説明

自動立上げ処理方式

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、伝送装置等に使用されるパッケージの自動立上げ(起動)処理方式の改良に関するものである。
【0002】近年、伝送装置等の機能の増加にともないパッケージ単体での各種状態の設定内容が多くなっていることから、ソフトウェアにより設定を行う、いわゆるソフトストラップによる方式が主流となっている。このため、パッケージの増設時や故障時にパッケージの交換を行った場合、再度ソフトストラップによる設定を必要とするが、保守上の容易さ及びヒューマン・エラーを未然に防ぐ上で自動立上げ(起動)を行うのが一般的になっている。
【0003】この場合、立上げ処理中にパッケージの挿抜等を行っても各種状態の設定内容の欠落を防ぐことができる自動立上げ処理方式が要望されている。
【0004】
【従来の技術】図3は従来例の被制御パッケージの構成を示すブロック図である。伝送装置が、複数の被制御パッケージとこれら被制御パッケージの回路の立上げ処理等を行う制御パッケージとで構成される場合の、被制御パッケージの回路の立上げ(起動)処理の動作について説明する。
【0005】まず電源を投入すると、図3に示す被制御パッケージの電圧監視回路1でこれを認識して例えば立上げ要求を示す“1”の信号を出力し、セット/リセット・フリップフロップ(以下FFと称する)2のプリセット(PR)端子に加え、FF2で一時保持する。そしてFF2で、クロック(図示しない)のタイミングによりQ端子から“1”を出力し、送信回路3を介して同じ伝送装置に設置された制御パッケージ(図示しない)に転送する。
【0006】一方、制御パッケージ(図示しない)側では、上記被制御パッケージからの立上げ要求を示す“1”の信号を受信して、図3に示す被制御パッケージのソフト・ストラップ部5に対してソフト・ストラップ(立上げ処理)を行う。ソフト・ストラップの処理が終了した時、立上げ要求の解除を示す信号“0”を制御パッケージ(図示しない)から図3に示す被制御パッケージに転送する。被制御パッケージでは、上記“0”の信号を受信回路4で受信してFF2のクリア(CLR)端子に加え、FF2のQ端子の出力を“0”に設定し立上げ要求の解除を行う。
【0007】このようにして被制御パッケージの回路の立上げ(起動)処理を行っていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述の自動立上げ処理方式においては、制御パッケージで被制御パッケージからの立上げ要求(“1”)を認識して立上げ処理を実行中に再度電源がオフからオンになっても、被制御パッケージの状態が“1”のままなので設定内容の破壊が認識出来ない。
【0009】即ち、被制御パッケージの装置のコネクタへの挿入時のかん合の悪さや、立上げ処理中の被制御パッケージの再挿抜により、設定内容が欠落するという問題点があった。
【0010】したがって本発明の目的は、立上げ処理中にパッケージの挿抜等を行っても各種状態の設定内容の欠落を防ぐことができる自動立上げ処理方式を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記問題点は図1に示すパッケージの構成によって解決される。即ち図1において、電源投入時に立上げ要求信号を出力し、第2のパッケージからの制御信号により立上げ要求信号の出力を停止する第1のセット/リセット部200 を搭載した第1のパッケージと、第1のパッケージの第1のセット/リセット部200 の出力の立上げ要求信号を受信して、第1のパッケージに搭載した回路の立上げ処理を行う第2のパッケージとを有する装置の自動立上げ処理方式において、600 は第1のパッケージに設けられ、電源投入時に立上げ要求信号を出力し、第2のパッケージからの制御信号により立上げ要求信号の出力を停止する第2のセット/リセット部である。
【0012】そして、第2のパッケージで該第1及び第2のセット/リセット部200、600の出力の立上げ要求信号を受信した時、第2のパッケージから制御信号を出力して第1又は第2のセット/リセット部200、600 の立上げ要求信号出力を停止するようにする。
【0013】又、第2のパッケージで第1のパッケージに搭載した回路の立上げ処理を終了した時、第2のパッケージから制御信号を出力して第1のパッケージの第1及び第2のセット/リセット部200、600 の立上げ要求信号出力を停止するように構成する。
【0014】
【作用】図1において、電源投入時に、第1のパッケージの第1及び第2のセット/リセット部200 、600 から第2のパッケージに対して立上げ要求信号(それぞれ例えば“1”)を出力する。一方、第2のパッケージで第1及び第2のセット/リセット部200、600 の出力の立上げ要求信号(例えば“11”)を受信すると、第1又は第2のセット/リセット部200、600 のいずれか一方の立上げ要求信号出力を停止するための制御信号を出力する。そして、第1のパッケージの第1又は第2のセット/リセット部200、600 のうちいずれか一方の立上げ要求信号出力を停止するようにする。
【0015】この結果、第2のパッケージ側では、受信状態は“10”又は“01”となっている。次に、第2のパッケージで第1のパッケージに搭載した回路の立上げ処理を終了した時、第2のパッケージから第1のパッケージの第1及び第2のセット/リセット部200、600 の立上げ要求信号出力を停止するための制御信号を出力する。そして、第1のパッケージの第1及び第2のセット/リセット部200、600 の立上げ要求信号出力を停止するようにする。この時、第2のパッケージ側では、受信状態は“00”となっている。
【0016】この結果、第2のパッケージで立上げ処理中に(この時“10”又は“01”となっている)第1のパッケージの挿抜等を行って電源を再び投入すると、第2のパッケージ側では“11”となるため、第2のパッケージ側で挿抜状態を認識することができ、再度立上げ処理を行うことにより設定内容の欠落を防ぐことが出来る。
【0017】
【実施例】図2は本発明の実施例の被制御パッケージの構成を示すブロック図である。全図を通じて同一符号は同一対象物を示す。
【0018】本発明が従来例と異なる点は、従来被制御パッケージから出力する立上げ要求のための信号が1ビット(“1”又は“0”)であったのを2ビット用意し、制御パッケージ側でこの2ビットの信号を判定することにより立上げ処理のシーケンス管理を実行するようにした点にある。以下に詳細に説明する。
【0019】図2において、被制御パッケージ及び制御パッケージ(図示しない)を設置した装置の電源を投入すると、図2に示す被制御パッケージの電圧監視回路1でこれを認識して例えば立上げ要求を示す“1”の信号を出力して、FF2及び新たに設けたFF6のプリセット(PR)端子に加え、FF2及び6で一時保持する。そしてFF2及び6で、クロック(図示しない)のタイミングによりQ端子からそれぞれ“1”を出力し、送信回路3を介してシリアル又はパラレルの2ビットの信号“11”として制御パッケージ(図示しない)に転送する。
【0020】一方、制御パッケージ(図示しない)側では、上記被制御パッケージからの立上げ要求を示す2ビットの信号“11”を受信して本状態を認識した後、例えば被制御パッケージのFF2をクリアするための信号(“0”)を被制御パッケージに送って被制御パッケージのFF2のクリア端子(CLR)に加え、被制御パッケージのFF2のQ端子出力をクリアして“0”にする。この時点で被制御パッケージの送信回路3の出力は、“01”となっている。
【0021】その後、制御パッケージ(図示しない)では、被制御パッケージのソフト・ストラップ部5の回路の立上げ(起動)処理を実行し、処理の終了時に被制御パッケージのFF6をクリアするための信号(“0”)を被制御パッケージに送ってFF6のクリア端子(CLR)に加え、FF6のQ端子出力をクリアして“0”にする。この時点で被制御パッケージの送信回路3の出力は、“00”となっている。
【0022】今、制御パッケージ(図示しない)で立上げ処理中に(この時、送信回路3の出力は“01”となっている)、被制御パッケージを新規の被制御パッケージと交換する等してその電源がオフからオンになったとする。すると、図2に示す被制御パッケージの電圧監視回路1でこれを認識し、立上げ要求を示す信号“1”を出力してFF2及び6のプリセット端子(PR)に加えるため、FF2及び6はともに“1”を一時保持することになる。そしてクロック(図示しない)のタイミングによりFF2及び6のQ端子から“1”を出力し、送信回路3を介して“11”の信号として制御パッケージ(図示しない)に転送する。
【0023】制御パッケージ(図示しない)では、立上げ処理中に(この時、送信回路3の出力は“01”)上記“11”を受信して被制御パッケージの挿抜等のあったことを認識し、続行中の立上げ処理を中止しあらためて被制御パッケージに対して最初から立上げ処理を開始する。
【0024】この結果、制御パッケージで立上げ処理中に被制御パッケージの挿抜等を行っても、制御パッケージ側で挿抜状態を認識することができるため、設定内容の欠落を防ぐことが出来る。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、制御パッケージで立上げ処理中に被制御パッケージの挿抜等を行っても、制御パッケージ側で挿抜状態を認識することができるため、設定内容の欠落を防ぐことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】は本発明の原理図、
【図2】は本発明の実施例の被制御パッケージの構成を示すブロック図、
【図3】は従来例の被制御パッケージの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
600は第2のセット/リセット部を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 電源投入時に立上げ要求信号を出力し、第2のパッケージからの制御信号により該立上げ要求信号の出力を停止する第1のセット/リセット部(200) を搭載した第1のパッケージと、該第1のセット/リセット部(200) の出力の立上げ要求信号を受信して、該第1のパッケージに搭載した回路の立上げ処理を行う第2のパッケージとを有する装置の自動立上げ処理方式において、電源投入時に立上げ要求信号を出力し、該第2のパッケージからの制御信号により該立上げ要求信号の出力を停止する第2のセット/リセット部(600) を該第1のパッケージに設け、該第2のパッケージで該第1及び第2のセット/リセット部(200、600)の出力の立上げ要求信号を受信した時、該第2のパッケージから制御信号を出力して該第1又は第2のセット/リセット部(200、600)の立上げ要求信号出力を停止するようにし、該第2のパッケージで該第1のパッケージに搭載した回路の立上げ処理を終了した時、該第2のパッケージから制御信号を出力して該第1のパッケージの第1及び第2のセット/リセット部(200、600)の立上げ要求信号出力を停止するようにしたことを特徴とする自動立上げ処理方式。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【特許番号】特許第3143935号(P3143935)
【登録日】平成13年1月5日(2001.1.5)
【発行日】平成13年3月7日(2001.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−39741
【出願日】平成3年3月6日(1991.3.6)
【公開番号】特開平4−277807
【公開日】平成4年10月2日(1992.10.2)
【審査請求日】平成9年9月5日(1997.9.5)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【参考文献】
【文献】特開 平2−1045(JP,A)