説明

自動結線装置

【課題】試験装置から電力量計へ電力を供給する際の結線を自動で行う自動結線装置に関し、電力量計と自動結線装置との接触部分での電気抵抗及び発熱量を少なく抑えることを目的とする。
【解決手段】自動制御を行う演算部を備え、試験の際に、第一の電流端子接触部200及び第二の電流端子接触部210と電力量計の平型の電流端子1100を挟持するとともに、電圧端子接触部300が電力量計1000の可動型の電圧端子1200を押圧するように接触することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力量計、特に電子式電力量計を試験装置に接続して性能試験を行うために、電力量計と試験装置とを電気的に接続する自動結線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電流と電圧を計測して電力を積算し計量する電力量計は、一般家庭、店舗、工場ごとに設置され、電力会社から供給される電力について、その料金を算定する上で、重要な役割を担っている。そのため、電力量計が正確に動作し、所定規格を満たしていなければならず、かかる所定の規格を満たしているかを検査するめの性能試験(以下、単に「試験」という。)が行われている。
【0003】
この試験を行うために、測定する電力量計毎に、試験装置の電源側の接続導線と電力量計の各外部端子とを結線する必要がある。この場合、試験装置の電源側の接続導線と電力量計の各外部端子とは、例えば検定試験台に設けられた結線器を介して互いに接続される。
【0004】
特許文献1には、このような結線器に関する技術が開示されているが、特許文献1に開示された結線器は、電力量計に設けられる筒状端子に嵌め合わされ、先端部を軸方向に分割する割り溝を有する電流端子を備え、前記電流端子の内部に、前記割り溝に達する位置まで挿入されたチューブが配置され、前記チューブに圧縮気体が供給されることで、前記チューブが膨張し、前記電流端子の先端部が拡径することで、前記電流端子と前記筒状端子とが接触して、前記電力量計との接続が行われる自動結線器である。さらに、この自動結線器は、前記電流端子を保持するとともに、左右にスライド移動可能な絶縁ブロックを備えることで、電力量計の筒状端子の位置に応じて、前記電流端子の位置決めを行うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−235527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、従来の一般家庭でも多く目にする内部に回転する円盤が見える誘導形電力量計に使用されるものであり、近年普及し始めた電子式電力量計には使用することができない。また、電流端子先端部と、電力量計の筒状端子とを接触させるためのチューブを電流端子内部に配置しなければならず、作業コストの点で課題がある。
【0007】
近年、時間帯別に計測することができ、遠隔地との通信により電力量を遠隔地においてリアルタイムで捕捉することができる電子式電力量計が普及し始めている。この電子式電力量計は、電力量計の定格及び電力会社により様々な形状があり、外部に接続するための電流端子及び電圧端子の形状も異なる。電子式電力量計の中でも、外部接続用電流端子が平型端子で、外部接続用電圧端子が押圧されるとプッシュスイッチのように上下動する可動端子を備える電子式電力量計に関する試験を行うために、試験装置の電源側の接続導線と電子式電力量計の外部接続用電流端子及び外部接続用電圧端子とを、自動で接続し、かつ、接続部分の電気抵抗を少なくし発熱量を少なく抑えるように構成された自動結線装置はこれまで存在しなかった。
【0008】
本発明は、ローコストで製造可能であるとともに、外部接続用電流端子が平型端子で、外部接続用電圧端子が押圧するとプッシュスイッチのように上下動する可動端子を備える電子式電力量計について試験を行うために、試験装置の電源側の接続導線と電子式電力量計の外部接続用電流端子及び外部接続用電圧端子とを、自動で接続し、かつ、接続部分の電気抵抗を少なくし発熱量を少なく抑えることが可能な自動結線装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための本発明に係る自動結線装置は、
電流端子及び電圧端子を含む電力量計と、該電力量計に性能試験のための電力を供給する試験装置とを電気的に接続する自動結線装置であって、
前記電力量計が設置される電力量計設置部と、
前記電流端子の一方の面と接触する第一の電流端子接触部と、
前記第一の電流端子接触部と対向する位置に設けられる絶縁ブロックと、
前記絶縁ブロックに取り付けられて前記電流端子の他方の面と接触する第二の電流端子接触部と、
前記絶縁ブロックに取り付けられて前記電圧端子と接触する電圧端子接触部と、
前記第一の電流端子接触部を昇降移動させる昇降制御機構と、
前記電力量計を前記電力量計設置部に係止する電力量計係止機構とを備え、
前記電力量計が前記電力量計設置部に設置されたときに、
前記電力量計の前記電流端子は、前記第一及び第二の電流端子接触部の間に位置し、前記昇降制御機構が、前記第一の電流端子接触部を降下させると、前記第一及び第二の電流端子接触部は、前記電流端子を挟持し、
前記電力量計の前記電圧端子は、前記電圧端子接触部と当接すると、前記電力量計内部に押し込まれることを特徴としている。
【0010】
また、本発明に係る自動結線装置は、前記電力量計設置部に前記電力量計が設置されたか否かを判定する電力量計設置判定センサーと、
前記電力量計設置判定センサーより、前記電力量計設置部に前記電力量計が設置された旨の情報を受信した場合に、前記昇降制御機構を、駆動可能状態として設定し、試験終了後に前記昇降制御機構の上昇及び前記電力量計係止機構の下降とを連動して制御し、前記電力量計設置判定センサーより、前記電力量計設置部から前記電力量計が取り外された旨の情報を受信した場合に前記電力量計係止機構を上昇させる制御を行う演算部とをさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、構造がシンプルなことから、ローコストで製造可能であるとともに、外部接続用電流端子が平型端子で、外部接続用電圧端子が押圧するとプッシュスイッチのように上下動する可動端子を備える電子式電力量計の試験を行うために、試験装置の電源側の接続導線と電子式電力量計の外部接続用電流端子及び外部接続用電圧端子とを、自動で接続し、かつ、接続部分の電気抵抗を少なくし発熱量を少なく抑えることが可能な自動結線装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳細に説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0013】
まず、図1〜図3により、本発明の一実施形態に係る自動結線装置によって試験装置と電気的に接続される電子式電力量計の概略について説明する。図1は、電子式電力計の正面図、図2は、電子式電力量計の底面図、図3(a)は、電子式電力量計の右側面図である。図3(b)は、図3(a)の右下部分の内部を拡大したもので、電流端子1100及び電圧端子1200を示した図である。
【0014】
この電子式電力量計1000は、図2に示すように、その底面に、電子式電力量計1000をビル、家屋等に備え付ける際に使用される2本の固定用金具1400、4本の電流端子1100、3本の電圧端子1200、そして、図1に示すように、その正面の所定箇所(図1では上部中央)に試験時に電力量計1000が計測した電力量に応じて所定周期のパルス光線(例えば赤外線等)を発光する光線発光部1300とを含む構成である。
【0015】
4本の電流端子1100は、平型であるとともにネジで固定できるように略中央に丸いネジ用の半円の孔が設けられている。なお、本書面において、図3(b)に示すように電流端子1100について、便宜上、一方の面(デジタル表示面側)に1110と符合を付し、他方の面(電圧端子側)に1120と符合を付す。また、図3(b)に示す電圧端子1200は、プッシュスイッチのように、図に示す矢印の方向に押圧されると可動して、電子式電力量計1000の内部に押し込まれる機構を備えている。
【0016】
次に、図4〜図7により、本発明の一実施形態に係る自動結線装置について説明する。図4は、自動結線装置の側面図、図5は、自動結線装置の正面図、図6は、自動結線装置を図4に示すA−A線の矢視図、図7は、電子式電力量計が自動結線装置にセットされる前後の様子を示す図である。
【0017】
図4及び図5に示すように、本実施形態に係る自動結線装置10は、電力量計設置部100、第一の電流端子接触部200、第二の電流端子接触部210、電圧端子接触部300、昇降制御機構400、電力量計設置判定センサー500、電力量計係止機構600、を含む構成である。
【0018】
電力量計設置部100は、基板700上で、試験時に電子式電力量計1000が設置される領域であり、図5において斜線で示される。本実施形態では、試験の際、電子式電力量計1000を設置位置にしっかり固定できるよう、接触部分に摩擦の生じるラバーマットとしている。
【0019】
第一の電流端子接触部200は、試験時に電力量計設置部100に設置された電子式電力量計1000の電流端子1100の一方の面1110と接触する導電性の部材である。また、第一の電流端子接触部200は、導線220aを介して試験装置の電源側(図示しない)と接続している。この第一の電流端子接触部200を通じて、試験装置から電子式電力量計1000に電流が流される。
【0020】
第一の電流端子接触部200は、後述する第二の電流端子接触部210と対向するよう設置される(すなわち、電子式電力量計1000が、電力量計設置部100に設置されると、前記電流端子1100の一面1110とも対向する)。また、第一の電流端子接触部200は、後述する昇降制御機構400に取り付けられ、昇降制御機構400の降下に伴って下降する。
【0021】
第一の電流端子接触部200の形状は、電子式電力量計1000の電流端子1100と接触できるものであれば特に限定されるものではない。ただし、電流端子1100が平型端子であることを考慮すると、第一の電流端子接触部200の電流端子1100との接触面積を広く面状とすることができるよう、第一の電流端子接触部200側の接触箇所が平面であることが好ましい。そのため、本実施形態では、第一の電流端子接触部200を板状部材としている。
【0022】
第二の電流端子接触部210は、試験時に電力量計設置部100に設置された電子式電力量計1000の電流端子1100の他方の面1120(電流端子1100の有する面のうち、上記第一の電流端子接触部200と接する一方の面1110と相対する面)と接触する導電性の部材である。また、第二の電流端子接触部210は、導線220bを介して試験装置の電源側(図示しない)と接続している。前記第一の電流端子接触部200と同様、第二の電流端子接触部210を通じても、試験装置から電子式電力量計1000に電流が流される。
【0023】
第二の電流端子接触部210は、図4及び図6に示すように、前記第一の電流端子接触部200と対向する位置にあり、また電子式電力量計1000が電力量計設置部100に設置された際、その底面と接触する位置に設置される絶縁ブロック710に取り付けられる。より詳細には、絶縁ブロック710の、前記第一の電流端子接触部200と対向する面上に取り付けられる。
【0024】
第二の電流端子接触部210の形状は、電子式電力量計1000の電流端子1100と接触できるものであれば特に限定されるものではない。ただし、電流端子1100が平型端子であることを考慮すると、第一の電流端子接触部200と同様に平面であることが好ましい。そのため、本実施形態では、第二の電流端子接触部210を板状部材としている。
【0025】
電圧端子接触部300は、試験時に電力量計設置部100に設置された電子式電力量計1000の電圧端子1200と接触する導電性の部材である。また、電圧端子接触部300は、導線330を介して試験装置の電源側と接続している(図示しない)。この電圧端子接触部300を通じて、試験装置から電子式電力量計1000に電圧がかけられる。
【0026】
電圧端子接触部300は、電力量計設置部100に設置された電子式電力量計1000の電圧端子1200と接触可能とするため、本実施形態では、図4及び図6に示すように、絶縁ブロック710に取り付けられる(図4及び図5では、自動結線装置10をコンパクト化するため、電圧端子接触部300を、前記第一の電流端子接触部200と隣接して設置しているが、これに限定されるものではない。)。
【0027】
電圧端子接触部300は、本実施形態では、絶縁ブロック710の電子式電力量計1000の底面と接触する面上に配置されて電圧端子1200と接触する端子接触部310と、絶縁ブロック710の第一の電流端子接触部200と対向する面上に配置されて、導線330と接続する導線接続部320とを備える。
【0028】
このように、電圧端子接触部300を絶縁ブロック710に取り付けることで、電子式電力量計1000が電力量計設置部100に設置される際、電圧端子1200は、端子接触部310に当接して、電子式電力量計1000内部に押し込まれる。なお、電圧端子接触部300の形状は、特に限定されるものではなく、図6に示すように、導線接続部320が端子接触部310の左右のいずれかの端から延びる形状(L字型)としてもよいし、導線接続部320が端子接触部310の中央から延びる形状(T字型)としてもよい。
【0029】
昇降制御機構400は、その所定箇所に第一の電流端子接触部200が取り付けられ、下記のエアシリンダ430の作用によりピストン運動をすることで、第一の電流端子接触部200を昇降移動させるものである。なお、昇降制御機構400は、図4及び図5に示すように、電力量計設置部100の下方(絶縁ブロック710よりもさらに下方)に配置している。
【0030】
昇降制御機構400は、第一の電流端子接触部200を取付固定する取付部410と、取付部410を支持する支持シャフト420と、少なくとも2つの空気口を有し、電磁弁(図示しない)のスイッチングによっていずれか一方の空気口から空気が供給されると他方の空気口から空気が排気され、内部のピストン部440を移動させるエアシリンダ430とを含み、支持シャフト420とピストン部440とが螺子留めされるなどして接続する構成である。(図6に示すように、シリンダヘッド450を介して、支持シャフト420とピストン部440とを接続してもよい。)なお、図4及び図6に示すように、昇降制御機構400は、支持シャフト420が基板700に挿通されて、全体が基板700に対して略垂直に立設される。
【0031】
昇降制御機構400は、エアシリンダ430の作用により、ピストン部440及びそれに接続する支持シャフト420を昇降させる。それにより、ピストン部440及び支持シャフト420の動作と同じ方向に第一の電流端子接触部200が移動し、電子式電力量計1000の電流端子1100と第一の電流端子接触部200との接触又は切り離しの制御を行う。
【0032】
本実施形態に係る自動結線装置10と、電子式電力量計1000の電流端子1100及び電圧端子1200との電気的接続の詳細は下記の通りである。図7(a)は、電子式電力量計1000が、自動結線装置10にセットされる直前の状態を示す図である。その後、図7(b)に示すように、電子式電力量計1000が移動して、電圧端子1200が、絶縁ブロック710に取り付けられた電圧端子接触部300と当接し、電子式電力量計1000の内部に押し込まれる(このとき、電子式電力量計1000は、下記電力量計係止機構600に係止され、電力量計設置部100内の所定位置で固定されている)。
【0033】
一方、この状態で、電流端子1100は、降下待機状態にある第一の電流端子接触部200と、絶縁ブロック710に取り付けられた第二の電流端子接触部210との間に位置する。そして、昇降制御機構400のスイッチ(図示しない)をONすることにより、昇降制御機構400の支持シャフト420の降下に伴い、第一の電流端子接触部200が下降し、電流端子1100が、第一及び第二の電流端子接触部200、210に挟持される状態となる(すなわち、第一の電流端子接触部200が、電流端子1100の一方の面1110と接触し、第二の電流端子接触部210が、電流端子1100の他方の面1120と接触する。)。
【0034】
このように、第一の電流端子接触部200が、電流端子1100の一方の面1110と接触し、第二の電流端子接触部210が、電流端子1100の他方の面1120と接触することで、接触部分の面積を広くすることができ、そこに生じる電気抵抗及び発熱量を低く抑えることができる。
【0035】
なお、自動結線装置10は、図5に示すように、電力量計設置部100の内側に、電子式電力量計1000が設置されたか否かを判定する電力量計設置判定センサー500を備えることが好ましい。この電力量計設置判定センサー500の構成は、例えば、発光部及び受光部を含む。また、電子式電力量計1000が設置されたか否かは、電力量計設置部100に設置された電子式電力量計1000が発光部からの光を遮り、その光が反射し、反射光を受光部が受け取った場合には、電子式電力量計1000が電力量計設置部100に設置されていると判定され、逆に、発光部からの光を受光部が受け取らない場合には、電子式電力量計1000が電力量計設置部100に設置されていないと判定される。
【0036】
電力量計設置判定センサー500により、電子式電力量計1000が電力量計設置部100に設置されない限り、昇降制御機構400が駆動されないような構成とすれば、電子式電力量計1000が電力量計設置部100に設置されていないにも関わらず、昇降制御機構400が動作するという事態を防ぐことができる。
【0037】
電力量計係止機構600は、電力量計設置部100に設置された電子式電力量計1000をその位置に係止するための機構である。具体的には、図4及び図7に示すように、電子式電力量計1000の上面と接触して係止する係止部610と、内部に当該係止部610を昇降移動させるピストン部620を有するエアシリンダ630とを含む構成である。また、係止部610とピストン部620との間に弾性体640(本実施形態ではコイルスプリング)を配置することが好ましい。なお、図4及び図6のように、弾性体640とピストン部620との間に、シリンダヘッド650を介在させておいてもよい。この電力量計係止機構600は、少なくとも電子式電力量計1000の高さ分の距離をあけて、電力量計設置部100の上側に、昇降制御機構400と略平行に配設される。
【0038】
電力量計係止機構600は、図7(a)に示すように、自動結線装置10にセットされる直前の電子式電力量計1000が係止部610と接触すると、弾性体640がバネ力を有しながら縮み、それに伴って係止部610が基板700の内側に押し込まれる。その後、電子式電力量計1000が、図7(b)にて示す位置まで移動すると、前記バネ力が開放されて弾性体640が伸び、係止部610が元の位置に戻る。
【0039】
一方で、試験が終了した場合、エアシリンダ630の作用により、ピストン部620に伴い係止部610が降下する。これにより、それまで電子式電力量計1000を係止していた支え(係止部610)がなくなり、電子式電力量計1000を自動結線装置10から取り外すことができる。
【0040】
なお、自動結線装置10は、上記した昇降制御機構400の動作と、電力量計係止機構600の動作を連動させる構成としてもよい。この場合の自動結線装置10の作用を図8のフローチャートを用いて説明する。
【0041】
まず、試験者が電子式電力量計1000を電力量計設置部100に設置する(S101)と、電力量計設置判定センサー500が、電子式電力量計1000の設置状態の有無を判定する。電子式電力量計1000が設置状態に有ると判定されると、その情報がマイコン等、自動結線装置10の演算部(図示しない)に送られ、当該演算部が、昇降制御機構400を駆動可能状態として設定する(S102)。その後、試験者の手動等により、昇降制御機構400のスイッチが押される(S103)と、駆動可能状態に設定されている昇降制御機構400の駆動が開始し、第一の電流端子接触部200の降下、及び電流端子1100との接触により、自動結線装置10を通じて、電子式電力量計1000と試験装置とが電気的に接続され、記載を略した試験装置から電圧と電流が供給され、試験が開始される(S104)。
【0042】
試験が終了すると、試験者の手動等により、再び昇降制御機構400のスイッチが押され(S105)、昇降制御機構400及び第一の電流端子接触部200が上昇する(S106)とともに、電力量計係止機構600が駆動して、係止部610が下降する(S107)。最後に、電子式電力量計1000が電力量計設置部100から取り外されると、電力量計設置判定センサー500がその旨判定し(S108)、再び電力量計係止機構600が駆動して、今度は、係止部610を上昇させる(S109)。
【0043】
次に、上記自動結線装置10において、さらに、電子式電力量計1000が所定の電力量の計量に応じて発するパルス光線(例えば、赤外線等)を利用して、電子式電力量計1000の電力量表示メータを視認する以外の方法でも、試験時に電子式電力量計1000に供給される電力量を計測することが可能な自動結線装置について、図9を参照して説明する。
【0044】
図9は、自動結線装置10の正面図である。電子式電力量計1000は、所定の電力量の計量に応じて、パルスを出力する回路を備える。このパルス信号を光に変換し、図1に示す光線発光部1300から発光する。図9に示す符合900は、このパルス光線を受光するためのパルス光線受光機構である。
【0045】
このパルス光線受光機構900の構成は、受光アーム910と、受光アーム910の軸部911を中心に、受光アーム910を回動可能に制御する受光アーム回動制御部920とを含む。また、受光アーム910は、その端部910Aに光線発光部1300からの光線を受光する受光素子912を備える。具体的には、受光アーム回動制御部920(例えば、エアアクチュエータ)が、受光アーム910の軸部911を回転させるように作用し、それに伴い受光アーム910が回動する。
【0046】
本実施形態では、パルス光線受光機構900は、さらに、基板700に垂直に立設される略直方体状の受光アーム取付部930を備えている。この受光アーム取付部930の上面930Aに、受光アーム910が、軸部911が回転可能に支持された状態となって取り付けられる。基板700に立設された受光アーム取付部930は、その上面930Aが電力量計設置部100に設置された電子式電力量計1000の上面よりも前に来る(図9では手前側)程度の高さを有する。
【0047】
そうすることで、受光アーム910が、電力量計設置部100に設置された電子式電力量計1000の前方(図9では、電子式電力量計1000の手前側)の空間を回動することができる。
【0048】
受光アーム回動制御部920の作用により、受光アーム910が回動すると、端部910Aに取り付けられた受光素子912が、電子式電力量計1000の光線発光部1300と直接対向する位置に移動する。これにより、受光素子912は、光線発光部1300からの光線を受光することが可能となる。
【0049】
なお、パルス光線受光機構900は、受光したパルス光線のデータを受信する受信部及び受信データから電子式電力量計1000が計量した電力量を計測する演算部を備えるようにしてもよい(上記した演算部と同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。)。この演算部に、試験時に所定のシーケンスに従って受光アーム910を回動させるよう命令する機能をもたせれば、演算部が、上記受光アーム制御部920しても働く。
【0050】
これにより、試験者が、電子式電力量計1000の電力量表示メータを視認する以外の方法でも、電子式電力量計1000に供給された電力量を計測することが可能となり、より正確に試験を行うことができる。図9では、パルス光線受光機構900は、基板700上で、且つ電力量計設置部100の右側の位置に立設されているが、立設位置はこれに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】電子式電力計1000の正面図。
【図2】電子式電力計1000の底面図。
【図3】電子式電力計1000の右側面図。
【図4】本発明の一実施形態に係る自動結線装置の側面図。
【図5】本発明の一実施形態に係る自動結線装置の正面図。
【図6】本発明の一実施形態に係る自動結線装置の図4A−A線の矢視図
【図7】本発明の一実施形態に係る電子式電力量計が自動結線装置にセットされる前後の様子を示す図。
【図8】本発明の一実施形態に係る自動結線装置の動作フローチャート。
【図9】パルス光線受光機構を備える本発明の一実施形態に係る自動結線装置の正面図。
【符号の説明】
【0052】
10 自動結線装置
100 電力量計設置部
200 第一の電流端子接触部
210 第二の電流端子接触部
300 電圧端子接触部
400 昇降制御機構
500 電力量計設置判定センサー
600 電力量計係止機構
700 基板
710 絶縁ブロック
910 受光アーム
1000 電子式電力量計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流端子及び電圧端子を含む電力量計と、該電力量計に性能試験のための電力を供給する試験装置とを電気的に接続する自動結線装置であって、
前記電力量計が設置される電力量計設置部と、
前記電流端子の一方の面と接触する第一の電流端子接触部と、
前記第一の電流端子接触部と対向する位置に設けられる絶縁ブロックと、
前記絶縁ブロックに取り付けられて前記電流端子の他方の面と接触する第二の電流端子接触部と、
前記絶縁ブロックに取り付けられて前記電圧端子と接触する電圧端子接触部と、
前記第一の電流端子接触部を昇降移動させる昇降制御機構と、
前記電力量計を前記電力量計設置部に係止する電力量計係止機構とを備え、
前記電力量計が前記電力量計設置部に設置されたときに、
前記電力量計の前記電流端子は、前記第一及び第二の電流端子接触部の間に位置し、前記昇降制御機構が、前記第一の電流端子接触部を降下させると、前記第一及び第二の電流端子接触部は、前記電流端子を挟持し、
前記電力量計の前記電圧端子は、前記電圧端子接触部と当接すると、前記電力量計内部に押し込まれることを特徴とする自動結線装置。
【請求項2】
前記電力量計設置部に前記電力量計が設置されたか否かを判定する電力量計設置判定センサーと、
前記電力量計設置判定センサーより、前記電力量計設置部に前記電力量計が設置された旨の情報を受信した場合に、前記昇降制御機構を、駆動可能状態として設定し、試験終了後に前記昇降制御機構の上昇及び前記電力量計係止機構の下降とを連動して制御し、前記電力量計設置判定センサーより、前記電力量計設置部から前記電力量計が取り外された旨の情報を受信した場合に前記電力量計係止機構を上昇させる制御を行う演算部とをさらに備える請求項1に記載の自動結線装置。
【請求項3】
受光アームと、受光アームの軸部を回転させ、前記軸部を中心に受光アームを回動させる受光アーム回動制御部とを含むパルス光線受光機構を、さらに備え、
前記受光アームの端部には、前記電力量計に設けられ、前記電力量計により計測された電力量に応じた光線を発光する光線発光部からの光線を受光する受光素子が設けられ、
前記受光アーム回動制御部の制御により、前記受光アームが、前記電力量計設置部に設置された前記電力量計の前方を回動することで、前記受光素子が、前記光線発光部と直接対向する位置に移動する請求項1又は2に記載の自動結線装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−83319(P2012−83319A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232023(P2010−232023)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(300086388)デンソクテクノ株式会社 (8)
【出願人】(311002034)GE富士電機メーター株式会社 (4)