自動点灯制御式照明システム
【課題】画像センサを用いて人間を検知し、照明器具群の制御を行うに際し、人間以外の移動物体などの、外光に起因した誤検知を低減し、信頼性の高い点灯制御を行うことの可能な照明制御システムを提供する。
【解決手段】光源Lと、画像を検出する画像センサ100と、前記画像センサ100の検知結果に基づいて人の位置データを算出する演算部200と、前記演算部200の算出結果に基づいて、光源を点灯制御する制御部300と、外光による明るさを検知する外光センサ400を有し、前記演算部200は、同一時刻における前記外光センサ400の検知結果と、前記画像センサ100の検知結果とを照合し、演算を行なうことで補正データを算出し、前記制御部300は前記演算200部から出力された前記補正データに基づいて、前記光源Lを点灯制御する。
【解決手段】光源Lと、画像を検出する画像センサ100と、前記画像センサ100の検知結果に基づいて人の位置データを算出する演算部200と、前記演算部200の算出結果に基づいて、光源を点灯制御する制御部300と、外光による明るさを検知する外光センサ400を有し、前記演算部200は、同一時刻における前記外光センサ400の検知結果と、前記画像センサ100の検知結果とを照合し、演算を行なうことで補正データを算出し、前記制御部300は前記演算200部から出力された前記補正データに基づいて、前記光源Lを点灯制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動点灯制御式照明システムに係り、特に照明空間に存在する人の状態を検知し、この検知結果に基づいて室内の照明器具を点灯制御あるいは調光制御する照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
居室の天井などに設置された画像センサによって、室内の人の在/不在、滞在位置などを判別し、室内の各照明器具を適切に点滅・調光を行う照明制御装置が提案されている。
画像センサによる人の検知は一般的に、図10に示すように、一定時間間隔をおいて撮像した2つ以上の画像を比較して変化のある部分、すなわち、移動しているとみなせる一定の画素の塊Mを特定することによって行われる。人が移動した後に静止した場合には上記手順では、人が存在するにもかかわらず検知できないことになるので、以前に動いていた画素塊Mは静止しても人であると判断するというような判断回路を導入することによってこれを回避している。
【0003】
上述の画像における変化の判定は、図11に示すように点線で区切られたグリット毎の輝度情報の変化の検出により行なうことができる。つまり人が移動することにより、画面上の床や壁の輝度情報が人の頭部や衣服の輝度情報に変化することで人の存在を判定することができる。
【0004】
しかしながら、画像センサからの画像には人の移動以外による輝度変化も生じる場合がある。例えば図12に示すように、外光が窓Wから入射して、床や壁に反射し、高輝度領域を形成する場合がある。
この例の場合、雲の動きにより急激にこのような像が出現すれば人と誤認識される場合がある。また、上図の例では、図13に示すように、画像センサの出力から人がゾーンAにいることが確認されており照明LAが点灯しているが、それにより生じた影がゾーンB内にも生じていることから、その影を人と誤認識し、照明LBを不必要に点灯させることがあった。
【0005】
また、外光に起因する影だけでなく、画像センサの視野内(画像内)で移動するものは人以外にも、例えば、窓からの風で揺れるカーテンやブラインドがあり、上記技術ではこれらを人であると判断して誤動作するケースがあるため、人が不在であるにもかかわらず、照明器具が点灯する誤動作が発生することがあり、人に不快感を与えることもあった。また、不要な点灯は、無駄な電力を消費することにつながり、できる限り回避する必要がある。
【0006】
室内の電磁放射、好ましくは可視光及び赤外光を測定できるセンサと、測定した電磁放射に応じて室内の照明を制御する制御部とを有する照明制御装置が提案されている(特許文献1)。ここでセンサとしては、部屋の電気画像を形成し得るCCD(電荷結合素子)センサなどのビデオセンサが用いられている。
【0007】
また、上記特許文献1においては、制御手段が、下記特性値に応じて照明を制御し得る、または、下記手段を有していることが記載されている。
・画像の予め定めた部分における可視光の放射値
・画像の色温度値
・画像の放射値間のコントラスト
・動き検出手段を有している
・物体認識手段を有している
・遠隔制御装置により放出される信号に反応しうる
上記装置では、カメラの画像中で見える窓の位置を、あらかじめ特定し、その位置付近で光が観測された場合に、通常の処理系統から排除し照明器具の誤動作を防止するようになっている。また、光度のスレッシュレベル(基準値)を設定し、スレッシュレベルを超えるか超えないかで照明器具の制御を変える方法がとられ、例えば光度がスレッシュレベルを超えると処理系統から排除し照明器具の誤動作を防止するように構成されている。
【0008】
しかしながら、上記装置では、窓の位置とその付近に出現する光は特定できても、出現した光を特定のスレッシュレベルに対し上/下の設定でしか判別できないため、例えば、外光が窓Wから入射して、床や壁に反射し、高輝度領域を形成する場合や、カーテン/ブラインドが揺れてスレッシュレベル以下でカメラの画像中に出現した場合に、人であると判別して照明器具を誤点灯させてしまうという問題は否めなかった。具体的にいえば、本来は、人(輝度塊M)が室内に存在する場合にのみ、照明器具Lを点灯すべきであるが、壁際に置かれたテレビのスイッチをオンにすることで、輝度変化が生じて、光源Lの誤動作を生じてしまう結果となることもあった。また、ダウンライトなどの照明器具の点灯により床面に生じた映りこみによる輝度変化あるいは、風によりカーテンが揺れ、輝度が変化することもあった。
【0009】
また、明るさセンサを設け、装置周辺の明るさレベルが一定値以下となると照明が必要であるか否か判断し、その判断信号を明るさ制御部に出力することで、照明装置の光源を点灯させ、明るさが所定レベルとなるように光源の光量を制御し、画像センサが移動物体を検知し、撮像カメラで撮像した移動物体の画像をインターホン親器へ伝送する期間となると、明るさ制御部は照明装置の光源の光量を制御して照明の明るさを暗くするようにした、ドアホンカメラが提案されている(特許文献2)。このドアホンカメラでは、撮像する領域を含む周囲の明るさが暗くなっても画像センサによるセンシングが安定して行え、かつ撮像により、得られる画像に白飛びが生じないという特徴を有している。
【0010】
【特許文献1】特表2004-501496号公報
【特許文献2】特開2007-318673号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献2では、光源が設置されかつ外光の存在する玄関などの外部領域の明るさを明るさセンサで検出し、光源のその場での光量を制御するものである。
人が居住する空間の多くにおいては窓が存在し、そこから自然光が入射している。さらに、その入射光量は常に変化しているおり、例えば雲の動きにより急激な変化が起こった場合に、その輝度変化を人の動きによるものと判断してしまう場合がある。このような判定に基づいて照明制御を行うことは誤動作へとつながる。
すなわち、外光の強さが大きく変化した場合、光が入射して壁や床を照らしている部分および窓の部分には大きな輝度変化が生じることから、「そこに人が存在する」と判断される場合がある。
【0012】
このように、特許文献1および2のいずれの照明システムにおいても、カメラで人の存在やその位置は特定でき、またその場における外光変化を考慮した光量制御は行うことができても、室内における外光の影響など、別空間における影響については考慮されておらず、外光の強さが大きく変化した場合に、光が入射して壁や床を照らしている部分および窓の部分には大きな輝度変化が生じることで、人であると誤認されることがあった。
【0013】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたものであって、画像センサを用いて人を検知し、照明器具の制御を行うに際し、室内において、外光の変化に起因した、人以外の移動物体などの誤検を低減し、信頼性の高い点灯制御を行うことの可能な照明制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そこで本発明は、光源と、画像を検出する画像センサと、前記画像センサの検知結果に基づいて人の位置データを算出する演算部と、前記演算部の算出結果に基づいて、光源を点灯制御する制御部と、を有する自動点灯制御式照明システムであって、外光による明るさを検知する外光センサを有し、前記演算部は、同一時刻における前記外光センサの検知結果と、前記画像センサの検知結果とを照合し、前記画像センサの検知結果に前記外光センサの検知結果と同期して変化する部分が含まれていると認識した場合に、前記演算部は、前記画像センサの検知結果から、前記部分をキャンセルし、演算を行なうことで補正データを算出し、前記制御部は前記演算部から出力された前記補正データに基づいて、前記光源を点灯制御することを特徴とする。
この構成によれば、演算部は、同じ時刻での画像センサの検知結果と外光センサの検知結果を照合し、画像センサの検知結果に外光センサの検知結果と同期して変化する部分が含まれていると認識した場合に当該部分をキャンセルするので、画像データから人の存在を検知して光量制御を行う場合、外光及び外光に基づく影によって誤検知が起こるのを防止し、誤検知を低減することができる。
【0015】
また本発明は、上記自動点灯制御式照明システムにおいて、前記演算部が、前記外光センサの取り付け位置情報を入力する入力部と、入力された取り付け位置情報で導かれる外光の入射位置情報を記憶する記憶部と、を有し、前記画像センサの検知結果のうちキャンセルする部分が、外光の入射位置情報とオーバーラップする部分を他の部分よりも優先してキャンセルするようにしたものを含む。
この構成により、外光と判断される部分を優先してキャンセルするので、光量制御精度が向上する。
【0016】
また本発明は、上記自動点灯制御式照明システムにおいて、前記演算部が、前記記憶部に記憶された入射位置情報に基づき、前記画像センサの検知結果から外光の入射位置に想到する情報を抽出する抽出部を具備し、前記抽出部で抽出された情報のみを、前記外光センサの検知結果と照合するようにしたものを含む。
この構成により、外光に起因する信号については、入射位置情報に基づいて、外光によって影響を受ける領域についてのみ照合を行なうため、演算処理の低減を図ることができる。
【0017】
また本発明は、上記自動点灯制御式照明システムにおいて、輝度変化が生じた領域の周囲のグリッドにおいて、その直前に輝度変化が生じていなかった場合に他の部分よりも優先して当該輝度変化が生じた領域の情報をキャンセルするものを含む。
この構成により、ユーザ(人)の動きと関連の低い部分を優先してキャンセルするため精度が向上する。
【発明の効果】
【0018】
以上説明してきたように、本発明によれば、画演算部は、同一時刻における画像センサと外光センサの検知結果を照合し、画像センサの検知結果に外光センサの検知結果と同期して変化する部分が含まれていると認識した場合に、当該部分をキャンセルするため、誤検知を防止することができる。
したがって、外光変化に起因する人以外の、輝度変化を、人と誤検知することがなくなり、また、自動的に照明器具が点灯/調光の反応をしないので、人が不快にならなくて済む。
また、不要な点灯がなくなり、無駄な電力を消費せず省エネにつながる。また、アラーム機能を付加することで、窓からの室内侵入検知にも使用できるので、就寝後の夜間や、留守中の防犯効果を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の自動点灯制御式照明システムを用いる室内の状況を示す説明図、図2はこの照明システムのブロック図、図3は本発明の自動点灯制御式照明システムを用いた家の外観を示す説明図である。この照明システムは、図1に室内の状況を示すように、天井などに取り付けられた画像センサ(図示せず)を用いて撮像することで得られる画像情報に基づき、連続画像上で動く輝度塊Mである人情報のみに基づいて点灯制御が可能となるように、画像センサの検知結果と、外光センサの検知結果とを照合し、画像センサの検知結果に外光センサの検知結果と同期して変化する部分が含まれていると認識した場合に当該部分をキャンセルして演算を行ない、外光変化に起因する情報を排除し、光源を点灯制御するようにしたことを特徴とするものである。W1,W2はそれぞれ掃きだし窓、腰窓である。各窓から光が入射する領域をそれぞれr1、r2とした。
【0020】
すなわち、本発明の照明システムは、図2にブロック図を示すように、光源Lと、画像を検出するカメラとしての画像センサ100と、前記画像センサ100の検知結果に基づいて人の位置データを算出する演算部200と、前記演算部200の算出結果に基づいて、光源Lを点灯制御する制御部300と、を有する自動点灯制御式照明システムであって、外光による明るさを検知する外光センサ400を有し、前記演算部200、同一時刻における前記外光センサ400の検知結果と、前記画像センサ100の検知結果とを照合し、前記画像センサ100の検知結果に前記外光センサ400の検知結果と同期して変化する部分が含まれていると認識した場合に、前記演算部200は、前記画像センサの検知結果から、前記部分をキャンセルし、演算を行なうことで補正データを算出し、前記制御部は前記演算部から出力された前記補正データに基づいて、前記光源を点灯制御することを特徴とする。
【0021】
また、照明システムでは、図3に示すように、屋根の上に外光による照度を測定する照度センサである外光センサ400を具備し、屋外の明るさ情報を演算部200に送信するように構成されている。
【0022】
そして、前記画像センサ100から出力される人の位置情報や人数情報などの人に関る画像情報に応じて照明器具を点滅/調光する制御内容が選択され、前記制御部300へ制御信号が出力されて、前記照明器具Lが制御される(図2参照)。
【0023】
次に、この画像センサ100は、例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサのような固体撮像素子を用いたカメラであり、レンズとしては広角レンズ、魚眼レンズなどを用いており、所定時間間隔で撮像した画像情報を出力する。また、画像センサから出力される画像のアナログ信号は、演算部200においてA/D変換されることによってデジタル信号に変換される。ただし、デジタル信号を出力する機能を備えたCMOSイメージセンサを用いる場合には、演算部200におけるA/D変換は不要になる。画像センサで撮像する画像としては、カラー画像を用いることも可能であるが、本実施形態においてはモノクロの濃淡画像を用いるものとする。画像センサが撮像する時間間隔は、当該時間間隔で得られる時系列の画像から移動物体の存否を判断できる程度の範囲で適宜設定すればよい。なお、この画像センサが画像内に捉えるべき制御領域は、あらかじめ人が任意に設定可能である。そしてさらにこの制御領域内で、ドアの近傍など特定領域を設定する。
【0024】
また、この画像センサ100は室内の制御領域を俯瞰できるように天井に設置されることが多いが、本発明の目的とする検知が達成できる範囲であれば、これに限定されるわけではなく、壁や床に設置されていてもよい。また、単独で設置される他、照明器具の1ユニットとして、照明器具と一体化されていてもよい。ここでは、例えば、部屋の中央付近の天井に単独で設置される。
【0025】
また、演算部200は、画像センサ(カメラ)100からの輝度情報と外光センサ400からの屋外明るさ情報を照合し、画像センサの検知結果に外光センサの検知結果と同期して変化する部分が含まれていると認識した場合に当該部分をキャンセルして演算を行なうようにし、その結果にもとづき、人の在・不在を判定するものである。そしてこのキャンセル処理した後のデータと画像センサ100からの輝度情報を一定時間前のものと比較し、変化が生じた部位に人が存在すると判定する。
【0026】
また、制御部300は、演算部200から送られた人の在・不在情報に基づいて、その部位と対応した光源Lを点灯・消灯・調光する。また制御部300は演算部200からの指示により画像センサ100および外光センサの駆動も行う。
【0027】
この構成により、画像センサの検知結果と外光センサの検知結果との比較から、同期して変化する部分があると判断された場合に、そのデータを除去し、除去後の補正データから、人間であるか否かの判断を行なう。ここで人間であると判断した場合にのみ、光源を点灯制御するため、外光変化など、人間の動きに起因するデータすなわち、人間の動き以外に場合による誤動作を防止することができる。また、照明器具の誤点灯を防止し、人に不快感を与えないようにすることができるとともに、無駄な電力を消費しなくてすむため、省エネ効果も大きい。
これにより、連続画像上で動く輝度塊である人情報のみに基づいて光源の点灯制御を行なうことができ、外光変化による輝度変化、テレビTのオンオフによる輝度変化、窓近傍のカーテンの動きによる輝度変化を人の動きによる輝度変化と誤認識しないようにしている。
【0028】
そして、前記画像センサから出力される人の位置情報や人数情報などの人に関る画像情報に応じて照明器具を点滅/調光する制御内容が選択され、前記制御部へ制御信号が出力されて、前記照明器具が制御される。前記制御部は、外光センサの検知結果と同期して変化する部分があると判断されたとき、この部分の出力を画像センサの検知結果からキャンセルするため、外光による窓面の輝度変化・窓からの床面への外光の投射などによる輝度変化に起因する誤動作を防止することができる。
【0029】
なお、制御部300にはあらかじめ、人の在室位置や人数などのパターンに応じて照明器具を点滅・調光する制御内容が格納されている。また、後に述べる手順によって、移動する輝度塊Mが発生する場合であっても、演算部200による、画像センサ100の検出結果に応じて、人ではないと判断し、点灯制御をキャンセルし、点灯制御が実行される。
【0030】
次に、本実施の形態の照明システムを用いた照明制御動作について詳細に説明する。
図4は制御動作を示すフローチャートである。
まず、画像センサ100によって撮像を行なうことにより室内の輝度情報を取得する(ステップS1000)。
次いで外光センサ400により、屋外の明るさ情報を取得する(ステップS1001)。
【0031】
そして、演算部は、この取得情報と、この画像センサの、一定時間前の輝度情報とを比較し、一定時間前の輝度情報から変化があるかどうかを調べる(ステップS1002)。
ここでは、この演算結果から、一定時間前の輝度情報から変化が生じたと判断された場合、出現したオブジェクトMの移動量を調べ、移動量があらかじめ決定された値より大きいか否かを判断する。
【0032】
そしてこの判断ステップS1002で移動量があらかじめ決定された値より大きいと判断されると、外光センサの出力と比較する。ここでは、外光センサの出力と画像センサの出力とを比較し、画像センサの出力が外光センサの出力に同期した部分があるか否かを判断する(ステップS1003)。
【0033】
そして、ステップS1003で画像センサの出力が外光センサの出力と無関係であると判断されると、人が存在していると判断され(ステップS1004)、光源Lが点灯される(あるいは点灯を維持する)(ステップS1005)。
一方ステップS1002で変化がなければ人不在と判定される(ステップS1006)。
【0034】
そして光源Lは消灯あるいは消灯を維持される(ステップS1007)。
また判断ステップS1003で画像センサの出力が外光センサの出力と同期した部分が存在すると判断された場合には、画像センサの出力からこの部分の外光センサの出力を減算する。この画像センサの出力と外光センサの出力とを図5(a)および(b)に示す。例えば画像センサの出力Aと外光センサの出力A`とは同期していないため、Aは人である可能性がある。
一方、画像センサの出力Bと外光センサの出力B`とは同期しているため、Bは外光に起因する出力である可能性がある。そこでこの出力Bは画像センサの出力から排除する。
【0035】
このようにして、外光の変化に起因する画像センサの出力をキャンセル処理し、この信号による画像制御は行われない。
【0036】
例えば、リビング・ダイニングなどの室内において、リビング・ダイニング内を照明する照明器具の照明負荷が考えられるが、本発明はこの用途に限るものではない。この種の用途では、通常、室内への入室時に照明器具を点灯させた場合は、室内に人が存在する限りは照明器具の点灯継続が要求されるが、寝室などシーンによっては必ずしも点灯継続しなくてもよい場合もある。また、退室後比較的短時間で照明器具を消灯させることが要求される。
【0037】
例えば、リビング・ダイニングなどの室内において、リビング・ダイニング内を照明する照明器具の照明負荷が考えられるが、本発明はこの用途に限るものではない。この種の用途では、通常、室内への入室時に照明器具を点灯させた場合は、室内に人が存在する限りは照明器具の点灯継続が要求されるが、寝室などシーンによっては必ずしも点灯継続しなくてもよい場合もある。また、退室後比較的短時間で照明器具を消灯させることが要求される。
【0038】
(実施の形態2)
次に本発明の実施の形態2について説明する。
本実施の形態では、光の近傍など、外光による変化を受け易い領域を、予め入力部500から入力しておき、この部分に対して優先的に、外光センサの出力と画像センサの出力とを比較処理し、処理の効率化をはかる。
図6は、本発明の実施の形態2の照明システムを示すブロック図である。この照明システムでは前記実施の形態1に示した照明システムと異なるのは入力部500を具備した点である。この入力部500は、人が諸設定を行なうためのインターフェースであり、インジケータやボタン、タッチパネル式液晶画面などにより構成される。
【0039】
図7は本発明の実施の形態2の照明システムの画像センサが捉えた撮像結果であり、室内の状況を知ることができる。また、図8はこの照明システムの画像センサが捉えた撮像結果を、入力部500の液晶画面に示したもので,タッチパネル(図示せず)を駆使して、グリッド指定したものである。
【0040】
この入力部500を用いて、図7に示すように、掃きだし窓W1や,腰窓W2の位置を予め入力部500を介して入力しておく。この掃きだし窓W1や,腰窓W2の位置に近い領域R1,R2は、外光による輝度変化を生じ易い領域であり、この部分を他の部分よりも優先して比較するようにし、この領域R1,R2に対して、優先的に図4に示した演算処理を行い、キャンセル処理が必要な場合にはキャンセル処理を行った上で、画像センサの出力に基づいて通常の点灯制御を行うようにすればよい。
【0041】
さらにまたこのキャンセル処理を行うにあたり、図9に示すように、輝度変化が生じた部位の周囲のグリッドにおいて、輝度変化の状態を測定した。その結果図9にAで示すグリッド部分は輝度変化が生じたものとし、その周囲のグリッドBについて、輝度変化が生じているか否かを測定し、輝度変化が生じた領域(グリッドA)が、輝度変化が生じていない領域(グリッドB)で囲まれている場合は、輝度塊の動きに起因するものではなく外光に起因するものであると判断し、キャンセル処理することで、より迅速な処理が可能となる。
【0042】
さらにまた、前記実施の形態2では、この領域R1,R2に対する画像センサの出力と、外光センサの出力との比較を優先的に実行したが、外光センサの出力との比較を行なうステップは、窓W1,W2による外光の影響を受け易いこの領域R1,R2に対する画像センサの出力に対してのみ実行するようにし、キャンセル処理を行った後は、画像センサの出力のみに基づいて点灯制御を行うようにしてもよい。これにより、演算量が大幅に低減され、処理の高速化を図ることができる。
【0043】
なお、この図9に示したキャンセル処理は、外光センサ400の出力との比較に先立ち実行するようにし、キャンセル処理したものについて、画像センサの出力と外光センサの出力を比較するようにしたが、輝度変化が生じた領域(グリッドA)が、輝度変化が生じていない領域(グリッドB)で囲まれていると判断された領域に対して優先的に、画像センサの出力と外光センサの出力を比較し、同期した部分の出力信号を除去するという方法をとってもよい。これにより、演算処理の高速化をはかることができる。
【0044】
なお前記実施の形態1乃至2において、輝度変化を追跡する過程で、予め定められた一定時間内に輝度変化を生じる輝度塊が動かない場合に、この輝度変化をキャンセルするようにしてもよい。
これにより、輝度変化を追跡する過程で、予め定められた一定時間内に輝度変化を生じる輝度塊が動かない場合に、この輝度変化をキャンセルするので掃き出し窓での人の出入りとカーテンの揺らぎを識別することができ、誤検知をさらに抑制することができる。また時間制限を設けることで、一旦制御を開始するが、予め定められた一定時間内に輝度変化を生じる輝度塊が動かない場合には制御をキャンセルするという制御も可能となる。
【0045】
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限定するものではなく、室内に不審者の侵入がないか監視するシステムにおいての不審者検知装置としても利用可能である。例えば、通常制御から、セキュリテーモードに切り替えておくことによって、夜間就寝後や、留守中に、不審者が窓から室内に侵入した場合に、照明器具が点灯したり、警報音が鳴ったり、居住者に通報するなどのアクションを発生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態1の照明システムを示す説明図
【図2】本発明の実施の形態1の照明システムを示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態1の照明システムを示す外観図
【図4】本発明の実施の形態1の照明システムの制御動作を示すフローチャート図
【図5】本発明の実施の形態1の照明システムを示す説明図
【図6】本発明の実施の形態2の照明システムを示すブロック図
【図7】本発明の実施の形態2の照明システムを示す説明図
【図8】本発明の実施の形態2の照明システムを示す説明図
【図9】本発明の実施の形態2の照明システムを示す説明図
【図10】従来例の照明システムを示す説明図
【図11】従来例の照明システムを示す説明図
【図12】従来例の照明システムを示す説明図
【図13】従来例の照明システムを示す説明図
【符号の説明】
【0047】
100 画像センサ
200 演算部
300 制御部
400 外光センサ
500 入力部
L 照明器具
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動点灯制御式照明システムに係り、特に照明空間に存在する人の状態を検知し、この検知結果に基づいて室内の照明器具を点灯制御あるいは調光制御する照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
居室の天井などに設置された画像センサによって、室内の人の在/不在、滞在位置などを判別し、室内の各照明器具を適切に点滅・調光を行う照明制御装置が提案されている。
画像センサによる人の検知は一般的に、図10に示すように、一定時間間隔をおいて撮像した2つ以上の画像を比較して変化のある部分、すなわち、移動しているとみなせる一定の画素の塊Mを特定することによって行われる。人が移動した後に静止した場合には上記手順では、人が存在するにもかかわらず検知できないことになるので、以前に動いていた画素塊Mは静止しても人であると判断するというような判断回路を導入することによってこれを回避している。
【0003】
上述の画像における変化の判定は、図11に示すように点線で区切られたグリット毎の輝度情報の変化の検出により行なうことができる。つまり人が移動することにより、画面上の床や壁の輝度情報が人の頭部や衣服の輝度情報に変化することで人の存在を判定することができる。
【0004】
しかしながら、画像センサからの画像には人の移動以外による輝度変化も生じる場合がある。例えば図12に示すように、外光が窓Wから入射して、床や壁に反射し、高輝度領域を形成する場合がある。
この例の場合、雲の動きにより急激にこのような像が出現すれば人と誤認識される場合がある。また、上図の例では、図13に示すように、画像センサの出力から人がゾーンAにいることが確認されており照明LAが点灯しているが、それにより生じた影がゾーンB内にも生じていることから、その影を人と誤認識し、照明LBを不必要に点灯させることがあった。
【0005】
また、外光に起因する影だけでなく、画像センサの視野内(画像内)で移動するものは人以外にも、例えば、窓からの風で揺れるカーテンやブラインドがあり、上記技術ではこれらを人であると判断して誤動作するケースがあるため、人が不在であるにもかかわらず、照明器具が点灯する誤動作が発生することがあり、人に不快感を与えることもあった。また、不要な点灯は、無駄な電力を消費することにつながり、できる限り回避する必要がある。
【0006】
室内の電磁放射、好ましくは可視光及び赤外光を測定できるセンサと、測定した電磁放射に応じて室内の照明を制御する制御部とを有する照明制御装置が提案されている(特許文献1)。ここでセンサとしては、部屋の電気画像を形成し得るCCD(電荷結合素子)センサなどのビデオセンサが用いられている。
【0007】
また、上記特許文献1においては、制御手段が、下記特性値に応じて照明を制御し得る、または、下記手段を有していることが記載されている。
・画像の予め定めた部分における可視光の放射値
・画像の色温度値
・画像の放射値間のコントラスト
・動き検出手段を有している
・物体認識手段を有している
・遠隔制御装置により放出される信号に反応しうる
上記装置では、カメラの画像中で見える窓の位置を、あらかじめ特定し、その位置付近で光が観測された場合に、通常の処理系統から排除し照明器具の誤動作を防止するようになっている。また、光度のスレッシュレベル(基準値)を設定し、スレッシュレベルを超えるか超えないかで照明器具の制御を変える方法がとられ、例えば光度がスレッシュレベルを超えると処理系統から排除し照明器具の誤動作を防止するように構成されている。
【0008】
しかしながら、上記装置では、窓の位置とその付近に出現する光は特定できても、出現した光を特定のスレッシュレベルに対し上/下の設定でしか判別できないため、例えば、外光が窓Wから入射して、床や壁に反射し、高輝度領域を形成する場合や、カーテン/ブラインドが揺れてスレッシュレベル以下でカメラの画像中に出現した場合に、人であると判別して照明器具を誤点灯させてしまうという問題は否めなかった。具体的にいえば、本来は、人(輝度塊M)が室内に存在する場合にのみ、照明器具Lを点灯すべきであるが、壁際に置かれたテレビのスイッチをオンにすることで、輝度変化が生じて、光源Lの誤動作を生じてしまう結果となることもあった。また、ダウンライトなどの照明器具の点灯により床面に生じた映りこみによる輝度変化あるいは、風によりカーテンが揺れ、輝度が変化することもあった。
【0009】
また、明るさセンサを設け、装置周辺の明るさレベルが一定値以下となると照明が必要であるか否か判断し、その判断信号を明るさ制御部に出力することで、照明装置の光源を点灯させ、明るさが所定レベルとなるように光源の光量を制御し、画像センサが移動物体を検知し、撮像カメラで撮像した移動物体の画像をインターホン親器へ伝送する期間となると、明るさ制御部は照明装置の光源の光量を制御して照明の明るさを暗くするようにした、ドアホンカメラが提案されている(特許文献2)。このドアホンカメラでは、撮像する領域を含む周囲の明るさが暗くなっても画像センサによるセンシングが安定して行え、かつ撮像により、得られる画像に白飛びが生じないという特徴を有している。
【0010】
【特許文献1】特表2004-501496号公報
【特許文献2】特開2007-318673号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献2では、光源が設置されかつ外光の存在する玄関などの外部領域の明るさを明るさセンサで検出し、光源のその場での光量を制御するものである。
人が居住する空間の多くにおいては窓が存在し、そこから自然光が入射している。さらに、その入射光量は常に変化しているおり、例えば雲の動きにより急激な変化が起こった場合に、その輝度変化を人の動きによるものと判断してしまう場合がある。このような判定に基づいて照明制御を行うことは誤動作へとつながる。
すなわち、外光の強さが大きく変化した場合、光が入射して壁や床を照らしている部分および窓の部分には大きな輝度変化が生じることから、「そこに人が存在する」と判断される場合がある。
【0012】
このように、特許文献1および2のいずれの照明システムにおいても、カメラで人の存在やその位置は特定でき、またその場における外光変化を考慮した光量制御は行うことができても、室内における外光の影響など、別空間における影響については考慮されておらず、外光の強さが大きく変化した場合に、光が入射して壁や床を照らしている部分および窓の部分には大きな輝度変化が生じることで、人であると誤認されることがあった。
【0013】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたものであって、画像センサを用いて人を検知し、照明器具の制御を行うに際し、室内において、外光の変化に起因した、人以外の移動物体などの誤検を低減し、信頼性の高い点灯制御を行うことの可能な照明制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そこで本発明は、光源と、画像を検出する画像センサと、前記画像センサの検知結果に基づいて人の位置データを算出する演算部と、前記演算部の算出結果に基づいて、光源を点灯制御する制御部と、を有する自動点灯制御式照明システムであって、外光による明るさを検知する外光センサを有し、前記演算部は、同一時刻における前記外光センサの検知結果と、前記画像センサの検知結果とを照合し、前記画像センサの検知結果に前記外光センサの検知結果と同期して変化する部分が含まれていると認識した場合に、前記演算部は、前記画像センサの検知結果から、前記部分をキャンセルし、演算を行なうことで補正データを算出し、前記制御部は前記演算部から出力された前記補正データに基づいて、前記光源を点灯制御することを特徴とする。
この構成によれば、演算部は、同じ時刻での画像センサの検知結果と外光センサの検知結果を照合し、画像センサの検知結果に外光センサの検知結果と同期して変化する部分が含まれていると認識した場合に当該部分をキャンセルするので、画像データから人の存在を検知して光量制御を行う場合、外光及び外光に基づく影によって誤検知が起こるのを防止し、誤検知を低減することができる。
【0015】
また本発明は、上記自動点灯制御式照明システムにおいて、前記演算部が、前記外光センサの取り付け位置情報を入力する入力部と、入力された取り付け位置情報で導かれる外光の入射位置情報を記憶する記憶部と、を有し、前記画像センサの検知結果のうちキャンセルする部分が、外光の入射位置情報とオーバーラップする部分を他の部分よりも優先してキャンセルするようにしたものを含む。
この構成により、外光と判断される部分を優先してキャンセルするので、光量制御精度が向上する。
【0016】
また本発明は、上記自動点灯制御式照明システムにおいて、前記演算部が、前記記憶部に記憶された入射位置情報に基づき、前記画像センサの検知結果から外光の入射位置に想到する情報を抽出する抽出部を具備し、前記抽出部で抽出された情報のみを、前記外光センサの検知結果と照合するようにしたものを含む。
この構成により、外光に起因する信号については、入射位置情報に基づいて、外光によって影響を受ける領域についてのみ照合を行なうため、演算処理の低減を図ることができる。
【0017】
また本発明は、上記自動点灯制御式照明システムにおいて、輝度変化が生じた領域の周囲のグリッドにおいて、その直前に輝度変化が生じていなかった場合に他の部分よりも優先して当該輝度変化が生じた領域の情報をキャンセルするものを含む。
この構成により、ユーザ(人)の動きと関連の低い部分を優先してキャンセルするため精度が向上する。
【発明の効果】
【0018】
以上説明してきたように、本発明によれば、画演算部は、同一時刻における画像センサと外光センサの検知結果を照合し、画像センサの検知結果に外光センサの検知結果と同期して変化する部分が含まれていると認識した場合に、当該部分をキャンセルするため、誤検知を防止することができる。
したがって、外光変化に起因する人以外の、輝度変化を、人と誤検知することがなくなり、また、自動的に照明器具が点灯/調光の反応をしないので、人が不快にならなくて済む。
また、不要な点灯がなくなり、無駄な電力を消費せず省エネにつながる。また、アラーム機能を付加することで、窓からの室内侵入検知にも使用できるので、就寝後の夜間や、留守中の防犯効果を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の自動点灯制御式照明システムを用いる室内の状況を示す説明図、図2はこの照明システムのブロック図、図3は本発明の自動点灯制御式照明システムを用いた家の外観を示す説明図である。この照明システムは、図1に室内の状況を示すように、天井などに取り付けられた画像センサ(図示せず)を用いて撮像することで得られる画像情報に基づき、連続画像上で動く輝度塊Mである人情報のみに基づいて点灯制御が可能となるように、画像センサの検知結果と、外光センサの検知結果とを照合し、画像センサの検知結果に外光センサの検知結果と同期して変化する部分が含まれていると認識した場合に当該部分をキャンセルして演算を行ない、外光変化に起因する情報を排除し、光源を点灯制御するようにしたことを特徴とするものである。W1,W2はそれぞれ掃きだし窓、腰窓である。各窓から光が入射する領域をそれぞれr1、r2とした。
【0020】
すなわち、本発明の照明システムは、図2にブロック図を示すように、光源Lと、画像を検出するカメラとしての画像センサ100と、前記画像センサ100の検知結果に基づいて人の位置データを算出する演算部200と、前記演算部200の算出結果に基づいて、光源Lを点灯制御する制御部300と、を有する自動点灯制御式照明システムであって、外光による明るさを検知する外光センサ400を有し、前記演算部200、同一時刻における前記外光センサ400の検知結果と、前記画像センサ100の検知結果とを照合し、前記画像センサ100の検知結果に前記外光センサ400の検知結果と同期して変化する部分が含まれていると認識した場合に、前記演算部200は、前記画像センサの検知結果から、前記部分をキャンセルし、演算を行なうことで補正データを算出し、前記制御部は前記演算部から出力された前記補正データに基づいて、前記光源を点灯制御することを特徴とする。
【0021】
また、照明システムでは、図3に示すように、屋根の上に外光による照度を測定する照度センサである外光センサ400を具備し、屋外の明るさ情報を演算部200に送信するように構成されている。
【0022】
そして、前記画像センサ100から出力される人の位置情報や人数情報などの人に関る画像情報に応じて照明器具を点滅/調光する制御内容が選択され、前記制御部300へ制御信号が出力されて、前記照明器具Lが制御される(図2参照)。
【0023】
次に、この画像センサ100は、例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサのような固体撮像素子を用いたカメラであり、レンズとしては広角レンズ、魚眼レンズなどを用いており、所定時間間隔で撮像した画像情報を出力する。また、画像センサから出力される画像のアナログ信号は、演算部200においてA/D変換されることによってデジタル信号に変換される。ただし、デジタル信号を出力する機能を備えたCMOSイメージセンサを用いる場合には、演算部200におけるA/D変換は不要になる。画像センサで撮像する画像としては、カラー画像を用いることも可能であるが、本実施形態においてはモノクロの濃淡画像を用いるものとする。画像センサが撮像する時間間隔は、当該時間間隔で得られる時系列の画像から移動物体の存否を判断できる程度の範囲で適宜設定すればよい。なお、この画像センサが画像内に捉えるべき制御領域は、あらかじめ人が任意に設定可能である。そしてさらにこの制御領域内で、ドアの近傍など特定領域を設定する。
【0024】
また、この画像センサ100は室内の制御領域を俯瞰できるように天井に設置されることが多いが、本発明の目的とする検知が達成できる範囲であれば、これに限定されるわけではなく、壁や床に設置されていてもよい。また、単独で設置される他、照明器具の1ユニットとして、照明器具と一体化されていてもよい。ここでは、例えば、部屋の中央付近の天井に単独で設置される。
【0025】
また、演算部200は、画像センサ(カメラ)100からの輝度情報と外光センサ400からの屋外明るさ情報を照合し、画像センサの検知結果に外光センサの検知結果と同期して変化する部分が含まれていると認識した場合に当該部分をキャンセルして演算を行なうようにし、その結果にもとづき、人の在・不在を判定するものである。そしてこのキャンセル処理した後のデータと画像センサ100からの輝度情報を一定時間前のものと比較し、変化が生じた部位に人が存在すると判定する。
【0026】
また、制御部300は、演算部200から送られた人の在・不在情報に基づいて、その部位と対応した光源Lを点灯・消灯・調光する。また制御部300は演算部200からの指示により画像センサ100および外光センサの駆動も行う。
【0027】
この構成により、画像センサの検知結果と外光センサの検知結果との比較から、同期して変化する部分があると判断された場合に、そのデータを除去し、除去後の補正データから、人間であるか否かの判断を行なう。ここで人間であると判断した場合にのみ、光源を点灯制御するため、外光変化など、人間の動きに起因するデータすなわち、人間の動き以外に場合による誤動作を防止することができる。また、照明器具の誤点灯を防止し、人に不快感を与えないようにすることができるとともに、無駄な電力を消費しなくてすむため、省エネ効果も大きい。
これにより、連続画像上で動く輝度塊である人情報のみに基づいて光源の点灯制御を行なうことができ、外光変化による輝度変化、テレビTのオンオフによる輝度変化、窓近傍のカーテンの動きによる輝度変化を人の動きによる輝度変化と誤認識しないようにしている。
【0028】
そして、前記画像センサから出力される人の位置情報や人数情報などの人に関る画像情報に応じて照明器具を点滅/調光する制御内容が選択され、前記制御部へ制御信号が出力されて、前記照明器具が制御される。前記制御部は、外光センサの検知結果と同期して変化する部分があると判断されたとき、この部分の出力を画像センサの検知結果からキャンセルするため、外光による窓面の輝度変化・窓からの床面への外光の投射などによる輝度変化に起因する誤動作を防止することができる。
【0029】
なお、制御部300にはあらかじめ、人の在室位置や人数などのパターンに応じて照明器具を点滅・調光する制御内容が格納されている。また、後に述べる手順によって、移動する輝度塊Mが発生する場合であっても、演算部200による、画像センサ100の検出結果に応じて、人ではないと判断し、点灯制御をキャンセルし、点灯制御が実行される。
【0030】
次に、本実施の形態の照明システムを用いた照明制御動作について詳細に説明する。
図4は制御動作を示すフローチャートである。
まず、画像センサ100によって撮像を行なうことにより室内の輝度情報を取得する(ステップS1000)。
次いで外光センサ400により、屋外の明るさ情報を取得する(ステップS1001)。
【0031】
そして、演算部は、この取得情報と、この画像センサの、一定時間前の輝度情報とを比較し、一定時間前の輝度情報から変化があるかどうかを調べる(ステップS1002)。
ここでは、この演算結果から、一定時間前の輝度情報から変化が生じたと判断された場合、出現したオブジェクトMの移動量を調べ、移動量があらかじめ決定された値より大きいか否かを判断する。
【0032】
そしてこの判断ステップS1002で移動量があらかじめ決定された値より大きいと判断されると、外光センサの出力と比較する。ここでは、外光センサの出力と画像センサの出力とを比較し、画像センサの出力が外光センサの出力に同期した部分があるか否かを判断する(ステップS1003)。
【0033】
そして、ステップS1003で画像センサの出力が外光センサの出力と無関係であると判断されると、人が存在していると判断され(ステップS1004)、光源Lが点灯される(あるいは点灯を維持する)(ステップS1005)。
一方ステップS1002で変化がなければ人不在と判定される(ステップS1006)。
【0034】
そして光源Lは消灯あるいは消灯を維持される(ステップS1007)。
また判断ステップS1003で画像センサの出力が外光センサの出力と同期した部分が存在すると判断された場合には、画像センサの出力からこの部分の外光センサの出力を減算する。この画像センサの出力と外光センサの出力とを図5(a)および(b)に示す。例えば画像センサの出力Aと外光センサの出力A`とは同期していないため、Aは人である可能性がある。
一方、画像センサの出力Bと外光センサの出力B`とは同期しているため、Bは外光に起因する出力である可能性がある。そこでこの出力Bは画像センサの出力から排除する。
【0035】
このようにして、外光の変化に起因する画像センサの出力をキャンセル処理し、この信号による画像制御は行われない。
【0036】
例えば、リビング・ダイニングなどの室内において、リビング・ダイニング内を照明する照明器具の照明負荷が考えられるが、本発明はこの用途に限るものではない。この種の用途では、通常、室内への入室時に照明器具を点灯させた場合は、室内に人が存在する限りは照明器具の点灯継続が要求されるが、寝室などシーンによっては必ずしも点灯継続しなくてもよい場合もある。また、退室後比較的短時間で照明器具を消灯させることが要求される。
【0037】
例えば、リビング・ダイニングなどの室内において、リビング・ダイニング内を照明する照明器具の照明負荷が考えられるが、本発明はこの用途に限るものではない。この種の用途では、通常、室内への入室時に照明器具を点灯させた場合は、室内に人が存在する限りは照明器具の点灯継続が要求されるが、寝室などシーンによっては必ずしも点灯継続しなくてもよい場合もある。また、退室後比較的短時間で照明器具を消灯させることが要求される。
【0038】
(実施の形態2)
次に本発明の実施の形態2について説明する。
本実施の形態では、光の近傍など、外光による変化を受け易い領域を、予め入力部500から入力しておき、この部分に対して優先的に、外光センサの出力と画像センサの出力とを比較処理し、処理の効率化をはかる。
図6は、本発明の実施の形態2の照明システムを示すブロック図である。この照明システムでは前記実施の形態1に示した照明システムと異なるのは入力部500を具備した点である。この入力部500は、人が諸設定を行なうためのインターフェースであり、インジケータやボタン、タッチパネル式液晶画面などにより構成される。
【0039】
図7は本発明の実施の形態2の照明システムの画像センサが捉えた撮像結果であり、室内の状況を知ることができる。また、図8はこの照明システムの画像センサが捉えた撮像結果を、入力部500の液晶画面に示したもので,タッチパネル(図示せず)を駆使して、グリッド指定したものである。
【0040】
この入力部500を用いて、図7に示すように、掃きだし窓W1や,腰窓W2の位置を予め入力部500を介して入力しておく。この掃きだし窓W1や,腰窓W2の位置に近い領域R1,R2は、外光による輝度変化を生じ易い領域であり、この部分を他の部分よりも優先して比較するようにし、この領域R1,R2に対して、優先的に図4に示した演算処理を行い、キャンセル処理が必要な場合にはキャンセル処理を行った上で、画像センサの出力に基づいて通常の点灯制御を行うようにすればよい。
【0041】
さらにまたこのキャンセル処理を行うにあたり、図9に示すように、輝度変化が生じた部位の周囲のグリッドにおいて、輝度変化の状態を測定した。その結果図9にAで示すグリッド部分は輝度変化が生じたものとし、その周囲のグリッドBについて、輝度変化が生じているか否かを測定し、輝度変化が生じた領域(グリッドA)が、輝度変化が生じていない領域(グリッドB)で囲まれている場合は、輝度塊の動きに起因するものではなく外光に起因するものであると判断し、キャンセル処理することで、より迅速な処理が可能となる。
【0042】
さらにまた、前記実施の形態2では、この領域R1,R2に対する画像センサの出力と、外光センサの出力との比較を優先的に実行したが、外光センサの出力との比較を行なうステップは、窓W1,W2による外光の影響を受け易いこの領域R1,R2に対する画像センサの出力に対してのみ実行するようにし、キャンセル処理を行った後は、画像センサの出力のみに基づいて点灯制御を行うようにしてもよい。これにより、演算量が大幅に低減され、処理の高速化を図ることができる。
【0043】
なお、この図9に示したキャンセル処理は、外光センサ400の出力との比較に先立ち実行するようにし、キャンセル処理したものについて、画像センサの出力と外光センサの出力を比較するようにしたが、輝度変化が生じた領域(グリッドA)が、輝度変化が生じていない領域(グリッドB)で囲まれていると判断された領域に対して優先的に、画像センサの出力と外光センサの出力を比較し、同期した部分の出力信号を除去するという方法をとってもよい。これにより、演算処理の高速化をはかることができる。
【0044】
なお前記実施の形態1乃至2において、輝度変化を追跡する過程で、予め定められた一定時間内に輝度変化を生じる輝度塊が動かない場合に、この輝度変化をキャンセルするようにしてもよい。
これにより、輝度変化を追跡する過程で、予め定められた一定時間内に輝度変化を生じる輝度塊が動かない場合に、この輝度変化をキャンセルするので掃き出し窓での人の出入りとカーテンの揺らぎを識別することができ、誤検知をさらに抑制することができる。また時間制限を設けることで、一旦制御を開始するが、予め定められた一定時間内に輝度変化を生じる輝度塊が動かない場合には制御をキャンセルするという制御も可能となる。
【0045】
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限定するものではなく、室内に不審者の侵入がないか監視するシステムにおいての不審者検知装置としても利用可能である。例えば、通常制御から、セキュリテーモードに切り替えておくことによって、夜間就寝後や、留守中に、不審者が窓から室内に侵入した場合に、照明器具が点灯したり、警報音が鳴ったり、居住者に通報するなどのアクションを発生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態1の照明システムを示す説明図
【図2】本発明の実施の形態1の照明システムを示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態1の照明システムを示す外観図
【図4】本発明の実施の形態1の照明システムの制御動作を示すフローチャート図
【図5】本発明の実施の形態1の照明システムを示す説明図
【図6】本発明の実施の形態2の照明システムを示すブロック図
【図7】本発明の実施の形態2の照明システムを示す説明図
【図8】本発明の実施の形態2の照明システムを示す説明図
【図9】本発明の実施の形態2の照明システムを示す説明図
【図10】従来例の照明システムを示す説明図
【図11】従来例の照明システムを示す説明図
【図12】従来例の照明システムを示す説明図
【図13】従来例の照明システムを示す説明図
【符号の説明】
【0047】
100 画像センサ
200 演算部
300 制御部
400 外光センサ
500 入力部
L 照明器具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
画像を検出する画像センサと、
前記画像センサの検知結果に基づいて人の位置データを算出する演算部と、
前記演算部の算出結果に基づいて、光源を点灯制御する制御部と、を有する自動点灯制御式照明システムであって、
外光による明るさを検知する外光センサを有し、
前記演算部は、同一時刻における前記外光センサの検知結果と、前記画像センサの検知結果とを照合し、前記画像センサの検知結果に前記外光センサの検知結果と同期して変化する部分が含まれていると認識した場合に、
前記演算部は、前記画像センサの検知結果から、前記部分をキャンセルし、演算を行なうことで補正データを算出し、
前記制御部は、前記演算部から出力された前記補正データに基づいて、前記光源を点灯制御する自動点灯制御式照明システム。
【請求項2】
請求項1に記載の自動点灯制御式照明システムであって、
前記演算部は、前記外光センサの取り付け位置情報を入力する入力部と、入力された取り付け位置情報で導かれる外光の入射位置情報を記憶する記憶部と、を有し、
前記画像センサの検知結果のうちキャンセルする部分が、外光の入射位置情報とオーバーラップする部分を他の部分よりも優先してキャンセルするようにした自動点灯制御式照明システム。
【請求項3】
請求項2に記載の自動点灯制御式照明システムであって、
前記演算部は、前記記憶部に記憶された入射位置情報に基づき、前記画像センサの検知結果から外光の入射位置に想到する情報を抽出する抽出部を具備し、
前記抽出部で抽出された情報のみを、前記外光センサの検知結果と照合するようにした自動点灯制御式照明システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の自動点灯制御式照明システムであって、
輝度変化が生じた領域の周囲のグリッドにおいて、その直前に輝度変化が生じていなかった場合に他の部分よりも優先して当該輝度変化が生じた領域をキャンセルする自動点灯制御式照明システム。
【請求項1】
光源と、
画像を検出する画像センサと、
前記画像センサの検知結果に基づいて人の位置データを算出する演算部と、
前記演算部の算出結果に基づいて、光源を点灯制御する制御部と、を有する自動点灯制御式照明システムであって、
外光による明るさを検知する外光センサを有し、
前記演算部は、同一時刻における前記外光センサの検知結果と、前記画像センサの検知結果とを照合し、前記画像センサの検知結果に前記外光センサの検知結果と同期して変化する部分が含まれていると認識した場合に、
前記演算部は、前記画像センサの検知結果から、前記部分をキャンセルし、演算を行なうことで補正データを算出し、
前記制御部は、前記演算部から出力された前記補正データに基づいて、前記光源を点灯制御する自動点灯制御式照明システム。
【請求項2】
請求項1に記載の自動点灯制御式照明システムであって、
前記演算部は、前記外光センサの取り付け位置情報を入力する入力部と、入力された取り付け位置情報で導かれる外光の入射位置情報を記憶する記憶部と、を有し、
前記画像センサの検知結果のうちキャンセルする部分が、外光の入射位置情報とオーバーラップする部分を他の部分よりも優先してキャンセルするようにした自動点灯制御式照明システム。
【請求項3】
請求項2に記載の自動点灯制御式照明システムであって、
前記演算部は、前記記憶部に記憶された入射位置情報に基づき、前記画像センサの検知結果から外光の入射位置に想到する情報を抽出する抽出部を具備し、
前記抽出部で抽出された情報のみを、前記外光センサの検知結果と照合するようにした自動点灯制御式照明システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の自動点灯制御式照明システムであって、
輝度変化が生じた領域の周囲のグリッドにおいて、その直前に輝度変化が生じていなかった場合に他の部分よりも優先して当該輝度変化が生じた領域をキャンセルする自動点灯制御式照明システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−9846(P2010−9846A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166040(P2008−166040)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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