不正開封明示手段は、壊され、例え、遮蔽体除去具33がハウジング3上に戻されても、患者は、装置1のそのような事前の開封に気付くであろう。装置1には、また、無菌の薬品が入っており、容器が不正に開封されなかったこと、及び薬品の無菌状態が使用の時点まで維持されてきたことを最終使用者に示すことは重要である。
【0057】
患者が装置1を使用したいとき、彼または彼女は、遮蔽体除去具33を軸方向に引っ張るか、軸2の周りに遮蔽体除去具33を回転させるか選択することができる。
【0058】
隆起部57が一方のスロット45aまたは45bの線上に配置されているので可能である、遮蔽体除去具33が軸方向に引っ張られる場合、遮蔽体除去具33がハウジング3から離れるとき、隆起部57が、該スロット45aまたは45b内を摺動する。この運動中に、ブリッジ59が壊される。このことは、遮蔽体除去具33が完全に取り外されるまで、遮蔽体除去具33のさらなる変位を可能にする。貫通孔38の雌ネジと協同するシース51の雄ネジのせいで、シース51及び遮蔽体除去具33は、この軸方向の変位の間、一体化している。さらに、針遮蔽体12の基端部に当接するシース51のカラー55の放射壁56のせいで、遮蔽体除去具33の軸方向の取り外しは、針遮蔽体12の軸方向の変位を引き起こす。結果として、遮蔽体除去具33を真っ直ぐに引っ張ることにより、患者は、針8内にゴム芯を作り出す恐れなしに遮蔽体除去具33を取り外すことができる。
【0059】
遮蔽体除去具33がハウジング3に対して軸2の周りに回転される場合、ブリッジ59が壊され、隆起部57は、円形溝44内を移動する。その結果、遮蔽体除去具33は、ハウジング3から軸方向に離れることはない。しかしながら、貫通孔38の雌ネジと協同するシース51の雄ネジのせいで、シース51が、遮蔽体除去具33に対して軸方向末端方向に移動する。ネジは、末端方向へのそのような並進を引き起こすように設計されていること、及びシース51の基端部53が容器6の末端部9に接触しているので基端方向への並進が不可能であることに留意されるべきである。
【0060】
シース51の軸方向の並進は、カラー55の放射壁56のせいで、針遮蔽体12の軸方向の並進を引き起こす。この運動の間、針遮蔽体12は、シース51内で回転することができない。このことは、シース51と針遮蔽体12との間での高摩擦係数及びシース51と遮蔽体除去具33との間での低摩擦係数を与える材料を使用することにより達成され得る。
【0061】
遮蔽体除去具33が半回転されたとき、シース51は、遮蔽体除去具33の末端部37を越えて、一定の距離以上突出している。また、隆起部57は、対向するスロット45b、45aの線上に配置されている。患者は、シース51が遮蔽体除去具33から完全に外に出てくるまで、軸2周りに遮蔽体除去具33を続けて回転させることができる。装置1のいろいろな構成要素(特に、ネジが1回転で進む距離)は、最大360°の回転運動が針遮蔽体12を完全に取り外すのに十分であるように設計されることが好ましい。あるいは、患者は、取り外しを完了するために、遮蔽体除去具33を軸方向に押す(隆起部57がスロット45b、45a内を摺動する)ことができる。この引っ張り動作は、針8と針遮蔽体12との間の接触面、したがって、摩擦が非常に減少してしまったので、ずっと容易である。ハウジング3に対して約180°まで遮蔽体除去具33の回転を制限する手段が提供され得る。その結果、患者は、隆起部57が対向するスロット45b、45aに到達したとき、すなわち、遮蔽体除去部33が大きな力を必要とすることなく取り外され得るときを知ることができる。
【0062】
軸方向に延在するリブ49は、該リブ49が遮蔽体除去具33の外面における指の滑りを妨げるので、患者にとっての回転運動をより容易にする。同様に、半径方向に延在するリブ50は、遮蔽体除去具33の引っ張りをより容易にする。この軸方向への引っ張りは、また、指がしっかりと掴むことができる遮蔽体除去具33の拡大末端部分35により容易にされる。
【0063】
装置1は、患者がすぐに使えるように、すなわち、容器6が所定量の注射製剤、好ましくは単回投与量の注射製剤で満たされているように提供され、したがって、1回使用注入装置または使い捨てにできる注入装置を提供する。遮蔽体除去具33及び針遮蔽体12が取り除かれると、患者は、装置1を注入位置における彼または彼女の皮膚に押し当てる。装置1は、使用者の皮膚に押し付けられるので、安全遮蔽体26が基端方向であって本体21内を移動させられる。装置1の安全機能により、使用者は、安全遮蔽体26が基端方向に所定の距離移動させられるまで、装置1を作動させる(すなわち、その当初位置から注入位置まで容器6を移動させる)ことができない。実際に、容器6は、安全遮蔽体26がその最初の位置から移動しない限り、その不動状態にある。
【0064】
装置1が彼または彼女の皮膚に対して押し付けられる(そして、安全遮蔽体26がその第1の位置から基端方向に移動する)と、容器6は、その活動状態をとり、使用者は、装置1を作動させることが可能となり、押釦16を押すことにより、注入を開始することができる。それは、容器6をその当初位置からその注入位置まで移動させ、また、針8が使用者の皮膚を突き刺すことを引き起こす。加えて、押釦16を一度押すことにより、本発明の装置1は、注射製剤が容器から使用者の皮膚内に自動的に放出されることを引き起こす。注入がなされている間または注入工程の終わりにおいて、装置1は、注入状態にある使用者に可聴表示を提供する。例えば、装置1は、注入がなされているとき、注入の終わりを示すクリック音がない場合、1以上の可聴クリック音を提供し得る。別の例では、単一のクリック音が注入工程の終了を告げ得る。
【0065】
注入が完了すると、使用者は、装置1を注入位置から取り外し、安全遮蔽体26が本体21(すなわち、下部本体アセンブリ5)から自動的に突出し、針8の現在汚染されている先端を覆う。装置1が注入位置から取り外され、遮蔽体26が針8の先端を覆って突出すると、遮蔽体26は、所定の位置でロック(lock)され、その後は、そのロックされた位置から基端方向へ移動し、針8の先端を露出させることができない。したがって、使用された装置1は、取り扱い及び廃棄に対して安全となる。
【0066】
本発明の装置は、患者が遮蔽体除去具を取り外すのに対してのいろいろな可能性、すなわち、遮蔽体除去具を真っ直ぐに引っ張り出したり、これを捻ったりすること、あるいは、これらの動作の組み合わせ、を与える。いずれの場合にも、ゴム粒子を生成させる恐れが大幅に減少する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入位置へ製品を自動注入するための装置であって、該装置は、縦軸(2)を有し、
容器(6)に設けられた針(8)の先端がハウジング(3)の末端部を越えて突出していない当初位置と該当初位置に対して末端方向に間隔を置いて位置し、針(8)の先端が前記ハウジング(3)の前記末端部を越えて突出する挿入位置との間で前記ハウジングに対して移動可能である容器(6)を収容することができる前記ハウジング(3)、
前記針(8)を収容し、前記装置(1)の使用前、該針(8)が嵌め込まれている針遮蔽体(12)、
第1連結手段(51)により前記針遮蔽体(12)に結合され、第2連結手段(44、45a、45b、57)によりハウジング(3)の末端部分に取り外し可能に組み立てられている遮蔽体除去具であって、前記装置(1)の使用前、前記ハウジング(3)から取り外され、それにより、針遮蔽体(12)をも取り外すことを目的としている遮蔽体除去具(33)、
を備え、
前記第1及び第2連結手段は、ハウジング(3)に対する装置の軸(2)周りの遮蔽体除去具(33)の回転運動が、針(8)に対する針遮蔽体(12)の回転運動を全く伴うことなしに、末端方向への針遮蔽体(12)の軸方向の変位を引き起こすように、設計されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
第2連結手段(44、57)は、遮蔽体除去具(33)の同時に起こる軸方向の並進の可能性の全くない、前記軸(2)周りの遮蔽体除去具(33)の回転運動を可能とするように設計され、第1連結手段は、
遮蔽体除去具(33)がハウジング(3)に対して装置の軸(2)周りに回転するとき、針遮蔽体(12)が軸方向基端方向に移動することができないように、且つ、針遮蔽体(12)を軸方向末端方向に移動させるように設計されている軸方向保持手段(55)、及び
ハウジング(3)に対する装置の軸(2)周りの遮蔽体除去具(33)の回転運動を、針(8)に対する末端方向への針遮蔽体(12)の軸方向の変位に変換するように設計されている螺旋手段、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
第2連結手段(44、45a、45b、57)は、遮蔽体除去具(33)の同時に起こる回転の可能性の全くない、ハウジングに対する末端方向への遮蔽体除去具(33)の軸方向の変位もまた可能とするように設計され、この軸方向の変位は、遮蔽体除去具(33)及び針遮蔽体(12)両方のハウジング(3)からの軸方向の取り外しを引き起こすことを特徴とする請求項1または2に記載の装置(1)。
【請求項4】
遮蔽体除去具(33)は、装置の軸(2)に一致する軸及び雌ネジを有する円筒形貫通孔(38)を備え、第1連結手段は、それらの間での回転の可能性が全くない、その中に針遮蔽体(12)を収容する中空のシース(51)を備え、該シース(51)は、貫通孔(38)に取り付けられ、該シース(51)には、貫通孔の雌ネジに対応する雄ネジ、及び第1連結手段(51)の末端方向への変位が針遮蔽体(12)の末端方向への変位を引き起こすように針遮蔽体(12)と協同する軸方向保持手段(55)がさらに設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の装置(1)。
【請求項5】
軸方向保持手段は、シーズ(51)の基端部から突出し、針遮蔽体(12)の基端部に当接する、少なくとも1つの半径方向に延在する舌片(55)を備えることを特徴とする請求項4に記載の装置(1)。
【請求項6】
軸方向保持手段(55)は、装置(1)の使用前、容器(6)の末端部(9)に当接していることを特徴とする請求項4または5に記載の装置(1)。
【請求項7】
遮蔽体除去具(33)は、針(8)と同軸であり、針遮蔽体(12)の外径より大きい内径(D40)を有する環状収容部(40)を備え、該環状収容部(40)は、ハウジング(3)の末端部分を収容することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の装置(1)。
【請求項8】
環状収容部(40)は、貫通孔の外径(D38)より大きい内径(D40)を有していることを特徴とする請求項7に記載の装置(1)。
【請求項9】
環状収容部(40)は、その縦壁(42)のうちの一方に、装置の軸(2)に直交する平面内に配置され円形溝(44)を備え、ハウジング(3)の末端部分は、前記溝(44)内に挿入されることを目的としている隆起部(57)を備えていることを特徴とする請求項7または8に記載の装置(1)。
【請求項10】
環状収容部(40)は、前記縦壁(42)に、その基端部(46)が遮蔽体除去具(33)の環状収容部(40)の基端部において現れ、その末端部(47)が前記円形溝(44)内に現れる少なくとも1つの軸方向スロット(45a、45b)をさらに備え、ハウジング(3)の末端部分に設けられる隆起部(57)は、前記スロット(45a、45b)内を摺動するように設計されていることを特徴とする請求項9に記載の装置(1)。
【請求項11】
環状収容部(40)の前記縦壁(42)は、直径方向に対向する2つの軸方向スロット(45a、45b)を備えていることを特徴とする請求項10に記載の装置(1)。
【請求項12】
装置(1)は、該装置(1)の使用前、隆起部(57)が一方の軸方向スロット(45a、45b)の末端部において環状溝(44)内に配置されことを確実にするように設計されている手段を備えていることを特徴とする請求項10または11に記載の装置(1)。
【請求項13】
遮蔽体除去具(33)は、患者にとって、ハウジングからの該遮蔽体除去具(33)の取り外しを容易にする人間工学的手段を備えていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の装置(1)。
【請求項14】
人間工学的手段は、遮蔽体除去具(33)の外面(48)に設けられ、軸方向及び/または半径方向に延在するリブ(49、50)を備えていることを特徴とする請求項13に記載の装置(1)。
【請求項15】
遮蔽体除去具(33)は、拡大された末端部分(35)を有することを特徴とする請求項13または14に記載の装置(1)。
【請求項16】
装置は、該装置(1)の使用前、ハウジング(3)と遮蔽体除去具(33)との間に設けられた不正開封明示手段(58、59)を備えていることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1つに記載の装置(1)。
【請求項17】
前記第1及び第2連結手段は、針(8)がこれ以上針遮蔽体(12)内に嵌め込まれないように、最大でも360°の装置の軸(2)周りの遮蔽体除去具(33)の回転運動が、針遮蔽体(12)の軸方向の変位を十分引き起こすように設計されていることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1つに記載の装置(1)。
【請求項18】
ハウジング(3)に対する遮蔽体除去具(33)の回転を約180°に制限するための手段を備えていることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1つに記載の装置(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−540054(P2010−540054A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526380(P2010−526380)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【国際出願番号】PCT/IB2007/003957
【国際公開番号】WO2009/040601
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(597136216)ベクトン・ディキンソン・フランス・エス.エー.エス. (34)
【Fターム(参考)】